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特開2024-13932ウレタン樹脂組成物、硬化物、ロール、及び、ベルト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013932
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂組成物、硬化物、ロール、及び、ベルト
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/10 20060101AFI20240125BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C08G18/10
C08G18/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116380
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】小田 善之
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA03
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DG01
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB06
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA32
4J034JA38
4J034JA42
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB15
4J034QB17
4J034RA09
4J034RA11
4J034RA12
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、ウレタンプレポリマー(A)が低粘度性を有し、優れた耐久性を有するウレタン樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、主剤(i)、及び、硬化剤(ii)を含み、前記主剤(i)が、ウレタンプレポリマー(A)を含むものであり、前記ウレタンプレポリマー(A)が、非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)を含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物であり、イソシアネート基を有するものであることを特徴とするウレタン樹脂組成物を提供するものである。前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)は、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、又は、1,5-ペンタンジオールを原料とするものが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤(i)、及び、硬化剤(ii)を含み、
前記主剤(i)が、ウレタンプレポリマー(A)を含むものであり、
前記ウレタンプレポリマー(A)が、非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)を含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物であり、イソシアネート基を有するものであることを特徴とするウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)のカーボネート結合濃度が7.2mol/kg以下である請求項1記載のウレタン樹脂組成物
【請求項3】
前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)が、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、又は、1,5-ペンタンジオールを原料とするものである請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリオール(a)中における前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)の含有量が、80質量%以上である請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
前記硬化剤(ii)が、水酸基を2個以上有する化合物である請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1記載のウレタン樹脂組成物により形成されたことを特徴とする硬化物。
【請求項7】
請求項6記載の硬化物を有することを特徴とするロール。
【請求項8】
請求項6記載の硬化物を有することを特徴とするベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン樹脂組成物、硬化物、ロール、及び、ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂は、適度な柔軟性を有することから、製紙ロール、鉄鋼ロール、印刷ロール、カレンダーロール等の工業用ロールや工業用ベルトの分野で広く用いられている。こうした用途に用いられるウレタン樹脂としては、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、ジアミン又はジオールからなる硬化剤との重合体であるウレタン樹脂などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの用途ではより一層の耐久性が求められているものの、未だ見出されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-187890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ウレタンプレポリマー(A)が低粘度性を有し、優れた耐久性を有するウレタン樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、主剤(i)、及び、硬化剤(ii)を含み、前記主剤(i)が、ウレタンプレポリマー(A)を含むものであり、前記ウレタンプレポリマー(A)が、非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)を含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物であり、イソシアネート基を有するものであることを特徴とするウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、前記ウレタン樹脂組成物により形成されたことを特徴とする硬化物、更に、前記硬化物を有することを特徴とするロール、及び、ベルトを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のウレタン樹脂組成物は、ウレタンプレポリマー(A)が低粘度性を有し、かつ、優れた耐久性(特に、耐湿熱性、及び、耐屈曲性)を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のウレタン樹脂組成物は、主剤(i)及び硬化剤(ii)を含むものである。
【0009】
前記主剤(i)は、特定の組成を有するウレタンプレポリマー(A)を含むものである。前記ウレタンプレポリマー(A)は、低粘度性を有し、かつ、優れた耐久性を得るうえで、非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)を含むポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物であり、イソシアネート基を有するものであることが必須である。特に、前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)を用いることにより、前記ウレタンプレポリマー(A)の粘度を低くすることができるため、他のポリオールを多く併用して粘度を調整する必要がなくなるため、結果としてカーボネート構造の含有量が多く足るため、優れた耐久性を発現することができる。
【0010】
上記観点で、前記ウレタンプレポリマー(A)が有するカーボネート構造[O-CO-O]の含有量としては、前記ウレタンプレポリマー(A)中において3~5mol/kgが好ましく、3.5~4.5mol/kgがより好ましい。なお、前記ウレタンプレポリマー(A)が有するカーボネート構造の含有量は、前記ウレタンプレポリマー(A)を構成する原料の合計質量に対する前記カーボネート構造のモル数を示す。
【0011】
前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)としては、例えば、2個以上の水酸基を有する化合物と炭酸エステル及び/又はホスゲンとの反応物を用いることができる。
【0012】
なお、本発明において、前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)の「非晶性」とは、JISK7121:2012に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、100℃から-100℃に冷却した際に凝固点(発熱)ピークを確認できないものを示す。
【0013】
前記2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-、1,3-又は2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,7-ヘプタンジオール、3-メチル-1,7-ヘプタンジオール、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,8-オクタンジオール及び4-メチルオクタンジオール、[1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジオキサン、2,7-ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、1,4-ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン及びビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記した中でも、より一層優れた低粘度性、及び、耐久性が得られる点から、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、又は、1,5-ペンタンジオールが好ましく、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、又は、1,5-ペンタンジオールと、炭素原子数が4~8のグリコールとを併用することがより好ましく、前記炭素原子数が4~8のグリコールとしては、炭素原子数が5~7のグリコールであることがより好ましい。
【0015】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量としては、より一層優れた低粘度性、及び、耐久性が得られる点から、500~4,000が好ましく、700~3,000がより好ましい。なお、前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0017】
前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)のカーボネート結合濃度としては、より一層優れた低粘度性、及び、耐久性が得られる点から、7.2mol/kg以下が好ましく、6.2~7.0mol/kgがより好ましい。
【0018】
前記ポリオール(a)中における前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)の含有量としては、より一層優れた低粘度性、及び、耐久性が得られる点から、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
【0019】
前記ポリオール(a)としては、前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)以外にも、その他のポリオールを併用してもよい。前記その他のポリオールとしては、例えば、前記非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)以外のポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記ポリイソシアネート(b)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式構造を有するポリイソシアネート;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらの中でも、より一層優れた機械強度や耐久性が得られる点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
【0021】
前記ポリイソシアネート(b)が有するイソシアネート基と、前記ポリオール(a)が有する水酸基及び前記活性水素原子を有する基(「活性水素原子含有基」)の合計との当量比(NCO/活性水素原子含有基)は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上であり、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.0以下、特に好ましくは5.0以下である。
【0022】
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基当量は、好ましくは200g/eq.以上、より好ましくは250g/eq.以上であり、好ましくは1,000g/eq.以下、より好ましくは500g/eq.以下である。なお、前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基当量(NCO当量)は、JIS K 7301:2003に規定の方法に準拠して、試料を乾燥トルエンに溶解し、過剰のジ-n-ブチルアミン溶液を加えて反応させ、残存するジ-n-ブチルアミンを塩酸標準溶液で逆滴定して求めた値を表す。
【0023】
前記ウレタンプレポリマー(A)の粘度(80℃)は、好ましくは3,000mPa・s以下、より好ましくは2,500mPa・s以下であり、例えば200mPa・s以上、さらには300mPa・s以上であってもよい。なお、前記ウレタンプレポリマー(A)の粘度(80℃)は、温度80℃において、B型粘度計を用いて測定することができる。
【0024】
前記硬化剤(ii)は、前記主剤(i)が有するイソシアネート基と反応する活性水素原子を含有する基([NH]基及び/又は[OH]基)を有する化合物を含有することが好ましい。前記活性水素原子を含有する基を有する化合物としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族又は脂環式アミン化合物;フェニレンジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ポリアミノクロロフェニルメタン化合物等の芳香族アミン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等の水酸基を2個以上有する化合物;前記芳香族アミン化合物の多量体(好ましくは2~4量体);及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。これらの中でも、より一層優れた機械物性や耐久性が得られる点から、水酸基を2個以上有する化合物が好ましく、特に1,4-ブタンジオールが好ましい。
【0025】
前記硬化剤(ii)に含まれるイソシアネート基と反応しうる基の合計モル数と、前記主剤(i)に含まれるイソシアネート基の合計モル数との比([前記硬化剤(ii)に含まれるイソシアネート基と反応しうる基の合計モル数]/[前記主剤(i)に含まれるイソシアネート基の合計モル数]=R値。以下、「R値」という。)は、好ましくは0.7~1.1、より好ましくは0.8~1.0であり、さら好ましくは、0.95~1.00であり、最も好ましくは0.95である。
【0026】
本発明で使用するウレタン樹脂組成物は、前記ウレタンプレポリマー(A)を含む前記主剤(i)、及び、前記硬化剤(ii)を必須成分として含むものであり、必要に応じて、その他添加剤も含んでもよい。前記その他添加剤は、主剤(I)、硬化剤(II)のいずれに含まれていてもよい。
【0027】
前記その他添加剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、触媒、可塑剤、酸化防止剤、脱泡剤、消泡剤、紫外線吸収剤、反応調節剤、補強剤、充填剤、着色剤(染料または顔料)、離型剤、安定剤、光安定剤、電気絶縁性向上剤、帯電防止剤、防かび剤、有機酸の金属塩、ワックス(アミド系他)、金属酸化物、金属水酸化物などの増量剤等を用いることができる。
【0028】
以上、本発明のウレタン樹脂成形物は、ウレタンプレポリマー(A)が低粘度性を有し、優れた耐久性を有するため、例えば、自動車部品、家電部品、包装材、皮革様シート、印刷ロール、コーターロール等の工業用ロール、印刷用スキージ、ドクターブレード、工業用ベルトなどの用途に好適に使用できる。これらの中でも、工業用ベルト、工業用ロールの弾性部材として特に好適に使用できる。
【実施例0029】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0030】
(調製例1:ウレタンプレポリマー(A-1)の調製)
窒素導入菅、温度計、撹拌機を備えた四つ口フラスコに、ポリイソシアネートとして、4,4’-ジフェニルジイソシアネート(MDI)を351質量部、非晶性ポリカーボネートポリオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオール(90質量%)と1,6-ヘキサンジオール(10質量%)をグリコール原料とするポリカーボネート(PC)ポリオール(A)、数平均分子量;2,000)649質量部を分割で投入し、攪拌した。発熱に注意しながら内温を80℃に上昇させた後、温度を保ちながら2時間攪拌した。イソシアネート当量が467、80℃における粘度が1,920mPa・sである末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A-1)を得た。
【0031】
(調製例2~3、及び比較調整例1~7)
表2~3に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にして、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A-2)~(A-3)、(AR-1)~(AR-7)を得た。なお、用いるポリカーボネートポリオールの種類については、表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
なお、表2~3中の略語は以下のものである。
・「PEポリオール(A)」;1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、アジピン酸、及び、アゼライン酸を原料とするポリエステルポリオール、数平均分子量:2000
・「PEポリオール(B)」;ポリラクトンからなるポリエステルポリオール、数平均分子量;2000
・「c-MDI」;クルードMDI、東ソー株式会社製「MR-200」
【0036】
[数平均分子量の測定方法]
実施例および比較例において用いたポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0037】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0038】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0039】
[実施例1]
調製例1で得られたウレタンプレポリマー(A-1)を80℃に温調し、主剤(i)液とした。次に、1,4-ブタンジオール(以下、「14BG」と略記する。)を硬化剤(ii)液とした。前記主剤(i)200質量部に対して、前記硬化剤(ii)をR値が0.95となる様計算した38.5質量部を配合することにより、ウレタン樹脂組成物を得た。
<成形条件>
・離型処理した2mm間隔のガラス板及び離型処理した3mm間隔のガラス板及び離型処理したφ29.0×12.5mm円柱金型
・樹脂温度:主剤/硬化剤=80℃/40℃
・キュア:110℃×16時間
【0040】
[実施例2~3、比較例1~7]
用いるウレタンプレポリマー(A-1)の種類を表4~5(表4~5中の主剤(i)及び硬化剤(ii)の数字は質量部を示す。)に示す通り変更した以外は、実施例1と同様にしてウレタン樹脂組成物を得た。
【0041】
[ウレタンプレポリマー(A)の低粘度性の評価]
調整例、及び、比較調整例で得られたウレタンプレポリマーを80℃に調温した後、BM型粘度計を使用して、粘度を測定し、2,500mPa・s未満の場合は「〇」、2,500mPa・s以上の場合は「×」とした。なお、前記粘度は表2~3に示す。
【0042】
[機械強度の評価]
得られた2mm厚シートをJIS K 7312に準して測定した。
<使用試片>
硬度・反発弾性:φ29.0×12.5mm成形品
引張強度:2mm厚シートより打ち抜いた3号ダンベル試験片 切り込みなしアングル試験片
【0043】
[耐久性(耐湿熱性)の評価]
得られた2mm厚シートを3号ダンベル片に打ち抜き、80℃×95%RHに制御した恒温恒湿槽に投入し4週間処理した。ブランク試験片と湿熱処理後試験片をテンシロンにて引張強度を測定し、引張強度保持率にて以下の様に評価した。
・引張強度保持率(%)=湿熱処理後の引張強度/ブランクの引張強度×100。
◎;90%以上
〇;80~90%
△;70~80%
×;70%以下
【0044】
(2)耐屈曲性の評価
[耐屈曲性の評価]
得られた3mm厚シートを25mm巾×120mm長×3mm厚試験片を作成し振幅35mmにセットしたデマッチャ屈曲試験機を使用して、亀裂が入るまでの屈曲回数を測定し、以下のように評価した。
〇;20万回以上
△;10~20万回
×;10万回以下
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
本発明のウレタン樹脂組成物である実施例1~3は、優れた低粘度性、耐湿熱性、及び、耐屈曲性を有することがわかった。また、ウレタンプレポリマー(A)の80℃における粘度が、2,500mPa・s以下と低いことが分かった。
【0048】
一方、比較例1~3は、非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)の代わりに、結晶性ポリカーボネートポリオールを用いた態様であるが、耐屈曲性が不良であった。
【0049】
比較例4~7も、非晶性ポリカーボネートポリオール(a1)の代わりに、その他のポリカーボネートポリオールを用いた態様であるが、ウレタンプレポリマー(A)の80℃における粘度が、2,500mPa・s以上と高く、低粘度性が不良であった。