(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137615
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
G03F 7/027 20060101AFI20240927BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240927BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240927BHJP
C08F 265/04 20060101ALI20240927BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03F7/027 502
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C08F265/04
C08F2/44 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147037
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】10-2023-0036792
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウンビ
(72)【発明者】
【氏名】コン,ジヒェ
(72)【発明者】
【氏名】キム,イクジン
(72)【発明者】
【氏名】コン,ヒュクシン
(72)【発明者】
【氏名】パク,トンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ベク ソン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J011
4J026
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE13
2H148BF16
2H148BG11
2H148BH02
2H148BH22
2H225AC31
2H225AC36
2H225AD06
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA05P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225CA17
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
4J011PA47
4J011PA69
4J011PA70
4J011PB25
4J011PB39
4J011QA21
4J011QA23
4J011QA25
4J011QA33
4J011QA34
4J011SA65
4J011WA01
4J026AA44
4J026BA28
4J026BB04
4J026DB06
4J026DB11
4J026DB24
4J026DB25
4J026DB28
4J026GA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターを提供する。
【解決手段】(A)光重合性化合物;(B)着色剤;(C)バインダー樹脂;(D)光重合開始剤;および(E)溶媒を含み、(A)光重合性化合物は、(A-1)4個の官能基を有する第1光重合性化合物、(A-2)6個の官能基を有する第2光重合性化合物、および(A-3)8個以上の官能基を有する第3光重合性化合物を含む感光性樹脂組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光重合性化合物;
(B)光重合開始剤;
(C)着色剤;
(D)バインダー樹脂;および
(E)溶媒を含み、
前記(A)光重合性化合物は、
(A-1)4個の官能基を有する第1光重合性化合物、
(A-2)6個の官能基を有する第2光重合性化合物、および
(A-3)8個以上の官能基を有する第3光重合性化合物を含み、
下記数式1を満たす、
感光性樹脂組成物。
[数式1]
(x+z)/y>1
(前記数式1で、
xは、前記光重合性化合物の合計に対する第1光重合性化合物の含有量(重量%)であり;
yは、前記光重合性化合物の合計に対する第2光重合性化合物の含有量(重量%)であり;
zは、前記光重合性化合物の合計に対する第3光重合性化合物の含有量(重量%)である。)
【請求項2】
前記(A)光重合性化合物は、下記数式2を満たす、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
[数式2]
(x+y)/z>1
(前記数式2で、x、y、およびzは、請求項1に定義したとおりである。)
【請求項3】
前記(A)光重合性化合物内の(A-1)第1光重合性化合物および(A-3)第3光重合性化合物の重量比は、9:1~6:4である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)光重合性化合物の合計に対して、前記(A-1)第1光重合性化合物は、35~60重量%含まれ、前記(A-2)第2光重合性化合物は、35~55重量%含まれ、前記(A-3)第3光重合性化合物は、10~30重量%含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記感光性樹脂組成物の合計に対して、(A)光重合性化合物は、0.1~5重量%含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A-1)第1光重合性化合物は、下記化学式1で表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1で、
L
1~L
4は、それぞれ独立して(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;
R
1~R
3のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキルであり、他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基であり;
[化学式A]
【化2】
前記化学式Aで、
L
5は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;
R
4~R
6のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基である。
【請求項7】
前記(A-1)第1光重合性化合物は、下記化学式1-1または1-2で表される、請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
[化学式1-1]
【化3】
[化学式1-2]
【化4】
【請求項8】
前記(A-2)第2光重合性化合物は、下記化学式2で表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
[化学式2]
【化5】
(前記化学式2で、
L
6~L
13は、それぞれ独立して置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基であり;
R
7~R
12は、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基である。)
【請求項9】
前記(A-2)第2光重合性化合物は、下記化学式2-1または2-2で表される、請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
[化学式2-1]
【化6】
[化学式2-2]
【化7】
【請求項10】
前記(A-3)第3光重合性化合物は、14個の官能基を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記(A-3)第3光重合性化合物は、下記化学式3で表される、請求項10に記載の感光性樹脂組成物:
[化学式3]
【化8】
前記化学式3で、
L
14~L
17は、それぞれ独立して(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;
R
13~R
15のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基であり;
R
16~R
18のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキルで基あり、他の一つは下記化学式Aで表される置換基であり、また他の一つは下記化学式Bで表される置換基であり;
R
19~R
21のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基であり;
R
22~R
24のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の一つは下記化学式Aで表される置換基であり、また他の一つは下記化学式Bで表される置換基であり;
[化学式A]
【化9】
前記化学式Aで、
L
5は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;
R
4~R
6のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基であり;
[化学式B]
【化10】
前記化学式Bで、
L
18は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;
R
25~R
27のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の一つは末端がヒドロキシ基で置換されたC1~C20アルキル基であり、また他の一つは(メタ)アクリレート基である。
【請求項12】
前記(A-3)第3光重合性化合物は、下記化学式3-1または3-2で表される、請求項11に記載の感光性樹脂組成物。
[化学式3-1]
【化11】
[化学式3-2]
【化12】
【請求項13】
前記(B)着色剤は、顔料を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記顔料は、ピグメントグリーン、ピグメントイエロー、またはこれらの混合物を含む、請求項13に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記(C)バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の合計に対して、
前記(A)光重合性化合物0.1重量%~5重量%;
前記(B)光重合開始剤0.1重量%~5重量%;
前記(C)着色剤30重量%~80重量%;
前記(D)バインダー樹脂1重量%~20重量%;および
前記(E)溶媒残部量
を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜。
【請求項18】
請求項17に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルター。
【請求項19】
請求項18に記載のカラーフィルターを含むCMOSイメージセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサーは、光子を電子に変換してディスプレイで表示したり、保存装置に保存したりできるようにする半導体に該当する。
【0003】
イメージセンサーは、製造工程と応用方式により、固体撮像素子(charge coupled device、CCD)イメージセンサーと相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)イメージセンサーとに分類される。
【0004】
相補性金属酸化物半導体イメージセンサー(CMOS Image Sensor、CIS)とは、カメラが受け入れたイメージをデジタル信号に変換する非メモリ半導体であって、カラーフィルター、フォトダイオード、増幅器などピクセル(pixel)の集合体である。
【0005】
カラーフィルターは、赤色(red)、緑色(green)、および青色(blue)の加法混色のフィルターセグメント(filter segment)を含む。カラーフィルターを製造する方法の一つとして顔料分散法が知られている。
【0006】
顔料分散法は、着色剤を含む感光性樹脂組成物を基板上にコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後に現像し、ポストベーク(post bake)を通じて熱硬化させることによって感光性樹脂膜を形成し、このような一連の過程を繰り返すことによってカラーフィルターを製造する方法である。
【0007】
このようにカラーフィルターを製造する過程で、基板に対する感光性樹脂組成物の密着力は感光性樹脂膜のパターン性に影響を与える。基板に対する感光性樹脂組成物の密着力を向上させる方法としては、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、カップリング剤などの含有量を高めて感光性樹脂組成物の硬化度を強化させる方法が知られている。
【0008】
ただし、これらの公知の方法では、基板に対する感光性樹脂組成物の密着力が向上するほど、感光性樹脂膜のパターン残渣がむしろ増加する傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施形態の目的は、感光性樹脂組成物または感光性樹脂膜の基板に対する密着力を向上させると同時に、カラーフィルターの製造時に感光性樹脂膜のパターン残渣を最小化することができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
他の一実施形態の目的は、感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供することにある。
【0011】
また他の一実施形態の目的は、感光性樹脂膜を利用して製造されたカラーフィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態は、(A)光重合性化合物;(B)光重合開始剤;(C)着色剤;(D)バインダー樹脂;および(E)溶媒を含み、(A)光重合性化合物は、(A-1)4個の官能基を有する第1光重合性化合物、(A-2)6個の官能基を有する第2光重合性化合物、および(A-3)8個以上の官能基を有する第3光重合性化合物を含み、下記数式1を満たす、感光性樹脂組成物を提供する。
[数式1]
(x+z)/y>1
数式1で、xは、光重合性化合物の合計に対する第1光重合性化合物の含有量(重量%)であり;yは、光重合性化合物の合計に対する第2光重合性化合物の含有量(重量%)であり;zは、光重合性化合物の合計に対する第3光重合性化合物の含有量(重量%)である。
【0013】
(A)光重合性化合物は、下記数式2を満たしてもよい。
[数式2]
(x+y)/z>1
数式2で、x、y、およびzは、上記で定義したとおりである。
【0014】
(A)光重合性化合物内の(A-1)第1光重合性化合物と(A-3)第3光重合性化合物との重量比は、9:1~6:4であってもよい。
【0015】
(A)光重合性化合物の合計に対して、(A-1)第1光重合性化合物は、35~60重量%含まれ、(A-2)第2光重合性化合物は、35~55重量%含まれ、(A-3)第3光重合性化合物は、10~30重量%含まれてもよい。
【0016】
感光性樹脂組成物の合計に対して、(A)光重合性化合物は、0.1~5重量%含まれてもよい。
【0017】
(A-1)第1光重合性化合物は、下記化学式1で表されてもよい。
[化学式1]
【化1】
化学式1で、L
1~L
4は、それぞれ独立して(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;R
1~R
3のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキルであり、他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基であり;
[化学式A]
【化2】
化学式Aで、L
5は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;R
4~R
6のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基である。
【0018】
(A-1)第1光重合性化合物は、下記化学式1-1または1-2で表されてもよい。
[化学式1-1]
【化3】
[化学式1-2]
【化4】
【0019】
(A-2)第2光重合性化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
[化学式2]
【化5】
化学式2で、L
6~L
13は、それぞれ独立して置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基であり;R
7~R
12は、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基である。
【0020】
(A-2)第2光重合性化合物は、下記化学式2-1または2-2で表されてもよい。
[化学式2-1]
【化6】
[化学式2-2]
【化7】
【0021】
(A-3)第3光重合性化合物は、14個の官能基を有してもよい。
【0022】
(A-3)第3光重合性化合物は、下記化学式3で表されてもよい。
[化学式3]
【化8】
化学式3で、L
14~L
17は、それぞれ独立して(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;R
13~R
15のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基であり;R
16~R
18のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキルで基あり、他の一つは下記化学式Aで表される置換基であり、また他の一つは下記化学式Bで表される置換基であり;R
19~R
21のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基であり;R
22~R
24のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の一つは下記化学式Aで表される置換基であり、また他の一つは下記化学式Bで表される置換基であり;
[化学式A]
【化9】
化学式Aで、L
5は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;R
4~R
6のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の二つは、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基である。
[化学式B]
【化10】
化学式Bで、
L
18は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10であり;R
25~R
27のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、他の一つは末端がヒドロキシ基で置換されたC1~C20アルキル基であり、また他の一つは(メタ)アクリレート基である。
【0023】
(A-3)第3光重合性化合物は、下記化学式3-1または3-2で表されてもよい。
[化学式3-1]
【化11】
[化学式3-2]
【化12】
【0024】
(B)着色剤は、顔料を含んでもよい。
【0025】
顔料は、ピグメントグリーン、ピグメントイエロー、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0026】
(C)バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含んでもよい。
【0027】
感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の合計に対して、(A)光重合性化合物0.1重量%~5重量%;(B)光重合開始剤0.1重量%~5重量%;(C)着色剤30重量%~80重量%;(D)バインダー樹脂1重量%~20重量%;および(E)溶媒残部量を含んでもよい。
【0028】
他の一実施形態では、上記の感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0029】
また他の一実施形態では、上記の感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0030】
また他の一実施形態では、上記のカラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【0031】
その他の本発明の態様の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0032】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物または感光性樹脂膜の基板に対する密着力を向上させると同時に、カラーフィルターの製造時に感光性樹脂膜のパターン残渣を最小化することができる。
【0033】
そのため、一実施形態による感光性樹脂組成物は、優れた性能のCMOSイメージセンサーを実現するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施例3および比較例5のそれぞれに対して、バルク領域(倍率:2.5)および微細パターン部分(倍率:2.5)の光学顕微鏡写真を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0036】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」とは、化合物中の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、C1~C20アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸またはその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C30アリール基、C3~C20シクロアルキル基、C3~C20シクロアルケニル基、C3~C20シクロアルキニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキル基、C2~C20ヘテロシクロアルケニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキニル基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0037】
本明細書で特別な言及がない限り、「ヘテロシクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルケニル基」、「ヘテロシクロアルキニル基」および「ヘテロシクロアルキレン基」とは、それぞれ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびシクロアルキレンの環化合物内に少なくとも一つのN、O、SまたはPのヘテロ原子が存在することを意味する。
【0038】
本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方共に可能であることを意味する。
【0039】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0040】
(感光性樹脂組成物)
一実施形態は、(A)光重合性化合物;(B)着色剤;(C)バインダー樹脂;(D)光重合開始剤;および(E)溶媒を含み、(A)光重合性化合物は、(A-1)4個の官能基を有する第1光重合性化合物、(A-2)6個の官能基を有する第2光重合性化合物、および(A-3)8個以上の官能基を有する第3光重合性化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0041】
先に指摘したとおり、感光性樹脂組成物または感光性樹脂膜の基板に対する密着力と感光性樹脂膜のパターン残渣は、トレードオフ(trade-off)関係にあることが一般的である。しかし、一実施形態による感光性樹脂組成物は、3種の光重合性化合物を混合して使用することによって、感光性樹脂組成物または感光性樹脂膜の基板に対する密着力を向上させると同時に、カラーフィルターの製造時に感光性樹脂膜のパターン残渣を最小化することができる。
【0042】
具体的に、3種の光重合性化合物において、官能基の数が増加するほど基板に対する相互作用が増加して感光性樹脂組成物の塗布工程で密着力を向上させるのに有利である。一方、官能基の数が減少するほど硬化度が低いため、現像工程で感光性樹脂膜の収縮程度を低下させ、パターン残渣を顕著に減少させるのに有利である。
【0043】
一実施形態の感光性樹脂組成物は、3種の光重合性化合物を混合して使用しながら、その配合比を適切な範囲に制御することによって、各光重合性化合物の長所を得ながらも短所は補完し、感光性樹脂組成物または感光性樹脂膜の基板に対する密着力と感光性樹脂膜のパターン残渣を調和的に向上させることができる。
【0044】
具体的に、一実施形態の感光性樹脂組成物は、下記数式1を満たすことができる。
[数式1]
(x+z)/y>1
【0045】
数式1で、xは、光重合性化合物の合計に対する第1光重合性化合物の含有量(重量%)であり;yは、光重合性化合物の合計に対する第2光重合性化合物の含有量(重量%)であり;zは、光重合性化合物の合計に対する第3光重合性化合物の含有量(重量%)である。
【0046】
一方、官能基の数が最も多い第3光重合性化合物は、バルキー(bulky)であり、その含有量を高めるほどカラーフィルターの製造時に感光性樹脂膜のパターン残渣を増加させることがある。これを補完するために、一実施形態の感光性樹脂組成物は、下記数式2をより満たすようにすることができる。
[数式2]
(x+y)/z>1
【0047】
数式2で、x、y、およびzは、先に定義したとおりである。
【0048】
(A)光重合性化合物内の(A-1)第1光重合性化合物および(A-3)第3光重合性化合物の重量比は、9:1~6:4、具体的に8:2~6:4であってもよい。これは先に言及した理由のように、官能基の数が最も多い第3光重合性化合物の長所を得るが、その短所は官能基の数が最も少ない第1光重合性化合物で補完するためのものである。
【0049】
(A)光重合性化合物の合計に対して、(A-1)第1光重合性化合物は、35~60重量%、具体的に40~55重量%、例えば40~50重量%含まれ;(A-2)第2光重合性化合物は、35~55重量%、具体的に35~50重量%、例えば30~40重量%含まれ;(A-3)第3光重合性化合物は、10~30重量%、具体的に15~30重量%、例えば15~25重量%含まれ得る。
【0050】
この範囲を満たしながら数式1、数式2などを同時に満たす場合、先に言及した効果をより調和的に向上させることができる。
【0051】
以下、一実施形態の感光性樹脂組成物を構成する各成分をより詳しく説明する。
【0052】
[(A)光重合性化合物]
(A-1)第1光重合性化合物
(A-1)第1光重合性化合物は、下記化学式1で表されてもよい。
[化学式1]
【化13】
[化学式A]
【化14】
【0053】
化学式1に関する説明は次のとおりである。
【0054】
L1~L4は、それぞれ独立して(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10である。例えば、L1~L4は、全て繰り返し数が1であるエチレンオキシドの繰り返し単位、つまり、*-OCH2CH2-*であってもよい。
【0055】
R1~R3のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよい。具体的に、R1~R3のうちのいずれか一つは置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよく、例えばメチル基であってもよい。
【0056】
R1~R3のうちの他の二つは化学式Aで表される置換基である。
【0057】
化学式Aに関する説明は次のとおりである。
【0058】
L5は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10である。例えば、L5は非置換のC1アルキレン基、つまり、*-CH2-*であってもよい。
【0059】
R4~R6のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。具体的に、R4~R6のうちのいずれか一つは置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよく、例えばメチル基であってもよい。
【0060】
R4~R6のうちの他の二つは、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基であってもよい。
【0061】
(A-1)第1光重合性化合物の代表的な例は次のとおりである。
[化学式1-1]
【化15】
[化学式1-2]
【化16】
【0062】
(A-2)第2光重合性化合物
(A-2)第2光重合性化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
[化学式2]
【化17】
【0063】
化学式2に関する説明は次のとおりである。
【0064】
L6~L13は、それぞれ独立して置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基である。例えば、L6~L13は、全てC1アルキレン基、つまり、*-CH2-*であってもよい。
【0065】
R7~R12は、それぞれ独立して(メタ)アクリレート基であってもよい。
【0066】
(A-2)第2光重合性化合物の代表的な例は次のとおりである。
[化学式2-1]
【化18】
[化学式2-2]
【化19】
【0067】
化学式2-1で表される第2光重合性化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Dipentaerythritol hexaacrylate、DPHA、CAS#:29570-58-9)であってもよい。
【0068】
(A-3)第3光重合性化合物
(A-3)第3光重合性化合物は、14個の官能基を有することができ、下記化学式3で表されてもよい。
[化学式3]
【化20】
【0069】
化学式3に関する説明は次のとおりである。
【0070】
L14~L17は、それぞれ独立して(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10である。例えば、L14~L17は、全て繰り返し数が1であるエチレンオキシドの繰り返し単位、つまり、*-OCH2CH2-*であってもよい。
【0071】
R13~R15のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。具体的に、R13~R15のうちのいずれか一つは置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよく、例えばメチル基であってもよい。
【0072】
R13~R15のうちの他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基である。
【0073】
R16~R18のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。具体的に、R16~R18のうちのいずれか一つは置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよく、例えばメチル基であってもよい。
【0074】
R16~R18のうちの他の一つは下記化学式Aで表される置換基であり、また他の一つは下記化学式Bで表される置換基である。
【0075】
R19~R21のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。具体的に、R19~R21のうちのいずれか一つは置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよく、例えばメチル基であってもよい。
【0076】
R19~R21のうちの他の二つは、それぞれ独立して下記化学式Aで表される置換基である。
【0077】
R22~R24のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。具体的に、R22~R24のうちのいずれか一つは置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよく、例えばメチル基であってもよい。
【0078】
R
22~R
24のうちの他の一つは下記化学式Aで表される置換基であり、また他の一つは下記化学式Bで表される置換基である。
[化学式B]
【化21】
【0079】
化学式Aに関する説明は前述したとおりであり、化学式Bに関する説明は次のとおりである。
【0080】
L18は置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン、または(C1~C20)アルキレンオキシドの繰り返し単位であり、ここで、繰り返し数は1~10である。例えば、L18は非置換のC1アルキレン基、つまり、*-CH2-*であってもよい。
【0081】
R25~R27のうちのいずれか一つは水素、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。具体的に、R25~R27のうちのいずれか一つは置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であってもよく、例えばメチル基であってもよい。
【0082】
R25~R27のうちの他の一つは末端がヒドロキシ基で置換されたC1~C20アルキル基であり、例えば末端がヒドロキシ基で置換されたC1アルキル基、つまり、*-CH2-OHであってもよい。
【0083】
R25~R27のうちのまた他の一つは(メタ)アクリレート基であってもよい。
【0084】
(A-3)第3光重合性化合物の代表的な例は次のとおりである。
[化学式3-1]
【化22】
[化学式3-2]
【化23】
【0085】
光重合性化合物としては、上記の二つの化合物以外にも、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の単官能または多官能エステルを追加的に使用することができる。
【0086】
追加される光重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こすことによって耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0087】
追加される光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0088】
追加される光重合性化合物の市販されている製品を例に挙げれば、次のとおりである。(メタ)アクリル酸の単官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックス(登録商標)M-101、同M-111、同M-114など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)TC-110S、同TC-120Sなど;大阪有機化学工業株式会社製のV-158、V-2311などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックス(登録商標)M-210、同M-240、同M-6200など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)HDDA、同HX-220、同R-604など;大阪有機化学工業株式会社製のビスコート#260、ビスコート#312、ビスコート#335HPなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックス(登録商標)M-309、同M-400、同M-405、同M-450、同M-710、同M-8030、同M-8060など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)TMPTA、同DPCA-20、同DPCA-30、同DPCA-60、同DPCA-120など;大阪有機化学工業株式会社製のビスコート#295、ビスコート#300、ビスコート#360、ビスコート#GPT、ビスコート#3PA、ビスコート#400などが挙げられる。製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0089】
追加される光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0090】
光重合性化合物は、感光性樹脂組成物の合計に対して0.1重量%~5重量%、具体的に1重量%~4重量%、例えば2重量%~3重量%で含まれてもよい。光重合性化合物が範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れている。
【0091】
[(B)光重合開始剤]
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般的に使用される開始剤であり、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0092】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0093】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0094】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0095】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0096】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0097】
オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0098】
光重合開始剤は、化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、非イミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0099】
光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用することもできる。
【0100】
光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0101】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物の合計に対して0.1重量%~5重量%、具体的に0.5重量%~4重量%、例えば0.1重量%~3重量%で含まれ得る。光重合開始剤が範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に生じて優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れており、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0102】
[(C)着色剤]
着色剤は、顔料を含むことができ、この時、一実施形態の樹脂組成物は、顔料型組成物になることができる。顔料としては、ピグメントレッド、ピグメントグリーン、ピグメントブルー、ピグメントイエロー、ピグメントブラックなどを使用することができる。
【0103】
ピグメントレッドの例としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド89などが挙げられる。ピグメントグリーンの例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59などが挙げられる。ピグメントブルーの例としては、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16などのような銅フタロシアニン顔料が挙げられる。ピグメントイエローの例としては、C.I.ピグメントイエロー139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150などのようなニッケルコンプレックス顔料などが挙げられる。ピグメントブラックの例としては、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、カーボンブラックなどが挙げられる。顔料は、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。例えば、顔料としては、ピグメントグリーン、ピグメントイエロー、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0104】
顔料は、分散液形態でカラーフィルター用感光性樹脂組成物に含まれ得る。このような顔料分散液は、顔料と溶媒、分散剤、分散樹脂などからなることができる。固形分の顔料は、顔料分散液の合計に対して5重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%で含まれ得る。
【0105】
溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができ、これらのうち、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0106】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散されるように助け、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の分散剤をそれぞれ使用することができる。具体的にはポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0107】
分散樹脂は、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を使用することができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善させることができる。
【0108】
着色剤は、顔料を含みながら、染料をさらに含むことができ、この時、一実施形態の樹脂組成物は、ハイブリッド型組成物になることができる。また、染料は特に限定しないが、金属錯体染料を含むことができる。
【0109】
金属錯体染料は、200nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する化合物を使用することができ、色素の組み合わせに色座標を合わせるためにこの範囲の吸光度を有する化合物であれば有機溶媒に溶ける全ての色の金属錯体染料を使用することができる。
【0110】
具体的に、金属錯体染料は、530nm~680nm波長領域で最大吸光度を有する緑色染料、200nm~400nm波長領域で最大吸光度を有する黄色染料、300nm~500nm波長領域で最大吸光度を有するオレンジ染料、500nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する赤色染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0111】
金属錯体染料は、直接染料、酸性染料、塩基性染料、酸性媒染染料、硫化染料、還元染料、アゾイック染料、分散染料、反応性染料、酸化染料、油溶染料、アゾ染料、アントラキノン染料、インディゴイド染料、カルボニウムイオン染料、フタロシアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、シアニン染料、ポリメチン染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0112】
金属錯体染料は、Mg、Ni、Cu、Co、Zn、Cr、Pt、PdおよびFeからなる群より選択された少なくとも一つの金属イオンを含むことができる。
【0113】
金属錯体染料は、C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35などのC.I.ソルベント染料;C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109などのC.I.アシッド染料;C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82などのC.I.ダイレクト染料、C.I.ベーシックグリーン1などのC.I.ベーシック染料;C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53などのC.I.モーダント染料、C.I.ピグメントグリーン7、36、58などのピグメントグリーン;ソルベントイエロー19、ソルベントイエロー21、ソルベントイエロー25、ソルベントイエロー79、ソルベントイエロー82、ソルベントイエロー88、ソルベントオレンジ45、ソルベントオレンジ54、ソルベントオレンジ62、ソルベントオレンジ99、ソルベントレッド8、ソルベントレッド32、ソルベントレッド109、ソルベントレッド112、ソルベントレッド119、ソルベントレッド124、ソルベントレッド160、ソルベントレッド132およびソルベントレッド218からなる群より選択された少なくとも一つと金属イオンとの複合体を使用することができる。
【0114】
金属錯体を含む染料は、一実施形態による感光性樹脂組成物に使用される溶媒、つまり、後述する溶媒に対する溶解度が5以上であってもよく、具体的には5~10であってもよい。溶解度は、溶媒100gに溶ける染料の量(g)から算出することができる。金属錯体を含む染料の溶解度が範囲内である場合、一実施形態による感光性樹脂組成物をなす他の成分との相溶性および着色力を確保することができ、染料の析出を防止することができる。
【0115】
溶媒は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)、エチルラクテート(ethyl lactate、EL)、エチレングリコールエチルアセテート(ethylene glycol ethyl acetate、EGA)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、3-メトキシ-1-ブタノール(3-methoxy-1-butanol)またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0116】
特定の範囲を有することによって、所望の色座標で高輝度および高明暗比を発現するLCD、LEDなどのカラーフィルターに有用に使用することができる。
【0117】
金属錯体を含む染料は、感光性樹脂組成物の合計に対して0.01重量%~1重量%、例えば0.01重量%~0.5重量%で含まれてもよい。金属錯体を含む染料を範囲で使用する場合、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0118】
染料および顔料を混合して使用する場合、0.1:99.9~99.9:0.1の重量比、具体的には1:9~9:1の重量比で混合して使用することができる。重量比の範囲で混合する場合、耐薬品性、最大吸収波長を適切な範囲に制御し、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0119】
着色剤は、溶媒を除いた固形分を基準として、感光性樹脂組成物の合計に対して30重量%~80重量%、具体的に40重量%~70重量%、例えば50重量%~60重量%で含まれてもよい。着色剤が範囲内に含まれる場合、着色効果および現像性に優れている。
【0120】
[(D)バインダー樹脂]
感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂をさらに含むことができ、バインダー樹脂は、アクリル系樹脂を含むことができる。
【0121】
アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であり、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0122】
第1エチレン性不飽和単量体は、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0123】
第1エチレン性不飽和単量体は、アクリル系バインダー樹脂の合計に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0124】
第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0125】
アクリル系樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0126】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂を含むことができる。
【0127】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことによって、耐熱性を向上させることができる。エポキシ系バインダー樹脂は、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0128】
さらに、エポキシ系バインダー樹脂を含むバインダー樹脂は、後述する顔料などの着色剤の分散安定性を確保すると同時に、現像過程で所望する解像度のピクセルが形成されるように助ける。
【0129】
エポキシ系バインダー樹脂は、バインダー樹脂の合計に対して1重量%~10重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれてもよい。エポキシ系バインダー樹脂が範囲で含まれる場合、残膜率および耐薬品性を大幅に改善することができる。
【0130】
エポキシ系バインダー樹脂のエポキシ当量(epoxy equivalent weight)は、150g/eq~200g/eqであってもよい。この範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ系バインダー樹脂がバインダー樹脂内に含まれる場合、形成されたパターンの硬化度向上およびパターンが形成された構造内での着色剤固着に有利な効果がある。
【0131】
バインダー樹脂は、固形分形態で後述する溶媒に溶解されて、感光性樹脂組成物を構成することができる。この場合、固形分形態のバインダー樹脂は、溶媒に溶解されたバインダー樹脂溶液の合計に対して約10重量%~50重量%、例えば20重量%~40重量%であってもよい。
【0132】
バインダー樹脂は、固形分を基準として、感光性樹脂組成物の合計に対して1重量%~20重量%、具体的に3重量%~15重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれてもよい。バインダー樹脂がこの範囲内に含まれる場合、カラーフィルターの製造時に現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0133】
[(E)溶媒]
溶媒は、着色剤、バインダー樹脂、光重合性化合物および光重合開始剤との相溶性を有するが反応しない物質を使用することができる。
【0134】
溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0135】
これらのうち、好ましくは相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、シクロヘキサノンなどのケトン類を使用することができる。
【0136】
溶媒は、感光性樹脂組成物の合計に対して残部量、例えば5重量%~70重量%、例えば10重量%~50重量%で含まれてもよい。溶媒が範囲内に含まれる場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、平坦性に優れた塗膜を得ることができる。
【0137】
[(F)その他添加剤]
感光性樹脂組成物は、塗布時に染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むカップリング剤;レベリング剤;界面活性剤;およびラジカル重合開始剤から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0138】
添加剤は、所望する物性により容易に調節されてもよい。
【0139】
カップリング剤は、シラン系カップリング剤であり得、シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0140】
シラン系カップリング剤は、具体的に感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~1重量部で使用することができる。
【0141】
またカラーフィルター用感光性樹脂組成物は、必要に応じて界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0142】
フッ素系界面活性剤の例としては、DIC社のF-482、F-484、F-478などがあり、これに限定されるのではない。
【0143】
界面活性剤は、感光性樹脂組成物の合計に対して0.01重量%~5重量%で含まれることが好ましく、0.01重量%~2重量%で含まれることがより好ましい。この範囲を外れる場合、現像後に異物が発生する問題点が生じることがあるため、好ましくない。
【0144】
また感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他添加剤を一定量添加することもできる。
【0145】
感光性樹脂組成物は、CMOSイメージセンサーのカラーフィルター用感光性樹脂組成物、具体的にCMOSイメージセンサーのカラーフィルター用感光性樹脂組成物に適用することができる。
【0146】
(感光性樹脂膜、カラーフィルターおよびCMOSイメージセンサー)
一実施形態による感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物または感光性樹脂膜の基板に対する密着力を向上させると同時に、カラーフィルターの製造時に感光性樹脂膜のパターン残渣を最小化することができる。
【0147】
そこで、一実施形態による感光性樹脂組成物は、優れた性能のCMOSイメージセンサーを実現するのに適している。
【0148】
これと関連して、他の一実施形態では、前述した一実施形態による感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0149】
また他の一実施形態によれば、前述した一実施形態による感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターを提供する。
【0150】
一実施形態の感光性樹脂膜およびこれを含むカラーフィルターの製造方法は次のとおりである。
【0151】
ガラス基板の上にスピン塗布、ローラ塗布、スプレー塗布などの適当な方法を使用し、例えば、0.5μm~10μmの厚さに前述した感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。
【0152】
次に、感光性樹脂組成物層が形成された基板にカラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される光源としては、UV、電子線またはX線を使用することができ、例えば、190nm~450nm、具体的には200nm~400nm領域のUVを照射することができる。照射する工程でフォトレジストマスクをさらに使用して実施することもできる。このように照射する工程を実施した後、光源が照射された感光性樹脂組成物層を現像液で処理する。この時、感光性樹脂組成物層から非露光部分は溶解されることによってカラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色の数により繰り返すことによって所望のパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。また、この工程で現像により得られた画像パターンを再び加熱したり、活性線照射などにより硬化させたりすれば、耐クラック性、耐溶剤性などを向上させることができる。
【0153】
また、他の一実施形態によれば、カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【実施例0154】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【0155】
(感光性樹脂組成物の製造)
実施例1~6および比較例1~5
表1および2に示す組成で混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【0156】
具体的に、溶媒に光重合開始剤を溶かした後、常温で30分間攪拌した後、ここに光重合性化合物を添加して常温で60分間攪拌した。次に、得られた反応物に着色剤として顔料分散液を入れて常温で30分間攪拌した。追加的に、添加剤を入れて常温で30分間攪拌した。次に、生成物を2回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0157】
【0158】
【0159】
表1および2で使用された各成分は次のとおりである。
【0160】
(A)光重合性化合物
(A-1)下記化学式1で表される第1光重合性化合物および(A-3)下記化学式1で表される第3光重合性化合物が7:3の重量比で混合された混合光重合性化合物(製品名:Viscoat1000、製造会社:大阪有機化学工業株式会社)
【0161】
(A-2)下記化学式2で表される第2光重合性化合物(製品名:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、製造会社:日本化薬株式会社)
[化学式2-1]
【化24】
【0162】
(B)光重合開始剤
(B-1)オキシム系開始剤(製品名:OXE-01、製造会社:BASF)
【0163】
(C)着色剤
(C-1)ピグメントグリーン分散液(G58、製造会社:ENF)
(C-2)ピグメントイエロー分散液(Y138、製造会社:ENF)
【0164】
(D)バインダー樹脂
(D-1)アクリル系バインダー樹脂(Mw=8000~12000g/mol、酸価=100~140mgKOH/g)
【0165】
(E)溶媒
(E-1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、製造会社:Sigma-Aldrich)
【0166】
(F)添加剤
(F-1)フッ素系界面活性剤(F-554、製造会社:DIC(10%希釈液使用))
(F-2)シラン系カップリング剤(S-510、製造会社:CHISSO)
【0167】
(評価)
評価例1:密着力
実施例1~6および比較例1~5による各感光性樹脂組成物をウエハー基板上にスピンコーティング機(Mikasa社、Opticoat MS-A150)を使用してそれぞれ約0.7μmの厚さにコーティングした後、熱板(hot-plate)を利用して100℃で180秒間ソフトベーキング(soft-baking)を行い、露光機(Nikon社、NSR-2005i10C)を利用して200~1000msの出力(power)で露光した。
【0168】
次に、現像機(SVS社、SSP-200)を使用して0.2重量%のTMAH水溶液で現像した。以降、ホットプレートで、230℃で5分間ハードベーク(Hard-baking)を行う。
【0169】
光学顕微鏡(製品名:BX51-N33MU、製造会社:Olympus)によりバルク領域(倍率:2.5)および微細パターン部分(倍率:2.5)を観察して、次のような基準で密着力を確認し、その結果を下記表3に示した。また、代表的に実施例3および比較例5に関する光学顕微鏡像を
図1に示した。
【0170】
基板に対する感光性樹脂膜の密着力の評価基準
◎:密着力が非常に良好レベル
○:密着力が良好レベル
△:密着力が中間レベル
×:密着力が不良レベル
【0171】
評価例2:パターン残渣の評価
実施例1~6および比較例1~5による感光性樹脂組成物をウエハー基板上にスピンコーティング機(Mikasa社、Opticoat MS-A150)を使用してそれぞれ約0.7μmの厚さにコーティングした後、ホットプレートを利用して100℃で180秒間ソフトベーク(soft-baking)を行い、露光機(Nikon社、NSR-2005i10C)を利用して200ms~1000msの出力(power)で露光した。
【0172】
コーティング、露光、現像、ハードベーキングおよび追加硬化後、CD-SEM装備を通して0.8μm pattern CDを計測して、下記基準により周辺残渣が改善されたか否かを確認し、その結果を下記表3に示した。
【0173】
残渣特性の評価基準
◎:パターンおよび周辺底の残渣が非常に良好
○:パターン残渣が良好レベル
△:パターン残渣が中間レベル
X:パターン残渣が不良レベル
【0174】
評価例2:パターン残渣の評価
評価例2のような条件で得られた試片に形成されたパターンをCD-SEM装置により測定し、その結果を下記表3に示した。
【0175】
<パターン性の評価基準>
○:パターンプロファイルが直進性有りで良好
×:パターンプロファイルが直進性不良
【表3】
【0176】
以上で本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。