(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138813
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ダスト回収装置、ダスト回収方法
(51)【国際特許分類】
B65G 45/10 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B65G45/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049511
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】樋口 達也
(72)【発明者】
【氏名】福地 茂樹
(57)【要約】
【課題】空間的な制約に応えられる簡易な構造を有しながら、移動式ベルトコンベヤの後端部のベルトから脱落したダストを人手や専用の動力を介さずに回収することができるダスト回収装置を提供する。
【解決手段】ダスト回収装置10は、移動式ベルトコンベヤ3の後端部3b側とダスト回収部5側とを渡す可撓性を有するシート11を備える。シート11は、後端部3b側ではその一端が後端部側固定部11aにおいて固定され、ダスト回収部5側ではその他端がダスト回収部側固定部11bにおいて固定され、かつ、後端部3bのベルトから脱落したダストを受け取る受取り面11cを有している。コンベヤ3が最も前進したときに、後端部側固定部11aがダスト回収部5の開口の範囲内かつダスト回収部側固定部11bよりも前進側に位置するとともに、シート11は受取り面11cに溜まったダストをダスト回収部5へ落下させるように受取り面11cが下方を向く。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱石又は粉体を搬送する移動式ベルトコンベヤと、前記移動式ベルトコンベヤの下方に配置され上方へ開口するダスト回収部と、を備え、
前記移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに前記移動式ベルトコンベヤの後端部がダスト回収部の開口の範囲内に位置し、
前記移動式ベルトコンベヤが最も後退したときに前記後端部がダスト回収部の開口の範囲外に位置する搬送設備において、前記後端部のベルトから脱落したときに前記ダスト回収部内へ直接落下しなかったダストを前記ダスト回収部へ落下させるダスト回収装置であって、
前記移動式ベルトコンベヤの後端部側と前記ダスト回収部側との間を渡すように取り付けられた可撓性を有するシートを備え、
前記シートは、前記後端部側ではその一端が後端部側固定部において固定されており、前記ダスト回収部側ではその他端がダスト回収部側固定部において固定されており、かつ、前記後端部のベルトから脱落したダストを受け取る受取り面を有し、
前記移動式ベルトコンベヤが最も後退したときに、前記後端部側固定部が前記ダスト回収部の開口の範囲外かつ前記ダスト回収部側固定部よりも前記移動式ベルトコンベヤの後退側に位置するとともに、前記シートは前記ダストを受け取る体勢になるように前記受取り面が上方を向き、
前記移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに、後端部側固定部が前記ダスト回収部の開口の範囲内かつ前記ダスト回収部側固定部よりも前記移動式ベルトコンベヤの前進側に位置するとともに、前記シートは前記受取り面に溜まった前記ダストを前記ダスト回収部へ落下させるように前記受取り面が下方を向く、ダスト回収装置。
【請求項2】
前記後端部と前記シートとの間には、これらを互いの距離を保って連結する介在部材が設けられており、
前記後端部側固定部は、前記シートと前記介在部材との結合部分である、請求項1記載のダスト回収装置。
【請求項3】
前記移動式ベルトコンベヤの進退の移動距離が2m~5mである、請求項1又は2記載のダスト回収装置。
【請求項4】
鉱石又は粉体を搬送する移動式ベルトコンベヤと、前記移動式ベルトコンベヤの下方に配置され上方へ開口するダスト回収部と、を備え、
前記移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに前記移動式ベルトコンベヤの後端部がダスト回収部の開口の範囲内に位置し、
前記移動式ベルトコンベヤが最も後退したときに前記後端部がダスト回収部の開口の範囲外に位置する搬送設備において、前記後端部のベルトから脱落したときに前記ダスト回収部内へ直接落下しなかったダストを前記ダスト回収部へ落下させるダスト回収装置を用いるダスト回収方法であって、
前記ダスト回収装置は、前記移動式ベルトコンベヤの後端部側と前記ダスト回収部側との間を渡すように取り付けられた可撓性を有するシートを備え、
前記シートは、前記後端部側ではその一端が後端部側固定部において固定されており、前記ダスト回収部側ではその他端がダスト回収部側固定部において固定されており、かつ、前記後端部のベルトから脱落したダストを受け取る受取り面を有し、
前記移動式ベルトコンベヤが最も後退したときに、前記後端部側固定部が前記ダスト回収部の開口の範囲外かつ前記ダスト回収部側固定部よりも前記移動式ベルトコンベヤの後退側に位置するとともに、前記シートは前記ダストを受け取る体勢になるように前記受取り面が上方を向き、
前記移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに、後端部側固定部が前記ダスト回収部の開口の範囲内かつ前記ダスト回収部側固定部よりも前記移動式ベルトコンベヤの前進側に位置するとともに、前記シートは前記受取り面に溜まった前記ダストを前記ダスト回収部へ落下させるように前記受取り面が下方を向く、ダスト回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダスト回収装置及びダスト回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉱石や粉体等を搬送するベルトコンベヤが使用されている。鉱石や粉体等を搬送すると、ダストと呼ばれる細かい粒子がベルトに付着する。ダストは、ベルトがコンベヤの回送領域を進行する道中で脱落するので、その回収処理が必要になる。ダストの回収方法として、例えば特許文献1には、床上に脱落したダストをかき取り手段によって寄せ集め、バケットコンベヤを用いて回送領域のベルトの上にダストを載せて、回収ホッパが待つ下流へ搬送する態様が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方、ベルトコンベヤの装置全体がベルトの進行方向へ進退することが可能な移動式ベルトコンベヤが知られている。移動式ベルトコンベヤでも鉱石や粉体等を搬送するときにダストの処理が必要になる。特に、移動式ベルトコンベヤが床から高い位置に配置されている場合は、空間的な制約により、特許文献1に開示されているような床面を前提とした回収装置を設置することは困難である。また、移動式ベルトコンベヤの下方にダスト回収部を配置してダストの回収を行う場合でも、空間的な制約により、移動式ベルトコンベヤの進退の全範囲には対応することができず、コンベヤの後端部のベルトから脱落するダストがダスト回収部の開口範囲を外れる場合がある。ダスト回収部へ直接落下しなかったダストは、人間が手作業で回収しているのが現実である。
【0005】
そこで本発明は、空間的な制約に応えられる簡易な構造を有しながら、移動式ベルトコンベヤの後端部のベルトから脱落したダストを人手や専用の動力を介さずに回収することができるダスト回収装置及びダスト回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鉱石又は粉体を搬送する移動式ベルトコンベヤと、移動式ベルトコンベヤの下方に配置され上方へ開口するダスト回収部と、を備え、移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに移動式ベルトコンベヤの後端部がダスト回収部の開口の範囲内に位置し、移動式ベルトコンベヤが最も後進したときに後端部がダスト回収部の開口の範囲外に位置する搬送設備において、後端部のベルトから脱落したときにダスト回収部内へ直接落下しなかったダストをダスト回収部へ落下させるダスト回収装置であって、移動式ベルトコンベヤの後端部側とダスト回収部側との間を渡すように取り付けられた可撓性を有するシートを備え、シートは、後端部側ではその一端が後端部側固定部において固定されており、ダスト回収部側ではその他端がダスト回収部側固定部において固定されており、かつ、後端部のベルトから脱落したダストを受け取る受取り面を有し、移動式ベルトコンベヤが最も後進したときに、後端部側固定部がダスト回収部の開口の範囲外かつダスト回収部側固定部よりも移動式ベルトコンベヤの後退側に位置するとともに、シートはダストを受け取る体勢になるように受取り面が上方を向き、移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに、後端部側固定部がダスト回収部の開口の範囲内かつダスト回収部側固定部よりも移動式ベルトコンベヤの前進側に位置するとともに、シートは受取り面に溜まったダストをダスト回収部へ落下させるように受取り面が下方を向く、ダスト回収装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、鉱石又は粉体を搬送する移動式ベルトコンベヤと、移動式ベルトコンベヤの下方に配置され上方へ開口するダスト回収部と、を備え、移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに移動式ベルトコンベヤの後端部がダスト回収部の開口の範囲内に位置し、移動式ベルトコンベヤが最も後退したときに後端部がダスト回収部の開口の範囲外に位置する搬送設備において、後端部のベルトから脱落したときにダスト回収部内へ直接落下しなかったダストをダスト回収部へ落下させるダスト回収装置を用いるダスト回収方法であって、ダスト回収装置は、移動式ベルトコンベヤの後端部側とダスト回収部側との間を渡すように取り付けられた可撓性を有するシートを備え、シートは、後端部側ではその一端が後端部側固定部において固定されており、ダスト回収部側ではその他端がダスト回収部側固定部において固定されており、かつ、後端部のベルトから脱落したダストを受け取る受取り面を有し、移動式ベルトコンベヤが最も後退したときに、後端部側固定部がダスト回収部の開口の範囲外かつダスト回収部側固定部よりも移動式ベルトコンベヤの後退側に位置するとともに、シートはダストを受け取る体勢になるように受取り面が上方を向き、移動式ベルトコンベヤが最も前進したときに、後端部側固定部がダスト回収部の開口の範囲内かつダスト回収部側固定部よりも移動式ベルトコンベヤの前進側に位置するとともに、シートは受取り面に溜まったダストをダスト回収部へ落下させるように受取り面が下方を向く、ダスト回収方法を提供する。
【0008】
移動式ベルトコンベヤのベルトに付着したダストは、ベルトがコンベヤの回送領域を進行する道中においてベルトから脱落する。脱落したダストの大部分はコンベヤの下方にあるダスト回収部内へ直接落下するが、コンベヤの後端部においては、コンベヤの後進時には下方にダスト回収部がないのでダストが床に落ちてしまう。ここで、本発明のダスト回収装置は、後端部の下方にダスト回収部がないときにシートの受取り面にダストを受けて貯留する。そして、コンベヤの前進によって後端部の下方にダスト回収部が位置するようになると、シートの受取り面がダスト回収部の上で下を向くように反転して、貯留していたダストをダスト回収部へ落下させる。このようなシートの受取り面の挙動はコンベヤの進退に伴って必然的に生じるので、ダストの回収が自動で行われる。また、本発明のダスト回収装置は構造が簡易であるので、搬送設備内で空間的な制約があるなかでも採用することができる。
【0009】
本発明において、後端部とシートとの間には、これらを互いの距離を保って連結する介在部材が設けられており、後端部側固定部は、シートと介在部材との結合部分であってもよい。
【0010】
また、本発明において、移動式ベルトコンベヤの進退の移動距離は2m~5mであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空間的な制約に応えられる簡易な構造を有しながら、移動式ベルトコンベヤの後端部のベルトから脱落したダストを人手や専用の動力を介さずに回収することができるダスト回収装置及びダスト回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】(A)~(C)はいずれも、移動式ベルトコンベヤ及びダスト回収装置の動作を示す図である。
【
図3】(A)はダスト回収装置の側面図であり、(B)は(A)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
<構成>
図1に示されているとおり、搬送設備1は鉱石や粉体を搬送する設備であり、固定式ベルトコンベヤ2や移動式ベルトコンベヤ3が随所に配置されている。移動式ベルトコンベヤ3の前端側は搬送の終着点であり、その下方には、鉱石又は粉体が落下投入される複数のホッパ(移動式ベルトコンベヤ3から近い順に、第一のホッパ4a及び第二のホッパ4b)が設置されている。
【0015】
移動式ベルトコンベヤ3は、レールとその上を滑走するローラとを備えており、
図2に示されているとおり、移動式ベルトコンベヤ3全体として、その搬送方向(図示左右方向)に進退することが可能である。この進退の移動距離は2m~5mである。移動式ベルトコンベヤ3がその搬送方向へ最も後退したとき(
図2(A))にはその前端部3aが第一のホッパ4aの上方に位置し、移動式ベルトコンベヤ3がその搬送方向へ最も前進したとき(
図2(C))にはその前端部3aが第二のホッパ4bの上方に位置する。
【0016】
移動式ベルトコンベヤ3の下方には、上方へ向けて開口するダスト回収ホッパ(ダスト回収部)5が設置されている。ダスト回収ホッパ5の開口は、移動式ベルトコンベヤ3の長さ方向の大部分に対応する長さを有している。移動式ベルトコンベヤ3がその搬送方向へ最も前進したとき(
図2(C))にはその後端部3bがダスト回収ホッパ5の開口の範囲内に位置し、移動式ベルトコンベヤ3が最も後退したとき(
図2(A))にはその後端部3bがダスト回収ホッパ5の開口の範囲外に位置する。
【0017】
搬送設備1の適用対象は例えばセメント原料(石灰石、珪石等)であり、第一のホッパ4a及び第二のホッパ4bの出口は図示していない粉砕ミルに通じている。ダスト回収ホッパ5で回収されたダストは粉砕済みのセメント原料として利用可能である。
【0018】
図3に示されているとおり、移動式ベルトコンベヤ3の後端部3b側とダスト回収ホッパ5側の開口の縁に近い部分には、ダスト回収装置10が取り付けられている。ダスト回収装置10は、可撓性を有するシート11と、シート11を後端部3bに連結するための介在部材12とを有している(
図3(A))。
【0019】
介在部材12は後端部3bとシート11との距離を保つための部材であり、移動式ベルトコンベヤ3のプーリ3cの軸に支持された枠体12aと、枠体12aの最後部に取り付けられた板状体12bとからなる。枠体12aはプーリ3cの軸の両側から移動式ベルトコンベヤ3の後方へそれぞれ所定の距離だけ水平に延び、互いに移動式ベルトコンベヤ3の幅方向内側へ折れて結ばれている(
図3(B))。また、幅方向内側へ折れた部分から下方へ向けて分岐し、側面視で長方形を描くようにして元のプーリ3cの軸に戻る形状をなしている。ここでプーリ3cの軸は、当該長方形の頂点ではなく辺に位置している。板状体12bは鉛直方向に立てられた姿勢で枠体12aの最後部に取り付けられており、その下端にシート11の一端が固定されて結合されている(以下、この固定された結合部分を「後端部側固定部11a」と呼ぶ)。
【0020】
シート11は、一端が板状体12bに固定されているとともに、他端がダスト回収ホッパ5の開口の縁に近い部分に固定されている(以下、この固定部分を「ダスト回収部側固定部11b」と呼ぶ)。すなわち、シート11は後端部3b側とダスト回収ホッパ5側との間を渡すように取り付けられている。そしてシート11は、後端部側固定部11aとダスト回収部側固定部11bとの間で撓む程度に長さに余裕がある。
図3に示されているとおり、移動式ベルトコンベヤ3が最も後進した状態においては、後端部側固定部11aがダスト回収ホッパ5の開口の範囲外かつダスト回収部側固定部11bよりも移動式ベルトコンベヤの後退側に位置しており、このときシート11は後端部3bから脱落するダストを受け取れるように、受取り面11cが上方を向いている。受取り面11cの裏面は外側面11dとなっている。
【0021】
シート11の幅は、ダストを受け取れるように、少なくとも移動式ベルトコンベヤ3の幅よりも広くされており、介在部材12と略同一の幅を有している。
【0022】
シート11を構成する材料は、可撓性を有し後述する動作に耐える靭性を備えたものであれば特に限定されない。廃材利用の観点から、移動式ベルトコンベヤ3のベルトと同一であってもよい。
【0023】
ダスト回収装置10は、後述する動作をなすために、移動式ベルトコンベヤ3の進退の移動距離と、シート11の長さと、後端部側固定部11aの高さ(ダスト回収部側固定部11bからの高さ)とが所定の関係を保っている。シート11の長さは、移動式ベルトコンベヤ3の進退の移動距離の0.8倍~1.3倍であってもよく、0.9倍~1.2倍であってもよく、1.0倍~1.1倍であってもよい。シート11の長さは、後端部側固定部11aの高さの1.5倍~6.0倍であってもよく、1.8倍~5.0倍であってもよく、2.0倍~4.0倍であってもよい。後端部側固定部11aの高さは、例えば0.5mであり、移動式ベルトコンベヤ3の進退の移動距離は、後端部側固定部11aの高さの1.2倍~10倍であってもよく、2.0倍~8.0倍であってもよく、3.0倍~6.0倍であってもよい。
【0024】
<動作>
移動式ベルトコンベヤ3とダスト回収装置10の動作を説明する。
図2に示されているとおり、移動式ベルトコンベヤ3は、固定式ベルトコンベヤ2から受け取った鉱石や粉体等の搬送物8を搬送し、その前端部3aから第一のホッパ4a又は第二のホッパ4bへ搬送物8を落下させる。移動式ベルトコンベヤ3が最も後進した状態(
図2(A))では、前端部3aが第一のホッパ4aの上方に位置しているので、搬送物8は第一のホッパ4aへ落下する。第一のホッパ4aが搬送物8で満杯になったとき等に、移動式ベルトコンベヤ3を前進させると(
図2(C))、前端部3aが第二のホッパ4bの上方に位置するようになるので、搬送物8は第二のホッパ4bへ落下する。移動式ベルトコンベヤ3がこの進退を繰り返すことで搬送物8が所望のホッパへ供給される。なお、移動式ベルトコンベヤ3は、最も前進した状態であっても固定式ベルトコンベヤ2から落下する搬送物8を受け取れるように十分な長さを有している。
【0025】
鉱石や粉体等を搬送すると、ダスト8aと呼ばれる細かい粒子がベルトに付着する。ダスト8aは、一部は搬送物8とともに第一のホッパ4a及び第二のホッパ4bへ落下するが、付着性の高いダスト8aはベルトに付着したまま移動式ベルトコンベヤ3の回送領域を進行する。そして、回送領域の進行中にダスト8aが徐々に脱落し、移動式ベルトコンベヤ3の下方に設置されたダスト回収ホッパ5で回収される。このように、移動式ベルトコンベヤ3の回送領域から脱落したダスト8aの大部分はダスト回収ホッパ5内へ直接落下する。
【0026】
ここで、移動式ベルトコンベヤ3が前進した状態であるとき(
図2(C))は回送領域のベルトから脱落したダスト8aがダスト回収ホッパ5又は第一のホッパ4aへ落下するが、移動式ベルトコンベヤ3が後進した状態であるとき(
図2(A))は回送領域のベルトから脱落したダスト8aの全てがダスト回収ホッパ5又は第一のホッパ4aへ落下するのではなく、後端部3bに近い部分から脱落したダスト8aは、ダスト回収ホッパ5へ直接落下せず、シート11の受取り面11cの上に落下する。こうして、移動式ベルトコンベヤ3が後進した状態にあるときは、シート11の受取り面11cがダストを受け取る体勢になっているので、ここにダスト8aが貯留する。
【0027】
その後、移動式ベルトコンベヤ3が前進する段になったとき、シート11の受取り面11cに貯留したダスト8aは、シート11の動きによってダスト回収ホッパ5へ落下する。すなわち、移動式ベルトコンベヤ3が前進を開始すると、併せて後端部側固定部11aの位置も前進する。これに伴ってシート11の上端位置も移動し、シート11が移動式ベルトコンベヤ3の前進に引かれるようにして徐々に曲がりゆく。シート11上に貯留していたダスト8aは曲がりゆくシート11とともに持ち上げられ始める(
図2(B))。移動式ベルトコンベヤ3が更に前進を続けると、後端部側固定部11aの位置がダスト回収部側固定部11bの位置を前方へ追い抜き、ダスト回収ホッパ5の開口の範囲内に位置するようになる。そして、遅くとも移動式ベルトコンベヤ3の前進が終わるまでには、シート11の受取り面11cがダスト回収ホッパ5の上方で下を向くように反転し、受取り面11c上に貯留していたダスト8aがダスト回収ホッパ5へ落下する。このようにして、ダスト回収ホッパ5へ直接落下しなかったダスト8aを回収することができる。
【0028】
その後、移動式ベルトコンベヤ3が後退を開始すると、後端部側固定部11aの位置がダスト回収部側固定部11bの位置よりも後方へ下がるとともに、シート11が反転して受取り面11cが上を向くようになる。そして、再びダスト8aが受取り面11cに貯留し始める。
【0029】
上記のようなシート11の受取り面11cの挙動は、移動式ベルトコンベヤ3の進退に伴って必然的に生じるので、専用の動力を必要とすることなく、シート11の受取り面11c上に貯留したダストの回収が自動で行われる。ダスト8aの回収のために人手を要することもない。また、本実施形態のダスト回収装置10は部品点数が少なく構造が簡易であるので、メンテナンス性が良好であり、かつ、空間的な制約が大きい搬送設備内でも取り付ける余裕ができやすい。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では介在部材12として枠体12aと板状体12bとを有する態様を示したが、移動式ベルトコンベヤ3の後端部3bとシート11との距離を保つことができれば他の態様であってもよい。
【0031】
また、移動式ベルトコンベヤ3の前進に伴ってシート11が反転したとき、ダスト8aがダスト回収ホッパ5へ確実に落下するように、シート11に圧縮空気を当ててもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、鉱石又は粉体を搬送する移動式ベルトコンベヤに適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…搬送設備、2…固定式ベルトコンベヤ、3…移動式ベルトコンベヤ、3a…前端部、3b…後端部、3c…プーリ、4a…第一のホッパ、4b…第二のホッパ、5…ダスト回収ホッパ(ダスト回収部)、8…搬送物、8a…ダスト、10…ダスト回収装置、11…シート、11a…後端部側固定部、11b…ダスト回収部側固定部、11c…受取り面、11d…外側面、12…介在部材、12a…枠体、12b…板状体。