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特開2024-137016パターン検査方法及びパターン検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137016
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】パターン検査方法及びパターン検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240927BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20240927BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240927BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240927BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G02B7/36
G02B7/28 H
G02B7/28 N
G03B13/36
G03B15/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048354
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】平野 亮一
(72)【発明者】
【氏名】山下 靖裕
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 寿明
(72)【発明者】
【氏名】保井 良隆
【テーマコード(参考)】
2G051
2H011
2H151
【Fターム(参考)】
2G051AA56
2G051AB02
2G051AC21
2G051BA05
2G051BA10
2G051DA07
2H011AA06
2H011BA34
2H011BA38
2H151AA15
2H151BA45
2H151BA47
2H151BA53
2H151CB22
2H151DA11
2H151DA36
(57)【要約】
【目的】オートフォーカス動作時に生じ得る、検査時の画像の焦点高さ位置の誤差を抑制或いは低減することが可能な検査方法を提供する。
【構成】本発明の一態様のパターン検査方法は、図形パターンが形成された基板のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、フォーカス位置を評価するためのフォーカス評価値を取得する工程と、フォーカス評価値が閾値以上となるパターン形成面の検査用高さ位置を算出する工程と、算出されたパターン形成面の検査用高さ位置でのオートフォーカス制御のパラメータとして用いるオートフォーカス信号を算出する工程と、基板のパターン形成面の高さ位置をオートフォーカス信号の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整しながら、検査光で照射された基板を透過或いは反射した光を、検査光学系を介してセンサで受光することにより、基板の光学画像を撮像する工程と、参照画像を用いて、撮像された光学画素と参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形パターンが形成された基板のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、フォーカス位置を評価するためのフォーカス評価値を取得する工程と、
前記フォーカス評価値が閾値以上となるパターン形成面の検査用高さ位置を算出する工程と、
算出されたパターン形成面の検査用高さ位置でのオートフォーカス制御のパラメータとして用いるオートフォーカス信号を算出する工程と、
前記基板のパターン形成面の高さ位置を前記オートフォーカス信号の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整しながら、検査光で照射された前記基板を透過或いは反射した光を、検査光学系を介してセンサで受光することにより、前記基板の光学画像を撮像する工程と、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と前記参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項2】
取得された前記高さ位置毎のフォーカス評価値を凸の遇関数で近似することにより、前記検査用高さ位置を算出することを特徴とする請求項1記載のパターン検査方法。
【請求項3】
前記遇関数として、2次多項式を用いることを特徴とする請求項2記載のパターン検査方法。
【請求項4】
前記基板のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、前記基板の光学画像を取得する工程をさらに備え、
前記フォーカス評価値として、前記光学画像から得られるコントラストと明るさとの一方を用いることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のパターン検査方法。
【請求項5】
図形パターンが形成された基板を載置するステージと、
前記ステージの高さ位置を移動させる駆動機構と、
前記ステージの高さ位置を移動させることにより前記基板のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、フォーカス位置を評価するためのフォーカス評価値を取得するフォーカス評価値取得部と、
前記フォーカス評価値が閾値以上となるパターン形成面の検査用高さ位置を算出する検査用高さ位置算出部と、
算出されたパターン形成面の検査用高さ位置でのオートフォーカス制御のパラメータとして用いるオートフォーカス信号を算出するオートフォーカス信号算出部と、
前記基板のパターン形成面の高さ位置を前記オートフォーカス信号の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整するオートフォーカス機構と、
前記基板のパターン形成面の高さ位置が前記オートフォーカス信号の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整された状態で、検査光で照射された前記基板を透過或いは反射した光を受光することにより、前記基板の光学画像を撮像するセンサと、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と前記参照画像とを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査方法及びパターン検査装置に関する。例えば、半導体製造に用いる露光用マスクのパターン欠陥を検査する装置及びその装置の焦点位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。
【0003】
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0004】
検査手法としては、例えば、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計されたCADデータをマスクにパターンを描画する時に描画装置が入力するための装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計データ)を検査装置に入力して、これをベースに参照画像を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。
【0005】
かかる検査装置では、検査対象物であるマスク上のパターン画像を鮮明に採取する必要がある。しかし、検査装置の光学系には有限の焦点深度が存在するので、検査中は検査対象物の検査面を、光学系の焦点深度内に保持し続ける必要がある。言い換えれば、撮像した画像のコントラストを許容される範囲に保持することが求められる。検査装置においてはステージを移動させながらマスクをスキャンして連続的に画像を撮像することが必要であり、検査中に逐次画像コントラストを計算して光学系の焦点(ピント)を調整するのは処理時間が不足するため現実的でない。
【0006】
そこで、検査装置においては、画像撮像用の検査光学系に加え、検査光学系に対する検査対象物の高さ方向の変位を検出し、高さ位置を調整するオートフォーカス機構が採用されている。
【0007】
昨今のパターンの微細化に伴い、検査光の短波長化が進んでいる。これに伴い検査光学系の焦点深度が浅くなってきた。そのため、従来は検査光学系の近傍に設置した独立したオートフォーカス機構の計測系の精度で足りていたものが、検査光学系そのものを利用した(In-situ)測定を行わないと、検査光学系の持つ様々な変動要因(温度/機械的変形の依存性)を検出できず、高精度なピント調整ができなくなってきた。そのため、オートフォーカス機構として、検査光学系を一部利用する形態が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
かかるオートフォーカス機構の光学系では、マスクからの像の合焦点位置の前後に配置したスリットを通過した光量を計測し、計測された両光量の差分値を算出することによりマスクの高さ位置の変化を計測している。そして、マスクの高さ位置を微動させた際の計測光量の差分値と画像のコントラストとの関係から検査時の画像の焦点高さ位置を決めていた。しかしながら、計測される光量信号が、光学素子の性能ばらつきや光学調整のずれ等により、マスクの高さ位置の変化に対して極大値を境に対称に変化しない場合がある。これにより、マスクの高さ位置の変化に対する計測光量の差分値に非線形誤差が生じてしまい、画像の焦点高さ位置に誤差が生じてしまうといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-125941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の一態様は、オートフォーカス動作時に生じ得る、検査時の画像の焦点高さ位置の誤差を抑制或いは低減することが可能な検査装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様のパターン検査方法は、
図形パターンが形成された基板のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、フォーカス位置を評価するためのフォーカス評価値を取得する工程と、
フォーカス評価値が閾値以上となるパターン形成面の検査用高さ位置を算出する工程と、
算出されたパターン形成面の検査用高さ位置でのオートフォーカス制御のパラメータとして用いるオートフォーカス信号を算出する工程と、
基板のパターン形成面の高さ位置をオートフォーカス信号の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整しながら、検査光で照射された基板を透過或いは反射した光を、検査光学系を介してセンサで受光することにより、基板の光学画像を撮像する工程と、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、取得された高さ位置毎のフォーカス評価値を凸の遇関数で近似することにより、検査用高さ位置を算出すると好適である。
【0013】
また、遇関数として、2次多項式を用いると好適である。
【0014】
また、基板のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、基板の光学画像を取得する工程をさらに備え、
フォーカス評価値として、光学画像から得られるコントラストと明るさとの一方を用いると好適である。
【0015】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
図形パターンが形成された基板を載置するステージと、
ステージの高さ位置を移動させる駆動機構と、
ステージの高さ位置を移動させることにより基板のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、フォーカス位置を評価するためのフォーカス評価値を取得するフォーカス評価値取得部と、
フォーカス評価値が閾値以上となるパターン形成面の検査用高さ位置を算出する検査用高さ位置算出部と、
算出されたパターン形成面の検査用高さ位置でのオートフォーカス制御のパラメータとして用いるオートフォーカス信号を算出するオートフォーカス信号算出部と、
基板のパターン形成面の高さ位置をオートフォーカス信号の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整するオートフォーカス機構と、
基板のパターン形成面の高さ位置がオートフォーカス信号の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整された状態で、検査光で照射された基板を透過或いは反射した光を受光することにより、基板の光学画像を撮像するセンサと、
参照画像を用いて、撮像された光学画素と参照画像とを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、オートフォーカス動作時に生じ得る、検査時の画像の焦点高さ位置の誤差を抑制或いは低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。
図2】実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。
図3】実施の形態1の比較例におけるオートフォーカス制御用の光量の測定結果の一例を示す図である。
図4】実施の形態1の比較例におけるオートフォーカス信号の一例を示す図である。
図5】実施の形態1における検査方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。
図6】実施の形態1におけるオートフォーカス制御回路の内部構成の一例を示すブロック図である。
図7】実施の形態1におけるコントラストを算出する手法の一例を説明するための図である。
図8】実施の形態1におけるコントラストを算出する手法の他の一例を説明するための図である。
図9】実施の形態1における明るさを算出する手法の一例を説明するための図である。
図10】実施の形態1における各高さ位置のフォーカス評価値をプロットした状態を示す図である。
図11】実施の形態1における各高さ位置のフォーカス評価値を凸の遇関数で近似されたグラフの一例を示す図である。
図12】実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。
図13】実施の形態1における比較回路の内部構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。図1において、検査対象基板、例えばマスクに形成されたパターンの欠陥を検査する検査装置100は、光学画像取得機構150、及び制御系回路160を備えている。
【0019】
光学画像取得機構150は、光源103、反射照明光学系171、移動可能に配置されたXYθテーブル102、拡大光学系104、ビームスプリッタ174、ビームスプリッタ177、コリメータレンズ176、結像光学系178、オートフォーカス機構131、撮像センサ105、センサ回路106、ストライプパターンメモリ123、レーザ測長システム122、及びオートローダ130を有している。透過光を用いた透過検査を行う場合には、さらに透過照明光学系170を配置する。透過検査を行わずに反射光を用いた反射検査のみを行う場合には、透過照明光学系170を省略しても構わない。透過検査と反射検査の両方を同時に行う場合には、さらに図示しない撮像センサを追加し、撮像センサ105で反射検査のための画像を撮像し、追加された撮像センサで透過検査のための画像を撮像するように構成すればよい。
【0020】
オートフォーカス機構131は、オートフォーカス光学系180、光量センサ185(第1の光量センサ)、光量センサ187(第2の光量センサ)、Z駆動機構132、及び位置センサ134を有する。
【0021】
オートフォーカス光学系180は、結像光学系181、ビームスプリッタ182、スリット板184、及びスリット板186を有する。オートフォーカス光学系180は、基板を透過或いは反射した光を光量センサ185と光量センサ187に導く。ビームスプリッタ182は、焦点位置よりも手前に配置されたる。スリット板184は、前焦点位置(前ピン位置)に配置され、ビームスプリッタ182を透過した光を受光する。光量センサ185は、前焦点位置(前ピン位置)に配置されたスリット板184を通過した光量を計測する。スリット板186は、後焦点位置(後ピン位置)に配置され、ビームスプリッタ182により分岐された光を受光する。光量センサ187は、後焦点位置(後ピン位置)に配置されたスリット板186を通過した光量を計測する。
【0022】
XYθテーブル102上には、オートローダ130から搬送された基板101が配置されている。基板101として、例えば、ウェハ等の半導体基板にパターンを転写する露光用のフォトマスクが含まれる。また、このフォトマスクには、検査対象となる図形パターンが形成されている。基板101は、例えば、パターン形成面を下側に向けてXYθテーブル102に配置される。XYθテーブル102のステージの一例である。
【0023】
撮像センサ105として、ラインセンサ或いは2次元センサを用いる。例えば、TDI(時間遅延積分)センサを用いると好適である。TDIセンサは、2次元状に配列される複数のフォトセンサ素子を有する。各フォトセンサ素子は画像を撮像する際に、所定の画像蓄積時間が設定される。TDIセンサでは、スキャン方向に並ぶ複数のフォトセンサ素子の出力が積分されて出力される。スキャン方向に並ぶ複数のフォトセンサ素子は、XYθテーブル102の移動に応じて時間をずらしながら同じ画素を撮像することになる。ラインセンサを用いる場合には、スキャン方向と直交する方向に複数のフォトセンサ素子が並ぶように配置する。
【0024】
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、オートフォーカス制御回路140、磁気ディスク装置109、メモリ111、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、撮像センサ105は、ストライプパターンメモリ123に接続され、ストライプパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、参照画像作成回路112は、比較回路108に接続される。
【0025】
位置センサ134の出力は、オートフォーカス制御回路140に接続される。また、光量センサ185,187の出力は、オートフォーカス制御回路140に接続される。
【0026】
なお、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、及びオートフォーカス制御回路140といった一連の「~回路」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。各回路は、同じ処理回路(1つの処理回路)を用いて構成される場合であっても良いし、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、及びオートフォーカス制御回路140といった一連の「~回路」は、制御計算機110によって構成され、実行されても良い。位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、及びオートフォーカス制御回路140に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度各回路内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。制御計算機110に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度制御計算機110内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、FD116、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。
【0027】
検査装置100では、検査光学系175として、反射検査光学系或いは/及び透過検査光学系を搭載している。光源103、反射照明光学系171、ビームスプリッタ174、拡大光学系104、XYθテーブル102、コリメータレンズ176、及び結像光学系178により高倍率の反射検査光学系が構成されている。或いは、光源103、透過照明光学系170、XYθテーブル102、拡大光学系104、コリメータレンズ176、及び結像光学系178により高倍率の透過検査光学系が構成されている。
【0028】
また、XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。XYθテーブル102は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。XYθテーブル102は、ステージの一例となる。そして、XYθテーブル102上に配置された基板101の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、オートローダ130からXYθテーブル102への基板101の搬送、及びXYθテーブル102からオートローダ130への基板101の搬送処理は、オートローダ制御回路113によって制御される。
【0029】
また、XYθテーブル102は、オートフォーカス制御回路140により制御されたZ駆動機構132によりz方向に駆動される。Z駆動機構132として、例えば、ピエゾ素子或いはステップモータを用いると好適である。また、XYθテーブル102の高さ位置は、位置センサ134によって測定され、測定結果がオートフォーカス制御回路140に出力される。
【0030】
被検査基板101のパターン形成の基となる描画データ(設計データ)が検査装置100の外部から入力され、磁気ディスク装置109に格納される。描画データには、複数の図形パターンが定義され、各図形パターンは、通常、複数の要素図形の組合せにより構成される。なお、1つの図形で構成される図形パターンがあっても構わない。被検査基板101上には、かかる描画データに定義された各図形パターンに基づいて、それぞれ対応するパターンが形成されている。
【0031】
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0032】
図2は、実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。基板101の検査領域10(検査領域全体)は、図2に示すように、例えばY方向に向かって、撮像センサ105のスキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割される。そして、検査装置100では、検査ストライプ20毎に画像(ストライプ領域画像)を取得していく。検査ストライプ20の各々に対して、レーザ光(検査光)を用いて、当該ストライプ領域の長手方向(X方向)に向かって当該検査ストライプ20内に配置される図形パターンの画像を撮像する。なお、画像の取りこぼしを防ぐために、複数の検査ストライプ20は、隣接する検査ストライプ20同士間が所定のマージン幅でオーバーラップするように設定されると好適である。
【0033】
XYθテーブル102の移動によって撮像センサ105が相対的にX方向に連続移動しながら光学画像が取得される。撮像センサ105では、図2に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。実施の形態1では、1つの検査ストライプ20における光学画像を撮像した後、Y方向に次の検査ストライプ20の位置まで移動して今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。すなわち、往路と復路で逆方向に向かうフォワード(FWD)-バックフォワード(BWD)の方向で撮像を繰り返す。
【0034】
また、実際の検査にあたって、各検査ストライプ20のストライプ領域画像は、図2に示すように、矩形の複数のフレーム領域30の画像(フレーム画像31)に分割される。そして、フレーム領域30のフレーム画像31毎に検査を行っていく。例えば、512×512画素のサイズに分割される。よって、フレーム領域30のフレーム画像31と比較される参照画像も同様にフレーム領域30毎に作成されることになる。
【0035】
ここで、撮像の方向は、フォワード(FWD)-バックフォワード(BWD)の繰り返しに限るものではない。一方の方向から撮像してもよい。例えば、FWD-FWDの繰り返しでもよい。或いは、BWD-BWDの繰り返しでもよい。
【0036】
上述したように、検査装置100は、上述したように、検査光学系175(反射検査光学系或いは/及び透過検査光学系)に加えて、検査光学系175に対する検査対象物である基板101の高さ方向の変位を検出するオートフォーカス機構131を備えている。
【0037】
ここで、パターンの微細化が進行するに伴い、検査光の短波長化が進んでおり、これに伴い検査光学系175の焦点深度が浅くなるため、従来は、検査光学系の近傍に設置した独立した計測系の精度で足りていたものが、検査光学系そのものを利用した(In-situ)測定を行わないと、検査光学系の持つ様々な変動要因(温度/機械的変形の依存性)を検出できず、高精度なピント調整ができなくなってきた。
【0038】
即ち、オートフォーカス機構には、マスクの高さ変化に伴う信号出力変化(センサ出力)に加え、検査光学系の状態変化を検知(モニタ)する機能も要求されることになる。オートフォーカス光学系が検査光学系を利用する形態をとるために、当初の計測用光源(赤色レーザー)に適応させた(二波長収差補正)対物レンズを採用する方法から、対物レンズの更なる高精度化要求により、検査光であるDUV光を用いた光学系を設ける方式へと変遷をたどった。
【0039】
図3は、実施の形態1の比較例におけるオートフォーカス制御用の光量の測定結果の一例を示す図である。図3の比較例では、共焦点光学系方式で計測されたマスクのパターン形成面高さ位置に対する、前焦点位置での光量信号AF-Fと、後焦点位置での光量信号AF-Rと、の信号変化を示している。光量信号AF-Fと光量信号AF-Fとは、理想的にはそれぞれ極大値を境に左右対称の変化を示す。また、光量信号AF-Fと光量信号AF-Fとは、理想的には同じ分布を示す。よって、光量信号AF-Fと光量信号AF-Fとは、理想的には、焦点位置に対して対称的に変化する。かかる場合、光量信号AF-Fと光量信号AF-Rとの差分を和で割った値(オートフォーカス信号)はマスクのパターン形成面高さ位置の変化に対して直線的に変化する。
【0040】
そこで、マスクのパターン形成面の高さ位置を変化させ、高さ位置毎の、オートフォーカス信号と得られる画像のコントラストとを求める。そして、オートフォーカス信号と画像のコントラストとの相関グラフを作成し、コントラストが最大となるオートフォーカス信号を焦点位置のオートフォーカス信号として算出する。オートフォーカス機構では、ステージの変位信号としてオートフォーカス信号をフィードバックし、オートフォーカス信号が焦点位置のオートフォーカス信号になるようにステージ高さを調整していた。
【0041】
しかし、計測される光量信号が、光学素子の性能ばらつきや光学調整のずれ等により、マスクの高さ位置の変化に対して極大値を境に対称に変化しない場合がある。図3の比較例では、後焦点位置での光量信号AF-Rを反転させて前焦点位置での光量信号AF-Fに重ねた場合にずれが生じてしまう場合を示す。このように、光量信号AF-Fと光量信号AF-Fとが、焦点位置に対して対称的に変化していない。
【0042】
図4は、実施の形態1の比較例におけるオートフォーカス信号の一例を示す図である。オートフォーカス信号は、光量信号AF-Fと光量信号AF-Rとの差分を和で割った値で定義できる。光量信号AF-Fと光量信号AF-Fが、極大値を境に左右対称に変化する、共に同じ分布であれば、オートフォーカス信号は、マスクのパターン形成面高さ位置の変化に対して比例する。しかし、図4の比較例に示すように、オートフォーカス信号が、マスクのパターン形成面高さ位置の変化に対して直線的に変化せず比例しない。よって、オートフォーカス信号は、マスクのパターン形成面高さ位置の変化に対して非線形誤差が生じてしまう。これでは、オートフォーカス信号と画像のコントラストとの相関グラフから高精度な焦点高さ位置を求めることが困難となる。
【0043】
そこで、実施の形態1では、非線形誤差を持つオートフォーカス信号を用いて焦点高さ位置を求めずに、マスクのパターン形成面の高さ位置の実測値を用いて焦点高さ位置を求める。以下、具体的に説明する。
【0044】
図5は、実施の形態1における検査方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。図5において、実施の形態1における検査方法は、被検査マスク搬入工程(S102)と、マスク面高さ位置設定及び測定工程(S106)と、光学画像取得工程(S108)と、フォーカス評価値算出工程(S110)と、測定値プロット工程(S120)と、遇関数近似工程(S122)と、検査用マスク面高さ算出工程(S124)と、光強度測定工程(S130)と、検査用オートフォーカス信号算出工程(S132)と、画像取得(オートフォーカス制御)工程(S150)と、比較工程(S152)と、いう一連の工程を実施する。
【0045】
被検査マスク搬入工程(S102)として、XYθテーブル102上に、オートローダ130から搬送された被検査基板となる基板101を配置する。
【0046】
図6は、実施の形態1におけるオートフォーカス制御回路の内部構成の一例を示すブロック図である。図6において、オートフォーカス制御回路140内には、磁気ディスク装置等の記憶装置51,61、評価値算出部52、プロット処理部54、フィッティング処理部56、検査用高さ位置算出部58、ステージ高さ制御部62、オートフォーカス信号算出部64、及びオートフォーカス処理部66が配置される。評価値算出部52、プロット処理部54、フィッティング処理部56、検査用高さ位置算出部58、ステージ高さ制御部62、オートフォーカス信号算出部64、及びオートフォーカス処理部66といった一連の「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。評価値算出部52、プロット処理部54、フィッティング処理部56、検査用高さ位置算出部58、ステージ高さ制御部62、オートフォーカス信号算出部64、及びオートフォーカス処理部66に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度比較回路108内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。
【0047】
マスク面高さ位置設定及び測定工程(S106)として、ステージ高さ制御部52による制御のもと、Z駆動機構132によって、XYθテーブル102の高さ位置を駆動することにより、マスク面高さ位置(パターン形成面高さ位置)を可変に設定する。また、マスク面高さ位置は、位置センサ134によって測定される。位置センサ134によって測定されたマスク面高さ位置hは、オートフォーカス制御回路140に出力され、記憶装置61に格納される。
【0048】
光学画像取得工程(S108)として、光学画像取得機構150は、被検査基板となる基板101をXYθテーブル102に載置した状態で、設定されたマスク面高さ位置で、検査光で照射された基板101を透過或いは反射した光を、検査光学系175を介して撮像センサ105で受光することにより、予め設定されたフレーム領域30の被検査基板の光学画像を撮像する。具体的には、以下のように動作する。
【0049】
光学画像取得機構150は、予め設定されたフレーム領域30を含む検査ストライプ20上をレーザ光(検査光)でスキャンして、撮像センサ105によりストライプ領域画像を撮像する。具体的には、以下のように動作する。対象となる検査ストライプ20が撮像可能な位置にXYθテーブル102を移動させる。透過検査において、基板101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が透過照明光学系170を介して照射される。言い換えれば、透過照明光学系170は、パターンが形成された被検査基板を照明する。基板101を透過した光は拡大光学系104及びコリメータレンズ176を介して、結像光学系178により撮像センサ105(センサの一例)に光学像として結像させられ、入射する。
【0050】
或いは反射検査において、基板101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が反射照明光学系171によりビームスプリッタ174に照射される。照射されたレーザ光は、ビームスプリッタ174で反射して、拡大光学系104により試料101に照射される。試料101から反射した光は拡大光学系104、ビームスプリッタ174、及びコリメータレンズ176を通過して、結像光学系178により撮像センサ105に光学像として結像させられ、入射する。
【0051】
撮像センサ105は、基板101の光学画像を撮像する。
【0052】
撮像センサ105上に結像されたパターンの像は、撮像センサ105の各フォトセンサ素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ123に、測定対象の検査ストライプ20の画素値のデータが格納される。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。そして、かかる検査ストライプ画像のうち、予め設定されたフレーム領域30のフレーム画像31(測定画像)がオートフォーカス制御回路140に出力され、記憶装置61に格納される。
【0053】
フォーカス評価値算出工程(S110)として、評価値算出部52は、得られた画像からフォーカス評価値を算出する。フォーカス評価値として、例えば、光学画像から得られるコントラストと明るさとの一方を用いる。
【0054】
図7は、実施の形態1におけるコントラストを算出する手法の一例を説明するための図である。図7の例では、測定画像にラインアンドスペースパターンが写っている場合を示す。かかる場合、ラインパターン(或いはスペースパターン)が延びる方向(y方向)と直交する方向(x方向)の複数のラインの各ラインの階調データのコントラストを算出する。コントラストCは、階調データの最大値と最小値とを用いて、以下の式(1)で定義できる。
(1) C=(最大値-最小値)/(最大値+最小値)
【0055】
そして、かかる画像のコントラストとして、すべてのラインのコントラストの平均値を算出する。
【0056】
図8は、実施の形態1におけるコントラストを算出する手法の他の一例を説明するための図である。図8の例では、測定画像にホールパターンが写っている場合を示す。かかる場合、ホールパターンと重なる例えばy方向の複数の位置においてy方向と直交する例えばx方向の複数のラインの各ラインの階調データのコントラストを算出する。コントラストCは、階調データの最大値と最小値とを用いて、上述した式(1)で定義できる。
【0057】
そして、かかる画像のコントラストとして、すべてのラインのコントラストの平均値を算出する。
【0058】
図9は、実施の形態1における明るさを算出する手法の一例を説明するための図である。図9の例では、縦軸に画素数(度数)を示し、横軸に階調値を示すヒストグラムの一例を示す。測定画像内のすべての画素を使って、かかるヒストグラムを作成する。そして、閾値Th以上の階調値を示す画素数の合計を画像の明るさとして定義する。
【0059】
そして、マスク面高さ位置設定及び測定工程(S106)に戻り、マスク面高さ位置を変えながら、マスク面高さ位置設定及び測定工程(S106)からフォーカス評価値算出工程(S110)までの各工程を繰り返す。これにより、基板101のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、基板101の光学画像を取得する。そして、評価値算出部52は、図形パターンが形成された基板101のパターン形成面の高さ位置を可変にしながら、高さ位置毎に、フォーカス位置を評価するためのフォーカス評価値を取得する。3点以上の高さ位置でフォーカス評価値を取得すると好適である。
【0060】
測定値プロット工程(S120)として、プロット処理部54は、縦軸にフォーカス評価値を示し、横軸にマスク面高さ位置を示す座標系に、取得された各高さ位置のフォーカス評価値をプロットする。
【0061】
図10は、実施の形態1における各高さ位置のフォーカス評価値をプロットした状態を示す図である。図10の例では、3点のマスク面高さ位置h1,hi,hnでのフォーカス評価値を示す。マスク面高さ位置は実測値を用いるので、オートフォーカス信号のように非線形誤差が生じない。
【0062】
遇関数近似工程(S122)として、フィッティング処理部56は、取得されたマスク面高さ位置毎のフォーカス評価値を凸の遇関数で近似する。
【0063】
図11は、実施の形態1における各高さ位置のフォーカス評価値を凸の遇関数で近似されたグラフの一例を示す図である。
遇関数f(x)は、x=aで最大となり、f(x-a)=f(x+a)を満たす。
遇関数f(x)として、例えば、2次多項式を用いることができる。例えば、次の式(2)で定義できる。
(2) y=Ax+Bx+c 但し、a=-B/(2A)
【0064】
検査用マスク面高さ算出工程(S124)として、検査用高さ位置算出部58は、フォーカス評価値が閾値Thf以上となるパターン形成面の検査用高さ位置hm(焦点高さ位置)を算出する。具体的には、取得されたマスク面高さ位置毎のフォーカス評価値を凸の遇関数で近似することにより、検査用高さ位置hmを算出する。閾値Thfは、近似した凸の遇関数の最大値Cmの例えば90%以上に設定すると好適である。より望ましくは、検査用高さ位置算出部58は、近似した凸の遇関数の最大値Cmとなるパターン形成面の検査用高さ位置hmを算出する。
【0065】
これにより、光学素子の性能ばらつきや光学調整のずれ等による、マスクの高さ位置の変化に対して光量の極大値を境に対称に変化しない場合の影響を受けずに、検査用高さ位置hm(焦点高さ位置)を求めることができる。
【0066】
次に、検査用高さ位置hmでのオートフォーカス信号を求める。具体的には以下のように動作する。
【0067】
光強度測定工程(S130)として、マスク面高さ位置を検査用高さ位置hmに制御した状態で、検査光で照射された基板101を透過或いは反射した光の前焦点位置の光量を光量センサ185で計測する。同様に、後焦点位置の光量を光量センサ187で計測する。具体的には、以下のように動作する。
【0068】
適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が反射照明光学系171によりビームスプリッタ174に照射される。照射されたレーザ光は、ビームスプリッタ174で反射して、拡大光学系104により基板101に照射される。基板101から反射した光は拡大光学系104、及びビームスプリッタ174を通過して、ビームスプリッタ177を照射する。ビームスプリッタ177で分岐された光はオートフォーカス光学系180に入射する。
【0069】
オートフォーカス光学系180に入射された光は、結像光学系181により集光方向に屈折させられ、ビームスプリッタ182を照射する。ビームスプリッタ182で透過した光は、前焦点位置(前ピン位置)のスリット板184で一部が制限され、スリット板184を通過した光の光量が光量センサ185で計測される。ビームスプリッタ182を分岐された光は、後焦点位置(後ピン位置)のスリット板186で一部が制限され、スリット板186を通過した光の光量が光量センサ187で計測される。これにより、検査用高さ位置hmでの前ピン位置での光量と後ピン位置での光量とを計測できる。計測された検査用高さ位置hmでの前ピン位置での光量と後ピン位置での光量との各光量データ(光強度データ)は、記憶装置51に格納される。
【0070】
検査用オートフォーカス信号算出工程(S132)として、オートフォーカス信号算出部64は、算出されたパターン形成面の検査用高さ位置でのオートフォーカス制御のパラメータとして用いるオートフォーカス信号z0を算出する。オートフォーカス信号z0は、前焦点位置の光量Aと後焦点位置の光量Bとを用いて、次の式(3)で定義される。
(3) z=(A-B)/(A+B)
【0071】
オートフォーカス信号zの値は、例えば、記憶装置51に格納される。
【0072】
画像取得(オートフォーカス制御)工程(S150)として、まず、光学画像取得機構150は、基板101のパターン形成面の高さ位置をオートフォーカス信号z0の値に対応するパターン形成面の高さ位置に調整しながら、検査光で照射された基板101を透過或いは反射した光を、検査光学系175を介して撮像センサ105で受光することにより、基板101の光学画像を撮像する。具体的には、以下のように動作する。
【0073】
光学画像取得機構150は、検査ストライプ20上をレーザ光(検査光)でスキャンして、検査ストライプ20毎に、撮像センサ105によりストライプ領域画像を撮像する。具体的には、以下のように動作する。対象となる検査ストライプ20が撮像可能な位置にXYθテーブル102を移動させる。透過検査において、基板101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が透過照明光学系170を介して照射される。言い換えれば、透過照明光学系170は、パターンが形成された被検査基板を照明する。基板101を透過した光は拡大光学系104及びコリメータレンズ176を介して、結像光学系178により撮像センサ105(センサの一例)に光学像として結像させられ、入射する。
【0074】
或いは反射検査において、基板101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が反射照明光学系171によりビームスプリッタ174に照射される。照射されたレーザ光は、ビームスプリッタ174で反射して、拡大光学系104により試料101に照射される。試料101から反射した光は拡大光学系104、ビームスプリッタ174、及びコリメータレンズ176を通過して、結像光学系178により撮像センサ105に光学像として結像させられ、入射する。
【0075】
かかる光学画像を撮像する際、オートフォーカス機構131は、基板101をXYθテーブル102に載置した状態で、XYθテーブル102の水平方向の移動に伴ない変動し得る基板101のマスク面高さ位置を検査用オートフォーカス信号z0に対応するマスク面高さ位置(hm)に調整する。具体的には、オートフォーカス処理部66は、光量センサ185,187から前ピン位置での光量と後ピン位置での光量を入力し、オートフォーカス信号を算出する。そして、オートフォーカス信号がz0になるように、Z駆動機構132を制御する。
【0076】
撮像センサ105は、基板101のパターン形成面の高さ位置が検査用オートフォーカス信号の値z0に対応するパターン形成面の高さ位置hmに調整された状態で、検査光で照射された基板101を透過或いは反射した光を受光することにより、図形パターンの欠陥を検査するための基板101の光学画像を撮像する。
【0077】
撮像センサ105上に結像されたパターンの像は、撮像センサ105の各フォトセンサ素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ123に、測定対象の検査ストライプ20の画素値のデータが格納される。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。
【0078】
一方、参照画像作成回路112は、図形パターンデータ(設計データ)を用いて、リファレンスとなる参照画像を作成する。参照画像の作成は、検査ストライプ20毎に、当該検査ストライプ20のスキャン動作と並行して実施される。具体的には、以下のように動作する。参照画像作成回路112は、対象となる検査ストライプ20の各フレーム領域30について、図形パターンデータ(設計データ)を入力し、図形パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
【0079】
図形パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0080】
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、フレーム領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データ(設計画像データ)を出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして作成する。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
【0081】
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに、フィルタ関数を使ってフィルタ処理を施す。
【0082】
図12は、実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。基板101から撮像される光学画像の画素データは、撮像に使用される光学系の解像特性等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、例えば、図12に示すように、画像強度(濃淡値)がデジタル値の展開画像(設計画像)とは異なっている。一方、図形パターンデータでは、上述したように、図形コード等により定義されるので、展開された設計画像では、画像強度(濃淡値)がデジタル値になる場合があり得る。そのため、参照画像作成回路112は、展開画像に画像加工(フィルタ処理)を施して光学画像に近づけた参照画像を作成する。これにより、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データを測定データ(光学画像)の像生成特性に合わせることができる。作成された参照画像は比較回路108に出力される。
【0083】
図13は、実施の形態1における比較回路の内部構成の一例を示す図である。図13において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置70,72,76、フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79が配置されている。フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79といった一連の「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度比較回路108内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。
【0084】
比較回路108に入力されたストライプデータ(ストライプ領域画像)は、記憶装置70に格納される。比較回路108に入力された参照画像データは、記憶装置72に格納される。
【0085】
比較工程(S152)と、比較回路108(比較部の一例)は、参照画像を用いて、撮像された光学画素と参照画像とを比較し、結果を出力する。具体的には、以下のように動作する。
【0086】
比較回路108では、まず、フレーム画像作成部74は、所定の幅でストライプ領域画像(光学画像)が分割された複数のフレーム画像31を生成する。具体的には、図2に示すように、ストライプ領域画像は、矩形の複数のフレーム領域30のフレーム画像に分割される。例えば、512×512画素のサイズに分割される。各フレーム領域30のデータは、記憶装置76に格納される。
【0087】
次に、位置合わせ部78は、フレーム領域30毎に、対応するフレーム画像31と、対応する参照画像とを記憶装置72,76から読み出し、所定のアルゴリズムでフレーム画像31と、対応する参照画像との位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。
【0088】
そして、比較処理部79(比較部の他の一例)は、フレーム画像31と、当該フレーム画像31に対応する参照画像とを比較する。例えば画素毎に比較する。ここでは、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。判定条件としては、例えば、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎に両画像の画素値の差分値を演算し、差分値が閾値Thより大きい場合を欠陥と判定する。そして、比較結果は、例えば、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118に出力される、或いはプリンタ119から出力されればよい。
【0089】
上述した例では、ダイ-データベース検査の場合を説明したが、ダイ-ダイ検査であっても構わない。かかる場合、比較回路108は、複数のフレーム領域30のうち、ダイ-ダイ検査を行うフレーム領域同士については、フレーム領域同士の一方の領域について取得されたダイ2のフレーム画像(光学画像)をリファレンス(参照画像)として用いる。まず、位置合わせ部78は、ダイ-ダイ検査を行うフレーム領域30毎に、対応するダイ1のフレーム画像31と、ダイ2のフレーム画像とを記憶装置76から読み出し、所定のアルゴリズムでダイ1のフレーム画像31とダイ2のフレーム画像との位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。そして、比較処理部79(比較部)は、ダイ-ダイ検査を行うフレーム領域30毎に、対応するダイ1のフレーム画像31と、ダイ2のフレーム画像とを画素毎に比較する。
【0090】
以上のように、実施の形態1によれば、オートフォーカス動作時に生じ得る、検査時の画像の焦点高さ位置の誤差を抑制或いは低減できる。
【0091】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0092】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、検査装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0093】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査方法及びパターン検査装置は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0094】
20 検査ストライプ
30 フレーム領域
31 フレーム画像
51,61 記憶装置
52 評価値算出部
54 プロット処理部
56 フィッティング処理部
58 検査用高さ位置算出部
62 ステージ高さ制御部
64 オートフォーカス信号算出部
66 オートフォーカス処理部
70,71,72,76 記憶装置
74 フレーム画像生成部
78 位置合わせ部
79 比較処理部
100 検査装置
101 基板
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 撮像センサ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
111 メモリ
112 参照画像作成回路
113 オートローダ制御回路
114 テーブル制御回路
115 磁気テープ装置
116 FD
117 CR
118 パターンモニタ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 ストライプパターンメモリ
130 オートローダ
131 オートフォーカス機構
132 Z駆動機構
134 位置センサ
140 オートフォーカス制御回路
150 光学画像取得機構
160 制御系回路
170 透過照明光学系
171 反射照明光学系
174 ビームスプリッタ
175 検査光学系
176 コリメータレンズ
177 ビームスプリッタ
178 結像光学系
180 オートフォーカス光学系
181 結像光学系
182 ビームスプリッタ
184,186 スリット板
185,187 光量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13