(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137732
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B42B 5/00 20060101AFI20240927BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240927BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240927BHJP
B42B 4/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B42B5/00
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
B42B4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019699
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2023045284
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福地 健介
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 保志
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AB17
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】液体付与手段及び綴じ手段を適切に姿勢変化させることにより、液体付与手段及と綴じ手段が衝突し、これらの両手段及びその周辺機器の破損や故障の発生を未然に防止することができる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、主走査方向の一方側に移動する液体付与手段に姿勢切替位置で当接して、斜め付与姿勢から平行付与姿勢に切り替え、主走査方向の他方側に移動する液体付与手段に姿勢切替位置で当接して、平行付与姿勢から斜め付与姿勢に切り替える液体付与手段回動機構と、液体付与手段及び綴じ手段が主走査方向の他方側に移動する際に、液体付与手段が姿勢切替位置に到達する前に綴じ手段が到達する規制位置において、斜め綴じ姿勢の綴じ手段を通過させ、平行綴じ姿勢の綴じ手段の通過を阻止する衝突回避機構とを備える。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の媒体の一部に液体を付与する液体付与手段と、
前記媒体の搬送方向に直交する主走査方向に前記液体付与手段と隣接して配置され、前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に所定の処理を施す綴じ手段と、
前記媒体の表面に沿って、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向に移動させる移動手段と、
前記搬送方向及び前記主走査方向に直交する綴じ手段回転軸周りに前記綴じ手段を回転させることによって、前記綴じ手段の長手方向が前記主走査方向に対して傾斜する斜め綴じ姿勢、及び前記綴じ手段の長手方向が前記主走査方向を向く平行綴じ姿勢に切り替える綴じ手段回転手段と、
前記綴じ手段回転軸に平行な液体付与手段回転軸周りに前記液体付与手段を回転させることによって、前記液体付与手段の長手方向が前記主走査方向に対して傾斜する斜め付与姿勢、及び前記液体付与手段の長手方向が前記主走査方向を向く平行付与姿勢に切り替える液体付与手段回動機構と、を備え、
前記液体付与手段回動機構は、
前記主走査方向の一方側に移動する前記液体付与手段に姿勢切替位置で当接して、前記斜め付与姿勢から前記平行付与姿勢に切り替え、
前記主走査方向の他方側に移動する前記液体付与手段に前記姿勢切替位置で当接して、前記平行付与姿勢から前記斜め付与姿勢に切り替え、
前記液体付与手段及び前記綴じ手段が前記主走査方向の他方側に移動する際に、前記液体付与手段が前記姿勢切替位置に到達する前に前記綴じ手段が到達する規制位置において、前記斜め綴じ姿勢の前記綴じ手段を通過させ、前記平行綴じ姿勢の前記綴じ手段の通過を阻止する衝突回避機構を備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記衝突回避機構は、
前記綴じ手段と共に移動する規制部材と、
前記綴じ手段が前記主走査方向の他方側に移動する場合において、前記綴じ手段が前記斜め綴じ姿勢のときに前記規制部材に当接せず、前記綴じ手段が前記平行綴じ姿勢のときに前記規制部材に当接するように、前記規制位置に設けられた当接部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記当接部材は、前記綴じ手段が前記平行綴じ姿勢のときの前記規制部材の移動軌跡に重なる当接位置と、前記移動軌跡から前記搬送方向に外れた退避位置との間を、前記搬送方向に移動可能であり、
前記衝突回避機構は、前記当接部材を前記当接位置に向けて付勢する付勢部材を備え、
前記規制部材は、
前記平行綴じ姿勢の前記綴じ手段が前記主走査方向の一方側に移動する際に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記当接部材を前記当接位置から前記退避位置に移動させて、前記綴じ手段が前記規制位置を通過するのを許容し、
前記平行綴じ姿勢の前記綴じ手段が前記主走査方向の他方側に移動する際に、前記当接位置の前記当接部材に当接して、前記綴じ手段が前記規制位置を通過するのを阻止することを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記移動手段及び前記綴じ手段回転手段を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記移動手段の駆動力と異なる力によって前記液体付与手段及び前記綴じ手段が移動したと判定した場合に、前記規制部材が前記当接部材に当接するまで前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向の他方側に移動させ、
前記規制部材が前記当接部材に当接したことに応じて、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向の一方側に予め定められた移動量だけ移動させると共に、前記綴じ手段を前記平行綴じ姿勢から前記斜め綴じ姿勢に切り替え、
前記綴じ手段を前記斜め綴じ姿勢に切り替えたことに応じて、前記規制位置より前記主走査方向の他方側の待機位置まで、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向の他方側に移動させることを特徴とする請求項2又は3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記規制部材は、前記綴じ手段の前記搬送方向の上流側の端部に取り付けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記当接部材は、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を移動可能に支持する支持部材に取り付けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記綴じ手段は、前記媒体束の一部を加圧変形させて綴じることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記綴じ手段は、前記媒体束の一部に綴じ針を貫通させて綴じることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。また、媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針を用いずに、凹凸状の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる、いわゆる「圧着綴じ」が可能な圧着綴じ部を備えるものがある。
【0003】
圧着綴じには、用紙束を構成する用紙の枚数が多いほど用紙束に綴じ歯が食い込みにくくなって、綴じた用紙が剥がれ落ちるなど、綴じ状態を適切に維持することに困難さがあるという課題がある。そこで、圧着綴じを行う媒体処理装置には、綴じ強度を上げる目的で、用紙上において綴じ歯が接触する綴じ位置に予め液体を付与して、綴じ歯が用紙束に食い込み易くするための液体付与手段を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、媒体処理装置のなかには、綴じ手段の姿勢を、主走査方向に平行な平行綴じ姿勢と、主走査方向に対して傾斜した斜め綴じ姿勢に切り替え可能なものがある。この場合、綴じ位置の全域に液体を付与するために、液体付与手段の姿勢を、平行綴じ姿勢に平行な平行付与姿勢と、斜め綴じ姿勢に平行な斜め付与姿勢とに切り替えるのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成の媒体処理装置において、主走査方向に隣接して配置される液体付与手段及び綴じ手段を予め定められた順序で姿勢を変化させないと、一方が他方に衝突して所望の姿勢に変化させることができないという課題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、液体付与手段及び綴じ手段を適切に姿勢変化させることにより、液体付与手段及と綴じ手段が衝突し、これらの両手段及びその周辺機器の破損や故障の発生を未然に防止することができる媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、少なくとも1枚の媒体の一部に液体を付与する液体付与手段と、前記媒体の搬送方向に直交する主走査方向に前記液体付与手段と隣接して配置され、前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に所定の処理を施す綴じ手段と、前記媒体の表面に沿って、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向に移動させる移動手段と、前記搬送方向及び前記主走査方向に直交する綴じ手段回転軸周りに前記綴じ手段を回転させることによって、前記綴じ手段の長手方向が前記主走査方向に対して傾斜する斜め綴じ姿勢、及び前記綴じ手段の長手方向が前記主走査方向を向く平行綴じ姿勢に切り替える綴じ手段回転手段と、前記綴じ手段回転軸に平行な液体付与手段回転軸周りに前記液体付与手段を回転させることによって、前記液体付与手段の長手方向が前記主走査方向に対して傾斜する斜め付与姿勢、及び前記液体付与手段の長手方向が前記主走査方向を向く平行付与姿勢に切り替える液体付与手段回動機構とを備え、前記液体付与手段回動機構は、前記主走査方向の一方側に移動する前記液体付与手段に姿勢切替位置で当接して、前記斜め付与姿勢から前記平行付与姿勢に切り替え、前記主走査方向の他方側に移動する前記液体付与手段に前記姿勢切替位置で当接して、前記平行付与姿勢から前記斜め付与姿勢に切り替え、前記液体付与手段及び前記綴じ手段が前記主走査方向の他方側に移動する際に、前記液体付与手段が前記姿勢切替位置に到達する前に前記綴じ手段が到達する規制位置において、前記斜め綴じ姿勢の前記綴じ手段を通過させ、前記平行綴じ姿勢の前記綴じ部の通過を阻止する衝突回避機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体付与手段及び綴じ手段を適切に姿勢変化させることにより、液体付与手段及と綴じ手段が衝突し、これらの両手段及びその周辺機器の破損や故障の発生を未然に防止することができる媒体処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図3】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図4】端綴じ処理部を主走査方向の液体付与手段側から見た模式図。
【
図5】端綴じ処理部の圧着手段の構成を示す模式図。
【
図6】液体付与手段回動機構を用紙の厚み方向から見た図。
【
図7】液体付与手段回動機構を主走査方向から見た図。
【
図8】綴じ機構ベースに設置されている姿勢切替爪の構成を示す図。
【
図9】姿勢切替爪による姿勢切替レバーの動作を説明する図。
【
図10】液体付与手段を斜め付与姿勢に変更する際の動作手順を説明する図。
【
図11】液体付与手段を平行付与姿勢に変更する際の動作手順を説明する図。
【
図12】針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図13】針綴じ処理部の変形例を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図14】本実施形態に係る後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図15】端綴じ処理部による綴じ処理のフローチャート。
【
図16】一箇所綴じの実行中における端綴じ処理部の位置を示す図。
【
図17】二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部の位置を示す図。
【
図18】綴じ処理を行った端綴じ処理部を正しい手順で待機位置に移動させる処理の前半部分を示す図。
【
図19】綴じ処理を行った端綴じ処理部を正しい手順で待機位置に移動させる処理の後半部分を示す図。
【
図20】綴じ処理を行った端綴じ処理部を誤った手順で待機位置に移動させる処理を示す図。
【
図21】内部トレイに載置された用紙の厚み方向から衝突回避機構を見た図。
【
図24】復帰処理中の液体付与手段及び圧着手段の位置及び姿勢を示す図。
【
図25】別の実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図26】別の実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
【
図27】別の実施形態に係る圧着手段を搬送方向の下流側から見た模式図。
【
図28】別の実施形態に係る液体付与手段を用紙の厚み方向から見た図。
【
図31】別の実施形態に係る後処理装置の制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図32】別の実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
【
図33】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[画像形成システム1の実施形態]
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、シート状の媒体の一種としての用紙Pに画像を形成する画像形成機能、画像が形成された用紙Pに対して所定の後処理を施す後処理機能、などを有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成機能を有する画像形成装置2と、本発明に係る後処理機能を有する媒体処理装置としての後処理装置3と、を連携して動作するように構成される。
【0011】
なお、本実施形態では、画像形成システム1において処理の対象とするシート状の媒体 として「紙」を前提にする説明をしている。しかし、本実施形態に係る処理の対象は、紙に限定されるものではない。例えば、従来から知られている画像形成プロセスを利用して画像形成が可能な媒体であれば、その種類などは問わない。また、折り処理や綴じ処理の対象物となりうる媒体も、これに含むものとし、素材や仕様などを限定するものではない。
【0012】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容される収容トレイ211と、収容トレイ211に収容された用紙Pを搬送する搬送部212と、搬送部212によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部213とを備える。画像形成部213は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。また、画像形成装置2は、搬送部212及び画像形成部213の各種動作を制御する制御部100aを備える。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明を省略する。
【0013】
なお、シート状の媒体の例として紙が広く知られている。そこで本明細書では、処理対象としてのシート状の媒体に関する記載をするときは「用紙P」を用いることとする。また、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にして構成される「用紙束Pb」を例に用いることとする。
【0014】
[後処理装置3の実施形態]
図2は、本実施形態に係る後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに所定の後処理を施す機能を備える。本実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。また、本実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。以下、用紙Pの束を媒体束としての「用紙束Pb」と表記する。
【0015】
なお、本実施形態においては、圧着綴じ処理を行う場合の液体付与処理に関する説明を主に行う。しかし、針綴じ処理に関連して行う液体付与処理も同様のものである。また、以下の説明において「綴じ処理」と表記する場合は、前記「圧着綴じ処理」及び前記「針綴じ処理」の両方を含むものを意味し、綴じを行う方法(綴じ針を用いるのか、加圧変形なのか)に限定しないものとする
【0016】
なお、本実施形態に係る「圧着綴じ処理」とは、より詳細には、用紙束Pbの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて、当該綴じ位置を変形させて(加圧変形させて)綴じる処理であって、「圧着綴じ」と称される処理である。なお、後処理装置3において実行可能な綴じ処理は、用紙束Pbの端部を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央部を綴じる中綴じ処理を含むものとする。
【0017】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)及び切替爪20などと、制御部100b(制御手段)を備える。制御部100bは、搬送ローラ対10~19(搬送部)及び切替爪20などの動作を制御する。なお、制御部100bの詳細については、後述する。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対10及び11により搬送される用紙Pにパンチ処理を行うパンチ孔穿設手段132が、搬送ローラ対10と11の間に配置されている。
【0018】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を経由して排出トレイ26に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ30に至る経路である。
【0019】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。なお、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、
図2において黒塗り三角形(▲)で示している。
【0020】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pは、排出トレイ21に載置される。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0021】
また、後処理装置3は、載置トレイとしての内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部55と、排出トレイ26とを備える。内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、及び端綴じ処理部25と、針綴じ処理部55は、第二搬送路Ph2から内部トレイ22に搬送される複数の用紙Pからなる用紙束Pbに端綴じ処理を施す。排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0022】
ここでいう「端綴じ処理」とは、用紙束Pbの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」、用紙束Pbの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Pbの搬送方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。
【0023】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かって用紙Pが搬送される方向を、「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置2から排出された用紙Pが、搬送ローラ対10等により、排出トレイ26の方向に移動した後に、搬送ローラ対15によって方向を転換して、それまでとは異なる方向である、エンドフェンス23に向かう方向に相当する。また、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0024】
第二搬送路Ph2を経由して順番に搬送される複数の用紙Pは、載置トレイとしての内部トレイ22に一時的に載置される。エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbに対して端綴じ処理を実行する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。
【0025】
また、
図1及び
図2に示すように、後処理装置3の筐体の側面には、開閉扉4が設けられている。開閉扉4は、後処理装置3の筐体の側面に設けられた開口を閉塞する閉塞位置と、開口を開放する開放位置との間を移動(開閉動作)する。また、開閉扉4は、主走査方向において、内部トレイ22、エンドフェンス23、及び端綴じ処理部25の少なくとも一部に対面する位置に設けられている。そのため、ユーザは、開閉扉4を開放位置に移動させることによって、内部トレイ22、エンドフェンス23、端綴じ処理部25、及び針綴じ処理部55の周辺に詰まった用紙Pを取り除くこと、いわゆるジャム処理を行うことができる。
【0026】
また、ユーザは、開閉扉4を開放位置に移動させることによって、第一貯液タンク43への液体の補給を行うことができる。また、例えば、第一貯液タンク43を液体付与手段31に対して着脱可能に構成し、ユーザは、開閉扉4を開放位置に移動させることによって、空になった第一貯液タンク43と液体が補充された第一貯液タンク43を交換することが可能になる。ただし、内部トレイ22、エンドフェンス23、端綴じ処理部25、及び針綴じ処理部55の周辺にアクセス可能にする構成は、開閉扉4に限定されない。
【0027】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、排出トレイ30とをさらに備える。エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第三搬送路Ph3を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに中綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0028】
エンドフェンス27は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0029】
[端綴じ処理部25の詳細説明]
図3は、
図2に示した液体付与処理と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部25を搬送方向の上流側から見た模式図である。
図4は、端綴じ処理部25を主走査方向の液体付与手段31側から見た模式図である。
図3に示すように、端綴じ処理部25は、用紙Pに対して液体を付与する液体付与手段31と、後処理手段の一例であって用紙束Pbに対して圧着綴じを行う圧着手段32とを備える。液体付与手段31及び圧着手段32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0030】
図4に示すように、液体付与手段31は、第一貯液タンク43(貯液部)に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。以下、液体付与手段31が用紙P又は用紙束Pbに対して液体を付与すること、及び当該液体付与する際の液体付与手段31の動作を、「液体付与」と表記する。また、制御処理を伴う液体付与手段31の液体付与動作を「液体付与処理」と表記する。
【0031】
ここで、液体付与に用いる液体として第一貯液タンク43に貯留される液体は、さらに詳しくは、化学式「H2O」で表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていてもよい。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0032】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いてもよい。
【0033】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、綴じ処理後の綴じ強度を高める作用を発揮させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。また、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0034】
図3及び
図4に示すように、液体付与手段31は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって、圧着手段32と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与手段31は、用紙P又は用紙束Pbの載置台としての下押圧板33と、上押圧板34(押圧手段)と、液体付与手段移動機構35と、液体付与機構36とを備える。液体付与手段31の構成部品(下押圧板33、上押圧板34、液体付与手段移動機構35、液体付与機構36、液体付与部移動モータ37)は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。
【0035】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbは、下押圧板33にも載置される。下押圧板33は、下押圧板保持体331上に設けられている。上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbと対面する位置において、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動可能に構成されている。
【0036】
すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを挟んで、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に取り付けられたジョイント46を介して保持される液体付与部材451に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。なお、液体付与部材451は、後述する液体供給部材45(吸液体)の一方の端部であって、先端部分に相当する。
【0037】
液体付与手段移動機構35は、上押圧板34と、ベースプレート40と、ジョイント46と、液体付与部材451と、液体供給部材45とを用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与手段移動機構35は、単一の液体付与部移動モータ37によって、上押圧板34と、ベースプレート40と、ジョイント46と、液体付与部材451と、液体供給部材45とを連動して移動させる。液体付与手段移動機構35は、例えば、液体付与部移動モータ37と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを備える。
【0038】
液体付与部移動モータ37は、上押圧板34と、ベースプレート40と、ジョイント46と、液体付与部材451と、液体供給部材45とを移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されると共に、液体付与フレーム31aに正逆方向に回転可能に設けられている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ37の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ37の駆動力が伝達されて台形ネジ38が正逆方向に回転することによってナット39が台形ネジ38上を往復移動する。
【0039】
ベースプレート40は、上押圧板34に対して離間した位置に配置されている。また、ベースプレート40は、液体付与部材451の先端部分をベースプレート40から上押圧板34に向けて突出させた状態で、液体付与部材451を保持している。さらに、ベースプレート40は、ナット39を介して台形ネジ38に接続されており、台形ネジ38が正逆方向に回転することによって台形ネジ38に沿って往復移動可能に構成されている。そして、ベースプレート40の上下方向の位置は、移動センサ40a(
図14参照)によって検知される。
【0040】
柱状部材41a、41bは、液体付与部材451の先端部分の周囲において、ベースプレート40から上押圧板34に向かって突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下押圧板33側の先端部で上押圧板34を保持している。また、柱状部材41a、41bの下押圧板33と反対側の先端部には、柱状部材41a、41bがベースプレート40から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。
【0041】
コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下押圧板33側に向かって付勢する。
【0042】
液体付与手段31は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに液体付与する。より詳細には、液体付与手段31は、液体付与部材451を用紙P又は用紙束Pbに接触させることによって、用紙束Pbを構成する少なくとも1枚の用紙Pに液体付与する。また、液体付与手段31の一部である液体付与機構36は、液体付与部材451と、液体供給部材45と、第一貯液タンク43と、ジョイント46とから構成される。
【0043】
第一貯液タンク43は、用紙P又は用紙束Pbに供給するための液体を貯留する。第一貯液タンク43に貯留された液体は、液位センサ43a(液体検知手段)によって検知される。
【0044】
液体付与部材451は、第一貯液タンク43に貯留された液体を用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与部材451は、先端を上押圧板34に向けてベースプレート40に保持されている。また、液体付与部材451は、吸液率の高い材料で構成されていて、例えば、液体を含むことが可能な連続気泡体で構成されている。液体付与部材451は、液体を吸い上げて保つことができる性質を有する素材であって、用紙Pに接触した状態で加えられる押圧力に応じて潰れる性質を備えるものであれば、その種類は問わない。例えば、スポンジのような発泡体でもよいし毛細管現象により液体を吸い上げることができる繊維でもよい。
【0045】
液体供給部材45(吸液体)は、基端が第一貯液タンク43に貯留された液体に浸漬される浸液部452であり、先端が液体付与部材451に接続される長尺の部材である。また、液体供給部材45は、例えば、液体付与部材451と同様に、吸水率の高い材料で構成されている。これにより、液体供給部材45の浸液部452から吸収された液体が、毛細管現象によって液体付与部材451に供給される。すなわち、第一貯液タンク43に貯留された液体は、液体供給部材45の浸液部452から吸い上げられ、その吸い上げられた液体が液体供給部材45を通じて先端に接続されている液体付与部材451へと供給されるように構成されている。
【0046】
以上のように、液体供給部材45の浸液部452から吸い上げられた液体が液体供給部材45を通じて液体付与部材451へと供給される。そして、液体付与部材451が用紙P又は用紙束Pbの最上位面に接することで液体付与が行われる。したがって、液体付与部材451は、先端が下方を向けてベースプレート40に支持されている。
【0047】
なお、上記において液体付与部材451と液体供給部材45が別体である場合について説明したが、液体付与部材451と液体供給部材45は、同様の性質をもった材料(例えば、吸液率の高い材料)により一体的に構成されていてもよい。つまり、液体付与部材451が液体供給部材45の一部となるように構成することもできる。その場合は、毛細管現象による液体供給部材45からの液体付与部材451への液体の供給がよりスムーズに行うことが可能になるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0048】
保護部材45aは、液体供給部材45に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、液体供給部材45が吸収した液体が漏れ出したり、蒸発したりすることを防止できる。また、液体供給部材45及び保護部材45aは、可撓性を有する材料で形成されている。ジョイント46は、液体付与部材451をベースプレート40に固定するものである。これにより、液体付与部材451は、液体付与手段移動機構35によって移動されても、ベースプレート40から上押圧板34側に向けて突出すると共に、液体付与部材451の先端部が上押圧板34側を向いた状態が維持される。
【0049】
液体付与処理において、液体付与部移動モータ37の駆動量を制御することにより、液体付与部材451の用紙P又は用紙束Pbに対する移動量(押圧量)を制御することができる。用紙P又は用紙束Pbに対する液体付与部材451の移動量を制御することで、用紙P又は用紙束Pbに対して液体付与部材451が接触する面積(接触面積)の広さを調整したり、接触する時間(接触時間)を調整したりする。この調整によって、液体付与処理おける用紙P又は用紙束Pbに付与する液体の量及び液体の広がりを調整することができる。
【0050】
[圧着手段32の構成]
綴じ手段としての圧着手段32は、凹凸状の上圧着歯32a及び下圧着歯32bで用紙束Pbの一部分に圧力を加えることで変形させ、この一部分の用紙P同士を圧着させることで、用紙束Pbを綴じる。すなわち、圧着手段32は、綴じ針を用いずに、用紙束Pbを綴じることができる。圧着手段32の構成部品(上圧着歯32a、下圧着歯32b)は、圧着フレーム32cに設けられている。圧着手段32は、用紙束Pbの綴じ位置を加圧変形させて綴じる綴じ手段の一例である。以下、圧着手段32によって用紙束Pbの所定の位置を加圧変形させて綴じることを単に「圧着綴じ」と表記する。また、制御処理を伴う圧着手段32の圧着綴じ動作を「圧着綴じ処理」と表記する。ただし、綴じ手段の具体例は、圧着手段32に限定されず、用紙束Pbの綴じ位置に綴じ針を貫通させて綴じる針綴じ手段でもよい(
図12、
図13参照)。
【0051】
図5は、圧着手段32の構成を示す模式図である。
図5に示すように、圧着手段32は、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを備える。上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、内部トレイ22に載置された用紙束Pbを挟んで、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。上圧着歯32a及び下圧着歯32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。
【0052】
また、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32d(
図14参照)の駆動力によって接離する。
【0053】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図5(A)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、
図5(B)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32dの駆動力によって噛み合うことで用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に載置された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、排出トレイ26に排出される。
【0054】
なお、圧着手段32の構成としては、圧着機構を構成する上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合えばよいので、本実施形態で例示したような動作機構の構造に限定されない。例えば、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構(例えば、特許6057167号に開示されているもの)であってもよい。また、駆動源の正逆方向の回転運動を直線的な往復運動に変換するネジ機構により、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0055】
また、
図3に示すように、端綴じ処理部25は、端綴じ処理部移動機構47を備える。端綴じ処理部移動機構47は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部25(すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32)を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構47は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、端綴じ処理部移動モータ50と、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力をベース部材48に伝達する駆動力伝達機構51と、待機位置センサ 540(
図14参照)を備える。
【0056】
液体付与手段31及び圧着手段32は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材48に取り付けられている。案内軸49は、
図4に示すように、綴じ機構ベース116における搬送方向の上流側において、主走査方向に設けられ複数の案内軸ブラケット49aにより保持されている。また、案内軸49は、
図3に示すように、綴じ機構ベース116上において主走査方向に延設されている。また、案内レール115は、綴じ機構ベース116における搬送方向の下流側において主走査方向に亘って設けられている。案内レール115は、
図4に示すように、ベース部材48の嵌合部48aと主走査方向に亘って嵌合する被嵌合部115aを備えている。つまり、ベース部材48は、案内軸49及び案内レール115によって、綴じ機構ベース116上において主走査方向に移動可能に保持される。
【0057】
端綴じ処理部移動モータ50は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構51は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力を、プーリ51a、51bと、タイミングベルト51cと、ベース部材48とタイミングベルト51cを締結する締結部48bと、を介してベース部材48に伝達する。これにより、ベース部材48によって一体化された液体付与手段31及び圧着手段32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。
【0058】
本実施形態に係る端綴じ処理部移動モータ50は、例えば、移動の度に原点位置(例えば、後述する待機位置HP)に端綴じ処理部25を戻さなくても、端綴じ処理部25を目標位置(後述する第一綴じ位置B1、第二綴じ位置B2)に停止させることができるサーボモータである。
【0059】
また、後処理装置3は、端綴じ処理部25が待機位置HP(
図16(A)、(D)参照)に到達したことを検知する待機位置センサ44a(例えば、遮光型の光学センサである。
図14参照。)と、端綴じ処理部移動モータ50の出力軸に取り付けられた第一エンコーダセンサ44b(
図14参照)とを備えている。そして、後述する制御部100bは、待機位置センサ44aの検知結果に基づいて、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達したことを検知する。また、後述する制御部100bは、第一エンコーダセンサ44bから出力されるパルス信号をカウントすることによって、待機位置HPから移動した端綴じ処理部25の現在位置を把握する。
【0060】
ただし、端綴じ処理部25を待機位置HPに戻さずに目標位置に停止させる具体的な方法は、前述の例に限定されない。他の例として、後処理装置3は、予め定められた目標位置に端綴じ処理部25が到達したことを検知するセンサを備えてもよい。
【0061】
また、圧着手段32の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に圧着手段回転軸54が固定されている。圧着手段回転軸54は、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。そして、圧着手段32は、圧着手段回動モータ56の駆動力が圧着手段回転軸54に伝達されることによって、ベース部材48上において、圧着手段回転軸54を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0062】
また、
図3に示すように、圧着手段32は、圧着手段回動機構52を備える。圧着手段回動機構52は、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを備えた圧着手段32を、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転させる。圧着手段回動機構52は、圧着手段回転軸54と、圧着手段回動モータ56とを備える。
【0063】
また、液体付与手段31は、内部トレイ22に載置される用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されている液体付与手段回転軸53を中心に正逆方向に回転可能に構成される。液体付与手段回転軸53には、後述する液体付与手段回動機構126の構成部品である姿勢切替レバー111が一体的に取り付けられている。
【0064】
液体付与手段回転軸53及び圧着手段回転軸54は、主走査方向に離間した位置において、互いに平行に延設されている。液体付与手段回転軸53は、ベース部材48に対して、液体付与フレーム31a及び液体付与ベース部材122を正逆方向に回転可能に支持する。圧着手段回転軸54は、ベース部材48に対して圧着フレーム32cを正逆方向に回転可能に支持する。
【0065】
圧着手段回動モータ56は、圧着手段32を正逆方向に回転させるための駆動力を発生させる。圧着手段回動モータ56の駆動力は、図示しないプーリやタイミングベルトを介して圧着手段回転軸54に伝達される。これにより、圧着フレーム32cは、上圧着歯32a及び下圧着歯32bと共に、圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転する。圧着手段回動モータ56の出力軸に取り付けられた第二エンコーダセンサ44c(
図14参照)から出力されるパルス信号をカウントすることによって、圧着手段32の回転角度(姿勢)を把握する。
【0066】
図6及び
図7は、上述した液体付与手段31を正逆方向に回転させる液体付与手段回動機構126を説明する図である。液体付与手段回動機構126は、液体付与手段回転軸53と、液体付与手段回転軸53と一体的に正逆方向に回転可能に構成された姿勢切替レバー111とを備える。液体付与手段31及び圧着手段32は、ベース部材48に支持されている。このベース部材48が端綴じ処理部移動モータ50によって、案内軸49に沿って綴じ機構ベース116上を主走査方向に移動する。綴じ機構ベース116には姿勢切替爪114と、案内レール115とが設置されている。
【0067】
姿勢切替爪114は、主走査方向の付与姿勢切替位置Dにおいて、綴じ機構ベース116に回転可能に取り付けられている。そして、端綴じ処理部移動モータ50によるベース部材48を介した液体付与手段31の主走査方向への移動により、姿勢切替レバー111が回転動作されるように構成されている。
【0068】
姿勢切替レバー111、姿勢切替爪114、及び案内レール115は、液体付与手段31の主走査方向の移動に伴い、液体付与手段31の姿勢を切り替える液体付与手段回動機構126に含まれる。姿勢切替レバー111は、液体付与手段31と一体的に回転する姿勢切替部材の一例である。姿勢切替爪114及び案内レール115は、液体付与手段31の主走査方向の移動の際に、姿勢切替レバー111に当接し、姿勢切替レバー111の姿勢を切り替える姿勢切替手段の一例である。
【0069】
図8は、綴じ機構ベース116に設置されている姿勢切替爪114の構成を示す図である。また、
図9は、姿勢切替爪114による姿勢切替レバー111の動作を説明する図である。
【0070】
姿勢切替爪114は、綴じ機構ベース116に設けられた姿勢切替爪回転軸119により回転可能に保持されている。一方、姿勢切替爪114は、綴じ機構ベース116に取り付けられるとともに、他方端が姿勢切替爪114に取り付けられた付勢スプリング117により一方向(
図8における姿勢切替爪回転軸119の時計回り方向)に付勢されている。綴じ機構ベース116には、爪ストッパ118が設けられている。
図8(A)に示すように、姿勢切替爪114は、時計回り方向の回転が規制される一方、反時計回り方向(
図8(A)の矢印方向)の回転が許容されるように構成されている。
【0071】
液体付与手段31は、液体付与手段回動機構126によって、
図10(A)~(D)、(H)に示す「平行付与姿勢」と、
図10(F)~(G)に示す「斜め付与姿勢」とに切替可能に構成されている。「平行付与姿勢」は、液体付与手段31の短手方向(液体付与部材451の長手方向)が主走査方向に沿う液体付与手段31の姿勢である。「斜め付与姿勢」は、液体付与手段31の短手方向が主走査方向に対して傾斜する液体付与手段31の姿勢である。
【0072】
また、圧着手段32は、圧着手段回動機構52によって、
図10(A)~(C)に示す「平行綴じ姿勢」と、
図10(D)~(H)に示す「斜め綴じ姿勢」とに切替可能に構成されている。「平行綴じ姿勢」は、圧着手段32の短手方向(上圧着歯32a及び下圧着歯32bの長手方向)が主走査方向に沿う圧着手段32の姿勢である。「斜め綴じ姿勢」は、圧着手段32の短手方向が主走査方向に対して傾斜する圧着手段32の姿勢である。
【0073】
そして、平行付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、平行綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、長手方向が同一の方向を向く。同様に、斜め付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、斜め綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、長手方向が同一の方向を向く。すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32は、2つの姿勢の間を同一の角度だけ回転する。また、平行付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、平行綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、互いに重なり合う。同様に、斜め付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、斜め綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、互いに重なり合う。
【0074】
図10は、圧着手段32及び液体付与手段31を「斜め付与姿勢」に変更する際の動作手順を説明する図である。
【0075】
図10(A)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、用紙幅領域外の待機位置HPに位置している。また、姿勢切替レバー111は、案内レール115より搬送方向の上流側に位置している。次に、
図10(B)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、姿勢切替爪114を押し開きながら左方向(
図10(B)の矢印の方向)に移動する。
【0076】
液体付与手段31を斜め付与姿勢に変更する際は、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、圧着手段32と液体付与手段31を保持するベース部材48ごと左方向に移動させる。姿勢切替爪114は反時計周り方向の回転は規制されていない為、姿勢切替レバー111で姿勢切替爪114を押しながら乗り越える(
図9(A)、(B)参照)。
【0077】
次に、
図10(C)に示すように、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を通過完了したら、端綴じ処理部移動モータ50の駆動を停止し、ベース部材48の主走査方向の左方向への移動を一時停止する。この際に姿勢切替爪114は付勢スプリングにより付勢されて回転規制姿勢に戻っている(
図9(C)参照)。
【0078】
次に、
図10(D)に示すように、圧着手段回動モータ56は、圧着手段32を回転させるための駆動力を発生させる。圧着手段回動モータ56の駆動力は、図示しないプーリやタイミングベルトを介して圧着手段回転軸54に伝達される。これにより、圧着フレーム32cは、上圧着歯32a及び下圧着歯32bと共に、圧着手段回転軸54周りに回転する。その結果、圧着手段32が斜め綴じ姿勢に姿勢が変化する。
【0079】
次に、
図10(E)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48が主走査方向の右方向(
図10(E)の矢印の方向)に移動する。姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114に接触すると、姿勢切替爪114は時計周り方向の回転は規制されている為、ベース部材48が右方向へ移動しても、姿勢切替レバー111は右方向への移動できず、斜め付与姿勢に向けて回転を始める(
図9(D)、(E)参照)。
【0080】
次に、
図10(F)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48が主走査方向の右方向に移動する。姿勢切替レバー111が回転しながら案内レール115の下側に向かって移動する。姿勢切替レバー111が、案内レール115の下側(姿勢切替爪114の姿勢切替爪回転軸119よりも下側)に移動するとともに、主走査方向に移動する。これにより、姿勢切替爪114は、付勢スプリング117の付勢力に抗して反時計回りに回転させられる。さらに、ベース部材48が右方向に移動することにより、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を乗り越えながら右側に移動する(
図9(E)、(F)参照)。これにより、液体付与手段31の斜め付与姿勢への回転が完了する。
【0081】
すなわち、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を主走査方向の一方端側(左側)から他方側(右側)に通過するときには、液体付与手段31が平行付与姿勢から斜め付与姿勢へと回転する。また、平行付与姿勢から斜め付与姿勢に回転する際には、圧着手段32が先に斜め綴じ姿勢に回転し、その後に液体付与手段31が斜め付与姿勢に回転する。
【0082】
次に、
図10(G)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を右方向に移動させる。斜め付与姿勢の液体付与手段31が液体付与位置に対面する位置に移動したら、液体付与部材451を用紙Pに対して接離させることで液体付与を実行する。
【0083】
次に、
図10(H)に示すように、所定枚数の用紙Pからなる用紙束Pbの載置が完了すると圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を左方向に移動させる。斜め綴じ姿勢の圧着手段32が綴じ位置に対面する位置に移動したら、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを用紙束Pbに対して接離させることで圧着綴じを実行する。
【0084】
図11は、液体付与手段31を「平行付与姿勢」(待機位置HPでの姿勢でもある)に変更する際の動作手順を説明する図である。まず、
図11(A)に示すように、圧着手段32は斜め綴じ姿勢であり、液体付与手段31は斜め付与姿勢であるものとする。
【0085】
次に、
図11(B)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を左方向(
図11(B)の矢印の方向)に移動させる。姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114に接触すると、姿勢切替爪114は時計周り方向の回転は規制されている為、ベース部材48が左向へ移動しても、姿勢切替レバー111は左方向への移動できず、
図11(B)の時計回りに回転を始める。
【0086】
次に、
図11(C)に示すように、ベース部材48を更に左方向に移動させる。姿勢切替レバー111が回転しながら案内レール115の上側に向かって移動する。姿勢切替レバー111が上側に移動したら、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を乗り越えないタイミングで、ベース部材48を右方向に移動させ、液体付与手段31の平行付与姿勢への回転を完了する。さらに、圧着手段回動モータ56を駆動することによって、圧着手段32を斜め綴じ姿勢から平行綴じ姿勢に姿勢変化させる。
【0087】
すなわち、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を主走査方向の他方端側(右端側)から一方側(左側)通過するときには、液体付与手段31が斜め付与姿勢から平行付与姿勢へと回転する。また、斜め付与姿勢から平行付与姿勢に回転する際には、液体付与手段31が先に平行付与姿勢に回転し、その後に圧着手段32が平行綴じ姿勢に回転する。
【0088】
すなわち、斜め付与姿勢の液体付与手段31は、主走査方向の一方側に移動する過程において、姿勢切替レバー111が付与姿勢切替位置Dの姿勢切替爪114に当接して、斜め付与姿勢から平行付与姿勢に回転する。一方、平行付与姿勢の液体付与手段31は、主走査方向の一方側に移動する過程において、姿勢切替レバー111が付与姿勢切替位置Dの姿勢切替爪114を回転させて、平行付与姿勢のまま付与姿勢切替位置Dを通過する。
【0089】
また、平行付与姿勢の液体付与手段31は、主走査方向の他方側に移動する過程において、姿勢切替レバー111が付与姿勢切替位置Dの姿勢切替爪114に当接して、平行付与姿勢から斜め付与姿勢に回転する。一方、斜め付与姿勢の液体付与手段31は、主走査方向の他方側に移動する過程において、姿勢切替レバー111が付与姿勢切替位置Dの姿勢切替爪114を回転させて、斜め付与姿勢のまま付与姿勢切替位置Dを通過する。
【0090】
[針綴じ処理部55の説明]
次に、針綴じ処理を実行する機能を備える針綴じ処理部55の詳細について説明する。
図12は、針綴じ処理部55を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部55は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる針綴じ手段62を備える。針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部25に対して主走査方向に離間して配置されている。
【0091】
綴じ手段としての針綴じ手段62は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる、いわゆる「針綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ手段62は、針綴じ部62aを駆動する針綴じ部駆動モータ62d(
図14参照)を備えている。そして、針綴じ部62aは、針綴じ部駆動モータ62dの駆動力により針綴じ部62aに装填された綴じ針を、用紙束Pbに貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。針綴じ手段62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0092】
また、
図12に示すように、針綴じ処理部55は、針綴じ処理部移動機構77を備える。針綴じ処理部移動機構77は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に沿って、針綴じ処理部55を主走査方向に移動させる。針綴じ処理部移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、針綴じ処理部移動モータ80と、駆動力伝達機構81とを備える。駆動力伝達機構81は、針綴じ処理部移動モータ80の駆動力を、プーリ81a、81bと、タイミングベルト81cと、ベース部材78とタイミングベルト81cを締結する締結部78aと、を介してベース部材78に伝達する。さらに、針綴じ手段62の構成品を保持する針綴じフレーム62bは、その底面に駆動伝達ギヤ83aを備えた針綴じ手段回転軸83が固定されている。
【0093】
針綴じ手段回転軸83及び駆動伝達ギヤ83aは、針綴じフレーム62bが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ83aは、針綴じ手段回動モータ82の出力ギヤ82aと噛み合っている。そして、針綴じ手段62は、針綴じ手段回動モータ82の駆動力が、出力ギヤ82a及び駆動伝達ギヤ83aを介して針綴じ手段回転軸83に伝達されることによって、ベース部材78上において、針綴じ手段回転軸83を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0094】
なお、端綴じ処理部25および針綴じ処理部55は、共通の案内軸49に支持されている。すなわち、端綴じ処理部移動機構47及び針綴じ処理部移動機構77は、共通の案内軸49に沿って端綴じ処理部25および針綴じ処理部55を主走査方向に移動させる。さらに、端綴じ処理部移動機構47及び針綴じ処理部移動機構77は、端綴じ処理部25および針綴じ処理部55を独立して移動することができる。
【0095】
図13は、針綴じ処理部55の変形例としての針綴じ処理部55´を示したものであり、針綴じ処理部55´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部55´は、針綴じ手段62だけではなく、第二液体付与手段612を備えている点で針綴じ処理部55と相違する。
図13に示すように、針綴じ処理部55´は、第二液体付与手段612と、針綴じ手段62とを備える。第二液体付与手段612を及び針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。なお、第二液体付与手段612の説明において、液体付与手段31と同じ機能を果たす部材については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0096】
第二液体付与手段612は、第二貯液タンク73に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する液体付与を実行する。第二液体付与手段612によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置を含む所定の領域は、針綴じ手段62が針綴じを行なう予定である綴じ位置に相当する。
図13に示すように、第二液体付与手段612は、第二下押圧板63と、第二上押圧板64と、第二液体付与部移動機構65と、第二液体付与機構66とを備える。第二液体付与部移動機構65は、例えば、第二液体付与部移動モータ67と、第二台形ネジ68と、第二ナット69と、第二ベースプレート70と、第二柱状部材711a、711bと、第二コイルバネ721a、721bとを備える。
【0097】
また、第二液体付与手段612の構成品を保持する液体付与フレーム31aは、その底面に駆動伝達ギヤ562aを備えた第二液体付与手段回転軸562が固定されている。第二液体付与手段回転軸562及び駆動伝達ギヤ562aは、第二液体付与フレーム311aが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ562aは、第二液体付与手段回動モータ563の出力ギヤ563aに噛み合っている。そして、第二液体付与手段612は、第二液体付与手段回動モータ563の駆動力が、出力ギヤ563a及び駆動伝達ギヤ562aを介して第二液体付与手段回転軸562に伝達されることによって、ベース部材78上において、第二液体付与手段回転軸562を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0098】
第二液体付与機構66は、第二貯液タンク73と、第二液体供給部75と、第二液体付与部材74と、第二ジョイント76とを備える。第二液体付与機構66の構成は、
図3に示した液体付与機構36と共通するので、再度の説明は省略する。また、針綴じ手段62の構成は、
図12と同様なので詳細な説明は省略する。
【0099】
図13で示した針綴じ処理部55´のように、針綴じ処理においても、用紙Pに液体付与を行うことで、綴じ位置をほぐして柔らかくし、綴じ針を貫通しやすくすることができる。これによって、液体付与をせずに針綴じ処理を施す場合と比較すると、用紙束Pbの一束当たりの綴じ枚数を増やすことができる。
【0100】
[後処理装置3の制御ブロック]
次に、後処理装置3の制御ブロック構成について、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施形態に係る後処理装置3における制御処理を実行するためのハードウェア構成図である。
図14に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、I/F105とが共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0101】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0102】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101と、RAM102と、ROM103と、HDD104と、I/F105とは、後処理装置3の動作を制御する制御部100b(制御手段)を構成する。
【0103】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、接離モータ32dと、圧着手段回動モータ56と、液体付与部移動モータ37と、端綴じ処理部移動モータ50と、針綴じ部駆動モータ62dと、針綴じ手段回動モータ82と、針綴じ処理部移動モータ80と、移動センサ40aと、液位センサ43aと、待機位置センサ44aと、第一エンコーダセンサ44bと、第二エンコーダセンサ44cと、操作パネル110と、を共通バス109に接続するインタフェースである。制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、接離モータ32dと、圧着手段回動モータ56と、液体付与部移動モータ37と、端綴じ処理部移動モータ50と、針綴じ部駆動モータ62dと、針綴じ手段回動モータ82と、針綴じ処理部移動モータ80の動作を制御する。また、制御部100bは、移動センサ40aと、液位センサ43aと、待機位置センサ44aと、第一エンコーダセンサ44bと、第二エンコーダセンサ44cの検知結果を取得する。なお、
図14には端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25及び針綴じ処理部55に関する構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28に関する構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0104】
図1に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。また、後処理装置3に上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0105】
以上説明をしたとおり、後処理装置3は、制御部100bが備えるハードウェア資源を用いて、CPU101が実行するソフトウェア(制御プログラム)によって、液体付与に関連する動作制御を行う機能を実現する。
【0106】
なお、後処理装置3が実行する液体付与は、針綴じ処理部155には針綴じ手段62のみを備える形態とし、液体付与は端綴じ処理部25が備える液体付与手段31を利用する形態でもよい。また、逆に、端綴じ処理部25には圧着手段32のみを備える形態とし、液体付与は第二液体付与手段612を利用する形態でもよい。すなわち、綴じ処理の種類に関わらず、液体付与手段31、あるいは第二液体付与手段612どちらか一方のみが液体付与を行うように構成されていてもよい。
【0107】
また、針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62と第二液体付与手段612が一体的に構成された状態で案内軸49に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、針綴じ手段62と第二液体付与手段612が、それぞれ別個独立に移動する構成であってもよい。
【0108】
[綴じ処理の説明]
次に、後処理装置3が備える端綴じ処理部25において実行される綴じ処理の流れについて説明する。
図15は、一箇所綴じ処理を実行する際のフローチャートである。
図16は、一箇所綴じ処理の実行中における端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)の位置の遷移を示す図である。なお、
図16では、液体付与手段31及び圧着手段32の姿勢の変化については図示を省略している。また、液体付与手段31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1、B2)を付して説明する。
【0109】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ処理指示」と表記する。)を取得したタイミングで、
図15に示す綴じ処理を開始する。
【0110】
綴じ処理指示は、例えば、用紙Pの種類(素材や厚みなど液体の広がりに影響を与える情報)と、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの部数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、用紙束Pbの綴じ位置と、端綴じ処理部25の綴じ姿勢とを含む。また、液体付与手段31及び圧着手段32は、
図16(A)に示すように、綴じ処理の開始時点において、平行綴じ姿勢で、かつ内部トレイ22に載置された用紙Pから幅方向に外れた位置である待機位置HPに位置しているものとする。
【0111】
まず、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合は、制御部100bは、圧着手段回動モータ56を駆動して、端綴じ処理部25を構成する圧着手段32を斜め綴じ姿勢に回転させる(S1701)。また、制御部100bは、液体付与手段回動機構126により、端綴じ処理部25を構成する液体付与手段31を、斜め綴じ姿勢に回転させる。なお、「斜め綴じ姿勢」である場合には、圧着手段32のみを斜め綴じ姿勢に回転させ、液体付与手段31は正逆方向に回転させないようにしてもよい。これにより、液体付与手段31及び圧着手段32を共に正逆方向に回転させる場合に比べて駆動機構を簡素化することができるので、コストダウン、装置の小型化、及び機器の故障の低減という効果を奏する。
【0112】
一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、制御部100bは、上述した端綴じ処理部25を構成する液体付与手段31及び圧着手段32を斜め綴じ姿勢に回転させる動作を省略する。また、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、綴じ処理指示で指示された第一液体付与位置B1に液体付与手段31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S1701)。なお、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、ステップS1701の処理を実行する。
【0113】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S1702)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する(S1702)。
【0114】
次に、制御部100bは、直前のステップS1702で内部トレイ22に載置された用紙Pの第一液体付与位置B1に対して、事前に調整された液体付与制御データに基づいて、第一液体付与位置B1に対面する液体付与手段31に液体付与を実行させる(S1703)。すなわち、制御部100bは、液体付与部移動モータ37を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの第一液体付与位置B1に液体付与部材451を接触させる(
図10(B)参照)。ステップS1703における液体付与処理において、制御部100bは、綴じ処理指示に含まれる用紙Pの種類や、綴じ位置に応じて、液体付与部材451が用紙Pに対して液体を付与する位置を調整する。また、制御部100bは、液体付与部材451を用紙Pに押圧する量を調整する。すなわち、制御部100bは、調整された制御データに基づいて液体付与部移動モータ37の駆動を制御して、内部トレイ22に載置された用紙Pの綴じ位置B1に対する液体付与部材451の移動量を調整する。
【0115】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S1704)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達していないと判定した場合に(S1704:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達するまで(S1704:Yes)、ステップS1702~S1704の処理を繰り返し実行する。
【0116】
すなわち、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、ステップS1702~S1704の処理を実行する。なお、液体付与手段31による液体付与は、用紙束Pbを構成する複数の用紙Pの全てに対して行われる場合だけではなく、一部の用紙Pのみに対して行われてもよい。
【0117】
そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達したと判定した場合に(S1704:Yes)、
図16(C)に示すように、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、圧着手段32が第一綴じ位置B1に対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S1705)。
【0118】
次に、制御部100bは、圧着手段32に、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに対して圧着綴じを実行させる(S1706)。そして、制御部100bは、搬送ローラ対15に、圧着手段32により圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出させる(S1707)。すなわち、制御部100bは、接離モータ32dを駆動して、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第一綴じ位置B1を、上圧着歯32a及び下圧着歯32bに挟持させる。これにより、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの間で用紙束Pbを加圧変形させ圧着綴じを行う。その後、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。
【0119】
なお、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上において、ステップS1706で上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域(第一綴じ位置B1に相当)は、ステップS1703で液体付与部材451の先端部が接触した液体付与領域(第一液体付与位置B1に相当)に重なる。換言すれば、圧着手段32は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbにおいて、液体付与手段31によって液体が付与された領域を圧着綴じする。なお、上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域は、液体付与部材451の先端部が接触した液体付与領域に完全に重なっている必要はなく、部分的に重なっている場合でも十分な綴じ強度を得ることができる。
【0120】
次に、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、綴じ処理指示で示された必要部数Mに達したか否かを判定する(S1708)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mに達していないと判定した場合(S1708:No)、ステップS1702以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mに達するまで(S1708:Yes)、ステップS1702~S1708の処理を繰り返し実行する。
【0121】
一方、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、必要部数Mに達したと判定した場合(S1708:Yes)、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、
図16(D)に示すように端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)を待機位置HPに移動させる(S1709)。また、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部100bは、圧着手段回動モータ56を駆動して、圧着手段32を平行綴じ姿勢に回転させる(S1709)。また、制御部100bは、液体付与手段回動機構126により、液体付与手段31を平行綴じ姿勢に回転させる(S1709)。一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与手段31及び圧着手段32を平行綴じ姿勢へ回転させる動作は省略される。これにより、端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)が
図16(D)に示すように待機位置HPに戻る。なお、ステップS1701、S1709において、液体付与手段31及び圧着手段32を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0122】
図17は、二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部25の位置の遷移を示す図である。
図16を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図17(A)に示すように、二箇所綴じの開始時点において、端綴じ処理部25は待機位置HPに位置しているものとする。また、第一綴じ位置B1及び第二綴じ位置B2は、主走査方向に離間した位置である。さらに、
図17では、2枚の用紙P1及びP2を圧着綴じする場合(すなわち、所定枚数N=2枚の場合)を説明するが、用紙束Pbを構成する用紙Pの数はこれに限定されない。
【0123】
制御部100bは、用紙束Pbを構成する1枚目の用紙P1が内部トレイ22に載置される前に、第一液体付与位置B1に液体付与手段31が対面し得るように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、制御部100bは、
図17(B)に示すように、第一液体付与位置B1に対面し得る位置に液体付与手段31を配置した状態で、画像形成装置2によって画像が形成された用紙P1を内部トレイ22に載置して、サイドフェンス24L、24Rを主走査方向に移動させることでジョギング処理を実行する。
【0124】
次に、制御部100bは、1枚目の用紙P1が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P1の第一液体付与位置B1に対して、液体付与手段31に液体付与を実行させる。次に、制御部100bは、
図17(C)に示すように、1枚目の用紙P1の第二液体付与位置B2に液体付与手段31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、制御部100bは、1枚目の用紙P1の第二液体付与位置B2に対して、液体付与手段31に液体付与を実行させる。
【0125】
次に、制御部100bは、液体付与手段31による1枚目の用紙P1の第一液体付与位置B1及び第二液体付与位置B2への液体付与が完了したことに応じて、
図17(D)に示すように、第二液体付与位置B2に対面し得る位置に液体付与手段31を配置したままの状態で、用紙束Pbを構成する2枚目の用紙P2を内部トレイ22に収容して、サイドフェンス24L、24Rを主走査方向に移動させることでジョギング処理を実行する。
【0126】
次に、制御部100bは、2枚目の用紙P2が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該2枚目の用紙P2の第二液体付与位置B2に対して、液体付与手段31に液体付与を実行させる。次に、制御部100bは、
図17(E)に示すように、2枚目の用紙P2の第一液体付与位置B1に液体付与手段31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、制御部100bは、2枚目の用紙P2の第一液体付与位置B1に対して、液体付与手段31に液体付与を実行させる。
【0127】
すなわち、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達するまで、搬送ローラ対10、11、14、15による用紙Pの搬送と、液体付与手段31による第一液体付与位置B1及び第二液体付与位置B2への液体付与とを繰り返し実行する。このとき、制御部100bは、B(B<N)枚目の用紙Pに対して、第一液体付与位置B1、第二液体付与位置B2の順で、液体付与手段31に液体付与を実行させる。また、制御部100bは、(B+1)枚目の用紙Pに対して、第二液体付与位置B2、第一液体付与位置B1の順で、液体付与手段31に液体付与を実行させる。換言すれば、制御部100bは、液体付与手段31が第一液体付与位置B1及び第二液体付与位置B2に液体付与する順序を、用紙P毎に変更する。さらに、制御部100bは、待機位置HPを経由せずに、第一液体付与位置B1及び第二液体付与位置B2の一方から他方に綴じ処理部25を最短距離で移動させる。
【0128】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達したと判定した場合、
図17(F)に示すように、圧着手段32が第一綴じ位置B1に対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された2枚の用紙P1及びP2からなる用紙束Pbの第一綴じ位置B1に対して、圧着手段32に圧着綴じを実行させる。次に、制御部100bは、
図17(G)に示すように、圧着手段32が上記用紙束Pbの第二綴じ位置B2に対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された上記用紙束Pbの第二綴じ位置B2に対して、圧着手段32に圧着綴じを実行させる。
【0129】
なお、
図17の例では、制御部100bは、最後に第一液体付与位置B1に対して液体付与手段31に液体付与を実行させているので、第一綴じ位置B1、第二綴じ位置B2の順で圧着手段32に圧着綴じを実行させている。一方、制御部100bは、最後に第二液体付与位置B2に対して液体付与手段31に液体付与を実行させた場合は、第二綴じ位置B2、第一綴じ位置B1の順で圧着手段32に圧着綴じを実行させればよい。
【0130】
すなわち、
図17に示すように、端綴じ処理部移動機構47は、液体付与手段31が第一液体付与位置B1に対面する位置と、液体付与手段31が第二液体付与位置B2に対面する位置との間を、待機位置HPを経由せずに、端綴じ処理部25を最短距離で移動させることができる。また、端綴じ処理部移動機構47は、圧着手段32が第一綴じ位置B1に対面する位置と、圧着手段32が第二綴じ位置B2に対面する位置との間を、待機位置HPを経由せずに、端綴じ処理部25を最短距離で移動させることができる。さらに、端綴じ処理部移動機構47は、液体付与手段31が第一液体付与位置B1(又は、第二液体付与位置B2)に対面する位置と、圧着手段32が第一綴じ位置B1(又は、第二綴じ位置B2)に対面する位置との間を、待機位置HPを経由せずに、端綴じ処理部25を最短距離で移動させることができる。
【0131】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着手段32により第一綴じ位置B1及び第二綴じ位置B2で圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。さらに、制御部100bは、
図17(H)に示すように、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)を待機位置HPに移動させる。
【0132】
そして、制御部100bは、
図10及び
図11を参照して説明した姿勢変化と、
図16及び
図17を参照して説明した主走査方向の移動とを組み合わせることによって、用紙P又は用紙束Pbの任意の位置に任意の姿勢で、端綴じ処理部25の液体付与手段31及び圧着手段32に、それぞれ液体付与及び圧着綴じを実行させることができる。
【0133】
ここで、液体付与手段31及び圧着手段32は、主走査方向に隣接して配置されている。より詳細には、液体付与手段31は、圧着手段32の主走査方向の一方側(左側)に配置されている。そして、圧着手段32は、平行綴じ姿勢から斜め綴じ姿勢に向かって姿勢変化する際に、搬送方向の下流側の端部が主走査方向の他方側(右側)を向くように、
図10の反時計回りに回転する。また、液体付与手段31は、平行付与姿勢から斜め付与姿勢に向かって姿勢変化する際に、搬送方向の下流側の端部が主走査方向の他方側(右側)を向くように、
図10の反時計回りに回転する。
【0134】
そのため、圧着手段32を平行綴じ姿勢にしたまま、液体付与手段31を平行付与姿勢から斜め付与姿勢に姿勢変化させようとすると、液体付与手段31が圧着手段32に衝突する。また、液体付与手段31を斜め付与姿勢にしたまま、圧着手段32を斜め綴じ姿勢から平行綴じ姿勢に姿勢変化させようとすると、圧着手段32が液体付与手段31に衝突する。すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32は、所定の順序で姿勢変化させる必要がある。なぜなら、液体付与手段又は圧着手段32が、例えばユーザによって所定の姿勢から不用意に姿勢が変更されてしまったような場合には、上述のとおり液体付与手段31及び圧着手段32同士が衝突し、液体付与手段31及び圧着手段32の一方又は両方が破損等してしまう可能性があるからである。
【0135】
次に、
図18及び
図19を参照して、端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)を第一綴じ位置B1(第一液体付与位置B1に相当)に対面する位置から待機位置HPに向けて主走査方向の他方側に移動させる正しい手順を説明する。
図18は、第一綴じ位置B1を綴じた端綴じ処理部25を正しい手順で待機位置HPに移動させる処理の前半部分を示す図である。
図19は、第一綴じ位置B1を綴じた端綴じ処理部25を正しい手順で待機位置HPに移動させる処理の後半部分を示す図である。
【0136】
まず、
図18(A)に示すように、第一綴じ位置B1を綴じた直後において、液体付与手段31は平行付与姿勢であり、圧着手段32は平行綴じ姿勢であるものとする。次に、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50を駆動することによって、圧着手段32が綴じ姿勢切替位置Cに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の他方側に移動させる。綴じ姿勢切替位置Cは、圧着手段32を平行綴じ姿勢から斜め綴じ姿勢に回転させる位置である。また、綴じ姿勢切替位置Cは、第一綴じ位置B1より待機位置HPに近い位置であり、かつ付与姿勢切替位置D(姿勢切替爪114の設置位置)より待機位置HPから遠い位置である。
【0137】
次に、制御部100bは、圧着手段32が綴じ姿勢切替位置Cに到達したことに応じて、端綴じ処理部移動モータ50を停止する。次に、
図18(B)に示すように、制御部100bは、圧着手段回動モータ56を駆動することによって、圧着手段32を平行綴じ姿勢から斜め綴じ姿勢に姿勢変化させる。一方、この時点では、液体付与手段31は平行付与姿勢のままである。
【0138】
次に、制御部100bは、再び端綴じ処理部移動モータ50を駆動することによって、液体付与手段31が付与姿勢切替位置Dを待機位置HP側に通過するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の他方側に移動させる。そして、
図18(C)に示すように、液体付与手段31は、付与姿勢切替位置Dを通過する過程において、平行付与姿勢から斜め付与姿勢に姿勢変化する。なお、この時点では既に圧着手段32が斜め綴じ姿勢になっているので、斜め付与姿勢に向けて回転する液体付与手段31が圧着手段32に衝突することはない。
【0139】
次に、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50を駆動することによって、液体付与手段31が付与姿勢切替位置Dに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の一方側に移動させる。そして、
図19(A)に示すように、付与姿勢切替位置Dに到達した液体付与手段31は、斜め付与姿勢から平行付与姿勢に姿勢変化する。
【0140】
次に、
図19(B)に示すように、制御部100bは、圧着手段回動モータ56を駆動することによって、圧着手段32を斜め綴じ姿勢から平行綴じ姿勢に姿勢を変化させる。なお、この時点では既に液体付与手段31が平行付与姿勢になっているので、平行綴じ姿勢に向けて回転する圧着手段32が液体付与手段31に衝突することはない。
【0141】
そして、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50を駆動することによって、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の他方側に移動させる。これにより、
図19(C)に示すように、液体付与手段31が平行付与姿勢でかつ圧着手段32が平行綴じ姿勢の状態で、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達する。
【0142】
次に、
図20を参照して、端綴じ処理部25を第一綴じ位置B1に対面する位置から待機位置HPに向けて主走査方向の他方側に移動させる誤った手順を説明する。
図20は、第一綴じ位置B1を綴じた端綴じ処理部25を誤った手順で待機位置HPに移動させる処理を示す図である。
【0143】
制御部100bは、第一エンコーダセンサ44bから出力されるパルス信号の累積値に基づいて、端綴じ処理部25の主走査方向の位置を把握する。そのため、開閉扉4を開放位置に移動させてジャム処理をしようとするユーザが、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させたとすると、制御部100bが把握している綴じ処理部25の位置と、綴じ処理部25の現実の位置とが異なることになる。
【0144】
例えば、第一綴じ位置B1に対面する位置の端綴じ処理部25(
図18(A))を、ユーザが綴じ姿勢切替位置Cより待機位置HP側まで移動させた場合(
図20(A))を想定する。なお、この時点では、液体付与手段31は平行付与姿勢であり、圧着手段32は平行綴じ姿勢である。
【0145】
この場合において、制御部100bが端綴じ処理部移動モータ50を駆動することによって、端綴じ処理部25を主走査方向の他方側(
図20(A)の矢印の方向)に移動させると、液体付与手段31が付与姿勢切替位置Dを通過する過程で平行付与姿勢から斜め付与姿勢に回転しようとする。しかしながら、
図20(B)に示すように、圧着手段32は未だ平行綴じ姿勢なので、斜め付与姿勢に回転しようとする液体付与手段31が圧着手段32に衝突する。
【0146】
そこで、
図21及び
図22に示すように、本実施形態に係る後処理装置3は、衝突回避機構90をさらに備える。
図21は、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向から衝突回避機構90を見た図である。
図22は、主走査方向から衝突回避機構90を見た図である。衝突回避機構90は、端綴じ処理部25が主走査方向の他方側に移動する過程において、圧着手段32が平行綴じ姿勢のままで、液体付与手段31が付与姿勢切替位置Dを通過するのを規制する機構である。
図21及び
図22に示すように、衝突回避機構90は、例えば、規制部材91と、当接部材92と、コイルバネ93(付勢部材)とで構成される。
【0147】
規制部材91は、圧着手段32の搬送方向の上流側の端部に取り付けられている。そして、規制部材91は、圧着手段32と共に主走査方向に移動し、圧着手段32と共に圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転する。規制部材91の待機位置HP側の面は、主走査方向に直交(すなわち、搬送方向に一致)している。一方、規制部材91の待機位置HPと反対側の面は、主走査方向の上流側に向かって後退する(換言すれば、先細る)テーパ面である。
【0148】
当接部材92は、端綴じ処理部25を主走査方向に移動可能に支持する綴じ機構ベース116(支持部材)に取り付けられている。また、当接部材92は、主走査方向の規制位置Eに配置されている。さらに、当接部材92は、
図21(A)、(C)、及び
図22(A)に示す当接位置と、
図21(B)及び
図22(B)に示す退避位置との間を搬送方向に移動可能に構成されている。そして、コイルバネ93は、当接部材92を当接位置に向けて付勢する。
【0149】
規制位置Eは、主走査方向において、付与姿勢切替位置Dより待機位置HPに近い位置である。また、規制位置Eは、端綴じ処理部25が主走査方向の他方側に移動する際に、液体付与手段31(より詳細には、姿勢切替レバー111)が付与姿勢切替位置Dに到達する前に、圧着手段32(より詳細には、規制部材91)が到達する位置である。
【0150】
当接位置は、圧着手段32が平行綴じ姿勢のときの規制部材91の移動軌跡に重なる位置である。また、当接位置は、圧着手段32が斜め綴じ姿勢のときの規制部材91の移動軌跡から搬送方向の上流側に外れた位置である。退避位置は、圧着手段32が平行綴じ姿勢のときの規制部材91の移動軌跡から搬送方向の上流側に外れた位置である。
【0151】
これにより、
図21(A)に示すように、圧着手段32が平行綴じ姿勢のままで端綴じ処理部25が主走査方向の他方側(
図21(A)の矢印の方向)に移動すると、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114に当接する前に、規制部材91が当接位置の当接部材92に当接する。その結果、衝突回避機構90は、平行綴じ姿勢の圧着手段32が規制位置Eを待機位置HP側(主走査方向の他方側)に通過するのを阻止する。一方、圧着手段32が斜め綴じ姿勢に姿勢変化して、端綴じ処理部25が主走査方向の他方側に移動すると、規制部材91が当接位置の当接部材92に当接しない。その結果、衝突回避機構90は、斜め綴じ姿勢の圧着手段32が規制位置Eを待機位置HP側に通過するのを許容する。
【0152】
また、
図21(B)に示すように、圧着手段32が平行綴じ姿勢のままで端綴じ処理部25が主走査方向の一方側(
図21(B)の矢印の方向)に移動すると、規制部材91のテーパ面が当接位置の当接部材92に当接して、当接部材92をコイルバネ93の付勢力に抗して退避位置に移動させる。その結果、衝突回避機構90は、平行綴じ姿勢の圧着手段32が規制位置Eを待機位置HPと反対側(主走査方向の一方側)に通過するのを許容する。さらに、
図21(C)に示すように、規制部材91が規制位置Eを通過すると、当接部材92は、コイルバネ93の付勢力によって再び当接位置に戻る。
【0153】
次に、
図23及び
図24を参照して、液体付与手段31及び圧着手段32の衝突を回避しつつ、端綴じ処理部25を待機位置HPに移動させる復帰処理を説明する。
図23は、復帰処理のフローチャートである。
図24は、復帰処理中の液体付与手段31及び圧着手段32の位置及び姿勢を示す図である。一例として、制御部100bは、綴じ処理が正常終了した後に、
図23に示す復帰処理を実行する。他の例として、制御部100bは、綴じ処理が異常終了した(例えば、ジャム処理によって用紙束Pbが取り除かれた)後に、
図23に示す復帰処理を実行する。
【0154】
なお、復帰処理の開始時点において、液体付与手段31は平行付与姿勢であり、圧着手段32は平行綴じ姿勢であるものとする。また、復帰処理の終了時点において、液体付与手段31が平行付与姿勢でかつ圧着手段32が平行綴じ姿勢の状態で、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達するものとする。さらに、主走査方向に離間した2つの位置の距離(主走査方向の移動量)は、第一エンコーダセンサ44bから出力されるパルス信号の数によって、予め特定されている。すなわち、制御部100bは、第一エンコーダセンサ44bから出力されるパルス信号をカウントすることによって、第一位置の端綴じ処理部25が第二位置に到達したと判定することができる。
【0155】
まず、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって、端綴じ処理部25が移動したか否かを判定する(S201)。「端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって端綴じ処理部25が移動」とは、例えば、ユーザが手で端綴じ処理部25を動かすことを指してもよいし、内部トレイ22から取り除かれる用紙Pが引っ掛かって端綴じ処理部25を動かすことを指してもよい。また、制御部100bは、ステップS201において、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって端綴じ処理部25が移動したか否かを直接的に検知することに限定されず、その蓋然性が高いことを間接的に認識してもよい。
【0156】
一例として、制御部100bは、開閉扉4が開閉されたことをセンサによって検知した場合に、端綴じ処理部25が移動した可能性があると判定してもよい。他の例として、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50を駆動していないときに駆動力伝達機構51の構成要素(プーリ、タイミングベルト等)が動いたことをセンサによって検知した場合に、端綴じ処理部25が移動した可能性があると判定してもよい。ただし、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって端綴じ処理部25が移動したか否かを判定する具体的な方法は、前述の例に限定されない。
【0157】
そして、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって端綴じ処理部25が移動していない(すなわち、綴じ処理が正常終了した)と判定した場合に(S201:No)、
図18(A)に示すように、端綴じ処理部移動モータ50を正転駆動することによって、圧着手段32が綴じ姿勢切替位置Cに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の他方側に移動させる(S202)。次に、制御部100bは、圧着手段32が綴じ姿勢切替位置Cに到達したと判定した場合に、
図18(B)に示すように、圧着手段回動モータ56を駆動することによって、圧着手段32を平行綴じ姿勢から斜め綴じ姿勢に姿勢変化させる(S203)。
【0158】
次に、制御部100bは、圧着手段32が斜め綴じ姿勢に姿勢変化したと判定した場合に、再び端綴じ処理部移動モータ50を正転駆動することによって、
図18(C)に示すように、液体付与手段31が切替完了位置Fに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の他方側に移動させる(S204)。切替完了位置Fは、付与姿勢切替位置Dより待機位置HPに近い位置である。また、切替完了位置Fは、液体付与手段31の平行付与姿勢から斜め付与姿勢への姿勢変化が完了する位置である。これにより、液体付与手段31が付与姿勢切替位置Dを通過する過程で、平行付与姿勢から斜め付与姿勢へ姿勢変化する。また、圧着手段32は既に斜め綴じ姿勢なので、規制位置Eにおいて、規制部材91は当接部材92に当接しない。
【0159】
次に、制御部100bは、液体付与手段31が切替完了位置Fに到達したと判定した場合に、端綴じ処理部移動モータ50を逆転駆動することによって、
図19(A)に示すように、液体付与手段31が付与姿勢切替位置Dに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の一方側に移動させる(S205)。より詳細には、制御部100bは、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114に当接して液体付与手段31が斜め付与姿勢から平行付与姿勢に姿勢変化し、かつ姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を主走査方向の一方側に通過する前に、端綴じ処理部移動モータ50を停止させる。
【0160】
次に、制御部100bは、液体付与手段31が付与姿勢切替位置Dに到達したと判定した場合に、圧着手段回動モータ56を駆動することによって、
図19(B)に示すように、圧着手段32を斜め綴じ姿勢から平行綴じ姿勢に姿勢変化させる(S206)。次に、制御部100bは、圧着手段32が平行綴じ姿勢に姿勢変化したと判定した場合に、再び端綴じ処理部移動モータ50を正転駆動することによって、
図19(C)に示すように、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の他方側に移動させる(S207)。
【0161】
一方、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって端綴じ処理部25が移動した(すなわち、綴じ処理が異常終了した)と判定した場合に(S201:Yes)、端綴じ処理部移動モータ50を正転駆動することによって、
図24(A)に示すように、端綴じ処理部25を規制位置Eに向かって主走査方向の他方側(
図24(A)の矢印の方向)移動させる(S208)。なお、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって端綴じ処理部25が移動した場合、第一エンコーダセンサ44bから出力されるパルス信号の累積値は、端綴じ処理部25の現在位置を正確に反映していない可能性がある。
【0162】
一方、制御部100bは、端綴じ処理部25を目標位置に到達させるために、サーボモータである端綴じ処理部移動モータ50に供給する電流の大きさを増減させる。すなわち、
図24(A)に示すように、規制位置Eにおいて規制部材91が当接部材92に当接して、端綴じ処理部25の主走査方向の他方側への移動が規制されると、端綴じ処理部移動モータ50に供給される電流が徐々に大きくなる。すなわち、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50に供給する電流の大きさが閾値以上になった(以下、「過負荷」と表記する。)ことに応じて、規制部材91が当接部材92に当接した(すなわち圧着手段32が規制位置Eに到達した)と判定することができる。
【0163】
そこで、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50の過負荷を検知するまで(S209:No)、端綴じ処理部移動モータ50の正転駆動(S208)を継続する。そして、制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ50の過負荷を検知したことに応じて(S209:Yes)、端綴じ処理部移動モータ50を逆転駆動することによって、
図24(B)に示すように、圧着手段32が規制位置Eから綴じ姿勢切替位置Cに到達するまで、端綴じ処理部25を主走査方向の一方側(
図24(B)の矢印の方向)に移動させる(S210)。なお、規制位置Eと姿勢切替位置Cとの間の距離(移動量)は、パルス信号の数によって予め特定されているので、制御部100bは、第一エンコーダセンサ44bから出力されるパルス信号の数をカウントすることによって、圧着手段32が綴じ姿勢切替位置Cに到達したことを判定できる。また、ステップS210の時点では、液体付与手段31は未だ平行付与姿勢のままである。
【0164】
そして、制御部100bは、圧着手段32が綴じ姿勢切替位置Cに到達したと判定したことに応じて、前述したステップS203~S207の処理を実行する。これにより、
図24(B)に示すように圧着手段32が斜め綴じ姿勢に姿勢変化し(S203)、
図24(C)に示すように規制部材91が当接部材92に当接せずに、端綴じ処理部25が規制位置Eを通過することができる(S204)。その後、ステップS205~S207、すなわち
図19(A)~(C)のように端綴じ処理部25を待機位置HPに戻すことができる。
【0165】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0166】
上記の実施形態によれば、圧着手段32が平行綴じ姿勢のままで規制位置Eを通過するのを衝突回避機構90で阻止することができる。これにより、端綴じ処理部25が待機位置HPに戻る際に、圧着手段32が斜め綴じ姿勢に姿勢変化した後に、液体付与手段31を斜め付与し姿勢に姿勢変化させることができる。その結果、液体付与手段31が圧着手段32に衝突するのを防止できる。
【0167】
また、上記の実施形態によれば、当接位置及び退避位置の間で移動可能な当接部材92をコイルバネ93で当接位置に向けて付勢すると共に、規制部材91の一方側の面をテーパ面とすることによって、簡易な構成で、平行綴じ姿勢の圧着手段32が主走査方向の一方側に移動するのを許容し、主走査方向の他方側に移動するのを阻止することができる。
【0168】
さらに、上記の実施形態によれば、
図23に示す復帰処理を実行することによって、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力と異なる力によって端綴じ処理部25が移動して現在位置を正確に把握できなった場合でも、液体付与手段31及び圧着手段32を衝突させることなく、端綴じ処理部25を待機位置HPに移動させることができる。
【0169】
なお、上述の説明において、後処理装置3の制御部100bは、
図1に示すように、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、
図34(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図34(B)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0170】
また、
図35(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3の制御部100b2のみを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図35(B)に示すように、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3の制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0171】
[後処理装置の別の実施形態]
次に、
図25~
図33を参照して、別の実施形態に係る後処理装置3Aを説明する。なお、本実施形態と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0172】
別の実施形態に係る後処理装置3Aの端綴じ処理部251は、液体付与手段31と圧着手段32が併設された本実施形態に係る後処理装置3の端綴じ処理部25とは異なり、圧着手段32´のみを備え、液体付与手段131を搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与処理後に所定枚数の用紙Pをプレスタックして、下流側に設けられた端綴じ処理部251の圧着手段32´へ搬送することができるので、圧着手段32´での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0173】
また、搬送ローラ対10、11、14が用紙Pを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0174】
また、液体付与手段31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32´が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1)を付して説明する。
【0175】
図25は、別の実施形態に係る後処理装置3Aの内部構造を示す図である。端綴じ処理部251は、
図26に示すように、圧着手段32´のみを備えている。
図26に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。
【0176】
さらに、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340及び針綴じ手段回転軸84を中心に正逆方向に回転可能に構成されている。すなわち、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、コーナー斜め綴じ、平行一箇所綴じ、平行二箇所綴じなどのように、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0177】
また、圧着手段32´は、凹凸状の上圧着歯32a及び下圧着歯32bで、用紙束Pbを加圧変形させることによって用紙束Pbを綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。一方、針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束Pbを針綴じすることができる。
【0178】
図26は、内部トレイ22を用紙束Pbの厚み方向から見た模式図である。
図27は、圧着手段32´を搬送方向の下流側から見た模式図である。
図26に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面に沿って主走査方向に移動可能に構成されている。そして圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。
【0179】
また、針綴じ処理部156についても同様に、用紙束Pbの主走査方向に移動可能に構成されている。そして、針綴じ処理部156は、用紙束Pbの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸84を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。なお、針綴じ処理部156のその他の構成は、第一実施形態に係る後処理装置3の第二綴じ処理部55(
図12参照)と同様なので詳細な説明は省略する。
【0180】
圧着手段32´は、
図27に示すように、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール337が主走査方向に延設されている。圧着手段32´は、駆動源である圧着手段移動モータ238を備えている。また、圧着フレーム32cを支持するベース部材48は、その底部にタイミングベルト240cとの締結部48bを備えている。これにより、圧着手段移動モータ238の駆動力が、プーリ240a、240bと、タイミングベルト240cと、締結部48bとを備える駆動伝達機構240によりベース部材48に伝達されることによって、圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール337)に沿って、主走査方向に移動する。さらに、圧着手段32´の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ340aを備えた圧着手段回転軸340が固定されている。
【0181】
また、圧着手段回転軸340及び駆動伝達ギヤ340aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。駆動伝達ギヤ340aは、圧着手段回動モータ239の出力ギヤ239aと噛み合っている。そして、圧着手段32´は、圧着手段回動モータ239の駆動力が、出力ギヤ239a及び駆動伝達ギヤ340aを介して圧着手段回転軸340に伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、ベース部材48上で正逆方向に回転する。ガイドレール337、圧着手段移動モータ238、圧着手段回動モータ239、圧着手段回転軸340、及び駆動伝達機構240は、圧着手段32´の駆動機構の一例を構成する。
【0182】
圧着手段32´は、
図26(A)に示す待機位置HP2と、
図26(B)及び
図26(C)に示す第一綴じ位置B1に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置HP2は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbから主走査方向の一方側に外れた位置である。第一綴じ位置B1は、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上の位置である。ただし、第一綴じ位置B1の具体的な位置は、
図26の例に限定されず、用紙Pの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0183】
また、圧着手段32´は、
図26(B)に示す平行綴じ姿勢と、
図26(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢が変化する。つまり、圧着手段32´は、圧着手段回転軸340を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。ここで、平行綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く圧着手段32´の姿勢である。また、斜め綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着手段32´の姿勢である。
【0184】
なお、斜め綴じ姿勢における回転角度(主走査方向に対する上圧着歯32a及び下圧着歯32bの角度)は、
図26(C)の例に限定されず、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに上圧着歯32a及び下圧着歯32bが対面していれば、任意の角度でよい。
【0185】
後処理装置3Aは、液体付与手段131と、パンチ孔穿設手段132(処理部)とを備える。液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、内部トレイ22より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10~19によって搬送される1枚の用紙Pに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。
【0186】
本実施形態に係る液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11の間に配置されている。ただし、液体付与手段131の配置は、
図25の例に限定されない。例えば、
図33に示すように画像形成装置2と後処理装置3Aの間にインサーター6が配置されている場合は、液体付与手段131を後処理装置3Aの上流側に位置するインサーター6内に設けることもできる。インサーター6としては、画像形成装置2から搬送された用紙Pとともに後処理装置3Aに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙又は仕切紙として、画像形成装置2を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0187】
また、搬送ローラ対11は、
図28(A)に示すように、液体付与手段131の液体付与ヘッド146により液体が付与された用紙Pの第一液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対11が用紙Pを搬送する際に、複数のローラ対が、第一液体付与位置B1を押圧することにより第一液体付与位置B1の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Pが、液体付与手段131よりも逆搬送方向の下流側に設けられた圧着手段32´に到達した時点で、第一液体付与位置B1の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で第一液体付与位置B1(第一綴じ位置B1に相当)の液量が減少することによる用紙束Pbの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0188】
更に、搬送ローラ対11を構成する複数のローラ対を、用紙Pの第一液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Pの搬送性が悪化することや、搬送性の悪化が原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。
【0189】
なお、以上では搬送ローラ対11についてのみ説明したが、搬送ローラ対14~15を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Pの第一液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0190】
液体付与手段131は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに液体を付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。パンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与手段131に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設手段132に限定されず、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pの傾き(スキュー)を補正する傾き補正部でもよい。
【0191】
図28は、別の実施形態に係る液体付与手段131を用紙Pの厚み方向から見た図である。
図29は、
図28のXXV-XXVにおける断面図である。
図30は、
図28のXXVI-XXVIにおける断面図である。
図28~
図30に示すように、液体付与手段131は、一対のガイド軸133a、133bと、一対のプーリ134a、134bと、無端環状ベルト135、136と、液体付与手段移動モータ137と、待機位置センサ138と、液体付与ユニット140とを備える。
【0192】
一対のガイド軸133a、133bは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸133a、133bは、後処理装置3Aの一対の側板4a、4bに支持されている。そして、一対のガイド軸133a、133bは、液体付与ユニット140を主走査方向に移動可能に支持する。
【0193】
一対のプーリ134a、134bは、逆搬送方向における一対のガイド軸133a、133bの間に配置されている。また、一対のプーリ134a、134bは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ134a、134bは、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能に、後処理装置3Aのフレームに支持されている。
【0194】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部135aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与手段移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与手段移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0195】
液体付与手段移動モータ137が回転することによって、プーリ134a及び駆動プーリ137aの間を無端環状ベルト136が周回し、プーリ134aを回転させる。また、プーリ134aが回転することによって、一対のプーリ134a、134bの間を無端環状ベルト135が周回する。これにより、液体付与ユニット140は、一対のガイド軸133a、133bに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与手段移動モータ137の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット140は、主走査方向に往復移動する。
【0196】
待機位置センサ138は、液体付与ユニット140が主走査方向の待機位置HP1(
図28参照)に到達したことを検知し、検知結果を示す待機位置信号を後述する制御部100b(
図31参照)に出力する。待機位置センサ138は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機位置の液体付与ユニット140は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ138は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。ただし、待機位置センサ138の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0197】
図29に示すように、後処理装置3A内の搬送路は、用紙Pの厚み方向に離間して配置された上ガイド板5a及び下ガイド板5bによって画定される。そして、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aの開口を通じて搬送路(すなわち、用紙Pに対面し得る位置)に対面して配置されている。
【0198】
図28~
図30に示すように、液体付与ユニット140は、ベース部材141と、回転ブラケット142と、貯液タンク143と、液体付与ヘッド移動手段144と、保持部材145と、液体付与ヘッド146と、柱状部材147a、147bと、押圧板148と、コイルバネ149a、149bと、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151(
図31参照)と、待機角度センサ152(
図31参照)とを備える。
【0199】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部135aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品142~152を保持している。
【0200】
回転ブラケット142は、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能にベース部材141の下面に取り付けられている。また、回転ブラケット142は、付与ヘッド回動モータ150の駆動力が伝達されることによって、ベース部材141に対して正逆方向に回転する。さらに、回転ブラケット142は、貯液タンク143、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bを保持している。
【0201】
待機角度センサ152(
図31参照)は、回転ブラケット142が待機角度に到達したことを検知し、検知結果を示す待機角度信号を制御部100bに出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ152は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット142は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ152は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。ただし、待機角度センサ152の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0202】
なお、
図28(A)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が平行綴じする際の状態を示している。また、
図28(B)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が斜め綴じ(角綴じ)する際の状態を示している。
【0203】
貯液タンク143は、用紙Pに付与するための液体を貯留する。液体付与ヘッド移動手段144は、用紙Pの厚み方向に移動(例えば昇降)可能に貯液タンク143に取り付けられている。また、液体付与ヘッド移動手段144は、付与ヘッド移動モータ151の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク143に対して移動する。保持部材145は、液体付与ヘッド移動手段144の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド146は、保持部材145から搬送路に向けて(本実施形態では、下方)に突出している。また、液体付与ヘッド146には、貯液タンク143に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド146は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0204】
柱状部材147a、147bは、液体付与ヘッド146の周囲において、保持部材145から下方に突出している。また、柱状部材147a、147bは、保持部材145に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材147a、147bは、下端で押圧板148を保持している。押圧板148には、液体付与ヘッド146に対面する位置に貫通口148aが形成されている。コイルバネ149a、149bは、保持部材145と押圧板148との間において、柱状部材147a、147bに外挿されている。そして、コイルバネ149a、149bは、柱状部材147a、147b及び押圧板148を、保持部材145から離間する方向に向かって付勢する。
【0205】
図29(A)及び
図30(A)に示すように、上ガイド板5aの開口に対面する位置に用紙Pが搬送される前の段階では、押圧板148は開口の位置又は開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対10、11によって搬送された用紙Pの第一液体付与位置B1が開口に対面する位置で停止すると、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させる。これにより、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって下降して、押圧板148が用紙Pに当接する。なお、第一液体付与位置B1とは、端綴じ処理部251(すなわち圧着手段32´)によって圧着綴じされる予定の位置(すなわち、第一綴じ位置B1)である。
【0206】
そして、押圧板148が用紙Pに当接した後も付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、コイルバネ149a、149bが圧縮されて、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、及び柱状部材147a、147bがさらに下降する。そして、
図29(B)及び
図30(B)に示すように、液体付与ヘッド146の下面が貫通口148aを通じて用紙Pに当接する。その結果、液体付与ヘッド146に含まれる液体が用紙Pに付与される。
【0207】
さらに、
図29(C)及び
図30(C)に示すように、付与ヘッド移動モータ151をさらに第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Pに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに対する液体付与ヘッド146の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0208】
一方、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向と逆向きの第二の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって上昇する。これにより、
図29(A)及び
図30(A)に示すように、液体付与ヘッド146及び押圧板148が用紙Pから離間する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに切離可能な液体付与ヘッド146を備える。
【0209】
図31は、別の実施形態に係る後処理装置3Aの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図31に示すように、後処理装置3Aは、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、I/F105とが共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0210】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3A全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0211】
後処理装置3Aは、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3Aの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3Aに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3Aの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101と、RAM102と、ROM103と、HDD104と、I/F105とは、後処理装置3Aの動作を制御する制御部100b(制御手段)を構成する。
【0212】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、圧着手段移動モータ238と、圧着手段回動モータ239と、接離モータ32dと、液体付与手段移動モータ137と、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151と、待機位置センサ138と、待機角度センサ152と、パンチ孔穿設手段132と、操作パネル110と、を共通バス109に接続するインタフェースである。
【0213】
制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、圧着手段移動モータ238と、圧着手段回動モータ239と、接離モータ32dと、液体付与手段移動モータ137と、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151と、及びパンチ孔穿設手段132の動作を制御する。また、制御部100bは、I/F105を通じて、待機位置センサ138と、待機角度センサ152の検知結果を取得する。
【0214】
なお、
図31には主に端綴じ処理を実行する端綴じ処理部251(圧着手段32´)及び液体付与手段131の構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28の構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0215】
図33に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。また、後処理装置3Aに上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0216】
図32は、別の実施形態に係る後処理装置3Aの後処理のフローチャートである。具体的には、
図32は、
図26に示す一箇所綴じ処理を実行する際のフローチャートである。
【0217】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から後処理の実行指示(以下、「後処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、
図32に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「所定枚数Np」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの部数(以下、「必要部数Mp」と表記する。)と、第一綴じ位置B1(第一液体付与位置B1に相当)と、第一綴じ位置B1の角度(第一液体付与位置B1の角度に相当)と、綴じ処理の種類(平行綴じ処理、斜め綴じ処理)と、液体付与処理と並行して実行される処理(本実施形態では、パンチ孔の穿設)とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット140は待機位置HP1(
図28参照)に位置し、回転ブラケット142は待機角度(「平行綴じ姿勢」に相当)に保持されているものとする。
【0218】
まず、制御部100bは、液体付与手段移動モータ137を駆動することによって、液体付与ユニット140(液体付与手段に相当)を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド146を待機位置HP1から第一液体付与位置B1(
図28(B)参照。
図26の第一綴じ位置B1に相当する位置)に対面し得る位置に移動させる。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150を駆動し、回転ブラケット142を回転させることで、液体付与ヘッド146を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する液体付与角度に回転させる(S2501)。液体付与ヘッド146が第一液体付与位置B1に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与手段移動モータ137及び付与ヘッド回動モータ150のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した回転ブラケット142を回転させる動作を省略する。すなわち、液体付与ユニット140は、回転ブラケット142を待機角度に保持したまま主走査方向に移動する。
【0219】
また、制御部100bは、圧着手段移動モータ238を駆動することによって、
図26(A)、
図26(B)に示すように、圧着手段32´を待機位置HP2から第一綴じ位置B1に対面し得る位置に移動させる(S2501)。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、圧着手段回動モータ239を駆動することにより、圧着手段32´を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する圧着綴じ角度に回転させる(S2501)。圧着手段32´が、第一綴じ位置B1に対面し得る位置、及び圧着綴じ角度に達したことは、圧着手段移動モータ238及び圧着手段回動モータ239のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した圧着手段32´を回転させる動作を省略する。すなわち、圧着手段32´は、待機角度を保持したまま主走査方向に移動する。
【0220】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11を駆動することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pの搬送を開始する(S2502)。そして、制御部100bは、用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ユニット140(より詳細には、液体付与ヘッド146)に対面したか否かを判定する(S2503)。用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面していないと判定した場合(S2503:No)、制御部100bは、用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面するまで(S2503:Yes)、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を継続する。一方、用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面していると判定した場合(S2503:Yes)、制御部100bは、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を停止する(S2504)。用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面したことは、搬送ローラ対10、11を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0221】
制御部100bは、液体付与ユニット140によって用紙Pの第一液体付与位置B1に液体を付与する処理を実行する(S2505)。より詳細には、制御部100bは、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pの第一液体付与位置B1に当接させる。また、制御部100bは、用紙Pに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド146の押し付け力(すなわち、付与ヘッド移動モータ151の回転量)を変更する。
【0222】
用紙Pに対する液体付与量は、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して同一でもよいし、用紙P毎に異なっていてもよい。例えば、制御部100bは、後に搬送される用紙Pほど液体付与量を減少させてもよい。また、付与ヘッド移動モータ151の回転量は、付与ヘッド移動モータ151のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0223】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙Pを内部トレイ22に載置する(S2506)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する(S2506)。
【0224】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が、後処理指示で指示された所定枚数Npに達したか否かを判定する(S2507)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Npに達していないと判定した場合(S2507:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Npに達するまで(S807:Yes)、ステップS2502~S2507の処理を繰り返し実行する。
【0225】
一方、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が前記所定枚数Npに達したと判定した場合(S807:Yes)、圧着手段32´に、液体付与ユニット140によって液体を付与された用紙Pを含む用紙束Pbの第一綴じ位置B1(用紙Pの第一液体付与位置B1に相当)を圧着綴じさせる(S2508)。さらに、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する(S2508)。
【0226】
次に、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、後処理指示で示された必要部数Mpに達したか否かを判定する(S2509)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mpに達していないと判定した場合(S2509:No)、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mpに達するまで(S2509:Yes)、ステップS2502~S2509の処理を繰り返し実行する。
【0227】
一方、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、必要部数Mpに達したと判定した場合(S2509:Yes)、液体付与手段移動モータ137を駆動して液体付与ユニット140を待機位置HP1(
図28参照)に移動させるとともに、圧着手段移動モータ238を駆動して圧着手段32´を待機位置HP2(
図26参照)に移動させる(S2510)。また、後処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150及び圧着手段回動モータ239を駆動して、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)に回転させる(S2510)。一方、後処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)へ回転させる動作は省略される。なお、ステップS2501、S2510において、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0228】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25のみならず、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28にも適用することができる。
【0229】
また、
図25に示した第二実施形態に係る後処理装置3Aの制御部100bについても、
図1と同様に、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、
図34(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図34(B)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0230】
また、
図35(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、
図35(B)と同様に、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0231】
なお、上記に説明した制御部100bによる制御方法は、既に説明のとおり、コンピュータのハードウェア資源をとコンピュータソフトウェアとしてのプログラムとの協働により実現される。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、または、記憶媒体等に書き込まれて配布、または、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0232】
そして、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0233】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
少なくとも1枚の媒体の一部に液体を付与する液体付与手段と、
前記媒体の搬送方向に直交する主走査方向に前記液体付与手段と隣接して配置され、前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に所定の処理を施す綴じ手段と、
前記媒体の表面に沿って、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向に移動させる移動手段と、
前記搬送方向及び前記主走査方向に直交する綴じ手段回動軸周りに前記綴じ手段を回転させることによって、前記綴じ手段の長手方向が前記主走査方向に対して傾斜する斜め綴じ姿勢、及び前記綴じ手段の長手方向が前記主走査方向を向く平行綴じ姿勢に切り替える綴じ手段回転手段と、
前記綴じ手段回動軸に平行な液体付与手段回動軸周りに前記液体付与手段を回転させることによって、前記液体付与手段の長手方向が前記主走査方向に対して傾斜する斜め付与姿勢、及び前記液体付与手段の長手方向が前記主走査方向を向く平行付与姿勢に切り替える液体付与手段回動機構と、を備え、
前記液体付与手段回動機構は、
前記主走査方向の一方側に移動する前記液体付与手段に姿勢切替位置で当接して、前記斜め付与姿勢から前記平行付与姿勢に切り替え、
前記主走査方向の他方側に移動する前記液体付与手段に前記姿勢切替位置で当接して、前記平行付与姿勢から前記斜め付与姿勢に切り替え、
前記液体付与手段及び前記綴じ手段が前記主走査方向の他方側に移動する際に、前記液体付与手段が前記姿勢切替位置に到達する前に前記綴じ手段が到達する規制位置において、前記斜め綴じ姿勢の前記綴じ手段を通過させ、前記平行綴じ姿勢の前記綴じ手段の通過を阻止する衝突回避機構を備えることを特徴とする媒体処理装置である。
<2>
前記衝突回避機構は、
前記綴じ手段と共に移動する規制部材と、
前記綴じ手段が前記主走査方向の他方側に移動する場合において、前記綴じ手段が前記斜め綴じ姿勢のときに前記規制部材に当接せず、前記綴じ手段が前記平行綴じ姿勢のときに前記規制部材に当接するように、前記規制位置に設けられた当接部材と、を備えることを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3>
前記当接部材は、前記綴じ手段が前記平行綴じ姿勢のときの前記規制部材の移動軌跡に重なる当接位置と、前記移動軌跡から前記搬送方向に外れた退避位置との間を、前記搬送方向に移動可能であり、
前記衝突回避機構は、前記当接部材を前記当接位置に向けて付勢する付勢部材を備え、
前記規制部材は、
前記平行綴じ姿勢の前記綴じ手段が前記主走査方向の一方側に移動する際に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記当接部材を前記当接位置から前記退避位置に移動させて、前記綴じ手段が前記規制位置を通過するのを許容し、
前記平行綴じ姿勢の前記綴じ手段が前記主走査方向の他方側に移動する際に、前記当接位置の前記当接部材に当接して、前記綴じ手段が前記規制位置を通過するのを阻止することを特徴とする前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4>
前記移動手段及び前記綴じ手段回転手段を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記移動手段の駆動力と異なる力によって前記液体付与手段及び前記綴じ手段が移動したと判定した場合に、前記規制部材が前記当接部材に当接するまで前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向の他方側に移動させ、
前記規制部材が前記当接部材に当接したことに応じて、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向の一方側に予め定められた移動量だけ移動させると共に、前記綴じ手段を前記平行綴じ姿勢から前記斜め綴じ姿勢に切り替え、
前記綴じ手段を前記斜め綴じ姿勢に切り替えたことに応じて、前記規制位置より前記主走査方向の他方側の待機位置まで、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を前記主走査方向の他方側に移動させることを特徴とする前記<2>又は前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5>
前記規制部材は、前記綴じ手段の前記搬送方向の上流側の端部に取り付けられていることを特徴とする前記<2>乃至前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<6>
前記当接部材は、前記液体付与手段及び前記綴じ手段を移動可能に支持する支持部材に取り付けられていることを特徴とする前記<2>乃至前記<5>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<7>
前記綴じ手段は、前記媒体束の一部を加圧変形させて綴じることを特徴とする前記<1>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<8>
前記綴じ手段は、前記媒体束の一部に綴じ針を貫通させて綴じることを特徴とする前記<1>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<9>
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記<1>乃至前記<8>のいずれか1つに記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0234】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
4 :開閉扉
10-19 :搬送ローラ対
20 :切替爪
21,26,30 :排出トレイ
22 :内部トレイ
23,27 :エンドフェンス
24L,24R :サイドフェンス
25,25´ :端綴じ処理部
28 :中綴じ処理部
29 :用紙折りブレード
31 :液体付与手段
31a :液体付与フレーム
32 :圧着手段
32a :上圧着歯
32b :下圧着歯
32c :圧着フレーム
32d :接離モータ
33 :下押圧板
34 :上押圧板
34a :貫通口
35 :液体付与手段移動機構
36 :液体付与機構
37 :液体付与部移動モータ
38 :台形ネジ
39 :ナット
40 :ベースプレート
40a :移動センサ
41a,41b :柱状部材
42a,42b,63 :コイルバネ
43 :第一貯液タンク
43a :液位センサ
44 :液体付与部材
44a :待機位置センサ
44b :第一エンコーダセンサ
44c :第二エンコーダセンサ
45 :液体付与部材
45a :保護部材
46 :ジョイント
47 :端綴じ処理部移動機構
48 :ベース部材
49 :案内軸
50 :端綴じ処理部移動モータ
51 :駆動力伝達機構
52 :圧着手段回動機構
53 :液体付与手段回転軸
54 :圧着手段回転軸
56 :圧着手段回動モータ
90 :衝突回避機構
91 :規制部材
92 :当接部材
93 :コイルバネ
100a,100b :制御部
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
111 :姿勢切替レバー
114 :姿勢切替爪
115 :案内レール
116 :綴じ機構ベース
117 :付勢スプリング
118 :爪ストッパ
119 :姿勢切替爪回転軸
122 :液体付与ベース部材
126 :液体付与手段回動機構
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0235】