(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138263
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置、パターニングシステム、及び積層構造体をパターニングする方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024095077
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2022527671の分割
【原出願日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】62/937,712
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンチャー, クリストファー デニス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単一のリソグラフィ工程で解像度が強化されたリソグラフィプロセスを実行することができるリソグラフィ装置、パターニングシステム、及び積層構造体をパターニングする方法を提供する。
【解決手段】パターニングシステム150は、画像形成デバイス120、反応性層110を含み、単一の工程でリソグラフィパターンを生成することを可能にする。リソグラフィ装置100は、パターニングシステム、光学システム103を含み、画像形成デバイスとともに複数の波長の光を使用して、反応性層上に複数のカラーパターンを作成する。パターニングする方法は、反応性層を複数の波長の光に露光することを含む。種々の領域に放出される光の波長に応じて、光は、反応性層の異なる領域で異なる反応をする。方法及び装置は、1つの画像形成デバイス及び1回のリソグラフィ工程のみを必要とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
積層構造体を支持するように構成された基板支持体、
2つ以上の波長で光を放出することが可能な光源システム、及び
前記光源システムによって生成された前記2つ以上の波長の光を受容し、前記光源システムから受容した前記2つ以上の波長で2つ以上の光画像を生成することが可能な画像形成デバイス
を備えているリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記光源システムが、前記2つ以上の波長で光を放出するように構成された光源を備え、
前記画像形成デバイスが、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備え、
前記DMDが、前記2つ以上の波長で前記光画像を投影するように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記画像形成デバイスが、第1のDMD及び第2のDMDを備え、
前記第1のDMDが、前記2つ以上の波長のうちの第1の波長で光を投影するように構成され、
前記第2のDMDが、前記2つ以上の波長のうちの第2の波長で光を投影するように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記画像形成デバイスが、第1のフォトマスク及び第2のフォトマスクを備え、
前記第1のフォトマスクが、前記2つ以上の波長のうちの第1の波長で光を投影するように構成され、
前記第2のフォトマスクが、前記2つ以上の波長のうちの第2の波長で光を投影するように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記光源システムが、前記2つ以上の波長で光を放出するように構成された光源を備え、
前記画像形成デバイスが、フォトマスクを備え、
前記フォトマスクが、前記2つ以上の波長で前記光画像を投影するように構成されている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
パターニングシステムであって、
画像形成デバイス、及び
反応性材料を含む反応性層であって、前記反応性材料が、
第1の領域と、
第2の領域とを含み、
前記画像形成デバイスが、前記第1の領域へ第1の波長の光を許容するように構成され、
前記画像形成デバイスが、前記第2の領域へ第2の波長の光を許容にするように構成されている、反応性層
を備えている、パターニングシステム。
【請求項7】
前記第1の領域が、
低線量領域、
中線量領域、及び
高線量領域
を含み、前記画像形成デバイスが、前記中線量領域よりも前記高線量領域においてより高い線量の前記第1の波長の光を許容するように構成され、
前記画像形成デバイスが、前記低線量領域よりも前記中線量領域においてより高い線量の前記第1の波長の光を許容するように構成されている、請求項6に記載のパターニングシステム。
【請求項8】
前記反応性層がフォトレジストを含む、請求項7に記載のパターニングシステム。
【請求項9】
前記反応性材料が、第1の光酸発生剤(PAG)及び第1の光塩基発生剤(PBG)を含み、前記第1のPAG及び前記第1のPBGがそれぞれ前記第1の波長の光において光活性である、請求項8に記載のパターニングシステム。
【請求項10】
前記画像形成デバイスが、1つ又は複数のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備えている、請求項8のパターニングシステム。
【請求項11】
前記画像形成デバイスが、1つ又は複数のフォトマスクを備えている、請求項8に記載のパターニングシステム。
【請求項12】
積層構造体をパターニングする方法であって、
前記積層構造体の上に反応性層を配置することと、
画像形成デバイスを通して、前記反応性層を複数の波長の光へ露光することであって、前記反応性層が、第1の領域及び第2の領域を含む反応性材料を含み、前記反応性層を露光することが、
前記第1の領域を第1の波長の光に露光すること、及び
前記第2の領域を第2の波長の光に露光すること
を含む、前記反応性層を複数の波長の光へ露光することと
を含む方法。
【請求項13】
前記反応性層がフォトレジストを含み、前記画像形成デバイスが1つ又は複数のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応性材料が、第1の光酸発生剤(PAG)及び第1の光塩基発生剤(PBG)を含み、前記第1のPAG及び前記第1のPBGがそれぞれ前記第1の波長において活性である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応性材料が、前記第2の波長で活性の第2のPBGをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の領域及び前記第2の領域を露光することが同時に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の領域及び前記第2の領域を露光することが連続的に行われ、前記第1の領域及び前記第2の領域を露光することが1回以上繰り返される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記反応性層がフォトレジストを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の領域及び前記第2の領域が少なくとも部分的に重複する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の領域が、
低線量領域、
中線量領域、及び
高線量領域
を含み、前記画像形成デバイスが、前記中線量領域よりも前記高線量領域においてより高い線量の前記第1の波長の光を許容するように構成され、
前記画像形成デバイスが、前記低線量領域よりも前記中線量領域においてより高い線量の前記第1の波長の光を許容するように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
積層構造体をパターニングする方法であって、
前記積層構造体の上に反応性材料を配置することであって、当該反応性材料が、高分子フォトレジスト材料、光酸発生剤(PAG)、及び光塩基発生剤(PBG)を含み、前記PAGが、第1の波長で活性であり、前記PBGが、前記第1の波長と異なる第2の波長で活性である、反応性材料を配置することと、
前記反応性材料の第1のパターン領域を前記第1の波長の第1の光に、前記反応性材料の第2のパターン領域を前記第2の波長の第2の光に同時に露光することと、
前記反応性材料の前記第1のパターン領域又は前記第2のパターン領域のうちの1つにおいて酸を発生させると同時に、発生した前記酸を含むパターン領域とは異なる、前記反応性材料の前記第1のパターン領域又は前記第2のパターン領域のうちの1つにおいて塩基を発生させることと、
前記第1のパターン領域と前記第2のパターン領域との間の界面において前記酸及び前記塩基から中和ゾーンを生成することと
を含む方法。
【請求項22】
前記第1のパターン領域が、前記第2の波長を有する前記第2の光に露光されない状態に留まると同時に、前記第2のパターン領域が、前記第1の波長を有する前記第1の光に露光されない状態に留まる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応性材料の前記第1のパターン領域又は前記第2のパターン領域のうちの1つにおける前記酸が、前記高分子フォトレジスト材料上の保護基を除去する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記反応性材料の前記第1のパターン領域又は前記第2のパターン領域のうちの1つにおける前記塩基が、前記高分子フォトレジスト材料上の保護基の脱保護を遮断する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
積層構造体をパターニングする方法であって、
前記積層構造体の上に反応性材料を配置することであって、当該反応性材料が、高分子フォトレジスト材料、光酸発生剤(PAG)、及び光塩基発生剤(PBG)を含み、前記PAGが、第1の波長で活性であり、前記PBGが、前記第1の波長と異なる第2の波長で活性である、反応性材料を配置することと、
前記反応性材料の第1のパターン領域を前記第1の波長の第1の光に、前記反応性材料の第2のパターン領域を前記第2の波長の第2の光に同時に露光することと、
前記反応性材料の前記第1のパターン領域において酸を発生させると同時に、前記反応性材料の前記第2のパターン領域において塩基を発生させることと、
前記第1のパターン領域と前記第2のパターン領域との間の界面において前記酸及び前記塩基から中和ゾーンを生成することと
処理プロセス中に前記反応性材料の前記第1のパターン領域及び前記第2のパターン領域を現像液に曝露することと
を含む方法。
【請求項26】
前記処理プロセス中に、前記反応性材料の前記第1のパターン領域が除去され、前記反応性材料の前記第2のパターン領域が維持される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
積層構造体をパターニングする方法であって、
前記積層構造体の上に反応性材料を配置することであって、当該反応性材料が、高分子フォトレジスト材料、光酸発生剤(PAG)、及び光塩基発生剤(PBG)を含み、前記PAGが、第1の波長で活性であり、前記PBGが、前記第1の波長と異なる第2の波長で活性である、反応性材料を配置することと、
前記反応性材料の第1のパターン領域を前記第1の波長の第1の光に、前記反応性材料の第2のパターン領域を前記第2の波長の第2の光に同時に露光し、前記反応性材料の、前記第1のパターン領域の一部である第3のパターン領域を前記第1の波長の前記第1の光及び前記第2の波長の前記第2の光に露光することと、
前記反応性材料の前記第1のパターン領域において酸を発生させると同時に、前記反応性材料の前記第2のパターン領域及び前記第3のパターン領域において塩基を発生させることと、
前記第1のパターン領域と前記第2のパターン領域との間の界面において前記酸及び前記塩基から中和ゾーンを生成することと
を含む方法。
【請求項28】
前記第1のパターン領域が、前記第2の波長を有する前記第2の光に露光されない状態に留まると同時に、前記第2のパターン領域が、前記第1の波長を有する前記第1の光に露光されない状態に留まる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記反応性材料の前記第1のパターン領域又は前記第2のパターン領域のうちの1つにおける前記酸が、前記高分子フォトレジスト材料上の保護基を除去する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記反応性材料の前記第1のパターン領域又は前記第2のパターン領域のうちの1つにおける前記塩基が、前記高分子フォトレジスト材料上の保護基の脱保護を遮断する、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、装置及び方法に関し、より具体的には、リソグラフィ装置、パターニングシステム、及び積層構造体をパターニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]フォトリソグラフィ技術は、集積回路(IC)チップの製造において重要な役割を果たす。光投影リソグラフィの継続的な改善は、今までになく微細な積回路のフィーチャのプリントを可能とした。これにより、集積回路産業は、さらに強力でコスト効率の良い半導体デバイスを生産することが可能となった。
【0003】
[0003]光リソグラフィ処理の分野では、感光性材料が、基板に施されて次いで乾燥させられる。光源又は放射線源を用いて、マスクを通して、適切な幾何学的パターンで感光性材料がコーティングされた基板を露光するために、露光ツールが利用される。露光後、ウエハを処理して、感光性材料に転写されたマスク画像を現像する。次いで、これらのマスキングパターンを使用して、回路のデバイスフィーチャを形成する。
【0004】
[0004]単一の設計層のパターン解像度要件が、露光ツールの能力を超える場合、パターンをリソグラフィの複数回の反復に分割することによって、制限を回避できる場合がある。この策の1つの欠点は、多くのフォトリソグラフィパターンが、複数のステップで複数のマスクを使用し、1回目のパターニングの後に基板を取り除き、第2のマスクを追加することを必要とするため、リソグラフィプロセスが遅くなり、ユーザのコスト負担が増えることである。さらに、第2のマスクを配置するには、注意深く位置合わせを行うことが必要である。位置合わせエラーは、パターンの位置ずれをもたらす可能性があり、資源を浪費し、修正のために余分な時間を必要とする。
【0005】
[0005]したがって、改善されたリソグラフィ方法が必要とされており、パターニングステップに必要とされている回数を減らすことが有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本明細書の実施形態は、リソグラフィ装置、パターニングシステム、及び積層構造体をパターニングする方法を含む。本明細書で提供される装置及び方法は、複数のフォトレジスト適用、現像工程、エッチング工程を必要としたり、複数のマスクを必要とすることなく、単一のリソグラフィ工程で解像度が強化されたリソグラフィプロセスを実行することができる。
【0007】
[0007]一実施形態では、リソグラフィ装置が提供され、リソグラフィ装置は、積層構造体を支持するように構成された基板支持体、2つ以上の波長で光を放出することが可能な光源システム、及び光源システムによって生成された2つ以上の波長の光を受容し、光源システムから受容した2つ以上の波長で2つ以上の光画像を生成することが可能な画像形成デバイスを含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、画像形成デバイス及び感光性反応性層を含むパターニングシステムが提供される。反応性材料は、第1の領域及び第2の領域を含む。画像形成デバイスは、第1の領域へ第1の波長の光を許容するように構成され、画像形成デバイスは、第2の領域へ第2の波長の光を許容するように構成されている。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態では、積層構造体をパターニングする方法が提供され、この方法は、積層構造体の上に反応性層を配置することと、画像形成デバイスを通して、反応性層を複数の波長の光へ露光することとを含む。反応性層は、反応性材料を含む。反応性材料は、第1の領域及び第2の領域を含む。反応性層を露光することは、第1の領域を第1の波長の光に露光することと、第2の領域を第2の波長の光に露光することとを含む。
【0010】
[0010]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、添付図面は、例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【
図2】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、積層構造体をパターニングするための方法工程のフロー図である。
【
図3A】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層の一部の上面図を示す。
【
図3B】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層の一部の側断面図を示す。
【
図3C】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層の一部の上面図を示す。
【
図3D】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層の一部の側断面図を示す。
【
図3E】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層の一部の上面図を示す。
【
図3F】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層の一部の側断面図を示す。
【
図4A】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る反応性層に入射する第1の波長の光を示す。
【
図4B】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る反応性層に入射する第1の波長の光を示す。
【
図4C】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る反応性層に入射する第1の波長の光を示す。
【
図5A-B】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、処理中の異なる段階における反応性層を含むワークピースの一部分の側断面図を示す。
【
図5C】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、
図5Bに示されるワークピースの一部の上面図を示す。
【
図6】本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、1つの処理段階において反応性層を含むワークピースの一部の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0023]理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。さらなる記述がなくても、ある実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に有利に組み込むことができるように意図されている。
【0013】
[0024]本開示の実施形態は、リソグラフィ装置、パターニングシステム、及び積層構造体をパターニングする方法を含む。パターニングシステムは、複数の波長の光源、画像形成デバイス、及び光の複数の波長に対応する複数の挙動を有する反応性層を含む。パターニングシステムは、2つ以上の別個の波長で2つ以上の別個のリソグラフィパターンを生成することを可能にする。リソグラフィ装置は、パターニングシステム及び光学システムを含む。リソグラフィ装置は、複数の波長の光を使用する。これらの光は、反応性層に複数のパターン及び/又は画像を形成するために、画像形成デバイスによって個別に方向付けることができる。パターニングする方法は、反応性層を複数の波長の光に露光することを含む。種々の波長の光が、反応性層の種々の領域に露光される。反応性層の種々の領域は、露光された光の波長に応じて異なる反応をする。本明細書に開示された方法及び装置は、1回のリソグラフィ工程のみを必要とする。さらに、単一の照射操作を使用することにより、複数のステップで複数のマスクを位置合わせする必要性が低減し、リソグラフィの時間が短縮される。本明細書の実施形態は、反応性層の2つの異なる部分に複数の波長の光を供給するように構成されたリソグラフィ装置において有用であり得るが、これに限定されない。
【0014】
[0025]
図1は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係るリソグラフィ装置100を示す。リソグラフィ装置100は、下方の積層構造体117へ複数の異なる波長の画像を放出するように構成されている。リソグラフィ装置100は、ラスタビーム構造又はマルチビームアレイ構造のいずれかの、マスクベースリソグラフィツール又はマスクレス(直接書込み)リソグラフィツールのような当技術分野で使用される任意のリソグラフィツールであってもよいが、これらに限定されない。
【0015】
[0026]図示のように、リソグラフィ装置100は、光学システム103、パターニングシステム150、基板支持体116、及びコントローラ190を含む。基板支持体116は、積層構造体117を支持するように構成されている。基板支持体116は、支持アクチュエータ118に取り付けられる。支持アクチュエータ118は、基板支持体116を三次元空間内の任意の場所に移動させるように構成されている。例えば、基板支持体116は、リソグラフィ装置100の外部のロボット(図示せず)から積層構造体117を受け入れるように下降される。
【0016】
[0027]積層構造117は、様々な半導体デバイス、プリント回路基板、フラットパネルディスプレイ、及び/又は他のMEMS、光学デバイスなどのためのワークピースとして使用される。図示のように、積層構造体117は基板115を含む。基板115は、当技術分野で使用される任意の基板であり得る。例えば、基板115は、半導体材料(例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、及び/又はヒ化ガリウム(GaAs)のようなIII-V族半導体)を含む。別の例では、基板115は、透明材料(例えば、ガラス及び/又はプラスチック)を含む。基板115は、その上に任意の数の絶縁層、半導体層、又は金属層を有してもよい。
【0017】
[0028]光学システム103は、下方の積層構造体117上に光の複数の個別の波長の画像を放出し、それらを制御するように構成されている。図示のように、光学システム103は、1つ又は複数の投影レンズ105及び光源システム130を含む。光源システム130は、複数の波長(例えば、2つの波長)で光を放出するように構成されている。光源システムによって放出される波長は、電磁システム内であればどこであってもよい(例えば、紫外線(UV)光、可視光、又は赤外線(IR)光)。光源システムは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、約240nmから約250nmの第1の波長(例えば、深紫外線(DUV)光)及び約300nmから約375nmの第2の波長(例えば、UV又はi線光)の光を放出する。光の波長は、以下により詳細に記載されるように、反応性層内部の感光性反応物に応じて当業者によって選択される。
【0018】
[0029]光源システム130は、単一の光源、又は複数の光源(例えば、第1の光源及び第2の光源)を含み得る。第1の光源及び第2の光源は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、第1の波長及び第2の波長の光を放出するように構成されている。光源システム130は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、光の波長を連続的に放出する単一の光源を含む。光源は、当技術分野で使用される任意の光源(例えば、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、垂直共振器面発光レーザダイオード(VCSEL)、エキシマレーザ(フッ化クリプトン(KrF)又はフッ化アルゴン(ArF)レーザなど)、周波数逓倍レーザ(1.06μmの周波数ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:Y3Al5O12)[Nd:YAG]レーザ、353nmに3倍された周波数又は266nmに4倍3倍された周波数など)、約365nmと約405nmとの間で交互する代替的バンドパスフィルタを有する従来の水銀ハロゲンランプ、又は反応性層内の複数の感光性反応物の挙動に一致する他の光源の組み合わせ)であってもよい。
【0019】
[0030]1つ又は複数の投影レンズ105は、当技術分野で使用される任意の投影レンズ(例えば、球面レンズ、円柱レンズ)であってもよく、その上に任意の適切な層又はコーティングを含む。光学システム103は、下方のパターニングシステム150に光源システム130の焦点を合わせるために、ビームスプリッタ(図示せず)をさらに含み得る。ビームスプリッタは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、複数の光源から放出された光を単一の投影レンズ上に集束させ、投影レンズは、光をパターニングシステム150上に集束させる。複数の光源から放出された光は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、1つ又は複数の投影レンズ105によって集束され、投影レンズは、光をパターニングシステム150上に集束させる。
【0020】
[0031]パターニングシステム150は、積層構造体117上に所望のパターンをパターニングするように構成されている。図示のように、パターニングシステム150は、画像形成デバイス120と反応性層110とを含む。画像形成デバイス120は、フォトリソグラフィ用に当該技術分野で使用される任意のものであってもよい。画像形成デバイス120は、所定の領域で光の通過を許容するように構成されている。画像形成デバイス120は、フォトマスク、仮想マスク、及び/又はデジタルマスク(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD:Digital Micro Mirror Device)のような空間光変調器)のような、リソグラフィ用に当該技術分野で使用される任意のマスクを含み得る。画像形成デバイス120は、任意の数又は組み合わせのマスク、例えば、2つの異なるカラーブロッキングパターンを有する1つのマスク、又は2つのフォトマスクを含み得る。
【0021】
[0032]画像形成デバイス120は、光源システム130によって生成された2つ以上の波長の光を受容し、受容した2つ以上の波長で2つ以上の光画像を生成するように動作可能である。画像形成デバイス120は、任意の数の領域を含むことができ、各領域は、反応性層110の特定の部分への光を許容するように構成されている。幾つかの実施形態では、画像形成デバイス120は、複数のフォトマスクを含み、各フォトマスクは異なる波長の光を受容するように構成されている。幾つかの実施形態では、画像形成デバイス120は、マルチカラーマスクを含み、マルチカラーマスクは、マスクの特定の部分で特定の波長を吸収すると同時に、マスクの同じ部分で他の波長の透過を許容する。幾つかの実施形態では、画像形成デバイス120は、複数のフォトマスク層を含み、各フォトマスク層は異なる波長の光を送るように構成されている。
【0022】
[0033]画像形成デバイス120は、本明細書に記載されかつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、1つ又は複数のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含む。1つ又は複数のDMDは、仮想マスクを形成するように構成される。幾つかの実施形態では、複数のカラー画像が組み合わされて、1つ又は複数の複合画像が作成される。
【0023】
[0034]幾つかの実施形態では、1つ又は複数の追加の投影レンズ(図示せず)が、画像形成デバイス120と反応性層110との間に配置される。1つ又は複数の追加の投影レンズは、画像形成デバイス120を通過する光を、画像形成デバイスの下方に配置された反応性層110上にさらに集束させる。
【0024】
[0035]1つ又は複数の実施形態では、リソグラフィ装置100は、2つのフォトマスクを含む画像形成デバイス120、及び2つの光源と、ビームスプリッタと、投影レンズとを含む光源システム130を含み、ビームスプリッタは、2つの光源から放出された光を投影レンズ上に集束させる。
【0025】
[0036]1つ又は複数の実施形態では、リソグラフィ装置100は、2つのフォトマスクを含む画像形成デバイス120、及び2つの光源と2つの投影レンズとを含む光源システム130を含み、2つの光源から放射された光は、それぞれ投影レンズのうちの一方に集束される。
【0026】
[0037]1つ又は複数の実施形態では、リソグラフィ装置100は、2つの仮想マスク(例えば、2つのDMD)を含む画像形成デバイス120、及び2つの光源と、ビームスプリッタと、投影レンズとを含む光源システム130を含み、ビームスプリッタは、2つの光源から放出された光を投影レンズ上に集束させる。
【0027】
[0038]1つ又は複数の実施形態では、リソグラフィ装置100は、2つの仮想マスク(例えば、2つのDMD)を含む画像形成デバイス120、及び2つの光源と2つの投影レンズとを含む光源システム130を含み、2つの光源から放射された光は、それぞれ投影レンズのうちの一方に集束される。
【0028】
[0039]1つ又は複数の実施形態では、リソグラフィ装置100は、仮想マスク(例えば、DMD)を含む画像形成デバイス120、及び光源システム130を含み、光源システムは、種々の波長の光を連続的に放出する単一の光源を含む。
【0029】
[0040]1つ又は複数の実施形態では、リソグラフィ装置100は、マルチカラーマスクを含む画像形成デバイス120、光学デバイス104、及び光源システム130を含み、光源システムは、種々の波長の光を連続的に放出する単一の光源を含む。
【0030】
[0041]コントローラ190は、リソグラフィ装置100を制御かつ自動化するように構成されている。図示のコントローラ190は、中央処理装置(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、及びサポート回路(又はI/O)(図示せず)を含む。CPUは、様々なプロセス及びハードウェア(例えば、パターン生成器、モータ、及び他のハードウェア)を制御し、プロセス(例えば、処理時間、及び基板の位置又は場所)をモニタリングするために、産業環境で使用される任意の形態のコンピュータプロセッサのうちの1つであってもよい。メモリ(図示せず)は、CPUに接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は任意の他の形態によるローカル若しくは遠隔のデジタルストレージといった、容易に利用可能なメモリのうちの1つ又は複数であってよい。CPUに命令するために、ソフトウェア命令及びデータをコード化してメモリに格納することができる。従来の態様でプロセッサを支援するために、サポート回路(図示せず)がさらにCPUに接続される。サポート回路は、従来型のキャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含む。コントローラ190によって可読なプログラム(又はコンピュータ命令)は、リソグラフィ装置100によってどのタスクが実行可能であるかを決定する。
【0031】
[0042]反応性層110は、種々の波長の光に反応するように構成されている。幾つかの実施形態では、反応性層110の種々の部分は、種々の波長の光に反応するように構成され得る。反応性層110は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、第1の波長の光に反応するように構成された第1の領域と、第2の波長の光に反応するように構成された第2の領域とを有する。第1の領域及び第2の領域は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも部分的に重複する。
【0032】
[0043]他の実施形態では、反応性層110は、均一な材料を含む。これらの実施形態では、反応性層110の種々の部分は、異なる波長の光に露光される。したがって、反応性層110の種々の部分(例えば、第1及び第2の領域)は、各部分の材料は同じであるが、その部分が露光される光の波長により異なって反応する。第1の領域及び第2の領域は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、少なくとも部分的に重複する。
【0033】
[0044]反応性層110は、特定の光スペクトルで光活性である任意の材料を含み得る。例えば、反応性層110は、第1の波長でより光活性である第1の金属を含み、反応性層110は、第2の波長でより光活性である第2の金属を含む。別の例では、反応性層110は、第1の波長においてより光活性である第1のポリマーを含み、反応性層110は、第2の波長においてより光活性である第2のポリマーを含む。
【0034】
[0045]反応性層110に入射する光は、強度勾配、例えばガウスパターンを有し得る。したがって、反応性層110の種々の部分における光の線量は、種々の線量の光を受光し得る。反応性層110の材料は、印加される光の線量に応じて水溶性が変化し得る。したがって、材料は、印加される光の線量に応じて、可溶性、部分的可溶性、又は不溶性のいずれかの領域を有し得る。
【0035】
[0046]幾つかの実施形態では、材料の可溶性は、露光後ベークなどの処理プロセスが反応性層110に施されるまで変化しない。処理プロセスは、反応性層110を約70℃から約200℃の温度に約10秒から約300秒間加熱することを含み得る。
【0036】
[0047]反応性層110は、1つ又は複数の光酸発生剤(PAG:photoacid generator)及び/又は光塩基発生剤(PBG:photobase generator)を含み得る。PAGは、特定の波長の光を吸収すると、水素及び/又はプロトンなどの酸を生成する官能基を含む。PAGは、光解離、及び/又は光会合時のプロトンの解離(例えば、閉環)に起因して強酸を生成する。PBGは、特定の波長の光を吸収すると塩基イオン(アミン化合物など)を生成する官能基を含む。PAG及びPBGは、同じ波長又は異なる波長で光活性であり得る。
【0037】
[0048]さらに、同じ波長で光活性になるPAG及びPBGは、異なる酸及び塩基形成速度並びに/又は酸塩基濃度を有し得る。さらに、同じ波長で光活性になるPAG及びPBGは、吸収される光の線量に左右される酸及び塩基形成速度並びに/又は酸塩基濃度を有し得る。したがって、ほぼ同じ波長で活性であるPAG及びPBGの両方を含む材料は、領域に印加される光の線量及び光の波長に応じて、酸性、塩基性、又は中性のいずれかの領域を有し得る。
【0038】
[0049]材料の可溶性は、材料の酸性度/塩基性度によって変化し得る。例えば、材料は、水溶性ブロッカー又は保護基を含有するポリマーを含む。十分に多数のPAGが活性化されると、可溶性基は酸性分子によって開裂されるか、又は脱保護され、酸が材料のポリマー鎖をほどき、材料はより可溶性になる。PBGも活性化される場合、塩基性分子は酸性分子を中和し、可溶性基を保護し、ポリマーがほどかれず、材料は不溶性であるか、又は可溶性がより低いままである。PBGは、さらに材料においてポリマー架橋を誘引することができ、これにより酸脱保護の効果性が低下する。したがって、ほぼ同じ波長で活性であるPAG及びPBGの両方を含む材料は、印加される光の線量及び光の波長に応じて、可溶性、部分的可溶性、又は不溶性のいずれかの領域を有し得る。
【0039】
[0050]反応性層110に入射する光は、強度勾配、例えばガウスパターンを有し得る。したがって、反応性層110の種々の部分は、異なる線量の光を受光し得る。したがって、同じ波長で活性なPAG及びPBGの両方を含む反応性層110の種々の部分は、受容する光の線量に応じて、酸性、塩基性、又は中性であり得る。
【0040】
[0051]1つ又は複数の実施形態では、反応性層110は、第1のPAG及び第1のPBGを含む。第1のPAG及び第1のPBGは、第1の波長の光で活性である。
【0041】
[0052]第1の波長の高線量の光では、PBGは、PAGが酸性分子を生成するよりも多くの塩基性分子を生成し、第1の領域に高線量領域が発生する。高線量領域の塩基性がより高いと、高線量領域の可溶性が、未反応の第1の領域よりも大きく又は小さくなり得る。したがって、高線量領域は、未反応部分のようにエッチング除去することがより容易又はより困難であり得る。幾つかの実施形態では、高線量領域は、未反応部分と同じ可溶性を有する。高線量領域は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、酸性分子よりも少なくとも約10%~20%の正味の塩基性分子を有する。
【0042】
[0053]1つ又は複数の実施形態では、高線量領域は、露光後ベークされると、ポリ-t-BOCの脱保護を発生させず、ひいてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの水性塩基現像液に対して不溶性のままの正味塩基濃度を有することになる。
【0043】
[0054]第1の波長の中線量の光では、PAGは、PBGが塩基性分子を生成するよりも多くの酸性分子を生成し、第1の領域に中線量領域が発生する。中線量領域の酸性度がより高いと、中線量領域の可溶性が、未反応の第1の領域よりも大きく又は小さくなり得る。したがって、中間線量領域は、未反応部分のようにエッチング除去することがより困難又はより容易であり得る。中線量領域は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、塩基性分子よりも少なくとも約10%~20%の正味の酸性分子を有する。
【0044】
[0055]1つ又は複数の実施形態では、中線量領域は、露光後ベークすると、ポリ-t-BOCの正味の脱保護を引き起こし、TMAHなどの水性塩基現像液に可溶である正味の酸濃度を有する。
【0045】
[0056]第1の波長の低線量光では、PAGが生成する酸性分子は極めて少なく、PBGが生成する塩基性分子は極めて少なく、低線量領域が第1の領域に生成される。低線量領域の中性は、未反応の第1の領域とほぼ同じ可溶性を有する。したがって、低線量領域は、未反応部分とほぼ同じくエッチング除去が困難である。
【0046】
[0057]1つ又は複数の実施形態では、低線量領域は、露光後ベークすると、ポリ-t-BOCの脱保護を発生させず、ひいては、TMAHなどの水性塩基現像液に対して不溶性のままである。
【0047】
[0058]以下、以上、又は単独に記載された実施形態では、第1のPBGも光の第2の波長で光活性であるが、第1のPAGは光の第2の波長では光活性でない。第2の波長の高線量の光では、第1のPBGは塩基性分子を生成する。高線量領域の塩基性がより高いと、高線量領域の可溶性が、未反応の第1の領域よりも大きく又は小さくなり得る。したがって、高線量領域は、未反応部分にようにエッチング除去することがより容易又はより困難であり得る。幾つかの実施形態では、高線量領域は、未反応部分と同じ可溶性を有する。
【0048】
[0059]以下、以上、又は単独に記載される実施形態と使用され得る1つ又は複数の実施形態では、反応性層110は、第2の光波長で光活性である第2のPBGをさらに含むが、第1のPAGは、第2の光波長では光活性でない。第2の波長の高線量光では、PBGは塩基性分子を生成する。高線量領域の塩基性がより高いと、高線量領域の可溶性が、未反応の第1の領域よりも大きく又は小さくなり得る。したがって、高線量領域は、未反応部分のようにエッチング除去することがより容易又はより困難であり得る。幾つかの実施形態では、高線量領域は、未反応部分と同じ可溶性を有する。
【0049】
[0060]以下、以上、又は単独に記載される実施形態と使用され得る1つ又は複数の実施形態では、反応性層110は、第1のPAG及び第1のPBGを含む。第1のPAG及び第1のPBGは、第1の波長の光で活性である。反応性層110は、第2の波長の光で光活性な第2のPBGをさらに含む。反応性層110のある部分における第2の波長の光の線量は、第2のPBGが多数の塩基性分子を生成するのに十分な大きさである。この部分が第1の波長の光を受容すると、第1のPAGは酸性分子を生成するが、酸性原子の数は、第1のPBG及び第2のPBGによって生成される塩基性分子の数よりも少ない。したがって、この部分の可溶性は低下しない。反応性層110は、デュアルトーン挙動(dual-tone behavior)(例えば、反応性層110の所与の部分で受容した光の線量が、結果的に可溶性部分[第1のトーン]又は不溶性部分[第2のトーン]のいずれかをもたらす)を有する。他の実施形態では、複数の範囲の可溶性が発生し、したがって、反応性層110はマルチトーン挙動を有する。
【0050】
[0061]他の実施形態では、反応性層110は、PBGに加えて、又はPBGの代わりに、光架橋剤(photo cross-linker)をさらに含む。他の実施形態では、追加のPAG及びPBGが材料に含まれ、2つより多くの光活性波長が可能となる。他の実施形態では、第1のPBGはまた、光の第2の波長で光活性である。
【0051】
[0062]幾つかの実施形態では、反応性層110の可溶性は、反応性層110が処理プロセスを経るまで変化しない。これらの実施形態では、第1の波長及び第2の波長は、第1のPBG及び/又は第2のPBGを含む部分が処理プロセスの前に第2の波長を受光する限り、いずれの順序でも加えられてもよい。処理プロセスは、熱ベーキングプロセスを含み得る。ベーキングプロセスは、酸性分子がポリマー保護基に拡散するための熱エネルギーを与え、ベーキングは脱保護反応を促すための反応エネルギーを与える。PBGが存在する場合、熱ベークは、塩基性分子の拡散が起こるための活性化エネルギーを与え、これにより、塩基性分子が酸と接触し、酸を中和することが可能となる。
【0052】
[0063]1つ又は複数の実施形態では、反応性層110の材料は、1つ又は複数のノボラック樹脂、並びにジアゾナフトキノン(C10H6N2O)[DNQ]及びビス(アジド)を含む架橋性化合物を含む。例示的なノボラック樹脂は、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比が1未満の1つ又は複数のフェノール-ホルムアルデヒド(PF)樹脂であり得るか、又はそれを含み得る。DNQが光活性化されると、ノボラック樹脂の可溶性が増加する。ビス(アジド)が光活性化されると、ビス(アジド)はノボラック樹脂を架橋し、ノボラック樹脂は不溶性となるか、又は可溶性が低くなる。DNQは、約350nm~約425nmの第1の波長の光に対して光活性であり、ビス(アジド)は、約350nm未満又は約425nm超のいずれかの第2の波長の光に対して光活性である。反応性層110の材料は、第1の波長では可溶性が向上し、第2の波長では可溶性が低下するか又は不溶性になる。
【0053】
[0064]他の実施形態では、材料は、PAG(ヨードニウムトリフラートなど)を含有する第1の領域及びPBG(ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)ピペリジンなど)を含有する第2の領域を有するポリ-t-BOC(ポリ(tert-ブトキシカルボニルオキシスチレン))などのポリマー樹脂を含む。約240nm~約250nmの第1の波長の光に露光されると、PAGヨードニウムトリフラート及びPBG NVOCピペリジンの両方が第1の波長の光に対して反応性であるため、反応性層110は1つの挙動をもつことになる。反応性層110が約300nm~約375nmの第2の波長の光に露光されると、PBG NVOCピペリジンのみがこの波長帯域で反応性であるので、反応性層110は第2の反応性挙動をもつことになる。第1の波長の光では、PAG及びPBGの両方が光活性であり、その結果、デュアルトーン挙動を確立することができる。第2の波長の光では、PBG発生剤のみが光活性であり、ポリ-t-BOCフォトレジストを脱保護しようとするあらゆる酸が中和される。
【0054】
[0065]
図2は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、積層構造体をパターニングするための工程を含む方法200のフロー図である。
図2、
図3A-F、
図4A-C、
図5A-C、及び
図6に関連して方法工程が説明されるが、当業者は、本方法工程を任意の順序で実行するよう構成された任意のシステムが本明細書に記載された実施形態の範囲に入ることが分かるであろう。方法200は、コントローラ190のプロセッサによって実行されると、リソグラフィ装置100に方法200を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体として、コントローラ190に格納するか、又はコントローラ190にアクセス可能とすることができる。
【0055】
[0066]方法200は、工程210で始まる。工程210では、反応性層110が基板上に配置されて積層構造体が生成される。1つ又は複数の実施形態では、反応性層110が、積層構造体117の上に配置される。反応性層110は、任意の標準的な方法を使用して配置することができる。例えば、反応性層110は、ウェットコート堆積、スピンオンコーティングプロセスなどによって堆積させることができる。
【0056】
[0067]1つ又は複数の実施形態では、反応性層110は、予め混合されたフォトレジストを含み、PAG及びPBGがフォトレジスト内に混合される。フォトレジストは、積層構造体上にスピンコーティングされる。フォトレジストは、約50℃から約150℃の温度で約30秒から約300秒間ベーキングされる。ベーキングにより溶剤が蒸発し、高分子薄膜フォトレジストとなる。
【0057】
[0068]
図3Aは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層110の一部の上面図を示す。
図3Bは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層110の一部の側断面図を示す。
図3A及び3Bは、反応性層110が基板115上に配置された後の反応性層110を示す。図示のように、反応性層110は、種々の波長の光で異なる反応結果を発生させるように設計された1つ又は複数の感光性化学化合物(反応性材料300)を含む。
【0058】
[0069]1つ又は複数の実施形態では、反応性材料300は、ヨードニウムトリフラートなどの第1のPAG、及びニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)ピペリジンなどの第1のPBGを含み、第1のPAG及び第1のPBGは、240nmから約250nmの第1の波長で光活性である。第1のPBGは、約300nmから約375nmの第2の波長でも光活性である。
【0059】
[0070]図示のように、反応性材料300は、第1の領域301、2つの第2の領域302、及び2つの重複領域305を含む。第1の領域301は、第1の波長の光に露光される反応性材料300の領域である。第2の領域302は、第2の波長の光に露光される反応性材料300の領域である。重複領域305は、第1の波長及び第2の波長の光に露光される反応性材料300の領域である。
図3Aから3Fは、1つの第1の領域、2つの第2の領域、及び2つの重複領域を有する反応性材料を示しているが、本開示はそのように限定されるものではなく、オペレータによって所望されるパターンに応じて、任意の数の第1の領域、第2の領域、及び/又は重複領域を含んでもよい。さらに、第1の領域、第2の領域、及び重複領域は、任意の所望の形状であってもよい。幾つかの実施形態では、第1の領域と第2の領域は重複せず、したがって重複領域は存在しない。幾つかの実施形態では、第3の波長の光を受容する第3の領域が含まれる。
【0060】
[0071]工程220では、反応性層110は、複数の波長の光に露光される。例えば、光源システム130は、反応性層110を第1の波長及び第2の波長の光に露光する。画像形成デバイス120は、第1の波長の光が第1の領域301に入射し、第2の波長の光が第2の領域302に入射し、第1の波長の光及び第2の波長の光が重複領域305に入射するように、光を方向付ける。
【0061】
[0072]
図4Aから4Cは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る反応性層110に入射する第1の波長の光を示す。
図4Aから4Cは、反応性層110の第1の領域301を示す。
図4Aは、波形401が反応性層110にちょうど入射するが、活性層の材料が光に反応し始める前の第1の領域301を示す。光は、反応性層110に入射する波形401を有する。
図4Aに示される波形401は、ガウシアン形状を有するが、他の形状の波形も想定される。
【0062】
[0073]図示のように、波形401は、高線量領域411、2つの中線量領域412、及び2つの低線量領域413を含む。高線量領域411は、中線量領域412よりも高い強度を有する。中線量領域412は、低線量領域413よりも高い強度を有する。波形401を高線量領域411、中線量領域412、及び低線量領域413に分割することは、下方の反応性層110に入射する光の所望の効果に左右される。高線量領域411、中線量領域412、及び低線量領域413は、それぞれ、第1の領域301の高線量領域311、中線量領域312、及び低線量領域313に入射する。
【0063】
[0074]幾つかの実施形態では、中線量領域412の平均強度は、高線量領域411の平均強度の約60%~約70%である。幾つかの実施形態では、低線量領域413の平均強度は、高線量領域411の平均強度の約30%から約40%である。中線量領域412の合計幅は、高線量領域411の幅とほぼ同じである。低線量領域413の合計幅は、高線量領域411の幅とほぼ同じである。高線量領域411の幅は、約50nmから約1μmである。
【0064】
[0075]
図4Bは、波形401が反応性層110に入射し、反応性層110の材料が波形401によって影響を受けるときの第1の領域301を示す。
図4Bに示す実施形態では、高線量領域311及び低線量領域313は、第1の波長の光とあまり反応しない。しかしながら、中間線量領域312は、第1の波長の光と反応する。中間線量領域312の材料は、反応済材料320に変換される。
【0065】
[0076]1つ又は複数の実施形態では、高線量領域311では、第1のPBGは、第1のPAGが酸性分子を生成するよりも多くの塩基性分子を生成する。高線量領域311の塩基性が高いほど、高線量領域は未反応部分と同じ可溶性を有する。塩基が酸を圧倒するので、露光後ベーク中にレジストを脱保護する正味の酸は存在しない。
【0066】
[0077]中線量領域312では、第1のPAGは、第1のPBGが塩基性分子を生成するよりも多くの酸性分子を生成する。中線量領域312の酸性度がより高いと、中線量領域は、未反応の第1の領域よりもより可溶性となる。ポスト露光ベークが酸拡散及び反応速度を促し、レジストを脱保護(例えば、ポリマーからの保護基の開裂)した場合、中用量領域のより高い酸性度がポリマーを(例えば、TMAH水性現像剤中で)より可溶性にする。
【0067】
[0078]低線量領域313では、第1のPAGが生成する酸性分子は非常に少なく、第1のPBGが生成する塩基性分子は非常に少ない。低線量領域313の中性は、未反応の第1の領域とほぼ同じ可溶性を有する。したがって、中間線量領域312は、未反応部分よりもエッチング除去が容易である。高線量領域311及び低線量領域313は、溶解速度がより緩慢であり、したがって、パターン現像後に反応性層110が残る。
【0068】
[0079]
図3Aは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層110の一部の上面図を示す。
図3Dは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層110の一部の側断面図を示す。
図3C及び3Dは、反応性層が第1の波長の光及び第2の波長の光に露光された後の反応性層110を示す。端部領域360は、重複領域305に位置する。重複領域305が第1の波長及び第2の波長の両方の光に露光されているが、重複領域の材料は未反応である。しかしながら、中間線量領域312は、反応済材料320に変換されている。
【0069】
[0080]1つ又は複数の実施形態では、第1の領域301及び第2の領域302は、重複領域305において少なくとも部分的に重複する。重複領域305における第2の波長の光の線量は、第1のPBGが多数の塩基性分子を生成するのに十分な大きさである。この重複領域が第1の波長の光を受容すると、第1のPAGは酸性分子を生成するが、酸性原子の数は、第1のPBG及び/又は第2のPBGによって生成される塩基性分子の数よりも少ない。したがって、重複領域305の可溶性は低下しない。
【0070】
[0081]工程230では、反応性層が処理プロセスに曝される。処理プロセスは、当技術分野における任意の処理プロセスを含み得る。1つ又は複数の実施形態では、反応性層110は、処理プロセスに曝される。処理プロセスは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、約10秒から約300秒間、反応性層110を約70℃から約200℃の温度に加熱することを含む。処理プロセスは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、反応性層110を、約2%から約5%のTMAHを含有する現像液などのポジ型現像液に曝露することを含む。処理プロセスは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態によれば、反応性層110を、トルエンを含有する現像液などのネガティブ現像液に曝露することを含む。
【0071】
[0082]
図3Eは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層110の一部の上面図を示す。
図3Fは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、反応性層110の一部の側断面図を示す。
図3E及び
図3Fは、反応性層が処理プロセスを受けた後の反応性層110を示す。
図4Cは、処理プロセス後の第1の領域301を示す。中間線量領域312は、1つ又は複数のトレンチ350を形成するために除去されている。トレンチ350は、約1nmから約100nmの厚さ及び約50nmから約1μmの幅を有し得る。
【0072】
[0083]方法200が完了した後、金属層をトレンチ350内に堆積させることができ、反応性材料300が除去される。したがって、方法200によって決定された所望の形状の金属層を含む回路を形成するために方法200を使用することができる。
【0073】
[0084]方法200は、ポジ型フォトレジストプロセス(例えば、方法200が反応済材料320をより可溶性にさせる)を用いて説明されるが、同じ方法200をネガ型フォトレジストプロセスに適用してもよい。これらの実施形態では、中用量領域312は、光の第1の波長に露光された後に可溶性が低くなり、処理プロセスが残りの反応性層110を除去する。例えば、反応性層110は約30秒から約300秒間トルエンに曝露されて、反応性層110が除去され、反応済材料320が残る。方法200は、ポジ型レジスト法とネガ型レジスト法の両方を含むデュアルトーンフォトリソグラフィ法として実行することもできる。
【0074】
[0085]上述の方法200は、2つの異なる波長の光を受光する反応性層110の種々の領域を含むが、他の方法も想定される。1つ又は複数の実施形態では、反応性層110は、2つ以上の異なる領域を含み、各領域は異なる光活性材料を含む。種々の光活性材料は、異なる波長の光で活性である。反応性層全体を種々の波長の光に露光して、それにより、反応性層の材料が反応して所望のパターンを形成することができる。
【0075】
[0086]
図5A及び
図5Bは、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、種々の処理段階における反応性層110を含むワークピース500の一部の側断面図を示し、
図5Cは、
図5Bに示すワークピース500の一部の上面図を示す。ワークピース500は、
図5Aに示すように、基板115上に配置された反応材料を含む反応性層110を含む。ワークピース500上の積層構造体をパターニングするための方法は、本明細書に記載かつ説明されるように、リソグラフィ装置100で実行することができる。
【0076】
[0087]1つ又は複数の実施形態では、反応性材料は、1つ又は複数の高分子フォトレジスト材料、1つ又は複数のPAG、及び1つ又は複数のPBGを含む。PAGは、第1の波長を有する光に対して活性であるか、又はそれによって活性化され、PBGは、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光に対して活性であるか、又はそれによって活性化される。第1の波長は約240nmから約250nmであり、第2の波長は約350nmから約410nmである。
【0077】
[0088]1つ又は複数の実施例では、高分子フォトレジスト材料は、1つ又は複数のポリマー樹脂(例えば、ポリ-t-BOC)であるか、又はそれを含有する。1つ又は複数の実施例では、PAGは、1つ又は複数のトリフラート化合物(例えば、ヨードニウムトリフラート)であるか、又はそれを含有する。1つ又は複数の実施例では、PBGは、シアノアクリル酸発色団(cyanoacrylic acid chromophore)及び二環式窒素性塩基(bicyclic nitrogenous base)であるか、又はそれらを含有する。シアノアクリル酸発色団の一例としては、(E)-3-(2,2’-ビチオフェン-5-イル)-2-シアノアクリル酸発色団が含まれる。二環式窒素性塩基の例としては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)又は1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)が含まれ得る。
【0078】
[0089]ワークピース500は、
図5Bの矢印で描かれているように、第1の波長を有する第1の光512、及び第2の波長を有する第2の光514に露光される。第1の波長の第1の光512に露光されると、反応性材料の第1のパターン領域502が反応性層110(
図5A)内に形成されるか、又はさもなければ生成される。第1のパターン領域502は、任意の形状、サイズ、幾何学的形状、又はパターンを有し得る、トレンチ、ビア、コンタクトビア、チャネル、及び/又は他の開口であり得るか、又はこれらを含み得る。同様に、第2の波長の第2の光514に露光されると、反応性材料の第2のパターン領域504が反応性層110(
図5A)内に形成されるか、又はさもなければ生成される。第2のパターン領域504は、第1のパターン領域502のネガであり得る。幾つかの実施例では、第1のパターン領域502は、第2の波長を有する第2の光514に露光されないままであり、第2のパターン領域504は、第1の波長を有する第1の光512に露光されないままである。第1の光512及び第2の光514によって第1のパターン領域502及び第2のパターン領域504が露光されることは、それぞれ互いに同時に行われる。例えば、反応性材料の第1のパターン領域502又は第2のパターン領域504のうちの一方に酸が生成され、生成された酸を含むパターン領域とは異なる他方のパターン領域に塩基が生成される。このように、酸は第1のパターン領域502に生成され、塩基は第2のパターン領域504に生成される。あるいは、塩基が第1のパターン領域502に生成され、酸が第2のパターン領域504に生成される。
【0079】
[0090]1つ又は複数の実施形態では、
図5Bに示すように、PAGから生成された酸は、第1のパターン領域502内で522と番号付けされたoとして示され、PBGから生成された塩基は、第2のパターン領域504内で524と番号付けされたxとして示される。図示されていない他の実施形態では、PAGから生成された酸は、第2のパターン領域504内で特定することができ、PBGから生成された塩基は、第1のパターン領域502内で特定することができる。
【0080】
[0091]いずれの実施例においても、第1のパターン領域502と第2のパターン領域504との間に配置された界面における酸と塩基との反応から中和ゾーン508が生成される。中和ゾーン508は、パターン領域502、504の界面で酸と塩基から生成された1つ又は複数の塩を含有する。中和されたゾーン508は、パターン領域502、504の間などのフィーチャにシャープで鮮明な端部を設け、これにより、従来のリソグラフィプロセスと比べて、本明細書に記載かつ説明されたリソグラフィプロセスにおいて向上した解像度がもたらされる。中和ゾーン508は、パターン領域502又は504などのうちの1つの領域で生じる前方反応と、隣接する領域で生じる前方反応の遮断との間の領域を設ける。例えば、パターン領域502又は504を有する反応性材料中の酸が、高分子フォトレジスト材料の保護基を除去し、他のパターン領域502又は504内の反応性材料中の塩基が、高分子フォトレジスト材料の保護基の脱保護を遮断(阻止)する。
【0081】
[0092]工程230で記載かつ説明したように、第1のパターン領域502及び第2のパターン領域504を含むワークピース500を処理プロセスに曝すことができる。第1のパターン領域502及び第2のパターン領域504は、処理プロセス中に1つ又は複数の現像液に曝露される。1つ又は複数の実施例では、処理プロセス中、反応性材料の第1のパターン領域502が除去され、反応性材料の第2のパターン領域504が維持される。現像液は、1つ又は複数の現像塩基(developer base)を含有するポジ型現像液であってもよい。あるいは、現像液は、1つ又は複数の現像酸を含有するネガティブ現像液であってもよい。
【0082】
[0093]幾つかの実施形態では、積層構造体をパターニングする方法は、反応性材料の第1のパターン領域502を第1の波長の第1の光512に、反応性材料の第2のパターン領域504を第2の波長の第2の光514に同時に露光して、反応性材料の第1のパターン領域502に酸を生成すると同時に、反応性材料の第2のパターン領域504に塩基を生成することと、第1のパターン領域502と第2のパターン領域504との間の界面における生成された酸及び生成された塩基から中和ゾーン508を生成することとを含む。この方法は、処理プロセス中に反応性材料の第1のパターン領域502が除去され、反応性材料の第2のパターン領域504が維持されるように、処理プロセス中に反応性材料の第1のパターン領域502及び第2のパターン領域504を現像液(例えば、ポジ型現像液)に曝露することをさらに含む。他の実施例では、処理プロセス中に反応性材料の第1のパターン領域502が維持され、反応性材料の第2のパターン領域504が除去されるように、現像液はネガティブ現像液である。
【0083】
[0094]1つ又は複数の実施形態では、反応性層内の反応性材料は、1つ又は複数の高分子フォトレジスト材料、1つ、2つ、又はそれより多くの架橋抑制剤、及び任意選択で1つ又は複数の消光剤を含む。幾つかの実施例では、反応性材料は、1つ又は複数の高分子フォトレジスト材料、第1の架橋抑制剤、及び第2の架橋抑制剤を含む。他の実施例では、反応性材料は、1つ又は複数の高分子フォトレジスト材料、架橋抑制剤、及び1つ又は複数の消光剤を含む。
【0084】
[0095]1つ又は複数の実施形態では、積層構造体をパターニングする方法は、反応性材料を積層構造体及び/又は基板の上に配置することを含む。反応性材料は、高分子フォトレジスト材料、第1の架橋抑制剤、及び第2の架橋抑制剤を含む。第1の架橋抑制剤は、第1の波長で活性であり、第2の架橋抑制剤は、第1の波長とは異なる第2の波長で活性である。この方法は、反応性材料の第1のパターン領域を第1の波長の第1の光に、反応性材料の第2のパターン領域を第2の波長の第2の光に同時に露光させることと、反応性材料の第1のパターン領域内に第1の活性化架橋抑制剤を生成すると同時に、反応性材料の第2のパターン領域内に第2の活性化架橋抑制剤を生成することと、第1のパターン領域と第2のパターン領域との間の界面において第1の活性化架橋抑制剤及び第2の活性化架橋抑制剤から中和ゾーンを生成することとを含む。
【0085】
[0096]
図6は、本明細書で記載かつ説明された1つ又は複数の実施形態に係る、1つの処理段階において反応性層110を含むワークピース600の一部の上面図を示す。ワークピース600は、ワークピース500に類似しているが、ワークピース600は、
図6に示すように、第1及び第2の光の両方に露光される反応性材料の第3のパターン領域506をさらに有する。第3のパターン領域506は、ワークピース600上の切断面又は領域であり得る。したがって、工程230の処理プロセス中に第1のパターン領域502内の反応性材料を除去すると、第3のパターン領域506内の反応性材料は、第2のパターン領域504内の反応性材料と共にワークピース600上に残留することができる。
【0086】
[0097]1つ又は複数の実施形態では、ワークピース600は、積層構造体又は基板の上に配置された反応性材料を含む反応性層110を含む。反応性材料は、1つ又は複数の高分子フォトレジスト材料、1つ又は複数のPAG、及び1つ又は複数のPBGを含む。PAGは、第1の波長で活性であり、PBGは、第1の波長とは異なる第2の波長で活性である。この方法は、反応性材料の第1のパターン領域502を第1の波長の第1の光に、反応性材料の第2のパターン領域504を第2の波長の第2の光に同時に露光することと、反応性材料の第3のパターン領域506を第1の波長の第1の光及び第2の波長の第2の光に露光することとを含む。幾つかの実施例では、第3のパターン領域506は、
図6に示すように、第1のパターン領域502の一部である。他の実施例では、第3のパターン領域506は、第2のパターン領域504(図示せず)の一部である。さらなる実施例では、第3のパターン領域506は、第1のパターン領域502及び第2のパターン領域504(図示せず)の両方の一部である。
【0087】
[0098]この方法は、反応性材料の第1のパターン領域502内でPAGから酸を生成すると同時に、反応性材料の第2のパターン領域504及び第3のパターン領域506においてPBGから塩基を生成することをさらに含む。中和ゾーン508は、第1のパターン領域502と第2のパターン領域504との間の界面、及び第1のパターン領域502と第3のパターン領域506との間の界面に配置される。1つ又は複数の実施例では、第1のパターン領域502が、第2の波長を有する第2の光に露光されない状態に留まり、第2のパターン領域504が、第1の波長を有する第1の光に露光されない状態に留まると同時に、第3のパターン領域506は、第1の波長を有する第1の光及び第2の波長を有する第2の光に露光される。
【0088】
[0099]上述のように、リソグラフィ装置、パターニングシステム、及び積層構造体をパターニングする方法が提供される。パターニングシステムは、画像形成デバイス、及び反応性層を含む。パターニングシステムは、リソグラフィパターンを生成することを可能にする。リソグラフィ装置は、パターニングシステム及び光学システムを含む。リソグラフィ装置は、画像形成デバイスと共に複数の波長の光を使用して、反応性層上に複数の異なるカラー画像及び/又はパターンを形成する。パターニングする方法は、反応性層を複数の異なる波長パターンの光に露光することを含む。反応性層は、異なる波長の光で異なる反応を示し、単一のリソグラフィステップで複数のカラー画像及び/又は1つ又は複数の複合画像を形成することを可能にする。
【0089】
[00100]本明細書に開示される方法及び装置は、1回のリソグラフィステップを必要とする。このステップは、正味の複合画像を生成するが、他の状況では複数のリソグラフィステップ及び複数のマスクを必要としたであろう。さらに、画像形成デバイスを使用することにより、複数のマスクを位置合わせする必要性が低減し、リソグラフィの時間が短縮される。
【0090】
[00101]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案してもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。本明細書に記載の全ての文書は、この本文と矛盾しない限りにおいて、あらゆる優先権書類及び/又は試験手順を含め、参照により本明細書に援用される。上述した概要及び具体的な実施形態から自明であるように、本開示の形態が図示かつ説明されているが、本開示の本質及び範囲から逸脱しない限り、様々な改変を行ってもよい。したがって、これにより本開示を限定することは意図されていない。同様に、米国法の適用上、「備える/含む(comprising)」という語は、「含む(including)」という語の同義語であると見なされる。同様に、組成物、要素、又は要素の群に「備える/含む(comprising)」という移行句(transitional phrase)が先行する場合、組成物、要素、又は複数の要素の記載に先立つ「実質的に~からなる(consisting essentially of)」、「~からなる(consisting of)」、「~からなる群から選択される(selected from the group of consisting of)」、又は「~である(is)」という移行句を伴う同様の組成物又は要素の群も想定され、その逆もまた然りであると理解される。
【0091】
[00102]本明細書で使用される「約(about)」という用語は、公称値から+/-10%の変動のことを指す。本明細書で提示されるあらゆる値にこのような変動が含まれ得ることを理解されたい。
【0092】
[00103]特定の実施形態及び特徴は、一組の数値上限及び一組の数値下限を使用して説明されている。別途指示されない限り、任意の2つの値の組み合わせ(例えば、任意の下方値と任意の上方値との組み合わせ、任意の2つの下方値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上方値の組み合わせ)を含む範囲が想定されると認識すべきである。特許請求の範囲には、特定の下限、上限、及び範囲が記載されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
積層構造体を支持するように構成された基板支持体、
第1の波長および第2の波長を含む2つ以上の波長で光を放出するように構成された光源システム、および
2以上の異なるセットの幾何学的デバイス形状に対応するフォトレジストに、2以上の異なるカラー画像を投影するように構成された画像形成デバイス
を備えているリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記光源システムは、前記2つ以上の波長で光を放出するように構成された光源を備え、
前記画像形成デバイスはマスクを備え、
前記マスクは、前記2つ以上の波長で光画像を投影するように構成されている、
請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記マスクは、少なくとも1つの空間光変調器を備え、
前記マスクは、前記2つ以上の波長で前記光画像を連続的に投影するように構成されている、請求項2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である、請求項3に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記マスクは、
前記2つ以上の波長のうちの前記第1の波長で前記光を投影するように構成された第1の空間光変調器と、
前記2つ以上の波長のうちの前記第2の波長で前記光を投影するように構成された第2の空間光変調器と、
を含む、請求項2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記第1の空間光変調器は第1のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)であり、前記第2の空間光変調器は第2のDMDである、請求項5に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記マスクは、第1のフォトマスクおよび第2のフォトマスクを含み、
前記第1のフォトマスクは、前記2つ以上の波長のうちの前記第1の波長で前記光を投影するように構成され、
前記第2のフォトマスクは、前記2つ以上の波長のうちの前記第2の波長で前記光を投影するように構成されている、
請求項2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
リソグラフィ装置であって、
積層構造体を支持するように構成された基板支持体、
第1の波長および第2の波長を含む2つ以上の波長で光を放出することが可能な光源システム、および
マスクを含む画像形成デバイスであって、前記マスクは、前記積層構造体の第1の領域に投影される前記第1の波長の第1の光画像を生成し、前記積層構造体の第2の領域に投影される前記第2の波長の第2の光画像を生成するように機能し、前記第1の光画像および前記第2の光画像は異なる線量を有する、画像形成デバイス
を備えているリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記第2の領域に投影される前記第2の光画像の一部は、前記第1の領域に投影される前記第1の光画像と、少なくとも部分的に重なる、請求項8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記マスクは、前記2つ以上の波長で光画像を投影するように構成された少なくとも1つの空間変調器を含む、請求項8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
第1の空間変調器は第1のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含み、第2の空間変調器は第2のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含み、
前記第1のDMDは、前記2つ以上の波長のうちの前記第1の波長で前記光を投影するように構成され、
前記第2のDMDは、前記2つ以上の波長のうちの前記第2の波長で前記光を投影するように構成される、
請求項10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
積層構造体をパターニングする方法であって、
前記積層構造体の上に反応性層を堆積すること、および
第1の領域および第2の領域を含む反応性材料を含む前記反応性層を、画像形成デバイスを通して複数の波長の光に露光すること、
を含み、
前記反応性層を露光することは、
前記反応性層の前記第1の領域に、第1の波長の第1の光画像を生成することと、
前記反応性層の前記第2の領域に、第2の波長の第2の光画像を生成することであって、前記第1の光画像および前記第2の光画像は異なる線量を有する、ことと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記反応性層は前記画像形成デバイスを通して露光され、前記画像形成デバイスは、
前記反応性層の前記第1の領域に投影される前記第1の波長の前記第1の光画像を生成することが可能な第1のデバイス領域、および
前記反応性層の前記第2の領域に投影される前記第2の波長の前記第2の光画像を生成することが可能な第2のデバイス領域、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像形成デバイスはフォトマスクを含み、前記第1の光画像および前記第2の光画像は前記フォトマスクを通して投影される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記画像形成デバイスは第1のフォトマスクおよび第2のフォトマスクを含み、前記第1の光画像は前記第1のフォトマスクを通して投影され、前記第2の光画像は前記第2のフォトマスクを通して投影される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記反応性層はフォトレジストを含み、前記画像形成デバイスは1以上のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する空間変調器を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記反応性材料は、第1の光酸発生剤(PAG)、第1の光塩基発生剤(PBG)、および第2のPBGを含み、前記第1のPAGおよび前記第1のPBGはそれぞれ前記第1の波長において活性であり、前記第2のPBGは前記第2の波長において活性である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の領域および前記第2の領域を露光することは、同時に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の領域および前記第2の領域を露光することは連続的に行われ、前記第1の領域および前記第2の領域を露光することは1回以上繰り返される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の領域および前記第2の領域は少なくとも部分的に重なる、請求項12に記載の方法。
【外国語明細書】