(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137778
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/06 20060101AFI20240927BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J11/06
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033222
(22)【出願日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2023048105
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】江藤 大貴
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB36
2C056EC12
2C056EC26
2C056EC35
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA29
2C058AB15
2C058AB22
2C058AC07
2C058AD09
2C058AE02
2C058AE07
2C058AF31
2C058DA11
2C058DA28
2C058DA29
2C058DA30
2C058DA31
2C058DA42
(57)【要約】
【課題】印刷範囲にある印刷対象の高さを簡単に調整可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷対象を支持可能な第1平面を有する第1支持体であって、第1支持体の第1平面の所定複数個所に位置決め部(溝部40a)を有する第1支持体(第1プラテン40)と、印刷対象を支持可能な第2平面を有する第2支持体であって、第2平面を第1平面よりも高い位置に保持した状態で、所定複数個所の位置決め部に対して選択的に位置決め可能な被位置決め部(突起部46a)を有する第2支持体と(第2プラテン46)、を有することを特徴とする印刷装置1である。
【選択図】
図2D-B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象を支持可能な第1平面を有する第1支持体であって、当該第1支持体の前記第1平面の所定複数個所に位置決め部を有する第1支持体と、
印刷対象を支持可能な第2平面を有する第2支持体であって、前記第2平面を前記第1平面よりも高い位置に保持した状態で、前記所定複数個所の位置決め部に対して選択的に位置決め可能な被位置決め部を有する第2支持体と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1支持体の前記位置決め部が、前記第1平面にマトリックス状に形成されていることを特徴とする請求項1の印刷装置。
【請求項3】
前記位置決め部がマトリックス状の溝部によって形成され、当該マトリックス状の溝部によって前記第1平面がマトリックス状に並んだ複数の矩形板状部に形成されていることを特徴とする請求項2の印刷装置。
【請求項4】
前記位置決め部がマトリックス状に並んだ複数の円柱状の凸部によって形成され、当該凸部の上面に前記第1平面が円形に形成されていることを特徴とすることを特徴とする請求項2の印刷装置。
【請求項5】
前記第2支持体が、前記所定複数個所の位置決め部の少なくとも2つに対して位置決め可能な2つの前記被位置決め部を有することを特徴とする請求項1の印刷装置。
【請求項6】
前記第2支持体が、前記第1支持体の矩形板状部に対応した大きさの矩形板状に形成されると共に、当該矩形板状の第2支持体の四辺の下部に、前記矩形板状部の周囲の前記マトリックス状の溝部に嵌合可能であって前記被位置決め部となる突起部が形成されていることを特徴とする請求項3の印刷装置。
【請求項7】
前記第2支持体が、前記第1支持体の前記円柱状の凸部に嵌合可能な円筒状の前記被位置決め部を有することを特徴とする請求項4の印刷装置。
【請求項8】
前記第1支持体の前記円柱状の凸部の外周面に雄ネジが形成されていると共に、前記第2支持体の前記円筒状の被位置決め部の内周面に雌ネジが形成され、前記第2支持体の前記円筒状の被位置決め部を回転させて前記雄ネジと前記雌ネジを螺合させることで、前記円筒状の被位置決め部を前記位置決め部である円柱状の凸部に位置決め可能とされていることを特徴とする請求項7の印刷装置。
【請求項9】
前記第2平面の一端部が柱部を介して前記第2支持体の本体に連結されていることを特徴とする請求項1の印刷装置。
【請求項10】
液体を吐出する吐出部を備え、前記第1支持体の上方において水平方向に移動可能なキャリッジと、
前記第1支持体を水平移動及び上下移動する移動手段と、
前記第1支持体にセットされた印刷対象の高さを検知する高さセンサと、
前記高さセンサの検知結果に基づいて前記移動手段によって前記第1支持体を上下移動することで前記キャリッジと前記印刷対象との間隔を調整可能にしたことを特徴とする請求項1の印刷装置。
【請求項11】
前記高さセンサの検知結果に基づいて印刷範囲を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項10の印刷装置。
【請求項12】
前記高さセンサの検知結果に基づいて印刷画像と印刷範囲を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項11の印刷装置。
【請求項13】
前記印刷画像と前記印刷範囲に対応する前記第1支持体の前記第1平面の領域に、前記第2平面を位置させるように、前記第2支持体の前記被位置決め部を前記第1支持体の位置決め部に位置決め可能にした請求項12の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象を支持可能な第1支持体と第2支持体を有する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、例えばTシャツなどの布地に印刷を行う捺染装置がある。印刷対象としてのTシャツ、靴下、ハンカチなどは、形状やサイズが必ずしも一定ではない。そのため、印刷対象を保持部材(プラテン)にセットするときに皺が発生し易くなるという課題がある。
【0003】
そこで、この種の捺染装置として、従来、特許文献1(特開2021‐138042号公報)のように、印刷対象を支持する複数の支持体を備え、複数の支持体は、第1方向及び当該第1方向と交差する第2方向に並べて配置され、支持体は、少なくとも、第1位置と、当該第1位置とは異なる第2位置とに移動可能であることを特徴とする印刷装置が知られている。
【0004】
また、特許文献2(特開2003-311938号公報)のように、被印刷体の印刷面がセットされる平板状のプラテンが、印刷面に印刷をする印字ヘッドに対して所定の間隙を保持して、第1の位置と第2の位置の間を水平に移動して印刷が行われるインクジェットプリンタの印字ヘッド干渉物検出方法において、プラテン移動時に移動方向に直交する前記印刷面上の干渉物をセンサで検出することを特徴とする印字ヘッド干渉物検出方法が知られている。
【0005】
また、特許文献3(特開2004-291399号公報)のように、布帛の表面に対しインクを吐出するインクジェットヘッドと、布帛をセット可能で、セットしたときにインクが吐出される第1の表面を形成する第1のプラテンとを備え、インクジェットヘッドと第1のプラテンとが所定の距離を維持しながら相対的に移動することにより、第1のプラテンにセットされた第1の表面に所望の画像を印刷するインクジェット式布帛印刷装置において、第1のプラテンには、布帛(Tシャツ)に形成されたポケット部をセット可能であって、ポケット部をセットしたときにインクが吐出される第2の表面を形成される第2のプラテンを、着脱可能に備えた印刷装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、印刷対象における印刷範囲がポケットや釦のような隆起部すなわち干渉物の近くに設定されていると、当該隆起部(干渉物)をセンサが検知する結果、印刷範囲の上方に位置するキャリッジと印刷対象との間隔が大き過ぎて印刷不良となることがあった。
【0007】
そこで本発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、印刷範囲にある印刷対象の高さを簡単に調整可能な印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため、本発明における印刷装置は、印刷対象を支持可能な第1平面を有する第1支持体であって、当該第1支持体の前記第1平面の所定複数個所に位置決め部を有する第1支持体と、印刷対象を支持可能な第2平面を有する第2支持体であって、前記第2平面を前記第1平面よりも高い位置に保持した状態で、前記所定複数個所の位置決め部に対して選択的に位置決め可能な被位置決め部を有する第2支持体と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷範囲にある印刷対象の高さを、第2支持体の第2平面によって簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施形態に係る印刷装置の斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係る印刷装置の平面図である。
【
図1C】本発明の実施形態に係る印刷装置の正面図である。
【
図2D-B】プラテンにTシャツをセットした状態を示す平面図である。
【
図2E-B】印刷装置の制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2F-A】第1プラテン上に第2プラテンを配置した状態の平面図である。
【
図2F-B】印刷用ジョブに書き込むデータを説明する図である。
【
図2F-C】印刷用ジョブに書き込むデータを説明する図である。
【
図2G-A】第2プラテンの高さを高さセンサで検知する状態を示す平面図である。
【
図2G-B】第2プラテンの高さを高さセンサで検知する状態を示す平面図である。
【
図2G-C】第2プラテンの高さを高さセンサで検知する状態を示す平面図である。
【
図2G-D】第2プラテンの高さを高さセンサで検知する状態を示す平面図である。
【
図2H】印刷工程を説明するためのフローチャートである。
【
図3A】第2実施形態に係る印刷装置の第1プラテンの正面図である。
【
図3B】第2実施形態に係る印刷装置の第2プラテンの斜視図である。
【
図3C】第2実施形態に係る印刷装置の第2プラテンの側面図である。
【
図3D】第2実施形態に係る印刷装置の第1プラテンに第2プラテンを嵌合する状態を示す正面図である。
【
図3E-A】第1プラテンと第2プラテンを装着した第2実施形態に係る印刷装置の平面図である。
【
図3E-B】第2プラテンに靴下をセットした状態の平面図である。
【
図4A】第3実施形態に係る印刷装置の第1プラテンの平面図である。
【
図4B】第1プラテンに第2プラテンを装着した状態の正面図である。
【
図5A】第4実施形態に係る印刷装置の第1プラテンの平面図である。
【
図6A】第5実施形態に係る印刷装置の第1プラテンの平面図である。
【
図6B】第2プラテンの斜め上方から見た斜視図である。
【
図6C】第1プラテンに第2プラテンを装着する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
●第1実施形態
図1A-
図2Hを参照して第1実施形態に係る印刷装置を説明する。
図1Aは印刷装置の斜視図、
図1Bは同装置の平面図、
図1Cは同装置の正面図である。
【0013】
印刷装置1は、液体を吐出する吐出部としてのヘッド10を備えたキャリッジ11を有する。ヘッド10のノズル10aから液体が下方の印刷対象(例えば
図1Cの布地400)に向けて吐出される。印刷対象は後述する第1プラテン40の上に支持される。
【0014】
このキャリッジ11は、主走査方向Xに配設された互いに平行なガイド部材12、13に摺動自在に保持されている。ガイド部材13の手前側には、機枠を構成する正面視で逆U字状の横断フレーム2が配設されている。キャリッジ11は、後述するタイミングベルト17により、
図1A-
図1Cで左右方向(主走査方向X)に移動可能とされている。
【0015】
印刷装置1の主走査方向Xの両端に、駆動プーリ15と従動プーリ16が配設されている。これら駆動プーリ15と従動プーリ16との間に、タイミングベルト17が掛け回されている。
【0016】
駆動プーリ15が主走査モータ14で回転されることで、タイミングベルト17が回転駆動される。キャリッジ11はタイミングベルト17に連結されている。主走査モータ14を正転駆動または逆転駆動することにより、キャリッジ11を主走査方向Xに移動させることができる。
【0017】
エンコーダシート18が主走査方向Xに沿って配置されている。このエンコーダシート18に、周期的なスリットが設けられている。
【0018】
キャリッジ11は、エンコーダシート18のスリットを読み取る読取りセンサを有する。この読取りセンサの読取り結果から、主走査方向Xにおけるキャリッジ11の位置を検出可能に構成されている。コントローラボード50は、キャリッジ11の読取りセンサの読取り結果で得られるキャリッジ位置から、液体であるインクを吐出すべき位置で、タイミングを合わせてヘッド10からインクを吐出させる制御をする。
【0019】
キャリッジ11上には4つのヘッド10が搭載されている。各ヘッド10は、液体を吐出するノズルを配列したノズル列を2列有している。
【0020】
キャリッジ11は、ヘッド10に供給する液体を一時的に貯留するサブタンクを搭載している。メインタンク21から、所要の色の液体を、供給チューブを介して送液ポンプによりサブタンクに送液する。
【0021】
第1プラテン40の昇降機構41は、スライダ42上に搭載されている。スライダ42は、主走査方向Xと直交する副走査方向Yに延設したスライドレール43上に移動可能に載置されている。昇降機構41とスライダ42によって、第1プラテン40を水平移動及び上下移動する移動手段が構成される。
【0022】
スライダ42は、タイミングベルト45を介して、副走査駆動機構により副走査方向Yに往復移動可能である。スライダ42が副走査方向Yに往復移動されることにより、第1プラテン40も副走査方向Yに往復移動される。
【0023】
主走査方向の一端側には、ヘッド10の維持回復を行うメンテナンスユニット60が配置されている。メンテナンスユニット60は、ヘッド10のノズル面をキャッピングする吸引キャップ61と、ヘッド10のノズル面を保湿のためにキャッピングする保湿キャップ62と、ヘッド10のノズル面を払拭する払拭部材63を備えている。吸引キャップ61には吸引ポンプが接続されている。
【0024】
主走査方向の他端側には、吐出受け66が配置されている。コントローラボード50は、印刷途中で、ヘッド10から吐出受け66に液体を吐出させることにより、ヘッド10の維持回復を行う。また、印刷装置1は、電源ボタン70、操作部71、電源ユニット72などを備えている。
【0025】
●印刷動作
この印刷装置1において、Tシャツなどの布地(印刷対象)に印刷を行うときには、布地をプラテン40上にセットする。その後、操作部71での操作により、スライダ42を介してプラテン40を装置内後方へ完全に引き込む動作を行う。
【0026】
プラテン40の引き込みが完了したとき、印刷データ待機状態となる。ここで、印刷装置1が外部の情報処理装置から印刷データを受信したときに印刷動作が開始される。あるいは、予めコントローラボード50に印刷データが蓄積されていた場合には、操作部71で当該印刷データを選択することによって印刷動作が開始される。
【0027】
印刷動作が開始されると、スライダ42を介してプラテン40が印刷開始位置まで移動される。その後,キャリッジ11の移動とヘッド10からの液体吐出が行われて、1行分が印刷される。
【0028】
1行分が印刷されると、スライダ42を介してプラテン40が1行分移動される。キャリッジ11の1スキャンとスライダ42の間欠移動の繰り返しを行うことにより、布地の所望の領域に印刷が行われる。印刷完了後、プラテン40は装置手前まで戻されて印刷終了となる。
【0029】
●第1プラテンと第2プラテン
印刷装置1は、印刷対象としての布地400を支持する第1支持体としての第1プラテン40を着脱可能に備えている。この第1プラテン40の上面に、X-Y方向で規定される平面す
なわち印刷対象支持面を構成する第1平面が形成される。第1プラテン40は、昇降機構41上に搭載されて上下方向Zの高さを調整可能としている。
【0030】
印刷装置1は、第1プラテン40にセットされた印刷対象(
図1Cの布地400)の高さを検知する高さセンサを備えている。この高さセンサは、例えば、キャリッジ11を案内するガイド部材13の手前側の横断フレーム2の内側面に配設した投光器31と受光器32による透過型光電センサで構成することができる。また、高さセンサは、キャリッジ11の下面の例えばヘッド10相互間に配設した1又は2以上の投受光器10bによる反射型光電センサで構成することもできる。
【0031】
印刷対象を印刷する前に、高さセンサによってヘッド10に対する印刷対象の高さを予め検知することができる。これにより、印刷対象のポケットや釦などの隆起部にキャリッジ11やヘッド10が干渉して印刷不良や故障の原因となるのを防止することができる。
【0032】
すなわち、副走査方向に搬送される布地400の高さが、ヘッド10以上の高さとなると、布地400がヘッド10に衝突し、印刷不良を生ずるおそれがある。そこで、印刷前のプラテン40の引き込み動作において、副走査方向に搬送される布地400の高さが、ヘッド10以上の高さになったことが高さセンサによって検出された場合、すなわち布地400がヘッド10に衝突するおそれが生じた場合、印刷装置1は印刷動作をいったん停止し、布地400の高さ調整処理を行う。
【0033】
この高さ調整処理は、第1プラテン40の昇降機構41によって行うことができる。すなわち、第1プラテン40を昇降機構41によって上下動することで、キャリッジ11と布地400との間隔を所定の大きさに調整することができる。この高さ調整処理が完了した後、印刷動作が再開される。
【0034】
第1プラテン40は、
図2A、
図2Bのように、所定複数個所に位置決め部としての溝部40aを有する。溝部40aは、主走査方向Xと副走査方向Yにマトリックス状(碁盤目状)に延在している。このマトリックス状に延在した溝部40aによって、第1プラテン40の上面が複数の矩形板状部(第1平面40b)に分割されている。
【0035】
溝部40aは、
図2Bのように半円弧状の断面を有する。当該溝部40aに対して、後述する
図2C-A~
図2C-Cのように、第2支持体としての第2プラテン46の被位置決め部(突起部46a)を、選択的に位置決め可能とされている。なお、溝部40aの断面形は半円弧状に限定されるものではない。
【0036】
図2C-Bは第2プラテン46の斜視図である。この第2プラテン46は前記第1プラテン40の複数の矩形板状部(第1平面40b)に対応した大きさの矩形板状に形成されている。
【0037】
第2プラテン46の形状は、矩形板状(正方形、長方形)の他、楕円形やL字状など任意である。印刷対象の形状ないし印刷範囲に対応させて、第2プラテン46の形状を選択することができる。すなわち、第2プラテン46の上面によって印刷対象を支持可能な第2平面が形成される。
【0038】
矩形板状の第2プラテン46の四辺の下部に、
図2C-B、
図2C-Cに示すように被位置決め部としての突起部46aが形成されている。この突起部46aは半円弧状の断面を有し、前記第1プラテン40の複数の矩形板状部(第1平面40b)の周囲のマトリックス状の溝部40aに嵌合可能である。
【0039】
第2プラテン46は、印刷対象における印刷範囲に対応して、1個又は複数個を、第1プラテン40の上に自在に配置することができる。第2プラテン46を任意の第1平面40bの上に配置することで、第1平面40bの高さを、第2プラテン46の高さに相当する所定高さだけ分だけ嵩上げすることができる。第2プラテン46の第2平面が、第1プラテン40の第1平面40bを越える最大高さとなる。
【0040】
図2D-A、
図2D-Bは、印刷対象としてのTシャツ100を、第1プラテン40と第2プラテン46を使用して印刷する状態を示している。
図2D-Aは印刷画像としてのワンポイント110を印刷したTシャツ100の平面図である。このワンポイント110の下側位置に、隆起部であるポケット120と釦130がある。
【0041】
従来、このような隆起部(ポケット120、釦130)の近くの印刷画像は、センサが隆起部を検知して第1プラテン40の高さを昇降機構41によって低下させる結果、
図1Cから分るようにキャリッジ11との間隔が大きくなり過ぎて印刷不良になることが多かった。しかし、本実施形態ではワンポイント110の下側に第2プラテン46を配置することができるので、ワンポイント110の高さを第1プラテン40の第1平面40bよりも第2プラテン46の高さ相当分だけ高い位置に保持することができる。これにより、隆起部に起因する印刷不良を防止することができる。
【0042】
キャリッジ11とワンポイント110との間隔を適正間隔に短縮することができる結果、印刷不良を防止することができる。なお、第2プラテン46を高さが異なる複数種類で用意しておき、印刷対象の隆起部の高さに対応して最適高さの第2プラテン46を使用することもできる。
【0043】
●操作部
図2E-Aは、印刷装置1の後述する操作部71の表示形態を示したものである。この操作部71は、液晶タッチパネルで構成することができる。
【0044】
操作部71の右側領域にグリッド線Gが表示されている。このグリッド線Gは、
図2D-Bの溝部40aを表している。。ワンポイント110は、グリッド線Gを基準として予め設定された印刷範囲に表示されている。
【0045】
操作部71の左側領域に、ワンポイント110の画像サイズGS(Height:h mm, Width:w mm)、オフセットOS(X: x mm, Y: y mm)及び印刷キーPが表示されている。画像サイズGSとオフセットOS(印刷位置)の数値(h,w,x,y)は、ワンポイント110の大きさや位置を微調整するときに、図示しないテンキー等を使用して設定することができる。画像サイズとオフセットを決定した後、印刷キーPにタッチすることで印刷を開始することができる。
【0046】
●制御部
図2EーBは、実施形態に係る印刷装置1の制御部80のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る印刷装置1の制御部80は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成を備える。
【0047】
制御部80は、CPU(Central Processing Unit)81、RAM(Random Access Memory)82、ROM(Read Only Memory)83、記憶部84及びI/F(Interface)85がバス87を介して接続されている。I/F85には、表示部86及び操作部71が接続されている。
【0048】
CPU81は演算手段であり、印刷装置1全体の動作を制御する。RAM82は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体である。CPU81が情報を処理する場合、RAM82はCPU81の作業領域に用いられる。ROM83は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。
【0049】
記憶部84は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)、各種の制御プログラム、及びアプリケーション・プログラム等が格納されている。記憶部84は、例えば、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等である。I/F85は、バス87と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。
【0050】
表示部86は、ユーザが印刷装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。表示部86は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)等である。操作部71は、ユーザが印刷装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。操作部71は、キーボードやマウス等を含むことができる。
【0051】
以上、印刷装置1の制御部80のハードウェア構成について説明したが、
図2EーBに示した制御部80のハードウェア構成は、一例を示すものであり、
図2EーBに示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。
【0052】
●印刷範囲の指定
次に、印刷用ジョブデータによる印刷範囲の指定について、
図2F-Aから
図2F-Cを参照して説明する。まず、
図2F-Aに示すように、
図3Bの第2プラテン46を第1プラテン40中央に配置する。この第2プラテン46の上に、印刷対象(Tシャツ)の印刷領域(ワンポイント)が配置される。
【0053】
図2F-Bと
図2F-Cは、印刷用ジョブに書き込むデータを説明するための概念図である。
図2F-Bのように、第2プラテン46の上の印刷対象(Tシャツ)に印刷するワンポイント110の印刷領域に対応して、
図2E-Aの操作部71と連動するPCに、
図2F-Cのように印刷範囲(1で示す)と印刷範囲外(0で示す)を入力する。
【0054】
第1プラテン40の溝部40aを、
図2E-Aのグリッド線G等で示すことによって、第2プラテン46を置いた位置を操作部71において簡単に視認することができる。すなわち、
図2F-Bの第1プラテン40上に、格子状の溝部40aに対応してm行×n列の格子(グリッド)を形成することができるので、当該格子をグリッド線Gとして操作部71に表示することで印刷範囲を容易に確認することができる。グリッド線Gの形成は、操作部71あるいは印刷装置1に接続された外部PCに組み込まれているアプリ等のソフトウェアで行うことができる。
【0055】
次に、
図2Eの画像サイズGSとオフセットOS(印刷位置)を使用して、印刷したい画像の印刷位置を正確に指定することができる。印刷位置の指定の後は、
図2F-Cのように、例えば格子毎の印刷範囲であれば「1」と設定し、印刷範囲外であれば「0」と設定することができる。
【0056】
そして、当該設定情報を印刷用ジョブデータに格納する。印刷用ジョブデータは、
図2Eの操作部71を含むPCの記憶部84に保持される(
図2E-B)。
【0057】
設定情報を印刷用ジョブデータに格納した後は、
図2Hのフローチャートに従い、
図2F-Cの格子毎に格納されている印刷範囲の情報(0、1で示されたデータ)から印刷範囲を抽出・決定する(S1-S2)。そして、印刷準備の工程である、第2プラテン46の高さ検知と、第1プラテン40の高さ位置調整を実施する(S3-S8)。
【0058】
●第1プラテンの動き
次に、
図2G-Aから
図2G-Dを参照して、印刷準備時の第1プラテン40の動きを説明する。ここでは簡単のために、第1プラテン40の中央に
図3Bの第2プラテン46が1個だけ配設されるものとする。初期状態(
図2G-A)、第2プラテン46の高さ読み取り(
図2G-B)、プラテンの上昇(
図2G-C)、異物検知と印刷開始(
図2G-D)を順に説明する。
【0059】
図2G-Aは、印刷対象(Tシャツ100)の印刷領域を支持する第2プラテン46を、第1プラテン40の上に位置決めし、第1プラテン40を副走査方向の原点に位置決めした状態を示している(初期状態)。この初期状態で、第1プラテン40と第2プラテン46は最も低い位置にある。
【0060】
なお、
図2G-Aから
図2G-Dの薄墨で示す領域(縦5x横6)は、高さセンサ(投光器31と受光器32)による(平面視での)高さ検知範囲を示している。すなわち、キャリッジ11は主走査方向、つまり第1プラテン40の副走査方向と直交する左右方向に移動する。そのため、キャリッジ11の移動障害となる凸部等を検知するため、第2プラテン46の配置領域に加えて、その主走査方向の領域も高さ検知範囲としている。
【0061】
図2G-Aの初期状態から、第1プラテン40を矢印方向の副走査方向に移動(前進)させる。そして、
図2G-Bのように第2プラテン46の前端部46fが投光器31と受光器32の間に到達したら、第1プラテン40の前進をいったん停止する。
【0062】
この停止状態で、第2プラテン46の高さを投光器31と受光器32で読み取る。第2プラテン46の前端部46fが印刷範囲の始点となるので、当該前端部46fを高さ読み取りの基準とする。
【0063】
投光器31と受光器32による高さの読み取り結果に基づいて、第2プラテン46の高さを印刷に適した所定高さになるように昇降機構41によって第1プラテン40の高さ調整を行う(
図2G-C)。これにより、ヘッド10と第2プラテン46との間の距離が最適化される。
【0064】
次に、
図2G-Dのように第1プラテン40を印刷開始位置まで副走査方向に移動(前進)させる。この前進の間に、
図2G-Cで高さ調整した第2プラテン46の高さを基準に、投光器31と受光器32の高さ検知範囲の中に異物があるかどうかを判定する。
【0065】
「異物なし」と判定した場合は印刷を開始し、印刷完了後は第1プラテン40を
図2G-Aの初期位置へ戻す(S14)。「異物あり」と判定した場合は干渉物検知あり(異常)と判定し(S15)、印刷を中断して第1プラテン40を
図2G-Aの初期位置に戻す(S14)。
【0066】
●制御フローチャート
印刷準備と印刷時の第1プラテン40の制御フローチャートを
図2Hに示す。最初に、
図2F-Cで説明した印刷ジョブデータを、
図2Eの操作部71と連動するPCに読み込む(S1)。そして、印刷用ジョブデータから第2プラテン46上の印刷範囲を抽出する(S2)。
【0067】
次に、投光器31と受光器32の高さ検知範囲を設定し(S3)、第1プラテン40の副走査方向の前進を開始する(S4、
図2G-A)。第1プラテン40が
図2G-Bの位置に前進すると、高さ検知範囲の始点が高さセンサ(投光器31と受光器32)の検知位置に到達したか判定される(S5)。
【0068】
投光器31と受光器32の高さ検知範囲は、印刷時の第2プラテン46の高さに設定する。この際、±の高さの許容範囲を付けて検知範囲を設定することができる。
【0069】
高さ検知範囲の始点が高さセンサ(投光器31と受光器32)の検知位置に到達したと判定されると、第1プラテン40が前進を停止し、上昇する(S6)。第1プラテン40が上昇する間、高さセンサが第2プラテン46を検知したかどうかと、第2プラテン46が印刷開始位置に到達したかどうかが判定される(S7)。Yesと判定されると、高さ検知範囲の始点において、第2プラテン46を印刷時と同じ高さに設定する(S8)。
【0070】
その後、第1プラテン40の前進を再開し(S9)、高さ検知範囲の中で異物(凸部)が高さセンサ(投光器31と受光器32)で検知されたか判定される(S10)。異物が検知されなかった場合、印刷が開始され(S11)、印刷が完了すると(S12)、第1プラテン40が印刷範囲分だけ後退し(S13)、さらに後退して初期位置に戻る(S14)。
【0071】
高さ検知範囲の中で異物が検知された場合、干渉物検知あり(異常)と判定され(S15)、印刷することなく第1プラテン40が初期位置に戻る(S14)。
【0072】
●第2実施形態
次に、
図3A-
図3E-Bを参照して第2実施形態に係る印刷装置の第1プラテン40と第2プラテン46を説明する。この第2実施形態では、
図3Aに示すように第1プラテン40の溝部40aが矩形状断面に形成されている。
【0073】
また、第2プラテン46の被位置決め部としての一対の突起部46aは、矩形状の溝部40aに嵌合可能なように、
図3Bに示すように矩形状に形成されている。一対の突起部46aは互いに平行に形成され、第1プラテン40のマトリックス状の溝部40aに対して、X方向またはY方向に摺動可能に係合させることができる。したがって、第2プラテン46の位置調整が容易である。
【0074】
第2プラテン46の本体上面に、柱部46bを介して腕部46cが配設されている。この腕部46cは、
図3B、
図3Cに示すように細長の板材で構成されている。そして腕部46cの一端部が、柱部46bを介して第2プラテン46の本体と連結されている。
【0075】
また腕部46cの他端部は、第2プラテン46の本体上面と平行に延在している。したがって、
図3Cに示すように袋状の布地400を第2プラテン46の腕部46cに被せて支持することができる。すなわち、腕部46cの上面によって印刷対象を支持可能な第2平面が形成される。
【0076】
第2プラテン46の一対の突起部46aを、
図3Dに示すように第1プラテン40の溝部40aに嵌合することで、第2プラテン46を第1プラテン40上の任意の位置に位置決めすることができる。第2プラテン46は、第1プラテン40よりも小さいサイズの印刷対象であって、かつ、靴下や袋物等のように皺が発生しやすい印刷対象に、ワンポイント等の図柄を印刷する場合に好適に使用することができる。
【0077】
すなわち、靴下や袋物等を第2プラテン46に着せるように容易にセットすることができる。このため、印刷対象の皺の発生を容易に防止することができる。
【0078】
図3E-A、
図3E-Bは、このように位置決めした2つの第2プラテン46に靴下Sをセットし、当該靴下Sの表面に対して、キャリッジ11に搭載したヘッド10からインクを吐出して所定の図柄を印刷する状態を示したものである。キャリッジ11はX-Y平面の任意の位置に移動可能であるから、第1プラテン40上に配置する第2プラテン46の位置は、任意の位置で構わない。
図3E-A、
図3E-Bでは、キャリッジ11の移動範囲を少なくして印刷能率を向上するために、第2プラテン46をX方向で比較的接近させ、Y方向座標を一致させて配置している。
【0079】
このように左右一対で配置した第2プラテン46の腕部46cに対して、
図3E-Bのように靴下Sを取付ける。すなわち、靴下Sの履き口に腕部46cを挿入する。
【0080】
靴下Sの履き口の下側の身部の表面に、ワンポイント等の図柄を印刷する。この際、当該ワンポイント等の図柄の下側に腕部46cが位置するように靴下Sを腕部46cに取付ける。
図3E-Bの状態で印刷装置1のキャリッジ11を作動させ、靴下Sの身部表面にワンポイント等の図柄を印刷する。
【0081】
第2プラテン46の数は、第1プラテン40の大きさに余裕があれば、さらに多くの数を配置することも可能である。また、第1プラテン40の大きさが小さい場合は、1つの第2プラテン46のみを配置してもよい。
【0082】
●第3実施形態
次に、
図4A、
図4Bを参照して第3実施形態に係る印刷装置の第1プラテン40と第2プラテン46を説明する。この第3実施形態では、
図4Bに示すように、第1プラテン40の溝部40aの入口側が括れているため、溝部40aが全体として逆T字形に形成されている。
【0083】
また、第2プラテン46の被位置決め部としての一対の突起部46aと柱部46bは、逆T字形の溝部40aに嵌合可能なように、逆T字形に形成されている。一対の突起部46aは互いに平行に形成され、第1プラテン40のマトリックス状の溝部40aに対して、X方向またはY方向に摺動可能に係合させることができる。したがって、第2プラテン46の位置調整が容易である。
【0084】
左右の柱部46bの上端に腕部46cの一端部が連結されている。この第3実施形態では、腕部46cを左右一対の柱部46bで支持する構造であるため、腕部46cの横幅を前述した第2実施形態よりも大きくすることができる。
【0085】
したがって、横幅が大きい袋物等を腕部46cに装着して当該袋物等の表面にワンポイント等の図柄を印刷することができる。この場合、袋物等の重量が大きくても、第2プラテン46の突起部46aと柱部46bが逆T字形であるため、突起部46aと柱部46bが袋物等の重量によって溝部40aから上方に離脱することがない。
【0086】
●第4実施形態
次に、
図5A、
図5Bを参照して第4実施形態に係る印刷装置の第1プラテン40と第2プラテン46を説明する。この第4実施形態では、
図5Aに示すように、第1プラテン40の第1平面に所定深さの複数の縦孔40gがマトリックス状に形成されている。
【0087】
図示例では、縦孔40g相互間ピッチはX-Y方向で同ピッチであるが、X方向とY方向で異なるピッチにすることも可能である。上下左右4つの縦孔40gで囲まれた領域40fが、印刷対象を支持するための第1平面を構成する。
【0088】
一方、
図5Bのように、第2プラテン46の本体部の四隅下面に、被位置決め部としての4本の突起部46aが、第1プラテン40の縦孔40gに嵌合可能なように円柱状に形成されている。4本の突起部46aは第1プラテン40の任意の縦孔40gに係合させることができる。
【0089】
第2プラテン46の腕部46cは、前述した第2実施形態や第3実施形態と同様に、柱部46bを介して第2プラテン46の本体部と連結されている。したがって、靴下や袋物等に腕部46cを挿入し、靴下や袋物等の表面にワンポイント等の図柄を印刷することができる。柱部46bは左右一対で構成してもよいし、頑丈な柱部46bを一つで構成してもよい。
【0090】
●第5実施形態
次に、
図6A-
図6Cを参照して第5実施形態に係る印刷装置の第1プラテン40と第2プラテン46を説明する。この第5実施形態では、
図6Aに示すように、第1プラテン40の第1平面に複数の短円柱40cがマトリックス状に形成されている。この短円柱40cが円柱状の凸部を構成し、短円柱40cの上面が印刷対象を支持する第1平面を構成する。なお、
図6Aにおいて短円柱40c相互間の溝部40aは、位置決め部としての機能はない。
【0091】
一方、
図6Bのように、第2プラテン46の腕部46cの下面に、被位置決め部としての短円筒部46dが、第1プラテン40の短円柱40cに嵌合可能なように形成されている。この短円筒部46dは、第1プラテン40の任意の短円柱40cに被せるようにして係合ないし位置決めすることができる。
【0092】
第1プラテン40の短円柱40cの外周面には、
図6Cのように雄ネジ40eを形成することができる。一方、第2プラテン46の短円筒部46dの内周面には雌ネジ46eを形成することができる。そして、短円筒部46dの雌ネジ46eを短円柱40cの雄ネジ40eに螺合させることで、短円筒部46dを短円柱40cに位置決めすることができる。
【0093】
また、第2プラテン46を
図6Cの矢印方向(時計方向または反時計方向)に回転させることで、第1プラテン40の第1平面(短円柱40cの上面)を基準とする第2プラテン46の腕部46cの高さを増減調節することができる。これにより、
図2D-Aのポケット120や釦130の高さに対応して、第2プラテン46の腕部46cの高さを増減調節することができる。
【0094】
また、印刷対象の一部に形成されたポケットや袋部の表面にワンポイント等の図柄を印刷したい場合、皺の発生による印刷不良を防止するために、当該ポケットや袋部の内側に腕部46cを挿入した状態でワンポイント等の図柄を印刷することもできる。この際、第1プラテン40上における印刷対象の向きを変えることが難しい場合でも、ポケットや袋部の開口部の向きに合わせて第2プラテン46を回転させることができるので、腕部46cの挿入をスムーズに行うことができる。なお、第2プラテン46の腕部46cの方向が簡単に振れないようにするため、雄ネジ40eと雌ネジ46eを適度の締まり嵌めにしてもよい。
【0095】
以上の各実施形態において、印刷対象としての布地を支持するプラテン40、46は、印刷完了後に定着工程に移動可能とすることができる。すなわち、布地を支持するプラテン40、46ごと印刷装置1から離脱させ、加熱装置へと移動可能であることが作業性の観点で望ましい。
【0096】
また、前記実施形態では、印刷対象が布地である場合について説明しているが、これに限るものではない。布地以外の印刷対象をプラテン40、46にセットして印刷する場合にも同様に本発明を適用することができる。
【0097】
印刷装置1は、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置や、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)として構成することもできる。
【0098】
また印刷装置1は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形する装置も含まれる。
【0099】
また印刷対象は、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなども含む。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0100】
また印刷対象の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0101】
またキャリッジ11は、液体を吐出する吐出部を印刷対象と相対的に移動可能であればよい。したがって、吐出部を移動させるシリアル型装置の他に、吐出部を移動させないライン型装置も含まれる。
【0102】
また、液体を吐出する吐出部は、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布する処理液塗布装置も含まれる。
【0103】
<付記>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
<第1態様>
印刷対象を支持可能な第1平面を有する第1支持体であって、当該第1支持体の前記第1平面の所定複数個所に位置決め部を有する第1支持体と、印刷対象を支持可能な第2平面を有する第2支持体であって、前記第2平面を前記第1平面よりも高い位置に保持した状態で、前記所定複数個所の位置決め部に対して選択的に位置決め可能な被位置決め部を有する第2支持体と、を有することを特徴とする印刷装置。
<第2態様>
前記第1支持体の前記位置決め部が、前記第1平面にマトリックス状に形成されていることを特徴とする第1態様の印刷装置。
<第3態様>
前記位置決め部がマトリックス状の溝部によって形成され、当該マトリックス状の溝部によって前記第1平面がマトリックス状に並んだ複数の矩形板状部に形成されていることを特徴とする第2態様の印刷装置。
<第4態様>
前記位置決め部がマトリックス状に並んだ複数の円柱状の凸部によって形成され、当該凸部の上面に前記第1平面が円形に形成されていることを特徴とすることを特徴とする第2態様の印刷装置。
<第5態様>
前記第2支持体が、前記所定複数個所の位置決め部の少なくとも2つに対して位置決め可能な2つの前記被位置決め部を有することを特徴とする第1態様から第4態様のいずれか1の態様の印刷装置。
<第6態様>
前記第2支持体が、前記第1支持体の矩形板状部に対応した大きさの矩形板状に形成されると共に、当該矩形板状の第2支持体の四辺の下部に、前記矩形板状部の周囲の前記マトリックス状の溝部に嵌合可能であって前記被位置決め部となる突起部が形成されていることを特徴とする第3態様の印刷装置。
<第7態様>
前記第2支持体が、前記第1支持体の前記円柱状の凸部に嵌合可能な円筒状の前記被位置決め部を有することを特徴とする第4態様の印刷装置。
<第8態様>
前記第1支持体の前記円柱状の凸部の外周面に雄ネジが形成されていると共に、前記第2支持体の前記円筒状の被位置決め部の内周面に雌ネジが形成され、前記第2支持体の前記円筒状の被位置決め部を回転させて前記雄ネジと前記雌ネジを螺合させることで、前記円筒状の被位置決め部を前記位置決め部である円柱状の凸部に位置決め可能とされていることを特徴とする第7態様の印刷装置。
<第9態様>
前記第2平面の一端部が柱部を介して前記第2支持体の本体に連結されていることを特徴とする第1態様の印刷装置。
<第10態様>
液体を吐出する吐出部を備え、前記第1支持体の上方において水平方向に移動可能なキャリッジと、前記第1支持体を水平移動及び上下移動する移動手段と、前記第1支持体にセットされた印刷対象の高さを検知する高さセンサと、前記高さセンサの検知結果に基づいて前記移動手段によって前記第1支持体を上下移動することで前記キャリッジと前記印刷対象との間隔を調整可能にしたことを特徴とする第1態様の印刷装置。
<第11態様>
前記高さセンサの検知結果に基づいて印刷範囲を表示する表示手段を有することを特徴とする第10態様の印刷装置。
<第12態様>
前記高さセンサの検知結果に基づいて印刷画像と印刷範囲を表示する表示手段を有することを特徴とする第11態様の印刷装置。
<第13態様>
前記印刷画像と前記印刷範囲に対応する前記第1支持体の前記第1平面の領域に、前記第2平面を位置させるように、前記第2支持体の前記被位置決め部を前記第1支持体の位置決め部に位置決め可能にした第12態様の印刷装置。
【符号の説明】
【0104】
1:印刷装置 2:横断フレーム
10:ヘッド 10a:ノズル
10b:投受光器(高さセンサ)
11:キャリッジ 12、13:ガイド部材
14:主走査モータ 15:駆動プーリ
16:従動プーリ 17:タイミングベルト
18:エンコーダシート 21:メインタンク
31:投光器(高さセンサ) 32:受光器(高さセンサ)
40:第1プラテン(第1支持体) 40a:溝部(位置決め部)
40b:矩形板状部(第1平面) 40c:短円柱(位置決め部)
40e:雄ネジ 40g:縦孔(位置決め部)
41:昇降機構(移動手段) 42:スライダ(移動手段)
43:スライドレール 45:タイミングベルト
46:第2プラテン(第2支持体) 46a:突起部(被位置決め部)
46b:柱部 46c:腕部
46d:短円筒部 46e:雌ネジ
50:コントローラボード 60:メンテナンスユニット
61:吸引キャップ 62:保湿キャップ
63:払拭部材 70:電源ボタン
71:操作部 72:電源ユニット
80:制御部 81:CPU
82:RAM 83:ROM
84:記憶部 85:I/F
86:表示部 87:バス
100:Tシャツ 110:ワンポイント
120:ポケット(隆起部) 130:釦(隆起部)
400:布地 G:グリッド線
P:印刷キー S:靴下
X:主走査方向 Y:副走査方向
Z:上下方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2021-138042号公報
【特許文献2】特開2003-311938号公報
【特許文献3】特開2004-291399号公報