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特開2024-137628現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137628
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G03G15/08 364
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175208
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2023045589
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 隆介
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD13
2H077DA18
2H077DA42
2H077DB02
2H077GA02
(57)【要約】
【課題】通紙速度の切り替わりに対して現像剤バランスを安定化する動作を現像装置で行うことで、現像ローラ上の現像剤量不足を防止して異常画像の発生を防止する。
【解決手段】像坦持体(感光体ドラム11)上に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置39であって、現像剤を攪拌搬送するスクリュ部材と、当該スクリュ部材で撹拌搬送された現像剤を像担持体上に供給する現像ローラと、当該現像ローラとスクリュ部材を複数の所定回転数で回転駆動可能な駆動手段と、を有し、静電潜像を現像剤で現像する前に、現像ローラとスクリュ部材(第1搬送スクリュウ43、第2搬送スクリュウ44)を駆動手段(駆動モータ38)によって所定時間駆動すると共に、当該所定時間の長さを、前回の現像における所定回転数と今回の現像における所定回転数の差に基いて増減調節することを特徴とする現像装置。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像坦持体上に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置であって、
前記現像剤を攪拌搬送するスクリュ部材と、
当該スクリュ部材で撹拌搬送された現像剤を前記像担持体上に供給する現像ローラと、
当該現像ローラと前記スクリュ部材を複数の所定回転数で回転駆動可能な駆動手段と、を有し、
前記静電潜像を現像剤で現像する前に、前記現像ローラと前記スクリュ部材を前記駆動手段によって所定時間駆動すると共に、当該所定時間の長さを、前回の現像における前記所定回転数と今回の現像における前記所定回転数の差に基いて増減調節することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
像坦持体上に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置であって、
前記現像剤を攪拌搬送するスクリュ部材と、
当該スクリュ部材で撹拌搬送された現像剤を前記像担持体上に供給する現像ローラと、
当該現像ローラと前記スクリュ部材を複数の所定回転数で回転駆動可能な駆動手段と、を有し、
前記静電潜像を現像剤で現像した後に、前記現像ローラと前記スクリュ部材を前記駆動手段によって所定時間駆動すると共に、当該所定時間の長さを、今回の現像における前記所定回転数と次回の現像における前記所定回転数の差に基いて増減調節することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
現像装置の設置された環境の温湿度を検知する温湿度計を備え、当該温湿度計の検知結果によって前記駆動手段の駆動時間を補正することを特徴とする請求項1又は2の現像装置。
【請求項4】
現像装置の動作時間を記録する動作時間記録装置を備え、当該記録装置の記録によって前記駆動手段の駆動時間を補正することを特徴とする請求項1又は2の現像装置。
【請求項5】
現像装置の印刷面積を記録する印刷面積記録装置を備え、当該印刷面積記録装置の記録によって前記駆動手段の駆動時間を補正することを特徴とする請求項1又は2の現像装置。
【請求項6】
潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアを含む現像剤により該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置とを有し、該現像装置により該潜像担持体上に形成されたトナー像を記録材へ転移させて、該記録材上に画像を形成するプロセスカートリッジ又は画像形成装置において、
前記現像装置として、請求項1又は2の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ又は画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを用いた複写機やプリンタやファクシミリ、またはそれらの複合機など、電子写真方式を用いて、感光体等の潜像担持体上に形成した画像を転写して、用紙・OHPシート等の記録媒体に記録を行う現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において、乾式現像剤を用いる現像装置を備えた画像形成装置は周知である。乾式現像剤を用いる現像装置は、静電記録方式あるいは電子写真方式により像担持体上に形成された静電潜像を可視像化する際に乾式現像剤を用いる。乾式現像剤として、磁性体を含んだトナーを使用する1成分現像剤と、トナー及びキャリアとからなる2成分現像剤が一般に使用されている。
【0003】
像担持体の回転速度(プロセス速度)は、画像不良を生じさせないために、使用する記録材の種類等に応じて最適化するのが望ましい。このため、記録材の種類等に応じて複数段階に切り替え可能にした画像形成装置が実用化されている。
【0004】
一方、近年ではトリクル現像のように現像剤を排出口を通じてオーバーフローさせる現像装置の小型化が進み、充填される現像剤量は例えば300g前半台まで低下している。また、生産性を高める高いプロセス速度にも対応するため、現像装置内の現像剤の循環速度は高まっている。
【0005】
その結果として、従来に比較して、プロセス速度を切り替えたときの現像剤レベル(1軸剤面高さ)の変化が大きくなっている。現像剤レベルの変化が大きくなると、プロセス速度を切り替えた後の画像形成において、トナー像の濃度が部分的に低下したり増加したりして画像不良になりやすい。
【0006】
このような画像不良に対応するため、特許文献1(特開2013-054106号公報)では、低速の通紙速度(プロセス速度)の後に通常速度で通紙する場合はより早い速度で現像剤攪拌搬送用スクリュを回転させるようにしている。しかし、特許文献1の技術では、通紙速度(プロセス速度)を変更することで現像装置内の現像剤バランスが変わってしまうため、現像ローラへ汲み上がる現像剤量が不足して異常画像が発生するという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、通紙速度の切り替わりに対して現像剤バランスを安定化する動作を現像装置で行うことで、現像ローラ上の現像剤量不足を防止して異常画像の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の現像装置は、像坦持体上に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置であって、前記現像剤を攪拌搬送するスクリュ部材と、当該スクリュ部材で撹拌搬送された現像剤を前記像担持体上に供給する現像ローラと、当該現像ローラと前記スクリュ部材を複数の所定回転数で回転駆動可能な駆動手段と、を有し、前記静電潜像を現像剤で現像する前に、前記現像ローラと前記スクリュ部材を前記駆動手段によって所定時間駆動すると共に、当該所定時間の長さを、前回の現像における前記所定回転数と今回の現像における前記所定回転数の差に基いて増減調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、現像ローラ上の現像剤量不足を防止して異常画像の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1B】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェアブロック構成の一例を示す図である。
図2】画像形成装置に使用する現像装置の概略構成図である。
図3】現像装置の平面図である。
図4】プロセス速度の変化に伴う現像剤剤面高さの変動を示す図である。
図5A】現像装置を駆動する駆動モータと制御部のブロック図である。
図5B】現像装置の駆動モータの制御フローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
●画像形成装置
本発明を、画像形成装置である電子写真方式の直接転写方式によるカラーレーザプリンタ(以下「レーザプリンタ」という)に適用した一つの実施形態について図1A図3で説明する。図1Aは、本実施形態に係る画像形成装置110であるレーザプリンタの概略構成図である。また図1Bは、画像形成装置110のハードウェアブロック構成の一例を示す図である。
【0013】
図1Aの矢印Aに沿ってベルト60が走行する方向が、転写紙100の移動方向である。この転写紙100の移動方向における上流側から順に、4組のトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kが配置されている。Y、M、C、Kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色を表す。
【0014】
このトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ、像担持体としての感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kと、現像ユニットとを備えている。また、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの配置は、各感光体ドラムの回転軸が平行になるように且つ転写紙移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
【0015】
本レーザプリンタは、前記トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kのほか、光書込ユニット2、給紙カセット3,4、レジストローラ対5、転写紙100を担持して各トナー像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送部材としての転写搬送ベルト60を有するベルト駆動装置としての転写ユニット6、ベルト定着方式の定着ユニット7、排紙トレイ8等を備えている。また、手差しトレイMF、トナー補給容器TCを備え、図示していない廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなども二点鎖線で示したスペースSの中に備えている。
【0016】
前記光書込ユニット2は潜像形成手段を構成するものであり、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11Y、11M
、11C、11Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する。
【0017】
先に示した図1A中の一点鎖線は、転写紙100の搬送経路を示している。給紙カセット3、4あるいは手差しトレイMFから給送された転写紙100は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対5が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対5により所定のタイミングで送出された転写紙100は、転写搬送ベルト60に担持され、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kに向けて搬送され、各転写ニップを通過する。
【0018】
各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上で現像された各トナー像は、それぞれ各転写ニップで転写紙100に重ね合わされ、前記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙100上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙100上にはフルカラートナー像が形成される。トナー像転写後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面がクリーニング装置によりクリーニングされ、更に除電されて次の静電潜像の形成に備えられる。
【0019】
一方、フルカラートナー像が形成された転写紙100は、定着ユニット7でこのフルカラートナー像が定着された後、切換ガイドGの回動姿勢に対応して、第1の排紙方向Bまたは第2の排紙方向Cに向かう。第1の排紙方向Bから排紙トレイ8上に排出される場合、画像面が下となった、いわゆるフェースダウンの状態でスタックされる。一方第2の排紙方向Cに排出される場合には、図示していない別の後処理装置(ソータ、綴じ装置など)に向け搬送させるとか、スイッチバック部を経て両面プリントのために再度レジストローラ対5に搬送される。
【0020】
●画像形成装置のハードウェアブロック構成
画像形成装置110は、図1Bに示すようにCPU78を含む制御部37を備えている。制御部37は、ROM70、RAM71、プリンタ制御部72、画像読取制御部73、ストレージ制御部74、入力制御部75、出力制御部76を備える。制御部37を構成する各部は、バス77で互いに接続されると共にCPU78に接続されている。
【0021】
また、画像形成装置110は、ストレージ(記憶部)80、入力部81、出力部82、プリンタ部90、スキャナ部91、原稿搬送部92といったハードウェアを備えている。プリンタ部90は、駆動モータ38と現像装置39に接続される他、動作時間記録装置93、印刷面積記録装置94及び検知部95にも接続されている。検知部95は、温度センサ96と湿度センサ97に接続されている。制御部37のプリンタ制御部72、画像読取制御部73、ストレージ制御部74、入力制御部75、出力制御部76は、CPU78が各ハードウェアを制御するためのインタフェースとして機能する。
【0022】
CPU78を含む制御部37は、画像形成装置110全体を制御する。CPU78はROM70に格納されているブートプログラムにより、OSを起動する。そして、CPU78は、OSの上でストレージ80やROM70に記憶されている制御プログラムを実行する。
【0023】
RAM71は、CPU78の主メモリやワークエリア等の一時記憶領域として使用される。ストレージ80は、HDDなどの読み書き可能な不揮発性記憶装置である。このストレージには、画像形成装置110全体を制御するためのプログラムや各種アプリケーションプログラム、消耗部品を管理するためのデータ、及びメンテナンスイベントを解消するために必要な一連の作業内容を示す動画など様々なデータが記憶される。
【0024】
CPU78は、ストレージ制御部を介してストレージへアクセスする。CPU78は、制御プログラムやアプリケーションプログラムをストレージ80やROM70から読み出され、RAM71に展開されたプログラムを実行することで画像形成装置110を制御する。このように、制御部37を構成するCPU78、ROM70、RAM71、ストレージ80等のハードウェアは、いわゆる本発明におけるコンピュータを構成している。
【0025】
なお、本実施形態の画像形成装置110では、1つのCPU78が1つのメモリ(RAM71)に展開されたプログラムを用いて後述するフローチャート(図5B)に示す各処理を実行するものとするが、他の様態であっても構わない。例えば、複数のプロセッサ、RAM、ROM、及びストレージを協働させて後述するフローチャートに示す各処理を実行するようにしても良い。また、ASICやFPGA等のハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしてもよい。
【0026】
CPU78は、画像読取制御部73を介してスキャナ部91を制御して原稿上の画像を読み取り、画像データを生成する。CPU78は、プリンタ制御部72及びプリンタ部90と協働して用紙などのシート(記録媒体)上に画像を形成する。
【0027】
入力制御部75は、入力部81と制御部37を接続し、タッチパネルやハードキーなどの入力部81からユーザの操作指示を受け付ける。出力制御部76は、出力部82と制御部37を接続し、LCDやCRTなどの表示部を備える出力部82を制御して、操作画面や動画をユーザに対して表示させる。
【0028】
なお、本実施形態では、出力部82は表示出力を行う表示部として説明するが、出力部82は、表示出力の他、音声出力を行うスピーカを備えていても良い。また、入力部81は、タッチパネルやハードキー等の入力の他、音声入力を行うマイクを備えていても良い。
【0029】
●現像装置
図2図3は現像装置39を示す図である。現像装置39は、そのケーシングの開口から一部露出させるように配設された現像ローラ42を有する。また、第1搬送スクリュウ43、第2搬送スクリュウ44、規制ブレード45、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)46などを有する。以下、第1搬送スクリュウ43は単に「1軸」、第2搬送スクリュウ44は単に「2軸」と適宜略称することがある。
【0030】
前記ケーシング内には、磁性キャリアと、マイナス帯電性のトナーとを含む2成分現像剤49が収容されている。この2成分現像剤49は前記第1搬送スクリュウ43、第2搬送スクリュウ44によって撹拌搬送されながら摩擦帯電された後、前記現像ローラ42の表面に担持される。
【0031】
そして、前記規制ブレード45によってその層厚が規制されてから感光体11に対向する現像領域に搬送され、ここで感光体11上の静電潜像にトナーを付着させる。この付着により、感光体11上にトナー像が形成される。現像によってトナーを消費した2成分現像剤は、現像ローラ42の回転に伴ってケーシング内に戻される。
【0032】
前記第1搬送スクリュウ43と、前記第2搬送スクリュウ44との間には仕切壁47が設けられている。この仕切壁47により、現像ローラ42や第1搬送スクリュウ43等を収容する第1供給部40と、第2搬送スクリュウ44を収容する第2供給部41とがケーシング内で分かれている。
【0033】
現像ローラ42、第1搬送スクリュウ43と第2搬送スクリュウ44は、ギア列によって連結され駆動手段としての駆動モータで駆動される。これら現像ローラ42、第1搬送スクリュウ43と第2搬送スクリュウ44は、ギア列のギア比で定められた一定比率、一定方向の回転速度でそれぞれ回転する。駆動モータの回転は、制御部37によってON/OFF及び回転速度が制御される。
【0034】
第1搬送スクリュウ43は駆動モータによって回転駆動され、前記第1供給部40内の2成分現像剤を図2中奥側から手前側へと搬送しながら現像ローラ42に供給する。第1搬送スクリュウ43によって前記第1供給部40の端部付近まで搬送された2成分現像剤は、仕切壁47に設けられた図示しない開口部を通って前記第2供給部41内に進入する。
【0035】
第2供給部41内において、第2搬送スクリュウ44は、駆動モータによって回転駆動され、前記第1供給部40から送られてくる2成分現像剤を第1搬送スクリュウ43とは逆方向に搬送する。第2搬送スクリュウ44によって第2供給部41の端部付近まで搬送された2成分現像剤は、仕切壁47に設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部40内に戻る。
【0036】
透磁率センサからなるTセンサ46は、前記第2供給部41の中央付近の底壁に設けられ、その上を通過する2成分現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。2成分現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ46はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
【0037】
この出力電圧の値は、後述する図5Aの制御部37に送られる。この制御部37はRAM71を備えており、この中にTセンサ46からの出力電圧の目標値であるVtrefを格納している。
【0038】
また、他の現像装置に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるVtrefのデータも格納している。Vtrefは、図示しないトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、前記制御部は、Tセンサ46からの出力電圧の値をVtrefに近づけるように、図示しないトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部41内にトナーを補給させる。
【0039】
この補給により、現像装置39内の2成分現像剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスカートリッジの現像装置についても、同様のトナー補給制御が実施される。
【0040】
●1軸剤面高さの変動状態
図4は、プロセス速度の変化(標準速⇒低速)に伴う、第1搬送スクリュウ43等を収容する第1供給部40内の現像剤剤面高さ(1軸剤面高さ)の変動状態を示す図である。図4の上から順に一点鎖線、実線、破線の3種類の変動状態を示している。図4の左端(時間0)がプロセス速度(通紙速度)を標準速から低速に変えたとき(瞬間)の剤面高さ(mm)である。
【0041】
3種類のグラフのいずれも、プロセス速度(通紙速度)を変えた後に(約10秒後)、剤面高さが一時的に低下している。上側2つのグラフ(一点鎖線、実線)は約1mmの低下であるが、最下のグラフ(破線)は約1.5mmの低下である。
【0042】
1軸の剤面高さが低くなると現像ローラに十分な量の現像剤が汲み上がらず、画像が白く抜けてしまったりピッチ上の濃度ムラが発生したりして、異常画像が発生してしまうことがある。そこで本実施形態では、通紙速度が切り替わる際に、剤面高さが安定するまで均し動作を実施してから画像を出力する。
【0043】
この均し動作の間は現像剤の補給動作を実施しない。こうすることで、適切な現像剤バランスを保ち、現像ローラへ汲み上がる現像剤量の不足を解消して異常画像の発生を防止することができる。
【0044】
均し動作を入れるタイミングは、印刷前でも印刷後でもよい。本実施形態により、トリクル現像を行わない現像装置や、2種類以上の通紙速度が可能な現像装置において、適切な現像剤バランスを保ち、現像ローラへ汲み上がる現像剤量の不足を解消して異常画像の発生を防止することができる。
【0045】
印刷後に直ちに均し動作を入れる際に次回回転数が未定の場合は、次回回転数を暫定的に標準速として均し動作を実施することができる。或いは、画像形成装置110のコントローラ等に蓄積された過去の使用状態の記録を参照して、可能性が最も高い(使用頻度が高い)回転数を次回回転数として設定して印刷後に直ちに均し動作を入れることも可能である。
【0046】
以下の表1は、第1実施形態における線速差による回転時間(均し時間)を示すものである。
【表1】
【0047】
1軸剤面高さが安定化するまでの時間は、図4の3つのグラフでは約50秒であったが、この安定化時間は前回の印刷速度と今回の印刷速度によって異なることが判明した。そこで本実施形態では、前回と今回の回転数の差によって、撹拌時間(均し時間)を表1のように変えることにした。このように撹拌時間(均し時間)を変えることによって、印刷待機時間を最小限に抑制すると共に、撹拌による現像剤への負荷を最小限に抑制することができる。
【0048】
本発明者による実験の結果、1軸剤面高さは回転数(プロセス速度)の差だけではなく、現像装置39ないし画像形成装置110の設置環境や印刷枚数(動作時間・印刷面積)等によっても影響を受けることが判明した。すなわち、設置環境(温度、湿度)や印刷枚数の多寡等によって現像剤の流動性が異なってくるため、このことが1軸剤面高さにも影響する。
【0049】
具体的には、現像剤のトナー濃度が低い場合や、高温高湿の環境でトナーTの帯電量が低下するような場合や、プロセス線速が速く設定されていて現像ローラ42、第1搬送スクリュウ43、第2搬送スクリュウ44の回転数が大きくなる場合などには、現像剤の嵩密度が大きい密状態になり、1軸剤面高さが全体的に低くなる。
【0050】
これに対して、現像剤のトナー濃度が高い場合や、低温低湿の環境でトナーの帯電量が高くなるような場合や、プロセス線速が遅く設定されていて現像ローラ42、第1搬送スクリュウ43、第2搬送スクリュウ44の回転数が小さくなる場合などには、現像剤の嵩密度が小さい疎状態になって、1軸剤面高さが全体的に高くなる。
【0051】
そこで、現像装置39の置かれた環境の温湿度を検知する図1Bの温度センサ96と湿度センサ97、動作時間記録装置93、印刷面積記録装置94等を設け、当該温度センサ96と湿度センサ97の検知結果や前記記録装置93、94の記録等によって、現像装置39の駆動モータ38の駆動時間を増減補正する。設置環境(温度、湿度)や印刷枚数の多寡等によって表1の撹拌時間(均し時間)をさらに補正することで、1軸剤面高さをさらに最適化することが可能となる。
【0052】
図5Aは現像装置39と、現像装置39を駆動する駆動モータ38と、駆動モータ38を制御する制御部37のブロック図である。また図5Bは、前述した表1の均し時間を実行するための、制御部37による制御内容を示すフローチャートである。
【0053】
図5Bに示すように、本実施形態では前回回転数の多寡(標準速、中速度、低速度)と今回回転数の多寡(標準速、中速度、低速度)によって、撹拌時間(均し時間)すなわち駆動モータの駆動時間を異ならせている。このように前回回転数と今回回転数の多寡によって異なる撹拌時間(均し時間)で、図3の1軸と2軸(第1搬送スクリュウ43と第2搬送スクリュウ44)を回転駆動する。
【0054】
このように、今回印字(作像)開始前に1軸と2軸を回転することで、1軸剤面高さを安定化することができる。したがって、トナー像の濃度が部分的に低下したり増加したりして画像不良になるのを防止することができる。
【0055】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、表1や図5Bでは回転数(プロセス速度)を三段階(標準速、中速度、低速度)で判定して最適な均し時間を選択するようにしたが、回転数(プロセス速度)は最低二段階(標準速、低速度)でもよいし、四段階以上に細かく判定してさらに最適な均し時間を選択可能にすることもできる。
【0056】
<付記>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
<態様1>
像坦持体上に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置であって、前記現像剤を攪拌搬送するスクリュ部材と、当該スクリュ部材で撹拌搬送された現像剤を前記像担持体上に供給する現像ローラと、当該現像ローラと前記スクリュ部材を複数の所定回転数で回転駆動可能な駆動手段と、を有し、前記静電潜像を現像剤で現像する前に、前記現像ローラと前記スクリュ部材を前記駆動手段によって所定時間駆動すると共に、当該所定時間の長さを、前回の現像における前記所定回転数と今回の現像における前記所定回転数の差に基いて増減調節することを特徴とする現像装置。
<態様2>
像坦持体上に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置であって、前記現像剤を攪拌搬送するスクリュ部材と、当該スクリュ部材で撹拌搬送された現像剤を前記像担持体上に供給する現像ローラと、当該現像ローラと前記スクリュ部材を複数の所定回転数で回転駆動可能な駆動手段と、を有し、前記静電潜像を現像剤で現像した後に、前記現像ローラと前記スクリュ部材を前記駆動手段によって所定時間駆動すると共に、当該所定時間の長さを、今回の現像における前記所定回転数と次回の現像における前記所定回転数の差に基いて増減調節することを特徴とする現像装置。
<態様3>
現像装置の設置された環境の温湿度を検知する温湿度計を備え、当該温湿度計の検知結果によって前記駆動手段の駆動時間を補正することを特徴とする態様1又は2の現像装置。
<態様4>
現像装置の動作時間を記録する動作時間記録装置を備え、当該記録装置の記録によって前記駆動手段の駆動時間を補正することを特徴とする態様1又は2の現像装置。
<態様5>
現像装置の印刷面積を記録する印刷面積記録装置を備え、当該印刷面積記録装置の記録によって前記駆動手段の駆動時間を補正することを特徴とする態様1又は2の現像装置。
<態様6>
潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアを含む現像剤により該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置とを有し、該現像装置により該潜像担持体上に形成されたトナー像を記録材へ転移させて、該記録材上に画像を形成するプロセスカートリッジ又は画像形成装置において、前記現像装置として、態様1又は2の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ又は画像形成装置。
【符号の説明】
【0057】
1Y、1M、1C、1K:トナー像形成部 2:光書込ユニット
3、4:給紙カセット 5:レジストローラ対
6:転写ユニット 7:定着ユニット
8:排紙トレイ 11Y、11M、11C、11K:感光体ドラム
37:制御部 38:駆動モータ
39:現像装置 40:第1供給部
41:第2供給部 42:現像ローラ
43:第1搬送スクリュウ(1軸) 44:第2搬送スクリュウ(2軸)
45:規制ブレード 46:Tセンサ
47:仕切壁 49:2成分現像剤
60:転写搬送ベルト 70:ROM
71:RAM 72:プリンタ制御部
73:画像読取制御部 74:ストレージ制御部
75:入力制御部 76:出力制御部
77:バス 78:CPU
80:ストレージ(記憶部) 81:入力部
82:出力部 90:プリンタ部
91:スキャナ部 92:原稿搬送部
93:動作時間記録装置 94:印刷面積記録装置
95:検知部 96:温度センサ
97:湿度センサ 100:転写紙
110:画像形成装置 A:ベルト走行方向
B:第1の排紙方向 C:第2の排紙方向
G:切換ガイド MF:手差しトレイ
S:スペース T:トナー
TC:トナー補給容器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2013-054106号公報
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B