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特開2024-137343バッテリー接続端子、ワイヤハーネス、端子接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137343
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】バッテリー接続端子、ワイヤハーネス、端子接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/34 20060101AFI20240927BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01R4/34
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048835
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】武田 伸弥
(72)【発明者】
【氏名】安田 光利
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 雄基
(72)【発明者】
【氏名】良島 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】植田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】興梠 樹美人
(72)【発明者】
【氏名】平松 尚也
(72)【発明者】
【氏名】金井 万里
【テーマコード(参考)】
5E012
5G309
【Fターム(参考)】
5E012BA02
5E012BA12
5G309AA11
(57)【要約】
【課題】 軽量であり製造性にも優れたバッテリー接続端子等を提供する。
【解決手段】 バッテリー接続部15は、連結部29を介して電線接続部13と一体で構成される。バッテリー接続部15は、底面部19と底面部19に対して略垂直に起立する一対の側面部17とを有する。一対の側面部17は、互いに対向する。それぞれの側面部17の上部は、互いの対向方向に折り曲げられて、ボルト締結片20となる。一対のボルト締結片20の先端の高さは異なる。このため、ボルトをボルト締結片20同士の間に締めこんで固定することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続される電線接続部と、
前記電線接続部と一体で構成されるバッテリー接続部と、
を具備し、
前記バッテリー接続部は、板状部材が折り曲げられて形成され、対向する少なくとも一対の板状のボルト締結片を有し、
一対の前記ボルト締結片の先端高さが異なり、前記ボルト締結片同士の間にボルトを締めこむことが可能であることを特徴とするバッテリー接続端子。
【請求項2】
前記バッテリー接続部は、四つの側面部と、対向する一対の前記側面部のそれぞれの端部が折り曲げられて形成される第1の前記ボルト締結片と、他の一対の前記側面部のそれぞれの端部が折り曲げられて構成される第2の前記ボルト締結片を有し、前記第1のボルト締結片と前記第2のボルト締結片が異なる高さで2段に形成されることを特徴とする請求項1記載のバッテリー接続端子。
【請求項3】
前記バッテリー接続部は、底面部と前記底面部から起立する側面部と、前記側面部の端部が折り曲げられて構成される前記ボルト締結片とを有し、
前記底面部には、ボルトを挿通可能な孔が形成されることを特徴とする請求項1記載のバッテリー接続端子。
【請求項4】
前記バッテリー接続部は、少なくも三つの側面部と、対向する一対の前記側面部の端部が折り曲げられて構成される前記ボルト締結片と、他の前記側面部が、前記ボルト締結片よりも上方で折り曲げられて上面部が形成され、
前記上面部には、ボルトを挿通可能な孔が形成されることを特徴とする請求項1記載のバッテリー接続端子。
【請求項5】
前記電線接続部と前記バッテリー接続部とが屈曲して連結されていることを特徴とする請求項1記載のバッテリー接続端子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のバッテリー接続端子を用いたワイヤハーネスであって、
前記電線接続部に被覆電線が接続されていることを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のバッテリー接続端子を用いた端子接続構造であって、
内部空間を有するバッテリー端子に前記バッテリー接続部が挿入され、前記バッテリー端子を貫通するボルトが、前記ボルト締結片に締めこまれて固定され、前記バッテリー接続部と前記バッテリー端子とが接触することを特徴とする端子接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバイク等のバッテリーの端子と接続されるバッテリー接続端子等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイク等のバッテリーは、例えば、板状部材を略コの字状に折り曲げて形成された端子を有する。このようなバッテリー端子には、例えば上面及び前面に孔が形成されており、ボルトによって、ワイヤハーネス(端子付き電線)の端子が接続可能となっている。
【0003】
ワイヤハーネスの端子(以下、バッテリー接続端子)をバッテリー端子に接続する際、ボルトをねじ込むと、ボルトとともにバッテリー接続端子も回転してしまう恐れがある。このため、バッテリー接続端子には、回り止めの突起が設けられ、突起をバッテリー端子の一面に引っ掛けることで、バッテリー接続端子の回転を抑制しつつボルトをねじ込むことができる。
【0004】
しかし、バイクの車種等によって、バッテリーに接続されるワイヤハーネスの配策方向が異なる場合がある。例えば、車種によって、バッテリー端子の上面側の孔を用いる場合や、前面側の孔を用いる場合があり、さらに、接続されたワイヤハーネスの引き出し方向が異なる場合がある。このため、バッテリー端子への接続方向に応じて、バッテリー接続端子の回転止めの向き等を変える必要があった。また、端子の取り付け方向によっては、端子の一部がバッテリーの筐体と干渉し、バッテリー筐体にひびが入り、この結果、液漏れが発生する恐れがあった。
【0005】
これに対し、バッテリー接続端子への取り付け方向に対して、より自由度の高い端子が提案されている。例えば、端子の面方向の一端が折り返されて、互いに所定距離離れた平面部と重なる折り曲げ片を有し、折り曲げ片には雌ねじ部を有し、バッテリー端子を平面部と折り曲げ片の隙間に挿入して、ボルトで雌ねじに締めこむ端子接続構造がある(特許文献1)。
【0006】
また、複数の方向に孔が形成され、雌ねじ加工された立体ブロックを使用して、立体ブロックをバッテリー端子の中空部に挿入して、ボルトで固定する接続構造が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-124616号公報
【特許文献2】実開昭62-71868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1は、折り曲げ片をバッテリー端子に引っ掛けるため、必ずしも自由な方向に取り付けることができるものではない。また、折り曲げ片に雌ねじを設ける方法では、ねじ加工の工程が必要となるため製造性が悪い。
【0009】
また、特許文献2の方法は、立体ブロックをバッテリー端子に挿入し、異なる方向にバッテリー接続端子を取り付けることは可能であるが、特許文献1と同様に、ブロックへの削孔及び雌ねじ加工が必要であり、製造性が悪い。
【0010】
また、特に特許文献2は、立体ブロックを用いるため、重量増の問題がある。また、特許文献1は、板状部材を用いるため、特許文献2に対しては軽量であるが、通常、雌ねじ加工を行うためには、ボルトのねじピッチの数倍の厚みが必要となるため、端子の厚みを薄くすることはできない。このため、特許文献1でも、軽量化には限界がある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、軽量であり製造性にも優れたバッテリー接続端子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達するために第1の発明は、電線が接続される電線接続部と、前記電線接続部と一体で構成されるバッテリー接続部と、を具備し、前記バッテリー接続部は、板状部材が折り曲げられて形成され、対向する少なくとも一対の板状のボルト締結片を有し、一対の前記ボルト締結片の先端高さが異なり、前記ボルト締結片同士の間にボルトを締めこむことが可能であることを特徴とするバッテリー接続端子である。
【0013】
前記バッテリー接続部は、四つの側面部と、対向する一対の前記側面部のそれぞれの端部が折り曲げられて形成される第1の前記ボルト締結片と、他の一対の前記側面部のそれぞれの端部が折り曲げられて構成される第2の前記ボルト締結片を有し、前記第1のボルト締結片と前記第2のボルト締結片が異なる高さで2段に形成されてもよい。
【0014】
前記バッテリー接続部は、底面部と前記底面部から起立する側面部と、前記側面部の端部が折り曲げられて構成される前記ボルト締結片とを有し、前記底面部には、ボルトを挿通可能な孔が形成されてもよい。
【0015】
前記バッテリー接続部は、少なくも三つの側面部と、対向する一対の前記側面部の端部が折り曲げられて構成される前記ボルト締結片と、他の前記側面部が、前記ボルト締結片よりも上方で折り曲げられて上面部が形成され、前記上面部には、ボルトを挿通可能な孔が形成されてもよい。
【0016】
前記電線接続部と前記バッテリー接続部とが屈曲して連結されていてもよい。
【0017】
第1の発明によれば、一対の板状のボルト締結片を形成し、一対のボルト締結片の先端高さを異なるようにすることで、ボルト締結片同士の間にボルトを締めこむことが可能である。このため、雌ねじ加工が不要となるため、製造性が良好であり、薄肉化することができるため軽量である。
【0018】
また、第1のボルト締結片と、第2のボルト締結片とを高さを変えて設けることで、ボルトを2段のそれぞれのボルト締結片に締めこむことができ、より強固なボルト接続が可能である。
【0019】
また、ボルト締結片とは異なる高さの底面部に、ボルトを挿通可能な孔を形成することで、ボルトとバッテリー接続部との干渉を避けることができる。
【0020】
また、ボルト締結片よりも上方に上面部が形成され、ボルトを挿通可能な孔を形成することで、ボルトとバッテリー接続部との干渉を避けることができるとともに、上面部とバッテリー端子とを面接触させることができる。
【0021】
また、電線接続部とバッテリー接続部とを屈曲させることで、任意の方向にワイヤハーネスを引き出すことができる。
【0022】
第2の発明は、第1の発明にかかるバッテリー接続端子を用いたワイヤハーネスであって、前記電線接続部に被覆電線が接続されていることを特徴とするワイヤハーネスである。
【0023】
第2の発明によれば、容易にバッテリー端子と接続可能なワイヤハーネスを得ることができる。
【0024】
第3の発明は、第1の発明にかかるバッテリー接続端子を用いた端子接続構造であって、内部空間を有するバッテリー端子に前記バッテリー接続部が挿入され、前記バッテリー端子を貫通するボルトが、前記ボルト締結片に締めこまれて固定され、前記バッテリー接続部と前記バッテリー端子とが接触することを特徴とする端子接続構造である。
【0025】
第3の発明によれば、軽量で取り付け作業が容易な端子接続構造を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、軽量であり製造性にも優れたバッテリー接続端子等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(a)は、バッテリー1を示す斜視図、(b)はバッテリー端子3の拡大図。
図2】(a)は、バッテリー接続端子10を示す斜視図、(b)は(a)のA-A線断面図。
図3】バッテリー端子3にバッテリー接続端子10を接続した状態を示す図。
図4】(a)~(e)は、バッテリー端子3へのワイヤハーネス23の配策方向を示す図。
図5】(a)は、バッテリー接続端子10の展開図、(b)は他の形態のバッテリー接続端子の展開図。
図6】(a)は、バッテリー接続端子10aを示す斜視図、(b)は(a)のC-C線断面図。
図7】バッテリー接続端子10aの展開図。
図8】バッテリー端子3にバッテリー接続端子10aを接続した状態を示す図。
図9】(a)は、バッテリー接続端子10bを示す斜視図、(b)は、(a)の部分透視図。
図10】(a)は、バッテリー接続端子10bの展開図、(b)は他の形態のバッテリー接続端子の展開図。
図11】バッテリー接続端子10cを示す斜視図。
図12】バッテリー接続端子10cの展開図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1(a)は、バッテリー1を示す斜視図であり、図1(b)は、バッテリー端子3の拡大図である。バッテリー1の両端部には、一対のバッテリー端子3が配置される。バッテリー端子3は、板状の部材が屈曲して構成され、前面5、上面7、背面9を有する。すなわち、バッテリー端子3は、側面視において略コの字状であり、内部に略直方体の空間が形成される。
【0029】
バッテリー端子3の前面5と上面7には、孔11が設けられる。孔11は、接続部材であるボルトが挿通される部位である。すなわち、バッテリー端子3は、前面5又は上面7に対して、後述するボルトでバッテリー接続端子と接続可能である。なお、バッテリー1及びバッテリー端子3の形態等は、図示した例には限られない。
【0030】
次に、バッテリー端子3と接続可能なバッテリー接続端子について説明する。図2(a)は、バッテリー接続端子10を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA-A線断面図である。バッテリー接続端子10は、主に、電線接続部13とバッテリー接続部15からなる。
【0031】
電線接続部13は、ワイヤハーネスを構成する被覆電線が接続される部位である。電線接続部13は、例えば、被覆電線の先端から露出する導線を圧着する導線圧着部と被覆部を圧着する被覆圧着部を有するオープンバレルタイプである。なお、本実施形態において、バッテリー接続端子10の電線接続部13に被覆電線が接続されたものをワイヤハーネスと称する。また、電線接続部13の構成は図示した例には限られず、電線と接続が可能であれば、接続構造は特に限定されない。
【0032】
バッテリー接続部15は、連結部29を介して電線接続部13と一体で構成される。バッテリー接続端子10は、一枚の板状部材を所望の形状にプレス加工して、折り曲げることで形成される。すなわち、電線接続部13及びバッテリー接続部15は、いずれも板状部材が折り曲げられて形成される。
【0033】
図2(b)に示すように、バッテリー接続部15は、底面部19と底面部19に対して略垂直に起立する一対の側面部17とを有する。底面部19には、ボルトを挿通可能な孔21が形成される。一対の側面部17は、互いに対向する。それぞれの側面部17の上部は、互いの対向方向に折り曲げられて、ボルト締結片20となる。すなわち、本実施形態では、対向する一対の板状のボルト締結片20を有する。
【0034】
一対のボルト締結片20同士の間には隙間が形成される。また、ボルト締結片20の先端部には、略円弧状の切り欠き25が形成される。平面視において、対向する一対のボルト締結片20の切り欠き25によって、(隙間を介して)略円形の縁部が形成される。切り欠き25は、後述するボルトのネジ山と噛みあう部位となる。
【0035】
図2(b)に示すように、側面部17に対するボルト締結片20のなす角度(内角)B1、B2はいずれも90度未満である。すなわち、ボルト締結片20の先端は、いずれも下斜め方向に向けて形成される。
【0036】
ここで、一対のボルト締結片20の先端(図2(b)の矢印部分)の高さは異なる。このようにボルト締結片20の先端高さを変える方法としては、側面部17との折り曲げ角度(B1、B2)を変えてもよく、側面部17との折り曲げ角度(B1、B2)は同一として、側面部17の高さを互いに変えてもよい。なお、側面部17からボルト締結片20の先端までのそれぞれの長さは、略同一とする。
【0037】
次に、バッテリー接続端子を用いた端子接続構造について説明する。図3は、端子接続構造30を示す図である。前述したように、バッテリー端子3は、前面5、上面7、背面9の3面に囲まれた内部空間を有する。バッテリー接続部15は、バッテリー端子3の内部空間に挿入される。この際、図示した例では、ボルト締結片20が、バッテリー端子3の上面7と対向する。
【0038】
バッテリー端子3の上面7の孔11には、ボルト27が挿入される。バッテリー端子3を貫通したボルト27のネジ山(谷)には、ボルト締結片20の先端(切り欠き25の縁部)が噛みあう。すなわち、ボルト締結片20の先端は、ネジ山に噛みあう程度の厚みとなる。また、例えば、ボルト締結片20同士の高さの差が、ボルト27のネジピッチの1/2程度とすると、対向する一対のボルト締結片20が、いずれもボルト27の谷部に挿入される。このため、ボルト27をボルト締結片20同士の間に締めこむことで固定することができる。また、バッテリー接続部15とバッテリー端子3とが接触することで両者が導通する。
【0039】
なお、ボルト締結片20の上方からボルト27が締めこまれると、バッテリー接続部15は、上方に引き上げられる方向の力を受ける。このため、ボルト27を締めこんでいくと、バッテリー接続部15が上方に移動し、バッテリー接続部15とバッテリー端子3の上面7の裏面とを接触させることができる。
【0040】
この状態で、さらにボルト27を締めこむと、ボルト締結片20が、上方に引き上げられる方向の力を受けて変形しようとする。この際、前述したように、ボルト締結片20は、下斜め方向に折り曲げられているため、ボルト締結片20の先端同士が近づく方向に変形することとなる。この結果、ボルト27とボルト締結片20とがより強く噛みこみ、ボルト27がボルト締結片20から抜けることが無く、ボルト27とボルト締結片20とを強固に固定することができる。
【0041】
次に、ワイヤハーネス23の配策方向について説明する。図4(a)は、バッテリー1の正面図であり、バッテリー端子3の側方からバッテリー接続端子10(バッテリー接続部15)を挿入し、バッテリー端子3の上面でボルト固定した構造である。この場合、ワイヤハーネス23は、バッテリー1の側方にまっすぐ引き出される。
【0042】
これに対し、図4(b)に示す例では、電線接続部13とバッテリー接続部15とが連結部29において屈曲して連結されている。このように、連結部29を屈曲させることで、ワイヤハーネス23の引き出し方向を変えることができる。図示した例では、ワイヤハーネス23は、バッテリー1に沿って下方に向けて引き出される。なお、この場合でも、ある程度の長さ(例えば、バッテリー端子3の端部とバッテリー筐体の端部との段差以上の長さ)の連結部29によって、ワイヤハーネス23とバッテリー1とが干渉しないように、クリアランスを形成することができる。
【0043】
同様に、図4(c)に示す例では、ワイヤハーネス23をバッテリー1の上方に向けて引き出すことができる。なお、この場合には、電線接続部13の形成方向とバッテリー接続部15の形成方向を逆向きとしてもよい。例えば、図2(a)において、バッテリー接続端子10は、底面部19からみて、電線接続部13における電線との接続方向(図中上方)と、バッテリー接続部15におけるボルトとの接続方向(図中上方)が同一方向であるが、電線接続部13のバレル片を、底面部19よりも下方に向けて形成してもよい。
【0044】
また、図4(d)は、バッテリー1の側面図であって、バッテリー端子3の側方からバッテリー接続端子10を挿入し、バッテリー端子3の前面でボルト固定した構造である。この場合、連結部29を屈曲させることで、ワイヤハーネス23は、バッテリー1の後方にまっすぐ引き出すことができる。
【0045】
同様に、図4(e)に示すように、連結部29での屈曲方向を逆にすれば、ワイヤハーネス23は、バッテリー1の前方にまっすぐ引き出すことができる。このように、バッテリー接続端子10の向きと、連結部29の屈曲の有無及び屈曲方向を変えることで、任意の方向にワイヤハーネス23を引き出すことができる。
【0046】
次に、バッテリー接続端子10の製造方法について説明する。図5(a)は、バッテリー接続端子10の展開図である。前述したように、バッテリー接続端子10は、一枚の板状部材を折り曲げることで形成することができる。図5(a)に示すように、電線接続部13とバッテリー接続部15の底面部19とが連結部29で連結される。底面部19の両側に側面部17が設けられ、さらにその両側にボルト締結片20が形成され、各部間(図中点線)を所定の角度で折り曲げることでバッテリー接続端子10を形成することができる。
【0047】
なお、底面部19は形成しなくてもよい。図5(b)に示す例では、電線接続部13とバッテリー接続部15の側面部17aとが連結部29で連結される。この側面部17aの両側にさらに他の側面部17が設けられ、側面部17には、それぞれボルト締結片20が形成される。各部間(図中点線)を所定の角度で折り曲げることでバッテリー接続端子を形成することができる。すなわち、この場合には、底面部19が形成されずに、側面部が3面形成される。
【0048】
以上、本実施形態によれば、ボルト締結片20を用いてボルト27を固定することができるため、ナットを使用する必要がなく、また、従来のような雌ねじ部が不要である。このため、雌ねじ加工が可能な板厚が不要であり、軽量であり、製造が容易である。
【0049】
また、底面部19を形成する際に、底面部19に孔21を形成することで、ボルト27とバッテリー接続部15との干渉を避けることができる。また、ボルト27をボルト締結片20の位置と孔21の位置で支持することができるため、ボルト27の傾きを抑制することができる。
【0050】
また、所定の長さの連結部29を設け、連結部29を屈曲することで、バッテリー1の筐体との干渉を避けつつ、任意の方向にワイヤハーネス23を引き出すことができる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図6(a)は、第2の実施形態にかかるバッテリー接続端子10aを示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)のC-C線断面図である。また、図7は、バッテリー接続端子10aの展開図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を発揮する構成については、図1図5と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
バッテリー接続端子10aは、バッテリー接続端子10と略同様の構成であるが、バッテリー接続部15に上面部31が形成される点で異なる。本実施形態では、バッテリー接続部15は、少なくも三つの側面部17、17aを有する。三つの側面の内、対向する一対の側面部17(図7の底面部19の両側の側面部17)の端部が折り曲げられて一対のボルト締結片20が形成される。
【0053】
また、他の側面部17a(図7の底面部19の上方の側面部17a)は、ボルト締結片20よりも上方で折り曲げられて上面部31が形成される。すなわち、側面部17aは、ボルト締結片20を有する側面部17よりも高さが高い。
【0054】
また、底面部19及び上面部31には、それぞれ、ボルトを挿通可能な孔21、21aが形成される。なお、本実施形態においても、底面部19は形成しなくてもよい。
【0055】
図8は、バッテリー接続端子10aを用いた端子接続構造30aを示す図である。バッテリー接続端子10aも、バッテリー接続端子10と同様に使用することができる。また、ボルト締結片20よりも上方に、バッテリー端子3の上面7と略平行な上面部31が形成されるため、ボルト27を締めこむと、上面部31がバッテリー端子3の上面7(又は前面5)の内面側と接触する。すなわち、上面部31とバッテリー端子3とが面接触し、確実に導通させることができる。
【0056】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、孔21aを有する上面部31を設けることで、ボルト27は上面部31を貫通して、ボルト締結片20で締結することができる。また、上面部31によって、バッテリー接続部15とバッテリー端子3との接触面積を増やし、接触抵抗を低減することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図9(a)は、第3の実施形態にかかるバッテリー接続端子10bを示す斜視図であり、図9(b)は、バッテリー接続端子10bの部分透視図である。また、図10(a)は、バッテリー接続端子10bの展開図である。
【0058】
バッテリー接続端子10bは、バッテリー接続端子10と略同様の構成であるが、互いに対向して形成される一対のボルト締結片20aと、他の方向で対向して形成される一対のボルト締結片20bとを有する点で異なる。本実施形態では、バッテリー接続部15は、四つの側面部17、17aを有する。
【0059】
四つの側面の内、対向する一対の側面部17aの端部が折り曲げられて第1のボルト締結片である一対のボルト締結片20aが形成される。また、一対のボルト締結片20aの対向方向とは直交する方向に対向する他の一対の側面部17の端部が折り曲げられて第2のボルト締結片である一対のボルト締結片20bが形成される。
【0060】
前述したように、一対のボルト締結片20aの先端の高さは互いに異なり、一対のボルト締結片20bの先端の高さは互いに異なる(例えば、それぞれボルトのネジピッチの1/2)。また、ボルト締結片20aとボルト締結片20bは、異なる高さで2段に形成される(例えば、ボルトのネジピッチの数倍程度)。
【0061】
バッテリー接続端子10bを用い、上方からボルト27を締めこむと、まず、上方に位置するボルト締結片20bにボルト27が螺合し、さらにボルトを締めこむことで、ボルト締結片20aにボルト27を螺合させることができる。このように、ボルト27を2段の高さでそれぞれ固定することができる。
【0062】
なお、バッテリー接続端子10bに対しても、底面部19を形成しなくてもよい。図10(b)に示す例では、電線接続部13とバッテリー接続部15の側面部17aとが連結部29で連結される。側面部17aの両側にさらに側面部17と側面部17aが交互に配置され、側面部17aの端部と、側面部17の端部にそれぞれボルト締結片20a、20bが形成される。各部間(図中点線)を所定の角度で折り曲げることでバッテリー接続端子を形成することができる。
【0063】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ボルト締結片20a、20bを2段の高さにそれぞれ形成してボルト27を固定することができるため、より強固にボルト27でバッテリー接続端子10bを固定することができる。
【0064】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図11は、第4の実施形態にかかるバッテリー接続端子10cを示す斜視図であり、図12は、バッテリー接続端子10cの展開図である。
【0065】
バッテリー接続端子10cは、バッテリー接続端子10と略同様の構成であるが、ボルト締結片20cが四つ形成される。すなわち、前述した実施形態では、一対のボルト締結片によって一つのボルトの締結部を構成したが、本実施形態では、四つのボルト締結片によって一つのボルト締結部を構成する。
【0066】
図12に示すように、四つの側面部17、17aのそれぞれについて、端部にボルト締結片20cが形成される。四つのボルト締結片20cの先端は、互いに高さが異なる。例えば、隣り合うボルト締結片20cの先端は、例えば、ボルトのネジピッチの1/4ずつ高さがずれるように順に形成される。
【0067】
隣り合うボルト締結片20c同士は、互いに接触しないように、隙間をあけて形成される。このため、それぞれのボルト締結片20cは、先端に行くにつれて幅が狭くなり、先端部に円弧状の切り欠き25が形成される。
【0068】
なお、図12に示す例では、側面部17、17aはすべて同じ高さであるが、隣り合うボルト締結片20cの先端の高さを変えるために、隣り合う側面部17、17aの高さを徐々に変えてもよい。又は各ボルト締結片20cの側面部17、17aに対する折り曲げ角度を徐々に変えてもよい。また、図12に示す例では、底面部を形成していないが、底面部を設けてもよい。
【0069】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、四つのボルト締結片20cでボルト27を固定することができるため、より強固にボルト27でバッテリー接続端子10cを固定することができる。
【0070】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、各実施形態における構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
1………バッテリー
3………バッテリー端子
5………前面
7………上面
9………背面
10、10a、10b、10c……バッテリー接続端子
11………孔
13………電線接続部
15………バッテリー接続部
17、17a………側面部
19………底面部
20、20a、20b、20c………ボルト締結片
21、21a………孔
23………ワイヤハーネス
25………切り欠き
27………ボルト
29………連結部
30、30a………端子接続構造
31………上面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12