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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137830
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体構造を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/40 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C23C16/40
H01L21/316 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024042169
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】63/453,750
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デヴィカ・チョウドリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレルド・リー・ウィンクラー
(72)【発明者】
【氏名】カメシュ・ムラプディ
(72)【発明者】
【氏名】ミハエラ・バルセアヌ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・シュモッツァー
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA11
4K030AA14
4K030BA10
4K030BA22
4K030BA42
4K030BA43
4K030BB13
4K030BB14
4K030DA08
4K030HA03
5F058BA20
5F058BC03
5F058BD01
5F058BF04
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF36
5F058BF37
5F058BH11
(57)【要約】
【課題】半導体構造を形成する方法を提供する。
【解決手段】半導体構造を形成するための方法が開示される。本方法は、第一の領域および第二の領域を含む基材上に第一のハードマスク層および第二のハードマスク層を堆積させることによって、二重層ハードマスクを形成することを含む。形成される例示的な構造は、CMOSデバイス構造を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造を形成する方法であって、前記方法が、
第一の領域および第二の領域を含む基材を反応チャンバ内に着座させることと、
前記基材上に二重層ハードマスクを形成することであって、前記二重層ハードマスクを形成することが、
第一の周期的堆積プロセスの一回または複数回の堆積サイクルを実施して、第一の金属酸化物を含む第一のハードマスク層を前記基材上に堆積させることと、
第二の周期的堆積プロセスの一回または複数回の堆積サイクルを実施して、第二の金属酸化物を含む第二のハードマスク層を前記第一のハードマスク層上に堆積させることと、を含む、二重層ハードマスクを形成することと、を含む方法。
【請求項2】
前記第一の周期的堆積プロセスの第一の単位堆積サイクルが、
第一の金属前駆体を前記反応チャンバに提供することと、
第一の酸化剤を前記反応チャンバに提供することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一のハードマスク層が酸化アルミニウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の周期的堆積プロセスの第二の単位堆積サイクルが、
第二の金属前駆体を前記反応チャンバに提供することと、
第二の酸化剤を前記反応チャンバに提供することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第二のハードマスク層が、酸化アルミニウムおよび第二の異なる金属酸化物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第二のハードマスク層が、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、および酸化イットリウムからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記基材の前記第一の領域の上から前記二重層ハードマスクを選択的に除去して、前記基材の前記第一の領域の表面を露出させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基材の前記第一の領域から前記二重層ハードマスクを選択的に除去することが、前記基材の前記第二の領域の上にパターン形成されたレジスト層を形成することと、前記二重層ハードマスクの露出領域をウェットエッチャントと接触させることと、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ウェットエッチャントが、フッ化水素酸、硫酸、およびリン酸からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
基材の前記第一の領域の、露出された前記表面上に洗浄プロセスを実施し、それによって洗浄された第一の領域表面を形成することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記洗浄プロセスが、前記第一の領域の露出された前記表面を、フッ素含有ガスおよびアンモニアを含むガス混合物から生成されるプラズマと接触させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記洗浄プロセスが、前記第二のハードマスク層を前記第二の領域の上から除去する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記洗浄された第一の領域表面上に半導体層を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記半導体層を形成することが、エピタキシャル堆積プロセスによって、前記洗浄された第一の領域表面上に前記半導体層を直接堆積させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記二重層ハードマスクの任意の残りの部分を前記第二の領域上から除去することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
半導体構造を形成する方法であって、前記方法が、
NMOS領域およびPMOS領域を含む基材を反応チャンバ内に着座させることと、
前記NMOS領域上および前記PMOS領域上に二重層ハードマスクを堆積させることであって、前記二重層ハードマスクを堆積させることが、
第一のハードマスク層を前記NMOS領域および前記PMOS領域の両方の上に堆積させることと、
第二のハードマスク層を前記第一のハードマスク層の上に堆積させることと、を含む、二重層ハードマスクを堆積させることと、
前記NMOS領域上の前記二重層ハードマスクを選択的に除去して、前記NMOS領域の表面を露出させることと、
前記NMOS領域の露出された前記表面上に洗浄プロセスを実施し、それによって、清浄なNMOS表面を形成することと、
前記清浄なNMOS表面上に半導体層を堆積させることと、
前記PMOS領域上に配置された前記二重層ハードマスクの残りの部分を除去することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記二重層ハードマスクが周期的堆積プロセスによって堆積される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体層がエピタキシャル堆積プロセスによって堆積される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記NMOS領域上の前記二重層ハードマスクを選択的に除去することが、前記PMOS領域上にパターン形成されたレジスト層を形成することと、前記二重層ハードマスクの露出領域を、フッ化水素酸、硫酸、およびリン酸からなる群から選択されるウェットエッチャントと接触させることと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記洗浄プロセスが、前記第一のハードマスク層の少なくとも一部分を前記PMOS領域上に維持しながら、前記PMOS領域上の前記第二のハードマスク層を除去する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、半導体構造を形成するための方法に関し、特に、二重層ハードマスクを含む半導体構造を形成するための方法に関する。本開示はまた、一般に、二重層ハードマスクを含む構造に関する。
開示の背景
【背景技術】
【0002】
例えば相補型金属-酸化物-半導体(CMOS)デバイスなどの半導体デバイスのスケーリングは、集積回路の速度と密度の大幅な改善をもたらした。しかしながら、従来のデバイススケーリング技法は、将来のテクノロジーノードに対する重要な課題に直面している。
【0003】
例えば、CMOSデバイス構造のPMOS領域およびNMOS領域の製作に利用される好適なハードマスク材料を見つけることが一つの課題であった。したがって、改善されたCMOS製作方法には、新規なハードマスク材料およびハードマスク構造が望ましい。
【0004】
このセクションに記載される問題および解決策の考察を含む任意の考察は、本開示の状況を提供する目的のためにのみこの開示に含まれている。こうした考察は、本発明が行われた時点で、または別の方法で先行技術を構成する時点で、情報のいずれかまたはすべてが既知であったことを認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、選択された概念を単純化した形態で紹介する場合があり、これは以下でさらに詳細に説明される場合がある。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを必ずしも意図してはおらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0006】
本開示の様々な実施形態は、半導体構造、ならびにハードマスク層およびハードマスク構造を含む特定の半導体構造を形成するための、方法に関する。例えば、こうしたハードマスク層および構造は、CMOSデバイス構造の製作において、例えば、CMOSデバイス構造の製作などで採用されるエッチングプロセスなどの製作プロセスなどにおいて、利用され得る。
【0007】
本開示の例示的な実施形態によれば、半導体構造を形成する方法が開示される。本開示の方法は、第一の領域および第二の領域を含む基材を反応チャンバ内に着座させることと、基材上に二重層ハードマスクを形成することと、を含む。いくつかの実施形態では、二重層ハードマスクを形成することは、第一の周期的堆積プロセスの一回または複数回の堆積サイクルを実施して、第一の金属酸化物を含む第一のハードマスク層を基材上に堆積させることと、第二の周期的堆積プロセスの一回または複数回の堆積サイクルを実施して、第二の金属酸化物を含む第二のハードマスク層を第一の金属酸化物ハードマスク層上に堆積させることと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、第一の周期的堆積プロセスの第一の単位堆積サイクルは、第一の金属前駆体を反応チャンバに提供することと、第一の酸化剤を反応チャンバに提供することとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、第一のハードマスク層は、酸化アルミニウムを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第二の周期的堆積プロセスの第二の単位堆積サイクルは、第二の金属前駆体を反応チャンバに提供することと、第二の酸化剤を反応チャンバに提供することとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第二のハードマスク層は、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、および酸化ジルコニウムからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、基材の第一の領域の上から二重層ハードマスクを選択的に除去して、基材の第一の領域の表面を露出させることをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、基材の第一の領域から二重層ハードマスクを選択的に除去することは、基材の第二の領域の上にパターン形成されたレジスト層を形成することと、二重層ハードマスクの露出領域をウェットエッチャントと接触させることとをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ウェットエッチャントは、フッ化水素酸、硫酸、およびリン酸からなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、基材の第一の領域の、露出された表面上に洗浄プロセスを実施し、それによって洗浄された第一の領域表面を形成することをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、基材の第一の領域の露出された表面を、フッ素含有ガスおよびアンモニアを含むガス混合物から生成されるプラズマと接触させることを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、第二のハードマスク層を基材の第二の領域の上から除去する。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、洗浄された第一の領域表面上に半導体層を形成することをさらに含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、半導体層を形成することは、エピタキシャル堆積プロセスによって、洗浄された第一の領域表面上に半導体層を直接堆積させることを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、二重層ハードマスクの任意の残りの部分を基材の第二の領域の上から除去することをさらに含むことができる。
【0021】
本開示の実施形態はまた、半導体構造を形成するためのさらなる方法を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、NMOS領域およびPMOS領域を含む基材を反応チャンバ内に着座させることと、NMOS領域上およびPMOS領域上に二重層ハードマスクを堆積させることと、を含む。いくつかの実施形態では、二重層ハードマスクを堆積させることは、第一のハードマスク層をNMOS領域およびPMOS領域の両方の上に堆積させることと、第二のハードマスク層を第一のハードマスク層の上に堆積させることと、を含むことができる。本開示の方法は、NMOS領域上の二重層ハードマスクを選択的に除去して、NMOS領域の表面を露出させることと、NMOS領域の露出された表面上に洗浄プロセスを実施し、それによって、清浄なNMOS表面を形成することと、清浄なNMOS表面上に半導体層を堆積させることと、PMOS領域上に配置された二重層ハードマスクの残りの部分を除去することと、をさらに含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、二重層ハードマスクは、周期的堆積プロセスによって堆積される。
【0023】
いくつかの実施形態では、半導体層は、エピタキシャル堆積プロセスによって堆積される。
【0024】
いくつかの実施形態では、NMOS領域上の二重層ハードマスクを選択的に除去することは、PMOS領域上にパターン形成されたレジスト層を形成することと、二重層ハードマスクの露出領域を、フッ化水素酸、硫酸、およびリン酸からなる群から選択されるウェットエッチャントと接触させることと、をさらに含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、第一のハードマスク層の少なくとも一部分をPMOS領域上に維持しながら、PMOS領域上の第二のハードマスク層を除去する。
【0026】
本開示の実施形態はまた、本明細書に開示される方法に従って形成される半導体構造を開示する。
【0027】
当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のある特定の実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう。本発明は、開示された任意の特定の実施形態に限定されない。
【0028】
本開示の実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、詳細な説明および特許請求の範囲を参照することによって得られる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の実施形態による例示的な方法を例示する図である。
図2】本開示の実施形態によるさらなる例示的な方法を例示する図である。
図3】本開示の実施形態による例示的な構造を例示する図である。
図4】本開示の実施形態による例示的な構造を例示する図である。
図5】本開示の実施形態による例示的な構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素の一部の寸法は、本開示の例示される実施形態の理解の向上を助けるために、他の要素に対し相対的に誇張されている場合がある。
【0031】
以下に提供される方法、構造体、デバイス、および装置の例示的な実施形態の説明は単なる例示であり、例示のみの目的のために意図されており、以下の説明は、本開示の範囲も特許請求の範囲も限定することを意図しない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の詳述は、追加の特徴を有する他の実施形態、または記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態を、排除することを意図していない。例えば、様々な実施形態が例示的な実施形態として記載されるのであり、従属請求項において詳述されてもよい。別段の記載のない限り、例示的な実施形態またはその構成要素は、組み合わせられてもよく、または互いに分離して適用されてもよい。
【0032】
以下により詳細に説明するように、本開示の様々な実施形態は、様々な用途に好適な半導体構造を形成するための方法を提供する。例示的な方法は、例えば、相補型金属-酸化物-半導体(CMOS)デバイス構造の形成に使用されることができる。例えば、本開示の方法は、論理デバイス、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、三次元NANDデバイスの形成に使用されることができる二重層ハードマスクを含むことができる。しかしながら、別段の記載のない限り、本発明は必ずしもそのような例に限定されない。
【0033】
本開示において、「ガス」は、常温常圧(NTP)の気体である材料、気化した固体および/または気化した液体を含むことができ、状況に応じて単一の気体または気体の混合物によって構成されることができる。プロセスガス以外のガス、すなわち、ガス分配アセンブリー、他のガス分配デバイスなどを通過することなく導入されるガスは、例えば反応空間を密封するために使用可能で、シールガス、例えば希ガスを含むことができる。一部の場合において、「前駆体」という用語は、別の化合物を生成する化学反応に参加する化合物、および具体的には膜のマトリクスまたは膜の主骨格を構成する化合物を指すことができる。「反応物質」という用語は、前駆体という用語と互換的に使用されることができる。「不活性ガス」という用語は、化学反応に関与しない、および/または相当な程度まで膜マトリクスの一部にならないガスを指すことができる。例示的な不活性ガスは、ヘリウム、アルゴンおよびそれらの任意の組み合わせを含む。一部の場合において、不活性ガスは窒素および/または水素を含むことができる。
【0034】
本明細書で使用される「基材」という用語は、デバイス、回路、もしくは膜を形成するのに使用されることができる任意の下地材料または材料、またはデバイス、回路、もしくは膜が上に形成されることができる任意の下地材料または材料を指すことができる。基材は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)などのバルク材料、ゲルマニウムなどの他のIV族材料、またはII-VI族、もしくはIII-V族半導体材料などの他の半導体材料を含むことができ、かつバルク材料の上に重なる、または下にある一つまたは複数の層を含むことができる。さらに、基材は、基材の層の少なくとも一部分の中またはその上に形成される様々な特徴(陥凹部、突出部およびこれに類するものなど)を含むことができる。例として、基材は、バルク半導体材料と、バルク半導体材料の少なくとも一部分の上にある絶縁または誘電材料層とを含むことができる。
【0035】
本明細書で使用される「膜」および/または「層」という用語は、任意の連続的または非連続的な構造および材料、例えば本明細書に開示の方法により堆積された材料を指すことができる。例えば、膜および/または層としては、二次元材料、三次元材料、ナノ粒子、あるいはさらには部分的もしくは完全な分子層、または部分的もしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスターを挙げることができる。膜または層は、ピンホールを有する材料または層を含んでもよく、それは、少なくとも部分的に連続していてもよい。
【0036】
本明細書で使用される「構造」は、本明細書に記載の通りの基材とすることができ、またはそれを含むことができる。構造は、基材の上にある、または基材内の一つまたは複数の層、例えば、本明細書に記載の通りの方法に従って形成される一つまたは複数の層を含むことができる。デバイス全体または部分的なデバイス部分を構造内または構造上に含めることができる。
【0037】
「周期的堆積プロセス(cyclic deposition process)」または「周期的堆積プロセス(cyclical deposition process)」という用語は、前駆体(および/または反応物質)を反応チャンバ内へ連続的に導入して基材上に層を堆積させることを指すことができ、かつ、原子層堆積(ALD)、周期的化学蒸着(周期的CVD)、ならびにALD構成要素および周期的CVD構成要素を含むハイブリッド周期的堆積プロセスなどの処理技術を含む。
【0038】
「原子層堆積」という用語は、堆積サイクル、典型的には複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバ内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。本明細書で使用される原子層堆積という用語は、関連する用語、例えば、前駆体/反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス供給源MBE、有機金属MBE、および化学ビームエピタキシー、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0039】
一般的に、ALDプロセスでは、各堆積サイクル中に、前駆体が反応チャンバに導入され、堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積した材料または他の材料を含むことができる、基材表面)に化学吸着され、別の前駆体と容易に反応しない材料の単分子層またはサブ単分子層を形成する(すなわち、自己制御反応)。その後、一部の場合において、化学吸着された前駆体を堆積表面上で所望の材料へと変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体または反応ガス)はその後、プロセスチャンバの中に導入されてもよい。反応物質は、前駆体とのさらなる反応の能力を有することができる。あらゆる過剰な前駆体をプロセスチャンバから除去するために、ならびに/またはあらゆる過剰な反応物質および/もしくは反応副生成物を反応チャンバから除去するために、一回または複数回の堆積サイクル中に、例えば各サイクルの各工程中に、パージする工程を利用することができる。
【0040】
さらに、本開示では、変数の任意の二つの数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、示された任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。加えて、示される変数の任意の値は(それらが「約」を有して示されているか否かに関わらず)、正確な値またはおおよその値を指してもよく、かつ等価物を含んでもよく、平均値、中央値、代表値、大多数、またはこれに類するものを指してもよい。さらに、本開示では、「含む」、「によって構成される」、および「有する」という用語は、いくつかの実施形態では、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的になる」、または「からなる」を独立して指す。本開示において、任意の定義された意味は、いくつかの実施形態では、通常および慣習的な意味を必ずしも除外するものではない。
【0041】
本明細書では、「上に(on)」または「上に(over)」という用語は、相対的位置関係を説明するために使用されてもよいことが理解されるであろう。別の要素、膜もしくは層は言及した層上に直接存在してもよく、または別の層(中間層)もしくは要素はその間に介在されてもよく、または層が言及した層上に配置されてもよいが言及した層の表面を完全には覆わなくてもよい。したがって、「直接」という用語が個別に使用されていない限り、「上に(on)」または「上に(over)」という用語は相対的概念であると解釈されるであろう。これと同様に、「下に(under)」、「下に(underlying)」、または「下方に(below)」という用語は、相対的概念であると解釈されることが理解されるであろう。
【0042】
本開示は、半導体構造、特に二重層ハードマスクを含む半導体構造を形成するための方法を含んでもよい。より詳細には、CMOSデバイス構造の製作に採用されるプロセスは、例えば、デバイス構造の望ましくない位置における、シリコンゲルマニウム(SiGe)およびリンドープシリコン(SiP)などの半導体層のエピタキシャル堆積を回避するために最適化されたハードマスク材料を必要とする場合がある。
【0043】
一部のCMOS製作方法では、例えば、酸化アルミニウム(AlO)ハードマスクなどの金属酸化物ハードマスクが、エッチングプロセス中に金属酸化物ハードマスクとして採用されてもよい。しかしながら、酸化アルミニウムなどの単層金属酸化物ハードマスクは、例えば、CMOS製作プロセス中に形成されるピンホールを含むことがあり、このようなピンホールは、下流CMOS製作プロセスにおいて問題を引き起こすことがある。例えば、単層金属酸化物ハードマスク内のピンホールは、基材の特定の領域における半導体層のエピタキシャル堆積を防止するためにハードマスクを採用する場合、製作上の問題を引き起こすことがある。
【0044】
したがって、本開示の実施形態は、第一のハードマスク層および第二のハードマスク層を含む二重層ハードマスクを採用してもよい。例えば、第一のハードマスク層は、例えば、酸化アルミニウムなどの第一の金属酸化物を含むことができ、これは基材上に直接配置され、第二のハードマスク層は、例えば、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、または酸化ジルコニウムなどの第二の金属酸化物を含むことができ、第二のハードマスク層は、第一のハードマスク層と比べて低いドライエッチング速度を有する。
【0045】
したがって、本開示の実施形態は、特に、基材の望まれない領域における望ましくないエピタキシャル堆積を防止するために領域のマスキングを必要とする製作プロセス中に、単一の金属酸化物ハードマスク層ではなく、第一の金属酸化物(MOx1)および第二の金属酸化物(MOx2)についてなどの二重層ハードマスクを採用する。いくつかの実施形態では、第一の金属酸化物および第二の金属酸化物から構成される二重層ハードマスクは、積層構造の形態とすることができる。いくつかの実施形態では、第一の金属酸化物および第二の金属酸化物から構成される二重層ハードマスクは、混合金属酸化物構造の形態とすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、上部ハードマスク層(第二のハードマスク層)は、下部ハードマスク層(第一のハードマスク層)よりも低いドライエッチング速度を有することができ、上部ハードマスク層は、CMOS製作プロセス中に用いられるウェットエッチングプロセスを採用することによって除去することができるほど十分に薄い厚さに形成されることができる。例えば、本開示のCMOS製作プロセスは、基材の第一の領域(例えば、NMOS領域)から二重層ハードマスクを除去することができる一方で、基材の第二の領域(例えば、PMOS領域)を保護するように二重層ハードマスクを維持する、第一のウェットエッチング工程(例えば、希釈フッ化水素酸を採用する)を採用してもよい。
【0047】
本開示の工程のその後の製作プロセスでは、基材の第二の領域(例えば、PMOS領域)上に残っている二重層ハードマスクは、基材の第一の領域上の所望の半導体層のエピタキシャル堆積(例えば、NMOS領域上の堆積)後に除去されることができる。より低いエッチング速度を有する最も上のハードマスク層は、下にある下部ハードマスク層をそのままに維持しながら除去することができ、それによって下部ハードマスク層におけるピンホールの形成を回避することができる。その結果、例えば、その後のNMOS領域上のエピタキシャル堆積プロセスは、PMOS領域に対する保護を維持する。いくつかの実施形態では、二重層ハードマスクの採用およびこのような二重層ハードマスクを形成する方法は、PMOS領域上の半導体層(例えば、SiGe半導体層)のエピタキシャル堆積中にNMOS領域を保護するために再び繰り返されてもよい。
【0048】
したがって、本開示は、半導体構造を形成するための方法を含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法は、第一の領域および第二の領域を含む基材を反応チャンバ内に着座させることと、基材上に二重層ハードマスクを形成することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、二重層ハードマスク層を形成することは、第一の周期的堆積プロセスの一回または複数回の堆積サイクルを実施して、第一の金属酸化物を含む第一のハードマスク層を基材上に堆積させることと、第二の周期的堆積プロセスの一回または複数回の堆積サイクルを実施して、第二の金属酸化物を含む第二のハードマスク層を第一の金属酸化物ハードマスク層上に堆積させることと、を含むことができる。
【0049】
より詳細には、図1は、第一の領域および第二の領域を含む基材上に二重層ハードマスクを形成するために使用されることができる例示的なプロセス100を例示する。簡潔に述べると、例示的な方法100は、反応チャンバ内に基材を提供する工程と、基材上に第一の金属酸化物を含む第一のハードマスク層を堆積させるための第一の周期的堆積プロセス(周期的プロセス105)、および続いて第一の金属ハードマスク層上に第二の金属酸化物を含む第二のハードマスク層を堆積させるための第二の周期的堆積プロセス(周期的プロセス135)を採用する工程と、を含んでもよい。第一のハードマスク層(すなわち、第一の金属酸化物)が基材に近接して配置され、第二のハードマスク層(すなわち、第二の金属酸化物)は基材の遠位に配置され、第一のハードマスク層と第二のハードマスク層との組み合わせが二重層ハードマスクを構成する。
【0050】
より詳細には、例示的な方法100は、反応チャンバ内に基材を提供する工程を含んでもよい。例示的なプロセス100中に二重層ハードマスクを形成するために採用される反応チャンバは、一つまたは複数の周期的堆積プロセスを実施するように構成された原子層堆積反応器システムの反応チャンバとすることができ、またはこれを含むことができる。反応チャンバは、スタンドアローンの反応チャンバまたはクラスターツールの一部とすることができる。反応チャンバは、バッチ処理ツールであってもよい。いくつかの実施形態では、フロー型反応器が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドタイプの反応器が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、空間分割反応器が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、大量製造可能単一ウエハ反応器が利用されてもよい。他の実施形態では、複数の基材を含むバッチ式反応器が利用されてもよい。バッチ式反応器が使用される実施形態については、基材の数は、10~200の範囲、または50~150の範囲、またはさらには100~130の範囲であってもよい。反応器は、プラズマ励起装置なしで、熱反応器として構成されることができる。別の方法として、反応器は、直接および/または遠隔プラズマ装置を含むことができる。
【0051】
反応チャンバ内に配置された基材は、後続の堆積のために所望の堆積温度に加熱されてもよい。例えば、基材は、800℃未満、または600℃未満、または400℃未満、またはさらには200℃未満の基材温度に加熱されてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、基材温度は、室温より高くてもよく、200℃~800℃、または200℃~600℃、または200℃~400℃であってもよい。例示的なプロセス100(図1)(すなわち、二重層ハードマスクを形成するための周期的堆積プロセス)中の温度も、これらの範囲内とすることができる。
【0052】
基材の温度を制御することに加えて、反応チャンバ内の圧力も、二重層ハードマスクの堆積を可能とするように調整されてもよい。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、反応チャンバ内の圧力は、760Torr未満、または0.1Torr~10Torr、または0.5Torr~5Torr、または1Torr~4Torrであってもよい。
【0053】
基材の温度が所望の堆積温度に設定され、反応チャンバ内の圧力が所望のように調節されると、例示的なプロセス100は、第一の周期的堆積プロセスを採用して、第一の金属酸化物を含む第一のハードマスク層を基材の表面上、特に基材の第一の領域上および第二の領域上に堆積させることを含む、工程105に進んでもよい。例えば、本開示の実施形態は、第一の周期的堆積プロセスの一回または複数回の堆積サイクルを実施して、基材の表面上、特に第一の領域の表面上および第二の領域の表面上に、酸化アルミニウムを含む第一の金属酸化物層を堆積させることを含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、第一の周期的堆積プロセス105は、第一の金属前駆体を反応チャンバに提供すること(プロセス工程110)と、第一の酸化剤を反応チャンバに提供すること(プロセス工程120)とを含んでもよい。第一の金属前駆体および第一の酸化剤は、間に入る反応チャンバパージシーケンスの有無にかかわらず、別々におよび/または順次、反応チャンバに提供されることができる。プロセス工程110および120(および間に入る任意のパージシーケンス)は、第一の単位堆積サイクルを構成してもよく、第一の単位堆積サイクルは、一回または複数回繰り返されて、第一のハードマスク層(例えば、第一の金属酸化物)を基材上に、特に第一の領域および第二の領域上に所望の厚さに堆積させてもよい。
【0055】
より詳細には、プロセス工程110は、第一の金属前駆体を反応チャンバに提供することを含む。第一の金属前駆体は、反応チャンバにパルスされることができる。「パルス」という用語は、所定の時間量の間、反応チャンバ内へ前駆体を供給することを含むように、理解されることができる。別段の記載のない限り、「パルス」という用語は、パルスの長さや持続時間を制限しなく、パルスは、任意の長さの時間であってもよい。第一の金属前駆体パルスは、キャリアガス流と共に反応チャンバに供給されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の金属前駆体は、基材の表面と反応する揮発性金属種を含んでもよい。第一の金属前駆体パルスは、基材表面を自己飽和させて、ガリウム前駆体パルスの過剰成分がこのプロセスによって形成される分子層とさらに反応しないようにしてもよい。
【0056】
第一の金属前駆体パルスは、好ましくは、気相反応物質として供給される。種を基材表面に十分な濃度で輸送して、露出した表面を飽和させるために、種がプロセス条件下で十分な蒸気圧を示す場合、第一の金属前駆体ガスは、本開示の目的のために「揮発性」と見なされてもよい。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一のハードマスク層は、酸化アルミニウムを含むことができ、第一の金属前駆体を反応チャンバに提供する工程は、アルミニウム前駆体を反応チャンバに提供することを含むことができる。いくつかの実施形態では、アルミニウム前駆体は、トリメチルアルミニウム(TMA)、塩化ジメチルアルミニウム、三塩化アルミニウム(AlCl)、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド(DMAI)、トリス(tert-ブチル)アルミニウム(TTBA)、トリス(イソプロポキシド)アルミニウム(TIPA)、またはトリエチルアルミニウム(TEA)のうちの一つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、アルミニウム前駆体はジメチルアルミニウムイソプロポキシド(DMAI)を含むことができる。
【0058】
例示的なプロセス100(図1)は、第一の酸化剤を反応チャンバに提供することを含むプロセス工程120を継続してもよい。いくつかの実施形態では、第一の酸化剤は、水(HO)、過酸化水素(H)、オゾン(O)、または窒素酸化物、例えば一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、または二酸化窒素(NO)のうちの一つまたは複数を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、第一の酸化剤前駆体は、有機アルコール、例えばイソプロピルアルコールを含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、第一の周期的堆積プロセス105は、所望の終了基準に到達(プロセス工程130)し、第一の周期的堆積プロセスが終了し得るまで、一回または複数回繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセス工程130の終了基準は、第一のハードマスク層(例えば、第一の金属酸化物層)の所望の厚さに基づいて到達されることができ、または別の方法として、プロセス工程130の終了基準は、第一の周期的堆積プロセス105の所定の回数の堆積サイクルを実施すると到達されてもよい。非限定的な例として、第一の周期的堆積プロセス105は、所望の厚さの酸化アルミニウムが基材の上、特に基材の第一および第二の領域の上に堆積された後に終了されてもよい。
【0060】
例示的なプロセス100(図1)は、第二の周期的堆積プロセス(周期的堆積プロセス135)の一回または複数回の堆積サイクルを実施して第二の金属酸化物を含む第二のハードマスク層を堆積させることによって継続してもよく、第二のハードマスク層(すなわち、第二の金属酸化物)は、第一のハードマスク層(すなわち、第一の金属酸化物)上に堆積される。いくつかの実施形態では、第二のハードマスク層は、第一のハードマスク層上に直接堆積され、それによって、二重層ハードマスクを形成する。第二の周期的堆積プロセス135は、第一の周期的堆積プロセス105のものと類似したものとすることができ、したがって、以下では第二の周期的堆積プロセス135の差異について説明する。
【0061】
より詳細には、第二の周期的堆積プロセスを採用して、第二のハードマスク層(例えば、第二の金属酸化物)を第一のハードマスク層上に堆積させ、特定の実施形態では、第一のハードマスク層上に直接堆積させ、それによって二重層ハードマスクを形成することができる。
【0062】
より詳細には、いくつかの実施形態では、第二の周期的堆積プロセス135は、第二の金属前駆体を反応チャンバに提供すること(プロセス工程140)と、第二の酸化剤を反応チャンバに提供すること(プロセス工程150)とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第二のハードマスク層は、第一のハードマスク層と組成が異なる。いくつかの実施形態では、第二のハードマスク層は、第一の金属酸化物とは異なる第二の金属酸化物を含む。いくつかの実施形態では、第二のハードマスク層は、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、および酸化ジルコニウムからなる群から選択されることができる。
【0063】
例えば、第二のハードマスク層が酸化ハフニウムを含む実施形態では、反応チャンバに第二の金属前駆体を提供することは、反応チャンバにハフニウム前駆体を提供することを含むことができる。例えば、ハフニウム前駆体は、ハロゲン化ハフニウム前駆体、およびハフニウム有機金属前駆体からなる群から選択されることができる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化ハフニウム前駆体は、四塩化ハフニウム(HfCl)、四ヨウ化ハフニウム(HfI)、または四臭化ハフニウム(HfBr)のうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、ハフニウム有機金属前駆体は、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(Hf(NEtMe))、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(Hf(NMe)、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(Hf(NEt)、(トリス(ジメチルアミド)シクロペンタジエニルハフニウムHfCp(NMe、またはビス(メチルシクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム(MeCp)Hf(CH)(OCH)のうちの少なくとも一つを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、第二のハードマスク層は、酸化ジルコニウム層を含むことができる。したがって、このような実施形態では、第二の金属前駆体は、例えば、Zr(NEtMe)、ZrCp(NMe、Zr(OBu)などのジルコニウム前駆体を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、第二のハードマスク層は、酸化イットリウム層を含むことができる。したがって、こうした実施形態では、第二の金属前駆体は、例えば、Y(CpBu)、Y(CpEt)、Y(CpMe)などのイットリウム前駆体を含むことができる。
【0066】
例示的なプロセス100(図1)は、第二の酸化剤を反応チャンバに提供することを含むプロセス工程150を継続してもよい。いくつかの実施形態では、第二の酸化剤は、水(HO)、過酸化水素(H)、オゾン(O)、または窒素酸化物、例えば一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、または二酸化窒素(NO)のうちの一つまたは複数を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、第一の酸化剤前駆体は、有機アルコール、例えばイソプロピルアルコールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の酸化剤および第二の酸化剤は同じであってもよく、他の実施形態では、第一の酸化剤および第二の酸化剤は異なっていてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、第二の周期的堆積プロセス135は、所望の終了基準に到達(プロセス工程160)し、第二の周期的堆積プロセスが終了し得るまで、一回または複数回繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセス工程160の終了基準は、第二のハードマスク層(例えば、第二の金属酸化物層)の所望の厚さに基づいて到達されることができ、または別の方法として、プロセス工程160の終了基準は、第二の周期的堆積プロセス105の所定の回数の堆積サイクルを完了すると到達されてもよい。非限定的な例として、第二の周期的堆積プロセス135は、所望の厚さの酸化ハフニウムが第一のハードマスク層基材上に堆積された後に終了されてもよい。次いで、例示的なプロセス100は、二重層ハードマスクの形成が完了すると、プロセス工程170を介して終了することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示の二重層ハードマスクは、CMOSデバイス構造の製作に採用されてもよい。より詳細には、例示的なプロセス200(図2)は、CMOSデバイス構造の製作における本開示の二重層ハードマスクの採用を例示する。
【0069】
より詳細には、プロセス200は、本明細書に前述したように、第一の領域および第二の領域を含む基材を反応チャンバ内に着座させ、基材上に二重層ハードマスクを形成することから開始してもよい。次いで、例示的なプロセス200は、基材の第一の領域の上から二重層ハードマスクを選択的に除去して、基材の第一の領域の表面を露出させることを含む、プロセス工程220を介して進んでもよい。いくつかの実施形態では、基材の第一の領域から二重層ハードマスクを選択的に除去することは、基材の第二の領域の上にパターン形成されたレジスト層を形成することと、二重層ハードマスクの露出領域をウェットエッチャントと接触させることとをさらに含む。いくつかの実施形態では、ウェットエッチャントは、フッ化水素酸、硫酸、およびリン酸、ならびに前述のウェットエッチャントの希釈および過酸化水素混合物からなる群から選択される。
【0070】
例示的なプロセス200は、基材の第一の領域の露出された表面上に洗浄プロセスを実施し、それによって洗浄された第一の領域表面を形成することを含むプロセス工程230を介して継続してもよい。いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、基材の第一の領域の露出された表面を、フッ素含有ガス(例えば、フッ化水素酸、NF、NF )およびアンモニアを含むガス混合物から生成されるプラズマと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、第二のハードマスク層の少なくとも一部分を基材の第二の領域の上から除去する。いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、第二のハードマスク層を基材の第二の領域の上から除去する。
【0071】
例示的なプロセス200は、洗浄された第一の領域表面上に半導体層を形成することを含むプロセス工程240を介して継続してもよい。いくつかの実施形態では、半導体層を形成することは、エピタキシャル堆積プロセスによって、洗浄された第一の領域表面上に半導体層を直接堆積させることを含む。いくつかの実施形態では、エピタキシャル堆積プロセスを採用して、洗浄された第一の表面上にSiGe層またはSiP層を堆積させてもよい。
【0072】
例示的なプロセス200は、基材の第二の領域の上から二重層ハードマスクの任意の残りの部分を除去することを含むプロセス工程240を介して継続してもよい。
【0073】
本開示の二重層ハードマスクは、CMOSデバイス構造を製作する他の方法に採用されてもよい。より詳細には、本開示のプロセスは、NMOS領域およびPMOS領域を含む基材を反応チャンバ内に着座させることと、NMOS領域上およびPMOS領域上に二重層ハードマスクを堆積させることと、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、二重層ハードマスクを堆積させることは、第一のハードマスク層をNMOS領域およびPMOS領域の両方の上に堆積させることと、第二のハードマスク層を第一のハードマスク層の上に堆積させることとを含む。いくつかの実施形態では、二重層ハードマスクは、周期的堆積プロセスによって堆積される。
【0074】
本開示のプロセスは、NMOS領域上の二重層ハードマスクを選択的に除去して、NMOS領域の表面を露出させることと、NMOS領域の露出された表面上に洗浄プロセスを実施し、それによって、清浄なNMOS表面を形成することと、をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、NMOS領域上の二重層ハードマスクを選択的に除去することは、PMOS領域上にパターン形成されたレジスト層を形成することと、二重層ハードマスクの露出領域を、フッ化水素酸、硫酸、およびリン酸からなる群から選択されるウェットエッチャントと接触させることとをさらに含む。
【0075】
本開示のプロセスは、清浄なNMOS表面上に半導体層を堆積させることをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、半導体層は、エピタキシャル堆積プロセスによって堆積される。
【0076】
本開示の実施形態はまた、本明細書に開示される方法によって形成される半導体構造を含む。例えば、図3(a)は、第一の領域304(例えば、NMOS領域)および第二の領域302(例えば、PMOS領域)を含む基材を例示する。第一のハードマスク層306(例えば、酸化アルミニウム)は、図3(b)に例示するように、第一の領域および第二の領域の表面上に堆積されてもよい。第二のハードマスク層308(例えば、酸化ハフニウム)は、図3(c)に例示するように、第一のハードマスク層306の表面上に堆積され、それによって二重層マスク300を形成してもよい。
【0077】
図4(a~c)は、本開示の実施形態に従って形成されることができるさらなる半導体構造を例示する。例えば、図4(a)に例示するように、パターン形成されたレジスト層310を形成してもよく、第二の領域302(例えば、PMOS領域)上に配置することができる。続いて、選択的エッチングプロセスを実施して、図4(b)に示すように、第一の領域304(例えば、NMOS領域)の上方の領域から二重層ハードマスクを除去することができ、上記の層の除去後、残りのパターン形成されたレジストを除去することができる。次いで、図4(b)に図示した構造は、洗浄プロセスに供されて、洗浄された第一の領域表面(例えば、清浄なNMOS表面領域)を提供してもよく、上記の洗浄中に、第二の領域302(例えば、PMOS領域)に重なる第二のハードマスク層308は、図4(c)に例示するように除去されてもよい。いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、第二の領域に重なる第二のハードマスク層308の一部分を除去してもよい。
【0078】
図5(a、b)は、本開示の実施形態に従って形成されることができるさらなる構造を例示する。例えば、半導体層310は、図5(a)に例示するように、エピタキシャル堆積方法によって第一の領域304(例えば、NMOS領域)の上に堆積されることができる。図5(a)に例示するように、二重層ハードマスクの残りの部分は、第二の領域302(例えば、PMOS領域)の上への半導体層310の堆積を防止する。半導体層310の堆積後、第二の領域302上に残っている残りの二重層ハードマスクは、図5(b)に例示するように、例えば、エッチング方法によって除去されてもよい。
【0079】
上述の本開示の例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって定義される、本発明の実施形態の単なる実施例であるので、本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、記述される要素の代替的な有用な組み合わせなどの、本明細書に示されかつ記述されるものに加えて、本開示の様々な修正は、当業者には記述から明らかになってもよい。こうした修正および実施形態もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】