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特開2024-139325超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139325
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050212
(22)【出願日】2023-03-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】高山 英俊
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601GD04
4C601KK31
4C601LL26
(57)【要約】
【課題】1つの診断装置により複数の被検体に対して一度に適正な診断を行うことができる超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法を提供する。
【解決手段】超音波診断システムは、それぞれ超音波プローブ4と携帯端末5を有する複数の画像取得装置G1~G4と、複数の画像取得装置に無線接続された診断装置2と、診断装置側モニタ3とを含み、複数の画像取得装置G1~G4は、それぞれ、超音波プローブ4を用いて取得された超音波画像を、超音波プローブの位置情報取得モジュールにより取得された超音波プローブの位置情報に紐付けて診断装置2に無線送信し、診断装置2は、複数の被検体の超音波画像を診断装置側モニタ3の一画面上に表示し、診断装置2は、複数の被検体の超音波画像に紐付けられている複数の位置情報に対応する複数の識別マークを複数の超音波画像に対応させて診断装置側モニタ3に表示する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ超音波プローブと前記超音波プローブを用いて取得された超音波画像を表示する携帯端末を有する複数の画像取得装置と、
前記複数の画像取得装置に無線接続された診断装置と、
前記診断装置に接続された診断装置側モニタと
を備え、
前記複数の画像取得装置の前記超音波プローブは、それぞれ、前記超音波プローブの位置情報を取得する位置情報取得モジュールを含み、
前記複数の画像取得装置は、それぞれ、前記超音波プローブを用いて取得された超音波画像を、前記位置情報取得モジュールにより取得された前記超音波プローブの位置情報に紐付けて前記診断装置に無線送信し、
前記診断装置は、前記複数の画像取得装置により取得された複数の被検体の超音波画像を前記診断装置側モニタの一画面上に表示し、
前記診断装置は、前記複数の被検体の超音波画像に紐付けられている複数の前記位置情報に対応する複数の識別マークを前記複数の被検体の超音波画像に対応させて前記診断装置側モニタに表示する超音波診断システム。
【請求項2】
前記診断装置は、前記複数の識別マークを生成する識別マーク生成部を有する請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記位置情報取得モジュールは、前記診断装置に対する前記超音波プローブの方位角を前記位置情報として検知する方位角検知モジュールである請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項4】
前記識別マークは、前記位置情報として検知された方位角に基づいて前記診断装置から前記超音波プローブに向かう方向を表すマークである請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項5】
前記画像取得装置の前記超音波プローブは、複数の色の光を選択的に発する発光部を有し、
前記識別マークは、前記発光部から発せられる光の色に対応する色を有している請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項6】
前記画像取得装置の前記超音波プローブは、プローブ側マークを表示するプローブ側モニタを有し、
前記識別マークは、前記プローブ側マークに対応する形状を有している請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項7】
前記画像取得装置は、前記超音波プローブおよび前記携帯端末の少なくとも一方に具備された報知部を有し、
前記診断装置側モニタに表示された前記複数の被検体の超音波画像のうちのいずれかがユーザにより指定されると、指定された前記超音波画像に紐付けられている前記位置情報に対応する前記超音波プローブを有する前記画像取得装置の前記報知部により報知がなされる請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項8】
前記報知部は、音、振動および光の少なくとも1つを利用して報知する請求項7に記載の超音波診断システム。
【請求項9】
前記画像取得装置の前記超音波プローブが、前記診断装置に無線接続されている請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項10】
前記画像取得装置の前記携帯端末が、前記診断装置に無線接続されている請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項11】
それぞれ超音波プローブと前記超音波プローブを用いて取得された超音波画像を表示する携帯端末を有する複数の画像取得装置における前記超音波プローブの位置情報を取得し、
前記複数の画像取得装置における前記超音波プローブを用いて取得された超音波画像を、前記超音波プローブの前記位置情報に紐付けて診断装置に無線送信し、
前記複数の画像取得装置により取得された複数の被検体の超音波画像を診断装置側モニタの一画面上に表示し、
前記複数の被検体の超音波画像に紐付けられている複数の前記位置情報に対応する複数の識別マークを前記複数の被検体の超音波画像に対応させて前記診断装置側モニタに表示する
超音波診断システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの診断装置により複数の被検体に対して一度に診断を行う超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、超音波診断装置は、振動子アレイを内蔵する超音波プローブと、超音波プローブに接続される装置本体とを備えており、超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーを超音波プローブで受信し、その受信信号を電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
【0003】
また、特許文献1および2に開示されているように、超音波プローブと装置本体との間を無線通信により無線接続することにより、超音波プローブの操作性および機動性を向上させる可搬型の超音波診断装置が開発されている。超音波プローブにより取得された超音波画像は、装置本体のモニタに表示される。
このような無線型の超音波プローブは、操作性および機動性に優れていることから、例えば、緊急救助が必要となる現場等において、特に有用なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-545355号公報
【特許文献2】特開2018-014076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、個々の被検体から取得された超音波画像をモニタに表示するだけでは、例えば、災害または交通事故の発生時等において、1つの診断装置により複数の被検体に対して一度に診断を行うことが望まれる場合に、迅速に診断を進めることが困難である。
仮に、モニタの一画面上に複数の被検体からそれぞれ取得された複数の超音波画像を同時に表示したとしても、いずれの超音波画像がいずれの被検体から取得されたものかを正確に特定できなければ、誤った診断が行われるおそれがある。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたものであり、1つの診断装置により複数の被検体に対して一度に適正な診断を行うことができる超音波診断システムおよび超音波診断システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成によれば、上記目的を達成することができる。
〔1〕 それぞれ超音波プローブと超音波プローブを用いて取得された超音波画像を表示する携帯端末を有する複数の画像取得装置と、
複数の画像取得装置に無線接続された診断装置と、
診断装置に接続された診断装置側モニタと
を備え、
複数の画像取得装置の超音波プローブは、それぞれ、超音波プローブの位置情報を取得する位置情報取得モジュールを含み、
複数の画像取得装置は、それぞれ、超音波プローブを用いて取得された超音波画像を、位置情報取得モジュールにより取得された超音波プローブの位置情報に紐付けて診断装置に無線送信し、
診断装置は、複数の画像取得装置により取得された複数の被検体の超音波画像を診断装置側モニタの一画面上に表示し、
診断装置は、複数の被検体の超音波画像に紐付けられている複数の位置情報に対応する複数の識別マークを複数の被検体の超音波画像に対応させて診断装置側モニタに表示する超音波診断システム。
【0008】
〔2〕 診断装置は、複数の識別マークを生成する識別マーク生成部を有する〔1〕に記載の超音波診断システム。
〔3〕 位置情報取得モジュールは、診断装置に対する超音波プローブの方位角を位置情報として検知する方位角検知モジュールである〔1〕または〔2〕に記載の超音波診断システム。
〔4〕 識別マークは、位置情報として検知された方位角に基づいて診断装置から超音波プローブに向かう方向を表すマークである〔3〕に記載の超音波診断システム。
〔5〕 画像取得装置の超音波プローブは、複数の色の光を選択的に発する発光部を有し、識別マークは、発光部から発せられる光の色に対応する色を有している〔1〕または〔2〕に記載の超音波診断システム。
〔6〕 画像取得装置の超音波プローブは、プローブ側マークを表示するプローブ側モニタを有し、識別マークは、プローブ側マークに対応する形状を有している〔1〕または〔2〕に記載の超音波診断システム。
【0009】
〔7〕 画像取得装置は、超音波プローブおよび携帯端末の少なくとも一方に具備された報知部を有し、
診断装置側モニタに表示された複数の被検体の超音波画像のうちのいずれかがユーザにより指定されると、指定された超音波画像に紐付けられている位置情報に対応する超音波プローブを有する画像取得装置の報知部により報知がなされる〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の超音波診断システム。
〔8〕 報知部は、音、振動および光の少なくとも1つを利用して報知する〔7〕に記載の超音波診断システム。
〔9〕 画像取得装置の超音波プローブが、診断装置に無線接続されている〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の超音波診断システム。
〔10〕 画像取得装置の携帯端末が、診断装置に無線接続されている〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の超音波診断システム。
【0010】
〔11〕 それぞれ超音波プローブと超音波プローブを用いて取得された超音波画像を表示する携帯端末を有する複数の画像取得装置における超音波プローブの位置情報を取得し、
複数の画像取得装置における超音波プローブを用いて取得された超音波画像を、超音波プローブの位置情報に紐付けて診断装置に無線送信し、
複数の画像取得装置により取得された複数の被検体の超音波画像を診断装置側モニタの一画面上に表示し、
複数の被検体の超音波画像に紐付けられている複数の位置情報に対応する複数の識別マークを複数の被検体の超音波画像に対応させて診断装置側モニタに表示する
超音波診断システムの制御方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る超音波診断システムにおいては、複数の画像取得装置の超音波プローブは、それぞれ、超音波プローブの位置情報を取得する位置情報取得モジュールを含み、複数の画像取得装置は、それぞれ、超音波プローブを用いて取得された超音波画像を、位置情報取得モジュールにより取得された超音波プローブの位置情報に紐付けて診断装置に無線送信し、診断装置は、複数の画像取得装置により取得された複数の被検体の超音波画像を診断装置側モニタの一画面上に表示し、診断装置は、複数の被検体の超音波画像に紐付けられている複数の位置情報に対応する複数の識別マークを複数の被検体の超音波画像に対応させて診断装置側モニタに表示するため、1つの診断装置により複数の被検体に対して一度に適正な診断を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムのそれぞれの画像取得装置と診断装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1における送受信回路の内部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態1における画像生成部の内部構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態1における診断装置側モニタの表示画面を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態2におけるそれぞれの画像取得装置の超音波プローブの内部構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施の形態2におけるそれぞれの画像取得装置の超音波プローブの外観を示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態2における診断装置側モニタの表示画面を示す図である。
図10】本発明の実施の形態3におけるそれぞれの画像取得装置の超音波プローブの内部構成を示すブロック図である。
図11】本発明の実施の形態3におけるそれぞれの画像取得装置の超音波プローブの外観を示す斜視図である。
図12】本発明の実施の形態3における診断装置側モニタの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
【0014】
実施の形態1
図1に本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの構成を示す。超音波診断システムは、複数の画像取得装置G1~G4、診断装置2および診断装置側モニタ3を備えている。複数の画像取得装置G1~G4は、複数の被検体P1~P4に対応して被検体P1~P4の近傍に配置されており、それぞれ、超音波プローブ4と、超音波プローブ4に無線接続された携帯端末5を有している。診断装置2は、複数の画像取得装置G1~G4に無線接続され、診断装置2に診断装置側モニタ3が接続されている。
例えば、診断装置2は、医師等のユーザにより操作され、複数の画像取得装置G1~G4は、複数の超音波技師、看護師等の操作者によりそれぞれ分担して操作されることができる。
【0015】
画像取得装置G1の超音波プローブ4および携帯端末5の内部構成、並びに、診断装置2の内部構成を図2に示す。
超音波プローブ4は、振動子アレイ41を有しており、振動子アレイ41に送受信回路42、画像生成部43およびプローブ側通信回路44が、順次、接続されている。また、超音波プローブ4は、位置情報モジュール45と報知部46を有し、送受信回路42、画像生成部43、プローブ側通信回路44、位置情報モジュール45および報知部46に、プローブ制御部47が接続されている。
また、送受信回路42、画像生成部43、報知部46およびプローブ制御部47により、プローブ側プロセッサ48が構成されている。
【0016】
一方、携帯端末5は、端末側通信回路51を有しており、端末側通信回路51に表示制御部52および端末側モニタ53が、順次、接続されている。端末側通信回路51および表示制御部52に、端末制御部54が接続され、さらに、端末制御部54に入力装置55が接続されている。
表示制御部52および端末制御部54により、端末側プロセッサ56が構成されている。
【0017】
図示しないが、画像取得装置G2~G4における超音波プローブ4および携帯端末5も、図2に示される画像取得装置G1の超音波プローブ4および携帯端末5と同様の構成を有している。
【0018】
診断装置2は、診断装置側通信回路21を有しており、診断装置側通信回路21に表示制御部22および識別マーク生成部23が接続されている。診断装置側通信回路21、表示制御部22および識別マーク生成部23に、診断装置制御部24が接続され、さらに、診断装置制御部24に入力装置25が接続されている。
表示制御部22、識別マーク生成部23および診断装置制御部24により、診断装置側プロセッサ26が構成されている。
また、診断装置2の表示制御部22に、診断装置側モニタ3が接続されている。
【0019】
超音波プローブ4の振動子アレイ41は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ送受信回路42から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0020】
送受信回路42は、プローブ制御部47による制御の下で、振動子アレイ41から超音波を送信し且つ振動子アレイ41により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路42は、図3に示すように、振動子アレイ41に接続されるパルサ61と、振動子アレイ41から順次直列に接続される増幅部62、AD(Analog to Digital)変換部63およびビームフォーマ64を有している。
【0021】
パルサ61は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、プローブ制御部47からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ41の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ41の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0022】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ4の振動子アレイ41に向かって伝搬する。このように振動子アレイ41に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ41を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ41を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部62に出力する。
【0023】
増幅部62は、振動子アレイ41を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部63に送信する。AD変換部63は、増幅部62から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ64は、AD変換部63から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部63で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
【0024】
画像生成部43は、図4に示すように、信号処理部65、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)66および画像処理部67が順次直列に接続された構成を有している。
【0025】
信号処理部65は、送受信回路42から受信した音線信号に対し、プローブ制御部47により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0026】
DSC66は、信号処理部65で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部67は、DSC66から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号をプローブ側通信回路44に送出する。以降は、画像処理部67により画像処理が施されたBモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。
【0027】
位置情報モジュール45は、超音波プローブ4の位置を検知して位置情報を取得するもので、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy:低消費電力無線通信規格)5.1およびUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信規格)等の既存の技術を利用して診断装置2に対する超音波プローブ4の方位角を検知するモジュールを用いることができる。
この他、位置情報モジュール45は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)センサ、無線LAN(Local Area Network:ローカル・エリア・ネットワーク)技術を利用して超音波プローブ4の位置を検知してもよい。
【0028】
プローブ側通信回路44は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、画像生成部43により生成された超音波画像および位置情報モジュール45により取得された超音波プローブ4の位置情報に基づいてキャリアを変調して、超音波画像および超音波プローブ4の位置情報を表す伝送信号を生成し、また、携帯端末5および診断装置2から受信した伝送信号を復調する。キャリアの変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16直角位相振幅変調)等が用いられる。
プローブ側通信回路44は、このようにして生成された伝送信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、超音波画像を超音波プローブ4の位置情報に紐づけて携帯端末5の端末側通信回路51および診断装置2の診断装置側通信回路21に向けて無線送信する。
【0029】
報知部46は、画像取得装置G1における超音波プローブ4の位置情報が、診断装置2から指定された位置情報に対応する場合に、画像取得装置G1の操作者に向けて報知を行う。報知部46は、音、振動および光の少なくとも1つを利用して報知することができる。
例えば、超音波プローブ4が図示しないプローブ側モニタを有している場合に、報知部46は、プローブ側モニタにメッセージを表示することにより報知することができる。また、超音波プローブ4が図示しないスピーカを有している場合に、報知部46は、スピーカを介した音により報知することができる。また、超音波プローブ4が超音波プローブ4を振動させる図示しない振動発生装置を有している場合に、報知部46は、振動発生装置により超音波プローブ4を振動させることで、報知を行うことができる。
プローブ制御部47は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、超音波プローブ4の各部の制御を行う。
【0030】
なお、送受信回路42、画像生成部43、報知部46およびプローブ制御部47を有するプローブ側プロセッサ48は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0031】
また、プローブ側プロセッサ48の送受信回路42、画像生成部43、報知部46およびプローブ制御部47は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
なお、超音波プローブ4には、図示しないバッテリが内蔵されており、このバッテリから超音波プローブ4の各部に電力が供給される。
【0032】
携帯端末5の端末側通信回路51は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、超音波プローブ4のプローブ側通信回路44から送信された超音波画像を表す伝送信号を、アンテナを介して受信し、受信した伝送信号を、例えば、ASK、PSK、QPSK、16QAM等の方式で復調することにより超音波画像を表示制御部52に送出する。
表示制御部52は、端末制御部54の制御の下、端末側通信回路51から送出された超音波画像に対して所定の処理を施して端末側モニタ53に表示する。
【0033】
端末側モニタ53は、表示制御部52の制御の下、超音波画像を表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を有している。
端末制御部54は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、携帯端末5の各部の制御を行う。
入力装置55は、ユーザが入力操作を行うためのものであり、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、および、端末側モニタ53に重ねて配置されたタッチセンサ等の装置により構成される。
【0034】
表示制御部52および端末制御部54を有する端末側プロセッサ56は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
また、端末側プロセッサ56の表示制御部52および端末制御部54は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
なお、携帯端末5には、図示しないバッテリが内蔵されており、このバッテリから携帯端末5の各部に電力が供給される。
【0035】
診断装置2の診断装置側通信回路21は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、画像取得装置G1における超音波プローブ4のプローブ側通信回路44から送信された超音波画像および超音波プローブ4の位置情報を表す伝送信号を、アンテナを介して受信し、受信した伝送信号を、例えば、ASK、PSK、QPSK、16QAM等の方式で復調することにより超音波画像を表示制御部22に送出し且つ超音波プローブ4の位置情報を識別マーク生成部23に送出する。
同様にして、診断装置側通信回路21は、画像取得装置G2~G4におけるそれぞれの超音波プローブ4のプローブ側通信回路44から送信された超音波画像および超音波プローブ4の位置情報を表す伝送信号を、アンテナを介して受信し、受信した伝送信号を復調することにより超音波画像を表示制御部22に順次送出し且つ超音波プローブ4の位置情報を識別マーク生成部23に順次送出する。
【0036】
識別マーク生成部23は、診断装置側通信回路21から送出された画像取得装置G1における超音波プローブ4の位置情報に対応する識別マークを生成する。例えば、識別マーク生成部23は、超音波プローブ4の位置情報に基づいて、診断装置2から画像取得装置G1の超音波プローブ4に向かう方向を表すマークを識別マークとして生成することができる。
同様にして、識別マーク生成部23は、診断装置側通信回路21から送出された画像取得装置G2~G4におけるそれぞれの超音波プローブ4の位置情報に対応する識別マークを生成する。例えば、識別マーク生成部23は、診断装置2から画像取得装置G2~G4の超音波プローブ4に向かう方向を表すマークをそれぞれ識別マークとして生成する。
【0037】
表示制御部22は、診断装置制御部24の制御の下、診断装置側通信回路21から送出された超音波画像および識別マーク生成部23により生成された識別マークに対して所定の処理を施して診断装置側モニタ3に表示する。
具体的には、表示制御部22は、画像取得装置G1~G4により取得された複数の超音波画像と識別マーク生成部23により生成され且つ画像取得装置G1~G4に対応する複数の識別マークを診断装置側モニタ3に表示する。
【0038】
診断装置制御部24は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、診断装置2の各部の制御を行う。
入力装置25は、ユーザが入力操作を行うためのものであり、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、および、診断装置側モニタ3に重ねて配置されたタッチセンサ等の装置により構成される。
【0039】
表示制御部22、識別マーク生成部23および診断装置制御部24を有する診断装置側プロセッサ26は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
また、診断装置側プロセッサ26の表示制御部22、識別マーク生成部23および診断装置制御部24は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
【0040】
診断装置側モニタ3は、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を有しており、診断装置2の表示制御部22の制御の下、超音波画像および識別マークを表示する。
診断装置側モニタ3における表示画面の一例を図5に示す。診断装置側モニタ3には、画像取得装置G1~G4により取得された複数の超音波画像31A~31Dが一画面上に表示される。これらの超音波画像31A~31Dは、画像取得装置G1~G4のそれぞれの超音波プローブ4を用いて撮影された被検体P1~P4の超音波画像である。
【0041】
また、診断装置側モニタ3には、複数の超音波画像31A~31Dに対応して超音波画像31A~31Dの近傍に複数の識別マーク32A~32Dが表示される。これらの識別マーク32A~32Dは、診断装置2から画像取得装置G1~G4のそれぞれの超音波プローブ4に向かう方向を表す矢印を表したものである。
ユーザにより複数の超音波画像31A~31Dのうちのいずれかが指定されると、指定された超音波画像を拡大した拡大画像33が診断装置側モニタ3の画面に表示される。
【0042】
次に、図6に示されるフローチャートを参照して、実施の形態1に係る超音波診断システムの動作について説明する。
まず、ステップS1において、複数の画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4を用いて複数の被検体P1~P4が超音波撮影され、被検体P1~P4の超音波画像がそれぞれ取得される。
このとき、プローブ制御部47の制御の下で、送受信回路42のパルサ61からの駆動信号に従って振動子アレイ41の複数の振動子から超音波の送受信が開始され、被検体の内部組織からの超音波エコーは、振動子アレイ41の複数の振動子により受信され、アナログ信号である受信信号が増幅部62に出力されて増幅され、AD変換部63でAD変換されて受信データが取得される。
【0043】
この受信データに対してビームフォーマ64により受信フォーカス処理が施され、これにより生成された音線信号が画像生成部43に送出され、画像生成部43により被検体の断層画像情報を表す超音波画像が生成される。この際に、画像生成部43の信号処理部65により、音線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じた減衰の補正および包絡線検波処理が施され、DSC66により、通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換され、画像処理部67により、階調処理等の各種の必要な画像処理が施される。
【0044】
このようにして超音波プローブ4により撮影された超音波画像は、超音波プローブ4のプローブ側通信回路44から、同じ画像取得装置内の携帯端末5の端末側通信回路51に送信され、表示制御部52を介して端末側モニタ53に表示される。これにより、画像取得装置G1~G4を操作する超音波技師、看護師等の操作者は、対応する被検体P1~P4の超音波画像を確認しながら、超音波画像の取得を行うことができる。
【0045】
次に、ステップS2において、複数の画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4の位置情報モジュール45により、それぞれ、超音波画像を取得した際の超音波プローブ4の位置情報が取得される。例えば、位置情報モジュール45は、BLE5.1またはUWBを利用して、診断装置2に対する超音波プローブ4の方位角を含む位置情報を取得することができる。
【0046】
さらに、ステップS3において、複数の画像取得装置G1~G4において取得された被検体P1~P4の超音波画像が、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4からそれぞれ診断装置2に無線送信される。このとき、画像取得装置G1~G4のそれぞれの超音波プローブ4において、画像生成部43により生成された超音波画像は、位置情報モジュール45により取得された超音波プローブ4の位置情報に紐付けられた状態で、プローブ側通信回路44から診断装置2に向けて無線送信される。
【0047】
続くステップS4において、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4からそれぞれ診断装置2に無線送信された超音波画像が、診断装置2の診断装置側通信回路21により受信され、表示制御部22を介して診断装置側モニタ3の一画面に表示される。
また、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4からそれぞれ無線送信された超音波画像に紐づいている超音波プローブ4の位置情報は、診断装置側通信回路21から識別マーク生成部23に送出され、識別マーク生成部23により、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4の位置情報に対応する識別マークがそれぞれ生成される。
【0048】
例えば、識別マーク生成部23は、診断装置2に対する画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4の方位角を含む位置情報に基づいて、診断装置2から画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4に向かう方向を表すマークをそれぞれ識別マークとして生成する。
そして、ステップS5において、診断装置側モニタ3に表示されている画像取得装置G1~G4に対応する複数の超音波画像の近傍に、識別マーク生成部23により生成された画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4に対応する複数の識別マークが表示される。
【0049】
これにより、図5に示されるように、診断装置側モニタ3の一画面上に、複数の画像取得装置G1~G4により取得された複数の超音波画像31A~31Dと、複数の超音波画像31A~31Dに対応する複数の識別マーク32A~32Dが表示される。
従って、診断装置側モニタ3を観察し且つ診断装置2を操作する医師等のユーザは、複数の被検体P1~P4および画像取得装置G1~G4から離れたところに位置しているとしても、複数の超音波画像31A~31Dの近傍に表示されている識別マーク32A~32Dがそれぞれ示す方向を確認することにより、複数の超音波画像31A~31Dが被検体P1~P4のうちいずれの被検体を撮影した超音波画像であるかを容易に且つ正確に把握することができる。
【0050】
なお、ステップS1における複数の被検体P1~P4の超音波画像の取得、ステップS2における複数の画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4の位置情報の取得、ステップS3における複数の画像取得装置G1~G4から診断装置2への超音波画像の無線送信は、いずれも、複数の画像取得装置G1~G4において同一のタイミングで行う必要はなく、それぞれの画像取得装置G1~G4において取得された超音波画像および超音波プローブ4の位置情報が、適宜、診断装置2に無線送信されればよい。
【0051】
診断装置側モニタ3に表示された被検体P1~P4の超音波画像31A~31Dのうちのいずれかが、診断装置2を操作する医師等のユーザにより指定されると、指定された超音波画像は拡大されて拡大画像33として診断装置側モニタ3に表示され、さらに、指定された超音波画像を取得した画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4の報知部46から画像取得装置G1~G4の操作者に対して報知がなされる。
【0052】
すなわち、超音波画像31A~31Dのいずれかがユーザにより指定されると、診断装置制御部24の制御の下、報知する旨の指令が、指定された超音波画像に紐付けられている位置情報を有する超音波プローブ4に対して診断装置側通信回路21から無線送信され、プローブ側通信回路44を介してこの指令を受信した超音波プローブ4のプローブ制御部47により報知部46が作動される。
報知部46は、音、振動および光の少なくとも1つを利用して、超音波プローブ4を有する画像取得装置G1~G4の操作者に報知することができる。
【0053】
これにより、報知を受けた超音波技師、看護師等の操作者は、複数の被検体P1~P4のうち、自分が担当する被検体を撮影した超音波画像に対して医師等のユーザにより診断がなされることを認識することが可能となる。このため、例えば、診断装置2を操作するユーザから、さらなる超音波画像の撮影を行う旨の指示を受けて、当該被検体の新たな超音波画像を取得することもできる。
このように、実施の形態1に係る超音波診断システムによれば、複数の被検体P1~P4の超音波画像を診断装置側モニタ3の一画面上に表示し、1つの診断装置2により複数の被検体P1~P4に対して一度に適正な診断を行うことが可能となる。
【0054】
上記の実施の形態1では、画像取得装置G1~G4における超音波プローブ4の位置情報モジュール45は、BLE5.1またはUWB等を利用して、診断装置2に対する超音波プローブ4の方位角を含む位置情報を取得しているが、これに限るものではない。例えば、位置情報モジュール45が、GPSセンサ、無線LAN技術を利用して超音波プローブ4の位置を検知し、診断装置2の識別マーク生成部23が、診断装置2の位置と超音波プローブ4の位置に基づいて診断装置2に対する超音波プローブ4の方位角を算出することもできる。このようにしても、診断装置2から画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4に向かう方向を表すマークをそれぞれ識別マークとして生成することができる。
【0055】
なお、上記の実施の形態1では、複数の画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4がそれぞれ診断装置2に無線接続されているが、同様にして、複数の画像取得装置G1~G4の携帯端末5がそれぞれ診断装置2に無線接続されるように構成してもよい。
この場合、超音波プローブ4により撮影された被検体P1~P4の超音波画像および超音波プローブ4の位置情報は、超音波プローブ4のプローブ側通信回路44から携帯端末5の端末側通信回路51に無線送信された後、携帯端末5の端末側通信回路51から診断装置2の診断装置側通信回路21に無線送信される。
【0056】
複数の画像取得装置G1~G4は、図1に示されるように、4つに限るものではなく、2つ以上の画像取得装置が診断装置2に無線接続されていればよい。
また、それぞれの画像取得装置G1~G4において、超音波プローブ4と携帯端末5が、互いに無線接続される代わりに、互いに有線接続されていてもよい。
なお、診断を必要とする被検体P1~P4の数が、画像取得装置G1~G4の数よりも多い場合には、1つの画像取得装置に、複数の被検体から取得された複数の超音波画像を被検体毎に蓄積させた後に、一括して診断装置2に無線送信することもできる。
【0057】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、診断装置2から画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4に向かう方向を表すマークが、それぞれ識別マークとして診断装置2の識別マーク生成部23により生成され、診断装置側モニタ3に表示されているが、これに限るものではない。
【0058】
図7に、実施の形態2に係る超音波診断システムにおけるそれぞれの画像取得装置の超音波プローブ4Aの内部構成を示す。超音波プローブ4Aは、図2に示される超音波プローブ4において、発光部71を新たに追加し、プローブ制御部47およびプローブ側プロセッサ48の代わりにプローブ制御部47Aおよびプローブ側プロセッサ48Aを用いたものであり、その他の構成は、超音波プローブ4と同様である。
【0059】
発光部71は、プローブ制御部47Aに接続されており、プローブ制御部47Aによる制御の下で、複数の色の光を選択的に発する。複数の画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Aにおける発光部71は、互いに異なる色の光を発するように構成されている。
このような発光部71は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)またはOLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)により形成され、図8に示されるように、超音波プローブ4AのハウジングHの外面上に配置される、あるいは、透光性を有するハウジングHの内側に配置され、超音波プローブ4Aの外部から発光部71により発せられる光を認識することができる。
【0060】
診断装置2の識別マーク生成部23は、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Aの位置情報に対応して、それぞれの超音波プローブ4Aの発光部71から発せられる光に対応する色、例えば、発光部71から発せられる光と同じ色を有する識別マークを生成する。この識別マークは、診断装置側モニタ3において、画像取得装置G1~G4により取得された複数の超音波画像31A~31Dの近傍に表示される。
なお、「発光部71から発せられる光に対応する色」とは、発光部71から発せられる光と同じ色の他、発光部71から発せられる光のスペクトルに似通ったスペクトルを有してユーザに同系統の色であると認知させることができる色を含むものとする。
【0061】
実施の形態2における診断装置側モニタ3の表示画面の一例を図9に示す。実施の形態1と同様に、画像取得装置G1~G4により取得された複数の超音波画像31A~31Dが診断装置側モニタ3の一画面上に表示されるが、これらの超音波画像31A~31Dに対応して超音波画像31A~31Dの近傍に複数の識別マーク34A~34Dが表示されている。これらの識別マーク34A~34Dは、互いに異なる色を有し、それぞれ、近傍に表示された超音波画像31A~31Dに対応する画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Aの発光部71から発せられる光に対応する色、例えば、発光部71から発せられる光と同じ色を有している。
【0062】
このように、複数の被検体P1~P4の超音波画像31A~31Dを取得した画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Aの発光部71から発せられる光と、診断装置側モニタ3に表示される超音波画像31A~31Dの近傍に位置する識別マーク34A~34Dが、互いに対応する色を有するため、超音波画像31A~31Dと、超音波画像31A~31Dを取得した画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Aを容易に且つ正確に対応付けすることができる。
【0063】
従って、診断装置2を操作するユーザが、複数の被検体P1~P4および画像取得装置G1~G4から離れたところに位置している場合であっても、超音波画像31A~31Dのうち、いまから診断しようとする1つの超音波画像の近傍に位置する識別マーク34A~34Dの色を、画像取得装置G1~G4を操作する操作者に伝えることにより、診断対象となる被検体を容易に且つ正確に特定することが可能となる。
【0064】
なお、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Aの位置情報に紐付けられた超音波画像が、超音波プローブ4Aのプローブ側通信回路44から診断装置2に無線送信される際に、位置情報および超音波画像と共に、超音波プローブ4Aの発光部71から発せられる光の色を表す色情報を診断装置2に無線送信することもできる。このようにすれば、識別マーク生成部23は、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Aから無線送信された色情報に基づいて、超音波プローブ4Aの発光部71から発せられる光の色に対応する色の識別マーク34A~34Dを生成することができる。
【0065】
また、図9に示される診断装置側モニタ3の表示画面では、超音波画像31A~31Dの近傍に円形の識別マーク34A~34Dが表示されているが、これに限るものではなく、超音波画像31A~31Dをそれぞれ囲むような枠形状の識別マークとすることもできる。
【0066】
実施の形態3
図10に、実施の形態3に係る超音波診断システムにおけるそれぞれの画像取得装置の超音波プローブ4Bの内部構成を示す。超音波プローブ4Bは、図2に示される超音波プローブ4において、プローブ側モニタ72を新たに追加し、プローブ制御部47およびプローブ側プロセッサ48の代わりにプローブ制御部47Bおよびプローブ側プロセッサ48Bを用いたものであり、その他の構成は、超音波プローブ4と同様である。
【0067】
プローブ側モニタ72は、プローブ制御部47Bに接続されており、プローブ制御部47Bによる制御の下で、符号、数字、記号、図形等からなる定められたプローブ側マークを表示する。複数の画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Bにおけるプローブ側モニタ72は、互いに異なる形状のプローブ側マークを表示するように構成されている。
プローブ側モニタ72は、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を有しており、図11に示されるように、超音波プローブ4BのハウジングHの外面上に配置されている。
【0068】
診断装置2の識別マーク生成部23は、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Bの位置情報に対応して、それぞれの超音波プローブ4Bのプローブ側モニタ72に表示されるプローブ側マークに対応する形状、例えば、プローブ側マークと同じ形状を有する識別マークを生成する。この識別マークは、診断装置側モニタ3において、画像取得装置G1~G4により取得された複数の超音波画像31A~31Dの近傍に表示される。
なお、「プローブ側マークに対応する形状」とは、プローブ側マークと同じ形状の他、プローブ側マークに類似し且つユーザにプローブ側マークと共通の概念を想起させる形状を含むものとする。例えば、1つのアルファベットを大文字で表したマークと小文字で表したマークは、互いに対応する形状を有している。
【0069】
実施の形態3における診断装置側モニタ3の表示画面の一例を図12に示す。実施の形態1と同様に、画像取得装置G1~G4により取得された複数の超音波画像31A~31Dが診断装置側モニタ3の一画面上に表示されるが、これらの超音波画像31A~31Dに対応して超音波画像31A~31Dの近傍に複数の識別マーク35A~35Dが表示されている。これらの識別マーク35A~35Dは、互いに異なる形状を有し、それぞれ、近傍に表示された超音波画像31A~31Dに対応する画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Bのプローブ側モニタ72に表示されるプローブ側マークに対応する形状を有している。図12に示される識別マーク35A~35Dは、「A」、「B」、「C」、「D」の大文字のアルファベットから形成されている。
【0070】
このように、複数の被検体P1~P4の超音波画像31A~31Dを取得した画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Bのプローブ側モニタ72に表示されるプローブ側マークと、診断装置側モニタ3に表示される超音波画像31A~31Dの近傍に位置する識別マーク35A~35Dが、互いに対応する形状を有するため、超音波画像31A~31Dと、超音波画像31A~31Dを取得した画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Bを容易に且つ正確に対応付けすることができる。
【0071】
従って、診断装置2を操作するユーザが、複数の被検体P1~P4および画像取得装置G1~G4から離れたところに位置している場合であっても、超音波画像31A~31Dのうち、いまから診断しようとする1つの超音波画像の近傍に位置する識別マーク35A~35Dの形状を、画像取得装置G1~G4を操作する操作者に伝えることにより、診断対象となる被検体を容易に且つ正確に特定することが可能となる。
【0072】
なお、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Bの位置情報に紐付けられた超音波画像が、超音波プローブ4Bのプローブ側通信回路44から診断装置2に無線送信される際に、位置情報および超音波画像と共に、超音波プローブ4Bのプローブ側モニタ72に表示されるプローブ側マークを表すマーク情報を診断装置2に無線送信することもできる。このようにすれば、識別マーク生成部23は、画像取得装置G1~G4の超音波プローブ4Bから無線送信されたマーク情報に基づいて、超音波プローブ4Bのプローブ側モニタ72に表示されるプローブ側マークに対応する形状の識別マーク35A~35Dを生成することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 診断装置、3 診断装置側モニタ、4,4A,4B 超音波プローブ、5 携帯端末、21 診断装置側通信回路、22,52 表示制御部、23 識別マーク生成部、24 診断装置制御部、25,55 入力装置、26 診断装置側プロセッサ、31A~31D 超音波画像、32A~32D,34A~34D,35A~35D 識別マーク、33 拡大画像、41 振動子アレイ、42 送受信回路、43 画像生成部、44 プローブ側通信回路、45 位置情報モジュール、46 報知部、47,47A,47B プローブ制御部、48,48A,48B プローブ側プロセッサ、51 端末側通信回路、53 端末側モニタ、54 端末制御部、56 端末側プロセッサ、61 パルサ、62 増幅部、63 AD変換部、64 ビームフォーマ、65 信号処理部、66 DSC、67 画像処理部、71 発光部、72 プローブ側モニタ、P1~P4 被検体、G1~G4 画像取得装置、H ハウジング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12