(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138960
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】改質金属酸化物粒子の製造方法、改質金属酸化物粒子、光硬化性組成物、硬化物
(51)【国際特許分類】
C01G 23/04 20060101AFI20241002BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20241002BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20241002BHJP
C09C 3/12 20060101ALI20241002BHJP
C09C 3/10 20060101ALI20241002BHJP
C09C 1/36 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
C01G23/04 B
C08F2/44 A
C08F292/00
C09C3/12
C09C3/10
C09C1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049698
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨハン
【テーマコード(参考)】
4G047
4J011
4J026
4J037
【Fターム(参考)】
4G047CA02
4G047CB05
4G047CB08
4G047CC01
4G047CD03
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA02
4J011CC10
4J011PA04
4J011PA07
4J011PB15
4J011PB16
4J011PB18
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA18
4J011QA40
4J011SA84
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J026AC00
4J026BA28
4J026DB06
4J026DB36
4J026FA05
4J026GA07
4J037AA22
4J037CB09
4J037CB23
4J037EE03
4J037EE43
4J037EE47
4J037FF02
(57)【要約】
【課題】透光性組成物に加えられた場合に、良好な光学特性を示す透光性組成物を与える改質金属酸化物粒子の製造方法と、当該方法により製造された改質金属酸物粒子と、当該改質金属酸化物粒子と透明な基材成分とを含む光硬化性組成物と、当該光硬化性組成物の硬化物とを提供すること。
【解決手段】キャッピング剤により任意に表面処理されていてもよい、ソルボサーマル法で調製された粗金属酸化物粒子を、水を含む含窒素極性有機溶媒中で加熱して、改質金属酸化物粒子を製造する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルボサーマル法で調製された粗金属酸化物粒子(A1)、及び前記粗金属酸化物粒子(A1)の表面をキャップ剤によりキャッピングして得られた粗金属酸化物粒子(A2)から選択される粗金属酸化物粒子(A)を、水を含む含窒素極性有機溶媒(S)に分散させることと、
前記含窒素極性有機溶媒(S)中で、前記粗金属酸化物粒子(A)を加熱することにより、その表面が改質された改質金属酸化物粒子を得ることと、を含む、改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項2】
前記含窒素極性有機溶媒(S)が、塩基性化合物、酸性化合物、及びキャップ剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤(B)を含む、請求項1に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項3】
前記添加剤(B)としての前記酸性化合物が、炭素原子数1以上4以下の脂肪族カルボン酸である、請求項2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項4】
前記添加剤(B)としての前記キャップ剤が、シランカップリング剤である、請求項2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項5】
前記シランカップリング剤が、ω-アミノアルキルトリアルコキシシランである、請求項4に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項6】
前記粗金属酸化物粒子(A)の加熱が、50℃以上200℃以下の温度で行われる、請求項1又は2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項7】
前記粗金属酸化物粒子(A)の加熱が、70℃以上90℃以下、又は140℃以上160℃以下の温度で行われる、請求項6に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項8】
前記粗金属酸化物粒子(A)を、
70℃以上90℃以下で30分以上90分以下の間加熱するか、
140℃以上160℃以下で30分以上90分以下の間加熱するか、
70℃以上90℃以下で30分以上90分以下の間加熱した後に、140℃以上160℃以下で30分以上90分以下の間加熱する、請求項7に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項9】
前記含窒素極性有機溶媒(S)が、-CO-N<で表される結合を有する溶媒である、請求項1又は2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項10】
前記含窒素極性有機溶媒(S)が、尿素化合物である、請求項9に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項11】
前記粗金属酸化物粒子(A)が、Ag、Cu、In、Sn、Ti、Hf、Al、Zr、Zn、Sn、Ce、Ga、Y、V、Ta、W、Mo、Nb、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Re、Pd、Os、Ir、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む、請求項1又は2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項12】
前記粗金属酸化物粒子(A1)が、溶媒(Z)中でソルボサーマル法により調製され、
前記溶媒(Z)は、水、及び/又は有機溶媒からなる、請求項1又は2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項13】
前記有機溶媒は、アルコール化合物、及びカルボニル化合物から選択される1種以上である、請求項12に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項14】
前記粗金属酸化物粒子(A)が、酸化チタン粒子からなる、請求項11に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項15】
粗金属酸化物粒子(A2)の表面をキャッピングする前記キャップ剤が、シランカップリング剤、カルボン酸化合物、アルコール化合物、チオール化合物、スルホナート化合物、ホスホナート化合物、及びホスファート化合物から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項16】
粗金属酸化物粒子(A2)の表面をキャッピングする前記キャップ剤が、シランカップリング剤である、請求項15に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項17】
熱重量分析法により測定される前記粗金属酸化物粒子(A)に含まれる有機物量が、前記粗金属酸化物粒子(A)の質量に対して、5質量%以上15質量%以下である、請求項1又は2に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項18】
請求項1又は2に記載の方法により製造された、改質金属酸化物粒子。
【請求項19】
請求項18に記載の改質金属酸化物と、透明な基材成分とを含む光硬化性組成物。
【請求項20】
請求項19に記載の光硬化性組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗金属酸化物粒子に対して所定の処理を施す改質金属酸化物粒子の製造方法と、当該製造方法により製造され得る改質金属酸化物粒子と、当該改質金属酸化物粒子を含む光硬化性組成物と、当該光硬化性組成物からなる硬化物とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の機能性の材料の形成に用いられる組成物に、材料に機能性を付与する目的で種々の無機物粒子が配合されている。例えば、光学部材の形成に、高屈折率材料が用いられている。高屈折材料として、例えば、酸化チタンや酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子を有機成分中に分散させた組成物が用いられている(特許文献1及び2)。
酸化チタンや酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子は、一般的には、金属酸化物粒子の前駆体である原料化合物を、溶媒中で、所定の温度、及び所定の圧力下で反応させて金属酸化物粒子を製造する方法であるソルボサーマル法により製造されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/106860号
【特許文献2】国際公開第2019/017305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属酸化物粒子が有機成分中に分散された組成物からなる光学部材は、光線にさらされる場合が多い。
また、透光性の光学部材等を形成する場合、光学部材を備えるデバイスを構成する材料への熱によるダメージがないこと等から、露光により硬化する感光性組成物が使用されることが多い。
しかしながら、光学部材を構成する組成物がソルボサーマル法により製造された金属酸化物粒子を含む場合、光学部材を製造する際の露光や、光学部材への露光に起因して、しばしば、光学部材の光学特性が損なわれる。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであって、透光性組成物に加えられた場合に、良好な光学特性を示す透光性組成物を与える改質金属酸化物粒子の製造方法と、当該方法により製造された改質金属酸物粒子と、当該改質金属酸化物粒子と透明な基材成分とを含む光硬化性組成物と、当該光硬化性組成物の硬化物とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、キャッピング剤により任意に表面処理されていてもよい、ソルボサーマル法で調製された粗金属酸化物粒子を、水を含む含窒素極性有機溶媒中で加熱して、改質金属酸化物粒子を製造することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0007】
本発明の第1の態様は、ソルボサーマル法で調製された粗金属酸化物粒子(A1)、及び粗金属酸化物粒子(A1)の表面をキャップ剤によりキャッピングして得られた粗金属酸化物粒子(A2)から選択される粗金属酸化物粒子(A)を、水を含む含窒素極性有機溶媒(S)に分散させることと、
含窒素極性有機溶媒(S)中で、粗金属酸化物粒子(A)を加熱することにより、その表面が改質された改質金属酸化物粒子を得ることと、を含む、改質金属酸化物粒子の製造方法である。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる方法により製造された、改質金属酸化物粒子である。
【0009】
本発明の第3の態様は、第2の態様にかかる改質金属酸化物粒子と、透明な基材成分とを含む光硬化性組成物である。
【0010】
本発明の第4の態様は、第3の態様にかかる光硬化性組成物の硬化物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、透光性組成物に加えられた場合に、良好な光学特性を示す透光性組成物を与える改質金属酸化物粒子の製造方法と、当該方法により製造された改質金属酸物粒子と、当該改質金属酸化物粒子と透明な基材成分とを含む光硬化性組成物と、当該光硬化性組成物の硬化物とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪表面改質金属酸化物粒子の製造方法≫
表面改質金属酸化物粒子の製造方法は、粗金属酸化物粒子(A)を、水を含む含窒素極性有機溶媒(S)に分散させることと、含窒素極性有機溶媒(S)中で、粗金属酸化物粒子(A)を加熱することを含む。
【0013】
<粗金属酸化物粒子(A)>
粗金属酸化物粒子(A)としては、ソルボサーマル法で調製された粗金属酸化物粒子(A1)、及び粗金属酸化物粒子(A1)の表面をキャップ剤によりキャッピングして得られた粗金属酸化物粒子(A2)から選択される。
「ソルボサーマル法」とは、金属酸化物粒子の前駆体である原料化合物を、溶媒中で、所定の温度、及び所定の圧力下で反応させて金属酸化物粒子を製造する方法である。ソルボサーマル法において使用される原料化合物としては、典型的には、金属アルコキシドのような有機金属化合物が多い。
【0014】
ソルボサーマル法で調製された粗金属酸化物粒子(A1)の粒子表面には、原料化合物及びソルボサーマル法で使用した溶媒由来の不純物が付着していたり結合していたりする。
また、キャップ剤によりキャッピングして得られた粗金属酸化物粒子(A2)の表面には、粗金属酸化物粒子(A2)の表面に結合していなかったり、不完全に結合していたりするキャップ剤が存在する。
このため、粗金属酸化物粒子(A)には、有機物や有機基が含まれることが多い。粗金属酸化物粒子(A)に含まれる有機物量は、熱重量分析法(TGA)により測定される。粗金属酸化物粒子(A)に含まれる有機物量は、粗金属酸化物粒子(A)の質量に対し、5質量%以上20質量%以下が好ましく、10質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0015】
粗金属酸化物粒子(A)を構成する金属酸化物粒子は、従来種々の目的で使用されている種々の金属酸化物粒子を特に限定なく用いることができる。
【0016】
粗金属酸化物粒子(A)を構成する金属酸化物の種類は、所望する効果が損なわれない範囲で特に限定されない。粗金属酸化物粒子(A)は、単一の金属酸化物からなる粒子であってもよく、2種以上の金属酸化物からなる粒子であってもよい。
また、粗金属酸化物粒子(A)を構成する金属酸化物は、2種以上の金属元素を含んでいてもよい。
粗金属酸化物粒子(A)を構成する金属酸化物に含まれる金属元素としては、例えば、Ag、Cu、In、Sn、Ti、Hf、Al、Zr、Zn、Sn、Ce、Ga、Y、V、Ta、W、Mo、Nb、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Re、Pd、Os、Ir、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。高屈折率の改質金属酸化物粒子を提供できるという観点からは、上記の金属元素の中でも、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、Y、Nb、Ta及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、Tiが特に好ましい。
粗金属酸化物粒子(A)を構成する金属酸化物の好適な例としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化セリウム(CeO2)、及び酸化ルテニウム(RuO2)等が挙げられる。粗金属酸化物粒子(A)を構成する金属酸化物としては、酸化チタンが好ましい。
【0017】
粗金属酸化物粒子(A)の形状は特に限定されない。粗金属酸化物粒子(A)の形状としては、球状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、板状、及び薄片状等が挙げられ、球状、及び柱状等が好ましい。
【0018】
粗金属酸化物粒子(A)を構成する一次粒子径の平均径は、所望する効果が損なわれない範囲で、特に限定されない。粗金属酸化物粒子(A)を構成する一次粒子径の平均径は、例えば,50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、15nm以下がさらに好ましく、10nm以下が特に好ましい。粗金属酸化物粒子(A)を構成する一次粒子径の平均径の下限は、例えば、1nm以上でよい。
粗金属酸化物粒子(A)を構成する一次粒子径の平均径は、X線回折法により測定される。
【0019】
〔粗金属酸化物粒子(A1)〕
粗金属酸化物粒子(A1)はソルボサーマル法により調製される。ソルボサーマル法は、金属酸化物前駆体を所定の溶媒(Z)の存在下、密閉容器中で、所定の高温、及び所定の圧力下で反応させて、金属酸化物粒子を製造する方法である。
溶媒(Z)は、必要に応じて、アミン類等の添加剤を含んでいてもよい。
【0020】
(金属酸化物前駆体)
金属酸化物前駆体としては、所望の粗金属酸化物粒子(A1)が得られる限り任意の金属化合物を使用することができる。
金属酸化物前駆体としては、例えば、金属塩化物、有機金属錯体、金属アルコキシド、及び金属水酸化物が挙げられる。これらの中では、金属アルコキシド、有機金属錯体、及び金属水酸化物が好ましい。
有機金属錯体は、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の金属元素に、アセト酢酸エチル、2,4-ペンタンジオン(アセチルアセトン)等の配位子が配位した化合物である。有機金属錯体において、金属元素に、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が結合していてもよい。
【0021】
金属酸化物前駆体としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムアミロキシド、アルミニウムヘキシロキシド、アルミニウムシクロペントキシド、アルミニウムシクロヘキシロキシド、アルミニウムアリロキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムメトキシエトキシド、アルミニウムエトキシエトキシド、メトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、イソプロポキシジルコニウム、及びブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド;チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2,4-ペンタンジオネート、ビス(2,4-ペンタンジオナト)チタンオキシド、チタンジブトキシビス2,4-ペンタンジオネート、アルミニウムジプロポキシエチルアセトアセテート、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウム2,4-ペンタンジオネート、アルミニウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート、ジルコニウムジブトキシドビス(2,4-ペンタンジオネート)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)ジルコニウムオキシド、ジルコニウムジプロポキシドビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)等の有機金属錯体;水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物が挙げられる。
【0022】
金属酸化物前駆体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0023】
(溶媒(Z))
溶媒(Z)は、水、及び/又は有機溶媒からなる。
有機溶媒としては、分子内に酸素原子を有する有機溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等の他のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等のケトン;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート以外のエステル;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド化合物等が挙げられる。有機溶媒としては、1価アルコール、(ポリ)アルキレングリコール、及び(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のアルコール化合物、並びに、ケトン、及び(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート以外のエステル等のカルボニル化合物が好ましい。
なお、本出願の明細書において、アルコール性水酸基と、カルボニル基とを有する化合物については、便宜的にアルコール化合物であるとする。
【0024】
ソルボサーマル法において金属酸化物前駆体を反応させる温度、及び圧力は、特に限定されず、金属酸化物前駆体の種類や、溶媒(Z)の種類に応じて適宜選択される。
溶媒(Z)の使用量は、粗金属酸化物粒子(A1)が良好に生成する限り特に限定されない。
【0025】
<粗金属酸化物粒子(A2)>
粗金属酸化物粒子(A2)は、粗金属酸化物粒子(A1)の表面をキャップ剤によりキャッピングして調製される。
【0026】
(キャップ剤)
キャップ剤としては、従来より金属酸化物粒子の表面処理に用いられているキャップ剤を特に限定なく使用することができる。
キャップ剤の好適な例としては、シランカップリング剤、カルボン酸化合物、アルコール化合物、チオール化合物、スルホナート化合物、ホスホナート化合物、及びホスファート化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。カルボン酸化合物としては、カルボン酸、及びその酸ハライドが挙げられる。
【0027】
キャップ剤の具体例としては、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリエトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリエトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェネチルフェニルトリメトキシシラン、フェネチルエチルトリエトキシシラン、3-{2-メトキシ[ポリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリメトキシシラン、3-{2-メトキシ[ポリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリエトキシシラン、3-{2-メトキシ[トリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリメトキシシラン、3-{2-メトキシ[トリ(エチレンオキシ)]}プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン,1-ヘキセニルトリエトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903(信越シリコーン社製))、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;フェノール等のフェノール化合物;オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、ラウリン酸、安息香酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸等のカルボン酸;これらのカルボン酸の酸ハライド類;エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘプタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、n-ドデシルアルコール、n-オクタデカノール、ベンジルアルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、及び3-アリルオキシプロパノール等のアルコール化合物;1-ヘキサンチオール、1-ヘプタンチオール、1-オクタンチオール、2-エチル-1-ヘキサンチオール、1-ノナンチオール、1-デカンチオール、1-ウンデカンチオール、1-ドデカンチオール、1-トリデカンチオール、1-テトラデカンチオール、1-ペンタデカンチオール、1-ヘキサデカンチオール、1-ヘプタデカンチオール、1-オクタデカンチオール、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、及び2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2,3-ジメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム一水和物、ドデシル硫酸ナトリウム等のスルホナート化合物;ドデシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、(11-メルカプトウンデシル)ホスホン酸、(11-(アクリロイルオキシ)ウンデシル)ホスホン酸、11-メタクリロイルオキシウンデシルホスホン酸、[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ホスホン酸エチルエステル等のホスホナート化合物;トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファート等のホスファート化合物が挙げられる。
【0028】
粗金属酸化物粒子(A1)の表面を、キャップ剤によりキャッピングする方法は、粗金属酸化物粒子(A1)と、キャップ剤とを接触させることができる方法であれば特に限定さない。
例えば、粉末状の粗金属酸化物粒子(A1)に、液状のキャップ剤やキャップ剤の溶液を、滴下したり噴霧したりしたのち、両者を均一に混合してもよい。
また、キャップ剤に該当しない有機溶媒中で、粗金属酸化物粒子(A1)が分散した状態で、粗金属酸化物粒子(A1)とキャップ剤とを混合してもよい。
【0029】
粗金属酸化物粒子(A1)の表面を、キャップ剤によりキャッピングする際に使用されるキャップ剤の量は、所望する粗金属酸化物粒子(A)が得られる限り特に限定されない。キャップ剤の量は、粗金属酸化物粒子(A1)の質量に対して、1質量%以上300質量%以下が好ましく、5質量%以上200質量%以下がより好ましい。
【0030】
(有機溶媒)
粗金属酸化物粒子(A1)の表面を、キャップ剤によりキャッピングする際に使用し得る有機溶媒の好適な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート以外の他のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等のケトン類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等のカルボニル化合物;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド化合物等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
<含窒素極性有機溶媒(S)>
改質金属酸化物粒子を調製する際に、粗金属酸化物粒子(A)は、含窒素極性有機溶媒(S)中に分散される。含窒素極性有機溶媒(S)は、水を含む。
【0032】
含窒素有機溶媒(S)は、窒素原子を有する有機溶媒であれば特に限定されない。含窒素有機溶媒(S)の好適な例としては、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、アニリン等のアミン化合物;ピリジン、ピリミジン等の含窒素芳香族複素環化合物;アミド構造(>N-CO-)を有する化合物が挙げられる。
これらの中では、粗金属酸化物粒子(A)の溶媒中での分散性の高さから、アミド構造を有する化合物が好ましい。
【0033】
アミド構造を有する化合物の好ましい例としては、下式(S1)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
(式(S1)中、R
S1及びR
S2は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、R
S3は下式(S1-1)又は下式(S1-2):
【化2】
で表される基である。
式(S1-1)中、R
S4は、水素原子又は水酸基であり、R
S5及びR
S6は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。式(S1-2)中、R
S7及びR
S8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。)
【0034】
式(S1)で表される化合物のうち、RS3が式(S1-1)で表される基である場合の具体例としては、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、N-エチル,N,2-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジエチル-2-メチルプロピオンアミド、N,N,2-トリメチル-2-ヒドロキシプロピオンアミド、N-エチル-N,2-ジメチル-2-ヒドロキシプロピオンアミド、及びN,N-ジエチル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオンアミド等が挙げられる。
【0035】
式(S1)で表される化合物のうち、RS3が式(S1-2)で表される基である場合の具体例としては、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア、N,N,N’,N’-テトラエチルウレア等の尿素化合物が挙げられる。
【0036】
式(S1)で表される化合物としては、尿素化合物が好ましい。尿素化合物としては、N,N,N’,N’-テトラメチルウレアが好ましい。
【0037】
式(S1)で表される化合物以外のアミド構造を有する化合物の好ましい例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0038】
アミド構造を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
含窒素有機溶媒(S)の使用量は、所望する効果が得られる限りにおいて特に限定されない。
含窒素有機溶媒(S)の使用量は特に限定されず、粗金属酸化物粒子(A)100質量部に対して、50質量部以上5000質量部以下が好ましく、70質量部以上1000質量部以下がより好ましく、100質量部以上500質量部以下がさらに好ましい。
【0040】
含窒素極性有機溶媒(S)に含まれる水の量は、所望する効果が得られる限りにおいて特に限定されない。
水の量は、典型的には、含窒素有機溶媒(S)100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。水の量の下限値は特に制限がないが、例えば、含窒素有機溶媒(S)100質量部に対して0.1質量部以上が挙げられる。
【0041】
改質金属酸化物粒子を調製する際、粗金属酸化物粒子(A)を分散させる分散媒は、所望する効果が損なわれない限りにおいて、含窒素有機溶媒(S)以外の他の有機溶媒を含んでいてもよい。
含窒素有機溶媒(S)以外の他の有機溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート以外の他のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等のケトン;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート以外のエステル;トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0042】
分散媒における他の有機溶媒の含有量は、分散媒の質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0043】
含窒素極性有機溶媒(S)中で、粗金属酸化物粒子(A)を加熱する際の温度は、改質金属酸化物粒子が得られる温度であれば特に限定されない。粗金属酸化物粒子(A)を加熱する際の温度は、例えば、50℃以上200℃以下であり、60℃以上180℃以下が好ましく、70℃以上160℃以下がより好ましく、70℃以上90℃以下、及び140℃以上160℃以下の範囲が特に好ましい。
また、含窒素極性有機溶媒(S)中での粗金属酸化物粒子(A)の加熱は、異なる温度で複数回行われてもよい。例えば、70℃以上90℃以下での加熱の後、140℃以上160℃以下での加熱が行われてもよい。
このような複数回の加熱は、粗金属酸化物粒子(A)を分散液中から回収することなく、同一の容器内で一連の操作として行われてもよい。また、所望する回数の加熱を行った後に、粗金属酸化物粒子(A)を分散液中から回収した後、回収された粗金属酸化物粒子を、再度、含窒素極性有機溶媒(S)中に分散させて、さらに所望する回数の加熱を行ってもよい。
含窒素極性有機溶媒(S)中で粗金属酸化物粒子(A)を加熱する温度は、1回の加熱処理において連続的に変化してもよい。温度の変化は、昇温であっても、降温であっても、昇温と降温との組み合わせであってもよい。
当該加熱により、粗金属酸化物粒子(A)が改質され、改質金属酸化物粒子が得られる。
【0044】
含窒素極性有機溶媒(S)中で粗金属酸化物粒子(A)が加熱される際の圧力条件は特に限定されない。圧力条件は、大気圧条件下でも、加圧条件下でも、大気圧以下の減圧条件下でもよい。好ましくは、含窒素極性有機溶媒(S)中での粗金属酸化物粒子(A)の加熱は、大気圧下での窒素パージ環境下で行われる。
窒素パージ環境下における窒素流量は、50mL/min以下が好ましく、50mL/min以下がより好ましい。また、窒素流量の下限値は特に限定されないが、例えば、1mL/min以上が挙げられる。
【0045】
含窒素極性有機溶媒(S)中で、粗金属酸化物粒子(A)を加熱する時間は、特に限定されない。粗金属酸化物粒子(A)を加熱する時間は、例えば、5分以上360分以下であり、10分以上180分以下が好ましく、30分以上90分以下がより好ましい。
【0046】
粗金属酸化物粒子(A)の含窒素極性有機溶媒(S)中での加熱処理としては、
70℃以上90℃以下での30分以上90分以下の加熱か、
140℃以上160℃以下での30分以上90分以下の加熱か、
70℃以上90℃以下での30分以上90分以下の加熱と、それに次ぐ、140℃以上160℃以下での30分以上90分以下の加熱との組み合わせが好ましい。
【0047】
<添加剤(B)>
含窒素有機溶媒(S)は、添加剤(B)を含んでいてもよい。添加剤(B)を含む含窒素有機溶媒を用いて改質金属酸化物粒子を調製することにより、改質金属酸化物粒子を含む光硬化性組成物の硬化物における全光線透過率が向上する傾向がある。
添加剤(B)としては、塩基性化合物、酸性化合物、及びキャップ剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0048】
添加剤(B)の量は、含窒素有機溶媒(S)100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。添加剤(B)の量の下限は特に制限がないが、例えば、含窒素有機溶媒(S)100質量部に対して0.05質量部以上が挙げられる。
【0049】
塩基性化合物としては、以下の式(b1)で表されるアミン化合物が挙げられる。
NRR’R’’ ・・・ (b1)
式(b1)中、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。
塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン及びトリイソプロピルアミン等が挙げられる。
【0050】
酸性化合物としては、有機酸性化合物、及び無機酸性化合物のいずれも用いることができる。酸性化合物としては、有機酸性化合物を用いるのが好ましい。有機酸性化合物の中でも、脂肪族カルボン酸が好ましく、炭素原子数1以上4以下の脂肪族カルボン酸がより好ましい。
有機酸性化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、クエン酸、シュウ酸、2-ニトロフェニル酢酸、2-エチルヘキサン酸、ドデカン酸、及び2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸等のカルボン酸;アスコルビン酸、酒石酸、及びグルクロン酸等の糖酸;ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。
無機酸性化合物としては、例えば、ホスホン酸(HP(=O)(OH)2)、リン酸(H3PO4)、塩酸、硝酸、ホウ酸等が挙げられる。
【0051】
キャップ剤としては、粗金属酸化物粒子(A2)について説明したキャップ剤を用いることができる。
キャップ剤としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤の好適な例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のω-アミノアルキルトリアルコキシシラン;3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のω-メルカプトアルキルトリアルコキシシラン;3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のω-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン;3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、及び3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等のω-イソシアナトアルキルトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のω-グリシドキシアルキルトリアルコキシシランが好ましい。
これらのシランカップリング剤の中では、改質効果が良好であることから、ω-アミノアルキルトリアルコキシシランが好ましい。
ω-アミノアルキルトリアルコキシシランとしては、2-アミノエチルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリアルコキシシラン、及び4-アミノブチルトリアルコキシランが好ましい。
ω-アミノアルキルトリアルコキシシランとしては、ω-アミノアルキルトリメトキシシラン、及びω-アミノアルキルトリエトキシシランが好ましい。
【0052】
キャップ剤の使用量は、粗金属酸化物粒子(A)のキャッピングの観点から、粗金属酸化物粒子(A)100質量部に対し、0.05質量部以上15質量部以下が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がより好ましい。
【0053】
改質金属酸化物粒子に対し、キャップ剤を添加して表面改質金属酸化物粒子の製造方法を行うことにより、改質金属酸化物粒子の表面をさらにキャップ剤で改質することができる。改質金属酸化物粒子は、粗金属酸化物粒子(A1)又は粗金属酸化物粒子(A2)よりも、キャップ剤による改質を行いやすい金属酸化物粒子の表面を有する。
【0054】
≪光硬化性組成物≫
光硬化性組成物は、改質金属酸化物粒子と、透明な基材成分とを含む。
以下、光硬化性組成物が含む、必須、又は任意の成分について説明する。
【0055】
<改質金属酸化物粒子>
改質金属酸化物粒子は、上述した改質金属酸化物粒子の製造方法により製造された改質金属酸化物粒子である。
【0056】
<透明な基材成分>
透明な基材成分は、硬化性の成分として光重合性化合物(M)を含む。光重合性化合物(M)は、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有する化合物である。
【0057】
ラジカル重合性基含有基としては、典型的には、エチレン性不飽和二重結合を含有する基が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合含有基としては、ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基を含むアルケニル基含有基が好ましく、(メタ)アクリロイル基含有基がより好ましい。
カチオン重合性基含有基としては、典型的には、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、ビニルオキシ基含有基等が挙げられる。これらの中では、エポキシ基含有基、及びビニルオキシ基含有基が好ましい。エポキシ基含有基としては、脂環式エポキシ基含有基や、グリシジル基が好ましい。なお、脂環式エポキシ基とは、脂肪族環式基において隣接する環構成原子としての2つの炭素原子が酸素原子を介して結合している脂肪族環式基である。つまり、脂環式エポキシ基は、脂肪族環上に、2つの炭素原子と1つの酸素原子とからなる3員環を含むエポキシ基を有する。
【0058】
本出願の明細書において、(メタ)アクリルは、アクリル、及びメタクリルの双方を意味し、(メタ)アクリロイルは、アクリロイル、及びメタクリロイルの双方を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート、及びメタクリレートの双方を意味する。
【0059】
光重合性化合物(M)が、ラジカル重合性基含有基を有する場合、光重合性化合物(M)は、1つのラジカル重合性基を有する単官能化合物であっても、2つ以上のラジカル重合性基を有する多官能化合物であってもよく、多官能化合物が好ましい。
ラジカル重合性基含有基を有する光重合性化合物(M)としては、(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリルアミド化合物等の1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
【0060】
ラジカル重合性基含有基を有する単官能化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0061】
ラジカル重合性基含有基を有する多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能化合物や、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0062】
これらのラジカル重合性基含有基を有する光重合性化合物(M)の中でも、硬化物の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能化合物が好ましく、4官能以上の多官能化合物がより好ましく、5官能以上の多官能化合物がさらに好ましい。
【0063】
光硬化性組成物が、改質金属酸化物粒子を含む場合、光硬化性組成物の組成によっては、光硬化性組成物を用いて形成される硬化膜中に、改質金属酸化物粒子がリッチな層と、改質金属酸化物粒子がプアな層とが形成されるような改質金属酸化物粒子の局在化が生じる場合がある。
かかる局在化を抑制する観点からは、光硬化性組成物は、ラジカル重合性基含有基を有する光重合性化合物(M)として、下記式(M1)、又は下記式(M2)で表される化合物を含むのが好ましい。
【化3】
(MA-(O-R
m1)
nm1-X-CH
2)
2-CH-X-(R
m1-O)
nm1-MA・・・(M2)
【0064】
式(M1)、及び式(M2)中、MAは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基である。Xは、それぞれ独立に、酸素原子、-NH-、又は-N(CH3)-である。Rm1は、それぞれ独立に、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、又はプロパン-1,3-ジイル基である。Rm2は、水酸基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は-X-(Rm1-O)nm1-MAで表される基である(Xは前記と同様である)。nm1、及びnm2は、それぞれ独立に、0又は1である。
【0065】
式(M1)において、Rm2としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基、及びエチル基が好ましい。
【0066】
式(M1)で表される化合物、及び式(M2)で表される化合物の好ましい例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及び下記の1)~32)の化合物が挙げられる。下記1)~32)の化合物においてMAは(メタ)アクリロイル基である。
1)(MA-NH-CH2)4-C
2)(MA-N(CH3)-CH2)4-C
3)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)4-C
4)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)4-C
5)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)4-C
6)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)4-C
7)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)4-C
8)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)4-C
9)(MA-NH-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-NH-MA)3
10)(MA-N(CH3)-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-N(CH3)-MA)3
11)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-O-CH2CH2CH2-O-MA)3
12)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-O-CH2CH2-O-MA)3
13)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-NH-CH2CH2CH2-O-MA)3
14)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-NH-CH2CH2-O-MA)3
15)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-N(CH3)-CH2CH2CH2-O-MA)3
16)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-N(CH3)-CH2CH2-O-MA)3
17)(MA-NH-CH2)2-CH-NH-MA
18)(MA-N(CH3)-CH2)2-CH-N(CH3)-MA
19)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)2-CH-O-CH2CH2CH2-O-MA
20)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)2-CH-C-O-CH2CH2-O-MA
21)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)2-CH-NH-CH2CH2CH2-O-MA
22)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)2-CH2-NH-CH2CH2-O-MA
23)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)2-CH2-N(CH3)-CH2CH2CH2-O-MA
24)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)2-CH2-N(CH3)-CH2CH2-O-MA
25)(MA-NH-CH2)3-C-CH2CH3
26)(MA-N(CH3)-CH2)3-C-CH2CH3
27)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2CH3
28)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2CH3
29)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2CH3
30)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2CH3
31)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2CH3
32)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2CH3
【0067】
硬化物における改質金属酸化物粒子の局在の抑制の点で、光重合性化合物(M)の質量に対する、式(M1)で表される化合物の質量と、式(M2)で表される化合物の質量との合計の比率は、20質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましく、40質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
【0068】
高屈折率の硬化物を形成しやすい点から、光硬化性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する光重合性化合物(M)として、中心にS原子を有し、両末端にラジカル重合性基含有基を有し、中心と各末端を連結する2価の連結部に、置換基を有してもよい芳香環とS原子とを有する化合物を含むのが好ましく、両末端に(メタ)アクリロイル基を有し、中心のS原子と2価の連結部を構成する芳香環の組み合わせとしてジフェニルスルフィド骨格を有する化合物を含むことがより好ましく、下記式(m-1)で表される化合物を含むのがさらに好ましい。
【化4】
【0069】
式(m-1)中、R1、及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基である。R3、及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。p、及びqはそれぞれ独立に0又は1である。
【0070】
上記連結部における芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環等の芳香族炭化水素環;フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環等の芳香族複素環;が挙げられる。なかでも、ベンゼン環(例えば、1,4-フェニル基等)が好ましい。
上記連結部における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキルチオール基、及び、N-アルキルカルバメート基等が挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましく、炭素原子数1以上5以下のアルキル基がより好ましい。
【0071】
R1、及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基である。R1、及びR2は、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。式(m-1)で表される化合物の合成や入手が容易であることから、R1、及びR2が同一であるのが好ましい。
【0072】
R3、及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。R3、及びR4は、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。式(m-1)で表される化合物の合成や入手が容易であることから、R3、及びR4が同一であるのが好ましい。
【0073】
R3、及びR4としての炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R3、及びR4としての炭素原子数1以上5以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基が挙げられる。
【0074】
式(m-1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0075】
【0076】
光硬化性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する光重合性化合物(M)として式(m-1)で表される化合物を含む場合、光重合性化合物(M)の質量に対する式(m-1)で表される化合物の質量の比率は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上さらに好ましく、70質量%以上がさらにより好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0077】
硬化物における改質金属酸化物粒子の局在を抑制しやすい点で、光硬化性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する光重合性化合物(M)として、下記式(M3)で表される含硫黄(メタ)アクリレートを含むのが好ましい。
Arm1-Rm21-S-Rm22-O-CO-CRm23=CH2・・・(M3)
【0078】
式(M3)中、Arm1は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である。Rm21は、単結合、又は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。Rm22は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。Rm23は、水素原子、又はメチル基である。
【0079】
Arm1は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である。フェニル基がハロゲン原子で置換されている場合、フェニル基に結合するハロゲン原子の数は特に限定されない。フェニル基に結合するハロゲン原子の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。フェニル基に2以上のハロゲン原子が結合する場合、フェニル基に結合する複数のハロゲン原子は、同種のハロゲン原子のみからなってもよく、2種以上のハロゲン原子からなってもよい。フェニル基に結合しうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。
Arm1としては、無置換のフェニル基が好ましい。
【0080】
Rm21は、単結合、又は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、及びヘキサン-1,6-ジイル基が挙げられる。
Rm21としては、単結合、及びメチレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
【0081】
Rm22は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、及びヘキサン-1,6-ジイル基が挙げられる。
Rm22としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、及びプロパン-1,3-ジイル基が好ましく、エタン-1,2-ジイル基、及びプロパン-1,3-ジイル基がより好ましい。
【0082】
含硫黄(メタ)アクリレートの入手の容易さや、硬化物における改質金属酸化物粒子の局在の抑制の点で、式(M3)において、Arm1がフェニル基であり、Rm21が単結合であるのが特に好ましい。
【0083】
式(M3)で表される含硫黄(メタ)アクリレートの好適な具体例としては、2-フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルチオプロピル(メタ)アクリレート、2-ベンジルチオエチル(メタ)アクリレート、3-ベンジルチオプロピル(メタ)アクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(4-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、2-(2-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(4-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、2-(2-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、及び3-(4-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0084】
光硬化性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する光重合性化合物(M)として式(M3)で表される含硫黄(メタ)アクリレートを含む場合、光重合性化合物(M)の質量に対する式(M3)で表される含硫黄(メタ)アクリレートの質量の比率は、40質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上100質量%以下がより好ましく、70質量%以上100質量%以下がさらに好ましく、80質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
【0085】
光重合性化合物(M)が、カチオン重合性基含有基を有する場合、光重合性化合物(M)は、1つのカチオン重合性基を有する単官能化合物であっても、2つ以上のカチオン重合性基を有する多官能化合物であってもよく、多官能化合物が好ましい。
【0086】
光重合性化合物(M)が、カチオン重合性基含有基としてビニルオキシ基含有基を有する場合、光硬化性組成物は、光重合性化合物(M)として、ビニルエーテル化合物を含んでいてもよい。かかるビニルエーテル化合物は、単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
【0087】
ビニルエーテル化合物の好適な具体例としては、ビニルフェニルエーテル、4-ビニロキシトルエン、3-ビニロキシトルエン、2-ビニロキシトルエン、1-ビニロキシ-4-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-3-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-2-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-2,3-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,4-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,5-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,6-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-3,4-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-3,5-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシナフタレン、2-ビニロキシナフタレン、2-ビニロキシフルオレン、3-ビニロキシフルオレン、4-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、3-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、2-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、6-ビニロキシテトラリン、及び5-ビニロキシテトラリン等の芳香族モノビニルエーテル化合物;1,4-ジビニロキシベンゼン、1,3-ジビニロキシベンゼン、1,2-ジビニロキシベンゼン、1,4-ジビニロキシナフタレン、1,3-ジビニロキシナフタレン、1,2-ジビニロキシナフタレン、1,5-ジビニロキシナフタレン、1,6-ジビニロキシナフタレン、1,7-ジビニロキシナフタレン、1,8-ジビニロキシナフタレン、2,3-ジビニロキシナフタレン、2,6-ジビニロキシナフタレン、2,7-ジビニロキシナフタレン、1,2-ジビニロキシフルオレン、3,4-ジビニロキシフルオレン、2,7-ジビニロキシフルオレン、4,4’-ジビニロキシビフェニル、3,3’-ジビニロキシビフェニル、2,2’-ジビニロキシビフェニル、3,4’-ジビニロキシビフェニル、2,3’-ジビニロキシビフェニル、2,4’-ジビニロキシビフェニル、及びビスフェノールAジビニルエーテル等の芳香族ジビニルエーテル化合物が挙げられる。
これらの、ビニルエーテル化合物は、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0088】
光重合性化合物(M)が、カチオン重合性基含有基としてエポキシ基含有基を有する場合、光硬化性組成物は光重合性化合物(M)として、種々のエポキシ化合物を含んでいてもよい。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂;2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物は、EHPE-3150(ダイセル社製)として市販される。
【0089】
また、オリゴマー又はポリマー型の多官能エポキシ化合物も好ましく用いることができる。
オリゴマー又はポリマー型の多官能エポキシ化合物の典型的な例としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルソクレゾールノボラック型エポキシ化合物、キシレノールノボラック型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールADノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等が挙げられる。
【0090】
好適なエポキシ化合物の他の例として、脂環式エポキシ基を有する多官能の脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
【0091】
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β-メチル-δ-バレロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、及びエポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0092】
<溶媒(L)>
光硬化性組成物は、塗布性の調整の目的等で溶媒(L)を含んでいてもよい。光硬化性組成物は、典型的には溶媒(L)を含む。溶媒(L)の種類は特に限定されないが、典型的には有機溶媒である。
溶媒(L)は、例えば、ベンジルアルコール、ブチルカルビトールアセタート(BCA)、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、エタノール、ブトキシエタノール、ブトキシプロパノール、メタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、アセトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)、エチルラクタート(EL)、エチルアセタート、ブチルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、トルエン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0093】
<その他の成分>
光硬化性液状組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、以上説明した成分の他に種々の添加剤を含んでいてもよい。光硬化性祖組成物に配合される好ましい添加剤としては、重合開始剤、硬化剤、分散剤、シランカップリング剤等の密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されず、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の公知の成分を用いることができる。
【0094】
<重合開始剤(I)>
光重合性化合物(M)が、ラジカル重合性基を有する場合、重合開始剤(I)として、ラジカル重合開始剤(I1)が使用される。光重合性化合物(M)が、カチオン重合性基を有する場合、重合開始剤(I)として、カチオン重合開始剤(I2)が使用される。光硬化性組成物の位置選択的な硬化を行うことができたり、光硬化性組成物の成分の熱による劣化、揮発、昇華等の懸念が無い点等から、重合開始剤(I)としては光開始剤が使用される。
重合開始剤(I)としては、特に限定されず、従来公知の種々の重合開始剤を用いることができる。
【0095】
ラジカル重合開始剤(I1)として有用な光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]メタノンO-アセチルオキシム、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0096】
光ラジカル重合開始剤の中では、光硬化性組成物の感度の点から、オキシムエステル化合物が好ましく、光硬化性組成物の深部硬化性が良好である点から、フォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
【0097】
オキシムエステル化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化6】
【0098】
フォスフィンオキサイド化合物の好ましい具体例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0099】
カチオン重合開始剤(I2)としては、従来知られるカチオン重合開始剤を特に限定なく用いることができる。カチオン重合開始剤(I2)の典型的な例としては、オニウム塩類が挙げられる。カチオン重合開始剤(I2)としては、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が挙げられ、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が好ましく、スルホニウム塩がより好ましい。
【0100】
光硬化性組成物における、重合開始剤(I)の含有量は、特に限定されない。重合開始剤(I)の含有量は、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の種類や、重合開始剤(I)の種類に応じて適宜決定される。
光硬化性組成物における開始剤(C)の含有量は、前述した溶媒(L)の質量を除いた光硬化性組成物の質量を100質量部としたときに、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
【0101】
≪硬化物の製造方法≫
以上説明した光硬化性組成物は、典型的には、光硬化性組成物を、形成される硬化物の形状に応じて成形することと、成形された光硬化性組成物に対して露光することと、を含む方法によって、硬化物とされる。
【0102】
前述の光硬化性組成物の硬化物からなる硬化膜の膜厚は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。硬化膜の膜厚は、典型的には、1nm以上20μm以下が好ましく50nm以上10μm以下がより好ましい。
【0103】
光硬化性組成物を成形する方法は特に限定されず、硬化物の形状に応じて適宜選択される。硬化物の形状としては、これらに限定されないが、膜形状、レンズ形状、ライン形状、プリズム形状等が挙げられる。これらの形状の中では、膜形状が好ましい。
光硬化性組成物を成形する方法としては、特に限定されない。硬化物の形状がレンズ形状やプリズム形状等である場合には、硬化物の形状に応じた鋳型中に光硬化性組成物をスキージ等を用いて充填してもよい。
硬化物の形状がライン形状等である場合、硬化物の形状に応じて、基材上に光硬化性組成物を塗布すればよい。塗布方法としては、例えば、インクジェット法等の印刷法が挙げられる。
硬化物を膜形状に塗布する方法としては、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いる方法が挙げられる。また、インクジェット法等の印刷法によって光硬化性組成物を膜形状に塗布することもできる。
【0104】
光硬化性組成物が溶媒(L)を含む場合、光硬化性組成物を所望する形状に成形した後、加熱等の方法によって成形された光硬化性組成物から溶媒(L)を除去してもよい。
【0105】
なお、例えば、膜形状等の所望する形状に成形された光硬化性組成物に対して、光硬化性組成物が完全に硬化しない程度の露光を行った後に、インプリント法等の方法によって半硬化状態の光硬化性組成物に対して賦形してもよい。この場合、賦形された半硬化状態の光硬化性組成物に対して、さらに露光が行われ、光硬化性組成物を所望する程度まで十分に硬化させる。
また、前述の光硬化性組成物を、3Dプリンティング法に適用して、インクジェット印刷と、露光による硬化とを繰り返して薄膜状の硬化物を積層することにより、所望する形状の硬化物を形成してもよい。
【0106】
上記の方法により成形された光硬化性組成物を硬化されるための露光方法としては、感光性組成物の硬化方法として知られている種々の方法を適宜適用できる。
成形された光硬化性液成物に対する露光は、例えば、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して行われる。
【0107】
成形された光硬化性組成物に対する露光は、例えば、マスクを介する露光のような方法により、位置選択的に行われてもよい。露光を位置選択的に行う場合、露光された光硬化性組成物を、有機溶媒を用いて現像して未露光部を除去することで、パターン化された硬化物を形成することができる。
現像処理を行う場合、現像後に加熱による乾燥等の方法により、現像液を十分に除去するのが好ましい。
【0108】
以上説明した方法により、溶媒(L)を含まないか少量しか含まない前述の光硬化性組成物を用いて、所望する形状の硬化物が形成される。
【0109】
上記の通り、本発明者らにより、以下の(1)~(20)が提供される。
(1)ソルボサーマル法で調製された粗金属酸化物粒子(A1)、及び粗金属酸化物粒子(A1)の表面をキャップ剤によりキャッピングして得られた粗金属酸化物粒子(A2)から選択される粗金属酸化物粒子(A)を、水を含む含窒素極性有機溶媒(S)に分散させることと、
含窒素極性有機溶媒(S)中で、粗金属酸化物粒子(A)を加熱することにより、その表面が改質された改質金属酸化物粒子を得ることと、を含む、改質金属酸化物粒子の製造方法。
(2)含窒素極性有機溶媒(S)が、塩基性化合物、酸性化合物、及びキャップ剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤(B)を含む、(1)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(3)添加剤(B)としての酸性化合物が、炭素原子数1以上4以下の脂肪族カルボン酸である、(2)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(4)添加剤(B)としてのキャップ剤が、シランカップリング剤である、(2)記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(5)シランカップリング剤が、ω-アミノアルキルトリアルコキシシランである、(4)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(6)粗金属酸化物粒子(A)の加熱が、50℃以上200℃以下の温度で行われる、(1)から(5)のいずれか1つに記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(7)粗金属酸化物粒子(A)の加熱が、70℃以上90℃以下、又は140℃以上160℃以下の温度で行われる、(6)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(8)粗金属酸化物粒子(A)を、
70℃以上90℃以下で30分以上90分以下の間加熱するか、
140℃以上160℃以下で30分以上90分以下の間加熱するか、
70℃以上90℃以下で30分以上90分以下の間加熱した後に、140℃以上160℃以下で30分以上90分以下の間加熱する、(7)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(9)含窒素極性有機溶媒(S)が、-CO-N<で表される結合を有する溶媒である、(1)から(8)のいずれか1つに記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(10)含窒素極性有機溶媒(S)が、尿素化合物である、(9)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(11)粗金属酸化物粒子(A)が、Ag、Cu、In、Sn、Ti、Hf、Al、Zr、Zn、Sn、Ce、Ga、Y、V、Ta、W、Mo、Nb、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Re、Pd、Os、Ir、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む、(1)から(10)のいずれか1つに記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(12)粗金属酸化物粒子(A1)が、溶媒(Z)中でソルボサーマル法により調製され、
溶媒(Z)は、水、及び/又は有機溶媒からなる、(1)から(11)のいずれか1つに記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(13)有機溶媒は、アルコール化合物、及びカルボニル化合物から選択される1種以上である、(12)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(14)粗金属酸化物粒子(A)が、酸化チタン粒子からなる、(1)から(13)のいずれか1つに記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(15)粗金属酸化物粒子(A2)の表面をキャッピングするキャップ剤が、シランカップリング剤、カルボン酸化合物、アルコール化合物、チオール化合物、スルホナート化合物、ホスホナート化合物、及びホスファート化合物から選択される少なくとも1種である、(1)から(14)のいずれか1つに記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(16)粗金属酸化物粒子(A2)の表面をキャッピングするキャップ剤が、シランカップリング剤である、(15)に記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(17)熱重量分析法により測定される粗金属酸化物粒子(A)に含まれる有機物量が、粗金属酸化物粒子(A)の質量に対して、5質量%以上15質量%以下である、(1)から(16)のいずれか1つに記載の改質金属酸化物粒子の製造方法。
(18)(1)から(17)のいずれか1つに記載の方法により製造された、改質金属酸化物粒子。
(19)(18)に記載の改質金属酸化物と、透明な基材成分とを含む光硬化性組成物。
(20)(19)に記載の光硬化性組成物の硬化物。
【実施例0110】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されない。
【0111】
<粗金属酸化物粒子(A)及び改質金属酸化物粒子の調製>
〔調製例1〕
国際公開第2020/106860号の実施例8と同様の方法により、ベンジルアルコール中で粗金属酸化物粒子(A)として酸化チタン粒子(a1)を調製した。熱重量分析法による酸化チタン粒子(a1)に含まれる有機物量は、11.90質量%であった。
〔調製例2〕
酸化チタン粒子(a1)100質量部と、含窒素極性有機溶媒(S)としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレア300質量部とを窒素30ml/minでパージしながら混合した。混合物を、80℃で60分加熱した後、引き続き150℃で30分加熱し、酸化チタン粒子(a1)の表面を窒素パージ環境下で反応させた。反応液にn-ヘプタンを添加して固形分を析出させて遠心分離することにより、酸化チタン粒子(a1)の表面が改質された改質チタン酸化物粒子(P2)を得た。熱重量分析法による改質チタン酸化物粒子(P2)に含まれる有機物量は、11.01質量%であった。
【0112】
〔調製例3〕
酸化チタン粒子(a1)100質量部と、含窒素極性有機溶媒(S)としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレア300質量部と、水6質量部とを窒素30ml/minでパージしながら混合した。混合物を、80℃で60分加熱した後、引き続き150℃で30分加熱し、酸化チタン粒子(a1)の表面を窒素パージ環境下で反応させた。反応液にn-ヘプタンを添加して固形分を析出させて遠心分離することにより、酸化チタン粒子(a1)の表面が改質された改質チタン酸化物粒子(P3)を得た。熱重量分析法による改質チタン酸化物粒子(P3)に含まれる有機物量は、10.45質量%であった。
【0113】
〔調製例4〕
酸化チタン粒子(a1)100質量部と、含窒素極性有機溶媒(S)としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレア300質量部と、水3質量部と、トリエチルアミン3質量部とを窒素30ml/minでパージしながら混合した。混合物を、80℃で60分加熱した後、引き続き150℃で30分加熱し、酸化チタン粒子(a1)の表面を窒素パージ環境下で反応させた。反応液にn-ヘプタンを添加して固形分を析出させて遠心分離することにより、酸化チタン粒子(a1)の表面が改質された改質チタン酸化物粒子(P4)を得た。熱重量分析法による改質チタン酸化物粒子(P4)に含まれる有機物量は、10.62質量%であった。
【0114】
〔調製例5〕
酸化チタン粒子(a1)100質量部と、含窒素極性有機溶媒(S)としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレア300質量部と、水3質量部と、酢酸3質量部とを窒素30ml/minでパージしながら混合した。混合物を、80℃で60分加熱した後、引き続き150℃で30分加熱し、酸化チタン粒子(a1)の表面を窒素パージ環境下で反応させた。反応液にn-ヘプタンを添加して固形分を析出させて遠心分離することにより、酸化チタン粒子(a1)の表面が改質された改質チタン酸化物粒子(P5)を得た。熱重量分析法による改質チタン酸化物粒子(P5)に含まれる有機物量は、10.83質量%であった。
【0115】
〔調製例6〕
酸化チタン粒子(a1)100質量部と、含窒素極性有機溶媒(S)としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレア300質量部と、水3質量部と、酢酸3質量部とを窒素30ml/minでパージしながら混合した。混合物を、80℃で60分加熱し、酸化チタン粒子(a1)の表面を窒素パージ環境下で反応させた。反応液にn-ヘプタンを添加して固形分を析出させて遠心分離することにより、酸化チタン粒子(a1)の表面が改質された改質チタン酸化物粒子(P6)を得た。熱重量分析法による改質チタン酸化物粒子(P6)に含まれる有機物量は、12.22質量%であった。
【0116】
〔調製例7〕
改質チタン酸化物粒子(P6)100質量部と、含窒素極性有機溶媒(S)としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレア300質量部と、水6質量部とを窒素30ml/minでパージしながら混合した。混合物を、80℃で30分加熱した後、引き続き150℃で30分加熱し、改質チタン酸化物粒子(P6)の表面を窒素パージ環境下で反応させた。反応液にn-ヘプタンを添加して固形分を析出させて遠心分離することにより、改質チタン酸化物粒子(P6)の表面をさらに改質した改質チタン酸化物粒子(P7)を得た。熱重量分析法による改質チタン酸化物粒子(P7)に含まれる有機物量は、11.73質量%であった。
【0117】
〔調製例8〕
改質チタン酸化物粒子(P6)100質量部と、含窒素極性有機溶媒(S)としてN,N,N’,N’-テトラメチルウレア300質量部と、水6質量部と、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903(信越シリコーン社製))1質量部とを窒素30ml/minでパージしながら混合した。混合物を、80℃で30分加熱した後、引き続き150℃で30分加熱し、改質チタン酸化物粒子(P6)の表面を窒素パージ環境下で反応させた。反応液にn-ヘプタンを添加して固形分を析出させて遠心分離することにより、改質チタン酸化物粒子(P6)の表面をさらに改質した改質チタン酸化物粒子(P8)を得た。熱重量分析法による改質チタン酸化物粒子(P8)に含まれる有機物量は、11.28質量%であった。
【0118】
<金属酸化物粒子表面の評価>
チタン酸化物粒子(a1)及び改質チタン酸化物粒子(P4)~(P5)の表面を、フーリエ変換赤外分光(FT-IR)光度計 NICOLET 6700(ThermoScientific社製)により分析し、波数、及び吸光度に関するFT-IRスペクトルを得た。得られたFT-IRスペクトルから、チタン酸化物粒子(a1)表面のSi-O-Siに由来する波数950cm-1~1150cm-1付近のピークの強度よりも、改質チタン酸化物粒子(P4)~(P5)表面のSi-O-Siに由来するピークの強度が強いことが分かった。これは、チタン酸化物粒子表面の有機物が除去されるとともに、Si-O-Si結合が生成したことを示唆する。
また、チタン酸化物粒子(a1)及び改質チタン酸化物粒子(P6)~(P8)の表面を、X線光電子分光装置 K-Alpha(ThermoScientific社製)により測定した。
【0119】
【0120】
表1によれば、チタン酸化物粒子(a1)の表面の炭素比率に対し、改質チタン酸化物粒子(P6)の表面の炭素比率が低くいことが分かる。このことから、チタン酸化物粒子表面に存在する酸化チタン粒子原料化合物及びソルボサーマル法で使用した溶媒由来の炭素含有不純物が除去されていることが分かる。さらに、改質チタン酸化物粒子(P6)の表面の炭素比率に対し、改質チタン酸化物粒子(P7)の表面の炭素比率が低くなっている。このことから、2回目の加熱によってもチタン酸化物粒子表面の酸化チタン粒子原料化合物及びソルボサーマル法で使用した溶媒由来の炭素含有不純物が除去されていることが分かる。ケイ素比率及び窒素比率について、改質チタン酸化物粒子(P6)と、それを2回目の加熱によって改質した改質チタン酸化物粒子(P8)とを比較すると、改質チタン酸化物粒子(P8)のケイ素比率及び窒素比率は、改質チタン酸化物粒子(P6)のケイ素比率及び窒素比率よりも高いことが分かる。さらに、同じく改質チタン酸化物粒子(P6)を2回目の加熱によって改質した改質チタン酸化物粒子(P7)と改質チタン酸化物粒子(P8)との比較でも、改質チタン酸化物粒子(P8)のケイ素比率及び窒素比率は、改質チタン酸化物粒子(P7)のケイ素比率及び窒素比率よりも高いことが分かる。これによって、調製例8で添加した3-アミノプロピルトリメトキシシランにより改質チタン酸化物粒子の表面がさらに改質されたことが分かる。
【0121】
<光硬化性組成物の調製>
比較例1~2、及び実施例1~6において、光重合性化合物(M)として、下記のM-1を用いた。
M-1:下記構造の化合物
【化7】
【0122】
比較例1~2、及び実施例1~6において、表2に記載の酸化チタン粒子又は改質チタン酸化物粒子を用いた。
【0123】
比較例1~2、及び実施例1~6において、前述の溶媒(L)として、下記のL-1及びL-2を1:1の比で混合した混合溶媒L-3を用いた。
L-1:HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH3(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)
L-2:HO-(C(CH3)HCH2-O)3-CH3(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)
【0124】
比較例1~2、及び実施例1~6において、重合開始剤(I)として、ラジカル重合開始剤(I1)である下記I-1を用いた。
I-1:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド
【0125】
比較例1~2、及び実施例1~6において、光重合性化合物M-1を8質量部と、表2に記載の酸化チタン粒子又は改質チタン酸化物粒子を91質量部と、重合開始剤I-1を1質量部とを、固形成分濃度10質量%であるように混合溶媒L-3に溶解、及び分散させて光硬化性組成物を得た。
【表2】
【0126】
<耐熱性>
ガラス基板上に、光硬化性組成物をスピンコーターを用いて塗布した後、硬化生物からなる膜を110℃で2分間プリベークして、膜厚280nmの硬化膜が形成される厚さの塗布膜を得た。得られた塗布膜に対して、高圧水銀灯を用いて積算露光量が5J/cm2となるように露光を行った。露光後の塗布膜を、185℃で2分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)して硬化膜を得た。
得られた硬化膜の屈折率は、分光エリプソメーターM-2000UI(J.A. Woollam社製)を用いて測定を行い、波長520nmでの屈折率の値を求めた。
全光線反射率の値は、紫外可視近赤外分光光度計 UH4150(株式会社日立ハイテクサイエンス)及びスペクトラロン標準反射板白色(Labpshere社)を用いて、測定波長460nmにより測定を行うことで求めた。PEB前の露光後の塗布膜の全光線反射率をR1、PEB後の硬化膜の全光線反射率をR2とした。
下記式で算出される全光線反射率の向上率に基づいて、耐熱性を以下の基準に従って評価した。
全光線反射率の向上率(%)
=(比較例1の(R2-R1)-比較例2又は各実施例の(R2-R1))
×100/比較例1の(R2-R1)
(評価基準)
◎:全光線反射率の向上率が30%以上
〇:全光線反射率の向上率が10%以上30%未満
×:全光線反射率の向上率が10%未満
【0127】
<屈折率>
〇:比較例1の屈折率超
×:比較例1の屈折率以下
【0128】
【0129】
表2によれば、粗金属酸化物粒子(A)を、水を含む含窒素極性有機溶媒(S)に分散させ加熱することにより得られる改質金属酸化物粒子を用いると、加熱により透明性が低下しにくく、良好な光学特性を示す硬化物を与える光硬化性組成物を調製できることが分かる。