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特開2024-139618繊維製品用洗浄剤キット、繊維製品用洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139618
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】繊維製品用洗浄剤キット、繊維製品用洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/33 20060101AFI20241002BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20241002BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20241002BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20241002BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20241002BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20241002BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20241002BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20241002BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20241002BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
C11D3/33
C11D1/83
C11D1/72
C11D1/68
C11D1/04
C11D1/14
C11D1/22
C11D1/29
D06F35/00 Z
C11D1/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050647
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】397056042
【氏名又は名称】セッツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀田 美幸
(72)【発明者】
【氏名】村上 拡
【テーマコード(参考)】
3B168
4H003
【Fターム(参考)】
3B168AD01
3B168AD07
3B168AE11
3B168BA10
3B168BA52
3B168FA01
3B168FA04
3B168FA06
4H003AB03
4H003AB15
4H003AB19
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC05
4H003AC08
4H003AC13
4H003AC15
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EB13
4H003EB16
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA21
(57)【要約】
【課題】高温下での洗浄において、繊維製品に付着した油汚れに対して優れた洗浄効果を有する繊維製品用洗浄剤を提供する。
【解決手段】特定のキレート剤(A)を含む第1剤と、界面活性剤(B)を含む第2剤と、を含み、用時に、前記第1剤及び前記第2剤を混合して繊維製品用洗浄剤を調製するための繊維製品用洗浄剤キットであって、前記繊維製品用洗浄剤は、水中で繊維製品を洗浄するために用いられ、
前記界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含み、
前記繊維製品用洗浄剤キットにおいて、前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)の合計割合を100質量部とした場合に、前記キレート剤(A)の割合が50~90質量部、前記界面活性剤(B)の割合が10~50質量部である、繊維製品用洗浄剤キットとする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キレート剤(A)を含む第1剤と、界面活性剤(B)を含む第2剤とを含み、用時に、前記第1剤及び前記第2剤を混合して繊維製品用洗浄剤を調製するための繊維製品用洗浄剤キットであって、
前記繊維製品用洗浄剤キットにより調製された繊維製品用洗浄剤は、水中で繊維製品を洗浄するために用いられ、
前記キレート剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、S,S-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(IDS)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含み、
前記繊維製品用洗浄剤キットにおいて、前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)の合計割合を100質量部とした場合に、前記キレート剤(A)の割合が50~90質量部、前記界面活性剤(B)の割合が10~50質量部である、繊維製品用洗浄剤キット。
【請求項2】
前記ノニオン界面活性剤(B1)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、及びアルキルグリコシドからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤キット。
【請求項3】
前記アニオン界面活性剤(B2)が、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びα-オレフィンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤キット。
【請求項4】
前記繊維製品用洗浄剤が、40℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄するために用いられる、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤キット。
【請求項5】
前記繊維製品が、天然繊維を含む、請求項1に記載の繊維製品用洗浄剤キット。
【請求項6】
前記天然繊維が、綿を含む、請求項5に記載の繊維製品用洗浄剤キット。
【請求項7】
キレート剤(A)と界面活性剤(B)を含む繊維製品用洗浄剤であって、
前記繊維製品用洗浄剤は、水中で繊維製品を洗浄するために用いられ、
前記キレート剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、S,S-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(IDS)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含み、
前記繊維製品用洗浄剤において、前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)の合計割合を100質量部とした場合に、前記キレート剤(A)の割合が50~90質量部、前記界面活性剤(B)の割合が10~50質量部である、繊維製品用洗浄剤。
【請求項8】
前記ノニオン界面活性剤(B1)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、及びアルキルグリコシドからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項7に記載の繊維製品用洗浄剤。
【請求項9】
前記アニオン界面活性剤(B2)が、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びα-オレフィンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項7に記載の繊維製品用洗浄剤。
【請求項10】
前記繊維製品用洗浄剤は、40℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄するために用いられる、請求項7に記載の繊維製品用洗浄剤。
【請求項11】
前記繊維製品が、天然繊維を含む、請求項7に記載の繊維製品用洗浄剤。
【請求項12】
前記天然繊維が、綿を含む、請求項11に記載の繊維製品用洗浄剤。
【請求項13】
水と、請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維製品用洗浄剤キットの前記第1剤及び前記第2剤とを混合して繊維製品用洗浄剤を調製する工程と、
前記繊維製品用洗浄剤を用いて、30℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄する洗浄工程と、
洗浄後の前記繊維製品を濯ぎ水ですすぐ工程と、
を備える、繊維製品の洗浄方法。
【請求項14】
繊維製品100質量部に対して、前記キレート剤(A)が0.05質量部以上になるようにして、前記洗浄工程を行う、請求項13に記載の繊維製品の洗浄方法。
【請求項15】
請求項7~12のいずれか1項に記載の繊維製品用洗浄剤を用いて、30℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄する洗浄工程と、
洗浄後の前記繊維製品を濯ぎ水ですすぐ工程と、
を備える、繊維製品の洗浄方法。
【請求項16】
繊維製品100質量部に対して、前記キレート剤(A)が0.05質量部以上になるようにして、前記洗浄工程を行う、請求項15に記載の繊維製品の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用洗浄剤キット、繊維製品用洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯には大きく分けて、家庭用洗濯機を使用したり手洗いするなどの一般家庭での洗濯と、工場や専用設備で洗浄される業務用の洗濯(クリーニングなど)とがある。両者の違いとして、浴比や機械力、洗浄温度などが挙げられる。例えば、一般家庭では、常温で洗浄されるのに対して、業務用では高温(30℃以上、さらには40℃以上)での洗浄が一般的である。
【0003】
近年では、合成繊維が普及し、衣類、工場の作業着、病院のユニフォーム、ホテルや飲食店のテーブルクロス、シーツなど様々なものに使用されるようになった。ポリエステルなどの合成繊維は、疎水性であるため、疎水性の汚れと親和性が高く、油などの汚れが落ちにくいことが知られている。
【0004】
また、洗浄で落ちた汚れが布に再付着してしまう問題もあり、折角洗浄しても、再び汚れてしまうことがある。一度の洗浄では再付着が大きく目立たなくても、洗浄を繰り返すことで、くろずみや黄ばみ等として確認されるようになっていく。そのため、汚れの再汚染防止性は重要であると考えられる。そして再付着は、洗浄剤の洗浄性能が高まるほど、布から洗浄液中に分散される汚れ量が多くなるため、再汚染防止性を発揮することが難しくなる。
【0005】
従来、繊維製品の洗浄剤として、様々なものが利用されている。例えば、特許文献1には家庭用の洗濯条件において、布地からの汚れ落ちを促進する洗浄剤が記載されている。
【0006】
業務用の洗濯で洗浄されるものは、ホテルや飲食店で使用されるテーブルクロスや工場の作業着など油汚れが、家庭での繊維製品(被洗物)に比べて多い傾向にある。そして、そのような汚れを落とすためには、より洗浄効果を発揮させる洗浄剤、及び、洗浄方法が用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2014-518923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記の通り、繊維製品に強固に付着した油汚れは非常に落ちにくく、飲食店やホテルのテーブルクロス、工場の作業着など油汚れの付着が多い繊維に使用される洗浄剤には、家庭用洗浄剤に比して、優れた洗浄能力が求められる。
【0009】
このような状況下、本発明は、繊維製品に付着した油汚れに対して優れた洗浄効果を有する繊維製品用洗浄剤を提供することを主な目的とする。本発明は、当該繊維製品用洗浄剤を調製するためのキット、当該繊維製品用洗浄剤を用いた繊維製品の洗浄方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定のキレート剤(A)と特定の界面活性剤(B)の組合せを特定の比率で含む繊維製品用洗浄剤を用いて、水中で繊維製品を洗浄することにより、従来はビルダーとして用いられるキレート剤を多量に用いること、さらに特定の界面活性剤を併用することによって繊維製品に付着した油汚れが非常に効果的に洗浄されることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0011】
本発明はすなわち、以下の態様を含み得る。
〔1〕キレート剤(A)を含む第1剤と、界面活性剤(B)を含む第2剤と、を含み、用時に、前記第1剤及び前記第2剤を混合して繊維製品用洗浄剤を調製するための繊維製品用洗浄剤キットであって、
前記繊維製品用洗浄剤キットにより調製された繊維製品用洗浄剤は、水中で繊維製品を洗浄するために用いられ、
前記キレート剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、S,S-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(IDS)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含み、
前記繊維製品用洗浄剤キットにおいて、前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)の合計割合を100質量部とした場合に、前記キレート剤(A)の割合が50~90質量部、前記界面活性剤(B)の割合が10~50質量部である、繊維製品用洗浄剤キット。
〔2〕前記ノニオン界面活性剤(B1)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、及びアルキルグリコシドからなる群から選択される1種または2種以上である、〔1〕に記載の繊維製品用洗浄剤キット。
〔3〕前記アニオン界面活性剤(B2)が、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びα-オレフィンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上である、〔1〕に記載の繊維製品用洗浄剤キット。
〔4〕前記繊維製品用洗浄剤が、40℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄するために用いられる、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の繊維製品用洗浄剤キット。
〔5〕前記繊維製品が、天然繊維を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の繊維製品用洗浄剤キット。
〔6〕前記天然繊維が、綿を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の繊維製品用洗浄剤キット。
〔7〕キレート剤(A)と界面活性剤(B)を含む繊維製品用洗浄剤であって、
前記繊維製品用洗浄剤は、水中で繊維製品を洗浄するために用いられ、
前記キレート剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、S,S-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(IDS)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含み、
前記繊維製品用洗浄剤において、前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)の合計割合を100質量部とした場合に、前記キレート剤(A)の割合が50~90質量部、前記界面活性剤(B)の割合が10~50質量部である、繊維製品用洗浄剤。
〔8〕前記ノニオン界面活性剤(B1)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、及びアルキルグリコシドからなる群から選択される1種または2種以上である、〔7〕に記載の繊維製品用洗浄剤。
〔9〕前記アニオン界面活性剤(B2)が、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びα-オレフィンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上である、〔7〕又は〔8〕に記載の繊維製品用洗浄剤。
〔10〕前記繊維製品用洗浄剤は、40℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄するために用いられる、〔7〕~〔9〕のいずれか1つに記載の繊維製品用洗浄剤。
〔11〕前記繊維製品が、天然繊維を含む、〔7〕~〔10〕のいずれか1つに記載の繊維製品用洗浄剤。
〔12〕前記天然繊維が、綿を含む、〔11〕に記載の繊維製品用洗浄剤。
〔13〕水と、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の繊維製品用洗浄剤キットの前記第1剤及び前記第2剤とを混合して繊維製品用洗浄剤を調製する工程と、
前記繊維製品用洗浄剤を用いて、30℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄する洗浄工程と、
洗浄後の前記繊維製品を濯ぎ水ですすぐ工程と、
を備える、繊維製品の洗浄方法。
〔14〕繊維製品100質量部に対して、前記キレート剤(A)が0.05質量部以上になるようにして、前記洗浄工程を行う、〔13〕に記載の繊維製品の洗浄方法。
〔15〕〔7〕~〔12〕のいずれか1つに記載の繊維製品用洗浄剤を用いて、30℃以上の温度の水中で繊維製品を洗浄する洗浄工程と、
洗浄後の前記繊維製品を濯ぎ水ですすぐ工程と、
を備える、繊維製品の洗浄方法。
〔16〕繊維製品100質量部に対して、前記キレート剤(A)が0.05質量部以上になるようにして、前記洗浄工程を行う、〔15〕に記載の繊維製品の洗浄方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、繊維製品に付着した油汚れに対して優れた洗浄効果を有する繊維製品用洗浄剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該繊維製品用洗浄剤を調製するためのキット、当該繊維製品用洗浄剤を用いた繊維製品の洗浄方法を提供することもできる。
また、本発明の繊維製品用洗浄剤は、繊維製品の洗浄における、優れた洗浄性と再汚染防止性を発揮し得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.洗浄剤及びこれを調製するためのキット
本発明の洗浄剤は、キレート剤(A)と界面活性剤(B)を含む繊維製品用洗浄剤であって、繊維製品用洗浄剤は、水中で繊維製品を洗浄するために用いられ、キレート剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、S,S-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(IDS)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、前記界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含むことを特徴としている。本発明の繊維製品用洗浄剤は、このような構成を備えることにより、繊維製品に付着した油汚れに対して優れた洗浄効果を発揮する。
【0014】
また、本発明の繊維製品用洗浄剤キットは、本発明の繊維製品用洗浄剤を調製するためのキットである。具体的には、本発明の繊維製品用洗浄剤キットは、キレート剤(A)を含む第1剤と、界面活性剤(B)とを含む第2剤とを含み、用時に、第1剤及び第2剤を混合して繊維製品用洗浄剤を調製するための繊維製品用洗浄剤キットである。本発明の繊維製品用洗浄剤キットによって調製される繊維製品用洗浄剤は、水中で繊維製品を洗浄するために用いられ、キレート剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、S,S-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(IDS)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、前記界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含むことを特徴としている。本発明の繊維製品用洗浄剤キットは、第1剤と第2剤を含む2剤タイプのキットであり、第1剤と第2剤を用時に混合して、本発明の繊維製品用洗浄剤を好適に調製することができる。調製された本発明の繊維製品用洗浄剤は、繊維製品に付着した油汚れに対して優れた洗浄効果を発揮することができる。また、本発明の繊維製品用洗浄剤キットは、第1剤及び第2剤に分離して保存することができるため、保存安定性などの点で有利である。
【0015】
なお、本発明の繊維製品用洗浄剤キットにおいて、第1剤と第2剤とを混合するタイミングについては、繊維製品を洗浄する際に混合されていれば、特に制限されない。例えば、第1剤と第2剤とを予め混合して繊維製品用洗浄剤とし、これを繊維製品と混合して繊維製品を洗浄してもよいし、第1剤と第2剤のいずれか一方と繊維製品を混合した後、残りの第1剤又は第2剤をさらに混合して繊維製品用洗浄剤を調製して、繊維製品を洗浄してもよい。
【0016】
また、繊維製品用洗浄剤は、繊維製品を水中で洗浄するために用いられる洗浄剤であり、繊維製品用洗浄剤と水を混合するタイミングについても、繊維製品が水中で洗浄されれば、どのようなタイミングでもよい。
【0017】
また、後述のとおり、本発明の繊維製品用洗浄剤は、繊維製品の中でも特に天然繊維を洗浄するために好適に用いられるものであり、例えば天然繊維と共に合成繊維を洗浄するためにも好適に用いることもできる。また、天然繊維を含まない合成繊維の洗浄に用いても差し支えない。なお、後述するように、本発明の繊維製品用洗浄剤を合成繊維に用いると、高い再汚染防止性が得られるので、天然繊維だけでなく、合成繊維にも好適に用いることができる。
【0018】
以下、本発明の繊維製品用洗浄剤及びこれを調製するための繊維製品用洗浄剤キットについて詳述する。なお、以下の説明においては、本発明の繊維製品用洗浄剤の構成を中心に説明するが、本発明の繊維製品用洗浄剤キットにおいても、キレート剤(A)を含む第1剤と、界面活性剤(B)を含む第2剤とに分かれていることを除き、各成分の種類や含有量については、本発明の繊維製品用洗浄剤と共通しているため、適宜説明を省略する。
【0019】
キレート剤(A)は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、S,S-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(IDS)、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2ホスホノブタン-1,2,4トリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む。これらの化合物の塩としては、それぞれ、例えばナトリウム塩が好適な例として挙げられる。
【0020】
キレート剤(A)は、これらの化合物に加えて、さらに他のキレート剤を含んでいてもよい。他のキレート剤としては、例えばニトリロトリ酢酸塩、β-アラニン二酢酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。キレート剤(A)に他のキレートが含まれる場合、他のキレート剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0021】
界面活性剤(B)は、ノニオン界面活性剤(B1)及びアニオン界面活性剤(B2)を含むが、そのうち、ノニオン界面活性剤(B1)は、以下に挙げられる化合物である。
【0022】
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンランダム共重合体等が挙げられる。
【0023】
ノニオン界面活性剤(B1)の好ましい具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、及びアルキルグリコシドなどが挙げられる。
【0024】
本発明の繊維製品用洗浄剤に含まれるノニオン界面活性剤(B1)は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0025】
また、本発明の繊維製品用洗浄剤は、前記ノニオン界面活性剤(B1)に加えて、他のノニオン界面活性剤(B1)を含んでもよい。
【0026】
まとめると、本発明のノニオン界面活性剤(B1)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、及びアルキルグリコシドからなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
【0027】
また、本発明の繊維製品用洗浄剤には、界面活性剤(B)として、アニオン界面活性剤(B2)がさらに含まれている。
【0028】
アニオン界面活性剤(B2)としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、脂肪酸モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩等が挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0029】
アニオン界面活性剤(B2)の好ましい具体例としては、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びα-オレフィンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0030】
また、本発明の繊維製品用洗浄剤は、前記アニオン界面活性剤(B2)に加えて、他のアニオン界面活性剤(B2)を含んでもよい。
【0031】
また、本発明の繊維製品用洗浄剤は、前記アニオン界面活性剤(B2)に加えて、他のアニオン界面活性剤(B2)を含んでもよい。
【0032】
まとめると、本発明のノニオン界面活性剤(B2)としては、脂肪酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びα-オレフィンスルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
【0033】
本発明の効果をより一層好適に発揮する観点から、本発明の繊維製品用洗浄剤において、前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)の合計割合を100質量部とした場合に、前記キレート剤(A)の割合は、50~90質量部であり、50~85質量部であることが好ましく、50~75質量部であることがさらに好ましい。また、前記界面活性剤(B)の割合は、10~50質量部であり、15~50質量部であることが好ましく、25~50質量部であることがさらに好ましい。
【0034】
本発明の繊維製品用洗浄剤は、必要に応じて、両性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0035】
本発明の繊維製品用洗浄剤が両性界面活性剤を含む場合、その含有量は、界面活性剤(B)100質量部に対して、好ましくは10~125質量部、より好ましくは30~100質量部である。
【0036】
本発明の繊維製品用洗浄剤は、洗浄力を向上させるためにアルキルジメチルアミンオキサイドを含むことができる。本発明の繊維製品用洗浄剤がアルキルジメチルアミンオキサイドを含む場合、界面活性剤(B)100質量部に対して、好ましくは10~125質量部であり、より好ましくは30~120質量部であり、さらに好ましくは80~120質量部である。
また、界面活性剤(B)の効果を損なうことなく、さらには向上させるため、アルキルジメチルアミンオキサイドのアルキル基の炭素数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~12、さらに好ましくは6~10である。
【0037】
本発明の繊維製品用洗浄剤には、前記のキレート剤(A)、ノニオン界面活性剤(B1)、アニオン界面活性剤(B2)、必要に応じて含まれる、両性界面活性剤に加えて、公知の洗浄成分、洗浄助剤、その他の添加剤などを用いることができ
る。
【0038】
洗浄成分としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ剤(アルカリ成分)、などが挙げられる。洗浄成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0039】
アルカリ剤としては、公知の繊維用洗浄剤に用いられるものが使用でき、特に制限されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウム等のアルカリ性塩が挙げられる。より好ましくは炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウムであり、アルカリ剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0040】
また、洗浄助剤としては、公知の繊維用洗浄剤に使用されている有機高分子ビルダー、溶解促進剤、酵素、蛍光増白剤、香料、色素、増粘剤、帯電防止剤などが挙げられる。洗浄助剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0041】
有機高分子ビルダーとしては、アクリル酸系高分子化合物、ポリアセタールカルボン酸塩、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン-1,2-ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体が挙げられる。
【0042】
また、溶解促進剤としては、例えば、炭酸カリウムや、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の無機アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、キュメンスルホン酸ナトリウム等の炭素数1~5の短鎖アルキルを有するベンゼンスルホン酸塩、安息香酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、D-グルコース、尿素、蔗糖等の水溶性物質が挙げられる。このうち、炭酸カリウム、塩化ナトリウムが好ましい。溶解促進剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0043】
本発明の繊維製品用洗浄剤の形態は、特に制限されないが、利便性の観点から、常温(25℃)で液体状であることが好ましい。
【0044】
前記の通り、本発明においては、キレート剤(A)を含む第1剤と、ノニオン界面活性剤(B1)とアニオン界面活性剤(B2)を含む第2剤とを含む2剤タイプのキットとし、用時に第1剤と第2剤を混合して繊維製品用洗浄剤を調製してもよい。繊維製品用洗浄剤に必要に応じて含まれる、両性界面活性剤、洗浄助剤などの各種成分は、第1剤及び第2剤のいずれに配合してもよいし、本発明の繊維製品用洗浄剤キットには配合せずに、繊維製品用洗浄剤を調製する際に、第1剤及び第2剤と混合してもよい。
【0045】
前記のとおり、本発明の繊維製品用洗浄剤は、繊維製品の中でも天然繊維を洗浄するために好適に用いられる。本発明の繊維製品用洗浄剤は、天然繊維と共に合成繊維を洗浄するために用いることもできる。また、天然繊維を含まない合成繊維の洗浄に用いても差し支えない。なお、後述するように、本発明の繊維製品用洗浄剤を合成繊維に用いると、高い再汚染防止性が得られるので、天然繊維だけでなく、合成繊維にも好適に用いることができる。
【0046】
本発明の繊維製品用洗浄剤が洗浄対象とする天然繊維としては、天然繊維であれば特に制限されないが、特に綿(コットン)、麻(リネン)、絹(シルク)、山羊(カシミヤ)、羊毛(ウール)の少なくともひとつを含む天然繊維を洗浄対象とした場合に、天然繊維に付着した油汚れに優れた洗浄性を発揮することができる。本発明の繊維製品用洗浄剤が洗浄対象とする天然繊維としては、綿を含む天然繊維であることが特に好ましい。
【0047】
本発明の繊維製品用洗浄剤が洗浄対象とする合成繊維としては、合成繊維であれば特に制限されないが、特にポリエステル繊維及びアクリル繊維、ナイロン繊維の少なくともひとつを含む合成繊維を洗浄対象とした場合に、合成繊維に付着した油汚れに優れた洗浄性を発揮することができる。本発明の繊維製品用洗浄剤が洗浄対象とする合成繊維としては、ポリエステル繊維を含む合成繊維であることが特に好ましい。
【0048】
繊維製品の具体的な形態としては、特に制限されず、例えば、作業着、白衣、エプロン、コック服、テーブルクロス、マット、モップなどが挙げられる。また、本発明の洗浄剤が洗浄する汚れの種類についても、特に制限されず、油汚れ、食品由来の汚れ、皮脂汚れ、泥汚れなどが挙げられる。
【0049】
本発明の洗浄剤は、繊維製品と水と共に混合することで、繊維製品を洗浄することができる。本発明の繊維製品用洗浄剤の使用量としては、繊維製品100質量部に対して、キレート剤(A)の下限については0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上が挙げられ、上限については15質量部以下、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
また、本発明の繊維製品用洗浄剤の使用量としては、繊維製品100質量部に対して、界面活性剤(B)の下限については0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上が挙げられ、上限については15質量部以下、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0050】
また、本発明の繊維製品用洗浄剤を用いて繊維製品を洗浄する際の水の使用量としては、特に制限されないが、繊維製品100質量部に対して、下限については好ましくは100質量部以上、上限については好ましくは50000質量部以下が挙げられる。
【0051】
本発明の繊維製品用洗浄剤は、室温(25℃)付近の温度でも洗浄力を発揮するが、洗濯条件において繊維製品に付着した油汚れに対し更なる洗浄性を発揮する観点から、30℃より高い洗浄温度、さらには40℃以上の洗浄温度で使用されることが好ましい。本発明の繊維製品用洗浄剤による洗浄温度としては、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上が挙げられ、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下が挙げられる。なお、洗浄温度を30℃以上、更には40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上であれば、家庭用洗濯機を使用することも可能である。
【0052】
本発明の繊維製品用洗浄剤は、本発明の繊維製品用洗浄剤とは異なる洗浄剤と併用して使用してもよい。
【0053】
2.繊維製品の洗浄方法
本発明の繊維製品の洗浄方法は、本発明の繊維製品用洗浄剤を用いて、水中で繊維製品を洗浄する洗浄工程と、洗浄後の前記繊維製品を濯ぎ水ですすぐ工程とを備えることを特徴としている。
【0054】
また、本発明の繊維製品用洗浄剤キットを用いる場合であれば、水と、本発明の繊維製品用洗浄剤キットの第1剤及び第2剤とを混合して繊維製品用洗浄剤を調製する工程と、繊維製品用洗浄剤を用いて、水中で繊維製品を洗浄する洗浄工程と、洗浄後の繊維製品を濯ぎ水ですすぐ工程とを備えることを特徴としている。
【0055】
本発明の繊維製品用洗浄剤及び繊維製品用洗浄剤キットの詳細については、「1.洗浄剤及びこれを調製するためのキット」の欄で説明した通りである。
【0056】
また、本発明の洗浄方法における繊維製品用洗浄剤の使用量、水の使用量、洗浄温度についても、前記の通りである。
すなわち、洗浄工程における本発明の繊維製品用洗浄剤の使用量としては、繊維製品100質量部に対して、キレート剤(A)の下限については0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上が挙げられ、上限については15質量部以下、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
また、洗浄工程における本発明の繊維製品用洗浄剤の使用量としては、繊維製品100質量部に対して、界面活性剤(B)の下限については0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上が挙げられ、上限については15質量部以下、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
また、水の使用量としては、特に制限されないが、繊維製品100質量部に対して、下限については好ましくは100質量部以上、上限については好ましくは50000質量部以下が挙げられる。また、洗浄工程における洗浄温度としては下限については、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上が挙げられ、上限については、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下が挙げられる。
【0057】
洗浄工程における洗浄時間としては、特に制限されないが、下限については好ましくは3分間以上、上限については好ましくは30分間以下が挙げられる。
【0058】
本発明の洗浄方法においては、洗浄工程の後、繊維製品を濯ぎ水ですすぐ工程を行う。繊維製品を濯ぎ水ですすぐ方法は、特に制限されず、公知の繊維製品の洗浄方法におけるすすぎ工程と同様に行うことができる。なお、すすぎ工程の後には、一般の繊維製品の洗浄と同じく、繊維製品の乾燥工程を行うことができる。
【0059】
本発明の繊維製品の洗浄方法(洗浄工程、すすぎ工程、さらには乾燥工程)は、公知の洗濯装置を用いて行うことができる。
【実施例0060】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例における装置、材料、実施手順等の詳細は、以下の通りである。
【0061】
<材料及び装置>
・ドラム式電気洗濯乾燥機(パナソニック製)
・評価布〔洗浄力の評価用〕:人工汚染布として、日本資材株式会社より入手した標準汚染布EMPA101(綿、汚垢成分:カーボンブラック、オリーブ油)を5cm×5cmに裁断した、0.24~0.25gのもの及び、EMPA112(綿、汚垢成分:ココア)を5cm×5cmに裁断した、0.59~0.62gのものを評価布とした。
・評価布〔再汚染防止性の評価用〕:後述する前処理工程で洗浄したポリエステルジャージ(谷頭商店製)を5cm×5cmに裁断した、0.50~0.55gのものを評価布とした。
・前処理工程で使用した洗浄剤:市販の洗浄剤を使用した。
・調整布:ポリエステル/綿=65%/35%布、約30cm×約30cm、2kg
・繊維製品用洗浄剤:後述する表1~8の実施例及び比較例に、繊維製品用洗浄剤の組成を示す。繊維製品用洗浄剤は、水と混合して洗浄液(水溶液)とする。
【0062】
〔使用したキレート剤(A)〕
(Aa)メチルグリシン二酢酸塩(Trilon M:メチルグリシン二酢酸ナトリウム水溶液、BASFジャパン製)
(Ab)エチレンジアミン四酢酸塩(キレスト400:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム四水塩、キレスト製)
(Ac)L-グルタミン酸二酢酸塩(キレストCMG-40:L-グルタミン酸二酢酸四ナトリウム水溶液、キレスト製)
(Ad)1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(デイクエスト2010CS、イタルマッチジャパン製)
【0063】
〔使用したノニオン界面活性剤(B1)〕
(B1a)ポリオキシエチレンアルキルエーテル1(ファインサーフD1303:ポリオキシエチレンデシルエーテル(EO3モル)、青木油脂製)
(B1b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル2(ファインサーフD1310:ポリオキシエチレンデシルエーテル(EO10モル)、青木油脂製)
(B1c)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エマルゲンLS-106:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、花王製)
(B1d)ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(アミゾールFDE:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、川研ファインケミカル製)
(B1e)アルキルグリコシド(マイドール12:アルキルポリグリコシド、花王製)
【0064】
〔使用したアニオン界面活性剤(B2)〕
(B2a)脂肪酸カリウム(HGR-30K:脂肪酸のカリウム塩、ミヨシ油脂製)
(B2b)ラウリル硫酸ナトリウム(エマール10G:ラウリル硫酸ナトリウム、花王製)
(B2c)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム(カオーアキポRLM-45NV:ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(EO4.5モル)、花王製)
(B2d)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(エマール20C:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO3モル)、花王製)
(B2e)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG-25:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、花王製)
(B2f)α-オレフィンスルホン酸ナトリウム(HOSTAPUR OS Liq:アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム水溶液、クラリアントジャパン製)
【0065】
〔使用した両性界面活性剤(B3)〕
(B3)アルキルジメチルアミンオキシド(Genaminox OC:アルキルジメチルアミンオキシド(C8)、クラリアントジャパン製)
【0066】
<洗浄力の評価の実施手順>
(調整布の前処理工程)
ドラム式電気洗濯乾燥機に市販の洗浄剤を、洗浄する布1kgに対して10mg加え、水量13L、50~70℃の条件で、調整布であるポリエステル/綿=65%/35%布を15~30分間洗浄し、十分にすすぎ、乾燥させた後、市販の洗浄剤を入れずに再度、ドラム式電気洗濯乾燥機を用いて同じ条件で洗浄し、十分にすすぎ、乾燥した布を、調整布として試験に使用した。
なお、調整布とは、評価布を適切に洗浄するために加えられる、布の重みと嵩を増すためのものである。
【0067】
(洗浄工程)
洗浄工程の手順は、次のとおりである。
まず、ドラム式電気洗濯乾燥機に、温度50~70℃のお湯13リットルを入れ、後述する表1~8、17、19に示す組成の洗浄剤を、各成分の添加量が表9~16、18、20に示す濃度になる量、それぞれ添加し、ドラム式電気洗濯乾燥機内で洗浄剤含有水溶液を調製した。さらに、ドラム式電気洗濯乾燥機に、調整布(約30cm×約30cm)2kgと評価布とを入れて洗浄し(洗浄15分、濯ぎ2回(水:常温)、脱水1分)、自然乾燥した。
なお、調整布とは、評価布を適切に洗浄するために加えられる、布の重みと嵩を増すためのもので、洗浄剤の添加量は、調整布2kgを基準にして設定をした。
【0068】
[洗浄力の評価]
洗浄前後の評価布の反射率は分光測色計(コニカミノルタ製CM-600d)を用い、下記式より洗浄率を求めた。洗浄率の数値は以下の基準で評価した。
洗浄率(%)={(洗浄後の評価布の反射率)-(洗浄前の評価布の反射率)}/{(汚垢付着前の評価布の反射率)-(洗浄前の評価布の反射率)}×100
◎:洗浄率50%以上
○:洗浄率35%以上50%未満
△:洗浄率20%以上35%未満
×:洗浄率20%未満
【0069】
<再汚染防止性の評価の実施手順>
(評価布の前処理工程)
ドラム式洗濯乾燥機に市販の洗浄剤を、洗浄する布1kgに対して10mgの比率で加え、水量13L、50~70℃の条件で、ポリエステルジャージ(谷頭商店製)を15分洗浄し、十分にすすぎを行った後に乾燥した。洗浄したポリエステルジャージを5cm×5cmに裁断した。
【0070】
(試験工程)
500mLビーカーに水道水300mLを入れ、後述する表1~8、17、19に示す組成の洗浄剤を、各成分の添加量が表9~16、18、20に示す濃度になる量それぞれ添加し、洗浄剤含有水溶液を調製した。洗浄剤含有水溶液にオイルレッドO(0.1%)で着色した菜種油(日清キャノーラ油:日清オイリオ製)を0.08±0.01g添加し、分散させた後に、前処理を行った試験布を2枚投入した。300rpmで3分撹拌させた後、取り出して自然乾燥させた。
【0071】
[再汚染防止性の評価]
再汚染防止性の評価は、洗浄・乾燥後の評価布を目視にて確認し、下記のように評価した。結果を表1~20に示す。
なお、表9~16、18、20は、洗浄剤含有水溶液中の各成分の添加量(質量%)を示す表である。
◎:汚れの再付着はほとんど見られない
〇:汚れの再付着が少しだけ見られる
△:汚れの再付着が見られる
×:汚れの再付着が多く見られる
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】
【表12】
【0084】
【表13】
【0085】
【表14】
【0086】
【表15】
【0087】
【表16】
【0088】
表1~16に示すとおり、特定のキレート剤(A)と特定の界面活性剤(B)とを特定の比率で含む繊維製品用洗浄剤は、洗浄力と再汚染防止効果が両方とも優れていた。
【0089】
次に、特定のキレート剤(A)の種類を特定するため、様々なキレート剤を用いて、上述した評価方法と同様の方法で洗浄性評価を実施した。その結果を表17、18に示す。
なお、表18は、洗浄剤含有水溶液中の各成分の添加量(質量%)を示す表である。
【0090】
【表17】
【0091】
【表18】
【0092】
キレート剤Aa~Acでは、所望の洗浄効果を発揮したが、キレート剤Adでは、所望の洗浄効果を発揮しなかった。このことは、特定のキレート剤を用いないと、所望の効果が発揮されないことを示している。
【0093】
次に、キレート剤(A)と界面活性剤(B)の使用濃度を変更することで、どのように洗浄性に影響を与えるかを確認した。その結果を、表19、表20に示す。
なお、表20は、洗浄剤含有水溶液中の各成分の添加量(質量%)を示す表である。
【0094】
【表19】
【0095】
【表20】
【0096】
前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)の合計割合を100質量部とした場合に、前記キレート剤(A)の割合が50~90質量部、前記界面活性剤(B)の割合が10~50質量部である場合に、洗浄力と再汚染防止効果が両方とも優れていた。前記キレート剤(A)と前記界面活性剤(B)を特定の比率にしないと、所望の洗浄効果が発揮されないことを示している。