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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138712
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】払拭装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241002BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B41J2/165 305
B41J2/01 123
B41J2/01 303
B41J2/165 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049342
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EE18
2C056FA10
2C056HA07
2C056HA37
2C056HA42
2C056JB05
2C056JB15
2C056JB18
(57)【要約】
【課題】洗浄液中での異なる液体の混濁を抑制する払拭装置、液体を吐出する装置を提供する。
【解決手段】第1液体を吐出する第1ヘッド110A、及び、第1液体と異なる第2液体を吐出する第2ヘッド110Bを払拭する無端状のウェブ211と、第1液体が付着したウェブ211を洗浄する第1洗浄液212Aを収容した第1洗浄液槽213Aと、第2液体が付着したウェブ211を洗浄する第2洗浄液212Bを収容した第2洗浄液槽213Bとを備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体を吐出する第1ヘッド、及び、前記第1液体と異なる第2液体を吐出する第2ヘッドを払拭する払拭部材と、
前記第1液体が付着した前記払拭部材を洗浄する第1洗浄液を収容した第1洗浄液槽と、
前記第2液体が付着した前記払拭部材を洗浄する第2洗浄液を収容した第2洗浄液槽と、を備えている
ことを特徴とする払拭装置。
【請求項2】
前記第1液体が処理液であり、前記第2液体が白色液体である
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項3】
前記第1液体が処理液であり、前記第2液体がカラー液体である
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項4】
前記第1液体が白色液体であり、前記第2液体がカラー液体である
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項5】
前記洗浄液は、水とグリセリンを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項6】
前記洗浄液は、前記水を50質量%以上65質量%以下含み、前記グリセリンを15質量%以上20質量%以下含む
ことを特徴とする請求項5に記載の払拭装置。
【請求項7】
第1液体を吐出する第1ヘッドと、
前記第1液体と異なる第2液体を吐出する第2ヘッドと、
請求項1ないし6のいずれかに記載の払拭装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとが異なるキャリッジに搭載されている
ことを特徴とする請求項7に記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとが共通のキャリッジに搭載されている
ことを特徴とする請求項7に記載の液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は払拭装置、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドを使用する場合、ノズルの状態を維持回復するため、ノズル面をキャッピングするキャップ、ノズル面を払拭清掃する払拭装置などを含む維持回復機構(ヘッドメンテナンス装置)を備える。
【0003】
従来、ヘッドのノズル面を払拭するブレードを周回移動させ、払拭後にブレードを洗浄液中に浸漬させて洗浄するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-148971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、異なる液体を吐出するヘッドを同じ払拭部材で払拭する場合、洗浄液中で異なる液体の混濁が生じるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、洗浄液中での異なる液体の混濁を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る払拭装置は、
第1液体を吐出する第1ヘッド、及び、前記第1液体と異なる第2液体を吐出する第2ヘッドを払拭する払拭部材と、
前記第1液体が付着した前記払拭部材を洗浄する第1洗浄液を収容した第1洗浄液槽と、
前記第2液体が付着した前記払拭部材を洗浄する第2洗浄液を収容した第2洗浄液槽と、を備えている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄液中での異なる液体の混濁を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の各カバー部材を閉じた状態の斜視説明図である。
図2】同じく各カバー部材を閉じた状態の平面説明図である。
図3】同じく各カバー部材を開いた状態の斜視説明図である。
図4】同じく各カバー部材を開いた状態の平面説明図である。
図5】同じく液体吐出部の一例の平面説明図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る払拭装置の要部断面説明図である。
図7】同払拭装置の要部平面説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置における液体吐出部の平面説明図である。
図9】本発明の第3実施形態におけるキャリッジをノズル面側から見た平面説明図である。
図10】本発明の第4実施形態におけるキャリッジをノズル面側から見た平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図1ないし図4を参照して説明する。図1は同印刷装置の各カバー部材を閉じた状態の斜視説明図、図2は同じく各カバー部材を閉じた状態の平面説明図、図3は同じく各カバー部材を開いた状態の斜視説明図、図4は同じく各カバー部材を開いた状態の平面説明図である。
【0011】
本実施形態においては、図1の方向Xを印刷装置の幅方向、ヘッドの移動方向(主走査方向)とし、方向Yを印刷装置の前後方向、主走査方向と直交する副走査方向、及び媒体搬送方向とし、方向Zを上下方向とする。方向X及び方向Yはステージ上に配置された媒体の液体吐出面に平行な方向であるが、多少の誤差があってもよい。方向X、Y、Zは互いに直交する方向である。
【0012】
印刷装置1は、筐体2内を方向Yに沿って移動可能なステージ3を有する。ステージ3は方向Yに沿って延在して配置されたガイドレール4上に設けられている。筐体2の前側に操作パネル5が設けられている。筐体2の側面には液体カートリッジ6が着脱可能に装着される。筐体2の上方には、カバー部材としての前カバー7及び後ろカバー8が設けられる。
【0013】
ステージ3の上面は媒体を載置する載置面であり、平坦状をなしている。ステージ3の上面は方向X及び方向Yに平行な面である。ステージ3は、ガイドレール4上を移動し、方向Yの両方向に往復移動可能に設けられる。また、ステージ3は、方向Zに昇降可能に設けられ、ステージ3に配置された媒体の高さを調整できる。
【0014】
前カバー7及び後ろカバー8は方向Yの両方向に移動可能に設けられる。前カバー7が後ろ方向に移動し、後ろカバー8が前方向に移動した図1の状態がそれぞれのカバーが閉じた状態である。これに対して、前カバー7が前方向に移動し、後ろカバー8が後ろ方向に移動した図3の状態がそれぞれのカバーが開いた状態である。
【0015】
このように、前カバー7及び後ろカバー8をスライドにより開閉する構成とすることにより、例えば上下に開閉する構成と比較すると、カバー部材の開閉領域を含めた印刷装置1の占有領域を小さくできる。前カバー7及び後ろカバー8はその前後方向の両端に開口部を有する。前カバー7及び後ろカバー8が閉じられた状態で、前カバー7と後ろカバー8とが前後方向に連続して配置される。
【0016】
印刷装置1の本体部50は、筐体2、及び、筐体2上に設けられる2つの液体吐出部9(9A、9B)などを有する。本実施形態では、特に、装置本体部50は、印刷装置1の前カバー7及び後ろカバー8以外の部分である。この装置本体部50に対して、前カバー7及び後ろカバー8が方向Yにスライド可能に設けられる。
【0017】
前カバー7及び後ろカバー8が開くことで、印刷装置1内の液体吐出部9が外側に開放される。液体吐出部9を外部に開放することにより、ヘッドメンテナンス装置30やヘッド及びその周辺の清掃、あるいはキャリッジの交換が可能になる。
【0018】
また、画像形成時には前カバー7及び後ろカバー8が閉じられた状態になる。これにより、前カバー7あるいは後ろカバー8により液体吐出部9B、9Aが覆われ、液体吐出部9A、9Bのキャリッジなどの動作部が外部からアクセスできない状態になる。
【0019】
また、前カバー7或いは後ろカバー8内の閉じられた空間に液体吐出部9B、9Aを配置することにより、液体吐出動作時にミストが周辺に飛散することを防止できるとともに、液体吐出部9B、9Aに設けられるファンによって前カバー7或いは後ろカバー8内で気流を循環させ、発生したミストを前カバー7或いは後ろカバー8内で循環させて回収することができる。
【0020】
本実施形態の印刷装置1は、方向Yに二つの液体吐出部9A、9Bを有する。液体吐出部9Aは、前処理液を吐出する。液体吐出部9Bは、例えばカラー及び白色のインクを吐出する。なお、各液体吐出部9A、9Bが吐出する液体は上記に限らず、カラーインク(カラー液体)、白色のインク(白色液体)、前処理液のうち任意の液体を吐出する形態でもよい。特に、媒体が布帛の場合には、インクによる画像形成の前に前処理液を塗布することが好ましいため、どちらか一方の液体吐出部は前処理液を吐出する形態であることが好ましい。
【0021】
液体吐出部9A、9Bは、同様の構成を有し、キャリッジ10(10A、10B)と、ガイドロッド11と、基板や電装カバーなどからなる電装部12と、ヘッドメンテナンス装置30とを有する。
【0022】
ガイドロッド11は方向Xに沿って延在する。キャリッジ10は、ガイドロッド11に沿って方向Xに移動可能に設けられている。キャリッジ10は、複数の液体吐出ヘッドを有する。ヘッドメンテナンス装置30は、ガイドロッド11に対向する位置で、左右方向の一方側の液体吐出領域外に設けられている。
【0023】
ヘッドメンテナンス装置30は、液体吐出ヘッドのノズル面を清掃する本発明に係る払拭装置、ノズル面を吸引する吸引機構などを有する。
【0024】
ここで、液体吐出部9による媒体に対する画像形成過程の概要について説明する。
【0025】
まず、媒体をステージ3に載置し、ステージ3をガイドレール4に沿って移動させて印刷装置1の後方側まで搬送し、液体吐出部9Aにより前処理液を媒体に塗布する。具体的には、第1キャリッジ10Aをガイドロッド11に沿って方向Xへ移動させながら第1キャリッジ10Aに搭載された液体を吐出するヘッドに設けられたノズルから前処理液を媒体に対して方向Xにわたって塗布する。これを方向Yの各位置で繰り返し行うことにより、媒体に前処理液が塗布される。
【0026】
その後、ステージ3を方向Yにおいて前方向へ移動させ、同様の方法で液体吐出部9Bの第2キャリッジ10Bに搭載されたヘッドにより、カラーの各色の液体を媒体に吐出する。媒体に白色の印刷をする場合には、例えば、まず液体吐出部9Bに搭載された液体を吐出するヘッドにより白色のインクを吐出した後、再び、ステージ3を液体吐出部9Bの後方側まで移動させ、液体吐出部9Bに搭載された液体を吐出するヘッドよりカラーの液体を媒体に吐出させる。これにより、媒体に画像を形成できる。
【0027】
次に、本実施形態に係る印刷装置の液体吐出部の一例について図5を参照して説明する。図5は同液体吐出部の平面説明図である。
【0028】
液体吐出部9(9A、9B)は、前述したように、左右の側板に架け渡される2つのガイドロッド11で主走査方向Xに往復移動可能に保持されたキャリッジ10を有している。キャリッジ10は、主走査モータ105によって、駆動プーリ106と従動プーリ107間に架け渡したタイミングベルト108を介して主走査方向に往復移動される。
【0029】
キャリッジ10には、4つの液体吐出手段としての液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)110を搭載している。
【0030】
両側板間には、主走査方向Xに沿って、所定のパターンを形成したエンコーダスケール113を張り渡し、キャリッジ10にはエンコーダスケール113のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ114を設けている。これらのエンコーダスケール113とエンコーダセンサ114によってキャリッジ10の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)115を構成している。
【0031】
キャリッジ10の主走査方向Xの一方側にはヘッド110の維持回復を行う維持回復機構であるヘッドメンテナンス装置30が配置されている。また、キャリッジ10の主走査方向の他方側には空吐出受け129が配置されている。
【0032】
ヘッドメンテナンス装置30は、例えばヘッド110のノズル面(ノズルが形成されている面)111をキャッピングする1つの保湿キャップを兼ねる吸引キャップ121及び3つの保湿キャップ122と、空吐出受け124とを備えている。
【0033】
本発明に係る払拭装置200は、2つの液体吐出部9A、9Bに跨って配置されている。
【0034】
払拭装置200は、布や不織布で構成されるウェブ211を含むウェブカートリッジ201と、ウェブカートリッジ201を払拭方向への移動を案内するガイドレール202と、ウェブカートリッジ201を払拭方向に移動させる駆動機構などを含む。ウェブカートリッジ201は、カートリッジホルダを介してガイドレール202に載置される構成、あるいは、直接、ガイドレール202に載置される構成とすることができる。
【0035】
この印刷装置1においては、布地に印刷を施すときには、ステージ3を装置本体部50外に出して、ステージ3に布地が載せ置かれて印刷開始が指示されると、ステージ3が装置本体部50内に引き込まれる。そして、ステージ3を副走査方向Yへの間欠移動と、キャリッジ10の主走査方向Xへの移動と、停止している布地に対するヘッド110からの所要の色の液体の吐出とを繰り返して、布地に対して所要の画像を印刷する。
【0036】
また、ヘッド110を維持回復するときには、ヘッド110をウェブカートリッジ201の上方に移動させ、ウェブ211をヘッド110のノズル面に当接させながら、ウェブカートリッジ201を払拭方向(方向Yと同じ)に移動させる。これにより、ヘッド110のノズル面に付着している残留液体やその増粘物・固着物、ごみなどの汚れを拭き取る。
【0037】
本実施形態において、例えば、液体吐出部9Aのキャリッジ10を第1キャリッジ10Aとし、第1キャリッジ10Aに搭載されたヘッド110を、第1液体を吐出する第1ヘッド110Aとする。また、液体吐出部9Bのキャリッジ10を第2キャリッジ10Bとし、第2キャリッジ10Bに搭載されたヘッド110を、第1液体とは異なる第2液体を吐出する第2ヘッド110Bとする。つまり、本実施形態では、第1ヘッド110Aと第2ヘッド110Bとは異なる第1キャリッジ10A、第2キャリッジ10Bに搭載している。
【0038】
次に、本発明の第1実施形態に係る払拭装置について図6及び図7を参照して説明する。図6は同払拭装置の要部断面説明図、図7は同じく要部平面説明図である。
【0039】
払拭装置200は、ウェブカートリッジ201の筐体(カートリッジケース)内に、払拭部材としての無端状のウェブ(長尺の払拭部材)211と、ウェブ211を洗浄する第1洗浄液槽213A、第2洗浄液槽213Bとを備えている
【0040】
ウェブ211は、第1ヘッド110Aのノズル面111、及び、第2ヘッド110Bのノズル面111をそれぞれ払拭対象として払拭する払拭部材である。
【0041】
第1洗浄液槽213Aには第1ヘッド110Aから吐出される第1液体が付着したウェブ211を洗浄する第1洗浄液212Aが収容されている。第2洗浄液槽213Bには第2ヘッド110Bから吐出される第2液体が付着したウェブ211を洗浄する第2洗浄液212Bが収容されている。
【0042】
洗浄液212A、212Bは、水とグリセリンを含むことが好ましく、また、必要に応じてその他の有機溶剤や界面活性剤、pH調整剤などを含んでもよい。水を含むことで環境負荷が小さく、また合わせてグリセリンを用いることで揮発しにくく、洗浄力の高い洗浄液を提供できる。洗浄液212A、212Bは、前記水を50質量%以上65質量%以下含み、前記グリセリンを15質量%以上20質量%以下含むことが特に好ましい。
【0043】
ウェブ211は、押し付けローラ214A、214B、駆動ローラ215、案内ローラ216と、浸漬ローラ219A、219Bとの間に掛け回されて、一部が第1洗浄液212A、第2洗浄液212Bに浸漬した状態で周回移動可能に配置されている。
【0044】
押し付けローラ214Aは弾性力をもって第1ヘッド110Aのノズル面111と当接する高さに配置されている。押し付けローラ214Bは弾性力をもって第2ヘッド110Bのノズル面111と当接する高さに配置されている。
【0045】
この払拭装置200によって第1ヘッド110Aのノズル面111を払拭するときには、第1キャリッジ10Aを移動して第1ヘッド110Aのノズル面111を払拭装置200による払拭位置に移動させる。
【0046】
そして、押し付けローラ214Aによってウェブ211を第1ヘッド110Aのノズル面111に押し付けながら、ウェブカートリッジ201を払拭方向に移動する。このウェブカートリッジ201の移動によって、ウェブ211が払拭方向に移動して、第1ヘッド110Aのノズル面111を払拭することで、ノズル面111の汚れが拭き落とされる。
【0047】
そして、第1ヘッド110Aのノズル面111を拭き終わったウェブ211は、駆動源により駆動ローラ215が回転されることで周回移動し、第1ヘッド110Aのノズル面111を払拭することで第1液体が付着した部分が第1洗浄液槽213A内に移動する。
【0048】
第1洗浄液槽213Aに移動したウェブ211は、浸漬ローラ219Aで案内されながら、第1洗浄液槽213A内の第1洗浄液221A中を通過することによって、第1ヘッド110Aのノズル面111から転移した付着物などが溶かされて洗浄される。
【0049】
また、払拭装置200によって第2ヘッド110Bのノズル面111を払拭するときには、第2キャリッジ10Bを移動して第2ヘッド110Bのノズル面111を払拭装置200による払拭位置に移動させる。
【0050】
そして、押し付けローラ214Bによってウェブ211を第2ヘッド110Bのノズル面111に押し付けながら、ウェブカートリッジ201を払拭方向に移動する。このウェブカートリッジ201の移動によって、ウェブ211が払拭方向に移動して、第2ヘッド110Bのノズル面111を払拭することで、ノズル面111の汚れが拭き落とされる。
【0051】
そして、第2ヘッド110Bのノズル面111を拭き終わったウェブ211は、駆動源により駆動ローラ215が回転されることで周回移動し、第2ヘッド110Bのノズル面111を払拭することで第2液体が付着した部分が第2洗浄液槽213B内に移動する。
【0052】
第2洗浄液槽213Bに移動したウェブ211は、浸漬ローラ219Bで案内されながら、第2洗浄液槽213B内の第2洗浄液212B中を通過することによって、第2ヘッド110Bのノズル面111から転移した付着物などが溶かされて洗浄される。
【0053】
なお、本実施形態において、第1ヘッド110Aと第2ヘッド110Bをいずれも払拭位置に移動することで、第1ヘッド110A及び第2ヘッド110Bの各ノズル面111をともに払拭することができる。
【0054】
このように、第1液体が付着したウェブと第2液体が付着したウェブをそれぞれ異なる洗浄液槽の洗浄液で洗浄する。これにより、第1液体を吐出するヘッドと第2液体を吐出するヘッドとを共通のウェブによって払拭するようにしても、洗浄液中での異なる液体の混濁(コンタミネーション)を抑制することができ、洗浄性が向上する。
【0055】
ここで、第1液体と第2液体との組み合わせとしては、例えば、第1液体が処理液であり、第2液体が白色液体である組合せ、第1液体が処理液であり、第2液体がカラー液体である組合せ、第1液体が白色液体であり、第2液体がカラー液体である組合せなどを選択することができる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置における液体吐出部について図8を参照して説明する。図8は同液体吐出部の平面説明図である。
【0057】
本実施形態の液体吐出部9は、共通の(1つの)キャリッジ10に第1ヘッド110Aと第2ヘッド110Bとを搭載している。これに伴い、キャリッジ10を走査させる走査機構は1つにしている。
【0058】
本実施形態では、第1ヘッド110Aと第2ヘッド110Bとでキャリッジ10が共通であるので、払拭装置200による払拭位置にキャリッジ10を移動したときには、第1ヘッド110Aと第2ヘッド110Bを共に払拭できる。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態におけるキャリッジをヘッドのノズル面側から見た平面説明図である。
【0060】
本実施形態では、キャリッジ10に、第1液体を吐出する第1ヘッド110Aと第2液体を吐出する第2ヘッド110Bを備えている。第1ヘッド110A及び第2ヘッド110Bは、長手方向が主走査方向Xに沿う方向に配置している。この場合、例えば、第2ヘッド110Bにより白色或いはカラー色の液体が吐出され、第1ヘッド110Aにより前処理液が吐出される。
【0061】
次に、本発明の第4実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態におけるキャリッジをヘッドのノズル面側から見た平面説明図である。
【0062】
本実施形態では、キャリッジ10に、第1液体を吐出する複数の吐出口112を配列した複数の吐出口列有する第1ヘッド110Aと第2液体を吐出する複数の吐出口112を配列した吐出口列を有する第2ヘッド110Bを備えている。
【0063】
第1ヘッド110A及び第2ヘッド110Bは、長手方向が主走査方向Xと直交する副走査方向Yに沿う方向に配置している。この場合、例えば、第2ヘッド110Bにより白色或いはカラー色の液体が吐出され、第1ヘッド110Aにより前処理液が吐出される。
【0064】
なお、以上の各実施形態は、相互に可能な範囲で組み合わせることができる。
【0065】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0066】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0067】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0068】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0069】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0070】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0071】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0072】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0073】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0074】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0075】
本発明の態様は、例えば、次のとおりである。
[1]
第1液体を吐出する第1ヘッド、及び、前記第1液体と異なる第2液体を吐出する第2ヘッドを払拭する払拭部材と、
前記第1液体が付着した前記払拭部材を洗浄する第1洗浄液を収容した第1洗浄液槽と、
前記第2液体が付着した前記払拭部材を洗浄する第2洗浄液を収容した第2洗浄液槽と、を備えている
ことを特徴とする払拭装置。
[2]
前記第1液体が処理液であり、前記第2液体が白色液体である
ことを特徴とする[1]に記載の払拭装置。
[3]
前記第1液体が処理液であり、前記第2液体がカラー液体である
ことを特徴とする[1]に記載の払拭装置。
[4]
前記第1液体が白色液体であり、前記第2液体がカラー液体である
ことを特徴とする[1]に記載の払拭装置。
[5]
前記洗浄液は、水とグリセリンを含む
ことを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の払拭装置。
[6]
前記洗浄液は、前記水を50質量%以上65質量%以下含み、前記グリセリンを15質量%以上20質量%以下含む
ことを特徴とする[6]に記載の払拭装置。
[7]
第1液体を吐出する第1ヘッドと、
前記第1液体と異なる第2液体を吐出する第2ヘッドと、
[1]ないし[6]のいずれかに記載の払拭装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
[8]
前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとが異なるキャリッジに搭載されている
ことを特徴とする[7]に記載の液体を吐出する装置。
[9]
前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとが共通のキャリッジに搭載されている
ことを特徴とする[7]7に記載の液体を吐出する装置。
【符号の説明】
【0076】
1 印刷装置
3 ステージ
10 キャリッジ
10A 第1キャリッジ
10B 第2キャリッジ
30 ヘッドメンテナンス装置
110 ヘッド
110A 第1ヘッド
110B 第2ヘッド
200 払拭装置
201 ウェブカートリッジ
211 ウェブ
212A 第1洗浄液
212B 第2洗浄液
213A 第1洗浄液槽
213B 第2洗浄液槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10