(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137544
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】温度制御システム、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240927BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049102
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中西 堅斗
(72)【発明者】
【氏名】山口 英人
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030KA39
4K030KA41
4K030KA45
5F045AA06
5F045AA20
5F045BB00
5F045BB03
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EC02
5F045EJ04
5F045EJ06
5F045EK22
5F045EM10
5F045GB05
5F045GB06
5F045GB15
(57)【要約】
【課題】基板が配置される処理空間内の温度制御性を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】複数のゾーンに各々配置される加熱部と、基板と共に動作可能に構成される第1温度センサと、該第1温度センサ以外の他の温度センサと、前記ゾーン毎に前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方がそれぞれ割り当てられ、前記ゾーン毎に割り当てられた、前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方により検出される温度に基づき、前記加熱部を制御することが可能なように構成される制御部と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゾーンに各々配置される加熱部と、基板と共に動作可能に構成される第1温度センサと、該第1温度センサ以外の他の温度センサと、前記ゾーン毎に前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方がそれぞれ割り当てられ、前記ゾーン毎に割り当てられた、前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方により検出される温度に基づき、前記加熱部を制御することが可能なように構成される制御部と、を有する温度制御システム。
【請求項2】
前記他の温度センサは、前記基板を処理する処理空間に設けられる第2温度センサと、前記加熱部の近傍に設けられる第3温度センサを少なくとも含む請求項1記載の温度制御システム。
【請求項3】
前記ゾーン毎に前記第1温度センサ、前記第2温度センサまたは第3温度センサのうちいずれかを割り当てる割当パラメータを記憶する記憶部を有する請求項2記載の温度制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記割当パラメータにより予め設定されている内容に応じて前記ゾーン毎に、前記第1温度センサと前記第2温度センサと前記第3温度センサのうち少なくとも一方を選択することが可能なよう構成されている請求項3記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記基板が配置される前記処理空間の温度を前記第1温度センサに検知させ、前記基板が配置されない前記処理空間の温度を前記他の温度センサに検知させることが可能なように構成されている請求項2記載の温度制御システム。
【請求項6】
前記第1温度センサは、前記基板と前記基板の間の空間の温度を検知するように構成されている請求項1記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記第1温度センサは、前記基板の周縁部の温度を検出するように構成されている請求項6記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記基板が配置される前記処理空間において、前記第1温度センサ、前記他の温度センサの各々の測温部の高さが略同一となるように配置されている請求項2記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1温度センサの数が前記ゾーンの数より少ないとき、不足しているゾーンに前記他の温度センサにより温度を検出させることが可能なように構成されている請求項1記載の温度制御システム。
【請求項10】
更に、前記基板を保持する保持具を有し、
前記制御部は、前記保持具の前記基板を保持する領域に対向するゾーンでは、前記第1温度センサより温度を検出させ、前記保持具の前記基板を保持しない領域に対向する前記ゾーンでは、前記他の温度センサにより温度を検出させることが可能なように構成されている請求項1記載の温度制御システム。
【請求項11】
更に、前記基板を保持する保持具を有し、
前記制御部は、前記保持具に対向するゾーンでは、前記第1温度センサより温度を検出させ、前記保持具に対向しないゾーンでは、前記他の温度センサにより温度を検出させることが可能なように構成されている請求項1記載の温度制御システム。
【請求項12】
前記第1温度センサは、前記保持具と共に動作するように構成されている請求項10または請求項11記載の温度制御システム。
【請求項13】
更に、前記ゾーン毎に前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちいずれかを割り当てる割当パラメータを表示する表示部を有する請求項1記載の温度制御システム。
【請求項14】
前記表示部は、前記第1温度センサの使用の有無を設定可能に表示するように構成されている請求項13記載の温度制御システム。
【請求項15】
前記表示部は、前記ゾーン毎に前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方を指定することが可能に構成される請求項13記載の温度制御システム。
【請求項16】
更に、第4温度センサを有する第2加熱部と第5温度センサを有する第3加熱部を有し、
前記制御部は、前記基板が配置される前記処理空間の温度を前記第1温度センサに検知させ、前記基板が配置されない前記処理空間を前記第4温度センサと前記第5温度センサのうち少なくとも一方により温度を検出させることが可能なように構成されている請求項2記載の温度制御システム。
【請求項17】
更に、前記第4温度センサと前記第5温度センサのうちどちらか一方を指定することが可能に構成される表示部を有する請求項16記載の温度制御システム。
【請求項18】
請求項1記載の温度制御システムにより、前記基板の温度を制御して、前記基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
複数のゾーンに各々配置される加熱部と、
基板と共に動作可能に構成される第1温度センサと、
該第1温度センサ以外の他の温度センサと、
前記ゾーン毎に前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方がそれぞれ割り当てられ、前記ゾーン毎に割り当てられた、前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方により検出される温度に基づき、前記加熱部を制御することが可能なように構成される制御部と、を有する基板処理装置。
【請求項20】
複数のゾーンに各々配置される加熱部と、
基板と共に動作可能に構成される第1温度センサと、
該第1温度センサ以外の他の温度センサと、
制御部と、を備えた基板処理装置で実行されるプログラムであって、
前記ゾーン毎に前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方がそれぞれ割り当てられ、前記ゾーン毎に割り当てられた、前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方により検出される温度に基づき、前記加熱部を制御する手順を前記制御部に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度制御システム、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ(以後、基板ともいう)上に所定の処理が行われる(例えば特許文献1,2参照)。特に、特許文献1には、ボート(以後、保持具ともいう)に取り付けられる温度センサにより検出される温度を用いて、処理室の温度を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020-059722号
【特許文献2】特開2009-081415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板が配置される処理空間の温度制御性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
複数のゾーンに各々配置される加熱部と、基板と共に動作可能に構成される第1温度センサと、該第1温度センサ以外の他の温度センサと、前記ゾーン毎に前記第1温度センサと前記他の温度センサのうちどちらか一方がそれぞれ割り当てられ、前記ゾーン毎に割り当てられた、前記第1温度センサと前記他の温度センサにより検出される温度に基づき、前記加熱部を制御することが可能なように構成される制御部と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板が配置される処理空間の温度制御性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は本開示の一実施形態に係る基板処理装置の正面断面図である。
【
図2】
図2は本開示の一実施形態に係る基板処理装置のボートロード時の状態を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は本開示の一実施形態に係る基板熱電対の配置を説明する平面図である。
図3(b)は本開示の一実施形態に係る基板熱電対の配置を説明する側面図である。
【
図4】
図4は本開示の一実施形態に係る基板処理装置におけるコントローラのハードウェア構成を示す図である。
【
図5】
図5は本開示の一実施形態に係る基板処理装置における温度コントローラのハードウェア構成を示す図である。
【
図6】
図6は本開示の一実施形態に係る基板処理装置における温度コントローラの制御ブロック図である。
【
図7】
図7(a)は本開示の一実施形態に係る基板処理装置における温度センサを説明する側面図である。
図7(b)は本開示の一実施形態に係る基板処理装置における温度センサを説明する側面図である。
【
図8】
図8(a)は基板熱電対ユニット機能の有効の有無の設定項目および基板熱電対の温度データの割当先の設定項目を含む割当パラメータを説明する図である。
図8(b)は基板熱電対の温度データの割当先の構成を説明する図である。
【
図9】
図9(a)はCU、CおよびCLのゾーンの内部熱電対の代わりにCU、CおよびCLのゾーンの基板熱電対を割り当てる場合の割り当てパラメータを説明する図である。
図9(b)はU、CU、C、CLおよびLのゾーンのヒータ熱電対の代わりにU、CU、C、CLおよびLのゾーンの基板熱電対を割り当てる場合の割り当てパラメータを説明する図である。
図9(c)は、基板熱電対の割り当てがない場合の割り当てパラメータを説明する図である。
【
図10】
図10(a)は本開示の一実施形態に係る基板処理装置で行われる基板処理シーケンスを説明するための図であり、基板処理シーケンスを示すフローチャートである。
図10(b)は本開示の一実施形態に係る基板処理装置で行われる基板処理シーケンスを説明するための図であり、基板処理シーケンスの各ステップにおける温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間において、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、各要素が最初に登場した図面において当該要素の説明を行い、以降の図面では特に必要がない限りその説明を省略する。明細書中に特段の断りが無い限り、各要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0009】
図1に示すように、基板処理装置10は、支持された縦形の反応管(プロセスチューブ)11を備えており、反応管11は互いに同心円に配置された外管(アウタチューブ)12と内管(インナチューブ)13とから構成されている。外管12は石英(SiO
2)が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に一体成形されている。内管13は上下両端が開口した円筒形状に形成されている。内管13の筒中空部は、基板支持具(基板保持体、保持具)としてのボート31が搬入される処理室14を形成しており、内管13の下端側(開口空間)はボート31を出し入れするための炉口部15を構成している。
【0010】
外管12と内管13との間の下端部は、略円筒形状に構築された炉口フランジ部としてのマニホールド16によって気密封止されている。外管12及び内管13の交換等のために、マニホールド16は外管12及び内管13にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
【0011】
外管12と内管13との隙間によって排気路17が、横断面形状が一定幅の円形リング形状に構成されている。
図1に示されているように、マニホールド16の側壁の上部には排気管18の一端が接続されており、排気管18は排気路17の最下端部に通じた状態になっている。排気管18の他端には圧力コントローラ21によって制御される排気装置19が接続されており、排気管18の途中には圧力センサ20が接続されている。圧力コントローラ21は圧力センサ20からの測定結果に基づいて排気装置19をフィードバック制御するように構成されている。
【0012】
マニホールド16には下端開口を閉塞する蓋体(シールキャップ)25が垂直方向下側から接するようになっている。蓋体25はマニホールド16の外径と略等しい円盤形状に構築されており、筐体2の移載室(搬送室)3に設備されたボートカバー37に保護された昇降機構(ボートエレベータ)26によって垂直方向に昇降されるように構成されている。これにより、ボート31は、処理室14と処理室14に隣接して下方に設けられる移載室3との間を移動することが可能である。昇降機構26はモータ駆動の送りねじ軸装置及びベローズ等によって構成されており、昇降機構26のモータ27は駆動コントローラ28によって制御されるように構成されている。蓋体25の中心線上には回転軸30が配置されて回転自在に支持されている。回転軸30は駆動コントローラ28によって制御されるモータ29により回転駆動されるように構成されている。回転軸30の上端にはボート31が垂直に支持されている。本実施形態では、回転軸30とモータ29により回転機構を構成する。
【0013】
マニホールド16の下方に位置する蓋体25にはガス導入管22が内管13の炉口部15に通じるように配設されている。ガス導入管22には原料ガス供給装置、反応ガス供給装置及び不活性ガス供給装置(以下、ガス供給装置23と総称する。)が接続されている。ガス供給装置23はガス流量コントローラ24によって制御されるように構成されている。ガス導入管22から炉口部15に導入されたガスは、内管13の処理室14内を流通して排気路17を通って排気管18によって排気される。
【0014】
ボート31は上下で一対の端板32,33と、これらの間に垂直に架設された三本の保持部材としての支柱(柱)34とを備えており、三本の支柱34には多数の保持溝35が長手方向に等間隔に刻まれている。三本の支柱34において同一の段に刻まれた保持溝35同士は、互いに対向して開口するようになっている。ボート31は三本の支柱34の同一段の保持溝35間に基板1を挿入されることにより、複数枚の基板1を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。また、三本の支柱34の同一段の保持溝39間に断熱板120を挿入されることにより、複数枚の断熱板120を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。
【0015】
つまり、ボート31は、複数枚の基板1が保持される端板32から端板38間の基板処理領域と、複数枚の断熱板120が保持される端板38から端板33間の断熱板領域とを区別するように構成され、基板処理領域の下方に断熱板領域が配置されるよう構成されている。端板38と端板33の間に保持される断熱板120により断熱部36が構成される。
【0016】
回転軸30はボート31を蓋体25の上面から持ち上げた状態に支持するように構成されている。断熱部36は、炉口部15に設けられ、炉口部15を断熱するよう構成されている。また、蓋体25の下にはボート31を回転するモータ29があり、そのモータ29は中空モータ構造となっており、回転軸30がモータ29を貫通している。
【0017】
反応管11の外側には、加熱部としてのヒータユニット40が同心円に配置されて、筐体2に支持された状態で設置されている。ヒータユニット40の近傍には、ヒータ熱電対65(以後、第3温度センサともいう)が設けられ、温度コントローラ64はヒータ熱電対65からの測定結果に基づいてヒータユニット40をフィードバック制御するように構成されている。これにより、ヒータユニット40は、ボート31に保持される基板処理領域内の基板1を加熱するよう構成される。
【0018】
図1に示されているように、ケース41内に設置される断熱構造体42の側壁部43の上端側には天井部としての天井壁部80が空間75を閉じるように被せられている。天井壁部80には空間75の雰囲気を排気する排気経路の一部としての排気孔81が環状に形成されており、排気孔81の上流側端である下端は内側空間75に通じている。排気孔81の下流側端は排気ダクト82に接続されている。そして、空間75に吹き出した冷却エア90は排気孔81及び排気ダクト82によって排気されるように構成されている。
【0019】
図2に示すように、ヒータユニット40は縦方向に複数ゾーンに分割制御可能なように、ゾーン毎にヒータが設けられているため、複数のヒータが積み重なって構成されている。ヒータユニット40は、例えば、U、CU、C、CL、Lの5つのゾーンに分割されている。そして、それぞれのゾーン毎にヒータの温度を測定するヒータ熱電対65、内部熱電対66、基板熱電対211が設置されている。
図2では、処理基板は「1」と表記し、図示を省略している。
【0020】
外管12の内側(処理空間)には、内管13と外管12との間の温度を測定する、内部熱電対66(以後、第2温度センサともいう)が設置されている。この内部熱電対66は1つの石英管の中にゾーン数に応じた数の熱電対が収められている構造となっている。そしてその測温点はゾーンに対向した位置に設けられている。ヒータ熱電対65と同様に、温度コントローラ64は、内部熱電対66からの測定結果に基づいてヒータユニット40をフィードバック制御するように構成されている。
【0021】
基板1の温度を測定する、第1温度センサとしての基板熱電対211は、ボート31に設けられ、ボート31が回転し基板1が回転する時に、基板1と共に回転するように構成されている。基板熱電対211は、ボート31が昇降するとき、基板1と共に昇降するよう構成されている。基板熱電対211は、基板1の温度を測定する測温部211bと、測温部211bを構成する素線を包含するケーブル211cを含む構成となっている。
図2に示すように、測温部211bはすべてのゾーンに対向した位置に設けられている例が示されている。好ましくは、基板熱電対211、内部熱電対66およびヒータ熱電対65の各々の測温部の高さが略同一となるように配置される。ヒータ熱電対65や内部熱電対66と同様に、温度コントローラ64は、基板熱電対211からの測定結果に基づいてヒータユニット40をフィードバック制御するように構成されている。
【0022】
なお、第1温度センサ、第2温度センサ、及び、第3温度センサは、温度を電気信号として測定できるものであれば良く、熱電対に限らず、測温抵抗体などの他のセンサでも良い。また、第1温度センサ以外の他の温度センサとしては、第2温度センサと第3温度センサの両方のうちいずれかを示す。
【0023】
回転軸30にはケーブル211cを通す孔が貫通しており、ハーメチックシールなどを使って真空シールをしつつ、ケーブル211cを処理室14の外側(例えば、回転軸30の下部)の送信機221まで引き出せる構造となっている。ケーブル211cは、蓋体25の下の送信機221に接続されている。
【0024】
送信機221は回転軸30に固定されており、回転軸30と共に動く構造になっている。送信機221はケーブル211cを介して入力された基板熱電対211からの電気信号(電圧)をデジタル変換し、電波に乗せて無線伝送で送信する。
【0025】
蓋体25の下の移載室3の筐体2に固定された受信機222がある。受信機222は送信機221が出した信号を受信し、受信したデジタル信号をシリアル通信出力する端子(出力端子)222a、又は受信したデジタル信号を例えば4-20mAなどのアナログ信号に変換し出力する端子(出力端子)222bを有する。このデジタル信号又はアナログ信号の出力信号端子と温度表示器(不図示)又は温度コントローラ64との間をケーブル223で接続し、温度データを温度コントローラ64に入力する。なお、受信機222は、移載室3に設けられているが、この形態に限定されることはない。移載室3の外に配置されていてもよく、基板処理装置10から離れた位置に配置されていてもよい。
【0026】
図3(a)および
図3(b)に示すように、基板熱電対211の測温部211bは、基板1の周縁(周端より内側)に配置されている。また、
図3(a)では、基板熱電対211の測温部211bは、支柱34の近傍に配置されている。ここで「支柱34の近傍」とは、支柱34により基板1を保持した状態で、支柱34と基板1の中心との間の中間位置よりも支柱34に近い位置に配置されていることを意味する。このように、
図3(a)および
図3(b)によれば、基板熱電対211(測温部211b)が基板1を処理する空間(基板と基板の間の空間)に配置されている構成となっているので、ヒータ熱電対65や内部熱電対66よりも基板1に近い処理空間の温度を測定することができるため、より基板1の温度を正確に測定することができる。なお、ここでは、測温部211bの配置を明確にするために省略されているが、測温部211bを処理空間から隔離するために保護管が設けられる。保護管は例えば石英製である。
【0027】
図4に示すように、制御部としての制御用コンピュータであるコントローラ200は、中心部としてのCPU(Central Processing Unit)201及びメモリ202などを含むコンピュータ本体203と、通信部としての通信IF(Inter face)204と、記憶部としての記憶装置205と、表示部(操作部)としての表示・入力装置206とを有する。つまり、コントローラ200は一般的なコンピュータとしての構成部分を含んでいる。
【0028】
CPU201は、操作部の中枢を構成し、記憶装置205に記憶された制御プログラムを実行し、表示部206からの指示に従って、記憶装置205に記録されているレシピ(例えば、プロセス用レシピ)を実行する。また、一時記憶部としてのメモリ202は、CPU201のワークエリアとして機能する。
【0029】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、記憶装置205を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、記憶装置205を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、メモリ202や記憶装置205は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、メモリ202単体のみを含む場合、記憶装置205単体のみを含む場合、または、それの両方を含む場合がある。
【0030】
通信部としての通信IF204は、圧力コントローラ21、ガス流量コントローラ24、駆動コントローラ28、温度コントローラ64(これらをまとめてサブコントローラということもある。)と通信経路によって電気的に接続されている。コントローラ200は、この通信IF204を介してサブコントローラと各部品の動作に関するデータをやり取りすることができる。
【0031】
図5に示すように、温度コントローラ64は、制御部64aと、通信IF64bと、熱電対入力部64cと、制御出力部64dとを有する。
【0032】
制御部64aは、CPU及びメモリ等を含む一般的なコンピュータとしてのハードウェア構成を有する。制御部64aは、制御プログラムを実行することによって、通信IF64b及び熱電対入力部64cにより取得した情報を用いて、後述する温度制御アルゴリズムに従った制御演算を実行し、制御出力部64dへ演算結果を出力する。
【0033】
通信IF64bは、上位コントローラであるコントローラ200等と接続するための有線IFを有し、コントローラ200から目標温度及び制御パラメータ等の情報を受信したり、制御演算結果や温度情報を送信したりする。また、通信IF64bは、昇降機構26の駆動コントローラ28から、ボート位置情報を受信する。また、通信IF64bは、割り当て情報等を含む表示部206で設定された設定情報を受信する。受信したこれらの情報は、メモリに一時的に格納される。なお、この設定情報については後述する。
【0034】
熱電対入力部64cは、ボート31に固定された送信機221と接続するための無線IFである受信機222とを有する。また、熱電対入力部64cは、基板熱電対211、ヒータ熱電対65及び内部熱電対66から温度に相当する電気信号を入力しデジタル信号に変換して、制御部64aへ出力する。制御出力部64dは、制御部64aから受信した演算結果に基づいて、ヒータユニット40の温度制御を行うためのヒータ制御信号を出力する。
【0035】
以後の説明では、ヒータ熱電対65により検出された温度をヒータ温度、ヒータ熱電対65を使用した温度制御をヒータ温度制御と呼称する。また、基板熱電対211により検出された温度を基板温度、基板熱電対211を使用した温度制御を基板温度制御と呼称する。また、内部熱電対66により検出された温度を内部温度、内部熱電対66を使用した温度制御を内部温度制御と呼称する。
【0036】
次に、
図6を用いて、本実施形態における温度コントローラ64の制御ブロックの一例について説明する。制御ブロックは、ヒータユニット40のゾーン毎に構成されが、各ゾーンの構成は同じであるため、
図6では、まとめて一つで示している。
【0037】
制御ブロックは、補正部641、演算部642、切替部643、及び、演算部644の順に接続されるモードと、補正部645、切替部643、及び、演算部644の順に接続されるモードを有する。演算部642、演算部644、及び、切替部643には、ボート位置情報が入力される。
【0038】
温度コントローラ64は、ボート位置情報に従って、切替部643の入力端を選択する。また、温度コントローラ64は、設定情報に基づいて、ゾーン毎に、内部熱電対66、基板熱電対211のうちいずれか一つを選択可能に構成されている。
【0039】
ボート31が閉塞位置(処理室14)に位置する場合、温度コントローラ64は、設定情報で基板熱電対211または内部熱電対66が設定されているゾーンに関しては、切替部643の入力端「A」を選択し、基板温度又は内部温度、及びヒータ温度を被制御量として用いて温度制御する。例えば、温度コントローラ64は、PID制御を行うように構成されている。
【0040】
ボート31が閉塞位置以外の位置(例えば、移載室3)に位置する場合、温度コントローラ64は、切替部643の入力端「B」を選択し、ヒータ温度のみを被制御量として用いて温度制御する。例えば、温度コントローラ64は、PID制御を行うように構成されている。
【0041】
補正部641及び補正部645は、処理室14を同等温度に制御する際の目標温度とヒータ温度及び、基板温度または内部温度等との差分に従って、目標温度を補正する。
【0042】
次に、
図8(a)、
図8(b)を用いて、ヒータ熱電対65、内部熱電対66および基板熱電対211の設定情報(割り当て情報ともいうことがある)について説明する。例えば、基板熱電対211の割り当て情報は、表示部206の画面に表示される
図8(a)(または、
図9(a)~
図9(c)の左側)に示す割当パラメータに入力することにより、設定される。なお、
図8(b) (または、
図9(a)~
図9(c)の右側) に示す基板熱電対211が割り当てられる各ゾーンの割当先の情報も割当パラメータに含むようにしてもよい。
【0043】
図8(a)に示すように、表示部206には、基板熱電対ユニット機能の有効(すなわち、基板熱電対211の使用の有無)の設定項目(BTCU)および基板熱電対211の五つの測温部211bの温度データの割り当て先の設定項目(CH割当)が表示される。表示部206上で、それらの設定項目(
図8(a)に示す網掛けされた箇所)に入力(設定)が可能である。設定された割当パラメータは一時的に記憶装置205に記憶される。なお、
図8(a)は、5つの例であるが、6つ以上に拡張することもでき、本実施形態では、5つに限定しているわけではない。例えば、10つの測温部の温度データにも対応可能である。
【0044】
「BTCU」の設定項目において、「無し」が入力される場合、後述の「CH割当」の設定項目に入力があっても、基板熱電対211は温度制御に使用されない。一方、「Type1」が入力される場合、基板熱電対211は温度制御に使用される。
【0045】
「CH割当」の設定項目は、基板熱電対211の五つの測温部211bの([BCH]欄の1~5)の温度データを
図8(b)に示すヒータ熱電対(HTC)65の五つの測温部および内部熱電対(CTC)66の5つの測温部の何れに割り当てるかの指定に使用される。
図8(a)に示すように、「CH割当」に「00」が入力される場合、基板熱電対211の温度データの割り当ては無い。ここで、「CH割当」に「01」~「10」のうちいずれかが入力(設定)されると、
図8(b)に示すヒータ熱電対(HTC)65の「01」~「05」および内部熱電対(CTC)66の「06」~「10」で示される各ゾーンに対して割り当てられた温度データのうちいずれかが基板熱電対211の温度データに割り当てられる。すなわち、
図8(b)に示す「01」~「10」は基板熱電対211の温度データの割り当て先である。また、「CH割当」に「01」~「10」以外の数字が入力されると無効となる。すなわち、「CH割当」に「00」が入力される場合と同様である。
【0046】
表示部206は、
図8(b)に示される、ヒータ熱電対65の各ゾーンに割り当てられた設定情報(「01」~「05」)や内部熱電対66の各ゾーンに割り当てられた設定情報(「06」~「10」)を表示するように構成されている。例えば、
図8(a)に示す割当パラメータと同じ画面に表示させて、割当パラメータに含むように構成してもよい。また、
図8(b)に示される設定情報(「01」~「10」)を編集できるように構成し、基板熱電対211の割当先を設定可能にしてもよい。なお、
図8(b)に示すように、ヒータ熱電対65の「01」~「05」は、第1ゾーンから第5ゾーンにそれぞれ対応し、例えば、U、CU、C、CLおよびLのゾーンに対応する。内部熱電対66の「06」~「10」も同様に第1ゾーンから第5ゾーンにそれぞれ対応し、例えば、U、CU、C、CLおよびLのゾーンに対応する。
【0047】
図9(a)~
図9(c)に具体的な設定例を示す。
図9(a)は、CU、CおよびCLのゾーンの内部熱電対66(「07」~「09」)の代わりにCU、CおよびCLのゾーンの基板熱電対211(BCH1~BCH3)を割り当てる設定例である。この設定により、CU、CおよびCLのゾーンの内部熱電対66の温度データの代わりにCU、CおよびCLのゾーンの基板熱電対211の温度データを使用して温度制御が行われる。言い換えると、割り当てパラメータに従って、対応する内部熱電対66の検知温度情報に対して、基板熱電対211の検知温度情報を上書き(または、切替え)する。上書き後の検知温度(基板熱電対211により検出される温度)を使用して温度制御が行われる。このことにより、基板熱電対211の測温部が設置されているゾーンは基板熱電対211で、そうではないゾーンは内部熱電対66で温度制御が行われる。
【0048】
図9(b)は、U、CU、C、CLおよびLのゾーンのヒータ熱電対65(「01」~「05」)の代わりにU、CU、C、CLおよびLのゾーンの基板熱電対211(BCH1~BCH5)を割り当てる設定例である。言い換えると、U、CU、C、CLおよびLのゾーンのヒータ熱電対65の温度データの代わりにU、CU、C、CLおよびLのゾーンの基板熱電対211の温度データを使用して温度制御が行われる。言い換えると、割り当てパラメータに従って、対応するヒータ熱電対65の検知温度情報に対して、基板熱電対211の検知温度情報を上書き(または、切替え)する。上書き後の検知温度(基板熱電対211により検出される温度)を使用して温度制御が行われる。このことにより、基板熱電対211の測温部が全てのゾーンに設置されているので、ヒータ熱電対65に代わって基板熱電対211で温度制御が行われる。
【0049】
図9(c)は、基板熱電対211(BCH1~BCH5)の割り当てがない設定例である。
図9(c)に示すように、「CH割当」に基板熱電対211の温度データの割当先が入力されていたとしても、基板熱電対211の温度データは温度制御には使用されない。
【0050】
このように、本実施形態では、割当パラメータにより予め設定されている内容に応じてゾーン毎に基板熱電対211と、内部熱電対66と、ヒータ熱電対65のうち少なくとも一つが任意に選択される。これにより、基板熱電対211、内部熱電対66およびヒータ熱電対65を組合わせることができるため、基板1の処理空間の温度制御を向上させることができる。
【0051】
本実施形態では、例えば、基板熱電対211の測温部の数がゾーンの数より少ないとき、不足しているゾーンに炉内熱電対66またはヒータ熱電対65により温度を検出させることが可能である。但し、この場合、
図8(a)に示す「CH割当」の設定項目が測温部の数しか表示されない(もしくは、ゾーンの数は表示されるが測温部の数しか設定できないようになっている)。なお、この場合でも、
図8(a)に示す「BTCU」の設定項目において「無し」が入力される場合、基板熱電対211の温度データは使用されないのは、言うまでもない。
【0052】
図7(a)に示すように、温度制御領域がU、CU、C、CLおよびLのゾーンである場合に、ボート31の基板処理領域がCU、CおよびCLのゾーンに位置するとき、UおよびLのゾーンには基板熱電対211を配置することはできないという設置空間上の制約がある。この場合、例えば、割当パラメータを
図9(a)に示すように設定すればよい(但し、
図9(a)の[BCH]欄の4と5は設定不可能([00]固定)となっている)。このように設定することにより、CU、CおよびCLのゾーンは基板熱電対211により検出される温度に基づいて、UおよびLのゾーンは内部熱電対66により検出される温度に基づいてヒータユニット40が制御され得る。
【0053】
図7(b)に示すように、ボート31の基板処理領域がU、CU、C、CLおよびLのゾーンに位置する場合、制作上の制約によってCUおよびCLのゾーンには基板熱電対211を配置することはできないことがある。この場合、例えば、
図8(a)に示す割当パラメータとしての、「BTCU」の設定項目で「Type1」を選択し、[BCH]欄の1~3にそれぞれ相当する「CH割当」の設定項目で[06][08][10]を入力し、[BCH]欄の4と5にそれぞれ相当する「CH割当」の設定項目で[00]を入力する。このように設定することにより、U、CおよびLのゾーンは基板熱電対211により検出される温度に基づいて、CUおよびCLのゾーンは内部熱電対66により検出される温度に基づいてヒータユニット40が制御され得る。
【0054】
なお、上述の説明では、表示部206に[BCH]欄に1~5を表示する(「CH割当」の設定項目の数をゾーン数(例えば、5ゾーン)に固定する)場合について述べたが、ゾーン数に対して基板熱電対211の測温部の数が少ない場合、表示部206に「CH割当」の設定項目の数を測温部の数しか表示させないように構成してもよい。このように、本実施形態によれば、基板熱電対211の測温部の数がゾーンの数より少ないとき、不足しているゾーンに内部熱電対66またはヒータ熱電対65により温度を検出させることが可能である。これにより、各ゾーンに配置される温度センサを有効利用してヒータユニット40により温度制御可能である。
【0055】
次に、
図10(a)および
図10(b)を用いて、基板処理装置で行われる基板処理シーケンスの一例について説明する。
【0056】
ステップS101(待機ステップ)は、処理室14の温度を待機温度(準備温度)の目標温度T0に安定される処理である。ステップS101では基板1はまだ処理室14に投入されていない。
【0057】
ステップS102(ボートロードステップ)は、ボート31に保持された基板1を処理室14へ投入する処理である。駆動コントローラ28は、昇降機構26によってボート31を上昇させて処理室14に搬入する。
【0058】
処理室14への搬入前においてボート31及び基板1の温度は処理室14の温度(すなわち、T0)より低い。また、基板1を処理室14へ投入した結果、処理室14外の雰囲気(室温)が処理室14内に導入される。これらのため、
図10(b)に示すように、処理室14の温度は一時的にT0より低くなる。その後、温度コントローラ64による制御により処理室14の温度は若干の時間を経て再びT0に安定する。
図10(b)では処理基板を処理室14へ投入した後、及び、次のステップS103の目標温度をステップS101と等しく図示されているが、ステップS103の要求条件(処理温度)に対応して投入後の目標温度が異なる場合もある。
【0059】
ステップS103(処理ステップ)は、基板1に所定の処理を施すために処理室14の温度を処理温度の目標温度T0で維持して安定させる処理である。温度コントローラ64は、目標温度T0に温度センサの測定温度が近づくようにヒータユニット40を制御する。例えば、温度コントローラ64は、第1温度センサにより検出される温度が目標温度T0に近づくようにヒータユニット40を制御する。本明細書における処理温度とは基板1の温度または処理室14の温度のことを意味する。
【0060】
ステップS104(ボートアンロードステップ)は、処理が施された基板1をボート31と共に処理室14から引き出す処理である。駆動コントローラ28は、昇降機構26によってボート31を下降させて移載室3に搬出(搬送)する。
【0061】
処理を施すべき未処理の基板1が残っている場合には、処理済基板1をボート31から退避させ、代わりに未処理の基板1と入れ替えられ、これらステップS101~S104の一連の処理が繰り返される。
【0062】
ステップS101~S104は、目標温度に対し、処理室14の温度が予め定められた微小温度範囲にあり、かつ、予め定められた時間以上その状態が続くといった安定状態を得た後に実施するように構成されている。
【0063】
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0064】
(a)本実施形態によれば、温度制御システム(基板処理装置10)は、複数のゾーンに各々配置される加熱部(ヒータユニット40)と、基板1と共に動作しながら基板1の温度を検出する第1温度センサ(基板熱電対211)と、第1温度センサ以外の他の温度センサと、第1温度センサと他の温度センサにより検出される温度に基づき、ゾーン毎に加熱部を制御することが可能に構成される制御部(コントローラ200)と、を有する。これにより、基板1に最も近い温度センサ(第1温度センサ)で温度検出することができるため、基板1が配置される処理空間(処理室14)の温度制御を向上させることができる。
【0065】
(b)本実施形態によれば、他の温度センサは、基板1を処理する処理空間に設けられる第2温度センサ(内部熱電対66)と、加熱部近傍に設けられる第3温度センサ(ヒータ熱電対65)を少なくとも含み、更に、温度制御システム(基板処理装置10)は、ゾーン毎に、第1温度センサ、第2温度センサまたは第3温度センサのうちいずれかを割り当てる割当パラメータを記憶する記憶部(記憶装置205)を有する。これにより、基板に最も近い温度センサ(第1温度センサ)と、それ以外の温度センサ(第2温度センサおよび第3温度センサ)をゾーン毎に任意に割り当てることができる。従い、第1温度センサ、第2温度センサおよび第3温度センサを組合わせることができるため、処理空間の温度制御を向上させることができる。
【0066】
(c)本実施形態によれば、制御部(コントローラ200)は、割当パラメータにより予め設定されている内容に応じてゾーン毎に第1温度センサと、第2温度センサと、第3温度センサのうち少なくとも一つを任意に選択することが可能なように構成されている。これにより、基板に最も近い温度センサ(第1温度センサ)と、それ以外の温度センサ(第2温度センサおよび第3温度センサ)を組合わせることにより、処理空間の温度制御を向上させることができる。
【0067】
(d)本実施形態によれば、制御部(コントローラ200)は、基板1が配置される処理空間の温度を第1温度センサに検知させ、基板1が配置されない処理空間を他の温度センサに検知させることが可能なように構成されている。すなわち、基板1が配置されている領域を基板1に最も近い温度センサ(第1温度センサ)により温度を検出させ、それ以外は、基板1が配置されていない領域を他の温度センサにより温度を検出させる。これにより、適材適所で温度センサを用いることができるため、処理空間の温度制御が可能となる。
【0068】
(e)本実施形態によれば、第1温度センサは、基板1近傍(例えば、基板1と基板1の間)の処理空間の温度を検知するように構成されている。具体的には、第1温度センサが、垂直方向(上下方向)において基板1と基板1の間の処理空間に配置され、水平方向において基板1の周縁部に配置されるので、基板1の処理空間の温度を監視することができる。
【0069】
(f)本実施形態によれば、基板1が配置される処理空間において、第1温度センサ、他の温度センサの各々の測温部の高さが略同一となるように配置されている。各温度センサの測温部の高さを同じにするように配置されているため、基板1が配置される処理空間における温度制御性が格段に向上し、高精度な温度制御が可能となる。
【0070】
(g)本実施形態によれば、制御部(コントローラ200)は、第1温度センサの数がゾーンの数より少ないとき、不足しているゾーンに他の温度センサにより温度を検出させることが可能に構成されている。これにより、ハード上の制約により、ゾーン数より基板熱電対211の数が少ない場合でも、不足分を内部熱電対66またはヒータ熱電対65で補う形で温度制御することができる。
【0071】
(h)本実施形態によれば、制御部(コントローラ200)は、保持部に対向するゾーンでは、第1温度センサより温度を検出させ、保持部に対向しないゾーンでは、他の温度センサにより温度を検出させることが可能に構成されている。これにより、保持具に設けられる基板1に最も近い温度センサと、基板1が配置されていない領域の温度を検知する他の温度センサと、を組合わせて温度制御することができ、処理空間の温度制御性が格段に向上する。
【0072】
(i)本実施形態によれば、制御部(コントローラ200)は、基板1が配置されるCUゾーン、CゾーンおよびCLゾーンを含む複数のゾーンに対向する処理空間の温度を第1温度センサに検知させ、基板が配置されないUゾーンおよびLゾーンを含む複数のゾーンに対向する処理空間の温度を他の温度センサにより温度を検出させることが可能に構成されている。すなわち、基板が配置されているゾーンを基板1に最も近い温度センサにより温度を検出させ、基板1が配置されていないゾーンを他の温度センサにより温度を検出させる。これにより、適材適所で温度センサを用いることができるため、処理空間内の温度制御が可能となる。
【0073】
(j)本実施形態によれば、温度制御システムは、ゾーン毎に第1温度センサと他の温度センサのうちどちらか一方を指定することが可能に構成される表示部206を有する。これにより、複数のゾーンを有する加熱部毎に、任意に温度センサを選択することができる。これにより、第1温度センサを有する保持具から使用しない保持具への改造、又は、第1温度センサを有する保持具を使用する改造があっても、割当パラメータを設定(変更)するだけでよく、例えば、部品変更(保持具変更)による改造に対してプログラムを変更することなく対応することができる。
【0074】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0075】
(他の実施形態)
上述の実施形態では1つの加熱部(第1加熱部)について記載したが、実際には複数の加熱部が存在する場合がある。例えば、第2加熱部(天井ヒータ)と第3加熱部(炉口部ヒータ)を有する場合がある。天井ヒータは、保持具の上側から保持具(ボート)に保持された基板を加熱するヒータであり、炉口部ヒータは、保持具の下側から保持具に保持された基板を加熱するヒータである。これらは、特に保持具に保持された基板の上端部および下端部に配置される基板を加熱補助するために用いられ、サブヒータ(もしくは補助ヒータ)ともいわれる。これらはそれぞれ第1加熱部のUゾーン、Lゾーンの加熱を補助する役目を担う。
【0076】
第2加熱部(天井ヒータ)と第3加熱部(炉口部ヒータ)の近傍には、それぞれ天井ヒータ熱電対(第4温度センサ)と炉口部サブヒータ熱電対(第5温度センサ)が設けられる。これらの指定は、直接ではなく、例えば、Uゾーンを第1温度センサ以外の他の温度センサで設定することで、自動的に、天井ヒータで加熱し、天井ヒータ熱電対による温度検出が行われるようにしてもよい。そして、第1温度センサ以外の他の温度センサとしては、第2温度センサ、第3温度センサ、第4温度センサ、第5温度センサのいずれか少なくとも一つのセンサを示す。
【0077】
本実施形態では、表示部206の設定画面上で、ゾーン毎に第2加熱部(天井ヒータ)に設けられる天井ヒータ熱電対(第4温度センサ)または第3加熱部(炉口部ヒータ)に設けられる炉口部サブヒータ熱電対(第5温度センサ)を設定するようにしてもよい。例えば、これにより、基板が配置されるゾーンに対して第1温度センサ(基板熱電対211)を設定し、基板が配置されない第1ゾーンに対して第4温度センサを設定し、基板が配置されない第5ゾーンに対して第5温度センサを設定することができる。これにより、基板が配置されている領域を第1温度センサ(基板に最も近い温度センサ)により温度を検出させ、基板が配置されていない領域を第1温度センサ以外の前記第4温度センサ(天井ヒータ熱電対)と第5温度センサ(炉口部サブヒータ熱電対)を含む他の温度センサにより温度を検出させることが可能となる。
【0078】
本実施形態によれば、上述の(a)~(j)の効果および以下に示す効果のうち、1つ又は複数の効果が得られる。
【0079】
(k)各サブヒータの近傍に設けられる温度センサ(第4温度センサ、第5温度センサ)についても割当パラメータによって設定することができる。よって、設定画面上で割当パラメータを設定することにより、各種温度センサを任意に用いる(組合せする)ことができるため、処理空間の温度制御の精度向上が期待できる。
【0080】
基板処理装置として、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようなガラス基板を処理する装置でも適用できる。また、プロセスは特に限定されずに何でもよい。成膜処理であれば、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜、またはその両方を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理等、特に膜種に限定されることはない。更に、成膜以外のアニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理であっても構わない。
【符号の説明】
【0081】
40・・・ヒータユニット(加熱部)
200・・・コントローラ(制御部)
211・・・基板熱電対(第1温度センサ)