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特開2024-137647ハードマスク組成物、ハードマスク層、およびパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137647
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層、およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20240927BHJP
   C08G 61/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08G61/10
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193590
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0036795
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 鉉 日
(72)【発明者】
【氏名】金 永 ▲びん▼
(72)【発明者】
【氏名】金 藝 眞
(72)【発明者】
【氏名】朴 昭 ▲けん▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 善 暎
(72)【発明者】
【氏名】▲はい▼ 信 孝
(72)【発明者】
【氏名】李 性 恩
(72)【発明者】
【氏名】朴 亨 錫
(72)【発明者】
【氏名】宋 綵 ▲りん▼
【テーマコード(参考)】
2H225
4J032
【Fターム(参考)】
2H225AM61N
2H225AM79N
2H225AM93N
2H225AN11N
2H225AN28N
2H225AN29N
2H225AN38N
2H225AN39N
2H225BA01N
2H225CA12
4J032CA12
4J032CB04
4J032CB12
4J032CC01
4J032CE03
4J032CE22
4J032CF05
4J032CG00
(57)【要約】
【課題】ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む、ハードマスク組成物:

上記化学式1の定義は、明細書に記載した通りである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含むハードマスク組成物:
【化1】

前記化学式1中、
Aは、下記化学式2で表される構造を有する基であり、
Bは、下記グループ1から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
およびXは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
*は、連結地点である:
【化2】

前記化学式2中、
は、ヒドロキシ基、アミノ基(-NH)、チオール基(-SH)、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である)であり、
nは、2~6の整数のうちの1つである。
【化3】
【請求項2】
前記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、アミノ基(-NH)、チオール基(-SH)、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である)であり、
nは、2~4の整数のうちの1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項3】
前記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~16のアリール基である)であり、
nは、2または3である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項4】
前記化学式1中のAは、下記化学式2-1~下記化学式2-3で表される構造のうちの少なくとも1種の構造を有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化4】

上記化学式2-1~上記化学式2-3中、nは2または3である。
【請求項5】
前記化学式1中のBは、前記グループ1から選択される非置換のモイエティのうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項6】
前記化学式1中のBは、前記グループ1から選択される少なくとも1種の置換されたモイエティであって、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである置換基で置換されたモイエティのうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項7】
前記化学式1中のXおよびXは、それぞれ独立して、下記グループ2-1から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化5】
【請求項8】
前記化学式1中のXおよびXは、それぞれ独立して、下記グループ2-2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化6】
【請求項9】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~下記化学式1-6で表される構造単位のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化7】

【化8】

前記化学式1-1~化学式1-6中、
11~X16およびX21~X26は、それぞれ独立して、下記グループ2-2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種である。
【化9】
【請求項10】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-7~下記化学式1-10で表される構造単位のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化10】
【請求項11】
前記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
前記重合体は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準にして0.1質量%~30質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項13】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層。
【請求項15】
基板の上に材料層を提供する段階、
前記材料層の上に請求項1~13のいずれか1項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出する段階、ならびに
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、
を含む、パターン形成方法。
【請求項16】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項15に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートル大きさのパターンから数乃至数十ナノメートル大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし露光および現像を行ってフォトレジストパターンを形成した後、フォトレジストパターンをマスクにして材料層をエッチングする過程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンの大きさが減少するにつれて、上述のような典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成しにくい問題が発生している。これにより、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層の間に一名ハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0026569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、上記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む。
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1中、
Aは、下記化学式2で表される構造を有する基であり、
Bは、下記グループ1から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
およびXは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
*は、連結地点である:
【0012】
【化2】
【0013】
上記化学式2中、
は、ヒドロキシ基、アミノ基(-NH)、チオール基(-SH)、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である)であり、
nは、2~6の整数のうちの1つである:
【0014】
【化3】
【0015】
上記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、アミノ基(-NH)、チオール基(-SH)、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である)であり、nは、2~4の整数のうちの1つである。
【0016】
上記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~16のアリール基である)であってもよく、nは2または3であってもよい。
【0017】
上記化学式1中のAは、下記化学式2-1~下記化学式2-3で表される構造のうちの少なくとも1種の構造を有する基であり得る。
【0018】
【化4】
【0019】
上記化学式2-1~上記化学式2-3中、nは、2または3である。
【0020】
上記化学式1中のBは、上記グループ1から選択される非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0021】
上記化学式1中のBは、上記グループ1から選択される少なくとも1種の置換されたモイエティであって、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである置換基で置換されたモイエティのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0022】
上記化学式1中のXおよびXは、それぞれ独立して、下記グループ2-1から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
【化5】
【0024】
上記化学式1中のXおよびXは、それぞれ独立して、下記グループ2-2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0025】
【化6】
【0026】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~下記化学式1-6で表される構造単位のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
上記化学式1-1~化学式1-6中、
11~X16およびX21~X26は、それぞれ独立して、下記グループ2-2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種である:
【0030】
【化9】
【0031】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-7~下記化学式1-10で表される構造単位のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0032】
【化10】
【0033】
上記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molであることが好ましい。
【0034】
上記重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれることが好ましい。
【0035】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0036】
また、本発明の他の実施形態によれば、上述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0037】
本発明のさらに他の実施形態によれば、基板の上に材料層を提供する段階、上記材料層の上に上述のハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを用いて上記ハードマスク層を選択的に除去し上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階、を含むパターン形成方法を提供する。
【0038】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物が提供されうる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0041】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換された’とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基またはその塩の基、スルホン酸基またはその塩の基、リン酸基またはその塩の基、ビニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数9~30のアリルアリール基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0042】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素数2~30の複素環基のうちの隣接した2つの置換基が結合して、環を形成することもできる。
【0043】
本明細書において、重合体はオリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)を全て含むことができる。
【0044】
本明細書において特に言及しない限り、“重量平均分子量”は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(カラムはShodex社製LF-804、標準試料はShodex社製ポリスチレンを使用する)したものである。
【0045】
半導体産業では、チップの大きさを減少させる要求が絶え間なく続いている。これに応えるために、リソグラフィ技術においてパターニングされるレジストの線幅が数十ナノメートルサイズを有しなければならない。したがって、レジストパターンの線幅に耐えられる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有しない場合が発生する。これを補完するために。エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たす。したがって、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えられるように、耐エッチング性が要求される。
【0046】
既存のハードマスク層は、化学的または物理的蒸着法で形成したが、これは設備規模が大きく工程単価が高くて、経済性が低下する問題がある。よって、最近、スピンコーティング法でハードマスク層を形成する技術が開発された。スピンコーティング法は従来の方法に比べて工程が容易であり、これから製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性は、さらに優れ得る。しかし、スピンコーティング法で形成されたハードマスク層は、要求される耐エッチング性が多少低下する問題がある。したがって、スピンコーティング法を適用することができるハードマスク組成物であって、かつこれから形成されたハードマスク層が化学的または物理的蒸着法で形成されたハードマスク層と同等な耐エッチング性を有することが要求される。
【0047】
よって、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素含有量を極大化しようとする研究が行われている。しかし、ハードマスク組成物に含まれる重合体の炭素含有量が極大化するほど、溶媒に対する重合体の溶解度が低下する傾向がある。したがって、ハードマスク組成物に含まれる重合体の炭素含有量を極大化してそれから形成されるハードマスク層の耐エッチング性を改善しながら、かつ重合体の溶媒に対する溶解度が高いことが要求される。
【0048】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、芳香族の巨大単分子構造を含む重合体を含むことによって、炭素含有量を高めることができる。よって、組成物から得られるハードマスク層の耐エッチング性が改善され、厚さが厚いハードマスク層を形成することができる。また、重合体は3級炭素を含むことによって、重合体内の炭素含有量を高めると同時に、官能基は溶媒に対する溶解性を高めることができる。
【0049】
具体的には、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む。
【0050】
【化11】
【0051】
上記化学式1中、
Aは、下記化学式2で表される構造を有する基であり、
Bは、下記グループ1から選択される置換もしくは非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
およびXは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択される置換もしくは非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
*は、連結地点である:
【0052】
【化12】
【0053】
上記化学式2中、
は、ヒドロキシ基、アミノ基(-NH)、チオール基(-SH)、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である)であり、
nは、2~6の整数のうちの1つである:
【0054】
【化13】
【0055】
上記化学式2中のnは、2~6の整数のうちの1つであり、例えば、nは、2~4の整数のうちの1つであり、例えば、nは、2または3である。
【0056】
一例として、上記化学式2で表される構造は、下記化学式2-1~下記化学式2-3で表される構造のうちの少なくとも1種であり得る。
【0057】
上記化学式1で表されるように、本発明の一実施形態による重合体は、コロネンまたはベンゾペリレンのような芳香族炭化水素と、上記化学式2またはグループ2の芳香族炭化水素構造を有することによって、重合体内の炭素含有量を高めることができる。したがって、上記重合体を含むハードマスク組成物から形成される薄膜は、耐エッチング性に優れ、優れたパターン形成性を確保することができる。なお、上記化学式1および後述の化学式1-1~1-10で表される構造単位は、本発明の重合体に含まれる繰り返し単位である。本発明の重合体において、上記化学式1および後述の化学式1-1~1-10で表される構造単位(繰り返し単位)の数、すなわち重合度は、1~1,000であることが好ましく、2~100であることがより好ましく、3~20であることが最も好ましい。
【0058】
また、上記化学式2で表されるように、本発明の一実施形態による重合体の主鎖構造が少なくとも2つの置換基を有することによって、重合体の溶媒に対する溶解性を改善することができ、上記重合体を含む組成物から形成されたハードマスク層の膜密度を改善することができる。上記化学式2で表される構造中のヒドロキシ基、アルコキシ基などの親水性官能基の数を調節することによって、重合体の溶媒に対する溶解性およびハードマスク層の膜密度を調節することができる。
【0059】
上記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、アミノ基(-NH)、チオール基(-SH)、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である)である。例えば、上記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、または-OR(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~16のアリール基である)である。例えば、上記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニルオキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニルオキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~16のアリールオキシ基である。例えば、上記化学式2中のRは、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルキニルオキシ基である。
【0060】
上記化学式2中のnは、2~6の整数のうちの1つであり、例えば、nは、2~4の整数のうちの1つであり、例えば、nは、2または3である。
【0061】
一例として、上記化学式2で表される構造は、下記化学式2-1~下記化学式2-3で表される構造のうちの少なくとも1種であり得る。
【0062】
【化14】
【0063】
上記化学式2-1~上記化学式2-3中、nは、2または3である。
【0064】
上記化学式1中のBのモイエティは、非置換のものであってもよく、置換されたものであってもよい。Bのモイエティが置換される場合、置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであってもよく、例えば、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせであり、例えば、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、またはこれらの組み合わせであってもよく、これらに制限されない。
【0065】
上記化学式1中のXおよびXは、それぞれ独立して、下記グループ2-1から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であってもよく、例えば、下記グループ2-2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であってもよく、これらに制限されない。
【0066】
【化15】
【0067】
上記化学式1中のXおよびXは、それぞれ独立して、下記グループ2-2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であることがより好ましい。
【0068】
【化16】
【0069】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~下記化学式1-6で表される構造単位のうちの少なくとも1種であることがより好ましい。
【0070】
【化17】
【0071】
【化18】
【0072】
上記化学式1-1~化学式1-6中、
11~X16およびX21~X26は、それぞれ独立して、上記グループ2-2から選択される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種である。
【0073】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-7~下記化学式1-10で表される構造単位のうちの少なくとも1種、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0074】
【化19】
【0075】
上記重合体は、1,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量を有することができる。上記重合体は、例えば、1,000g/mol~150,000g/mol、例えば、1,000g/mol~100,000g/mol、例えば、1,200g/mol~50,000g/mol、例えば、1,200g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができ、これらに制限されない。このような範囲の重量平均分子量を有することによって、上記重合体を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0076】
本発明の重合体は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0077】
上記重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれてもよい。当該含有量は、例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1.5質量%~25質量%、例えば、2質量%~20質量%であってもよく、これらに制限されない。このような含有量の範囲で重合体が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0078】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができる。溶媒の例としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができ、これらに制限されない。溶媒は、上記重合体に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、特に限定されない。
【0079】
上記ハードマスク組成物は、追加的に界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0080】
界面活性剤は、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに制限されない。
【0081】
架橋剤は、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらのポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2つの架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0082】
また、架橋剤としては、耐熱性の高い架橋剤を使用することができる。耐熱性の高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0083】
熱酸発生剤は、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0084】
本発明の他の実施形態によれば、上述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0085】
以下、上述のハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0086】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を提供する段階、上記材料層の上に上述の重合体および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを用いて上記ハードマスク層を選択的に除去し上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階、を含む。
【0087】
基板は、例えば、シリコンウェーハ、ガラス基板または高分子基板であってもよい。材料層は、最終的にパターンしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であってもよい。材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成することができる。
【0088】
ハードマスク組成物は上述の通りであり、溶液形態に製造されて、スピンコーティング法で塗布することができる。この場合、ハードマスク組成物の塗布厚さは特に限定されないが、例えば、50~200,000Åの厚さで塗布できる。
【0089】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行うことができる。一例として、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0090】
一実施形態で、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃で10秒~1時間行われる一つの熱処理段階を含むことができ、一例として、熱処理段階は、空気雰囲気下または窒素雰囲気下で行うことができ、酸素濃度1質量%以下の雰囲気下でも行うことができる。
【0091】
一実施形態で、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、150℃~400℃で30秒~1時間、例えば、30秒~30分、例えば、30秒~10分、例えば、30秒~5分間行われる1次熱処理段階を含む。
【0092】
また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~600℃で、30秒~1時間、例えば、30秒~30分、例えば、30秒~10分、例えば、30秒~5分間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、1次熱処理段階および2次熱処理段階は、空気雰囲気下または窒素雰囲気下で行うことができ、酸素濃度1質量%以下の雰囲気下でも行うことができる。
【0093】
ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続の工程で曝露されるエッチングガスおよび化学液に耐えられる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0094】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、紫外・可視光硬化段階および/または近赤外硬化段階を含むことができる。
【0095】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、1次熱処理段階、2次熱処理段階、紫外・可視光硬化段階、および近赤外硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0096】
一実施形態で、ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質から形成することができる。
【0097】
一実施形態で、フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に底反射防止層(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0098】
一実施形態で、フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrF、またはEUVなどを使用して行うことができる。また、露光後、100℃~700℃で熱処理する工程を行うことができる。
【0099】
一実施形態で、材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは例えば、N/O、CHF、CF、Cl、BCl、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0100】
エッチングされた材料層は複数のパターンに形成することができ、複数のパターンは金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様に形成でき、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用できる。
【実施例0101】
以下、実施例を通じて上述の本発明の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0102】
[重合体の合成]
(比較合成例1)
機械式攪拌機および冷却管を備えた500mlの二口フラスコに、コロネン 30.0g(0.1モル)および2-ナフトイルクロリド 34g(0.2モル)を入れて、1,2-ジクロロエタン 300gに溶かした。15分後に塩化アルミニウム(AlCl、15g(0.11モル)を徐々に投入して、常温で5時間反応させた。反応終了後、水を使用して塩化アルミニウムを除去した後に、エバポレーターで濃縮した。濃縮して得られた化合物に、テトラヒドロフラン 160gを添加して溶液を得た。得られた溶液に、水素化ホウ素ナトリウム 16g(0.42モル)水溶液を常温で徐々に添加して12時間攪拌した。反応終了後、7質量%塩化水素水溶液でpHを5まで酸性にし、酢酸エチルで抽出し、有機溶媒を減圧して留去して、下記化学式Aで表される化合物Aを得た。
【0103】
【化20】
【0104】
(比較合成例2)
コロネンの代わりに、ベンゾペリレンを使用したことを除いては、上記比較合成例1と同様の方法で、下記化学式Bで表される化合物Bを得た。
【0105】
【化21】
【0106】
(比較合成例3)
500mlフラスコに、1-ヒドロキシピレン 50g(0.23モル)、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン 38.0g(0.23モル)を順次に入れて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)100gに溶かした後、パラトルエンスルホン酸 4.35g(0.02モル)を投入して、100℃で約20時間攪拌した。1時間間隔で、重合反応で得られる生成物から試料を取り、その試料の重量平均分子量が2,500g/mol~2,600g/molとなった時点で、反応を終了させて、下記化合物Cで表される構造単位からなる比較重合体Cを得た(Mw:2,500g/mol、PD:1.54)。
【0107】
【化22】
【0108】
(比較合成例4)
500mlフラスコに、1-ヒドロキシピレン 50g(0.23モル)、ベンズアルデヒド 24.3g(0.23モル)を順次に入れて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)130gに溶かした後、パラトルエンスルホン酸 13.1g(0.07モル)を投入し、110℃で約24時間程度攪拌した。1時間間隔で、重合反応で得られる生成物から試料を取り、その試料の重量平均分子量が3,000g/mol~3,500g/molとなった時点で、反応を終了させて、下記化学式Dで表される構造単位からなる比較重合体Dを得た(Mw:3,400g/mol、PD:1.61)。
【0109】
【化23】
【0110】
(比較合成例5)
機械式攪拌機と冷却管とを備えた500mlの二口フラスコに、化合物A 50g(0.08モル)、1-ナフトール 11.2g(0.08モル)、パラトルエンスルホン酸 0.47g(0.002モル)、および1,4-ジオキサン 148gを入れて、70℃で24時間攪拌した。重合反応後、温度を30℃に低下させ、テトラヒドロフラン 300gを入れて化合物が固まらないようにし、7質量%重炭酸ナトリウム水溶液を用いて、化合物のpHを5~6に調整した。ここにエチルアセテート1,000mlを入れて継続して攪拌し、分別漏斗を用いて有機層のみ抽出した。水500mlを分別漏斗に入れ、酸とナトリウム塩とを除去する工程を3回以上繰り返して、有機層を抽出した。抽出した有機溶液をエバポレーターで濃縮し、濃縮して得られた化合物にテトラヒドロフラン700gを添加して溶液の形態で化合物を得た。得られた溶液を、攪拌状態にあるヘキサン3,000mlが入っているビーカーに徐々に滴下して沈殿を形成して、下記化学式Eで表される構造単位からなる比較重合体Eを得た。
【0111】
ゲル透過クロマトグラフィーを用いて、比較重合体Eの重量平均分子量(Mw)および多分散度(Polydispersity、PD)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は1,450g/molであり、多分散度(PD)は1.21であった。
【0112】
【化24】
【0113】
(比較合成例6)
1-ヒドロキシピレンの代わりに1,5-ジヒドロキシナフタレンを使用し、ベンズアルデヒドの代わりにベンゾ[ghi]ペリレンカルボキシアルデヒドを使用したことを除いては、比較合成例4と同様の方法で、下記化学式Fで表される構造単位からなる比較重合体Fを得た。ゲル透過クロマトグラフィーを使用して合成された比較重合体Fの重量平均分子量(Mw)および多分散度(Polydispersity、PD)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は1,600g/molであり、多分散度(PD)は1.23であった。
【0114】
【化25】
【0115】
(合成例1)
機械式攪拌機および冷却管を備えた500mlの二口フラスコに、化合物A 50g(0.08モル)、1,5-ジヒドロキシナフタレン 13.1g(0.08モル)、パラトルエンスルホン酸 0.47g(0.002モル)、および1,4-ジオキサン 148gを入れ、70℃で24時間攪拌し重合反応を行った。反応終了後、温度を30℃に低下させ、テトラヒドロフラン 300gを入れて化合物が固まらないようにし、7質量%重炭酸ナトリウム水溶液で化合物のpHを5~6に調整した。ここに酢酸エチル 1,000mlを入れて継続して攪拌し、分別漏斗を用いて有機層のみ抽出した。水500mlを分別漏斗に入れ、酸とナトリウム塩とを除去する工程を3回以上繰り返して有機層を抽出した。抽出した有機溶液をエバポレーターで濃縮し、濃縮して得られた化合物にテトラヒドロフラン 700gを添加して、溶液の形態で化合物を得た。得られた溶液を、攪拌状態にあるヘキサン3,000mlが入っているビーカーに徐々に滴下して沈殿を形成して、下記化学式1-8で表される構造単位からなる重合体Gを得た。
【0116】
ゲル透過クロマトグラフィーを用いて重合体Gの重量平均分子量(Mw)および多分散度(Polydispersity、PD)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は、2,550g/molであり、多分散度(PD)は1.64であった。
【0117】
【化26】
【0118】
(合成例2)
化合物Aの代わりに、化合物Bを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式1-7で表される構造単位からなる重合体Hを得た。ゲル透過クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography:GPC)を使用して、合成された重合体Hの重量平均分子量(Mw)および多分散度(Polydispersity、PD)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は、2,900g/molであり、多分散度(PD)は1.65であった。
【0119】
【化27】
【0120】
(合成例3)
1,5-ジヒドロキシナフタレンの代わりに、1-5-ジメトキシナフタレンを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式1-9で表される構造単位からなる重合体Iを得た。ゲル透過クロマトグラフィーを使用して、合成された重合体Iの重量平均分子量(Mw)および多分散度(Polydispersity、PD)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は2,100g/molであり、多分散度(PD)は1.45であった。
【0121】
【化28】
【0122】
(合成例4)
1,5-ジヒドロキシナフタレンの代わりに、1-5-ジアセチレンオキシナフタレンを使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式1-10で表現される構造単位からなる重合体Jを得た。ゲル透過クロマトグラフィーを使用して合成された重合体Jの重量平均分子量(Mw)および多分散度(Polydispersity、PD)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は1,950g/molであり、多分散度(PD)は1.37であった。
【0123】
【化29】
【0124】
[ハードマスク組成物の製造]
(実施例1)
上記合成例1で得られた重合体G 1.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(7:3(体積比))の混合溶媒10gに溶かし、0.1μmのテフロンフィルターでろ過して、ハードマスク組成物を製造した。
【0125】
(実施例2)
重合体Gの代わりに、重合体Hを使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0126】
(実施例3)
重合体Gの代わりに、重合体Iを使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0127】
(実施例4)
重合体Gの代わりに、重合体Jを使用したことを除いては、上記実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0128】
(比較例1)
比較合成例1で得られた化合物A 1.5gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとシクロヘキサノンとの混合溶媒(7:3体積比)10gに溶かし、0.1μmのテフロンフィルターでろ過してハードマスク組成物を製造する。
【0129】
(比較例2)
化合物Aの代わりに、化合物Bを使用したことを除いては、上記比較例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0130】
(比較例3)
化合物Aの代わりに、比較重合体Cを使用したことを除いては、上記比較例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0131】
(比較例4)
化合物Aの代わりに、比較重合体Dを使用したことを除いては、上記比較例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0132】
(比較例5)
化合物Aの代わりに、比較重合体Eを使用したことを除いては、上記比較例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0133】
(比較例6)
化合物Aの代わりに、比較重合体Fを使用したことを除いては、上記比較例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0134】
(評価1:耐エッチング性評価)
シリコンウェーハの上に、実施例1~4および比較例1~6によるハードマスク組成物をスピンコーティングした後、ホットプレート上で、400℃の温度で2分間熱処理して、厚さ4,000Åの薄膜を形成した。K-MAC社製の薄膜厚さ測定器を用いて、上記薄膜の厚さを測定した。上記薄膜に、CF/CHF混合ガスを使用して100秒間乾式エッチングした後、薄膜の厚さを再び測定した。乾式エッチング前後の薄膜の厚さとエッチング時間とから、下記計算式1によってエッチング率(bulk etch rate、BER)(単位:Å/sec)を計算した。
【0135】
【数1】
【0136】
エッチング率の測定結果を、下記表1に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
上記表1から明らかなように、実施例1~4によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、比較例1~6によるハードマスク組成物から形成された薄膜に比ベて、エッチングガスに対する耐性(耐エッチング性)に優れるのを確認することができる。
【0139】
(評価2:溶解度評価)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20gに、上記合成例1~4、および比較合成例1~6による化合物または重合体を溶解させて溶解度を確認した。溶解度は、溶媒20gに溶ける化合物または重合体の量を測定して、百分率に換算して計算した。
【0140】
【数2】
【0141】
溶解度の測定結果を、下記表2に示す。
【0142】
【表2】
【0143】
上記表2から明らかなように、合成例1~4による重合体が、比較合成例1~6による化合物または重合体と比べて、溶媒に対する溶解度に優れることを確認することができる。
【0144】
(評価3:保存安定性評価)
上記実施例1~4および比較例1~6から得られたハードマスク組成物を、遠紫外線を遮断し40℃オーブンで1ヶ月間保管した後、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)を用いて前記組成物の変化を観察する。GPCで測定される分子量分布曲線および分子量に変化(初期に対比して10%以上)があると‘×’、無いと‘○’と判定した。結果を下記表3に示す。
【0145】
【表3】
【0146】
上記表3から明らかなように、実施例1~4は、分子量分布曲線に変化がない反面、比較例1~6は、比較例6を除いて分子量分布曲線に変化があることを確認した。実施例によるハードマスク組成物が、比較例によるハードマスク組成物に比べて保存安定性に優れるのを確認することができる。
【0147】
(評価4:膜密度評価)
シリコンウェーハの上に、実施例1~4および比較例1~6によるハードマスク組成物をスピンコーティングにより塗布した後、ホットプレート上で、400℃で2分間熱処理して、厚さ4,000Åの薄膜を形成した。得られた薄膜の膜密度を、Panalytical社製のX線回折分析(X-ray diffraction)装置を用いて測定した。膜密度の測定結果を下記表4に示す。
【0148】
【表4】
【0149】
上記表4から明らかなように、実施例1~4のハードマスク組成物から製造された薄膜の膜密度が、比較例1~6のハードマスク組成物から製造された膜密度に比べて優れていることが分かる。
【0150】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、以下に記載された特許請求の範囲で定義している発明の基本概念を用いた当業者の様々の変形および改良形態も、本願発明の権利範囲に属するのである。