(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138630
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】研削加工システム、及び、機械学習装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/18 20060101AFI20241002BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20241002BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20241002BHJP
B24B 49/16 20060101ALI20241002BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20241002BHJP
B24B 53/053 20060101ALI20241002BHJP
B24B 53/14 20060101ALI20241002BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241002BHJP
B24B 53/00 20060101ALI20241002BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20241002BHJP
【FI】
B24B49/18
B24B49/12
B24B49/10
B24B49/16
B24B9/00 601H
B24B53/053
B24B53/14
H01L21/304 622R
H01L21/304 611A
B24B53/00 A
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049213
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】片山 翔
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C049
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA01
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA22
3C034CB12
3C034DD10
3C034DD20
3C047BB04
3C047BB15
3C047EE11
3C047EE17
3C049AA03
3C049AA18
3C049AA19
3C049AC02
3C049BA06
3C049BA09
3C049BB06
3C049BB08
3C049BB09
3C049BC03
3C049CB03
3C049CB04
5F057AA12
5F057CA09
5F057DA11
5F057EB15
5F057FA13
5F057GA16
(57)【要約】
【課題】 熟練技術者等でなくても、容易にツルーイング条件を設定できる、研削加工システムの提供
【解決手段】 所定の加工条件に基づき、回転する砥石とワークとを接触させて、上記ワークを目標形状に研削加工する加工装置10と、上記ワークの形状を測定する形状測定装置65と、上記研削加工の際の加工負荷、及び、加工振動を含む状態データ(1)を取得するセンサ66と、情報処理装置60と、を備え、上記情報処理装置は、上記加工条件、上記状態データ(1)、及び、上記目標形状と研削加工後の上記ワークの形状との比較の結果を学習済みモデルに入力し、上記学習済みモデルによって上記目標形状に合致し得るツルーイング条件を算出する算出部を備える、研削加工システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の加工条件に基づき、回転する砥石とワークとを接触させて、前記ワークを目標形状に研削加工する加工装置と、
前記ワークの形状を測定する形状測定装置と、
前記研削加工の際の加工負荷、及び、加工振動を含む状態データ(1)を取得するセンサと、情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、前記加工条件、前記状態データ(1)、及び、前記目標形状と研削加工後の前記ワークの形状との比較の結果を学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルによって前記目標形状に合致し得るツルーイング条件を算出する算出部を備える、研削加工システム。
【請求項2】
更に、前記ツルーイング条件に従って前記砥石をツルーイングするツルーイング装置を備える、請求項1に記載の研削加工システム。
【請求項3】
前記比較の結果は、前記目標形状、及び、前記形状からそれぞれ予測される前記砥石の形状の差に基づき算出される形状乖離度を含む、請求項1又は2に記載の研削加工システム。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、前記加工条件と、前記状態データ(1)と、前記比較の結果と、前記ツルーイング条件と、前記ツルーイングの際の加工負荷、及び、加工振動を含む状態データ(T)と、前記ツルーイング後の前記砥石による研削結果と、を含む訓練データセットによって予め機械学習される、請求項1又は2に記載の研削加工システム。
【請求項5】
前記訓練データセットは、本来の研削対象物よりも厚い参照ワークである前記ワークを用いて取得されたレコードを含む、請求項4に記載の研削加工システム。
【請求項6】
前記研削結果は、前記目標形状、及び、前記ツルーイング後の前記砥石による研削加工により得られた前記ワークの形状の比較の結果を含む、請求項4に記載の研削加工システム。
【請求項7】
所定の加工条件に基づき、回転する砥石とワークとを接触させて、前記ワークを目標形状に研削加工する加工装置における、前記目標形状と前記加工条件とを取得する条件取得部と、
前記研削加工の際の加工負荷、及び、加工振動を含む状態データ(1)を取得する状態データ取得部と、
研削加工後の前記ワークの形状の測定結果を取得する形状データ取得部と、
前記目標形状と前記形状とを比較する比較部と、
前記比較の結果に基づき設定されるツルーイング条件を取得するレシピ取得部と、
前記ツルーイング後の前記砥石による研削結果を取得する結果取得部と、
前記加工条件、前記状態データ(1)、前記比較の結果、前記ツルーイング条件、及び、前記研削結果を含む訓練データセットを用いた機械学習により、前記加工条件、前記状態データ(1)、前記比較の結果、及び、前記研削結果と前記ツルーイング条件との関係を学習する学習部と、を備える機械学習装置。
【請求項8】
前記比較の結果は、前記目標形状、及び、前記形状からそれぞれ予測される前記砥石の形状の差に基づき算出される形状乖離度を含む、請求項7に記載の機械学習装置。
【請求項9】
前記訓練データセットは、本来の研削対象物よりも厚い参照ワークである前記ワークを用いて取得されたレコードを含む、請求項7又は8に記載の機械学習装置。
【請求項10】
前記研削結果は、前記目標形状、及び、前記ツルーイング後の前記研削加工により得られた前記ワークの形状の比較の結果を含む、請求項7に記載の機械学習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削加工システム、及び、機械学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、及び、電子部品等の素材となるシリコンウェーハの製造工程には、面取り加工がある。面取り加工は、インゴットからワイヤーソー等のスライシング装置で切り出されたウェーハの外周部に施される。面取り加工によりウェーハの周縁の割れ、及び、欠け等が抑制される。
【0003】
面取り加工には、面取り装置と呼ばれる加工装置が用いられる。面取り装置には、各種の砥石が複数取り付けられている。ウェーハ等のワークの外周部、ノッチ部等は、この砥石で研削加工される。
これらの円盤状の砥石のいくつかは、外周部に溝を有する。砥石を回転させてこの溝をワークに接触させることで、ワークが面取り加工される。この溝の形状は、得られるワークの形状に影響する。そのため、面取り装置には、この溝の形状を調整したり、所望の溝を形成したりするためのツルーイング砥石が備えられていることがある。
【0004】
一般に、ツルーイングは、ワークの目標形状に合わせて行われる。ワークの形状は砥石(例えば、砥石の溝)により形成される。そのため、ツルーイングは、所望の先端形状、面取り角度、コーナーR、及び、面幅等を有する(研削済み)ワークが得られるような砥石形状を、いわば逆算するようにして行われる。具体的には、目標形状に合わせてツルーイング砥石を変更したり、ツルーイング方法が変更されたりする。
【0005】
このような方法として、特許文献1には、「ウェーハを保持して回転するウェーハテーブルと、前記ウェーハの外周部を面取りする砥石と、前記ウェーハテーブルを前記砥石に対して相対的に移動させる移動手段と、前記砥石に対して前記ウェーハの外周部を面取りする為の溝を形成するツルーイング砥石とを備えたウェーハ面取り装置を用い、前記ツルーイング砥石を前記ウェーハテーブルの回転軸上に取付け、前記ツルーイング砥石を回転させながら、前記ツルーイング砥石の端部を前記ウェーハ外周部の面取り形状に相当する軌道上に沿って前記移動手段により前記砥石に対して相対的に移動させて、前記溝の形成を行なうことを特徴とするウェーハ面取り砥石のツルーイング方法。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法は、ウェーハのサイズ、及び/又は、加工形状に変更があっても、ツルーイング砥石の変更の必要がなく、効率的で優れたツルーイング方法であった。
【0008】
しかし、実際の運用では、砥石・ツルアーのボンドの種類(メタル、レジン等)、砥石径、及び、集中度等の条件、並びに、使用により蓄積するツルアーのたわみ・摩耗等の条件によって、ツルーイング条件を緻密に調整する必要あった。
このような調整には、熟練技術者の経験、又は、勘といった属人的な技能が必要とされてきた。これは、自動化が進むウェーハ面取り工場においては、ダウンタイム増大の原因の一つと考えられており、改善が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、熟練技術者等でなくても、容易にツルーイング条件を設定できる、研削加工システムの提供を課題とする。
また、本発明は、機械学習装置を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決することができることを見出した。
【0011】
[1] 所定の加工条件に基づき、回転する砥石とワークとを接触させて、上記ワークを目標形状に研削加工する加工装置と、上記ワークの形状を測定する形状測定装置と、上記研削加工の際の加工負荷、及び、加工振動を含む状態データ(1)を取得するセンサと、情報処理装置と、を備え、上記情報処理装置は、上記加工条件、上記状態データ(1)、及び、上記目標形状と研削加工後の上記ワークの形状との比較の結果を学習済みモデルに入力し、上記学習済みモデルによって上記目標形状に合致し得るツルーイング条件を算出する算出部を備える、研削加工システム。
[2] 更に、上記ツルーイング条件に従って上記砥石をツルーイングするツルーイング装置を備える、[1]に記載の研削加工システム。
[3] 上記比較の結果は、上記目標形状、及び、上記形状からそれぞれ予測される上記砥石の形状の差に基づき算出される形状乖離度を含む、[1]又は[2]に記載の研削加工システム。
[4] 上記学習済みモデルは、上記加工条件と、上記状態データ(1)と、上記比較の結果と、上記ツルーイング条件と、上記ツルーイングの際の加工負荷、及び、加工振動を含む状態データ(T)と、上記ツルーイング後の上記砥石による研削結果と、を含む訓練データセットによって予め機械学習される、[1]又は[2]に記載の研削加工システム。
[5] 上記訓練データセットは、本来の研削対象物よりも厚い参照ワークである上記ワークを用いて取得されたレコードを含む、[4]に記載の研削加工システム。
[6] 上記研削結果は、上記目標形状、及び、上記ツルーイング後の上記砥石による研削加工により得られた上記ワークの形状の比較の結果を含む、[4]に記載の研削加工システム。
[7] 所定の加工条件に基づき、回転する砥石とワークとを接触させて、上記ワークを目標形状に研削加工する加工装置における、上記目標形状と上記加工条件とを取得する条件取得部と、上記研削加工の際の加工負荷、及び、加工振動を含む状態データ(1)を取得する状態データ取得部と、研削加工後の上記ワークの形状の測定結果を取得する形状データ取得部と、上記目標形状と上記形状とを比較する比較部と、上記比較の結果に基づき設定されるツルーイング条件を取得するレシピ取得部と、上記ツルーイング後の上記砥石による研削結果を取得する結果取得部と、上記加工条件、上記状態データ(1)、上記比較の結果、上記ツルーイング条件、及び、上記研削結果を含む訓練データセットを用いた機械学習により、上記加工条件、上記状態データ(1)、上記比較の結果、及び、上記研削結果と上記ツルーイング条件との関係を学習する学習部と、を備える機械学習装置。
[8] 上記比較の結果は、上記目標形状、及び、上記形状からそれぞれ予測される上記砥石の形状の差に基づき算出される形状乖離度を含む、[7]に記載の機械学習装置。
[9] 上記訓練データセットは、本来の研削対象物よりも厚い参照ワークである上記ワークを用いて取得されたレコードを含む、[7]又は[8]に記載の機械学習装置。
[10] 上記研削結果は、上記目標形状、及び、上記ツルーイング後の上記研削加工により得られた上記ワークの形状の比較の結果を含む、[7]に記載の機械学習装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熟練技術者等でなくても、容易にツルーイング条件を設定できる、研削加工システムが提供できる。
また、本発明によれば、機械学習装置も提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の研削加工システムの第1の実施例のハードウェア構成図である。
【
図3】ツルアーにより研削砥石をツルーイング加工する様子を示した側面図である。
【
図4】本発明の研削加工システムの第1の変形例のハードウェア構成図である。
【
図5】本発明の研削加工システムの第2の変形例のハードウェア構成図である。
【
図7】
図7(a)は、研削砥石55により研削された研削後のワークW1のエッジ断面模式図であり、
図7(b)は、その研削に使用された研削砥石55の加工溝の断面模式図である。
【
図9】研削加工システムの動作フローの第1の実施例のフロー図である。
【
図10】研削加工システムの動作フローの第2の実施例の表すフロー図である。
【
図11】研削加工システムの動作フローの第3の実施例のフロー図である。
【
図12】本発明の機械学習装置の実施例のハードウェア構成図である。
【
図14】機械学習装置を用いて訓練データセットを構成するレコードを取得する方法のフロー図である。
【
図15】機械学習装置を用いて訓練データセットを構成するレコードを取得する方法の第1の変形例のフロー図である。
【
図16】機械学習装置を用いて訓練データセットを構成するレコードを取得する方法の第2の変形例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0015】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化した一例であって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、及び、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があり、また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なることがある。
【0016】
[研削加工システム]
図1は、本発明の研削加工システムの第1の実施例のハードウェア構成図である。研削加工システム100は、加工装置10、形状測定装置65、及び、情報処理装置60を備える。加工装置10は、研削砥石55、ツルアー41、及び、センサ66を備える。各部は情報処理装置60によって制御され、互いにデータを通信可能に構成される。
【0017】
・加工装置
まず、加工装置10について説明する。
図2は、加工装置10の主要部を示す正面図である。加工装置10は、ウェーハ面取り装置である。ウェーハをワークとして、その面取りを行う加工装置である。なお、加工装置は、ウェーハ面取り装置に限られるものではなく、回転する砥石を、回転してもよいワークに接触させて加工を行う装置であれば、どのようなものであってもよい。
【0018】
加工装置10は、ウェーハ送りユニット20、砥石回転ユニット50、図示しないウェーハ供給/収納部、ウェーハ洗浄/乾燥部、及び、ウェーハ搬送手段を備える。また、加工装置10は、情報処理装置60によって制御される。言い換えれば、情報処理装置60は、加工装置10のコントローラとしても機能する。
【0019】
ウェーハ送りユニット20は、Xテーブル24を備える。Xテーブル24は、X軸駆動機構25によって図のX方向に移動され得る。X軸駆動機構25は、本体ベース11上に載置されたX軸ベース21、2本のX軸ガイドレール22、4個のX軸リニアガイド23、ボールスクリュー、及び、ステッピングモータから構成される。
【0020】
Xテーブル24には、Yテーブル28が組み込まれる。Yテーブル28は、Y軸駆動機構によって図のY方向に移動され得る。Y軸駆動機構は、2本のY軸ガイドレール26、4個のY軸リニアガイド27、図示しないボールスクリュー、及び、ステッピングモータから構成される。
【0021】
Yテーブル28には、Zテーブル31が組み込まれる。Zテーブル31は、Z軸駆動機構30によって図のZ方向に移動され得る。Z軸駆動機構30は、ボールスクリュー、及び、ステッピングモータからなる。Z軸駆動機構30は、2本のZ軸ガイドレール29と図示しない4個のZ軸リニアガイドとによって案内される。
【0022】
Zテーブル31には、θ軸モータ32、θスピンドル33が組み込まれる。
θスピンドル33にはワークW(板状材)を吸着載置するウェーハテーブル34が取り付けられる。ウェーハテーブル34はウェーハテーブル回転軸心CWを中心として図のθ方向に回転され得る。
【0023】
ウェーハ送りユニット20によって、ワークW、及び、ツルアー41は図のθ方向に回転され得る。また、ウェーハ送りユニット20によって、ワークW、及び、ツルアー41はX、Y、及びZ方向に移動され得る。
【0024】
砥石回転ユニット50は、外周砥石スピンドル51、外周精研スピンドル54、及び、外周精研モータ56を備える。
外周砥石スピンドル51には、外周粗研削砥石52が取り付けられる。外周砥石スピンドル51は、図示しない外周砥石モータによって軸心CHを中心に回転駆動される。
外周精研スピンドル54はターンテーブル53に取り付けられる。ターンテーブル53は、外周砥石スピンドル51の上方に取り付けられる。
【0025】
外周精研スピンドル54には、研削砥石55が取り付けられる。研削砥石55は、ワークWの外周を仕上げ研削する面取り用砥石である。
外周精研スピンドル54は、ワークWの回転軸(例えば、ウェーハテーブル回転軸心CW)に対して回転軸が3~15°、望ましくは6~10°傾斜される。外周精研スピンドル54は、傾斜された状態でワークWの外周面取りの仕上げ加工を行う。
ワークWの回転軸(例えば、ウェーハテーブル回転軸心CW)に対して回転軸が傾いた状態で実施される研削を、ヘリカル研削と称する。ヘリカル研削には、ワークWの面取り部の表面粗さを改善する効果がある。
【0026】
ウェーハの加工は、インゴットのスライス、面取り、ラップ、エッチング、ドナーキラー、面取りの順で行われる。これらの工程間には、汚れを取り除くための洗浄工程が更に含まれることがある。
ウェーハの材質の1つであるシリコンは固くてもろい。従って、ウェーハの端面がスライシング時の鋭利なままでは、これに続く処理工程(搬送、位置合わせ等)において割れ、欠けが生ずるおそれがある。割れ、欠けが生ずると、断片が当該ウェーハ、及び/又は、他のウェーハの表面を傷つけたり、汚染したりする。
これを防ぐため、面取り工程では、ダイヤモンドでコートされた面取り砥石を使用して、切り出されたウェーハの端面が面取りされる。
【0027】
研削砥石55は、ボンドと砥粒とにより構成される。砥粒は、Fe(鉄)、Cr(クロム)、及び、Cu(銅)等の金属粉を主成分とし、これとダイヤモンド砥粒との混合物が使用されることが多い。
一方、ボンドは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、及び、ポリエチレン樹脂等のレジンが使用されることが多い。
【0028】
研削砥石55の具体例としては、直径50mmのダイヤモンド砥粒のレジンボンド砥石が挙げられる。粒度としては、例えば、#3000が挙げられる。外周精研スピンドル54は、エアーベアリングを用いたビルトインモータ駆動のスピンドルで、例えば、回転速度35000rpmで回転される。
【0029】
研削対象物であるワークの材質は、例えば、半導体、ガラス、サファイア(Al2O3)、アルミナセラミック等のセラミックであってよい。また、ワークの材質は、石英、ジルコニア、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ポリカーボネート、及び、光学結晶材料等であってよい。
より具体的には、ワークの材質は、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)、ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)、窒化珪素(SiN)、タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)、窒化アルミニウム(AlN)、及び、酸化珪素(SiO2)等であってよい。なかでも、珪素(Si)が好ましい。
【0030】
また、ワークは、単結晶、多結晶、及び、ガラスのいずれであってもよい。
本明細書において、単に「ワーク」というときには、製品である「品種ワーク」と、後述する「参照ワーク」とが含まれる。参照ワークについては後述するが、訓練データセットを構成するレコードを取得するのに用いられる。品種ワークと参照ワークとは、同一の材質で構成されることが好ましい。品種ワークと参照ワークとが同一の素材で構成される場合、学習モデルがより適したツルーイング条件を算出できる。この点については後述する。
【0031】
・ツルアー
次に、ツルアーについて説明する。
図3は、ツルアー41により研削砥石55がツルーイング加工される様子を示した側面図である。研削砥石55は溝を有する。この溝は、面取り加工に使用され、ツルアー41によって形成される。円盤状のツルアー41は、ウェーハテーブル34の下部にウェーハテーブル回転軸心CWと同芯で取付けられる。ツルアー41は、ウェーハテーブル34で回転される。ツルアー41の形状は、ツルア―41を成形する、又はツルアー41の形状を調整するための(図示しない)砥石(以下、マスター砥石)で予め研削して調整される。ツルアー41の外周部には、(図示しない)マスター砥石のマスター溝の断面形状が転写される。
【0032】
ツルアー41は、例えば、炭化珪素からなる砥粒を、必要に応じて充填剤等も加えてフェノール樹脂で結合し、これを円盤状に成形したものが好ましい。
また、ツルアー41は、加工されるワークWと同等以下の外径であり、同厚の円盤状GC(Green silicon carbide)砥石、及び、WA(White fused alumina)砥石等でもよい。この場合、砥石の粒度は#320程度が好ましい。
【0033】
・センサ
研削加工システム100が有するセンサ66は、研削加工の際の状態データを取得する。状態データは、加工負荷、及び、加工振動を含む。状態データは上記以外の情報を含んでもよい。
【0034】
なお、本明細書では、ツルーイング前の研削砥石55(以下、「研削砥石55(BT)」ともいう)により、ワークWが研削される際の状態データを、「状態データ(1)」と称する。
また、ツルーイング後の研削砥石55(以下、「研削砥石55(AT)」ともいう)により、ワークWが研削される際の状態データ、を「状態データ(2)」と称する。
また、研削砥石55(BT)がツルアー41でツルーイングされる際の状態データを「状態データ(T)」と称する。
【0035】
センサ66は、状態データ(1)を取得する。より適したツルーイング条件が得られる点で、センサは、更に、状態データ(2)、及び、状態データ(T)からなる群より選択される少なくとも1種の情報を取得することが好ましく、状態データ(1)、状態データ(2)、及び、状態データ(T)を取得することがより好ましい。
また、センサ66は、ツルアー41がマスター砥石で研削される際の状態データを取得してもよい。
「状態データ(T)」にはツルアーの状態(摩耗・反り等)が反映される。そのため、この情報を学習済みモデルの入力に含めると、より適したツルーイング条件が算出できる。
ツルアー41が研削される際の状態データは、マスター砥石の状態(摩耗状況等)が反映される。そのため、この情報を学習済みモデルの入力に含めると、より適したツルーイング条件が算出できる。
【0036】
状態データは、加工負荷、及び、加工振動を含む。加工負荷は、応力センサ、トルクセンサ、及び、(加)速度センサ等により取得され得る。加工振動は、振動センサにより取得され得る。
同じ加工条件で研削加工・ツルーイングが実施された場合でも、装置各部の劣化・摩耗、ツルアーの反り・摩耗等によって、得られる結果が異なることを本発明は知見している。
【0037】
なかでも、加工負荷、及び、加工振動には、装置、砥石、及び、ツルアーの状態が最も反映されやすい。従って、これらの情報を学習済みモデルの入力に含めると、より適したツルーイング条件が算出できる。また、学習済みモデルの訓練データセットに含めると、より適した(目標形状に合致し得る)ツルーイング条件が算出できる学習済みモデルが得られる。なお、これらは相乗的に効果を発揮する。
【0038】
状態データは、上記以外にも、モータの回転数、ワーク近傍の温度、及び、雰囲気温湿度等を含んでもよい。これらの状態データは、公知のセンサ66を用いて測定でき、センサ66は、その測定項目に応じて、加工装置10の所定の箇所に(図示しない)に配置される。
【0039】
なお、本明細書において「適したツルーイング条件」というときには、そのツルーイング条件により研削砥石55(BT)をツルーイングした場合に、得られる研削砥石55(AT)によりワークを研削すると、目標形状に合致する可能性が高いことを意味する。従って、「より適したツルーイング条件」というときには、その条件でツルーイングして得られる研削砥石(AT)により研削したとき、得られるワークの形状が目標形状に合致する可能性がより高いことを意味する。
【0040】
・形状測定装置
研削加工システム100が有する形状測定装置65は、ワークWの形状を測定し、形状データを取得するための装置である。形状測定装置65としては、公知の白色干渉方式、及び、レーザ共焦点方式の形状測定装置等が使用できる。なお、形状測定装置65は、ワークWに加えて、ツルアーの形状、及び/又は、マスター砥石の形状データを取得してもよい。
なお、研削砥石55(BT)により研削されたワークの形状データを「形状データ(1)」と称する。また、研削砥石55(AT)により研削されたワークの形状データを「形状データ(2)」と称する。
【0041】
形状測定装置65が、ツルアーの形状データを取得する場合、後述するツルーイング条件の算出に際して、ツルアーの状態(摩耗状況等)も考慮されることとなる。そのため、ツルアーの形状データを学習済みモデルの入力に含めると、より適したツルーイング条件が算出される。
また、形状測定装置65が、マスター砥石の形状データを取得する場合、後述するツルーイング条件の算出に際して、マスター砥石の状態(摩耗状況等)も考慮されることとなる。そのため、マスター砥石の形状データを学習済みモデルの入力に含めると、より適したツルーイング条件が算出できる。
【0042】
形状測定装置65により取得される形状データは、少なくとも、目標形状に対応する形状を含む。目標形状は、通常は装置のユーザ(オペレータ)により設定される。
形状測定装置65は、ワークの所定の1か所以上のエッジ形状を含む形状データを取得すればよく、ウェーハの全周にわたる形状データを取得することが好ましい。
なお、「目標形状に対応する形状」とは、目標形状との比較により、目標形状との差を計算可能な、及び/又は、検討可能な形状を意味する。形状データは、目標形状を構成するデータと互いに対比可能なデータを意味する。
【0043】
・情報処理装置60
情報処理装置60は、プロセッサ61と、メモリ62と、入出力I/F(インターフェース)63と、通信I/F64を有する。情報処理装置60は、典型的にはコンピュータである。
【0044】
プロセッサ61は、例えば、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)、及び、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)等である。
【0045】
メモリ62は、各種プログラム、及び、データを一時的に、及び/又は、非一時的に記憶する機能を有し、プロセッサの作業エリアを提供する。
メモリ62は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、及び、SSD(Solid State Drive)等である。
【0046】
入出力I/F63には、各種入出力デバイス等が接続される。また、形状測定装置65、及び、加工装置10もまた、入出力I/F63を介して接続されてもよい。
入出力I/F63を介して情報処理装置60と接続される(図示しない)入力デバイスは、研削加工システム100への各種情報入力、及び、指示の入力のためのデバイスである。入力デバイスは、キーボード、マウス、スキャナ、及び、タッチパネル等でよい。
【0047】
また、入出力I/F63を介して情報処理装置60と接続される(図示しない)出力デバイスは、研削加工システム100のステータス、及び、各種結果等を出力するためのデバイスである。出力デバイスは、液晶ディスプレイ、及び、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等でよい。
また、出力デバイスは、入力デバイスと一体として構成されていてもよい。この場合、出力デバイスがタッチパネルディスプレイであって、GUI(Graphical User Interface)を提供する形態が挙げられる。
【0048】
情報処理装置60は、通信I/F64を介してインターネット、ワイド・エリア・ネットワーク、及び、ローカル・エリア・ネットワーク等のコンピュータネットワークと接続される。形状測定装置65、加工装置10、及び、センサ66は、通信I/F64を介して、言い換えれば、コンピュータネットワークを介して、情報処理装置60と接続されていてもよい。
また、情報処理装置60は、入力デバイス、及び/又は、出力デバイスの有無にかかわらず、通信I/F64を介して、言い換えれば、コンピュータネットワークを介して、各種情報の入力データを受け付け、及び/又は、出力データを送信してもよい。
【0049】
(研削加工システムの第1変形例)
ここで、本発明の研削加工システムの第1の変形例について説明する。
図4は、そのハードウェア構成図である。研削加工システム110は、コントローラ67aにより制御される加工装置10、コントローラ67bにより制御されるツルーイング装置68、及び、形状測定装置65を備える。また、加工装置10は、研削砥石55と、センサ66aとを備え、ツルーイング装置68は、ツルアー41と、センサ66bとを備える。
【0050】
研削加工システム110と研削加工システム100との主たる相違点は、加工装置10と、ツルーイング装置68とが、別のハードウェアとされ、それぞれにコンピュータであるコントローラ67a、67bにより制御され得ることである。研削加工システム110では、情報処理装置60は、コントローラ67a、67bを介して加工装置10、ツルーイング装置68を制御し、各種データを取得できる。
【0051】
研削加工システム110は、加工装置10、及び/又は、ツルーイング装置68を複数台有していてもよい。研削加工システム110は、加工装置10の機外でツルーイングを実施可能な構成である。研削加工システム110が複数の加工装置10を有する場合でも、ツルーイング装置68の接続台数はこれより少なくても通常は問題ない。そのため、加工装置10を並列化して研削加工システム110の処理能力を向上するような構成とする場合でも、ツルーイング装置68の接続台数は、これより少なくしてもよく、より安価に実施できる。
【0052】
なお、研削加工システム110は、コントローラ67a、67bのハードウェア構成は、情報処理装置60と同様である。情報処理装置60、及び、コントローラ67a、67bは、入出力I/F63、又は、通信I/F64を介して接続されており、相互にデータのやり取りができる。
【0053】
また、研削加工システム110は、加工装置10における、主に研削加工時の状態データ(1)を取得するためのセンサ66aを備える。また、上記とは別に、ツルーイング装置68における、状態データ(T)、及び、ツルアーの研削の際の状態データを取得するためのセンサ66bを備える。センサ66a、66bは、同一の項目を測定する複数のセンサ素子によって構成されていてもよいし、別の項目を測定する複数のセンサ素子によって構成されていてもよい。
研削加工システム110は、少なくとも加工装置10のセンサ66aを備えればよいが、センサ66a、66bを備えることで、より適したツルーイング条件が算出できる。
【0054】
(研削加工システムの第2変形例)
図5は、本発明の研削加工システムの第2の変形例のハードウェア構成図である。研削加工システム120は、加工装置10、形状測定装置65、及び、これらを制御するコントローラ67を備えるクライアント装置69と、これとコンピュータネットワークNTを介して接続される情報処理装置60とを備える。
また、加工装置10は、研削砥石55、ツルアー41、及び、センサ66を備える。
情報処理装置60は、クライアント装置69を制御し、ワークWを加工し、研削砥石55をツルーイングし、及び、各種データを取得できる。
【0055】
図5の研削加工システム120では、情報処理装置60の1台に対して、クライアント装置69の1台が、コンピュータネットワークNTを介して接続されている。しかし、本変形例におけるクライアント装置69の接続台数は上記に限定されない。情報処理装置60の1台に対し、複数台のクライアント装置69が接続されることが好ましい。研削加工システムをそのように構成することで、ツルーイング条件の設定等の高度な機能を情報処理装置60に集約できる。すると、それぞれのクライアント装置69のコントローラ67の機能を最低限(例えば、通信、メモリ機能等)に絞り得る。この場合、システム全体のコストを低減しつつ、加工処理能力を向上することができる。
【0056】
以上、本発明の研削加工システムの実施形態について、変形例を含めてそのハードウェア構成について説明した。次に、各部の機能等について説明する。ここで、各部の機能については、変形例である研削加工システム110、120も、研削加工システム100と同様のため、以下では、研削加工システム100を例として説明する。
【0057】
図6は、研削加工システムの機能ブロック図である。
研削加工システム100は、加工部78と、形状測定装置65と、ツルーイング部79と、制御部70と、記憶部76と、出力部77と、条件取得部71と、状態データ取得部72と、形状データ取得部73と、比較部74と、算出部75とを有する。
【0058】
制御部70は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行することで実現される機能である。制御部70は、研削加工システム100の各部を制御し、その機能を実現させる。
【0059】
加工部78は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して、センサ66を含む加工装置10を制御することにより実現される機能である。加工部78は、後述する条件取得部71によって取得された目標形状、及び、加工条件に従い、研削砥石55を含む砥石群によってワークを目標形状に加工する。更に、研削砥石55(BT)でワークWを研削する際の状態データ(1)をセンサ66により取得する。
また、加工部78は、研削砥石55(AT)によるワークWの加工も行い、その際の状態データ(2)も取得する。
【0060】
形状測定装置65は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行することで制御される。形状測定装置65は、加工後のワークWの形状を測定して形状データ(1)を得る機能を有する。
【0061】
なお、より適したツルーイング形状が算出可能であること、及び/又は、ツルーイングの効果を確認できる点で、形状測定装置65は、形状データ(2)を測定することが好ましい。
また、より適したツルーイング形状が算出可能である点で、形状測定装置は、ツルアー41の形状を測定して、ツルアーの形状データを取得することが好ましい。
また、より適したツルーイング形状が算出可能である点で、形状測定装置は、マスター砥石の形状を測定して、マスター砥石の形状データを取得することが好ましい。
【0062】
ツルーイング部79は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して、センサ66を含む加工装置10が制御されることにより実現される機能である。ツルーイング部79は、後述する算出部75によって算出されたツルーイング条件に従い、研削砥石55を、目標形状を得るために適した形状とするために必要なツルーイングを実施する。更に、ツルーイングの際の状態データ(T)をセンサ66により取得する。
【0063】
記憶部76は、入出力I/F63、及び、通信I/F64を介して取得されたデータ;加工部78、形状測定装置65、及び、ツルーイング部79から得られたデータ;プログラム;等を一時的又は非一時的に記憶する機能である。記憶部76は、ハードウェアとしてはメモリ62を含んで構成される。
【0064】
出力部77は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して、入出力I/F63に接続される出力デバイス等が制御されて実現するか、又は、通信I/F64が接続されるコンピュータネットワークを介して実現される機能である。出力部77は、形状乖離度、及び、ツルーイング条件等を出力する。
【0065】
条件取得部71は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。条件取得部71は、入出力I/F63、及び/又は、通信I/F64を介して外部acpt1から入力される目標形状、及び、加工条件を取得し、記憶部76に格納する。
目標形状は、ワークWの加工されるべき形状を示すデータである。目標形状は、所定の許容差を含んでもよい。目標形状には、形状測定装置65により測定される形状データと比較可能なデータを含む。また、ワークの厚み、及び、材質等の情報を更に含んでいてもよい。
目標形状は、一般に、オペレータ等により研削加工システムに入力され得る。条件取得部71はこれを取得する。しかし、目標形状は、予め記憶部76に記憶された1つ又は複数のパターンから選択されてもよい。その場合、条件取得部71は、その選択指示を取得する。
【0066】
加工条件は、加工装置10の各部の制御パラメータである。加工条件に含まれるパラメータとしては、例えば、研削砥石55を含む砥石・ツルアーのボンドの種類、砥石径、集中度、切込み量(切込みパス)、研削スピード、及び、切込み深さ等が挙げられる。
加工条件は、一般に、目標形状に合わせて入力される。加工条件は、予め記憶部76に記憶された加工条件のパターンから選択される形態であってもよい。この場合、条件取得部71は、その選択指示を取得する。
【0067】
状態データ取得部72は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。状態データ取得部72は、加工部78から状態データ(1)を取得し、好ましくは、状態データ(2)を更に取得する。また、状態データ取得部72は、これらの情報を記憶部76に格納する。
なお、状態データ取得部72は、ツルーイング部79から状態データ(T)を取得してもよい。後述する学習済みモデルが、状態データ(T)を含む訓練データセットにより機械学習させて得られたものである場合、状態データ(T)は、より適したツルーイング条件の算出に資する(特に2回目以降のツルーイング条件の算出に資する)。
【0068】
形状データ取得部73は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。形状データ取得部73は形状測定装置65により測定された形状データ(1)を取得し、好ましくは、更に、形状データ(2)を取得する。
また、形状データ取得部73は、これらの情報を記憶部76に格納する。
【0069】
比較部74は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。記憶部76に格納された目標形状と、形状データとを比較する。形状データとしては、少なくとも形状データ(1)を含み、形状データ(2)を更に含むことが好ましい。
【0070】
比較の方法は、以下の手順で実施されることが好ましい。まず、目標形状と、形状データとから、それぞれ研削砥石55の形状が予測される。次に、これらの形状の差から形状乖離度が算出される。
なお、目標形状から予測される研削砥石55の形状を理想形状と称する。形状データ(1)からは、ツルーイング前の研削砥石55(BT)の形状が予測される。また、形状データ(2)からは、ツルーイング後の研削砥石55(AT)の形状が予測される。
【0071】
研削砥石55に形成された研削用の溝を用いて、所定の加工条件でワークWを加工する場合、研削溝の形状、すなわち、研削砥石55の形状と、ワークの形状(エッジ形状)との間には当然に相関関係があり、CAD(computer-aided design)シミュレーション等の公知の方法により予測ができる。
【0072】
図7(a)は、研削砥石55により研削された研削後のワークW1のエッジ断面模式図である。また、
図7(b)は、その研削に使用された研削砥石55の加工溝の断面模式図である。
一例として、形状データ(1)は、ワークW1の斜面の角度Ang1・Ang2、R部の曲率CR1・CR2、及び、最外端の厚みTを含む。これらの項目を含む形状データ(1)と、加工条件とによって、研削砥石55(BT)の加工溝の形状を予測できる。
なお、
図7(a)、及び、
図7(b)では説明を簡単にするために、ワークW1のエッジ形状(凸状)と、研削砥石55(BT)の加工溝の形状(凹状)が嵌め合うように表示されている。しかし、実際には、特にヘリカル研削においては、エッジ形状と、加工溝の形状とは必ずしも一致しない(しかし、予測は可能である)。
【0073】
図8は、形状乖離度の算出方法の説明図である。
図8(a)は、研削後のワークW1の断面の形状データ(1)と、形状データ(1)から予測される研削砥石55aの加工溝の断面形状との組み合わせである。なお、いずれも模式図であり、実際には、図に記載の嵌め合うような形状にならない場合もある。
【0074】
一方、
図8(b)は、目標形状のワークW2の断面の形状データの模式図と、その形状データから予測される研削砥石55bの加工溝の断面形状との組み合わせである。
【0075】
そして、
図8(c)は、研削砥石55aの加工溝の外形であるEdaと、研削砥石55bの加工溝の外形であるEdbとを重ね合わせた図である。目標形状のワークW2を得るために必要な加工溝の外形Edbは、実際に研削されたワークW1の形状データ(1)から予測される研削砥石55aの加工溝の外形であるEdaと相違している。この形状の相違を数値化したものを形状乖離度とすることができる。数値化の方法は特に限定されないが、例えば上述の形状データと同様に、所定の箇所の角度、長さ、及び、曲率をそれぞれ算出し、比較したものとする方法が挙げられる。
【0076】
なお、
図7、及び、
図8では、形状データ、及び、研削砥石55の形状をワークW、及び、研削砥石55の所定箇所の断面形状として説明した。しかし、本発明の研削加工システム100において使用される形状データ、及び、形状乖離度は上記に限定されない。すなわち、形状データ、及び、形状乖離度ともに、ワークW、及び、研削砥石55の全周を対象としてもよいし、その一部を対象としてもよいし、所定範囲の平均値等を対象としてもよい。
【0077】
比較部74が形状乖離度を算出したら、出力部77にこれが出力される。研削加工システム100のオペレータは、この表示を見ることで、加工して得られたワークW1の形状が目標形状と合致していない(目標形状が許容差を含む場合は、許容差を超える差が生じている)ことを理解する。
【0078】
研削により得られるワークの形状が目標形状に合致しない場合、研削砥石55のツルーイングが必要となる。
この際のツルーイング条件の設定は、非熟練者には困難なものであった。本発明者は、この原因について鋭意検討をした。その結果、まず、目標形状と実際の形状との相違等から研削砥石55の状態を予測するのが非熟練者には困難であることを知見した。更に、興味深いことには、ヘリカル研削を行う研削砥石55を対象とした場合、ワークの目標形状と研削砥石55の溝形状、及び、ツルアーの形状と研削砥石55の溝形状は、嵌め合いの関係からは大きくずれるため、研削砥石55の形状を感覚的に予測するのが困難なことを突き止めた。
【0079】
研削加工システム100は、ツルーイング条件を算出する算出部75を備える。そのため、非熟練者であっても簡単に必要なツルーイングが実施できる。特に、ヘリカル研削を行う研削砥石55のツルーイング条件の設定は、非熟練者にとっては非常に困難であったが、このような場合であっても容易にツルーイング条件を設定できる。
【0080】
算出部75は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。算出部75は、条件取得部71により取得された加工条件、加工部78により取得された、少なくとも状態データ(1)を含む状態データ、形状測定装置65により取得された、少なくとも形状データ(1)を含む形状データ、及び、比較部74により取得された目標形状と形状データ(1)の比較の結果から、必要なツルーイング条件を算出する。
【0081】
ツルーイング条件は、所定の訓練データセットにより予め機械学習された学習済みモデルにより算出される。訓練データセットとしては、より適したツルーイング条件が算出できる観点で、加工条件、状態データ(1)、目標形状と形状データ(1)の比較の結果(形状乖離度が好ましい)、ツルーイング条件、及び、ツルーイング後の砥石による研削結果を含む訓練データセットが好ましく、更に、ツルーイングの際の状態データ(T)を含むことがより好ましい。
【0082】
ツルーイング後の砥石による研削結果としては、目標形状と形状データ(2)との比較の結果を含むことが好ましい。
比較部74による比較が、形状乖離度(1)により行われる場合、研削結果が形状乖離度(2)を含むと、互いの比較が容易になる点で好ましい。
なお、訓練データセット、及び、機械学習方法等については後述する。
【0083】
算出部75により算出されたツルーイング条件は、出力部77に出力される。研削加工システム100のオペレータは、形状乖離度、及び、それに対応するツルーイング条件を表示から知ることができる。
また、ツルーイング部79は上記ツルーイング条件により制御され、研削砥石55(BT)のツルーイングが実施される。これにより得られる研削砥石55(AT)により得られるワークWは、目標形状と合致する(目標形状が許容差を含む場合には、その範囲に入る)か、又は、目標形状に近づく。
【0084】
(動作フローの第1実施例)
次に、研削加工システム100の動作フローの第1の実施例について説明する。
図9は、そのフロー図である。なお、この研削加工システムの動作フローは、研削加工システムによって実施されるツルーイング方法のフローを含む。
【0085】
まず、ステップS11として、条件取得部71により目標形状、及び、加工条件が取得される。これは、外部acpt1から入出力I/F63、又は、通信I/F64を介して入力(又は受信)されたものである。
【0086】
次に、ステップS12として、ワークが研削され、状態データ取得部72により、状態データ(1)が取得される。状態データ(1)は、研削砥石55(BT)によるワークWの研削の際の状態データである。また、研削は、目標形状、及び、加工条件に従って、加工部78により行われる。
次に、ステップS13として、形状測定装置65により、形状データ(1)が取得される。形状データ(1)は、研削砥石55(BT)による加工後のワークWの形状データである。
【0087】
次に、ステップS14として、比較部74により、目標形状と形状データ(1)とが比較される。この比較は、形状乖離度(1)を用いて実施されることが好ましい。
【0088】
次に、ステップS15として、比較の結果が所定の条件を満たすかについて判断される。判断の方法は、例えば、出力部77に出力された形状乖離度(1)から、オペレータが判断する方法であってよい。この場合、上記「所定の条件」は、オペレータによる任意の判断基準を意味する。
一方、研削加工システム100は、記憶部76に予め記憶された判断基準を参照して適否を決定してもよい。例えば、比較の結果が形状乖離度(1)を含む場合、その適否の数値基準が予め記憶部76に記憶されることが好ましい。その場合、比較部74は、ステップS14の比較に加えて、ステップS15の判断も併せて実施する。
【0089】
比較の結果が所定の条件を満たす場合(ステップS15:YES)、ワークは目標形状に合致するよう加工されていることになる。この場合、ツルーイングは不要で、フローは終了する。続いて研削するべきワークがある場合、次のワークの研削に移ってもよい。
【0090】
一方、比較の結果が所定の条件を満たさない場合(ステップS15:NO)、ワークは目標形状に合致しない。そのため、研削砥石55のツルーイングが必要となる。
次に、ステップS16として、算出部75によりツルーイング条件が算出される。算出部75は、加工条件、状態データ(1)、及び、目標形状と研削加工後のワークの形状との比較の結果(形状乖離度(1))から、必要なツルーイング条件を算出する学習済みモデルを備える。そのため、各ステップで取得された情報、又は、計算された数値を用いて、ツルーイング条件を算出できる。
【0091】
次に、ステップS17として、ツルーイング部79によりツルーイングが実施される。その際のツルーイング条件は、算出部75により設定されたものである。オペレータは、ツルーイング条件を設定する必要がない。そのため、オペレータが非熟練者等であっても、容易に、最適な条件で、研削砥石55のツルーイングができる。
【0092】
その後、ステップS18として、加工部78によりワークWの研削が行われる。研削砥石55(AT)は、最適なツルーイング条件でツルーイングされた状態にある。
研削砥石55(AT)が用いられるため、研削後のワークWの形状は、目標形状に合致するか、又は、それにより近い形状となる。
【0093】
以上の説明から明らかなとおり、研削加工システム100を用いると、非熟練者であっても、ワークの目標形状に合わせた砥石形状の形成のためのツルーイング条件を容易に設定できる。これには熟練技術者が有する技能や勘を必要としない。研削加工システム100を用いると、形状が崩れた研削砥石55を、簡単な操作で最適な形にツルーイングできる。その結果として、得られるワークは目標形状に合致しやすい。
【0094】
(動作フローの第2実施例)
次に、研削加工システム100の動作フローの第2の実施例について説明する。
図10は、そのフロー図である。
図9の第1の実施例との相違点を中心に説明する。まず、ステップS11から、ステップS16までの各ステップは、
図9と同様である。
【0095】
次に、ステップS21として、算出部75により算出されたツルーイング条件に従ってツルーイング部79によりツルーイングが実施される。その際に、状態データ取得部72により、状態データ(T)が取得される。
【0096】
次に、ステップS22として、加工部78によってワークWが研削加工される。また、その際に、状態データ取得部72により、状態データ(2)が取得される。
なお、状態データ(2)に含まれる項目、及び、取得方法は、ステップS12で取得される状態データ(1)と同様であってよい。両者の相違点は、本ステップでは、研削に、研削砥石55(AT)が使用されること、ステップS12では、研削砥石55(BT)が使用されることである。
【0097】
次に、ステップS23として、形状測定装置65により測定された、加工後のワークWの形状データ(2)が、形状データ取得部73により取得される。形状データ(2)の取得方法は、ステップS13と同様であり、両者の相違点は、ステップS22と同様である。
【0098】
次に、ステップS24として、比較部74によって、目標形状と形状データ(2)とが比較される。比較の方法は、ステップS14と同様が好ましい。比較の方法がステップS14と共通であると、「比較の結果」同士を比較することで、より容易にツルーイングの効果が評価され得る。
【0099】
次に、ステップS25として、比較の結果が所定の条件を満たすかが判断される。この判断は、ステップS15と同様に、オペレータにより実施されてもよい。また、判断は、比較部74によって実施されてもよい。比較部74による判断は、記憶部76に予め記憶された数値条件(判断基準)に基づく。
【0100】
判断の結果、比較の結果が所定の条件を満たす場合(ステップS25:YES)、ワークWの形状は目標形状と合致している。そのため、フローは終了する。
【0101】
一方、比較の結果が所定の条件を満たさない場合(ステップS25:NO)の場合、得られるワークWの形状は、何らかの理由で、目標形状と合致しない。
そのため、再度、ステップS16、及び、ステップS21~S25が繰り返される。
研削加工システム100は、最適なツルーイング条件を算出する算出部75を有している。そのため、通常であれば、研削砥石55(AT)により研削されたワークWの形状は目標形状と合致する。しかし、ツルアー41の摩耗、及び、ツルーイング時の加工装置10の状態等により、十分なツルーイング効果が得られないことがある。言い換えれば、ツルーイングが狙いどおりに実施されず(不十分で)、所望の砥石形状が形成できない場合も稀に生じることがある。
【0102】
本動作フローでは、比較の結果が所定の条件を満たすまで、ツルーイングが実施される。そのため、より確実に目標形状の研削済みワークWが得られる。
上記の効果は、学習済みモデルのための訓練データセットが、すでに説明したデータに加えて、状態データ(T)、状態データ(2)、及び、目標形状と形状データ(2)との比較の結果を含む場合、より顕著である。
なかでも、状態データ(T)には、ツルアー41の摩耗、及び、ツルーイング時の加工装置10の状態等を反映されるため、これを含む訓練データセットが好ましい。
【0103】
(動作フローの第3実施例)
次に、研削加工システム100の動作フローの第3の実施例について説明する。
図11は、そのフロー図である。
図9、10の第1、2の実施例との相違点を中心に説明する。
【0104】
まず、ステップS30として、ツルーイングの要否について判断される。この判断は、オペレータによって行われ得る。また、記憶部76に予め記憶された条件に従って自動で判断されてもよい。
具体的には、研削後のワーク(例えば、「品種ウェーハ」)が、目標形状と合致しない場合に、ツルーイングが必要と判断されてよい。その場合、
図8の動作フローにおけるステップS11~S15を、本動作フローのステップS30と置き換えてもよい。
【0105】
また、研削後のワークの形状に関わらず、研削砥石55の使用時間、及び、使用回数等の条件によって、ツルーイングの必要性が判断されてもよい。
その場合、判断条件が記憶部76に予め記憶されてもよい。この場合、制御部70は、判断に必要なパラメータ(時間・回数)をカウントして、判断条件を参照して、判断し得る。
【0106】
ツルーイングが必要ない場合(ステップS30:NO)、本動作フローは終了する。一方、ツルーイングが必要な場合(ステップS30:YES)、次に、ステップS11として、条件取得部71により目標形状、及び、加工条件が取得される。
なお、目標形状、及び、加工条件がこの時点ですでに取得され、記憶部76に格納されている場合、本ステップは省略されてもよい。
【0107】
次に、ステップS31として、加工部78により参照ワークの研削が実施される。また、その際に、状態データ取得部72により、状態データ(1r)が取得される。
状態データ(1r)は、参照ワークの研削の際に得られる状態データであるため、参照ワークであることを示す添え字「r」を付して、「状態データ(1r)」としている。但し、研削砥石55(BT)により、研削対象物を研削した際に得られたデータである点では、状態データ(1)と同様である。本明細書では、状態データ(1r)を、状態データ(1)の具体的一形態として整理する。
【0108】
参照ワークは、本来の研削対象物である品種ワークよりも大きい(直径が大きい、及び/又は、厚い)ことが好ましく、品種ワークよりも厚いことがより好ましい。品種ワークよりも大きい参照ワークを用いて研削を行うことにより、研削砥石55(BT)の状態をより詳細に反映した形状データ(1r)、及び、状態データ(1r)が取得できる。
参照ワークの厚みは、特に限定されないが、より適したツルーイング条件が算出され得る点で、ツルアー41と同程度の厚みが好ましく、同じ厚みがより好ましい。具体的な一例としては、参照ワークの厚みは約1.2mmである(品種ワークはこれよりも薄い)。
【0109】
参照ワークの材質はすでに説明したとおり、品種ワークと同一であることが好ましい。材質が品種ワークと同一であると、品種ワークと参照ワークとにより取得された状態データの比較がより容易になる。
【0110】
品種ワークよりも大きい参照ワークを用いると、品種ワークを研削する際より、研削砥石55の加工溝のより多くの部分が使われる。言い換えれば、品種ワークよりも参照ワークの方が、研削砥石55の加工溝のより隅々まで当接しやすい。
そのため、得られるデータに研削砥石55(BT)の状態がより反映されやすい。この結果として、より適したツルーイング条件が算出される。
【0111】
次に、ステップS32として、形状測定装置65により測定された、加工後の参照ワークの形状データ(1r)が測定され、形状データ取得部73により取得される。形状データの取得方法は、ステップS13と同様である。
なお、状態データ(1r)と同様に、形状データ(1r)は、形状データ(1)の具体的一形態として本明細書では整理する。
【0112】
次に、ステップS33として、比較部74によって、目標形状と形状データ(1r)とが比較される。比較の方法は、ステップS14と同様である。
参照ワークは、その大きさ(典型的には厚さ)が、本来の研削対象物である品種ワークよりも大きい。しかし、所定の目標形状、加工条件に従って研削された結果は、品種ワークも参照ワークも同様である。すなわち、参照ワークを研削した場合でも、理想的には、目標形状となる。
目標形状と形状データ(1r)とを比較することにより、典型的には、形状乖離度(1r)を算出できる。
【0113】
以降のステップS15~ステップS18は、
図9における同ステップと同様である。なお、ステップS18で研削されるワークは、品種ワークが好ましい。
本動作フローでは、研削砥石55(BT)の状態を把握するために、本来の研削対象である品種ワークよりも大きい(典型的には厚い)参照ワークが使用される。そのため、学習済みモデルへの入力データに、研削砥石55(BT)の状態がより的確に反映される。その結果としてより適したツルーイング条件が算出される。
【0114】
なお、上記動作フローを適用する場合、更に適したツルーイング条件が提案可能な点で、学習済みモデルの機械学習に用いられる訓練データセットに、状態データ(1r)、及び、形状乖離度(1r)が含まれることが好ましく、状態データ(1r)、形状乖離度(1r)、及び、形状データ(1r)が含まれることがより好ましい。
また、更に適したツルーイング条件が算出される点で、ステップS15~S18に代えて、
図9の動作フローにおけるステップS15~S16、S21~S25が採用されることが好ましい。
【0115】
[機械学習装置]
次に、算出部75が備える学習済みモデルの機械学習を実施するための機械学習装置について説明する。
図12は、機械学習装置200のハードウェア構成図である。機械学習装置200は、プロセッサ61と、メモリ62と、入出力I/F(インターフェース)63と、通信I/F64とを有する。機械学習装置200は、典型的にはコンピュータである。機械学習装置200の各部は、情報処理装置60と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
機械学習装置200は、通信I/F64を介してコンピュータネットワークNTに接続される。また、このコンピュータネットワークNTには、クライアント装置69も接続される。クライアント装置69は、形状測定装置65、及び、加工装置10を備える。加工装置10は、研削砥石55、ツルアー41、及び、センサ66を備える。
【0117】
機械学習装置200は、コンピュータネットワークNTを介して、クライアント装置69との間で、各種データを送受信できる。
なお、機械学習装置200と、クライアント装置69とは、コンピュータネットワークNT以外の方法で接続されてもよい。例えば、入出力I/F63、又は、通信I/F64を介した有線、又は、無線の接続方法が挙げられる。
【0118】
コンピュータネットワークNTには、クライアント装置69が複数台接続されてもよい。具体的には、コンピュータネットワークNTに対して、ある製造拠点に設置されたクライアント装置69が複数接続されたり、複数拠点に設置されたクライアント装置69が接続されたりしてもよい。
複数台のクライアント装置69からのデータを、機械学習装置200が集約する場合、後述する訓練データセットの構築に必要なデータの収集がより容易になる。
【0119】
また、クライアント装置69に代えて、研削加工システム100を用いてもよい。また、他の研削加工装置が接続されてもよい。他の研削加工装置は、少なくとも、加工条件、状態データ、及び、目標形状と研削加工後のワークの形状との比較の結果を出力(送信)可能な装置であることが好ましい。
【0120】
次に、機械学習装置200の各部の機能について説明する。
図13は、機械学習装置200の機能ブロック図である。
機械学習装置200は、制御部70と、条件取得部71と、形状データ取得部73と、比較部74と、レシピ取得部81と、結果取得部82と、学習部83と、記憶部76と、出力部77とを有する。
なお、図中には、加工部78、形状測定装置65、及び、ツルーイング部79が記載されているが、これらは機械学習装置200を構成しない。これらは、コンピュータネットワークNTに接続されるクライアント装置69(又は、研削加工システム100)の機能である。
【0121】
制御部70は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行することで実現される機能である。制御部70は、機械学習装置200の各部を制御し、その機能を実現させる。
【0122】
条件取得部71は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行することで実現される。条件取得部71は、入出力I/F63、及び/又は、通信I/F64を介して所定のデータを取得する機能である。条件取得部71が取得するデータは、クライアント装置69のコントローラ67に外部acpt1から入力される目標形状、及び、加工条件である。取得された目標形状、及び、加工条件は、記憶部76に格納される。このうち、目標形状は、後述する比較に使用される。また、訓練データセット84の一部とされてもよい。
加工条件は、後述する訓練データセット84の一部とされる。
【0123】
状態データ取得部72は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行することで実現される。状態データ取得部72は、入出力I/F63、及び/又は、通信I/F64を介して所定のデータを取得する機能である。取得されるデータの一つは、状態データ(1)である。取得された状態データ(1)は記憶部76に格納され、後述する訓練データセット84の一部とされる。
【0124】
また、取得されるデータは、状態データ(2)を含むことが好ましい。状態データ(2)を含む訓練データセットを用いると、より適したツルーイング条件を算出できる学習済みモデルが得られる。
また、取得されるデータは、状態データ(T)を含むことが好ましい。状態データ(T)を含む訓練データセットを用いると、より適したツルーイング条件を算出できる学習済みモデルが得られる。
【0125】
形状データ取得部73は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行することで実現される。形状データ取得部73は、入出力I/F63、及び/又は、通信I/F64を介して所定のデータを取得する機能である。取得されるデータの一つは、形状データ(1)である。形状データ(1)は記憶部76に格納され、比較部74により利用される。具体的には、形状乖離度(1)の算出に利用される。
また、取得されるデータは、形状データ(2)を含む。形状データ(2)も記憶部76に格納され、比較部74により利用される。具体的には、形状乖離度(2)の算出に利用される。
【0126】
比較部74は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。比較部74は、条件取得部71により取得され、記憶部76に格納された目標形状と、形状測定装置65により取得された形状データとを比較する。比較の方法としては特に限定されないが、目標形状と、形状データとからそれぞれ予測される研削砥石55の形状の差に基づき算出される形状乖離度を含むことが好ましい。
具体的には、目標形状から予測される研削砥石55の理想形状と、形状データ(1)から予想される研削砥石55(BT)の形状との比較により形状乖離度(1)を算出する。
また、理想形状と、形状データ(2)から予想される研削砥石55(AT)の形状との比較により形状乖離度(2)を算出する。比較部74が算出する形状乖離度(2)は、研削砥石55(AT)による研削結果に含まれ得る。
【0127】
比較部74により取得された比較の結果は、出力部77によって出力される。出力結果は、クライアント装置69の出力手段にも出力されることが好ましい。これは、機械学習装置200とクライアント装置69とがそれぞれ遠隔地に設置される場合により有効である。
比較の結果を参考にツルーイング条件を考案する熟練技術者は、クライアント装置69の設置場所にいる場合がある。このとき、比較の結果をクライアント装置69側にも出力すると、熟練技術者のツルーイング条件の考案に役立つ。結果として、より効率的に機械学習装置200を動作させることができる。
【0128】
レシピ取得部81は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行することで実現される。レシピ取得部81は、入出力I/F63、及び/又は、通信I/F64を介して所定のデータを取得する機能である。取得されるデータは、ツルーイング条件である。ツルーイング条件は、クライアント装置69のコントローラ67に外部acpt2から入力される。取得されたデータは記憶部76に格納され、訓練データセット84の一部とされる。
【0129】
結果取得部82は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。結果取得部82は、比較部74を制御して、研削砥石55(AT)によるワークWの研削結果を取得する。研削結果は、典型的には、形状乖離度(2)である。研削結果は、記憶部76に格納され、後述する訓練データセット84の一部とされる。
【0130】
学習部83は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61が実行して実現される機能である。
学習部83は、加工条件、状態データ(1)、比較の結果、ツルーイング条件、及び、研削結果を含む訓練データセット84を用いた機械学習により、加工条件、状態データ(1)、比較の結果、及び、研削結果とツルーイング条件との関係を学習する。
訓練データセットは、上記以外に、状態データ(T)を含むことが好ましい。
【0131】
訓練データセットは、所定の情報を含むレコードが複数組み合わされたものである。各レコードには、加工条件、状態データ(1)、比較の結果、ツルーイング条件、及び、研削結果からなる群より選択される少なくとも1種の項目が含まれればよい。
訓練データセットを構成する各レコードは、加工条件、状態データ(1)、比較の結果、ツルーイング条件、及び、研削結果のすべてを備える必要はない。訓練データセットの全体として、加工条件、状態データ(1)、比較の結果、ツルーイング条件、及び、研削結果を含むレコードがそれぞれ1つ以上含まれればよい。
【0132】
機械学習の方法としては、公知のものを採用することができる。例えば、回帰手法、サポートベクターマシーン、及び、ニューラルネットワーク等が採用できる。回帰手法としては、線形回帰、重回帰、ロジスティック回帰、及び、ガウス過程回帰等が例示できる。
【0133】
機械学習装置200を用いて、訓練データセット84を構成するレコードを取得する方法について説明する。
図14は、機械学習装置200を用いて訓練データセット84を構成するレコードを取得する方法のフロー図である。
まず、ステップS11として、条件取得部71により目標形状、及び、加工条件が取得される。本ステップは、
図9の研削加工システム100の動作フローにおける対応するステップと同様である。
【0134】
次に、ステップS41として、状態データ(1)が、状態データ取得部72によって取得される。測定方法、及び、測定される状態データは、
図9のフローのステップS12と同様である。
【0135】
次に、ステップS13として、形状データ(1)が、形状データ取得部73によって取得される。
次に、ステップS14として、比較部74により、目標形状と形状データ(1)とが比較される。典型的には、形状乖離度(1)が算出される。
次に、ステップS15として、比較の結果が所定の条件を満たすかについて判断される。典型的には、形状乖離度(1)が所定の条件を満たすかについて判定される。
上記各ステップは、
図9の研削加工システム100の動作フローの対応するステップと同様である。
【0136】
比較の結果が所定の要件を満たす場合(ステップS15:YES)、ツルーイングは不要である。そのため、レコード取得のフローは終了する。この場合、これまでに各部で取得された情報が組み合わされて1つのレコードとされる。
一方、比較の結果が所定の要件を満たさない場合(ステップS15:NO)ツルーイングが必要である。そのため、次に、ステップS41として、ツルーイング条件が取得される。
【0137】
ツルーイング条件は、外部acpt2から入力されたものをレシピ取得部81が取得する。このツルーイング条件は、比較部74による比較の結果が出力部77に出力され、この表示を見た熟練技術者等によって検討され、設定される。
【0138】
熟練技術者は、目標形状と形状データ(1)との差に加えて、加工条件、加工負荷、及び、加工振動等から研削砥石55(BT)の状態を的確に予想する。そして、その予想をツルーイング条件に反映させる。従って、加工条件、状態データ(1)、及び、形状データ(1)と目標形状との比較の結果と、熟練技術者により設定されるツルーイング条件とを含む一組のレコードには、熟練技術者の経験や勘による判断結果が含まれる。
これらのレコードの複数を含む訓練データセットにより機械学習を行うことによって得られる学習済みモデルは、熟練技術者によって決定されるようなツルーイング条件を算出する。
【0139】
次に、ステップS43として、状態データ(T)が、状態データ取得部72により取得される。
状態データ(T)には、ツルアー41の状態、及び、ツルーイングの際の装置の状態が反映される。これらの情報は、形成される溝形状に反映される。
状態データ(T)、及び、目標形状と形状データ(2)との比較結果が組み合わされて得られる1個のレコードには、ツルーイングの状態とそれによるツルーイングの効果が反映される。
このレコードを含む訓練データセットにより機械学習されると、学習済みモデルは、より優れた(より適した)、2回目以降のツルーイング条件を算出できる。
【0140】
次に、ステップS44として、状態データ(2)が、状態データ取得部72によって取得される。測定方法、及び、測定される状態データは、
図10のフローのステップS22と同様である。
【0141】
次に、ステップS23として、形状データ(2)が、形状データ取得部73によって取得される。
次に、ステップS24として、比較部74により、目標形状と形状データ(2)とが比較される。典型的には、形状乖離度(2)が算出される。
次に、ステップS25として、比較の結果が所定の条件を満たすかについて判断される。典型的には、形状乖離度(2)が所定の条件を満たすかについて判定される。
上記各ステップは、
図10の研削加工システム100の動作フローの対応するステップと同様である。
【0142】
比較の結果が、所定の条件を満たす場合(ステップS25:YES)、ツルーイングが所期の目的どおりに達成されたことを意味する。レコードの取得フローは終了し、ここまでに得られた情報が組み合わされて1個のレコードが生成される。
一方、比較の結果が、所定の条件を満たさない場合(ステップS25:NO)、ツルーイングによる効果が十分ではないことを意味する。そのため、ステップS16、ステップS21~S25が繰り返され、更にレコードが取得される。
なお、この場合、ステップS25の判断が終了した時点で、それまでに得られた情報を組み合わせて1個のレコードとしてもよい。
【0143】
上記各ステップにより取得された情報は、組み合わせて1個のレコードとされる。これらのレコードが集約されて、訓練データセット84得られる。記憶部76に格納された訓練データセット84は、学習部83による機械学習に使用される。
【0144】
図15、及び、
図16は、機械学習装置200を用いてレコードを取得する方法の別実施例のフロー図である。
まず、ステップS30として、ツルーイングの要否について判断される。この判断の方法は、
図11の研削加工システム100の動作フローの対応するステップと同様である。
【0145】
次に、ステップS11として、条件取得部71により目標形状、及び、加工条件が取得される。本ステップは、
図14の方法の対応するステップと同様である。
次に、ステップS51として、状態データ(1r)が、状態データ取得部72によって取得される。参照ワークの詳細は、すでに説明したとおりである。また、状態データの取得方法等については、
図14のステップS41と同様である。
【0146】
次に、ステップS52として、形状データ(1r)が、形状データ取得部73によって取得される。
次に、ステップS53として、比較部74により、目標形状と形状データ(1r)とが比較される。典型的には、形状乖離度(1r)が算出される。
上記各ステップは、ワークとして参照ワークが用いられること以外は
図14のステップS13、及び、ステップS14と同様である。
次に、ステップS15として、比較の結果が所定の条件を満たすかについて判断される。典型的には、形状乖離度(1r)が所定の条件を満たすかについて判断される。
判断の方法は、
図14のステップS15と同様である。
【0147】
ここで、比較の結果が所定の条件を満たす場合(ステップS15:YES)、ツルーイングは不要である。そのため、レコードの取得フローは終了する。取得された情報により、1個のレコードが生成される。
ステップS30において、「ツルーイングが必要」と判断されている一方で、ステップS15で比較の結果が所定の条件を満たす(ツルーイングが不要)と判断されるケースとしては、例えば、ステップS30の判断をワークWの研削枚数や、研削砥石55の稼働時間等により判断する場合が挙げられる。
【0148】
一方、比較の結果が所定の条件を満たさない場合(ステップS15:NO)、ツルーイングが必要となる。
そこで、次に、ステップS42として、レシピ取得部81によりツルーイング条件が取得される。上記ステップS42、及び、以降のステップS43~S44、S23~S25は、
図14の対応するステップと同様である。
なお、ステップS44において取得される状態データ(2)は、品種ワークを研削した際のものが好ましい。ステップS23、及び、ステップS24も同様で、ワークとしては品種ワークが用いられることが好ましい。
【0149】
この方法で取得されるレコードには、参照ワークを用いて取得された情報が含まれる。従って、研削砥石55(BT)の状態がより正確に反映されたレコードである。このレコードを含む訓練データセットを用いると、更に適したツルーイング条件を算出できる学習済みモデルが得られる。
【0150】
次に、訓練データセットの構造について説明する。
図17は、訓練データセット84の一実施例の構造の説明図である。訓練データセット84は、複数のレコードrcd1、rcd2、rcd3、・・・によって構成され、それぞれのレコードには識別番号「001」「002」「003」・・・等が付与される。
【0151】
レコードrcd1には、加工条件d1、状態データ(1)d2、形状データ(1)d3、形状乖離度(1)d4、ツルーイング条件d5、状態データ(T)d6、状態データ(2)d7、形状データ(2)d8、形状乖離度(2)d9、及び、適否d10が含まれる。「r」が付与されるデータは、参照ワークによるもの、その他のデータは、参照ワーク又は品種ワークのいずれによるものでもよく、品種ワークによるものが好ましい。
【0152】
レコードrcd1は、例えば、
図14のフローにおいて、ステップS11、ステップS41、ステップS13、ステップS14、ステップS15:NO、ステップS42、ステップS43、ステップS44、ステップS23、ステップS24、ステップS25:NOの順に実行された際に得らる情報により生成されたものである。
【0153】
上記のうち、加工条件d1は、研削砥石55を含む砥石・ツルアーのボンドの種類、砥石径、集中度、切込み量(切込みパス)、研削スピード、及び、切込み深さ等のパラメータを含む。加工条件d1は、条件取得部71によって取得され、記憶部76に記憶された情報である。
【0154】
状態データ(1)d2は、状態データ取得部72により取得される情報でありである。状態データ(1)d2は、研削砥石55(BT)によりワークWを研削した際に、センサ66により測定されたものである。
形状データ(1)d3は、形状データ取得部73により取得される情報である。形状データ(1)d3は、形状測定装置65により得られ、記憶部76に記憶された情報である。
【0155】
形状乖離度(1)d4は、比較部74による、形状データ(1)と目標形状と比較の結果である。
ツルーイング条件d5は、レシピ取得部81によって取得されるツルーイング条件である。
【0156】
状態データ(T)d6は、研削砥石55(BT)のツルーイングの際にセンサ66によって測定され、状態データ取得部72により取得される情報である。
状態データ(2)d7は、状態データ取得部72によって取得される情報である。状態データ(2)d7は、研削砥石55(AT)によりワークWを研削した際に、センサ66により取得される情報である。
形状データ(2)d8は、形状データ取得部73によって取得される情報である。形状データ(2)d8は、研削砥石55(AT)によって研削されたワークWの形状データである。
形状乖離度(2)d9は、結果取得部82によって取得される情報である。形状データ(2)と目標形状と比較の結果である。言い換えれば、研削砥石55(AT)による研削結果である。
適否d10は、
図14のステップS25における判断結果(比較の結果が所定の条件を満たすか)の判断結果である。
【0157】
次に、レコードrcd2は、レコードrcd1が取得された際、最後のステップS25における判断が「NO」であったことから、ステップS42~S44、S23~S24、及び、S25が繰り返され、その際に取得された情報から生成されたレコードである。
レコードrcd2は、繰り返し回数d11を含む。繰り返し回数d11は、ステップS42~S44、S23~S24、及び、S25の繰り返し回数である。繰り返し数が増えるごとに、新たなレコードが生成される。
【0158】
レコードrcd3は、
図15のフローにおいて、ステップS30:NO、ステップS11、ステップS51、ステップS52、ステップS33、ステップS15:NO、ステップS42、ステップS43、ステップS44、ステップS23、ステップS24:YESの順に実行された際に得らる情報から生成されるものである。
【0159】
レコードrcd1と異なる点について説明する。状態データ(1r)d12は、状態データ取得部72により取得された情報である。研削砥石55(BT)により参照ワークを研削した際に、センサ66により取得された情報である。
形状データ(1r)d13は、形状データ取得部73が取得したデータである。
形状乖離度(1r)d14は、形状データ(1r)と目標形状と比較の結果である。
以上のようなレコードの複数から構成される訓練データセット84による機械学習によって、学習済みモデルが得られる。なお、訓練データセット84は一例であり、上記以外の構成の訓練データセットも使用可能である。
【0160】
以上、本発明の研削加工システム、及び、機械学習装置について具体例に基づいて説明した。なお、本発明は、研削砥石55のツルーイング条件の算出だけでなく、加工装置が有する他の研削砥石にも応用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0161】
1 状態データ、2 X軸ベース、10 加工装置、11 本体ベース、20 ユニット、21 X軸ベース、22 X軸ガイドレール、23 X軸リニアガイド、24 Xテーブル、25 X軸駆動機構、26 Y軸ガイドレール、27 Y軸リニアガイド、28 Yテーブル、29 Z軸ガイドレール、30 Z軸駆動機構、31 Zテーブル、32 軸モータ、33 スピンドル、34 ウェーハテーブル、41 ツルアー、50 砥石回転ユニット、51 外周砥石スピンドル、52 外周粗研削砥石、53 ターンテーブル、54 外周精研スピンドル、55、55a、55b 研削砥石、56 外周精研モータ、60 情報処理装置、61 プロセッサ、62 メモリ、65 形状測定装置、66 形状測定装置、66、66a、66b センサ、67、67a、67b コントローラ、68 ツルーイング装置、69 クライアント装置、70 制御部、71 条件取得部、72 状態データ取得部、73 状態データ取得部、73 形状データ取得部、74 比較部、75 算出部、76 記憶部、77 出力部、78 加工部、79 ツルーイング部、81 レシピ取得部、82 結果取得部、83 学習部、84 訓練データセット、100、110、120 研削加工システム、200 機械学習装置