(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137667
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240927BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20240927BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20240927BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240927BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240927BHJP
C08F 4/00 20060101ALI20240927BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240927BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240927BHJP
G03F 7/004 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
G02B5/20
C08F2/50
C08F20/00 510
C08L101/00
C08K3/013
C08F4/00
C08F2/44 A
H10K59/38
G03F7/004 507
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205013
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2023046834
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土谷 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 真芳
(72)【発明者】
【氏名】北川 直優
(72)【発明者】
【氏名】石原 崇弘
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
3K107
4J002
4J011
4J015
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA18
2H225AC36
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC58
2H225AC72
2H225AD06
2H225AD10
2H225AM22P
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2H225AM86P
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2H225CC13
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4J011WA07
4J015EA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、表面性状が良好な硬化膜を形成できる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る硬化性組成物は、量子ドット(A)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含み、前記重合開始剤(D)の365nmにおける吸光度(A365)に対する350nmにおける吸光度(A350)の比A350/A365が、2.50以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドット(A)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含み、
前記重合開始剤(D)の365nmにおける吸光度(A365)に対する350nmにおける吸光度(A350)の比A350/A365が、2.50以下である硬化性組成物。
【請求項2】
さらに樹脂(B)を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
量子ドット(A)の含有率は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、30質量%以上150質量%以下である請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
さらに有機配位子(G)を含み、
量子ドット(A)及び有機配位子(G)の合計含有率が、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、35質量%以上160質量%以下である請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記重合開始剤(D)の365nmにおける吸光度(A365)に対する350nmにおける吸光度(A350)の比A350/A365が、0.60以上である請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記重合開始剤(D)は、下記式(d-1)で表される部分構造を有する請求項1に記載の硬化性組成物。
【化1】
[式(d-1)において、*は結合手を表す。R
d1は、置換基を有していてもよい炭素数3~20の分岐状の炭化水素基である。]
【請求項7】
前記重合性化合物(C)は、分子内にエチレン性不飽和結合を3個以上有し、かつ、酸性官能基を有する化合物(Ca)を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物から形成される硬化膜。
【請求項9】
請求項8に記載の硬化膜を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は量子ドットを含む硬化性組成物、硬化膜、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~2には、量子ドットを含む硬化性組成物、及び該硬化性組成物を用いて形成される硬化膜及び表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/035603号
【特許文献2】特開2021-161392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが検討したところ、従来の硬化性組成物では、形成した硬化膜表面に皺が生じ得ることが判明した。本発明は、表面性状が良好な硬化膜を形成できる硬化性組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 量子ドット(A)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含み、
前記重合開始剤(D)の365nmにおける吸光度(A365)に対する350nmにおける吸光度(A350)の比A350/A365が、2.50以下である硬化性組成物。
[2] さらに樹脂(B)を含む[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 量子ドット(A)の含有率は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、30質量%以上150質量%以下である[2]に記載の硬化性組成物。
[4] さらに有機配位子(G)を含み、
量子ドット(A)及び有機配位子(G)の合計含有率が、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、35質量%以上160質量%以下である[2]または[3]に記載の硬化性組成物。
[5] 前記重合開始剤(D)の365nmにおける吸光度(A365)に対する350nmにおける吸光度(A350)の比A350/A365が、0.60以上である[1]~[4]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[6] 前記重合開始剤(D)は、下記式(d-1)で表される部分構造を有する[1]~[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
【化1】
[式(d-1)において、*は結合手を表す。R
d1は、置換基を有していてもよい炭素数3~20の分岐状の炭化水素基である。]
[7] 前記重合性化合物(C)は、分子内にエチレン性不飽和結合を3個以上有し、かつ、酸性官能基を有する化合物(Ca)を含む[1]~[6]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[8] [1]~[7]のいずれか一つに記載の硬化性組成物から形成される硬化膜。
[9] [7]に記載の硬化膜を含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表面性状が良好な硬化膜を形成できる硬化性組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<硬化性組成物>
本発明に係る硬化性組成物は、量子ドット(A)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含む。
【0008】
<量子ドット(A)>
量子ドット(A)は、粒子径1nm以上100nm以下の半導体微粒子であり、半導体のバンドギャップを利用し、紫外光又は可視光を吸収して発光する微粒子である。
量子ドット(A)としては、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、CdHgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等の12族元素と16族元素との化合物;GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、InAlPAs等の13族元素と15族元素との化合物;Ga2O3、Ga2S3、Ga2Se3、Ga2Te3、In2O3、In2S3、In2Se3、In2Te3、AgInGaS等の第13族元素と第16族元素との化合物;SnS2、SnS、SnSe、SnTe、PdS、PbSe、PbTe等の14族元素と16族元素との化合物;As2O3、As2S3、As2Se3、As2Te3、Sb2O3、Sb2S3、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2O3、Bi2S3、Bi2Se3、Bi2Te3等の第15族元素と第16族元素との化合物;MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe等の第2族元素と第16族元素との化合物;Si、Ge等の第14族元素、第15族元素又は第16族元素の単体;等が挙げられる。
【0009】
量子ドット(A)がSやSeを含む場合、金属酸化物や有機物で表面修飾した量子ドットを使用してもよい。表面修飾した量子ドットを使用することで、硬化性組成物に含まれる又は含まれ得る反応成分によってSやSeが引き抜かれることを防止することができる。
また量子ドット(A)は、上記の化合物を組み合わせてコアシェル構造を形成していてもよい。このような組み合わせとしては、コアがCdSeであり、シェルがZnSである微粒子、コアがInPであり、シェルがZnSeSである微粒子等が挙げられる。
【0010】
量子ドット(A)のエネルギー状態はその大きさに依存するため、粒子径を変えることにより自由に発光波長を選択することが可能である。例えば、CdSeのみから構成される量子ドットの場合、粒子径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmであるときの蛍光スペクトルのピーク波長は、それぞれ528nm、570nm、592nm、637nmである。
また、量子ドット(A)からの発光光はスペクトル幅が狭く、このような急峻なピークを有する光を組み合わせることにより、硬化性組成物から形成される硬化膜を含む表示装置において、表示可能な色域を拡大させることができる。さらに、量子ドット(A)は応答性が高く、光源から放射される光を効率良く利用することができる。
【0011】
硬化性組成物は、光源から放射される光により特定波長の光を発光する量子ドットを1種のみを含有していてもよく、異なる波長の光を発光する量子ドットを2種以上組み合わせて含有していてもよい。上記特定波長の光としては、例えば、赤色光、緑色光、青色光が挙げられる。
【0012】
硬化性組成物における量子ドット(A)の含有率は、硬化性組成物の固形分の総量に対して、例えば1質量%以上80質量%以下であり、好ましくは10質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上50質量%以下であり、なおさらに好ましくは25質量%以上40質量%以下、特に好ましくは30質量%以上38質量%以下である。
本明細書において固形分の総量とは、硬化性組成物に含まれる成分のうち、溶剤(F)を除いた成分の合計を意味する。硬化性組成物の固形分中の含有率は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0013】
量子ドット(A)の含有率は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、例えば、30質量%以上150質量%以下であり、好ましくは45質量%以上120質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以上90質量%以下であり、よりさらに好ましくは65質量%以上85質量%以下である。本発明では、特定の重合開始剤(D)を含むことにより、量子ドット(A)を高濃度に含む場合にあっても、表面性状が良好な硬化膜を形成可能な硬化性組成物となるため、極めて有用である。また硬化性組成物が量子ドット(A)を高濃度に含むことで、発光強度の向上が期待できる。なお単に量子ドット(A)濃度を上げるだけでは、量子ドット(A)が凝集して失活し、発光強度がかえって低下する場合があるが、後述する硬化性組成物に使用できる樹脂(B)、重合性化合物(C)、並びに有機配位子(G)の成分や特性を適宜調整することにより、量子ドット(A)の分散性を高め得る。
【0014】
硬化性組成物が有機配位子(G)を含む場合、量子ドット(A)及び有機配位子(G)の合計含有率は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、例えば、35質量%以上160質量%以下であり、好ましくは50質量%以上140質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上98質量%以下であり、よりさらに好ましくは88質量%以上95質量%以下である。本発明では、特定の重合開始剤(D)を含むことにより、量子ドット(A)を高濃度に含む場合にあっても、表面性状が良好な硬化膜を形成可能な硬化性組成物となる。
【0015】
<有機配位子(G)>
硬化性組成物は、有機配位子(G)をさらに含んでいてもよい。有機配位子(G)は、硬化性組成物中において、量子ドット(A)に配位していてもよく、硬化性組成物中に遊離していてもよい。
【0016】
量子ドット(A)である半導体粒子は、有機配位子(G)が配位した状態で硬化性組成物中に存在していることが好ましい。以下、有機配位子(G)が配位している半導体粒子を配位子含有半導体粒子ともいう。半導体粒子に配位する配位子は、例えば、半導体粒子に対する配位能を示す極性基を有する有機化合物であることができる。有機配位子(G)は、配位子含有半導体粒子の合成上の制約から、又は、安定化のために添加した有機配位子(G)であってもよい。例えば、特表2015-529698号公報において、配位子含有半導体粒子は、粒子サイズ制御の観点から有機配位子(G)としてヘキサン酸を含み、また、合成後の安定化のために有機配位子(G)をDDSA(ドデセニルコハク酸)に置換している。
有機配位子(G)は、例えば半導体粒子の表面に配位することができる。
【0017】
極性基は、例えば、チオール基(-SH)、カルボキシル基(-COOH)及びアミノ基(-NH2)からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。該群より選択される極性基は、半導体粒子への配位性を高めるうえで有利となり得る。高い配位性は、硬化膜の色ムラの改善及び/又は硬化性組成物のパターニング性の改善に貢献し得る。中でも、発光特性により優れる硬化膜(波長変換膜等)を得る観点から、極性基は、チオール基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。有機配位子(G)は、1個又は2個以上の極性基を有し得る。
【0018】
有機配位子(G)は、例えば、下記式(X):
XA-RX (X)
で表される有機化合物であることができる。式中、XAは上記の極性基であり、RXはヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい1価の炭化水素基である。該炭化水素基は、炭素-炭素二重結合等の不飽和結合を1個又は2個以上有していてもよい。該炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有していてもよい。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上40以下であり、1以上30以下であってもよい。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。
【0019】
基RXは、極性基を含んでいてもよい。該極性基の具体例については極性基XAに係る上記記述が引用される。
【0020】
極性基XAとしてカルボキシ基を有する有機配位子(G)の具体例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のほか、飽和又は不飽和脂肪酸を挙げることができる。飽和又は不飽和脂肪酸の具体例は、ブチル酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の一価不飽和脂肪酸;リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ステアドリン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸(ドコサテトラエン酸)等の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0021】
極性基XAとしてチオール基又はアミノ基を有する有機配位子(G)の具体例は、上で例示した極性基XAとしてカルボキシ基を有する有機配位子(G)のカルボキシ基がチオール基又はアミノ基に置き換わった有機配位子(G)を含む。
【0022】
上記式(X)で表される有機配位子(G)の好ましい例として化合物(J-1)及び化合物(J-2)が挙げられる。
【0023】
[化合物(J-1)]
化合物(J-1)は、第1官能基及び第2官能基を有する化合物である。第1官能基はカルボキシ基(-COOH)であり、第2官能基はカルボキシ基又はチオール基(-SH)である。化合物(J-1)は、カルボキシ基及び/又はチオール基を有しているため、量子ドット(A)に配位する配位子となり得る。
硬化性組成物は、化合物(J-1)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
【0024】
化合物(J-1)を硬化性組成物に含有させることにより、該硬化性組成物の現像速度を十分に速くすることができるとともに、該硬化性組成物から形成される硬化膜の発光強度を高めることができる。これは、化合物(J-1)が有するカルボキシ基及びチオール基がいずれも、アルカリ現像液による高い現像性を硬化性組成物に付与することができるとともに、量子ドット(A)によく配位して硬化性組成物中における量子ドット(A)の分散性を高めることができるためであると考えられる。とりわけカルボキシ基は、アルカリ現像液による現像性を高める効果がより高く、チオール基は、量子ドット(A)の分散性を高める効果がより高い。
【0025】
硬化性組成物の現像速度を速くすることは、硬化膜の発光強度を高めることにも寄与し得る。これは、現像工程中の硬化膜への水の浸透を抑えることができるためであると考えられる。
【0026】
化合物(J-1)の一例は、下記式(J-1a)で表される化合物である。化合物(J-1)は、式(J-1a)で表される化合物の酸無水物であってもよい。
【0027】
【化2】
[式中、R
Bは、2価の炭化水素基を表す。複数のR
Bが存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。上記炭化水素基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。上記炭化水素基に含まれる-CH
2-は-O-、-S-、-SO
2-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。
pは、1~10の整数を表す。]
【0028】
RBで表される2価の炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0029】
鎖状炭化水素基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は、通常1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10である。
直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基としては、例えば、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、1-メチルブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等が挙げられる。
【0030】
脂環式炭化水素基としては、例えば、単環式又多環式のシクロアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は、通常3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~10である。
単環式又多環式のシクロアルカンジイル基としては、例えばシクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,3-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基、5-ノルボルネン-2,3-ジイル基、アダマンタン-1,5-ジイル基、アダマンタン-2,6-ジイル等が挙げられる。
【0031】
芳香族炭化水素基としては、例えば、アレーンジイル基が挙げられ、その炭素数は、通常6~20である。単環式又多環式のアレーンジイル基としては、例えばベンゼンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ピレンジイル基、ピリジンジイル基、ピラジンジイル基、ピラゾールジイル基等が挙げられる。
【0032】
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1~50のアルキル基、炭素数3~50のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0033】
炭素数1~50のアルキル基としては、例えば、飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基及び2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0034】
炭素数3~50のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。
【0035】
炭素数6~20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
【0036】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0037】
上記炭化水素基が有していてもよい置換基は、好ましくは、カルボキシ基、アミノ基又はハロゲン原子である。
【0038】
上記炭化水素基に含まれる-CH2-が-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わる場合、-CH2-が置き換わるのは、好ましくは-CO-及び-NH-の少なくとも1つであり、より好ましくは-NH-である。
pは、好ましくは1又は2である。
【0039】
式(J-1a)で表される化合物としては、例えば、下記式(1-1)~(1-9)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【0041】
式(J-1a)で表される化合物の具体例を化学名で示せば、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトブタン酸、4-メルカプトブタン酸、メルカプトコハク酸、メルカプトステアリン酸、メルカプトオクタン酸、4-メルカプト安息香酸、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メルカプト安息香酸、L-システイン、N-アセチル-L-システイン、3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル、3-メルカプト-2-メチルプロピオン酸等が挙げられる。
中でも3-メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸が好ましい。
【0042】
化合物(J-1)の他の一例は、多価カルボン酸化合物であり、好ましくは上記式(J-1a)で表される化合物において、式(J-1a)中の-SHがカルボキシ基(-COOH)に置き換わった化合物(J-1b)が挙げられる。
【0043】
化合物(J-1b)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、ドデカフルオロスベリン酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、trans-3-ヘキセン二酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、アセチレンジカルボン酸、trans-アコニット酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボン酸、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、1,1-シクロプロパンジカルボン酸、1,1-シクロブタンジカルボン酸、cis-又はtrans-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、cis-又はtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,1-シクロペンタン二酢酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、デカヒドロ-1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フタル酸、3-フルオロフタル酸、イソフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,1’-フェロセンジカルボン酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、ベンゾフェノン-2,4’-ジカルボン酸一水和物、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、2,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピリジンジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、3,4-ピリジンジカルボン酸、ピラゾール-3,5-ジカルボン酸一水和物、4,4’-スチルベンジカルボン酸、アントラキノン-2,3-ジカルボン酸、4-(カルボキシメチル)安息香酸、ケリドン酸一水和物、アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、アゾベンゼン-3,3’-ジカルボン酸、クロレンド酸、1H-イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,10-ビス(4-カルボキシフェノキシ)デカン、ジプロピルマロン酸、ジチオジグリコール酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、4,4’-ジチオジブタン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシジフェニルスルホン、エチレングリコール ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、3,4-エチレンジオキシチオフェン-2,5-ジカルボン酸、4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、1,3-アセトンジカルボン酸、メチレンジサリチル酸、5,5’-チオジサリチル酸、トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、テトラフルオロコハク酸、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,3-ベンゼンジプロピオン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸等。
【0044】
硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から、化合物(J-1)の分子量は、好ましくは3000以下であり、より好ましくは2000以下であり、さらに好ましくは1000以下であり、なおさらに好ましくは800以下であり、特に好ましくは500以下である。化合物(J-1)の分子量は、通常100以上である。
【0045】
上記分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
【0046】
硬化性組成物において化合物(J-1)は、その少なくとも一部の分子が量子ドット(A)に配位していることが好ましく、そのすべて又はほぼすべての分子が量子ドット(A)に配位していてもよい。すなわち、硬化性組成物は、量子ドット(A)に配位している化合物(J-1)を含むことが好ましいが、量子ドット(A)に配位している化合物(J-1)とともに、量子ドット(A)に配位していない化合物(J-1)を含んでいてもよい。
量子ドット(A)に配位している化合物(J-1)を含むことは、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から有利となり得る。化合物(J-1)は通常、第1官能基及び/又は第2官能基を介して量子ドット(A)に配位することができる。化合物(J-1)は、例えば量子ドット(A)の表面に配位することができる。
【0047】
硬化性組成物中の量子ドット(A)に対する化合物(J-1)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下であり、より好ましくは0.01以上0.5以下であり、さらに好ましくは0.02以上0.1以下である。該含有量比がこの範囲にあると、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から有利となり得る。
【0048】
硬化性組成物における化合物(J-1)の含有率は、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から、硬化性組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上8質量%以下であり、なおさらに好ましくは0.2質量%以上5質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以上4質量%以下である。
【0049】
[化合物(J-2)]
化合物(J-2)は、化合物(J-1)とは異なる化合物(J-2)であって、ポリアルキレングリコール構造を含み、かつ極性基を分子末端に有する化合物である。分子末端とは、化合物(J-2)中、最も長い炭素鎖(炭素鎖中の炭素原子は、酸素原子等の他の原子に置き換わっていてもよい。)の末端であることが好ましい。
硬化性組成物は、化合物(J-2)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
なお、ポリアルキレングリコール構造を含み、上記第1官能基及び第2官能基を有する化合物は、化合物(J-1)に属するものとする。
【0050】
硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から、硬化性組成物は、化合物(J-1)を含んでいてもよいし、化合物(J-1)及び化合物(J-2)を含んでいてもよい。
【0051】
ポリアルキレングリコール構造とは、下記式:
【0052】
【0053】
で表される構造をいう(nは2以上の整数)。式中、RCはアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
化合物(J-2)の具体例として、下記式(J-2a)で表されるポリアルキレングリコール系化合物を挙げることができる。
【0054】
【0055】
式(J-2a)中、Xは極性基であり、Yは1価の基であり、ZCは2価又は3価の基である。nは2以上の整数である。mは1又は2である。RCはアルキレン基である。
【0056】
硬化性組成物において化合物(J-2)は、その少なくとも一部の分子が量子ドット(A)に配位していることが好ましく、そのすべて又はほぼすべての分子が量子ドット(A)に配位していてもよい。すなわち、硬化性組成物は、量子ドット(A)に配位している化合物(J-2)を含むことが好ましいが、量子ドット(A)に配位している化合物(J-2)とともに、量子ドット(A)に配位していない化合物(J-2)を含んでいてもよい。
量子ドット(A)に配位している化合物(J-2)を含むことは、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から有利となり得る。化合物(J-2a)は通常、極性基Xを介して量子ドット(A)に配位することができる。基Yが極性基を含む場合、化合物(J-2a)は、基Yの極性基を介して、又は極性基X及び基Yの極性基を介して量子ドット(A)に配位することもできる。化合物(J-2)は、例えば量子ドット(A)の表面に配位することができる。
【0057】
極性基Xは、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH2)からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。該群より選択される極性基は、量子ドット(A)への配位性を高めるうえで有利となり得る。中でも、硬化膜の発光強度を高める観点から、極性基Xは、チオール基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。
【0058】
基Yは1価の基である。基Yとしては特に制限されず、置換基(N、O、S、ハロゲン原子等)を有していてもよい1価の炭化水素基を挙げることができる。該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。
【0059】
上記炭化水素基の炭素数は、例えば1以上12以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
基Yとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルキル基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルコキシ基等が挙げられる。該アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1以上8以下であり、より好ましくは1以上6以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルコキシ基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。中でも、基Yは、炭素数が1以上4以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0060】
基Yは、極性基を含んでいてもよい。該極性基としては、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH2)からなる群より選択される少なくとも1種の基が挙げられる。ただし、上述のとおり、ポリアルキレングリコール構造を含み、上記第1官能基及び第2官能基を有する化合物は、化合物(J-1)に属するものとする。該極性基は、好ましくは基Yの末端に配置される。
【0061】
基ZCは2価又は3価の基である。基ZCとしては特に制限されず、ヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい2価又は3価の炭化水素基を挙げることができる。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上24以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
【0062】
2価の基である基ZCとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルキレン基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルケニレン基等が挙げられる。該アルキル基及びアルケニレン基の炭素数は、好ましくは1以上12以下であり、より好ましくは1以上8以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルケニレン基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。3価の基である基ZCの例としては、上記2価の基である基ZCから水素原子を1つ取り除いた基を挙げることができる。
【0063】
基ZCは、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する基ZCは、上記式(J-2a)に示されるポリアルキレングリコール構造を含む分岐鎖とは別の分岐鎖において、上記式(J-2a)に示されるポリアルキレングリコール構造とは別のポリアルキレングリコール構造を有していてもよい。
【0064】
中でも、基ZCは、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
【0065】
RCはアルキレン基であり、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
【0066】
式(J-2a)中のnは2以上の整数であり、好ましくは2以上540以下であり、より好ましくは2以上120以下であり、さらに好ましくは2以上60以下である。
【0067】
化合物(J-2)の分子量は、例えば150以上10000以下程度であり得るが、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から、150以上5000以下であることが好ましく、150以上4000以下であることがより好ましい。
【0068】
上記分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、GPCにより測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
【0069】
硬化性組成物中の量子ドット(A)に対する化合物(J-2)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上2以下であり、より好ましくは0.01以上1.5以下であり、さらに好ましくは0.1以上1以下である。該含有量比がこの範囲にあると、硬化性組成物の現像速度を速くする観点及び硬化膜の発光強度を高める観点から有利となり得る。
【0070】
硬化性組成物が有機配位子(G)を含む場合、硬化性組成物中の量子ドット(A)に対する有機配位子(G)の含有量の比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下、より好ましくは0.01以上0.8以下、さらに好ましくは0.02以上0.5以下である。該含有量比がこの範囲にあると、量子ドット(A)の安定性及び分散性、並びに、硬化膜の発光強度を向上させる観点から有利となり得る。ここでいう有機配位子(G)の含有量とは、硬化性組成物に含まれるすべての有機配位子の合計含有量である。
【0071】
硬化性組成物が有機配位子(G)を含む場合、硬化性組成物における量子ドット(A)及び有機配位子(G)の合計含有率は、量子ドット(A)の安定性及び分散性、並びに、硬化膜の発光強度を向上させる観点から、硬化性組成物の固形分の総量に対して、好ましくは10質量%以上75質量%以下、より好ましくは20質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上65質量%以下であり、よりさらに好ましくは35質量%以上50質量%以下である。
【0072】
<樹脂(B)>
硬化性組成物は、樹脂(B)をさらに含んでいてもよい。
樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]~[K5]等が挙げられる。
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(a)(以下、「(a)」ともいう。)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)とは異なる。)(以下、「(c)」ともいう。)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K2];前記(a)に由来する構造単位に炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下、「(b)」ともいう。)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K3];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K4];前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させ、更にカルボン酸無水物をエステル結合させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K5];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させ、更にカルボン酸無水物をエステル結合させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体。
【0073】
(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル;
α-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
【0074】
(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群より選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する単量体である。(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
【0075】
(b)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等のオキシラン環とエチレン性不飽和結合とを有する単量体;
3-メチル-3-メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等のオキセタン環とエチレン性不飽和結合とを有する単量体;
テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のテトラヒドロフラン環とエチレン性不飽和結合とを有する単量体等が挙げられる。
樹脂[K2]~[K5]の製造時の反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、(b)としては、オキシラン環とエチレン性不飽和結合とを有する単量体が好ましい。
【0076】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)
アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体;
スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエンイソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び樹脂(B)の耐熱性の点から、メチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート)、スチレン、ビニルトルエン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等が好ましい。
【0077】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2モル%以上60モル%以下
(c)に由来する構造単位;40モル%以上98モル%以下
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10モル%以上50モル%以下
(c)に由来する構造単位;50モル%以上90モル%以下
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、硬化性組成物の保存安定性、硬化パターンを形成する際の現像性、及び得られる硬化パターンの耐溶剤性に優れる傾向がある。
本明細書において硬化パターンとは、硬化膜の一態様であり、パターン状に形成された硬化膜をいう。
【0078】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0079】
具体的には、(a)及び(c)の所定量、重合開始剤並びに溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。
ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、本発明の硬化性組成物に含まれていてもよい溶剤(F)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0080】
得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。重合の際の溶剤として後述の溶剤(F)を使用すれば、反応後の溶液をそのまま硬化性組成物の調製に使用することができるため、硬化性組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0081】
樹脂[K2]は、(a)と(c)との共重合体に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]について述べた比率と同じであることが好ましい。
【0082】
次に、上記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えば有機リン化合物、金属錯体、アミン化合物等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等の存在下、例えば60℃以上130℃以下で、1~10時間反応することにより、樹脂[K2]を製造することができる。
【0083】
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、好ましくは5モル以上80モル以下であり、より好ましくは10モル以上75モル以下である。この範囲にすることにより、硬化性組成物の保存安定性、硬化パターンを形成する際の現像性、並びに、得られる硬化パターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。
【0084】
反応触媒としての有機リン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン等が挙げられる。反応触媒としてのアミン化合物としては、例えば脂肪族第三級アミン化合物又は脂肪族第四級アンモニウム塩化合物等が使用可能であり、その具体例としては、例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。現像性及び硬化膜の発光強度の観点から、反応触媒は、好ましくは有機リン化合物である。
【0085】
反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。
重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。
【0086】
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0087】
樹脂[K3]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0088】
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、上記共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下
(c)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10モル%以上90モル%以下
(c)に由来する構造単位;10モル%以上90モル%以下
であることがより好ましい。
【0089】
樹脂[K3]は、樹脂[K2]の製造方法と同様の条件で(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより得ることができる。
上記共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5モル以上80モル以下が好ましい。
【0090】
樹脂[K4]は、樹脂[K2]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。
カルボン酸無水物の使用量は、(b)の使用量1モルに対して、0.5~1モルが好ましい。
【0091】
樹脂[K5]は、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、樹脂[K3]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、樹脂[K4]で例示したものと同様のものが使用できる。
カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5~1モルが好ましい。
【0092】
樹脂[K1]、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]及び樹脂[K5]としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K2];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂等の樹脂[K3];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物をエステル結合させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物をエステル結合させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物をエステル結合させた樹脂等の樹脂[K4];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物をエステル結合させた樹脂等の樹脂[K5];
等が挙げられる。
中でも、樹脂(B)は、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]及び樹脂[K5]からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0093】
樹脂(B)の更なる例として、特開2018-123274号公報に記載のアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。該アルカリ可溶性樹脂としては、側鎖に二重結合を有するとともに、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位(α)と、下記式(II)で表される構成単位(β)とを含み、さらに酸基を含む重合体(以下、「樹脂(Ba)」ともいう。)が挙げられる。
酸基は、例えば樹脂(Ba)が、酸基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸等)に由来する構成単位(γ)を含むことで、樹脂中に導入されたものであることができる。樹脂(Ba)は、好ましくは、主鎖骨格に構成単位(α)、(β)及び(γ)を含む。
【0094】
【化6】
[式中、R
A及びR
Bは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~25の炭化水素基を表す。nは、式(I)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。]
【0095】
【化7】
[式中、R
Cは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R
Dは、同一又は異なって、炭素数4~20の直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基を表す。mは、式(II)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。]
【0096】
樹脂(Ba)において、構成単位(α)の含有割合は、樹脂(Ba)の耐熱性や保存安定性の観点から、樹脂(Ba)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば0.5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。式(I)中のnは、樹脂(Ba)中の構成単位(α)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(α)の含有割合が上記範囲内になるようにnを設定することができる。
【0097】
構成単位(β)の含有割合は、硬化膜の耐溶剤性の観点から、樹脂(Ba)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上75質量%以下である。式(II)中のmは、樹脂(Ba)中の構成単位(β)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(β)の含有割合が上述した範囲内になるようにmを設定することができる。
【0098】
構成単位(γ)の含有割合は、アルカリ物質に対する樹脂(Ba)の可溶性や溶剤(F)に対する樹脂(Ba)の溶解性の観点から、樹脂(Ba)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば0.5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは2質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
【0099】
樹脂(B)は、上述の樹脂[K1]、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]、樹脂[K5]及び樹脂(Ba)からなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。
【0100】
樹脂(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは9000以下である。樹脂(B)が上記重量平均分子量を有することにより、厚膜でも現像速度が速く、かつ発光強度の高い硬化膜が得られる傾向にある。
樹脂(B)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、例えば1000以上100000以下であり、現像速度及び発光強度の観点から、好ましくは2000以上50000以下であり、より好ましくは3000以上20000以下である。
樹脂(B)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、後述の実施例の欄における測定方法に従って測定される。
樹脂(B)の重量平均分子量を上記範囲とするために、用いる原料の選択、仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件を適宜組み合わせて調整することができる。
【0101】
GPCによって測定される樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、例えば1.0以上6.0以下であり、硬化膜の現像性の観点から、好ましくは1.2以上4.0以下である。
【0102】
樹脂(B)の酸価は、固形分を基準として、好ましくは30mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、硬化膜の現像性の観点から、好ましくは35mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であり、より好ましくは40mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。ここで酸価は、樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。樹脂(B)の酸価は、後述の実施例の欄における測定方法に従って測定される。
【0103】
樹脂(B)は、二重結合当量が、例えば300g/eq以上2000g/eq以下、好ましくは500g/eq以上1500g/eq以下である樹脂を含むことができる。樹脂(B)が300g/eq以上2000g/eq以下の二重結合当量を有する樹脂を含むことにより、硬化パターンを製造する工程中に消光される現象が防止され易くなる傾向にある。樹脂(B)が2000g/eqを超える二重結合当量を有する樹脂を含む場合、樹脂(B)は、量子ドット(A)を効果的に保護する能力が低下する傾向にある。樹脂(B)が300g/eq未満の二重結合当量を有する樹脂を含む場合、現像時に溶解されずに硬化膜が剥離し易くなる傾向にある。
300g/eq以上2000g/eq以下の二重結合当量を有する樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。樹脂(B)は、好ましくは(メタ)アクリル系樹脂からなる。
【0104】
硬化性組成物における樹脂(B)の含有率は、硬化性組成物の固形分の総量に対して、例えば5質量%以上80質量%以下であり、好ましくは10質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは17質量%以上55質量%以下である。樹脂(B)の含有率が上記範囲以内である場合、量子ドット(A)が分散し易くなり、かつ、硬化パターンを製造する工程中に発光効率を高く維持し易くなる傾向にある。
【0105】
硬化性組成物において、後述する重合性化合物(C)に対する樹脂(B)の質量比(固形分比)は、例えば1以上であり、硬化膜の現像性及び発光強度の観点から、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは2.5以上である。
【0106】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、後述する重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合し得る化合物である。重合性化合物(C)としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物等の光重合性化合物が挙げられ、例えば(メタ)アクリル酸エステル化合物である。重合性化合物(C)の他の例は、熱重合性化合物である。組成物は、重合性化合物(C)を2種以上含んでいてもよい。
【0107】
重合性化合物(C)は、好ましくは、分子内にエチレン性不飽和結合を3個以上有する光重合性化合物である。重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2900以下、より好ましくは250以上1500以下である。
【0108】
分子内にエチレン性不飽和結合を3個以上有する光重合性化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合を3個以上有し、かつ、酸性官能基を有する化合物(Ca)、分子内にエチレン性不飽和結合を3個以上有し、かつ、酸性官能基を有しない化合物(Cb)が挙げられる。重合性化合物(C)は、化合物(Ca)及び化合物(Cb)の少なくとも1種を含むことが好ましく、化合物(Ca)を2種以上、化合物(Cb)を2種以上、又は化合物(Ca)の少なくとも1種と化合物(Cb)の少なくとも1種とを含んでいてもよい。
【0109】
上記酸性官能基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。中でも、酸性官能基は、カルボキシ基であることが好ましい。
【0110】
重合性化合物(C)が化合物(Ca)を含むことにより、量子ドット(A)の分散性を向上させることができ、硬化膜の発光強度を向上させ得る。また、重合性化合物(C)が化合物(Ca)を含むことにより、硬化性組成物の硬化性及び耐熱性を向上させ得る。重合性化合物(C)が化合物(Ca)を含む場合、重合性化合物(C)100質量%中、化合物(Ca)の含有量は、好ましくは5~100質量%、より好ましくは15~65質量%、さらに好ましくは35~50質量%である。化合物(Ca)の含有量を下限値以上にすることで、硬化膜の発光強度が良好となる。
【0111】
化合物(Ca)が有するエチレン性不飽和結合は、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。化合物(Ca)1分子が有するエチレン性不飽和結合の数は、好ましくは3~5、より好ましくは3である。化合物(Ca)1分子が有する酸性官能基の数は、1以上である。2以上の酸性官能基を有する場合は、それぞれの酸性官能基は異なってもいてもよく同一であってもよいが、少なくとも1つのカルボキシ基を有することが好ましい。
【0112】
化合物(Ca)としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基及び1個以上のヒドロキシ基を有する化合物を多塩基酸変性して得られた化合物が挙げられる。該化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとマレイン酸とをモノエステル化した化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとマレイン酸とをモノエステル化した化合物等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物が好ましい。
【0113】
化合物(Ca)の市販品としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする東亞合成(株)製「アロニックス M-510」、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする、東亞合成(株)製「アロニックス M-520D」等を挙げることができる。これらの市販品は、酸性官能基としてカルボキシ基を有する。
【0114】
化合物(Cb)が有するエチレン性不飽和結合は、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。化合物(Cb)1分子が有するエチレン性不飽和結合の数は、好ましくは3~6である。
【0115】
化合物(Cb)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0116】
硬化性組成物の現像速度を向上させる観点からは、重合性化合物(C)は、化合物(Cb)を含むことが好ましい。重合性化合物(C)が化合物(Cb)を含む場合、重合性化合物(C)100質量%中、化合物(Cb)の含有量は、好ましくは5~100質量%、より好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは50~85質量%である。化合物(Cb)の含有量を下限値以上にすることで、硬化性組成物の現像速度が良好となる。
【0117】
硬化膜の発光強度を向上させ、硬化膜の耐溶剤性(残膜率)を向上させる観点から、重合性化合物(C)は、化合物(Ca)及び化合物(Cb)を含むことが好ましく、化合物(Ca)及び化合物(Cb)の含有比率(化合物(Ca):化合物(Cb))は、質量基準で、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは15:85~85:15であり、さらに好ましくは35:65~65:35である。
【0118】
硬化性組成物における重合性化合物(C)の含有率は、硬化性組成物の固形分の総量に対して、好ましくは7質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは13質量%以上30質量%以下である。重合性化合物(C)の含有率が上記範囲内にあると、硬化膜の耐溶剤性(残膜率)が向上する傾向にある。
【0119】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合性化合物(C)の重合を開始し得る化合物である。組成物は、1種又は2種以上の重合開始剤(D)を含むことができる。
【0120】
本発明に係る硬化性組成物は、重合開始剤(D)として、365nmにおける吸光度(A365)に対する350nmにおける吸光度(A350)の比A350/A365が、2.50以下を満足するものを含む。本発明者らはi線(365nm)に着目して種々検討を行った。その結果、重合開始剤(D)の吸収スペクトルにおいて、365nmとこれに近い350nmにおける吸光度を測定し、A350/A365から求められる値と、硬化膜の表面性状には一定の相関関係があることが判明した。A350/A365が2.50以下の重合開始剤(D)を用いることで、表面性状が良好な(表面に皺が形成されない)硬化膜を形成できる硬化性組成物が得られる。特に、従来の硬化性組成物の組成において量子ドット(A)を高濃度化すると形成した硬化膜表面に皺が生じる場合があったが、A350/A365が2.50以下の重合開始剤(D)を用いることで、量子ドット(A)を高濃度に含む硬化性組成物においても表面性状が良好な硬化膜を形成し得る。ここで、「量子ドット(A)を高濃度に含む硬化性組成物」とは、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対する量子ドット(A)の含有率が、例えば30質量%以上、より具体的には45質量%以上の硬化性組成物を指してよい。
A350/A365で求められる比は、好ましくは2.40以下、より好ましくは2.30以下、さらに好ましくは1.90以下、よりさらに好ましくは1.50以下である。A350/A365で求められる比を適切に調整することで、硬化膜の表面性状を良好にでき、パターニング性にも優れた硬化性組成物となる。下限は特に限定されないが、A350/A365の値が小さな重合開始剤(D)では硬化膜の発光強度が低下する場合があるため、A350/A365で求められる比は、例えば0.60以上、好ましくは0.75以上、より好ましくは0.95以上、さらに好ましくは1.05以上、よりさらに好ましくは1.14以上である。
以下、A350/A365が2.50以下の重合開始剤を、重合開始剤(DR)と称し、重合開始剤(DR)について具体的に説明する。
【0121】
重合開始剤(DR)としては、A350/A365が2.50以下を満足するものであれば特に制限なく用いられ、重合開始剤(DR)のより具体的な構造としては、例えばオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィン化合物等の重合開始剤が挙げられる。重合開始剤(DR)は、より好ましくはA350/A365が2.50以下であるオキシム化合物(以下、「オキシム化合物(Da)という」、またはA350/A365が2.50以下であるトリアジン化合物(以下、「トリアジン化合物(Db)」という)である。
【0122】
オキシム化合物(Da)としては、下記式(da1)で表される部分構造を有するオキシム化合物が挙げられる。*は結合手を表す。
【0123】
【0124】
オキシム化合物(Da)は、更に下記式(d-1)~式(d-3)で表される部分構造から選択される少なくとも1つを有することが好ましい。これらの部分構造を有するオキシム化合物(Da)であれば、表面性状が良好な硬化膜を形成できる硬化性組成物を容易に提供できる。オキシム化合物(Da)は、式(d-1)で表される部分構造または式(d-3)で表される部分構造を有することがより好ましく、式(d-1)で表される部分構造を有することがさらに好ましい。特に、オキシム化合物(Da)が式(d-1)で表される部分構造(カルバゾール骨格)を有することで、パターニング性に優れた硬化性組成物となる。なお式(d-1)~式(d-3)において、*は結合手を表す。
【0125】
【0126】
式(d-1)及び式(d-2)において、Rd1及びRd2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3~20の分岐状の炭化水素基である。
【0127】
Rd1及びRd2で表される炭素数3~20の分岐状の炭化水素基としては、炭素数3~20の分岐状の飽和炭化水素基、炭素数3~20の分岐状の不飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0128】
Rd1及びRd2で表される炭素数3~20の分岐状の飽和炭化水素基としては、例えば、1-メチルエチル基(イソプロピル基)、1-メチルプロピル基(sec-ブチル基)、2-メチルプロピル基(イソブチル基)、1,1-ジメチルエチル基(tert-ブチル基)、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、2,3-ジメチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、3,3-ジメチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、2,3-ジメチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、3-エチルヘプチル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、1,1-ジメチルオクチル基、2,2-ジメチルオクチル基、3,3-ジメチルオクチル基、1,2-ジメチルオクチル基、1,3-ジメチルオクチル基、2,3-ジメチルオクチル基、1-エチルオクチル基、2-エチルオクチル基、3-エチルオクチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、ジメチルノニル基、エチルノニル基、メチルデシル基、ジメチルデシル基、エチルデシル基、メチルウンデシル基、ジメチルウンデシル基、エチルウンデシル基、メチルドデシル基等の分岐鎖状アルキル基;が挙げられる。
Rd1及びRd2で表される分岐鎖状アルキル基は、第1級分岐鎖状アルキル基、第2級分岐鎖状アルキル基、または第3級分岐鎖状アルキル基のいずれであってもよい。
Rd1及びRd2で表される分岐状の飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
【0129】
Rd1及びRd2で表される分岐状の不飽和炭化水素基としては、前述したRd1及びRd2で表される分岐状の飽和炭化水素基に含まれる少なくとも1以上の炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合に置き換わった基等が例示される。
Rd1及びRd2で表される分岐状の不飽和炭化水素基としては、例えば、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノニル基、イソデセニル基等のアルケニル基;イソプロピニル基、イソブチニル基、イソペンチニル基、イソヘキシニル基、イソヘプチニル基、イソオクチニル基、イソノニニル基、イソデシニル基;等のアルキニル基;等が挙げられる。
Rd1及びRd2で表される分岐状の不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
【0130】
Rd1及びRd2で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0131】
前記炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-CO-または-OCO-に置き換わっていてもよく、隣接する-CH2-が同時に同種の基に置換されることはなく、末端の-CH2-が置換されることはない。
【0132】
Rd1及びRd2で表される炭素数3~20の分岐状の炭化水素基は、
炭素数3~20の分岐状の飽和炭化水素基が好ましく、
炭素数3~20の分岐鎖状アルキル基がより好ましく、
炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基がさらに好ましく、
1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基及び3-エチルヘプチル基からなる群より選択される1以上が好ましい。
【0133】
オキシム化合物(Da)としては、例えば、式(Da-1)~式(Da-3)で表される化合物が挙げられる。
【0134】
【化10】
[式(Da-1)中、R
d1は前記に同じ。R
d3~R
d6は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。nは0~4のいずれかの整数を表す。前記炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-S-、-CO-または-OCO-に置き換わっていてもよい。]
【0135】
【化11】
[式(Da-2)中、R
d1は前記に同じ。R
d7及びR
d8は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。mは1~10のいずれかの整数を表す。前記炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-S-、-CO-または-OCO-に置き換わっていてもよい。]
【0136】
【化12】
[式(Da-3)中、R
d2は前記に同じ。R
d10~R
d12は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。kは0~5のいずれかの整数を表す。前記炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-S-、-CO-または-OCO-に置き換わっていてもよい。]
【0137】
Rd3~Rd12で表される炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20の不飽和炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rd3~Rd12で表される炭化水素基は、それぞれ、同一であっても異なってもよい。
【0138】
前記炭素数1~20の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素数3~20の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~18、より好ましくは1~15、さらに好ましくは1~10、さらにより好ましくは1~8、よりさらに好ましくは1~6、特に好ましくは1~4である。
【0139】
前記炭素数2~20の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ヘキシニル基、デシニル基、イコシニル基等のアルキニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等のシクロアルケニル基;等が挙げられる。不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは2~18、より好ましくは2~15、さらに好ましくは2~10である。
【0140】
前記炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ジ(2,2-ジメチルプロピル)フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~15、さらに好ましくは6~12である。
【0141】
Rd3~Rd12で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0142】
前記炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-CO-または-OCO-に置き換わっていてもよく、隣接する-CH2-が同時に同種の基に置換されることはなく、末端の-CH2-が置換されることはない。
【0143】
nは0~4のいずれかの整数を表し、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0~2の整数、さらに好ましくは0又は1の整数、さらにより好ましくは0である。
【0144】
mは1~10のいずれかの整数を表し、好ましくは2~9の整数、より好ましくは3~8の整数、さらに好ましくは5又は6である。
【0145】
kは0~5のいずれかの整数を表し、好ましくは1~4の整数、より好ましくは2又は3である。
【0146】
オキシム化合物(Da)としては、イルガキュア(登録商標)OXE03(BASF社製)、NCI-831、NCI-730(以上、ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0147】
トリアジン化合物(Db)としては、下記式(db1)で表される部分構造を有するトリアジン化合物が挙げられる。*は結合手を表す。
【0148】
【0149】
トリアジン化合物(Db)は、更に下記式(d-4)~式(d-5)で表される部分構造から選択される少なくとも1つを有することが好ましく、式(d-4)で表される部分構造を有することがより好ましい。*は結合手を表す。
【0150】
【0151】
トリアジン化合物(Db)としては、TAZ-PP(2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、DKSHジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
【0152】
重合開始剤(D)としては、前述した重合開始剤(DR)以外の重合開始剤(以下、「重合開始剤(DS)」という)を含んでいてもよい。重合開始剤(DS)としては、オキシム化合物(ただしオキシム化合物(Da)を除く)、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物(ただしトリアジン化合物(Db)を除く)及びアシルホスフィン化合物等の重合開始剤、アゾ系化合物や有機過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
【0153】
オキシム化合物(ただしオキシム化合物(Da)を除く)の一例は、下記式(1)で表される第1分子構造を有するオキシム化合物である。以下、該オキシム化合物を「オキシム化合物(1)」とも称する。
【0154】
【化15】
[式(1)中、R
1は、R
11、OR
11、COR
11、SR
11、CONR
12R
13又はCNを表す。*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造以外の他の分子構造である第2分子構造との結合手を表す。]
【0155】
重合開始剤(D)としてオキシム化合物(1)を含むことは、硬化膜の発光強度を向上させる観点から有利となり得る。このような効果を奏することができる一因は、オキシム化合物(1)が有する特有の分子構造に起因して、オキシム化合物(1)が光重合を開始させる際に必要となるオキシム化合物(1)の開裂(分解)前後でのオキシム化合物(1)の吸収波長が大きく変化することから、オキシム化合物(1)は光ラジカル重合開始能力が高いことにあると推定される。
【0156】
R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R11、R12又はR13で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR22R23、CONR22R23、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
R11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
R24は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、またR12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
【0157】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。
【0158】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数6~30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0159】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数7~30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α、α-ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0160】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数2~20の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ベンゾオキサゾール-2-イル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、チアゾリジル基、イソチアゾリジル基、オキサゾリジル基、イソオキサゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリニル基等が挙げられ、好ましくは5~7員複素環である。
【0161】
式(1)中のR12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよいとは、R12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等が挙げられ、好ましくは5~7員環である。
【0162】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23が置換基として有してもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0163】
式(1)中のR1は、好ましくはR11であり、より好ましくは炭素数1~20のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~10のアルキル基であり、よりさらに好ましくは1~6のアルキル基である。
【0164】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の一例は、下記式(2)で表される構造である。第2分子構造とは、オキシム化合物(1)が有する上記第1分子構造以外の他の分子構造部分を意味する。
式(2)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(2)で表される構造である場合、式(2)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0165】
【0166】
[式(2)中、
R2及びR3は、それぞれ独立に、R11、OR11、SR11、COR11、CONR12R13、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、OCSR11、COSR11、CSOR11、CN又はハロゲン原子を表す。
R2が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
R3が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
R11、R12及びR13は、上記と同じ意味を表す。
s及びtは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
Lは、硫黄原子、CR31R32、CO又はNR33を表す。
R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基又は炭素数7~30のアラルキル基を表す。
R31、R32又はR33で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。
R4は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2-1)で表される基を表す。
【0167】
【化17】
[式(2-1)中、
L
1は、-O-、-S-、-NR
22-、-NR
22CO-、-SO
2-、-CS-、-OCO-又は-COO-を表す。
R
22は、上記と同じ意味を表す。
L
2は、炭素数1~20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基、炭素数6~30のアリール基からv個の水素原子を除いた基、炭素数7~30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基又は炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
L
2で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR
22-、-NR
22COO-、-OCONR
22-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
R
4aは、OR
41、SR
41、CONR
42R
43、NR
42COR
43、OCOR
41、COOR
41、SCOR
41、OCSR
41、COSR
41、CSOR
41、CN又はハロゲン原子を表す。
R
4aが複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
R
41、R
42及びR
43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基又は炭素数7~30のアラルキル基を表し、R
41、R
42及びR
43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、R
42とR
43は、一緒になって環を形成していてもよい。
vは1~3の整数を表す。]
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0168】
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、R31、R32及びR33、並びに上記式(2-1)中のR22、R41、R42及びR43で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0169】
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、並びに上記式(2-1)中のR22で表される炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0170】
式(2)中のR31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよいとは、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって接続する窒素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(2)中のR31、R32及びR33が隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0171】
上記式(2-1)中のL2は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
【0172】
炭素数1~20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1,3-ジメチルプロピレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、4-メチルブチレン基、2,4-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基等のアルキレン基が挙げられる。
【0173】
炭素数6~30のアリール基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、2,6-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、2,5-ジメチル-1,4-フェニレン基、ジフェニルメタン-4,4’-ジイル基、2,2-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルフィド-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル基等のアリーレン基が挙げられる。
【0174】
炭素数7~30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、下記式(a)で表される基及び下記式(b)で表される基等が挙げられる。
【0175】
【化18】
[式(a)及び(b)中、L
3及びL
5は、炭素数1~10のアルキレン基を表し、L
4及びL
6は、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表す。]
【0176】
炭素数1~10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1,3-ジメチルプロピレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、4-メチルブチレン基、2,4-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
【0177】
炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、2,5-ピリジンジイル基、2,6-ピリジンジイル基、2,5-ピリミジンジイル基、2,5-チオフェンジイル基、3,4-テトラヒドロフランジイル基、2,5-テトラヒドロフランジイル基、2,5-フランジイル基、3,4-チアゾールジイル基、2,5-ベンゾフランジイル基、2,5-ベンゾチオフェンジイル基、N-メチルインドール-2,5-ジイル基、2,5-ベンゾチアゾールジイル基、2,5-ベンゾオキサゾールジイル基等の2価の複素環基が挙げられる。
【0178】
式(2)中のR2及びR3、並びに上記式(2-1)中のR4aで表されるハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0179】
溶剤(F)への溶解性及び組成物の現像性の観点から、式(2)で表される構造の好ましい例は、下記式(2a)で表される構造である。
【0180】
【化19】
[式(2a)中、L’は、硫黄原子又はNR
50を表し、R
50は、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1~20のアルキル基を表し、R
2、R
3、R
4、s及びtは、上記と同じ意味を表す。*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0181】
上記と同様の観点から、式(2)で表される構造の他の好ましい例は、下記式(2b)で表される構造である。
【0182】
【化20】
[式(2b)中、R
44は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2-2)で表される基を表す。
【0183】
【化21】
[式(2-2)中、L
11は、-O-又は**-OCO-を表し、**はL
12との結合手を表し、L
12は、炭素数1~20のアルキレン基を表し、該アルキレン基は、1~3個の-O-により中断されていてもよく、R
44aは、OR
55又はCOOR
55を表し、R
55は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0184】
R44は、好ましくは、式(2-2)で表される基である。この場合、オキシム化合物(1)の溶剤(F)への溶解性及び組成物の現像性の点で有利となる。
【0185】
L12で表されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~4である。
R44aは、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
【0186】
式(2)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2011-132215号公報に記載の方法で製造することができる。
【0187】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の他の一例は、下記式(3)で表される構造である。
式(3)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(3)で表される構造である場合、式(3)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0188】
【化22】
[式(3)中、
R
5は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R
5で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
R
5で表される基の水素原子は、R
21、OR
21、COR
21、SR
21、NR
22R
23、CONR
22R
23、-NR
22-OR
23、-N(COR
22)-OCOR
23、NR
22COR
21、OCOR
21、COOR
21、-C(=N-OR
21)-R
22、-C(=N-OCOR
21)-R
22、SCOR
21、OCSR
21、COSR
21、CSOR
21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子又はCOOR
21で置換されていてもよい。
R
21、R
22及びR
23は、上記と同じ意味を表す。
R
21、R
22又はR
23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
R
21、R
22及びR
23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR
24-、-NR
24CO-、-NR
24COO-、-OCONR
24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
R
24は、上記と同じ意味を表す。
R
21、R
22及びR
23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R
22とR
23は一緒になって環を形成していてもよい。
R
6、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立に、R
61、OR
61、SR
61、COR
62、CONR
63R
64、NR
65COR
61、OCOR
61、COOR
62、SCOR
61、OCSR
61、COSR
62、CSOR
61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64及びR
65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64又はR
65で表わされる基の水素原子は、OR
21、COR
21、SR
21、NR
22R
23、CONR
22R
23、-NR
22-OR
23、-N(COR
22)-OCOR
23、-C(=N-OR
21)-R
22、-C(=N-OCOR
21)-R
22、CN、ハロゲン原子又はCOOR
21で置換されていてもよい。
R
6とR
7、R
7とR
8及びR
8とR
9はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0189】
式(3)中のR5、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0190】
式(3)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(3)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0191】
式(3)中のR6、R7、R8及びR9で表されるハロゲン原子、R5、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0192】
溶剤(F)への溶解性及び組成物の現像性の観点から、1つの好ましい形態において、R5は、下記式(3-1)で表される基である。
【0193】
【化23】
[式(3-1)中、
Zは、炭素数1~20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基、炭素数6~30のアリール基から1個の水素原子を除いた基、炭素数7~30のアラルキル基から1個の水素原子を除いた基又は炭素数2~20の複素環基から1個の水素原子を除いた基を表し、
Zで表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR
24-、-NR
24COO-、-OCONR
24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、
R
21、R
22及びR
24は、上記と同じ意味を表す。]
【0194】
式(3-1)中のZは、上記と同様の観点から、好ましくは、メチレン基、エチレン基又はフェニレン基である。
式(3-1)中のR21及びR22は、上記と同様の観点から、好ましくは、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~30のアリール基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基又はフェニル基である。
上記と同様の観点から、他の1つの好ましい形態において、R7は、ニトロ基である。
【0195】
式(3)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2000-80068号公報及び特開2011-178776号公報に記載の方法で製造することができる。
【0196】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(4)で表される構造である。
式(4)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(4)で表される構造である場合、式(4)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0197】
【化24】
[式(4)中、
R
71は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R
71で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
R
71で表される基の水素原子は、R
21、OR
21、COR
21、SR
21、NR
22R
23、CONR
22R
23、-NR
22-OR
23、-N(COR
22)-OCOR
23、NR
22COR
21、OCOR
21、COOR
21、-C(=N-OR
21)-R
22、-C(=N-OCOR
21)-R
22、SCOR
21、OCSR
21、COSR
21、CSOR
21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子又はCOOR
21で置換されていてもよい。
R
21、R
22及びR
23は、上記と同じ意味を表す。
R
21、R
22又はR
23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
R
21、R
22及びR
23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR
24-、-NR
24CO-、-NR
24COO-、-OCONR
24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
R
24は、上記と同じ意味を表す。
R
21、R
22及びR
23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R
22とR
23は一緒になって環を形成していてもよい。
R
72、R
73及び3個のR
74は、それぞれ独立に、R
61、OR
61、SR
61、COR
62、CONR
63R
64、NR
65COR
61、OCOR
61、COOR
62、SCOR
61、OCSR
61、COSR
62、CSOR
61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64及びR
65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64又はR
65で表わされる基の水素原子は、OR
21、COR
21、SR
21、NR
22R
23、CONR
22R
23、-NR
22-OR
23、-N(COR
22)-OCOR
23、-C(=N-OR
21)-R
22、-C(=N-OCOR
21)-R
22、CN、ハロゲン原子又はCOOR
21で置換されていてもよい。
R
72とR
73及び2個のR
74はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0198】
式(4)中のR71、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0199】
式(4)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(4)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0200】
式(4)中のR72、R73及びR74で表されるハロゲン原子、R71、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0201】
式(4)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0202】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(5)で表される構造である。
式(5)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(5)で表される構造である場合、式(5)中の「-*」を有するピロール環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0203】
【化25】
[式(5)中、
R
81は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R
81で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
R
81で表される基の水素原子は、R
21、OR
21、COR
21、SR
21、NR
22R
23、CONR
22R
23、-NR
22-OR
23、-N(COR
22)-OCOR
23、NR
22COR
21、OCOR
21、COOR
21、-C(=N-OR
21)-R
22、-C(=N-OCOR
21)-R
22、SCOR
21、OCSR
21、COSR
21、CSOR
21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子又はCOOR
21で置換されていてもよい。
R
21、R
22及びR
23は、上記と同じ意味を表す。
R
21、R
22又はR
23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
R
21、R
22及びR
23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR
24-、-NR
24CO-、-NR
24COO-、-OCONR
24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
R
24は、上記と同じ意味を表す。
R
21、R
22及びR
23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R
22とR
23は一緒になって環を形成していてもよい。
R
82、R
83、R
84、R
85及びR
86は、それぞれ独立に、R
61、OR
61、SR
61、COR
62、CONR
63R
64、NR
65COR
61、OCOR
61、COOR
62、SCOR
61、OCSR
61、COSR
62、CSOR
61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64、及びR
65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64又はR
65で表わされる基の水素原子は、OR
21、COR
21、SR
21、NR
22R
23、CONR
22R
23、-NR
22-OR
23、-N(COR
22)-OCOR
23、-C(=N-OR
21)-R
22、-C(=N-OCOR
21)-R
22、CN、ハロゲン原子又はCOOR
21で置換されていてもよい。
R
83とR
84、R
84とR
85及びR
85とR
86はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0204】
式(5)中のR81、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0205】
式(5)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(5)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0206】
式(5)中のR82、R83、R84、R85及びR86で表されるハロゲン原子、R81、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0207】
式(5)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0208】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(6)で表される構造である。
式(6)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(6)で表される構造である場合、式(6)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0209】
【化26】
[式(6)中、
4個のR
91、R
92、R
93、R
94、R
95、R
96及びR
97は、それぞれ独立に、R
61、OR
61、SR
61、COR
62、CONR
63R
64、NR
65COR
61、OCOR
61、COOR
62、SCOR
61、OCSR
61、COSR
62、CSOR
61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64及びR
65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
R
61、R
62、R
63、R
64又はR
65で表わされる基の水素原子は、OR
21、COR
21、SR
21、NR
22R
23、CONR
22R
23、-NR
22-OR
23、-N(COR
22)-OCOR
23、-C(=N-OR
21)-R
22、-C(=N-OCOR
21)-R
22、CN、ハロゲン原子又はCOOR
21で置換されていてもよい。
R
21、R
22及びR
23は、上記と同じ意味を表す。
R
92とR
93、R
94とR
95、R
95とR
96及びR
96とR
97はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0210】
式(6)中のR21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23についての例と同様である。
【0211】
式(6)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(6)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0212】
式(6)中のR91、R92、R93、R94、R95、R96及びR97で表されるハロゲン原子、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0213】
式(6)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0214】
オキシム化合物の他の例(ただしオキシム化合物(Da)及びオキシム化合物(1)を除く)としては、下記式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物が挙げられる。*は結合手を表す。
【0215】
【0216】
式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン;特開2011-132215号公報、国際公開第2008/78678号、国際公開第2008/78686号、国際公開第2012/132558号記載の化合物等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、同OXE02(以上、BASF社製)、N-1919、NCI-930(以上、ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0217】
中でも、式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物は、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミンがより好ましい。
【0218】
アルキルフェノン化合物は、下記式(d2)で表される部分構造又は下記式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。*は結合手を表す。
【0219】
【0220】
式(d2)で表される構造を有する化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。OMNIRAD(登録商標)369、同907、同379(以上、IGM Resins社製)等の市販品を用いてもよい。
【0221】
式(d3)で表される構造を有する化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0222】
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される構造を有する化合物が好ましい。
【0223】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、式(d5)で表される化合物が挙げられる。
【0224】
【化29】
[式(d5)中、R
E~R
Jは、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基を表す。]
【0225】
炭素数6~10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、エチルフェニル基及びナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
【0226】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平06-75372号公報、特開平06-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)、4,4’5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物又はこれらの混合物が好ましい。
【0227】
【0228】
トリアジン化合物(ただしトリアジン化合物(Db)を除く)としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。中でも、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジンが好ましい。
【0229】
アシルホスフィン化合物としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。OMNIRAD(登録商標)819(IGM Resins社製)等の市販品を用いてもよい。
【0230】
重合開始剤の別の例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
【0231】
重合開始剤(D)における重合開始剤(DR)の含有率は、表面性状の良好な硬化膜を形成する観点から、重合開始剤(D)の総量に対して、好ましくは30質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは70質量%以上100質量%以下、よりさらに好ましくは80質量%以上100質量%以下、殊更好ましくは90質量%以上100質量%以下、特に好ましくは95質量%以上100質量%以下であり、100質量%であってもよい。
【0232】
組成物における重合開始剤(D)の含有量は、組成物の固形分の総量に対して、例えば0.01質量%以上20質量%以下であり、組成物の感度を高める観点、並びに膜の発光強度及び耐熱性を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以上8質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
【0233】
重合開始剤(D)の含有量は、重合性化合物(C)100質量部に対して、3質量部以上であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上、また、40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。重合開始剤(D)の含有量が上記範囲内にあると、残膜率により優れた硬化膜を形成できる組成物が得られ、また、耐熱性にも優れた硬化膜を形成し得る組成物を得ることができる。
【0234】
<重合開始助剤(D1)>
硬化性組成物は、重合開始剤(D)とともに重合開始助剤(D1)をさらに含むことができる。重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)によって開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0235】
アミン化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0236】
アルコキシアントラセン化合物としては、例えば、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0237】
チオキサントン化合物としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0238】
カルボン酸化合物としては、例えば、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0239】
硬化性組成物が重合開始助剤(D1)を含む場合、硬化性組成物における重合開始助剤(D1)の含有量は、重合性化合物(C)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上300質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上200質量部以下である。また、硬化性組成物における重合開始助剤(D1)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。重合開始助剤(D1)の含有量が上記範囲内にあると、硬化性組成物のさらなる高感度化を図ることができる。
【0240】
<酸化防止剤(E)>
硬化性組成物は、酸化防止剤(E)をさらに含むことができる。
酸化防止剤(E)としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、リン/フェノール複合型酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤(E)は、2種以上を併用してもよい。
【0241】
リン/フェノール複合型酸化防止剤は、分子中にリン原子とフェノール構造とをそれぞれ1以上有する化合物であることができる。中でも、硬化膜の現像性及び発光強度の観点から、酸化防止剤(E)は、リン/フェノール複合型酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0242】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、イルガノックス(登録商標)1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1076(Irganox 1076:オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF(株)製)、同1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、BASF(株)製)、同3114(Irganox 3114:1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF(株)製)、同3790(Irganox 3790:1,3,5-トリス((4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF(株)製)、同1035(Irganox 1035:チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1135(Irganox 1135:ベンゼンプロパン酸の3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-C7-C9側鎖アルキルエステル、BASF(株)製)、同1520L(Irganox 1520L:4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、BASF(株)製)、同3125(Irganox 3125、BASF(株)製)、同565(Irganox 565:2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3’、5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)AO-80(アデカスタブ AO-80:3,9-ビス(2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、(株)ADEKA製)、スミライザー(登録商標)BHT、同GA-80、同GS(以上、住友化学(株)製)、サイアノックス(登録商標)1790(Cyanox 1790、(株)サイテック製)、ビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
【0243】
リン系酸化防止剤としては、例えば、イルガフォス(登録商標)168(Irgafos 168:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、BASF(株)製)、同12(Irgafos 12:トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、BASF(株)製)、同38(Irgafos 38:ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)329K、同PEP36、同PEP-8(以上、(株)ADEKA製)、Sandstab P-EPQ(クラリアント社製)、Weston(登録商標)618、同619G(以上、GE社製)、Ultranox626(GE社製)等が挙げられる。
【0244】
リン/フェノール複合型酸化防止剤としては、例えば、スミライザー(登録商標)GP(6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)(住友化学(株)製)等が挙げられる。
【0245】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル又はジステアリール等のジアルキルチオジプロピオネート化合物及びテトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。
【0246】
硬化性組成物における酸化防止剤(E)の含有率は、硬化性組成物の固形分の総量に対して、例えば0.05質量%以上20質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上7質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
【0247】
硬化性組成物における酸化防止剤(E)の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して、例えば1質量部以上50質量部以下であり、硬化膜の発光量及び耐熱性の観点から、好ましくは5質量部以上40質量部以下であり、より好ましくは7質量部以上30質量部以下であり、さらに好ましくは9質量部以上25質量部以下である。
【0248】
硬化性組成物中の重合開始剤(D)に対する前記酸化防止剤(E)の含有量比(酸化防止剤(E)/重合開始剤(D))は、硬化膜の発光強度を高める観点から、質量比で、好ましくは1より大きく、より好ましくは1.1以上であり、さらに好ましくは1.2以上である。
【0249】
<溶剤(F)>
溶剤(F)は、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)、及び必要に応じて用いられる樹脂(B)を溶解するものであれば特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及びCOO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0250】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0251】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0252】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0253】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
【0254】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0255】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。
【0256】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0257】
溶剤(F)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキシルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン若しくはトルエン、又はこれらのうちの2種以上の混合物が好ましい。
【0258】
溶剤(F)は、固形分以外の成分であり、例えば量子ドット(A)や樹脂(B)等に含まれる溶剤も溶剤(F)に包含される。
硬化性組成物における溶剤(F)の含有率は、該組成物の総量に対する該組成物に含まれる全溶剤の合計質量の割合であり、硬化性組成物の総量に対して、例えば40質量%以上95質量%以下であり、好ましくは55質量%以上90質量%以下である。言い換えると、硬化性組成物の固形分は、好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上45質量%以下である。溶剤(F)の含有率が上記範囲内にあると、塗布時の組成物層の平坦性がより良好になり、また適切な膜厚の硬化膜を形成しやすい傾向がある。
【0259】
<レベリング剤(G)>
硬化性組成物は、レベリング剤(G)をさらに含むことができる。
レベリング剤(G)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。レベリング剤(G)は、硬化膜の現像性及び発光強度の観点から、好ましくはフッ素系界面活性剤である。
【0260】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0261】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同F575、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0262】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0263】
硬化性組成物がレベリング剤(G)を含む場合、硬化性組成物におけるレベリング剤(G)の含有率は、硬化性組成物の総量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%以下であり、好ましくは0.005質量%以上0.75質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.03質量%以上0.5質量%以下である。レベリング剤(G)の含有率が上記範囲内にあると、硬化膜の平坦性をより良好にすることができる。
【0264】
<光散乱剤(H)>
硬化性組成物は、光散乱剤(H)をさらに含むことができる。光散乱剤(H)としては、金属又は金属酸化物の粒子、ガラス粒子等を挙げることができる。
金属酸化物としては、TiO2、SiO2、BaTiO3、ZnO等を挙げることができる。光散乱剤(H)の粒子径は、例えば0.03μm以上20μm以下程度であり、好ましくは0.05μm以上1μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。
【0265】
光散乱剤(H)としては、分散剤を用いて溶剤(F)の一部又は全部に予め光散乱剤を分散させたものを用いてもよい。分散剤としては市販品を用いることができる。
市販品の例としては、
ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK-101、102、103、106、107、108、109、110、111、116、118、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、192、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155;ANTI-TERRA-U、U100、203、204、250;BYK-P104、P104S、P105、220S、6919;BYK-LPN6919、21116;LACTIMON、LACTIMON-WS;Bykumen等;
日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;
BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等;
味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0266】
硬化性組成物における光散乱剤(H)の含有率は、硬化性組成物の固形分の総量に対し、例えば0.001質量%以上50質量%以下であり、硬化膜の現像性及び発光強度の観点から、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
【0267】
なお、硬化性組成物は必要に応じて、重合禁止剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤がさらに含まれていてもよい。
【0268】
<硬化性組成物の製造方法>
硬化性組成物の製造方法は、量子ドット(A)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)、並びに必要に応じて使用される他の成分を混合する工程を含むことができる。硬化性組成物の製造方法は、樹脂(B)を調製する工程をさらに含むことができる。
【0269】
<硬化膜>
本発明に係る硬化膜は、上記本発明に係る硬化性組成物を基板に塗布し、光の作用及び必要に応じてさらに熱の作用で硬化させることにより得ることができる。硬化膜は、硬化性組成物に含まれる量子ドット(A)を含む。また硬化膜は、硬化性組成物に含まれる重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)の硬化反応物を含む。該硬化反応物は、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)の構造に起因する構造を含む物質である。重合性化合物(C)、重合開始剤(D)の構造に起因する構造とは、例えば、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)の硬化反応部位以外の骨格構造又はその部分である。また硬化膜は、硬化性組成物に必要に応じて用いられる樹脂(B)を含む。
【0270】
硬化膜は、上記基板全面に形成されていてもよいし、上記基板の一部に形成されていてもよい(すなわち硬化パターン)。上述のように、硬化パターンとは、硬化膜の一態様であり、パターン状に形成された硬化膜をいう。
【0271】
上記基板の一部に硬化膜を形成する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、硬化性組成物を基板に塗布し、必要に応じて乾燥させて組成物層を形成し、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。
【0272】
基板全面に硬化膜を形成する方法としては、硬化性組成物を基板に塗布し、必要に応じて乾燥させて組成物層を形成し、該組成物層を加熱及び/又は該組成物層全面に露光する方法が挙げられる。
【0273】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、上記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したもの等が挙げられる。
【0274】
フォトリソグラフ法による硬化パターンの形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、以下のようにして作製することができる。
【0275】
まず、硬化性組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して、組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
【0276】
加熱乾燥を行う場合の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。加熱時間は、10秒間以上60分間以下であることが好ましく、30秒間以上30分間以下であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下、20℃以上25℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。
【0277】
組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とする硬化パターンの膜厚に応じて適宜選択すればよく、例えば1μm以上20μm以下であり、好ましくは1.5μm以上18μm以下であり、より好ましくは2μm以上14μm以下であり、さらに好ましくは2μm以上12μm以下である。
【0278】
次に、組成物層は、目的の硬化パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンの形状は特に限定されない。
【0279】
露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、該波長の光から、重合開始剤(D)の吸収波長に応じて、436nm付近、408nm付近、又は365nm付近の光をバンドパスフィルタにより選択的に取り出してもよい。光源として具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
【0280】
露光面全体に均一に平行光線を照射することができたり、フォトマスクと組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができたりするため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。露光された組成物層は、該組成物層に含まれる重合性化合物(C)等が重合することにより硬化する。
【0281】
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去されて、硬化パターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤が挙げられる。アルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。有機溶剤としては、上述の溶剤(F)と同様のものが挙げられる。現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
【0282】
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
【0283】
現像により得られた硬化パターンに、さらに加熱(ポストベーク)を行うことが好ましい。加熱温度は、150℃以上250℃以下が好ましく、160℃以上235℃以下がより好ましい。加熱時間は、1分間以上120分間以下が好ましく、10分間以上60分間以下がより好ましい。現像後に加熱を行うことにより、硬化パターンに含まれる未反応の重合性化合物(C)等の重合を進行させることができるため、より耐薬品性に優れた硬化パターンを得ることができる。現像を行わない場合においても、露光された組成物層に対して、加熱(ポストベーク)をさらに行うことが好ましい。
【0284】
紫外光又は可視光を硬化膜に対して照射することにより、硬化膜は、照射光とは異なる波長の光を発光することができる。硬化膜を形成する際に用いる硬化性組成物において量子ドット(A)の成分や粒子径を選択することによって、発光する光の波長を調整することができる。硬化膜は、上述のように照射光の波長を変換する機能を有するため、表示装置の色変換層(波長変換フィルム)として利用可能である。
【0285】
硬化膜は、良好な発光強度を示すことができる。硬化膜は、後述の実施例の欄における測定方法に従って測定される発光強度が、好ましくは400mW・sr-1m-2・nm-1以上であり、より好ましくは500mW・sr-1m-2・nm-1以上であり、さらに好ましくは600mW・sr-1m-2・nm-1以上であり、よりさらに好ましくは650mW・sr-1m-2・nm-1以上であり、一層好ましくは700mW・sr-1m-2・nm-1以上であり、より一層好ましくは750mW・sr-1m-2・nm-1以上であり、なおさらに好ましくは800mW・sr-1m-2・nm-1以上である。上記硬化膜の発光強度とするために、硬化性組成物の固形分の総量に対する量子ドット(A)の含有率は、20質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下が特に好ましい。
【0286】
本発明に係る硬化性組成物であれば、表面性状が良好な硬化膜を形成できるため、表示装置、特に、液晶表示装置、有機EL表示装置又は無機EL表示装置の色変換層として有用である。このような表示装置としては、例えば、特開2006-309219号公報、特開2006-310303号公報、特開2013-15812号公報、特開2009-251129号公報、特開2014-2363号公報等に記載される表示装置が挙げられる。
【0287】
表示装置は、光源と上記硬化膜とを少なくとも備える。表示装置は、特に制限されないが、例えば、光吸収層、光反射部材(反射フィルム等)、拡散フィルム、輝度強化部、プリズムシート、導光板、要素間の媒体材料層等の層をさらに含んでいてもよい。
【0288】
光吸収層は、特定波長の範囲の光を透過し、それ以外の波長範囲の光を吸収する波長選択性を有する層である。光吸収層は通常、染料、顔料等の着色剤を含む層であり、上記硬化膜上に配置することができる。光吸収層としては、カラーフィルタとして従来公知のものを用いることができる。
【0289】
光反射部材は、光源の光を上記硬化膜に向けて反射させるための部材であり、反射鏡、反射粒子のフィルム、反射金属フィルム、又は反射体等であってよい。拡散フィルムは、光源の光又は硬化膜から発した光を拡散させるためのフィルムであり、増幅拡散フィルム等であってよい。輝度強化部は、光の一部分を、光が伝送された方向に向かって反射して戻すための部材である。
【0290】
プリズムシートは、代表的には、基材部とプリズム部とを有する。なお、基材部は、隣接する部材に応じて省略してもよい。プリズムシートは、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層)を介して隣接する部材に貼り合わせることができる。プリズムシートは、視認側とは反対側(背面側)に凸となる複数の単位プリズムが並列されて構成されている。プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置することにより、プリズムシートを透過する光が集光されやすくなる。また、プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置すれば、凸部を視認側に向けて配置する場合と比較して、プリズムシートに入射せずに反射する光が少なく、輝度の高い表示装置を得ることができる。
【0291】
導光板としては、任意の適切な導光板が用いられる。例えば、横方向からの光を厚さ方向に偏向可能となるよう、背面側にレンズパターンが形成された導光板、背面側及び/又は視認側にプリズム形状等が形成された導光板が用いられる。
【0292】
表示装置は、隣接する要素(層)間の光路上に1以上の媒体材料からなる層を含んでいてもよい。1以上の媒体材料としては、例えば真空、空気、ガス、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化材料、光学結合材料、屈折率整合又は屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、クラッディング又は抗クラッディング材料、スペーサー、シリカゲル、輝度強化材料、散乱又は拡散材料、反射又は抗反射材料、波長選択性材料、波長選択性抗反射材料又は当該技術分野で既知の他の好適な媒体が含まれるが、これらに限定されず、任意の好適な材料が含まれてもよい。
【0293】
表示装置の具体例としては、例えば、ELディスプレイや液晶ディスプレイ用の波長変換材料を備えたものが挙げられる。具体的には、波長変換層としての上記硬化膜を導光板の端面(側面)に沿うように、青色光源(A)と導光板の間に配置し、白色光を放出するバックライト(オンエッジ方式のバックライト)とし、導光板側に光吸収層を配置した表示装置;波長変換層としての上記硬化膜を導光板の上に設置して、導光板の端面(側面)に置かれた青色光源から導光板を通して波長変換層に照射される光を白色光として放出するバックライト(表面実装方式のバックライト)とし、波長変換層上に光吸収層を配置した表示装置;上記硬化膜を青色光源の発光部近傍に設置して波長変換層とし、照射される光を白色光として放出するバックライト(オンチップ方式のバックライト)とし、波長変換層上に光吸収層を配置した表示装置等が挙げられる。
【実施例0294】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。
【0295】
<吸光度の測定>
各重合開始剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という。)へ溶解させ、濃度0.01g/Lにおいて紫外可視近赤外分光光度計(UV-3600、(株)島津製作所製)を用いて吸光スペクトルを測定し、350nmにおける吸光度(A350)と、365nmにおける吸光度(A365)をそれぞれ求め、吸光度比A350/A365を評価した。
【0296】
<外観>
得られた硬化膜について、顕微鏡(倍率500倍;VHX-2000;(株)キーエンス製)を用いて観察し、下記の評価基準に従って外観を評価した。
A:異常が認められない
B:塗膜表面に皺が認められる
【0297】
<膜の発光強度の評価>
発光ピーク波長が450nmである青色LEDランプを点光源とするバックライト上に光拡散板を配置してバックライト部とした。光拡散板を上に向けてバックライト部を載置し、光拡散板の表面から高さ60cmの位置に、分光放射輝度計(トプコン(株)製の「SR-UL1R」)を設置した。
上記拡散板上に、組成物から作製した硬化膜を有する基板を配置した。この状態でバックライトを点灯させ、硬化膜から発せされる光について、波長480m以上780nm以下の範囲における積算放射束として、硬化膜の発光強度L〔mW・sr-1m-2・nm-1〕を測定した。得られた発光強度Lについて、下記の評価基準に従って評価した。
S:790mW・sr-1m-2・nm-1以上
A:740mW・sr-1m-2・nm-1以上790mW・sr-1m-2・nm-1未満
B:700mW・sr-1m-2・nm-1以上740mW・sr-1m-2・nm-1未満
C:700mW・sr-1m-2・nm-1未満
【0298】
<樹脂の重量平均分子量(Mw)>
樹脂(B-1)の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim-pack GPC-80M
カラム温度;40℃
溶媒;テトラヒドロフラン
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
【0299】
<樹脂の酸価>
樹脂(B-1)溶液3gを精秤し、アセトン90gと水10gとの混合溶剤に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名:COM-555)により、樹脂(B-1)溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分とから固形分1g当たりの酸価(AV)を求めた。
【0300】
(製造例1:量子ドット(A-1)の分散液の調製)
有機配位子(G-1)としてオレイン酸が配位したInP/ZnSeS量子ドットのトルエン分散液を準備した。分散液を減圧蒸留し、トルエンを除去した。固形分30部に対しシクロヘキシルアセテート70部を添加して、量子ドット(A-1)の分散液(固形分30%)を得た。
【0301】
(製造例2:光散乱剤(H-1)の分散液の調製)
酸化チタンナノ粒子70部に、DISPERBYK21116(ビックケミー・ジャパン製)を固形分で3部、PGMEAを全量が100部になるように加えた後、ペイントシェイカーで十分に分散するまで撹拌して、光散乱剤(H-1)の分散液(固形分73%)を得た。
【0302】
(製造例3:樹脂(B-1)溶液の調製)
撹拌器、温度計付き還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を具備したフラスコに、PGMEAを110部投入した後、窒素置換しながら撹拌し、80℃に昇温した。ジシクロペンタニルメタクリレート25部、メチルメタクリレート23部、メタクリル酸19部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部をPGMEA110部に溶解した溶液を、滴下ロートからフラスコ中に滴下した後、80℃で3時間撹拌した。
次に、グリシジルメタクリレート16部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)0.4部、トリフェニルホスフィン0.8部をフラスコ内に投入して110℃まで昇温、8時間撹拌することで重合体中のカルボン酸とエポキシ基とを反応させて、重合性不飽和結合を導入した。次いで、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物17部を加え3時間反応を続けて、側鎖にカルボン酸基を導入した。反応液を室温まで冷却することで樹脂(B-1)溶液を得た。
樹脂(B-1)は、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が8400、酸価が120mgKOH/gであり、樹脂(B-1)溶液中の固形分は40質量%であった。
【0303】
<実施例1~9、比較例1~3>
製造例1で得られた量子ドット(A-1)の分散液、製造例2で得られた光散乱剤(H-1)の分散液、製造例3で得られた樹脂(B-1)溶液、並びに、表1に示される他の成分をそれぞれ所定量混合して、硬化性組成物を調製した。
【0304】
添加量から求められる硬化性組成物における各成分の含有量は表1に示されるとおりである。表1において、溶剤(F)以外の成分は固形分換算の含有量(単位:質量部)である。溶剤(F)の含有量の単位は質量部である。
例えば量子ドット(A-1)は、硬化性組成物の調製において量子ドット(A-1)の分散液として配合されているが、表1に示される含有量は、その溶液に含まれる量子ドット(A-1)それ自体の量である。表1における溶剤(F)には、硬化性組成物の調製に用いた分散液や溶液に含有される溶剤が含まれている。
【0305】
【0306】
表1に示される成分の略称の詳細は次のとおりである。
重合性化合物(C-1):アロニックス(登録商標)M-510(カルボキシ基含有多官能(メタ)アクリレート、東亞合成社製、固形分100%)
重合性化合物(C-2):A-9550(ジペンタエリスリトールポリアクリレート、新中村化学社製、固形分100%)
重合開始剤(D-1):2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、下記式で表される化合物
【化31】
重合開始剤(D-2):下記式で表される化合物
【化32】
重合開始剤(D-3):NCI-831(下記式で表される化合物、ADEKA社製)
【化33】
重合開始剤(D-4):イルガキュア(登録商標)OXE03(下記式で表される化合物、BASF社製)
【化34】
重合開始剤(D-5):NCI-730(ADEKA社製)
重合開始剤(D-6):NCI-930(下記式で表される化合物、ADEKA社製)
【化35】
重合開始剤(D-7):イルガキュア(登録商標)OXE02(下記式で表される化合物、BASF社製)
【化36】
酸化防止剤(E-1):Sumilizer-GP(リン/フェノール複合型酸化防止剤、住友化学社製、固形分100%)
溶剤(F-1):PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)とシクロヘキシルアセテートの混合物
レベリング剤(G-1):SH8400(シリコーン系レベリング剤、東レ・ダウコーニング社製、固形分100%)
分散剤(I-1):DISPERBYK21116(ビックケミー・ジャパン製)
【0307】
5cm角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、ポストベーク後の厚みが8.0μmとなるように、組成物をスピンコート法で塗布した後に、クリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークすることにより、組成物層を得た。冷却後、組成物層を形成した基板と石英ガラス製のフォトマスクとの間隔を150μmとして、露光機(UPE-1255MA;ウシオライテング株式会社製)を用いて、大気雰囲気下、200mJ/cm2の露光量(波長365nm基準)で光照射した。フォトマスクとしては、20μmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成するためのものを使用した。光照射後の組成物層を、非イオン系界面活性剤0.14%と水酸化カリウム0.048%とを含む水溶液に25℃で20秒間浸漬させて現像し、水洗後、オーブン中、180℃で30分間ポストベークを行うことにより、線幅20μmでラインアンドスペースのパターン(ラインとスペースをそれぞれ10本有する)が形成された、硬化膜からなるパターンを得た。
【0308】
得られた硬化膜について上記に従って外観及び発光強度を測定・評価した。結果を併せて表1に示す。なお比較例1~3では、塗膜表面に皺が認められたため、発光強度の評価は行っていない。