(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139139
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み中華麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20241002BHJP
【FI】
A23L7/109 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049950
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】針谷 康平
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA05
4B046LB09
4B046LC01
4B046LG01
4B046LG03
4B046LG16
4B046LG20
4B046LG29
4B046LP01
4B046LP10
4B046LP15
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP57
(57)【要約】
【課題】冷蔵保存後に再加熱せずに喫食しても中華麺類らしい風味と食感に優れた中華麺類の提供。
【解決手段】再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み中華麺類の製造方法であって、生麺類を加熱調理する工程と、該加熱調理した麺類を液状組成物に浸漬させる工程と、該浸漬後の麺類を冷蔵する工程、を含み、該生麺類が、穀粉類と澱粉類の合計100質量部に対し、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を0.01~0.5質量部含有する中華麺類であり、該液状組成物が、かんすい原料を含むpH10.0~13.0の水溶液である、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み中華麺類の製造方法であって、
生麺類を加熱調理する工程と、
該加熱調理した麺類を液状組成物に浸漬させる工程と、
該浸漬後の麺類を冷蔵する工程、
を含み、
該生麺類が、穀粉類と澱粉類の合計100質量部に対し、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を0.01~0.5質量部含有する中華麺類であり、
該液状組成物が、かんすい原料を含むpH10.0~13.0の水溶液である、方法。
【請求項2】
前記生麺類の原料粉が、穀粉類及び澱粉類を合計で80質量%以上含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記生麺類の原料粉が、穀粉類と澱粉類の合計量中に加工タピオカ澱粉を5~40質量%含有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記液状組成物が、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を0.4~4.0質量%含有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記浸漬の時間が30秒~3分間である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記冷蔵調理済み中華麺類のpHが8.5~11.0である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記加熱調理が茹で調理である、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み中華麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、予め調理された状態で冷蔵流通され、再加熱せずにそのまま喫食される冷蔵調理済み麺類が、スーパーやコンビニエンスストアなどで販売されている。このような冷蔵調理済み麺類は、冷やし中華、冷やしラーメン、冷やしつけ麺などの中華麺類が主である。一般的な中華麺類には、独特の食感と風味を持たせるために、かんすい原料などのアルカリが添加されている。即席麺や乾麺としない通常の生中華麺類の場合、かんすい原料の配合量は乾燥物換算で1質量%以上である。
【0003】
特許文献1には、常法によりかんすいを添加して製麺し、茹で上げ又は蒸しあげた中華麺を水洗した後、これを、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ソーダ塩、リン酸カリ塩の中の1種又は2種以上が0.01~0.005重量%溶解したかんすい溶解液に15~60秒程度浸漬したのち、袋に封入し、必要に応じて加熱処理することを特徴とする包装麺の製造方法が記載されている。特許文献2には、茹でた及び/又は蒸した中華麺を水洗した後、リン酸三ナトリウム及びリン酸三カリウムを含有する水溶液に約10乃至300秒間浸漬することを特徴とする茹で・蒸し中華麺の製造方法が記載されている。特許文献3~5には、小麦粉及び加工タピオカ澱粉と、かんすい又は炭酸ナトリウムを含有する麺類を茹で後、冷蔵し、再加熱せずに喫食したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57-36955号公報
【特許文献2】特開平9-289876号公報
【特許文献3】特開2015-002690号公報
【特許文献4】特開2003-289818号公報
【特許文献5】特開2006-288218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生中華麺類は、即席麺や乾麺と比べて食感や風味に優れ、特に茹でたては美味である。しかし、生中華麺類を茹でた後冷蔵すると、かんすい原料の影響で食感の滑らかさが損なわれやすい。一方で、麺へのかんすい原料の添加量を抑えると、中華麺類らしいかんすい風味や硬い食感が損なわれる。特に、冷蔵保存した調理済み中華麺を再加熱せずに喫食する場合、冷蔵により低下した麺類の風味や食感をそのまま感受することになるため、美味しく感じられなくなる。生麺類から調理して冷蔵保存し、再加熱せずに喫食したときにも、中華麺類らしい風味と食感に優れた中華麺類が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、特定量の炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムを含有する生中華麺類を加熱調理後、特定のpHを有するかんすい原料を含む液状組成物に浸漬し、次いで冷蔵することで、再加熱せず喫食したときにも中華麺類らしい風味と食感を維持した冷蔵調理済み中華麺類が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、代表的実施形態として、以下を提供する。
〔1〕再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み中華麺類の製造方法であって、
生麺類を加熱調理する工程と、
該加熱調理した麺類を液状組成物に浸漬させる工程と、
該浸漬後の麺類を冷蔵する工程、
を含み、
該生麺類が、穀粉類と澱粉類の合計100質量部に対し、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を0.01~0.5質量部含有する中華麺類であり、
該液状組成物が、かんすい原料を含むpH10.0~13.0の水溶液である、方法。
〔2〕前記生麺類の原料粉が、穀粉類及び澱粉類を合計で80質量%以上含有する、〔1〕記載の方法。
〔3〕前記生麺類の原料粉が、穀粉類と澱粉類の合計量中に加工タピオカ澱粉を5~40質量%含有する、〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕前記液状組成物が、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を0.4~4.0質量%含有する、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の方法。
〔5〕前記浸漬の時間が30秒~3分間である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項記載の方法。
〔6〕前記冷蔵調理済み中華麺類のpHが8.5~11.0である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項記載の方法。
〔7〕前記加熱調理が茹で調理である、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、中華麺類を調理後に冷蔵保存したときに生じる風味と食感の低下を抑制することができる。本発明によれば、再加熱せずに喫食したときにも、中華麺類らしいかんすい風味と硬い食感を有し、かつ滑らかさを併せ持つ、高品質な冷蔵調理済み中華麺類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、冷蔵調理済み中華麺類の製造方法を提供する。当該方法は、生麺類を喫食可能に加熱調理すること、該加熱調理した麺類を液状組成物に浸漬させること、該浸漬後の麺類を冷蔵保存すること、を含む。該加熱調理に供する生麺類は、特定量の炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムを含有する中華麺類である。該麺類の種類や形状は特に限定されず、例えば麺線であっても麺皮であってもよい。該加熱調理した麺類の浸漬に用いる液状組成物は、かんすい原料を含み、特定のpHを有する。
【0010】
前記麺類の原料粉は、穀粉類を含有する。該穀粉類の例としては、小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワー、オーツ麦粉、ライ麦粉、ふすま粉などが挙げられ、好ましくは小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、及びそば粉が挙げられる。これらの穀粉類は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。好ましくは、該原料粉は小麦粉を含む。該原料粉に含まれる小麦粉の量は、製造する麺類の種類に応じて適宜調整することができる。好ましくは、該原料粉に使用される穀粉類の70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%が小麦粉である。該小麦粉は、麺類の製造に一般に使用されるものであればよく、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉、熱処理粉(α化小麦粉、部分α化小麦粉、焙焼小麦粉等)などが挙げられる。これらの小麦粉は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0011】
前記原料粉は、澱粉類を含有していてもよい。該原料粉が澱粉類を含有すると、製造される麺類の食感が向上する。該澱粉類の例としては、特に限定されず、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉などの未加工澱粉、及びそれらを加工(例えば、架橋化、リン酸化、アセチル化、エーテル化、酸化、α化など)した加工澱粉が挙げられる。本発明において、これら未加工澱粉及び加工澱粉は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0012】
好ましくは、前記原料粉は加工タピオカ澱粉を含有する。加工タピオカ澱粉を使用した麺類は、食感改善効果がより顕著に奏される。好ましくは、該加工タピオカ澱粉は、エーテル化タピオカ澱粉及びアセチル化タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上である。該エーテル化澱粉及びアセチル化澱粉は架橋処理されていてもよい。該加工タピオカ澱粉の好ましい例としては、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、カルボキシメチル化タピオカ澱粉等のエーテル化タピオカ澱粉;ヒドロキシプロピル化リン架橋タピオカ澱粉等のエーテル化架橋タピオカ澱粉;アセチル化タピオカ澱粉、アセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉、などが挙げられる。好ましくは、該加工タピオカ澱粉は、エーテル化架橋タピオカ澱粉及び/又はアセチル化タピオカ澱粉であり、より好ましくはエーテル化架橋タピオカ澱粉である。
【0013】
好ましくは、前記原料粉は、全量中に、前記穀粉類及び澱粉類を合計で80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有する。好ましくは、該原料粉は、該穀粉類と澱粉類の合計量中、澱粉類を好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~40質量%含有する。より好ましくは、該原料粉は、該穀粉類と澱粉類の合計量中、前記加工タピオカ澱粉を好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~40質量%含有する。
【0014】
前記原料粉は、前述した穀粉類、澱粉類に加えて、麺類の製造に従来用いられる他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分としては、例えば、小麦蛋白質(グルテン)、大豆蛋白質、乳蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;油脂類;食塩;糖類;甘味料;食物繊維;香辛料;調味料;ビタミン、ミネラル、栄養強化剤;色素;香料;デキストリン(難消化性含む);膨張剤;乳化剤;増粘剤;保水剤;保存剤;酵素剤;pH調整剤;酸化還元剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの他の成分は、製造する麺類の種類に応じて、いずれか1種又はいずれか2種以上の組み合わせで用いることができる。該原料粉中における該他の成分の各々の含有量は、目的とする麺類の性質に応じて適宜決定することができる。好ましくは、該原料粉はグルテンを含有する。該原料粉におけるグルテンの含有量は、全量中、好ましくは1~15質量%、より好ましくは3~10質量%である。
【0015】
前記原料粉から、本発明で使用される生麺類が製造される。製造された生麺類は、中華麺類であり、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を含有する。好ましくは、該生麺類は炭酸カリウムを含有する。該炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムは、該生麺類の原料粉に添加してもよく、又は、麺生地の調製の際に練水に添加してもよい。
【0016】
前記炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムとしては、市販品を使用することができる。前記生麺類における該炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムの合計含有量は、該生麺類に含有される穀粉類と澱粉類の合計100質量部に対して、0.01~0.5質量部であればよく、好ましくは0.1~0.5質量部である。好ましくは、該生麺類は、含有する穀粉類と澱粉類の合計100質量部に対し、炭酸カリウムを0.01~0.5質量部、好ましくは0.1~0.5質量部含有する。該生麺類は、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウム以外のかんすい原料(例えばリン酸塩)や、カルシウム塩を含有することができるが、含有していなくてもよい。
【0017】
前記生麺類は、常法に従って、原料粉と練水とを混捏することにより麺生地を調製し、次いで該麺生地を成形することで製造することができる。該練水には、食塩や、前述の炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムなどが添加されていてもよい。該麺生地の調製に用いられる練水の量は、練水の水分量として、原料粉100質量部あたり、好ましくは25~65質量部、より好ましくは30~45質量部である。得られた麺生地から生麺類が製造される。麺生地からの生麺類の製造には、通常の手段を用いることができる。例えば、製麺ロールにより麺生地を圧延して麺帯を得、この麺帯を切刃等で切り出して麺線を得る方法、麺生地を押し出し成型して麺線を得る方法、などが挙げられる。上記麺帯を積層して多層麺としてもよい。
【0018】
得られた生麺類は加熱調理される。該生麺類の加熱調理の手段としては、茹で、蒸しなどが挙げられる。該加熱調理により、麺類を喫食可能にα化する。該茹でや蒸しに用いる水としては、水、食塩水などが使用できる。得られた加熱調理した麺類は、必要に応じて水冷、風冷などにより冷却された後、以下の浸漬工程に供される。
【0019】
次いで、前記加熱調理した麺類を液状組成物に浸漬させる。該浸漬に用いる液状組成物は、かんすい原料を含有する水溶液である。該かんすい原料としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのかんすい原料は、いずれか1種又はいずれか2種以上を組み合わせて使用することができる。このうち、風味の観点からは、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0020】
前記液状組成物は、pHが10.0~13.0.好ましくは10.5~13.0、より好ましくは11.0~13.0である。したがって、該液状組成物における該かんすい原料の含有量は、該液状組成物のpHを前記の範囲に調整できる量であればよい。例えば、該かんすい原料が炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上である場合、該液状組成物中におけるその合計濃度は、好ましくは0.4~4.0質量%、より好ましくは0.4~3.0質量%の範囲である。よって好ましい一実施形態において、該液状組成物は、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上を合計で0.4~4.0質量%含有するpH10.5~13.0、より好ましくはpH11.0~13.0の水溶液である。
【0021】
前記液状組成物は、前記かんすい原料以外の成分を含んでいてもよく、例えば、溶液のpH調整のためのアルカリをさらに含有することができる。該アルカリとしては、食品に使用可能なものであれば特に限定されず、例えば焼成カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。例えば、該液状組成物は、該かんすい原料を0.4~4.0質量%の範囲で含有し、さらに別途で上記アルカリを含有することでpHが10.0~13.0の範囲に調整されていてもよい。そのため該液状組成物における該アルカリの含有量は、特に限定されないが、好ましくは2.0質量%以下である。
【0022】
前記加熱調理した麺類の前記液状組成物への浸漬の時間は、好ましくは15秒~10分間であり、より好ましくは、30秒~3分間である。該浸漬の時間は、麺の太さなどを考慮して調整することができる。
【0023】
前記浸漬後の麺類を冷蔵することで、本発明の冷蔵調理済み中華麺類を製造することができる。麺類の冷蔵は、一般的な冷蔵調理済み麺類と同様に行うことができる。例えば、該浸漬後の麺類を1食~数食ごとに包装し、通常の冷蔵温度下(例えば約0℃~約10℃)で保存すればよい。基本的には、本発明の冷蔵調理済み中華麺類は、製造された後、必要に応じて保管や流通を経て、購買されるまで冷蔵保存されるための食品として製造される。したがって、本発明の冷蔵調理済み中華麺類は、製造から喫食されるまでの間に、少なくとも6時間、好ましくは12~120時間冷蔵保存されることが想定される。
【0024】
本発明において、該冷蔵された麺類のpHは、好ましくはpH8.5~11.0、より好ましくはpH10.0~11.0である。例えば、生麺類のpHや、浸漬に用いる液状組成物のpHや浸漬の時間などを調整することで、該冷蔵された麺類のpHを上記範囲にすることができる。
【0025】
本明細書において、液状組成物のpHとは、該液状組成物の25℃でのpHをいう。また本明細書において、冷蔵された麺類のpHとは、加熱調理され、少なくとも6時間冷蔵保存した麺1gを水10mLに懸濁させた懸濁液のpH(25℃)をいう。
【0026】
本発明の冷蔵調理済み中華麺類は、冷蔵保存の後、再加熱されることなく喫食される。好ましくは、冷蔵保存の後、冷たい状態のまま喫食される。本発明の冷蔵調理済み中華麺類は、前述した調理済み中華麺類以外に、具材、スープ、調味料などを備えていてもよい。これらの具材、スープ、調味料などは、該麺類とともに包装され、冷蔵保存されていてもよく、又は別添えされていてもよい。このような本発明の冷蔵調理済み中華麺類の具体例としては、冷やし中華、冷やしラーメン、冷やしつけ麺などが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例0027】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0028】
1.冷蔵茹で中華麺
(材料)
小麦粉:中力粉(薫風、日清製粉(株))
加工澱粉:エーテル化リン酸架橋タピオカ澱粉(あさがお、松谷化学工業(株))
アセチル化タピオカ澱粉(AJISAI、松谷化学工業(株))
炭酸カリウム(米山薬品工業(株))
炭酸ナトリウム(無水)(米山薬品工業(株))
ピロリン酸四カリウム(米山薬品工業(株))
ピロリン酸四ナトリウム(キシダ化学(株))
リン酸水素二カリウム(林純薬工業(株))
液体焼成カルシウム製剤:トップベジエースSLCコンク(奥野製薬工業(株);貝殻焼成カルシウム6.0%(w/w)水溶液)
グルテン:AグルG(グリコ栄養食品(株))
食塩:並塩
【0029】
(冷蔵茹で中華麺の製造)
表1~3記載の配合で原料粉と練水を混合し、減圧(-0.093MPa)下でミキシングして生地を調製した。該生地を製麺ロールで圧延及び複合して麺帯を作製し、切り刃(#16角)で切り出して生麺線を製造した(麺厚1.7mm)。得られた生麺線200gを、歩留まりが170%程度となるように熱湯で茹で、水洗冷却した後、表1記載のかんすい原料を含む水溶液(浸漬液)2Lに1分間浸漬させた。浸漬後の麺にほぐれ剤を噴霧した後、個食に包装し、冷蔵庫(4℃)で24時間保存した。
【0030】
冷蔵保存後の麺の一部を取り、pHを測定した。残り麺につゆをかけ、その食感と風味を、訓練したパネラー10人により下記評価基準で評価し、平均点を求めた。結果を表1~3に示す。
【0031】
<評価基準>
(硬さ)
5点:対照例よりも硬さが優れる
4点:対照例よりも硬さがやや優れる
3点:対照例と同等の硬さである
2点:対照例よりも硬さがやや劣る
1点:対照例よりも硬さが劣る
(滑らかさ)
5点:対照例よりも滑らかさが優れる
4点:対照例よりも滑らかさがやや優れる
3点:対照例と同等の滑らかさである
2点:対照例よりも滑らかさがやや劣る
1点:対照例よりも滑らかさが劣る
(風味)
5点:かんすい風味が対照例よりも非常に優れる
4点:かんすい風味が対照例よりも優れる
3点:かんすい風味が対照例よりもやや優れる
2点:かんすい風味が対照例と同等である
1点:かんすい風味が対照例よりも劣る
【0032】
【0033】
【0034】