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特開2024-13927基板貼り付け装置、基板処理システム、及び基板貼り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013927
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】基板貼り付け装置、基板処理システム、及び基板貼り付け方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116368
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 右文
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】水澤 竜馬
(57)【要約】
【課題】半導体ウエハの第2面に第2支持体を貼り付けた場合であっても、第1支持体の貼り付け不良の発生を抑制しつつ、第2支持体と半導体ウエハとの接着力が低く、両者が強固に張り付くことを抑制して、剥離時に第2接着剤の残渣が半導体ウエハに生じるのを抑制する。
【解決手段】基板貼り付け装置1は、半導体ウエハWの第1面Saに第1支持体100が第1接着剤50を介して第1温度で貼り付けられており、半導体ウエハWの第1面Saとは反対側の第2面Sbに第2接着剤60を介して第2支持体110を貼り付ける貼り付け部10と、第2支持体110及び半導体ウエハWの一方又は双方を第1温度より低い第2温度で加熱する加熱部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの第1面に第1支持体が第1接着剤を介して第1温度で貼り付けられており、前記半導体ウエハの前記第1面とは反対側の第2面に第2接着剤を介して第2支持体を貼り付ける貼り付け部と、
前記第2支持体及び前記半導体ウエハの一方又は双方を前記第1温度より低い第2温度で加熱する加熱部と、を備える、基板貼り付け装置。
【請求項2】
前記半導体ウエハの前記第1面は、回路電極が設けられている、請求項1に記載の基板貼り付け装置。
【請求項3】
前記貼り付け部は、前記第1支持体において前記半導体ウエハを貼り付けた面とは反対側の面に当接する第1プレートと、前記第2支持体において前記半導体ウエハを貼り付けた面とは反対側の面に当接する第2プレートと、を備え、
前記加熱部は、前記第1プレート及び前記第2プレートの一方又は双方に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項4】
前記第2接着剤は、熱可塑性を有するレジストである、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項5】
前記第2接着剤は、前記第2支持体の接着面に周期的に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項6】
前記第2接着剤は、前記第1接着剤と異なる、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項7】
前記貼り付け部は、前記半導体ウエハの前記第2面と、前記第2支持体との貼り付けを大気下で行う、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項8】
前記第2温度は、40℃から150℃である、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項9】
前記加熱部は、前記半導体ウエハの前記第2面と、前記第2支持体とを貼り付ける前に、前記第2支持体及び前記半導体ウエハの一方又は双方を一定時間加熱する、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項10】
前記加熱部は、前記半導体ウエハの前記第2面と、前記第2支持体とを貼り付ける前に、前記第2温度で一定時間加熱する、請求項9に記載の基板貼り付け装置。
【請求項11】
前記貼り付け部は、前記半導体ウエハの前記第1面に前記第1接着剤を介して前記第1支持体を貼り付け可能であり、
前記加熱部は、前記第1支持体及び前記半導体ウエハの一方又は双方を前記第1温度に加熱する、請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置。
【請求項12】
前記第1接着剤は、前記第1支持体の接着面の全面に設けられている、請求項11に記載の基板貼り付け装置。
【請求項13】
前記第1支持体が貼り付けられた前記半導体ウエハの前記第2面を研削する研削装置と、
請求項1又は請求項2に記載の基板貼り付け装置と、を備える、基板処理システム。
【請求項14】
半導体ウエハの第1面に第1支持体が第1接着剤を介して第1温度で貼り付けられており、前記半導体ウエハの前記第1面とは反対側の第2面に第2接着剤を介して前記第1温度より低い第2温度で第2支持体を貼り付けることを含む、基板貼り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板貼り付け装置、基板処理システム、及び基板貼り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、軽量化、薄型化などの要求により、電子機器に含まれる半導体デバイスにおいても薄型化が求められている。半導体デバイスの薄型化のためには、半導体デバイスを形成する半導体ウエハを薄くする必要がある。ただし、半導体ウエハが薄くなると強度が低下して破損しやすくなるため、取り扱い性が低下する。従って、半導体ウエハの回路電極、電子回路等が形成された第1面に板状の第1支持体を貼り付けて第1積層体とし、この第1積層体の状態で第1面とは反対側の第2面を研削して半導体ウエハを薄くし、その後、第1面とは反対側の第2面(すなわち研削した面)に板状の第2支持体を貼り付けて第2積層体とすることで半導体ウエハの強度を補うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-031778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウエハの第1面には第1接着剤を介して第1支持体が貼り付けられ、次いで、導体ウエハの第2面には第2接着剤を介して第2支持体が貼り付けられる。第1支持体の貼り付け及び第2支持体の貼り付けにおいては、それぞれ半導体ウエハ及び第1支持体(第2支持体)を加熱して行われる。この場合、第2支持体の貼り付け時には、半導体ウエハに第1接着剤を介して第1支持体が貼り付けられている。従って、半導体ウエハの第2面に第2支持体を貼り付ける際の温度が、第1面に第1支持体を貼り付ける際の温度より高いと、第1接着剤の軟化を招き、第1支持体の貼り付け不良を生じさせる要因となる。また、第2支持体と半導体ウエハとの接着力が高いと、両者が強固に張り付いてしまい、半導体ウエハから第2支持体を剥離した際に、半導体ウエハに第2接着剤の残渣が生じる場合があるため好ましくない。
【0005】
本発明は、半導体ウエハの第2面に第2支持体を貼り付けた場合であっても、第1支持体の貼り付け不良の発生を抑制しつつ、第2支持体と半導体ウエハとの接着力が低く、両者が強固に張り付くことを抑制して、剥離時に第2接着剤の残渣が半導体ウエハに生じるのを抑制することが可能な基板貼り付け装置、基板処理システム、及び基板貼り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る基板貼り付け装置は、半導体ウエハの第1面に第1支持体が第1接着剤を介して第1温度で貼り付けられており、半導体ウエハの第1面とは反対側の第2面に第2接着剤を介して第2支持体を貼り付ける貼り付け部と、第2支持体及び半導体ウエハの一方又は双方を第1温度より低い第2温度で加熱する加熱部と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る基板処理システムは、半導体ウエハの第1面に第1支持体が第1接着剤を介して第1温度で貼り付けられており、半導体ウエハの第1面とは反対側の第2面に第2接着剤を介して第2支持体を貼り付ける貼り付け部と、第2支持体及び半導体ウエハの一方又は双方を第1温度より低い第2温度で加熱する加熱部と、第1支持体が貼り付けられた半導体ウエハの第2面を研削する研削装置と、を備える。
【0008】
本発明の態様に係る基板貼り付け方法は、半導体ウエハの第1面に第1支持体が第1接着剤を介して第1温度で貼り付けられており、半導体ウエハの第1面とは反対側の第2面に第2接着剤を介して第1温度より低い第2温度で第2支持体を貼り付けることを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、第2支持体と半導体ウエハとの接着力が低く、両者が強固に張り付くことを抑制できる。その結果、半導体ウエハから第2支持体を剥離した際に、半導体ウエハに第2接着剤の残渣が生じるのを抑制できる。また、半導体ウエハの第1面に第1接着剤を介して第1支持体を貼り付けた際の第1温度よりも低い第2温度で半導体ウエハの第2面に第2接着剤を介して第2支持体を貼り付けるので、第2面への第2支持体の貼り付け時に第1接着剤が軟化するのを防止し、第1支持体の貼り付け不良が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る基板貼り付け装置及び基板処理システムの一例を示す図である。
図2】積層体の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る基板貼り付け装置の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る基板貼り合わせ方法の一例を示すフローチャートである。
図5図4に続いて、実施形態に係る基板貼り合わせ方法の一例を示すフローチャートである。
図6】基板貼り付け装置に第1積層体を搬入する状態を示す図である。
図7】第1積層体を第1プレート及び第2プレートで挟んだ状態を示す図である。
図8】第2積層体を第1プレート及び第2プレートで挟んだ状態を示す図である。
図9】変形例に係る基板貼り付け装置及び基板処理システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。また、図面においては実施形態をわかり易く説明するため、一部分を省略して表現している部分がある。さらに、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは大きさ、形状、寸法等が異なっている場合がある。
【0012】
以下の各図において、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ直交座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において半導体ウエハW又は半導体ウエハWを含む積層体200の搬送方向に平行な方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とする。また、XY平面に垂直な方向をZ方向(高さ方向)と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0013】
<基板貼り付け装置、基板処理システム>
実施形態に係る基板貼り付け装置5及び基板処理システム1について説明する。図1は、実施形態に係る基板貼り付け装置5及び基板処理システム1の一例を示す図である。基板処理システム1は、基板貼り付け装置5を含んで構成される。基板処理システム1では、半導体ウエハWの第1面Saに第1支持体100を重ねること、半導体ウエハWに第1支持体100を貼り付けること、第1面Saと反対の面の第2面Sbを研削すること、第2面Sbに第2支持体110を重ねること、第2面Sbに第2支持体110を貼り付けること、を実行する。半導体ウエハW(図2参照)は、例えば、平面視において(Z方向から見て)円形状の基板である。半導体ウエハWは、第1面Sa(図2参照)において回路電極、電子回路等が形成される。
【0014】
第1支持体100及び第2支持体110(図2参照)は、半導体ウエハWを支持するために用いられる板状体である。第1支持体100及び第2支持体110は、半導体ウエハWの薄化、搬送、実装等のプロセス時に、半導体ウエハWの破損又は変形を防止するために必要な強度を有していればよい。第1支持体100及び第2支持体110は、例えば、ガラス板、シリコンウエハが用いられる。
【0015】
第1支持体100と第2支持体110とで同一の素材が用いられてもよいし、異なる素材が用いられてもよい。第1支持体100及び第2支持体110は、例えば、平面視において(Z方向から見て)円形である。第1支持体100及び第2支持体110は、半導体ウエハWと同一の直径であってもよいし、半導体ウエハWより大きい直径であってもよいし、半導体ウエハWより小さい直径であってもよい。また、第1支持体100と第2支持体110とで、同一の厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。
【0016】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬送装置2と、研削装置(研磨装置)3と、重ね合わせ装置4と、基板貼り付け装置5と、制御装置Cと、を備える。基板処理システム1における各装置の動作は、制御装置Cによって統括制御される。ただし、基板処理システム1における各装置の動作は、制御装置Cによる制御に代えて、例えば、オペレータの操作により手動で行われてもよい。
【0017】
搬送装置2は、半導体ウエハW又は半導体ウエハWを含む積層体200(図2参照)を搬送する。例えば、搬送装置2は、重ね合わせ装置4と基板貼り付け装置5との間で積層体200を搬送する。搬送装置2は、基板貼り付け装置5と研削装置3との間で積層体200を搬送する。搬送装置2は、研削装置3と重ね合わせ装置4との間で積層体200を搬送する。搬送装置2は、半導体ウエハW又は積層体200の搬送可能な任意の構成を適用可能である。例えば、搬送装置2は、ロボットアームが用いられ、半導体ウエハW又は積層体200の上面側又は下面側を吸着して搬送する構成が適用されてもよい。なお、搬送装置2は、後述する第1積層体200Aと第2積層体200Bとで異なる(別の)搬送機構が用いられてもよい。
【0018】
研削装置3は、積層体200における半導体ウエハWの第2面Sbを研削(研磨)して、半導体ウエハWを所定の厚さに薄くする(薄板化する)。例えば、研削装置3は、搬送装置2によって研削対象となる積層体200が搬送される。研削装置3は、搬送された積層体200の裏面である半導体ウエハWの第2面Sbを、例えば研削パッド(研磨パッド、グラインダ)を用いて研削する。この研削工程は、第1支持体100が半導体ウエハWの第1面Saに貼り付けられた後に実行される。なお、研削装置3の詳細については後述する。
【0019】
重ね合わせ装置4は、半導体ウエハWの第1面Saと、第1支持体100の接着面100aとを第1接着剤50を介して上下方向に重ね合わせることで積層体200(以下、「第1積層体200A」と称する。)を形成する。図2(A)は、第1積層体200Aの一例を示す図である。半導体ウエハWの第1面Saは、例えば、回路電極、電子回路等が形成されている。半導体ウエハWの第1面Sa、及び第1支持体100の接着面100aの少なくとも一方には、予め第1接着剤50が塗布されている。従って、半導体ウエハWの第1面Saに第1支持体100を重ね合わせることで、第1積層体200Aにおいては、半導体ウエハWの第1面Saと第1支持体100の接着面100aとの間に、第1接着剤50の層が形成されている。
【0020】
また、重ね合わせ装置4は、研削装置3によって研削された半導体ウエハWの第2面Sbと、第2支持体110の接着面110aとを上下方向に重ね合わせることで積層体200(以下、「第2積層体200B」と称する。)を形成する。図2(B)は、第2積層体200Bの一例を示す図である。半導体ウエハWの第2面Sb、及び第2支持体110の接着面110aの少なくとも一方には、予め第2接着剤60が設けられている。従って、半導体ウエハWの第2面Sbに第2支持体110を重ね合わせることで、第2積層体200Bにおいては、半導体ウエハWの第2面Sbと第2支持体110の接着面110aとの間に、第2接着剤60の層が形成されている。
【0021】
重ね合わせ装置4の構成は任意であり、半導体ウエハWと第1支持体100とのアライメントを行って、又は半導体ウエハW(第1積層体200A)と第2支持体110とのアライメントを行って、両者を重ね合わせることが可能な任意の装置を適用することができる。なお、第1積層体200Aでは、半導体ウエハWと第1支持体100とが重ねられることで、第1接着剤50を介して両者が弱く貼り付けられた状態となっている。また、第2積層体200Bでは、半導体ウエハWと第2支持体110とが重ねられることで、第2接着剤60を介して両者が弱く貼り付けられた状態となっている。
【0022】
また、重ね合わせ装置4は、例えば、基板貼り付け装置5に並んで配置される。この形態により、重ね合わせ装置4により形成した第1積層体200A又は第2積層体200Bを短時間で基板貼り付け装置5に搬入することができる。また、搬送装置2は、重ね合わせ装置4に半導体ウエハW、第1支持体100、又は第2支持体110を搬送する搬送部とは別に、第1積層体200A又は第2積層体200Bを重ね合わせ装置4から基板貼り付け装置5に搬送る専用の搬送部を含んで構成されてもよい。
【0023】
第1接着剤50は、例えば、第1温度以上で溶解する、熱可塑性や熱硬化性を有する接着剤が用いられ、例えば、アクリル系、ノボラック系、エポキシ系、炭化水素系、ポリイミド系、エラストマー等の当該分野において公知の種々の接着材料を含む接着剤や、熱可塑性を有するレジスト、硬化後に熱可塑性を有するレジスト等を使用することができる。第2接着剤60は、例えば、第1温度よりも低い第2温度以上で溶解する、熱可塑性や熱硬化性を有する接着剤が用いられ、例えば、上記した当該分野において公知の種々の接着材料を含む接着剤や、熱可塑性を有するレジスト、硬化後に熱可塑性を有するレジスト等が使用される。第2接着剤60は、第1接着剤50と異なる接着剤であってもよいし、同じ接着剤であってもよい。
【0024】
図3は、実施形態に係る基板貼り付け装置5の一例を示す図である。図1及び図2に示すように、基板貼り付け装置5は、貼り付け部10と、加熱部20(20A)と、制御部30とを備える。なお、基板貼り付け装置5は、例えば、大気下で動作を行う大気開放型であってもよいし、貼り付け部10及び加熱部20を収納するチャンバを有してもよい。基板貼り付け装置5がチャンバを有する場合、チャンバ内を真空ポンプ等により真空雰囲気(減圧雰囲気)とする形態であってもよいし、チャンバ内に所定ガス(例えば不活性ガス等)を供給して所定ガス雰囲気とする形態であってもよい。
【0025】
貼り付け部10は、第1プレート11と、第2プレート12と、昇降駆動部13とを備える。第1プレート11は、基板貼り付け装置5内に搬入された積層体200が載置される。なお、第1プレート11は、搬送装置2との間で積層体200を受け渡すためのリフトピンを備えていてもよい。このリフトピンは、上端で積層体200を支持し、積層体200の受け渡し時において上昇し、積層体200の押圧時においては第1プレート11に没入するように昇降可能であってもよい。第1プレート11は、平面視において積層体200より大きい外径寸法の円形状である。ただし、第1プレート11が円形状であることに限定されず、例えば、矩形状(正方形状、長方形状)、楕円形状、長円形状等であってもよい。
【0026】
第1プレート11は、支持プレート11aと、ベースプレート11bとを有する。支持プレート11aとベースプレート11bとの間には、加熱部20が設けられている。第1プレート11は、支持プレート11aの下面側に設けられた支柱14により支持されている。支持プレート11aは、例えば、金属、樹脂、セラミックス等の材質により形成された板状体である。支柱14は、支持プレート11aの下面側に複数本配置され、基板貼り付け装置5のベースB上に高い剛性で支持プレート11aを支持する。複数の支柱14は、例えば、支持プレート11aの下面中央部分と、中央部分を囲む複数カ所に配置され、支持プレート11aが受ける押圧力をバランスよく分散して受け止める。
【0027】
ベースプレート11bは、上面に積層体200が載置される。ベースプレート11bの上面は、積層体200との接触面となる。従って、ベースプレート11bの上面は、平面度が高くかつ面粗さが小さい(又は鏡面である)ことが好ましい。ベースプレート11bは、例えば、セラミックスで板状に形成されるセラミックプレートが用いられる。ただし、ベースプレート11bは、セラミックプレートに限定されず、金属製又は樹脂製のプレートであってもよい。なお、加熱部20については、第2プレート12の加熱部20Aとともに後述する。
【0028】
第2プレート12は、第1プレート11の直上に配置される。第2プレート12は、平面視において積層体200より大きい外径寸法の円形状である。ただし、第2プレート12が円形状であることに限定されず、例えば、矩形状(正方形状、長方形状)、楕円形状、長円形状等であってもよい。また、第2プレート12は、第1プレート11と同一形状であることに限定されず、例えば、第1プレート11より外径寸法を大きくするなど、第1プレート11の形状と異なってもよい。
【0029】
第2プレート12は、支持プレート12aと、ベースプレート12bとを有する。支持プレート12aとベースプレート12bとの間には、加熱部20Aが設けられてもよい。第2プレート12は、支持プレート12aの上面側に設けられた昇降軸13aにより吊り下げられた状態で支持されている。昇降軸13aは、昇降駆動部13を駆動することにより昇降する。第2プレート12は、昇降軸13aが昇降することにより昇降軸13aとともに昇降する。
【0030】
なお、図3に示す例では1本の昇降軸13aが支持プレート12aの上面の中央部分に設けられているが、この形態に限定されない。複数本の昇降軸13aが支持プレート12aの上面側に設けられてもよい。この場合、複数本の昇降軸13aは、支持プレート12aの上面の中央部分と、中央部分を囲む複数カ所に設けられ、第2プレート12に対してバランスよく押圧力を付与する形態であってもよい。また、複数本の昇降軸13aが設けられる場合、複数本の昇降軸13aに対して個別に昇降駆動部13が設けられる形態であってもよいし、1つの昇降駆動部13により複数本の昇降軸13aをまとめて昇降させる形態であってもよい。
【0031】
支持プレート12aは、例えば、金属、樹脂、セラミックス等の材質により形成された板状体である。ベースプレート12bは、第2プレート12の下降時において下面が積層体200と接触する。ベースプレート12bの下面は平面であってもよいし、下面中央部分から外周縁にわたって傾斜する凸形状としてもよい。ベースプレート12bは、例えば、セラミックスで板状に形成されるセラミックプレートが用いられる。ただし、ベースプレート12bは、セラミックプレートに限定されず、金属製又は樹脂製のプレートであってもよい。
【0032】
第2プレート12は、昇降駆動部13に下降することで、第1プレート11に載置された積層体200を下方に向けて押圧する。積層体200に対する押圧力は予め設定されており、制御部30は、昇降駆動部13に対して予め設定した押圧力で積層体200を押圧するように制御する。積層体200は、所定の押圧力により第1プレート11と第2プレート12との間に挟み込まれることで、後述する加熱部20、20Aによる温度条件下で半導体ウエハWと第1支持体100とが(又は半導体ウエハWと第2支持体110と)が貼り合わせられる。
【0033】
加熱部20、20Aは、積層体200を加熱する。加熱部20、20Aは、例えば、内部に電熱線等の加熱機構(熱源)を有するホットプレートである。図2に示す例では、加熱部20が第1プレート11に設けられ、加熱部20Aが第2プレート12に設けられている。ただし、この形態に限定されず、加熱部20、20Aのいずれか一方が設けられない形態であってもよい。加熱部20、20Aは、第1プレート11及び第2プレート12によって挟み込まれている状態の第1積層体200Aを第1温度で加熱する。この構成により、第1積層体200Aにおいて、第1接着剤50が第1温度の熱によって溶融することで、半導体ウエハWの第1面Saと第1支持体100の接着面100aとが接着される。例えば、第1温度は、160℃以上が好ましく、175℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。第1接着剤50としては、例えば、熱可塑性の炭化水素系樹脂を含むレジストが用いられる。
【0034】
また、加熱部20は、第1プレート11及び第2プレート12によって挟み込まれている状態の第2積層体200Bを第2温度で加熱する。この構成により、第2積層体200Bにおいて、第2接着剤60が第2温度の熱によって溶融することで、半導体ウエハWの第2面Sbと第2支持体110の接着面110aとが接着される。ここで、第2温度は、第1温度よりも低い。従って、第2積層体200Bを第2温度で加熱しても、第1温度に達していないので第1接着剤50は溶融しない。第2温度は、一例として、40℃から150℃である。第2接着剤60としては、例えば、硬化後に熱可塑性を有するエポキシ系樹脂を含むレジストが用いられる。
【0035】
制御部30は、昇降駆動部13及び加熱部20、20Aの動作を制御する。制御部30は、加熱部20、20Aによる加熱温度、すなわち積層体200を加熱する温度を制御する。例えば、制御部30は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサ及び不揮発性又は揮発性の半導体メモリ(例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory))を備えてもよい。例えば、制御部30は、MCUなどのマイクロコントローラであってもよい。また、制御部30は、基板処理システム1の制御装置Cの一部として構成される形態であってもよい。
【0036】
<基板貼り付け方法>
次に、実施形態に係る基板貼り付け方法について説明する。図4は、実施形態に係る基板貼り合わせ方法の一例を示すフローチャートである。図5は、図4に続いて、実施形態に係る基板貼り合わせ方法の一例を示すフローチャートである。図4及び図5に示す基板貼り合わせ方法は、例えば、制御部30又は基板処理システム1の制御装置Cからの指示により実行される。図6から図8は、基板貼り付け装置5の動作の一例を示す図である。なお、図6から図8では、各部の動きが分かり易くなるように、一部の記載を簡略化している。
【0037】
まず、図4に示すように、半導体ウエハWと第1支持体100とを重ね合わせて第1積層体200Aが形成される(ステップS01)。ステップS01は、重ね合わせ装置4により行われる。ステップS01に先立って、半導体ウエハWの第1面Sa、及び第1支持体100の接着面100aの一方又は双方に、例えば塗布装置により第1接着剤50が塗布される。第1接着剤50は、半導体ウエハWの第1面Sa、又は第1支持体100の接着面100aの全面に塗布されるが、第1面Sa又は接着面100aに周期的又は離散的に塗布される形態であってもよい。第1接着剤50が塗布された後、半導体ウエハW及び第1支持体100は、搬送装置2によりそれぞれ重ね合わせ装置4に搬入される。
【0038】
重ね合わせ装置4は、半導体ウエハWの第1面Saと第1支持体100の接着面100aとを第1接着剤50を介して上下方向に重ね合わせることで第1積層体200Aを形成する。例えば、重ね合わせ装置4は、先に搬入された第1支持体100をアライメントし、アライメントした第1支持体100を上昇させて保持する。この際、第1支持体100は、接着面100aが下向きとなるように保持される。次に、搬送装置2によって重ね合わせ装置4に半導体ウエハWが搬入される。このとき、半導体ウエハWの第1面Saが上向きとなるように重ね合わせ装置4に搬入される。
【0039】
重ね合わせ装置4は、搬入された半導体ウエハWをアライメントする。半導体ウエハWをアライメントした後、重ね合わせ装置4は、第1支持体100を下降させ、又は半導体ウエハWを上昇させて半導体ウエハWの第1面Saと第1支持体100の接着面100aとを第1接着剤50を介して上下方向に重ね合わせることで第1積層体200Aを形成する。第1積層体200Aが形成されると、第1積層体200Aは、搬送装置2によって基板貼り付け装置5に搬入される(ステップS02)。
【0040】
図6は、基板貼り付け装置5に第1積層体200Aを搬入する状態を示す図である。ステップS02において、搬送装置2は、図6に示すように、例えば、第1積層体200Aの上面又は下面を吸着した状態で搬送し、第1積層体200Aを基板貼り付け装置5の内部に進入させる。続いて、搬送装置2は、第1積層体200Aを第1プレート11に載置する。搬送装置2は、第1積層体200Aを下降させて、第1プレート11のベースプレート11b上に載置する。なお、第1プレート11がリフトピンを備える場合は、搬送装置2は、リフトピンの上端に第1積層体200Aを渡す。続いて、リフトピンが下降することにより、第1積層体200Aがベースプレート11b上に載置される。
【0041】
続いて、第1積層体200Aは、第1温度に加熱される(ステップS03)。ステップS03において、制御部30は、加熱部20、20Aを駆動して第1積層体200Aを第1温度に加熱する。第1温度は、第1接着剤50に応じて設定される。例えば、制御部30に備える不図示の記憶部には、第1接着剤50と第1温度とが対応付けられて記憶されている。制御部30は、使用されている第1接着剤50の情報を取得し、その第1接着剤50の第1温度を記憶部から取得する。制御部30は、取得した第1温度となるように、不図示の温度センサから出力された値に基づいて加熱部20、20Aを制御する。なお、ステップS03よりも前に、加熱部20、20Aにより例えば第1温度まで第1プレート11及び第2プレート12を加熱する予備加熱を行ってもよい。
【0042】
続いて、半導体ウエハWと第1支持体100とが貼り付けられる(ステップS04)。図7は、第1積層体200Aを第1プレート11及び第2プレート12で挟んだ状態を示す図である。ステップS04において、基板貼り付け装置5は、図7に示すように、第1温度で半導体ウエハWの第1面Saと、第1支持体100の接着面100aとを貼り付ける。ステップS04において、制御部30は、昇降駆動部13を駆動させて昇降軸13aとともに第2プレート12を下降させ、第1プレート11上の第1積層体200Aを所定の押圧力で下方に向けて押圧する。
【0043】
すなわち、第1積層体200Aは、第1プレート11のベースプレート11bと、第2プレート12のベースプレート12bとの間において、所定の押圧力で挟み込まれる。このとき、第1積層体200Aは、加熱部20、20Aによって第1温度に加熱される。その結果、第1支持体100及び半導体ウエハWを介して第1接着剤50が第1温度に加熱されて溶融し、かつ、第2プレート12による押圧によって半導体ウエハWと第1支持体100とが貼り付けられる。なお、第2プレート12により押圧する時間は、第1接着剤50又は第1温度に応じて予め設定されている。制御部30は、不図示のタイマ等によって予め設定した時間を経過したか否かを判断する。
【0044】
続いて、第1積層体200Aは、搬送装置2によって基板貼り付け装置5から搬出される(ステップS05)。ステップS05において、搬送装置2は、第1積層体200Aの上面又は下面を吸着した状態で第1積層体200Aを第1プレート11から持ち上げた後、基板貼り付け装置5から搬出する。続いて、第1積層体200Aは、搬送装置2により研削装置3に搬送される。
【0045】
研削装置3により第1積層体200Aの半導体ウエハWが研削される(ステップS06)。ステップS06において、研削装置3は、第1積層体200Aのうち半導体ウエハWの第2面Sbを研削して、半導体ウエハWを薄くする。研削装置3は、例えば、軸部と、回転ヘッドと、研削パッドと、を備える。軸部は、不図示の駆動部により鉛直方向と平行な回転軸の軸まわりに回転可能である。回転ヘッドは、軸部の下端に設けられ、軸部とともに回転する。研削パッドは、回転ヘッドの下面に、取り外し可能に装着される。
【0046】
第1積層体200Aは、半導体ウエハWの第2面Sbを研削パッドに対向させた状態で配置されている。研削装置3は、回転ヘッドに装着された研削パッドを回転軸の軸まわりに回転させつつ、第1積層体200Aに対して水平方向に相対的に移動させながら、徐々に研削パッドを下降させる。第1積層体200Aの半導体ウエハWは、研削パッドにより研削され、所望の厚さに形成される。このとき、半導体ウエハWは、第1接着剤50により第1支持体100に貼り付けられているため、研削時において割れ等が抑制される。なお、半導体ウエハWの研削量は、研削パッドの降下量によって設定される。
【0047】
続いて、研削装置3による半導体ウエハWの研削が完了すると、搬送装置2は、研削後の第1積層体200Aを研削装置3から搬出し、重ね合わせ装置4に搬入する。また、搬送装置2は、重ね合わせ装置4に第2支持体110を搬入する。続いて、第1積層体200Aの半導体ウエハWと第2支持体110とを重ね合わせて第2積層体200Bを形成する(ステップS07)。ステップS07は、重ね合わせ装置4により行われる。ステップS07に先立って、半導体ウエハWの第2面Sb、及び第2支持体110の接着面110aの一方又は双方に、塗布装置を用いて第2接着剤60が塗布される。第2接着剤60は、半導体ウエハWの第2面Sb、又は第2支持体110の接着面110aに周期的又は離散的に塗布されるが、第2面Sb又は接着面110aの全面に塗布される形態であってもよい。第2接着剤60が塗布された後、第1積層体200A及び第2支持体110は、搬送装置2によりそれぞれ重ね合わせ装置4に搬入される。
【0048】
重ね合わせ装置4は、半導体ウエハWの第2面Sbと第2支持体110の接着面110aとを第2接着剤60を介して上下方向に重ね合わせることで第2積層体200Bを形成する。例えば、重ね合わせ装置4は、先に搬入された第2支持体110をアライメントし、アライメントした第2支持体110を上昇させて保持する。この際、第2支持体110は、接着面110aが下向きとなるように保持される。次に、搬送装置2によって重ね合わせ装置4に第1積層体200Aが搬入される。このとき、第1積層体200Aの半導体ウエハWにおける第2面Sbが上向きとなるように重ね合わせ装置4に搬入される。
【0049】
重ね合わせ装置4は、搬入された第1積層体200Aをアライメントする。第1積層体200Aをアライメントした後、重ね合わせ装置4は、第1支持体100を下降させ、又は第1積層体200Aを上昇させて半導体ウエハWの第2面Sbと第2支持体110の接着面110aとを第2接着剤60を介して上下方向に重ね合わせることで第2積層体200Bを形成する。第2積層体200Bが形成されると、第2積層体200Bは、搬送装置2によって基板貼り付け装置5に搬入される(ステップS08)。
【0050】
ステップS08において、搬送装置2は、第2積層体200Bの上面又は下面を吸着した状態で搬送し、第2積層体200Bを基板貼り付け装置5の内部に進入させる。続いて、搬送装置2は、第2積層体200Bを下降させて、第1プレート11のベースプレート11b上に載置する。
【0051】
なお、第1プレート11がリフトピンを備える場合は、搬送装置2は、リフトピンの上端に第2積層体200Bを渡す。続いて、リフトピンが下降することにより、第2積層体200Bがベースプレート11b上に載置される。なお、上記では、第2積層体200Bが第2支持体110を上側として第1プレート11に載置されているが、第1支持体100を上側として第1プレート11に載置されてもよい。
【0052】
続いて、第2積層体200Bは、第2温度に加熱される(ステップS09)。ステップS09において、制御部30は、加熱部20、20Aを駆動して第1積層体200Aを第1温度より低い第2温度に加熱する。第2温度は、第2接着剤60に応じて設定される。例えば、制御部30に備える不図示の記憶部には、第2接着剤60と第2温度とが対応付けられて記憶されている。制御部30は、使用されている第2接着剤60の情報を取得し、その第2接着剤60の第2温度を記憶部から取得する。制御部30は、取得した第2温度となるように、不図示の温度センサから出力された値に基づいて加熱部20、20Aを制御する。なお、ステップS09よりも前に、加熱部20、20Aにより、例えば第2温度まで第1プレート11及び第2プレート12を加熱する予備加熱を行ってもよい。
【0053】
続いて、半導体ウエハWと第2支持体110とが貼り付けられる(ステップS10)。図8は、第2積層体200Bを第1プレート11及び第2プレート12で挟んだ状態を示す図である。ステップS12において、基板貼り付け装置5は、図8に示すように、第2温度で半導体ウエハWの第2面Sbと、第2支持体110の接着面110aとを貼り付ける。ステップS10において、制御部30は、昇降駆動部13を駆動させて昇降軸13aとともに第2プレート12を下降させ、第1プレート11上の第2積層体200Bを所定の押圧力で下方に向けて押圧する。
【0054】
すなわち、第2積層体200Bは、第1プレート11のベースプレート11bと、第2プレート12のベースプレート12bとの間において、所定の押圧力で挟み込まれる。このとき、第2積層体200Bは、加熱部20、20Aによって第2温度に加熱される。その結果、第1支持体100、第2支持体110、及び半導体ウエハWを介して第2接着剤60が第2温度に加熱されて溶融し、かつ、第2プレート12による押圧によって半導体ウエハWと第2支持体110とが貼り付けられる。また、第2温度が第1温度より低いことから、第2温度に加熱されても第1接着剤50が軟化又は溶融しない。従って、第1接着剤50は、半導体ウエハWと第1支持体100との間の接着力を維持することができる。なお、第2プレート12により押圧する時間は、第2接着剤60又は第2温度に応じて予め設定されている。制御部30は、不図示のタイマ等によって予め設定した時間を経過したか否かを判断する。なお、第2接着剤60と第1接着剤50とが同じ接着剤である場合、半導体ウエハWと第1支持体100とを貼り付ける際の第1温度より低い第2温度で半導体ウエハWと第2支持体110とが貼り付けられる。その結果、上記と同様に、第1接着剤50の軟化又は溶融が抑制され、半導体ウエハWに対する第1支持体100の貼り付け不良を抑えることができる。
【0055】
続いて、図5に示すように、第2積層体200Bは、搬送装置2によって基板貼り付け装置5から搬出される(ステップS11)。ステップS11において、搬送装置2は、第2積層体200Bの上面又は下面を吸着した状態で第2積層体200Bを第1プレート11から持ち上げた後、基板貼り付け装置5から搬出する。
【0056】
続いて、ステップS11の後、第1剥離工程として、第2積層体200Bに対して光照射又は特定溶剤への浸漬等により第1接着剤50の接着性を低下させ、又は第1接着剤50を溶解し、第2積層体200Bから第1支持体100が剥離される(ステップS12)。ステップS12の第1剥離工程は、例えば、光照射装置、浸漬装置、剥離装置などにより行われる。なお、ステップS12の後、例えば、半導体ウエハWをチップごとに切断するダイシング工程が行われる。このダイシング工程は、例えば、ダイシング装置により行われる。続いて、第1剥離工程の後、第2剥離工程として、物理的に半導体ウエハW(チップ)を第2支持体110から引き剥がすことで、半導体ウエハW(チップ)から第2支持体110が剥離される(ステップS13)。ステップS13の第2剥離工程は、例えば、ピッキング装置などにより、半導体ウエハW(チップ)を第2支持体110から物理的に引き剥がすことにより行われる。つまり、第2支持体110が半導体ウエハWから物理的に引き剥がされる。なお、第2支持体110と半導体ウエハWとの接着力が低いことから、半導体ウエハW(チップ)に第2接着剤60の残渣が生じるのを抑制できる。半導体ウエハW(チップ)が第2支持体110から物理的に引き剥がされることで、一連の処理が終了する。
【0057】
比較例として、第2支持体110を半導体ウエハWの第2面Sbに貼り付ける際に、加熱温度を第1温度に相当する160℃以上とした場合、第2支持体110と半導体ウエハWとが強固に張り付き、上記した第2剥離工程において、第2接着剤60の残渣が半導体ウエハWに生じる場合がある。本実施形態では、40℃から150℃の間の範囲の低い第2温度で半導体ウエハWと第2支持体110との貼り付けを行っている。従って、上記した比較例に対して、第2支持体110と半導体ウエハWとの接着力が低く、強固に張り付くことを抑制している。その結果、上記したステップS13の第2剥離工程において、半導体ウエハWに第2接着剤60の残渣が生じるのを抑制できる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、半導体ウエハWの第1面Saに第1接着剤50を介して第1支持体100を貼り付けた際の第1温度よりも低い第2温度で半導体ウエハWの第2面Sbに第2接着剤60を介して第2支持体110を貼り付けるので、第2面Sbへの第2支持体110の貼り付け時に第1接着剤50が軟化するのを防止し、第1支持体100の貼り付け不良が発生するのを抑制することができる。
【0059】
<変形例>
変形例に係る基板貼り付け装置5A及び基板処理システム1Aについて説明する。図9は、変形例に係る基板貼り付け装置5A及び基板処理システム1Aの一例を示す図である。上記した実施形態では、基板処理システム1として、重ね合わせ装置4と基板貼り付け装置5とが個別の装置として含まれる形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。重ね合わせ装置4の機能と、基板貼り付け装置5の機能とが1つの装置として実現される形態であってもよい。なお、図9において上記した実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
【0060】
図9に示すように、基板処理システム1Aは、搬送装置2と、研削装置(研磨装置)3と、基板貼り付け装置5Aと、制御装置Cと、を備える。基板貼り付け装置5Aは、貼り付け部10と、加熱部20(20A)と、制御部30と、重ね合わせ部40と、を備える。すなわち、基板貼り付け装置5Aは、上記した基板処理システム1の重ね合わせ装置4と同様の機能を有する重ね合わせ部40を備えている。
【0061】
重ね合わせ部40は、例えば、先に基板貼り付け装置5Aに搬入された第1支持体100を第1プレート11と第2プレート12との間の空間において支持し、続いて搬入された半導体ウエハWをリフトピンで上昇させることで、半導体ウエハWと第1支持体100とを重ね合わせて第1積層体200Aを形成させる。その後、リフトピンを下降させて第1プレート11に第1積層体200Aを載置した後に、第2プレート12を下降させて、第1温度で半導体ウエハWと第1支持体100とを貼り合わせる。
【0062】
また、重ね合わせ部40は、例えば、先に基板貼り付け装置5Aに搬入された第2支持体110を第1プレート11と第2プレート12との間の空間において支持し、続いて搬入された第1積層体200Aをリフトピンで上昇させることで、第1積層体200Aの半導体ウエハWと第2支持体110とを重ね合わせて第2積層体200Bを形成させる。その後、リフトピンを下降させて第1プレート11に第2積層体200Bを載置した後に、第2プレート12を下降させて、第2温度で半導体ウエハWと第2支持体110とを貼り合わせる。
【0063】
このように、本変形例においても上記した実施形態と同様に、第1温度よりも低い第2温度で半導体ウエハWの第2面Sbに第2接着剤60を介して第2支持体110を貼り付けるので、第2面Sbへの第2支持体110の貼り付け時に第1接着剤50が軟化するのを防止できる。また、本変形例に係る基板処理システム1Aは、基板貼り付け装置5Aが重ね合わせ部40を備えており、上記した実施形態の重ね合わせ装置4が不要となるので、基板処理システム1Aの占有空間を縮小することができる。
【0064】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び変形例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記した実施形態及び変形例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態及び変形例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態及び変形例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、上記した実施形態及び変形例において示した各動作の実行順序は、前の動作の結果を後の動作で用いない限り、任意の順序で実行可能である。また、上記した実施形態及び変形例における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0065】
1、1A・・・基板処理システム
3・・・研削装置
5、5A・・・基板貼り付け装置
10・・・貼り付け部
11・・・第1プレート
12・・・第2プレート
20、20A・・・加熱部
50・・・第1接着剤
60・・・第2接着剤
100・・・第1支持体
100a・・・接着面
110・・・第2支持体
110a・・・接着面
W・・・半導体ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9