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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137733
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B42B 5/00 20060101AFI20240927BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20240927BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B42B5/00
B65H37/04 Z
G03G15/00 431
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019709
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2023046080
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 和浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
(72)【発明者】
【氏名】玉木 幸歌
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】阿部 航大
(72)【発明者】
【氏名】山本 高志
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AB17
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】ユーザのニーズに合わせた液体供給動作を実現することによりユーザの利便性を向上できる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段において液体付与をされた媒体を含む媒体束に所定の処理を施す後処理手段と、液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯液可能な第一貯液部と、第一貯液部に供給される液体を貯液可能な第二貯液部と、第二貯液部から第一貯液部に液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、異なる種類の液体供給動作の組み合わせからなる液体供給制御パターンを保持する制御パターン保持手段と、液体供給制御パターン及び後処理手段の動作状況に基づいて、液体供給動作の実行を制御する制御手段と、を備える媒体処理装置による。
【選択図】図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯留する第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯留する第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、
異なる種類の前記液体供給動作の組み合わせからなる液体供給制御パターンを保持する制御パターン保持手段と、
前記液体供給制御パターン及び前記後処理手段の動作状況に基づいて、前記液体供給動作の実行を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記液体供給制御パターンは、常時液体付与準備完了パターン、待ち時間短縮パターン、及び節水パターンの少なくとも2つを含む、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
異なる種類の前記液体供給動作は、充填供給動作、継ぎ足し供給動作、及び所定量供給動作の少なくとも2つを含む、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記後処理手段の動作開始時において、前記液体供給手段に、前記液体供給動作の一つである充填供給動作をさせる、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記後処理手段は、前記媒体束を加圧変形させて綴じる圧着手段である、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記第一貯液部に貯留されている液体を検知する液体検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体検知手段の検知タイミングを切り替える、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、媒体処理装置の起動時における前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の開始時における前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の実行中における前記液体供給動作の種類を切り替える、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の終了時における前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の終了時における、前記第一貯液部から前記第二貯液部へ前記液体を排出する液体排出動作の実行の有無を切り替える、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記液体付与が一定期間実行されなかったときは、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に対し前記処理を施す請求項1又は2に記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯留する第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯留する第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、
異なる種類の前記液体供給動作の組み合わせからなる液体供給制御パターンを任意に選択可能とする制御パターン選択手段と、
前記制御パターン選択手段によって選択された前記液体供給制御パターン及び前記後処理手段の動作状況に基づいて、前記液体供給動作の実行を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項15】
前記制御パターン選択手段は、操作部であり、
前記制御手段は、前記操作部からの入力情報に基づいて、前記液体供給手段に、前記液体供給動作の一つである充填供給動作を実行させる、
請求項14に記載の媒体処理装置。
【請求項16】
前記液体付与を伴う前記処理の情報を蓄積する情報蓄積手段を備え、
前記制御パターン選択手段は、前記処理の情報に応じて前記液体供給制御パターンを選択する、
請求項14に記載の媒体処理装置。
【請求項17】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯留する第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯留する第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、を備えた媒体処理装置と、
異なる種類の前記液体供給動作の組み合わせからなる液体供給制御パターンを保持する制御パターン保持手段と、
前記液体供給制御パターン及び前記後処理手段の動作状況に基づいて、前記液体供給動作の実行を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体を積み重ねたシート束を綴る媒体処理装置が知られている。当該媒体装置に適用される綴じ処理として、シート束に貫通させる針状の部材(綴じ部材)を用いて綴る「針綴じ処理」や、シート束の一部を加圧変形させて綴る「圧着綴じ処理」などが知られている。
【0003】
加水後に圧着綴じを行う綴じユニットを取り扱いしやすくすることを目的とし、加水のための水たまり部及び水たまり部に補水する補水ポンプ部が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、加水のための水たまり部(貯液部)を備え、加水後の媒体に圧着綴じを行う構成は開示されているが、貯液部への液体を供給する動作の制御方法に関する開示はない。すなわち、特許文献1に開示されている従来技術を適用した加水圧着綴じ機構では、貯液部の状態に応じて、貯液部への液体を供給する動作を制御する給液制御を実施することができず、ユーザのニーズに合わせた液体供給動作を実現するが困難となりユーザの利便性が低下するという課題がある。
【0005】
本発明は、ユーザのニーズに合わせた液体供給動作を実現することによりユーザの利便性向上を図ることができる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体処理装置に関し、少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、前記液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯留する第一貯液部と、前記第一貯液部に供給される前記液体を貯留する第二貯液部と、前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、前記第一貯液部に貯留されている前記液体の液位を検知する液体検知手段と、前記液体供給動作を既定する液体供給モードの組み合わせからなる液体供給制御パターンを任意に選択可能とする制御パターン選択手段と、前記制御パターン選択手段において選択された前記液体供給制御パターン及び前記後処理手段の動作状況に基づいて、前記液体供給モードに対応する前記液体供給動作の実行を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザのニーズに合わせた液体供給動作を実現することによりユーザの利便性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成システムの全体構成を示す図。
図2】第一実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
図3】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
図4】端綴じ処理部を主走査方向の液体付与手段側から見た模式図。
図5】端綴じ処理部の圧着手段の構成を示す模式図。
図6】針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
図7】針綴じ処理部の変形例を搬送方向の上流側から見た模式図。
図8】第一実施形態に係る後処理装置を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
図9】端綴じ処理部による綴じ処理のフローチャート。
図10】端綴じ処理部による綴じ処理中における液体付与手段及び圧着手段の位置を示す図。
図11】後処理装置における第二貯液タンクの配置及び構成を示す図。
図12】後処理装置における第二貯液タンクの着脱構成を示す図。
図13】本実施形態に係る液体供給判定処理のフローチャート。
図14】本実施形態に係る給排液モードを説明する図。
図15】本実施形態に係る第一貯液タンクへの液体補充の様子を例示する図。
図16】本実施形態に係る液体供給判定処理のフローチャート。
図17】本実施形態に係る第一貯液タンクへの液体補充の様子を例示する図。
図18】本実施形態に係る液体供給判定処理のフローチャート。
図19】本実施形態に係る液体供給判定処理のフローチャート。
図20】本実施形態に係る液体供給判定処理のフローチャート。
図21】本実施形態に係る液体供給判定処理のフローチャート。
図22】本実施形態に係る給排液モードの選択入力画面の例を示す図。
図23】本実施形態に係る液体供給制御パターンの設定画面の例を示す図。
図24】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図25】本実施形態に係る液体供給制御パターンの概略を説明する図。
図26】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図27】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図28】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図29】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図30】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図31】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図32】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図33】本実施形態に係る液体供給制御パターン設定処理のフローチャート。
図34】端綴じ処理部の他の実施形態を示す図。
図35】液体付与手段回動機構の構成を示す図。
図36】液体付与手段回動機構の構成を示す図。
図37】姿勢切替爪の構成を示す図。
図38】姿勢切替爪による姿勢切替レバーの切替動作説明図。
図39】圧着手段及び液体付与手段を「斜め綴じ姿勢」に変更する際の動作説明図。
図40】圧着手段及び液体付与手段を「平行綴じ姿勢」に変更する際の動作説明図。
図41】圧着手段及び液体付与手段による平行綴じの動作説明図。
図42】第二実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
図43】第二実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
図44】第二実施形態に係る圧着手段を搬送方向の下流側から見た模式図。
図45】第二実施形態に係る液体付与手段を用紙の厚み方向から見た図。
図46図44のXXV-XXVにおける断面図。
図47図44のXXVI-XXVIにおける断面図。
図48】第二実施形態に係る後処理装置の制御ブロックのハードウェア構成図。
図49】第二実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
図50】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
図51】後処理装置の制御部の変形例1を示す図。
図52】後処理装置の制御部の変形例2を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[画像形成システム1の実施形態]
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、シート状の媒体の一種としての用紙Pに画像を形成する画像形成機能、画像が形成された用紙Pに対して所定の後処理を施す後処理機能、などを有する。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成機能を有する画像形成装置2と、本発明に係る後処理機能を有する媒体処理装置としての後処理装置3と、を連携して動作するように構成されている。
【0010】
なお、本実施形態では、画像形成システム1において処理の対象とするシート状の媒体 として「紙」を前提にする説明をしている。しかし、本実施形態に係る処理の対象は、紙に限定されるものではない。例えば、従来から知られている画像形成プロセスを利用して画像形成が可能な媒体であれば、その種類などは問わない。また、折り処理や綴じ処理の対象物となりうる媒体も、これに含むものとし、素材や仕様などを限定するものではない。
【0011】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容される収容トレイ211と、収容トレイ211に収容された用紙Pを搬送する搬送部212と、搬送部212によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部213とを備える。画像形成部213は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。また、搬送部212、及び画像形成部213の各種動作を制御する制御部100aを備える。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明を省略する。
【0012】
なお、シート状の媒体の例として紙が広く知られている。そこで本明細書では、処理対象としてのシート状の媒体に関する記載をするときは「用紙P」を用いることとする。また、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にして構成される「用紙束Pb」を例に用いることとする。
【0013】
[後処理装置3の第一実施形態]
図2は、第一実施形態に係る後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに所定の後処理を施す機能を備える。本実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。また、本実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。以下、用紙Pの束を媒体束としての「用紙束Pb」と表記する。
【0014】
なお、本実施形態においては、圧着綴じ処理を行う場合の液体付与処理に関する説明を主に行う。しかし、針綴じ処理に関連して行う液体付与処理も同様のものである。また、以下の説明において「綴じ処理」と表記する場合は、前記「圧着綴じ処理」及び前記「針綴じ処理」の両方を含むものを意味し、綴じを行う方法(綴じ針を用いるのか、加圧変形なのか)に限定しないものとする。
【0015】
なお、本実施形態に係る「圧着綴じ処理」とは、より詳細には、用紙束Pbの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて、当該綴じ位置を変形させて(加圧変形させて)綴じる処理であって、「圧着綴じ」と称される処理である。なお、後処理装置3において実行可能な綴じ処理は、用紙束Pbの端部を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央部を綴じる中綴じ処理を含むものとする。
【0016】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)及び切替爪20などと、制御部100b(制御手段)を備える。制御部100bは、搬送ローラ対10~19(搬送部)及び切替爪20などの動作を制御する。なお、制御部100bの詳細については、後述する。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対10及び11により搬送される用紙Pにパンチ処理を行うパンチ孔穿設手段132が、搬送ローラ対10と11の間に配置されている。
【0017】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を経由して排出トレイ26に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ30に至る経路である。
【0018】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、図2において黒塗り三角形(▲)で示している。
【0019】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pは、排出トレイ21に載置される。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0020】
また、後処理装置3は、載置トレイとしての内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部155と、排出トレイ26とを備える。内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部155は、第二搬送路Ph2を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに端綴じ処理を施す。排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0021】
ここでいう「端綴じ処理」とは、用紙束Pbの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」、用紙束Pbの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Pbの搬送方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。
【0022】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かって用紙Pが搬送される方向を、「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置2から排出された用紙Pが、搬送ローラ対10等により、排出トレイ26の方向に移動した後に、搬送ローラ対15によって方向を転換して、それまでとは異なる方向である、エンドフェンス23に向かう方向に相当する。また、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0023】
第二搬送路Ph2を経由して順番に搬送される複数の用紙Pは、載置トレイとしての内部トレイ22に一時的に載置される。エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbに対して端綴じ処理を実行する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。
【0024】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、排出トレイ30とをさらに備える。エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第三搬送路Ph3を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに中綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0025】
エンドフェンス27は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0026】
また、後処理装置3は、端綴じ処理部25に、液体付与部材501(液体付与手段の一部)と、液体供給部材50(液体付与手段の一部)と、第一貯液タンク44(第一貯液部)を備える。なお、第一貯液タンク44及び液体供給部材50は、図2においては図示を省略している。そして、後処理装置3は、第一貯液タンク44に対して液体を補充するための構成として、液体供給経路45(液体供給手段の一部)と、液体供給ポンプ46(液体供給手段の一部)、第二貯液タンク47(第二貯液部の一部)、及び第二貯液タンク固定部61(第二貯液部の一部)を備えている。第二貯液タンク47に貯留されている液体は、第二貯液タンク固定部61、液体供給ポンプ46、及び液体供給経路45を介して第一貯液タンク44へと供給される。
【0027】
[端綴じ処理部25の説明]
図3は、図2に示した液体付与処理と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部25を、搬送方向の上流側から見た模式図である。図4は、端綴じ処理部25を主走査方向の液体付与手段31側から見た模式図である。図3に示すように、端綴じ処理部25は、液体付与処理を実行する液体付与手段31と、後処理手段の一例であって圧着綴じ処理部としての圧着手段32とを備える。液体付与手段31及び圧着手段32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0028】
図4に示すように、液体付与手段31は、第一貯液タンク44に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。以下、液体付与手段31が用紙P又は用紙束Pbに対して液体を付与すること、及び当該液体付与する際の液体付与手段31の動作を、「液体付与」と表記する。また、制御処理を伴う液体付与手段31の液体付与動作を「液体付与処理」と表記する。
【0029】
ここで、液体付与するために、第一貯液タンク44に貯留される液体とは、さらに詳しくは、化学式「HO」で表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていてもよい。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0030】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いてもよい。
【0031】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、綴じ処理後の綴じ強度を高める作用を発揮させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。また、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0032】
図3及び図4に示すように、液体付与手段31は、端綴じ処理部移動モータ55の駆動力が伝達されることによって、圧着手段32と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与手段31は、用紙P又は用紙束Pbの載置台としての下押圧板33と、上押圧板34と、液体付与手段移動機構35を備える。液体付与手段31の構成部品(下押圧板33、上押圧板34、液体付与手段移動機構35)は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。
【0033】
また、液体付与手段31の構成品を保持する液体付与フレーム31aは、その底面に駆動伝達ギヤ562aを備えた液体付与手段回転軸562が固定されている。液体付与手段回転軸562及び駆動伝達ギヤ562aは、液体付与フレーム31aが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ562aは、液体付与手段回動モータ563の出力ギヤ563aに噛み合っている。そして、液体付与手段31は、液体付与手段回動モータ563の駆動力が、出力ギヤ563a及び駆動伝達ギヤ562aを介して液体付与手段回転軸562に伝達されることによって、ベース部材48上において、液体付与手段回転軸562を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0034】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbは、下押圧板33にも載置される。下押圧板33は、下押圧板保持体331上に設けられている。上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbと対面する位置において、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動可能に構成されている。
【0035】
すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを挟んで、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に取り付けられた保持部37を介して保持される液体付与部材501に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。なお、液体付与部材501は、後述する液体供給部材50(吸液体)の一方の端部であって、先端部分に相当する。
【0036】
液体付与手段移動機構35は、上押圧板34と、ベースプレート40と、保持部37と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、第一貯液タンク44とを用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与手段移動機構35は、単一の液体付与部移動モータ42によって、上押圧板34と、ベースプレート40と、保持部37と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、第一貯液タンク44とを連動して移動させる。液体付与手段移動機構35は、例えば、液体付与部移動モータ42と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを備える。
【0037】
液体付与部移動モータ42は、上押圧板34と、ベースプレート40と、保持部37と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、第一貯液タンク44とを移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されると共に、液体付与フレーム31aに正逆方向に回転可能に設けられている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ42の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ42の駆動力が伝達されて台形ネジ38が正逆方向に回転することによってナット39が台形ネジ38上を往復移動する。
【0038】
ベースプレート40は、上押圧板34に対して離間した位置に配置されている。また、ベースプレート40は、液体付与部材501の先端部分をベースプレート40から上押圧板34に向けて突出させた状態で、液体付与部材501を保持している。さらに、ベースプレート40は、ナット39を介して台形ネジ38に接続されており、台形ネジ38が正逆方向に回転することによって台形ネジ38に沿って往復移動可能に構成されている。そして、ベースプレート40の上下方向の位置は、移動センサ40a(図8参照)によって検知される。
【0039】
柱状部材41a、41bは、液体付与部材501の先端部分の周囲において、ベースプレート40から上押圧板34に向かって突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下押圧板33側の先端部で上押圧板34を保持している。また、柱状部材41a、41bの下押圧板33と反対側の先端部には、柱状部材41a、41bがベースプレート40から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下押圧板33側に向かって付勢する。
【0040】
液体付与手段31は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに液体付与する。より詳細には、液体付与手段31は、液体付与部材501を用紙P又は用紙束Pbに接触させることによって、用紙束Pbを構成する少なくとも一枚の用紙Pに液体付与する。
【0041】
液体付与手段31は、第一液位センサ43(液体検知手段)と、第一貯液タンク44と、液体付与部材501と、液体供給部材50と、保持部37とを備える。第一貯液タンク44は、用紙P又は用紙束Pbに液体付与するための液体を貯留する。第一貯液タンク44に貯留された液体は、第一液位センサ43によって検知される。また、第一貯液タンク44は、保持部37を介してベースプレート40に連結されている。
【0042】
液体付与部材501と、液体付与部材501に密着するよう設置された液体供給部材50(吸液体)、及び第一貯液タンク44は、共に保持部37に保持されている。また、保持部37は、ベースプレート40に保持されている。液体供給部材50は、一方の端部が液体付与部材501に密着し、他方の端部が第一貯液タンク44に貯留された液体に浸っている。すなわち、液体供給部材50の他方の端部は、液体を吸い上げて液体付与部材501へと供給する浸液部502に相当する。液体付与部材501及び液体供給部材50は、例えば連続気泡で形成された弾性樹脂のように、吸液率の高い材料(例えば、スポンジや繊維など)で構成されている。ただし、液体付与部材501及び/又は液体供給部材50は、液体を吸い上げて保つことができる性質を有する素材であって、用紙Pに接触した状態で加えられる押圧力に応じて潰れる性質を備えるものであれば、その種類は問わない。つまり、毛細管現象により液体を吸い上げることができる素材で構成されていればよい。
【0043】
したがって、液体供給部材50の他方の端部(浸液部502)が、第一貯液タンク44に貯留されている液体に浸ると、液体供給部材50は、毛細管現象により液体を吸い上げる状態になる。すなわち、第一貯液タンク44に貯留された液体は、液体供給部材50の浸液部502から吸い上げられ、その吸い上げられた液体が液体供給部材50を通じて先端に接続されている液体付与部材501へと供給されるように構成されている。そして、第一貯液タンク44に貯留されている液体が、液体供給部材50の一方の端部に密着している液体付与部材501へと吸い上げられたことで、第一液位センサ43によって検知される第一貯液タンク44に貯留されている液体の液位(貯液量)が低下する。その結果、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給が行われる。
【0044】
なお、上記において液体供給部材50と液体付与部材501が別体である場合について説明したが、液体供給部材50と液体付与部材501は、同様の性質をもった材料(例えば、吸液率の高い材料)により一体的に構成されていてもよい。つまり、液体付与部材501が液体供給部材50の一部となるように構成することもできる。その場合は、毛細管現象による液体供給部材50からの液体付与部材501への液体の供給をよりスムーズに行うことが可能になるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0045】
そして、液体付与部材501が第一貯液タンク44の液体を吸い上げることで、一時的に、第一貯液タンク44における液位が後述する基準液位を下回り、これをトリガーとして第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体が送られる一連の液体供給動作が実行される。そして、この液体供給動作は、主に、後処理装置3の起動時や、後処理装置3において液体付与を伴う綴じ処理の実行開始時に行うものであり、液体付与部材501を用いた液体付与を実行可能な状態にするための液体供給動作に相当する。以下において、当該液体供給動作を「充填供給動作」と表記する。なお、充填供給動作の詳細については後述する。
【0046】
また、端綴じ処理部25には、第二貯液タンク47が設けられている。第二貯液タンク47は、端綴じ処理部25又は後処理装置3に対して着脱自在に構成されている(図12参照)。第二貯液タンク47は、第二貯液タンク固定部61(第二貯液部の一部)に所定の姿勢で固定(セット)することで、貯留されている液体を第一貯液タンク44へ供給することができるように構成されている。
【0047】
液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ液体を供給する動作は、主に、第一貯液タンク44における貯液量(液位)が後述する基準液位を低下したことをトリガーとして実行される。第一貯液タンク44の貯液量(液位)は、液体付与手段31による液体付与によって液体が消費されることで低下する。すなわち、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ液体を供給する動作は、液体付与手段31による液体付与を含む処理の実行に伴って必要となる液体供給動作に相当する。
【0048】
この液体供給動作は、第一貯液タンク44の貯液量(液位)が、後述する基準液位を下回る都度において、第一貯液タンク44に液体を継ぎ足すように供給する動作に相当する。以下において、当該液体供給動作を「継ぎ足し供給動作」と表記する。なお、継ぎ足し供給動作の詳細については後述する。
【0049】
第二貯液タンク47を第二貯液タンク固定部61にセットすると、第二貯液タンク47の液体が第二貯液タンク固定部61に一定量充填される。第二貯液タンク固定部61にはセット検知センサ51(セット検知手段)が設けられている(図12参照)。このセット検知センサ51が、第二貯液タンク47の第二貯液タンク固定部61へのセット状態(図12(C)参照)を検知すると、それを知らせる信号が後述する制御部100bに通知される。これによって、後述する制御部100bは、第二貯液タンク47が第二貯液タンク固定部61にセットされているか否かを検知できるように構成されている。なお、第二貯液タンク47の構成の詳細は後述する。
【0050】
第一貯液タンク44と第二貯液タンク47は、液体供給経路45によって接続されている。第二貯液タンク固定部61の近傍には、液体供給ポンプ46が設けられている。この液体供給ポンプ46が動作することで、第二貯液タンク47に貯留されている液体が、液体供給経路45を介して第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ供給(補給)される。したがって、第二貯液タンク固定部61は、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44に液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段の構成品である。また、液体供給経路45は、可撓性を有する材料で形成されている。これにより、液体付与手段移動機構35により第一貯液タンク44が移動しても確実に第二貯液タンク47から第一貯液タンク44に液体を供給することができる。
【0051】
第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給量は、第一液位センサ43の検知結果に応じて制御することができる。すなわち、後述する制御部100bは、第一液位センサ43の検知結果に基づいて、第一貯液タンク44の貯液量(液位)を判定する。そして、後述する制御部100bは、判定された第一貯液タンク44の貯液量(液位)に応じて、液体供給ポンプ46の動作速度や動作時間を制御することで、第一貯液タンク44に補充される液体の量を調整し、第一貯液タンク44における貯液量(液位)を一定に保つように制御することができる。
【0052】
[圧着手段32の構成]
後処理手段としての圧着手段32は、凹凸状の上圧着歯32a及び下圧着歯32bで用紙束Pbの一部分に圧力を加えることで変形させ、この一部分の用紙P同士を圧着させることで、用紙束Pbを綴じる。すなわち、圧着手段32は、綴じ針を用いずに、用紙束Pbを綴じることができる。圧着手段32の構成部品(上圧着歯32a、下圧着歯32b)は、圧着フレーム32cに設けられている。以下、圧着手段32によって用紙束Pbの所定の位置を加圧変形させて綴じることを単に「圧着綴じ」と表記する。また、制御処理を伴う圧着手段32の圧着綴じ動作を「圧着綴じ処理」と表記する。
【0053】
図5は、圧着手段32の構成を示す模式図である。図5に示すように、圧着手段32は、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを備える。上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、内部トレイ22に載置された用紙束Pbを挟んで、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。上圧着歯32a及び下圧着歯32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32d(図8参照)の駆動力によって接離する。
【0054】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、図5(A)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、図5(B)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32dの駆動力によって噛み合うことで用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に支持された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、排出トレイ26に排出される。
【0055】
なお、圧着手段32の構成としては、圧着機構を構成する上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合えばよいので、本実施形態で例示したような動作機構の構造に限定されない。例えば、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構(例えば、特許6057167号に開示されているもの)であってもよい。また、駆動源の正逆方向の回転運動を直線的な往復運動に変換するネジ機構により、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0056】
また、図3に示すように、端綴じ処理部25は、端綴じ処理部移動機構57を備える。端綴じ処理部移動機構57は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部25(すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32)を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構57は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、端綴じ処理部移動モータ55と、端綴じ処理部移動モータ55の駆動力をベース部材48に伝達する駆動力伝達機構551と、待機位置センサ 540(図8参照)を備える。
【0057】
液体付与手段31及び圧着手段32は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材48に取り付けられている。案内軸49は、図4に示すように、綴じ機構ベース116における搬送方向の上流側において、主走査方向に設けられ複数の案内軸ブラケット49aにより保持されている。また、案内軸49は、図3に示すように、綴じ機構ベース116上において主走査方向に延設されている。また、案内レール115は、綴じ機構ベース116における搬送方向の下流側において主走査方向に亘って設けられている。案内レール115は、図4に示すように、ベース部材48の嵌合部48aと主走査方向に亘って嵌合する被嵌合部115aを備えている。つまり、ベース部材48は、案内軸49及び案内レール115によって、綴じ機構ベース116上において主走査方向に移動可能に保持される。
【0058】
端綴じ処理部移動モータ55は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構551は、端綴じ処理部移動モータ55の駆動力を、プーリ551a、551bと、タイミングベルト551cと、ベース部材48とタイミングベルト551cを締結する締結部48bと、を介してベース部材48に伝達する。これにより、ベース部材48によって一体化された液体付与手段31及び圧着手段32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。
【0059】
本実施形態に係る端綴じ処理部移動モータ55は、例えば、移動の度に原点位置(例えば、後述する待機位置HP)に端綴じ処理部25を戻さなくても、端綴じ処理部25を目標位置(後述する第一綴じ位置B1、第二綴じ位置B2)に停止させることができるサーボモータである。
【0060】
また、後処理装置3は、端綴じ処理部25が待機位置HP(図10(A)参照)に到達したことを検知する待機位置センサ540(例えば、遮光型の光学センサである。図8参照。)と、端綴じ処理部移動モータ55の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサ541(図8参照)とを備えている。そして、後述する制御部100bは、待機位置センサ540の検知結果に基づいて、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達したことを検知する。また、後述する制御部100bは、エンコーダセンサ541から出力されるパルス信号をカウントすることによって、待機位置HPから移動した端綴じ処理部25の現在位置を把握する。
【0061】
但し、端綴じ処理部25を待機位置HPに戻さずに目標位置に停止させる具体的な方法は、前述の例に限定されない。他の例として、後処理装置3は、予め定められた目標位置に端綴じ処理部25が到達したことを検知するセンサを備えてもよい。
【0062】
図3に示すように、また、圧着手段32の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ54aを備えた圧着手段回転軸54が固定されている。圧着手段回転軸54及び駆動伝達ギヤ54aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ54aは、圧着手段回動モータ56の出力ギヤ56aに噛み合っている。そして、圧着手段32は、圧着手段回動モータ56の駆動力が、出力ギヤ56a及び駆動伝達ギヤ54aを介して圧着手段回転軸54に伝達されることによって、ベース部材48上において、圧着手段回転軸54を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0063】
なお、端綴じ処理部25は、圧着手段32と液体付与手段31が一体的に構成された状態で案内軸49に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、圧着手段32と液体付与手段31が、それぞれ別個独立に移動する構成であってもよい。
【0064】
[針綴じ処理部155の説明]
次に、針綴じ処理を実行する機能を備える針綴じ処理部155の詳細について説明する。図6は、針綴じ処理部155を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部155は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる針綴じ手段62を備える。針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部25に対して主走査方向に離間して配置されている。
【0065】
後処理手段としての針綴じ手段62は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる、いわゆる「針綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ手段62は、針綴じ部62aを駆動する針綴じ部駆動モータ62d(図8参照)を備えている。そして、針綴じ部62aは、針綴じ部駆動モータ62dの駆動力により針綴じ部62aに装填された綴じ針を、用紙束Pbに貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。針綴じ手段62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0066】
また、図6に示すように、針綴じ処理部155は、針綴じ処理部移動機構77を備える。針綴じ処理部移動機構77は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に沿って、針綴じ処理部155を主走査方向に移動させる。針綴じ処理部移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、針綴じ処理部移動モータ80と、駆動力伝達機構81とを備える。駆動力伝達機構81は、針綴じ処理部移動モータ80の駆動力を、プーリ81a、81bと、タイミングベルト81cと、ベース部材78とタイミングベルト81cを締結する締結部78aと、を介してベース部材78に伝達する。さらに、針綴じ手段62の構成品を保持する針綴じフレーム62bは、その底面に駆動伝達ギヤ83aを備えた針綴じ手段回転軸83が固定されている。
【0067】
針綴じ手段回転軸83及び駆動伝達ギヤ83aは、針綴じフレーム62bが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ83aは、針綴じ手段回動モータ82の出力ギヤ82aと噛み合っている。そして、針綴じ手段62は、針綴じ手段回動モータ82の駆動力が、出力ギヤ82a及び駆動伝達ギヤ83aを介して針綴じ手段回転軸83に伝達されることによって、ベース部材78上において、針綴じ手段回転軸83を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0068】
なお、端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、共通の案内軸49に支持されている。すなわち、端綴じ処理部移動機構57及び針綴じ処理部移動機構77は、共通の案内軸49に沿って端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155を主走査方向に移動させる。さらに、端綴じ処理部移動機構57及び針綴じ処理部移動機構77は、端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155を独立して移動することができる。
【0069】
図7は、針綴じ処理部155の変形例としての針綴じ処理部155´を示したものであり、針綴じ処理部155´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62だけではなく、第二液体付与手段612を備えている点で針綴じ処理部155と相違する。図7に示すように、針綴じ処理部155´は、第二液体付与手段612と、針綴じ手段62とを主に備える。第二液体付与手段612及び針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0070】
第二液体付与手段612は、第三貯液タンク73に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する液体付与を実行する。第二液体付与手段612によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置を含む所定の領域は、針綴じ手段62が針綴じを行なう予定である綴じ位置に相当する。図7に示すように、第二液体付与手段612は、第二下押圧板63と、第二上押圧板64と、第二液体付与部移動機構65と、第二液体付与機構66とを備える。第二液体付与部移動機構65は、例えば、第二液体付与部移動モータ67と、第二台形ネジ68と、第二ナット69と、第二ベースプレート70と、第二柱状部材711a、711bと、第二コイルバネ721a、721bとを主に備える。
【0071】
第二液体付与機構66は、第三貯液タンク73と、第二液体供給部材75と、第二液体付与部材74と、第二ジョイント76とを備える。第二液体付与機構66の構成は、図3及び図4で説明した液体付与手段31の液体付与機構(第一貯液タンク44、液体供給部材50、液体付与部材501、保持部37)と共通するので、再度の説明は省略する。また、針綴じ手段62の構成は、図6と同様なので詳細な説明は省略する。また、第二液体付与手段612の回動機構(液体付与手段回動モータ563、出力ギヤ563a、駆動伝達ギヤ562a、液体付与手段回転軸562)は、図3に示した液体付与手段31の回動機構と共通するので再度の説明は省略する。
【0072】
図7で示した針綴じ処理部155´のように、針綴じ処理においても、用紙Pに液体付与を行うことで、綴じ位置をほぐして柔らかくし、綴じ針を貫通しやすくすることができる。これによって、液体付与をせずに針綴じ処理を施す場合と比較すると、用紙束Pbの一束当たりの綴じ枚数を増やすことができる。
【0073】
[後処理装置3の制御ブロック]
次に、後処理装置3の制御ブロック構成について、図8を用いて説明する。図8は、後処理装置3における制御処理を実行するためのハードウェア構成図である。図8に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、I/F105とが共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0074】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0075】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101と、RAM102と、ROM103と、HDD104と、I/F105とは、後処理装置3の動作を制御する制御部100b(制御手段)を構成する。
【0076】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、接離モータ32dと、圧着手段回動モータ56と、液体付与部移動モータ42と、液体付与手段回動モータ563と、端綴じ処理部移動モータ55と、針綴じ部駆動モータ62dと、針綴じ手段回動モータ82と、針綴じ処理部移動モータ80と、液体供給ポンプ46と、移動センサ40aと、第一液位センサ43と、第二液位センサ94と、セット検知センサ51と、待機位置センサ540と、エンコーダセンサ541と、操作パネル110と、を共通バス109に接続するインタフェースである。
【0077】
制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、接離モータ32dと、圧着手段回動モータ56と、液体付与部移動モータ42と、液体付与手段回動モータ563と、端綴じ処理部移動モータ55と、針綴じ部駆動モータ62dと、針綴じ手段回動モータ82と、針綴じ処理部移動モータ80と、液体供給ポンプ46の動作を制御する。また、制御部100bは、移動センサ40aと、第一液位センサ43と、第二液位センサ94と、セット検知センサ51と、待機位置センサ540と、エンコーダセンサ541の検知結果を取得する。なお、図8には端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155に関する構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28に関する構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0078】
図1に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。また、後処理装置3に上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0079】
以上説明をしたとおり、後処理装置3は、制御部100bが備えるハードウェア資源を用いて、CPU101が実行するソフトウェア(制御プログラム)によって、液体付与に関連する動作制御を行う機能を実現する。
【0080】
なお、後処理装置3が実行する液体付与は、針綴じ処理部155には針綴じ手段62のみを備える形態とし、液体付与は端綴じ処理部25が備える液体付与手段31を利用する形態でもよい。また、逆に、端綴じ処理部25には圧着手段32のみを備える形態とし、液体付与は第二液体付与手段612を利用する形態でもよい。すなわち、綴じ処理の種類に関わらず、液体付与手段31、あるいは第二液体付与手段612どちらか一方のみが液体付与を行うように構成されていてもよい。
【0081】
また、針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62と第二液体付与手段612が一体的に構成された状態で案内軸49に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、針綴じ手段62と第二液体付与手段612が、それぞれ別個独立に移動する構成でもよい。
【0082】
[綴じ処理の説明]
次に、後処理装置3が備える端綴じ処理部25において実行される綴じ処理の流れについて説明する。図9は、一箇所綴じ処理を実行する際のフローチャートである。図10は、一箇所綴じ処理の実行中における端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)の位置の遷移を示す図である。なお、図10では、液体付与手段31及び圧着手段32の姿勢の変化については図示を省略している。また、液体付与手段31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1、B2)を付して説明する。
【0083】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ処理指示」と表記する。)を取得したタイミングで、図9に示す綴じ処理を開始する。
【0084】
綴じ処理指示は、例えば、用紙Pの種類(素材や厚みなど液体の広がりに影響を与える情報)と、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの部数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、用紙束Pbの綴じ位置と、端綴じ処理部25の綴じ姿勢とを含む。また、液体付与手段31及び圧着手段32は、図10(A)に示すように、綴じ処理の開始時点において、平行綴じ姿勢で、かつ内部トレイ22に載置された用紙Pから幅方向に外れた位置である待機位置HPに位置しているものとする。
【0085】
まず、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合は、制御部100bは、液体付与手段回動モータ563及び圧着手段回動モータ56を駆動して、端綴じ処理部25を構成する液体付与手段31及び圧着手段32を斜め綴じ姿勢に回動させる(S901)。なお、「斜め綴じ姿勢」である場合には、圧着手段32のみを斜め綴じ姿勢に回動させ、液体付与手段31は回動させないようにしてもよい。これにより、液体付与手段31及び圧着手段32を共に正逆方向に回動させる場合に比べて駆動機構を簡素化することができるので、コストダウン、装置の小型化、及び機器の故障の低減という効果を奏する。
【0086】
一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、制御部100bは、上述した端綴じ処理部25を構成する液体付与手段31及び圧着手段32を斜め綴じ姿勢に回動させる動作を省略する。
【0087】
制御部100bは、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、綴じ処理指示で指示された第一液体付与位置B1に液体付与手段31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S901)。なお、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、ステップS901の処理を実行する。
【0088】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S902)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する(S902)。
【0089】
次に、制御部100bは、直前のステップS702で内部トレイ22に載置された用紙Pの第一液体付与位置B1に対して、事前に調整された液体付与制御データに基づいて、第一液体付与位置B1に対面する液体付与手段31に液体付与を実行させる(S903)。すなわち、制御部100bは、液体付与部移動モータ42を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの第一液体付与位置B1に液体付与部材501を接触させる(図10(B)参照)。ステップS903における液体付与処理において、制御部100bは、綴じ処理指示に含まれる用紙Pの種類や、綴じ位置に応じて、液体付与部材501が用紙Pに対して液体を付与する位置を調整する。また、制御部100bは、液体付与部材501を用紙Pに押圧する量を調整する。すなわち、制御部100bは、調整された制御データに基づいて、液体付与部移動モータ42の駆動を制御して、内部トレイ22に載置された用紙Pの第一液体付与位置B1に対する液体付与部材501の移動量を調整する。
【0090】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S904)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達していないと判定した場合に(S904:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達するまで(S904:Yes)、ステップS902~S904の処理を繰り返し実行する。すなわち、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、ステップS902~S904の処理を実行する。なお、液体付与手段31による液体付与は、用紙束Pbを構成する複数の用紙Pの全てに対して行われる場合だけではなく、一部の用紙Pのみに対して行われてもよい。
【0091】
そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Nに達したと判定した場合に(S904:Yes)、図10(C)に示すように、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、圧着手段32が第一綴じ位置B1に対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S905)。
【0092】
次に、制御部100bは、圧着手段32に、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに対して圧着綴じを実行させる(S906)。そして、制御部100bは、搬送ローラ対15に、圧着手段32により圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出させる(S907)。すなわち、制御部100bは、接離モータ32dを駆動して、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第一綴じ位置B1を、上圧着歯32a及び下圧着歯32bに挟持させる。これにより、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの間で用紙束Pbを加圧変形させ圧着綴じを行う。その後、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。
【0093】
なお、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上において、ステップS906で上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域(第一綴じ位置B1に相当)は、ステップS903で液体付与部材501の先端部が接触した液体付与領域(第一液体付与位置B1に相当)に重なる。換言すれば、圧着手段32は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbにおいて、液体付与手段31によって液体が付与された領域を圧着綴じする。なお、上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する圧着領域は、液体付与部材501の先端部が接触した液体付与領域に完全に重なっている必要はなく、部分的に重なっている場合でも十分な綴じ強度を得ることができる。
【0094】
次に、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、綴じ処理指示で示された必要部数Mに達したか否かを判定する(S908)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mに達していないと判定した場合(S908:No)、ステップS902以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mに達するまで(S908:Yes)、ステップS902~S908の処理を繰り返し実行する。
【0095】
一方、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、必要部数Mに達したと判定した場合(S908:Yes)、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、図10(A)に示すように端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)を待機位置HPに移動させる(S909)。また、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部100bは、液体付与手段回動モータ563及び圧着手段回動モータ56を駆動して、液体付与手段31及び圧着手段32を平行綴じ姿勢に回転させる(S909)。一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与手段31及び圧着手段32を平行綴じ姿勢へ回転させる動作は省略される。これにより、端綴じ処理部25(液体付与手段31及び圧着手段32)が図10(A)の待機位置HPに戻る。なお、ステップS901、S909において、液体付与手段31及び圧着手段32を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0096】
[第二貯液タンク47の詳細]
次に、後処理装置3における第二貯液タンク47の配置及び構成について図11及び図12を用いて説明する。図11はメインタンクとしての第二貯液タンク47の配置及び構成例である。図11(A)は、後処理装置3の開閉カバー71を開放した状態を例示している。図11(B)は、後処理装置3を側面から見た断面図であって、後処理装置3の開閉カバー71を閉じた状態を例示している。図11(A)に示すように、第二貯液タンク47は後処理装置3の開閉カバー71を開けるとアクセスできる位置に設置されている。また、図11(B)に示すように、第二貯液タンク47及び第二貯液タンク固定部61は、後処理装置3の奥行き方向(X方向)における手前側に配置されている。また、第一貯液タンク44等は、後処理装置3の奥行き方向(X方向)における奥側に配置されている。そして、第二貯液タンク47及び第二貯液タンク固定部61の配置位置と、第一貯液タンク44等の配置位置の間には、後処理装置3の本体側板72が設けられている。第二貯液タンク固定部61は、後処理装置3の本体側板72に取り付けられている。
【0097】
図12は、第二貯液タンク47が第二貯液タンク固定部61に対して着脱自在である様子と、第二貯液タンク47に対する液体を補充する様子とを例示している。図12(A)に示すように、第二貯液タンク47は、第一貯液タンク44に液体を補充できるようにするために着脱可能に構成されている。そして、図12(B)に示すように、第二貯液タンク固定部61には、第二貯液タンク固定部61に第二貯液タンク47がセットされたことを検知するセット検知センサ51(セット検知手段)が設けられている。このセット検知センサ51が、第二貯液タンク47の第二貯液タンク固定部61へのセット状態(図12(C)参照)を検知すると、それを知らせる信号が制御部100bに通知される。これによって、制御部100bは、第二貯液タンク47が第二貯液タンク固定部921にセットされているか否かを検知できるように構成されている。
【0098】
また、第二貯液タンク固定部61には、貯められる液体Lの量を検出するための第二液位センサ94(第二液体検知手段)が設けられている。第二液位センサ94の出力値(電圧)は、制御部100bに通知される。そして、制御部100bは、第二液位センサ94の出力値(電圧)を判定することで、第二貯液タンク固定部61の貯液量が必要な液量であるかどうかを判定する。そして、制御部100bは、セット検知センサ51の出力信号によって、第二貯液タンク47がセット状態にあると判定したときに、第二液位センサ94を通電ONにして第二貯液タンク固定部61内の液体の有無(液位)を検知可能な状態にする。
【0099】
また、第二貯液タンク47は、第二貯液タンク固定部61にセットされていない状態(未セット状態)では、給液弁471により出口が塞がれて液体が漏れない構造になっている。そして、図12(C)に示すように、第二貯液タンク47を第二貯液タンク固定部61にセットすると給液弁471が押し上げられて、第二貯液タンク47の液体排出口471aが開放されるので、液体が第二貯液タンク47から第二貯液タンク固定部61に流れ出る状態になる。その結果、第二貯液タンク47に貯留されている液体が第二貯液タンク固定部61に流れ出る状態になる。第二貯液タンク47から流れ出た液体は、第二貯液タンク固定部61に貯まるようになっている。
【0100】
なお、後処理装置3のメンテナンス時や液体の凍結を防止するための対策として、後処理装置3内の液体を抜き取る「液抜き処理」を行う場合がある。液抜き処理では、第一貯液タンク44及び液体供給経路45に残っている液体を、液体供給ポンプ46により液体供給経路45を介して第二貯液タンク固定部61まで逆方向に給送する。そのため第二貯液タンク固定部61は、第一貯液タンク44及び液体供給経路45内の液体を貯められる容量に設定する。また第二貯液タンク固定部61には液抜き栓611が設けられている。液体供給ポンプ46により、第一貯液タンク44及び液体供給経路45に残っている液体が第二貯液タンク固定部61まで逆方向に給送された後、液抜き栓611を開放することで第二貯液タンク固定部61に貯まった液体を後処理装置3の内部から排出することができるようになっている。
【0101】
[液体付与手段31における液体給排液動作フローの全体像]
次に、図13は、制御部100bにおいて実行される端綴じ処理部25の液体付与手段31における液体給排液動作の制御フロー(以下「液体給排液動作フロー」という。)を例示するフローチャートである。ここで、「液体給排液動作」とは、液体付与をするために用いる液体を、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47と第一貯液タンク44の間で移送することを言う。つまり、「液体給排液動作」には、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44に液体を供給(補給)する動作と、液体供給ポンプ46により第一貯液タンク44から第二貯液タンク47を給送(排出)する動作の両方を含むものとする。
【0102】
まず、液体給排液動作フローが開始されると、制御部100bは、図12において示したように、着脱可能となっている第二貯液タンク47が第二貯液タンク固定部61にセットされているか(セット検知センサ51がON状態か)否か、及び第二貯液タンク固定部61に液体Lが十分に貯留されている否か(第二液位センサ94の出力値が閾値以上か)否かを判定する(S1101)。制御部100bは、第二貯液タンク47が正しくセットされておらず(セット検知センサ51がOFF状態)、かつ第二貯液タンク固定部61に液体Lが十分に貯留されていない(第二液位センサ94の出力値が閾値未満)と判定した場合(S1101:No)、第二貯液タンク固定部61の液体がなくなるなどにより、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給が正常に行われない可能性があるため、前記操作パネル110を介して第二貯液タンク47のセット要求を出力して(S1110)、液体給排液動作フローを終了する。
【0103】
一方、制御部100bは、第二貯液タンク47がセットされており(セット検知センサ51がON状態)、かつ第二貯液タンク固定部61に液体Lが十分に貯留されている(第二液位センサ94の出力値が閾値以上)場合(S1101:Yes)、続いて液体供給ポンプ46の動作モードの設定を行う。
【0104】
液体供給ポンプ46は、液体の供給速度(給液モード)を可変させることができる。液体の供給速度は、複数の動作設定のいずれかを選択して設定することにより可変される。液体供給ポンプ46が備える複数の給液モードは、例えば、「高速給液モード」と「低速給液モード」である。
【0105】
制御部100bは、液体供給ポンプ46により高速給液をするか否か、つまり、高速給液モードが設定されているか否かを判定する(S1102)。ステップS1102において、高速給液をすると判定された場合(S1102:Yes)、制御部100bは、液体供給ポンプ46の動作速度を高速に設定する(S1103)。高速給液モードが設定されるときは、例えば、第一貯液タンク44に貯留されている液体が空の状態のときに、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44に液体を供給する場合などである。このような場合、第一貯液タンク44内への液体の供給が完了までに時間がかかるため、制御部100bは、第一貯液タンク44内への液体の供給時間を短縮するために液体供給ポンプ46の液体供給速度(液体供給ポンプ動作速度)を高速に設定する。
【0106】
一方、ステップS1102において、高速給液をしないと判定された場合、つまり、低速給液モードが設定されていると判定された場合(S1102:No)、制御部100bは、液体供給ポンプ46の動作速度を低速に設定する(S1104)。低速給液モードが設定されるときは、例えば、液体付与手段31による液体付与動作によって第一貯液タンク44に貯留されている液体量が消費された場合に、消費された液体に相当する量の液体を液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44に対して供給するときなどである。このような場合、少ない量の液体を供給することになるので、高速で供給すると過供給により第一貯液タンク44から液体があふれる可能性がある。このような副作用が考えられるため、液体供給ポンプ46の液体供給速度(液体供給ポンプ動作速度)を低速に設定する方が望ましい場合がある。
【0107】
ステップS1102における判定処理の前提として、液体供給ポンプ46の液体供給速度の設定は、ユーザが前記操作パネル110を介して任意に選択できるようにしてもよい。また、後述する「充填供給動作」及び「継ぎ足し供給動作」などの給排液モードに対応した液体供給ポンプ46の液体供給速度を設定しておき、制御部100bにおいて上記各給排液モードの選択に応じて、各給排液モードに対応する液体供給ポンプ46の液体供給速度が自動的に選択されるようにしてもよい。
【0108】
続いて、制御部100bは、給排液モードの判定を行う(S1105)。給排液モードの判定は、例えば後述する図14に示す後処理装置3の動作状況(「後処理動作状況」)及び/又は図22に示す給排液モードの選択入力画面へのユーザの入力結果などに基づいて行われる。
【0109】
まず、ステップS1105において、制御部100bは、給排液モードが「充填供給動作」であるか否かを判定する。ステップS1105の判定により給排液モードが「充填供給動作」である場合(S1105:Yes)は、制御部100bは、液体付与手段31に、後述する「充填供給動作」を実行させて(S1106)、液体給排液動作フローを終了する。一方、ステップS1105の判定結果が「充填供給動作」でない場合(S1105:No)は、次に、制御部100bは、給排液モードが「継ぎ足し供給動作」であるか否かを判定する(S1107)。
【0110】
ステップS1107の判定により給排液モードが「継ぎ足し供給動作」である場合(S1107:Yes)、制御部100bは、液体付与手段31に、後述する「継ぎ足し供給動作」を実行させて(S1108)、液体給排液動作フローを終了する。一方、ステップS1107の判定結果が「継ぎ足し供給動作」でない場合(S1107:No)、制御部100bは、給排液モードが「液体排出動作」であると判定するとともに、液体付与手段31に、後述する「液体排出動作」を実行させて(S1109)、液体給排液動作フローを終了する。
【0111】
なお、ステップS1105及びステップS1107の判定結果に基づいて選択される給排液モード(上記各液体給排液動作)に対応する制御としての、「充填供給制御」、「継ぎ足し供給制御」及び「液体排出制御」の詳細は後述する。
【0112】
次に、後処理装置3で実行可能な動作、例えば、液体付与を伴う圧着手段32による圧着綴じを行う場合に、液体付与を伴う圧着綴じ処理の複数の工程に対応して設定された複数の給排液モードから、液体付与を伴う圧着綴じ処理の各工程に最適な給排液モードを選択する場合の制御方法について説明する。
【0113】
図14は、後処理装置3が液体給排液動作を行うときおける、後処理装置3の動作状況(「後処理動作状況」という)と、これに応じて選択される給排液モードとの対応を例示している。
【0114】
例えば、「後処理動作状況」には、後処理装置3を起動する時に該当する「後処理装置起動時」(後処理装置3の電源ON時や省エネモードからの復帰時など)、「圧着綴じ処理開始時」、「圧着綴じ処理終了時」、「待機時」のように区別される。
【0115】
なお、前記「圧着綴じ処理開始時」及び前記「圧着綴じ処理終了時」における「圧着綴じ処理」とは、液体付与を伴う圧着綴じ処理であるものとする。
【0116】
「後処理装置起動時」や「圧着綴じ処理開始時」など、後処理装置3において圧着綴じ処理を開始するタイミングでは、給排液モードとして「充填供給動作」を選択する。例えば、液体付与を伴う圧着綴じ処理の実行回数が多く、液体付与が可能な状態になるまでの待ち時間を短縮したいときは、後処理装置3の起動時にも充填供給動作を実行する。また、液体付与を伴う圧着綴じ処理の実行頻度が少なくて、端綴じ処理部25が動作していない間の液体の蒸発などを防止したいときは、液体付与を伴う圧着綴じ処理の開始時に、その都度、充填供給動作を実行する。
【0117】
「圧着綴じ処理終了時」や「待機時」などにおいては、給排液モードとして「継ぎ足し供給動作」を選択する。例えば、液体付与を伴う圧着綴じ処理終了時に、次の液体付与を伴う圧着綴じ処理における液体付与のために継ぎ足し供給動作を実行する。継ぎ足し供給動作は、終了した液体付与を伴う圧着綴じ処理における液体付与により消費された分の液体を、第一貯液タンク44内に供給(補給)する目的で実行される動作である。また、次の液体付与を伴う圧着綴じ処理における液体付与を開始するまでの待ち時間を短縮する場合にも、継ぎ足し供給動作は実行される。さらに、後処理装置3の待機状態が所定時間継続したことで第一貯液タンク44内の液体が蒸発した場合、その蒸発により減少した分の液体を第一貯液タンク44に供給(補給)する目的でも継ぎ足し供給動作が実行される。
【0118】
また、上記のほかにも画像形成装置2及び/又は後処理装置3に設けられた操作パネル110を介してユーザが給排液モードを選択することにより、手動で上述した充填供給動作及び継ぎ足し供給動作を選択的に実行できるようにしてもよい。
【0119】
[充填供給動作]
次に、給排液モードの一つである充填供給動作の概要について図15を用いて説明する。図15(A)に示す第一貯液タンク44は、液体が空の状態を例示している。この状態から、図15(B)に示すよう状態になるように、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へと液体が供給される。このとき、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知するまで、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ液体を供給する。なお、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知したときの液位(第一貯液タンク44の貯液量)を「基準液位」とする。
【0120】
その後、液体供給部材50による毛細管現象の影響により、第一貯液タンク44に貯留されている液体は吸い上げられる。その結果、第一貯液タンク44に貯留されている液体の液位が基準液位を下回る状態になる(図15(C)参照)。第一貯液タンク44に貯留されている液体の液位が下がったところでもう一度、第一貯液タンク44に貯留されている液体の液位を基準液位に戻すために、必要に応じて液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給動作を再度実行する(図15(D)参照)。
【0121】
なお、本実施形態において、第一液位センサ43の例として電極センサを示したが、これに限定されるものではなく他の方式でもよい。例えば、フロートセンサや静電容量センサを用いて液体の有無を検知してもよい。また、第一液位センサ43は、第一貯液タンク44内の液体の有無(貯液量)を検出できるものであればよく、第一貯液タンク44内の液体の液位(液面)を検知するものに限定されない。
【0122】
また、第一液位センサ43として電極センサを用いる場合、一対の電極に対する通電(印加)を常時行うと(常時通電にすると)、電極に用いている金属に電食が生じて腐食することが懸念される。また、第一貯液タンク44に貯留されている液体にも常に電圧が印加される状態になるため、液体の電気分解が生じたり、電極の表面に電気分解によって異物が付着して電極の溶解が発生したり、などの電極の劣化を誘発する状態になることも懸念される。そこで、制御部100bは、第一液位センサ43に常時通電を行うのではなくて、第一貯液タンク44の貯液量(液位)のに貯留されている液体の有無を検知するときのみ通電する(通電ONとする)ように、第一液位センサ43への通電タイミングを制御する。
【0123】
[充填供給動作の制御フロー]
図16は、制御部100bにおいて実行される液体供給動作の一例である充填供給動作の制御フロー(以下「充填供給制御フロー」という。)を例示するフローチャートである。充填供給動作は、図14に示すように後処理装置3の起動時や液体付与を伴う圧着綴じ処理の開始時に実行される。
【0124】
後処理装置3が起動されたとき、充填供給制御フローが開始される。充填供給制御フローが開始されると、画像形成装置2から制御部100bに対して液体有無確認要求が指示される(S1401)。なお、液体有無確認要求の指示は、ユーザが画像形成装置2及び/又は後処理装置3に設けられた操作パネル110から入力した情報に基づくものであってもよい。制御部100bは、画像形成装置2から液体有無確認要求の指示を受けて、第一液位センサ43に電圧を印加する(通電ONにする)(S1402)。
【0125】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知したときに出力する出力値(電圧)を取得して、第一貯液タンク44内の液体の有無(貯液量)を判定する(S1403)。第一貯液タンク44内の液体の有無(貯液量)の判定は、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が予め設定されている「液体検知閾値」(閾値)を超えるか否かに基づいて行われる。例えば、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上の場合には、制御部100bは、第一貯液タンク44内の貯液量が十分な量であると判断する(S1403:Yes)。この場合、制御部100bは、第一液位センサ43への電圧の印加を停止し(通電OFFにし)(S1404)、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S1405)、充填供給制御フローを終了する。
【0126】
一方、ステップS1403において、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満の場合(S1403:No)、制御部100bは、液体供給ポンプ46を動作させて、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する(S1406)。
【0127】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が予め設定されている「液体検知閾値」(閾値)以上であるか否かを判定する(S1407)。第一液位センサ43からの出力値(電圧)が、液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上の場合には、制御部100bは、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44内に十分な量の液体が供給されたと判断する(S1407:Yes)。一方、第一液位センサ43からの出力値が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満の場合(S1407:No)は、制御部100bは、液体供給ポンプ46の動作開始(S1406)してからの経過時間が異常判定時間(T1[sec])を経過していないか否かを判定する(S1416)。前記経過時間が異常判定時間T1を経過していない場合(S1416:No)、制御部100bは、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上(S1407:Yes)になるまで、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を継続する。
【0128】
一方、前記経過時間が異常判定時間T1を経過している場合(S1416:Yes)、制御部100bは、機器に何らかの異常(液体供給ポンプ46及び/又は第一液位センサ43の故障など)が発生したと判断して、液体供給ポンプ46の停止及び/又は第一液位センサ43の通電OFFを行うエラー停止処理を実行する(S1418)。そして、制御部100bは、操作パネル110に異常通知を表示させてから(S1419)、充填供給制御フローを終了する。
【0129】
ステップS1407において、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上となった場合には(S1407:Yes)、制御部100bは、液体供給ポンプ46を停止して、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を停止する(S1408)。そして、制御部100bは、第一液位センサ43への電圧の印加を停止する(通電OFFにする)(S1409)。
【0130】
その後、液体供給部材50の毛細管現象などにより、第一貯液タンク44内の液体が吸い上げられて、液体付与部材501が液体付与できる状態(液体付与部材501及び/又は液体供給部材50に液体が十分に貯えられた状態)までの時間として予め設定されている待機時間(第一所定時間T0[sec])が経過するまで、充填供給制御フローを一旦停止する(S1410)。
【0131】
そして、第一所定時間T0が経過した後、制御部100bは、再度、第一液位センサ43の通電をONして(S1411)、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知したときに出力する出力値(電圧)を取得して、第一貯液タンク44内の液体の有無(貯液量)を判定する(S1412)。この段階で、液体供給部材50の吸い上げによって第一貯液タンク44内の液体の液位(貯液量)は下がる。しかしながら、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上であれば(S1412:Yes)、制御部100bは、第一液位センサ43への電圧の印加を停止する(通電OFFにする)(S1404)。そして、制御部100bは、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S1405)、充填供給制御フローを終了する。
【0132】
一方、ステップS1412において、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満の場合(S1412:No)、制御部100bは、液体供給ポンプ46を動作させて、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する(S1413)。
【0133】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知したときに出力する出力値(電圧)を取得して、第一貯液タンク44内の液体の有無(貯液量)を判定する(S1414)。そして、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上の場合(S1414:Yes)、制御部100bは、第一貯液タンク44内に十分な量の液体が供給されたと判断する。この場合、制御部100bは、液体供給ポンプ46を停止して、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を停止する(S1415)。そして、制御部100bは、第一液位センサ43への電圧の印加を停止して(通電OFFにする)(S1404)、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S1405)、充填供給制御フローを終了する。
【0134】
一方、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満の場合(S1414:No)、制御部100bは、液体供給ポンプ46の動作開始(S1413)してからの経過時間が異常判定時間(T1[sec])を経過していないか否かを判定する(S1417)。前記経過時間が異常判定時間T1を経過していない場合(S1417:No)、制御部100bは、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上(S1414:Yes)になるまで、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を継続する。
【0135】
一方、前記経過時間が異常判定時間T1を経過している場合(S1416:Yes)、制御部100bは、機器に何らかの前記異常が発生したと判断して、液体供給ポンプ46の停止及び/又は第一液位センサ43の通電OFFを行うエラー停止処理を実行する(S1418)。そして、制御部100bは、前記操作パネル110に異常通知を表示させてから(S1419)、充填供給制御フローを終了する。なお、「異常通知」としては、例えば、前記操作パネル110に液体供給ポンプ46及び/又は第一液位センサ43が故障している可能性があるのでチェックを促すような警告を表示するものであればよい。
【0136】
以上で説明した、充填供給制御フローの実行により、液体付与部材501による液体付与が可能となる液体の量を、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501に一定量を安定的に確保することができる。その結果、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給動作の頻度を少なくして、液体付与処理の効率を高めることができる。
【0137】
次に、図16にて説明した充填供給制御フローと、図15で説明した液体供給動作の一例である充填供動作との関連を説明する。まず、図15(A)に示す状態(図14の「後処理装置起動時」)において、制御部100bは、第一液位センサ43の通電をONして(S1402)、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知したときに出力する出力値(電圧)を取得して、第一貯液タンク44内の液体有無(貯液量)を判定する(S1403)。この段階では、第一貯液タンク44は空の状態であるため、第一液位センサ43からの出力値(電圧)は液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満となる。そこで、制御部100bは、第一貯液タンク44内の状態は「液体無し」の状態であると判定し(S1403:No)、液体供給ポンプ46を駆動して第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する(S1406)。そして、図15(B)の状態に至ると、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上となるので(S1407:Yes)、制御部100bは、液体供給ポンプ46を停止してから(S1408)、第一液位センサ43を通電OFFの状態にする(S1409)。
【0138】
続いて、図15(C)に示すように液体供給部材50が液体を吸い上げることで液体付与部材501が液体付与できる状態までの時間として予め設定されている第一所定時間T0が経過すると、制御部100bは、再度、第一液位センサ43を通電ONの状態にする(S1411)。この段階では、液体供給部材50により所定量の液体が、第一貯液タンク44内から液体供給部材50に吸い上げられている。その結果、第一貯液タンク44内の貯液量が減少し、第一貯液タンク44内の液体の液位は基準液位よりも下がるので、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満となる(S1412:No)。
【0139】
そこで、制御部100bは、液体供給ポンプ46を再度動作させて(S1413)、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上となるまで(S1414:Yes)、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する。そして、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上になると、制御部100bは、液体供給ポンプ46を停止してから(S1415)、第一液位センサ43を通電OFFの状態にする(S1404)。その結果、図15(D)に示すように、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501の全体に第一貯液タンク44内の液体が十分に貯えられた状態になるので、制御部100bは、液体付与の準備完了通知を前記操作パネル110に表示させる(S1405)。
【0140】
以上のように、「充填供給動作」は、液体付与手段31による液体付与を実行するにあたり、実行される給排液モードである。すなわち、用紙Pに一定量の液体を安定的に付与するためには、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501に常に一定量の液体が貯えられていることが必要となる。
【0141】
しかし、後処理装置3の起動時のように第一貯液タンク44が空の状態で、第一液位センサ43が液体を検知できない場合(図15(A)参照)は、第一貯液タンク44内の液体の液位(貯液量)が基準液位以上となるように、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する必要がある。また、液体付与手段31(液体付与部材501)による用紙Pへの液体付与動作により第一貯液タンク44の貯液量が減少し、第一貯液タンク44内の液体の液位が基準液位よりも低下した場合(図15(C)参照)も同様である。すなわち、第一貯液タンク44内の液体の液位(貯液量)が基準液位以上となるように、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する必要がある。この液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する給排液モードが、「充填供給動作」である。
【0142】
[継ぎ足し供給動作]
次に、給排液モードの一つである継ぎ足し供給動作について説明する。図17は、継ぎ足し供給動作の概要を示している。
【0143】
継ぎ足し供給動作は、液体付与手段31による液体付与によって、液体が用紙Pに付与されることで第一貯液タンク44に貯留されている液体が消費され、第一貯液タンク44内の液体の液位(貯液量)が基準液位よりも低下したときに、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する給排液モードである。この場合、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知しないレベルになったときに、液体供給ポンプ46を動作させて、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内の液体を検知する状態(第一貯液タンク44内の液体の液位が基準液位)になるまで第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する。
【0144】
既に説明をした充填供給動作は、第一貯液タンク44の貯液量(液位)が低下して液体供給部材50への液体の補充が必要になった状態(液体付与に用いる液体が足りない状態)において、液体供給部材50へ液体を補充するときの液体供給動作であった。一方、継ぎ足し供給動作は、液体供給部材50には液体が保持されている状態(液体付与に用いる液体が足りないわけではない状態)において第一貯液タンク44に液体を供給する液体供給動作である。すなわち、第一貯液タンク44内の液体の液位(貯液量)が基準液位以上まで満たされていた状態(図15(D)参照)から、液体付与によって液体が消費された結果、第一貯液タンク44内の液体の液位(貯液量)が基準液位未満まで下がった状態になったとき(図17(A)参照)を想定する。この場合において、液体供給ポンプ46を動作させ第二貯液タンク47から第一貯液タンク44内に液体を継ぎ足して供給することで、図17(B)に示すように、第一貯液タンク44の液体の液位(貯液量)が再び基準液位以上になるようにする。すなわち、液体付与により第一貯液タンク44内の液体が消費されたことに伴い、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ液体を供給する給排液モードである。
【0145】
[継ぎ足し供給動作の制御フロー]
図18は、制御部100bにおいて実行される液体供給動作の一例である継ぎ足し供給動作の制御フロー(以下「継ぎ足し供給制御フロー」という。)を例示するフローチャートである。継ぎ足し供給動作は、図14に示すように、液体付与を伴う圧着手段32による圧着綴じ処理の終了時や後処理装置3の待機時(端綴じ処理部25が動作していないときなど)に実行される。
【0146】
例えば、液体付与を伴う圧着手段32による圧着綴じ処理が終了したとき、継ぎ足し供給制御フローが開始される。継ぎ足し供給制御フローが開始されると、画像形成装置2から制御部100bに対して液体有無確認要求が指示される(S1601)。なお、液体有無確認要求の指示は、ユーザが画像形成装置2及び/又は後処理装置3に設けられた操作パネル110から入力した情報に基づくものであってもよい。画像形成装置2から液体有無確認要求の指示を受けて、制御部100bは第一液位センサ43に電圧を印加する(通電ONにする)(S1602)。
【0147】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43が第一貯液タンク44内液体を検知したときに出力する出力値を取得して、第一貯液タンク44内の液体有無(貯液量)を判定する(S1603)。第一貯液タンク44内の液体の有無(貯液量)の判定は、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が予め設定されている「液体検知閾値」(閾値)を超えるか否かに基づいて行われる。例えば、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上の場合には、制御部100bは、第一貯液タンク44内の貯液量が十分な量であると判断する(S1603:Yes)。この場合、制御部100bは、第一液位センサ43への電圧の印加を停止し(通電OFFにし)(S1607)、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S1608)、継ぎ足し供給制御フローを終了する。
【0148】
一方、ステップS1603において、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満の場合(S1603:No)、制御部100bは液体供給ポンプ46を動作させて、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する(S1604)。
【0149】
続いて、制御部100bは、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が予め設定されている「液体検知閾値」(閾値)以上であるか否かを判定する(S1605)。第一液位センサ43からの出力値(電圧)が、液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上の場合には、制御部100bは、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44内に十分な量の液体が供給されたと判断する(S1605:Yes)。そして、制御部100bは、液体供給ポンプ46を停止して、第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を停止する(S1606)。そして、制御部100bは、第一液位センサ43への電圧の印加を停止し(通電OFF)(S1607)、液体付与の準備完了通知を、例えば前記操作パネル110に表示させて(S1608)、継ぎ足し供給制御フローを終了する。
【0150】
一方、第一液位センサ43からの出力値が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)未満の場合(S1605:No)、制御部100bは、液体供給ポンプ46の動作開始(S1604)してからの経過時間が異常判定時間(T1[sec])を経過していないか否かを判定する(S1609)。前記経過時間が異常判定時間T1を経過していない場合(S1609:No)、制御部100bは、第一液位センサ43からの出力値(電圧)が液体検知閾値(例えば出力電圧V1)以上(S1605:Yes)になるまで、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を継続する。
【0151】
一方、前記経過時間が異常判定時間T1を経過している場合(S1609:Yes)、制御部100bは、機器に何らかの前記異常が発生したと判断して、液体供給ポンプ46の停止及び/又は第一液位センサ43の通電OFFを行うエラー停止処理を実行する(S1610)。そして、制御部100bは、前記操作パネル110に異常通知を表示させてから(S1611)、継ぎ足し供給制御フローを終了する。なお、「異常通知」は、上述したものと同様なので説明は省略する。
【0152】
[待機時供給動作の制御フロー]
次に、待機時供給動作の制御フロー(以下「待機時供給制御フロー」という。)について図19を用いて説明する。後処理装置3において、定期的に上述した液体付与及び液体供給動作が行われる場合、第一貯液タンク44に貯留される液体の量が適正に保たれる。しかし、長期間に亘って、液体付与及び/又は液体供給動作が行われない場合、液体が蒸発して第一貯液タンク44の貯液量が減少する、あるいは第一貯液タンク44が空になるおそれがある。
【0153】
既に説明したとおり、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501は、スポンジ等の吸液体で構成されているので、第一貯液タンク44に液体がない状態で長時間放置すると吸液体が乾燥する。液体供給部材50及び/又は液体付与部材501(吸液体)が、一旦乾燥した状態になると、再び第一貯液タンク44に液体供給を行っても、液体付与部材501及び/又は液体付与部材501による液体の吸い上げが完了するまでには相当な時間がかかることになる。その結果、ユーザの待ち時間が増加し、ユーザの利便性が低下する。また、液体付与部材501及び/又は液体付与部材501による液体の吸い上げが完了する前に、液体付与を伴う綴じ処理(圧着綴じ処理及び/又は針綴じ処理)が実施されてしまうと用紙Pへの液体付与が不十分となり綴じ不良が発生し、綴じ品質が低下する恐れがある。
【0154】
そこで一定期間に亘って、液体供給動作が行われなかったとき(待機時)に、次の液体付与を伴う圧着綴じ処理に備えて、定期的に液体供給動作を行なうことで、液体付与部材501及び/又は液体付与部材501の乾燥を防ぐ。これによって、次の液体付与を伴う圧着綴じ処理における液体付与手段31による液体付与処理の開始までにかかる時間を短縮することができる。これによって、ユーザの待ち時間を短縮することによりユーザの利便性を向上できる。また、液体付与部材501及び/又は液体付与部材501による液体の吸い上げが完了する前に液体付与処理を伴う綴じ動作(圧着綴じ処理及び/又は針綴じ処理)が実施されてしまい、用紙Pへの液体付与が不十分となることにより発生する綴じ不良を低減できるので、綴じ品質の向上を実現すること可能となる。
【0155】
図19は、待機時供給制御フローを例示するフローチャートである。待機時供給制御フローが開始されると、制御部100bは、充填供給動作や継ぎ足し供給動作などの液体供給動作が終了した時点からの経過時間(以下「液体供給動作後経過時間」という。)をタイマカウントして、液体供給動作後経過時間が、経過判定時間としての第二所定時間(T2[sec])を経過するか否かを監視する(S1901)。そして、制御部100bは、液体供給動作後経過時間が第二所定時間T2を経過するまで、監視を継続する(S1901:No)。
【0156】
液体供給動作後経過時間が第二所定時間T2を経過したとき(S1901:Yes)、制御部100bは、既に説明をした継ぎ足し供給動作の制御である継ぎ足し供給制御フローを実行してから(S1902)、待機時供給制御フローを終了する。タイマカウント中になんらかの液体供給動作が行われたときはタイマをリセットする。第二所定時間T2は、液体供給動作をせずに放置した時、第一貯液タンク44に貯留されている液体の性質等を考慮して、第一貯液タンク44が空になる時間を設定する。
【0157】
[液体排出動作、及び液体排出動作の制御フロー]
次に、後処理装置3において実行可能な液体排出動作を制御するときの液体排出制御について説明する。図20は、給排液モードの一つである液体排出動作の概要を説明する図である。図21は、液体排出動作の制御フロー(「液体排出制御フロー」)を例示するフローチャートである。ここで、「液体排出動作」とは、液体供給ポンプ46により第一貯液タンク44に貯留されている液体を第二貯液タンク47に給送することである。つまり、上述の液体供給動作における液体の供給方向とは逆方向に液体を給送することである。
【0158】
後処理装置3の使用時において、第一貯液タンク44、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501が液体で満たされている状態であるが、メンテナンス時に液体供給部材50及び/又は液体付与部材501を外して作業する場合における第一貯液タンク44からの液体漏れの防止や、後処理装置3を長期間使用しない場合の液体による汚れ防止のために、第一貯液タンク44内を空の状態にする作業(上述した「液抜き処理」)を行うことが必要になる場合がある。例えば、このような場合に、前記液体排出動作が実行されることになる。
【0159】
給排液モードとして「液体排出動作」が選択されると、液体排出制御フローが開始される。液体排出制御フローが開始すると、制御部100bは、液体供給ポンプ46を所定時間(Tr[sec])だけ駆動(逆回転)させ(S2101)、第一貯液タンク44から液体を吸い上げる(図20(A)参照)。その結果、第一貯液タンク44内の液体が第二貯液タンク固定部61に送られて第一貯液タンク44から液体が排出されて、第一貯液タンク44は空の状態となる(図20(B)参照)。液体供給ポンプ46の動作時間である前記所定時間Trは、例えば第一貯液タンク44と、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501の内部にある液体が十分に排出される時間に設定される。そして、制御部100bは、液体供給ポンプ46を所定時間Trだけ駆動(逆回転)させたら、制御部100bは、液体排出制御フローを終了する。
【0160】
なお、給排液モードとしての「液体排出動作」は、図22に例示するような前記操作パネル110の操作画面に対しユーザが任意に選択することにより実行してもよい。また、ユーザの任意において、前記操作パネル110を介して、給排液モードとしての「充填供給動作」や「継ぎ足し供給動作」の実行指令を行うこともできる。
【0161】
[本発明に係る液体供給動作の制御パターン設定]
上記において説明をした本発明に係る媒体処理装置の実施形態としての後処理装置3によれば、液体付与を伴う圧着綴じ処理を行う際に、予め、綴じ位置に相当する箇所(液体付与位置)に液体を付与することで綴じ強度を向上させることができ、かつ、付与するための液体を適切に供給(補給)することができる。さらに、本実施形態に係る後処理装置3は、すでに説明をした複数の液体給排液動作(図14に記載の「給排液モード」としての各動作)を、後処理装置3の動作状況に応じて切り替えて実行するための液体供給制御パターンを複数備えている。そして、前記複数の液体供給制御パターンは、液体供給制御パターン毎に、後処理装置3の動作状況に対応する液体給排液動作の設定が異なっている(図25(A)参照)。また、ユーザは、前記複数の液体供給制御パターンの中から希望する液体供給制御パターンを任意に選択することができるように構成されている。
【0162】
一般的に、液体付与を伴う圧着綴じ処理の実行頻度、及び実行の有無は、後処理装置3の使用環境(ユーザの利用形態などを含む)によって異なるものである。また、使用環境に含まれる利用者の利用形態には、例えば、「液体の節約を優先したい」、「液体付与を伴う圧着綴じ処理における待ち時間短縮を優先したい」等、優先したい項目も異なる。すなわち、後処理装置3の使用環境は様々である。したがって、後処理装置3の使用環境に応じて変化するユーザのニーズに合わせて、ユーザが任意に液体供給制御パターンを選択できるようにすることで、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0163】
以下において説明する、本発明に係る実施形態によれば、後処理装置3の使用環境に応じて、適切な液体供給制御に切り替えることができる。これにより、ユーザのニーズに合わせた液体供給動作を実現することが可能となるので、ユーザの利便性向上を図ることができる。
【0164】
[液体供給動作の制御パターン設定]
図23は、後処理装置3において、ユーザが前記複数の液体供給制御パターンの中から希望する液体供給制御パターンを任意に選択して設定可能にするためのユーザインタフェースの例である。図23に示す、制御パターン選択手段としての液体供給制御パターン設定画面G2301を用いてユーザが液体供給制御パターンを設定することで、設定された液体供給制御パターンに基づき、後処理装置3の動作状況に応じた給排液モードによる液体給排液動作を実行できる。なお、液体供給制御パターン設定画面G2301は、前記操作パネル110に表示される画面である。
【0165】
液体供給制御パターン設定画面G2301に示すように、後処理装置3において実行可能な複数の液体供給制御パターンには、例えば「常時液体付与スタンバイパターン」(常時液体付与準備完了パターン)、「待ち時間短縮パターン」、「節水パターン」、「超節水パターン」と、自動で液体供給制御パターンを選択する「おまかせパターン」である。
【0166】
「おまかせパターン」は、液体付与を伴う圧着綴じ処理の情報を蓄積・分析することで算出した予想使用液体量により自動で、他の四つパターンの中から適宜液体供給制御パターンを選択して設定する。
【0167】
そして、前記複数の液体供給制御パターンは、図8に示す制御部100bのHDD104(制御パターン保持手段)に格納(保持)されている。
【0168】
[おまかせパターン]
次に、液体供給制御パターンの選択設定処理の例についてフローチャートを用いて説明する。図24は、おまかせパターンが選択された場合の液体供給制御パターンの自動設定処理の例を示す。
【0169】
後処理装置3は、制御部100b(図8参照)に含まれるRAM102に動作履歴を記録する。ここで記録される動作履歴には、例えば、週単位で液体付与を伴う圧着綴じ処理の実行回数、液体供給ポンプ46の駆動回数などの情報が含まれる。このRAM102に蓄積された動作履歴に基づいて、週単位での液体使用量WNを算出し、これもRAM102に記憶しておく。
【0170】
また後処理装置3は、情報蓄積手段としてのRAM102に、画像形成装置2から通知される液体付与を伴う綴じ処理の内容を処理情報として蓄積する。
【0171】
後処理装置3が備える制御部100bにおいて実行される液体供給制御パターン選択プログラムにおいて、算出した液体使用量WNを参照し、例えば、後述する予め設定される三つの使用レベルの判定閾値と前記液体使用量WNを比較することで、後処理装置3における液体付与の使用レベルを判定する。
【0172】
制御部100bは、おまかせパターンが設定されているときは、例えば、前週の履歴情報に基づいて今週の液体供給制御パターンを決定する。そこで、上記の使用レベル判定処理は、週次で適切なタイミングにて実行される。以下詳細に説明する。
【0173】
まず、制御部100bは、前週の液体使用量WNをRAM102から読み出して、使用レベルを判定する(S2401)。使用レベルの判定に用いられる判定閾値は、例えば、第一判定閾値WS1、第二判定閾値WS2、第三判定閾値WS3とする。ここで、各判定閾値は、「第一判定閾値WS1<第二判定閾値WS2<第三判定閾値WS3」の関係が成立するように設定される。
【0174】
RAM102から読み出された前週の液体使用量WNが第三判定閾値WS3以上の場合、すなわち「第三判定閾値WS3≦前週の液体使用量WN」の場合(S2401:Yes)は、制御部100bは、使用レベルAと判定し、「常時液体付与スタンバイパターン」を設定する(S2402)。
【0175】
また、前週の液体使用量WNが第二判定閾値WS2以上、第三判定閾値WS3未満の場合、すなわち「第二判定閾値WS2≦前週の液体使用量WN<第三判定閾値WS3」の場合(S2401:No、S2403:Yes)、制御部100bは、レベルBと判定し、「待ち時間短縮パターン」を設定する(S2404)。
【0176】
また、前週の液体使用量WNが第一判定閾値WS1以上、第二判定閾値WS2未満の場合、すなわち「第一判定閾値WS1≦前週の液体使用量WN<第二判定閾値WS2」の場合(S2403:No、S2405:Yes)、制御部100bは、使用レベルCと判定し、「節水パターン」を設定する(S2406)。
【0177】
また、前週の液体使用量WNがゼロ以上、第一判定閾値WS1未満の場合、すなわち「0≦前週の液体使用量WN<第一判定閾値WS1」の場合(S2405:No)、制御部100bは、使用レベルDと判定し、「超節水パターン」を設定する(S2407)。そして、いずれかの液体供給制御パターンが設定されれば、自動設定処理を終了する。
【0178】
なお、上記の説明における「週単位での液体使用量WN」については、機械学習によって生成された学習モデルを使って算出することも可能である。機械学習によって生成される学習モデルは、制御部100bのCPU101に書き込まれた制御プログラムに実装される。具体的には、学習モデルは、学習モデルの生成が可能な外部PCやクラウドサービスを利用して、設計時の評価で得られたデータから作成した教師データを分析して生成する。機械学習によって分析する教師データとしては、上述した週単位で液体付与を伴う圧着綴じ処理の実行回数、液体供給ポンプ46の駆動回数、画像形成装置2から通知される液体付与を伴う綴じ処理の内容を処理情報に加えて、用紙サイズや紙厚、紙種といったシート情報などが挙げられる。なお、液体付与を伴う綴じ処理の内容を処理情報は、端綴じや中綴じといった綴じ種類や綴じ枚数、綴じ回数といった後処理装置3で設定可能な情報を含んでいる。
【0179】
[各液体供給制御パターンにおける液体給排液動作の説明]
次に、各液体供給制御パターンが設定されたときに実行される給排液モード(液体給排液動作)について説明する。図25(A)は、後処理装置3において選択可能な液体供給制御パターンと、各液体供給制御パターンにおいて、後処理装置3の動作状況に応じて実行される給排液モードとの相関を例示する図表である。また、図25(B)は、各液体供給制御パターンと、液体供給動作のための待ち時間、及び液体消費量との関係を示す図である。
【0180】
図25に示すように、「常時液体付与スタンバイパターン」、「待ち時間短縮パターン」、「節水パターン」、「超節水パターン」によって、「液体消費量」や「液体供給動作のための待ち時間(液体付与を伴う圧着綴じ処理を開始までの待ち時間)」が異なる。
【0181】
各液体供給制御パターンは、液体消費量に着目すると、
[常時液体付与スタンバイパターン]
>[待ち時間短縮パターン]
>[節水パターン]
>[超節水パターン]
の関係が成立する。
【0182】
一方、各液体供給制御パターンは、液体供給動作のための待ち時間(液体付与を伴う圧着綴じ処理開始までの待ち時間)に着目すると、
[超節水パターン]
>[節水パターン]
>[待ち時間短縮パターン]
>[常時液体付与スタンバイパターン]
の関係が成立する。
【0183】
[常時液体付与スタンバイパターンについて]
「常時液体付与スタンバイパターン」の特徴としては、液体付与が可能な状態になるまでの待ち時間が最も短いことが挙げられる。また、他の制御パターンでは所定のタイミングにて第一液位センサ43による第一貯液タンク44内の液体の液位検知を行うのに対し、本制御パターンでは、常時第一貯液タンク44内の液体の液位検知(「常時液位検知」という)を行う。なお、常時液位検知は、液面チャタリングの影響を受けやすいという側面がある。
【0184】
一方、液体付与処理を実行していない間(待機時)に、第一貯液タンク44内の液体が蒸発して、第一貯液タンク44の貯液量(液位)が減少した場合においても、即時的に液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を行うので、液体消費量が最も多くなる制御パターンである。
【0185】
「常時液体付与スタンバイパターン」が設定されると、制御部100bは、後処理装置3の起動時において、すでに説明をした充填供給制御(図16参照)による充填供給動作を実行する。
【0186】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理開始時において、制御部100bは、特に液体供給動作を実行しない。これは、後処理装置3の起動中又は待機中において、常時第一貯液タンク44内の液体の液位検知を行い、その液位検知の結果に基づいて、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44内への液体の供給(充填供給動作、継ぎ足し供給動作)を行っているため、第一貯液タンク44内に液体が十分に貯留されている状態になっているためである。
【0187】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理実行中において、制御部100bは、継ぎ足し供給制御(図18参照)による継ぎ足し供給動作を実行する。つまり、制御部100bは、常時、第一液位センサ43による第一貯液タンク44内の液体の液位検知を行い、第一貯液タンク44内の貯液量(液位)の減少を即時検出して、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44内への液体の供給を実行する。
【0188】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理終了時において、制御部100bは、特に液体供給動作を実行しない。これは、後処理装置3の動作時において、常に、継ぎ足し供給動作を実行可能なので、液体付与を伴う圧着綴じ処理終了時に液体供給動作を必要としないからである。なお、次の液体付与を伴う圧着綴じ処理が間髪入れることなく実行されたとしても、改めて液体供給制御パターンの選択処理を実行する必要がなく、連続する液体付与を伴う圧着綴じ処理をよりスムーズに実行することができる。
【0189】
また、後処理装置3の待機時や綴じ処理の待機時(以下「待機時」という)において、制御部100bは、継ぎ足し供給動作を実行する。つまり、制御部100bは、常時、第一液位センサ43による第一貯液タンク44内の液体の液位検知を行い、液位検知により第一貯液タンク44内の貯液量(液位)の減少を即時検出して、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44内への液体の供給を実行する。
【0190】
[待ち時間短縮パターンについて]
「待ち時間短縮パターン」の特徴としては、「常時液体付与スタンバイパターン」の次に待ち時間が短い点が挙げられる。また、常時、第一液位センサ43による第一貯液タンク44内の液体の液位検知を行うのではなく、所定のタイミングにおける液位検知を行うので、若干のタイムラグは生ずるものの、液面チャタリングの影響は受けづらい。そして、「常時液体付与スタンバイパターン」と比較すると、液体の消費量を抑えることができる。
【0191】
後処理装置3の起動時において、制御部100bは、すでに説明をした充填供給制御(図16参照)による充填供給動作を実行する。
【0192】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理開始時において、制御部100bは、特に液体供給制御を実行しない。これは、後処理装置3の起動中又は待機中において、第一貯液タンク44内の液体の液位検知を行い、その液位検知の結果に基づいて、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44内への液体の供給(充填供給動作、継ぎ足し供給動作)を行っているため、第一貯液タンク44内に液体が十分に貯留されている状態になっているためである。
【0193】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理実行中において、制御部100bは、所定回数の液体付与が実行された段階で、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ所定量の液体を供給する、すなわち所定量供給動作を実行する。ここで、「所定量供給動作」とは、後処理装置3を停止させずに、所定回数の液体付与が実行された段階で、予め決められた量の液体を液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ供給(補給)することをいう。したがって、第一液位センサ43による液位検知を行うことなく、所定量の液体を液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へと供給する。例えば、液体付与を100回実行したら10ミリリットルの液体を液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ供給することをいう。
【0194】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理終了時において、制御部100bは、継ぎ足し供給制御(図18参照)による継ぎ足し供給動作を実行する。次の液体付与を伴う圧着綴じ処理の実行に備えて、前回の液体付与を伴う圧着綴じ処理の実行により減少した分の液体を、第一貯液タンク44へ継ぎ足して供給(補給)しておくためである。
【0195】
また、待機時において、制御部100bは、所定時間経過後に継ぎ足し供給制御(図18参照)による継ぎ足し供給動作を実行する。液体付与を伴う綴じ処理が実行されることなく、後処理装置3が長時間放置された場合に、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501の乾燥が促進される。その結果、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501は、毛細管現象により第一貯液タンク44内の液体を吸い上げるため、第一貯液タンク44内の液体が自然に減少する。この場合の第一貯液タンク44内の液体の減少に対処すべく、一定時間ごとに液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への液体の供給を実行する。その結果、液体供給部材50及び/又は液体付与部材501の濡れ状態を維持して次の液体付与を伴う圧着綴じ処理に備えることができる。
【0196】
「節水パターンについて」
「節水パターン」の特徴としては、液体付与を行う圧着綴じ処理を実行するタイミング(処理開始時、及び処理実行中)のみにおいて液体供給動作を実行するため、「常時液体付与スタンバイパターン」や「待ち時間短縮パターン」に比較すると、液体の消費量を抑えることができる。一方、「常時液体付与スタンバイパターン」や「待ち時間短縮パターン」に比較すると、液体供給動作を実行するときの待ち時間が長くなる傾向がある。
【0197】
後処理装置3の起動時において、制御部100bは、液体供給動作を実行しない。
【0198】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理開始時において、制御部100bは、処理開始要求をトリガーとして充填供給制御(図16参照)による充填供給動作を実行し、充填供給動作が完了した後に圧着綴じ処理を開始することができる状態になる。
【0199】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理実行中において、制御部100bは、所定回数の液体付与が実行された段階で、液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44への所定量供給動作を実行する。したがって、後処理装置3を停止させずに、第一液位センサ43を使用せずに、予め決められた量の液体を液体供給ポンプ46により第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ供給(補給)する。
【0200】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理終了時において、制御部100bは、特に液体供給動作を実行しない。次の圧着綴じ処理に備えるための液体供給動作も実行しない。
【0201】
また、待機時においても、制御部100bは、特に液体供給制御を実行しない。次の液体付与を伴う圧着綴じ処理に備えるための液体供給動作も実行しない。
【0202】
「超節水パターンについて」
「超節水パターン」の特徴としては、液体付与を行う圧着綴じ処理を実行するタイミング(処理開始時、及び処理実行中)のみにおいて液体供給動作を実行するため、「常時液体付与スタンバイパターン」、「待ち時間短縮モード」、「節水パターン」に比較すると、液体供給動作を実行するときの待ち時間が長くなる傾向がある。また、「節水パターン」との比較においては、液体付与を伴う圧着綴じ処理が終了する都度、すでに説明した液体排出動作を実行するため、毎回、サブタンクとしての第一貯液タンク44が空の状態から、液体供給ポンプ46による第二貯液タンク47から第一貯液タンク44へ液体の供給(補給)を開始することになる。したがって、「節水パターン」の待ち時間に比べて第一貯液タンク44の液体が液体付与可能な貯液量になるまでの時間(図15(A)から(C)の状態になるまでの時間)の分だけより待ち時間が掛かることになる。なお、必要なタイミングでのみ、液体供給動作を実行し、かつ、液体付与を伴う圧着綴じ処理の終了時には、その都度液体排出動作を実行するので、液体の消費量が、各モードの中で最も少なくなる。
【0203】
後処理装置3の起動時において、制御部100bは、液体供給動作を実行しない。
【0204】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理開始時において、制御部100bは、圧着綴じ処理を含む処理開始要求をトリガーとして充填供給制御(図16参照)による充填供給動作を実行して、充填供給動作が完了した後に圧着綴じ処理を開始することができる状態になる。基本的に節水パターンと同様ではあるが、サブタンクとしての第一貯液タンク44が空の状態(図15(A)参照)から充填供給動作を実行することになるため、実質的に節水パターンよりも液体付与を伴う圧着綴じ処理を開始できるようになるまでの時間が長くなる。
【0205】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理実行中において、制御部100bは、液体付与を所定回数実行した後に、液体付与手段31を停止して、第一貯液タンク44内の液体の状態が安定してから、継ぎ足し供給動作を実行する。第一貯液タンク44内の液体が安定した状態における継ぎ足し供給動作なので、必要な液体量(前記基準液位に到達するまでの液体量)だけ正しく供給でき、第一貯液タンク44内の液体の消費量が抑えることができる。
【0206】
また、液体付与を伴う圧着綴じ処理終了時において、制御部100bは、液体排出制御(図21参照)による液体排出動作を実行する。したがって、液体供給ポンプ46により第一貯液タンク44から第二貯液タンク47へ液体を給送することになる。これによって、乾燥や蒸発による第一貯液タンク44内の液体の消費を抑制することができる。
【0207】
また、待機時において、制御部100bは、液体供給動作を実行しない。
【0208】
以上説明をした液体供給制御パターンの設定による液体給排液動作の違いは、後処理装置3を起動してから停止するまでの処理との関係で適宜生ずる。以下、後処理装置3の起動から停止までの動作フローの全体像を図26のフローチャートを用いて説明する。そして、下記の動作フローに含まれている個々の制御処理について詳細に説明をするときに、液体供給制御パターンの違いによって、異なる液体給排液動作(図14に記載の「給排液モード」としての各動作)が実行されることを適宜説明する。なお、図26から図33に記載されている「圧着綴じ処理」とは、液体付与を伴う圧着綴じ処理であるものとする。
【0209】
[後処理装置3の綴じ動作フローの全体像]
図26は、後処理装置3の綴じ動作の制御フローチャートである。図26に示すように、まず、後処理装置3を起動後、つまり、後処理装置3の綴じ動作の制御フローが開始されると、制御部100bは、「センサ検知タイミング切替処理」を実行して、第一液位センサ43の検知タイミングを切り替える(S2601)。センサ検知タイミング切替処理の詳細は後述する。
【0210】
センサ検知タイミング切替処理が完了した後、制御部100bは、液体付与手段31による「後処理動作起動時供給動作」を実行する(S2602)。「後処理動作起動時供給動作」の詳細は後述する。
【0211】
後処理動作起動時の液体供給動作が終了した後、制御部100bは、画像形成装置2から通知される処理情報に液体付与を伴う圧着綴じ処理が含まれているか否かを判定する(S2603)。液体付与を伴う圧着綴じ処理の指示(圧着綴じ処理要求)が含まれている場合(S2603:Yes)、制御部100bは、液体付与手段31による「圧着綴じ処理開始時供給動作」を実行する(S2604)。「圧着綴じ処理開始時供給動作」の詳細は後述する。
【0212】
液体付与手段31による圧着綴じ処理開始時供給動作の終了後、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理を開始する(S2605)。圧着綴じ処理の実行中においては、制御部100bは、液体付与手段31による「圧着綴じ処理実行中供給動作」を実行する(S2606)。「圧着綴じ処理実行中供給動作」の詳細は後述する。
【0213】
圧着手段32による圧着綴じ処理が終了したら(S2607)、続いて、制御部100bは、液体付与手段31による「圧着綴じ処理終了時供給動作」を実行する(S2608)。「圧着綴じ処理終了時供給動作」の詳細は後述する。
【0214】
液体付与手段31による圧着綴じ処理終了時供給動作が終了した後は、制御部100bは、画像形成装置2からの電源OFF又は省エネモードへの移行要求の有無を判定する(S2609)。電源OFF又は省エネモードへ移行する場合、つまり画像形成装置2からの電源OFF又は省エネモードへの移行要求が有った場合(S2609:Yes)は、制御部100bは、後処理装置3を停止させる、つまり、後処理装置3の綴じ動作の制御フローを終了する。一方、電源OFF又は省エネモードへ移行しない場合(S2609:No)は、制御部100bは、ステップS2603~S2610の処理を繰り返す。
【0215】
ステップS2603において、液体付与を伴う圧着綴じ処理の指示(圧着綴じ処理要求)が含まれていない場合(S2603:No)、制御部100bは、液体付与手段31による「待機時供給動作」を実行する(S2610)。「待機時供給動作」の詳細は後述する。
【0216】
液体付与手段31による待機時供給動作が終了した後は、制御部100bは、画像形成装置2からの電源OFF又は省エネモードへの移行要求の有無を判定する(S2609)。電源OFF又は省エネモードへ移行する場合つまり画像形成装置2からの電源OFF又は省エネモードへの移行要求が有った場合(S2609:Yes)は、制御部100bは、後後処理装置3を停止させるつまり、後処理装置3の綴じ動作の制御フローを終了する。一方、電源OFF又は省エネモードへ移行しない場合(S2609:No)は、制御部100bは、ステップS2603~S2610の処理を繰り返す。
【0217】
[センサ検知タイミング切替処理]
図27は、センサ検知タイミング切替処理のフローチャートである。制御部100bが、現在設定されている液体供給制御パターンに応じて、第一液位センサ43の検知タイミングを切り替える(S2701)。なお、検知タイミング設定には「常時検知」又は「所定のタイミングで検知」の二つのパターンがある。「常時検知」は、第一液位センサ43を常にON状態にしておく設定である。「所定のタイミングで検知」は、制御部100bが所定のタイミングで第一液位センサ43をON状態にする設定である。
【0218】
制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」であるか否かを判定する(S2701)。そして現在の液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」である場合(S2701:Yes)、制御部100bは、第一液位センサ43の検知タイミングを「常時検知」に設定する(S2702)。
【0219】
一方、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」でない場合、つまり現在設定されている液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」、「節水パターン」及び「超節水パターン」のいずれかである場合(S2701:No)、は、第一液位センサ43の検知タイミングを「所定タイミングで検知」に設定する(S2703)。
【0220】
[後処理装置起動時供給動作]
図28は、後処理装置起動時供給動作の制御フローチャートである。制御部100bが、現在設定されている液体供給制御パターンに応じて、液体給排液動作の種類(図14に記載の「給排液モード」としての各動作)を切り替える(S2801)。
【0221】
後処理装置起動時供給動作の制御フローが開始されると、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「待ち時間短縮パターン」であるか否かを判定する(S2801)。そして現在の液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「待ち時間短縮パターン」である場合(S2801:Yes)、制御部100bは、液体付与手段31に、充填供給制御(図16参照)による充填供給動作を実行させて(S2802)、後処理装置起動時供給動作の制御フローを終了する。
【0222】
一方、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「待ち時間短縮パターン」でない場合、つまり、現在設定されている液体供給制御パターンが「節水パターン」又は「超節水パターン」である場合(S2801:No)、制御部100bは、何もせず後処理装置起動時供給動作の制御フローを終了する。
【0223】
[圧着綴じ処理開始時供給動作]
図29は圧着綴じ処理開始時供給動作の制御フローチャートである。制御部100bが、現在設定されている液体供給制御パターンに応じて、液体給排液動作の種類を切り替える(S2901)。
【0224】
圧着綴じ処理開始時供給動作の制御フローが開始されると、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「待ち時間短縮パターン」であるか否かを判定する(S2901)。そして現在の液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「待ち時間短縮パターン」である場合(S2901:Yes)、制御部100bは、何もせず圧着綴じ処理開始時供給動作制御フローを終了する。これは、後処理装置3の起動時あるいは待機中に液体付与手段31による液体供給動作(充填供給動作、継ぎ足し供給動作)が実行されており、第一貯液タンク44内に液体付与に十分な量の液体が貯留されていると考えられるからである。
【0225】
一方、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「待ち時間短縮パターン」でない場合、つまり、現在設定されている液体供給制御パターンが「節水パターン」又は「超節水パターン」である場合(S2901:No)、制御部100bは、液体付与手段31に、充填供給制御(図16参照)による充填供給動作を実行させて(S2902)、圧着綴じ処理開始時供給動作制御フローを終了する。
【0226】
[圧着綴じ処理実行中供給動作]
図30及びお図31は、圧着綴じ処理実行中供給動作の制御フローチャートである。制御部100bが、現在設定されている液体供給制御パターンに応じて、液体給排液動作の種類を切り替える(S3001)。
【0227】
圧着綴じ処理実行中供給動作の制御フローが開始されると、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」であるか否かを判定する(S3001)。そして、現在の液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」である場合(S3001:Yes)、制御部100bは、液体付与手段31に、継ぎ足し供給制御(図18参照)による継ぎ足し供給動作を実行させる(S3002)。その後、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了するか否かを判定する(S3003)。そして、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了する場合(S3003:Yes)、制御部100bは、圧着綴じ処理実行中供給動作の制御フローを終了する。一方、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了しない場合(S3003:No)、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理が終了するまで(S3003:Yes)、ステップS3002~S3003の処理を繰り返す。そして、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了する場合(S3003:Yes)、制御部100bは、圧着綴じ処理実行中供給動作の制御フローを終了する。
【0228】
一方、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」でない場合(S3001:No)、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」又は「節水パターン」であるか否かを判定する(S3004)。そして、現在の液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」又は「節水パターン」である場合(S3004:Yes)、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理の実行中において実行された、液体付与手段31による液体付与の回数(液体付与回数)が、所定回数(閾値N1)に達しているか否かを判定する(S3005)。そして、液体付与手段31による液体付与回数が所定回数(閾値N1)に達していない場合(S3005:No)、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了するか否かを判定する(S3006)。一方、液体付与手段31による液体付与回数が所定回数(閾値N1)に達している場合(S3005:Yes)、制御部100bは、後処理装置3の動作を停止させず(マシン停止させず)、液体供給ポンプ46による所定量供給動作を行った後(S3007)、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了するか否かを判定する(S3006)。
【0229】
そして、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了する場合(S3006:Yes)、制御部100bは、圧着綴じ処理実行中供給動作の制御フローを終了する。一方、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了しない場合(S3006:No)、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理が終了するまで(S3006:Yes)、ステップS3005~S3007の処理を繰り返す。
【0230】
一方、現在の液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」又は「節水パターン」でない場合(S3004:No)、制御部100bは、現在の液体供給制御パターンが「超節水パターン」であると判定する。この場合、図31に示すように、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理の実行中において実行された、液体付与手段31による液体付与の回数(液体付与回数)が、所定回数(閾値N1)に達しているか判定する(S3008)。そして、液体付与手段31による液体付与回数が所定回数(閾値N1)に達していない場合(S3008:No)、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了するか否かを判定する(S3009)。一方、液体付与回数が所定回数(閾値N1)に達している場合(S3008:Yes)、制御部100bは、後処理装置3の動作を停止させて(マシン停止して)(S3010)、液体付与手段31に、継ぎ足し供給制御(図18参照)による継ぎ足し供給動作を実行させる(S3011)。その後、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了するか否かを判定する(S3009)。
【0231】
そして、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了する場合(S3009:Yes)、制御部100bは、圧着綴じ処理実行中供給動作の制御フローを終了する。一方、圧着手段32による圧着綴じ処理を終了しない場合(S3009:No)、制御部100bは、圧着手段32による圧着綴じ処理が終了するまで(S3009:Yes)、ステップS3008~S3011の処理を繰り返す。
【0232】
[圧着綴じ処理終了時供給動作]
図32は圧着綴じ処理終了時供給動作の制御フローチャートである。制御部100bが、現在設定されている液体供給制御パターンに応じて、液体給排液動作の種類を切り替える(S3201)。
【0233】
圧着綴じ処理終了時供給動作の制御フローが開始されると、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「節水パターン」であるか否かを判定する(S3201)。そして、現在の液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「節水パターン」である場合(S3201:Yes)、制御部100bは、特に液体付与手段31による液体供給動作をせずに、圧着綴じ処理終了時供給動作の制御フローを終了する。
【0234】
一方、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」又は「節水パターン」でない場合(S3201:No)、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」であるか否かを判定する(S3202)。そして、現在の液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」の場合(S3202:Yes)、制御部100bは、液体付与手段31に、継ぎ足し供給制御による継ぎ足し供給動作を実行させる(S3203)。そして、液体付与手段31による継ぎ足し供給動作が終了した後、制御部100bは、圧着綴じ処理終了時供給動作の制御フローを終了する。
【0235】
一方、現在設定されている液体供給制御パターン「待ち時間短縮パターン」でない場合(S3202:No)、制御部100bは、現在の液体供給制御パターンが「超節水モード」であると判定する。この場合、制御部100bは、液体供給ポンプ46に、液体排出制御(図21参照)による液体排出動作を実行させる(S3204)。液体供給ポンプ46による液体排出動作が終了した後、制御部100bは、圧着綴じ処理終了時供給動作の制御フローを終了する。
【0236】
[待機時供給動作]
図33は、待機時供給動作の制御フローチャートである。制御部100bが、現在設定されている液体供給制御パターンに応じて、液体給排液動作の種類を切り替える(S3301)。
【0237】
待機時供給動作の制御フローが開始されると、制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」であるか否かを判定する(S3301)。そして、現在の液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」である場合(S3301:Yes)、制御部100bは、継ぎ足し供給制御による継ぎ足し供給動作を実行し(S3302)、待機時供給動作を終了する。
【0238】
一方、現在設定されている液体供給制御パターンが「常時液体付与スタンバイパターン」でない場合(S3301:No)、次に制御部100bは、現在設定されている液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」であるか否かを判定する(S3303)。そして、現在の液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」である場合(S3303:Yes)、制御部100bは、前回の液体付与手段31における液体供給動作が終了した時点からの経過時間が、経過判定時間としての第三所定時間(T3[sec])経過しているか否かを判定する(S3304)。そして、前記経過時間が、第三所定時間T3を経過していない場合(S3304:No)、制御部100bは、前記経過時間が第三所定時間T3を経過するまでステップS3304の処理を繰り返す(S3304:No)。一方、前記経過時間が、第三所定時間T3を経過している場合(S3304:Yes)、制御部100bは、液体付与手段31に、継ぎ足し供給制御による継ぎ足し供給動作を実行させ(S3305)、待機時供給動作の制御フローを終了する。
【0239】
すなわち、「待ち時間短縮パターン」が選択されたときは、給排液モードに係る液体給排液動作の実行間隔を所定の時間間隔において制御する。
【0240】
一方、現在の液体供給制御パターンが「待ち時間短縮パターン」でない場合、つまり、現在設定されている液体供給制御パターンが「節水パターン」又は「超節水パターン」である場合(S3303:No)、制御部100bは、何もせず待機時供給動作の制御フローを終了する。
【0241】
なお、上述の説明において、後処理装置3の制御部100bは、図1に示すように、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、図51(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、図51(B)に示すように、後処理装置3の制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0242】
また、図52(A)に示すように、後処理装置3の制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3の制御部100b2のみを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、図52(B)に示すように、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3の制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0243】
[端綴じ処理部25の他の実施形態]
図34は、図3に示した端綴じ処理部25の他の実施形態の全体図である。図34に示すように、圧着手段32は、圧着手段回動機構52を備える。圧着手段回動機構52は、上圧着歯32a、及び下圧着歯32bを備えた圧着手段32を、内部トレイ22に載置される用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転させる。圧着手段回動機構52は、圧着手段回転軸54と、圧着手段回動モータ56とを備える。また、液体付与手段31は、内部トレイ22に載置される用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されている液体付与手段回転軸53を中心に正逆方向に回転可能に構成される。液体付与手段回転軸53には、後述する液体付与手段回動機構126の構成部品である姿勢切替レバー111が一体的に取り付けられている。
【0244】
液体付与手段回転軸53及び圧着手段回転軸54は、主走査方向に離間した位置において、互いに平行に延設されている。液体付与手段回転軸53は、ベース部材48に対して、液体付与フレーム31a及び液体付与ベース部材122を正逆方向に回転可能に支持する。圧着手段回転軸54は、ベース部材48に対して圧着フレーム32cを正逆方向に回転可能に支持する。
【0245】
圧着手段回動モータ56は、圧着手段32を正逆方向に回転させるための駆動力を発生させる。圧着手段回動モータ56の駆動力は、図示しないプーリやタイミングベルトを介して圧着手段回転軸54に伝達される。これにより、圧着フレーム32cは、上圧着歯32a及び下圧着歯32bと共に、圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転する。
【0246】
図35及び図36は、上述した液体付与手段31を正逆方向に回転させる液体付与手段回動機構126を説明する図である。液体付与手段回動機構126は、液体付与手段回転軸53と、液体付与手段回転軸53と一体的に回転可能に構成された姿勢切替レバー111とを主に備える。圧着手段32及び液体付与手段31は、ベース部材48に支持されている。このベース部材48が端綴じ処理部移動モータ55によって、案内軸49に沿って綴じ機構ベース116上を主走査方向に移動する。綴じ機構ベース116には姿勢切替爪114と、案内レール115とが設置されている。姿勢切替爪114は、主走査方向の付与姿勢切替位置Eにおいて、綴じ機構ベース116に回転可能に取り付けられており、端綴じ処理部移動モータ55によるベース部材48を介した液体付与手段31の主走査方向への移動により姿勢切替レバー111が回転動作されるように構成されている。
【0247】
姿勢切替レバー111、姿勢切替爪114、及び案内レール115は、液体付与手段31の主走査方向の移動に伴い、液体付与手段31の姿勢を切り替える液体付与手段回動機構126に含まれる。姿勢切替レバー111は、液体付与手段31と一体的に回転する姿勢切替部材の一例である。姿勢切替爪114及び案内レール115は、液体付与手段31の主走査方向の移動の際に、姿勢切替レバー111に当接し、姿勢切替レバー111の姿勢を切り替える姿勢切替手段の一例である。
【0248】
図37は、綴じ機構ベース116に設置されている姿勢切替爪114の構成を示す図である。また、図38は、姿勢切替爪114による姿勢切替レバー111の動作を説明する図である。
【0249】
姿勢切替爪114は、綴じ機構ベース116に設けられた姿勢切替爪回転軸119により回転可能に保持されている。一方、姿勢切替爪114は、綴じ機構ベース116に取り付けられるとともに、他方端が姿勢切替爪114に取り付けられた付勢スプリング117により一方向(図37における姿勢切替爪回転軸119の時計回り方向)に付勢されている。綴じ機構ベース116には、爪ストッパ118が設けられている。図37(A)に示すように、姿勢切替爪114は、時計回り方向の回転が規制される一方、反時計回り方向(図37(A)の矢印方向)の回転が許容されるように構成されている。
【0250】
液体付与手段31は、液体付与手段回動機構126によって、図39(A)~(D)、(H)に示す「平行付与姿勢」と、図39(F)~(G)に示す「斜め付与姿勢」とに切替可能に構成されている。「平行付与姿勢」は、液体付与手段31の短手方向(液体付与部材501の長手方向)が主走査方向に沿う液体付与手段31の姿勢である。「斜め付与姿勢」は、液体付与手段31の短手方向が主走査方向に対して傾斜する液体付与手段31の姿勢である。
【0251】
また、圧着手段32は、圧着手段回動機構52によって、図39(A)~(C)に示す「平行綴じ姿勢」と、図39(D)~(H)に示す「斜め綴じ姿勢」とに切替可能に構成されている。「平行綴じ姿勢」は、圧着手段32の短手方向(上圧着歯32a及び下圧着歯32bの長手方向)が主走査方向に沿う圧着手段32の姿勢である。「斜め綴じ姿勢」は、圧着手段32の短手方向が主走査方向に対して傾斜する圧着手段32の姿勢である。
【0252】
そして、平行付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、平行綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、長手方向が同一の方向を向く。同様に、斜め付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、斜め綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、長手方向が同一の方向を向く。すなわち、液体付与手段31及び圧着手段32は、2つの姿勢の間を同一の角度だけ回転する。また、平行付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、平行綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、互いに重なり合う。同様に、斜め付与姿勢の液体付与手段31の液体付与位置と、斜め綴じ姿勢の圧着手段32の綴じ位置とは、互いに重なり合う。
【0253】
図39は、圧着手段32及び液体付与手段31を「斜め綴じ姿勢」に変更する際の動作手順を説明する図である。
【0254】
図39(A)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、用紙幅領域外の待機位置HPに位置している。また、姿勢切替レバー111は、案内レール115の上側に位置している。次に、図39(B)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、姿勢切替爪114を押し開きながら左方向(図39(B)の矢印の方向)に移動する。
【0255】
液体付与手段31を斜め姿勢に変更する際は、端綴じ処理部移動モータ55を駆動して、圧着手段32と液体付与手段31を保持するベース部材48ごと左方向に移動させる。姿勢切替爪114は反時計周り方向の回転は規制されていない為、姿勢切替レバー111で姿勢切替爪114を押しながら乗り越える(図38(A)、(B)参照)。
【0256】
次に、図39(C)に示すように、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を通過完了したら、端綴じ処理部移動モータ55の駆動を停止し、ベース部材48の主走査方向の左方向への移動を一時停止する。この際に姿勢切替爪114は付勢スプリング117により付勢されて回転規制姿勢に戻っている(図38(C)参照)。
【0257】
次に、図39(D)に示すように、圧着手段回動モータ56は、圧着手段32を正逆方向に回転させるための駆動力を発生させる。圧着手段回動モータ56の駆動力は、図示しないプーリやタイミングベルトを介して圧着手段回転軸54に伝達される。これにより、圧着フレーム32cは、上圧着歯32a及び下圧着歯32bと共に、圧着手段回転軸54周りに正逆方向に回転する。その結果、圧着手段32が斜め姿勢に姿勢が変化する。
【0258】
次に、図39(E)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48が主走査方向の右方向(図39(E)の矢印の方向)に移動する。姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114に接触すると、姿勢切替爪114は時計周り方向の回転は規制されている為、ベース部材48が右方向へ移動しても、姿勢切替レバー111は右方向への移動できず、斜め姿勢に向けて回転を始める(図38(D)、(E)参照)。
【0259】
次に、図39(F)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48が主走査方向の右方向に移動する。姿勢切替レバー111が回転しながら案内レール115の下側に向かって移動する。姿勢切替レバー111が、案内レール115の下側(姿勢切替レバー111の姿勢切替爪回転軸119よりも下側)に移動するとともに、主走査方向に移動する。これにより、姿勢切替爪114は、付勢スプリング117の付勢力に抗して反時計回りに回転させられる。さらに、ベース部材48が右方向に移動することにより、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を乗り越えながら右側に移動する(図38(E)、(F)参照)。これにより、液体付与手段31の斜め姿勢への回転が完了する。
【0260】
すなわち、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を主走査方向の一方端側(左端側)から他方側(右側)に通過するときには、液体付与手段31が平行綴じ姿勢から斜め綴じ姿勢へと回転する。また、平行綴じ姿勢から斜め綴じ姿勢に回転する際には、圧着手段32が先に斜め綴じ姿勢に回転し、その後に液体付与手段31が斜め綴じ姿勢に回転する。
【0261】
次に、図39(G)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を右方向に移動させる。斜め綴じ姿勢の液体付与手段31が液体付与位置に移動したら、液体付与部材501を用紙Pに対して接離させることで液体付与を実行する。
【0262】
次に、図39(H)に示すように、所定枚数の用紙Pからなる用紙束Pbの載置が完了すると圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を左方向に移動させる。斜め綴じ姿勢の圧着手段32が綴じ位置に移動したら、上圧着歯32a及び下圧着歯32bを用紙束Pbに対して接離させることで圧着綴じを実行する。
【0263】
図40は、圧着手段32及び液体付与手段31を「平行綴じ姿勢」(待機位置HPでの姿勢でもある)に変更する際の動作手順を説明する図である。まず、図40(A)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31は、斜め綴じ姿勢であるものとする。
【0264】
次に、図40(B)に示すように、圧着手段32及び液体付与手段31を保持するベース部材48を左方向(図40(B)の矢印方向)に移動させる。姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114に接触すると、姿勢切替爪114は時計周り方向の回転は規制されている為、ベース部材48が左方向へ移動しても、姿勢切替レバー111は左方向への移動できず、図40(B)の時計回りに回転を始める。
【0265】
次に、図40(C)に示すように、ベース部材48を左方向に更に移動させる。姿勢切替レバー111が回転しながら案内レール115の上側に向かって移動する。姿勢切替レバー111が上側に移動したら、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を乗り越えないタイミングで、ベース部材48を右方向に移動させ、液体付与手段31の平行綴じ姿勢への回転を完了する。
【0266】
すなわち、姿勢切替レバー111が姿勢切替爪114を主走査方向の他方端側(右端側)から一方側(左側)通過するときには、液体付与手段31が斜め綴じ姿勢から平行綴じ姿勢へと回転する。また、斜め綴じ姿勢から平行綴じ姿勢に回転する際には、液体付与手段31が先に平行綴じ姿勢に回転し、その後に圧着手段32が平行綴じ姿勢に回転する。
【0267】
上記の構成によれば、平行綴じ姿勢及び斜め綴じ姿勢への回転を、姿勢切替レバー111及び姿勢切替爪114で実現することができる。また、液体付与手段31及び圧着手段32の回転タイミングをずらすことによって、一緒に回転させるよりも制御がシンプルになる。さらに、斜め綴じ姿勢への回転の際に圧着手段32の後に液体付与手段31を回転させ、平行綴じ姿勢への回転の際に液体付与手段31の後に圧着手段32を回転させることによって、液体付与手段31及び圧着手段32の干渉を避けることができる。
【0268】
次に、図40(D)に示すように、圧着手段回動モータ56を駆動することにより、圧着手段32を図40(D)の時計回りに回転させ、圧着手段32の平行綴じ姿勢に移動を完了する。
【0269】
なお、上述した他の実施形態では、液体付与手段回転軸53は、姿勢切替レバー111と一体になって回転するように構成しているが、液体付与手段回転軸53は、姿勢切替レバー111からギヤ列やタイミングベルトを介して離れた場所で連動して回転するように構成してもよい。
【0270】
図41は、上圧着歯32a及び下圧着歯32b及び液体付与部材501それぞれの先端部の長手方向(すなわち、長辺)を、主走査方向に一致させた「平行綴じ姿勢」(第1綴じ姿勢)で用紙束Pbの幅方向の複数個所に平行綴じを行う場合を示したものである。
【0271】
まず、用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、液体付与手段31が第一液体付与位置B1に位置するように、端綴じ処理部25を図41(A)の待機位置HPから図41(B)に示す第一液体付与位置B1に移動させる。
【0272】
そして、内部トレイ22に支持された用紙Pの主走査方向及び搬送方向の位置揃えが完了すると、第一液体付与位置B1に位置する液体付与手段31が用紙Pに対して液体付与を実行する。第一液体付与位置B1における液体付与が完了すると、液体付与手段31は、図41(C)に示すように、第二液体付与位置B2まで移動する。そして、移動が完了したら第二液体付与位置B2において用紙Pに対して液体付与を実行する。
【0273】
そして、上述した図41(B)及び図41(C)に示した液体付与処理を、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数(用紙束Pbを構成する枚数)に達するまで繰り返し実行する。
【0274】
その後、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数に達したら、図41(D)に示すように、圧着手段32が第二綴じ位置B2に位置するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。そして、移動が完了したら圧着手段32は、第二綴じ位置B2において用紙束Pbに対して圧着綴じを実行する。第二綴じ位置B2における圧着綴じが完了すると、図41(E)に示すように、圧着手段32が第一綴じ位置B1に位置するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。そして、移動が完了したら、圧着手段32は、第一綴じ位置B1において用紙束Pbに対して圧着綴じを実行する。
【0275】
そして、第一綴じ位置B1における圧着綴じ処理が完了すると、端綴じ処理部25を図41(A)の待機位置HPに移動させて綴じ処理を終了する。
【0276】
また、上記の実施形態では、液体付与手段31及び圧着手段32を1つずつ設けた例を示したが、液体付与手段31及び圧着手段32の数はこれに限定されない。他の例として、2つの液体付与手段31L、31Rと、2つの圧着手段32L、32Rとを備えてもよい。
【0277】
[後処理装置3の第二実施形態]
次に、図42図50を参照して、第二実施形態に係る後処理装置3Aを説明する。なお、第一実施形態に係る後処理装置3と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0278】
第二実施形態に係る後処理装置3Aの端綴じ処理部251は、液体付与手段31と圧着手段32が併設された第一実施形態に係る後処理装置3の端綴じ処理部25とは異なり、圧着手段32´のみを備え、液体付与手段131のみを搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与処理後に所定枚数の用紙Pをプレスタックして、下流側に設けられた端綴じ処理部251の圧着手段32´へ搬送することができるので、圧着手段32´での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0279】
また、搬送ローラ対10、11、14が用紙Pを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。また、液体付与手段131によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着手段32´が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号(B1)を付して説明する。
【0280】
図42は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの内部構造を示す図である。端綴じ処理部251は、図43に示すように、圧着手段32´のみを備えている。図43に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。
【0281】
さらに、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340及び針綴じ手段回転軸84を中心に正逆方向に回転可能に構成されている。すなわち、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、コーナー斜め綴じ、平行一箇所綴じ、平行二箇所綴じなどのように、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0282】
また、圧着手段32´は、凹凸状の上圧着歯32a及び下圧着歯32bで用紙束Pbを加圧変形させることによって、用紙束Pbを綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。一方、針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束Pbを針綴じすることができる。
【0283】
図43は、内部トレイ22を用紙束Pbの厚み方向から見た模式図である。図44は、圧着手段32´を搬送方向の下流側から見た模式図である。図43に示すように、圧着手段32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面に沿って主走査方向に移動可能に構成されている。そして、圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。
【0284】
また、針綴じ処理部156についても同様に、用紙束Pbの主走査方向に移動可能に構成されている。そして、針綴じ処理部156は、用紙束Pbの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸84を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。なお、針綴じ処理部156のその他の構成は、第一実施形態に係る後処理装置3の針綴じ処理部155(図6参照)と同様なので詳細な説明は省略する。
【0285】
圧着手段32´は、図44に示すように、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール337が主走査方向に延設されている。圧着手段32´は、駆動源である圧着手段移動モータ238を備えている。また、圧着フレーム32cを支持するベース部材48は、その底部にタイミングベルト240cとの締結部48bを備えている。これにより、圧着手段移動モータ238の駆動力が、プーリ240a、240bと、タイミングベルト240cと、締結部48bとを備える駆動伝達機構240によりベース部材48に伝達されることによって、圧着手段32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール337)に沿って、主走査方向に移動する。さらに、圧着手段32´の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ340aを備えた圧着手段回転軸340が固定されている。
【0286】
また、圧着手段回転軸340及び駆動伝達ギヤ340aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。駆動伝達ギヤ340aは、圧着手段回動モータ239の出力ギヤ239aと噛み合っている。そして、圧着手段32´は、圧着手段回動モータ239の駆動力が、出力ギヤ239a及び駆動伝達ギヤ340aを介して圧着手段回転軸340に伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる圧着手段回転軸340を中心として、ベース部材48上で正逆方向に回転する。ガイドレール337、圧着手段移動モータ238、圧着手段回動モータ239、圧着手段回転軸340、及び駆動伝達機構240は、圧着手段32´の駆動機構の一例を構成する。
【0287】
圧着手段32´は、図43(A)に示す待機位置HP2と、図43(B)及び図43(C)に示す第一綴じ位置B1に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置HP2は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbから主走査方向の一方側に外れた位置である。第一綴じ位置B1は、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上の位置である。但し、第一綴じ位置B1の具体的な位置は、図43の例に限定されず、用紙Pの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0288】
また、圧着手段32´は、図43(B)に示す平行綴じ姿勢と、図43(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢が変化する。つまり、圧着手段32´は、圧着手段回転軸340を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。ここで、平行綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く圧着手段32´の姿勢である。また、斜め綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着手段32´の姿勢である。
【0289】
なお、斜め綴じ姿勢における回動角度(主走査方向に対する上圧着歯32a及び下圧着歯32bの角度)は、図43(C)の例に限定されず、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに上圧着歯32a及び下圧着歯32bが対面していれば、任意の角度でよい。
【0290】
後処理装置3Aは、液体付与手段131と、パンチ孔穿設手段132(処理部)とを備える。液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、内部トレイ22より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10~19によって搬送される1枚の用紙Pに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。
【0291】
本実施形態に係る液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11の間に配置されている。但し、液体付与手段131の配置は、図42の例に限定されない。例えば、図50に示すように画像形成装置2と後処理装置3Aの間にインサーター6が配置されている場合は、液体付与手段131を後処理装置3Aの上流側に位置するインサーター6内に設けることもできる。インサーター6としては、画像形成装置2から搬送された用紙Pとともに後処理装置3Aに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙又は仕切紙として、画像形成装置2を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0292】
また、搬送ローラ対11は、図45(A)に示すように、液体付与手段131の液体付与ヘッド146により液体が付与された用紙Pの第一液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対11が用紙Pを搬送する際に、複数のローラ対が、第一液体付与位置B1を押圧することにより第一液体付与位置B1の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Pが、液体付与手段131よりも逆搬送方向の下流側に設けられた圧着手段32´に到達した時点で、第一液体付与位置B1の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で第一液体付与位置B1(第一綴じ位置B1に相当)の液量が減少することによる用紙束Pbの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0293】
更に、搬送ローラ対11を構成する複数のローラ対を、用紙Pの第一液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Pの搬送性が悪化することや、搬送性の悪化が原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。
【0294】
なお、以上では搬送ローラ対11についてのみ説明したが、搬送ローラ対14~15を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Pの第一液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0295】
液体付与手段131は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに液体を付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。パンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与手段131に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設手段132に限定されず、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pの傾き(スキュー)を補正する傾き補正部でもよい。
【0296】
図45は、第二実施形態に係る液体付与手段131を用紙Pの厚み方向から見た図である。図46は、図45のXXV-XXVにおける断面図である。図47は、図45のXXVI-XXVIにおける断面図である。図45図47に示すように、液体付与手段131は、一対のガイド軸133a、133bと、一対のプーリ134a、134bと、無端環状ベルト135、136と、液体付与手段移動モータ137と、待機位置センサ138と、液体付与ユニット140とを備える。
【0297】
一対のガイド軸133a、133bは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸133a、133bは、後処理装置3Aの一対の側板4a、4bに支持されている。そして、一対のガイド軸133a、133bは、液体付与ユニット140を主走査方向に移動可能に支持する。
【0298】
一対のプーリ134a、134bは、逆搬送方向における一対のガイド軸133a、133bの間に配置されている。また、一対のプーリ134a、134bは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ134a、134bは、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能に、後処理装置3Aのフレームに支持されている。
【0299】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部135aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与手段移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与手段移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0300】
液体付与手段移動モータ137が回転することによって、プーリ134a及び駆動プーリ137aの間を無端環状ベルト136が周回し、プーリ134aを回転させる。また、プーリ134aが回転することによって、一対のプーリ134a、134bの間を無端環状ベルト135が周回する。これにより、液体付与ユニット140は、一対のガイド軸133a、133bに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与手段移動モータ137の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット140は、主走査方向に往復移動する。
【0301】
待機位置センサ138は、液体付与ユニット140が主走査方向の待機位置HP1(図45参照)に到達したことを検知し、検知結果を示す待機位置信号を後述する制御部100b(図48参照)に出力する。待機位置センサ138は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機位置の液体付与ユニット140は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ138は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。但し、待機位置センサ138の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0302】
図46に示すように、後処理装置3A内の搬送路は、用紙Pの厚み方向に離間して配置された上ガイド板5a及び下ガイド板5bによって画定される。そして、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aの開口を通じて搬送路(すなわち、用紙Pに対面し得る位置)に対面して配置されている。
【0303】
図45図47に示すように、液体付与ユニット140は、ベース部材141と、回転ブラケット142と、貯液タンク143と、液体付与ヘッド移動手段144と、保持部材145と、液体付与ヘッド146と、柱状部材147a、147bと、押圧板148と、コイルバネ149a、149bと、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151(図48参照)と、待機角度センサ152(図48参照)とを備える。
【0304】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部135aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品142~152を支持している。
【0305】
回転ブラケット142は、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能にベース部材141の下面に取り付けられている。また、回転ブラケット142は、付与ヘッド回動モータ150の駆動力が伝達されることによって、ベース部材141に対して正逆方向に回転する。さらに、回転ブラケット142は、貯液タンク143、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bを保持している。
【0306】
待機角度センサ152(図48参照)は、回転ブラケット142が待機角度に到達したことを検知し、検知結果を示す待機角度信号を制御部100bに出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ152は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット142は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ152は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。但し、待機角度センサ152の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0307】
なお、図45(A)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が平行綴じする際の状態を示している。また、図45(B)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の圧着手段32´が斜め綴じ(角綴じ)する際の状態を示している。
【0308】
貯液タンク143は、用紙Pに付与するための液体を貯留する。液体付与ヘッド移動手段144は、用紙Pの厚み方向に移動(例えば昇降)可能に貯液タンク143に取り付けられている。また、液体付与ヘッド移動手段144は、付与ヘッド移動モータ151の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク143に対して移動する。保持部材145は、液体付与ヘッド移動手段144の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド146は、保持部材145から搬送路に向けて(本実施形態では、下方)に突出している。また、液体付与ヘッド146には、貯液タンク143に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド146は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0309】
柱状部材147a、147bは、液体付与ヘッド146の周囲において、保持部材145から下方に突出している。また、柱状部材147a、147bは、保持部材145に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材147a、147bは、下端で押圧板148を保持している。押圧板148には、液体付与ヘッド146に対面する位置に貫通口148aが形成されている。コイルバネ149a、149bは、保持部材145と押圧板148との間において、柱状部材147a、147bに外挿されている。そして、コイルバネ149a、149bは、柱状部材147a、147b及び押圧板148を、保持部材145から離間する方向に向かって付勢する。
【0310】
図46(A)及び図47(A)に示すように、上ガイド板5aの開口に対面する位置に用紙Pが搬送される前の段階では、押圧板148は開口の位置又は開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対10、11によって搬送された用紙Pの第一液体付与位置B1が開口に対面する位置で停止すると、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させる。これにより、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって下降して、押圧板148が用紙Pに当接する。なお、第一液体付与位置B1とは、端綴じ処理部251(すなわち圧着手段32´)によって圧着綴じされる予定の位置(すなわち、第一綴じ位置B1)である。
【0311】
そして、押圧板148が用紙Pに当接した後も付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、コイルバネ149a、149bが圧縮されて、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、及び柱状部材147a、147bがさらに下降する。そして、図46(B)及び図47(B)に示すように、液体付与ヘッド146の下面が貫通口148aを通じて用紙Pに当接する。その結果、液体付与ヘッド146に含まれる液体が用紙Pに付与される。
【0312】
さらに、図46(C)及び図47(C)に示すように、付与ヘッド移動モータ151をさらに第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Pに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに対する液体付与ヘッド146の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0313】
一方、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向と逆向きの第二の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって上昇する。これにより、図46(A)及び図47(A)に示すように、液体付与ヘッド146及び押圧板148が用紙Pから離間する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに切離可能な液体付与ヘッド146を備える。
【0314】
図48は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。図48に示すように、後処理装置3Aは、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、I/F105とが共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0315】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3A全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0316】
後処理装置3Aは、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3Aの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3Aに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3Aの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101と、RAM102と、ROM103と、HDD104と、I/F105とは、後処理装置3Aの動作を制御する制御部100B(制御手段)を構成する。
【0317】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、圧着手段移動モータ238と、圧着手段回動モータ239と、接離モータ32dと、液体付与手段移動モータ137と、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151と、待機位置センサ138と、待機角度センサ152と、パンチ孔穿設手段132と、操作パネル110と、を共通バス109に接続するインタフェースである。
【0318】
制御部100bは、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15と、切替爪20と、サイドフェンス24L、24Rと、圧着手段移動モータ238と、圧着手段回動モータ239と、接離モータ32dと、液体付与手段移動モータ137と、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151と、パンチ孔穿設手段132の動作を制御する。また、制御部100bは、I/F105を通じて、待機位置センサ138、待機角度センサ152の検知結果を取得する。
【0319】
なお、図48には主に端綴じ処理を実行する端綴じ処理部251(圧着手段32´)及び液体付与手段131の構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28の構成部品も同様に制御部100bによって制御される。
【0320】
図50に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。また、後処理装置3Aに上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0321】
図49は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの後処理のフローチャートである。具体的には、図49は、図43に示す一箇所綴じ処理を実行する際のフローチャートである。
【0322】
制御部100bは、例えば、画像形成装置2から後処理の実行指示(以下、「後処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、図49に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「所定枚数Np」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの部数(以下、「必要部数Mp」と表記する。)と、第一綴じ位置B1(第一液体付与位置B1に相当)と、第一綴じ位置B1の角度(第一液体付与位置B1の角度に相当)と、綴じ処理の種類(平行綴じ処理、斜め綴じ処理)と、液体付与処理と並行して実行される処理(本実施形態では、パンチ孔の穿設)とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット140は待機位置HP1(図45参照)に位置し、回転ブラケット142は待機角度(「平行綴じ姿勢」に相当)に保持されているものとする。
【0323】
まず、制御部100bは、液体付与手段移動モータ137を駆動することによって、液体付与ユニット140(液体付与手段に相当)を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド146を待機位置HP1から第一液体付与位置B1(図45(B)参照。図43の第一綴じ位置B1に相当する位置)に対面し得る位置に移動させる。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150を駆動し、回転ブラケット142を回転させることで、液体付与ヘッド146を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する液体付与角度に回転させる(S4901)。液体付与ヘッド146が、第一液体付与位置B1に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与手段移動モータ137及び付与ヘッド回動モータ150のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した回転ブラケット142を回転させる動作を省略する。すなわち、液体付与ユニット140は、回転ブラケット142を待機角度に保持したまま主走査方向に移動する。
【0324】
また、制御部100bは、圧着手段移動モータ238を駆動することによって、図43(A)、図43(B)に示すように、圧着手段32´を待機位置HP2から第一綴じ位置B1に対面し得る位置に移動させる(S4901)。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部100bは、圧着手段回動モータ239を駆動することにより、圧着手段32´を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する圧着綴じ角度に回転させる(S4901)。圧着手段32´が、第一綴じ位置B1に対面し得る位置、及び圧着綴じ角度に達したことは、圧着手段移動モータ238及び圧着手段回動モータ239のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部100bは、上述した圧着手段32´を回転させる動作を省略する。すなわち、圧着手段32´は、待機角度を保持したまま主走査方向に移動する。
【0325】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11を駆動することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pの搬送を開始する(S4902)。そして、制御部100bは、用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ユニット140(より詳細には、液体付与ヘッド146)に対面したか否かを判定する(S4903)。用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面していないと判定した場合(S4903:No)、制御部100bは、用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ユニット140に対面するまで(S4903:Yes)、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を継続する。一方、用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面していると判定した場合(S4903:Yes)、制御部100bは、搬送ローラ対10、11による用紙Pの搬送を停止する(4904)。用紙Pの第一液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面したことは、搬送ローラ対10、11を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0326】
制御部100bは、液体付与ユニット140によって用紙Pの第一液体付与位置B1に液体を付与する処理を実行する (S4905)。より詳細には、制御部100bは、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pの第一液体付与位置B1に当接させる。また、制御部100bは、用紙Pに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド146の押し付け力(すなわち、付与ヘッド移動モータ151の回転量)を変更する。
【0327】
用紙Pに対する液体付与量は、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して同一でもよいし、用紙P毎に異なっていてもよい。例えば、制御部100bは、後に搬送される用紙Pほど液体付与量を減少させてもよい。また、付与ヘッド移動モータ151の回転量は、付与ヘッド移動モータ151のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0328】
次に、制御部100bは、搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙Pを内部トレイ22に載置する(S4906)。また、制御部100bは、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する(S4906)。
【0329】
次に、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が、後処理指示で指示された所定枚数Npに達したか否かを判定する(S4907)。そして、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Npに達していないと判定したことに応じて(S4907:No)、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が所定枚数Npに達するまで(S4907:Yes)、ステップS4902~S4907の処理を繰り返し実行する。
【0330】
一方、制御部100bは、内部トレイ22に載置された用紙Pの枚数が前記所定枚数Npに達したと判定した場合(S4907:Yes)、圧着手段32´に、液体付与ユニット140によって液体付与された用紙Pを含む用紙束Pbの第一綴じ位置B1(用紙Pの第一液体付与位置B1に相当)を圧着綴じさせる(S4908)。さらに、制御部100bは、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する(S4908)。
【0331】
次に、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、後処理指示で示された必要部数Mpに達したか否かを判定する(S4909)。制御部100bは、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mpに達していないと判定した場合(S4909:No)、排出された用紙束Pbの部数が必要部数Mpに達するまで(S4909:Yes)、ステップS4902~S4909の処理を繰り返し実行する。
【0332】
一方、制御部100bは、排出トレイ26に排出された用紙束Pbの部数が、必要部数Mpに達したと判定した場合(S4909:Yes)、液体付与手段移動モータ137を駆動して液体付与ユニット140を待機位置HP1(図45参照)に移動させるとともに、圧着手段移動モータ238を駆動して圧着手段32´を待機位置HP2(図43参照)に移動させる(S4910)。また、後処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部100bは、付与ヘッド回動モータ150及び圧着手段回動モータ239を駆動して、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)に回転させる(S4910)。一方、後処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を平行綴じ姿勢(待機角度)へ回転させる動作は省略される。なお、ステップS4901、S4910において、液体付与ユニット140及び圧着手段32´を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0333】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25のみならず、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28にも適用することができる。
【0334】
また、図42に示した第二実施形態に係る後処理装置3Aの制御部100bについても、図1と同様に、画像形成装置2の制御部100aとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、図51(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、図51(B)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0335】
また、図52(A)と同様に、後処理装置3Aの制御部100bを機能別に制御部100b1(例えば駆動部系(モータ等))と制御部100b2(検知部系(センサー等))に分割し、一方の後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2側に設けてもよい。さらに、図52(B)と同様に、画像形成装置2側に設けられた後処理装置3Aの制御部100b2を画像形成装置2の制御部100aと一体的に構成してもよい。
【0336】
なお、上記に説明した制御部100bによる制御方法は、既に説明のとおり、コンピュータのハードウェア資源をとコンピュータソフトウェアとしてのプログラムとの協働により実現される。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0337】
そして、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0338】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>
少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯留する第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯留する第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、
異なる種類の前記液体供給動作の組み合わせからなる液体供給制御パターンを保持する制御パターン保持手段と、
前記液体供給制御パターン及び前記後処理手段の動作状況に基づいて、前記液体供給動作の実行を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする媒体処理装置である。
<2>
前記液体供給制御パターンは、常時液体付与準備完了パターン、待ち時間短縮パターン、及び節水パターンの少なくとも2つを含む、
前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3>
異なる種類の前記液体供給動作は、充填供給動作、継ぎ足し供給動作、及び所定量供給動作の少なくとも2つを含む、
前記<1>又は前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4>
前記制御手段は、前記後処理手段の動作開始時において、前記液体供給手段に、前記液体供給動作の一つである充填供給動作をさせる、
前記<1>乃至前記<3>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<5>
前記後処理手段は、前記媒体束を加圧変形させて綴じる圧着手段である
前記<1>乃至前記<4>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<6>
前記第一貯液部に貯留されている液体を検知する液体検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体検知手段の検知タイミングを切り替える、
前記<1>乃至前記<5>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<7>
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、媒体処理装置の起動時における前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
前記<1>乃至前記<6>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<8>
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の開始時における前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
前記<1>乃至前記<7>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<9>
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の実行中における前記液体供給動作の種類を切り替える、
前記<1>乃至前記<8>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<10>
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の終了時における前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
前記<1>乃至前記<9>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<11>
前記制御手段は、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体付与を伴う前記処理の終了時における、前記第一貯液部から前記第二貯液部へ前記液体を排出する液体排出動作の実行の有無を切り替える、
前記<1>乃至前記<10>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<12>
前記制御手段は、前記液体付与が一定期間実行されなかったときは、前記液体供給制御パターンに応じて、前記液体供給動作の実行の有無を切り替える、
前記<1>乃至前記<11>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<13>
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に対し前記処理を施す前記<1>乃至前記<12>のいずれか一つに記載の媒体処理装と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
<14>
少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯留する第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯留する第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、
異なる種類の前記液体供給動作の組み合わせからなる液体供給制御パターンを任意に選択可能とする制御パターン選択手段と、
前記制御パターン選択手段によって選択された前記液体供給制御パターン及び前記後処理手段の動作状況に基づいて、前記液体供給動作の実行を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする媒体処理装置である。
<15>
前記制御パターン選択手段は、操作部であり、
前記制御手段は、前記操作部からの入力情報に基づいて、前記液体供給手段に、前記液体供給動作の一つである充填供給動作を実行させる、
前記<14>に記載の媒体処理装置である。
<16>
前記液体付与を伴う前記処理の情報を蓄積する情報蓄積手段を備え、
前記制御パターン選択手段は、前記処理の情報に応じて前記液体供給制御パターンを選択する、
前記<14>又は<15>に記載の媒体処理装置である。
<17>
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された少なくとも一枚の媒体の一部に液体付与をする液体付与手段と、
前記液体付与手段において液体付与をされた少なくとも一枚の前記媒体を含む媒体束に処理を施す後処理手段と、
前記液体付与手段による液体付与に用いられる液体を貯留する第一貯液部と、
前記第一貯液部に供給される前記液体を貯留する第二貯液部と、
前記第二貯液部から前記第一貯液部に前記液体を供給する液体供給動作を実行する液体供給手段と、を備えた媒体処理装置と、
異なる種類の前記液体供給動作の組み合わせからなる液体供給制御パターンを保持する制御パターン保持手段と、
前記液体供給制御パターン及び前記後処理手段の動作状況に基づいて、前記液体供給動作の実行を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0339】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
25 :端綴じ処理部
31 :液体付与手段
32 :圧着手段
42 :液体付与部移動モータ
43 :第一液位センサ
44 :第一貯液タンク
45 :液体供給経路
46 :液体供給ポンプ
47 :第二貯液タンク
50 :液体供給部材
51 :セット検知センサ
71 :開閉カバー
72 :本体側板
100a,100b :制御部
110 :操作パネル
471 :給液弁
501 :液体付与部材
611 :液抜き栓
【先行技術文献】
【特許文献】
【0340】
【特許文献1】特開2018-199245号公報
図1
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