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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137136
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電流センス回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/32 20060101AFI20240927BHJP
   H03F 3/34 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H03F1/32
H03F3/34 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048535
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】森尻 敬治
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA42
5J500AC21
5J500AC32
5J500AF10
5J500AF15
5J500AH02
5J500AH09
5J500AH25
5J500AK05
5J500AK09
5J500AK12
5J500AK28
5J500AT01
5J500NG01
(57)【要約】
【課題】検出電流に発生する歪を抑制して精度よく電流を検出することができる電流センス回路を提供する。
【解決手段】GND基準部7Lは、センス抵抗Rsの両端が接続される入力端子TINN,TINPと、グランド電圧VGNDが供給される電源ラインLLとの間に設けられ、センス抵抗Rsに流れる電流を増幅した検出電流IdLを出力する。オフセット調整回路72Lにおいて、電圧電流変換部721Lは、グランド電圧VGNDと、電圧VREGLが供給される電源ラインLREGLとの間に設けられ、所定電圧V1を電流に変換する。電流ミラー部722Lが、電圧電流変換部721Lにより変換された電流を折り返して、オフセット電流としてGND基準部7Lに供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス抵抗の両端が接続される入力端子と、第1の電源電圧が供給される第1の電源ラインとの間に設けられ、前記センス抵抗に流れる電流を増幅した検出電流を出力する電流検出回路と、
前記検出電流にオフセット電流を加算するオフセット調整回路とを備え、
前記オフセット調整回路は、
前記第1の電源ラインと、第2の電源電圧が供給される第2の電源ラインとの間に設けられ、所定電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、
前記電圧電流変換部により変換された電流を折り返して、前記オフセット電流として前記電流検出回路に供給する電流ミラー部とを有する
電流センス回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電流センス回路において、
前記電圧電流変換部は、前記第1の電源ラインと前記第2の電源ラインとの間に直列接続された第1のトランジスタ及び第1の抵抗と、
非反転入力に前記所定電圧を出力する電源が接続され、反転入力に前記第1のトランジスタ及び前記第1の抵抗の接続点が接続され、出力が前記第1のトランジスタのゲート又はベースに接続されたアンプとを有し、
前記電流ミラー部は、
前記第1の電源ラインと前記入力端子との間に直列接続された第2のトランジスタ及び第2の抵抗を有し、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート又はベースが互いに接続されている、
電流センス回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センス回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電流センス回路として例えば図6に示すものが提案されている(類似の技術として特許文献1)。同図に示すように、電流センス回路100は、電流検出回路101と、オフセット調整回路102とを備えている。電流検出回路101は、センス抵抗の両端が接続される入力端子TINN,TINPと、グランド電圧VGNDが供給される電源ラインLLとの間に設けられ、センス抵抗に流れる電流を増幅した検出電流IdLを出力する。
【0003】
オフセット調整回路102は、入力端子TINPと電源ラインLLとの間に設けられ、所定電圧V1を電流に変換する電圧電流変換部から構成されている。詳しく説明すると、オフセット調整回路102は、入力端子TINPと電源ラインLLとの間に直列接続されたM3及び抵抗R7と、アンプAmp3とを有している。アンプAmp3は、非反転入力に所定電圧V1を供給する電源が接続され、反転入力にトランジスタM3及び抵抗R7の接続点が接続されている。
【0004】
上述した実施形態によれば、アンプAmp3は、非反転入力と反転入力との電位差が0になるようにトランジスタM3を制御する。これにより、抵抗R7にV1/R7に相当する電流が流れる。ところで、図7に示すように、入力端子TINN,TINPの電圧は、入力電圧Vin,グランド電圧VGNDが交互に切り替わることがある。入力端子TINN,TINPの電圧がグランド電圧VGNDになると、トランジスタM3に流れる電流が遮断され、非反転入力と反転入力との電位差が大きくなる。このため、アンプAmp3は、トランジスタM3に流れる電流を大きくしようとして、出力が高いベルとなる。
【0005】
次に、入力端子TINN,TINPの電圧が入力電圧Vinに切り替わると、アンプAMP3はすぐに出力を下げることができず、トランジスタM3に大電流が流れてしまう。このため、検出電流IdLの波形に歪が生じてしまい、精度よく電流を検出することができない、という課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7196581号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出電流に発生する歪を抑制して精度よく電流を検出することができる電流センス回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電流センス回路は、下記の[1]及び[2]を特徴としている。
[1]
センス抵抗の両端が接続される入力端子と、第1の電源電圧が供給される第1の電源ラインとの間に設けられ、前記センス抵抗に流れる電流を増幅した検出電流を出力する電流検出回路と、
前記検出電流にオフセット電流を加算するオフセット調整回路とを備え、
前記オフセット調整回路は、
前記第1の電源ラインと、第2の電源電圧が供給される第2の電源ラインとの間に設けられ、所定電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、
前記電圧電流変換部により変換された電流を折り返して、前記オフセット電流として前記電流検出回路に供給する電流ミラー部とを有する
電流センス回路。
[2]
[1]に記載の電流センス回路において、
前記電圧電流変換部は、前記第1の電源ラインと前記第2の電源ラインとの間に直列接続された第1のトランジスタ及び第1の抵抗と、
非反転入力に前記所定電圧を出力する電源が接続され、反転入力に前記第1のトランジスタ及び前記第1の抵抗の接続点が接続され、出力が前記第1のトランジスタのゲート又はベースに接続されたアンプとを有し、
前記電流ミラー部は、
前記第1の電源ラインと前記入力端子との間に直列接続された第2のトランジスタ及び第2の抵抗を有し、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート又はベースが互いに接続されている、
電流センス回路。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検出電流に発生する歪を抑制して精度よく電流を検出することができる電流センス回路を提供することができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態における本発明の電流センス回路を組み込んだ昇降圧型のDC/DCコンバータを示す回路図である。
図2図2は、図1に示す電流センス回路の詳細を示す回路図である。
図3図3は、図2に示すオフセット調整回路を設ける理由について説明するための電流Is、出力電流Ioutのタイムチャートである。
図4図4は、図2に示す入力端子TINP、アンプAmp3Lの非反転入力及び出力の電圧、トランジスタM4L,M3Lの電流、検出電流IdLのタイムチャートである。
図5図5は、第2実施形態における本発明の電流センス回路を組み込んだ昇圧型のDC/DCコンバータを示す回路図である。
図6図6は、従来の電流センス回路の一例を示す回路図である。
図7図7は、図6に示す入力端子TINP、アンプAmp3の非反転入力及び出力の電圧、トランジスタM3に流れる電流、検出電流IdLのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態の電流センス回路3は、図1に示すように、例えば昇降圧型のDC/DCコンバータ1に用いられている。DC/DCコンバータ1は、トランジスタMN1~MN4と、コイルLと、コンデンサC1,C2と、トランジスタMN1~MN4を制御する制御IC2とを有する周知の昇降圧型DC/DCコンバータから構成されている。DC/DCコンバータ1は、入力端子Tinから入力された入力電圧Vinを昇圧または降圧した出力電圧Voutを出力端子Toutから出力する。
【0014】
トランジスタMN1~MN4は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタMN1,MN2は、入力端子Tinとグランド電圧VGNDとの間に直列接続されている。トランジスタMN3,MN4は、出力端子Toutとグランド電圧VGNDとの間に直列接続されている。コイルLは、トランジスタMN1のソースとトランジスタMN2のドレインとの接続点と、トランジスタMN3のソースとトランジスタMN4のドレインとの接続点との間に接続されている。コンデンサC1は、入力端子Tinとグランド電圧VGNDの間に接続されている。コンデンサC2は、出力端子Toutとグランド電圧VGNDの間に接続されている。
【0015】
トランジスタMN3をオン、トランジスタMN4をオフした状態で、トランジスタMN1,MN2を交互にオンすると、DC/DCコンバータ1は、降圧型として機能し、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutを出力する。トランジスタMN1をオン、トランジスタMN2をオフした状態で、トランジスタMN3,MN4を交互にオンすると、DC/DCコンバータ1は、昇圧型として機能し、入力電圧Vinを昇圧した出力電圧Voutを出力する。
【0016】
DC/DCコンバータ1はさらに、コイルLに流れるインダクタ電流を検出するためのセンス抵抗Rsと、出力電圧Voutを検出する電圧検出用の抵抗R1,R2と備えている。制御IC2の入力端子TINP,TINNには、センス抵抗Rsの両端が接続される。制御IC2のフィードバック端子TFBには、抵抗R1,R2の接続点が接続され、抵抗R1,R2により検出された電圧検出信号Vfbが入力される。
【0017】
制御IC2は、入力電圧Vinが所望の出力電圧Voutよりも大きい場合、入力電圧Vinを降圧し、入力電圧Vinが所望の出力電圧Voutよりも小さい場合、入力電圧Vinを昇圧して、一定の出力電圧Voutが出力されるように、トランジスタMN1~MN4のオンオフを制御する。
【0018】
制御IC2は、電流センス回路3と、エラーアンプAmp1と、スロープ信号生成回路41,42と、PWM制御回路51,52と、ドライバ回路61~64とを有している。電流センス回路3は、入力端子TINP,TINNに接続され、センス抵抗Rsに流れる電流を増幅した出力電流Ioutを出力する。
【0019】
エラーアンプAmp1は、反転入力にフィードバック端子TFBが接続され、非反転入力に基準電圧Vrefを出力する電源が接続されている。エラーアンプAmp1は、電圧検出信号Vfbと基準電圧Vrefとの差に応じた誤差信号をPWM制御回路51,52にそれぞれ供給する。スロープ信号生成回路41,42は、スロープ信号を生成してPWM制御回路51,52に出力する。スロープ信号は、電流センス回路3により検出された出力電流Ioutが加算される。
【0020】
PWM制御回路51,52は、スロープ信号と誤差信号とを比較して得たPWM信号をドライバ回路61~64に出力する。ドライバ回路61~64は、出力端子T1~T4を介してトランジスタMN1~MN4のゲートに接続されている。ドライバ回路61~64は、PWM信号に応じた駆動信号をトランジスタMN1~MN4のゲートに対して出力して、トランジスタMN1~MN4のオンオフを制御する。
【0021】
上述した昇降圧型のDC/DCコンバータ1において、トランジスタMN1をオン、トランジスタMN2をオフすると、入力端子TINPの電圧は入力電圧Vinとほぼ等しくなる。一方、トランジスタMN1をオフ、トランジスタMN2をオンすると、入力端子TINPの電圧はグランド電圧VGNDと等しくなる。トランジスタMN1,MN2は短期間で交互にオンするように動作する。このため、入力端子TINPの電圧、即ち同相入力電圧が、短期間で入力電圧Vinとグランド電圧VGNDとの間で切り替わる。
【0022】
次に、上述した電流センス回路3の詳細について図2を参照して説明する。本実施形態の電流センス回路3は、入力端子TINP,TINNに入力される同相入力電圧の高さが高速で切り替わる場合であっても電流を検出できるように、高い同相入力電圧に対応したGND基準部7Lと、低い同相入力電圧に対応したVDD基準部7Hと、出力部8とを有している。
【0023】
GND基準部7L(=電流検出回路)は、入力端子TINN,TINPとグランド電圧VGNDが供給される電源ラインLL(=第1の電源ライン)との間に設けられ、センス抵抗Rsに流れる電流を増幅した検出電流IdLを出力する。GND基準部7Lは、電流源71Lと、トランジスタQ1L~Q4Lと、抵抗R1L,R2Lと、抵抗R3L,R4Lと、アンプAmp1Lと、トランジスタM1Lと、抵抗R5Lとを有している。
【0024】
電流源71Lは、電源ラインLLと、トランジスタQ2L,Q4Lのコレクタとの間に接続されている。トランジスタQ1L~Q4Lは、PNP型のバイポーラトランジスタから構成されている。トランジスタQ2L,Q4Lは、ベースとコレクタが接続されている。トランジスタQ1L,Q3Lは、ベースがトランジスタQ2L,Q4Lのベース及びコレクタに接続されている。トランジスタQ1L,Q2Lのエミッタは互いに共通接続され、トランジスタQ3L,Q4Lのエミッタは互いに共通接続されている。
【0025】
トランジスタQ1L,Q2Lは、カレントミラー回路を構成し、トランジスタQ2Lに流れる電流がトランジスタQ1Lのエミッタ電流として折り返される。トランジスタQ3L,Q4Lは、カレントミラー回路を構成し、トランジスタQ4Lに流れる電流がトランジスタQ3Lのエミッタ電流として折り返される。
【0026】
抵抗R1Lは、トランジスタQ1L,Q2Lのエミッタと入力端子TINNとの間に接続される。抵抗R2Lは、トランジスタQ3L,Q4Lのエミッタと入力端子TINPとの間に接続される。抵抗R1L,R2Lは同一の抵抗値を有する(R1L=R2L)。入力端子TINN,TINPは各々、センス抵抗Rsの両端に接続される。抵抗R3Lは、トランジスタQ1Lのコレクタと電源ラインLLとの間に接続される。抵抗R4Lは、トランジスタQ3Lのコレクタと電源ラインLLとの間に接続される。抵抗R3L,R4Lは同一の抵抗値を有する(R3L=R4L)。
【0027】
アンプAmp1Lは、非反転入力に抵抗R3LとトランジスタQ1Lのコレクタとの接続点が接続され、反転入力に抵抗R4LとトランジスタQ3Lのコレクタとの接続点が接続されている。アンプAmp1Lの出力は、トランジスタM1Lのゲートに接続されている。トランジスタM1Lは、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM1Lは、ドレインにトランジスタQ1Lのエミッタが接続されている。抵抗R5Lは、トランジスタM1Lのソースと電源ラインLLとの間に接続されている。
【0028】
以上の構成によれば、センス抵抗Rsに電流が流れると、センス抵抗Rsで発生する電圧降下Rs×Is(=インダクタ電流)だけトランジスタQ1L,Q2LとトランジスタQ3L,Q4Lとのエミッタに電位差が生じる。このため、アンプAmp1Lは、トランジスタM1Lを制御して、トランジスタQ1L,Q2LとトランジスタQ3L,Q4Lとのエミッタが等しくなるように式(1)に示す検出電流IdLに流して、抵抗R1Lに供給する。
IdL=Is×Rs/R1L …(1)
【0029】
式(1)からも明らかなように、検出電流IdLは、インダクタ電流Isに応じた値である。
【0030】
GND基準部7Lはさらに、トランジスタM2Lと、抵抗R6Lと、アンプAmp2Lとを有し、検出電流IdLに応じた電流を出力部8に供給する。トランジスタM2Lは、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成され、出力部8と抵抗R6Lとの間に接続されている。アンプAmp2Lは、非反転入力にトランジスタM1Lのソースが接続され、反転入力にトランジスタM2Lのソースが接続され、出力にトランジスタM2Lのゲートが接続される。
【0031】
アンプAmp2Lは、検出電流IdLが流れる抵抗R5LとトランジスタM1Lのソースとの接続点電圧に応じた電流が抵抗R6Lに流れるようにトランジスタM2Lを制御する。
【0032】
GND基準部7Lは、検出電流IdLにオフセット電流を加算するオフセット調整回路72Lをさらに有している。オフセット調整回路72Lは、電流センス回路3から出力される出力電流Ioutにオフセット電流Ioffsetを加算する回路である。図3に示すように、インダクタ電流Isは、入力端子TINN,TINP間を双方向に流れる。オフセット電流Ioffsetを加えない場合、電流センス回路3は、一方向のインダクタ電流Isしか出力電流Ioutとして出力できない。オフセット電流Ioffsetを加えることにより、電流センス回路3は、双方向に流れるインダクタ電流Isを出力電流Ioutとして出力できる。
【0033】
オフセット調整回路72Lは、電圧電流変換部721Lと、電流ミラー部722Lとを有している。電圧電流変換部721Lは、電源ラインLLと、電圧VREGL(=第2の電源電圧)が供給される電源ラインLREGL(=第2の電源ライン)との間に設けられ、所定電圧V1を電流に変換する。電流ミラー部722Lは、電圧電流変換部721Lにより変換された電流を折り返して、オフセット電流としてGND基準部7Lに供給する。
【0034】
電圧電流変換部721Lは、トランジスタM3L(=第1のトランジスタ)と、抵抗R7L(=第1の抵抗)と、アンプAmp3Lとを有している。トランジスタM3L及び抵抗R7Lは、電源ラインLREGLと電源ラインLLとの間に直列接続されている。詳しく説明すると、トランジスタM3Lは、ドレインが電源ラインLREGLに接続され、ソースが抵抗R7Lに接続されている。抵抗R7Lは、トランジスタM3Lのソースと電源ラインLLとの間に接続されている。アンプAmp3Lは、非反転入力に所定電圧V1を出力する電源が接続され、反転入力にトランジスタM3L及び抵抗R7Lの接続点が接続され、出力がトランジスタM3Lのゲートに接続されている。
【0035】
電流ミラー部722Lは、電源ラインLLと入力端子TINPとの間に直列接続されたトランジスタM4L(=第2のトランジスタ)及び抵抗R8L(=第2の抵抗)を有している。詳しく説明すると、トランジスタM4Lは、ドレインに抵抗R2LとトランジスタQ3Lのエミッタとの接続点が接続され、ソースに抵抗R8Lが接続されている。抵抗R8Lは、トランジスタM4Lのソースと電源ラインLLとの間に接続されている。また、トランジスタM3L及びトランジスタM4Lのゲートが互いに接続されている。
【0036】
アンプAmp3Lは、所定電圧V1に応じた電流が抵抗R7Lに流れるようにトランジスタM3Lを制御する。トランジスタM4Lは、トランジスタM3Lとゲートが共通接続されている。このため、抵抗R8Lには、抵抗R7Lと同様に所定電圧V1に応じた電流が流れる。抵抗R8Lに電流が流れると、その分,抵抗R2Lに流れる電流も増え、インダクタ電流Isが流れていないときでもトランジスタQ1L,Q2LとトランジスタQ3L,Q4Lとのエミッタに電位差を発生させることができる。そして、アンプAmp1Lの働きによりこのときの電位差に応じたオフセット電流が検出電流IdLに加算される。なお、オフセット電流は、所定電圧V1を調整することができる。
【0037】
次に、上述した本実施形態のオフセット調整回路72Lの詳細な動作について図4のフローチャートを参照して説明する。アンプAmp3Lの非反転入力には、所定電圧V1が供給されている。トランジスタMN1,MN2が交互にオンオフ制御されると、入力端子TINPの電圧は、短期間で入力電圧Vinとグランド電圧VGNDとの間で切り替わる。このため、トランジスタM4Lに流れる電流は、入力端子TINPの電圧がグランド電圧VGNDに切り替わる毎に遮断される。そして、トランジスタM4Lの電流が遮断される毎に、抵抗R8LとトランジスタM4Lのソースとの接続点電圧はグランド電圧VGNDまで下がる。
【0038】
これに対して、電圧電流変換部721Lは、一定の電圧VREGLが供給され続ける電源ラインLREGLと電源ラインLLとの間に設けられている。このため、アンプAmp3Lの出力は、トランジスタM3LにV1/R7Lに相当する電流が流れるような電位が常に印加されている。次に、入力端子TINPの電圧が入力電圧Vinに切り替わると、すぐにトランジスタM4Lのドレイン電流は、アンプAmp3Lの出力とトランジスタM4Lのゲート・ソース電圧、抵抗R8Lによって決まる電流となり、従来回路のように過大電流が流れることはない。従って、検出電流IdLは、過大電流が流れることを抑制できるため、電流センス回路3は、歪なく正確に電流を検出することができる。
【0039】
VDD基準部7Hは、上述したGND基準部7Lについての説明において、「グランド電圧VGND」を「電圧VDD」、符号末尾の「H」を「L」、「PNP」を「NPN」、「TINN」を「TINP」、「TINP」を「TINN」、「Nチャンネル」を「Pチャンネル」、「V1」を「V2」に読み替えて説明できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0040】
次に、出力部8について説明する。出力部8は、GND基準部7L、VDD基準部71Hによって出力される電流を折り返して出力端子Tout2から出力する。出力部8は、トランジスタM5,M6と、トランジスタM7,M8とを有している。トランジスタM5,M6は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM5は、ゲート・ドレインが接続されている。トランジスタM5は、ソースが電源ラインL3に接続され、ドレインがトランジスタM2Lのドレインに接続されている。電源ラインL3には、電圧VREGが供給されている。トランジスタM6は、ゲートがトランジスタM5のゲート及びドレインに接続されている。トランジスタM6は、ソースが電源ラインL3に接続されている。
【0041】
トランジスタM7,M8は、Nチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタM7は、ゲート・ドレインが接続されている。トランジスタM7は、ドレインがトランジスタM2H,M6のドレインに接続され、ソースが電源ラインLLに接続されている。トランジスタM8は、ゲートがトランジスタM7のゲート・ドレインに接続され、ソースが電源ラインLLに接続され、ドレインが出力端子Tout2に接続されている。
【0042】
以上の構成によれば、トランジスタMN1,MN2のオンオフに伴って入力端子TINN,TINPの電圧が入力電圧Vinとなると、電源ラインLHと入力端子TINN,TINPとの電位差が小さくなる。このため、トランジスタQ1H~Q4Hを動作させるためのベース・エミッタ間電圧を入力することができず、VDD基準部7Hは動作しない。一方、電源ラインLLと入力端子TINN,TINPとの電位差は大きくなる。このため、トランジスタQ1L~Q4Lを動作させるためのベース・エミッタ間電圧を入力することができ、GND基準部7Lは検出電流IdLに応じた電流を出力部8に対して供給する。出力部8は、GND基準部7Lから供給された電流をトランジスタM5~M8で折り返して出力端子Tout2から出力電流Ioutとして出力する。
【0043】
また、入力端子TINN,TINPの電圧がグランド電圧VGNDとなると、電源ラインLLと入力端子TINN,TINPとの電位差が小さくなる。このため、トランジスタQ1L~Q4Lを動作させるためのベース・エミッタ間電圧を入力することができないため、GND基準部7Lは動作しない。一方、電源ラインLHと入力端子TINN,TINPとの電位差は大きくなる。このため、トランジスタQ1H~Q4Hを動作させるためのベース・エミッタ間電圧を入力することができ、VDD基準部7Hは検出電流IdHに応じた電流を出力部8に対して供給する。出力部8は、VDD基準部7Hから供給された電流をトランジスタM7,M8で折り返して出力端子Tout2から出力電流Ioutとして出力する。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態の電流センス回路3は、図5に示すように、降圧型のDC/DCコンバータ1Bに用いてもよい。同図において、上述した第1実施形態で説明した図1などに示すDC/DCコンバータ1と同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0045】
DC/DCコンバータ1Bは、トランジスタMP1,ダイオードD1と、コイルLと、コンデンサC2と、トランジスタMP1を制御する制御IC2Bとを有する周知の降圧型DC/DCコンバータから構成されている。DC/DCコンバータ1Bは、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutを出力端子Toutから出力する。
【0046】
トランジスタMP1は、Pチャンネルの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタMP1,ダイオードD1は、入力電圧とグランド電圧VGNDとの間に直列接続されている。コイルLは、トランジスタMP1のドレインとダイオードD1のカソードとの接続点と、出力端子Toutとの間に接続されている。コンデンサC2は、出力端子Toutとグランド電圧VGNDの間に接続されている。
【0047】
トランジスタMP1を交互にオンオフすると、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutが出力される。DC/DCコンバータ1Bはさらに、コイルLに流れるインダクタ電流を検出するためのセンス抵抗Rsと、出力電圧Voutを検出する電圧検出用の抵抗R1,R2と備えている。制御IC2Bの入力端子TINP,TINNには、センス抵抗Rsの両端が接続される。制御IC2Bのフィードバック端子TFBには、抵抗R1,R2の接続点が接続され、抵抗R1,R2により検出された電圧検出信号Vfbが入力される。
【0048】
制御IC2Bは、電流センス回路3と、エラーアンプAmp1と、スロープ信号生成回路4と、PWM制御回路5と、ドライバ回路6とを有している。電流センス回路3と、エラーアンプAmp1とは、第1実施形態と同様であるためここでは詳細な説明を省略する。スロープ信号生成回路4は、スロープ信号を生成してPWM制御回路5に出力する。スロープ信号は、電流センス回路3により検出された出力電流Ioutが加算される。
【0049】
PWM制御回路5は、スロープ信号と誤差信号とを比較して得たPWM信号をドライバ回路6に出力する。ドライバ回路6は、出力端子T1を介してトランジスタMP1のゲートに接続されている。ドライバ回路6は、PWM信号に応じた駆動信号をトランジスタMP1のゲートに対して出力して、トランジスタMP1のオンオフを制御する。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0051】
上述した電圧電流変換部721L,721Hは一例であって、図2に示す回路に限定されるものではない。電圧電流変換部721L,721Hは、所定電圧V1,V2を電流に変換できる周知の他の電圧電流変換部から構成されていてもよい。
【0052】
上述した電流ミラー部722L,722Hは一例であって、図2に示す回路に限定されるものではない。電流ミラー部722L,722Hは、電圧電流変換部721L,721Hで変換される電流を折り返して、GND基準部7L,VDD基準部7Hに供給できる周知のミラー回路から構成されていてもよい。
【0053】
上述した電流センス回路3は、GND基準部7L,VDD基準部7Hの双方を備えていたが、何れか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0054】
上述したGND基準部7L,VDD基準部7Hは一例であって、入力端子TINN,TINPの電位差に応じた検出電流IdL,IdHを出力できる回路であれば他の周知の回路から構成されていてもよい。
【0055】
上述したオフセット調整回路72L,72Hを構成するトランジスタM3L,M4L、M3H,M4Hは、電界効果トランジスタから構成されていたが、バイポーラトランジスタから構成されていてもよい。この場合、「Nチャンネル」を「NPN型」、「Pチャンネル」を「PNP型」、「ゲート」を「ベース」、「ソース」を「エミッタ」、「ドレイン」を「コレクタ」に読み替えて説明することができる。
【符号の説明】
【0056】
Amp3L,Amp3H アンプ
M3L,M3H トランジスタ(第1のトランジスタ)
M4L,M4H トランジスタ(第2のトランジスタ)
Rs センス抵抗
R7L,R7H 抵抗(第1の抵抗)
R8L,R8H 抵抗(第2の抵抗)
TINN,TINP 入力端子
V1,V2 所定電圧
VDD 電圧(第1の電源電圧)
VGND グランド電圧(第1の電源電圧)
VREGL,VREGH 電圧(第2の電源電圧)
IdL,IdH 検出電流
72L,72H オフセット調整回路
721L,721H 電圧電流変換部
722L,722H 電流ミラー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7