(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139605
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】麺類用組成物、及び麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20241002BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A23L7/109 A
A23L7/109 B
A23L7/109 C
A23L3/36 A
A23L3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050624
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154597
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 悟郎
(72)【発明者】
【氏名】池村 桃佳
【テーマコード(参考)】
4B022
4B046
【Fターム(参考)】
4B022LA01
4B022LB01
4B022LB05
4B022LJ01
4B022LQ04
4B046LA05
4B046LB04
4B046LB09
4B046LB10
4B046LB20
4B046LC01
4B046LC09
4B046LC12
4B046LC17
4B046LC20
4B046LE05
4B046LE15
4B046LG02
4B046LG04
4B046LG16
4B046LG20
4B046LG29
4B046LG34
4B046LG44
4B046LP03
4B046LP10
4B046LP15
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP69
4B046LP80
4B046LQ10
(57)【要約】
【課題】加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される低加水中華麺においても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が維持された麺類を製造することができる麺類用組成物、及び麺類の製造方法を提供する。
【解決手段】麺類の製造に用いる麺類用組成物であって、硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする麺類用組成物、及び麺生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、前記麺生地を調製する工程に用いられる原料が、硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする麺類の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺類の製造に用いる麺類用組成物であって、
硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、
軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ
膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする麺類用組成物。
【請求項2】
小麦由来のたん白質の含有量が9~16質量%である請求項1に記載の麺類用組成物。
【請求項3】
前記軟質小麦由来の小麦粉Bのたん白質含有量が10~16質量%である請求項1に記載の麺類用組成物。
【請求項4】
前記麺類が、低加水麺類である請求項1に記載の麺類用組成物。
【請求項5】
前記麺類が、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱されて喫食される再加熱麺類である請求項1又は4に記載の麺類用組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の麺類用組成物を原料とする麺類。
【請求項7】
麺類の生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、
前記麺類の生地を調製する工程に用いる原料が、
硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、
軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ
膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする麺類の製造方法。
【請求項8】
麺類の生地を調製する工程において、加水量が、麺類に用いられる粉体材料100質量部に対して、20~30質量部である請求項7に記載の麺類の製造方法。
【請求項9】
未調理の麺類を加熱処理する工程を含み、その後に、冷蔵及び/又は冷凍処理する工程を含む請求項7又は8に記載の麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類用組成物に関し、特に低加水中華麺を製造するための麺類用組成物であって、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される場合であっても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が維持された麺類を製造することができる麺類用組成物、及び麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
博多ラーメンのような低加水中華麺は、中心の粉っぽさと硬さがあり、麺表面と中心部の食感の勾配を有することが特徴である。しかしながら、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される製品の場合、低加水中華麺の特徴である中心の粉っぽさや硬さが失われてしまう場合がある。
【0003】
低加水中華麺の改良に係る研究開発としては、例えば、特許文献1では、博多ラーメンに代表される低加水中華麺を一度茹でて保存した後に再加熱して喫食した場合に、食感の低下を抑えることが出来る低加水中華麺用小麦粉組成物を提供することを目的とし、強力小麦粉とデュラム小麦粉からなる低加水中華麺用小麦粉組成物であって、強力小麦粉の蛋白質含有量が12質量%以上、デュラム小麦粉は粒径が200μm以下、かつ平均粒径が60μm以上100μm以下であり、低加水中華麺用小麦粉組成物中、デュラム小麦粉の配合比率が10質量%以上50質量%以下である低加水中華麺用小麦粉組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術でも、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される低加水中華麺において、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配を十分に維持することは困難であり、さらなる技術が望まれている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される低加水中華麺においても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が維持された麺類を製造することができる麺類用組成物、及び麺類の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、麺類用組成物に用いる穀粉や澱粉の種類について、種々検討した結果、所定の粒度分布を有する軟質小麦由来の小麦粉と、所定の膨潤度を有する澱粉を所定の割合で含有させることによって、上記課題を解決することができることを見出した。
【0008】
すなわち、上記目的は、麺類の製造に用いる麺類用組成物であって、硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする麺類用組成物、及び麺生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、前記麺生地を調製する工程に用いられる原料が、硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする麺類の製造方法によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される低加水中華麺においても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が維持された麺類を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[麺類用組成物]
本発明の麺類用組成物は、麺類の製造に用いる麺類用組成物であって、硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする。上記規定の麺類用組成物を用いて麺類、特に低加水中華麺を製造することで、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される場合であっても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が維持された麺類を製造することができることを見出した。なお、本発明において、「粉体材料」とは、麺類用生地を調製する際に用いる粉状の材料をいうが、水などの液状材料に溶解又は分散させてから他の材料と混合する材料(例えば、実施例における塩など)は、麺類に用いられる粉体材料には含まないものとする。
【0011】
本発明において、小麦粉Aは、硬質小麦由来の小麦粉であればよく、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。例えば、ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)、ハード・レッド・ウインター(HRW)、No.1カナダ・ウェスタン・レッド・スプリング(1CW)、オーストラリアン・プライム・ハード(APH)、オーストラリアン・ハード(AH)、オーストラリアン・プレミアム・ホワイト(APW)、ゆめちから、春よ恋、デュラム小麦等の1種又は2種以上の硬質小麦を原料小麦として得られる小麦粉が挙げられる。通常硬質小麦由来の小麦粉である市販の強力粉を用いてもよい。本発明の麺類用組成物において、小麦粉Aの含有量は特に制限はないが、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がよりさらに好ましい。
【0012】
一般に小麦は、種子の硬さ(硬軟質性)に基づいて硬質小麦と軟質小麦に分類される。種子の硬軟質性は、ピュロインドリン-aとピュロインドリン-bという2種のたん白質の遺伝子の変異によって決定され、野生型が軟質で、これらの遺伝子に変異が起きると硬質になる。
【0013】
本発明において、小麦粉Bの原料小麦は、軟質小麦であればよく、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。ウエスタン・ホワイト(WW)、ソフト・レッド・ウインター(SRW)、日本産のきたほなみ、さとのそら、農林61号、あやひかり、チクゴイズミ、軟質のデュラム小麦等の軟質小麦が挙げられる。これらの原料小麦の1種又は2種以上を用いることができる。なお、小麦の植物学的分類として、上記に列挙した原料小麦のうちデュラム小麦を除く小麦を含む普通系小麦、デュラム小麦を含む二粒系小麦、一粒小麦を含む一粒系小麦があることが知られている。
【0014】
また、本発明において、小麦粉Bは、体積基準の粒子径分布において、粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上であることを特徴とする。小麦粉Bは、粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上であれば特に限定されないが、30%以上であることが好ましく、35%以上であることがさらに好ましい。粒子径10~30μmの粒子の割合をこの範囲にすることで、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される低加水中華麺においても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさがより感じられ、麺表面と中心部の食感の勾配もより大きくなる。本発明において、小麦粉Bは、中心粒子径が15~60μmであることが好ましく、20~50μmであることがさらに好ましく、25~40μmであることがより好ましい。中心粒子径をこの範囲にすることで、より高い効果が得られる。本発明において、粒子径10~30μmの粒子の割合や中心粒子径の割合は、体積基準の粒子径累積分布から決定することができ、レーザー回折式の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、フラウンホーファー回折によって体積基準の粒子径分布を得て、粒子径10~30μmの粒子の割合を算出する。また、体積基準での積算分析曲線の50%に相当する粒子径を中心粒径として算出する。
【0015】
本発明において、小麦粉Bのたん白質含有量の下限は、特に制限はないが、6質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、10.5質量%以上がよりさらに好ましい。また、小麦粉Bのたん白質含有量の上限は、特に制限はないが、例えば16質量%以下であり、15.5質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、14.5質量%以下がさらに好ましい。例えば、軟質のデュラム小麦由来の小麦粉Bの場合は、たん白質含有量は10~16質量%である。本発明において、たん白質含有量は、ケルダール法によって窒素含有量を定量し、窒素-たん白質換算係数(5.70)を乗じて算出した値である。また、小麦粉Bの灰分含有量は、特に制限はないが、0.9質量%以下が好ましく、0.85質量%以下がより好ましく、0.82質量%以下がさらに好ましい。本発明において、灰分含有量は、AACC Method08-02に従って、直接灰化法で測定した値である。
【0016】
本発明の麺類用組成物において、小麦粉Bの含有量は、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%であるが、7~25質量%が好ましく、8~17質量%がより好ましい。
【0017】
本発明において、小麦粉Aは、原料小麦から、一般的な製粉方法を用いて製造することができる。また、小麦粉Bは、所定の粒度分布になるように適切な条件で、一般的な製粉方法を用いて製造することができる。例えば、精選した小麦粒を、加水・テンパリング工程を行った後、ブレーキング工程、リダクション工程等を行うことができる。また、ビーリング工程、粉砕工程、分級工程等を自由に組み合わせて行うことができる。粉砕工程における粉砕方法は、特に限定されないが、例えば、ロールミル、石臼、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて粉砕することができる。
【0018】
本発明において、澱粉Cは、膨潤度3mL以下であることが特徴である。澱粉Cは膨潤度3mL以下であれば特に限定されないが、2.6mL以下が好ましく、2mL以下がより好ましく、1.5mLがさらに好ましく、1mL以下がよりさらに好ましい。膨潤度をこの範囲にすることで、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱して喫食される低加水中華麺においても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさがより感じられ、より硬さもあり、麺表面と中心部の食感の勾配もより大きくなる。本発明において、澱粉の膨潤度は、以下の測定方法で測定した容積値(mL)を意味する。すなわち、澱粉試料0.15g(固形物換算)を試験管に計量し、予め調製した試薬(塩化アンモニウム26質量%、塩化亜鉛10質量%の水溶液)を15mL添加し、均一に分散させ、直ちに沸騰水浴中10分間加熱した後、25~35℃まで冷却し、再度均一に分散させて、10mLメスシリンダーに10mL入れ、25℃で20時間静置後、沈殿物と液相の境界線を読み取った値(mL)である。また、本発明において、澱粉Cは、所定の膨潤度であり、難消化性澱粉であることが好ましい。
【0019】
本発明の麺類用組成物において、澱粉Cの含有量は、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%であるが、1.5~12質量%が好ましく、2.5~9質量%がより好ましく、3~7質量%がさらに好ましい。
【0020】
本発明において、澱粉Cの原料は、特に限定されないが、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉、及びそれらのワキシー種、ハイアミロース種の澱粉が挙げられる。澱粉Cは、これらの澱粉の1種又は2種以上を適宜選択して、膨潤度3mL以下になる加工を施して製造することができる。膨潤度3mL以下になる加工は、架橋処理や湿熱処理等が挙げられる。膨潤度3mL以下となれば、これらの処理に加えて、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、エステル化処理、エーテル化処理などの化学的な処理、又は、加熱処理、油脂加工処理、乾燥処理等の物理的な処理を1種又は2種以上を適宜選択して、処理することができる。澱粉Cは、少なくとも架橋処理された架橋澱粉が好ましい。架橋澱粉は、澱粉原料に、例えば、トリメタリン酸塩、オキシ塩化リン、アジピン酸等の架橋剤を作用させて分子間、及び/又は分子内に官能基をブリッジ状に導入させた加工澱粉を意味する。前記架橋澱粉は、トリメタリン酸塩、オキシ塩化リン等を用いてリン酸基がブリッジ状に導入されたリン酸架橋澱粉がより好ましい。
【0021】
本発明の麺類用組成物において、小麦由来のたん白質含有量は、特に限定されないが、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、9~16質量%であることが好ましく、9.5~15.5質量%であることがさらに好ましく、10~14.5質量%であることがより好ましく、10.4~13質量%、10.6~12.5質量%であってもよい。小麦由来のたん白質は、配合する小麦粉A、小麦粉B等の小麦粉に含まれるたん白質のみで調整してもよく、必要に応じて、小麦由来のたん白質(グルテン、グリアジン、グルテニン等)を添加して調整してもよい。小麦由来のたん白質としては、特に制限はなく、市販のものを適宜使用することができる。なお、グルテンは、グリアジンとグルテニンが絡み合って形成されるたん白質で、例えば、小麦粉に水を加えて混捏し、グルテンが形成された生地を調製した後、その生地を洗浄して澱粉等を除去し、必要に応じてpH調整、乾燥、粉砕等することにより粉状物として得ることができる。
【0022】
本発明の麺類用組成物は、上述の小麦粉A、小麦粉B、及び澱粉C以外にも、本発明の効果を損なわない限り、一般に麺類に使用される材料を適宜含んでいてもよい。例えば、上述の小麦粉A及び小麦粉B以外の小麦粉や、加熱処理等の加工を施した小麦粉を含んでいてもよい。また、澱粉C以外の澱粉を含んでいてもよい。その他の材料として、例えば、米粉、そば粉、大麦粉、大豆粉、緑豆粉、アマランサス粉、キビ粉、アワ粉、ヒエ粉等の小麦粉以外の穀粉、それらの穀粉に加熱処理等の加工を施した穀粉;卵白、卵黄、カゼイン、ホエイ、大豆たん白、小麦たん白等のたん白質;食用油脂;糖質;食物繊維(澱粉Cに該当する難消化性澱粉を除く);酵素;色素;グアガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム等の増粘剤;アラニン、グリシン、リジン等のアミノ酸;グルタミン酸ナトリウム、食塩等の調味料;香料;かんすい;アルコール製剤等が挙げられる。
【0023】
本発明の麺類用組成物は、低加水麺類に好適に用いることができ、低加水中華麺により好適に用いることができる。また別の態様として、本発明の麺類用組成物は、加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理された後、再加熱されて喫食される再加熱麺類に好適に用いることができ、再加熱中華麺により好適に用いることができる。さらに別の態様として、本発明の麺類用組成物は、生麺の麺線における断面図の外形線から外形線へ中心を通るように直線を引いたときの直線の長さの最短が2.5mm以下の麺類に好適に用いることができる。例えば、麺厚が2.5mm以下の生麺の麺線、麺幅が2.5mm以下の生麺の麺線、太さ2.5mm以下で押出した生麺の麺線となるように調製され、製造された麺類が挙げられる。より好ましくはその長さの最短が0.5~1.8mmの麺類、さらに好ましくはその長さの最短が0.7~1.5mmの麺類、よりさらに好ましくはその長さの最短が0.7~1.5mmの中華麺に用いることができる。これらの態様は組み合わせることが好ましく、本発明の麺類用組成物は、生麺類の麺線における断面図の外形線から外形線へ中心を通るように直線を引いたときの直線の長さの最短が0.7~1.5mmの再加熱低加水中華麺に用いることができる。本発明において、低加水麺類は、後述する麺類の製造方法に示す通り、加水量が、麺類に用いられる粉体材料100質量部に対して、20~30質量部(好ましくは25~30質量部)である麺類のことを称する。
【0024】
[麺類]
本発明の麺類は、本発明の麺類用組成物を原料とする。すなわち、本発明の麺類は、本発明の麺類用組成物を原料の一部又は全部として製造することで得られる。また、本発明の麺類は、本発明の麺類用組成物を構成する小麦粉A、小麦粉B、及び澱粉Cを、上述の含有量に調整し、製造することで得られる。
【0025】
本発明における麺類は、中華麺やスパケッティ、マカロニ等のパスタ類等の麺線である。具体的には、例えば、中華麺、うどん、和そば、素麺、冷や麦、冷麺、ビーフン、きしめん等の麺線が挙げられる。
【0026】
また、本発明において、麺類は、調理前の麺類と調理済の麺類の両方を包含する概念である。調理済の麺類を調製する場合は、未調理の麺類を、湯の中で茹でる等して調理すればよい。麺類の調理方法は特に制限されないが、茹でて調理することはもちろん、油ちょうや蒸し、炒め、電子レンジ、スチームコンベクション等によって、又はこれらを組合せて調理してもよく、喫食可能になるまで麺類をα化すればよい。また、麺類の形態も特に限定されず、生麺、乾麺(半乾燥麺を含む。)、茹で麺、蒸し麺、揚げ麺、冷蔵麺(チルド麺)、冷凍麺、即席麺、調理麺、LL(ロングライフ)麺のいずれにも適用できる。上述の説明の通り、より効果を発揮することができるため、冷蔵麺又は冷凍麺であることが好ましい。本発明の麺類の好ましい態様は、本発明の麺類用組成物、本発明の麺類の製造方法の場合と同様である。
【0027】
[麺類の製造方法]
本発明の麺類の製造方法は、麺類の生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、 前記麺類の生地を調製する工程に用いる原料が、硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含むことを特徴とする。すなわち、本発明の麺類の製造方法は、麺類生地を調製する工程に用いる原料として、本発明の麺類用組成物をその一部又は全部として用いることができ、また、本発明の麺類用組成物を構成する小麦粉A、小麦粉B、及び澱粉Cを、上述の含有量に調整し用いることができる。本発明において、上述の原料に水、塩などを配合して混錬し、麺類の生地を調製することができる。また、中華麺の麺生地を調製する場合には、更に、かんすいなどを配合してもよい。麺類の生地は熟成させてもよい。麺類の生地を調製する際の加水量は、麺類の種類にもよるが、通常は麺類に用いられる粉体材料100質量部に対し、20~50質量部とすることが好ましく、上述の説明の通りより効果を発揮することができるため、低加水(加水量20~30質量部、好ましくは25~30質量部)とすることがより好ましい。当該質量比において、粉体材料に含まれる水分は、「水」ではなく「粉体材料」を構成するものとする。
【0028】
本発明の麺類の製造方法は、製麺方法に特に制限されず、圧延法、押出法、撚延法などの公知の製麺方法を用いることができる。本発明の一つの態様において、麺類の生地は、圧延され、所望の厚さの麺帯とされる。当該圧延は、麺類の生地を圧延ロールに通すことで行われる。次いで、製麺機などを用いて麺帯を切り出して麺線とし、この麺線を所望の長さに切断することにより生麺を得ることができる。また、本発明の一つの態様において、麺類の生地を引き伸ばしたり撚ったりして麺線を得てもよく、また、麺生地を穴などから押し出して麺線を製造してもよい。一般に、スパゲッティやマカロニなどの麺類は、麺類の生地を押し出して製造することが多い。また本発明においては、機械を用いて製麺してもよく、機械を用いずに手延べや手打ちによって製麺してもよい。本発明の一つの好ましい態様は、生麺の麺線における断面図の外形線から外形線へ中心を通るように直線を引いたときの直線の長さの最短が2.5mm以下、より好ましくはその最短が0.5~1.8mm、さらに好ましくは0.7~1.5mmになるように調整する工程を含むことである。
【0029】
本発明の麺類の製造方法は、例えば、上記生麺を茹でることによって茹で麺が得られ、蒸煮することによって蒸し麺が得られ、調湿乾燥法などにより乾燥すれば乾麺が得られる。また、例えば、蒸煮又は茹で処理、過熱水蒸気処理等の加熱調理を行った後、冷蔵処理すれば冷蔵麺が得られ、冷凍処理すれば冷凍麺が得られ、フライ用バスケットあるいは乾燥用バスケットに一食ずつ成形充填し、フライあるいは高温熱風乾燥処理すれば即席乾麺が得られる。より効果を発揮することができるため、未調理の麺類を加熱調理する工程を含み、その後に、冷蔵及び/又は冷凍処理する工程を含むことが好ましく、さらに再加熱する工程を含むことがより好ましい。また、未調理の麺類を加熱調理する工程が未調理の麺類を茹でる工程であることがさらに好ましい。本発明の麺類の製造方法の好ましい態様は、本発明の麺類用組成物の場合と同様である。
【実施例0030】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.使用小麦粉の調製、及び物性の測定
麺類用組成物に用いた小麦粉を表1に示す。小麦粉(1)~小麦粉(4)は、表1に記載した各原料小麦をロール粉砕し、篩による篩い分けを繰り返し行い調製し、小麦粉(5)は、原料小麦をローターミル(ZM200、Retsch製)で粉砕し、篩による篩い分けを繰り返し行い調製した。また、小麦粉(6)は強力粉(特金蘭(昭和産業株式会社))、小麦粉(7)はデュラム小麦粉(ファルテ(昭和産業株式会社))を用いた。各小麦粉について、以下の方法で、たん白質含有量、灰分、粒度分布を測定した。各分析値を表1に示す。
(i)たん白質含有量
ケルダール法によって窒素含量を定量し、窒素-たん白質換算係数(5.70)を乗じて算出した。
(ii)灰分
AACC Method08-02に従って、直接灰化法で測定した。
(iii)粒度分布
レーザー回折式の粒度分布測定装置(HELOS&RODOS、日本レーザー)を用いて、フラウンホーファー回折によって測定した。各小麦粉の粒子径10~30μmの粒子の割合は、体積基準の粒子径分布から粒子径10~30μmの粒子の割合を算出し、中心粒子径は、体積基準での積算分析曲線の50%に相当する粒子径を求めた。
【0031】
【0032】
2.使用澱粉、及び膨潤度の測定
麺類用組成物に用いた澱粉を表2に示す。澱粉(1)、(2)、(3)はリン酸架橋澱粉であり、さらに澱粉(1)、(2)は難消化性澱粉である。澱粉(4)はアセチル化リン酸架橋澱粉である。また、各澱粉の膨潤度について、以下の方法で測定した。各分析値を表2に示す。
(i)膨潤度
澱粉試料0.15g(固形物換算)を試験管に計量し、予め調製した試薬(塩化アンモニウム26質量%、塩化亜鉛10質量%の水溶液)を15mL添加し、均一に分散させ、直ちに沸騰水浴中10分間加熱した後、25~35℃まで冷却し、再度均一に分散させて、10mLメスシリンダーに10mL入れ、25℃で20時間静置後、沈殿物と液相の境界線の値(mL)を読み取って膨潤度とした。
【0033】
【0034】
3.冷凍麺の調製
表3~6に示した各麺類用組成物100質量部、塩0.5質量部、かんすい1質量部、水27質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を調製した。なお、実施例3、4、比較例4は、生地のそぼろの大きさに合わせて、30質量部までの量で加水量を調整した。得られた生地をロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切刃:角24番)、麺線の厚みが1.45mmの生麺(低加水中華麺)を調製した。
4.冷凍麺の評価
3.で調製した各生麺を沸騰水中で1分15秒間茹で、冷水で冷却、水切りした後、-35℃で急速冷凍し冷凍麺を得た。各冷凍麺は、-20℃で1週間保存した後、沸騰水浴中で1分間茹でて、湯切りした後、スープに入れて喫食し、以下の官能評価に供した。なお、参考例1については、対照として冷凍せずに、生麺を調製後すぐに茹でたものを喫食した。なお、官能評価は、訓練を受けた10名専門パネルによって、中心の粉っぽさ、中心の硬さ、麺表面と中心部の食感の勾配について、以下の評価基準に基づいて5段階で評価した。評価結果は、評価点の平均値を算出した。結果を表3~6に示す。
(i)中心の粉っぽさ
5:中心の粉っぽさが参考例1と同程度に感じられ、非常に良好
4:中心の粉っぽさが感じられ、良好
3:中心の粉っぽさがやや感じられ、やや良好
2:中心の粉っぽさが感じにくく、又はやや過度に感じられ、やや劣る
1:中心の粉っぽさがほとんど感じられず、又は過度に感じられ、劣る
(ii)中心の硬さ
5:中心の硬さが参考例1と同程度で、非常に良好
4:中心の硬さがあり、良好
3:中心の硬さがややあり、やや良好
2:中心までやや軟らかく、歯切れもやや悪く、やや劣る
1:中心までやわらかく、歯切れも悪く、劣る
(iii)麺表面と中心部の食感の勾配
5:麺表面と中心部の食感の勾配が参考例1と同程度で、非常に良好
4:麺表面と中心部の食感の勾配があり、良好
3:麺表面と中心部の食感の勾配がややあり、やや良好
2:麺表面と中心部の食感の勾配が少なく、やや劣る
1:麺表面と中心部の食感の勾配がなく、劣る
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
表3~6に示した通り、硬質小麦由来の小麦粉Aとして小麦粉(6)を含み、且つ軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bとして小麦粉(1)、小麦粉(2)又は小麦粉(3)を、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、5~20質量%含み、膨潤度3mL以下の澱粉Cとして澱粉(1)、澱粉(2)又は澱粉(3)を、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、2~10質量%含む実施例1~実施例14の麺類用組成物を用いて調製した低加水中華麺は、加熱処理後、冷凍処理した後、再加熱しても、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさ、中心の硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配の評価が良好であった。一方、小麦粉B及び澱粉Cを含まない比較例1では全ての評価が劣り、小麦粉Bを含まない比較例2では、中心の硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配の評価が劣り、澱粉Cを含まない比較例3では、中心の粉っぽさの評価が劣っていた。また、小麦粉A、小麦粉B及び澱粉Cを含んでいても、澱粉Cの含有量が、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、20質量%である比較例4では、中心の粉っぽさ、及び麺表面と中心部の食感の勾配の評価がやや劣り、小麦粉Bの含有量が、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、40質量%である比較例5では、中心の硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配の評価がやや劣っていた。さらに、澱粉Cの代わりに、膨潤度が3.7mLである澱粉(4)を含む比較例6では、中心の粉っぽさ、及び麺表面と中心部の食感の勾配の評価がやや劣っていた。また、小麦粉Bの代わりに、軟質小麦由来の小麦粉ではあるものの、粒度分布は所定の範囲から外れる小麦粉(4)を含む比較例7では、中心の粉っぽさ、中心の硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配の全ての評価がやや劣っており、小麦粉Bの代わりに、粒度分布は所定の範囲内であるものの、硬質小麦由来の小麦粉である小麦粉(5)を含む比較例8では、中心の硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配の評価がやや劣っており、小麦粉Bの代わりに、一般的な二粒系硬質小麦由来のデュラム小麦粉(粒度分布も所定の範囲外である)を含む比較例9では、麺表面と中心部の食感の勾配の評価が劣っていた。
【0040】
小麦粉Bとしては、実施例1、実施例10、及び実施例14を比較すると、普通系軟質小麦由来の小麦粉(2)及び小麦粉(3)を用いた場合と比較して、たん白質含有量が高い小麦粉(1)を用いた場合の方が、良好な評価が得られていた。したがって、小麦粉Bのたん白質含有量は、より高い方が好ましいことが示唆された。また、澱粉Cとしては、実施例1、実施例8、及び実施例9を比較すると、膨潤度が2.4mLの澱粉(3)を用いた場合と比較して、膨潤度が0.5mLの澱粉(1)、0.6mLの澱粉(2)を用いた場合の方が、良好な評価が得られていた。したがって、澱粉Cの膨潤度は、より低い方が好ましいことが示唆された。
【0041】
5.冷蔵麺の調製
表7に示した各麺類用組成物100質量部、塩0.5質量部、かんすい1質量部、水27質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を調製した。得られた生地をロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切刃:角24番)、麺線の厚みが1.45mmの生麺(低加水中華麺)を調製した。
6.冷蔵麺の評価
5.で調製した各生麺を沸騰水中で茹で増重率150%になるように茹で、冷水で冷却、水切りした後、ゼラチンで固めたスープ上に静置し、冷蔵庫で冷却して冷蔵麺を得た。冷蔵で24時間保存した後、電子レンジを用いて500Wで5分間加熱し、喫食して官能評価に供した。なお、官能評価は、訓練を受けた10名専門パネルによって、中心の粉っぽさ、中心の硬さ、麺表面と中心部の食感の勾配について、以下の評価基準に基づいて5段階で評価した。評価結果は、評価点の平均値を算出した。結果を表7に示す。
(i)中心の粉っぽさ
5:参考例2と比べ、中心の粉っぽさが適度に感じられ、非常に良好
4:参考例2と比べ、中心の粉っぽさが感じられ、良好
3:参考例2と比べ、中心の粉っぽさがやや感じられ、やや良好
2:参考例2と比べ、中心の粉っぽさが同等である
1:参考例2と比べ、中心の粉っぽさが感じにくく、又は過度に感じられ、劣る
(ii)中心の硬さ
5:参考例2と比べ、中心の硬さが非常にあり、非常に良好
4:参考例2と比べ、中心の硬さがあり、良好
3:参考例2と比べ、中心の硬さがややあり、やや良好
2:参考例2と比べ、中心の硬さが同等である
1:参考例2と比べ、中心までやわらかく、歯切れも悪く、劣る
(iii)麺表面と中心部の食感の勾配
5:参考例2と比べ、麺表面と中心部の食感の勾配が非常にあり、非常に良好
4:参考例2と比べ、麺表面と中心部の食感の勾配があり、良好
3:参考例2と比べ、麺表面と中心部の食感の勾配がややあり、やや良好
2:参考例2と比べ、麺表面と中心部の食感の勾配が同等である
1:参考例2と比べ、麺表面と中心部の食感の勾配が少なく、劣る
【0042】
【0043】
表7に示した通り、硬質小麦由来の小麦粉Aとして小麦粉(6)を含み、且つ軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bとして小麦粉(1)、小麦粉(2)を、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、10質量%含み、膨潤度3mL以下の澱粉Cとして澱粉(1)を、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3質量%含む実施例15、16の麺類用組成物を用いて調製した低加水中華麺は、加熱処理後、冷蔵処理した後、再加熱した場合、低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさ、中心の硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が良好であった。
【0044】
以上の実施例の結果により、硬質小麦由来の小麦粉Aを含み、軟質小麦由来であり、体積基準の粒子径分布において粒子径10~30μmの粒子の割合が25%以上である小麦粉Bを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、3~30質量%含み、且つ膨潤度3mL以下の澱粉Cを、麺類に用いられる粉体材料の総質量に対して、1~15質量%含む麺類用組成物を用いることにより、低加水中華麺を加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理した後、再加熱しても低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が維持された麺類を製造することができることが示された。
【0045】
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、低加水中華麺を加熱処理後、冷蔵及び/又は冷凍処理した後、再加熱しても低加水中華麺の特徴である、中心の粉っぽさと硬さ、及び麺表面と中心部の食感の勾配が維持された麺類を製造することができる麺類用組成物、及び麺類の製造方法を提供することができる。