(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138972
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ピアノブラック調の射出成形品、射出成形金型及びその耐傷性の評価方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/37 20060101AFI20241002BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20241002BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B29C45/37
B29C45/17
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049713
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 佑紀
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AA21
4F202AB12
4F202AB18
4F202AF14
4F202AH17
4F202AH42
4F202AR13
4F202CA11
4F202CB01
4F202CD25
4F202CK11
4F206AA21
4F206AB12
4F206AB18
4F206AF14
4F206AH17
4F206AH42
4F206AR13
4F206JA07
4F206JF01
4F206JL02
4F206JL09
4F206JQ81
4F206JQ90
4F206JW50
(57)【要約】
【課題】硬度を高めるための樹脂材料を用いたり後工程による保護膜の形成処理をしたりすることなく、ピアノブラック調の樹脂成形品の耐傷性の向上を図る。
【解決手段】ピアノブラック調の射出成形品を形成するにあたり、成形品の外観品質が損なわれない範囲で、表面を目が粗い研磨材で鏡面磨きした金型を用いて成形品を成形する。耐傷性が向上したか否かは、成形品に対して所定の学振形摩耗試験を行い、試験前後の当該成形体表面のL*値の測定値の差が所定範囲内であるかで評価する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面のL*値が0.01~5.00のピアノブラック調の射出成形品であって、この成形体の表面に以下の学振形摩耗試験を行い、試験後の当該成形品表面のL*値と前記試験前のL*値との差が1.56以下であるピアノブラック調の射出成形品。
(学振形摩耗試験)
「JISK5701-1 6.2.3耐摩耗性」で規定する学振形摩耗試験機を用い、同規定の試験条件のうち以下の項目を下記の設定とした。
摩耗子:カナキン3号
速度:3000mm/min
おもり:500g
往復回数:200回
【請求項2】
ピアノブラック調の射出成形品を成形するための金型であって、樹脂組成物が充填される金型表面が、平均粒子径が3.1μm~5.2μmの研磨材により表面研磨されてなる射出成形金型。
【請求項3】
請求項2に記載の射出成形金型に樹脂組成物を充填して成形品を成形するピアノブラック調の射出成形品の成形方法。
【請求項4】
ピアノブラック調の射出成形品の耐傷性の評価方法であって、
表面のL*値が0.01~5.00のピアノブラック調の射出成形品に対して以下の学振形摩耗試験を行い、試験後の当該成形品表面のL*値と前記試験前のL*値との差から当該射出品の耐傷性を判定するピアノブラック調の射出成形品の耐傷性の評価方法。
(学振形摩耗試験)
「JISK5701-1 6.2.3耐摩耗性」で規定する学振形摩耗試験機を用い、同規定の試験条件のうち以下の項目を下記の設定とした。
摩耗子:カナキン3号
速度:3000mm/min
おもり:500g
往復回数:200回
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐傷付き性能(以下、「耐傷性」ともいう。)を向上させたピアノブラック調の射出成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ピアノの表面のような黒色で高光沢の外観に仕上げたピアノブラック部品は、その見た目が高級感を醸し出すことから、乗用車の部品やテレビなどの家電製品のパネルなどに採用されている。
従来は、樹脂成形品の表面に塗装を施してピアノブラック調を再現したものが多く使われていたが、塗装は成形品の表面がゆず肌調になりやすいことや取り扱いが面倒な溶剤を用いる必要があること、塗装よりも高外観の仕上げが求められていることから、溶剤を使わずに原料着色材、つまり樹脂組成物そのものに着色をして光沢を出す材料を使用してピアノブラック調の外観を有する樹脂成形品を成形することが行われてきている。
【0003】
しかしながら、原料着色材を用いて成形された樹脂成形品は、そのピアノブラック調の表面にその材料がそのまま露出しているため、前記塗装を施した場合と比較して耐傷能が低くなるという課題があった。
このような課題の解決を目的として技術として、かかる課題を解決する手段として、射出成形により表面が黒色の成形品を成形し、後加工でこの成形品の表面にクリアコート膜を形成し、黒色成形品の表面をクリアコート膜で保護することで成形品表面の耐傷性の向上を図ったものが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、ピアノブラック調の外観の成形品の材料としてポリアミド樹脂を用い、樹脂材料を重合させる際に特殊なフィラー(セルロース繊維)を混錬することで、成形品表面の硬度を高めて耐傷性の向上を図ったものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-236175号公報
【特許文献2】特開2015-51631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の技術のうち前者のものは、黒色成形品を射出成形により成形する工程に加えて、成形品の表面にクリアコート膜をコーティングする工程を必要としており、成形品の形状によっては製造コストが嵩むという問題がある。
また、後者のものは、樹脂材料に特殊なフィラーを混錬して成形することで、成形品の硬度が高って耐傷性は向上するが、ポリアミド樹脂を材料として用いる成形品に限定される。ピアノブラック調の成形品の材料には、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などが主に用いられるが、ポリアミド樹脂以外の材料を用いた成形にこの技術は適用することができない。
【0006】
本発明は上記のような問題点に鑑み、後工程による表面の硬度を高めるための加工を必要とせず、また、使用材料を限定することなく、ピアノブラック調の樹脂成形品の耐傷性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は以下の態様を含む。
〔1〕 表面のL*値が0.01~5.00のピアノブラック調の射出成形品であって、この成形品の表面に以下の学振形摩耗試験を行い、試験後の当該成形品表面のL*値と前記試験前のL*値との差が1.56以下であるピアノブラック調の射出成形品。
(学振形摩耗試験)
「JISK5701-1 6.2.3耐摩耗性」で規定する学振形摩耗試験機を用い、同規定の試験条件のうち以下の項目を下記の設定とした。
摩耗子:カナキン3号
速度:3000mm/min
おもり:500g
往復回数:200回
〔2〕 ピアノブラック調の射出成形品を成形するための金型であって、樹脂組成物が充填される金型表面が、平均粒子径が3.1μm~5.2μmの研磨材により表面研磨されてなる射出成形金型。
〔3〕 前記〔2〕に記載の射出成形金型に樹脂組成物を充填して成形品を成形するピアノブラック調の射出成形品の成形方法。
〔4〕 ピアノブラック調の射出成形品の耐傷性の評価方法であって、表面のL*値が0.01~5.00のピアノブラック調の射出成形品に対して前述の学振形摩耗試験を行い、試験後の当該成形品表面のL*値と前記試験前のL*値との差から当該射出品の耐傷性を判定するピアノブラック調の射出成形品の耐傷性の評価方法。
【0008】
本発明者は、ピアノブラック調の成形品の耐傷性を高めるため、前述した成形品の表面に保護膜をコーティングしたり樹脂材料にフィラーを混錬して成形したりする方法、換言すれば成形品自体の表面硬度を高くする方法ではなく、成形品の成形に用いる金型の転写性を適正にコントロールすることで成形品の耐傷性を改善できると考えて検討を行ってきた。
具体的には、一般にピアノブラック調の成形品を成形する金型の表面は、目の細かい研磨材で磨く加工、いわゆる鏡面磨きがなされており、この鏡面磨きにより、成形品の表面は光沢が表出するは滑らかな面に成形される。この鏡面磨きの程度を変えた、つまり粒子径の異なる研磨材を用いて表面を研磨した金型を用いてピアノブラック調の成形品を成形し、その耐傷性についての評価を行ってきた。
【0009】
その結果、前記金型表面の鏡面磨きの程度によって、成形品の耐傷性が変化することが判明した。
より詳しくは、従来金型の表面の研磨に使用していた研磨材よりも目の粗い研磨材を用いて表面を研磨した金型を用いて成形しても、研磨材の目の粗さがある程度の範囲内であれば、成形品の外観を目視したときに光沢の表出具合が同じで綺麗な外観の、外観品質に違いがないと判断できる成形品が得られること、及び、目が細かい研磨材で表面が研磨された金型により成形された成形品と目が粗い研磨材で表面が研磨された金型により成形品の耐傷性を摩擦試験により評価したところ、後者の方が耐傷性が良好になることの知見が得られた。
【0010】
本発明は上記の知見に基づき、ピアノブラック調の成形品の成形に用いる金型表面の鏡面磨きの程度を調整し、成形品表面への転写性を適正にコントロールすることで成形品の耐傷性の向上を図ったものであり、この耐傷性が付与されているか否かを客観的にするため、成形品に対して所定の摩耗試験を実施し、その試験前後の成形品の表面のL*値を色彩計で測定して、測定されたL*値の差から耐傷性が付与されているか否かを判定するの評価方法を採用した。
なお、この評価方法は、ピアノブラック調の成形品以外に、光沢を表出する性状の成形品の耐傷性の評価にも適用可能である。
【0011】
後述するように、表面のL*値が0.01~5.00の範囲に測定されるピアノブラック調の成形品に対して所定の学振形摩耗試験を実施し、試験後の当該成形品表面のL*値と前記試験前のL*値との差が1.56以下、好ましくは1.08以下、より好ましくは0.50以下であれば、成形品の耐傷性が高く、成形品の表面に傷が付きにくく、また、傷が付いても目立ちにくくなることが本発明の実施例により確認された。
また、ピアノブラック調の成形品を成形するための金型の表面が、平均粒子径が3.1μm~5.2μmの研磨材により表面研磨することで、この金型を用いて成形された成形品の耐傷性が高くなることが確認された。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ピアノブラック調の成形品を成形するための金型の表面状態の処理のみで、これを用いて成形される成形品の耐傷性を高めることができるので、従来のように成形品の表面に保護膜を形成するような二層成のものと比較して、自由な形状で成形品のデザインが可能であり、また、製造コストを抑えることが可能である。
また、従来のように成形品の硬度を高めるために樹脂材料に添加材を混錬する処理は不要であり、使用する樹脂材料を限定することなく、成形のベースとなる樹脂材料の物性や風合いを損なわずに、綺麗な外観のピアノブラック調の成形品を成形することができ、且つ成形品の耐傷性を高めることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のピアノブラック調の成形品の好適な実施形態について実施例に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0014】
(実施例1)
PMMA樹脂(アクリル樹脂)を用いて、縦横40mm、厚さ1.0mmの平面視正方形の板状のピアノブラック調の成形品を射出成形により成形した。
上記成形品を成形するための金型は、溶融樹脂が充填される表面を平均粒子径5.2μmのダイヤモンド研磨材(コンパウンド)3000番(#3000)で鏡面加工を施した。
金型表面の研磨は均一に行い、研磨後の金型表面の規定の磨き粗さ(Sa算術平均高さ)は8.0nmである。
PMMA樹脂材料として、アクリペット(登録商標)PTN0023(三菱ケミカル株式会社製)を用いた。樹脂材料は、ピアノブラック調の色が発色する黒色顔料が配合されたグレードのものを用いた。
型温度を80℃に設定した前記金型内に、樹脂温度240℃に加熱して溶融した前記樹脂材を射出し、金型内で硬化させて試験用のピアノブラック調の成形品を成形した。試験用成形品は三つ成形した。
【0015】
前記成形された三つの試験用成形品について、分光式色彩計(SE-7700日本電色工業(株)製)を用いて、その表面のL*値をそれぞれ測定した。三つの試験用成形品のL*値の中央値は4.01であった。
【0016】
次いで、前記三つの試験用成形品について学振形摩耗試験を実施した。
学振形摩耗試験は、「JISK5701-1 6.2.3耐摩耗性」で規定する学振形摩耗試験機を用い、同規定の摩耗子(摩擦子)としてカナキン3号を用いるとともに、おもりを500g、前記摩耗子の移動速度を3000mm/min、往復回数を200回にそれぞれ設定し、同規定による試験工程に準拠して、前記試験用成形品の表面を摩擦して行った。
試験後の三つの試験用成形品について、前記色彩計を用いて、その表面のL*値をそれぞれ測定した。試験後の三つの試験用成形品のL*値の中央値は3.92であった。
試験前後のL*値の差は0.30であった。
【0017】
(実施例2)
表面が平均粒子径3.1μmのダイヤモンド研磨材(コンパウンド)5000番(#5000)で鏡面加工が施された金型を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、試験用成形品の成形、その表面のL*値の測定、学振形摩耗試験の実施、及び試験後のL*値の測定を行った。なお、研磨後の金型表面の規定の磨き粗さ(Sa算術平均高さ)は5.0nmである。
試験前後のL*値の中央値はそれぞれ3.71、4.15であり、その差は0.44であった。
【0018】
(実施例3)
表面が平均粒子径1.5μmのダイヤモンド研磨材(コンパウンド)8000番(#8000)で鏡面加工が施された金型を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、試験用成形品の成形、その表面のL*値の計測、学振形摩耗試験の実施、及び試験後のL*値の測定を行った。なお、研磨後の金型表面の規定の磨き粗さ(Sa算術平均高さ)は3.0nmである。
試験前後のL*値の中央値はそれぞれ3.10、4.18であり、その差は1.08であった。
【0019】
(比較例1)
表面が平均粒子径0.9μmのダイヤモンド研磨材(コンパウンド)10000番(#10000)で鏡面加工が施された金型を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、試験用成形品の成形、その表面のL*値の計測、学振形摩耗試験の実施、及び試験後のL*値の測定を行った。なお、研磨後の金型表面の規定の磨き粗さ(Sa算術平均高さ)は2.5nmである。
試験前後のL*値の中央値はそれぞれ3.02、4.74であり、その差は1.72であった。
前記実施例と比較例のL*値の測定結果を表1に示す。
【0020】
【0021】
前記各実施例と比較例の成形品の外観を目視で確認したところ、学振形摩擦試験前は全ての成形品が光沢が表出した艶のある綺麗な漆黒の外観であった。目視の範囲では、全ての成形品の外観品質は同じであると判断できた。
学振形摩擦試験後の成形品の外観を目視で確認したところ、実施例1と実施例2の成形品は試験前と同等の光沢のある外観であった。一方、実施例3の成形品は、試験前よりも若干光沢が失われていたが、表面に擦り傷は確認できなかった。比較例1の成形品は、試験前よりも光沢が失われ、表面に多数の擦り傷があることが確認された。
【0022】
(実施例4)
バイオエンジアリングPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)を用いて、実施例1と同様にして、ピアノブラック調の成形品を射出成形により成形した。
バイオエンジニアリングPC樹脂として、DURABIO(登録商標)D7010SR(三菱ケミカル株式会社製)を用いた。樹脂材料は、ピアノブラック調の色が発色する黒色顔料が配合されたグレードのものを用いた。
成形金型は、実施例1の金型を用いた。
前記各実施例及び比較例と同様にして、試験用成形品の成形、その表面のL*値の計測、学振形摩耗試験の実施、及び試験後のL*値の測定を行った。
試験前後のL*値の中央値はそれぞれ3.22、3.92であり、その差は0.70であった。
【0023】
(実施例5)
実施例4と同じバイオエンジニアリングPC樹脂と実施例2の成形金型を用い、前記各実施例及び比較例と同様にして、試験用成形品の成形、その表面のL*値の測定、学振形摩耗試験の実施、及び試験後のL*値の測定を行った。
試験前後のL*値の中央値はそれぞれ2.70、4.26であり、その差は1.56であった。
【0024】
(比較例2)
実施例4と同じバイオエンジニアリングPC樹脂と比較例1の金型を用い、前記各実施例及び比較例と同様にして、試験用成形品の成形、その表面のL*値の計測、学振形摩耗試験の実施、及び試験後のL*値の測定を行った。
試験前後のL*値の中央値はそれぞれ2.22、8.52であり、その差は6.30であった。
【0025】
(比較例3)
実施例4と同じバイオエンジニアリングPC樹脂と実施例3の金型を用い、前記各実施例及び比較例と同様にして、試験用成形品の成形、その表面のL*値の計測、学振形摩耗試験の実施、及び試験後のL*値の測定を行った。
試験前後のL*値の中央値はそれぞれ2.32、6.26であり、その差は3.94であった。
前記実施例と比較例のL*値の測定結果を表2に示す。
【0026】
【0027】
前記各実施例と比較例の成形品の外観を目視で確認したところ、学振形摩擦試験前は全ての成形品が光沢が表出した艶のある綺麗な漆黒の外観であった。目視の範囲では、全ての成形品の外観品質は同じであると判断できた。
学振形摩擦試験後の成形品の外観を目視で確認したところ、実施例4の成形品は試験前と同等の光沢のある外観であった。実施例5の成形品は、若干光沢が失われていたが、表面に擦り傷は確認できなかった。比較例2の成形品は、光沢がなく表面に多数の擦り傷が白く浮き出た外観となり、比較例3の成形品は比較例2よりは少ないが表面に多数の擦り傷があることが確認された。
【0028】
実施例と比較例の結果から、比較例1と2の成形に用いる金型よりも、鏡面磨きの程度を粗くした各実施例の金型を用いて成形品を成形しても、比較例と外観品質が変わらないピアノブラック調の成形品を成形できることが確認された。
そして、実施例1から5のように、鏡面磨きの程度を粗くした各実施例の成形品の方が、比較例の成形品よりも耐傷性が良好となり、成形品の表面に傷が付きにくく、傷ができても目立たなくすることが可能であることが確認された。とりわけ、実施例1と2及び実施例4と5の成形で用いた、平均粒子径5.2μmと3.71μmの研磨材で表面を研磨した金型を用いた成形品は、学振形摩耗試験後でも傷のない綺麗な外観に保たれていることが確認された。ピアノブラック調の成形品を成形する金型は、その表面を上記の粒子径の研磨材で鏡面磨きすることが成形品の耐傷性を向上させるのに効果的であると考察される。