(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137511
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板確認方法、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/68 L
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049051
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 択弥
(72)【発明者】
【氏名】岡▲ざき▼ 太洋
(72)【発明者】
【氏名】檜山 真
(72)【発明者】
【氏名】辻村 新
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA15
5F131BB02
5F131BB23
5F131CA38
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB54
5F131DB57
5F131DB76
5F131DB82
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131JA08
5F131JA09
5F131JA12
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA55
5F131KA72
5F131KB32
5F131KB52
(57)【要約】
【課題】ロードロック室の構造を変更することなく、ロードロック室に搬送された全ての基板の異常判定を行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】基板の搬入及び搬出が可能な開口部と、前記開口部を挟んで上部領域と下部領域とを有するロードロック室と、前記ロードロック室内に設けられ、少なくとも1つの前記基板を所定の間隔で多段に支持可能な支持具と、前記支持具を昇降させる昇降部と、前記ロードロック室における前記上部領域及び下部領域の外周部にそれぞれ配置され、前記支持具に支持された前記基板の状態を確認する複数のセンサと、それぞれの前記センサより送られるデータと予め定められた閾値とにより、前記基板の異常判定を行う異常判定部を制御することが可能なよう構成される制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬入及び搬出が可能な開口部と、前記開口部を挟んで上部領域と下部領域とを有するロードロック室と、
前記ロードロック室内に設けられ、少なくとも1つの前記基板を所定の間隔で多段に支持可能な支持具と、
前記支持具を昇降させる昇降部と、
前記ロードロック室における前記上部領域及び下部領域の外周部にそれぞれ配置され、前記支持具に支持された前記基板の状態を確認する複数のセンサと、
それぞれの前記センサより送られるデータと予め定められた閾値とにより、前記基板の異常判定を行う異常判定部を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
それぞれの前記センサは、透過型の光センサである、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
それぞれの前記センサは、前記ロードロック室の外周部であって、前記支持具に支持された前記基板の径方向で対向する位置に発信部と受信部を配置する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
それぞれの前記センサは、前記支持具を前記上部領域の範囲および前記下部領域の範囲に分けて前記支持具に支持された前記基板の状態を確認することが可能なよう配置される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
それぞれの前記センサには、前記上部領域に配される第1のセンサが含まれ、
前記昇降部は、前記第1のセンサによる検知位置が、前記上部領域での前記基板の状態を確認可能な第1測定位置となるように前記支持具を昇降する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記昇降部は、前記第1のセンサによる検知位置が、前記第1測定位置から前記支持具の最上段に支持される基板の測定位置を示す第2測定位置となるように前記支持具を降下させる、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記異常判定部は、前記第1のセンサより送られるデータに基づいて、前記支持具が前記第1測定位置から前記第2測定位置までの範囲で支持している前記基板の異常判定を行う、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
それぞれの前記センサには、前記下部領域に配される第2のセンサが含まれ、
前記昇降部は、前記第2のセンサによる検知位置が、前記下部領域での前記基板の状態を確認可能であり前記支持具の最下段に支持された基板の測定位置を示す第3測定位置となるように前記支持具を昇降する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記昇降部は、前記第2のセンサによる検知位置が、前記第3測定位置から該第3測定位置よりも上側で支持される基板の測定位置を示す第4測定位置となるように前記支持具を降下させる、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記異常判定部は、前記第2のセンサより送られるデータに基づいて、前記支持具が前記第3測定位置から前記第4測定位置までの範囲で支持している前記基板の異常判定を行う、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
それぞれの前記センサには、前記上部領域に配される第1のセンサが含まれ、
前記第2のセンサは、前記昇降部の昇降動作可能な範囲で前記第1のセンサで前記基板の状態を確認できない支持位置の前記基板の状態を確認することが可能なよう構成される、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記支持具に支持された前記基板を重複することなく前記基板の状態の確認を制御することが可能なよう構成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記異常判定部は、前記昇降部の昇降動作による前記基板の移動に伴う前記センサの光量の変化によって前記基板の有無を確認することが可能なよう構成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板の状態を確認可能な操作部を有し、
前記制御部は、前記異常判定部からの判定結果により前記基板に異常があると判断した場合に前記操作部に報知を行う、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記上部領域で前記基板の状態を確認した後に、前記下部領域で前記基板の状態を確認するよう制御することが可能なよう構成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板の搬入及び搬出が可能な開口部と、前記開口部を挟んで上部領域と下部領域とを有するロードロック室内に設けられ、少なくとも1つの前記基板を所定の間隔で多段に支持可能な支持具に前記基板を支持する工程と、
前記支持具を昇降させる工程と、
前記ロードロック室における前記上部領域及び下部領域の外周部にそれぞれ配置された複数のセンサにより、前記基板の状態を確認する工程と、
それぞれの前記センサより送られるデータと予め定められた閾値により、前記基板の異常判定を行う工程と、
を備える基板確認方法。
【請求項17】
基板の搬入及び搬出が可能な開口部と、前記開口部を挟んで上部領域と下部領域とを有するロードロック室内に設けられ、少なくとも1つの前記基板を所定の間隔で多段に支持可能な支持具に前記基板を支持する工程と、
前記支持具を昇降させる工程と、
前記ロードロック室における前記上部領域及び下部領域の外周部にそれぞれ配置された複数のセンサにより、前記基板の状態を確認する工程と、
それぞれの前記センサより送られるデータと予め定められた閾値により、前記基板の異常判定を行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板の搬入及び搬出が可能な開口部と、前記開口部を挟んで上部領域と下部領域とを有するロードロック室内に設けられ、少なくとも1つの前記基板を所定の間隔で多段に支持可能な支持具に前記基板を支持する手順と、
前記支持具を昇降させる手順と、
前記ロードロック室における前記上部領域及び下部領域の外周部にそれぞれ配置された複数のセンサにより、前記基板の状態を確認する手順と、
それぞれの前記センサより送られるデータと予め定められた閾値により、前記基板の異常判定を行う手順と、
をコンピュータにより基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板確認方法、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板が搬入及び搬出されるロードロック室を有する基板処理装置が従来から知られている。また、基板処理装置のロードロック室は、室内の雰囲気を大気状態と真空状態とに入れ替える機能を有している場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロードロック室に搬送された全ての基板の有無を判定する場合、ロードロック室内において、基板を所定間隔で多段に支持する支持具を昇降動作させて、最下段のスロットから最上段までのスロットをセンサ等で逐次確認することが考えられる。しかしながら、支持具の最下段のスロットから最上段までのスロットを単一のセンサを用いて確認する場合、ロードロック室内を高くして、支持具が上下動できる十分なスペースを確保できるようにロードロック室の構造を変更する場合がある。
【0005】
本開示は、ロードロック室の構造を変更することなく、ロードロック室に搬送された全ての基板の異常判定を行うことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板の搬入及び搬出が可能な開口部と、前記開口部を挟んで上部領域と下部領域とを有するロードロック室と、
前記ロードロック室内に設けられ、少なくとも1つの前記基板を所定の間隔で多段に支持可能な支持具と、
前記支持具を昇降させる昇降部と、
前記ロードロック室における前記上部領域及び下部領域の外周部にそれぞれ配置され、前記支持具に支持された前記基板の状態を確認する複数のセンサと、
それぞれの前記センサより送られるデータと予め定められた閾値とにより、前記基板の異常判定を行う異常判定部を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ロードロック室の構造を変更することなく、ロードロック室に搬送された全ての基板の異常判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略縦断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のロードロック室の概略縦断面図である。
【
図4A】本開示の一実施形態に係る基板処理装置において、ボートの昇降位置を第1昇降位置に移動させた状態を示すロードロック室の概略縦断面図である。
【
図4B】
図4Aの位置からボートの昇降位置を第2昇降位置に移動させた状態を示すロードロック室の概略縦断面図である。
【
図4C】
図4Bの位置からボートの昇降位置を第4昇降位置に移動させた状態を示すロードロック室の概略縦断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の制御部の構成を示す図である。
【
図6A】本開示の一実施形態に係る基板処理装置で用いる各センサによるボートの基板支持状態を示す図である。
【
図7】センサによって得られる波形データを説明するための図である。
【
図8A】本開示の一実施形態に係る基板処理装置における基板全体の異常判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8B】本開示の一実施形態に係る基板処理装置における基板毎の異常判定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
本実施形態に係る基板処理装置10は、
図1及び
図2に示されるように、大気搬送室(EFEM:Equipment Front End Module)12と、大気搬送室12に接続され、基板収納容器であるポッド27-1~27-3を載置する載置部としてのロードポート29-1~29-3と、圧力制御される予備室としてのロードロック室14A、14Bと、真空搬送室としての搬送室16と、基板100に対する処理を行う処理室18A、18Bとを備えている。また、処理室18Aと処理室18Bとの間は、境界壁20によって遮られている。本実施形態では、基板100として例えばシリコンウェーハ等の半導体装置を製造する半導体ウェーハが使用される。
【0011】
本実施形態では、ロードロック室14A、14Bの各構成(ロードロック室14A、14Bに付随する構成も含む)がそれぞれ同様の構成となっている。このため、ロードロック室14A、14Bを「ロードロック室14」と総称する場合がある。
【0012】
また、本実施形態では、処理室18A、18Bの各構成(処理室18A、18Bに付随する構成も含む)がそれぞれ同様の構成となっている。このため、処理室18A、18Bを「処理室18」と総称する場合がある。
【0013】
ロードロック室14と搬送室16との間には、
図2に示されるように、隣り合う室を連通する連通部22が形成されている。この連通部22は、ゲートバルブ24によって開閉されるようになっている。
【0014】
搬送室16と処理室18との間には、
図2に示されるように、隣り合う室を連通する連通部26が形成されている。この連通部26は、ゲートバルブ28によって開閉されるようになっている。
【0015】
大気搬送室12には、ロードポート29-1~29-3にそれぞれ載置されたポッド27-1~27-3とロードロック室14との間において、基板100を搬送する大気側搬送装置としての大気ロボット30が設けられている。この大気ロボット30は、大気中にて同時に複数枚の基板100を搬送可能に構成されている。
【0016】
ロードロック室14には、基板100が搬送及び搬出されるようになっている。具体的には、ロードロック室14には、大気ロボット30によって未処理の基板100が搬入され、搬入された未処理の基板100が真空ロボット70によって搬出されるようになっている。一方、ロードロック室14には、真空ロボット70によって処理済みの基板100が搬入され、搬入された処理済みの基板100が大気ロボット30によって搬出されるようになっている。
【0017】
また、ロードロック室14の室内には、基板100を支持する支持具としてのボート32が設けられている。
図4Aに示されるように、ボート32は、少なくとも一枚(例えば1~25枚)の基板100を所定間隔で多段に支持すると共に、基板100を水平に収容するように形成されている。具体的には、このボート32は、上板部34と下板部36とが複数の支柱部38によって接続された構造となっている。なお、本明細書における「1~25枚」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「1~25枚」とは「1枚以上25枚以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0018】
また、支柱部38には、基板100を支持する複数(例えば1~25個)の支持部40が所定間隔でそれぞれ平行に形成されている。
【0019】
図2に示されるように、ロードロック室14を構成する天板部15Aには、ロードロック室14の内部と連通するガス供給管42が接続されている。ガス供給管42には、上流側から順に不活性ガス(例えば窒素ガスや希ガス)を供給する図示しないガス供給源、ガス供給バルブ43が設けられている。
【0020】
また、天板部15Aには、例えば冷却液循環流路等の図示しない冷却機構が設けられている。この冷却機構によって、ボート32に支持された基板100が冷却されるようになっている。具体的には、処理室18での処理後に熱をもった処理済み基板100が上記冷却機構によって冷却される。
【0021】
ロードロック室14を構成する底板部15Bには、ロードロック室14の内部と連通する排気管44が接続されている。排気管44には、下流側に向ってバルブ45、排気装置としての真空ポンプ46が設けられている。
【0022】
ここで、ゲートバルブ24、28により連通部22、26を閉塞した状態で、ガス供給バルブ43を閉塞した状態にする。この状態で、バルブ45を開放すると共に真空ポンプ46を作動させると、ロードロック室14の内部が真空排気され、ロードロック室14の内部を真空圧化(もしくは減圧化)させることができる。また、ゲートバルブ24、28により連通部22、26を閉塞した状態で、バルブ45を閉塞又はその開度を小さくすると共にガス供給バルブ43を開放し、ロードロック室14の内部に不活性ガスを導入することにより、ロードロック室14の内部を大気圧化させる。
【0023】
ロードロック室14を構成する外周壁部15Cには、
図3に示されるように、基板100をロードロック室14内に搬入及び搬出するための開口部102が設けられている。具体的には、開口部102は、外周壁部15Cの大気ロボット30側に設けられている。大気ロボット30は、開口部102を介して基板100をボート32に支持させ、開口部102を介して基板100をボート32から取り出すようになっている。
【0024】
また、外周壁部15Cには、開口部102を開閉するためのゲートバルブ104が設けられている。
【0025】
また、ロードロック室14は、開口部102を挟んで上部領域140と下部領域150とを有している。なお、本実施形態では、ロードロック室14において、開口部102よりも上方の空間を上部領域140、開口部よりも下方の空間を下部領域150という。
【0026】
また、ロードロック室14における上部領域140及び下部領域150に対応する外周壁部15Cには、それぞれセンサ160、170が配置されている。なお、センサ160は、外周壁部15Cの上部領域140に対応する部分に配置されている。また、センサ170は、外周壁部15Cの下部領域150に対応する部分に配置されている。本実施形態では、一例として、センサ160及びセンサ170が外周壁部15Cにそれぞれ固定されている。
【0027】
これらのセンサ160、170は、ボート32に支持された基板100の状態を確認するためのセンサである。具体的には、それぞれのセンサ160、170は、透過型の光センサである。そして、センサ160は、ボート32に支持された基板100の径方向で対向する位置に発信部162と受信部164とがそれぞれ配置されている。言い換えると、センサ160は、発光センサと受光センサのセットである。同様に、センサ170は、ボート32に支持された基板100の径方向で対向する位置に発信部172と受信部174とがそれぞれ配置されている。言い換えると、センサ170は、発光センサと受光センサのセットである。なお、本実施形態のセンサ160は、本開示の第1のセンサの一例である。また、本実施形態のセンサ170は、本開示の第2のセンサの一例である。
【0028】
図4Aに示すように、外周壁部15Cのセンサ160の光路に対応する部分が窓部142によって形成されている。窓部142は、光が透過可能な材料で形成されている。同様に、外周壁部15Cのセンサ170の光路に対応する部分が窓部152によって形成されている。窓部152は、光が透過可能な材料で形成されている。
【0029】
これらのセンサ160及びセンサ170で取得されたデータは、コントローラ120に送信されるように構成されている。
【0030】
なお、本実施形態では、一例として、それぞれのセンサ160、170は、ボート32を上部領域140の範囲および下部領域150の範囲に分けて、ボート32に支持された基板100の状態を確認することが可能なように配置されている。
【0031】
図2及び
図3に示されるように、ロードロック室14の底板部15Bには、このロードロック室14の内外を連通する開口部48が形成されている。ロードロック室14の下方には、開口部48を介してボート32を昇降及び回転させる駆動装置50が設けられている。
【0032】
駆動装置50は、ボート32を支持する支持軸としてのシャフト52と、このシャフト52を囲うように設けられた伸縮自在な図示しないベローズと、これらシャフト52及びベローズの下端が固定される固定台56と、シャフト52を介してボート32を昇降させる昇降部としての昇降駆動部58と、この昇降駆動部58と固定台56とを接続する接続部材60と、ボート32を回転させる回転駆動部62と、を備えている。
【0033】
昇降駆動部58は、複数の基板100が多段に積載される方向にボート32を昇降させるように構成されている。
【0034】
ベローズの上端は、ロードロック室14を構成する底板部15Bに形成された開口部48の周囲に固定されている。
【0035】
回転駆動部62は、複数の基板100が多段に積載される方向を軸としてボート32を回転させるように構成されている。具体的には、回転駆動部62は、シャフト52を軸としてボート32を回転させるようになっている。
【0036】
搬送室16には、ロードロック室14と処理室18との間で基板100を搬送する真空側搬送装置としての真空ロボット70が設けられている。真空ロボット70は、基板100を支持して搬送する基板搬送部72と、この基板搬送部72を昇降及び回転させる搬送駆動部74とを備えている。
【0037】
基板搬送部72には、アーム部76が設けられている。このアーム部76には、基板100が載置されるフィンガ78が設けられている。なお、アーム部76には、上下方向に所定間隔で複数のフィンガが設けられてもよい。また、アーム部76が複数段積層されてもよい。また、フィンガ78は、略水平方向に伸縮自在に構成されている。
【0038】
ロードロック室14から処理室18への基板100の移動は、真空ロボット70によって、連通部22を介してボート32に支持された基板100を搬送室16内に移動させ、続いて、連通部26を介して処理室18内へ移動させることにより行われる。
【0039】
また、処理室18からロードロック室14への基板100の移動は、真空ロボット70によって、連通部26を介して処理室18内の基板100を搬送室16内に移動させ、続いて、連通部22を介してボート32に支持させることにより行われる。
【0040】
処理室18には、第1処理部80と、この第1処理部80よりも搬送室16から遠い位置に配置された第2処理部82と、この第2処理部82と真空ロボット70との間で基板100を搬送する基板移動部84と、が設けられている。
【0041】
第1処理部80は、基板100を載置する載置台96と、この載置台96を加熱する第1ヒータ(図示省略)とを備える。
【0042】
第2処理部82は、基板100を載置する載置台92と、この載置台92を加熱する第2ヒータ(図示省略)とを備える。
【0043】
第1処理部80及び第2処理部82は、基板100を同様に処理できるように構成されている。
【0044】
基板移動部84は、基板100を支持する移動部材86と、境界壁20近傍に設けられた移動軸88とにより構成される。移動部材86は、移動軸88を軸として回転及び昇降自在に設けられている。
【0045】
また、基板移動部84は、移動部材86を第1処理部80側へ回転させることで、この第1処理部80側において真空ロボット70との間で基板100を授受する。このようにして、基板移動部84は、真空ロボット70によって搬送された基板100を第2処理部82の第2の載置台92に移動させ、また、第2載置台92に載置された基板100を真空ロボット70へ移動させる。
【0046】
基板処理装置10は、
図1に示すように、制御部としてのコントローラ120を備えている。このコントローラ120は、
図5に示すようにCPU(Central Processing Unit)121A、RAM(Random Access Memory)121B、記憶装置121C、I/Oポート121D及び異常判定部121Fを備えたコンピュータとして構成されている。
【0047】
RAM121B、記憶装置121C、I/Oポート121D及び異常判定部121Fは、内部バス121Eを介して、CPU121Aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ120には、操作部122が接続されている。この操作部122には表示部124が接続されており、基板100の状態を確認可能に構成されている。操作部122は、例えば、タッチパネル等としてもよい。この場合には、操作部122と表示部124が同じ筐体内に設けられる。またコントローラ120には、外部との通信を行うための外部通信部125が接続されている。
【0048】
記憶装置121Cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121C内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ120に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121Bは、CPU121Aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0049】
I/Oポート121Dは、温度センサ110、大気ロボット30、真空ロボット70、駆動装置50、ゲートバルブ24、ゲートバルブ28、ゲートバルブ104、ガス供給バルブ43、バルブ45、真空ポンプ46、基板移動部84、第1ヒータ、第2ヒータ等に接続されている。
【0050】
CPU121Aは、記憶装置121Cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、操作部122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121Cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121Aは、読み出したレシピの内容に沿うように、大気ロボット30、真空ロボット70、駆動装置50及び基板移動部84による基板100の搬送動作、ゲートバルブ24、ゲートバルブ28及びゲートバルブ104の開閉動作、ガス供給バルブ43、バルブ45及び真空ポンプ46による流量・圧力調節動作、第1ヒータ及び第2ヒータによる温度調整動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0051】
コントローラ120は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121Cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121C単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0052】
コントローラ120は、それぞれのセンサ160及びセンサ170より送られるデータと予め定められた閾値とにより、基板100の異常判定を行う異常判定部121Fを制御することが可能なよう構成されている。具体的には、コントローラ120は、昇降駆動部58の昇降動作を制御することでボート32に支持されたすべての基板100の状態をセンサ160及びセンサ170で検知し、検知したデータからすべての基板100の異常判定を異常判定部121Fで処理させることが可能なよう構成されている。
【0053】
コントローラ120は、センサ160による検知位置が、上部領域140での基板100の状態を確認可能なボート32の第1測定位置となるようにボート32を昇降させるよう昇降駆動部58の昇降動作を制御する。具体的には、コントローラ120は、ボート32に支持した基板100の異常判定処理を実行する場合、まず、センサ160による検知位置が第1測定位置となる第1昇降位置にボート32を移動させる。なお、本実施形態における第1昇降位置とは、
図4Aに示すボート32のロードロック室14に対する昇降位置である。この第1昇降位置では、ボート32の第7スロットと第8スロットの間がセンサ160の検知位置となる。すなわち、ボート32における第7スロットと第8スロットの間が第1測定位置である。なお、
図4A~
図4Cでは、センサ160の光路及びセンサ170の光路をそれぞれ一点鎖線で示している。ボート32の各スロットは、ボート32において支持部40に支持された基板100が収まる部分である。このスロットに基板100が収まっていると、センサからの光が基板100に当たる。
【0054】
次に、コントローラ120は、センサ160による検知位置が、第1測定位置からボート32の最上段に支持される基板100を測定可能な位置となるボート32の第2測定位置までボート32を降下させるよう昇降駆動部58の昇降動作を制御する。具体的には、コントローラ120は、センサ160の検知位置がボート32の最上段の基板100を検知可能な位置までボート32を第1昇降位置から下降させる。このセンサ160がボート32の最上段の基板100を検知可能なボート32の昇降位置が第2昇降位置である。なお、本実施形態における第2昇降位置とは
図4Bに示すボート32のロードロック室14に対する昇降位置である。この第2昇降位置では、ボート32の第25スロットに支持される基板100の表面よりも上方がセンサ160の検知位置に位置となる。すなわち、ボート32において第25スロットに支持される基板100の表面よりも上方が第2測定位置である。
【0055】
コントローラ120の異常判定部121Fは、センサ160より送られるデータに基づいて、ボート32が第1測定位置から第2測定位置までの範囲で支持している基板100の異常判定を行う。異常判定部121Fによる基板100の異常判定については後述する。
【0056】
また、コントローラ120は、センサ170による検知位置が、下部領域150での基板100の状態を確認可能な位置であってボート32の最下段に支持された基板100を測定可能なボート32の第3測定位置となるようにボート32を昇降させるよう昇降駆動部58の昇降動作を制御する。このセンサ170がボート32の下部領域150における基板100を検知可能なボート32の昇降位置が第3昇降位置である。なお、本実施形態における第3昇降位置とは
図4Bに示すボート32のロードロック室14に対する昇降位置である。この第3昇降位置では、ボート32の第1スロットに支持された基板100の裏面よりも下方がセンサ170の検知位置となる。すなわち、ボート32において第1スロットに支持された基板100の裏面よりも下方が第3測定位置である。また、本実施形態では、ボート32の第2昇降位置と第3昇降位置が同じ位置になっているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、第2昇降位置が第3昇降位置よりも高い位置とされてもよい。この場合には、ボート32を下降させる動作のみでボート32が第2測定位置から第3測定位置へと移動させられる。
【0057】
次に、コントローラ120は、センサ170による検知位置が、第3測定位置よりも上側の位置であるボート32の第4測定位置となるようにボート32を降下させるよう昇降駆動部58の昇降動作を制御する。このセンサ170がボート32の第3測定位置よりも上側で支持される基板100を検知可能なボート32の昇降位置が第4昇降位置である。このボート32の第4昇降位置は、第3昇降位置よりも下方に位置する。なお、本実施形態における第4昇降位置とは
図4Cに示すボート32のロードロック室14に対する昇降位置である。この第4昇降位置では、ボート32の第7スロットと第8スロットの間がセンサ170の検知位置となる。すなわち、ボート32において第7スロットと第8スロットの間が第4測定位置である。
【0058】
コントローラ120の異常判定部121Fは、センサ170より送られるデータに基づいて、ボート32が第3測定位置から第4測定位置までの範囲で支持している基板100の異常判定を行う。異常判定部121Fによる基板100の異常判定については後述する。
【0059】
なお、本実施形態では、ボート32を第1昇降位置から第4昇降位置まで降下させた場合、まず、第1昇降位置から第2昇降位置(第3昇降位置)の間でセンサ160によって第8スロット~第25スロットにそれぞれ支持された基板100が第8スロットから順に検知され、次に第3昇降位置から第4昇降位置の間でセンサ170によって第1スロットから第7スロットにそれぞれ支持された基板100が第1スロットから順に検知される。ここで、ボート32の第3昇降位置を第2昇降位置よりも下方としてもよいし、上方としてもよい。上方とした場合には、センサ160による各スロットの検知とセンサ170による各スロットの検知が交互に行われる又は重なる。検知が重なる場合には、センサ160による検知結果(検知により取得されるデータ)を先に異常判定し、その後センサ170による検知結果を異常判定することが好ましい。なお、センサ160による各スロットの検知とセンサ170による各スロットの検知が交互又は重なる場合、ボート32に支持した各基板100の異常判定にかかる時間を短縮可能となる。
【0060】
なお、
図4A、
図4B及び
図4Cに示されるように、本実施形態では、センサ170は、昇降駆動部58の昇降動作可能な範囲においてセンサ160で基板100の状態を確認できない支持位置(すなわち、スロット)の基板100の状態を確認することが可能なよう構成されている。すなわち、本実施形態では、センサ160とセンサ170が、ボート32に支持された基板100を重複することなく状態確認を行えるようにそれぞれ配置されている。このため、コントローラ120は、ボート32の昇降動作を制御することで、ボート32に支持された基板100を重複することなく状態確認できるよう制御することが可能なよう構成される。
【0061】
コントローラ120は、上部領域140で基板100の状態を確認した後に、下部領域150で基板100の状態を確認するよう制御することが可能なよう構成されている。具体的には、コントローラ120は、
図4Aに示すボート32の第1昇降位置から
図4Cに示すボートの第4昇降位置へとボート32を連続して下降させる。すなわち、センサ160によってボート32の第1測定位置から第2測定位置までの間の各基板100を検知させた後、連続してセンサ170によってボート32の第3測定位置から第4測定位置までの間の各基板100を検知させる。このため、ボート32の各スロットに収められた基板100の状態確認を効率よく行うことができる。
【0062】
コントローラ120は、異常判定部121Fからの判定結果により基板100に異常があると判断した場合に操作部122に報知を行う。具体的には、操作部122を介して表示部124上に基板100の異常を伝えるメッセージを表示させる。なお、本開示はこれに限定されない。例えば、通信回線を介して外部の表示装置に基板100の異常を表示してもよい。
【0063】
そして、コントローラ120の異常判定部121Fは、昇降駆動部58の昇降動作による基板100の移動に伴うセンサの光量の変化によって基板100の有無を確認することが可能なよう構成されている。ここで、異常判定部121Fによる基板100の異常判定処理について説明する。
【0064】
図6Aには、ボート32のすべてのスロットに基板100が収められている状態でセンサ160及びセンサ170を用いて異常判定処理を実施した例が示されている。
図6Aに示す例では、異常判定部121Fは、全ての基板100を正常な状態であると判定している。
図6Bには、
図6Aの一部拡大図が示されている。センサの発信部(発光部)からの光が基板100に当たると、受信部(受光部)で受ける光量が低下する。詳細には、光が基板100の端面(外周端面)を厚み方向に通り過ぎる場合、基板100の端面において最も光量が低下する。
図6Bに示す波形では、波形のピークが基板100の端面の厚み中心に相当し、波形の両側の根元が基板100の端面の両縁に相当する。このため、波形の両側の根元間の距離から、基板100の厚みを算出することが可能である。
【0065】
また、
図7は、
図6A及び
図6Bに示す波形の一部を示している。
図7に示されるように、異常判定部121Fでは、波形に対して予め定めた光量閾値から波形のピーク、微下及び微上をそれぞれ求めている。これらの波形情報は、各々の基板100が収められたスロットと関連してRAM121B又は記憶装置121Cに記憶される。なお、波形のピーク、微下及び微上の各々の位置が予め定められた波形のピーク、微下及び微上の各々の位置から予め定められた閾値以上離れている場合、異常判定部121Fは基板100に異常が生じていると判定する。異常判定部121Fによる判定結果は、コントローラ120を介して操作部122に送られる。
【0066】
(半導体装置の製造方法)
次に、基板処理装置10を用いた半導体装置の製造方法、すなわち、基板100の処理手順について説明する。なお、基板処理装置10の各構成部は上記のようにコントローラ120によって制御される。
【0067】
まず、大気ロボット30によって、ポッド27-1~27-3に収納されている基板100を、大気搬送室12内に搬出する。
【0068】
次に、ロードロック室14内を大気圧化したのち、ゲートバルブ104を開放する。具体的には、ガス供給管42のガス供給バルブ43を開き、不活性ガスをロードロック室14内へ供給する。このようにして、ロードロック室14内を大気圧化した後、ゲートバルブ104を開放する。
【0069】
次に、ロードロック室14内に基板100を搬入する。具体的には、大気ロボット30によって、大気搬送室12内に搬入された基板100をロードロック室14内に搬送し、室内のボート32の支持部40に基板100を載置する。これにより、基板100がボート32によって支持される。
【0070】
次に、ゲートバルブ104を閉塞した後、ロードロック室14内を真空圧化する。具体的には、ボート32が所定枚数の基板100を支持した後、排気管44のバルブ45を開き真空ポンプ46によって、ロードロック室14内を排気する。このようにして、ロードロック室14内を真空圧化する。なお、このとき、搬送室16及び処理室18は真空圧化している。
【0071】
また、ロードロック室14から処理室へ基板100を搬送する前に、本実施形態の基板確認方法の一例である基板の異常判定処理が行われる。
【0072】
基板の異常判定処理は、大別すると、
図8Aに示す基板全体の異常判定処理と、
図8Bに示す基板毎の異常判定処理とに分けられる。
【0073】
まず
図8Aに示す処理について説明する。まず、コントローラ120は、
図8Aに示すように、ステップS200において、上センサの一例としてのセンサ160からのデータに基づいて第8スロット~第25スロットまでの異常判定の結果を異常判定部121Fに求めさせる。そして、コントローラ120は、ステップS202において、下センサの一例としてのセンサ170からのデータに基づいて異常判定部121Fが第1スロット~第7スロットまでの異常判定の結果を異常判定部121Fに求めさせる。そして、コントローラ120は、ステップS200及びステップS202の判定結果を操作部122に報知する(ステップS204)。すべての基板100が正常な場合、ロードロック室14から処理室へ基板100を搬送する。
【0074】
次に、
図8Bに示す処理について説明する。まず、コントローラ120は、基板の異常判定処理が実行されると、ステップS210において、センサの基準データ(予め定められた閾値)を取得する。なお、基準データは、実験で求められたデータであってもよいし、基板処理において正常に処理が終了した場合のデータでもよいし、計算によって求めたデータであってもよい。
【0075】
次にコントローラ120は、昇降駆動部58を昇降させてボート32を第1昇降位置へ移動させる。言い換えると、センサ160の検知位置がボート32の第1測定位置となるように、ボート32を昇降させる。その後コントローラ120は、ボート32を第1昇降位置から第4昇降位置まで連続して下降させる。このとき、センサ160及びセンサ170によって各スロットの基板100毎にセンサデータが取得されて記憶装置121Cに記憶される(ステップS212)。また、取得したセンサデータ(波形データ)と基準データを比較する。具体的には、まず、ステップS214において、取得した波形データの微下異常判定を行う。次にステップS216で取得した波形のピーク異常判定を行う。最後にステップS218で取得した波形の微上異常判定を行う。なお、異常判定は異常判定部121Fで処理される。異常判定後、ステップS220に移行する。
【0076】
ステップS220では、異常判定部121Fによって基板100の異常判定が行われる。具体的には、取得した波形データの微下、ピーク、微上のいずれかが基準データから外れる場合は、異常判定部121Fは、基板100を異常と判定する。異常判定部121Fが基板100を正常と判定した場合、ステップS222に移行する。一方、異常判定部121Fが基板100を異常と判定した場合、ステップS224に移行する。
【0077】
ステップS222では、すべてのスロットの基板100の異常判定が完了したかを判定する。異常判定が完了していない場合、ステップS212へ戻る。異常判定が完了している場合、基板100毎の異常判定処理を終了する。
【0078】
ステップS224では、異常スロット位置を算出する。具体的には、基板100の異常判定を行ったスロットの番号を記憶装置121Cに記憶させる。その後、ステップS222へ移行する。
【0079】
上記のようにして、すべての基板100の異常判定処理が行われ、いずれの基板100も異常がない場合、以下のように、ロードロック室14から処理室へ基板100を搬送する。
【0080】
次に、基板100をロードロック室14から処理室18へ搬送する。具体的には、まず、ゲートバルブ24を開く。このとき、昇降駆動部58は、ボート32に支持された基板100が真空ロボット70で取り出せるようにボート32を昇降させる。回転駆動部62は、ボート32の基板取り出し口が搬送室16側を向くように、このボート32を回転させる。
【0081】
真空ロボット70は、アーム部76のフィンガ78をボート32方向へ延伸し、これらフィンガ78に基板100を載置する。フィンガ78を収縮した後、アーム部76を処理室18側に向くよう回転させる。次いで、フィンガ78を延伸し、ゲートバルブ28が開かれた連通部26を介して、基板100を処理室18内へ搬入する。
【0082】
処理室18において、フィンガ78に載置された基板100は、処理部80の載置台96に載置される、又は、処理部80側で待機する移動部材86に受け渡される。移動部材86は、基板100を受け取った後、処理部82側へ回転して載置台92にこの基板100を載置する。
【0083】
そして、処理室18において、基板100に例えばアッシング処理等の所定の処理を行う。これらの所定の処理において、ヒータにより加熱されたり、処理によって生じる反応熱などにより加熱されたりすることで、基板100の温度は上昇する。
【0084】
次に、処理後の基板100を処理室18からロードロック室14へ搬送する。処理室18からロードロック室14への基板100の搬送(搬入)は、基板100を処理室18に搬入させた動作とは逆の手順で行われる。このとき、ロードロック室14内は真空圧化状態が維持されている。
【0085】
ロードロック室14へ処理済みの基板100が搬入され、ボート32に基板100が所定の間隔で多段に支持されると、ゲートバルブ24を閉塞し、ロードロック室14内を大気圧化する。具体的には、ガス供給管42のガス供給バルブ43を開き、不活性ガスをロードロック室14内へ供給する。このようにして、ロードロック室14内を不活性ガスにより大気圧化させる。ここで、ボート32及びボート32により支持された基板100は、上記冷却機構と、ロードロック室14内に供給された不活性ガスによって冷却される。ロードロック室14での基板100の冷却は、所定時間行われる。なお、供給される不活性ガスは、冷却を促進させるため、予めガス供給管42の前段において冷却されていてもよい。
【0086】
また、ボート32への処理済みの基板100の装填(載置)が完了すると、ボート32を、冷却を行う位置まで上昇又は下降させる。本実施形態では、ボート32を最も高い位置まで上昇させた状態で冷却を行うことにより、冷却機構による冷却を促進させている。
【0087】
次に、ロードロック室14から大気側へ冷却済みの基板100を搬出する。具体的には、ゲートバルブ104が開いたロードロック室14から、大気ロボット30を用いて大気搬送室12に基板100を搬出する。このようにして、基板100の搬送動作を完了する。また、冷却済みの基板100が大気搬送室12に搬送されることで、半導体装置である基板100の製造が完了する。
【0088】
次に、本実施形態に係る作用について説明する。
本実施形態では、それぞれのセンサ160及びセンサ170より送られるデータと予め定められた閾値(基準データ)とにより、異常判定部121Fがボート32の各スロットに支持された基板100の異常判定を行う。ここでロードロック室14の上部領域140に配されたセンサ160と下部領域150に配されたセンサ170とでボート32の各スロットに支持された基板100を検知するため、ロードロック室14の高さを拡張する等のロードロック室の構造を変更することなく、ロードロック室14に搬送された全ての基板100の異常判定処理を行うことができる。ここで、基板100の異常判定処理とは、ボート32の各スロットに基板100が正しい姿勢及び正しい位置に配置されているか否かを判定することを含む。また、基板100に反り等が生じている場合も、センサデータから得られる波形のピーク、微下、微上の位置が基準データの位置とずれるため異常と判定とすることができる。
【0089】
また、本実施形態では、それぞれのセンサ160、170を透過型の光センサとしている。このため、光センサの受光部が受講した光量で
図6Bに示すように、基板100の厚さを確認することができる。
【0090】
また、本実施形態では、それぞれのセンサ160、170をロードロック室14の外周壁部15Cであって、ボート32に支持された基板100の径方向で対向する位置に発信部162、172と受信部164、174を配置している。このため、例えば、基板100の径方向で対向しない位置に発信部と受信部を配置する構成と比べて、基板100へ確実にセンサからの光を当てることができる。
【0091】
また、本実施形態では、それぞれのセンサ160、170を、ボート32を上部領域140の範囲および下部領域150の範囲に分けて、ボート32に支持された基板100の状態を確認することが可能なよう配置している。これにより、センサ160とセンサ170とでそれぞれ別々のスロットの基板100の状態確認を行える。このため、すべての基板100の異常判定にかかる時間を短縮することが可能になる。
【0092】
また、本実施形態では、昇降駆動部58は、センサ160による検知位置が、上部領域140での基板100の状態を確認可能な第1測定位置となるようにボート32を昇降する。そして、昇降駆動部58は、センサ160による検知位置がボート32の第1測定位置から第2測定位置となるようにボート32を下降させる。すなわち、ボート32を第1昇降位置から第2昇降位置へ下降させる。このとき、異常判定部121Fがセンサ160より送られるセンサデータに基づいて、ボート32が第1測定位置から第2測定位置までの範囲で支持している基板100の異常判定を行う。このように、第1昇降位置から第2昇降位置へボート32を下降させることで、連続したセンサデータ(光照射の情報)を取得することが可能となり、ボート32における各スロット間での基板100の有無の確認(異常判定の一例)が容易となる。
【0093】
また、本実施形態では、昇降駆動部58は、センサ170による検知位置が、下部領域150での基板100の状態を確認可能な第3測定位置となるようにボート32を昇降する。そして、昇降駆動部58は、センサ170による検知位置がボート32の第3測定位置から第4測定位置となるようにボート32を下降させる。すなわち、ボート32を第3昇降位置から第4昇降位置へ下降させる。このとき、異常判定部121Fがセンサ170より送られるセンサデータに基づいて、ボート32が第3測定位置から第4測定位置までの範囲で支持している基板100の異常判定を行う。このように、第3測定位置から第4測定位置にボート32を下降させることで、連続したセンサデータ(光照射の情報)を取得することが可能となり、ボート32における各スロット間での基板100の有無の確認(異常判定の一例)が容易となる。
【0094】
また、本実施形態では、センサ170は、昇降駆動部58の昇降動作可能な範囲でセンサ160によって基板100の状態を確認できない支持位置(スロット位置ともいう)の基板100の状態を確認することが可能なように構成されている。このため、ロードロック室14の構造を変更することなく、基板の確認を行うことが可能となり、装置改造にかかる費用の削減に貢献できる。また、ロードロック室14内の容積に変更がないため、ロードロック室14で使用するガスの使用量も変更することがなく、無駄な資源の使用を抑えることができる。
【0095】
また、本実施形態では、コントローラ120がボート32に支持された基板100を重複することなく基板100の状態確認を行えるように制御することが可能なよう構成されている。このようにセンサによって測定されるスロットが重複するのを回避することで、基板100の状態確認に要する時間の短縮および生産効率の低下抑制に貢献することができる。
【0096】
また、本実施形態では、異常判定部121Fが昇降駆動部58の昇降動作による基板100の移動に伴う各センサの光量の変化によって基板100の有無を確認することが可能なよう構成されている。このように光量の変化で基板100の有無を確認するため、装置構成の複雑化を抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、コントローラ120が異常判定部121Fからの判定結果により基板100に異常があると判断した場合、操作部122に報知を行う。このため、操作部122を介して、作業者が基板100に異常があることを早期に把握することができる。また、操作部122で報知されるため、作業者の確認が容易である。さらに、異常発生後のリカバリ作業も早急に行うことができる。
【0098】
また、本実施形態では、コントローラ120が上部領域140で基板100の状態を確認した後に、下部領域150で基板100の状態を確認するよう制御することが可能なよう構成されている。このため、取得されるセンサデータが上部領域140と下部領域150とが混在せず、混在を回避するための処理を設けることもない。これにより、コントローラ120の負荷を軽減できる。
【0099】
前述の実施形態では、ロードロック室14において、処理前の基板100の状態確認(異常判定処理)を行っているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、処理後の基板100の状態確認を行ってもよい。なお、処理後の基板100には加熱による反りが生じやすいため、反りを考慮した閾値を設定することが好ましい。
【0100】
前述の実施形態では、センサ160及びセンサ170をそれぞれ発信部及び受信部を有する構成としているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、センサ160及びセンサ170をそれぞれ反射型の光センサとしてもよい。この場合でも、反射光から基板100の状態異常を判定することができる。一方、センサ160及びセンサ170をそれぞれ超音波センサとしてもよい。この場合には超音波センサをロードロック室14内に配置する。超音波センサでは主に基板100の有無を検知することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 基板処理装置
14 ロードロック室
32 ボート(支持具)
58 昇降駆動部(昇降部)
100 基板
120 コントローラ(制御部)
121F 異常判定部
140 上部領域
150 下部領域
160 センサ(第1のセンサ)
170 センサ(第2のセンサ)