(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138139
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/38 20060101AFI20240927BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H03F3/38
H03K19/0175 210
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024122274
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2020170126の分割
【原出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大司
(57)【要約】
【課題】回路面積を小型化でき、かつ高速動作に対応可能なレベルシフト回路を用いた増幅装置を提供する。
【解決手段】レベルシフト回路は、一対の信号経路において信号入力端210と信号出力端220との間に結合容量を有する二つの容量結合回路201、202を備え、容量結合回路201、202は、結合容量によって信号経路の電圧をレベルシフトする結合モードと、同相入力端に入力される入力同相電圧値に応じたレベルシフト電圧を結合容量に充電する充電モードと、を有し、二つの容量結合回路のうち、第1の容量結合回路201が結合モードであるとき、第2の容量結合回路202が充電モードとなるように動作し、第2の容量結合回路202が結合モードであるとき、第1の容量結合回路201が充電モードとなるように動作する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を高周波帯域に変調する第1のチョッパ変調器と、
前記第1のチョッパ変調器の出力の同相電圧成分をレベルシフトするレベルシフト回路と、
前記レベルシフト回路の出力を増幅する第1の増幅器と、
前記第1の増幅器の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する出力チョッパ回路と、を備え、
前記レベルシフト回路は、
一対の信号経路において信号入力端と信号出力端との間に結合容量を有する二つの容量結合回路を備え、
前記容量結合回路は、
前記結合容量によって信号経路の電圧をレベルシフトする結合モードと、同相入力端に入力される入力同相電圧値に応じたレベルシフト電圧を前記結合容量に充電する充電モードと、を有し、
前記二つの容量結合回路のうち、第1の容量結合回路が前記結合モードであるとき、第2の容量結合回路が前記充電モードとなるように動作し、前記第2の容量結合回路が前記結合モードであるとき、前記第1の容量結合回路が前記充電モードとなるように動作する、
増幅装置。
【請求項2】
前記レベルシフト回路は、
信号入力端と、信号出力端と、同相入力端とを有し、
前記第1の容量結合回路と前記第2の容量結合回路とは、前記信号入力端と前記信号出力端との間に互いに並列に接続され、
前記第1及び第2の容量結合回路は、ぞれぞれ、前記結合容量と前記信号入力端及び前記信号出力端との間、前記結合容量と前記同相入力端との間の接続を切り替えるスイッチを有し、
前記結合モードであるときに前記結合容量を前記信号入力端及び前記信号出力端に接続し、前記充電モードであるときに前記結合容量を前記同相入力端に接続する、
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項3】
前記レベルシフト回路は、
前記第1及び第2の容量結合回路を所定の動作クロックによって駆動して前記結合モードと前記充電モードとを交互に動作させるものであり、
前記所定の動作クロックは、前記第1のチョッパ変調器を駆動する動作クロックの周波数より高い周波数の動作クロックとする、
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項4】
前記第1のチョッパ変調器の入力の同相電圧を検出し、検出電圧を前記レベルシフト回路の同相入力端に前記入力同相電圧値として出力する同相検出増幅器を備える、
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項5】
前記第1のチョッパ変調器の正の入力端又は負の入力端のいずれかの電圧を検出し、検出電圧を前記レベルシフト回路の同相入力端に前記入力同相電圧値として出力するバッファ増幅器を備える、
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項6】
前記出力チョッパ回路の出力を増幅する出力段の増幅器を備える、
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項7】
前記出力段の増幅器は、
入力信号を増幅する第2の増幅器と、
前記第2の増幅器の出力を増幅する第3の増幅器と、
位相補償回路と、を含む、
請求項6に記載の増幅装置。
【請求項8】
前記第2の増幅器は、
入力信号を増幅する初段増幅器と、
前記初段増幅器の出力を増幅する1つ以上の増幅器と、を含む、
請求項7に記載の増幅装置。
【請求項9】
前記レベルシフト回路の出力に接続された第2のチョッパ変調器と、
前記第2のチョッパ変調器の出力と前記第3の増幅器の入力との間にフィードフォワード構成となるよう接続された第4の増幅器と、を備える、
請求項7に記載の増幅装置。
【請求項10】
前記第1のチョッパ変調器の入力と前記第3の増幅器の入力との間にフィードフォワード構成となるよう接続された第5の増幅器を備える、
請求項7又は9に記載の増幅装置。
【請求項11】
前記第5の増幅器の出力を電流増幅する電流増幅回路を備える、
請求項10に記載の増幅装置。
【請求項12】
前記出力チョッパ回路は、
前記第1の増幅器の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調して出力端より出力する第3のチョッパ変調器と、
前記第1の増幅器の出力と前記第3のチョッパ変調器の入力との間に入出力が接続され、前記第1の増幅器の出力を負帰還して前記第1の増幅器において発生するオフセット成分及び低周波雑音成分を低減するノイズリダクションループ回路と、を備え、
前記ノイズリダクションループ回路は、
入出力が負帰還構成となるように接続され、
前記ノイズリダクションループ回路の差動入力信号を増幅する第6の増幅器と、
前記第6の増幅器の出力の高周波信号成分を低減するフィルタ回路と、
前記フィルタ回路の出力を増幅する第7の増幅器と、を有する、
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項13】
前記出力チョッパ回路は、
前記第1の増幅器の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調して出力端より出力する第3のチョッパ変調器と、
前記第3のチョッパ変調器の出力に入力が接続され、前記第3のチョッパ変調器の入力に出力が接続され、前記第3のチョッパ変調器の出力の高周波雑音成分を負帰還して低減させるリップル校正回路と、を備え、
前記リップル校正回路は、
前記リップル校正回路に入力される高周波雑音成分を検出するハイパスフィルタ回路と、
前記ハイパスフィルタ回路の出力を増幅する増幅回路を有し、前記高周波雑音成分を低周波成分に復調する機能と前記増幅回路のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する機能とを有する位相反転オートゼロ増幅器と、
前記位相反転オートゼロ増幅器の出力の高周波成分を低減するフィルタ回路と、
前記フィルタ回路の出力を増幅し、前記リップル校正回路の出力とする第8の増幅器と、を有する、
請求項1に記載の増幅装置。
【請求項14】
前記位相反転オートゼロ増幅器は、
前記位相反転オートゼロ増幅器の入力を反転増幅する第1のオートゼロ増幅回路と、前記位相反転オートゼロ増幅器の入力を非反転増幅する第2のオートゼロ増幅回路と、を備え、
前記第1のオートゼロ増幅回路及び前記第2のオートゼロ増幅回路は、
自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、前記校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有し、
前記校正モードと前記増幅モードとを切り替えるスイッチを備え、
前記第1のオートゼロ増幅回路が前記増幅モードとして反転増幅動作するとき、前記第2のオートゼロ増幅回路が前記校正モードとして動作する第1の状態と、前記第2のオートゼロ増幅回路が前記増幅モードとして非反転増幅動作するとき、前記第1のオートゼロ増幅回路が前記校正モードとして動作する第2の状態と、を有し、
前記第3のチョッパ変調器の動作に連動して、前記スイッチを所定の動作クロックによって駆動して前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させ、前記リップル校正回路が負帰還構成となるように前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、
請求項13に記載の増幅装置。
【請求項15】
前記第2の増幅器の初段増幅器、又は前記ノイズリダクションループ回路の第6の増幅器は、
自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、前記校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有するオートゼロ増幅器を含む、
請求項8又は12に記載の増幅装置。
【請求項16】
前記第2の増幅器の初段増幅器、又は前記ノイズリダクションループ回路の第6の増幅器は、
自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、前記校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有し、前記校正モードと前記増幅モードとを切り替えるスイッチを備える複数のオートゼロ増幅回路を含み、
前記複数のオートゼロ増幅回路のうち、一つのオートゼロ増幅回路が前記増幅モードとして動作するとき、他の一つのオートゼロ増幅回路が前記校正モードとして動作するように、前記スイッチを所定の動作クロックによって駆動して前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させる、オートゼロ増幅器を備える、
請求項8又は12に記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベルシフト回路を用いた増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
増幅器は、センサ信号等の増幅に広く用いられているが、いくつかの応用例では、増幅器内部のオフセット成分及び低周波雑音成分が非常に小さいことを要求される。従来の増幅器では、オフセット成分及び低周波雑音成分がその要求を満たすことができないため、オフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法が多く存在している。
【0003】
オフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法の一例として、チョッパ安定化増幅器が存在している。チョッパ安定化増幅器は、チョッパ変調器を用いて入力段の増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分のみが高周波帯域に変調するように構成することで、オフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法である。
【0004】
オフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法の他の例として、オートゼロ増幅器が存在している。オートゼロ増幅器は、内蔵している校正回路によって増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法である。一般にオートゼロ増幅器は、スイッチによって入出力を切り替え、校正モードと増幅モードとを交互に動作させる。そのため、一つのオートゼロ増幅器だけでは、校正モードの時に信号を増幅することができない。そこで、例えば非特許文献1に開示されているように、二つのオートゼロ増幅器を用意し、一方のオートゼロ増幅器が校正モードの時、もう片方が増幅モードとなり信号を増幅するように構成されたPing-Pongオートゼロ増幅器が採用されている。
【0005】
以上のように、オフセット成分及び低周波雑音成分を低減する手法の例として、チョッパ安定化増幅器とオートゼロ増幅器とが存在する。しかし、チョッパ安定化増幅器は、オフセット成分及び低周波雑音成分が高周波帯域に変調され、それがリップルノイズとなり、リップルノイズによる高周波雑音成分が生じる課題がある。また、オートゼロ増幅器は、オフセット成分及び低周波雑音成分を低減するような信号を校正回路がサンプリングする必要があるため、サンプリングの際に生じるエイリアシング雑音が発生し、エイリアシング雑音による低周波雑音成分が生じる課題がある。このため、これらの課題を改善するための手法がいくつか存在している。
【0006】
一例として、特許文献1に開示されているように、チョッパ安定化増幅器とPing-Pongオートゼロ増幅器の動作を組み合わせた手法が存在する。この手法を用いた場合、Ping-Pongオートゼロ増幅器によって発生したエイリアシング雑音は、チョッパ変調器によって高周波帯域に変調されるため、低周波雑音成分を大きく低減できる。また、チョッパ変調器によって高周波帯域に変調されたオフセット成分及び低周波雑音成分は、Ping-Pongオートゼロ増幅器によって大きく低減される。このため、オフセット成分及び低周波雑音成分が高周波帯域に変調されることによって発生するリップルノイズによる高周波雑音成分も大きく低減することができる。
【0007】
他の例として、特許文献2に開示されているように、チョッパ安定化増幅器の後段にスイッチドキャパシタ型のノッチフィルタを使用する手法が存在する。この手法を用いることによって、チョッパ安定化増幅器によって発生したリップルノイズはノッチフィルタによって低減され、結果としてオフセット成分及び低周波雑音成分だけではなく、高周波雑音も低減することができる。
【0008】
さらに他の例として、特許文献3、特許文献4に開示されているように、フィードバック手法を用いることで、チョッパ安定化増幅器のリップルノイズを低減する手法が存在する。この手法は、リップルノイズをフィードバック回路の入力の増幅器やカップリング容量によって検出した後に、フィードバック回路内部のチョッパ変調器によってリップルノイズをオフセット成分及び低周波雑音成分に復調し、入力段の増幅器の出力に負帰還させるものである。このフィードバックにより、入力段の増幅器によって発生するオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する。この手法により、チョッパ変調器によって変調されるオフセット成分及び低周波雑音成分が低減され、結果としてリップルノイズ、つまり高周波雑音成分を低減できる。
【0009】
また、チョッパ安定化増幅器を高耐圧化する際にチップ面積と消費電流を低減する手法として、例えば、特許文献5のような容量結合手法が存在している。チョッパ安定化増幅器を40Vや60Vといった高電圧で動作できるように構成する際、入力段のトランジスタには通常は高耐圧トランジスタが用いられる。しかし、高耐圧トランジスタは、5V耐圧等の通常のトランジスタよりも、目的の相互コンダクタンス値を実現するために必要なサイズと電流値が大きいため、チョッパ安定化増幅器の消費電流や回路面積を増加させてしまうという欠点をもつ。これに対し、特許文献5のような容量結合手法を用いれば、入力の同相電圧値をレベルシフトした上で、入力段のトランジスタに信号を入力できる。このため、入力段のトランジスタに5V耐圧等の通常のトランジスタを用いることが可能となり、回路のチップ面積と消費電流を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6476671号明細書
【特許文献2】米国特許第7292095号明細書
【特許文献3】米国特許第7764118号明細書
【特許文献4】米国特許第8120422号明細書
【特許文献5】米国特許第9294049号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Ion E. Opris and Gregory T.A. Kovacs, “A Rail-to-Rail Ping-Pong Op-Amp”, IEEE J0. Solid-State Circuits, vol. 31, no 9, pp. 1320-1324, Sep. 1996.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のような従来例の手法では、入力の同相電圧値をレベルシフトするために容量と抵抗によって容量結合構成を実現した場合、カットオフ周波数をチョッピング周波数以下に設定する必要がある。このため、容量と抵抗のサイズが大きくなってしまう他、入力の同相電圧値が急変した時、容量にかかる電圧値が安定するまでに時間がかかり、スルーレートやセトリング時間が長くなってしまう課題がある。
【0013】
本発明は、回路面積を小型化でき、かつ高速動作に対応可能なレベルシフト回路を用いた増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、入力信号を高周波帯域に変調する第1のチョッパ変調器と、前記第1のチョッパ変調器の出力の同相電圧成分をレベルシフトするレベルシフト回路と、前記レベルシフト回路の出力を増幅する第1の増幅器と、前記第1の増幅器の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する出力チョッパ回路と、を備え、前記レベルシフト回路は、一対の信号経路において信号入力端と信号出力端との間に結合容量を有する二つの容量結合回路を備え、前記容量結合回路は、前記結合容量によって信号経路の電圧をレベルシフトする結合モードと、同相入力端に入力される入力同相電圧値に応じたレベルシフト電圧を前記結合容量に充電する充電モードと、を有し、前記二つの容量結合回路のうち、第1の容量結合回路が前記結合モードであるとき、第2の容量結合回路が前記充電モードとなるように動作し、前記第2の容量結合回路が前記結合モードであるとき、前記第1の容量結合回路が前記充電モードとなるように動作する、増幅装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記レベルシフト回路は、信号入力端と、信号出力端と、同相入力端とを有し、前記第1の容量結合回路と前記第2の容量結合回路とは、前記信号入力端と前記信号出力端との間に互いに並列に接続され、前記第1及び第2の容量結合回路は、ぞれぞれ、前記結合容量と前記信号入力端及び前記信号出力端との間、前記結合容量と前記同相入力端との間の接続を切り替えるスイッチを有し、前記結合モードであるときに前記結合容量を前記信号入力端及び前記信号出力端に接続し、前記充電モードであるときに前記結合容量を前記同相入力端に接続する、増幅装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記レベルシフト回路は、前記第1及び第2の容量結合回路を所定の動作クロックによって駆動して前記結合モードと前記充電モードとを交互に動作させるものであり、前記所定の動作クロックは、前記第1のチョッパ変調器を駆動する動作クロックの周波数より高い周波数の動作クロックとする、増幅装置を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記第1のチョッパ変調器の入力の同相電圧を検出し、検出電圧を前記レベルシフト回路の同相入力端に前記入力同相電圧値として出力する同相検出増幅器を備える、増幅装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記第1のチョッパ変調器の正の入力端又は負の入力端のいずれかの電圧を検出し、検出電圧を前記レベルシフト回路の同相入力端に前記入力同相電圧値として出力するバッファ増幅器を備える、増幅装置を提供する。
【0019】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記出力チョッパ回路の出力を増幅する出力段の増幅器を備える、増幅装置を提供する。
【0020】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記出力段の増幅器は、入力信号を増幅する第2の増幅器と、前記第2の増幅器の出力を増幅する第3の増幅器と、位相補償回路と、を含む、増幅装置を提供する。
【0021】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記第2の増幅器は、入力信号を増幅する初段増幅器と、前記初段増幅器の出力を増幅する1つ以上の増幅器と、を含む、増幅装置を提供する。
【0022】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記レベルシフト回路の出力に接続された第2のチョッパ変調器と、前記第2のチョッパ変調器の出力と前記第3の増幅器の入力との間にフィードフォワード構成となるよう接続された第4の増幅器と、を備える、増幅装置を提供する。
【0023】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記第1のチョッパ変調器の入力と前記第3の増幅器の入力との間にフィードフォワード構成となるよう接続された第5の増幅器を備える、増幅装置を提供する。
【0024】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記第5の増幅器の出力を電流増幅する電流増幅回路を備える、増幅装置を提供する。
【0025】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記出力チョッパ回路は、前記第1の増幅器の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調して出力端より出力する第3のチョッパ変調器と、前記第1の増幅器の出力と前記第3のチョッパ変調器の入力との間に入出力が接続され、前記第1の増幅器の出力を負帰還して前記第1の増幅器において発生するオフセット成分及び低周波雑音成分を低減するノイズリダクションループ回路と、を備え、前記ノイズリダクションループ回路は、入出力が負帰還構成となるように接続され、前記ノイズリダクションループ回路の差動入力信号を増幅する第6の増幅器と、前記第6の増幅器の出力の高周波信号成分を低減するフィルタ回路と、前記フィルタ回路の出力を増幅する第7の増幅器と、を有する、増幅装置を提供する。
【0026】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記出力チョッパ回路は、前記第1の増幅器の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調して出力端より出力する第3のチョッパ変調器と、前記第3のチョッパ変調器の出力に入力が接続され、前記第3のチョッパ変調器の入力に出力が接続され、前記第3のチョッパ変調器の出力の高周波雑音成分を負帰還して低減させるリップル校正回路と、を備え、前記リップル校正回路は、前記リップル校正回路に入力される高周波雑音成分を検出するハイパスフィルタ回路と、前記ハイパスフィルタ回路の出力を増幅する増幅回路を有し、前記高周波雑音成分を低周波成分に復調する機能と前記増幅回路のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する機能とを有する位相反転オートゼロ増幅器と、前記位相反転オートゼロ増幅器の出力の高周波成分を低減するフィルタ回路と、前記フィルタ回路の出力を増幅し、前記リップル校正回路の出力とする第8の増幅器と、を有する、増幅装置を提供する。
【0027】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記位相反転オートゼロ増幅器は、前記位相反転オートゼロ増幅器の入力を反転増幅する第1のオートゼロ増幅回路と、前記位相反転オートゼロ増幅器の入力を非反転増幅する第2のオートゼロ増幅回路と、を備え、前記第1のオートゼロ増幅回路及び前記第2のオートゼロ増幅回路は、自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、前記校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有し、前記校正モードと前記増幅モードとを切り替えるスイッチを備え、前記第1のオートゼロ増幅回路が前記増幅モードとして反転増幅動作するとき、前記第2のオートゼロ増幅回路が前記校正モードとして動作する第1の状態と、前記第2のオートゼロ増幅回路が前記増幅モードとして非反転増幅動作するとき、前記第1のオートゼロ増幅回路が前記校正モードとして動作する第2の状態と、を有し、前記第3のチョッパ変調器の動作に連動して、前記スイッチを所定の動作クロックによって駆動して前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させ、前記リップル校正回路が負帰還構成となるように前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、増幅装置を提供する。
【0028】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記第2の増幅器の初段増幅器、又は前記ノイズリダクションループ回路の第6の増幅器は、自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、前記校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有するオートゼロ増幅器を含む、増幅装置を提供する。
【0029】
また、本発明は、上記の増幅装置であって、前記第2の増幅器の初段増幅器、又は前記ノイズリダクションループ回路の第6の増幅器は、自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、前記校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有し、前記校正モードと前記増幅モードとを切り替えるスイッチを備える複数のオートゼロ増幅回路を含み、前記複数のオートゼロ増幅回路のうち、一つのオートゼロ増幅回路が前記増幅モードとして動作するとき、他の一つのオートゼロ増幅回路が前記校正モードとして動作するように、前記スイッチを所定の動作クロックによって駆動して前記校正モードと前記増幅モードとを交互に動作させる、オートゼロ増幅器を備える、増幅装置を提供する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、回路面積を小型化でき、かつ高速動作に対応可能なレベルシフト回路を用いた増幅装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1の増幅装置における同相レベルシフト回路の具体的な構成例を示す図である。
【
図3】
図2の同相レベルシフト回路における第1の状態のスイッチの接続を示す図である。
【
図4】
図2の同相レベルシフト回路における第2の状態のスイッチの接続を示す図である。
【
図5】本実施形態の増幅装置におけるクロック信号の動作波形の一例を示す図である。
【
図6】
図5のクロック信号とスイッチとの対応を示す図である。
【
図7】第2の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【
図8】第3の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【
図9】
図8の増幅装置における電流増幅回路の構成例を示す図である。
【
図10】第4の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【
図11】第5の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【
図12】リップルノイズ低減回路としてノイズリダクションループ回路を用いた出力チョッパ回路の第1例の構成を示す図である。
【
図13】オートゼロ増幅回路の構成例を示す図である。
【
図14】リップルノイズ低減回路としてリップル校正回路を用いた出力チョッパ回路の第2例の構成を示す図である。
【
図15】本実施形態の増幅装置による信号成分、雑音成分及びオフセット成分の時間波形と周波数特性の一例を示す特性図である。
【
図16】出力段の相互コンダクタンス増幅器を2段構成にした変形例を示す図である。
【
図17】出力段の相互コンダクタンス増幅器をPing-Pongオートゼロ増幅器にした変形例を示す図である。
【
図18】増幅装置において用いられるチョッパ変調器の構成例を示す図である。
【
図19】チョッパ安定化増幅器を用いた増幅回路の構成例を示す図である。
【
図20】
図19の増幅回路による信号成分、雑音成分及びオフセット成分の時間波形と周波数特性の一例を示す特性図である。
【
図21】チョッパ安定化増幅器を用いた増幅回路の比較例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るレベルシフト回路を用いた増幅装置を具体的に開示した実施形態(以下、「本実施形態」という)について、図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
(本実施形態に至る背景)
図18は、増幅装置において用いられるチョッパ変調器の構成例を示す図である。チョッパ変調器100は、二つの入出力間の経路に接続されるスイッチΦaと、二つの入出力を反転させた経路に接続されるスイッチΦbとを備える。チョッパ変調器100は、スイッチΦaとスイッチΦbの一方をオン、他方をオフとして交互にオンとオフを繰り返し、入力端Chopinと出力端Chopoutの間の経路の接続を交互に切り替える。これにより、チョッパ変調器100は、入力信号の低周波成分を高周波成分に変調し、入力信号の高周波成分を低周波成分に復調する。例えば、チョッパ変調器100を駆動するチョッピング周波数を100kHzとする。この場合、入力信号の低周波成分は100kHz近辺の高周波成分に変調され、入力信号の100kHz近辺の高周波成分は低周波成分に復調される。
【0034】
図19は、チョッパ安定化増幅器を用いた増幅回路の構成例を示す図である。
図19では基本的なチョッパ安定化増幅器の構成を示している。チョッパ安定化増幅器は、チョッパ変調器1001、増幅器1002、チョッパ変調器1003を備える。
図19の構成において、増幅器1002にはオフセット成分(Voffset)及び低周波雑音成分(1/f noise)が発生する。そこで、チョッパ変調器1001によって低周波帯域の信号成分を増幅器1002のオフセット成分及び低周波雑音成分が少ない高周波帯域に変調し、増幅器1002にて増幅した後、チョッパ変調器1003によって高周波帯域の信号成分を低周波帯域に復調する。これにより、チョッパ安定化増幅器の全体のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する。しかし、チョッパ変調器1003によって高周波帯域に変調されたオフセット成分及び低周波雑音成分はリップルノイズとなり、高周波雑音成分が発生する課題が生じる。
【0035】
図20は、
図19の増幅回路による信号成分、雑音成分及びオフセット成分の時間波形と周波数特性の一例を示す特性図である。
図20では、信号成分、雑音成分、オフセット成分のそれぞれについて、時間波形と周波数分布の変化過程のイメージを示している。
図20において、上段は時間波形、下段は周波数特性をそれぞれ示している。チョッパ変調器1001及びチョッパ変調器1003のチョッピング周波数をfchとする。信号成分は、一度チョッパ変調器1001によって高周波帯域に変調された後に、増幅器1002にて増幅され、増幅器1002のオフセット成分及び低周波雑音成分が加算される。その後、チョッパ変調器1003を通すことにより信号成分は復調され、オフセット成分及び低周波雑音成分は高周波帯域に変調される。このように、チョッパ安定化増幅器は、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調することによってリップルノイズが発生してしまうため、低雑音化を図るためには、リップルノイズの原因となるオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する必要がある。
【0036】
また、
図19の増幅回路において、40Vや60Vといった高耐圧で動作可能にする場合、入力段のトランジスタを高耐圧トランジスタとする必要がある。しかし、高耐圧トランジスタは、5V耐圧等の通常のトランジスタよりも、目的の相互コンダクタンス値を実現するために必要なサイズと電流値が大きいため、チョッパ安定化増幅器の消費電流や回路面積を増加させてしまうという欠点をもつ。
【0037】
図21は、チョッパ安定化増幅器を用いた増幅回路の比較例として、容量と抵抗による容量結合構成を用いた増幅回路の構成例を示す図である。
図21では、
図19のチョッパ安定化増幅器に容量結合構成を用いた構成を示している。
【0038】
比較例の増幅回路は、チョッパ安定化増幅器において、結合容量Ca及びCbと、抵抗Ra及びRbと、を備える。結合容量Ca,Cbは、チョッパ変調器1001と増幅器1002との間の一対の信号経路にそれぞれ挿入されて接続されている。抵抗Ra,Rbは、それぞれ結合容量Ca,Cbと増幅器1002との間に一方の端子が接続され、他方の端子がバイアス電圧Vbiasに接続されている。
【0039】
差動入力の増幅装置において、入力差動信号の低周波成分は、チョッパ変調器1001によって高周波成分に変調されるため、結合容量Ca及びCbを通過する。これに対し、入力同相電圧の低周波成分は、チョッパ変調器1001によって高周波成分に変調されないため、結合容量Ca及びCbを通過しない。このため、増幅器1002の入力同相電圧は、定常状態となり値が安定した時に、抵抗Ra及びRbによって接続されたバイアス電圧Vbiasの値となる。
【0040】
この比較例では、容量結合構成を用いることにより、増幅器1002の入力同相電圧値をレベルシフトしたものにできるため、増幅器1002の入力段に用いるトランジスタに5V耐圧等の通常のトランジスタを用いることが可能となる。このため、
図19の構成と比べて、チョッパ安定化増幅器の消費電流や回路面積を低減することができる。しかし、容量と抵抗によって容量結合構成を実現した場合、カットオフ周波数をチョッピング周波数以下に設定する必要がある。このため、容量と抵抗のサイズが大きくなってしまう他、入力の同相電圧値が急変した時、容量にかかる電圧値が安定するまでに時間がかかり、スルーレートやセトリング時間が長くなってしまう課題がある。
【0041】
本実施形態では、上記事情に鑑み、レベルシフトにより高耐圧化を図ることで消費電流や回路面積を低減することが可能であり、かつ、高速動作に対応可能であり、低雑音、高精度の増幅回路を実現できる増幅装置の構成例を示す。
【0042】
以下の実施形態では、チョッパ変調器及びオートゼロ増幅器を用いたチョッパ安定化増幅器を含む増幅装置の構成例を例示する。
【0043】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。本実施形態の増幅装置は、同相電圧成分をレベルシフトするレベルシフト回路を備える。レベルシフト回路として設けられる本実地形態の同相レベルシフト回路200については、後で詳述する。
【0044】
第1の実施形態の増幅装置は、チョッパ変調器101、同相レベルシフト回路200、同相検出増幅器240a、相互コンダクタンス増幅器310、及び出力チョッパ回路400を備える。増幅装置は、入力端より入力される差動信号の入力信号Vinを増幅し、出力端より増幅後の出力信号Voutを出力する。
【0045】
チョッパ変調器101は、二つの入出力間の経路に接続されるスイッチと、二つの入出力を反転させた経路に接続されるスイッチとを備え、これらのスイッチの一方をオン、他方をオフとして交互にオンとオフを繰り返し、入力端と出力端の間の経路の接続を交互に切り替える。これにより、入力端より入力される入力信号を高周波帯域に変調する。同相レベルシフト回路200は、チョッパ変調器101の出力の同相電圧成分をレベルシフトする。同相レベルシフト回路200は、入力同相電圧値を入力する同相入力端230と、チョッパ変調器101の出力に接続された信号入力端210と、相互コンダクタンス増幅器310の入力に接続された信号出力端220と、を備える。同相検出増幅器240aは、チョッパ変調器101の入力信号における同相電圧を検出し、検出電圧を入力同相電圧値として同相入力端230に出力する。相互コンダクタンス増幅器310は、同相レベルシフト回路200の出力を増幅する。出力チョッパ回路400は、相互コンダクタンス増幅器310の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する。
【0046】
第1の実施形態の増幅装置は、出力チョッパ回路400の出力を増幅し、増幅装置の出力端に出力する出力段の増幅器を備えてよい。出力段の増幅器は、入力を増幅する第2の増幅器としての相互コンダクタンス増幅器320と、相互コンダクタンス増幅器320の出力を増幅する第3の増幅器としての増幅器330と、を備えてよい。この場合、3段の増幅回路が構成され、増幅器330の出力が増幅装置の出力端となり、出力信号Voutが出力される。
【0047】
また、出力段の増幅器は、入れ子型ミラー補償構成となるように接続された容量Cc1、Cc2、Cc3を有してよい。また、チョッパ変調器101の入力と増幅器330の入力との間に接続されフィードフォワードアンプとして機能する相互コンダクタンス増幅器350を有してよい。この場合、増幅装置の安定性の更なる向上を図るために、フィードフォワード構成となるように相互コンダクタンス増幅器350の出力は増幅器330の入力に接続される。これらの容量Cc1、Cc2、Cc3と相互コンダクタンス増幅器350のフィードフォワードアンプとによって位相補償回路が構成される。
【0048】
第1の実施形態では、増幅装置を3段構成の増幅回路とすることで、増幅装置の直流利得をより大きくすることができる。また、入れ子型ミラー補償構成の容量とフィードフォワードアンプによる位相補償回路を用いることで、増幅装置の安定性を向上させることができる。
【0049】
図2は、
図1の増幅装置における同相レベルシフト回路200の具体的な構成例を示す図である。
【0050】
同相レベルシフト回路200は、入力差動信号が通過する一対の信号経路において、並列に接続された二つの容量結合回路201及び202を備える。容量結合回路201、202は、スイッチによって交互に切り替えられる動作モードとして、内蔵された結合容量によって信号経路の電圧をレベルシフトする結合モードと、入力同相電圧値に基づくレベルシフト電圧を結合容量に充電する充電モードと、を有する。容量結合回路201、202は、結合モードにおいて、内蔵された結合容量によって同相レベルシフト回路200の信号入力端210における同相電圧成分をレベルシフトし、同相レベルシフト回路200の信号出力端220に出力する。容量結合回路201、202は、充電モードにおいて、同相入力端230に入力される入力同相電圧値を結合容量の入力側に印加し、バイアス電圧源Vbiasより入力されるバイアス電圧値を結合容量の出力側に印加し、これらの電圧値の差分によるレベルシフト電圧を充電する。
【0051】
第1の容量結合回路201は、入力の接続を信号入力端210に切り替えるスイッチΦ1,1と、入力の接続を同相入力端230に切り替えるスイッチΦ1,3と、出力の接続を信号出力端220に切り替えるスイッチΦ1,2と、出力の接続をバイアス電圧源Vbiasに切り替えるスイッチΦ1,4と、を備える。また、容量結合回路201は、一対の信号経路において、スイッチΦ1,1及びΦ1,3によって接続が切り替えられる入力側と、スイッチΦ1,2及びΦ1,4によって接続が切り替えられる出力側と、の間に挿入されて接続される結合容量C1,1及びC1,2を備える。
【0052】
第2の容量結合回路202は、入力の接続を信号入力端210に切り替えるスイッチΦ2,1と、入力の接続を同相入力端230に切り替えるスイッチΦ2,3と、出力の接続を信号出力端220に切り替えるスイッチΦ2,2と、出力の接続をバイアス電圧源Vbiasに切り替えるスイッチΦ2,4と、を備える。また、容量結合回路202は、一対の信号経路において、スイッチΦ2,1及びΦ2,3によって接続が切り替えられる入力側と、スイッチΦ2,2及びΦ2,4によって接続が切り替えられる出力側と、の間に挿入されて接続される結合容量C2,1及びC2,2を備える。
【0053】
図3は、
図2の同相レベルシフト回路における第1の状態のスイッチの接続を示す図である。
【0054】
第1の状態は、同相レベルシフト回路200における一方の容量結合回路201が結合モードであり、他方の容量結合回路202が充電モードである状態の場合を示す。第1の状態では、容量結合回路201はスイッチΦ1,1及びΦ1,2がオン、スイッチΦ1,3及びΦ1,4がオフとなり、容量結合回路202はスイッチΦ2,1及びΦ2,2がオフ、スイッチΦ2,3及びΦ2,4がオンとなる。
【0055】
図4は、
図2の同相レベルシフト回路における第2の状態のスイッチの接続を示す図である。
【0056】
第2の状態は、同相レベルシフト回路200における一方の容量結合回路201が充電モードであり、他方の容量結合回路202が結合モードである状態の場合を示す。第2の状態では、容量結合回路201はスイッチΦ1,1及びΦ1,2がオフ、スイッチΦ1,3及びΦ1,4がオンとなり、容量結合回路202はスイッチΦ2,1及びΦ2,2がオン、スイッチΦ2,3及びΦ2,4がオフとなる。
【0057】
本実施形態の同相レベルシフト回路200は、
図3のように第1の容量結合回路201が結合モードであるとき、第2の容量結合回路202が充電モードとなるように動作し、
図4のように第1の容量結合回路201が充電モードであるとき、第2の容量結合回路202が結合モードとなるように動作する。このように、同相レベルシフト回路200は、二つの容量結合回路201及び202の動作モードが交互に切り替わる機能を備える。同相レベルシフト回路200は、スイッチΦ1,1~Φ1,4及びスイッチΦ2,1~Φ2,4によって第1の状態と第2の状態とを高速に切り替え可能である。
【0058】
同相レベルシフト回路200において、例えば、任意のタイミングで同相入力端230に入力される入力同相電圧値VICM=30V、バイアス電圧源のバイアス電圧Vbias=1Vである場合の動作例を説明する。この場合、充電モード時には、容量結合回路201、202の結合容量には、入力側に入力同相電圧値VICMが、出力側にバイアス電圧Vbiasがそれぞれ印加される。これにより、入力同相電圧値VICMとバイアス電圧Vbiasとの差分である29Vがレベルシフト電圧値VLSとして結合容量C1,1及びC1,2、C2,1及びC2,2にチャージされる。また、結合モード時には、容量結合回路201、202の結合容量が信号経路に接続され、結合容量C1,1及びC1,2、C2,1及びC2,2により充電されたレベルシフト電圧値VLSの29V分だけ信号入力端210の入力信号が降圧される。これにより、入力信号の同相電圧成分が30Vの高電圧から1Vの低電圧にレベルシフトされて信号出力端220から出力される。
【0059】
図5は、本実施形態の増幅装置におけるクロック信号の動作波形の一例を示す図である。
図5のクロック信号は、同相レベルシフト回路200のスイッチΦ1,1、Φ1,2、Φ1,3、Φ1,4、及びスイッチΦ2,1、Φ2,2、Φ2,3、Φ2,4、チョッパ変調器101のスイッチをそれぞれ駆動する動作クロックの波形を示している。また、
図6は、
図5のクロック信号とスイッチとの対応を示す図である。
図5のクロック信号を
図6のように同相レベルシフト回路200のスイッチに対応させることによって、
図3に示す第1の状態と
図4に示す第2の状態とを交互に切り替えて実現できる。
【0060】
CC_CLK1及びCC_CLK2は、同相レベルシフト回路200の動作に用いられ、CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2は、チョッパ変調器101、及び後述するチョッパ変調器102、103の動作に用いられる。ここで、CC_CLK1及びCC_CLK2のクロック周波数、すなわち同相レベルシフト回路200の動作切り替え周波数は、CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2のクロック周波数、すなわちチョッピング周波数より高くなっている。例えば、
図5に示したように、CC_CLK1及びCC_CLK2のクロック周波数は、CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2のクロック周波数の4倍の周波数となるように設定してよい。例えば、チョッパ変調器101、102、103を200kHzで動作させ、同相レベルシフト回路200を800kHzで動作させるなど、同相レベルシフト回路200を高速に動作させることが可能である。
【0061】
本実施形態では、同相レベルシフト回路200において、スイッチを高速に切り替えて結合モードと充電モードを交互に動作させる構成となっている。これにより、レベルシフト用の同相電圧を充電する時間が短くなるので、入力同相電圧値が変動した場合に短時間で適応してレベルシフト電圧値を調整可能である。したがって、短い期間で細かくレベルシフト量を校正でき、高精度かつ高速なレベルシフト回路を実現可能になる。また、結合モードと充電モードを高速に切り替えることにより、ノイズ成分を高い周波数に持っていくことができ、リップルノイズを低減できる。また、結合容量の容量値を小さくでき、回路面積を小さくできる。
【0062】
前述した
図21に示す比較例の増幅回路は、容量と抵抗によって容量結合構成を実現しているため、カットオフ周波数をチョッピング周波数以下に設定する必要がある。この比較例では、容量と抵抗のサイズが大きくなってしまうとともに、入力の同相電圧値が変動した場合に容量にかかる電圧値が安定するまでに時間がかかり、スルーレートやセトリング時間が長くなる課題がある。
【0063】
これに対し、本実施形態では、同相レベルシフト回路200によって入力同相電圧をレベルシフトしているため、入力段のトランジスタに5V耐圧等の通常のトランジスタを用いることが可能であり、消費電流とチップ面積の削減が可能である。また、本実施形態の同相レベルシフト回路200を用いる場合、容量や抵抗による回路面積の増大を抑制でき、かつ、内部の結合容量を充電するスピードを決定するCC_CLK1及びCC_CLK2のクロック周波数をチョッピング周波数より高い周波数に設定することが可能である。これにより、スルーレートやセトリング時間をチョッピング周波数に制限されず高速化することが可能であり、高速動作に対応可能な増幅装置を実現できる。したがって、本実施形態によれば、小型で高耐圧、高速、高精度、低雑音の増幅装置を実現できる。
【0064】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【0065】
第2の実施形態の増幅装置は、
図1に示した第1の実施形態の増幅装置における同相検出増幅器240aを変更した第1変形例である。第2の実施形態では、入力信号の同相電圧成分をレベルシフトするための入力同相電圧値を検出する回路として、同相検出増幅器240aの代わりにバッファ増幅器240bを備える。その他の構成は
図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0066】
バッファ増幅器240bは、例えば、チョッパ変調器101の入力に正の信号を入力する正の入力端、又は負の信号を入力する負の入力端のいずれか一方の電圧を検出し、検出電圧をレベルシフト電圧値の元となる入力同相電圧値として同相レベルシフト回路200の同相入力端230に出力する。
【0067】
すなわち、
図7において、バッファ増幅器240bによって正の入力端の電圧を検出する場合は入力信号Vinの上側が正の入力端となり、バッファ増幅器240bによって負の入力端の電圧を検出する場合は入力信号Vinの上側が負の入力端となる。なお、入力端の正負を固定して上下の入力端のいずれかにバッファ増幅器240bの入力を接続してもよい。
【0068】
第2の実施形態の増幅装置は、同相レベルシフト回路の同相入力端230に入力される電圧値を、チョッパ変調器101の入力の同相電圧ではなく、正の入力端または負の入力端の電圧を基準に設定したい場合に有効な構成である。
【0069】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【0070】
第3の実施形態の増幅装置は、
図1に示した第1の実施形態の増幅装置における相互コンダクタンス増幅器350の接続構成を変更した第2変形例である。第3の実施形態では、相互コンダクタンス増幅器350の出力と増幅器330の入力との間に電流増幅回路351が挿入されて接続された構成となっている。電流増幅回路351は、相互コンダクタンス増幅器350の出力を電流増幅し、増幅器330の入力に出力する。その他の構成は
図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0071】
図9は、
図8の増幅装置における電流増幅回路の構成例を示す図である。電流増幅回路351aは、例えば、二つのトランジスタM1,M2を有するカレントミラー回路を含むカレントミラー構成の増幅器が用いられる。
【0072】
第1の実施形態では、フィードフォワードアンプとして用いられる相互コンダクタンス増幅器350の入力同相電圧は、同相レベルシフト回路200の出力のようにレベルシフトされていないため、高耐圧トランジスタを用いる必要がある。しかし、前述した通り、高耐圧トランジスタは、目的の相互コンダクタンス値を実現するために必要なサイズと電流値が大きくなる。
【0073】
これに対し、第3の実施形態では、相互コンダクタンス増幅器350の出力を電流増幅回路351で電流増幅する構成となっている。これにより、相互コンダクタンス増幅器350の相互コンダクタンス値を小さく設計しつつ、相互コンダクタンス増幅器350の入力から電流増幅回路351の出力にかけての合計の相互コンダクタンス値を目的の相互コンダクタンス値に設計することが可能である。例えば、カレントミラー構成の電流増幅回路351aにおいて相互コンダクタンス値を4倍にした場合、相互コンダクタンス増幅器350の相互コンダクタンス値を1/4にして合計の相互コンダクタンス値を同じ値にできる。したがって、第3の実施形態によれば、相互コンダクタンス増幅器350に用いる入力段のトランジスタのサイズと消費電流を低減することが可能となる。
【0074】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【0075】
第4の実施形態の増幅装置は、
図1に示した第1の実施形態の増幅装置における相互コンダクタンス増幅器350とその接続構成を変更した第3変形例である。第4の実施形態では、相互コンダクタンス増幅器350の代わりに、同相レベルシフト回路200の出力部において、チョッパ変調器102と相互コンダクタンス増幅器340とを備える。チョッパ変調器102は、チョッパ変調器101によって変調され同相レベルシフト回路200の出力に現れる高周波帯域の信号成分を復調する。チョッパ変調器102は、チョッパ変調器101と同様にクロック信号CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2によって動作する。相互コンダクタンス増幅器340は、入力がチョッパ変調器102の出力に接続され、出力が増幅器330の入力に接続される。その他の構成は
図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0076】
第4の実施形態では、相互コンダクタンス増幅器340の入力同相電圧は同相レベルシフト回路200によってレベルシフトされる構成となっている。これにより、高耐圧トランジスタではなく、5V耐圧等の通常のトランジスタを用いることが可能であるため、相互コンダクタンス増幅器340に用いる入力段のトランジスタのサイズと消費電流を低減することが可能となる。
【0077】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態の増幅装置の構成を示す図である。
【0078】
第5の実施形態の増幅装置は、
図1に示した第1の実施形態の増幅装置においてチョッパ変調器102及び相互コンダクタンス増幅器340を追加した第4変形例である。第5の実施形態では、相互コンダクタンス増幅器350とともに、同相レベルシフト回路200の出力部において、チョッパ変調器102と相互コンダクタンス増幅器340とを備える。チョッパ変調器102は、チョッパ変調器101によって変調され同相レベルシフト回路200の出力に現れる高周波帯域の信号成分を復調する。相互コンダクタンス増幅器340は、入力がチョッパ変調器102の出力に接続され、出力が増幅器330の入力に接続される。その他の構成は
図1に示した第1の実施形態と同様である。
【0079】
第5の実施形態では、フィードフォワードアンプの相互コンダクタンス値は、相互コンダクタンス増幅器340と相互コンダクタンス増幅器350のそれぞれの相互コンダクタンス値の合計となる。相互コンダクタンス増幅器340の入力同相電圧は同相レベルシフト回路200によってレベルシフトされるため、5V耐圧等の通常のトランジスタを用いることが可能であり、相互コンダクタンス増幅器340に用いる入力段のトランジスタのサイズと消費電流を低減することが可能となる。しかし、フィードフォワードアンプを同相レベルシフト回路200の出力端以降に入力を接続した相互コンダクタンス増幅器340のみで構成すると、例えば、入力同相電圧が連続的かつ急激に変化し、同相レベルシフト回路200の動作が不安定になった場合に、増幅回路の安定性が損なわれる可能性がある。
【0080】
そこで、第5の実施形態では、フィードフォワードアンプを、同相レベルシフト回路200の出力端以降に入力を接続した相互コンダクタンス増幅器340とチョッパ変調器101の入力端に入力を接続した相互コンダクタンス増幅器350との組み合わせによって構成する。これにより、同相レベルシフト回路200の動作が不安定な場合であっても安定性を維持しつつ、フィードフォワードアンプのサイズと消費電流を低減することが可能となる。
【0081】
(リップルノイズの低減手法)
前述した第1乃至第5の実施形態の増幅装置は、リップルノイズを低減する手法として、出力チョッパ回路400にリップルノイズ低減回路を備えてよい。リップルノイズ低減回路としては、例えば、後述するように、ノイズリダクションループ回路430aを用いる構成と、リップル校正回路430bを用いる構成がある。
【0082】
(出力チョッパ回路の第1例)
図12は、リップルノイズ低減回路としてノイズリダクションループ回路430aを用いた出力チョッパ回路の第1例の構成を示す図である。
【0083】
第1例の出力チョッパ回路400aは、チョッパ変調器103と、ノイズリダクションループ回路430aと、を有する。チョッパ変調器103は、相互コンダクタンス増幅器310より出力され出力チョッパ回路400aの入力端410に入力される信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調し、出力チョッパ回路400aの出力端420に出力する。チョッパ変調器103は、チョッパ変調器101と同様にクロック信号CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2によって動作する。ノイズリダクションループ回路430aは、相互コンダクタンス増幅器310の出力とチョッパ変調器103の入力との間に入出力が接続され、相互コンダクタンス増幅器310の出力を負帰還して相互コンダクタンス増幅器310において発生するオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する。ノイズリダクションループ回路430aは、高周波帯域に変調された信号成分を増幅する相互コンダクタンス増幅器310のオフセット成分及び低周波雑音成分を、チョッパ変調器103が高周波帯域に変調する前にフィードバックして低減する回路である。本明細書では、このような雑音低減機能を有する負帰還ループのフィードバック回路をノイズリダクションループ(Noise Reduction Loop)回路と呼ぶことにする。
【0084】
ノイズリダクションループ回路430aは、入出力が負帰還構成となるように接続され、ノイズリダクションループ回路430aの差動入力信号を増幅するPing-Pongオートゼロ増幅器431aと、Ping-Pongオートゼロ増幅器431aの出力の高周波信号成分を低減するフィルタ回路442と、フィルタ回路442の出力を増幅し、ノイズリダクションループ回路430aの出力として信号を出力する相互コンダクタンス増幅器433と、を備える。Ping-Pongオートゼロ増幅器431aは、並列に接続されたオートゼロ増幅回路510とオートゼロ増幅回路520を有して構成される。
【0085】
図13は、オートゼロ増幅回路の構成例を示す図である。Ping-Pongオートゼロ増幅器431aにおけるオートゼロ増幅回路510、520は、例えば、
図13に示すオートゼロ増幅回路500によって構成される。オートゼロ増幅回路500は、二系統のスイッチΦaz1及びΦaz2と、二つの相互コンダクタンス増幅器501及び502と、サンプリング容量Caz1,Caz2とを有して構成される。オートゼロ増幅回路500は、自身の入力を増幅する増幅モードと、自身のオフセット成分及び低周波雑音成分を内蔵する校正回路により低減する校正モードとを備える。オートゼロ増幅回路500は、校正モードにおいて、相互コンダクタンス増幅器502によって相互コンダクタンス増幅器501のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減できるような信号(校正電圧等の校正信号)を、サンプリング容量Caz1,Caz2によりサンプリングする。また、オートゼロ増幅回路500は、増幅モードにおいて、校正モードでサンプリングされた校正信号を印加した相互コンダクタンス増幅器502により、相互コンダクタンス増幅器501のオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された状態となる。そして、オートゼロ増幅回路500は、増幅モードにおいて、オフセット成分及び低周波雑音成分が低減された相互コンダクタンス増幅器501により、入力信号Vazinを増幅し、出力信号Vazoutとして出力する。
【0086】
Ping-Pongオートゼロ増幅器431aは、オートゼロ増幅回路510が校正モードとして動作する時、オートゼロ増幅回路520が増幅モードとして動作し、オートゼロ増幅回路520が校正モードとして動作する時、オートゼロ増幅回路510が増幅モードとして動作するように、所定の動作クロックによって制御される。Ping-Pongオートゼロ増幅器431aは、例えば、チョッパ変調器103の動作クロック信号CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2の周期の2分の1の周期の動作クロックによって二つのオートゼロ増幅回路510、520のスイッチが切り替え制御され、オートゼロ増幅回路510、520が交互に増幅モードと校正モードとに切り替わるPing-Pong動作を行う。
【0087】
このようなノイズリダクションループ回路430aによって、相互コンダクタンス増幅器310のオフセット成分及び低周波雑音成分が低減される。
【0088】
(出力チョッパ回路の第2例)
図14は、リップルノイズ低減回路としてリップル校正回路430bを用いた出力チョッパ回路の第2例の構成を示す図である。
【0089】
第2例の出力チョッパ回路400bは、チョッパ変調器103と、リップル校正回路430bと、を有する。チョッパ変調器103は、相互コンダクタンス増幅器310より出力され出力チョッパ回路400bの入力端410に入力される信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調し、出力チョッパ回路400bの出力端420に出力する。チョッパ変調器103は、チョッパ変調器101と同様にクロック信号CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2によって動作する。リップル校正回路430bは、チョッパ変調器103の出力に入力が接続され、チョッパ変調器103の入力に出力が接続され、チョッパ変調器103の出力の高周波雑音成分を負帰還して低減させる。本明細書では、このような高周波雑音成分を負帰還してリップルノイズ成分を低減する回路をリップル校正(Ripple Calibration)回路と呼ぶことにする。
【0090】
リップル校正回路430bは、リップル校正回路430bに入力される低周波信号成分を低減し、高周波雑音成分を検出するハイパスフィルタ回路441と、ハイパスフィルタ回路441の出力の高周波雑音成分を低周波成分に復調する位相反転オートゼロ増幅器431bと、位相反転オートゼロ増幅器431bの出力の高周波成分を低減するフィルタ回路442と、フィルタ回路442の出力を増幅し、リップル校正回路430bの出力として信号を出力する相互コンダクタンス増幅器433と、を備える。ハイパスフィルタ回路441は、例えば、結合容量C1、抵抗R1、結合容量C2、抵抗R2によって構成される容量結合回路を含んでよい。フィルタ回路442は、例えば、相互コンダクタンス増幅器432、容量C3、容量C4によって構成される積分回路を含んでよい。
【0091】
位相反転オートゼロ増幅器431bは、位相反転オートゼロ増幅器431bの入力を反転増幅するよう接続されたオートゼロ増幅回路530と、位相反転オートゼロ増幅器431bの入力を非反転増幅するよう接続されたオートゼロ増幅回路540と、を備える。位相反転オートゼロ増幅器431bは、Ping-Pongオートゼロ増幅器と同様の動作によって自身のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する機能を有する。本明細書では、二つのオートゼロ増幅回路が互いに信号経路を反転して接続された構成のオートゼロ増幅器を位相反転オートゼロ増幅器と呼ぶことにする。
【0092】
オートゼロ増幅回路530及びオートゼロ増幅回路540は、自身の入力を増幅する増幅モードと、自身のオフセット成分及び低周波雑音成分を内蔵する校正回路により低減する校正モードとを備える。位相反転オートゼロ増幅器431bは、オートゼロ増幅回路530が増幅モードとなって位相反転オートゼロ増幅器431bの入力を反転増幅し、オートゼロ増幅回路540が校正モードとなる第1の状態と、オートゼロ増幅回路540が増幅モードとなって位相反転オートゼロ増幅器431bの入力を非反転増幅し、オートゼロ増幅回路530が校正モードとなる第2の状態と、を有する。
【0093】
位相反転オートゼロ増幅器431bは、オートゼロ増幅回路540が校正モードとして動作する時、オートゼロ増幅回路530が反転増幅の増幅モードとして動作し、オートゼロ増幅回路530が校正モードとして動作する時、オートゼロ増幅回路540が非反転増幅の増幅モードとして動作するように、所定の動作クロックによって制御される。位相反転オートゼロ増幅器431bは、チョッパ変調器103の動作に連動して、クロック信号CHOP_CLK1及びCHOP_CLK2によって二つのオートゼロ増幅回路530、540のスイッチが切り替え制御され、オートゼロ増幅回路530、540が交互に増幅モードと校正モードとに切り替わるPing-Pong動作を行う。これにより、位相反転オートゼロ増幅器431bは、チョッパ変調器103の動作に連動して、リップル校正回路430bが常に負帰還構成となるように第1の状態と第2の状態とが切り替わる。
【0094】
このようなリップル校正回路430bによって、相互コンダクタンス増幅器310のオフセット成分及び低周波雑音成分が低減される。
【0095】
(本実施形態の周波数特性)
次に、出力チョッパ回路400にリップルノイズ低減回路を備えた本実施形態の増幅装置の周波数特性について説明する。
【0096】
図15は、本実施形態の増幅装置による信号成分、雑音成分及びオフセット成分の時間波形と周波数特性の一例を示す特性図である。本実施形態の増幅装置は、出力チョッパ回路400において、ノイズリダクションループ回路430a又はリップル校正回路430bを用いた構成となっている。
図15では、信号成分、雑音成分、オフセット成分のそれぞれについて、時間波形と周波数分布の変化過程のイメージを示している。
図15において、上段は時間波形、下段は周波数特性をそれぞれ示している。チョッパ変調器101及びチョッパ変調器103のチョッピング周波数をfchとする。
【0097】
信号成分は、チョッパ変調器101によって高周波帯域に変調された後に、相互コンダクタンス増幅器310にて増幅される。その後、出力チョッパ回路400においてチョッパ変調器103を通すことにより信号成分は復調され、後段の増幅器にて増幅されて出力される。本実施形態では、ノイズリダクションループ回路430a又はリップル校正回路430bを用いることによって、図中の破線→実線で示すように、増幅装置の入力段の相互コンダクタンス増幅器310のオフセット成分及び低周波雑音成分が低減される。このため、出力チョッパ回路400の出力端に出力されるリップルノイズが低減され、増幅装置の出力として最終的に出力されるリップルノイズが低減される。
【0098】
(出力段の増幅器の変形例)
第1乃至第5の実施形態の増幅装置において、出力段の増幅器における相互コンダクタンス増幅器320を、位相補償回路を備えた2段構成とすることで、増幅装置全体として4段構成の増幅回路とすることも可能である。
【0099】
図16は、出力段の相互コンダクタンス増幅器を2段構成にした変形例を示す図である。
図16では、相互コンダクタンス増幅器320の内部回路を相互コンダクタンス増幅器320aとする。
【0100】
相互コンダクタンス増幅器320aは、2段の増幅器により構成され、初段増幅器としての相互コンダクタンス増幅器321aと、相互コンダクタンス増幅器322とを備える。相互コンダクタンス増幅器320aにおいて、相互コンダクタンス増幅器321aは相互コンダクタンス増幅器320aの入力を増幅し、相互コンダクタンス増幅器322は相互コンダクタンス増幅器321aの出力を増幅する。相互コンダクタンス増幅器322の出力が相互コンダクタンス増幅器320aの出力となる。また、相互コンダクタンス増幅器320aは、入れ子型ミラー補償構成となるように接続された容量Cc4、Cc5によって構成される位相補償回路を備えてよい。なお、2段目の相互コンダクタンス増幅器322を1つ以上の増幅器により構成し、出力段の増幅器を3段以上の増幅器で構成してもよい。
【0101】
この変形例によれば、増幅装置を4段構成の増幅回路とすることで、直流利得の更なる向上を図ることができる。
【0102】
また、
図16の相互コンダクタンス増幅器321aをPing-Pongオートゼロ増幅器に変更することも可能である。
【0103】
図17は、出力段の相互コンダクタンス増幅器を2段構成にして初段増幅器としての相互コンダクタンス増幅器をPing-Pongオートゼロ増幅器にした変形例を示す図である。
【0104】
Ping-Pongオートゼロ増幅器321bは、並列に接続された二つのオートゼロ増幅回路550とオートゼロ増幅回路560を有して構成される。オートゼロ増幅回路550及びオートゼロ増幅回路560は、自身の入力を増幅する増幅モードと、自身のオフセット成分及び低周波雑音成分を内蔵する校正回路により低減する校正モードとを備える。Ping-Pongオートゼロ増幅器321bは、オートゼロ増幅回路550が校正モードとして動作する時、オートゼロ増幅回路560が増幅モードとして動作し、オートゼロ増幅回路560が校正モードとして動作する時、オートゼロ増幅回路550が増幅モードとして動作するように、所定の動作クロックによって制御される。なお、Ping-Pongオートゼロ増幅器321b内の二つのオートゼロ増幅回路550、560の動作クロックについては、チョッパ変調器101、102、103の動作に連動しなくてもよい。
【0105】
この変形例によれば、増幅装置において、更に増幅回路のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減することが可能である。
【0106】
上述したように、本実施形態の構成によれば、結合モードと充電モードを交互に切り替え可能な2系統の容量結合回路を有するレベルシフト回路を設けることによって、高速なレベルシフト動作が可能となる。このレベルシフト回路を用いて増幅装置を構成することによって、レベルシフトにより高耐圧化を図ることで消費電流や回路面積を低減することが可能であり、かつ、高速動作に対応可能となる。これにより、スルーレートの低下やセトリング時間の延長を抑制でき、小型で高耐圧、高速、高精度、低雑音の増幅装置を実現できる。
【0107】
本実施形態では、レベルシフト回路において、一対の信号経路において信号入力端210と信号出力端220との間に結合容量C1,1、C1,2、C2,1、C2,2を有する二つの容量結合回路201、202を備える。容量結合回路201、202は、結合容量C1,1、C1,2、C2,1、C2,2によって信号経路の電圧をレベルシフトする結合モードと、同相入力端に入力される入力同相電圧値に応じたレベルシフト電圧を結合容量C1,1、C1,2、C2,1、C2,2に充電する充電モードと、を有する。レベルシフト回路は、二つの容量結合回路201、202のうち、第1の容量結合回路201が結合モードであるとき、第2の容量結合回路202が充電モードとなるように動作し、第2の容量結合回路202が結合モードであるとき、第1の容量結合回路201が充電モードとなるように動作する。上記構成により、二つの容量結合回路によって結合モードと充電モードを交互に切り替えることによって、高速動作に対応したレベルシフトが可能となる。
【0108】
また、レベルシフト回路は、信号入力端210と、信号出力端220と、同相入力端230とを有し、第1の容量結合回路201と第2の容量結合回路202とは、信号入力端210と信号出力端220との間に互いに並列に接続される。第1及び第2の容量結合回路201、202は、ぞれぞれ、結合容量C1,1、C1,2、C2,1、C2,2と信号入力端210及び信号出力端220との間、結合容量C1,1、C1,2、C2,1、C2,2と同相入力端230との間の接続を切り替えるスイッチΦ1,1、Φ1,2、Φ1,3、Φ1,4、Φ2,1、Φ2,2、Φ2,3、Φ2,4を有する。第1及び第2の容量結合回路201、202は、結合モードであるときに結合容量C1,1、C1,2、C2,1、C2,2を信号入力端210及び信号出力端220に接続し、充電モードであるときに結合容量C1,1、C1,2、C2,1、C2,2を同相入力端230に接続する。上記構成により、二つの容量結合回路によって結合モードと充電モードを交互に切り替えることによって、高速動作に対応したレベルシフトが可能となる。
【0109】
また、本実施形態では、増幅装置において、入力信号を高周波帯域に変調する第1のチョッパ変調器101と、第1のチョッパ変調器101の出力の同相電圧成分をレベルシフトするレベルシフト回路としての同相レベルシフト回路200と、同相レベルシフト回路200の出力を増幅する第1の増幅器としての相互コンダクタンス増幅器310と、第1の増幅器の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調する出力チョッパ回路400と、を備える。上記構成により、同相レベルシフト回路200によって入力同相電圧をレベルシフトしているため、入力段のトランジスタを大型化することなく高耐圧化を図ることができ、消費電流とチップ面積の削減が可能である。また、容量や抵抗による回路面積の増大を抑制でき、かつ、充電モードと結合モードを切り替えるスイッチのクロック周波数を高い周波数に設定できるため、スルーレートやセトリング時間の高速化を図ることができ、高速動作に対応可能な増幅装置を実現できる。
【0110】
また、同相レベルシフト回路200は、第1及び第2の容量結合回路201、202を所定の動作クロックによって駆動して結合モードと充電モードとを交互に動作させるものであり、所定の動作クロックは、第1のチョッパ変調器101を駆動する動作クロックの周波数より高い周波数の動作クロックとしてよい。これにより、スルーレートやセトリング時間をチョッピング周波数に制限されず高速化することが可能であり、高速動作に対応可能な増幅装置を実現できる。
【0111】
また、増幅装置において、第1のチョッパ変調器101の入力の同相電圧を検出し、検出電圧を同相レベルシフト回路200の同相入力端230に入力同相電圧値として出力する同相検出増幅器240aを備えてよい。これにより、第1のチョッパ変調器101の入力の同相電圧に相当する入力同相電圧値に基づいてレベルシフトを行い、高耐圧化を図ることができる。
【0112】
また、増幅装置において、第1のチョッパ変調器101の正の入力端又は負の入力端のいずれかの電圧を検出し、検出電圧を同相レベルシフト回路200の同相入力端230に入力同相電圧値として出力するバッファ増幅器240bを備えてよい。これにより、第1のチョッパ変調器101の正の入力端又は負の入力端の電圧に相当する入力同相電圧値に基づいてレベルシフトを行い、高耐圧化を図ることができる。
【0113】
また、増幅装置において、同相レベルシフト回路200の出力に接続された第2のチョッパ変調器102と、第2のチョッパ変調器102の出力と第3の増幅器330の入力との間にフィードフォワード構成となるよう接続された第4の増幅器としての相互コンダクタンス増幅器340を備えてよい。これにより、相互コンダクタンス増幅器340の入力同相電圧は同相レベルシフト回路200によってレベルシフトされるため、相互コンダクタンス増幅器340に用いる入力段のトランジスタのサイズと消費電流を低減することが可能となる。
【0114】
また、増幅装置において、第1のチョッパ変調器101の入力と第3の増幅器330の入力との間にフィードフォワード構成となるよう接続された第5の増幅器としての相互コンダクタンス増幅器350を備えてよい。また、相互コンダクタンス増幅器350の出力を電流増幅する電流増幅回路351を備えてよい。このように、フィードフォワード構成を備えることにより、増幅装置の安定性を向上させることができる。また、電流増幅回路351を設けることにより、相互コンダクタンス増幅器350の相互コンダクタンス値を小さく設計しつつ、フィードフォワード構成における合計の相互コンダクタンス値を目的の値に設計できる。このため、相互コンダクタンス増幅器350に用いる入力段のトランジスタのサイズと消費電流を低減可能となる。
【0115】
また、出力チョッパ回路400は、相互コンダクタンス増幅器310の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調して出力端より出力する第3のチョッパ変調器103と、相互コンダクタンス増幅器310の出力と第3のチョッパ変調器103の入力との間に入出力が接続され、相互コンダクタンス増幅器310の出力を負帰還して相互コンダクタンス増幅器310において発生するオフセット成分及び低周波雑音成分を低減するノイズリダクションループ回路430aと、を備えてよい。ノイズリダクションループ回路430aは、入出力が負帰還構成となるように接続され、ノイズリダクションループ回路430aの差動入力信号を増幅する第6の増幅器と、第6の増幅器の出力の高周波信号成分を低減するフィルタ回路442と、フィルタ回路442の出力を増幅する第7の増幅器としての相互コンダクタンス増幅器433、とを有してよい。上記構成により、ノイズリダクションループ回路430aによって相互コンダクタンス増幅器310のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減できるため、出力チョッパ回路400の出力端に出力されるリップルノイズが低減され、増幅装置の出力として最終的に出力されるリップルノイズを低減可能となる。
【0116】
また、出力チョッパ回路400は、相互コンダクタンス増幅器310の出力の信号成分を復調し、オフセット成分及び低周波雑音成分を高周波帯域に変調して出力端より出力する第3のチョッパ変調器103と、第3のチョッパ変調器103の出力に入力が接続され、第3のチョッパ変調器103の入力に出力が接続され、第3のチョッパ変調器103の出力の高周波雑音成分を負帰還して低減させるリップル校正回路430bと、を備えてよい。リップル校正回路430bは、リップル校正回路430bに入力される高周波雑音成分を検出するハイパスフィルタ回路441と、ハイパスフィルタ回路441の出力を増幅する増幅回路を有し、高周波雑音成分を低周波成分に復調する機能と増幅回路のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する機能とを有する位相反転オートゼロ増幅器431bと、位相反転オートゼロ増幅器431bの出力の高周波成分を低減するフィルタ回路442と、フィルタ回路442の出力を増幅し、リップル校正回路430bの出力とする第8の増幅器としての相互コンダクタンス増幅器433と、を有してよい。上記構成により、リップル校正回路430bによって相互コンダクタンス増幅器310のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減できるため、出力チョッパ回路400の出力端に出力されるリップルノイズが低減され、増幅装置の出力として最終的に出力されるリップルノイズを低減可能となる。
【0117】
また、位相反転オートゼロ増幅器431bは、位相反転オートゼロ増幅器431bの入力を反転増幅する第1のオートゼロ増幅回路530と、位相反転オートゼロ増幅器431bの入力を非反転増幅する第2のオートゼロ増幅回路540と、を備える。第1のオートゼロ増幅回路530及び第2のオートゼロ増幅回路540は、自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された前記増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有し、校正モードと増幅モードとを切り替えるスイッチを備える。位相反転オートゼロ増幅器431bは、第1のオートゼロ増幅回路530が増幅モードとして反転増幅動作するとき、第2のオートゼロ増幅回路540が校正モードとして動作する第1の状態と、第2のオートゼロ増幅回路540が増幅モードとして非反転増幅動作するとき、第1のオートゼロ増幅回路530が校正モードとして動作する第2の状態と、を有する。位相反転オートゼロ増幅器431bは、第3のチョッパ変調器103の動作に連動して、スイッチを所定の動作クロックによって駆動して校正モードと増幅モードとを交互に動作させ、リップル校正回路430bが負帰還構成となるように第1の状態と第2の状態とを切り替える。このように第1の状態と第2の状態とを切り替えることにより、オートゼロ増幅器とチョッパ変調器の機能を実現でき、スイッチ及びクロックの配線の数を削減した簡潔な回路構成によってオフセット成分及び低周波雑音成分を低減可能な負帰還ループを構成できる。
【0118】
また、出力チョッパ回路の出力を増幅する出力段の増幅器において、オートゼロ増幅器又はPing-Pongオートゼロ増幅器321bを含んでよい。また、ノイズリダクションループ回路430aの第6の増幅器において、オートゼロ増幅器又はPing-Pongオートゼロ増幅器431aを含んでよい。Ping-Pongオートゼロ増幅器は、自回路における増幅器のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減する校正信号をサンプリングする校正モードと、校正信号によりオフセット成分及び低周波雑音成分が低減された増幅器によって入力信号を増幅する増幅モードと、を有し、校正モードと増幅モードとを切り替えるスイッチを備える複数のオートゼロ増幅回路を含む。Ping-Pongオートゼロ増幅器は、複数のオートゼロ増幅回路のうち、一つのオートゼロ増幅回路が増幅モードとして動作するとき、他の一つのオートゼロ増幅回路が校正モードとして動作するように、スイッチを所定の動作クロックによって駆動して校正モードと増幅モードとを交互に動作させる。このようなオートゼロ増幅器又はPing-Pongオートゼロ増幅器によって、増幅回路のオフセット成分及び低周波雑音成分を低減でき、リップルノイズを低減することが可能である。
【0119】
上記のようなノイズリダクションループ回路430a又はリップル校正回路430bによって、増幅装置におけるリップルノイズを低減でき、小型で高耐圧、高速、高精度、低雑音の増幅装置を実現できる。
【0120】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、回路面積を小型化でき、かつ高速動作に対応可能となる効果を有し、例えば増幅装置における入力の同相電圧値をレベルシフトするレベルシフト回路、及びそれを用いた増幅装置等として有用である。
【符号の説明】
【0122】
100、101、102、103:チョッパ変調器
200:同相レベルシフト回路
201、202:容量結合回路
210:同相レベルシフト回路の信号入力端
220:同相レベルシフト回路の信号出力端
230:同相レベルシフト回路の同相入力端
240a:同相検出増幅器
240b:バッファ増幅器
310、320、321a、322、340、350、432、433、501、502:相互コンダクタンス増幅器
321b、431a:Ping-Pongオートゼロ増幅器
330:増幅器
351、351a:電流増幅回路
400、400a、400b:出力チョッパ回路
410:出力チョッパ回路の入力端
420:出力チョッパ回路の出力端
430a:ノイズリダクションループ回路
430b:リップル校正回路
431b:位相反転オートゼロ増幅器
441:ハイパスフィルタ回路
442:フィルタ回路
510、520、530、540、550、560:オートゼロ増幅回路
C1,1、C1,2、C2,1、C2,2、C1、C2:結合容量
C3、C4、Cc1、Cc2、Cc3、Cc4、Cc5、Caz1、Caz2:容量
R1、R2:抵抗
Φ1,1、Φ1,2、Φ1,3、Φ1,4、Φ2,1、Φ2,2、Φ2,3、Φ2,4、Φaz1、Φaz2、Φa、Φb:スイッチ