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特開2024-138908超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138908
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049629
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】新楯 諒
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GD04
4C601KK34
(57)【要約】
【課題】互いに無線接続されている診断装置と超音波プローブを容易に判別することができる超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法を提供する。
【解決手段】超音波診断システムは、少なくとも1つの超音波プローブ1Aと、少なくとも1つの超音波プローブ1Aに対してペアリング設定可能な少なくとも1つの診断装置2Aとを備え、少なくとも1つの超音波プローブ1Aは、それぞれ、プローブ側識別マーク表示部を有し、少なくとも1つの診断装置2Aは、それぞれ、診断装置側識別マーク表示部を有し、互いにペアリング設定された超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aは、それぞれのプローブ側識別マーク表示部および診断装置側識別マーク表示部に互いに共通の識別マークを表示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの超音波プローブと、
前記少なくとも1つの超音波プローブに対してペアリング設定可能な少なくとも1つの診断装置と
を備え、
前記少なくとも1つの超音波プローブは、プローブ側識別マーク表示部を有し、
前記少なくとも1つの診断装置は、診断装置側識別マーク表示部を有し、
互いにペアリング設定された前記超音波プローブおよび前記診断装置は、それぞれの前記プローブ側識別マーク表示部および前記診断装置側識別マーク表示部に互いに共通の識別マークを表示する超音波診断システム。
【請求項2】
前記共通の識別マークは、互いにペアリング設定された前記超音波プローブおよび前記診断装置に共通の色、数字、記号、図形のいずれかを有する請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記プローブ側識別マーク表示部および前記診断装置側識別マーク表示部の少なくとも一方は、前記共通の識別マークとして互いにペアリング設定された前記超音波プローブおよび前記診断装置に共通の色の光を発する発光部からなる請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの診断装置は、前記少なくとも1つの超音波プローブのうちペアリング設定された超音波プローブを用いて生成された超音波画像を表示する診断装置側モニタを有する請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項5】
前記診断装置側識別マーク表示部は、前記診断装置側モニタからなる請求項4に記載の超音波診断システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの診断装置は、前記少なくとも1つの超音波プローブの一覧情報が記載され且つ前記診断装置側モニタに表示されるプローブ一覧表を作成するプローブ一覧表作成部を有し、
前記少なくとも1つの診断装置のうち任意の診断装置の前記プローブ一覧表に記載された前記一覧情報から選択された超音波プローブが、前記任意の診断装置に対してペアリング設定される請求項4に記載の超音波診断システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの超音波プローブは、プローブ側モニタを有し、
前記プローブ側識別マーク表示部は、前記プローブ側モニタからなる請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの診断装置のうち1つの診断装置に対して複数の前記超音波プローブがペアリング設定されている場合に、前記複数の前記超音波プローブの前記プローブ側識別マーク表示部に、互いに異なる形態により前記共通の識別マークが表示される請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項9】
前記共通の識別マークは、前記複数の前記超音波プローブの前記プローブ側識別マーク表示部の互いに異なる位置に表示される請求項8に記載の超音波診断システム。
【請求項10】
前記共通の識別マークは、前記複数の前記超音波プローブに共通の色で且つ互いに異なる数字、記号または図形により表示される請求項8に記載の超音波診断システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの超音波プローブは、ユーザにより操作される接続確認スイッチを有し、
前記少なくとも1つの超音波プローブのうち任意の超音波プローブの前記接続確認スイッチが操作されると、前記任意の超音波プローブの前記プローブ側識別マーク表示部および前記任意の超音波プローブに対してペアリング設定されている前記診断装置の前記診断装置側識別マーク表示部に前記共通の識別マークが表示される請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項12】
互いにペアリング設定された前記超音波プローブおよび前記診断装置の少なくとも一方は、前記プローブ側識別マーク表示部および前記診断装置側識別マーク表示部に表示されている前記共通の識別マークを表す信号を、周囲に向けて送信する請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項13】
少なくとも1つの超音波プローブと少なくとも1つの診断装置とを備える超音波診断システムの制御方法であって、
前記少なくとも1つの超音波プローブおよび前記少なくとも1つの診断装置のうち任意の超音波プローブと任意の診断装置を互いにペアリング設定し、
互いにペアリング設定された前記超音波プローブのプローブ側識別マーク表示部および前記診断装置の診断装置側識別マーク表示部に互いに共通の識別マークを表示する超音波診断システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いにペアリング設定された少なくとも1つの超音波プローブと少なくとも1つの診断装置を備える超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、超音波診断装置は、振動子アレイを内蔵する超音波プローブと、超音波プローブに接続される装置本体とを備えており、超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーを超音波プローブで受信し、その受信信号を電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
また、特許文献1には、超音波プローブと装置本体との間を無線通信により無線接続する超音波診断装置が開示されている。超音波プローブにより取得された超音波画像は、装置本体のモニタに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-087840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように超音波プローブと装置本体とを無線接続すれば、超音波プローブの操作性および機動性が向上し、効率のよい診断を行うことができる。
しかしながら、病院等の医療現場に複数の診断装置と複数の超音波プローブが存在し、いずれかの診断装置がいずれかの超音波プローブに無線接続されている場合には、互いに無線接続されている診断装置と超音波プローブを判別するのに手間がかかり、超音波診断装置を至急使用したいユーザにとって負担となる。また、1つの診断装置に複数の超音波プローブが無線接続されることもある。
このため、診断装置に無線接続されている超音波プローブを判別するために時間を要し、また、診断装置に対して無線接続されていない超音波プローブを使用しようとする不具合が発生するおそれもある。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたものであり、互いに無線接続されている診断装置と超音波プローブを容易に判別することができる超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の構成によれば、上記目的を達成することができる。
〔1〕 少なくとも1つの超音波プローブと、
少なくとも1つの超音波プローブに対してペアリング設定可能な少なくとも1つの診断装置と
を備え、
少なくとも1つの超音波プローブは、プローブ側識別マーク表示部を有し、
少なくとも1つの診断装置は、診断装置側識別マーク表示部を有し、
互いにペアリング設定された超音波プローブおよび診断装置は、それぞれのプローブ側識別マーク表示部および診断装置側識別マーク表示部に互いに共通の識別マークを表示する超音波診断システム。
【0007】
〔2〕 共通の識別マークは、互いにペアリング設定された超音波プローブおよび診断装置に共通の色、数字、記号、図形のいずれかを有する〔1〕に記載の超音波診断システム。
〔3〕 プローブ側識別マーク表示部および診断装置側識別マーク表示部の少なくとも一方は、前記共通の識別マークとして互いにペアリング設定された前記超音波プローブおよび前記診断装置に共通の色の光を発する発光部からなる〔1〕または〔2〕に記載の超音波診断システム。
【0008】
〔4〕 少なくとも1つの診断装置は、少なくとも1つの超音波プローブのうちペアリング設定された超音波プローブを用いて生成された超音波画像を表示する診断装置側モニタを有する〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の超音波診断システム。
〔5〕 診断装置側識別マーク表示部は、診断装置側モニタからなる〔4〕に記載の超音波診断システム。
〔6〕 少なくとも1つの診断装置は、少なくとも1つの超音波プローブの一覧情報が記載され且つ診断装置側モニタに表示されるプローブ一覧表を作成するプローブ一覧表作成部を有し、
少なくとも1つの診断装置のうち任意の診断装置のプローブ一覧表に記載された一覧情報から選択された超音波プローブが、任意の診断装置に対してペアリング設定される〔4〕に記載の超音波診断システム。
【0009】
〔7〕 少なくとも1つの超音波プローブは、プローブ側モニタを有し、
プローブ側識別マーク表示部は、プローブ側モニタからなる〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の超音波診断システム。
〔8〕 少なくとも1つの診断装置のうち1つの診断装置に対して複数の超音波プローブがペアリング設定されている場合に、複数の超音波プローブのプローブ側モニタに、互いに異なる形態により共通の識別マークが表示される〔1〕に記載の超音波診断システム。
〔9〕 共通の識別マークは、複数の超音波プローブのプローブ側識別マーク表示部の互いに異なる位置に表示される〔8〕に記載の超音波診断システム。
〔10〕共通の識別マークは、複数の超音波プローブに共通の色で且つ互いに異なる数字、記号または図形により表示される〔8〕に記載の超音波診断システム。
【0010】
〔11〕 少なくとも1つの超音波プローブは、ユーザにより操作される接続確認スイッチを有し、
少なくとも1つの超音波プローブのうち任意の超音波プローブの接続確認スイッチが操作されると、任意の超音波プローブのプローブ側識別マーク表示部および任意の超音波プローブに対してペアリング設定されている診断装置の診断装置側識別マーク表示部に共通の識別マークが表示される〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の超音波診断システム。
〔12〕 互いにペアリング設定された超音波プローブおよび診断装置の少なくとも一方は、プローブ側識別マーク表示部および診断装置側識別マーク表示部に表示されている共通の識別マークを表す信号を、周囲に向けて送信する〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の超音波診断システム。
【0011】
〔13〕 少なくとも1つの超音波プローブと少なくとも1つの診断装置とを備える超音波診断システムの制御方法であって、
少なくとも1つの超音波プローブおよび少なくとも1つの診断装置のうち任意の超音波プローブと任意の診断装置を互いにペアリング設定し、
互いにペアリング設定された超音波プローブのプローブ側識別マーク表示部および診断装置の診断装置側識別マーク表示部に互いに共通の識別マークを表示する超音波診断システムの制御方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る超音波診断システムにおいては、少なくとも1つの超音波プローブは、プローブ側識別マーク表示部を有し、少なくとも1つの診断装置は、それぞれ、診断装置側識別マーク表示部を有し、互いにペアリング設定された超音波プローブおよび診断装置は、それぞれのプローブ側識別マーク表示部および診断装置側識別マーク表示部に互いに共通の識別マークを表示するため、互いに無線接続されている診断装置と超音波プローブを容易に判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの互いに無線接続された超音波プローブと診断装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1における超音波プローブの送受信回路の内部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態1における超音波プローブの画像生成部の内部構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態1における超音波プローブの外観を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態1における診断装置を示す図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態1において超音波画像が診断装置側モニタに表示された診断装置を示す図である。
図9】本発明の実施の形態2における診断装置の内部構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施の形態2における診断装置を示す図である。
図11】本発明の実施の形態3における超音波プローブの内部構成を示すブロック図である。
図12】本発明の実施の形態3における超音波プローブの外観を示す斜視図である。
図13】本発明の実施の形態4における超音波プローブの外観を示す斜視図である。
図14】本発明の実施の形態5におけるプローブ側モニタの表示画面を示す図である。
図15】本発明の実施の形態5の変形例におけるプローブ側モニタの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
【0015】
実施の形態1
図1に本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの構成を示す。超音波診断システムは、複数の超音波プローブ1A~1Eと複数の診断装置2A~2Cを備えている。複数の診断装置2A~2Cは、それぞれ、複数の超音波プローブ1A~1Eのうち少なくとも1つの超音波プローブとペアリング設定可能であるものとする。
また、図1には、診断装置2Aに超音波プローブ1Aおよび1Cがペアリング設定され、診断装置2Bに超音波プローブ1Dがペアリング設定され、診断装置2Cに超音波プローブ1Bおよび1Eがペアリング設定されている様子が示されている。
【0016】
ここで、互いにペアリング設定されて無線接続されている超音波プローブ1Aと診断装置2Aの内部構成を図2に示す。
超音波プローブ1Aは、振動子アレイ11を有しており、振動子アレイ11に送受信回路12、画像生成部13およびプローブ側通信回路14が、順次、接続され、送受信回路12および画像生成部13に、プローブ制御部15が接続されている。
また、超音波プローブ1Aは、発光部16および接続確認スイッチ17を有し、発光部16および接続確認スイッチ17が、それぞれ、プローブ制御部15に接続されている。
送受信回路12、画像生成部13およびプローブ制御部15により、プローブ側プロセッサ18が構成されている。
【0017】
一方、診断装置2Aは、診断装置側通信回路21を有しており、診断装置側通信回路21に表示制御部22および診断装置側モニタ23が、順次、接続されている。また、診断装置2Aは、プローブ一覧表作成部24を有し、表示制御部22およびプローブ一覧表作成部24に、診断装置制御部25が接続されている。
さらに、診断装置2Aは、発光部26および入力装置27を有し、発光部26および入力装置27が、それぞれ、診断装置制御部25に接続されている。
表示制御部22、プローブ一覧表作成部24および診断装置制御部25により、診断装置側プロセッサ28が構成されている。
【0018】
超音波プローブ1の振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ送受信回路12から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0019】
送受信回路12は、プローブ制御部15による制御の下で、振動子アレイ11から超音波を送信し且つ振動子アレイ11により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路12は、図3に示すように、振動子アレイ11に接続されるパルサ31と、振動子アレイ11から順次直列に接続される増幅部32、AD(Analog to Digital)変換部33およびビームフォーマ34を有している。
【0020】
パルサ31は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、プローブ制御部15からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0021】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ1Aの振動子アレイ11に向かって伝搬する。このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部62に出力する。
【0022】
増幅部32は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部33に送信する。AD変換部33は、増幅部32から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ34は、AD変換部33から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部33で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
【0023】
画像生成部13は、図4に示すように、信号処理部35、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)36および画像処理部37が順次直列に接続された構成を有している。
【0024】
信号処理部35は、送受信回路12から受信した音線信号に対し、プローブ制御部15により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0025】
DSC36は、信号処理部35で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部37は、DSC36から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号をプローブ側通信回路14に送出する。以降は、画像処理部37により画像処理が施されたBモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。
【0026】
プローブ側通信回路14は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、画像生成部13により生成された超音波画像に基づいてキャリアを変調して、超音波画像を表す伝送信号を生成し、また、診断装置2Aから受信した伝送信号を復調する。キャリアの変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16直角位相振幅変調)等が用いられる。
プローブ側通信回路14は、このようにして生成された伝送信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、超音波画像を診断装置2Aの診断装置側通信回路21に向けて無線送信する。
【0027】
プローブ制御部15は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、超音波プローブ1Aの各部の制御を行う。
【0028】
発光部16は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)またはOLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)により形成されており、プローブ制御部15による制御の下で、互いにペアリング設定された超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aに共通の色の光を発することにより識別マークM1を表示するプローブ側識別マーク表示部を構成している。
図5に示されるように、発光部16は、超音波プローブ1AのハウジングH1の外面上に配置される、あるいは、透光性を有するハウジングH1の内側に配置されており、発光部16から発せられる光の色により表される識別マークM1を、超音波プローブ1Aの外部から認識することができる。
【0029】
超音波プローブ1Aにペアリング設定された診断装置2Aにも、識別マークM1に共通する光の色により表される識別マークM2が表示され、ユーザは、超音波プローブ1Aに表示される識別マークM1と診断装置2Aに表示される識別マークM2が互いに共通する色を有することから、互いにペアリング設定された超音波プローブ1Aと診断装置2Aを識別することができるように構成されている。
【0030】
接続確認スイッチ17は、超音波プローブ1Aにペアリング設定されている診断装置2Aを確認するためのものであり、ユーザにより接続確認スイッチ17が操作されると、発光部16により識別マークM1が表示され且つ超音波プローブ1Aにペアリング設定されている診断装置2Aに識別マークM2が表示される。
【0031】
なお、送受信回路12、画像生成部13およびプローブ制御部15を有するプローブ側プロセッサ18は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0032】
また、プローブ側プロセッサ18の送受信回路12、画像生成部13およびプローブ制御部15は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
なお、超音波プローブ1Aには、図示しないバッテリが内蔵されており、このバッテリから超音波プローブ1Aの各部に電力が供給される。
【0033】
診断装置2Aの診断装置側通信回路21は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、超音波プローブ1Aのプローブ側通信回路14から送信された超音波画像を表す伝送信号を、アンテナを介して受信し、受信した伝送信号を、例えば、ASK、PSK、QPSK、16QAM等の方式で復調することにより超音波画像を表示制御部22に送出する。
【0034】
表示制御部22は、診断装置制御部25の制御の下、診断装置側通信回路21から送出された超音波画像に対して所定の処理を施して診断装置側モニタ23に表示する。
診断装置側モニタ23は、表示制御部22の制御の下、超音波画像を表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を有している。
【0035】
プローブ一覧表作成部24は、診断装置制御部25の制御の下、図6に示されるように、複数の超音波プローブ1A~1Eの一覧情報が記載されたプローブ一覧表Lを作成し、表示制御部22を介して診断装置側モニタ23に表示する。
診断装置2Aの診断装置側モニタ23に表示されたプローブ一覧表Lに記載されている複数の超音波プローブ1A~1Eの一覧情報から、ユーザにより1つの超音波プローブが選択されると、選択された超音波プローブが診断装置2Aに対してペアリング設定されるように、診断装置制御部25により診断装置2Aおよび選択された超音波プローブが制御される。
【0036】
なお、プローブ一覧表Lにおける一覧情報は、超音波診断システムに備えられている複数の超音波プローブ1A~1Eの名称の他、リニア型、コンベックス型、セクタ型等のそれぞれの超音波プローブの種類を含むこともできる。
【0037】
診断装置制御部25は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、診断装置2Aの各部の制御を行う。
【0038】
発光部26は、例えば、LEDまたはOLEDにより形成されており、診断装置制御部25による制御の下で、互いにペアリング設定された超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aに共通の色の光を発することにより識別マークM2を表示する診断装置側識別マーク表示部を構成している。
図6に示されるように、発光部26は、診断装置2AのハウジングH2の外面上に配置される、あるいは、透光性を有するハウジングH2の内側に配置されており、発光部26から発せられる光の色により表される識別マークM2を、診断装置2Aの外部から認識することができる。
【0039】
入力装置27は、ユーザが入力操作を行うためのものであり、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、および、診断装置側モニタ23に重ねて配置されたタッチセンサ等の装置により構成される。
【0040】
表示制御部22、プローブ一覧表作成部24および診断装置制御部25を有する診断装置側プロセッサ28は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
また、診断装置側プロセッサ28の表示制御部22、プローブ一覧表作成部24および診断装置制御部25は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
【0041】
なお、診断装置2Aが、図6に示されるような、いわゆるタブレット等の携帯型の装置である場合には、診断装置2Aには、図示しないバッテリが内蔵され、このバッテリから診断装置2Aの各部に電力が供給される。
【0042】
また、複数の超音波プローブ1A~1Eおよび複数の診断装置2A~2Cのうち、超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aの内部構成について説明したが、他の超音波プローブ1B~1Eも、超音波プローブ1Aと同様の構成を有し、他の診断装置2Bおよび2Cも、診断装置2Aと同様の構成を有している。
【0043】
次に、図7に示されるフローチャートを参照し、実施の形態1に係る超音波診断システムの動作について説明する。
まず、ステップS1において、任意の診断装置のプローブ一覧表作成部24により、複数の超音波プローブ1A~1Eの一覧情報が記載されたプローブ一覧表Lが作成され、図6に示されるように、プローブ一覧表Lが診断装置側モニタ23に表示される。
【0044】
次に、ステップS2において、診断装置側モニタ23に表示されたプローブ一覧表Lからユーザにより1つの超音波プローブが選択されると、診断装置制御部25により診断装置および選択された超音波プローブが制御され、選択された超音波プローブと診断装置が互いにペアリング設定される。
ここでは、例えば、超音波プローブ1Aと診断装置2Aが互いにペアリング設定されたものとする。
【0045】
このようにして超音波プローブ1Aと診断装置2Aが互いにペアリング設定されると、ステップS3において、超音波プローブ1Aの発光部16から発せられる光の色により識別マークM1が表示され且つ診断装置2Aの発光部26から発せられる光の色により識別マークM2が表示される。
ここで、識別マークM1と識別マークM2は、互いに共通の色を有している。なお、「共通の色」とは、互いに同じ色の他、互いに似通ったスペクトルを有してユーザに同系統の色であると認知させることができる色を含むものとする。
【0046】
互いに共通の色を有する識別マークM1およびM2が、超音波プローブ1Aの発光部16および診断装置2Aの発光部26によりそれぞれ表示されるため、ユーザは、これらの識別マークM1およびM2を確認することにより、複数の超音波プローブ1A~1Eおよび複数の診断装置2A~2Cの中で、超音波プローブ1Aと診断装置2Aが互いにペアリング設定されていることを感覚的に且つ容易に判別することができる。
【0047】
そこで、ステップS4において、ユーザは、互いにペアリング設定されている超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aを用いて、被検体に対する超音波撮影を行うことが可能となる。
【0048】
超音波撮影においては、超音波プローブ1Aが被検体の体表に接触した状態とされ、プローブ制御部15の制御の下で、送受信回路12のパルサ31からの駆動信号に従って振動子アレイ11の複数の振動子から超音波の送信が開始され、被検体の内部組織からの超音波エコーは、振動子アレイ11の複数の振動子により受信され、アナログ信号である受信信号が送受信回路12の増幅部32に出力されて増幅され、AD変換部33でデジタル信号に変換される。
【0049】
AD変換部33で変換されたデジタル信号に対してビームフォーマ34により受信フォーカス処理が施され、これにより生成された音線信号が画像生成部13に送出され、ステップS5において、画像生成部13により被検体の断層画像情報を表す超音波画像が生成される。
この際に、画像生成部13の信号処理部35により、音線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じた減衰の補正および包絡線検波処理が施され、DSC36により、通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換され、画像処理部37により、階調処理等の各種の必要な画像処理が施される。
【0050】
画像生成部13により生成された超音波画像は、超音波プローブ1Aのプローブ側通信回路14から診断装置2Aに向けて送信され、診断装置2Aの診断装置側通信回路21により受信された後、表示制御部22を介して診断装置側モニタ23に送出される。このようにして、ステップS6において、図8に示されるように、診断装置2Aの診断装置側モニタ23に超音波画像Uが表示される。
これにより、図7に示される一連の動作が終了する。さらに、被検体の体表に沿って超音波プローブ1Aを走査して、超音波撮影を続ける場合には、ステップS4~S6が繰り返される。
【0051】
なお、識別マークM1およびM2は、超音波プローブ1Aと診断装置2Aが互いにペアリング設定されている場合に、超音波プローブ1Aの発光部16および診断装置2Aの発光部26によりそれぞれ常時表示することができる。
【0052】
あるいは、超音波プローブ1Aと診断装置2Aが互いにペアリング設定された時点から定められた時間だけ発光部16および26から光を発して識別マークM1およびM2を表示することもできる。この場合、ペアリング設定から定められた時間が経過すると、識別マークM1およびM2を確認することができなくなるが、ユーザが超音波プローブ1Aの接続確認スイッチ17を操作することにより、超音波プローブ1Aの発光部16により識別マークM1が表示され且つ診断装置2Aの発光部26により識別マークM2が表示される。これにより、互いにペアリング設定されて無線接続されている超音波プローブ1Aと診断装置2Aを認識することが可能となる。
【0053】
図7のステップS2において、診断装置側モニタ23に表示されたプローブ一覧表Lからユーザにより1つの超音波プローブが選択された場合に、例えば、プローブ一覧表L内において選択された超音波プローブを強調表示しておけば、プローブ一覧表Lを確認することにより、診断装置2A側からペアリング設定された超音波プローブ1Aを認識することができる。
また、診断装置2Aにも、超音波プローブ1Aの接続確認スイッチ17と同様の接続確認スイッチを装備し、接続確認スイッチを操作することで、互いにペアリング設定されている超音波プローブ1Aと診断装置2Aに識別マークM1およびM2をそれぞれ表示するように構成してもよい。
【0054】
さらに、超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aが互いにペアリング設定された場合に、超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aの少なくとも一方から、識別マークM1またはM2を表す信号を周囲に向けて送信することができる。また、この送信は、無線通信のいわゆるビーコンと同様に、定められた時間間隔により繰り返し送信してもよい。
【0055】
例えば、超音波プローブ1Aのプローブ制御部15の制御の下でプローブ側通信回路14から識別マークM1となる光の色を表す信号が送信される。これにより、まだペアリング設定されていない超音波プローブ1B~1Eおよび診断装置2Bおよび2Cが新たにペアリング設定される際に、超音波プローブ1Aにより用いられている識別マークM1とは異なる光の色を有する識別マークを超音波プローブおよび診断装置に表示することができる。
同様にして、診断装置2Aの診断装置制御部25の制御の下で診断装置側通信回路21から識別マークM2となる光の色を表す信号を送信してもよい。これにより、新たにペアリング設定される超音波プローブおよび診断装置に、診断装置2Aにより用いられている識別マークM2とは異なる光の色を有する識別マークを表示することができる。
【0056】
また、超音波プローブ1Aからの識別マークM1となる光の色を表す信号の送信と診断装置2Aからの識別マークM2となる光の色を表す信号の送信の双方を行ってもよい。これにより、新たにペアリング設定される超音波プローブおよび診断装置に、超音波プローブ1Aおよび診断装置2Aに共通の識別マークM1およびM2とは異なる識別マークを表示することができる。
【0057】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、診断装置2Aにおいて、識別マークM2を表示する診断装置側識別マーク表示部が、LEDまたはOLEDにより形成された発光部26により構成されているが、これに限るものではない。
図9に、実施の形態2における診断装置20Aの内部構成を示す。診断装置20Aは、図2に示される診断装置2Aにおいて、発光部26の代わりに識別マーク生成部41を備え、さらに、診断装置制御部25および診断装置側プロセッサ28の代わりに診断装置制御部25Aおよび診断装置側プロセッサ28Aを用いたものであり、その他の構成は、診断装置2Aと同様である。
【0058】
識別マーク生成部41は、診断装置制御部25Aに接続され、識別マーク生成部41に表示制御部22が接続されている。
表示制御部22、プローブ一覧表作成部24、識別マーク生成部41および診断装置制御部25Aにより、診断装置側プロセッサ28Aが構成されている。
【0059】
識別マーク生成部41は、診断装置制御部25Aの制御の下で、超音波プローブ1Aの識別マークM1に共通する光の色を有する識別マークM2を生成する。
識別マーク生成部41により生成された識別マークM2は、表示制御部22を介して診断装置側モニタ23に送出され、図10に示されるように、診断装置側モニタ23の定められた位置に表示される。
すなわち、診断装置20Aにおいては、診断装置側モニタ23により、識別マークM2を表示する診断装置側識別マーク表示部が構成されている。
【0060】
このように、診断装置側モニタ23を診断装置側識別マーク表示部として機能させ、診断装置側モニタ23に識別マークM2を表示しても、実施の形態1と同様にして、互いにペアリング設定されて無線接続されている超音波プローブ1Aと診断装置2Aを容易に判別することが可能となる。
【0061】
実施の形態3
上記の実施の形態1では、超音波プローブ1Aにおいて、識別マークM1を表示するプローブ側識別マーク表示部が、LEDまたはOLEDにより形成された発光部16により構成されているが、これに限るものではない。
図11に、実施の形態3における超音波プローブ10Aの内部構成を示す。超音波プローブ10Aは、図2に示される超音波プローブ1Aにおいて、発光部16の代わりに識別マーク生成部42、表示制御部43およびプローブ側モニタ44を備え、さらに、プローブ制御部15およびプローブ側プロセッサ18の代わりにプローブ制御部15Aおよびプローブ側プロセッサ18Aを用いたものであり、その他の構成は、超音波プローブ1Aと同様である。
【0062】
識別マーク生成部42に表示制御部43を介してプローブ側モニタ44が接続され、識別マーク生成部42および表示制御部43は、プローブ制御部15Aに接続されている。
送受信回路12、画像生成部13、識別マーク生成部42、表示制御部43およびプローブ制御部15Aにより、プローブ側プロセッサ18Aが構成されている。
【0063】
識別マーク生成部42は、プローブ制御部15Aの制御の下で、識別マークM1を生成する。
表示制御部43は、プローブ制御部15Aの制御の下、識別マーク生成部42により生成された識別マークM1に対して所定の処理を施してプローブ側モニタ44に表示する。
プローブ側モニタ44は、表示制御部43の制御の下、識別マークM1を表示するものであり、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を有している。
識別マーク生成部42により生成された識別マークM1は、表示制御部43を介してプローブ側モニタ44に表示される。
【0064】
図12に示されるように、プローブ側モニタ44は、超音波プローブ10AのハウジングH1の外面上に配置されており、プローブ側モニタ44により表示される識別マークM1を、超音波プローブ10Aの外部から認識することができる。
すなわち、超音波プローブ10Aにおいては、プローブ側モニタ44により、識別マークM1を表示するプローブ側識別マーク表示部が構成されている。
【0065】
例えば、超音波プローブ10Aを実施の形態1における診断装置2Aと組み合わせて使用し、診断装置2Aの識別マークM2に共通する光の色により表される識別マークM1を超音波プローブ10Aのプローブ側モニタ44に表示することにより、実施の形態1と同様にして、互いにペアリング設定されて無線接続されている超音波プローブ10Aと診断装置2Aを容易に判別することが可能となる。
【0066】
また、超音波プローブ10Aを実施の形態2における診断装置20Aと組み合わせて使用し、超音波プローブ10Aのプローブ側モニタ44および診断装置20Aの診断装置側モニタ23に、互いに共通の色、数字、記号、図形のいずれかを有する識別マークM1およびM2をそれぞれ表示することもできる。このようにしても、超音波プローブ10Aの識別マークM1と診断装置20Aの識別マークM2を確認することにより、互いにペアリング設定されて無線接続されている超音波プローブ10Aと診断装置20Aを容易に判別することが可能となる。
【0067】
実施の形態4
図13に、実施の形態4における超音波プローブ11Aの外観を示す。超音波プローブ11Aは、発光部16として、超音波プローブ11AのハウジングH1の外面上に配列された4つのLED16A~16Dを有しており、その他の構成は、実施の形態1における超音波プローブ1Aと同様である。
超音波プローブ11Aを実施の形態1における診断装置2Aと組み合わせて使用し、診断装置2Aの識別マークM2に共通する色の光を超音波プローブ11Aの4つのLED16A~16DのうちいずれかのLEDまたは複数のLEDから発して識別マークM1を表示することにより、実施の形態1と同様にして、互いにペアリング設定されて無線接続されている超音波プローブ11Aと診断装置2Aを容易に判別することが可能となる。
【0068】
また、診断装置2Aに対して超音波プローブ11Aを含む複数の超音波プローブがペアリング設定されている場合に、4つのLED16A~16Dを用いてペアリング設定された複数の超音波プローブを示すことができる。
例えば、図13においては、超音波プローブ11Aの4つのLED16A~16Dのうち、3つのLED16A~16Cが点灯し、さらに、3つのLED16A~16Cの中で、LED16Bが、残りのLED16Aおよび16Cとは異なる色の光を発する、または、残りのLED16Aおよび16Cよりも強い光を発する状態を示している。LED16Bにより超音波プローブ11Aにおける識別マークM1が表示されている。
【0069】
ユーザは、点灯する3つのLED16A~16Cを確認することにより、診断装置2Aに3つの超音波プローブがペアリング設定されていることを認識し、さらに、LED16Bから発せられる光が、診断装置2Aの識別マークM2に共通する色を有することを確認することにより、この超音波プローブ11Aが、診断装置2Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのうち2つ目の超音波プローブであることを認識することが可能となる。
【0070】
なお、診断装置2Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのうち超音波プローブ11A以外の超音波プローブにおいては、LED16Aまたは16Cにより識別マークM1が表示される。
このように、診断装置2Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのLED16A~16Cから互いに同じ光の色によりそれぞれ識別マークM1が表示されても、発光部16の互いに異なる位置に識別マークM1が表示されることにより、それぞれの超音波プローブを見分けることができる。
【0071】
なお、4つのLED16A~16Dの代わりに4つのOLEDを発光部16として使用することもできる。
また、LED16A~16Dの個数は、複数であればよく、4つに限るものではない。
【0072】
実施の形態5
上記の実施の形態3における超音波プローブ10Aでは、プローブ側モニタ44により識別マークM1が表示されるので、診断装置2Aまたは20Aに対して超音波プローブ10Aを含む複数の超音波プローブがペアリング設定されている場合に、ペアリング設定された複数の超音波プローブをプローブ側モニタ44に示すことができる。
【0073】
例えば、図14に示されるプローブ側モニタ44には、3つの超音波プローブを表す3つのプローブマークP1~P3が表示され、3つのプローブマークP1~P3の中で、2番目のプローブマークP2が、診断装置2Aまたは20Aの識別マークM2に共通する色により表示された状態を示している。プローブマークP2により超音波プローブ10Aにおける識別マークM1が表示されている。
【0074】
ユーザは、プローブ側モニタ44に3つのプローブマークP1~P3が表示されていることを確認することにより、診断装置2Aまたは20Aに3つの超音波プローブがペアリング設定されていることを認識し、さらに、プローブマークP2の色が診断装置2Aまたは20Aの識別マークM2に共通する色であることから、この超音波プローブ10Aが、診断装置2Aまたは20Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのうち2つ目の超音波プローブであることを認識することが可能となる。
【0075】
なお、診断装置2Aまたは20Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのうち超音波プローブ10A以外の超音波プローブにおいては、プローブマークP1またはP3が、診断装置2Aまたは20Aの識別マークM2に共通する色により表示されることにより識別マークM1が表示される。
このように、診断装置2Aまたは20Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのプローブ側モニタ44に互いに同じ色によりそれぞれ識別マークM1が表示されても、プローブ側モニタ44の互いに異なる位置に識別マークM1が表示されることにより、それぞれの超音波プローブを見分けることができる。
【0076】
また、図15に示されるプローブ側モニタ44には、3つの超音波プローブを表す3つの数字「1」、「2」および「3」が表示され、これら3つの数字の中で、2番目の数字「2」が、診断装置2Aまたは20Aの識別マークM2に共通する色により表示された状態を示している。数字「2」により超音波プローブ10Aにおける識別マークM1が表示されている。
【0077】
ユーザは、プローブ側モニタ44に3つの数字が表示されていることを確認することにより、診断装置2Aまたは20Aに3つの超音波プローブがペアリング設定されていることを認識し、さらに、3つの数字の中で、2番目の数字「2」の色が診断装置2Aまたは20Aの識別マークM2に共通する色であることから、この超音波プローブ10Aが、診断装置2Aまたは20Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのうち2つ目の超音波プローブであることを認識することが可能となる。
【0078】
なお、診断装置2Aまたは20Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのうち超音波プローブ10A以外の超音波プローブにおいては、数字「1」または「3」が、診断装置2Aまたは20Aの識別マークM2に共通する色により表示されることにより識別マークM1が表示される。
このように、診断装置2Aまたは20Aにペアリング設定された3つの超音波プローブのプローブ側モニタ44に互いに同じ色によりそれぞれ識別マークM1が表示されても、互いに異なる数字を用いて識別マークM1が表示されることにより、それぞれの超音波プローブを見分けることができる。
【0079】
図15では、互いに異なる数字により識別マークM1が表示されているが、数字に限るものではなく、互いに異なる記号、または、互いに異なる図形により、それぞれ識別マークM1を表示することもできる。
【0080】
上記の実施の形態1~5では、超音波プローブ1A,10Aが画像生成部13を有しているが、これに限らず、診断装置2A、20Aが、画像生成部13を有するように構成することもできる。
また、診断装置2A、20Aは、図6に示されるような携帯型の装置に限るものではなく、据え置き型、または、いわゆるカート型の診断装置であってもよい。
さらに、図1には、5つの超音波プローブ1A~1Eと3つの診断装置2A~2Cを備える超音波診断システムが示されているが、これに限るものではなく、少なくとも1つの超音波プローブと少なくとも1つの診断装置を備える超音波診断システムに本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1A~1E,10A,11A 超音波プローブ、2A~2C,20A 診断装置、11 振動子アレイ、12 送受信回路、13 画像生成部、14 プローブ側通信回路、15,15A プローブ制御部、16,26 発光部、16A~16D LED、17 接続確認スイッチ、18,18A プローブ側プロセッサ、21 診断装置側通信回路、22,43 表示制御部、23 診断装置側モニタ、24 プローブ一覧表作成部、25,25A 診断装置制御部、27 入力装置、28,28A 診断装置側プロセッサ、31 パルサ、32 増幅部、33 AD変換部、34 ビームフォーマ、35 信号処理部、36 DSC、37 画像処理部、41,42 識別マーク生成部、44 プローブ側モニタ、M1,M2 識別マーク、H1,H2 ハウジング、L プローブ一覧表、P1~P3 プローブマーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15