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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139603
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】撮像レンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20241002BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050621
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青井 敏浩
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA04
2H087NA08
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA10
2H087PA19
2H087PB10
2H087PB11
2H087PB12
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA33
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA21
2H087RA32
2H087RA43
2H087RA44
2H087RA46
(57)【要約】
【課題】小型化および軽量化が図られ、良好な光学性能を保持する撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像レンズは、物体側から像側へ順に、屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる。第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して、負メニスカスレンズと、負レンズとを含む。撮像レンズは、バックフォーカスBf、撮像レンズの焦点距離f、および最大半画角ωに関する条件式:0.3<Bf/(f×tanω)<1.75を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなり、
前記第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して、負メニスカスレンズと、負レンズとを含み、
無限遠物体に合焦した状態における全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBf、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離をf、
無限遠物体に合焦した状態における最大半画角をωとした場合、
0.3<Bf/(f×tanω)<1.75 (1)
で表される条件式(1)を満足する撮像レンズ。
【請求項2】
fの単位をミリメートルとし、
無限遠物体に合焦した状態における全系のFナンバーをFNoとした場合、
0.6<f/FNo<4.3 (2)
で表される条件式(2)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第1レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、
前記第2レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズのd線基準のアッベ数をν1cp、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記負レンズのd線基準のアッベ数をν1cn、
前記第2レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズのd線基準のアッベ数をν2cp、
前記第2レンズ群の前記接合レンズの前記負レンズのd線基準のアッベ数をν2cnとした場合、
52<(ν2cp-ν2cn)-(ν1cp-ν1cn)<170 (3)
で表される条件式(3)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記第1レンズ群の最も像側のレンズと、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズとの光軸上の距離をDG12、
無限遠物体に合焦した状態における、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLとした場合、
0<DG12/TL<0.11 (4)
で表される条件式(4)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記第1レンズ群の焦点距離をfG1とした場合、
-0.8<f/fG1<0.6 (5)
で表される条件式(5)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
前記第2レンズ群の焦点距離をfG2とした場合、
0.4<f/fG2<1 (6)
で表される条件式(6)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項7】
前記第2レンズ群は最も像側に正レンズを含み、
前記第2レンズ群の焦点距離をfG2、
前記第2レンズ群の最も像側の前記正レンズの焦点距離をfzpとした場合、
0.1<fG2/fzp<1 (7)
で表される条件式(7)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項8】
前記撮像レンズが含む正レンズのうちの最も物体側の正レンズより物体側に配置された全ての負レンズのd線に対する屈折率の平均値をN1naveとした場合、
1.43<N1nave<1.9 (8)
で表される条件式(8)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項9】
前記撮像レンズが含む全ての正レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνpave、
前記撮像レンズが含む全ての負レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνnaveとした場合、
-16<νpave-νnave<20 (9)
で表される条件式(9)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項10】
無限遠物体に合焦した状態における、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLとした場合、
3<TL/f<6.5 (10)
で表される条件式(10)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項11】
前記第1レンズ群の焦点距離をfG1、
前記第2レンズ群の焦点距離をfG2とした場合、
-1.3<fG2/fG1<0.9 (11)
で表される条件式(11)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項12】
前記第1レンズ群の最も像側のレンズのd線基準のアッベ数をν1zとした場合、
16<ν1z<45 (12)
で表される条件式(12)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項13】
前記第1レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズのd線に対する屈折率をN1cp、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1cp/dTとし、
dN1cp/dTの単位を℃-1とした場合、
1.7<N1cp<2.1 (13)
-0.5×10-6<dN1cp/dT<6.5×10-6 (14)
で表される条件式(13)および(14)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項14】
前記第1レンズ群の最も像側のレンズは正の屈折力を有する単レンズであり、
前記単レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1s/dTとし、
dN1s/dTの単位を℃-1とした場合、
-0.5×10-6<dN1s/dT<9×10-6 (15)
で表される条件式(15)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項15】
無限遠物体に合焦した状態における、前記絞りから前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をDstとした場合、
2<Dst/(f×tanω)<3.8 (16)
で表される条件式(16)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項16】
前記第1レンズ群は、3枚もしくは4枚の負レンズと、2枚の正レンズとからなる請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項17】
前記第2レンズ群は、2枚もしくは3枚の負レンズと、3枚の正レンズとからなる請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項18】
前記第1レンズ群の最も像側のレンズは、物体側の面の曲率半径の絶対値より像側の面の曲率半径の絶対値が大きい請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項19】
前記絞りの像側に空気間隔を隔て前記絞りに隣接して、像側の面の曲率半径の絶対値より物体側の面の曲率半径の絶対値が大きい正レンズが配置される請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項20】
像面に入射する最大半画角の主光線と、光軸に平行な軸線とのなす角度をCRAとし、
CRAの単位を度とした場合、
0≦|CRA|<12 (17)
で表される条件式(17)を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項21】
複数枚のレンズを組み合わせてなる撮像レンズであって、
前記撮像レンズに含まれる正レンズのd線に対する屈折率をNp、
前記正レンズのd線基準のアッベ数をνp、
前記正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNp/dTとし、
dNp/dTの単位を℃-1とした場合、
1.72<Np<1.9 (18)
30<νp<42 (19)
dNp/dT<4.3×10-6 (20)
で表される条件式(18)、(19)、および(20)を満足する第1正レンズを少なくとも1枚含む撮像レンズ。
【請求項22】
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-3×10-6<dNp/dT<4×10-6 (20-1)
で表される条件式(20-1)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項23】
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-3×10-6<dNp/dT<3×10-6 (20-2)
で表される条件式(20-2)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項24】
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-2×10-6<dNp/dT<2×10-6 (20-3)
で表される条件式(20-3)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項25】
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-2×10-6<dNp/dT<1×10-6 (20-4)
で表される条件式(20-4)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項26】
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-1×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-5)
で表される条件式(20-5)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項27】
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-0.2×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-6)
で表される条件式(20-6)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項28】
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-0.9×10-6<dNp/dT<-0.7×10-6 (20-7)
で表される条件式(20-7)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項29】
1.6<Np<1.8 (21)
40<νp<60 (22)
dNp/dT<3.5×10-6 (23)
で表される条件式(21)、(22)、および(23)を満足する第2正レンズを少なくとも1枚含み、
前記撮像レンズに含まれる負レンズのd線に対する屈折率をNn、
前記負レンズのd線基準のアッベ数をνn、
前記負レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNn/dTとし、
dNn/dTの単位を℃-1とした場合、
1.55<Nn<1.9 (24)
35<νn<65 (25)
4×10-6<dNn/dT (26)
で表される条件式(24)、(25)、および(26)を満足する負レンズを少なくとも1枚含んだ上で、
前記撮像レンズに含まれるレンズのd線基準のアッベ数をνd、
前記撮像レンズに含まれるレンズのg線とF線間の部分分散比をθgFとした場合、
60<νd (27)
で表される条件式(27)を満足する特定レンズを少なくとも1枚含む場合、前記特定レンズのうちの少なくとも1枚は、
0.6<θgF+0.001618×νd<0.686 (28)
で表される条件式(28)を満足する請求項21に記載の撮像レンズ。
【請求項30】
請求項1から請求項29のいずれか1項に記載の撮像レンズを備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、撮像レンズ、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FA(Factory Automation)用カメラ、およびMV(Machine Vision)用カメラ等の撮像装置に使用可能な撮像レンズとして、下記特許文献1および特許文献2に記載のレンズ系が知られている。また、車載カメラ等の撮像装置に使用可能な撮像レンズとして、下記特許文献3に記載のレンズ系が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-052349号公報
【特許文献2】特開2017-146518号公報
【特許文献3】特許第6967924号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型で軽量に構成され、良好な光学性能を保持する撮像レンズが要望されている。これらの要求レベルは、年々高まっている。
【0005】
本開示は、小型化および軽量化が図られ、良好な光学性能を保持する撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなり、第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して、負メニスカスレンズと、負レンズとを含み、
0.3<Bf/(f×tanω)<1.75 (1)
で表される条件式(1)を満足する。
条件式(1)の記号は、以下のように定義されている。無限遠物体に合焦した状態における全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとしている。無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離をfとしている。無限遠物体に合焦した状態における最大半画角をωとしている。
【0007】
fの単位をミリメートルとし、無限遠物体に合焦した状態における全系のFナンバーをFNoとした場合、上記態様の撮像レンズは、
0.6<f/FNo<4.3 (2)
で表される条件式(2)を満足することが好ましい。
【0008】
第1レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、第2レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含むことが好ましい。その場合、上記態様の撮像レンズは、
52<(ν2cp-ν2cn)-(ν1cp-ν1cn)<170 (3)
で表される条件式(3)を満足することが好ましい。
条件式(3)の記号は、以下のように定義されている。第1レンズ群の接合レンズの正レンズのd線基準のアッベ数をν1cpとしている。第1レンズ群の接合レンズの負レンズのd線基準のアッベ数をν1cnとしている。第2レンズ群の接合レンズの正レンズのd線基準のアッベ数をν2cpとしている。第2レンズ群の接合レンズの負レンズのd線基準のアッベ数をν2cnとしている。
【0009】
第1レンズ群の最も像側のレンズと、第2レンズ群の最も物体側のレンズとの光軸上の距離をDG12とし、無限遠物体に合焦した状態における、第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLとした場合、上記態様の撮像レンズは、
0<DG12/TL<0.11 (4)
で表される条件式(4)を満足することが好ましい。
【0010】
第1レンズ群の焦点距離をfG1とした場合、上記態様の撮像レンズは、
-0.8<f/fG1<0.6 (5)
で表される条件式(5)を満足することが好ましい。
【0011】
第2レンズ群の焦点距離をfG2とした場合、上記態様の撮像レンズは、
0.4<f/fG2<1 (6)
で表される条件式(6)を満足することが好ましい。
【0012】
第2レンズ群が最も像側に正レンズを含む構成において、第2レンズ群の焦点距離をfG2とし、第2レンズ群の最も像側の正レンズの焦点距離をfzpとした場合、上記態様の撮像レンズは、
0.1<fG2/fzp<1 (7)
で表される条件式(7)を満足することが好ましい。
【0013】
撮像レンズが含む正レンズのうちの最も物体側の正レンズより物体側に配置された全ての負レンズのd線に対する屈折率の平均値をN1naveとした場合、上記態様の撮像レンズは、
1.43<N1nave<1.9 (8)
で表される条件式(8)を満足することが好ましい。
【0014】
撮像レンズが含む全ての正レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνpaveとし、撮像レンズが含む全ての負レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνnaveとした場合、上記態様の撮像レンズは、
-16<νpave-νnave<20 (9)
で表される条件式(9)を満足することが好ましい。
【0015】
無限遠物体に合焦した状態における、第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLとした場合、上記態様の撮像レンズは、
3<TL/f<6.5 (10)
で表される条件式(10)を満足することが好ましい。
【0016】
第1レンズ群の焦点距離をfG1とし、第2レンズ群の焦点距離をfG2とした場合、上記態様の撮像レンズは、
-1.3<fG2/fG1<0.9 (11)
で表される条件式(11)を満足することが好ましい。
【0017】
第1レンズ群の最も像側のレンズのd線基準のアッベ数をν1zとした場合、上記態様の撮像レンズは、
16<ν1z<45 (12)
で表される条件式(12)を満足することが好ましい。
【0018】
第1レンズ群が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含む構成において、上記態様の撮像レンズは、
1.7<N1cp<2.1 (13)
-0.5×10-6<dN1cp/dT<6.5×10-6 (14)
で表される条件式(13)および(14)を満足することが好ましい。
条件式(13)および(14)の記号は、以下のように定義されている。第1レンズ群の接合レンズの正レンズのd線に対する屈折率をN1cpとしている。第1レンズ群の接合レンズの正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1cp/dTとしている。dN1cp/dTの単位を℃-1としている。
【0019】
第1レンズ群の最も像側のレンズが正の屈折力を有する単レンズである構成において、上記単レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1s/dTとし、dN1s/dTの単位を℃-1とした場合、上記態様の撮像レンズは、
-0.5×10-6<dN1s/dT<9×10-6 (15)
で表される条件式(15)を満足することが好ましい。
【0020】
無限遠物体に合焦した状態における、絞りから第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をDstとした場合、上記態様の撮像レンズは、
2<Dst/(f×tanω)<3.8 (16)
で表される条件式(16)を満足することが好ましい。
【0021】
第1レンズ群は、3枚もしくは4枚の負レンズと、2枚の正レンズとからなることが好ましい。
【0022】
第2レンズ群は、2枚もしくは3枚の負レンズと、3枚の正レンズとからなることが好ましい。
【0023】
第1レンズ群の最も像側のレンズは、物体側の面の曲率半径の絶対値より像側の面の曲率半径の絶対値が大きいことが好ましい。
【0024】
絞りの像側に空気間隔を隔て絞りに隣接して、像側の面の曲率半径の絶対値より物体側の面の曲率半径の絶対値が大きい正レンズが配置されることが好ましい。
【0025】
像面に入射する最大半画角の主光線と、光軸に平行な軸線とのなす角度をCRAとし、CRAの単位を度とした場合、上記態様の撮像レンズは、
0≦|CRA|<12 (17)
で表される条件式(17)を満足することが好ましい。
【0026】
本開示の第2の態様の撮像レンズは、複数枚のレンズを組み合わせてなる撮像レンズであって、
1.72<Np<1.9 (18)
30<νp<42 (19)
dNp/dT<4.3×10-6 (20)
で表される条件式(18)、(19)、および(20)を満足する第1正レンズを少なくとも1枚含む。
条件式(18)~(20)の記号は、以下のように定義されている。撮像レンズに含まれる正レンズのd線に対する屈折率をNpとしている。上記正レンズのd線基準のアッベ数をνpとしている。上記正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNp/dTとしている。dNp/dTの単位を℃-1としている。
【0027】
条件式(18)、(19)、および(20)を満足する第1正レンズは、下記条件式(20-1)、(20-2)、(20-3)、(20-4)、(20-5)、(20-6)、および(20-7)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
-3×10-6<dNp/dT<4×10-6 (20-1)
-3×10-6<dNp/dT<3×10-6 (20-2)
-2×10-6<dNp/dT<2×10-6 (20-3)
-2×10-6<dNp/dT<1×10-6 (20-4)
-1×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-5)
-0.2×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-6)
-0.9×10-6<dNp/dT<-0.7×10-6 (20-7)
【0028】
本開示の第2の態様の撮像レンズは、
1.6<Np<1.8 (21)
40<νp<60 (22)
dNp/dT<3.5×10-6 (23)
で表される条件式(21)、(22)、および(23)を満足する第2正レンズを少なくとも1枚含み、
1.55<Nn<1.9 (24)
35<νn<65 (25)
4×10-6<dNn/dT (26)
で表される条件式(24)、(25)、および(26)を満足する負レンズを少なくとも1枚含んだ上で、
60<νd (27)
で表される条件式(27)を満足する特定レンズを少なくとも1枚含む場合、特定レンズのうちの少なくとも1枚は、
0.6<θgF+0.001618×νd<0.686 (28)
で表される条件式(28)を満足することが好ましい。
条件式(24)~(28)の記号は、以下のように定義されている。撮像レンズに含まれる負レンズのd線に対する屈折率をNnとしている。上記負レンズのd線基準のアッベ数をνnとしている。上記負レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNn/dTとしている。dNn/dTの単位を℃-1としている。撮像レンズに含まれるレンズのd線基準のアッベ数をνdとしている。撮像レンズに含まれるレンズのg線とF線間の部分分散比をθgFとしている。
【0029】
本開示の別の態様に係る撮像装置は、本開示の第1の態様の撮像レンズおよび第2の態様の撮像レンズの少なくとも一方を備えている。
【0030】
なお、本明細書の「~からなり」、「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、およびカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0031】
本明細書の「正の屈折力を有する~群」は、群全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有する~群」は、群全体として負の屈折力を有することを意味する。「正の屈折力を有するレンズ」は、正レンズと同義である。
【0032】
「単レンズ」は、接合されていない1枚のレンズである。但し、複合非球面レンズ(レンズ(例えば球面レンズ)と、そのレンズ上に形成された非球面形状の膜とが一体的に構成されて、全体として1つの非球面レンズとして機能するレンズ)は、接合レンズとは見なさず、1枚のレンズとして扱う。非球面を含むレンズに関する曲率半径、屈折力の符号、および面形状は、特に断りが無い限り、近軸領域のものを用いる。曲率半径の符号は、物体側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、像側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負とする。
【0033】
本明細書の「全系」は、撮像レンズを意味する。条件式で用いている「焦点距離」は、近軸焦点距離である。条件式で用いている「光軸上の距離」は、特に断りが無い限り、幾何学的距離である。条件式で用いている値は、特に断りがない限り、無限遠物体に合焦した状態においてd線を基準とした場合の値である。
【0034】
本明細書に記載の「d線」、「C線」、「F線」、および「g線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)、g線の波長は435.84nm(ナノメートル)として扱う。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、小型化および軽量化が図られ、良好な光学性能を保持する撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施例1の撮像レンズに対応し、一実施形態に係る撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図2】CRAを説明するための図である
図3】実施例1の撮像レンズの各収差図である。
図4】実施例2の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図5】実施例2の撮像レンズの各収差図である。
図6】実施例3の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図7】実施例3の撮像レンズの各収差図である。
図8】実施例4の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図9】実施例4の撮像レンズの各収差図である。
図10】実施例5の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図11】実施例5の撮像レンズの各収差図である。
図12】実施例6の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図13】実施例6の撮像レンズの各収差図である。
図14】実施例7の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図15】実施例7の撮像レンズの各収差図である。
図16】実施例8の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図17】実施例8の撮像レンズの各収差図である。
図18】実施例9の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図19】実施例9の撮像レンズの各収差図である。
図20】実施例10の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図21】実施例10の撮像レンズの各収差図である。
図22】実施例11の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図23】実施例11の撮像レンズの各収差図である。
図24】実施例12の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図25】実施例12の撮像レンズの各収差図である。
図26】実施例13の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図27】実施例13の撮像レンズの各収差図である。
図28】実施例14の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図29】実施例14の撮像レンズの各収差図である。
図30】実施例15の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図31】実施例15の撮像レンズの各収差図である。
図32】実施例16の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図33】実施例16の撮像レンズの各収差図である。
図34】実施例17の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図35】実施例17の撮像レンズの各収差図である。
図36】実施例18の撮像レンズの構成と光束を示す断面図である。
図37】実施例18の撮像レンズの各収差図である。
図38】一実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。
【0038】
まず、本開示の第1の実施形態に係る撮像レンズについて説明する。図1に、本開示の第1の実施形態に係る撮像レンズの構成と光束の断面図を示す。図1では光束として、軸上光束2、および最大半画角ωの軸外光束3を示す。図1では、左側が物体側であり、右側が像側であり、無限遠物体に合焦した状態を示す。図1に示す例は後述の実施例1の撮像レンズに対応している。
【0039】
図1では、撮像レンズが撮像装置に適用されることを想定して、撮像レンズと像面Simとの間に平行平板状の光学部材PPが配置された例を示している。光学部材PPは、各種フィルタ、および/又はカバーガラス等を想定した部材である。各種フィルタは、ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ、および/又は特定の波長域をカットするフィルタ等である。光学部材PPは屈折力を有しない部材である。光学部材PPを省略して撮像装置を構成することも可能である。
【0040】
第1の実施形態に係る撮像レンズは、単焦点光学系であり、光軸Zに沿って物体側から像側へ順に、屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、負の屈折力を有するレンズ群であってもよく、もしくは、正の屈折力を有するレンズ群であってもよい。開口絞りStの物体側および像側にレンズを配置することによって収差補正が容易となる。本実施形態の撮像レンズと異なり、第2レンズ群G2が負の屈折力を有するレンズ群である場合は、光束を発散させる作用によって必然的に合焦位置が遠くなり、小型化が困難となる。これに対して、本実施形態では、第2レンズ群G2が正の屈折力を有するため、その収束作用によって小型化が容易となる。
【0041】
一例として、図1の撮像レンズの各レンズ群は以下のように構成されている。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。なお、図1の開口絞りStは大きさおよび形状を示すのではなく、光軸方向の位置を示す。
【0042】
第1レンズ群G1は、最も物体側から像側へ順に連続して、負メニスカスレンズと、負レンズとを含む。この構成によれば、高次の歪曲収差を抑制することができる。第1レンズ群G1は、最も物体側から像側へ順に連続して、負メニスカスレンズと、負レンズと、負レンズとを含むように構成してもよい。このようにした場合は、高次の歪曲収差を抑制することがより容易となる。なお、本明細書において、収差に関する「高次」とは、5次以上を意味する。
【0043】
第1レンズ群G1は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、軸上色収差および倍率色収差の補正に有利となる。第2レンズ群G2は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、軸上色収差および倍率色収差の補正に有利となる。第1レンズ群G1が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、かつ、第2レンズ群G2が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含むように構成した場合は、軸上色収差および倍率色収差の補正により有利となる。
【0044】
第1レンズ群G1が含む接合レンズは、物体側から順に、負レンズと正レンズとが接合されて構成されていてもよい。第1レンズ群G1が含む接合レンズは、物体側に凸形状を向けた接合面を有するように構成してもよい。このようにした場合は、波長ごとの非点収差の差の抑制に有利となる。第2レンズ群G2が含む接合レンズは、物体側から順に、正レンズと負レンズとが接合されて構成されていてもよい。第2レンズ群G2が含む接合レンズは、像側に凸形状を向けた接合面を有するように構成してもよい。このようにした場合は、波長ごとの非点収差の差の抑制に有利となる。
【0045】
第1レンズ群G1は、3枚の負レンズと、2枚の正レンズとからなるように構成してもよく、もしくは、第1レンズ群G1は、4枚の負レンズと、2枚の正レンズとからなるように構成してもよい。負レンズの枚数を3枚以上にすることによって、急速に光線を曲げない構成が容易となるため、収差の発生の抑制に有利となる。正レンズの枚数を2枚以上にすることによって、軸上色収差および倍率色収差の補正に有利となる。第1レンズ群G1全体のレンズ枚数を5枚もしくは6枚にすることによって、光学系全長の短縮に有利となる。
【0046】
第1レンズ群G1の最も像側のレンズは、正の屈折力を有する単レンズであることが好ましい。このようにした場合は、この単レンズの物体側の面の曲率半径の自由度を活用して、球面収差およびタンジェンシャル方向の非点収差を補正することが容易となる。
【0047】
第1レンズ群G1の最も像側のレンズは、物体側の面の曲率半径の絶対値より像側の面の曲率半径の絶対値が大きいことが好ましい。このようにした場合は、非点収差および球面収差の補正が容易となる。
【0048】
第2レンズ群G2は、2枚の負レンズと、3枚の正レンズとからなるように構成してもよく、もしくは、第2レンズ群G2は、3枚の負レンズと、3枚の正レンズとからなるように構成してもよい。負レンズの枚数を2枚以上にすることによって、軸上色収差および倍率色収差の補正に有利となる。正レンズの枚数を3枚以上にすることによって、急速に光線を曲げない構成が容易となるため、収差の発生の抑制に有利となる。第2レンズ群G2全体のレンズ枚数を5枚もしくは6枚にすることによって、光学系全長の短縮に有利となる。
【0049】
第2レンズ群G2は最も像側に正レンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、主光線の像面Simへの入射角度を低減することに有利となる。
【0050】
開口絞りStの像側に空気間隔を隔て開口絞りStに隣接して、像側の面の曲率半径の絶対値より物体側の面の曲率半径の絶対値が大きい正レンズが配置されることが好ましい。このようにした場合は、非点収差および球面収差の補正が容易となる。
【0051】
以下に、条件式に関する本実施形態の撮像レンズの好ましい構成について述べる。以下の条件式の説明では、冗長さを避けるため、定義が同じものには同じ記号を用いて記号の重複説明を省略する。また、以下の条件式の説明では、冗長さを避けるため「本実施形態の撮像レンズ」を単に「撮像レンズ」という。
【0052】
撮像レンズは下記条件式(1)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態における全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBfとしている。無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離をfとしている。無限遠物体に合焦した状態における最大半画角をωとしている。tanは正接である。なお、本明細書において、「全系の空気換算距離でのバックフォーカス」は、撮像レンズの最も像側のレンズ面から像面Simまでの光軸上の空気換算距離を指す。条件式(1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、イメージサークルに対してバックフォーカスが短くなり過ぎないため、第2レンズ群G2の小径化に有利となる。これによって、小型化および軽量化に有利となる。条件式(1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、イメージサークルに対してバックフォーカスが長くなり過ぎないため、光学系全長の短縮に有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(1-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(1-2)を満足することがさらに好ましく、下記条件式(1-3)を満足することがさらにより好ましい。
0.3<Bf/(f×tanω)<1.75 (1)
0.4<Bf/(f×tanω)<1.7 (1-1)
0.5<Bf/(f×tanω)<1.65 (1-2)
0.6<Bf/(f×tanω)<1.6 (1-3)
【0053】
撮像レンズは下記条件式(2)を満足することが好ましい。ここでは、fの単位をミリメートルとしている。無限遠物体に合焦した状態における全系のFナンバーをFNoとしている。なお、開口絞りStの開口径が可変の場合は、FNoは開放Fナンバーの値とする。条件式(2)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、光学系が小さくなり過ぎないため、収差補正に有利となる。条件式(2)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系が大きくなり過ぎないため、軽量化に有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(2-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(2-2)を満足することがさらに好ましく、下記条件式(2-3)を満足することがさらにより好ましく、下記条件式(2-4)を満足することがさらにより一層好ましい。
0.6<f/FNo<4.3 (2)
0.6<f/FNo<4 (2-1)
0.7<f/FNo<3 (2-2)
0.8<f/FNo<2.5 (2-3)
0.9<f/FNo<1.7 (2-4)
【0054】
第1レンズ群G1が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、かつ、第2レンズ群G2が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含む構成において、撮像レンズは下記条件式(3)を満足することが好ましい。ここでは、第1レンズ群G1の接合レンズの正レンズのd線基準のアッベ数をν1cpとしている。第1レンズ群G1の接合レンズの負レンズのd線基準のアッベ数をν1cnとしている。第2レンズ群G2の接合レンズの正レンズのd線基準のアッベ数をν2cpとしている。第2レンズ群G2の接合レンズの負レンズのd線基準のアッベ数をν2cnとしている。条件式(3)を満足することによって、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2で発生する軸上色収差および倍率色収差のバランスを良好に保つことが容易となるため、高性能化の維持に有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(3-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(3-2)を満足することがさらに好ましく、下記条件式(3-3)を満足することがさらにより好ましい。
52<(ν2cp-ν2cn)-(ν1cp-ν1cn)<170 (3)
53<(ν2cp-ν2cn)-(ν1cp-ν1cn)<155 (3-1)
54<(ν2cp-ν2cn)-(ν1cp-ν1cn)<140 (3-2)
55<(ν2cp-ν2cn)-(ν1cp-ν1cn)<125 (3-3)
【0055】
撮像レンズは下記条件式(4)を満足することが好ましい。ここでは、第1レンズ群G1の最も像側のレンズと、第2レンズ群G2の最も物体側のレンズとの光軸上の距離をDG12としている。無限遠物体に合焦した状態における、第1レンズ群G1の最も物体側のレンズ面から第2レンズ群G2の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLとしている。一例として、図1に上記の距離DG12を示す。条件式(4)の下限については、DG12もTLも距離であるため、DG12>0、かつTL>0であり、このため、DG12/TL>0となる。条件式(4)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系全長の増大の抑制に有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(4-1)を満足することがより好ましく、下記条件式(4-2)を満足することがさらに好ましく、下記条件式(4-3)を満足することがさらにより好ましい。
0<DG12/TL<0.11 (4)
0<DG12/TL<0.09 (4-1)
0<DG12/TL<0.07 (4-2)
0<DG12/TL<0.06 (4-3)
【0056】
第1レンズ群G1の焦点距離をfG1とした場合、撮像レンズは下記条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1の負の屈折力が強くなり過ぎないため、強く発散させられた光束が第2レンズ群G2に入射することを防止できる。仮に、強く発散させられた光束が第2レンズ群G2に入射する場合は、良好な性能を保持しながらこの発散光束を収束させるために多数枚のレンズが必要になるという不都合が生じる。条件式(5)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、このような不都合を回避できるため、小型化および軽量化に有利となる。条件式(5)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1の正の屈折力が強くなり過ぎないため、強く収束させられた光束が第2レンズ群G2に入射することを防止でき、これによって、バックフォーカスの確保が容易になる。仮に、強く収束させられた光束が第2レンズ群G2に入射する場合は、この収束光束が第2レンズ群G2の正の屈折力によってさらに収束させられるため、バックフォーカスの確保が困難になる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(5-1)を満足することがより好ましい。
-0.8<f/fG1<0.6 (5)
-0.7<f/fG1<0.5 (5-1)
【0057】
第2レンズ群G2の焦点距離をfG2とした場合、撮像レンズは下記条件式(6)を満足することが好ましい。条件式(6)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の屈折力が弱くなり過ぎないため、像面上に光束を収束させるための距離が長くなり過ぎることもなく、これによって、光学系全長の短縮に有利となる。条件式(6)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の屈折力が強くなり過ぎないため、バックフォーカスの確保が容易になる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(6-1)を満足することがより好ましい。
0.4<f/fG2<1 (6)
0.5<f/fG2<0.9 (6-1)
【0058】
第2レンズ群G2が最も像側に正レンズを含む構成において、撮像レンズは下記条件式(7)を満足することが好ましい。ここでは、第2レンズ群G2の焦点距離をfG2としている。第2レンズ群G2の最も像側の正レンズの焦点距離をfzpとしている。条件式(7)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、主光線の像面Simへの入射角度を低減することに有利となる。条件式(7)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、非点収差および球面収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(7-1)を満足することがより好ましい。
0.1<fG2/fzp<1 (7)
0.2<fG2/fzp<0.9 (7-1)
【0059】
撮像レンズは下記条件式(8)を満足することが好ましい。ここでは、撮像レンズが含む正レンズのうちの最も物体側の正レンズより物体側に配置された全ての負レンズのd線に対する屈折率の平均値をN1naveとしている。例えば、図1の例では、撮像レンズが含む正レンズのうちの最も物体側の正レンズはレンズ14であるから、レンズL11、L12、およびL13の3枚の負レンズのd線に対する屈折率の平均値がN1naveとなる。条件式(8)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1内の物体側に配置された負レンズの屈折力が弱くなり過ぎないため、広角化に有利となる。仮に、条件式(8)の対応値が下限以下となった場合に広角化をしようとすると、負レンズの枚数を増やさなくてはいけなくなり、光学系全長が増大してしまうという不都合が生じる。条件式(8)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、このような不都合を回避できるため、小型化および軽量化に有利となる。条件式(8)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1内の物体側に配置された負レンズの屈折力が強くなり過ぎないため、波長ごとの高次の球面収差の発生を抑制でき、これによって、広い波長域での色収差の補正が容易になる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(8-1)を満足することがより好ましい。
1.43<N1nave<1.9 (8)
1.43<N1nave<1.85 (8-1)
【0060】
撮像レンズは下記条件式(9)を満足することが好ましい。ここでは、撮像レンズが含む全ての正レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνpaveとしている。撮像レンズが含む全ての負レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνnaveとしている。条件式(9)は、広い波長域で良好に色収差を補正するための条件式である。条件式(9)を満足することによって、1次の色消補正効果を良好に得ることができる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(9-1)を満足することがより好ましい。
-16<νpave-νnave<20 (9)
-14<νpave-νnave<18 (9-1)
【0061】
撮像レンズは下記条件式(10)を満足することが好ましい。条件式(10)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、各レンズの屈折力が強くなり過ぎないため、波長ごとの高次の球面収差の発生を抑制でき、これによって、広い波長域での色収差補正が容易になる。条件式(10)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系全長の短縮に有利となるため、市場で要求される小型化に対応することが容易となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(10-1)を満足することがより好ましい。
3<TL/f<6.5 (10)
3.5<TL/f<6 (10-1)
【0062】
撮像レンズは下記条件式(11)を満足することが好ましい。条件式(11)を満足することによって、各レンズ群の屈折力の対称性を良好に保つことができるため、倍率色収差および歪曲収差の補正が容易になる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(11-1)を満足することがより好ましい。
-1.3<fG2/fG1<0.9 (11)
-1.1<fG2/fG1<0.7 (11-1)
【0063】
第1レンズ群G1の最も像側のレンズのd線基準のアッベ数をν1zとした場合、撮像レンズは下記条件式(12)を満足することが好ましい。条件式(12)を満足することによって、倍率色収差および軸上色収差の補正が容易になる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(12-1)を満足することがより好ましい。
16<ν1z<45 (12)
18<ν1z<43 (12-1)
【0064】
第1レンズ群G1が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含む構成において、撮像レンズは下記条件式(13)を満足することが好ましい。ここでは、第1レンズ群G1の接合レンズの正レンズのd線に対する屈折率をN1cpとしている。条件式(13)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、大きな正の非点収差、および負の歪曲収差の発生を抑制できる。条件式(13)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、負の非点収差、および正の歪曲収差の発生を抑制できる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(13-1)を満足することがより好ましい。
1.7<N1cp<2.1 (13)
1.75<N1cp<2.05 (13-1)
【0065】
第1レンズ群G1が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含む構成において、撮像レンズは下記条件式(14)を満足することが好ましい。ここでは、第1レンズ群G1の接合レンズの正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1cp/dTとしている。dN1cp/dTの単位を℃-1としている。球面収差および軸上色収差の補正を行おうとすると、第1レンズ群G1の接合レンズの正レンズの中心厚は厚くなるため、適切な温度係数をもつ材料を使用することが好ましい。条件式(14)を満足することによって、温度変化に対するピント(合焦位置)移動量を抑制できるため、高性能を維持することに有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(14-1)を満足することがより好ましい。
-0.5×10-6<dN1cp/dT<6.5×10-6 (14)
-0.2×10-6<dN1cp/dT<6×10-6 (14-1)
【0066】
第1レンズ群G1が1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含む構成において、撮像レンズは条件式(13)および(14)を満足することがより好ましい。撮像レンズは、条件式(13)および(14)を満足した上で、条件式(13-1)および(14-1)の少なくとも一方を満足することがさらに好ましい。
【0067】
第1レンズ群G1の最も像側のレンズが正の屈折力を有する単レンズである構成において、撮像レンズは下記条件式(15)を満足することが好ましい。ここでは、上記単レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1s/dTとしている。dN1s/dTの単位を℃-1としている。非点収差の補正を行おうとすると、上記単レンズの中心厚は厚くなるため、適切な温度係数をもつ材料を使用することが好ましい。条件式(15)を満足することによって、温度変化に対するピント移動量を抑制できるため、高性能を維持することに有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(15-1)を満足することがより好ましい。
-0.5×10-6<dN1s/dT<9×10-6 (15)
-0.2×10-6<dN1s/dT<8.5×10-6 (15-1)
【0068】
撮像レンズは下記条件式(16)を満足することが好ましい。ここでは、無限遠物体に合焦した状態における、開口絞りStから第2レンズ群G2の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をDstとしている。条件式(16)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、像面Simに配置されるセンサへの主光線の入射角度を低減することができるため、周辺光量の低下を抑制できる。条件式(16)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、光学系全長の短縮に有利となる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(16-1)を満足することがより好ましい。
2<Dst/(f×tanω)<3.8 (16)
2.2<Dst/(f×tanω)<3.6 (16-1)
【0069】
像面Simに入射する最大半画角ωの主光線と、光軸Zに平行な軸線とのなす角度をCRAとした場合、撮像レンズは下記条件式(17)を満足することが好ましい。ここでは、CRAの単位を度としている。条件式(17)はテレセントリック性に関する式である。条件式(17)の下限については、|CRA|は絶対値のため0≦|CRA|となる。条件式(17)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、像面Simに配置されるセンサへの主光線の入射角度を低減することができるため、周辺光量の低下を抑制できる。より良好な特性を得るためには、撮像レンズは下記条件式(17-1)を満足することがより好ましい。
0≦|CRA|<12 (17)
0≦|CRA|<10 (17-1)
【0070】
図2に、図1の撮像レンズのレンズL25、光学部材PP、および像面Simの各上部を含む部分拡大図を示し、一例として、上記の角度CRAを示す。図2では、像面Simに入射する最大半画角ωの主光線3Cを実線で示し、主光線3Cと像面Simとの交点を通り光軸Zに平行な軸線Zpを破線で示している。
【0071】
上述した第1の実施形態に関する好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。撮像レンズが満足することが好ましい条件式は、式の形式で記載された条件式に限定されず、好ましいとして列挙された条件式の中から下限と上限とを任意に組み合わせて得られる全ての条件式を含む。
【0072】
一例として、第1の実施形態に係る撮像レンズの好ましい一態様は、物体側から像側へ順に、屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなり、第1レンズ群G1は、最も物体側から像側へ順に連続して、負メニスカスレンズと、負レンズとを含み、上記条件式(1)を満足する。
【0073】
次に、本開示の第2の実施形態に係る撮像レンズについて説明する。図1に示す例は本開示の第2の実施形態の構成も有している。第2の実施形態に係る撮像レンズは、複数枚のレンズを組み合わせてなる撮像レンズであって、下記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する正レンズを少なくとも1枚含む。ここでは、撮像レンズに含まれる正レンズについて以下のように記号を定義している。正レンズのd線に対する屈折率をNpとしている。正レンズのd線基準のアッベ数をνpとしている。正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNp/dTとしている。dNp/dTの単位を℃-1としている。
1.72<Np<1.9 (18)
30<νp<42 (19)
dNp/dT<4.3×10-6 (20)
【0074】
条件式(18)、(19)、および(20)を満足する正レンズと、他の一般的な光学材料からなるレンズとを組み合わせることによって、色収差と、温度変化の際のピント移動とを良好に補正することができる。これによって、小型で軽量に構成され、良好な光学性能を保持する撮像レンズの実現が容易となる。以下では、条件式(18)、(19)、および(20)を満足する正レンズを第1正レンズと呼ぶ。
【0075】
条件式(18)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、温度が変化した際のピント移動を補正する効果(以下では説明の便宜上、温度補正効果という)を得るための十分な屈折力を確保することが容易となる。光学材料は、概略的には、屈折率が高くなるとアッベ数が小さくなるという傾向がある。条件式(18)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、屈折率が高くなり過ぎないため、色収差補正に求められるアッベ数を確保することが容易となる。より良好な特性を得るためには、第1正レンズは下記条件式(18-1)を満足することがより好ましい。
1.76<Np<1.86 (18-1)
【0076】
条件式(19)を満足することによって、倍率色収差および軸上色収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、第1正レンズは下記条件式(19-1)を満足することがより好ましい。
33<νp<40 (19-1)
【0077】
条件式(20)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、温度補正効果が弱くなり過ぎないため、温度変化に対するピント移動量を抑制できる。
【0078】
第1正レンズは、さらに下記条件式(20-1)を満足することが好ましい。条件式(20-1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、温度変化に対するピント移動量が大きくなり過ぎないため、温度変化の際のピント移動の補正が過剰になることを抑制できる。条件式(20-1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、条件式(20)の効果をより顕著なものとすることが可能となる。より良好な特性を得るためには、第1正レンズは下記条件式(20-2)、(20-3)、(20-4)、(20-5)、(20-6)、および(20-7)のいずれかを満足することがより好ましい。
-3×10-6<dNp/dT<4×10-6 (20-1)
-3×10-6<dNp/dT<3×10-6 (20-2)
-2×10-6<dNp/dT<2×10-6 (20-3)
-2×10-6<dNp/dT<1×10-6 (20-4)
-1×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-5)
-0.2×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-6)
-0.9×10-6<dNp/dT<-0.7×10-6 (20-7)
【0079】
第2の実施形態に係る撮像レンズは、下記条件式(21)、(22)、および(23)を満足する正レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。条件式(21)、(22)、および(23)で用いている記号の定義は、条件式(18)、(19)、および(20)で用いている記号のものと同じである。
1.6<Np<1.8 (21)
40<νp<60 (22)
dNp/dT<3.5×10-6 (23)
【0080】
条件式(21)および(22)を満足するような比較的低い分散かつ高屈折率を有する領域のレンズは、屈折率の温度係数が正の値になるものが多い。条件式(21)、(22)、および(23)を満足する正レンズと、他の一般的な光学材料からなるレンズとを組み合わせることによって、色収差と、温度変化の際のピント移動とを良好に補正することができる。これによって、小型で軽量に構成され、良好な光学性能を保持する撮像レンズの実現が容易となる。以下では、条件式(21)、(22)、および(23)を満足する正レンズを第2正レンズと呼ぶ。
【0081】
条件式(21)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、温度補正効果を得るための十分な屈折力を確保することが容易となる。条件式(21)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、屈折率が高くなり過ぎないため、色収差補正に求められるアッベ数を確保することが容易となる。より良好な特性を得るためには、第2正レンズは下記条件式(21-1)を満足することがより好ましい。
1.65<Np<1.75 (21-1)
【0082】
条件式(22)を満足することによって、倍率色収差および軸上色収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、第2正レンズは下記条件式(22-1)を満足することがより好ましい。
45<νp<55 (22-1)
【0083】
条件式(23)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、温度補正効果が弱くなり過ぎないため、温度変化に対するピント移動量を抑制できる。
【0084】
第2正レンズは、さらに下記条件式(23-1)を満足することが好ましい。条件式(23-1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、温度変化に対するピント移動量が大きくなり過ぎないため、温度変化の際のピント移動の補正が過剰になることを抑制できる。より良好な特性を得るためには、第2正レンズは下記条件式(23-2)を満足することがより好ましく、条件式(23-3)を満足することがさらに好ましい。
-4×10-6<dNp/dT<3.5×10-6 (23-1)
-3×10-6<dNp/dT<2×10-6 (23-2)
-2×10-6<dNp/dT<0×10-6 (23-3)
【0085】
また、第2の実施形態に係る撮像レンズは、下記条件式(24)、(25)、および(26)を満足する負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。ここでは、撮像レンズに含まれる負レンズについて以下のように記号を定義している。負レンズのd線に対する屈折率をNnとしている。負レンズのd線基準のアッベ数をνnとしている。負レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNn/dTとしている。dNn/dTの単位を℃-1としている。
1.55<Nn<1.9 (24)
35<νn<65 (25)
4×10-6<dNn/dT (26)
【0086】
撮像レンズが条件式(24)、(25)、および(26)を満足する負レンズを含むことによって、色収差と、温度変化の際のピント移動とを良好に補正することができる。特に、条件式(24)、(25)、および(26)を満足する負レンズと、条件式(21)、(22)、および(23)を満足する第2正レンズとを組み合わせることによって、色収差と、温度変化の際のピント移動とをさらに良好に補正することができる。すなわち、良好な色収差性能および良好な温度特性を達成することができる。これによって、小型で軽量に構成され、良好な光学性能を保持する撮像レンズの実現が容易となる。以下では、条件式(24)、(25)、および(26)を満足する負レンズを第1負レンズと呼ぶ。
【0087】
条件式(24)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、温度補正効果を得るための十分な屈折力を確保することが容易となる。条件式(24)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、屈折率が高くなり過ぎないため、色収差補正に求められるアッベ数を確保することが容易となる。より良好な特性を得るためには、第1負レンズは下記条件式(24-1)を満足することがより好ましい。
1.6<Nn<1.85 (24-1)
【0088】
条件式(25)を満足することによって、軸上色収差の補正に有利となる。より良好な特性を得るためには、第1負レンズは下記条件式(25-1)を満足することがより好ましい。
40<νn<60 (25-1)
【0089】
条件式(26)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、温度補正効果が弱くなり過ぎないため、温度変化に対するピント移動量を抑制できる。
【0090】
第1負レンズは、さらに下記条件式(26-1)を満足することが好ましい。条件式(26-1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、温度変化に対するピント移動量が大きくなり過ぎないため、温度変化の際のピント移動の補正が過剰になることを抑制できる。より良好な特性を得るためには、第1負レンズは下記条件式(26-2)を満足することがより好ましく、条件式(26-3)を満足することがさらに好ましい。
4×10-6<dNn/dT<16×10-6 (26-1)
5×10-6<dNn/dT<14×10-6 (26-2)
6×10-6<dNn/dT<12×10-6 (26-3)
【0091】
また、第2の実施形態に係る撮像レンズは、下記条件式(27)を満足する特定レンズを少なくとも1枚含む場合、特定レンズのうちの少なくとも1枚は、下記条件式(28)を満足することが好ましい。ここでは、撮像レンズに含まれるレンズのd線基準のアッベ数をνdとしている。撮像レンズに含まれるレンズのg線とF線間の部分分散比をθgFとしている。
60<νd (27)
0.6<θgF+0.001618×νd<0.686 (28)
【0092】
なお、あるレンズのg線、F線、およびC線に対する屈折率をそれぞれNg、NF、およびNCとし、そのレンズのg線とF線間の部分分散比をθgFとした場合、θgFは下式で定義される。
θgF=(Ng-NF)/(NF-NC)
【0093】
条件式(27)および(28)を満足することによって、低分散で異常分散性の大きい高価な光学材料の使用を回避しつつ、色収差を良好に補正することができる。
【0094】
条件式(27)は低分散材料であることを意味する。条件式(27)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、色収差の補正が容易となる。特定レンズは、さらに下記条件式(27-1)を満足することが好ましい。条件式(27-1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、異常分散性の高い高価な材料を使用することを回避できるため、低コスト化に有利となる。
60<νd<80 (27-1)
【0095】
条件式(28)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、適切な異常分散性を確保できるため、色収差の補正に有利となる。条件式(28)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、異常分散性の高い高価な材料を使用することを回避できるため、低コスト化に有利となる。より良好な特性を得るためには、特定レンズは、下記条件式(28-1)を満足することがより好ましく、条件式(28-2)を満足することがさらに好ましい。
0.61<θgF+0.001618×νd<0.676 (28-1)
0.62<θgF+0.001618×νd<0.666 (28-2)
【0096】
第2の実施形態に係る撮像レンズは、少なくとも1枚の第2正レンズと、少なくとも1枚の第1負レンズとを含む構成において、さらに特定レンズを少なくとも1枚含む場合は、特定レンズのうちの少なくとも1枚が条件式(28)を満足することが好ましい。このようにした場合は、色収差と、温度変化の際のピント移動とをさらにより良好に補正することができる。
【0097】
上述した第2の実施形態に関する好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。撮像レンズが満足することが好ましい条件式は、式の形式で記載された条件式に限定されず、好ましいとして列挙された条件式の中から下限と上限とを任意に組み合わせて得られる全ての条件式を含む。
【0098】
なお、図1に示した例は一例であり、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。例えば、各レンズ群に含まれるレンズの数は、図1の例と異なる数にしてもよい。また、第1の実施形態に係る撮像レンズは、第2の実施形態の構成、並びに第2の実施形態に関する好ましい構成および可能な構成を有していてもよい。同様に、第2の実施形態に係る撮像レンズは、第1の実施形態の構成、並びに第1の実施形態に関する好ましい構成および可能な構成を有していてもよい。
【0099】
本開示の撮像レンズにおいては、設計自由度の向上および良好な収差補正のために、いずれかのレンズ面を非球面としてもよい。非球面は、研削加工、又はモールド加工によって形成されたものでもよい。また、非球面を有するレンズとして、複合非球面レンズを用いてもよい。
【0100】
本開示の撮像レンズにおいては、色収差の補正のために、いずれかのレンズ群が、GRIN(Gradient Index Lens)レンズ等の屈折率分布型レンズ、もしくは回折光学素子(Diffractive Optical Element)を有するように構成してもよい。
【0101】
合焦の際、撮像レンズ全体が一体的に移動するように構成してもよい。このようにした場合は、メカ構造が単純となるため、振動等の外乱に起因する性能劣化を低減できる。なお、本明細書において、「一体的に移動する」とは、同時に同方向同量移動することを意味する。
【0102】
広い波長域で透過率を維持するために、撮像レンズは反射防止膜が施されていてもよい。反射防止膜は、使用する波長域全ての反射を抑えるものであってもよいし、いくつかの使用する波長域を選択して、その波長域のみ反射を抑えたものであってもよい。反射防止膜は、ナノレベルの構造体をレンズ表面にモスアイ状に形成して反射を抑えるように構成した特殊なコートを用いたものでもよい。
【0103】
次に、本開示の撮像レンズの実施例について図面を参照して説明する。なお、各実施例の断面図のレンズに付された参照符号は、参照符号の桁数の増大に伴う説明および図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。したがって、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0104】
[実施例1]
実施例1の撮像レンズの構成の断面図は図1に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。
【0105】
実施例1の撮像レンズの基本レンズデータを表1に示す。基本レンズデータの表は以下のように記載されている。「Sn」の列には最も物体側の面を第1面とし像側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。「R」の列には各面の曲率半径を示す。「D」の列には各面とその像側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。「Nd」の列には各構成要素のd線に対する屈折率を示す。「νd」の列には各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。「θgF」の列には各構成要素のg線とF線間の部分分散比を示す。「dN/dT」の列には各構成要素の50℃でのd線に対する屈折率の温度係数に10を乗じた値を示す。
【0106】
基本レンズデータの表では、物体側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、像側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負としている。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には、面番号と(St)という語句を記入している。基本レンズデータの表には光学部材PPも示している。表のDの列の最下欄の値は表中の最も像側の面と像面Simとの間隔である。
【0107】
実施例1の撮像レンズの諸元を表2に示す。諸元の表には、焦点距離f、バックフォーカスBf、FナンバーFNo.、および最大全画角2ωをd線基準で示す。最大全画角の欄の[°]は単位が度であることを示す。表1および表2には、無限遠物体に合焦した状態の値を示す。
【0108】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では予め定められた桁でまるめた数値を記載している。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
図3に、無限遠物体に合焦した状態における実施例1の撮像レンズの各収差図を示す。図3では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。球面収差図では、d線、C線、F線、およびg線における収差をそれぞれ実線、長破線、短破線、および一点鎖線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、F線、およびg線における収差をそれぞれ長破線、短破線、および一点鎖線で示す。球面収差図では「FNo.=」の後にFナンバーの値を示す。その他の収差図では「ω=」の後に最大半画角の値を示す。
【0112】
上記の実施例1に関する各データの記号、意味、記載方法、および図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても基本的に同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0113】
[実施例2]
実施例2の撮像レンズの構成と光束の断面図を図4に示す。実施例2の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0114】
実施例2の撮像レンズについて、基本レンズデータを表3に、諸元を表4に、非球面係数を表5に、各収差図を図5に示す。
【0115】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸の曲率半径の数値を記載している。表5において、Snの行には非球面の面番号を示し、KAおよびAmの行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。なお、Amのmは3以上かつ20以下の整数である(m=3、4、5、...、20)。表5の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KAおよびAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h/{1+(1-KA×C×h1/2}+ΣAm×h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸Zに垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸Zからレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
上記の非球面係数の表記方法は、他の非球面を有する実施例についても同様である。
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【表5】
【0119】
[実施例3]
実施例3の撮像レンズの構成と光束の断面図を図6に示す。実施例3の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L15の5枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0120】
実施例3の撮像レンズについて、基本レンズデータを表6に、諸元を表7に、非球面係数を表8に、各収差図を図7に示す。
【0121】
【表6】
【0122】
【表7】
【0123】
【表8】
【0124】
[実施例4]
実施例4の撮像レンズの構成と光束の断面図を図8に示す。実施例4の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L15の5枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0125】
実施例4の撮像レンズについて、基本レンズデータを表9に、諸元を表10に、非球面係数を表11に、各収差図を図9に示す。
【0126】
【表9】
【0127】
【表10】
【0128】
【表11】
【0129】
[実施例5]
実施例5の撮像レンズの構成と光束の断面図を図10に示す。実施例5の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0130】
実施例5の撮像レンズについて、基本レンズデータを表12に、諸元を表13に、各収差図を図11に示す。
【0131】
【表12】
【0132】
【表13】
【0133】
[実施例6]
実施例6の撮像レンズの構成と光束の断面図を図12に示す。実施例6の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0134】
実施例6の撮像レンズについて、基本レンズデータを表14に、諸元を表15に、各収差図を図13に示す。
【0135】
【表14】
【0136】
【表15】
【0137】
[実施例7]
実施例7の撮像レンズの構成と光束の断面図を図14に示す。実施例7の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L26の6枚のレンズからなる。
【0138】
実施例7の撮像レンズについて、基本レンズデータを表16に、諸元を表17に、各収差図を図15に示す。
【0139】
【表16】
【0140】
【表17】
【0141】
[実施例8]
実施例8の撮像レンズの構成と光束の断面図を図16に示す。実施例8の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L26の6枚のレンズからなる。
【0142】
実施例8の撮像レンズについて、基本レンズデータを表18に、諸元を表19に、各収差図を図17に示す。
【0143】
【表18】
【0144】
【表19】
【0145】
[実施例9]
実施例9の撮像レンズの構成と光束の断面図を図18に示す。実施例9の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L26の6枚のレンズからなる。
【0146】
実施例9の撮像レンズについて、基本レンズデータを表20に、諸元を表21に、各収差図を図19に示す。
【0147】
【表20】
【0148】
【表21】
【0149】
[実施例10]
実施例10の撮像レンズの構成と光束の断面図を図20に示す。実施例10の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L26の6枚のレンズからなる。
【0150】
実施例10の撮像レンズについて、基本レンズデータを表22に、諸元を表23に、各収差図を図21に示す。
【0151】
【表22】
【0152】
【表23】
【0153】
[実施例11]
実施例11の撮像レンズの構成と光束の断面図を図22に示す。実施例11の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0154】
実施例11の撮像レンズについて、基本レンズデータを表24に、諸元を表25に、各収差図を図23に示す。
【0155】
【表24】
【0156】
【表25】
【0157】
[実施例12]
実施例12の撮像レンズの構成と光束の断面図を図24に示す。実施例12の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0158】
実施例12の撮像レンズについて、基本レンズデータを表26に、諸元を表27に、各収差図を図25に示す。
【0159】
【表26】
【0160】
【表27】
【0161】
[実施例13]
実施例13の撮像レンズの構成と光束の断面図を図26に示す。実施例13の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0162】
実施例13の撮像レンズについて、基本レンズデータを表28に、諸元を表29に、各収差図を図27に示す。
【0163】
【表28】
【0164】
【表29】
【0165】
[実施例14]
実施例14の撮像レンズの構成と光束の断面図を図28に示す。実施例14の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0166】
実施例14の撮像レンズについて、基本レンズデータを表30に、諸元を表31に、各収差図を図29に示す。
【0167】
【表30】
【0168】
【表31】
【0169】
[実施例15]
実施例15の撮像レンズの構成と光束の断面図を図30に示す。実施例15の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0170】
実施例15の撮像レンズについて、基本レンズデータを表32に、諸元を表33に、各収差図を図31に示す。
【0171】
【表32】
【0172】
【表33】
【0173】
[実施例16]
実施例16の撮像レンズの構成と光束の断面図を図32に示す。実施例16の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0174】
実施例16の撮像レンズについて、基本レンズデータを表34に、諸元を表35に、各収差図を図33に示す。
【0175】
【表34】
【0176】
【表35】
【0177】
[実施例17]
実施例17の撮像レンズの構成と光束の断面図を図34に示す。実施例17の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0178】
実施例17の撮像レンズについて、基本レンズデータを表36に、諸元を表37に、各収差図を図35に示す。
【0179】
【表36】
【0180】
【表37】
【0181】
[実施例18]
実施例18の撮像レンズの構成と光束の断面図を図36に示す。実施例18の撮像レンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、レンズL11~L16の6枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、レンズL21~L25の5枚のレンズからなる。
【0182】
実施例18の撮像レンズについて、基本レンズデータを表38に、諸元を表39に、各収差図を図37に示す。
【0183】
【表38】
【0184】
【表39】
【0185】
表40~表44に、実施例1~18の撮像レンズの条件式(1)~(28)の対応値を示す。但し、条件式(18)~(20)については、条件式(18)~(20)全てを満足する正レンズ(すなわち、第1正レンズ)の対応値を表に記入している。条件式(21)~(23)については、条件式(21)~(23)全てを満足する正レンズ(すなわち、第2正レンズ)の対応値を表に記入している。条件式(24)~(26)については、条件式(24)~(26)全てを満足する負レンズ(すなわち、第1負レンズ)の対応値を表に記入している。条件式(27)~(28)については、条件式(27)~(28)全てを満足するレンズの対応値を表に記入している。1つの実施例で表に記入すべき対応値が複数種類あるものについては、対応値の欄に括弧書きで対応するレンズの参照符号を記入している。例えば、実施例2の条件式(27)の欄の「64.14(L11)」は、レンズL11の条件式(27)の対応値が64.14であることを示す。表40~表44に示す実施例の対応値を条件式の上限又は下限として用いて、条件式の好ましい範囲を設定してもよい。
【0186】
【表40】
【0187】
【表41】
【0188】
【表42】
【0189】
【表43】
【0190】
【表44】
【0191】
次に、本開示の実施形態に係る撮像装置について説明する。図38に、本開示の一実施形態に係る撮像装置として、本開示の実施形態に係る撮像レンズ1を用いた撮像装置10の概略構成図を示す。撮像装置10としては、例えば、FA(Factory Automation)用カメラ、MV(Machine Vision)用カメラ、デジタルカメラ、監視用カメラ、車載用カメラ、およびシネマ用カメラ等を挙げることができる。
【0192】
撮像装置10は、撮像レンズ1と、撮像レンズ1の像側に配置されたフィルタ4と、撮像素子5と、撮像素子5からの出力信号を演算処理する信号処理部6とを備える。図38では撮像レンズ1が含む、第1レンズ群G1、開口絞りSt、および第2レンズ群G2を概念的に示している。撮像素子5は、撮像レンズ1により形成された被写体の像を撮像して電気信号に変換するものであり、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサ、又はCCD(Charge Coupled Device)センサ等を用いることができる。撮像素子5は、その撮像面が撮像レンズ1の像面に一致するように配置される。
【0193】
以上、実施形態および実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本開示の技術は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、および非球面係数等は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0194】
上記実施例の収差図は、g線からC線の波長の範囲について示しているが、本開示の技術は、この波長範囲に限定されるものではなく、波長範囲を拡大、もしくは縮小した撮像レンズに適用することも可能である。
【0195】
図38では1つの撮像素子のみ図示しているが、本開示の撮像装置は複数の撮像素子を備えるように構成してもよい。本開示の撮像装置は、光学系の光軸上のいずれかの場所に分光プリズムおよび/又はダイクロイックミラーを挿入して、光を波長ごとに分岐して別々の撮像素子で撮像するように構成してもよい。本開示の撮像装置は、光学系の光軸上のいずれかの場所にバンドパスフィルターを挿入して、光の波長帯域を制限するように構成してもよい。
【0196】
本開示の撮像装置は、可視域に対応するカメラに限定されない。本開示の技術は、可視域用カメラ、SWIR(Short Wave Infra-Red:短波赤外)域用カメラ、マルチスペクトルカメラ、ハイパースペクトルカメラ、サーモグラフィカメラ等に適用することも可能である。
【0197】
以上の実施形態および実施例に関し、さらに以下の付記項を開示する。
[付記項1]
物体側から像側へ順に、屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなり、
前記第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して、負メニスカスレンズと、負レンズとを含み、
無限遠物体に合焦した状態における全系の空気換算距離でのバックフォーカスをBf、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離をf、
無限遠物体に合焦した状態における最大半画角をωとした場合、
0.3<Bf/(f×tanω)<1.75 (1)
で表される条件式(1)を満足する撮像レンズ。
[付記項2]
fの単位をミリメートルとし、
無限遠物体に合焦した状態における全系のFナンバーをFNoとした場合、
0.6<f/FNo<4.3 (2)
で表される条件式(2)を満足する付記項1に記載の撮像レンズ。
[付記項3]
前記第1レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、
前記第2レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズのd線基準のアッベ数をν1cp、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記負レンズのd線基準のアッベ数をν1cn、
前記第2レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズのd線基準のアッベ数をν2cp、
前記第2レンズ群の前記接合レンズの前記負レンズのd線基準のアッベ数をν2cnとした場合、
52<(ν2cp-ν2cn)-(ν1cp-ν1cn)<170 (3)
で表される条件式(3)を満足する付記項1又は付記項2に記載の撮像レンズ。
[付記項4]
前記第1レンズ群の最も像側のレンズと、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズとの光軸上の距離をDG12、
無限遠物体に合焦した状態における、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLとした場合、
0<DG12/TL<0.11 (4)
で表される条件式(4)を満足する付記項1から付記項3のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項5]
前記第1レンズ群の焦点距離をfG1とした場合、
-0.8<f/fG1<0.6 (5)
で表される条件式(5)を満足する付記項1から付記項4のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項6]
前記第2レンズ群の焦点距離をfG2とした場合、
0.4<f/fG2<1 (6)
で表される条件式(6)を満足する付記項1から付記項5のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項7]
前記第2レンズ群は最も像側に正レンズを含み、
前記第2レンズ群の焦点距離をfG2、
前記第2レンズ群の最も像側の前記正レンズの焦点距離をfzpとした場合、
0.1<fG2/fzp<1 (7)
で表される条件式(7)を満足する付記項1から付記項6のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項8]
前記撮像レンズが含む正レンズのうちの最も物体側の正レンズより物体側に配置された全ての負レンズのd線に対する屈折率の平均値をN1naveとした場合、
1.43<N1nave<1.9 (8)
で表される条件式(8)を満足する付記項1から付記項7のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項9]
前記撮像レンズが含む全ての正レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνpave、
前記撮像レンズが含む全ての負レンズのd線基準のアッベ数の平均値をνnaveとした場合、
-16<νpave-νnave<20 (9)
で表される条件式(9)を満足する付記項1から付記項8のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項10]
無限遠物体に合焦した状態における、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をTLとした場合、
3<TL/f<6.5 (10)
で表される条件式(10)を満足する付記項1から付記項9のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項11]
前記第1レンズ群の焦点距離をfG1、
前記第2レンズ群の焦点距離をfG2とした場合、
-1.3<fG2/fG1<0.9 (11)
で表される条件式(11)を満足する付記項1から付記項10のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項12]
前記第1レンズ群の最も像側のレンズのd線基準のアッベ数をν1zとした場合、
16<ν1z<45 (12)
で表される条件式(12)を満足する付記項1から付記項11のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項13]
前記第1レンズ群は1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなる接合レンズを含み、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズのd線に対する屈折率をN1cp、
前記第1レンズ群の前記接合レンズの前記正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1cp/dTとし、
dN1cp/dTの単位を℃-1とした場合、
1.7<N1cp<2.1 (13)
-0.5×10-6<dN1cp/dT<6.5×10-6 (14)
で表される条件式(13)および(14)を満足する付記項1から付記項12のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項14]
前記第1レンズ群の最も像側のレンズは正の屈折力を有する単レンズであり、
前記単レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdN1s/dTとし、
dN1s/dTの単位を℃-1とした場合、
-0.5×10-6<dN1s/dT<9×10-6 (15)
で表される条件式(15)を満足する付記項1から付記項13のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項15]
無限遠物体に合焦した状態における、前記絞りから前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、全系の空気換算距離でのバックフォーカスとの和をDstとした場合、
2<Dst/(f×tanω)<3.8 (16)
で表される条件式(16)を満足する付記項1から付記項14のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項16]
前記第1レンズ群は、3枚もしくは4枚の負レンズと、2枚の正レンズとからなる付記項1から付記項15のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項17]
前記第2レンズ群は、2枚もしくは3枚の負レンズと、3枚の正レンズとからなる付記項1から付記項16のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項18]
前記第1レンズ群の最も像側のレンズは、物体側の面の曲率半径の絶対値より像側の面の曲率半径の絶対値が大きい付記項1から付記項17のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項19]
前記絞りの像側に空気間隔を隔て前記絞りに隣接して、像側の面の曲率半径の絶対値より物体側の面の曲率半径の絶対値が大きい正レンズが配置される付記項1から付記項18のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項20]
像面に入射する最大半画角の主光線と、光軸に平行な軸線とのなす角度をCRAとし、
CRAの単位を度とした場合、
0≦|CRA|<12 (17)
で表される条件式(17)を満足する付記項1から付記項19のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項21]
複数枚のレンズを組み合わせてなる撮像レンズであって、
前記撮像レンズに含まれる正レンズのd線に対する屈折率をNp、
前記正レンズのd線基準のアッベ数をνp、
前記正レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNp/dTとし、
dNp/dTの単位を℃-1とした場合、
1.72<Np<1.9 (18)
30<νp<42 (19)
dNp/dT<4.3×10-6 (20)
で表される条件式(18)、(19)、および(20)を満足する第1正レンズを少なくとも1枚含む撮像レンズ。
[付記項22]
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-3×10-6<dNp/dT<4×10-6 (20-1)
で表される条件式(20-1)を満足する付記項21に記載の撮像レンズ。
[付記項23]
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-3×10-6<dNp/dT<3×10-6 (20-2)
で表される条件式(20-2)を満足する付記項21に記載の撮像レンズ。
[付記項24]
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-2×10-6<dNp/dT<2×10-6 (20-3)
で表される条件式(20-3)を満足する付記項21に記載の撮像レンズ。
[付記項25]
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-2×10-6<dNp/dT<1×10-6 (20-4)
で表される条件式(20-4)を満足する付記項21に記載の撮像レンズ。
[付記項26]
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-1×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-5)
で表される条件式(20-5)を満足する付記項21に記載の撮像レンズ。
[付記項27]
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-0.2×10-6<dNp/dT<0×10-6 (20-6)
で表される条件式(20-6)を満足する付記項21に記載の撮像レンズ。
[付記項28]
前記条件式(18)、(19)、および(20)を満足する前記第1正レンズは、
-0.9×10-6<dNp/dT<-0.7×10-6 (20-7)
で表される条件式(20-7)を満足する付記項21に記載の撮像レンズ。
[付記項29]
1.6<Np<1.8 (21)
40<νp<60 (22)
dNp/dT<3.5×10-6 (23)
で表される条件式(21)、(22)、および(23)を満足する第2正レンズを少なくとも1枚含み、
前記撮像レンズに含まれる負レンズのd線に対する屈折率をNn、
前記負レンズのd線基準のアッベ数をνn、
前記負レンズの50℃でのd線に対する屈折率の温度係数をdNn/dTとし、
dNn/dTの単位を℃-1とした場合、
1.55<Nn<1.9 (24)
35<νn<65 (25)
4×10-6<dNn/dT (26)
で表される条件式(24)、(25)、および(26)を満足する負レンズを少なくとも1枚含んだ上で、
前記撮像レンズに含まれるレンズのd線基準のアッベ数をνd、
前記撮像レンズに含まれるレンズのg線とF線間の部分分散比をθgFとした場合、
60<νd (27)
で表される条件式(27)を満足する特定レンズを少なくとも1枚含む場合、前記特定レンズのうちの少なくとも1枚は、
0.6<θgF+0.001618×νd<0.686 (28)
で表される条件式(28)を満足する付記項21から付記項28のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
[付記項30]
付記項1から付記項29のいずれか1項に記載の撮像レンズを備えた撮像装置。
【符号の説明】
【0198】
1 撮像レンズ
2 軸上光束
3 軸外光束
3C 主光線
4 フィルタ
5 撮像素子
6 信号処理部
10 撮像装置
CRA 角度
DG12 距離
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
L11~L26 レンズ
PP 光学部材
Sim 像面
St 開口絞り
Z 光軸
Zp 軸線
ω 最大半画角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
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図38