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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138624
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241002BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20241002BHJP
   B24B 49/02 20060101ALI20241002BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20241002BHJP
   B24B 9/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
H01L21/304 601Z
B24B49/12
B24B49/02 Z
B24B7/04 Z
B24B9/00 601H
H01L21/304 622N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049204
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】小松 淳
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C049
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA22
3C034CA26
3C034CB01
3C034DD10
3C034DD20
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA12
3C043BA15
3C043CC03
3C043DD06
3C049AA03
3C049AC02
3C049BA02
3C049BA07
3C049BB02
3C049BC02
3C049CA01
3C049CB01
5F057AA02
5F057AA14
5F057AA19
5F057BA15
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB09
5F057CA12
5F057CA16
5F057CA24
5F057DA14
5F057FA13
5F057GA16
5F057GB02
5F057GB12
5F057GB13
(57)【要約】
【課題】エッジを含む外表面に形成されている薄膜に起因して生じる誤差を抑制する。
【解決手段】外周端部を含む外表面にそれぞれ薄膜が形成されている複数のウェーハを順次加工する加工方法であって、カメラユニットを使用して第1のウェーハの第1径を算出し、レーザー測定器を使用して第1のウェーハの第2径を算出し、第1径と第2径との差分を算出し、レーザー測定器を使用して第1のウェーハの第1高さを測定し、第2径に差分を加えることで補正された第1補正径と第1高さとを使用し第1のウェーハを加工し、レーザー測定器を使用して第2のウェーハの径を算出し第2のウェーハの第2高さを測定し、上述の差分を第2のウェーハの径に加えることで補正された第2補正径と第2高さとを使用して第2のウェーハを加工する加工方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周端部を含む外表面にそれぞれ薄膜が形成されている第1のウェーハ及び第2のウェーハを順次加工する加工方法であって、
チャックテーブルの保持面で一面が吸引保持された該第1のウェーハの外周端部を、該保持面に対向する位置に配置されたカメラユニットで撮像して、該第1のウェーハの外周端部のうち該第1のウェーハの周方向の異なる3箇所以上の座標を検出し、該3箇所以上の座標に基づいて該第1のウェーハの第1径を算出する第1径算出ステップと、
該保持面に照射された場合に被照射領域が所定方向に伸長する長手部を有する線状のレーザービームを、該チャックテーブルで吸引保持された該第1のウェーハの外周端部を横断する様にレーザー測定器の照射ユニットから照射し、該レーザービームの反射光を該レーザー測定器の受光ユニットで受光することにより、該第1のウェーハの外周端部のうち該第1のウェーハの周方向の異なる3箇所以上の座標を検出し、該3箇所以上の座標に基づいて該第1のウェーハの第2径を算出する第2径算出ステップと、
該第1径と該第2径との差分を算出する差分算出ステップと、
該レーザー測定器を使用して、該第1のウェーハの該一面とは反対側に位置する他面の高さである第1高さを測定する高さ測定ステップと、
該第2径に該差分を加えることで補正された第1補正径と、該第1高さと、を使用し該第1のウェーハを加工する第1加工ステップと、
該第1加工ステップの後、該レーザー測定器を使用して、該保持面で一面が吸引保持された該第2のウェーハの径を算出し、該第2のウェーハの該一面とは反対側に位置する他面の高さである第2高さを測定する、算出測定ステップと、
該差分算出ステップで得られた該差分を該第2のウェーハの径に加えることで補正された第2補正径と、該第2高さと、を使用して、該第2のウェーハを加工する第2加工ステップと、
を備えることを特徴とする加工方法。
【請求項2】
該第1加工ステップでは、
該第1補正径と、該第1高さと、に基づいて、該第1のウェーハの外周部に切削ブレードを切り込ませ、
該第2加工ステップでは、
該第2補正径と、該第2高さと、に基づいて、該第2のウェーハの外周部に該切削ブレードを切り込ませることを特徴とする請求項1記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周端部を含む外表面にそれぞれ薄膜が形成されている第1のウェーハ及び第2のウェーハを順次加工する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主としてシリコン単結晶基板で形成されているウェーハでは、通常、外周部の表面側及び裏面側に面取り部が形成されている。面取り部を有するウェーハの裏面側を研削し、例えば、当初の厚さの半分以下に薄化すると、薄化後のウェーハの外周部にはシャープエッジ又はナイフエッジと呼ばれる鋭利な薄化領域が形成される。
【0003】
この鋭利な薄化領域がウェーハの外周部に形成されると、欠けや破損が生じやすくなる。そこで、薄化後のウェーハの欠けや破損を防ぐために、ウェーハの外周部の表面側の面取り部を除去した後に(即ち、エッジトリミングの後に)、裏面側を研削する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ウェーハの外周部の表面側の面取り部を除去するためには、まず、チャックテーブルの保持面で吸引保持されたウェーハのエッジ(即ち、外周端部)の位置を検出し、次いで、ウェーハの径方向においてエッジから中心側への所定幅の範囲を切削対象領域に定める。
【0005】
エッジの検出には、レーザー変位計が用いられる(例えば、特許文献2参照)。レーザー変位計は、レーザービームの進行方向とは直交する方向に線状にレーザービームを照射可能なレーザー照射ユニットと、線状のレーザービームの反射光を受光する受光素子と、を有する。
【0006】
このレーザー変位計を用いてウェーハのエッジの位置を検出する際には、保持面で反射されたウェーハに対してウェーハのエッジを横断する様に線状のレーザービームを照射し、ウェーハから反射された反射光を受光素子で受光する。
【0007】
しかし、ウェーハのエッジを含む外表面に2μm程度の薄膜が形成されている場合、エッジに形成されている薄膜を透過するレーザービームが薄膜で屈折して保持面へ入射することにより、検出されるエッジの位置に50μm程度の誤差が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-173961号公報
【特許文献2】特開2015-23239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、線状のレーザービームを用いてウェーハのエッジの位置を検出する際に、エッジを含む外表面に形成されている薄膜に起因して生じる誤差を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様では、外周端部を含む外表面にそれぞれ薄膜が形成されている第1のウェーハ及び第2のウェーハを順次加工する加工方法であって、チャックテーブルの保持面で一面が吸引保持された該第1のウェーハの外周端部を、該保持面に対向する位置に配置されたカメラユニットで撮像して、該第1のウェーハの外周端部のうち該第1のウェーハの周方向の異なる3箇所以上の座標を検出し、該3箇所以上の座標に基づいて該第1のウェーハの第1径を算出する第1径算出ステップと、該保持面に照射された場合に被照射領域が所定方向に伸長する長手部を有する線状のレーザービームを、該チャックテーブルで吸引保持された該第1のウェーハの外周端部を横断する様にレーザー測定器の照射ユニットから照射し、該レーザービームの反射光を該レーザー測定器の受光ユニットで受光することにより、該第1のウェーハの外周端部のうち該第1のウェーハの周方向の異なる3箇所以上の座標を検出し、該3箇所以上の座標に基づいて該第1のウェーハの第2径を算出する第2径算出ステップと、該第1径と該第2径との差分を算出する差分算出ステップと、該レーザー測定器を使用して、該第1のウェーハの該一面とは反対側に位置する他面の高さである第1高さを測定する高さ測定ステップと、該第2径に該差分を加えることで補正された第1補正径と、該第1高さと、を使用し該第1のウェーハを加工する第1加工ステップと、該第1加工ステップの後、該レーザー測定器を使用して、該保持面で一面が吸引保持された該第2のウェーハの径を算出し、該第2のウェーハの該一面とは反対側に位置する他面の高さである第2高さを測定する、算出測定ステップと、該差分算出ステップで得られた該差分を該第2のウェーハの径に加えることで補正された第2補正径と、該第2高さと、を使用して、該第2のウェーハを加工する第2加工ステップと、を備える加工方法が提供される。
【0011】
好ましくは、該第1加工ステップでは、該第1補正径と、該第1高さと、に基づいて、該第1のウェーハの外周部に切削ブレードを切り込ませ、該第2加工ステップでは、該第2補正径と、該第2高さと、に基づいて、該第2のウェーハの外周部に該切削ブレードを切り込ませる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係る加工方法では、カメラユニットを使用して得られた第1のウェーハの第1径と、レーザー測定器を使用して得られた第1のウェーハの第2径と、の差分に基づいて当該第2径が補正された第1補正径と、レーザー測定器を使用して得られた第1のウェーハの他面の高さである第1高さと、を使用して第1のウェーハを加工する(第1加工ステップ)。
【0013】
そして、第2のウェーハを加工する際には、レーザー測定器を使用して得られた第2のウェーハの径を上述の差分に基づいて補正した第2補正径と、レーザー測定器を使用して得られた第2のウェーハの他面の高さである第2高さと、を使用して第2のウェーハを加工する(第2加工ステップ)。
【0014】
この様に、レーザー測定器で第1のウェーハの径を測定する際に生じる誤差(即ち、第1径と第2径との差分)を補正することで、第2のウェーハ以降のウェーハでは、カメラユニットを使用せずレーザー測定器のみを使用して、ウェーハの径を測定できる。それゆえ、レーザー測定器を使用して、ウェーハの径と、ウェーハの他面の高さと、を一度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】加工方法のフロー図である。
図2図2(A)は切削装置の一部断面側面図であり、図2(B)は切削装置の斜視図である。
図3図3(A)はレーザー変位計の概略を示す一部断面側面図であり、図3(B)はレーザー変位計の概略を示す底面図である。
図4】線状のレーザービームが照射される第1のウェーハ等の一部断面側面図である。
図5】第1径算出ステップを示す模式図である。
図6】第2径算出ステップを示す模式図である。
図7図7(A)は保持面及びエッジ近傍の第1のウェーハの輪郭を示すグラフであり、図7(B)は複数のウェーハの表面の高さを示すグラフである。
図8】差分算出ステップ等を示すグラフである。
図9図9(A)は第1加工ステップを示す一部断面側面図であり、図9(B)は第1加工ステップを示す斜視図である。
図10】第1加工ステップ後の第1のウェーハの断面図である。
図11】第2のウェーハの算出測定ステップを示す斜視図である。
図12図12(A)は第2のウェーハの径を示すグラフ図であり、図12(B)は複数のウェーハの表面の高さを示すグラフである。
図13】第2加工ステップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、第1のウェーハ11(図2(A)参照)と、第2のウェーハ21(図11参照)と、に順次エッジトリミングを施す加工方法のフロー図である。
【0017】
本実施形態では、第1のウェーハ11について、第1径算出ステップS10、第2径算出ステップS12、高さ測定ステップS14、差分算出ステップS16、及び、第1加工ステップS18を順次行う。
【0018】
また、第1加工ステップS18が完了した後、第2のウェーハ21について、算出測定ステップS20及び第2加工ステップS22を順次行う。更に、他のウェーハを加工する場合(S30でYES)、再度、算出測定ステップS20及び第2加工ステップS22が順次行われる。
【0019】
そこで、まずは、各ステップが行われる切削装置2について説明する。図2(A)は、切削装置2の一部断面側面図であり、図2(B)は、切削装置2の斜視図である。図2に示すX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する。
【0020】
切削装置2は、円板状のチャックテーブル4を有する。チャックテーブル4は、硬質の樹脂で形成された円板状の枠体6を有する。枠体6の上部には、円板状の凹部6aが形成されている。凹部6aには、多孔質のセラミックスで形成された円板状の多孔質板8が固定されている。
【0021】
枠体6及び多孔質板8の各上面は、略面一であり、略平坦な保持面4aを形成している。保持面4aは、XY平面に略平行に配置されている。凹部6aの底部には、真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続された吸引路6bが形成されている。
【0022】
吸引源で発生した負圧は、吸引路6bを介して多孔質板8の上面へ伝達する。チャックテーブル4の底部には、円柱状の回転軸10が連結している。回転軸10は、その長手方向がZ軸方向と略平行に配置されている。
【0023】
回転軸10は、モータ等の回転駆動源(不図示)により回転可能に構成されている。なお、回転軸10の回転中心10aを一点鎖線で示す。回転中心10aは、XY平面において保持面4aの径方向の中心と略一致している。
【0024】
チャックテーブル4及び回転駆動源は、ボールねじ式のX軸方向移動機構(不図示)のX軸方向移動板で支持されている。X軸方向移動板がX軸方向に沿って移動することにより、チャックテーブル4は回転駆動源と共にX軸方向に沿って移動可能である。
【0025】
X軸方向の一方側において保持面4aよりも上方には、カメラユニット12が設けられている。X軸方向移動機構でチャックテーブル4のX軸方向の位置を調整すれば、カメラユニット12は、保持面4aに対向する位置に配置される。
【0026】
カメラユニット12は、光を照射するLED(Light Emitting Diode)等の光源(不図示)と、対物レンズ(不図示)と、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)、CCD(Charge-Coupled Device)等の固体撮像素子(不図示)と、を含む顕微鏡カメラユニットである。
【0027】
固体撮像素子は、光源が発する光(例えば、可視光帯域の波長を有する光)を光電変換可能である。カメラユニット12は、保持面4aで吸引保持された被写体(例えば、第1のウェーハ11)のエッジ(外周端部)11cを撮像する。
【0028】
カメラユニット12は、切削ユニット14(図9(A)参照)を構成するスピンドルハウジング14aに固定されている。スピンドルハウジング14a(図9(A)参照)には、それぞれボールねじ式のY軸方向移動機構(割り出し送りユニット)及びZ軸方向移動機構(切り込み送りユニット)が連結されている(いずれも不図示)。
【0029】
Y軸方向移動機構及びZ軸方向移動機構を動作させることで、スピンドルハウジング14aはY軸方向及びZ軸方向に沿って移動可能である。スピンドルハウジング14aには、円柱状のスピンドル14b(図9(A)参照)の一部が回転可能に収容されている。
【0030】
スピンドル14bは、Y軸方向に沿って配置されている。スピンドル14bの基端部近傍には、サーボモータ等の駆動源(不図示)が設けられている。スピンドル14bの先端部には、円環状の切り刃を有する切削ブレード14c(図9(A)参照)が装着されている。駆動源を動作させれば、切削ブレード14cが高速で回転する。
【0031】
ここで、図2(A)及び図2(B)に戻る。X軸方向の他方側において保持面4aよりも上方には、レーザー変位計(レーザー測定器)16が設けられている。レーザー変位計16は、X軸方向においてカメラユニット12から離れて配置されている。
【0032】
X軸方向においてチャックテーブル4の位置を調整すれば、カメラユニット12に代えてレーザー変位計16が、保持面4aに対向する位置に配置される。レーザー変位計16は、測定光としての線状(即ち、帯状)のレーザービームLを保持面4aに向かって照射可能である。
【0033】
本実施形態において線状のレーザービームLとは、保持面4aに照射された場合に、被照射領域16aがXY平面に略平行な所定方向Aに沿って伸長する長手部を有するレーザービームのことを指す。図2(A)及び図2(B)に示す所定方向Aは、X軸方向に略平行である。
【0034】
次に、図3(A)及び図3(B)を参照し、レーザー変位計16について更に説明する。図3(A)は、レーザー変位計16の構造の概略を示す一部断面側面図であり、図3(B)は、レーザー変位計16の概略を示す底面図である。レーザー変位計16は、照射ユニット18を有する。
【0035】
照射ユニット18は、半導体レーザー(レーザーダイオード)を含む光源18aを有する。光源18aから出射されたレーザービームは、パウエルレンズ(Powell lens)、ラインマンレンズ(Lineman lens)、シリンドリカルレンズ等のレーザーラインジェネレーター(以下では、単に、レンズ18bと記載する)に入射する。
【0036】
レンズ18bは、入射するレーザービームを、その進行方向(即ち、光源18aから保持面4aへ進む方向)に対して直交する所定方向Bに沿って所定の長さを有し、且つ、所定方向Bに沿って略均一な出力を有する線状のレーザービームLに整形する。
【0037】
所定方向Bは、レーザー変位計16が切削装置2に搭載された場合に、上述の所定方向Aに一致する。光源18a及びレンズ18bは、筐体18cに収容されている。筐体18cの底部には、矩形の開口18dが形成されている。
【0038】
矩形の開口18dの長手部は、所定方向Bに沿って配置されている。なお、開口18dには、線状のレーザービームLが透過可能な材料で形成されたカバー部材(不図示)が設けられている。線状のレーザービームLは、開口18dを通じて照射ユニット18から測定対象へ照射される。
【0039】
測定対象で反射(例えば、正反射)された線状のレーザービームLの反射光は、照射ユニット18に隣接する受光ユニット20で受光される。なお、受光ユニット20が測定対象で拡散反射された反射光を受光する様に、レーザー変位計16を構成してもよい。
【0040】
受光ユニット20は、筐体18cに隣接して固定された筐体20aを有する。筐体20aには、集光レンズ20bが固定されている。集光レンズ20bは、光軸方向に沿って配置された複数のレンズを有するが、一枚のレンズを有してもよい。
【0041】
筐体20aの底部には、円形の開口20dが形成されている。集光レンズ20bで集光された光は、固体撮像素子20cに入射する。固体撮像素子20cは、二次元的に配置された複数の光電変換素子20eを有する。
【0042】
固体撮像素子20cは、一辺が所定方向Bに沿い、且つ、他辺が所定方向Bに直交する方向に沿う矩形状の、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサ又はCCD(Charge-Coupled Device)センサである。
【0043】
なお、図2(B)では、図面の見やすさを考慮して、十字の位置に配置された複数の光電変換素子20eのみを便宜的に示し、他の複数の光電変換素子20eを省略している。レーザー変位計16は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC:Analog-to-Digital Converter)等を有する所定の処理回路(不図示)を含む。
【0044】
光電変換素子20eで受光された光は、受光量に応じた電圧信号へと変換され、更に、電圧信号(アナログ信号)は、上述の所定の処理回路でデジタル信号へ変換され、後述するコントローラ32で処理される。
【0045】
レーザー変位計16を使用して第1のウェーハ11の径を算出する際には、まず、図4に示す様に、表面(他面)11aが露出する様に表面11aとは反対側に位置する裏面(一面)11b側を保持面4aで吸引保持する。
【0046】
本実施形態における第1のウェーハ11は、円板状のシリコン単結晶基板を有する。表面11a側には、IC(Integrated Circuit)、LED(Light Emitting Diode)等のデバイスが形成されている。
【0047】
第1のウェーハ11は、エッジ11cを含む外表面の全体に酸化膜(例えば、シリコン酸化膜)、窒化膜(例えば、シリコン窒化膜)、酸窒化膜(例えば、シリコン酸窒化膜)等の薄膜13が形成されている。なお、薄膜13の材料は、上述の材料に限定されない。
【0048】
例えば、第1のウェーハ11が窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)等の他の材料の単結晶基板を有する場合、薄膜13は、上述の材料と異なる場合がある。薄膜13は、非常に薄く、例えば、2μm程度の厚さを有する。
【0049】
第1のウェーハ11の外周部の表面11a側には面取り部11dが形成されており、同様に、外周部の裏面11b側にも面取り部11dが形成されている。薄膜13は、面取り部11d、面取り部11dにも形成されている。
【0050】
図4は、線状のレーザービームLが照射される第1のウェーハ11等の一部断面側面図である。本実施形態では、第1のウェーハ11のエッジ11cを横断する様に照射ユニット18からレーザービームLを表面11aへ照射する。
【0051】
レーザービームLは、表面11aのうち略平坦な領域へ照射されるレーザービームLの成分Lと、表面11a側の面取り部11dに入射するレーザービームLの成分Lと、保持面4aに入射するレーザービームLの成分Lと、を含む。
【0052】
第1のウェーハ11及び保持面4aからの反射光を固体撮像素子20cで受光することで、レーザービームLが照射された領域の輪郭を取得できる。それゆえ、第1のウェーハ11のエッジ11cの位置を検出できる様にも思われる。
【0053】
しかし、薄膜13の薄さ故に、レーザービームLは、エッジ11cに形成されている薄膜13を透過する。特に、成分Lの一部が薄膜13で屈折することに起因して(図4の領域C参照)、エッジ11cの位置の検出に誤差(例えば、50μm程度)が発生する。
【0054】
ここで、図2(A)に戻る。切削装置2において、レーザー変位計16は、ボールねじ式の移動機構22に連結されている。移動機構22は、切削装置2の基台(不図示)に対して固定された板状のベース部24を有する。
【0055】
ベース部24には、X軸方向に略平行に配置された一対のガイドレール26が設けられている。なお、図2(A)では、1つのガイドレール26を示す。一対のガイドレール26には、レーザー変位計16がスライド可能に取り付けられている。
【0056】
レーザー変位計16の側面には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸方向に略平行なねじ軸28が回転可能に連結されている。ねじ軸28の一端部には、パルスモータ、ステッピングモータ等の駆動源30が連結されている。
【0057】
駆動源30でねじ軸28を回転させれば、レーザー変位計16は、ガイドレール26に沿って移動する。レーザー変位計16をX軸方向に沿って移動可能に構成することで、線状のレーザービームLの照射位置を調整できる。
【0058】
カメラユニット12、切削ユニット14、レーザー変位計16、駆動源30等の動作は、コントローラ32で制御される。コントローラ32は、コンピュータによって構成されている。
【0059】
コントローラ32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、メモリ(記憶装置)と、を含む。なお、メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含む。
【0060】
補助記憶装置には、ソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従いプロセッサ等を動作させることによって、コントローラ32の機能が実現される。補助記憶装置には、所定の計算を実行するための第1のプログラムが記憶されている。
【0061】
例えば、第1のプログラムは、第1のウェーハ11のエッジ11cにおける異なる三点の座標から第1のウェーハ11の表面11aの中心の座標を算出する。第1のプログラムは、第2のウェーハ21等の他のウェーハについても、同様の計算行う。
【0062】
表面11aの中心の座標の算出には、種々の算出方法が存在するが、例えば、エッジ11cの異なる三点のうち第1点及び第2点を結ぶ線分に対する第1の垂直二等分線と、エッジ11cの異なる三点のうち第2点及び第3点を結ぶ線分に対する第2の垂直二等分線と、の交点を算出することにより、表面11aの中心の座標が算出される。
【0063】
表面11aの中心の座標を算出できれば、例えば、表面11aの中心から第1点までの長さを算出することにより、表面11aの中心からエッジ11cまでの距離(即ち、第1のウェーハ11の半径)を算出できる。なお、第1点から第3点の位置は、XY平面において、保持面4aの中心を原点とする座標系で規定される。
【0064】
それゆえ、保持面4aの中心と、第1のウェーハ11の表面11aの中心と、がずれて配置されている場合に、切削ブレード14cの直下に位置するエッジ11cが、チャックテーブル4の回転角度に応じてY軸方向で移動したとしても、コントローラ32は、切削ブレード14cの直下に位置するエッジ11cの位置を正確に捕捉できる。
【0065】
次に、図1に示す各ステップに沿って、第1のウェーハ11及び第2のウェーハ21を順次加工する加工方法を説明する。まず、表面11aが露出する様に第1のウェーハ11の裏面11bを保持面4aで吸引保持した上で、カメラユニット12の直下にエッジ11cが位置する様に、チャックテーブル4の位置を調整する。
【0066】
そして、図5に示す様に、チャックテーブル4を回転させると共に、カメラユニット12を利用して第1のウェーハ11のエッジ11cのうち第1のウェーハ11の周方向の異なる3箇所以上を撮像する。その後、得られた各画像に基づいて、コントローラ32が当該3箇所以上の各点の座標を検出する。
【0067】
例えば、得られた画像を二値化処理することで、矩形状の撮像視野内でのエッジ11cを特定し、矩形状の撮像視野の対角線と、特定されたエッジ11cと、の交点での座標を第1点の座標(X1A,Y1A)とする(図5参照)。なお、撮像視野の各位置の座標は、保持面4aの中心を原点として規定される。
【0068】
同様にして、第2点の座標(X1B,Y1B)及び第3点の座標(X1C,Y1C)を得る。続いて、コントローラ32が上述の様に垂直二等分線の交点を算出することにより、表面11aの中心の座標(X1D,Y1D)及び第1のウェーハ11の第1径11eを算出する。
【0069】
この様に、コントローラ32は、当該3箇所以上の座標に基づいて、第1径11eを算出する(第1径算出ステップS10)。図5は、第1径算出ステップS10を示す模式図である。カメラユニット12を用いて得られた第1径11eは、薄膜13の影響を受けないので、略正確である。
【0070】
本実施形態では、第1径算出ステップS10の後、図6に示す様にレーザー変位計16を使用して第1のウェーハ11のエッジ11cの周方向の異なる3箇所以上の座標を検出し、この3箇所以上の座標に基づいて第1のウェーハ11の径(即ち、第2径11e)を算出する(第2径算出ステップS12)。図6は、第2径算出ステップS12を示す模式図である。
【0071】
上述の様に、第2径算出ステップS12では、まず、保持面4aで吸引保持された第1のウェーハ11をレーザー変位計16の直下に配置する。そして、第1のウェーハ11のエッジ11cを横断する様に、レーザービームLを照射する。
【0072】
本実施形態では、チャックテーブル4を回転させながらレーザービームLを照射する。そして、レーザー変位計16を用いて得られた第1のウェーハ11の輪郭に基づいて、エッジ11cに対応する第1点の座標(X2A,Y2A)、第2点の座標(X2B,Y2B)及び第3点の座標(X2C,Y2C)をそれぞれ算出する。
【0073】
3箇所以上の座標を検出した後、上述の様に垂直二等分線の交点を算出することにより、表面11aの中心の座標(X2D,Y2D)及び第1のウェーハ11の第2径11eをコントローラ32が順次算出する。
【0074】
しかし、第1点の座標(X2A,Y2A)、第2点の座標(X2B,Y2B)及び第3点の座標(X2C,Y2C)は、薄膜13に起因する誤差をそれぞれ含む。後述する様に、本実施形態では、この誤差の補正が行われる。
【0075】
第2径算出ステップS12と並行して、レーザー変位計16を用いて第1のウェーハ11の外周部の輪郭が取得される。図7(A)は、保持面4a及びエッジ11c近傍の第1のウェーハ11の外周部の輪郭を示すグラフである。
【0076】
第1のウェーハ11の外周部の輪郭を取得することで、切削装置2内において予め定められた基準となるZ軸方向の位置(即ち、基準高さ位置)に対する表面11aの高さである第1高さ11fを測定する(高さ測定ステップS14)。
【0077】
表面11aの高さの情報は、切削ブレード14cを第1のウェーハ11の外周部に切り込む際に、切削ブレード14cの下端の位置を正確に制御するために利用される。表面11a側にエッジトリミングを施した後には、第1のウェーハ11の裏面11b側に対して、粗研削及び仕上げ研削を順次施す。
【0078】
裏面11b側を研削して第1のウェーハ11を薄化すると、外周部には環状で薄い庇領域が形成される。仕上げ研削時にこの庇領域が残存していると、庇領域が折れて端材となり、仕上げ研削ホイールへダメージが入る可能性がある。
【0079】
そこで、仕上げ研削ホイールへのダメージを低減するためには、先行する粗研削において裏面11b側の庇領域を除去できる様に、第1のウェーハ11の外周部に切り込まれる切削ブレード14cの下端の位置を正確に制御する。
【0080】
なお、複数のウェーハに対して順次エッジトリミングを施すと、チャックテーブル4に蓄積される熱に起因してチャックテーブル4が膨張し、保持面4aの高さが変化する。この熱は、例えば、モータ等の動作に伴う発熱や、切削に伴う発熱が原因である。例えば、最も蓄熱した状態の保持面4aの高さは、常温の保持面4aに比べて、13μm程度高くなる。
【0081】
図7(B)は、第1高さ11fを含む複数のウェーハの表面の高さを示すグラフである。図7(B)では、最初に加工される第1のウェーハ11を#1で示し、次に加工される第2のウェーハ21を#2で示す。以下、加工順序に応じて、他のウェーハを#3,#4,#5,#6…と示す。
【0082】
この様に、複数のウェーハに対するエッジトリミングが順次進むにつれて、ウェーハの表面の高さは変化し得る。しかし、本実施形態では、レーザー変位計16を用いて各ウェーハの表面の高さを捕捉する。それゆえ、保持面4aの高さが変化したとしても、切削ブレード14cの切り込み深さ位置を精密に制御できる。
【0083】
ところで、上述の様に、レーザー変位計16を用いて測定される第2径11eは、薄膜13の影響により、カメラユニット12を用いて測定される第1径11eに比べて正確ではない。
【0084】
そこで、図8に示す様に、第1径11eと、第2径11eと、の差分Δをコントローラ32が算出する(差分算出ステップS16)。図8は、差分算出ステップS16等を示すグラフである。
【0085】
通常、第1径11eは第2径11eよりも大きく、差分Δは、(差分Δ=第1径11e-第2径11e)により算出される。差分Δの算出後、第2径11eに差分Δを加えることで補正された第1補正径15eを、コントローラ32が算出する。
【0086】
補助記憶装置には、差分Δ及び第1補正径15eを算出するための第2のプログラムが記憶されている。なお、第2のプログラムは、第2のウェーハ21等の他のウェーハについても、同様の計算を行う。
【0087】
差分Δ及び第1補正径15eの算出後、第1のウェーハ11の表面11a側の外周部に回転する切削ブレード14cを切り込ませた状態でチャックテーブル4を回転させることにより、表面11a側の外周部を除去するエッジトリミングを行う(第1加工ステップS18)。
【0088】
図9(A)は、第1加工ステップS18を示す一部断面側面図であり、図9(B)は、第1加工ステップS18を示す斜視図である。第1加工ステップS18では、第1補正径15eと、第1高さ11fと、に基づいて、コントローラ32が切削ユニット14のY軸方向及びZ軸方向の位置を微調整しながら、第1のウェーハ11を切削(加工)する。
【0089】
図10は、第1加工ステップS18後の第1のウェーハ11の断面図である。この様に、第1加工ステップS18では、面取り部11dが除去され、環状の段差部11gが形成される。段差部11gは、深さ11g及び幅11gを有する。
【0090】
本実施形態では、第1補正径15eと第1高さ11fとを使用して、回転する切削ブレード14cの下端の位置をY軸方向及びZ軸方向で微調整するので、微調整しない場合に比べて第1のウェーハ11の周方向で深さ11g及び幅11gをより均一にできる。
【0091】
第1加工ステップS18の後、第1のウェーハ11をチャックテーブル4から搬出し、これと入れ違いに、第2のウェーハ21をチャックテーブル4へ搬入し、第2のウェーハ21の裏面(一面)21bを保持面4aで吸引保持する。
【0092】
このとき、裏面21bとは反対側に位置する第2のウェーハ21の表面(他面)21aが上方に露出する。次いで、レーザー変位計16を用いて算出測定ステップS20を行う。
【0093】
図11は、第2のウェーハ21の算出測定ステップS20を示す斜視図である。算出測定ステップS20では、まず、第2のウェーハ21をレーザー変位計16の直下に位置付ける。
【0094】
そして、レーザー変位計16を使用して第2のウェーハ21の径21e、及び、表面(他面)21aの高さである第2高さ21fを測定する(図12(B)参照)。次いで、コントローラ32が、第2補正径25e図12(A)参照)を算出する。
【0095】
図12(A)は、第2のウェーハ21の径21e及び第2補正径25eを示すグラフであり、図12(B)は、第2のウェーハ21の表面21aの第2高さ21fを含む複数のウェーハの表面の高さを示すグラフである。
【0096】
なお、第2のウェーハ21等の他のウェーハは、第1のウェーハ11と同じ材料、径、厚さ等を有し、更に、第1のウェーハ11と同じ厚さ及び同じ材料で形成された薄膜13を有する。
【0097】
算出測定ステップS20では、チャックテーブル4を回転させながら、第2のウェーハ21のエッジ(外周端部)21cを横断する様に線状のレーザービームLを照射する。そして、上述の第1のプログラムを実行して径21eを算出すると共に、第2高さ21fを得る。
【0098】
図12(B)に示す様に、第2のウェーハ21の厚さ(即ち、表面21aから裏面21bまでの距離)は、第1のウェーハ11の厚さ(即ち、表面11aから裏面11bまでの距離)と略同じであるにも関わらず、チャックテーブル4の熱膨張に起因して、第2高さ21fは第1高さ11fよりも僅かに高くなる。
【0099】
次に、上述の第2のプログラムを実行して第2補正径25eを得る。特に、算出測定ステップS20では、カメラユニット12を使用せずに、差分算出ステップS16で得られた差分Δを径21eに加えることで、補正された第2補正径25eを得る。
【0100】
この様に、レーザー変位計16でウェーハの径を測定する際に薄膜13に起因する誤差(即ち、上述の差分Δ)を補正することで、第2のウェーハ21以降のウェーハでは、カメラユニット12を使用せずレーザー変位計16のみを使用して、ウェーハの径を測定できる。
【0101】
それゆえ、カメラユニット12の直下と、レーザー変位計16の直下と、の間で、チャックテーブル4を行き来させる必要が無くなるので、レーザー変位計16を使用して、ウェーハの径と、ウェーハの表面の高さと、を一度に測定することができる。
【0102】
算出測定ステップS20の後、第2のウェーハ21の表面21a側の外周部に回転する切削ブレード14cを切り込ませた状態でチャックテーブル4を回転させることにより、表面21a側の外周部を除去するエッジトリミングを行う(第2加工ステップS22)。
【0103】
図13は、第2加工ステップS22を示す斜視図である。第2加工ステップS22でも、第2補正径25eと、第2高さ21fと、に基づいて、コントローラ32が切削ユニット14のY軸方向及びZ軸方向の位置を微調整しながら、第2のウェーハ21を切削(加工)する。
【0104】
第2加工ステップS22でも、表面21a側の面取り部が除去され、環状の段差部が形成される。第2補正径25eと、第2高さ21fと、を使用して、回転する切削ブレード14cの下端の位置をY軸方向及びZ軸方向で微調整するので、微調整しない場合に比べて、第2のウェーハ21の周方向で環状の段差部の深さ及び幅をより均一にできる。
【0105】
第2加工ステップS22の後、更に他のウェーハを同様に加工する場合(S30でYES)には、算出測定ステップS20に戻り、同様にレーザー変位計16及び差分Δを利用して補正径を算出すると共に、表面の高さを算出する。一方で、第2加工ステップS22の後、他のウェーハを加工しない場合(S30でNO)には、フローを終了する。
【0106】
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。各ウェーハは、それぞれ円板状であり表面側及び裏面側に面取り部がそれぞれ形成されている複数のウェーハが接着剤、粘着剤等を利用して貼り合わせられた、所謂、貼り合わせウェーハであってもよい。
【0107】
例えば、2枚のウェーハが貼り合わせられている場合、一のウェーハの外周部を切削することで表裏面の面取り部を除去し、小径化することがある。この場合、他のウェーハは、一のウェーハから剥がして再利用するので、一のウェーハの切削中に他のウェーハを切削することは好ましくない。
【0108】
そこで、本件の加工方法を適用して、回転する切削ブレード14cの下端の位置をY軸方向及びZ軸方向で微調整すれば、貼り合わせウェーハにおいて一のウェーハの外周部を切削する際に他のウェーハを切削することを防止できる。
【0109】
また、ウェーハの外表面の全体(例えば、第1のウェーハ11の表面11a、裏面11b及びエッジ11cを含む全体)に薄膜13が形成されている場合に限定されず、少なくともエッジを含む領域に薄膜13が形成されている場合にも、本件の加工方法が有用である。
【0110】
ところで、第2径算出ステップS12及び高さ測定ステップS14は、略同時に行われてよく、任意の順序で行われてもよい。例えば、高さ測定ステップS14の後に第2径算出ステップS12を行ってもよい。
【0111】
差分算出ステップS16の前に第1径算出ステップS10及び第2径算出ステップS12が完了していれば、高さ測定ステップS14及び差分算出ステップS16は、どちらが先に行われてもよい。
【0112】
また、チャックテーブル4は、上述の例に限定されず、環状の保持面を有してもよい。この場合、チャックテーブル4は、第1のウェーハ11の径方向において面取り部11dよりも内側に位置する環状領域を支持する。
【符号の説明】
【0113】
2:切削装置、4:チャックテーブル、4a:保持面
6:枠体、6a:凹部、6b:吸引路、8:多孔質板、10:回転軸、10a:回転中心
11:第1のウェーハ、11a:表面(他面)、11b:裏面(一面)
11c:エッジ(外周端部)、11d,11d:面取り部
11e:第1径、11e:第2径
11f:第1高さ、11g:段差部、11g:深さ、11g:幅
12:カメラユニット
13:薄膜
14:切削ユニット、14a:スピンドルハウジング
14b:スピンドル、14c:切削ブレード
15e:第1補正径
16:レーザー変位計(レーザー測定器)、16a:被照射領域
18:照射ユニット、18a:光源、18b:レンズ、18c:筐体、18d:開口
20:受光ユニット、20a:筐体、20b:集光レンズ、20c:固体撮像素子
20d:開口、20e:光電変換素子
21:第2のウェーハ、21a:表面(他面)、21b:裏面(一面)
21c:エッジ(外周端部)、21e:径、21f:第2高さ、25e:第2補正径
22:移動機構、24:ベース部、26:ガイドレール、28:ねじ軸、30:駆動源
32:コントローラ
A,B:所定方向、C:領域、Δ:差分、L:レーザービーム、L,L,L:成分
S10:第1径算出ステップ、S12:第2径算出ステップ、S14:高さ測定ステップ
S16:差分算出ステップ、S18:第1加工ステップ、S20:算出測定ステップ
S22:第2加工ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13