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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137941
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240927BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240927BHJP
【ＦＩ】
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2024048618
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2023047025
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024019667
(32)【優先日】2024-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和幸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
【テーマコード（参考）】
2H072
3F108
【Ｆターム（参考）】
2H072AA17
2H072AA25
2H072AA30
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】綴じ処理に応じた適切な綴じ力の設定、処理速度の設定をすることができる媒体
処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも１枚の媒体に液体付与を行う液体付与部（３１）と、液体付与
をされた複数の媒体に所定の後処理を施す後処理部（２５）と、を備え、後処理の種類（綴じ処理の種類）と、綴じ形態の種類（２箇所綴じ、平行綴じなど）に応じて、後処理部における後処理の実行回数を変更する（Ｇ１）、媒体処理装置による。
【選択図】図１３
処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも１枚の媒体に液体付与を行う液体付与部（３１）と、液体付与
をされた複数の媒体に所定の後処理を施す後処理部（２５）と、を備え、後処理の種類（綴じ処理の種類）と、綴じ形態の種類（２箇所綴じ、平行綴じなど）に応じて、後処理部における後処理の実行回数を変更する（Ｇ１）、媒体処理装置による。
【選択図】図１３
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも１枚の媒体に液体付与を行う液体付与部と、
前記液体付与をされた複数の前記媒体を含む媒体束に対して、異なる種類の後処理と異なる種類の綴じ形態とを組み合わせて実行する後処理部と、を備え、
前記後処理の種類と、前記媒体束に対して設定された前記綴じ形態の種類と、に応じて、前記後処理の実行回数を変更する、
媒体処理装置。
前記液体付与をされた複数の前記媒体を含む媒体束に対して、異なる種類の後処理と異なる種類の綴じ形態とを組み合わせて実行する後処理部と、を備え、
前記後処理の種類と、前記媒体束に対して設定された前記綴じ形態の種類と、に応じて、前記後処理の実行回数を変更する、
媒体処理装置。
【請求項2】
前記後処理部は、前記媒体束の厚み方向において加圧し変形させて綴じる圧着部を備え、
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記圧着綴じ処理の回数である、
請求項１に記載の媒体処理装置。
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記圧着綴じ処理の回数である、
請求項１に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記後処理部は、前記媒体束の厚み方向において加圧し変形させて綴じる圧着部を備え、
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記液体付与の回数、及び前記圧着綴じ処理の回数である、
請求項１に記載の媒体処理装置。
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記液体付与の回数、及び前記圧着綴じ処理の回数である、
請求項１に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記後処理部を回動させる後処理部回動機構を備え、
前記後処理部回動機構により変更される圧着綴じ姿勢に応じて前記圧着綴じ処理の回数を変更する、
請求項２に記載の媒体処理装置。
前記後処理部回動機構により変更される圧着綴じ姿勢に応じて前記圧着綴じ処理の回数を変更する、
請求項２に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記後処理部は、複数の前記媒体に針綴じ処理を実行する針綴じ部を更に備える、
請求項２に記載の媒体処理装置。
請求項２に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記後処理を実行される媒体束を構成する前記媒体の枚数に応じて、前記媒体束に対する後処理として、前記圧着綴じ処理に代えて前記針綴じ処理を実行する、
請求項５に記載の媒体処理装置。
請求項５に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記液体付与部が保持している液体残量に応じて、前記媒体束に対する後処理を前記圧着綴じ処理又は前記針綴じ処理のどちらかに切り替える、
請求項５に記載の媒体処理装置。
請求項５に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記媒体束を構成する前記媒体の枚数に応じて前記後処理の実行回数を変更する、
請求項１に記載の媒体処理装置。
請求項１に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記液体付与部が保持している液体残量が、前記後処理の実行回数に伴って実行される前記液体付与の回数で消費される液体の量を満たすか否かに応じて、前記後処理の実行回数を変更することができる、
請求項１に記載の媒体処理装置。
請求項１に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された前記媒体に対して後処理を行う請求項１に記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システム。
前記画像形成装置によって画像が形成された前記媒体に対して後処理を行う請求項１に記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体の束（シート束）を形成する処理を行うことができる媒体処理装置が知られている。媒体処理装置として、シート束を形成するための綴じ処理として、金属製の綴じ針（ステイプル針）を用いる「針有り綴じ処理」を行うものが知られている。近年は、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から金属製の綴じ針（ステイプル針）を用いずに「針無し綴じ処理」を行う機能を備えるも知られている。
【0003】
針無し綴じ処理は、凹凸状の綴じ歯でシート束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が主流である。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られている。本明細書では、以下の説明において、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にする「用紙束」を例に用いることとする。
【0004】
また、本明細書において「針有り綴じ処理」を単に「針綴じ処理」とし、「針無し綴じ処理」を「圧着綴じ処理」と表記することがある。
【0005】
圧着綴じ処理を行うときに、用紙に液体を付与することで綴じ強度を向上させる圧着綴じを実行するか、又は、液体を付与せずに圧着綴じを実行するかを、液体を綴じ歯に供給する駆動源の駆動方向の切り替えにより行う技術が知られている（例えば、特許文献１を参照）。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献１に開示されている技術は、液体を付与して圧着する液体付与圧着綴じ動作を行なうか、液体付与せずに圧着する圧着綴じ動作を行なうかの綴じ処理の条件に応じて圧着綴じ回数（打数）を変更することができる。このような従来技術では、液体付与圧着綴じのときに圧着綴じ回数（打数）を減らして綴じ処理時間の短縮すること、及び綴じ処理に応じた適切な綴じ力での綴じ処理や、綴じ処理速度を向上させて生産性の向上を図る処理に対応するには課題がある。
【0007】
本発明は、綴じ処理に応じた適切な綴じ力の設定、処理速度の設定をすることができる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体処理装置に関し、少なくとも１枚の媒体に液体付与を行う液体付与部と、前記液体付与をされた複数の前記媒体に所定の後処理を施す後処理部と、を備え、前記後処理の種類と、前記後処理の対象物単位に対する前記後処理の回数設定と、に応じて、前記所定の後処理の実行回数を変更する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、綴じ処理に応じた適切な綴じ力の設定、処理速度の設定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成システムの全体構成を示す図。
【図2】第１実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【図3】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【図4】端綴じ処理部を主走査方向の液体付与部側から見た模式図。
【図5】端綴じ処理部の圧着部の構成を示す模式図。
【図6】端綴じ処理部の変形例を示す図。
【図7】端綴じ処理部の変形例に係る液体付与圧着部を示す図。
【図9】針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【図10】針綴じ処理部の変形例を搬送方向の上流側から見た模式図。
【図11】第１実施形態に係る後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【図12】端綴じ処理部による綴じ処理（後処理）の種類選択処理のフローチャート。
【図13】端綴じ処理部が圧着綴じ処理を行う場合の綴じ回数の増減設定をするインターフェースの図。
【図14】端綴じ処理部における針綴じ処理のフローチャート。
【図17】端綴じ処理部における２箇所綴じ標準打数の液体付与圧着綴じ処理のフローチャート。
【図21】端綴じ処理部における２箇所綴じ打数増の液体付与圧着綴じ処理のフローチャート。
【図26】端綴じ処理部における２箇所綴じ標準打数の圧着綴じ処理のフローチャート。
【図29】第２実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【図30】第２実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
【図31】第２実施形態に係る圧着部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【図32】第２実施形態に係る液体付与部を用紙の厚み方向から見た図。
【図35】第２実施形態に係る後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【図36】第２実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
【図37】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
【図38】後処理装置の制御部の変形例１を示す図。
【図39】後処理装置の制御部の変形例２を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
［画像形成システム１の実施形態］
以下、本発明に係る画像形成システム１について、図面を参照しながら説明する。図１は、画像形成システム１の全体構成を示す図である。画像形成システム１は、シート状の媒体の一種としての用紙Ｐに画像を形成する画像形成機能、画像が形成された用紙Ｐに対して所定の後処理を施す後処理機能、などを有する。図１に示すように、画像形成システム１は、画像形成機能を有する画像形成装置２と、本発明に係る後処理機能を有する媒体処理装置としての後処理装置３と、を連携して動作するように構成される。
以下、本発明に係る画像形成システム１について、図面を参照しながら説明する。図１は、画像形成システム１の全体構成を示す図である。画像形成システム１は、シート状の媒体の一種としての用紙Ｐに画像を形成する画像形成機能、画像が形成された用紙Ｐに対して所定の後処理を施す後処理機能、などを有する。図１に示すように、画像形成システム１は、画像形成機能を有する画像形成装置２と、本発明に係る後処理機能を有する媒体処理装置としての後処理装置３と、を連携して動作するように構成される。
【0012】
なお、本実施形態では、画像形成システム１において処理の対象とするシート状の媒体 として「紙」を前提にする説明をしている。しかし、本実施形態に係る処理の対象は、紙に限定されるものではない。例えば、従来から知られている画像形成プロセスを利用して画像形成が可能な媒体であれば、その種類などは問わない。また、折り処理や綴じ処理の対象物となりうる媒体も、これに含むものとし、素材や仕様などを限定するものではない。
【0013】
画像形成装置２は、用紙Ｐに画像を形成し、画像を形成した用紙Ｐを後処理装置３に排出する。画像形成装置２は、用紙Ｐが収容される収容トレイ２１１と、収容トレイ２１１に収容された用紙Ｐを搬送する搬送部２１２と、搬送部２１２によって搬送された用紙Ｐに画像を形成する画像形成部２１３とを備える。画像形成部２１３は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。また、画像形成装置２は、搬送部２１２及び画像形成部２１３の各種動作を制御する制御部１００ａを備える。画像形成装置２の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0014】
なお、シート状の媒体の例として紙が広く知られている。そこで本明細書では、処理対象としてのシート状の媒体に関する記載をするときは「用紙Ｐ」を用いることとする。また、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にして構成される「用紙束Ｐｂ」を例に用いることとする。
【0015】
［後処理装置３の第１実施形態］
図２は、第１実施形態に係る後処理装置３の内部構造を示す図である。後処理装置３は、画像形成装置２によって画像が形成された用紙Ｐに所定の後処理を施す機能を備える。本実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Ｐの束（シート束）を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。また、本実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Ｐの束（シート束）を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。以下、用紙Ｐの束を媒体束としての「用紙束Ｐｂ」と表記する。
図２は、第１実施形態に係る後処理装置３の内部構造を示す図である。後処理装置３は、画像形成装置２によって画像が形成された用紙Ｐに所定の後処理を施す機能を備える。本実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Ｐの束（シート束）を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。また、本実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Ｐの束（シート束）を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。以下、用紙Ｐの束を媒体束としての「用紙束Ｐｂ」と表記する。
【0016】
なお、本実施形態においては、圧着綴じ処理を行う場合の液体付与処理に関する説明を主に行う。しかし、針綴じ処理に関連して行う液体付与処理も同様のものである。また、以下の説明において「綴じ処理」と表記する場合は、前記「圧着綴じ処理」及び前記「針綴じ処理」の両方を含むものを意味し、綴じを行う方法（綴じ針を用いるのか、加圧変形なのか）に限定しないものとする。
【0017】
なお、本実施形態に係る「圧着綴じ処理」とは、より詳細には、用紙束Ｐｂの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて、当該綴じ位置を変形させて（加圧変形させて）綴じる処理であって、「圧着綴じ」と称される処理である。なお、後処理装置３において実行可能な綴じ処理は、用紙束Ｐｂの端部を綴じる端綴じ処理と、用紙束Ｐｂの中央部を綴じる中綴じ処理を含むものとする。
【0018】
後処理装置３は、搬送ローラ対１０～１９（搬送部）及び切替部材２０などと、制御部１００ｂ（制御手段）を備える。制御部１００ｂは、搬送ローラ対１０～１９（搬送部）及び切替部材２０などの動作を制御する。なお、制御部１００ｂの詳細については、後述する。搬送ローラ対１０～１９は、後処理装置３の内部において、画像形成装置２から供給された用紙Ｐを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対１０～１３は、第１搬送路Ｐｈ１に沿って用紙Ｐを搬送する。また、搬送ローラ対１４～１５は、第２搬送路Ｐｈ２に沿って用紙Ｐを搬送する。さらに、搬送ローラ対１６～１９は、第３搬送路Ｐｈ３に沿って用紙Ｐを搬送する。また、搬送ローラ対１０及び１１により搬送される用紙Ｐにパンチ処理を行うパンチ孔穿設手段１３２が、搬送ローラ対１０と１１の間に配置されている。
【0019】
第１搬送路Ｐｈ１は、画像形成装置２からの用紙Ｐの供給口から第１排出トレイ２１に至る経路である。第２搬送路Ｐｈ２は、搬送方向における搬送ローラ対１１、１４の間において第１搬送路Ｐｈ１から分岐し、内部トレイ２２を経由して第２排出トレイ２６に至る経路である。第３搬送路Ｐｈ３は、搬送方向における搬送ローラ対１１、１４の間において第１搬送路Ｐｈ１から分岐し、排出トレイ３０に至る経路である。
【0020】
切替部材２０は、第１搬送路Ｐｈ１及び第２搬送路Ｐｈ２の分岐位置に配置されている。切替部材２０は、第１搬送路Ｐｈ１を通じて用紙Ｐを第１排出トレイ２１に排出する第１位置と、第１搬送路Ｐｈ１を搬送される用紙Ｐを第２搬送路Ｐｈ２に導く第２位置とに切り替え可能に構成されている。また、第２搬送路Ｐｈ２に進入した用紙Ｐの後端が搬送ローラ対１１を通過したタイミングで、搬送ローラ対１４を逆回転させることによって、当該用紙Ｐが第３搬送路Ｐｈ３に導かれる。また、後処理装置３は、各搬送路Ｐｈ１、Ｐｈ２、Ｐｈ３上の用紙Ｐの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、複数のセンサは、図２において黒塗り三角形（▲）で示している。
【0021】
後処理装置３は、第１排出トレイ２１を備える。第１排出トレイ２１は、第１搬送路Ｐｈ１を通じて排出された用紙Ｐを載置する。第１排出トレイ２１には、画像形成装置２から供給される用紙Ｐのうち、綴じ処理が施されない用紙Ｐが排出される。
【0022】
また、後処理装置３は、載置トレイとしての内部トレイ２２と、エンドフェンス２３と、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒと、端綴じ処理部２５と、針綴じ処理部５５と、第２排出トレイ２６とを備える。内部トレイ２２と、エンドフェンス２３と、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒと、端綴じ処理部２５と、針綴じ処理部５５は、第２搬送路Ｐｈ２から内部トレイ２２に搬送される複数の用紙Ｐからなる用紙束Ｐｂに端綴じ処理を施す。第２排出トレイ２６には、画像形成装置２から供給される用紙Ｐのうち、端綴じ処理が施された用紙束Ｐｂが排出される。
【0023】
ここでいう「端綴じ処理」とは、用紙束Ｐｂの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」、用紙束Ｐｂの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Ｐｂの搬送方向に平行な一辺に沿って幅方向に離間した複数個所に綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。
【0024】
以下、搬送ローラ対１５からエンドフェンス２３に向かって用紙Ｐが搬送される方向を、「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置２から排出された用紙Ｐが、搬送ローラ対１０等により、第２排出トレイ２６の方向に移動した後に、搬送ローラ対１５によって方向を転換して、それまでとは異なる方向である、エンドフェンス２３に向かう方向に相当する。また、用紙Ｐの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向（用紙Ｐの幅方向）」と定義する。
【0025】
第２搬送路Ｐｈ２を経由して順番に搬送される複数の用紙Ｐは、載置トレイとしての内部トレイ２２に一時的に載置される。エンドフェンス２３は、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５は、エンドフェンス２３及びサイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒによって揃えられた用紙束Ｐｂの端部を綴じる。そして、搬送ローラ対１５は、端綴じ処理が施された用紙束Ｐｂを第２排出トレイ２６に排出する。
【0026】
さらに、後処理装置３は、エンドフェンス２７と、中綴じ処理部２８と、用紙折りブレード２９と、排出トレイ３０とをさらに備える。エンドフェンス２７、中綴じ処理部２８、及び用紙折りブレード２９は、第３搬送路Ｐｈ３を搬送される用紙Ｐにより構成させた用紙束Ｐｂに中綴じ処理を施す。排出トレイ３０には、画像形成装置２から供給される用紙Ｐのうち、中綴じ処理が施された用紙束Ｐｂが排出される。
【0027】
エンドフェンス２７は、第３搬送路Ｐｈ３を順番に搬送される複数の用紙Ｐの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス２７は、用紙束Ｐｂの中央を、中綴じ処理部２８に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード２９に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部２８は、綴じ位置のエンドフェンス２７によって揃えられた用紙束Ｐｂの中央を綴じる。用紙折りブレード２９は、折り位置のエンドフェンス２７に載置された用紙束Ｐｂを半分に折って、搬送ローラ対１８に挟持させる。搬送ローラ対１８、１９は、中綴じ処理が施された用紙束Ｐｂを排出トレイ３０に排出する。
【0028】
［端綴じ処理部２５の構成］
図３は、図２に示した液体付与処理と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部２５を、搬送方向の上流側から見た模式図である。図４は、端綴じ処理部２５を主走査方向の液体付与部３１側から見た模式図である。図３及び図４に示すように、端綴じ処理部２５は、用紙Ｐに対して液体を付与する液体付与部３１と、後処理部の一例であって用紙束Ｐｂに対して圧着綴じを行う圧着部３２とを備える。液体付与部３１及び圧着部３２は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
図３は、図２に示した液体付与処理と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部２５を、搬送方向の上流側から見た模式図である。図４は、端綴じ処理部２５を主走査方向の液体付与部３１側から見た模式図である。図３及び図４に示すように、端綴じ処理部２５は、用紙Ｐに対して液体を付与する液体付与部３１と、後処理部の一例であって用紙束Ｐｂに対して圧着綴じを行う圧着部３２とを備える。液体付与部３１及び圧着部３２は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0029】
図４に示すように、液体付与部としての液体付与部３１は、貯液部としての第１貯液タンク４３に貯留された液体を、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに付与する。以下、液体付与部３１が用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに対して液体を付与すること、及び当該液体付与する際の液体付与部３１の動作を、「液体付与」と表記する。また、制御処理を伴う液体付与部３１の液体付与動作を「液体付与処理」と表記する。
【0030】
ここで、液体付与に用いる液体として第１貯液タンク４３に貯留される液体は、さらに詳しくは、化学式「Ｈ２Ｏ」で表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていてもよい。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0031】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・ｐＨ調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いてもよい。
【0032】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、綴じ処理後の綴じ強度を高める作用を発揮させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。また、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Ｐｂの綴じ強度を向上させることができる。
【0033】
［液体付与部３１の構成]
図３及び図４に示すように、液体付与部３１は、端綴じ処理部移動モータ５０の駆動力が伝達されることによって、圧着部３２と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与部３１は、用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの載置台としての下押圧板３３と、上押圧板３４と、液体付与部移動機構３５と、液体付与機構３６とを備える。液体付与部３１の構成部品（下押圧板３３、上押圧板３４、液体付与部移動機構３５、液体付与機構３６、液体付与部移動モータ３７）は、液体付与フレーム３１ａ及びベース部材４８により保持されている。
図３及び図４に示すように、液体付与部３１は、端綴じ処理部移動モータ５０の駆動力が伝達されることによって、圧着部３２と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与部３１は、用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの載置台としての下押圧板３３と、上押圧板３４と、液体付与部移動機構３５と、液体付与機構３６とを備える。液体付与部３１の構成部品（下押圧板３３、上押圧板３４、液体付与部移動機構３５、液体付与機構３６、液体付与部移動モータ３７）は、液体付与フレーム３１ａ及びベース部材４８により保持されている。
【0034】
また、図３に示すように、液体付与部３１は、液体付与部回動機構２５２を備えている。液体付与部回動機構２５２は、後述する液体付与部回動モータ５６３と、出力ギヤ５６３ａと、駆動伝達ギヤ５６２ａとから構成されている。液体付与部３１の構成品を保持する液体付与フレーム３１ａは、その底面に駆動伝達ギヤ５６２ａを備えた液体付与部回転軸５６２が固定されている。液体付与部回転軸５６２及び駆動伝達ギヤ５６２ａは、液体付与フレーム３１ａが設けられるベース部材４８に正逆方向に回転可能に保持されている。
【0035】
また、駆動伝達ギヤ５６２ａは、液体付与部回動モータ５６３の出力ギヤ５６３ａに噛み合っている。そして、液体付与部３１は、液体付与部回動モータ５６３の駆動力が、出力ギヤ５６３ａ及び駆動伝達ギヤ５６２ａを介して液体付与部回転軸５６２に伝達されることによって、ベース部材４８上において、液体付与部回転軸５６２を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0036】
下押圧板３３及び上押圧板３４は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂは、下押圧板３３にも載置される。下押圧板３３は、下押圧板保持体３３１上に設けられている。上押圧板３４は、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂと対面する位置において、用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの厚み方向に移動可能に構成されている。
【0037】
すなわち、下押圧板３３及び上押圧板３４は、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂを挟んで、用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの厚み方向（以下、単に「厚み方向」と表記する。）に対向して配置されている。さらに、上押圧板３４には、ベースプレート４０に取り付けられたジョイント４６を介して保持される液体付与部材４４に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口３４ａが形成されている。なお、液体付与部材４４は、後述する液体供給部材４５（吸液体）の一方の端部であって、先端部分に相当する。
【0038】
液体付与部移動機構３５は、上押圧板３４と、ベースプレート４０と、ジョイント４６と、液体付与部材４４を用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与部移動機構３５は、単一の液体付与部移動モータ３７によって、上押圧板３４と、ベースプレート４０と、ジョイント４６と、液体付与部材４４とを連動して移動させる。液体付与部移動機構３５は、例えば、液体付与部移動モータ３７と、台形ネジ３８と、ナット３９と、ベースプレート４０と、柱状部材４１ａ、４１ｂと、コイルバネ４２ａ、４２ｂとを備える。
【0039】
液体付与部移動モータ３７は、上押圧板３４と、ベースプレート４０と、ジョイント４６と、液体付与部材４４とを移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ３８は、用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの厚み方向に延設されると共に、液体付与フレーム３１ａに正逆方向に回転可能に設けられている。また、台形ネジ３８は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ３７の出力軸に接続されている。ナット３９は、台形ネジ３８に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ３７の駆動力が伝達されて台形ネジ３８が正逆方向に回転することによってナット３９が台形ネジ３８上を往復移動する。
【0040】
ベースプレート４０は、上押圧板３４に対して離間した位置に配置されている。また、ベースプレート４０は、液体付与部材４４の先端部分をベースプレート４０から上押圧板３４に向けて突出させた状態で、液体付与部材４４を保持している。さらに、ベースプレート４０は、ナット３９を介して台形ネジ３８に接続されており、台形ネジ３８が正逆方向に回転することによって台形ネジ３８に沿って往復移動可能に構成されている。そして、ベースプレート４０の上下方向の位置は、移動センサ４０ａ（図１１参照）によって検知される。
【0041】
柱状部材４１ａ、４１ｂは、液体付与部材４４の先端部分の周囲において、ベースプレート４０から上押圧板３４に向かって突出している。また、柱状部材４１ａ、４１ｂは、ベースプレート４０に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材４１ａ、４１ｂは、下押圧板３３側の先端部で上押圧板３４を保持している。また、柱状部材４１ａ、４１ｂの下押圧板３３と反対側の先端部には、柱状部材４１ａ、４１ｂがベースプレート４０から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。
【0042】
コイルバネ４２ａ、４２ｂは、ベースプレート４０と上押圧板３４との間において、柱状部材４１ａ、４１ｂに外挿されている。そして、コイルバネ４２ａ、４２ｂは、上押圧板３４及び柱状部材４１ａ、４１ｂを、ベースプレート４０に対して下押圧板３３側に向かって付勢する。
【0043】
液体付与機構３６は、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに液体付与する。より詳細には、液体付与機構３６は、液体付与部材４４を用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに接触させることによって、用紙束Ｐｂを構成する少なくとも１枚の用紙Ｐに液体付与する。
【0044】
液体付与機構３６は、液体付与部材４４と、液体供給部材４５と、第１貯液タンク４３と、ジョイント４６とを備える。第１貯液タンク４３は、用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに供給するための液体を貯留する。第１貯液タンク４３に貯留された液体は、液位センサ４３ａ（液体検知手段）によって検知される。
【0045】
液体付与部材４４は、第１貯液タンク４３に貯留された液体を用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに付与する。液体付与部材４４は、先端を上押圧板３４に向けてベースプレート４０に保持されている。
【0046】
また、液体付与部材４４は、吸液率の高い材料で構成されていて、例えば、液体を含むことが可能な連続気泡体で構成されている。液体付与部材４４は、液体を吸い上げて保つことができる性質を有する素材であって、用紙Ｐに接触した状態で加えられる押圧力に応じて潰れる性質を備えるものであれば、その種類は問わない。例えば、スポンジのような発泡体でもよいし毛細管現象により液体を吸い上げることができる繊維でもよい。
【0047】
液体供給部材４５（吸液体）は、基端が第１貯液タンク４３に貯留された液体に浸漬される浸液部４５２であり、先端が液体付与部材４４に接続される長尺の部材である。また、液体供給部材４５は、例えば、液体付与部材４４と同様に、吸水率の高い材料で構成されている。これにより、液体供給部材４５の浸液部４５２から吸収された液体が、毛細管現象によって液体付与部材４４に供給される。すなわち、第１貯液タンク４３に貯留された液体は、液体供給部材４５の浸液部４５２から吸い上げられ、その吸い上げられた液体が液体供給部材４５を通じて先端に接続されている液体付与部材４４へと供給されるように構成されている。
【0048】
以上のように、液体供給部材４５の浸液部４５２から吸い上げられた液体が液体供給部材４５を通じて液体付与部材４４へと供給されて、液体付与部材４４が用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの最上位面に接することで液体付与が行われる。
【0049】
なお、上記において液体供給部材４５と液体付与部材４４が別体である場合について説明したが、液体供給部材４５と液体付与部材４４は、同様の性質をもった材料（例えば、吸液率の高い材料）によりにより一体的に構成されていてもよい。つまり、液体付与部材４４が液体供給部材４５の一部となるように構成することもできる。その場合は、毛細管現象による液体供給部材４５からの液体付与部材４４への液体の供給がよりスムーズに行うことが可能になるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0050】
保護部材４５ａは、液体供給部材４５に外挿される長尺の筒体（例えば、チューブ）である。これにより、液体供給部材４５が吸収した液体が漏れ出したり、蒸発したりすることを防止できる。また、液体供給部材４５及び保護部材４５ａは、可撓性を有する材料で形成されている。ジョイント４６は、液体付与部材４４を保持しており、ベースプレート４０に設けられている。これにより、液体付与部材４４は、液体付与部移動機構３５によって搬送方向及び主走査方向に直交する方向に移動されても、ベースプレート４０から上押圧板３４側に向けて突出すると共に、液体付与部材４４の先端が上押圧板３４側を向いた状態が維持される。
【0051】
液体付与処理において、液体付与部移動モータ３７の駆動量を制御することにより、液体付与部材４４が用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに対する移動量（押圧量）を制御することができる。用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに対する液体付与部材４４の移動量を制御することで、用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに対して液体付与部材４４が接触する面積（接触面積）の広さを調整したり、接触する時間（接触時間）を調整したりする。これらの調整によって、液体付与処理において用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに付与する液体の量と、液体の広がりを調整することができる。
【0052】
［圧着部３２の構成］
図３に示すように、後処理部としての圧着部３２は、凹凸状の上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂで用紙束Ｐｂの液体付与部３１で液体付与された少なくとも一部分（すなわち、液体付与位置）に圧力を加えることで変形させ、この一部分の用紙Ｐ同士を圧着させることで、用紙束Ｐｂを綴じる。すなわち、圧着部３２は、綴じ針を用いずに、用紙束Ｐｂを綴じることができる。圧着部３２の構成部品（上圧着歯３２ａ、下圧着歯３２ｂ）は、圧着部フレーム３２ｃに設けられている。以下、圧着部３２によって用紙束Ｐｂの所定の位置を加圧変形させて綴ることを単に「圧着綴じ」と表記する。また、制御処理を伴う圧着部３２の圧着綴じ動作を「圧着綴じ処理」と表記する。
図３に示すように、後処理部としての圧着部３２は、凹凸状の上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂで用紙束Ｐｂの液体付与部３１で液体付与された少なくとも一部分（すなわち、液体付与位置）に圧力を加えることで変形させ、この一部分の用紙Ｐ同士を圧着させることで、用紙束Ｐｂを綴じる。すなわち、圧着部３２は、綴じ針を用いずに、用紙束Ｐｂを綴じることができる。圧着部３２の構成部品（上圧着歯３２ａ、下圧着歯３２ｂ）は、圧着部フレーム３２ｃに設けられている。以下、圧着部３２によって用紙束Ｐｂの所定の位置を加圧変形させて綴ることを単に「圧着綴じ」と表記する。また、制御処理を伴う圧着部３２の圧着綴じ動作を「圧着綴じ処理」と表記する。
【0053】
図５は、圧着部３２の構成を示す模式図である。図５に示すように、圧着部３２は、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂを備える。上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂを挟んで、用紙束Ｐｂの厚み方向に対向して配置されている。上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂは、接離モータ３２ｄ（図１１参照）の駆動力によって接離する。
【0054】
用紙束Ｐｂを構成する複数の用紙Ｐが内部トレイ２２に供給される過程では、図５（Ａ）に示すように、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂは互いに離間している。そして、用紙束Ｐｂを構成する全ての用紙Ｐが内部トレイ２２に載置されると、図５（Ｂ）に示すように、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂは、接離モータ３２ｄの駆動力によって噛み合うことで用紙束Ｐｂを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Ｐｂは、搬送ローラ対１５によって、第２排出トレイ２６に排出される。
【0055】
なお、圧着部３２の構成としては、圧着機構を構成する上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂが噛み合えばよいので、本実施形態で例示したような動作機構の構造に限定されない。例えば、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構（例えば、特許６０５７１６７号に開示されているもの）であってもよい。また、駆動源の正逆方向の回転運動を直線的な往復運動に変換するネジ機構により、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0056】
また、図３に示すように、圧着部３２は、圧着歯スライド機構３２２を備えている。圧着歯スライド機構３２２は、後述する圧着歯スライドモータ３２ｅと、ピニオンギヤ３２ｅ１と、ラック３２ｆ１と、圧着歯フレーム３２ｆとから構成されている。上圧着歯３２ａ及び下圧着歯は、圧着歯フレーム３２ｆに設けられている。圧着歯フレーム３２ｆは、後述するピニオンギヤ３２ｅ１と噛み合うラック３２ｆ１を一体的に備えている。また、圧着歯フレーム３２ｆは、圧着部フレーム３２ｃに主走査方向に移動可能に取り付けられている。そして、圧着歯スライドモータ３２ｅは、圧着歯フレーム３２ｆを主走査方向に移動させるための駆動力を発生する。また、圧着歯スライドモータ３２ｅの出力軸にはピニオンギヤ３２ｅ１が設けられている。そして、圧着歯スライドモータ３２ｅが正逆転駆動することにより、ピニオンギヤ３２ｅ１は正逆回転する。そして、ピニオンギヤ３２ｅ１が正逆回転することにより、ピニオンギヤ３２ｅ１と噛み合っているラック３２ｆ１は、圧着部フレーム３２ｃに対して主走査方向に沿って往復移動する。その結果、ラック３２ｆ１と一体的に設けられている圧着歯フレーム３２ｆも圧着部フレーム３２ｃに対して主走査方向に沿って往復移動することになる。つまり、圧着歯フレーム３２ｆに設けられている上圧着歯３２ａ及び下圧着歯は、圧着歯スライドモータ３２ｅが正逆転駆動することにより、主走査方向に移動することができる。これにより、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯は、用紙束Ｐｂに対して主走査方向に位置をずらして複数回の綴じ動作を実行することが可能となる。
【0057】
ここで、圧着機構を構成する上圧着歯３２ａ及び下圧着歯の主走査方向の移動量は、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂの綴じ動作により形成される圧着痕の長さと同等として、主走査方向への移動前と移動後で複数回の圧着綴じ動作を行う。すなわち、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂの綴じ動作により形成される圧着痕の長さが１０ｍｍのとき、主走査方向の移動量も１０ｍｍとすることで、主走査方向の移動前の圧着動作（１回目）と主走査方向の移動後の圧着動作（２回目）を合わせて、圧着痕の長さを２０ｍｍとすることができるので、圧着部３２の綴じ力は約２倍に向上する。
【0058】
また、図３に示すように、圧着部３２は、圧着部回動機構３２３（後処理部回動機構）を備えている。圧着部回動機構３２３は、後述する圧着部回動モータ５６と、出力ギヤ５６ａと、駆動伝達ギヤ５４ａとから構成されている。圧着部３２の構成品を保持する圧着部フレーム３２ｃは、その底面に駆動伝達ギヤ５４ａを備えた圧着部回転軸５４が固定されている。
【0059】
圧着部回転軸５４及び駆動伝達ギヤ５４ａは、圧着部フレーム３２ｃが設けられるベース部材４８に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ５４ａは、圧着部回動モータ５６の出力ギヤ５６ａに噛み合っている。そして、圧着部３２は、圧着部回動モータ５６の駆動力が、出力ギヤ５６ａ及び駆動伝達ギヤ５４ａを介して圧着部回転軸５４に伝達されることによって、ベース部材４８上において、圧着部回転軸５４を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0060】
また、図３に示すように、端綴じ処理部２５は、端綴じ処理部移動機構４７を備える。端綴じ処理部移動機構４７は、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部２５（すなわち、液体付与部３１及び圧着部３２）を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構４７は、例えば、ベース部材４８と、案内軸４９と、端綴じ処理部移動モータ５０と、端綴じ処理部移動モータ５０の駆動力をベース部材４８に伝達する駆動力伝達機構５５１と、待機位置センサ ５４０（図１１参照）を備える。
【0061】
液体付与部３１及び圧着部３２は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材４８に取り付けられている。案内軸４９は、図４に示すように、綴じ機構ベース１１６における搬送方向の上流側において、主走査方向に設けられ複数の案内軸ブラケット４９ａにより保持されている。また、案内軸４９は、図３に示すように、綴じ機構ベース１１６上において主走査方向に延設されている。また、案内レール１１５は、綴じ機構ベース１１６における搬送方向の下流側において主走査方向に亘って設けられている。案内レール１１５は、図４に示すように、ベース部材４８の嵌合部４８ａと主走査方向に亘って嵌合する被嵌合部１１５ａを備えている。つまり、ベース部材４８は、案内軸４９及び案内レール１１５によって、綴じ機構ベース１１６上において主走査方向に移動可能に保持される。
【0062】
端綴じ処理部移動モータ５０は、端綴じ処理部２５を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構５５１は、端綴じ処理部移動モータ５０の駆動力を、プーリ５５１ａ、５５１ｂと、タイミングベルト５５１ｃと、ベース部材４８とタイミングベルト５５１ｃを締結する締結部４８ｂと、を介してベース部材４８に伝達する。これにより、ベース部材４８によって一体化された液体付与部３１及び圧着部３２は、案内軸４９に沿って主走査方向に移動する。
【0063】
本実施形態に係る端綴じ処理部移動モータ５０は、例えば、移動の度に原点位置（例えば、後述する待機位置ＨＰ）に端綴じ処理部２５を戻さなくても、端綴じ処理部２５を目標位置に停止させることができるサーボモータである。なお、端綴じ処理部２５の目標位置とは、用紙束Ｐｂに対して圧着部３２による綴じ処理を実行する位置である。なお、一束の用紙束Ｐｂを形成する場合に、複数の箇所で綴じ処理を実行するときは、第１綴じ位置Ｂ１ａ、第２綴じ位置Ｂ２ａなどのように表記することとする（図１８～図２０、図２２～図２５、図２７～図２８参照）。綴じ位置の詳細は後述する。
【0064】
また、後処理装置３は、端綴じ処理部２５が待機位置ＨＰ（ホームポジション。図１５（Ａ）参照）に到達したことを検知する待機位置センサ５４０（例えば、遮光型の光学センサである。図１１参照。）と、端綴じ処理部移動モータ５０の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサ５４１（図１１参照。）と、を備えている。そして、後述する制御部１００ｂは、待機位置センサ５４０の検知結果に基づいて、端綴じ処理部２５が待機位置ＨＰに到達したことを検知する。また、後述する制御部１００ｂは、エンコーダセンサ５４１から出力されるパルス信号をカウントすることによって、待機位置ＨＰから移動した端綴じ処理部２５の現在位置を把握する。
【0065】
ただし、端綴じ処理部２５を原点位置に戻さずに目標位置に停止させる具体的な方法は、前述の例に限定されない。他の例として、後処理装置３は、予め定められた目標位置に端綴じ処理部２５が到達したことを検知するセンサを備えてもよい。
【0066】
すなわち、端綴じ処理部移動機構４７は、液体付与部３１が第１液体付与位置Ｂ１に対面する位置と、液体付与部３１が第２液体付与位置Ｂ２に対面する位置との間を、待機位置ＨＰを経由せずに、端綴じ処理部２５を最短距離で移動させることができる。また、端綴じ処理部移動機構４７は、圧着部３２が第１綴じ位置Ｂ１に対面する位置と、圧着部３２が第２綴じ位置Ｂ２に対面する位置との間を、待機位置ＨＰを経由せずに、端綴じ処理部２５を最短距離で移動させることができる。さらに、端綴じ処理部移動機構４７は、液体付与部３１が第１液体付与位置Ｂ１（又は、第２液体付与位置Ｂ２）に対面する位置と、圧着部３２が第１綴じ位置Ｂ１（又は、第２綴じ位置Ｂ２）に対面する位置との間を、待機位置ＨＰを経由せずに、端綴じ処理部２５を最短距離で移動させることができる。
【0067】
なお、端綴じ処理部２５は、圧着部３２と液体付与部３１が一体的に構成された状態で案内軸４９に沿って移動するような形態として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、圧着部３２と液体付与部３１が、それぞれ別個独立に移動する構成であってもよい。
【0068】
また、液体付与部３１によって用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに液体付与が行われる位置（液体付与位置）は、圧着部３２が用紙束Ｐｂに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、上記と同様に以下の説明においても、第１及び第２液体付与位置と、第１及び第２綴じ位置には同一符号（Ｂ１、Ｂ２など）を付して説明する。
【0069】
［端綴じ処理部２５の変形例］
次に、図６～図８を参照して、後処理装置３が備える端綴じ処理部２５の変形例である端綴じ処理部２５´について説明する。第１実施形態に係る端綴じ処理部２５との違いは、液体付与部３１と圧着部３２が一体的に構成されている点である。なお、すでに説明をした端綴じ処理部２５と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
次に、図６～図８を参照して、後処理装置３が備える端綴じ処理部２５の変形例である端綴じ処理部２５´について説明する。第１実施形態に係る端綴じ処理部２５との違いは、液体付与部３１と圧着部３２が一体的に構成されている点である。なお、すでに説明をした端綴じ処理部２５と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0070】
図６は、端綴じ処理部２５´を搬送方向の上流側から見た模式図である。図７（Ａ）は、液体付与圧着部３１０の斜視図である。図７（Ｂ）は、図７（Ａ）のＡ－Ａ矢視断面図である。図７（Ｃ）は、図７（Ａ）の上圧着歯３２ａを下圧着歯３２ｂ側からみた平面図である。図８（Ａ）～（Ｃ）は、液体付与圧着部３１０による液体付与動作及び圧着綴じ動作を示す図で、搬送方向の下流側から見た模式図である。
【0071】
図６に示すように、端綴じ処理部２５´は、第１実施形態に係る端綴じ処理部２５の液体付与部３１と、圧着部３２（後処理部）と、を一体的に構成した液体付与圧着部３１０を備える。液体付与圧着部３１０は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側に配置されている。
【0072】
液体付与圧着部３１０は、第１貯液タンク４３に貯留された液体ＬＱを内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに付与する。液体付与圧着部３１０は、端綴じ処理部移動モータ５０の駆動力が駆動力伝達機構５５１によりベース部材４８伝達されることによって、主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与圧着部３１０は、上押圧板３４と、上圧着歯３２ａと、下圧着歯３２ｂと、液体付与圧着部移動機構３５０と、液体供給機構３６０とを備える。液体付与圧着部３１０の各構成部品は、液体付与フレーム３１ａ及びベース部材４８により保持されている。
【0073】
また、液体付与フレーム３１ａは、その底面に駆動伝達ギヤ５６１ａ´を備えた液体付与圧着部回転軸５６１´が固定されている。液体付与圧着部回転軸５６１´及び駆動伝達ギヤ５６１ａ´は、液体付与フレーム３１ａが設けられるベース部材４８に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ５６１ａ´は、液体付与圧着部回動モータ５６´の出力ギヤ５６ａ´と噛み合っている。そして、液体付与圧着部３１０は、液体付与圧着部回動モータ５６´の駆動力が、出力ギヤ５６ａ´及び駆動伝達ギヤ５６１ａ´を介して液体付与圧着部回転軸５６１´に伝達されることによって、ベース部材４８上において、液体付与圧着部回転軸５６１´を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0074】
液体付与圧着部移動機構３５０は、電動シリンダ３７０によって、上押圧板３４、ベースプレート４０、及び上圧着歯３２ａを用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの厚み方向に連動して移動させる。ベースプレート４０は、保持部４６ａを介して上圧着歯保持部材３２ａ１及び上圧着歯３２ａを保持する。また、ベースプレート４０は、柱状部材４１ａ、４１ｂを介して上押圧板３４を移動可能に保持している。そして、ベースプレート４０は、連結部材４０１を介して電動シリンダ３７０のロッド３７１の先端部に取り付けられている。
【0075】
柱状部材４１ａ、４１ｂは、下端で上押圧板３４を保持している。また、コイルバネ４２ａ、４２ｂは、ベースプレート４０と上押圧板３４との間において、柱状部材４１ａ、４１ｂに外挿されている。そして、コイルバネ４２ａ、４２ｂは、上押圧板３４及び柱状部材４１ａ、４１ｂを、ベースプレート４０から離間する方向に向かって付勢する。
【0076】
液体供給機構３６０は、第１貯液タンク４３と、液体供給ポンプ４３１と、液体供給部材４５´を備える。液体供給ポンプ４３１は、液体供給部材４５´を介して図７（Ａ）に示すように上圧着歯保持部材３２ａ１に設けられた液溜まり部３２０に液体ＬＱを供給する。液体供給部材４５´は、基端が液体供給ポンプ４３１に接続され、先端部が液溜まり部３２０に接続されており、長尺かつ伸縮性のある部材で構成させる。
【0077】
上圧着歯３２ａは、図７（Ｂ）に示すように、上圧着歯保持部材３２ａ１に一体的に設けられている。そして、上圧着歯保持部材３２ａ１は、液溜まり部３２０と、液溜まり部３２０に溜められた液体ＬＱを上圧着歯３２ａに供給する液体供給路３２１を備えている。また、上圧着歯３２ａの表面は、親水処理が施されており、液体供給路３２１から供給された液体ＬＱが上圧着歯３２ａの表面に均一に行き渡るようになっている。一方、上圧着歯保持部材３２ａ１の上圧着歯３２ａ以外の部分は、疎水処理が施されており、液体ＬＱが上圧着歯３２ａの表面に効率的に行き渡るようになっている。
【0078】
下圧着歯３２ｂは、図６に示すように、液体付与フレーム３１ａの一部である下圧着歯保持部材３２ｂ１に一体的に設けられているとともに、下圧着歯保持部材３２ｂ１を介してベース部材４８上に取り付けられている。
【0079】
次に、図８を用いて液体付与圧着部３１０による液体付与動作及び圧着綴じ動作について説明する。用紙Ｐが内部トレイ２２に供給される過程では、図８（Ａ）に示すよう、上圧着歯３２ａと下圧着歯３２ｂは離間している。そして、用紙Ｐが内部トレイ２２に載置されると、電動シリンダ３７０を収縮させて上圧着歯３２ａ及び上押圧板３４を用紙Ｐに向かって移動させる。すると、図８（Ｂ）に示すよう、上押圧板３４が最初に用紙Ｐに当接し、その後、上圧着歯３２ａが上押圧板３４の貫通口３４ａを通過して用紙Ｐに当接する。このとき、上圧着歯３２ａの表面には液体ＬＱが行き渡っているため、上圧着歯３２ａを用紙Ｐに当接させることにより用紙Ｐの液体付与位置に液体が付与される。そして、液体付与位置への液体付与が完了すると、電動シリンダ３７０を伸長させて上圧着歯３２ａ及び上押圧板３４を用紙Ｐから離間する。以上説明した上圧着歯３２ａ及び上押圧板３４の用紙Ｐに対する接離動作（液体付与動作）を、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐに対して繰り返し実行する。
【0080】
その後、内部トレイ２２に規定枚数の用紙Ｐから構成された用紙束Ｐｂが載置されたら、電動シリンダ３７０を更に収縮させて上圧着歯３２ａを下圧着歯３２ｂに向かって移動させる。すると、図８（Ｃ）に示すように、上圧着歯３２ａと下圧着歯３２ｂとの間に用紙束Ｐｂが挟まれた状態で、上圧着歯３２ａが下圧着歯３２ｂに向かって更に移動することになり、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂにより用紙束Ｐｂを加圧して変形させることで用紙束Ｐｂを圧着綴じする（圧着綴じ動作）。
【0081】
［針綴じ処理部５５の構成］
次に、針綴じ処理を実行する機能を備える針綴じ処理部５５の詳細について説明する。図９は、針綴じ処理部５５を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部５５は、綴じ針を用いて用紙束Ｐｂを綴じる針綴じ部６２を備える。針綴じ部６２は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部２５に対して主走査方向に離間して配置されている。
次に、針綴じ処理を実行する機能を備える針綴じ処理部５５の詳細について説明する。図９は、針綴じ処理部５５を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部５５は、綴じ針を用いて用紙束Ｐｂを綴じる針綴じ部６２を備える。針綴じ部６２は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部２５に対して主走査方向に離間して配置されている。
【0082】
後処理部としての針綴じ部６２は、綴じ針を用いて用紙束Ｐｂを綴じる、いわゆる「針綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ部６２は、針綴じ機６２ａを駆動する針綴じ機駆動モータ６２ｄ（図１１参照）を備えている。そして、針綴じ機６２ａは、針綴じ機駆動モータ６２ｄの駆動力により針綴じ機６２ａに装填された綴じ針を、用紙束Ｐｂに貫通させることによって用紙束Ｐｂを綴じる。針綴じ部６２の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0083】
また、図９に示すように、針綴じ処理部５５は、針綴じ処理部移動機構７７を備える。針綴じ処理部移動機構７７は、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの搬送方向の下流側の端部に沿って、針綴じ処理部５５を主走査方向に移動させる。針綴じ処理部移動機構７７は、例えば、ベース部材７８と、案内軸４９と、針綴じ処理部移動モータ８０と、駆動力伝達機構８１とを備える。駆動力伝達機構８１は、針綴じ処理部移動モータ８０の駆動力を、プーリ８１ａ、８１ｂと、タイミングベルト８１ｃと、ベース部材７８とタイミングベルト８１ｃを締結する締結部７８ａと、を介してベース部材７８に伝達する。さらに、針綴じ部６２の構成品を保持する針綴じフレーム６２ｂは、その底面に駆動伝達ギヤ８３ａを備えた針綴じ部回転軸８３が固定されている。
【0084】
針綴じ部回転軸８３及び駆動伝達ギヤ８３ａは、針綴じフレーム６２ｂが設けられるベース部材７８に正逆方向に回転可能に保持されている。また、駆動伝達ギヤ８３ａは、針綴じ部回動モータ８２の出力ギヤ８２ａと噛み合っている。そして、針綴じ部６２は、針綴じ部回動モータ８２の駆動力が、出力ギヤ８２ａ及び駆動伝達ギヤ８３ａを介して針綴じ部回転軸８３に伝達されることによって、ベース部材７８上において、針綴じ部回転軸８３を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0085】
なお、端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５は、共通の案内軸４９に支持されている。すなわち、端綴じ処理部移動機構４７及び針綴じ処理部移動機構７７は、共通の案内軸４９に沿って端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５を主走査方向に移動させる。さらに、端綴じ処理部移動機構４７及び針綴じ処理部移動機構７７は、端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５を独立して移動することができる。
【0086】
［針綴じ処理部５５の変形例の構成]
図１０は、針綴じ処理部５５の変形例としての針綴じ処理部５５´を示したものであり、針綴じ処理部５５´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部５５´は、針綴じ部６２だけではなく、第２液体付与部６１２を備えている点で針綴じ処理部５５と相違する。図１０に示すように、針綴じ処理部５５´は、第２液体付与部６１２と、針綴じ部６２とを備える。第２液体付与部６１２及び針綴じ部６２は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
図１０は、針綴じ処理部５５の変形例としての針綴じ処理部５５´を示したものであり、針綴じ処理部５５´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部５５´は、針綴じ部６２だけではなく、第２液体付与部６１２を備えている点で針綴じ処理部５５と相違する。図１０に示すように、針綴じ処理部５５´は、第２液体付与部６１２と、針綴じ部６２とを備える。第２液体付与部６１２及び針綴じ部６２は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0087】
第２液体付与部６１２は、第２貯液タンク７３に貯留された液体を、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに付与する液体付与を実行する。第２液体付与部６１２によって用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに液体付与が行われる位置を含む所定の領域は、針綴じ部６２が針綴じを行なう予定である綴じ位置に相当する。図１０に示すように、第２液体付与部６１２は、第２下押圧板６３と、貫通口３４ａを備えた第２上押圧板６４と、第２液体付与部移動機構６５と、第２液体付与機構６６とを備える。
【0088】
第２液体付与部移動機構６５は、例えば、第２液体付与部移動モータ６７と、第２台形ネジ６８と、第２ナット６９と、第２ベースプレート７０と、第２柱状部材７１１ａ、７１１ｂと、第２コイルバネ７２１ａ、７２１ｂとを備える。第２液体付与機構６６は、第２貯液タンク７３と、第２液体付与部材７４と、第２液体供給部材７５と、第２ジョイント７６とを備える。
【0089】
第２液体付与機構６６の構成は、図３及び図４で説明した液体付与部３１の液体付与機構３６と共通するので、再度の説明は省略する。また、針綴じ部６２の構成は、図９と同様なので詳細な説明は省略する。また、第２液体付与部６１２の回動機構（液体付与部回動モータ５６３、出力ギヤ５６３ａ、駆動伝達ギヤ５６２ａ、液体付与部回転軸５６２）は、図３に示した液体付与部３１の回動機構と共通するので再度の説明は省略する。
【0090】
図１０で示した針綴じ処理部５５´のように、針綴じ処理においても、用紙Ｐに液体付与を行うことで、綴じ位置をほぐして柔らかくし、綴じ針を貫通しやすくすることができる。これによって、液体付与をせずに針綴じ処理を施す場合と比較すると、用紙束Ｐｂの一束当たりの綴じ枚数を増やすことができる。
【0091】
［後処理装置３の制御ブロックの構成］
第１実施形態に係る後処理装置３の制御ブロックの構成について、図１１を用いて説明する。図１１は、第１実施形態に係る後処理装置３における制御処理を実行するためのハードウェア構成図である。図１１に示すように、後処理装置３は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）１０１と、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）１０２と、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）１０３と、ＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）１０４と、Ｉ／Ｆ１０５とが共通バス１０９を介して接続されている構成を備える。
第１実施形態に係る後処理装置３の制御ブロックの構成について、図１１を用いて説明する。図１１は、第１実施形態に係る後処理装置３における制御処理を実行するためのハードウェア構成図である。図１１に示すように、後処理装置３は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）１０１と、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）１０２と、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）１０３と、ＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）１０４と、Ｉ／Ｆ１０５とが共通バス１０９を介して接続されている構成を備える。
【0092】
ＣＰＵ１０１は演算手段であり、後処理装置３全体の動作を制御する。ＲＡＭ１０２は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、ＣＰＵ１０１が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ＲＯＭ１０３は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。ＨＤＤ１０４は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、ＯＳ（Ｏｐｅｒａｔｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0093】
後処理装置３は、ＲＯＭ１０３に格納された制御プログラム、ＨＤＤ１０４などの記憶媒体からＲＡＭ１０２にロードされた情報処理プログラム（アプリケーションプログラム）などをＣＰＵ１０１が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置３の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置３に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置３の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、ＣＰＵ１０１と、ＲＡＭ１０２と、ＲＯＭ１０３と、ＨＤＤ１０４と、Ｉ／Ｆ１０５とは、後処理装置３の動作を制御する制御部１００ｂ（制御部）を構成する。
【0094】
Ｉ／Ｆ１０５は、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５と、切替部材２０と、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒと、接離モータ３２ｄと、圧着歯スライドモータ３２ｅと、圧着部回動モータ５６と、液体付与部移動モータ３７と、液体付与部回動モータ５６３と、端綴じ処理部移動モータ５０、針綴じ機駆動モータ６２ｄと、針綴じ部回動モータ８２と、針綴じ処理部移動モータ８０と、移動センサ４０ａと、液位センサ４３ａと、待機位置センサ５４０と、エンコーダセンサ５４１と、操作パネル１１０と、を共通バス１０９に接続するインターフェースである。
【0095】
そして、制御部１００ｂは、Ｉ／Ｆ１０５を通じて、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５と、切替部材２０と、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒと、接離モータ３２ｄと、圧着歯スライドモータ３２ｅと、圧着部回動モータ５６と、液体付与部移動モータ３７と、液体付与部回動モータ５６３と、端綴じ処理部移動モータ５０、針綴じ機駆動モータ６２ｄと、針綴じ部回動モータ８２と、針綴じ処理部移動モータ８０の動作を制御する。また、制御部１００ｂは、移動センサ４０ａと、液位センサ４３ａと、待機位置センサ５４０と、エンコーダセンサ５４１の検知結果を取得する。なお、図１１には端綴じ処理を実行する端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５に関する構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部２８に関する構成部品も同様に制御部１００ｂによって制御される。
【0096】
図１に示すように、画像形成装置２は、操作パネル１１０を備えている。操作パネル１１０は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ（報知部）とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル１１０は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、ＬＥＤランプやスピーカ等でもよい。また、後処理装置３に上記と同様の操作パネル１１０を備えるようにしてもよい。
【0097】
以上説明したとおり、本実施形態に係る後処理装置３は、液体付与の後に後処理（圧着綴じ処理、針綴じ処理）を実行可能な端綴じ処理部２５を備える。なお、端綴じ処理部２５は、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数が少ないときは、従来の圧着綴じ処理と同様に、液体付与を行わない圧着綴じ（つまり、圧着部３２のみによる圧着綴じ処理）も可能とする。
【0098】
また、端綴じ処理部２５は、圧着歯スライド機構３２２及び／又は端綴じ処理部移動機構４７によって、液体付与部３１及び圧着部３２を主走査方向に移動可能に構成されている。したがって、液体付与部３１の液体付与位置及び／又は圧着部３２の綴じ位置を主走査方向に移動させて複数の圧着綴じを行うことが可能になる。その結果、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂの綴じ動作により形成される圧着痕を隣接して形成することができるので、用紙束Ｐｂの綴じ強度を向上することが可能になる。
【0099】
以下、綴じ処理（後処理）の対象となる用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数や、圧着部３２の用紙束Ｐｂに対する綴じ姿勢などの綴じ条件に応じて、綴じ処理（後処理）の方法、一束の用紙束Ｐｂに対する圧着綴じ処理の繰り返し回数（以下「圧着綴じ打数」という。）を変更する方法について説明する。
【0100】
［綴じ処理（後処理）の種類の選択処理の説明］
次に、本実施形態に係る後処理装置３において、端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５により実行される綴じ処理（後処理）の種類を選択する処理（綴じ処理選択処理）の流れについて図１２のフローチャートを用いて説明する。本実施形態に係る綴じ処理（後処理）は、既に説明をした後処理装置３が備える動作機構を制御部１００ｂにおいて実行処理が行われる制御プログラムにより制御することで実現される。
次に、本実施形態に係る後処理装置３において、端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５により実行される綴じ処理（後処理）の種類を選択する処理（綴じ処理選択処理）の流れについて図１２のフローチャートを用いて説明する。本実施形態に係る綴じ処理（後処理）は、既に説明をした後処理装置３が備える動作機構を制御部１００ｂにおいて実行処理が行われる制御プログラムにより制御することで実現される。
【0101】
図１２に示す各綴じ処理（後処理）は、後述する綴じ形態の種類と、圧着綴じ処理において設定された圧着綴じ打数と、綴じ枚数などに応じて選択され、かつ実行される。図１３は、後処理装置３のユーザが、後述する液体付与圧着綴じ処理及び通常の圧着綴じ処理を実行する際に、圧着綴じ打数（後処理の実行回数）を設定するための設定画面Ｇ１の例である。
【0102】
図１３に例示する設定画面Ｇ１は、液体付与を伴う圧着綴じ処理（以下「液体付与圧着綴じ処理」という。）及び液体付与を伴わない圧着綴じ処理（以下「通常の圧着綴じ処理」という。）を実行するときに、ユーザが圧着綴じ打数を通常設定（以下「標準打数」という。）よりも増加させるか、減少させるかを選択して設定可能とするものである。ユーザは、後処理装置３の生産性（単位時間当たりに綴じ処理される用紙束Ｐｂの部数）を向上させたいときは、圧着綴じ打数を減少させる（以下「打数減」という。）ために、「打数減」の設定値（回数）を増やすように操作する。
【0103】
一方、ユーザは、用紙束Ｐｂの綴じ強度を向上させたいときは、圧着綴じ打数を増加させる（以下「打数増」という。）ために、「打数増」の設定値（回数）を増やすように操作する。設定画面Ｇ１は、画像形成装置２及び／又は後処理装置３に設けられている操作パネル１１０に表示されており、ユーザの操作により上記設定を実行することが可能となっている。なお、ユーザは、操作パネル１１０を介して、綴じ形態の種類として、「２箇所綴じ」、「平行綴じ」、「斜め綴じ」などを設定可能である。そして、設定画面Ｇ１においては、ユーザは、綴じ形態の種類（「２箇所綴じ」、「平行綴じ」、「斜め綴じ」）及び綴じ処理（後処理）の種類（「液体付与圧着綴じ処理」、「通常の圧着綴じ処理」）に応じて圧着綴じ打数（後処理の実行回数）を変更することができる。
【0104】
上述した綴じ形態の種類及び綴じ処理（後処理）の種類によって、後処理としての圧着綴じ処理の処理対象である用紙束Ｐｂの一束単位（以下「綴じ処理の対象物単位」という。）に対する圧着綴じ打数（後処理の実行回数）が決定される。つまり、図１３に示すように、綴じ形態の種類と綴じ処理（後処理）の種類との組み合わせによって決定される後処理の実行回数の初期設定値（上述の「標準打数」）は、例えば綴じ処理（後処理）の種類が「通常の圧着綴じ処理」の場合は、綴じ形態の種類が「２箇所綴じ」の場合は３回、「奥平綴じ」の場合は３回、「斜め綴じ」の場合は２回と設定される。また、綴じ処理（後処理）の種類が「液体付与圧着綴じ処理」の場合は、綴じ形態の種類が「２箇所綴じ」の場合は２回、「奥平綴じ」の場合は２回、「斜め綴じ」の場合は１回と設定される。このように、用紙束Ｐｂに対する綴じ力は、「通常の圧着綴じ処理」の場合よりも「液体付与圧着綴じ処理」の場合の方が大きくなるため、「標準打数」の初期設定値は、「液体付与圧着綴じ処理」の場合の方が少ない回数に設定される。そして、ユーザは、この綴じ処理の対象物単位に対する圧着綴じ打数（後処理の実行回数）の設定を図１３のインターフェースを介して行う。これによって、綴じ処理の対象物単位に対する圧着綴じ打数（後処理の実行回数）の設定が選択されることになる。そして、制御部１００ｂは、ユーザにより設定された圧着綴じ打数（後処理の実行回数）に応じて、端綴じ処理部２５よる圧着綴じ打数（後処理の実行回数）を変更することになる。
【0105】
例えば、液体付与圧着綴じ処理を実行するときの「標準打数」を「２回（液体付与及び圧着綴じをそれぞれ２箇所に行う）」とし、通常の圧着綴じ処理の「標準打数」を「３回（圧着綴じのみを３箇所に行う）」とする。液体付与圧着綴じ処理は、通常の圧着綴じ処理のみの場合と比較して綴じ力が大きくなるので、圧着綴じ打数を減らしても十分な綴じ力を確保することが可能である。
【0106】
以下の説明では、例えば「綴じ枚数Ａ」は用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数が「１５枚」であり、「綴じ枚数Ｂ」は、同じく用紙Ｐの枚数が「５枚」で設定されているものとする。まず、制御部１００ｂは、後処理装置３における後処理の実行内容が指示されている綴じ処理指示情報を、画像形成装置２から受信する。「綴じ処理指示情報」は、例えば、後処理装置３に対する上流装置となる画像形成装置２の制御部１００ａから発信される、画像形成処理を実行するためのジョブ情報に含まれているものとする。
【0107】
［第１例］
綴じ処理制御が開始されると、制御部１００ｂは、画像形成装置２から綴じ処理指示情報を受信し（Ｓ７０１）、綴じ処理指示情報に含まれる綴じ枚数の情報を参照する。綴じ処理指示情報において、例えば「２０枚綴じ・斜め綴じ」が設定されている場合、制御部１００ｂは、第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示情報に含まれている綴じ枚数（以下「綴じ処理指示枚数」という。）が５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０２）。上述のように綴じ処理指示枚数は２０枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が５枚より多いと判定して（Ｓ７０２：Ｙｅｓ）、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３に進む。
綴じ処理制御が開始されると、制御部１００ｂは、画像形成装置２から綴じ処理指示情報を受信し（Ｓ７０１）、綴じ処理指示情報に含まれる綴じ枚数の情報を参照する。綴じ処理指示情報において、例えば「２０枚綴じ・斜め綴じ」が設定されている場合、制御部１００ｂは、第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示情報に含まれている綴じ枚数（以下「綴じ処理指示枚数」という。）が５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０２）。上述のように綴じ処理指示枚数は２０枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が５枚より多いと判定して（Ｓ７０２：Ｙｅｓ）、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３に進む。
【0108】
続いて、制御部１００ｂは、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３において、綴じ処理指示枚数が１５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０３）。上述のように綴じ処理指示枚数は２０枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が１５枚より多いと判定する（Ｓ７０３：Ｙｅｓ）。そして、制御部１００ｂは、針綴じ処理部５５に針綴じ処理を実行させる（Ｓ７０４）。
【0109】
［第２例］
上述したステップＳ７０１で画像形成装置２から受信した綴じ処理指示情報において、例えば「１２枚綴じ・２箇所綴じ」が設定されている場合、制御部１００ｂは、第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示情報に含まれている綴じ枚数が５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０２）。上述のように綴じ処理指示枚数が１２枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が５枚より多いと判定して（Ｓ７０２：Ｙｅｓ）、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３に進む。
上述したステップＳ７０１で画像形成装置２から受信した綴じ処理指示情報において、例えば「１２枚綴じ・２箇所綴じ」が設定されている場合、制御部１００ｂは、第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示情報に含まれている綴じ枚数が５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０２）。上述のように綴じ処理指示枚数が１２枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が５枚より多いと判定して（Ｓ７０２：Ｙｅｓ）、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３に進む。
【0110】
続いて、制御部１００ｂは、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３において、綴じ処理指示枚数が１５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０３）。上述のように綴じ処理指示枚数が１２枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が１５枚より少ないと判定して（Ｓ７０３：Ｎｏ）、液体付与圧着綴じ処理の判定処理（Ｓ７０５～Ｓ７１２）に進む。まず、制御部１００ｂは、液体付与部３１による液体付与に用いられる液体の残量（第１貯液タンク４３内の液体残量）が、綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数を実行するのに十分な量であるか否かを判定する（Ｓ７０５）。具体的には、制御部１００は、液位センサ４３ａの検知結果に基づいて第１貯液タンク４３内に貯留されている液体量を判定する。また、制御部１００は、綴じ処理指示情報に含まれている用紙束Ｐｂの部数、１部の用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数、１枚の用紙Ｐにおける圧着綴じ打数、及びあらかじめ定められている圧着綴じ打数１回当たりの液体付与量に基づいて、綴じ処理指示情報に含まれている部数の用紙束Ｐｂを綴じ処理するのに必要となる液体量を判定する。そして、制御部１００は、以上のように判定した第１貯液タンク４３内の液体量と必要部数の用紙束Ｐｂを綴じ処理するのに必要となる液体量とを比較して、第１貯液タンク４３内の液体量が綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数を実行するのに十分な量であるか否かを判定する。
【0111】
そして、制御部１００ｂは、第１貯液タンク４３内の液体残量が綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数を実行するのに十分であると判定した場合は（Ｓ７０５：Ｙｅｓ）、次に図１３を用いて説明した圧着綴じ打数の指示の有無を判定する（Ｓ７０９）。そして、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が無いと判定した場合は（Ｓ７０９：Ｎｏ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、「標準打数」での液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７１２）。一方、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が有ると判定した場合は（Ｓ７０９：Ｙｅｓ）、次に圧着綴じ打数の指示が「打数増」であるか否かを判定する（Ｓ７１０）。
【0112】
そして、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数増」であると判定した場合（Ｓ７１０：Ｙｅｓ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、標準打数よりも多い圧着綴じ打数で液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７１１）。一方、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数増」でない判定した場合は（Ｓ７１０：Ｎｏ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、標準打数よりも少ない圧着綴じ打数で液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７０８）。
【0113】
また、制御部１００ｂは、ステップＳ７０５において、第１貯液タンク４３内の液体残量が、綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数を実行するのに不十分であると判定した場合は（Ｓ７０５：Ｎｏ）、図１３を用いて説明した圧着綴じ打数の指示が「打数減」であるか否かを判定する（Ｓ７０６）。そして、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数減」であると判定した場合は（Ｓ７０６：Ｙｅｓ）、次に第１貯液タンク４３内の液体残量が、標準打数よりも少ない液体付与回数であれば、液体付与部３１及び圧着部３２による液体付与圧着綴じ処理を可能とするのに十分な液体残量であるか否かを判定する（Ｓ７０７）。そして、制御部１００ｂは、第１貯液タンク４３内の液体残量が、液体付与圧着綴じ処理を可能とするのに十分な液体残量であると判定した場合（Ｓ７０７：Ｙｅｓ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、標準打数よりも少ない圧着綴じ打数で液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７０８）。
【0114】
一方、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数減」でないと判定した場合（Ｓ７０６：Ｎｏ）、及び圧着綴じ打数の指示が「打数減」であって（Ｓ７０７：Ｙｅｓ）、かつ第１貯液タンク４３内の液体残量が液体付与部３１及び圧着部３２による液体付与圧着綴じ処理を可能とするのに十分な液体残量でないと判定した場合（Ｓ７０７：Ｎｏ）、針綴じ処理部５５に針綴じ処理を実行させる（Ｓ７０４）。
【0115】
［第３例］
上述したステップＳ７０１で画像形成装置２から受信した綴じ処理指示情報において、例えば「４枚綴じ・２箇所綴じ」が設定されている場合、制御部１００ｂは、第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示情報に含まれている綴じ枚数が５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０２）。上述のように綴じ処理指示枚数は４枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が５枚より少ない判定して（Ｓ７０２：Ｎｏ）、圧着綴じ処理の種類を判定するステップに進む（Ｓ７１３～Ｓ７１５）。この場合、まず、制御部１００ｂは、綴じ処理指示情報に含まれる圧着綴じ打数（後処理の実行回数）の指示が「打数増」であるか否かを判定する（Ｓ７１３）。
上述したステップＳ７０１で画像形成装置２から受信した綴じ処理指示情報において、例えば「４枚綴じ・２箇所綴じ」が設定されている場合、制御部１００ｂは、第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示情報に含まれている綴じ枚数が５枚より多いか否かを判定する（Ｓ７０２）。上述のように綴じ処理指示枚数は４枚であるため、制御部１００ｂは、綴じ処理指示枚数が５枚より少ない判定して（Ｓ７０２：Ｎｏ）、圧着綴じ処理の種類を判定するステップに進む（Ｓ７１３～Ｓ７１５）。この場合、まず、制御部１００ｂは、綴じ処理指示情報に含まれる圧着綴じ打数（後処理の実行回数）の指示が「打数増」であるか否かを判定する（Ｓ７１３）。
【0116】
そして、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数増」であると判定した場合（Ｓ７１３：Ｙｅｓ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、標準打数よりも多い圧着綴じ打数で液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７１４）。一方、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数増」でないと判定した場合（Ｓ７１３：Ｎｏ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、標準打数と同じ圧着綴じ打数で液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７１５）。
【0117】
なお、図１３に例示した設定画面Ｇ１において、「打数減」を「－１」に設定した場合、「標準打数」が２回のときは打数が１回になる。液体付与圧着綴じ処理の場合、通常の圧着綴じ処理に比べて綴じ強度が高くなるので、液体付与圧着綴じ処理の場合に、綴じ打数を減らしても、通常の圧着綴じ処理の場合と同程度の綴じ強度を得ることができる。また、液体付与圧着綴じ処理において、さらに綴じ強度を高めたい場合には、打数増を「＋１」にして、「標準打数」が２回であれば３回に変更することによって、液体付与圧着綴じ処理における綴じ強度をさらに向上することができる。仮に「標準打数」が１回の場合に、「打数減」を「－１」に設定した場合は、綴じ打数は１回になる。すなわち、「打数減」の設定を反映させた場合の打数が０よりも大きくなる場合にだけ、「打数減」の設定が反映されるように構成される。
【0118】
以上のとおり、本実施形態に係る後処理装置３には、液体付与圧着綴じ処理を実行するときに、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数や、綴じ姿勢などの綴じ種類、綴じ処理（後処理）の種類に応じて、圧着綴じ打数（後処理の実行回数）を変更して実行することができる。
【0119】
すなわち、用紙束Ｐｂの厚み方向に直交する方向（主走査方向）へと、端綴じ処理部２５を移動させて、綴じ位置において綴じ処理を実行するとき、１箇所の綴じ位置における圧着綴じ打数の設定を「標準打数」、「打数増」、「打数減」の中から任意に選択して変更することができる。変更する圧着綴じ打数の設定は、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数と、液体付与部３１による液体付与にて使用する液体の残量（第１貯液タンク４３内の液体残量）、綴じ処理（後処理）の種類に応じて選択可能とする。これによって、綴じ処理（後処理）の種類に応じた適切な綴じ力の設定、及び綴じ処理（後処理）の生産性を考慮した綴じ処理速度の設定が可能になる。
【0120】
［各綴じ処理（後処理）の説明］
以下に、後処理装置３が備える端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５において実行される各綴じ処理（針綴じ処理、液体付与圧着綴じ処理、圧着綴じ処理）の流れ、及び端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５の位置の遷移について説明する。なお、液体付与部３１によって用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに液体付与が行われる位置（液体付与位置）は、圧着部３２が用紙束Ｐｂに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号を付して説明する。
以下に、後処理装置３が備える端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５において実行される各綴じ処理（針綴じ処理、液体付与圧着綴じ処理、圧着綴じ処理）の流れ、及び端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５の位置の遷移について説明する。なお、液体付与部３１によって用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに液体付与が行われる位置（液体付与位置）は、圧着部３２が用紙束Ｐｂに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号を付して説明する。
【0121】
［針綴じ処理の制御フロー］
図１４は、図１２のステップＳ７０４において実行される針綴じ処理の制御フローチャートである。図１５は、針綴じ処理の実行中における端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５の位置の遷移を示す図である。
図１４は、図１２のステップＳ７０４において実行される針綴じ処理の制御フローチャートである。図１５は、針綴じ処理の実行中における端綴じ処理部２５及び針綴じ処理部５５の位置の遷移を示す図である。
【0122】
制御部１００ｂは、例えば、画像形成装置２から綴じ処理の実行指示（以下、「綴じ処理指示」と表記する。）を取得したタイミングで、図１４に示す針綴じ処理を開始する。
【0123】
綴じ処理指示は、例えば、用紙Ｐの種類（素材や厚みなど液体の広がりに影響を与える情報）と、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数（以下、「所定枚数Ｎ」と表記する。）と、綴じ処理を施すべき用紙束Ｐｂの部数（以下、「必要部数Ｍ」と表記する。）と、用紙束Ｐｂの綴じ位置と、端綴じ処理部２５の綴じ姿勢（綴じ種類）とを含む。また、針綴じ処理部５５（針綴じ部６２）、端綴じ処理部２５（液体付与部３１及び圧着部３２）は、図１５（Ａ）に示すように、綴じ処理の開始時点において、平行綴じ姿勢で、かつ待機位置ＨＰに位置しているものとする。
【0124】
まず、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部１００ｂは、針綴じ部回動モータ８２を駆動して、針綴じ部６２を斜め綴じ姿勢に回動させる（Ｓ１２０１）。一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合、制御部１００ｂは、針綴じ部６２を斜め綴じ姿勢に回動させる動作を省略する。また、制御部１００ｂは、図１５（Ｂ）に示すように、針綴じ処理部移動モータ８０を駆動して、綴じ処理指示で指示された第１綴じ位置Ｂ１に針綴じ部６２（針綴じ機６２ａ）が対面するように、針綴じ処理部５５を主走査方向に移動させる（Ｓ１２０２）。なお、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５によって最初の用紙Ｐが内部トレイ２２に搬送される前に、ステップＳ１２０１及び／又はステップＳ１２０２の処理を実行する。
【0125】
次に、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５を回転させることによって、画像形成装置２によって画像が形成された用紙Ｐを内部トレイ２２に収容する（Ｓ１２０３）。また、制御部１００ｂは、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒを移動させることによって、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する（Ｓ１２０３）。
【0126】
次に、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Ｎに達したか否かを判定する（Ｓ１２０４）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎに達していないと判定した場合に（Ｓ１２０４：Ｎｏ）、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎに達するまで（Ｓ１２０４：Ｙｅｓ）、ステップＳ１２０３の処理を繰り返し実行する。すなわち、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５によって内部トレイ２２に用紙Ｐが搬送される度に、ステップＳ１２０３の処理を実行する。
【0127】
そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎに達したと判定した場合に（Ｓ１２０４：Ｙｅｓ）、針綴じ部６２に、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂに対して針綴じを実行させる（Ｓ１２０５）。そして、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１５に、針綴じ部６２により針綴じされた用紙束Ｐｂを第２排出トレイ２６に排出させる（Ｓ１２０６）。すなわち、制御部１００ｂは、綴じ機６２ａに、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１に対して、針綴じ機駆動モータ６２ｄを駆動することで針綴じを実行させる。その後、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１５を回転させることによって、針綴じされた用紙束Ｐｂを第２排出トレイ２６に排出する。
【0128】
次に、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、綴じ処理指示で示された必要部数Ｍに達したか否かを判定する（Ｓ１２０７）。制御部１００ｂは、排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍに達していないと判定した場合（Ｓ１２０７：Ｎｏ）、ステップＳ１２０３以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍに達するまで（Ｓ１２０７：Ｙｅｓ）、ステップＳ１２０３～Ｓ１２０７の処理を繰り返し実行する。
【0129】
一方、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、必要部数Ｍに達したと判定した場合（Ｓ１２０７：Ｙｅｓ）、針綴じ処理部移動モータ８０を駆動して、図１０（Ｃ）に示すよう針綴じ処理部５５（針綴じ部６２）を待機位置ＨＰに移動させる（Ｓ１２０９）。また、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部１００ｂは、針綴じ処理部５５に待機位置ＨＰに移動させる前に、針綴じ部回動モータ８２を駆動して、針綴じ部６２を平行綴じ姿勢に回動させる（Ｓ１２０８）。一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、針綴じ部６２を平行綴じ姿勢に回動させる動作（Ｓ１２０８）は省略される。これにより、針綴じ部６２が図１５（Ｃ）の待機位置ＨＰに戻る。なお、ステップＳ１２０１、Ｓ１２０２、Ｓ１２０８、Ｓ１２０９において、針綴じ処理部５５を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0130】
図１６は、ユーザが操作パネル１１０で綴じ処理の種類として「斜め綴じ」が設定した場合であって、かつ綴じ枚数が１５枚以上の場合に、針綴じ部６２により針綴じが実施された用紙束Ｐｂのイメージ図である。
【0131】
［液体付与圧着綴じ処理（標準打数）の制御フロー］
図１７は、図１２に示したステップＳ７１２において実行される液体付与圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートである。ここでは、液体付与圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」を、圧着綴じ打数を「標準打数（２回）」に設定して実行する場合を例示している（図１３参照）。また、図１８及び図１９は、図１７の液体付与圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートに対応した端綴じ処理部２５の位置の遷移を示す図である。以下、図１２を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図１７は、図１２に示したステップＳ７１２において実行される液体付与圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートである。ここでは、液体付与圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」を、圧着綴じ打数を「標準打数（２回）」に設定して実行する場合を例示している（図１３参照）。また、図１８及び図１９は、図１７の液体付与圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートに対応した端綴じ処理部２５の位置の遷移を示す図である。以下、図１２を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0132】
図１８（Ａ）に示すように、液体付与圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」の開始時点において、端綴じ処理部２５は待機位置ＨＰに位置しているものとする。また、第１綴じ位置Ｂ１ａ、Ｂ１ｂ（第１液体付与位置Ｂ１ａ、Ｂ１ｂに相当）及び第２綴じ位置Ｂ２ａ、Ｂ２ｂ（第２液体付与位置Ｂ２ａ、Ｂ２ｂに相当）は、主走査方向に離間している。さらに、図１８では、１２枚の用紙Ｐ（すなわち、所定枚数Ｎ＝１２枚）に対して液体付与及び圧着綴じをそれぞれ２回実行する場合を例に説明するが、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数はこれに限定されない。
【0133】
制御部１００ｂは、図１２の制御フローチャートにおける第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示枚数が上述のように１２枚であるため、綴じ処理指示枚数が５枚より多いと判定する（Ｓ７０２：Ｙｅｓ）。続いて、制御部１００ｂは、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３において、綴じ処理指示枚数が上述のように１２枚であるため、綴じ処理指示枚数が１５枚より少ないと判定して（Ｓ７０３：Ｎｏ）、液体付与圧着綴じ処理の判定処理（Ｓ７０５～Ｓ７１２）に進む。次に、制御部１００ｂは、第１貯液タンク４３内の液体残量が、綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数を実行するのに十分な量であるか否かを判定する（Ｓ７０５）。ここで、制御部１００ｂは、第１貯液タンク４３内の液体残量が、綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数を実行するのに十分である判定した場合（Ｓ７０５：Ｙｅｓ）、次に制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示の有無を判定する（Ｓ７０９）。上述のようにユーザにより圧着綴じ打数は「標準打数」に設定されているため、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が無いと判定して（Ｓ７０９：Ｎｏ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、「標準打数」、この例では２回の液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７１２）。
【0134】
図１７に示すように、液体付与圧着綴じ処理(標準打数)が開始されると、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂを構成する１枚目の用紙Ｐ１が内部トレイ２２に収容される前に、液体付与部３１が１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａ（１箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５０１）。次に、制御部１００ｂは、図１８（Ｂ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａに対面する位置に液体付与部３１を配置した状態で、画像形成装置２によって画像が形成された１枚目の用紙Ｐ１を内部トレイ２２収容する（Ｓ１５０２）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された１枚目の用紙Ｐ１に対して、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒを移動させることによって、ジョギング処理を実行する（Ｓ１５０２）。
【0135】
そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された１枚目の用紙Ｐ１に対するジョギング処理が完了すると、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａに対して、液体付与部３１に１箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与を実行させる（Ｓ１５０３）。
【0136】
次に、制御部１００ｂは、図１８（Ｃ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ｂ（１箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５０３）。そして、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ｂに対して、液体付与部３１に１箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与を実行させる（Ｓ１５０３）。
【0137】
「標準打数」の場合、圧着綴じ打数は２回が選択されている為（図１３参照）、次に、制御部１００ｂは、図１８（Ｄ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第２液体付与位置Ｂ２ａ（２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５０４）。次に、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第２綴じ位置Ｂ２ａに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与を実行させる（Ｓ１５０５）。
【0138】
次に、制御部１００ｂは、図１８（Ｅ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第２液体付与位置Ｂ２ｂ（２箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５０５）。そして、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第２綴じ位置Ｂ２ｂに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与を実行させる（Ｓ１５０５）。
【0139】
次に、制御部１００ｂは、液体付与部３１による１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｂ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｂへの液体付与が完了したら、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Ｎに達したか否かを判定する（Ｓ１５０６）。上述の通り所定枚数Ｎは１２枚であるため、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎに達していないと判定する（Ｓ１５０６：Ｎｏ）。その結果、制御部１００ｂは、ステップＳ１５０２に戻り、図１８（Ｆ）に示すように、制御部１００ｂは、２枚目の用紙Ｐ２の第２液体付与位置Ｂ２ｂ（２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与位置）に対面する位置に液体付与部３１を配置した状態で、画像形成装置２から搬送されてきた用紙束Ｐｂを構成する２枚目の用紙Ｐ２を内部トレイ２２に収容してジョギング処理を実行する（Ｓ１５０２）。次に、制御部１００ｂは、図１８（Ｆ）に示すように、２枚目の用紙Ｐ２の第２綴じ位置Ｂ２ｂに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与を実行させる（Ｓ１５０３）。
【0140】
すなわち、制御部１００ｂは、図１８～図１９に例示するとおり、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの数が所定枚数Ｎに達するまで、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５による用紙Ｐの搬送と、液体付与部３１による第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｂ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｂへの液体付与とを繰り返す。このとき、制御部１００ｂは、Ｂ（Ｂ＜Ｎ）枚目の用紙Ｐに対して、第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｂ、第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｂの順で液体付与部３１に液体付与を実行させる。また、制御部１００ｂは、（Ｂ＋１）枚目の用紙Ｐに対して、第２液体付与位置Ｂ２ｂ～Ｂ２ａ、第１液体付与位置Ｂ１ｂ～Ｂ１ａの順で液体付与部３１に液体付与を実行させる。換言すれば、制御部１００ｂは、液体付与部３１が第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｂ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｂに液体付与する順序を、用紙Ｐ毎に変更する。さらに、制御部１００ｂは、待機位置ＨＰを経由せずに、第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｂ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｂの一方から他方に端綴じ処理部２５を最短距離で移動させる（Ｓ１５０３～Ｓ１５０６、図１８（Ｂ）～図１８（Ｉ）参照）。
【0141】
次に、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎ（この例の場合は１２枚）に達したと判定した場合（Ｓ１５０６：Ｙｅｓ）、図１９（Ｊ）に示すように、圧着部３２が用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ａ（１箇所目の綴じに対応する１回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５０７）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ａに対して、圧着部３２に１箇所目の綴じに対応する１回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１５０８）。次に、制御部１００ｂは、図１９（Ｋ）に示すように、用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｂ（１箇所目の綴じに対応する２回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５０８）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ１ｂに対して、圧着部３２に１箇所目の綴じ位置に対応する２回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１５０８）。
【0142】
次に、制御部１００ｂは、図１９（Ｌ）に示すように、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ａ（２箇所目の綴じに対応する１回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５０９）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ａに対して、圧着部３２に２箇所目の綴じに対応する１回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１５１０）。次に、制御部１００ｂは、図１９（Ｍ）に示すように、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｂ（２箇所目の綴じに対応する２回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１５１０）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｂに対して、圧着部３２に２箇所目の綴じに対応する２回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１５１０）。
【0143】
なお、図１８及び図１９の例では、最後に第１液体付与位置Ｂ１ａ対して液体付与部３１による液体付与を実行したので、第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｂ、第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｂの順に圧着部３２による圧着綴じを実行している。一方、最後に第２液体付与位置Ｂ２ｂに対して液体付与部３１による液体付与を実行した場合は、第２綴じ位置Ｂ２ｂ～Ｂ２ａ、第１綴じ位置Ｂ１ｂ～Ｂ１ａの順に圧着部３２による圧着綴じを実行すればよい。
【0144】
次に、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１５を回転させることによって、第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｂ、及び第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｂで圧着綴じされた用紙束Ｐｂを第２排出トレイ２６に排出する（Ｓ１５１１）。そして、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、綴じ処理指示で示された必要部数Ｍに達したか否かを判定する（Ｓ１５１２）。制御部１００ｂは、排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍに達していないと判定した場合（Ｓ１５１２：Ｎｏ）、ステップＳ１５０２以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍに達するまで（Ｓ１５１２：Ｙｅｓ）、ステップＳ１５０２～Ｓ１５１２の処理を繰り返し実行する。一方、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、必要部数Ｍに達したと判定した場合（Ｓ１５１２：Ｙｅｓ）、端綴じ処理部移動モータ５０を駆動して、図１９（Ｎ）に示すように、綴じ処理部２５を待機位置ＨＰに移動させる（Ｓ１５１３）。以上のとおり、「２箇所綴じ」で、圧着綴じ打数（後処理の実行回数）が「標準打数（２回）」という条件で液体付与圧着綴じ処理を実行することが可能となる。
【0145】
図２０は、ユーザが操作パネル１１０で綴じ種類として「平行綴じ」を設定した場合であって、かつ図１３の設定画面Ｇ１で「２箇所綴じ」で、「圧着綴じ打数（後処理の実行回数）」が「標準打数（２回）」という条件を設定して液体付与圧着綴じ処理を実施した場合の用紙束Ｐｂのイメージ図である。
【0146】
［液体付与圧着綴じ処理（打数増）の制御フロー］
図２１は、図１２に示したステップＳ７１１において実行される液体付与圧着綴じ処理（打数増）の制御フローチャートである。ここでは、液体付与圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」を、「圧着綴じ打数（後処理の実行回数）」を３回（「打数増」に「＋１」を入力）に設定して実行する場合を例示している（図１３参照。）また、図２２～図２４は、図２１の液体付与圧着綴じ処理（打数増）の制御フローチャートに対応した端綴じ処理部２５の位置の遷移を示す図である。以下、図１２を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図２１は、図１２に示したステップＳ７１１において実行される液体付与圧着綴じ処理（打数増）の制御フローチャートである。ここでは、液体付与圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」を、「圧着綴じ打数（後処理の実行回数）」を３回（「打数増」に「＋１」を入力）に設定して実行する場合を例示している（図１３参照。）また、図２２～図２４は、図２１の液体付与圧着綴じ処理（打数増）の制御フローチャートに対応した端綴じ処理部２５の位置の遷移を示す図である。以下、図１２を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0147】
図２２（Ａ）に示すように、液体付与圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」の開始時点において、端綴じ処理部２５は待機位置ＨＰに位置しているものとする。また、第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ（第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃに相当）、及び第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ１ｃ（第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ１ｃに相当）は、主走査方向に離間した位置である。さらに、図２２では、１２枚の用紙Ｐ（すなわち、所定枚数Ｎ＝１２枚）に対して液体付与及び圧着綴じをそれぞれ３回実行する場合を例に説明するが、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数はこれに限定されない。
【0148】
制御部１００ｂは、図１２の制御フローチャートにおける第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示枚数が上述のように１２枚であるため、綴じ処理指示枚数が５枚より多いと判定する（Ｓ７０２：Ｙｅｓ）。続いて、制御部１００ｂは、第２の綴じ枚数判定ステップＳ７０３において、綴じ処理指示枚数が上述のように１２枚であるため、綴じ処理指示枚数が１５枚より少ないと判定して（Ｓ７０３：Ｎｏ）、液体付与圧着綴じ処理の判定処理（Ｓ７０５～Ｓ７１２）に進む。次に、制御部１００ｂは、第１貯液タンク４３内の液体残量が、綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数実行するのに十分な量であるか否かを判定する（Ｓ７０５）。ここで、制御部１００ｂは、第１貯液タンク４３内の液体残量が、綴じ処理指示情報に含まれている圧着綴じ打数を実行するのに十分である判定した場合（Ｓ７０５：Ｙｅｓ）、次に制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示の有無を判定する（Ｓ７０９）。ここで、上述の通りユーザにより圧着綴じ打数が３回（「打数増」に「＋１」を入力）に増加して設定されているため、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数を増加させる指示が有ると判定し（Ｓ７０９：ＹｅｓかつＳ７１０：Ｙｅｓ）、液体付与部３１及び圧着部３２に、「打数増」、この例では３回の液体付与圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７１１）。
【0149】
図２１に示すように、液体付与圧着綴じ処理(打数増)が開始されると、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂを構成する１枚目の用紙Ｐ１が内部トレイ２２に収容される前に、液体付与部３１が１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａ（１箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０１）。次に、制御部１００ｂは、図２２（Ｂ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａに対面する位置に液体付与部３１を配置した状態で、画像形成装置２によって画像が形成された１枚目の用紙Ｐ１を内部トレイ２２収容する（Ｓ１８０２）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された１枚目の用紙Ｐ１に対して、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒを移動させることによって、ジョギング処理を実行する（Ｓ１８０２）。
【0150】
そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された１枚目の用紙Ｐ１に対するジョギング処理が完了すると、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａに対して、液体付与部３１に１箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０３）。次に、制御部１００ｂは、図２２（Ｃ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ｂ（１箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０３）。そして、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ｂに対して、液体付与部３１に１箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０３）。
【0151】
次に、制御部１００ｂは、図２２（Ｄ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ｃ（１箇所目の綴じに対応する３回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０３）。そして、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ｃに対して、液体付与部３１に１箇所目の綴じに対応する３回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０３）。
【0152】
次に、制御部１００ｂは、図２２（Ｅ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第２液体付与位置Ｂ２ａ（２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０４）。次に、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第２液体付与位置Ｂ２ａに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０５）。
【0153】
次に、制御部１００ｂは、図２２（Ｆ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第２液体付与位置Ｂ２ｂ（２箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる。そして、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第２綴じ位置Ｂ２ｂに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０５）。
【0154】
次に、制御部１００ｂは、図２２（Ｇ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第２液体付与位置Ｂ２ｃ（２箇所目の綴じに対応する３回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０５）。そして、制御部１００ｂは、１枚目の用紙Ｐ１の第２液体付与位置Ｂ２ｃに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する３回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０５）。
【0155】
次に、制御部１００ｂは、液体付与部３１による１枚目の用紙Ｐ１の第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃへの液体付与が完了したら、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Ｎに達したか否かを判定する（Ｓ１８０６）。上述の通り所定枚数Ｎは１２枚であるため、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎに達していないと判定する（Ｓ１８０６：Ｎｏ）。その結果、制御部１００ｂは、ステップＳ１８０２に戻る。そして、図２３（Ｈ）に示すように、制御部１００ｂは、２枚目の用紙Ｐ２の第２液体付与位置Ｂ２ｃ（２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与位置）に対面する位置に液体付与部３１を配置した状態で、用紙束Ｐｂを構成する２枚目の用紙Ｐ２を内部トレイ２２に収容してジョギング処理を実行する（Ｓ１８０２）。
【0156】
次に、制御部１００ｂは、図２３（Ｈ）に示すように、２枚目の用紙Ｐ２の第２綴じ位置Ｂ２ｃに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する１回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０３）。次に、制御部１００ｂは、図２３（Ｉ）に示すように、２枚目の用紙Ｐ２の第２綴じ位置Ｂ２ｂ（２箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与位置）に液体付与部３１が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０３）。次に、制御部１００ｂは、２枚目の用紙Ｐ２の第２綴じ位置Ｂ２ｂに対して、液体付与部３１に２箇所目の綴じに対応する２回目の液体付与を実行させる（Ｓ１８０３）。
【0157】
すなわち、制御部１００ｂは、図２２～図２３に例示するとおり、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの数が所定枚数Ｎに達するまで、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５による用紙Ｐの搬送と、液体付与部３１による第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃへの液体付与とを繰り返す。このとき、制御部１００ｂは、Ｂ（Ｂ＜Ｎ）枚目の用紙Ｐに対して、第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ、第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃの順で液体付与部３１に液体を付与させる。また、制御部１００ｂは、（Ｂ＋１）枚目の用紙Ｐに対して、第２液体付与位置Ｂ２ｃ～Ｂ２ａ、第１液体付与位置Ｂ１ｃ～Ｂ１ａの順で液体付与部３１に液体を付与させる。換言すれば、制御部１００ｂは、液体付与部３１が第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃに液体付与する順序を、用紙Ｐ毎に変更する。さらに、制御部１００ｂは、待機位置ＨＰを経由せずに、第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ及び第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃの一方から他方に端綴じ処理部２５を最短距離で移動させる（Ｓ１８０３～Ｓ１８０６、図２２（Ｂ）～図２３（Ｍ）参照）。
【0158】
次に、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの数が所定枚数Ｎ（この例の場合は１２枚）に達したと判定した場合（Ｓ１８０６：Ｙｅｓ）、図２４（Ｎ）に示すように、圧着部３２が用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ａ（１箇所目の綴じに対応する１回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０７）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ａに対して、圧着部３２に１箇所目の綴じに対応する１回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１８０８）。次に、制御部１００ｂは、図２４（Ｏ）に示すように、用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｂ（１箇所目の綴じに対応する２回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０８）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ１ｂに対して、圧着部３２に１箇所目の綴じ位置に対応する２回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１８０８）。
【0159】
次に、制御部１００ｂは、図２４（Ｐ）に示すように、用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｃ（１箇所目の綴じに対応する３回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０８）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｃに対して、圧着部３２に１箇所目の綴じに対応する３回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１８０８）。次に、制御部１００ｂは、図２４（Ｑ）に示すように、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ａ（２箇所目の綴じに対応する１回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８０９）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ａに対して、圧着部３２に２箇所目の綴じに対応する１回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１８１０）。
【0160】
次に、制御部１００ｂは、図２４（Ｒ）に示すように、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｂ（２箇所目の綴じに対応する２回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８１０）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｂに対して、圧着部３２に２箇所目の綴じに対応する２回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１８１０）。次に、制御部１００ｂは、図２４（Ｓ）に示すように用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｃ（２箇所目の綴じに対応する３回目の綴じ位置）に圧着部３２が対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ１８１０）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｃに対して、圧着部３２に２箇所目の綴じに対応する３回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ１８１０）。
【0161】
なお、図２２～図２４の例では、最後に第１液体付与位置Ｂ１ａに対して液体付与部３１による液体付与を実行したので、第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ、第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃの順に圧着部３２による圧着綴じを実行している。一方、最後に第２液体付与位置Ｂ２ｃに対して液体付与した場合は、第２綴じ位置Ｂ２ｃ～Ｂ２ａ、第１綴じ位置Ｂ１ｃ～Ｂ１ａの順に圧着部３２による圧着綴じを実行すればよい。
【0162】
次に、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１５を回転させることによって、第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ及び第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃで圧着綴じされた用紙束Ｐｂを第２排出トレイ２６に排出する（Ｓ１８１１）。そして、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、綴じ処理指示で示された必要部数Ｍに達したか否かを判定する（Ｓ１８１２）。制御部１００ｂは、排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍに達していないと判定した場合（Ｓ１８１２：Ｎｏ）、ステップＳ１８０２以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍに達するまで（Ｓ１８１２：Ｙｅｓ）、ステップＳ１８０２～Ｓ１８１２の処理を繰り返し実行する。一方、して、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、必要部数Ｍに達したと判定した場合（Ｓ１８１２：Ｙｅｓ）、端綴じ処理部移動モータ５０を駆動して、図２４（Ｔ）に示すように、端綴じ処理部２５を待機位置ＨＰに移動させる（Ｓ１８１３）。以上のとおり、「２箇所綴じ」で、圧着綴じ打数（後処理の実行回数）が「打数増（３回）」（「打数増」に「＋１」を入力）という条件で液体付与圧着綴じ処理を実行することが可能となる。
【0163】
図２５は、ユーザが操作パネル１１０で綴じ種類として「平行綴じ」を設定した場合であって、かつ図１３の設定画面Ｇ１で「２箇所綴じ」で「圧着綴じ打数（後処理の実行回数）」を「３回（「打数増」に「＋１」を入力）」という条件を設定して液体付与圧着綴じ処理を実施した場合の用紙束Ｐｂのイメージ図である。
【0164】
なお、上記の実施形態では、用紙束Ｐｂの１箇所又は２箇所を圧着綴じする例を説明したが、本発明は、主走査方向に離間した用紙束Ｐｂの３箇所以上を圧着綴じする場合にも適用可能である。この場合の制御部１００ｂは、３箇所以上の圧着綴じ位置に対して、液体付与部３１に液体付与させ、圧着部３２に圧着綴じさせる。３箇所以上を圧着する場合でも、本発明を適用することによって圧着綴じの生産性を向上させることができる。
【0165】
ただし、用紙束Ｐｂを構成する全ての用紙Ｐの液体付与位置（綴じ位置に相当）に対して、液体付与部３１による液体付与を実行する必要はない。例えば、制御部１００ｂは、主走査方向に離間した３箇所の綴じ位置で圧着綴じする場合において、Ｅ（Ｅ＜Ｎ－２）枚目の用紙Ｐ１の３箇所の液体付与位置に液体を付与し、（Ｅ＋１）枚目の用紙Ｐ２の２箇所の液体付与位置に液体を付与し、（Ｅ＋２）枚目の用紙Ｐ２の１箇所の液体付与位置に液体を付与してもよい。
【0166】
［通常の圧着綴じ処理（標準打数）の制御フロー］
図２６は、図１２に示したステップＳ７１５において実行される通常の圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートである。ここでは、圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」を、「圧着綴じ打数（後処理の実行回数）」を「標準打数（３回）」に設定して実行する場合を例示している（図１３参照）。また、図２７は、図２６の通常の圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートに対応した端綴じ処理部２５の位置の遷移を示す図である。以下、これまでと同様に、図１２を参照して既に説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図２６は、図１２に示したステップＳ７１５において実行される通常の圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートである。ここでは、圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」を、「圧着綴じ打数（後処理の実行回数）」を「標準打数（３回）」に設定して実行する場合を例示している（図１３参照）。また、図２７は、図２６の通常の圧着綴じ処理（標準打数）の制御フローチャートに対応した端綴じ処理部２５の位置の遷移を示す図である。以下、これまでと同様に、図１２を参照して既に説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0167】
図２７（Ａ）に示すように、圧着綴じ処理の「２箇所綴じ」の開始時点において、端綴じ処理部２５は待機位置ＨＰに位置しているものとする。また、第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ（第１液体付与位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃに相当）、及び第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ１ｃ（第２液体付与位置Ｂ２ａ～Ｂ１ｃに相当）は、主走査方向に離間している。さらに、図２７では、２枚の用紙Ｐ（すなわち、所定枚数Ｎ＝２枚）に対して通常の圧着綴じを３回実行する場合を例に説明するが、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数はこれに限定されない。
【0168】
制御部１００ｂは、図１２の制御フローチャートにおける第１の綴じ枚数判定ステップＳ７０２において、綴じ処理指示枚数が上述のように２枚であるため、綴じ処理指示枚数が５枚より少ないと判定する（Ｓ７０２：Ｎｏ）。続いて、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数増」であるか否かを判定する（Ｓ７１３）。上述のようにユーザにより圧着綴じ打数は「標準打数」に設定されているため、制御部１００ｂは、圧着綴じ打数の指示が「打数増」でないと判定して（Ｓ７１３：Ｎｏ）、圧着部３２に、「標準打数」、この例では３回の通常の圧着綴じ処理を実行させる（Ｓ７１５）。
【0169】
図２６に示すように、通常の圧着綴じ処理(標準打数)が開始されると、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂを構成する１枚目の用紙Ｐ１が内部トレイ２２に収容される前に、圧着部３２が１枚目の用紙Ｐ１の第１綴じ位置Ｂ１ａ（１箇所目の綴じに対応する１回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ２１０１）。次に、制御部１００ｂは、図２７（Ｂ）に示すように、１枚目の用紙Ｐ１の第１綴じ位置Ｂ１ａに対面する位置に圧着部３２を配置した状態で、画像形成装置２によって画像が形成された１枚目の用紙Ｐ１を内部トレイ２２に収容する（Ｓ２１０２）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された１枚目の用紙Ｐ１に対して、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒを移動させることによって、ジョギング処理を実行する（Ｓ２１０２）。
【0170】
そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された１枚目の用紙Ｐ１に対するジョギング処理が完了すると、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Ｎに達したか否かを判定する（Ｓ２１０３）。上述の通り所定枚数Ｎは２枚であるため、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎに達していないと判定する（Ｓ２１０３：Ｎｏ）。その結果、制御部１００ｂは、ステップＳ２１０２に戻り、圧着部３２を第１綴じ位置Ｂ１ａに対面する位置に配置した状態で、画像形成装置２から搬送されてきた用紙束Ｐｂを構成する２枚目の用紙Ｐ２を内部トレイ２２に収容する（Ｓ２１０２）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された２枚の用紙Ｐ１及びＰ２から構成される用紙束Ｐｂに対して、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒを移動させることによって、ジョギング処理を実行する（Ｓ２１０２）。
【0171】
次に、制御部１００ｂは、図２７（Ｂ）に示すように、用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ａに対して、圧着部３２に１箇所目の綴じに対応する１回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ２１０４）。次に、制御部１００ｂは、図２７（Ｃ）に示すように、圧着部３２が用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｂ（１箇所目の綴じに対応する２回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ２１０４）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｂに対して、圧着部３２に、１箇所目の綴じに対応する２回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ２１０４）。
【0172】
次に、制御部１００ｂは、図２７（Ｄ）に示すように、圧着部３２が用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｃ（１箇所目の綴じに対応する３回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ２１０４）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ｃに対して、圧着部３２に、１箇所目の綴じに対応する３回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ２１０４）。
【0173】
次に、制御部１００ｂは、図２７（Ｅ）に示すように、圧着部３２が用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ａ（２箇所目の綴じに対応する１回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ２１０５）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ａに対して、圧着部３２に、２箇所目の綴じに対応する１回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ２１０６）。
【0174】
次に、制御部１００ｂは、図２７（Ｆ）に示すように、圧着部３２が用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｂ（２箇所目の綴じに対応する２回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ２１０６）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｂに対して、圧着部３２に、２箇所目の綴じに対応する２回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ２１０６）。
【0175】
次に、制御部１００ｂは、図２７（Ｇ）に示すように、圧着部３２が用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｃ（２箇所目の綴じに対応する３回目の綴じ位置）に対面するように、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させる（Ｓ２１０６）。そして、制御部１００ｂは、用紙束Ｐｂの第２綴じ位置Ｂ２ｃに対して、圧着部３２に２箇所目の綴じに対応する３回目の圧着綴じを実行させる（Ｓ２１０６）。
【0176】
次に、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１５を回転させることによって、第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ、及び第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ２ｃで圧着綴じされた用紙束Ｐｂを第２排出トレイ２６に排出する（Ｓ２１０７）。そして、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、綴じ処理指示で指示された必要部数Ｍに達したか否かを判定する（Ｓ２１０８）。制御部１００ｂは、排出された用紙束Ｐｂの部数が、必要部数Ｍに達していないと判定した場合（Ｓ２１０８：Ｎｏ）、ステップＳ２１０２以降の処理を再び実行する。すなわち、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍに達するまで（Ｓ２１０８：Ｙｅｓ）、ステップＳ２１０２～Ｓ２１０８の処理を繰り返し実行する。一方、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、必要部数Ｍに達したと判定した場合（Ｓ２１０８：Ｙｅｓ）、端綴じ処理部移動モータ５０を駆動して、図２７（Ｈ）に示すように、端綴じ処理部２５を待機位置ＨＰに移動させる（Ｓ２１０９）。以上のとおり、「２箇所綴じ」で、圧着綴じ打数（後処理の実行回数）が「標準打数（３回）」という条件で通常の圧着綴じ処理を実行することが可能となる。
【0177】
図２８は、ユーザが操作パネル１１０で綴じ種類として「平行綴じ」を設定した場合であって、かつ図１３の設定画面Ｇ１で「２箇所綴じ」で、「圧着綴じ打数（後処理の実行回数）」が「標準打数（３回）」という条件を設定して通常の圧着綴じ処理を実施した場合の用紙束Ｐｂのイメージ図である。
【0178】
なお、上述の説明においては、端綴じ処理部２５を主走査方向に移動させることにより、圧着部３２を用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ及び第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ１ｃに対面する位置に移動させた。しかし、圧着部３２が備えている圧着歯スライド機構３２２によって、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂを第１綴じ位置Ｂ１ａ～Ｂ１ｃ及び第２綴じ位置Ｂ２ａ～Ｂ１ｃに対面する位置に移動させてもよい。
【0179】
以上説明のとおり、後処理の種類に応じて、用紙束Ｐｂに対する圧着綴じ打数（後処理の実行回数）を変更し、後処理の種類に応じた適切な綴じ力（綴じ強度）と、綴じ処理の速度（生産性）を設定することが可能である。これによって、ユーザの利便性及び後処理装置３の生産性を向上することができる。
【0180】
また、上述の説明おいて、後処理装置３の制御部１００ｂは、図１に示すように、画像形成装置２の制御部１００ａとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、図３８（Ａ）に示すように、後処理装置３の制御部１００ｂを画像形成装置２側に設けてもよい。さらに、図３８（Ｂ）に示すように、後処理装置３の制御部１００ｂを画像形成装置２の制御部１００ａと一体的に構成してもよい。
【0181】
また、図３９（Ａ）に示すように、後処理装置３の制御部１００ｂを機能別に制御部１００ｂ１（例えば駆動部系（モータ等））と制御部１００ｂ２（検知部系（センサー等））に分割し、一方の後処理装置３の制御部１００ｂ２のみを画像形成装置２側に設けてもよい。さらに、図３９（Ｂ）に示すように、画像形成装置２側に設けられた後処理装置３の制御部１００ｂ２を画像形成装置２の制御部１００ａと一体的に構成してもよい。
【0182】
［後処理装置３の第２実施形態］
次に、図２９～図３７を参照して、第２実施形態に係る後処理装置３Ａを説明する。なお、第１実施形態に係る後処理装置３と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
次に、図２９～図３７を参照して、第２実施形態に係る後処理装置３Ａを説明する。なお、第１実施形態に係る後処理装置３と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0183】
第２実施形態に係る後処理装置３Ａの端綴じ処理部２５１は、液体付与部３１と圧着部３２が併設された第１実施形態に係る後処理装置３の端綴じ処理部２５とは異なり、圧着部３２´のみを備え、液体付与部１３１を搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与処理後に所定枚数の用紙Ｐをプレスタックして、下流側に設けられた端綴じ処理部２５１の圧着部３２´へ搬送することができるので、圧着部３２´での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0184】
なお、搬送ローラ対１０、１１、１４が用紙Ｐを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Ｐの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向（用紙Ｐの幅方向）」と定義する。
【0185】
また、液体付与部１３１によって用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂに液体付与が行われる位置（液体付与位置）は、圧着部３２´が用紙束Ｐｂに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当る。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号（Ｂ１）を付して説明する。
【0186】
図２９は、第２実施形態に係る後処理装置３Ａの内部構造を示す図である。端綴じ処理部２５1は、図３０に示すように、圧着部３２´のみを備えている。図３０に示すように、圧着部３２´及び針綴じ処理部１５６は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着部３２´及び針綴じ処理部１５６は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。
【0187】
さらに、圧着部３２´及び針綴じ処理部１５６は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの厚み方向に延びる圧着部回転軸３４０及び針綴じ部回転軸８４を中心に正逆方向に回動可能に構成されている。すなわち、圧着部３２´及び針綴じ処理部１５６は、コーナー斜め綴じ、平行１箇所綴じ、平行２箇所綴じなどのように、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0188】
また、圧着部３２´は、凹凸状の上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂで用紙束Ｐｂを加圧変形させることによって、用紙束Ｐｂを綴じる（以下、「圧着綴じ」と表記する。）。一方、針綴じ処理部１５６は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束Ｐｂを針綴じすることができる。
【0189】
図３０は、内部トレイ２２を用紙束Ｐｂの厚み方向から見た模式図である。図３１は、圧着部３２´を搬送方向の下流側から見た模式図である。図３０に示すように、圧着部３２´及び針綴じ処理部１５６は、内部トレイ２２より搬送方向の下流側に配置されている。圧着部３２´は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの表面に沿って主走査方向に移動可能に構成されている。そして、圧着部３２´は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの厚み方向に延びる圧着部回転軸３４０を中心として、正逆方向に回動可能に構成されている。
【0190】
また、針綴じ処理部１５６についても同様に、用紙束Ｐｂの主走査方向に移動可能に構成されている。そして、針綴じ処理部１５６は、用紙束Ｐｂの厚み方向に延びる針綴じ部回転軸８４を中心として、正逆方向に回動可能に構成されている。なお、針綴じ処理部１５６のその他の構成は、第１実施形態に係る後処理装置３の針綴じ処理部５５（図９参照）と同様なので詳細な説明は省略する。
【0191】
圧着部３２´は、図３１に示すように、内部トレイ２２より搬送方向の下流側には、ガイドレール３３７が主走査方向に延設されている。圧着部３２´は、駆動源である圧着部移動モータ２３８を備えている。また、圧着部フレーム３２ｃを支持するベース部材４８は、その底部にタイミングベルト２４０ｃとの締結部４８ｂを備えている。これにより、圧着部移動モータ２３８の駆動力が、プーリ２４０ａ、２４０ｂと、タイミングベルト２４０ｃと、締結部４８ｂとを備える駆動伝達機構２４０によりベース部材４８に伝達されることによって、圧着部３２´は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂの表面（換言すれば、ガイドレール３３７）に沿って、主走査方向に移動する。さらに、圧着部３２´の構成品を保持する圧着部フレーム３２ｃは、その底面に駆動伝達ギヤ３４０ａを備えた圧着部回転軸３４０が固定されている。
【0192】
また、圧着部回転軸３４０及び駆動伝達ギヤ３４０ａは、圧着部フレーム３２ｃが設けられるベース部材４８に正逆方向に回転可能に保持されている。駆動伝達ギヤ３４０ａは、圧着部回動モータ２３９の出力ギヤ２３９ａと噛み合っている。そして、圧着部３２´は、圧着部回動モータ２３９の駆動力が、出力ギヤ２３９ａ及び駆動伝達ギヤ３４０ａを介して圧着部回転軸３４０に伝達されることによって、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの厚み方向に延びる圧着部回転軸３４０を中心として、ベース部材４８上で正逆方向に回転する。ガイドレール３３７、圧着部移動モータ２３８、圧着部回動モータ２３９、圧着部回転軸３４０、及び駆動伝達機構２４０は、圧着部３２´の駆動機構の一例を構成する。
【0193】
圧着部３２´は、図３０（Ａ）に示す待機位置ＨＰ３と、図３０（Ｂ）及び図３０（Ｃ）に示す第１綴じ位置Ｂ１に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置ＨＰ３は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂから主走査方向の一方側に外れた位置である。第１綴じ位置Ｂ１は、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂ上の位置である。ただし、第１綴じ位置Ｂ１の具体的な位置は、図３０の例に限定されず、用紙Ｐの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0194】
また、圧着部３２´は、図３０（Ｂ）に示す平行綴じ姿勢と、図３０（Ｃ）に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢が変化する。つまり、圧着部３２´は、圧着部回転軸３４０を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。ここで、平行綴じ姿勢とは、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂ（換言すれば、長方形の圧着綴じ痕）の長手方向が主走査方向を向く圧着部３２´の姿勢である。また、斜め綴じ姿勢とは、上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂ（換言すれば、長方形の圧着綴じ痕）の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着部３２´の姿勢である。
【0195】
なお、斜め綴じ姿勢における回動角度（主走査方向に対する上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂの角度）は、図３０（Ｃ）の例に限定されず、内部トレイ２２に載置された用紙束Ｐｂに上圧着歯３２ａ及び下圧着歯３２ｂが対面していれば、任意の角度でよい。
【0196】
後処理装置３Ａは、液体付与部１３１と、パンチ孔穿設手段１３２（処理部）とを備える。液体付与部１３１及びパンチ孔穿設手段１３２は、内部トレイ２２より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与部１３１及びパンチ孔穿設手段１３２は、搬送ローラ対１０～１９によって搬送される１枚の用紙Ｐに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。
【0197】
本実施形態に係る液体付与部１３１及びパンチ孔穿設手段１３２は、搬送ローラ対１０、１１の間に配置されている。ただし、液体付与部１３１の配置は、図２９の例に限定されない。例えば、図３７に示すように画像形成装置２と後処理装置３Ａの間にインサーター６が配置されている場合は、液体付与部１３１を後処理装置３Ａの上流側に位置するインサーター６内に設けることもできる。インサーター６としては、画像形成装置２から搬送された用紙Ｐとともに後処理装置３Ａに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙又は仕切紙として、画像形成装置２を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0198】
また、搬送ローラ対１１は、図３２（Ａ）に示すように、液体付与部１３１の液体付与ヘッド１４６により液体が付与された用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対１１が用紙Ｐを搬送する際に、複数のローラ対が、第１液体付与位置Ｂ１を押圧することにより第１液体付与位置Ｂ１の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Ｐが、液体付与部１３１よりも逆搬送方向の下流側に設けられた圧着部３２´に到達した時点で、第１液体付与位置Ｂ１の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で第１液体付与位置Ｂ１（第１綴じ位置Ｂ１に相当）の液量が減少することによる用紙束Ｐｂの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0199】
更に、搬送ローラ対１１を構成する複数のローラ対を、用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Ｐの搬送性が悪化することや、搬送性の悪化が原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。
【0200】
なお、以上では搬送ローラ対１１についてのみ説明したが、搬送ローラ対１４～１５を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0201】
液体付与部１３１は、搬送ローラ対１０、１１によって搬送される用紙Ｐに液体を付与（以下、「液体付与」と表記する。）する。パンチ孔穿設手段１３２は、搬送ローラ対１０、１１によって搬送される用紙Ｐに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与部１３１に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設手段１３２に限定されず、搬送ローラ対１０、１１によって搬送される用紙Ｐの傾き（スキュー）を補正する傾き補正部でもよい。
【0202】
図３２は、第２実施形態に係る液体付与部１３１を用紙Ｐの厚み方向から見た図である。図３３は、図３２のＸＸＶ－ＸＸＶにおける断面図である。図３４は、図３２のＸＸＶＩ－ＸＸＶＩにおける断面図である。図３２～図３４に示すように、液体付与部１３１は、一対のガイド軸１３３ａ、１３３ｂと、一対のプーリ１３４ａ、１３４ｂと、無端環状ベルト１３５、１３６と、液体付与部移動モータ１３７と、待機位置センサ１３８と、液体付与ユニット１４０とを備える。
【0203】
一対のガイド軸１３３ａ、１３３ｂは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸１３３ａ、１３３ｂは、後処理装置３Ａの一対の側板４ａ、４ｂに支持されている。そして、一対のガイド軸１３３ａ、１３３ｂは、液体付与ユニット１４０を主走査方向に移動可能に支持する。
【0204】
一対のプーリ１３４ａ、１３４ｂは、逆搬送方向における一対のガイド軸１３３ａ、１３３ｂの間に配置されている。また、一対のプーリ１３４ａ、１３４ｂは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ１３４ａ、１３４ｂは、用紙Ｐの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能に、後処理装置３Ａのフレームに支持されている。
【0205】
無端環状ベルト１３５は、一対のプーリ１３４ａ、１３４ｂに掛け渡されている。また、無端環状ベルト１３５には、接続部１３５ａによって液体付与ユニット１４０に接続されている。無端環状ベルト１３６は、プーリ１３４ａと液体付与部移動モータ１３７の出力軸に固定された駆動プーリ１３７ａとに掛け渡されている。液体付与部移動モータ１３７は、液体付与ユニット１４０を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0206】
液体付与部移動モータ１３７が回転することによって、プーリ１３４ａ及び駆動プーリ１３７ａの間を無端環状ベルト１３６が周回し、プーリ１３４ａを回転させる。また、プーリ１３４ａが回転することによって、一対のプーリ１３４ａ、１３４ｂの間を無端環状ベルト１３５が周回する。これにより、液体付与ユニット１４０は、一対のガイド軸１３３ａ、１３３ｂに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与部移動モータ１３７の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット１４０は、主走査方向に往復移動する。
【0207】
待機位置センサ１３８は、液体付与ユニット１４０が主走査方向の待機位置ＨＰ４（図３２参照）に到達したことを検知し、検知結果を示す待機位置信号を後述する制御部１００ｂ（図３５参照）に出力する。待機位置センサ１３８は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機位置ＨＰ４において液体付与ユニット１４０は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ１３８は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。ただし、待機位置センサ１３８の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0208】
図３３に示すように、後処理装置３Ａ内の搬送路は、用紙Ｐの厚み方向に離間して配置された上ガイド板５ａ及び下ガイド板５ｂによって画定される。そして、液体付与ユニット１４０は、上ガイド板５ａに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット１４０は、上ガイド板５ａの開口を通じて搬送路（すなわち、用紙Ｐに対面し得る位置）に対面して配置されている。
【0209】
図３２～図３４に示すように、液体付与ユニット１４０は、ベース部材１４１と、回転ブラケット１４２と、貯液タンク１４３と、液体付与ヘッド移動手段１４４と、保持部材１４５と、液体付与ヘッド１４６と、柱状部材１４７ａ、１４７ｂと、押圧板１４８と、コイルバネ１４９ａ、１４９ｂと、付与ヘッド回動モータ１５０と、付与ヘッド移動モータ１５１（図３５参照）と、待機角度センサ１５２（図３５参照）とを備える。
【0210】
ベース部材１４１は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸１３３ａ、１３３ｂに支持されている。また、ベース部材１４１は、接続部１３５ａによって無端環状ベルト１３５に接続されている。さらに、ベース部材１４１は、液体付与ユニット１４０の構成部品１４２～１５２を支持している。
【0211】
回転ブラケット１４２は、用紙Ｐの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回動可能にベース部材１４１の下面に取り付けられている。また、回転ブラケット１４２は、付与ヘッド回動モータ１５０の駆動力が伝達されることによって、ベース部材１４１に対して正逆方向に回転する。さらに、回転ブラケット１４２は、貯液タンク１４３、液体付与ヘッド移動手段１４４、保持部材１４５、液体付与ヘッド１４６、柱状部材１４７ａ、１４７ｂ、押圧板１４８、及びコイルバネ１４９ａ、１４９ｂを保持している。
【0212】
待機角度センサ１５２（図３５参照）は、回転ブラケット１４２が待機角度に到達したことを検知し、検知結果を示す待機角度信号を制御部１００ｂに出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ１５２は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット１４２は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ１５２は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。ただし、待機角度センサ１５２の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0213】
なお、図３２（Ａ）に示した回転ブラケット１４２は、液体付与部１３１より下流側の圧着部３２´が平行綴じする際の状態を示している。また、図３２（Ｂ）に示した回転ブラケット１４２は、液体付与部１３１より下流側の圧着部３２´が斜め綴じ（角綴じ）する際の状態を示している。
【0214】
貯液タンク１４３は、用紙Ｐに付与するための液体を貯留する。液体付与ヘッド移動手段１４４は、用紙Ｐの厚み方向に移動（例えば昇降）可能に貯液タンク１４３に取り付けられている。また、液体付与ヘッド移動手段１４４は、付与ヘッド移動モータ１５１の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク１４３に対して移動する。保持部材１４５は、液体付与ヘッド移動手段１４４の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド１４６は、保持部材１４５から搬送路に向けて（本実施形態では、下方）に突出している。また、液体付与ヘッド１４６には、貯液タンク１４３に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド１４６は、吸液率の高い材料（例えば、スポンジ、繊維）で構成されている。
【0215】
柱状部材１４７ａ、１４７ｂは、液体付与ヘッド１４６の周囲において、保持部材１４５から下方に突出している。また、柱状部材１４７ａ、１４７ｂは、保持部材１４５に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材１４７ａ、１４７ｂは、下端で押圧板１４８を保持している。押圧板１４８には、液体付与ヘッド１４６に対面する位置に貫通口１４８ａが形成されている。コイルバネ１４９ａ、１４９ｂは、保持部材１４５と押圧板１４８との間において、柱状部材１４７ａ、１４７ｂに外挿されている。そして、コイルバネ１４９ａ、１４９ｂは、柱状部材１４７ａ、１４７ｂ及び押圧板１４８を、保持部材１４５に対して下方に付勢する。
【0216】
図３３（Ａ）及び図３４（Ａ）に示すように、上ガイド板５ａの開口に対面する位置に用紙Ｐが搬送される前の段階では、押圧板１４８は開口の位置又は開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対１０、１１によって搬送された用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１が開口に対面する位置で停止すると、付与ヘッド移動モータ１５１を第一の方向に回転させる。これにより、液体付与ヘッド移動手段１４４、保持部材１４５、液体付与ヘッド１４６、柱状部材１４７ａ、１４７ｂ、押圧板１４８、及びコイルバネ１４９ａ、１４９ｂが一体となって下降して、押圧板１４８が用紙Ｐに当接する。なお、第１液体付与位置Ｂ１とは、端綴じ処理部２５1（すなわち圧着部３２´）によって圧着綴じされる予定の位置（すなわち、第１綴じ位置Ｂ１）である。
【0217】
そして、押圧板１４８が用紙Ｐに当接した後も付与ヘッド移動モータ１５１を第一の方向に回転させることによって、コイルバネ１４９ａ、１４９ｂが圧縮されて、液体付与ヘッド移動手段１４４、保持部材１４５、液体付与ヘッド１４６、及び柱状部材１４７ａ、１４７ｂがさらに下降する。そして、図３３（Ｂ）及び図３４（Ｂ）に示すように、液体付与ヘッド１４６の下面が貫通口１４８ａを通じて用紙Ｐに当接する。その結果、液体付与ヘッド１４６に含まれる液体が用紙Ｐに付与される。
【0218】
さらに、図３３（Ｃ）及び図３４（Ｃ）に示すように、付与ヘッド移動モータ１５１をさらに第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド１４６を用紙Ｐにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Ｐに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与部１３１は、用紙Ｐに対する液体付与ヘッド１４６の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0219】
一方、付与ヘッド移動モータ１５１を第一の方向と逆向きの第二の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド移動手段１４４、保持部材１４５、液体付与ヘッド１４６、柱状部材１４７ａ、１４７ｂ、押圧板１４８、及びコイルバネ１４９ａ、１４９ｂが一体となって上昇する。これにより、図３３（Ａ）及び図３４（Ａ）に示すように、液体付与ヘッド１４６及び押圧板１４８が用紙Ｐから離間する。すなわち、液体付与部１３１は、用紙Ｐに切離可能な液体付与ヘッド１４６を備える。
【0220】
図３５は、第２実施形態に係る後処理装置３Ａの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。図３５に示すように、後処理装置３Ａは、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）１０１と、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）１０２と、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）１０３と、ＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）１０４と、Ｉ／Ｆ１０５とが共通バス１０９を介して接続されている構成を備える。
【0221】
ＣＰＵ１０１は演算手段であり、後処理装置３Ａ全体の動作を制御する。ＲＡＭ１０２は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、ＣＰＵ１０１が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ＲＯＭ１０３は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。ＨＤＤ１０４は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、ＯＳ（Ｏｐｅｒａｔｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0222】
後処理装置３Ａは、ＲＯＭ１０３に格納された制御プログラム、ＨＤＤ１０４などの記憶媒体からＲＡＭ１０２にロードされた情報処理プログラム（アプリケーションプログラム）などをＣＰＵ１０１が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置３Ａの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置３Ａに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置３Ａの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、ＣＰＵ１０１と、ＲＡＭ１０２と、ＲＯＭ１０３と、ＨＤＤ１０４と、Ｉ／Ｆ１０５とは、後処理装置３Ａの動作を制御する制御部１００ｂ（制御手段）を構成する。
【0223】
Ｉ／Ｆ１０５は、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５と、切替部材２０と、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒと、圧着部移動モータ２３８と、圧着部回動モータ２３９と、接離モータ３２ｄと、液体付与部移動モータ１３７と、付与ヘッド回動モータ１５０と、付与ヘッド移動モータ１５１と、待機位置センサ１３８と、待機角度センサ１５２と、パンチ孔穿設手段１３２と、操作パネル１１０と、を共通バス１０９に接続するインターフェースである。
【0224】
制御部１００ｂは、Ｉ／Ｆ１０５を通じて、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５と、切替部材２０と、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒと、圧着部移動モータ２３８と、圧着部回動モータ２３９と、接離モータ３２ｄと、液体付与部移動モータ１３７と、付与ヘッド回動モータ１５０と、付与ヘッド移動モータ１５１と、パンチ孔穿設手段１３２の動作を制御する。また、制御部１００ｂは、Ｉ／Ｆ１０５を通じて、待機位置センサ１３８、待機角度センサ１５２の検知結果を取得する。
【0225】
なお、図３５には端綴じ処理を実行する端綴じ処理部２５１（圧着部３２´）及び液体付与部１３１の構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部２８に関する構成部品も同様に制御部１００ｂによって制御される。
【0226】
図３７に示すように、画像形成装置２は、操作パネル１１０を備えている。操作パネル１１０は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ（報知部）とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル１１０は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。また、後処理装置３Ａに上記と同様の操作パネル１１０を備えるようにしてもよい。
【0227】
【0228】
制御部１００ｂは、例えば、画像形成装置２から後処理の実行指示（以下、「後処理指示」と表記する。）を取得したことに応じて、図３６に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Ｐｂを構成する用紙Ｐの枚数（以下、「所定枚数Ｎｐ」と表記する。）と、綴じ処理を施すべき用紙束Ｐｂの部数（以下、「必要部数Ｍｐ」と表記する。）と、第１綴じ位置Ｂ１（第１液体付与位置Ｂ１に相当）と、第１綴じ位置Ｂ１の角度（第１液体付与位置Ｂ１の角度に相当）と、綴じ処理の種類（平行綴じ処理、斜め綴じ処理）と、液体付与処理と並行して実行される動作（本実施形態では、パンチ孔の穿設）とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット１４０は待機位置ＨＰ４（図３２参照）に位置し、回転ブラケット１４２は待機角度（「平行綴じ姿勢」に相当）に保持されているものとする。
【0229】
まず、制御部１００ｂは、液体付与部移動モータ１３７を駆動することによって、液体付与ユニット１４０（液体付与部に相当）を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド１４６を待機位置ＨＰ４から第１液体付与位置Ｂ１（図３２（Ｂ）参照。図３０（Ｂ）及び図３０（Ｃ）の第１綴じ位置Ｂ１に相当する位置）に対面し得る位置に移動させる。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部１００ｂは、付与ヘッド回動モータ１５０を駆動し、回転ブラケット１４２を回転させることで、液体付与ヘッド１４６を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する液体付与角度に回転させる（Ｓ８０１）。液体付与ヘッド１４６が第１液体付与位置Ｂ１に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与部移動モータ１３７及び付与ヘッド回動モータ１５０のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部１００ｂは、上述した回転ブラケット１４２を回転させる動作を省略する。すなわち、液体付与ユニット１４０は、回転ブラケット１４２を待機角度に保持したまま主走査方向に移動する。
【0230】
また、制御部１００ｂは、圧着部移動モータ２３８を駆動することによって、図３０（Ａ）、図３０（Ｂ）に示すように、圧着部３２´を待機位置ＨＰ３から第１綴じ位置Ｂ１に対面し得る位置に移動させる（Ｓ８０１）。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、制御部１００ｂは、圧着部回動モータ２３９を駆動することにより、圧着部３２´を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する圧着綴じ角度に回転させる（Ｓ８０１）。圧着部３２´が、第１綴じ位置Ｂ１に対面し得る位置、及び圧着綴じ角度に達したことは、圧着部移動モータ２３８及び圧着部回動モータ２３９のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。なお、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、制御部１００ｂは、上述した圧着部３２´を回転させる動作を省略する。すなわち、圧着部３２´は、待機角度を保持したまま主走査方向に移動する。
【0231】
次に、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１０、１１を駆動することによって、画像形成装置２によって画像が形成された用紙Ｐの搬送を開始する（Ｓ８０２）。そして、制御部１００ｂは、用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１が液体付与ユニット１４０（より詳細には、液体付与ヘッド１４６）に対面したか否かを判定する（Ｓ８０３）。用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１が液体付与ユニット１４０に対面していないと判定した場合（Ｓ８０３：Ｎｏ）、制御部１００ｂは、用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１が液体付与ユニット１４０に対面するまで（Ｓ８０３：Ｙｅｓ）、搬送ローラ対１０、１１による用紙Ｐの搬送を継続する。一方、用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１が液体付与ヘッド１４６に対面していると判定した場合（Ｓ８０３：Ｙｅｓ）、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１０、１１による用紙Ｐの搬送を停止する（Ｓ８０４）。用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１が液体付与ヘッド１４６に対面したことは、搬送ローラ対１０、１１を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0232】
制御部１００ｂは、液体付与ユニット１４０によって用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１に液体を付与する処理を実行する（Ｓ８０５）。より詳細には、制御部１００ｂは、付与ヘッド移動モータ１５１を第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド１４６を用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１に当接させる。また、制御部１００ｂは、用紙Ｐに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド１４６の押し付け力（すなわち、付与ヘッド移動モータ１５１の回転量）を変更する。
【0233】
用紙Ｐに対する液体付与量は、用紙束Ｐｂを構成する全ての用紙Ｐに対して同一でもよいし、用紙Ｐ毎に異なっていてもよい。例えば、制御部１００ｂは、後に搬送される用紙Ｐほど液体付与量を減少させてもよい。また、付与ヘッド移動モータ１５１の回転量は、付与ヘッド移動モータ１５１のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0234】
次に、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１０、１１、１４、１５を駆動することによって、用紙Ｐを内部トレイ２２に載置する（Ｓ８０６）。また、制御部１００ｂは、サイドフェンス２４Ｌ、２４Ｒを主走査方向に移動させることによって、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐ又は用紙束Ｐｂの主走査方向の位置を揃える、いわゆるジョギング処理を実行する（Ｓ８０６）。
【0235】
次に、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が、後処理指示で指示された所定枚数Ｎｐに達したか否かを判定する（Ｓ８０７）。そして、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎｐに達していないと判定した場合（Ｓ８０７：Ｎｏ）、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が所定枚数Ｎｐに達するまで（Ｓ８０７：Ｙｅｓ）、ステップＳ８０２～Ｓ８０７の処理を繰り返し実行する。
【0236】
一方、制御部１００ｂは、内部トレイ２２に載置された用紙Ｐの枚数が前記所定枚数Ｎｐに達したと判定した場合（Ｓ８０７：Ｙｅｓ）、圧着部３２´に、液体付与ユニット１４０によって液体付与された用紙Ｐを含む用紙束Ｐｂの第１綴じ位置Ｂ１（用紙Ｐの第１液体付与位置Ｂ１に相当）を圧着綴じさせる（Ｓ８０８）。さらに、制御部１００ｂは、搬送ローラ対１５を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Ｐｂを第２排出トレイ２６に排出する（Ｓ８０８）。
【0237】
次に、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、後処理指示で示された必要部数Ｍｐに達したか否かを判定する（Ｓ８０９）。制御部１００ｂは、排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍｐに達していないと判定した場合（Ｓ８０９：Ｎｏ）、排出された用紙束Ｐｂの部数が必要部数Ｍｐに達するまで（Ｓ８０９：Ｙｅｓ）、ステップＳ８０２～Ｓ８０９の処理を繰り返し実行する。
【0238】
一方、制御部１００ｂは、第２排出トレイ２６に排出された用紙束Ｐｂの部数が、必要部数Ｍｐに達したと判定した場合（Ｓ８０９：Ｙｅｓ）、液体付与部移動モータ１３７を駆動して液体付与ユニット１４０を待機位置ＨＰ４（図３２参照）に移動させるとともに、圧着部移動モータ２３８を駆動して圧着部３２´を待機位置ＨＰ３（図３０参照）に移動させる（Ｓ８１０）。また、後処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、制御部１００ｂは、付与ヘッド回動モータ１５０及び圧着部回動モータ２３９を駆動して、液体付与ユニット１４０及び圧着部３２´を平行綴じ姿勢（待機角度）に回転させる（Ｓ８１０）。一方、後処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与ユニット１４０及び圧着部３２´を平行綴じ姿勢（待機角度）へ回転させる動作は省略される。なお、ステップＳ８０１、Ｓ８１０において、液体付与ユニット１４０及び圧着部３２´を、主走査方向に移動させる動作と、正逆方向に回転させる動作の実行順序は、前述の順序に限定されず、前述の順序と逆の順序であってもよい。
【0239】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する端綴じ処理部２５1のみならず、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部２８にも適用することができる。
【0240】
また、図２９に示した第２実施形態に係る後処理装置３Ａの制御部１００ｂについても、図１と同様に、画像形成装置２の制御部１００ａとは別個に設けられる形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、図３８（Ａ）と同様に、後処理装置３Ａの制御部１００ｂを画像形成装置２側に設けてもよい。さらに、図３８（Ｂ）と同様に、後処理装置３Ａの制御部１００ｂを画像形成装置２の制御部１００ａと一体的に構成してもよい。
【0241】
また、図３９（Ａ）と同様に、後処理装置３Ａの制御部１００ｂを機能別に制御部１００ｂ１（例えば駆動部系（モータ等））と制御部１００ｂ２（検知部系（センサー等））に分割し、一方の後処理装置３Ａの制御部１００ｂ２を画像形成装置２側に設けてもよい。さらに、図３９（Ｂ）と同様に、画像形成装置２側に設けられた後処理装置３Ａの制御部１００ｂ２を画像形成装置２の制御部１００ａと一体的に構成してもよい。
【0242】
なお、上記に説明した制御部１００ｂによる制御方法は、既に説明のとおり、コンピュータのハードウェア資源をとコンピュータソフトウェアとしてのプログラムとの協働により実現される。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0243】
また、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0244】
以上説明のとおり、本発明に係る媒体処理装置の各実施形態によれば、後処理の種類に応じて、用紙束Ｐｂに対する綴じ処理の繰り返し回数を変更し、綴じ処理に応じた適切な綴じ力（綴じ強度）と、綴じ処理の速度（生産性）を設定することが可能である。これによって、ユーザの利便性及び綴じ処理の生産性を向上することができる。
【0245】
［本発明の態様］
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
＜１＞
少なくとも１枚の媒体に液体付与を行う液体付与部と、
前記液体付与をされた複数の前記媒体を含む媒体束に対して、異なる種類の後処理と異なる種類の綴じ形態とを組み合わせて実行する後処理部と、を備え、
前記後処理の種類と、前記媒体束に対して設定された前記綴じ形態の種類と、に応じて、前記後処理の実行回数を変更する、
媒体処理装置である。
＜２＞
前記後処理部は、前記媒体束の厚み方向において加圧し変形させて綴じる圧着部を備え、
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記圧着綴じ処理の回数である、
前記＜１＞に記載の媒体処理装置である。
＜３＞
前記後処理部は、前記媒体束の厚み方向において加圧し変形させて綴じる圧着部を備え、
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記液体付与の回数、及び前記圧着綴じ処理の回数である、
前記＜１＞に記載の媒体処理装置である。
＜４＞
前記後処理部を回動させる後処理部回動機構を備え、
前記後処理部回動機構により変更される圧着綴じ姿勢に応じて前記圧着綴じ処理の回数を変更する、
前記＜２＞又は＜３＞に記載の媒体処理装置である。
＜５＞
前記後処理部は、複数の前記媒体に針綴じ処理を実行する針綴じ部を更に備える、
前記＜２＞乃至は＜４＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
＜６＞
前記後処理を実行される媒体束を構成する前記媒体の枚数に応じて、前記媒体束に対する後処理として、前記圧着綴じ処理に代えて前記針綴じ処理を実行する、
前記＜５＞に記載の媒体処理装置である。
＜７＞
前記液体付与部が保持している液体残量に応じて、前記媒体束に対する後処理を前記圧着綴じ処理又は前記針綴じ処理のどちらかに切り替える、
前記＜５＞又は＜６＞に記載の媒体処理装置である。
＜８＞
前記媒体束を構成する前記媒体の枚数に応じて前記後処理の実行回数を変更する、
前記＜１＞乃至＜７＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
＜９＞
前記液体付与部が保持している液体残量が、前記後処理の実行回数に伴って実行される前記液体付与の回数で消費される液体の量を満たすか否かに応じて、前記後処理の実行回数を変更することができる、
前記＜１＞乃至＜８＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
＜１０＞
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された前記媒体に対して後処理を行う前記＜１＞
乃至＜９＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システムである。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
＜１＞
少なくとも１枚の媒体に液体付与を行う液体付与部と、
前記液体付与をされた複数の前記媒体を含む媒体束に対して、異なる種類の後処理と異なる種類の綴じ形態とを組み合わせて実行する後処理部と、を備え、
前記後処理の種類と、前記媒体束に対して設定された前記綴じ形態の種類と、に応じて、前記後処理の実行回数を変更する、
媒体処理装置である。
＜２＞
前記後処理部は、前記媒体束の厚み方向において加圧し変形させて綴じる圧着部を備え、
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記圧着綴じ処理の回数である、
前記＜１＞に記載の媒体処理装置である。
＜３＞
前記後処理部は、前記媒体束の厚み方向において加圧し変形させて綴じる圧着部を備え、
前記後処理は、前記圧着部による圧着綴じ処理であり、
前記後処理の実行回数は、前記液体付与の回数、及び前記圧着綴じ処理の回数である、
前記＜１＞に記載の媒体処理装置である。
＜４＞
前記後処理部を回動させる後処理部回動機構を備え、
前記後処理部回動機構により変更される圧着綴じ姿勢に応じて前記圧着綴じ処理の回数を変更する、
前記＜２＞又は＜３＞に記載の媒体処理装置である。
＜５＞
前記後処理部は、複数の前記媒体に針綴じ処理を実行する針綴じ部を更に備える、
前記＜２＞乃至は＜４＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
＜６＞
前記後処理を実行される媒体束を構成する前記媒体の枚数に応じて、前記媒体束に対する後処理として、前記圧着綴じ処理に代えて前記針綴じ処理を実行する、
前記＜５＞に記載の媒体処理装置である。
＜７＞
前記液体付与部が保持している液体残量に応じて、前記媒体束に対する後処理を前記圧着綴じ処理又は前記針綴じ処理のどちらかに切り替える、
前記＜５＞又は＜６＞に記載の媒体処理装置である。
＜８＞
前記媒体束を構成する前記媒体の枚数に応じて前記後処理の実行回数を変更する、
前記＜１＞乃至＜７＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
＜９＞
前記液体付与部が保持している液体残量が、前記後処理の実行回数に伴って実行される前記液体付与の回数で消費される液体の量を満たすか否かに応じて、前記後処理の実行回数を変更することができる、
前記＜１＞乃至＜８＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
＜１０＞
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された前記媒体に対して後処理を行う前記＜１＞
乃至＜９＞のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0246】
１ ：画像形成システム
２ ：画像形成装置
３ ：後処理装置
１０～１９ ：搬送ローラ対
２０ ：切替部材
２１ ：排出トレイ
２２ ：内部トレイ
２３ ：エンドフェンス
２４Ｌ，２４Ｒ：サイドフェンス
２５ ：端綴じ処理部
２６ ：排出トレイ
２７ ：エンドフェンス
２８ ：中綴じ処理部
２９ ：用紙折りブレード
３０ ：排出トレイ
３１ ：液体付与部
３２ ：圧着部
３２ａ ：上圧着歯
３２ｂ ：下圧着歯
３３ ：下押圧板
３４ ：上押圧板
３４ａ ：貫通口
３５ ：液体付与部移動機構
３６ ：液体付与機構
３７ ：液体付与部移動モータ
３８ ：台形ネジ
３９ ：ナット
４０ ：ベースプレート
４１ａ，４１ｂ：柱状部材
４２ａ，４２ｂ：コイルバネ
４３ ：第１貯液タンク
４３ａ ：液位センサ
４４ ：液体付与部材
４５ ：液体供給部材
４５ａ ：保護部材
４６ ：ジョイント
４７ ：端綴じ処理部移動機構
４８ ：ベース部材
４９ ：案内軸
５０ ：端綴じ処理部移動モータ
５５１ ：駆動力伝達機構
５５ ：針綴じ処理部
６２ ：針綴じ部
６２ａ ：針綴じ機
７７ ：針綴じ処理部移動機構
７８ ：ベース部材
８０ ：針綴じ処理部移動モータ
８１ ：駆動力伝達機構
１００ａ，１００ｂ ：制御部
１０１ ：ＣＰＵ
１０２ ：ＲＡＭ
１０３ ：ＲＯＭ
１０４ ：ＨＤＤ
１０５ ：Ｉ／Ｆ
１０９ ：共通バス
１１０ ：操作パネル
２ ：画像形成装置
３ ：後処理装置
１０～１９ ：搬送ローラ対
２０ ：切替部材
２１ ：排出トレイ
２２ ：内部トレイ
２３ ：エンドフェンス
２４Ｌ，２４Ｒ：サイドフェンス
２５ ：端綴じ処理部
２６ ：排出トレイ
２７ ：エンドフェンス
２８ ：中綴じ処理部
２９ ：用紙折りブレード
３０ ：排出トレイ
３１ ：液体付与部
３２ ：圧着部
３２ａ ：上圧着歯
３２ｂ ：下圧着歯
３３ ：下押圧板
３４ ：上押圧板
３４ａ ：貫通口
３５ ：液体付与部移動機構
３６ ：液体付与機構
３７ ：液体付与部移動モータ
３８ ：台形ネジ
３９ ：ナット
４０ ：ベースプレート
４１ａ，４１ｂ：柱状部材
４２ａ，４２ｂ：コイルバネ
４３ ：第１貯液タンク
４３ａ ：液位センサ
４４ ：液体付与部材
４５ ：液体供給部材
４５ａ ：保護部材
４６ ：ジョイント
４７ ：端綴じ処理部移動機構
４８ ：ベース部材
４９ ：案内軸
５０ ：端綴じ処理部移動モータ
５５１ ：駆動力伝達機構
５５ ：針綴じ処理部
６２ ：針綴じ部
６２ａ ：針綴じ機
７７ ：針綴じ処理部移動機構
７８ ：ベース部材
８０ ：針綴じ処理部移動モータ
８１ ：駆動力伝達機構
１００ａ，１００ｂ ：制御部
１０１ ：ＣＰＵ
１０２ ：ＲＡＭ
１０３ ：ＲＯＭ
１０４ ：ＨＤＤ
１０５ ：Ｉ／Ｆ
１０９ ：共通バス
１１０ ：操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0247】
【特許文献1】特開２０１９－０１０８１１号公報
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
