(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139587
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】混合容器及び混合方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B65D81/32 V
B65D81/32 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050597
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】徐 宇清
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013AB04
3E013AC01
3E013AC13
3E013AD14
3E013AE02
3E013AE03
3E013AF02
3E013AF17
3E013AF26
(57)【要約】
【課題】
混合前は多成分をそれぞれ独立して保管でき、混合時には簡単な操作で多成分を混合することができ、更に、成分を取り出して不要となった空容器を簡単に回収・廃棄できる混合容器及び混合方法を提供すること。
【解決手段】
第1の成分を収容する第1の容器の内部に、第2の成分を収容する第2の容器が収容されており、前記第2の容器が柔軟性容器であり、前記第1の容器と第2の容器とが紐状部材で接続されている、混合容器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分を収容する第1の容器の内部に、第2の成分を収容する第2の容器が収容されており、
前記第2の容器が柔軟性容器であり、
前記第1の容器と第2の容器とが紐状部材で接続されている、混合容器。
【請求項2】
前記第1の容器が剛性容器である、請求項1に記載の混合容器。
【請求項3】
前記第1の容器の蓋と前記第2の容器とが前記紐状部材で接続されている、請求項1又は2に記載の混合容器。
【請求項4】
前記紐状部材は、片端が前記第1の容器の蓋に接続されており、中間部及び前記片端と反対側の端部の2か所が前記第2の容器に接続されており、
前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部と、前記反対側の端部と前記第2の容器との接続部とが、前記第2の容器上の対角位置に設けられている、請求項1又は2に記載の混合容器。
【請求項5】
前記第2の容器に開封部が設けられており、前記開封部は切口又は蓋を有する、請求項1又は2に記載の混合容器。
【請求項6】
前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部が、前記切口又は蓋と隣接しているか、又は、前記蓋に直接設けられている、請求項5に記載の混合容器。
【請求項7】
前記第1の成分が液体である、請求項1又は2に記載の混合容器。
【請求項8】
前記第2の成分が液体である、請求項1又は2に記載の混合容器。
【請求項9】
前記第2の成分が、前記第1の成分に溶解又は分散可能である、請求項1又は2に記載の混合容器。
【請求項10】
第1の成分を収容する第1の容器の内部に、第2の成分を収容する第2の容器が収容されており、
前記第2の容器が柔軟性容器であり、
前記第1の容器と第2の容器とが紐状部材で接続されており、
前記紐状部材を第1の容器外の方向に引くことで前記第2の容器の開封部を前記第1の容器外に引き出し、
前記第2の容器を切断して開封した後、前記第2の容器を前記第1の容器の内部に再度収容し、
前記紐状部材を前記第1の容器外の方向に引くことで前記第2の容器を前記第1の容器内で傾けて、前記第2の成分を前記第1の容器内に投入し、
前記紐状部材を前記第1の容器外の方向にさらに引くことで前記第2の容器を前記第1の容器外に引き出して回収する、混合方法。
【請求項11】
前記第1の容器が剛性容器である、請求項10に記載の混合方法。
【請求項12】
前記第1の容器の蓋と前記第2の容器とが前記紐状部材で接続されている、請求項10又は11に記載の混合方法。
【請求項13】
前記紐状部材は、片端が前記第1の容器の蓋に接続されており、中間部及び前記片端と反対側の端部の2か所が前記第2の容器に接続されており、
前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部と、前記反対側の端部と前記第2の容器との接続部とが、前記第2の容器上の対角位置に設けられている、請求項10又は11に記載の混合方法。
【請求項14】
前記第2の容器を、前記第2の成分を収容していない方の断片に前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部が含まれるように切断する、請求項10又は11に記載の混合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分以上の多成分混合型プライマー、シーリング剤、コーディング剤等において、多成分をそれぞれ別の容器に収容しておき、使用時に混合する混合容器及び混合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の2成分混合容器としては、下記特許文献1~4に示されているように、2成分とも液体であって、第1液を収容する外部容器と、第2液を収容する浅底内部容器からなり、浅底内部容器が外部容器の口を塞ぐように外部容器内の上部にはめ入れられるもの等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-157777号公報
【特許文献2】特開平6-191564号公報
【特許文献3】特開2005-200076号公報
【特許文献4】特開昭60-068070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような従来の2成分混合容器では、2液混合するとき、蓋の開閉の必要がある。特許文献1~3のような容器では、混合時、浅底内部容器を外してから混合する必要がある。さらに、浅底内部容器自身の体積もあって、使用後の空容器の保管や廃棄がしづらいという問題がある。
また、特許文献4のような容器では、浅底内部容器の底を破ることで2液混合しやすい反面、容器を破るための道具が別途必要であったり、容器を破る時に発生する屑が液に混入し、液を汚染するという問題がある。また、最終的に混合液を使用するときには、浅底内部容器を外す必要があり、使用後の空容器の保管及び廃棄にも問題がある。
さらに、特許文献1~4のような容器では、3成分以上の多成分になると、容器の構造が更に複雑となり、混合操作が難しくなるうえ、空容器の保管及び廃棄の手間がより多くなるため、3成分以上の多成分の製品に使用するのは現実的ではなかった。
【0005】
本発明は、上述の従来技術に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、混合前は多成分をそれぞれ独立して保管でき、混合時には簡単な操作で多成分を混合することができ、更に、成分を取り出して不要となった空容器を簡単に回収・廃棄できる混合容器及び混合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0007】
[1]第1の成分を収容する第1の容器の内部に、第2の成分を収容する第2の容器が収容されており、前記第2の容器が柔軟性容器であり、前記第1の容器と第2の容器とが紐状部材で接続されている、混合容器。
[2]前記第1の容器が剛性容器である、上記[1]に記載の混合容器。
[3]前記第1の容器の蓋と前記第2の容器とが前記紐状部材で接続されている、上記[1]又は[2]に記載の混合容器。
[4]前記紐状部材は、片端が前記第1の容器の蓋に接続されており、中間部及び前記片端と反対側の端部の2か所が前記第2の容器に接続されており、前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部と、前記反対側の端部と前記第2の容器との接続部とが、前記第2の容器上の対角位置に設けられている、上記[1]又は[2]に記載の混合容器。
[5]前記第2の容器に開封部が設けられており、前記開封部は切口又は蓋を有する、上記[1]又は[2]に記載の混合容器。
[6]前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部が、前記切口又は蓋と隣接しているか、又は、前記蓋に直接設けられている、上記[5]に記載の混合容器。
[7]前記第1の成分が液体である、上記[1]又は[2]に記載の混合容器。
[8]前記第2の成分が液体である、上記[1]又は[2]に記載の混合容器。
[9]前記第2の成分が、前記第1の成分に溶解又は分散可能である、上記[1]又は[2]に記載の混合容器。
[10]第1の成分を収容する第1の容器の内部に、第2の成分を収容する第2の容器が収容されており、前記第2の容器が柔軟性容器であり、前記第1の容器と第2の容器とが紐状部材で接続されており、前記紐状部材を第1の容器外の方向に引くことで前記第2の容器の開封部を前記第1の容器外に引き出し、前記第2の容器を切断して開封した後、前記第2の容器を前記第1の容器の内部に再度収容し、前記紐状部材を前記第1の容器外の方向に引くことで前記第2の容器を前記第1の容器内で傾けて、前記第2の成分を前記第1の容器内に投入し、前記紐状部材を前記第1の容器外の方向にさらに引くことで前記第2の容器を前記第1の容器外に引き出して回収する、混合方法。
[11]前記第1の容器が剛性容器である、上記[10]に記載の混合方法。
[12]前記第1の容器の蓋と前記第2の容器とが前記紐状部材で接続されている、上記[10]又は[11]に記載の混合方法。
[13]前記紐状部材は、片端が前記第1の容器の蓋に接続されており、中間部及び前記片端と反対側の端部の2か所が前記第2の容器に接続されており、前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部と、前記反対側の端部と前記第2の容器との接続部とが、前記第2の容器上の対角位置に設けられている、上記[10]又は[11]に記載の混合方法。
[14]前記第2の容器を、前記第2の成分を収容していない方の断片に前記紐状部材の中間部と前記第2の容器との接続部が含まれるように切断する、上記[10]又は[11]に記載の混合方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、混合前は1つの容器の中で多成分をそれぞれ独立して保管でき、混合時には簡単な操作で多成分を混合することができ、更に、成分投入後に不要となった空容器を簡単に回収・廃棄することができる、混合容器及び混合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】第1の容器内で第2の容器が回転するイメージ図である。
【
図4】第2の容器に収容した第2の成分を第1の容器内に排出するイメージ図である。
【
図5】第2の容器を第1の容器内から回収するイメージ図である。
【
図7】本発明による混合容器の別形態の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。但し、以下に説明する実施形態の構成要件は本発明の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
【0011】
[本発明の混合容器]
本発明の混合容器について、以下、図面を参照しながら、詳細に説明する。
本発明の混合容器は、
図1に示される垂直断面図にあるように、第1の成分を収容する第1の容器1を有し、第1の容器1の内部に、第2の成分を収容する第2の容器2が収容されている。第2の容器2は柔軟性容器であり、第1の容器と第2の容器とが紐状部材3で接続されている。
【0012】
<第1の成分>
第1の成分の状態は特に限定されないが、液体であることが好ましい。第1の成分はそれ自体が単体で液体状態であってもよく、任意の溶媒に溶解した溶液であってもよく、任意の溶媒に分散した分散液(エマルション)であってもよい。
前記溶媒としては、水や有機溶剤を用いることができ、水と有機溶剤を混合して用いてもよい。
第1の成分の流動性が高いほど本発明の効果が得られやすいため、第1の成分は、保管又は使用時の温度で流動性を有することが好ましい。また、第1の成分は、第1の容器に収容される第2の容器へのダメージを低減する観点から、温度変化による粘度変化が小さく、析出物の発生も少ないことが好ましい。
第1の成分の保管温度としては、解乳化や析出物の発生が無く、液体として安定に保管できる温度であれば限定されないが、第1の成分の融点以上の温度が好ましい。
【0013】
第1の成分の使用温度は特に限定されないが、流動性が高いほど混合しやすいことから、第1の成分の融点以上の温度が好ましい。
第1の成分の種類としては、特に限定されない。
第1の容器への第1の成分の充填量は特に限定されないが、充填後の容器の強度を保つため、最大充填量の0.95倍以下であることが好ましい。
【0014】
<第1の容器>
第1の容器は、上記第1の成分を収容することができるものであれば、特に制限はないが、取り扱い性を容易にするために、剛性容器であることが好ましい。なお、剛性容器とは、剛性素材からなる容器を意味する。
【0015】
(剛性素材)
剛性素材は、第1の容器に収容する第1の成分の性質に合わせて選択すればよい。
剛性素材としては、具体的には、樹脂、金属及びそれらの複合材等が挙げられる。
例えば、第1の成分が水系液体の場合、剛性素材としては樹脂を選択することが好ましい。一方、第1の成分が有機系液体の場合、剛性素材としては金属を選択することが好ましい。
【0016】
(構造)
第1の容器としては、蓋付きの容器であることが好ましく、市販の蓋付き容器を使用することができる。具体的には、ペール缶、一斗缶、細口ポリ容器、広口ポリ容器等が挙げられる。その中でも、第2の容器を収容しやすい観点から、ペール缶、広口ポリ容器が好ましい。
第1の容器の開口部は、空の状態の第2の容器を出し入れ可能な大きさ以上の大きさ及び形状であれば特に限定されない。なお、出し入れにあたって、開口部を通るように第2の容器は適宜折ったり畳んだりしても構わない。
第1の容器の蓋の形状及び構造は特に限定されないが、液漏れ防止の観点から、パッキン等が付いた密閉可能な構造であることが好ましい。また、ペール缶のような開口部が広い容器である場合、注ぎ口付きの蓋であることが好ましい。
【0017】
<第2の成分>
第2の成分は、第1の成分と均一混合することが可能なものが好ましい。
第2の成分の状態は特に限定されないが、液体又は固体であることが好ましく、液体であることがより好ましい。
第2の成分が液体である場合、第2の成分はそれ自体が単体で液体状態であってもよく、任意の溶媒に溶解した溶液であってもよく、任意の溶媒に分散した分散液(エマルション)であってもよい。前記溶媒としては、水や有機溶剤を用いることができ、水と有機溶剤を混合して用いてもよい。また、前記溶媒は、第1の成分と第2の成分とで同じものを用いることが好ましい。
第2の成分の流動性が高いほど本発明の効果が得られやすいため、第2の成分は、保管又は使用時の温度で流動性を有することが好ましい。
【0018】
第2の成分が固体である場合、第2の容器から第1の容器への投入を考慮すると、第2の成分は粉粒体であることが好ましい。粉粒体の粒径としては、第2の容器の開封部より小さいことが好ましい。
【0019】
また、第2の成分は、液体、固体に拘わらず、第1の成分に溶解又は分散可能であることが好ましい。
第2の成分の種類としては、特に限定されない。
第2の容器への第2の成分の充填量は特に限定されないが、充填後の容器の強度を保つため、最大充填量の0.8倍以下であることが好ましい。
【0020】
<第2の容器>
第2の容器は、柔軟性容器である。柔軟性容器とは、柔軟性素材からなる容器を意味する。
【0021】
(柔軟性素材)
柔軟性素材は、第2の容器に収容する第2の成分の性質に合わせて選択すればよい。
また、第1の成分及び第2の成分と反応しないものであることが肝要であり、長時間接触しても、劣化しにくく、強度が保たれることが好ましい。
柔軟性素材としては、具体的には、樹脂、複合樹脂、ゴム等が挙げられる。
前記樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられ、耐溶剤性及び強度の観点から、ポリエチレンが好ましい。
例えば、第2の成分が水系液体の場合、柔軟性素材としては樹脂を選択することが好ましい。
【0022】
(構造)
第2の容器の大きさ及び形状は特に限定されないが、畳んだり折ったりしやすいことから、形状は袋状であることが好ましい。具体的には、樹脂袋やフィルムタイプ容器等が挙げられる。
樹脂袋及びフィルムタイプ容器である場合、その構造としては、単層でも複層であってもよく、複層である場合は、各層に同じ樹脂を用いても異なる樹脂を用いてもよい。また、第2の成分を密閉保存できるように、熱シーリング可能なものや蓋付きのものであることが好ましい。
樹脂袋及びフィルムタイプ容器の厚さとしては、0.2mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。この範囲であると、十分な強度が得られ、かつ、畳んだり折ったりしやすいため好ましい。
【0023】
後述の通り、本発明の混合方法では、第2の容器を開封して第2の成分を第1の容器に投入することにより、第1の成分と第2の成分を混合する。そのため、第2の容器は、第2の成分を充填して密閉した後に開封するための開封部が設けられる。前記開封部の大きさ及び構造は特に限定されないが、切口又は蓋を有することが好ましい。前記開封部は、第2の容器の端部に設けることが好ましい。
本発明の混合容器は、第1の容器と第2の容器とが紐状部材で接続される。後述の通り、第2の容器と紐状部材との接続の方法については特に限定されないが、第2の容器の任意の位置に穴を設けておき、その穴に紐状部材を通して固定することで、第2の容器と紐状部材を接続してもよい。
【0024】
前記穴の大きさ及び形状は特に限定されない。前記穴の位置についても特に限定されないが、第2の容器の端部に設けることが好ましい。また、後述の通り、紐状部材の中間部及び片方の端部の2か所を第2の容器と接続する場合、紐状部材の中間部と第2の容器との接続部と、紐状部材の片方の端部と第2の容器との接続部とが、第2の容器上の対角位置に設けられていることが好ましい。すなわち、第2の容器上の対角位置に2か所の穴を設けることが好ましい。前記開封部が切口を有する場合、前記2か所の穴のうちどちらか1か所が前記切口と隣接することが好ましく、当該穴には前記紐状部材の中間部が接続されることが好ましい。前記開封部が蓋を有する場合、前記2か所の穴のうちどちらか1か所が前記蓋と隣接するか、又は、前記蓋に直接設けられていることが好ましく、当該穴には前記紐状部材の中間部が接続されることが好ましい。
【0025】
<紐状部材>
紐状部材の長さは特に限定されないが、第2の容器が樹脂袋及びフィルムタイプ容器である場合、樹脂袋及びフィルムタイプ容器の対角線の長さよりも長いことが好ましい。
紐状部材の材質及び形状は特に限定されないが、第1の成分と長時間接触しても劣化しにくい材質であることが好ましく、第1の成分に分散しない材質であることが好ましい。また、第2の成分を第1の容器に投入する作業、また第2の容器を第1の容器から排出する作業は、第2の容器に接続される紐状部材を引くことで行われるため、これらの作業をするのに十分な強度及び柔軟性があることが好ましい。
【0026】
紐状部材の材質としては、具体的には、樹脂、金属、樹脂と金属の複合材料、植物繊維等が挙げられる。前記樹脂としては、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。前記植物繊維としては、木綿、麻、絹等が挙げられる。
また、紐状部材の形状としては、具体的には、鎖タイプ、1本繊維タイプ、複数繊維タイプ等が挙げられる。これらの中でも、金属製の鎖タイプ、樹脂製の1本繊維タイプ又は複数繊維タイプ、植物繊維製の複数繊維タイプが好ましい。また、複数繊維タイプの場合、繊維を落ちにくくするために紐状部材の表面をコーティングしてもよい。
【0027】
<第1の容器と第2の容器の接続>
本発明の混合容器は、第1の容器と第2の容器とが紐状部材で接続される。具体的には、紐状部材の片端が第1の容器と接続され、前記片端と反対側の端部が第2の容器と接続されることが好ましい。さらに、紐状部材の中間部も第2の容器と接続されることがより好ましい。
紐状部材は、第1の容器の蓋と接続されることが好ましい。紐状部材と接続される第1の容器の蓋は、外蓋であっても中蓋であってもよい。外蓋と中蓋のどちらも設けられている容器である場合、中蓋に接続するのが好ましい。また、
図1に示すように、第1の容器に注ぎ口がある場合は、注ぎ口の蓋に接続するのが好ましく、注ぎ口の中にさらに中蓋がある場合は、注ぎ口の中蓋7に接続するのが好ましい。
【0028】
第1の容器の蓋と紐状部材との接続の方法については、両者が固定されれば特に限定されない。第1の容器の蓋に穴を設けて、又は、輪状部材を付けて、前記穴または輪状部材に紐状部材を通して固定してもよい。または、接着剤を用いて両者を固定してもよい。なお、第1の容器の蓋に穴を設ける場合は、第1の成分が容器外に漏れるのを防止するため、穴に紐状部材を通して固定した後、穴を接着剤等で塞ぐようにする。
【0029】
第2の容器と紐状部材との接続部の位置については特に限定されないが、紐状部材の中間部及び片方の端部の2か所を第2の容器と接続する場合、紐状部材の中間部と第2の容器との接続部と、紐状部材の片方の端部と第2の容器との接続部とが、第2の容器上の対角位置に設けられていることが好ましい。例えば、
図1のように、第2の容器の右下部の穴4に紐状部材の片方の端部を接続し、第2の容器の左上部の穴5に紐状部材の中間部を接続するのが好ましい。
第2の容器と紐状部材との接続の方法については、両者が固定されれば特に限定されない。前述の通り、第2の容器に穴を設けて、前記穴に紐状部材を通して固定してもよく、第2の容器に輪状部材を付けて、前記輪状部材に紐状部材を通して固定してもよい。または、接着剤を用いて両者を固定してもよい。なお、第2の容器に穴を設ける場合は、第2の成分が容器外に漏れるのを防止するため、穴に紐状部材を通して固定した後、穴を接着剤等で塞ぐようにするか、または、第2の成分が充填されていない部分に穴を設けるようにする。
【0030】
<第1の容器及び第2の容器への成分の充填方法、第1の容器への第2の容器の収容方法>
第1の容器及び第2の容器への各成分の充填は、通常の充填方法を使用することができる。
第1の容器への第1の成分の充填、第2の容器への第2の成分の充填、及び第1の容器への第2の容器の収容の順番は、第1の容器の開口部の大きさと第2の容器の大きさの大小関係によって適宜調整すればよい。
【0031】
第1の容器の開口部の大きさよりも第2の容器の大きさの方が小さい場合、すなわち、第2の容器を畳んだり折ったりしなくても第1の容器に収容できる場合、先に第2の容器への第2の成分の充填を行って第2の容器を密閉し、密閉済の第2の容器を第1の容器に収容すればよい。なお、第1の容器への第1の成分の充填のタイミングについては、密閉済の第2の容器を第1の容器に収容する前でも後でもよい。
【0032】
第1の容器の開口部の大きさよりも第2の容器の大きさの方が大きい場合、すなわち、第2の容器を畳んだり折ったりしないと第1の容器に収容できない場合、先に第2の容器を畳んだり折ったりして第1の容器の開口部に入る大きさにして開口部から第1の容器に入れればよい。このとき、第2の容器の開口部は第1の容器の外に出るようにしておく。その後、第2の容器の開口部から第2の成分を充填して第2の容器を密閉し、密閉済の第2の容器を完全に第1の容器に収容すればよい。なお、第1の容器への第1の成分の充填のタイミングについては、密閉済の第2の容器を第1の容器に収容する前でも後でもよい。
【0033】
第2の容器の密閉方法については、第2の容器が
図1に示すような蓋の無い構造である場合、熱シーリングによって密閉することが好ましい。一方、第2の容器が
図7に示すような蓋のある構造である場合、蓋を閉めることで密閉すればよい。いずれの場合も、密閉時に若干の空気を第2の容器内に残しておくのが好ましい。第2の容器内に空気が含まれることにより、第1の容器に収容された第1の成分の中で第2の容器が浮かぶことができ、輸送時の振動及び衝撃が吸収されて第2の容器の安定性を保つことができる。
また、第2の容器と同様にして、第3の成分が収容された第3の容器、第4の成分が収容された第4の容器、のようにさらに複数の成分が収容された複数の容器を第1の容器に収容することが可能である。
【0034】
[本発明の混合方法]
本発明の混合方法は、紐状部材を第1の容器外の方向に引くことで第2の容器の開封部を第1の容器外に引き出し、第2の容器を開封した後、第2の容器を第1の容器の内部に再度収容する。次いで、紐状部材を第1の容器外の方向に引くことで第2の容器を第1の容器内で傾けて、第2の成分を第1の容器内に投入する。続いて、紐状部材を第1の容器外の方向にさらに引くことで第2の容器を第1の容器外に引き出して回収する。
【0035】
以上のような混合方法により、容易に多成分を混合することができ、かつ、成分を取り出して不要となった空容器を簡単に回収・廃棄することができる。さらには、各成分の保管容器とは別に混合容器を用意する必要がなく、各成分を外部環境に晒すことなく混合することができる。
また、第2成分が液体の場合、第2の容器を第1の容器外に引き出す際には、第2の容器内の第2の成分が絞り出されるため、第2の成分の全量を第1の成分に投入することができ、第2成分が粘稠な液体であっても、確実に第1成分に投入することができる。また、さらには、絞り出す過程で混合効果も期待できる。
なお、回収した空容器を収納する袋を、第1の容器の蓋の近辺に準備しておき、液に手を触れることなく空容器を回収することもできる。また、回収した空容器、紐状部材は材質によってはリサイクルすることもできる。
【0036】
本発明の混合方法の一例について、
図2~6を用いてさらに詳細に説明する。
図2に示すように、第1の容器1の蓋6にある注ぎ口の外蓋8と中蓋7を外し、中蓋7についた紐状部材3を引くことで、第2の容器2の切口9が設けられている方の端部を注ぎ口から引き出す。紐状部材の中間部と第2の容器との接続部(穴5)に隣接した切口9に沿って第2の容器を切断して開封する。
次に、
図3に示すように、開封済の第2の容器を第1の容器の中に戻す。その後、
図4に示すように、紐状部材3を引いて第2の容器2を回転させて第2の成分を第1の容器に投入し、次いで
図5に示すように、更に紐状部材3を引きながら、第1の容器1の注ぎ口に第2の容器を通すことで第2の容器2を収縮させて第2の容器2の内部に残っている第2の成分を第1の容器1に完全に投入してから、第2の容器2、紐状部材3及び中蓋7を回収する。最後に、
図6に示すように、第1の容器1の注ぎ口に外蓋8を付けて密閉する。なお、第2成分を投入した後に攪拌が必要な場合には、攪拌翼やマグネチックスターラー等を用いて攪拌すればよい。
【0037】
第2の容器と同様にして、第3の成分が収容された第3の容器、第4の成分が収容された第4の容器、のようにさらに複数の成分が収容された複数の容器を第1の容器に収容した場合は、
図2~5の操作を繰り返すことにより、多成分を混合することができる。
第2の容器の開封方法については、第2の容器に蓋が設けられている場合は蓋を開けることで開封すればよく、切口が設けられている場合は、手で開封しても、ハサミ等の任意の道具を用いて開封してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の混合容器及び混合方法は、混合前は1つの容器の中で多成分をそれぞれ独立して保管でき、混合時には簡単な操作で多成分を混合でき、成分投入後に不要となった空容器を簡単に回収・廃棄できることが求められる多成分型製品に適用することができる。具体的には、多成分混合型のプライマー、接着剤、塗料、インク、化粧品、医薬品、食品、農薬等の保管に好適に利用される。
【符号の説明】
【0039】
1 第1の容器
2 第2の容器
3 紐状部材
4 紐状部材接続用穴
5 紐状部材接続用穴
6 第1の容器の蓋
7 注ぎ口の中蓋
8 注ぎ口の外蓋
9 切口