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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139735
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電力分配システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20241002BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H02J1/00 306D
B60R16/02 645A
H02J1/00 306K
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044503
(22)【出願日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2023049483
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 達哉
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 雄大
(72)【発明者】
【氏名】平山 裕樹
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165CA01
5G165DA01
5G165EA02
5G165EA04
5G165FA02
5G165GA01
5G165GA02
5G165GA03
5G165GA04
5G165HA01
5G165HA07
5G165JA07
5G165KA01
5G165KA04
5G165LA01
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA02
5G165NA05
5G165PA01
(57)【要約】
【課題】新たに接続される負荷と通信を行わずに負荷の種類を特定する。
【解決手段】本発明に係る電力分配システムは、電源に接続され、オンのときに前記電源から負荷へ電力を供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力の供給を遮断するスイッチと、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値を取得する取得部と、前記スイッチがオンとなった後に前記取得部が取得した電圧値を記録する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった時点から前記電圧値が定常状態となるまでの過渡状態の電圧値に基づいて、前記負荷が抵抗負荷、誘導負荷、容量負荷のいずれであるか推定する推定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続され、オンのときに前記電源から負荷へ電力を供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力の供給を遮断するスイッチと、
前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値を取得する取得部と、
前記スイッチがオンとなった後に前記取得部が取得した電圧値を記録する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった時点から前記電圧値が定常状態となるまでの過渡状態の電圧値に基づいて、前記負荷が抵抗負荷、誘導負荷、容量負荷のいずれであるか推定する推定部と、
を備える電力分配システム。
【請求項2】
前記推定部は、
前記過渡状態における電圧値が第1閾値を超えている場合、誘導負荷と推定し、
前記過渡状態における電圧値が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、容量負荷と推定し、
前記過渡状態における電圧値が前記第1閾値以下且つ前記第2閾値以上である場合、抵抗負荷と推定する
請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値に応じた電圧値を取得し、
前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値を前記取得部が取得した電圧値に基づいて算出する算出部を有し、
前記記憶部は、前記算出部が算出した電流値を記録し、
前記推定部は、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった時点から前記電流が定常状態となるまで過渡状態の電流値が第1閾値を超えている場合、容量負荷と推定し、
前記過渡状態における電流値が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、誘導負荷と推定し、
前記過渡状態における電流値が前記第1閾値以下且つ前記第2閾値以上である場合、抵抗負荷と推定する
請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項4】
前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値と、前記スイッチがオンとなってから前記電圧値が所定電圧値となるまでの時間とに基づいて、前記電圧値を測定する測定部のグランドの電位と前記負荷のグランドの電位との電位差を算出する算出部
を備える請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項5】
前記取得部は、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値に応じた電圧値を取得し、
前記記憶部は、当該電圧値を記録し、
前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値と、前記スイッチがオンとなってから前記電圧値が所定電圧となるまでの時間とに基づいて、前記電圧値を測定する測定部のグランドの電位と前記負荷のグランドの電位との電位差を算出する算出部
を備える請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値に応じた電圧値を取得し、
前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値を前記取得部が取得した電圧値に基づいて算出する算出部を有し、
前記記憶部は、当該電流値を記録し、
前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電流値が定常状態のときの電流値と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値と、に基づいて前記負荷の定数を算出する算出部
を備える請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項7】
前記推定部が前記負荷を容量負荷と推定した場合、前記スイッチがオフとなってから前記スイッチと前記負荷との間の電圧値が閾値以下であるか否かの判定を行うまでの時間を、前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値とに基づいて設定する設定部
を備える請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項8】
前記推定部が前記負荷を誘導負荷と推定した場合、前記負荷への電力供給を遮断するときには前記スイッチをPWM制御した後に前記スイッチをオフにするスイッチ制御部
を備える請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項9】
前記推定部が前記負荷を容量負荷と推定した場合、前記負荷へ電力を供給するときには前記スイッチをPWM制御した後に前記スイッチをオンにするスイッチ制御部
を備える請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項10】
前記スイッチがオンのときに前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値が閾値を超えた場合、前記スイッチをPWM制御するスイッチ制御部
を備える請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項11】
負荷が後付け可能な機器に設けられている
請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項12】
負荷が後付け可能な車両に設けられている
請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項13】
前記記憶部を書き替え可能である
請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項14】
電源に接続され、オンのときに前記電源から負荷へ電力を供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力の供給を遮断するスイッチと、
前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値と、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値を取得する取得部と、
前記スイッチがオンとなった後と、前記スイッチがオフとなった後に前記取得部が取得した電圧値及び電流値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった後の過渡状態の電圧値及び/又は電流値、及び/又は前記記憶部に記憶された前記スイッチがオフとなった後の過渡状態の電圧値及び/又は電流値に基づいて、前記負荷の種類を推定する推定部と、
を備える電力分配システム。
【請求項15】
前記推定部は、
前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった後の過渡状態における電圧値が第1電圧閾値を超えている場合、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性を誘導性と推定し、
前記過渡状態における電圧値が前記第1電圧閾値より小さい第2電圧閾値未満である場合、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性を容量性と推定し、
前記過渡状態における電圧値が前記第1電圧閾値以下且つ前記第2電圧閾値以上である場合、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性を抵抗性と推定し、
推定した電圧特性に基づいて前記負荷の種類を推定する
請求項14に記載の電力分配システム。
【請求項16】
前記推定部は、
前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった後の過渡状態における電流値が第1電流閾値を超えている場合、スイッチオン時の電流特性を容量性と推定し、
前記過渡状態における電流値が前記第1電流閾値より小さい第2電流閾値未満である場合、スイッチオン後の過渡状態の電流特性を誘導性と推定し、
前記過渡状態における電流値が前記第1電流閾値以下且つ前記第2電流閾値以上である場合、スイッチオン後の過渡状態の電流特性を抵抗性と推定し、
推定した電流特性に基づいて前記負荷の種類を推定する
請求項14又は請求項15に記載の電力分配システム。
【請求項17】
前記推定部は、
前記記憶部に記憶された前記スイッチがオフとなった後の過渡状態における電圧値が第3電圧閾値を超えている場合、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性を容量性と推定し、
前記過渡状態における電圧値が前記第3電圧閾値より小さい第4電圧閾値未満である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性を誘導性と推定し、
前記過渡状態における電圧値が前記第3電圧閾値以下且つ前記第4電圧閾値以上である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性を抵抗性と推定し、
推定した電圧特性に基づいて前記負荷の種類を推定する
請求項14に記載の電力分配システム。
【請求項18】
前記推定部は、
前記記憶部に記憶された前記スイッチがオフとなった後の過渡状態における電流値が第3電流閾値を超えている場合、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を誘導性と推定し、
前記過渡状態における電流値が前記第3電流閾値より小さい第4電流閾値未満である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を容量性と推定し、
前記過渡状態における電流値が前記第3電流閾値以下且つ前記第4電流閾値以上である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を抵抗性と推定し、
推定した電流特性に基づいて前記負荷の種類を推定する
請求項14又は請求項17に記載の電力分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力分配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に電子機器を容易に追加できるようにする発明として、例えば特許文献1に開示された車載システムがある。この車載システムは、電源から受電した電力を複数の機器用コネクタに対して供給する制御部と、機器用コネクタに対する電力供給の遮断と許可を切り替えるスイッチとを含んでいる。制御部は、機器用コネクタに対する電力供給をスイッチによって許可された場合、機器用コネクタに接続された機器の種類の識別と、機器が接続された機器用コネクタの特定とを機器との通信により行い、接続された機器の制御についての設定を特定した種類及びコネクタに応じて更新する。このシステムによれば、通信で情報を取得することにより、接続された機器の種類の識別を精度良く行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6840712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、制御部が機器と通信を行うことにより新たに接続された機器の種類を精度良く識別できる。しかしながら、通信を行うインターフェースや通信を行うプロセッサが機器の種類の特定のために必要であるため、部品数が多くなりコストがかかる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、新たに接続される負荷と通信を行わずに負荷の種類を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電力分配システムは、電源に接続され、オンのときに前記電源から負荷へ電力を供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力の供給を遮断するスイッチと、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値を取得する取得部と、前記スイッチがオンとなった後に前記取得部が取得した電圧値を記録する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった時点から前記電圧値が定常状態となるまでの過渡状態の電圧値に基づいて、前記負荷が抵抗負荷、誘導負荷、容量負荷のいずれであるか推定する推定部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記推定部は、前記過渡状態における電圧値が第1閾値を超えている場合、誘導負荷と推定し、前記過渡状態における電圧値が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、容量負荷と推定し、前記過渡状態における電圧値が前記第1閾値以下且つ前記第2閾値以上である場合、抵抗負荷と推定する構成であってもよい。
【0008】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記取得部は、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値に応じた電圧値を取得し、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値を前記取得部が取得した電圧値に基づいて算出する算出部を有し、前記記憶部は、前記算出部が算出した電流値を記録し、前記推定部は、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった時点から前記電流が定常状態となるまで過渡状態の電流値が第1閾値を超えている場合、容量負荷と推定し、前記過渡状態における電流値が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合、誘導負荷と推定し、前記過渡状態における電流値が前記第1閾値以下且つ前記第2閾値以上である場合、抵抗負荷と推定する構成であってもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値と、前記スイッチがオンとなってから前記電圧値が所定電圧値となるまでの時間とに基づいて、前記電圧値を測定する測定部のグランドの電位と前記負荷のグランドの電位との電位差を算出する算出部を備える構成であってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記取得部は、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値に応じた電圧値を取得し、前記記憶部は、当該電圧値を記録し、前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値と、前記スイッチがオンとなってから前記電圧値が所定電圧となるまでの時間とに基づいて、前記電圧値を測定する測定部のグランドの電位と前記負荷のグランドの電位との電位差を算出する算出部を備える構成であってもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記取得部は、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値に応じた電圧値を取得し、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値を前記取得部が取得した電圧値に基づいて算出する算出部を有し、前記記憶部は、当該電流値を記録し、前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電流値が定常状態のときの電流値と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値と、に基づいて前記負荷の定数を算出する算出部を備える構成であってもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、前記推定部が前記負荷を容量負荷と推定した場合、前記スイッチがオフとなってから前記スイッチと前記負荷との間の電圧値が閾値以下であるか否かの判定を行うまでの時間を、前記記憶部に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、前記電圧値が定常状態のときの電圧値とに基づいて設定する設定部を備える構成であってもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、前記推定部が前記負荷を誘導負荷と推定した場合、前記負荷への電力供給を遮断するときには前記スイッチをPWM制御した後に前記スイッチをオフにするスイッチ制御部を備える構成であってもよい。
【0014】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、前記推定部が前記負荷を容量負荷と推定した場合、前記負荷へ電力を供給するときには前記スイッチをPWM制御した後に前記スイッチをオンにするスイッチ制御部を備える構成であってもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、前記スイッチがオンのときに前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値が閾値を超えた場合、前記スイッチをPWM制御するスイッチ制御部を備える構成であってもよい。
【0016】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、負荷が後付け可能な機器に設けられている構成であってもよい。
【0017】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、負荷が後付け可能な車両に設けられている構成であってもよい。
【0018】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、前記記憶部を書き替え可能である構成であってもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る電力分配システムは、電源に接続され、オンのときに前記電源から負荷へ電力を供給し、オフのときに前記電源から前記負荷への電力の供給を遮断するスイッチと、前記スイッチと前記負荷との間の電圧の電圧値と、前記スイッチから前記負荷へ流れる電流の電流値を取得する取得部と、前記スイッチがオンとなった後と、前記スイッチがオフとなった後に前記取得部が取得した電圧値及び電流値を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった後の過渡状態の電圧値及び/又は電流値、及び/又は前記記憶部に記憶された前記スイッチがオフとなった後の過渡状態の電圧値及び/又は電流値に基づいて、前記負荷の種類を推定する推定部と、を備える。
【0020】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記推定部は、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった後の過渡状態における電圧値が第1電圧閾値を超えている場合、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性を誘導性と推定し、前記過渡状態における電圧値が前記第1電圧閾値より小さい第2電圧閾値未満である場合、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性を容量性と推定し、前記過渡状態における電圧値が前記第1電圧閾値以下且つ前記第2電圧閾値以上である場合、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性を抵抗性と推定し、推定した電圧特性に基づいて前記負荷の種類を推定する。
【0021】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記推定部は、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオンとなった後の過渡状態における電流値が第1電流閾値を超えている場合、スイッチオン時の電流特性を容量性と推定し、前記過渡状態における電流値が前記第1電流閾値より小さい第2電流閾値未満である場合、スイッチオン後の過渡状態の電流特性を誘導性と推定し、前記過渡状態における電流値が前記第1電流閾値以下且つ前記第2電流閾値以上である場合、スイッチオン後の過渡状態の電流特性を抵抗性と推定し、推定した電流特性に基づいて前記負荷の種類を推定する。
【0022】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記推定部は、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオフとなった後の過渡状態における電圧値が第3電圧閾値を超えている場合、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性を容量性と推定し、前記過渡状態における電圧値が前記第3電圧閾値より小さい第4電圧閾値未満である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性を誘導性と推定し、前記過渡状態における電圧値が前記第3電圧閾値以下且つ前記第4電圧閾値以上である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性を抵抗性と推定し、推定した電圧特性に基づいて前記負荷の種類を推定する。
【0023】
本発明の一態様に係る電力分配システムにおいては、前記推定部は、前記記憶部に記憶された前記スイッチがオフとなった後の過渡状態における電流値が第3電流閾値を超えている場合、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を誘導性と推定し、前記過渡状態における電流値が前記第3電流閾値より小さい第4電流閾値未満である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を容量性と推定し、前記過渡状態における電流値が前記第3電流閾値以下且つ前記第4電流閾値以上である場合、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を抵抗性と推定し、推定した電流特性に基づいて前記負荷の種類を推定する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、新たに接続される負荷と通信を行わずに負荷の種類を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、電力分配システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、制御部の構成を示すブロック図である。
図3図3は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、負荷へ印加される電圧の電圧値の変化の一例を示す図である。
図6図6は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、負荷へ流れる電流の電流値の変化の一例を示す図である。
図8図8は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、負荷への電力供給を遮断したときのスイッチと負荷との間の電圧の変化の一例を示す図である。
図10図10は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、ストレージに記憶されているテーブルの一例を示す図である。
図12図12は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図13A図13Aは、負荷への電力供給を遮断するときの電流と電圧の変化の一例を示す図である。
図13B図13Bは、負荷への電力供給を遮断するときの電流と電圧の変化の一例を示す図である。
図14図14は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図15A図15Aは、負荷へ電力供給するときの電流と電圧の変化の一例を示す図である。
図15B図15Bは、負荷へ電力供給するときの電流と電圧の変化の一例を示す図である。
図16図16は、変形例に係る電力分配システムの構成を示すブロック図である。
図17図17は、制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図18図18は、負荷とスイッチとの間の電圧の電圧値の変化の一例を示す図である。
図19図19は、変形例に係る制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図20図20は、変形例に係る制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図21図21は、変形例に係る制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図22図22は、変形例に係る制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図23図23は、負荷とスイッチとの間の電圧の電圧値の変化の一例を示す図である。
図24図24は、変形例に係る制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図25図25は、負荷へ流れる電流の電流値の変化の一例を示す図である。
図26図26は、変形例に係る特性テーブルの一例を示す図である。
図27図27は、負荷とスイッチとの間の電圧値と電流値の変化の一例を示す図である。
図28図28は、負荷とスイッチとの間の電圧値と電流値の変化の一例を示す図である。
図29図29は、追加された負荷の特性を判別するための複数の閾値の一例を示す図である。
図30図30は、変形例に係る特性テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素については適宜同一の符号を付している。
【0027】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る電力分配システム1Aの構成を示すブロック図である。電源2は、例えば車両に搭載され、車両に走行により充電される二次電池である。電力分配システム1Aは、車両に設けられており、電源2が供給する電力を複数の負荷3~3へ分配するシステムである。負荷3~3は、車両が備える電装品であり、例えばヘッドランプ、テールランプ、ストップランプ、ターンランプなどの灯火系の機器や、ディスプレイ装置、カーオーディオ、計器パネルなどの運転席周辺の機器、パワーウインドウ、ワイパー、シートヒーター、ドアロック、電動ミラー、リアデフロスター、リアワイパーなどの機器である。負荷3~3は、ユーザへ納車されるときには車両に搭載されておらず、納車後に後付けで車両に搭載されるものも含まれる。後付けで搭載される負荷としては、例えばドライブレコーダや、自動運転機能で用いられるカメラやレーダなどの機器がある。
【0028】
電力分配システム1Aは、制御部10、分配部20~20、及びコネクタ31~31を備えている。コネクタ31~31は、符号の添え字が同じである分配部に接続されており、電力を供給される負荷が接続される。分配部20~20は、電源2に接続されており、電源2から供給される電力を符号の添え字が同じであるコネクタに接続された負荷へ供給する。分配部20~20の各々は、駆動回路21、第1電圧測定部22a、第2電圧測定部22b、スイッチ23、及び抵抗器24を備えている。
【0029】
スイッチ23は、例えば、FET(Field effect transistor)23aを含む半導体スイッチである。FET23aは、ドレインが電源2に接続され、ゲートが駆動回路21に接続され、ソースが抵抗器24に接続されている。スイッチ23は、駆動回路21からFET23aへ出力される信号によってオン又はオフとなり、オンとなった場合には電源2から供給される電力を負荷へ出力し、オフとなった場合には電源2から負荷への電力供給を遮断する。駆動回路21は、FET23aを駆動する周知の回路であり、スイッチ23をオン又はオフにする信号を制御部10からの制御に応じて出力する。抵抗器24は、分配部から負荷へ流れる電流の測定に用いられる所謂シャント抵抗である。抵抗器24は、スイッチ23と、抵抗器24を有する分配部と同じ添え字であるコネクタに直列に接続されている。
【0030】
第1電圧測定部22aは、電圧を測定する回路を有し、スイッチ23と抵抗器24との間の電圧の電圧値を測定する。第1電圧測定部11Aが測定した電圧値は、制御部10へ出力される。第2電圧測定部22bは、電圧を測定する回路を有し、接続される負荷と抵抗器24との間の電圧の電圧値を測定する。第2電圧測定部22bが測定した電圧値は、制御部10へ出力される。
【0031】
制御部10は、負荷3~3へ電力供給を行う機能の実現のために、電力分配システム1Aの動作を制御するための各種演算処理を行う。図2は、制御部10の構成を示すブロック図である。制御部10は、プロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、入出力I/F104、及び通信I/F105が、バス106に接続されて構成されている。
【0032】
メモリ102は、例えばRAM(Random Access Memory)であり、揮発性メモリ又は不揮発性メモリで構成される。メモリ102は、プロセッサ101が演算処理を行う際の作業スペースとなり、プロセッサ101の演算処理の結果などを記憶する。記憶部の一例であるストレージ103は、ROM(Read Only Memory)と、不揮発性メモリ等の補助記憶装置により構成される。ストレージ103のROMは、プロセッサ101が演算処理を行なうために使用するプログラムを記憶する。ストレージ103の不揮発性メモリは、プロセッサ101が演算処理を行なうために使用するデータを格納する。入出力I/F104は、駆動回路21、第1電圧測定部22a、及び第2電圧測定部22bが接続される。入出力I/F104は、駆動回路21を制御する信号を出力する。また、入出力I/F104は、第1電圧測定部22a、及び第2電圧測定部22bから出力された信号を取得する。通信I/F105は、車両の駆動系の主要な制御を司る上位装置であるECU(Electronic Control Unit)と通信を行うためのインターフェースである。プロセッサ401は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ403からプログラムを読み出し、メモリ402を作業スペースとして実行する。プロセッサ401は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)又はGPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。
【0033】
制御部10の機能は、プロセッサ101がストレージ103からプログラムを読み出して実行することで、機能部として実現される。例えば、プロセッサ101がストレージ103からプログラムを読み出して実行することにより取得部111、推定部112、算出部113、設定部114、及びスイッチ制御部115が実現する。
【0034】
取得部111は、第1電圧測定部22が測定した電圧値と第2電圧測定部22bが測定した電圧値を取得する。推定部112は、記憶部の一例であるストレージ103に記憶されたスイッチ23がオンとなった時点からスイッチ23と負荷との間の電圧が定常状態となるまでの過渡状態の電圧値に基づいて、負荷が抵抗負荷、誘導負荷、容量負荷のいずれであるか推定する。算出部113は、スイッチ23から負荷へ流れる電流の電流値、スイッチ23と負荷との間の電圧の変化の時定数、第1電圧測定部22a及び第2電圧測定部22bのグランドの電位と負荷のグランドの電位との電位差、負荷の負荷定数などを算出する。設定部114は、スイッチ23がオフとなってからスイッチ23と負荷との間の電圧が閾値以下であるか否かの判定を行うまでの時間を、ストレージ103に記録された複数の電圧値の変化の時定数と、電圧値が定常状態のときの電圧値とに基づいて設定する。スイッチ制御部115は、接続されている負荷を誘導負荷と推定した場合、駆動回路21を制御し、負荷への電力供給を遮断するときにはスイッチ23をPWM制御した後にスイッチ23をオフにする。また、スイッチ制御部115は、負荷を容量負荷と推定した場合、駆動回路21を制御し、接続されている負荷へ電力を供給するときにはスイッチ23をPWM制御した後にスイッチ23をオンにする。
【0035】
次に制御部10の動作例について、電力分配システム1Aに負荷3が後付けで接続された場合を例に説明する。図3は、電力分配システム1Aに負荷が後付けで接続されたときに制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、分配部20のグランドの電位と負荷3のグランドの電位との電位差を推定する(ステップS11)。図4は、制御部10がステップS11で実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0036】
まず制御部10は、駆動回路21を制御して分配部20のスイッチ23をオンにする(ステップS101)。これにより、電源2が供給する電力が負荷3へ供給される。次に制御部10は、分配部20の第2電圧測定部22bで測定された電圧値を取得し、取得した電圧値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS102)。スイッチ23をオンにしてから負荷3へ印加される電圧の電圧値の変化の一例のグラフを図5に示す。なお、図5ではスイッチ23をオンにした時点をt0としている。
【0037】
次に制御部10は、負荷3とスイッチ23との間の電圧が定常状態であるか判断する(ステップS103)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電圧が定常状態ではないと判断し(ステップS103でNO)、処理の流れをステップS102へ戻す。
【0038】
制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の変動幅が予め定められた範囲内である場合、電圧が定常状態であると判断する(ステップS103でYES)。次に制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値を参照し、電圧値がスイッチオン直後に上昇しているか判断する(ステップS104)。例えば、負荷3のグランドの電位が分配部20のグランドの電位より低い場合、図5に示すようにスイッチオン直後においては、スイッチ23をオンにしてから電圧値が0Vになるまでの経過時間であるtdiffの期間に測定される電圧値は上昇しないこととなる。一方、負荷3のグランドの電位が分配部20のグランドの電位より高い場合、スイッチオン直後に電圧値が0Vを超えて上昇することとなる。
【0039】
制御部10は、スイッチオン直後の電圧値が0Vを超えており、この電圧値の次に記録された電圧値がスイッチオン直後の電圧値より大きい場合、電圧値がスイッチオン直後に上昇していると判断し(ステップS104でYES)、スイッチオン直後の電圧を分配部20のグランドの電位と負荷3のグランドの電位との電位差であるVoffsetとして特定する(ステップS111)。制御部10は、後述するステップS12以降の処理で電圧値を記録する際に、この算出したVoffsetを測定した電圧値に加算して記録する。これにより、分配部20nのグランドの電位と負荷3のグランドの電位との電位差を補正し、負荷3とスイッチ23との間の電圧を精度良く測定することができる。制御部10は、ステップS111の処理を終えると、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS110)、処理の流れをステップS12へ戻す。
【0040】
制御部10は、スイッチオン直後の電圧値が0Vを超えていない場合、ステップS104でNOと判断し、例えば記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の平均値を定常電圧であるVstとして特定する(ステップS105)。また、制御部10は、Vstに基づいて、Vτ=0.632*Vstの式により、Vstの63.2%の電圧値であるVτを算出する(ステップS106)。例えば、Vst=12Vである場合、Vτ=0.632*Vst=0.632*12V=7.584Vとなる。なお、Vτを求めるためにVstに乗じる値は一例であり、他の値であってもよい。
【0041】
制御部10は、記録した電圧値と、電圧値と組で記録されている経過時間を参照し、スイッチ23をオンにしてから電圧値がVτになるまでの経過時間であるτを求める(ステップS107)。次に制御部10は、記録した電圧値と、電圧値と組で記録されている経過時間を参照し、スイッチ23をオンにしてから電圧値が0Vになるまでの経過時間であるtdiffを特定する(ステップS108)。
【0042】
制御部10は、Vst、tdiff、及びτに基づいて、分配部20のグランドの電位と負荷3のグランドの電位との電位差であるVoffsetを算出する(ステップS109)。具体的には、制御部10は、Voffset=Vst(1-exp(-tdiff/τ))の式でVoffsetを算出する。例えば、τ=1.2msであり、tdiff=0.1msとするとVoffset=12V*(1-exp(-0.1/1.2))=0.96Vとなる。制御部10は、後述するステップS12以降の処理で電圧値を記録する際に、測定した電圧値から、この算出したVoffsetを減算して記録する。これにより、20のグランドの電位と負荷3のグランドの電位との電位差を補正し、負荷3とスイッチ23との間の電圧を精度良く測定することができる。制御部10は、ステップS109の処理を終えると、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS110)、処理の流れをステップS12へ戻す。
【0043】
図3に戻り、制御部10は、接続された負荷3の種類をステップS12で推定する。図6は、制御部10がステップS12で実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、駆動回路21を制御して分配部20のスイッチ23をオンにする(ステップS201)。次に制御部10は、スイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS202)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値と、第2電圧測定部22bで測定された電圧値とを取得し、取得した電圧値の電位差と、あらかじめストレージ103に記憶している抵抗器24の抵抗値に基づいて、抵抗器24に流れる電流の電流値、即ちスイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値を算出して記録する。
【0044】
スイッチ23をオンにしてから負荷3へ流れる電流値の変化の一例のグラフを図7に示す。なお、図7ではスイッチ23をオンにした時点をt0としている。図7においては、線L1は、負荷3が容量負荷であるときの電流値の変化を示し、線L2は、負荷3が誘導負荷であるときの電流値の変化を示し、線L3は、負荷3が抵抗負荷であるときの電流値の変化を示している。
【0045】
次に制御部10は、負荷3へ流れている電流が定常状態であるか判断する(ステップS203)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電流値のうち、記録された最新の電流値と過去の複数個の電流値との変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電流が定常状態ではないと判断し(ステップS203でNO)、処理の流れをステップS202へ戻す。
【0046】
制御部10は、ストレージ103に記録された電流値のうち、記録された最新の電流値と過去の複数個の電流値との変動幅が予め定められた範囲内である場合、電流が定常状態であると判断する(ステップS203でYES)。次に制御部10は、例えば記録された最新の電流値から過去に複数個の電流値の平均値を定常電流であるIstとして特定する(ステップS204)。
【0047】
次に制御部10は、スイッチ23をオンにしてから所定時間が経過するまでの過渡領域で記録された電流値が第1電流閾値であるIth1を超えているか判断する(ステップS205)。過渡領域は、例えば図7に示すように、t0から所定時間経過後の時点までの時間帯である。図7に示すIth1は、例えばIstの1.5倍の電流値である。なお、Ith1は、Istの1.5倍に限定されるものではなく、容量負荷を推定可能な値であればよい。制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth1を超えている場合(ステップS205でYES)、接続された負荷3が容量負荷であると推定し(ステップS206)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS210)、処理の流れをステップS13へ移す。
【0048】
制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth1を超えていない場合(ステップS205でNO)、過渡領域で記録された電流値が第2電流閾値であるIth2未満であるか判断する(ステップS207)。Ith2は、例えばIstの0.5倍の電流値である。なお、Ith2は、Istの0.5倍に限定されるものではなく、誘導負荷を推定可能な値であればよい。制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth2未満である場合(ステップS205でYES)、接続された負荷3が誘導負荷であると推定し(ステップS208)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS210)、処理の流れをステップS13へ移す。
【0049】
制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth2以上である場合(ステップS207でNO)、接続された負荷3が抵抗負荷であると推定し(ステップS209)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS210)、処理の流れをステップS13へ移す。
【0050】
図3に戻り、制御部10は、ステップS12で推定した負荷3の種類が抵抗負荷であるかステップS13で判断する。制御部10は、ステップS12での負荷3の種類の推定結果が抵抗負荷である場合(ステップS13でYES)、図3の処理を終了する。制御部10は、ステップS12での負荷3の種類の推定結果が抵抗負荷ではない場合(ステップS13でNO)、接続された負荷3の種類が誘導負荷であるか判断する(ステップS14)。制御部10は、ステップS12での負荷3の種類の推定結果が誘導負荷である場合(ステップS14でYES)、負荷3の負荷定数を推定する(ステップS15)。
【0051】
図8は、制御部10がステップS15で実行する処理の流れを示すフローチャートである。制御部10は、ステップS14でYESと判断した場合、図8に示す処理で負荷3の負荷定数としてのインダクタンス値を推定する。まず制御部10は、駆動回路21を制御してスイッチ23をオンにする(ステップS301)。次に制御部10は、スイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値と、第1電圧測定部22aで測定された電圧値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップ302)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値であるVaと、第2電圧測定部22bで測定された電圧値であるVbを取得し、取得した電圧値の電位差と、あらかじめストレージ103に記憶している抵抗器24の抵抗値に基づいて、抵抗器24に流れる電流の電流値、即ちスイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値を算出して記録する。
【0052】
次に制御部10は、負荷3へ流れている電流と負荷3とスイッチ23との間の電圧が定常状態であるか判断する(ステップS303)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電流値のうち、記録された最新の電流値から過去に複数個の電流値の変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電流が定常状態ではないと判断し(ステップS303でNO)、処理の流れをステップS302へ戻す。また、制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電圧が定常状態ではないと判断し(ステップS303でNO)、処理の流れをステップS302へ戻す。
【0053】
制御部10は、記録された最新の電流値から過去に複数個の電流値の変動幅が予め定められた範囲内であり、且つ、記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の変動幅が予め定められた範囲内である場合、定常状態であると判断する(ステップS303でYES)。次に制御部10は、例えば記録された最新の電流値から過去に複数個の電流値の平均値を定常電流であるIstとする(ステップS304)。また、制御部10は、例えば記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の平均値を定常電圧であるVstとする(ステップS305)。
【0054】
次に制御部10は、接続された負荷3の抵抗値を算出する(ステップS306)。ここで制御部10は、抵抗値をRとし、R=Vst/Istの式で負荷3の抵抗値を算出する。次に制御部10は、Vstに基づいて、Vτ=0.632*Vstの式により、Vstの63.2%の電圧値であるVτを算出する(ステップS307)。また、制御部10は、記録した電圧値と、電圧値と組で記録されている経過時間を参照し、スイッチ23をオンにしてから電圧値がVτになるまでの経過時間であるτを求める(ステップS308)。
【0055】
次に制御部10は、負荷定数を算出する(ステップS309)。ここで制御部10は、ステップS12で負荷3が誘導負荷であると推定している場合、負荷3のインダクタンス値であるLを算出する。Lは、τ=L/Rの式に基づいて算出され、Rは、ステップS306で算出したRであり、τは、ステップS308で求めたτである。次に制御部10は、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS310)、図8の処理を終了する。
【0056】
図3に戻り、制御部10は、ステップS12での負荷3の種類の推定結果が誘導負荷でない場合(ステップS14でNO)、容量負荷である負荷3の負荷定数を推定する(ステップS17)。制御部10は、ステップS14でNOと判断した場合、図8の処理で負荷3のキャパシタンス値であるCをステップS309で算出する。Cは、ステップS309においてτ=RCの式に基づいて算出される。ここでRは、ステップS306で算出したRであり、τは、ステップS308で求めたτである。次に制御部10は、処理の流れをステップS18へ移す。
【0057】
制御部10は、ステップS18において、マスク期間を設定する。マスク期間とは、スイッチ23をオフにした後、負荷3への電力供給が遮断されているか否かの判断を行わない期間である。図9は、負荷3が容量負荷であり、スイッチ23をオンからオフにしたときに第1電圧測定部22aで測定される電圧の変化の一例を示すグラフである。なお、図9においては、スイッチ23がオンからオフになった時点をt0としている。制御部10は、スイッチ23と負荷3との間の電圧が図9に示す判定閾値であるVth以下となっていると負荷3への電力供給が遮断されていると判定する。しかしながら、判定のタイミングが時点t11である場合、スイッチ23をオフにしているにもかかわらず、負荷3とスイッチ23との間の電圧がVth以下となっていないため負荷3への電力供給が遮断されていないと判定してしまう。そこで、制御部10は、負荷3の種類が容量負荷である場合、電圧がVthを超えている期間をマスク期間として設定し、マスク期間内では負荷3への電力供給が遮断されているか否かの判定を行わないようにする。
【0058】
容量負荷である負荷3に対してスイッチ23をオフにした場合、スイッチ23と負荷3との間の電圧をVとすると、V=Vst*exp(-t/τ)となる。この式から時定数と電圧低下の関係は、t=τの場合、V(τ)=Vst*exp(-τ/τ)=Vst*exp(-1)=0.367879*Vstとなる。また、t=2τの場合、V(2τ)=Vst*exp(-2τ/τ)=Vst*exp(-2)=0.135335*Vstとなる。この関係をV(ατ)=βVstとして表し、Vth>βVstとなるατを設定し、ατをマスク期間とすれば、負荷3への電力供給が遮断されているか否かの判定で誤判定を行わないようにすることができる。
【0059】
図10は、制御部10がマスク期間を設定する処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部10は、Vstとτを特定する(ステップS401)。ここでVstは、例えばステップS305で求めた値であり、τはステップS308で求めた値である。次に制御部10は、あらかじめストレージ103に記憶しているテーブルを参照し、Vth>βVstとなるαを特定する(ステップS402)。図11にテーブルの一例を示す。テーブルは、αとβの関係を格納したテーブルである。例えば、キャパシタンス値が100μF、Vstが12V、Vthが0.5Vである場合を想定する。テーブルを参照し、α=4とするとβ=0.018316となる。βVst=12V*0.018316=0.216Vとなり、Vth>βVstとなる。制御部10は、この特定したαからマスク期間を設定する(ステップS403)。例えば、τ=1.2msである場合、4τ=4.8msとなる。制御部10は、この4.8msをマスク期間とする。制御部10は、マスク期間を設定すると、図3の処理を終了する。
【0060】
次に特定した負荷3の種類が誘導負荷の場合に行う制御の一例について説明する。図12は、特定した負荷3が誘導負荷である場合に負荷3への電力供給を遮断する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、スイッチ23をPWM制御するときのデューティ比の初期値を設定する(ステップS501)。この初期値は、例えば50%である。次に制御部10は、設定したデューティ比に応じた時間幅でスイッチ23がオンオフするように駆動回路21を制御してスイッチ23をPWM制御する(ステップS502)。
【0061】
制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値と電源2の電圧を取得してFET23aのドレインとソース間の電圧であるVdsを算出し、算出したVdsがFET23aの過電圧閾値であるVthaより小さい閾値であるVthb以上であるか判断する(ステップS503)。なお、電源2の電圧は、図示省略した電圧測定部により測定され、この電圧測定部による測定結果を制御部10は取得する。制御部10は、VdsがVthb以上である場合(ステップS503でYES)、PWM制御のデューティ比を減少させ、減少後のデューティ比に応じた時間幅でスイッチ23がオンオフするように駆動回路21を制御し(ステップS504)、処理の流れをステップS503へ戻す。
【0062】
制御部10は、VdsがVthb未満である場合(ステップS503でNO)、Vdsが定常状態であるか判断する(ステップS505)。定常状態とは、算出した最新のVdsから過去に複数個のVdsの変動幅が所定範囲内の状態である。制御部10は、Vdsが定常状態ではない場合(ステップS505でNO)、処理の流れをステップS503へ戻す。制御部10は、Vdsが定常状態である場合(ステップS505でYES)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにする(ステップS506)。
【0063】
図13Aの上段は、PWM制御を行わずに負荷3へ電力を供給するスイッチ23をオンからオフにしたときのタイミングを示し、図13Aの中段は、負荷3の種類が誘導負荷である場合にスイッチ23をオフにしたときのFET23aのドレインとソース間の電圧を示し、図13Aの下段は、スイッチ23から流れる電流の変化の一例を示している。負荷3の種類が誘導負荷である場合にスイッチ23をオンからオフにすると、逆起電力によりFET23aのソースとドレイン間の電圧が大きくなり、この電圧が図13Aに示すようにFET23aの過電圧閾値であるVthaを超えるとFET23aが破壊されるおそれがある。
【0064】
図13Bの上段は、負荷3へ電力を供給するスイッチ23をオンからオフにするときにPWM制御を行う場合のスイッチ制御のタイミングを示し、図13Bの中段は、負荷3の種類が誘導負荷である場合にスイッチ23をPWM制御したときのFET23aのドレインとソース間の電圧を示し、図13Bの下段は、スイッチ23をPWM制御したときにスイッチ23から流れる電流の変化の一例を示している。負荷3が誘導負荷である場合、負荷3への電力供給を遮断するときに図12に示す処理によってスイッチ23をPWM制御することにより、制御部10は、逆起電力でVdsがVthaより小さいVthbに達した時点でデューティ比を減少させてVdsを減少させるため、VdsがVthaに達するのを防ぎ、FET23aが破壊されるのを防ぐことができる。制御部10は、推定した負荷3の種類が容量負荷又は抵抗負荷である場合、スイッチ23をオンからオフにするときにはPWM制御を行わずにオフにする。なお、ステップS501で設定する初期値は、前述のステップS309で算出したインダクタンス値のLに応じて設定してもよく、例えばインダクタンス値が大きくなるにつれて初期値を大きくするようにしてもよい。これにより、PWM制御を開始したときの逆起電力を抑えることができる。
【0065】
次に特定した負荷3の種類が容量負荷である場合に行う制御の一例について説明する。図14は、特定した負荷3が容量負荷である場合に負荷3へ電力を供給する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、スイッチ23をPWM制御するときのデューティ比の初期値を設定する(ステップS601)。この初期値は、例えば50%である。次に制御部10は、設定したデューティ比に応じた時間幅でスイッチ23がオンオフするように駆動回路21を制御してスイッチ23をPWM制御する(ステップS602)。
【0066】
制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値と、第2電圧測定部22bで測定された電圧値との電位差と、あらかじめストレージ103に記憶している抵抗器24の抵抗値に基づいて、抵抗器24に流れる電流の電流値を算出し、算出した電流値がFET23aの過電流閾値であるIthaより小さい閾値であるIthb以上であるか判断する(ステップS603)。制御部10は、算出した電流値がIthb以上である場合(ステップ603でYES)、PWM制御のデューティ比を減少させ、減少後のデューティ比に応じた時間幅でスイッチ23がオンオフするように駆動回路21を制御し(ステップS604)、処理の流れをステップS603へ戻す。
【0067】
制御部10は、算出した電流値がIthb未満である場合(ステップS603でNO)、算出した電流値が定常状態であるか判断する(ステップS605)。定常状態とは、算出した最新の電流値から過去に複数個の電流値の変動が所定範囲内である状態である。制御部10は、電流値が定常状態ではない場合(ステップS605でNO)、処理の流れをステップS603へ戻す。制御部10は、電流値が定常状態である場合(ステップS605でYES)、PWM制御を停止し、駆動回路21を制御してスイッチ23をオンにする(ステップS606)。
【0068】
図15Aの上段は、PWM制御を行わずに負荷3へ電力を供給するスイッチ23をオフからオンにしたときのタイミングを示し、図15Aの下段は、負荷3の種類が容量負荷である場合にスイッチ23をオンにしたときにスイッチ23から流れる電流の変化の一例を示している。負荷3の種類が容量負荷である場合にスイッチ23をオフからオンにすると、FET23aから流れる電流が大きくなり、この電流がFET23aの過電流閾値であるIthaを超えるとFET23aが破壊されてしまう。
【0069】
図15Bの上段は、負荷3へ電力を供給するスイッチ23をオフからオンにするときにPWM制御を行う場合のスイッチ制御のタイミングを示し、図15Bの下段は、スイッチ23をPWM制御したときにスイッチ23から流れる電流の変化の一例を示している。負荷3が容量負荷である場合、負荷3への電力供給を行うときに図14に示す処理によってスイッチ23をPWM制御することにより、制御部10は、電流がIthaより小さいIthbに達した時点でデューティ比を減少させ、スイッチ23から流れる電流を減少させるため、スイッチ23から流れる電流がIthaに達するのを防ぎ、FET23aが破壊されるのを防ぐことができる。制御部10は、推定した負荷3の種類が誘導負荷又は抵抗負荷である場合、スイッチ23をオフからオンにするときにはPWM制御を行わずにオンにする。なお、ステップS601で設定する初期値は、前述のステップS309で算出したキャパシタンス値のCに応じて設定してもよく、例えばキャパシタンス値が大きくなるにつれて初期値を小さくするようにしてもよい。これにより、PWM制御を開始したときにスイッチ23から流れる電流がIthaに達するのを抑えることができる。
【0070】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0071】
図16は、変形例に係る電力分配システム1Bの構成を示すブロック図である。電力分配システム1Bは、第2電圧測定部22bと抵抗器24を備えていない点で電力分配システム1Aと相違している。上述した実施形態で制御部10は、後付けで接続された負荷3の種類の推定を電流値に基づいて行っているが、電力分配システム1Bにおいては電圧値を用いて推定してもよい。図17は、制御部10がステップS12で実行する処理の変型例を示すフローチャートである。まず制御部10は、駆動回路21を制御して分配部20のスイッチ23をオンにする(ステップS701)。次に制御部10は、スイッチ23と負荷3との間の電圧の電圧値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS702)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値を取得して記録する。
【0072】
スイッチ23をオンにしてから負荷3とスイッチ23との間の電圧の電圧値の変化の一例のグラフを図18に示す。なお、図18ではスイッチ23をオンにした時点をt0としている。図18においては、線L4は、負荷3が誘導負荷であるときの電圧値の変化であり、線L5は、負荷3が容量負荷であるときの電圧値の変化であり、線L6は、負荷3が抵抗負荷であるときの電流値の変化である。
【0073】
次に制御部10は、負荷3とスイッチ23との間の電圧が定常状態であるか判断する(ステップS703)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電圧が定常状態ではないと判断し(ステップS703でNO)、処理の流れをステップS702へ戻す。
【0074】
制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の変動幅が予め定められた範囲内である場合、電圧が定常状態であると判断する(ステップS703でYES)。次に制御部10は、例えば記録された最新の電圧値から過去に複数個の電圧値の平均値を定常電圧であるVstとして特定する(ステップS704)。
【0075】
次に制御部10は、スイッチ23をオンにしてから所定時間が経過するまでの過渡領域で記録された電圧値が第1電圧閾値であるVth1を超えているか判断する(ステップS705)。Vth1は、例えばVstの1.5倍の電圧値である。なお、Vth1は、Vstの1.5倍に限定されるものではなく、誘導負荷を推定可能な値であればよい。制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth1を超えている場合(ステップS705でYES)、接続された負荷3が誘導負荷であると推定し(ステップS706)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS710)、処理の流れをステップS13へ戻す。
【0076】
制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth1を超えていない場合(ステップS705でNO)、過渡領域で記録された電圧値が第2電圧閾値であるVth2未満であるか判断する(ステップS707)。Vth2は、例えばVstの0.5倍の電圧値である。なお、Vth2は、Vstの0.5倍に限定されるものではなく、容量負荷を推定可能な値であればよい。制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth2未満である場合(ステップS705でYES)、接続された負荷3が容量負荷であると推定し(ステップS708)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS710)、処理の流れをステップS13へ戻す。
【0077】
制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth2以上である場合(ステップS707でNO)、接続された負荷3が抵抗負荷であると推定し(ステップS709)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS710)、処理の流れをステップS13へ戻す。
【0078】
電力分配システム1Bにおいては、制御部10は、図4の処理のステップS102では第2電圧測定部22bで測定された電圧値に替えて第1電圧測定部22aで測定された電圧値を用いるようにしてもよい。
【0079】
本発明においては、制御部10は、負荷3~3へ電力供給しているときに第1電圧測定部22aと第2電圧測定部22bの測定結果を取得して各負荷へ流れる電流の電流値を監視してもよい。また、制御部10は、各負荷へ流れる電流の電流値を監視し、負荷へ流れる電流の電流値があらかじめ定められ閾値を超えるとスイッチ23をPWM制御し、負荷へ流れる電流を減少させるようにしてもよい。
【0080】
上述した実施形態では、電力分配システム1A、1Bは車両に設けられているが、車両だけでなく負荷が後付け可能な飛行機や船舶、電車、電気製品など車両以外の機器に設けられ、負荷へ電力を分配してもよい。
【0081】
本発明においては、例えばストレージ103に記憶されるテーブルの内容を後付けされる負荷に応じて書き替えてもよい。また、前述の各種閾値を変更する場合、ストレージ103に記憶されたプログラムを書き替えて対応してもよい。
【0082】
電力分配システム1A、1Bは、分配部が駆動回路21とスイッチ23を含む構成となっているが、駆動回路21とスイッチ23が外付けの構成であってもよい。また、駆動回路21とスイッチ23が外付けの構成である場合、スイッチ23に接続される電源は、電源2とは異なる電源であってもよい。また、電力分配システム1A、1Bにおいては、特定の負荷に対しては分配部が外付けの構成であってもよい。
【0083】
上述した実施形態や変形例においては、スイッチ23がオンとなったときの過渡領域の電流値や電圧値に基づいて負荷3の種類(特性)が容量負荷(容量性)、誘導負荷(誘導性)、又は抵抗負荷(抵抗性)のいずれであるか推定しているが、スイッチ23をオフにしたときの過渡領域の電流値や電圧値を用いて負荷3の種類(特性)を特定してもよい。また、特定した負荷3の特性に基づいて、追加された負荷3がどのような装備であるのかを特定してもよい。この変形例においては、推定部112は、追加可能な装備の電流特性と電圧特性を予め特定しておき、追加された負荷3の電流特性と電圧特性とから負荷3がどのような装備であるかを推定する推定部として機能する。
【0084】
図19は、変形例に係る電力分配システム1Aに負荷3が後付けで接続されたときに制御部10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、分配部20のグランドの電位と負荷3のグランドの電位との電位差を推定する(ステップS20)。このステップS20の処理は、前述のステップS11の処理と同じ処理であるため、説明を省略する。
【0085】
次に制御部10は、スイッチ23がオンとなったときの負荷3の電圧特性を判別する(ステップS21)。図20は、制御部10がステップS21で実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、駆動回路21を制御して分配部20のスイッチ23をオンにする(ステップS801)。次に制御部10は、スイッチ23と負荷3との間の電圧の電圧値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS802)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値を取得して記録する。
【0086】
次に制御部10は、負荷3とスイッチ23との間の電圧が定常状態であるか判断する(ステップS803)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値と過去の複数個の電圧値との変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電圧が定常状態ではないと判断し(ステップS803でNO)、処理の流れをステップS802へ戻す。
【0087】
制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値と過去の複数個の電圧値との変動幅が予め定められた範囲内である場合、電圧が定常状態であると判断する(ステップS803でYES)。次に制御部10は、スイッチ23をオンにしてから所定時間が経過するまでの過渡領域で記録された電圧値が第1電圧閾値であるVth1を超えているか判断する(ステップS804)。制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth1を超えている場合(ステップS804でYES)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電圧特性が誘導性であると判別し(ステップS805)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS809)、処理の流れをステップS22へ移す。
【0088】
制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth1を超えていない場合(ステップS804でNO)、過渡領域で記録された電圧値が第2電圧閾値であるVth2未満であるか判断する(ステップS806)。制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth2未満である場合(ステップS806でYES)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電圧特性が容量性であると判別し(ステップS807)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS809)、処理の流れをステップS22へ移す。
【0089】
制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth2以上である場合(ステップS806でNO)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電圧特性が抵抗性であると判別し(ステップS808)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS809)、処理の流れをステップS22へ移す。
【0090】
図19に戻り、次に制御部10は、スイッチ23がオンとなったときの負荷3の電流特性を判別する(ステップS22)。図21は、制御部10がステップS22で実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、駆動回路21を制御して分配部20のスイッチ23をオンにする(ステップS851)。次に制御部10は、スイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS852)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値と、第2電圧測定部22bで測定された電圧値とを取得し、取得した電圧値の電位差と、あらかじめストレージ103に記憶している抵抗器24の抵抗値に基づいて、抵抗器24に流れる電流の電流値、即ちスイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値を算出して記録する。
【0091】
次に制御部10は、負荷3へ流れている電流が定常状態であるか判断する(ステップS853)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電流値のうち、記録された最新の電流値と過去の複数個の電流値との変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電流が定常状態ではないと判断し(ステップS853でNO)、処理の流れをステップS852へ戻す。
【0092】
制御部10は、ストレージ103に記録された電流値のうち、記録された最新の電流値と過去の複数個の電流値との変動幅が予め定められた範囲内である場合、電流が定常状態であると判断する(ステップS853でYES)。次に制御部10は、スイッチ23をオンにしてから所定時間が経過するまでの過渡領域で記録された電流値が第1電流閾値であるIth1を超えているか判断する(ステップS854)。制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth1を超えている場合(ステップS854でYES)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電流特性が容量性であると判別し(ステップS855)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS859)、処理の流れをステップS23へ移す。
【0093】
制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth1を超えていない場合(ステップS854でNO)、過渡領域で記録された電流値が第2電流閾値であるIth2未満であるか判断する(ステップS856)。制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth2未満である場合(ステップS856でYES)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電流特性が誘導性であると判別し(ステップS857)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS859)、処理の流れをステップS23へ移す。
【0094】
制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth2以上である場合(ステップS856でNO)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電流特性が抵抗性であると判別し(ステップS858)、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにし(ステップS859)、処理の流れをステップS23へ移す。
【0095】
次に制御部10は、スイッチ23がオフとなったときの負荷3の電圧特性を判別する(ステップS23)。図22は、制御部10がステップS23で実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、駆動回路21を制御して分配部20のスイッチ23をオンにする(ステップS821)。次に制御部10は、スイッチ23と負荷3との間の電圧の電圧値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS822)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値を取得して記録する。
【0096】
次に制御部10は、負荷3とスイッチ23との間の電圧が定常状態であるか判断する(ステップS823)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値と過去の複数個の電圧値との変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電圧が定常状態ではないと判断し(ステップS823でNO)、処理の流れをステップS822へ戻す。
【0097】
制御部10は、ストレージ103に記録された電圧値のうち、記録された最新の電圧値と過去の複数個の電圧値との変動幅が予め定められた範囲内である場合、電圧が定常状態であると判断する(ステップS823でYES)。次に制御部10は、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにする(ステップS824)。
【0098】
次に制御部10は、スイッチ23と負荷3との間の電圧が定常状態となるまで、スイッチ23と負荷3との間の電圧の電圧値と、スイッチ23をオフにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS825)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値を取得して記録する。
【0099】
スイッチ23をオフにしてから負荷3へ印加される電圧の変化の一例のグラフを図23に示す。なお、図23ではスイッチ23をオフにした時点をt0としている。図23においては、線L7は、負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電圧特性が容量性であるときの電圧値の変化を示し、線L8は、負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電圧特性が誘導性であるときの電圧値の変化を示し、線L9は、負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電圧特性が抵抗性であるときの電圧値の変化を示している。
【0100】
次に制御部10は、スイッチ23をオフにしてから所定時間が経過するまでの過渡領域で記録された電圧値が第3電圧閾値であるVth3を超えているか判断する(ステップS826)。制御部10は、過渡領域で記録された電圧値の全てがVth3を超えている場合(ステップS826でYES)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電圧特性が容量性であると判別し(ステップS827)、処理の流れをステップS24へ移す。
【0101】
制御部10は、過渡領域で記録された電圧値の全てがVth3を超えていない場合(ステップS826でNO)、過渡領域で記録された電圧値が第4電圧閾値であるVth4未満であるか判断する(ステップS828)。制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth4未満である場合(ステップS828でYES)、接続された負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電圧特性が誘導性であると判別し(ステップS829)、処理の流れをステップS24へ移す。
【0102】
制御部10は、過渡領域で記録された電圧値がVth4以上である場合(ステップS828でNO)、接続された負荷3のスイッチオン後の過渡状態の電圧特性が抵抗性であると判別し(ステップS830)、処理の流れをステップS24へ移す。
【0103】
図19に戻り、次に制御部10は、スイッチ23がオフとなったときの負荷3の電流特性を判別する(ステップS24)。図24は、制御部10がステップS24で実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部10は、駆動回路21を制御して分配部20のスイッチ23をオンにする(ステップS871)。次に制御部10は、スイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値と、スイッチ23をオンにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS872)。ここで制御部10は、第1電圧測定部22aで測定された電圧値と、第2電圧測定部22bで測定された電圧値とを取得し、取得した電圧値の電位差と、あらかじめストレージ103に記憶している抵抗器24の抵抗値に基づいて、抵抗器24に流れる電流の電流値、即ちスイッチ23から負荷3へ流れる電流の電流値を算出して記録する。
【0104】
次に制御部10は、負荷3へ流れている電流が定常状態であるか判断する(ステップS873)。ここで制御部10は、ストレージ103に記録された電流値のうち、記録された最新の電流値と過去の複数個の電流値との変動幅が予め定められた範囲内ではない場合、電流が定常状態ではないと判断し(ステップS873でNO)、処理の流れをステップS872へ戻す。
【0105】
制御部10は、ストレージ103に記録された電流値のうち、記録された最新の電流値と過去の複数個の電流値との変動幅が予め定められた範囲内である場合、電流が定常状態であると判断する(ステップS873でYES)。次に制御部10は、駆動回路21を制御してスイッチ23をオフにする(ステップS874)。
【0106】
制御部10は、負荷3へ流れる電流が定常状態となるまで、負荷3へ流れる電流の電流値と、スイッチ23をオフにしてからの経過時間の組をストレージ103に記録する(ステップS875)。
【0107】
スイッチ23をオフにしてから負荷3へ流れる電流の変化の一例のグラフを図25に示す。なお、図25ではスイッチ23をオフにした時点をt0としている。図25においては、線L10は、負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が誘導性であるときの電流値の変化を示し、線L11は、負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が容量性であるときの電流値の変化を示し、線L12は、負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が抵抗性であるときの電流値の変化を示している。
【0108】
次に制御部10は、スイッチ23をオフにしてから所定時間が経過するまでの過渡領域で記録された電流値が第3電流閾値であるIth3を超えているか判断する(ステップS876)。制御部10は、過渡領域で記録された全ての電流値がIth3を超えている場合(ステップS876でYES)、接続された負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が誘導性であると判別し(ステップS877)、処理の流れをステップS25へ移す。
【0109】
制御部10は、過渡領域で記録された全ての電流値がIth3を超えていない場合(ステップS876でNO)、過渡領域で記録された電流値が第3電流閾値であるIth4未満であるか判断する(ステップS878)。制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth4未満である場合(ステップS878でYES)、接続された負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が容量性であると判別し(ステップS879)、処理の流れをステップS25へ移す。
【0110】
制御部10は、過渡領域で記録された電流値がIth4以上である場合(ステップS878でNO)、接続された負荷3のスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が抵抗性であると判別し(ステップS880)、処理の流れをステップS25へ移す。
【0111】
図19に戻り、次に制御部10は、特定した電圧特性及び電流特性に基づいて、追加された負荷3がどのような装備であるか、即ち装備の種類を推定する(ステップS25)。具体的には、制御部10は、追加された負荷3がどのような装備であるかを、図26に示す特性テーブルTBを用いて推定する。特性テーブルTBは、例えばストレージ103に記憶される。
【0112】
例えば、制御部10は、前述の処理で判別した電流特性についてスイッチオン時とスイッチオフ時が共に抵抗性であり、電圧特性についてスイッチオン時とスイッチオフ時が共に抵抗性である場合、特性テーブルTBにおいてスイッチオン時とスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が抵抗性であり、スイッチオン後の過渡状態とスイッチオフ後の過渡状態の電圧特性が抵抗性である装備Aであると推定する。
【0113】
図27は、負荷3の一例であるハロゲンランプに対してスイッチ23をオンにしたときとオフにしたときの電流及び電圧の波形を示す図である。図27においては、線L21は、電流の波形であり、線L22は、電圧の波形である。ハロゲンランプの場合、電圧特性は、スイッチ23をオンにしたときとオフにしたときに抵抗性である。一方、電流特性はスイッチ23をオンにしたときに容量性であるがオフにしたときには抵抗性となっている。この場合、制御部10は、特性テーブルTBにおいて、スイッチオン後の過渡状態の電流特性が容量性であって、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性が抵抗性であり、電圧特性がスイッチオン後とスイッチオフ後とで共に抵抗性であるのは装備Bであるため、装備Bであると推定する。
【0114】
図28は、負荷3の一例であるモータに対してスイッチ23をオンにしたときとオフにしたときの電流及び電圧の波形を示す図である。図28においては、線L31は、電流の波形であり、線L32は、電圧の波形である。モータの場合、電圧特性は、スイッチ23をオンにしたときに抵抗性であり、オフにしたときに誘導性となっている。一方、電流特性はスイッチ23をオンにしたときに容量性であり、オフにしたときには抵抗性となっている。この場合、制御部10は、特性テーブルTBにおいて、スイッチオン後の過渡状態の電流特性が容量性でスイッチオフ後の過渡状態の電流特性が抵抗性であり、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性が抵抗性であって、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性が誘導性であるのは装備Cであるため、装備Cであると推定する。
【0115】
前述の実施形態においては、制御部10は、2つの閾値のIth1とIth2を用いて容量負荷(容量性)、誘導負荷(誘導性)、抵抗負荷(抵抗性)を判別しているが、追加される負荷の特性を3つ以上の閾値を用いて判別してもよい。図29は、追加された負荷の特性を判別するための複数の閾値の一例を示す図である。図29に示す閾値のIth11からIth14の大小関係は、Ith11>Ith12>Ith13>Ith14となっている。
【0116】
制御部10は、過渡領域で記録された電流値が閾値であるIth11を超えている場合、追加された負荷3が強い容量性であると判別し、閾値であるIth12を超えてIth11以下である場合、追加された負荷3が弱い容量性であると判別する。また、制御部10は、過渡領域で記録された電流値が閾値であるIth14未満である場合、追加された負荷3が強い誘導性であると判別し、閾値であるIth14以上であってIth13未満である場合、追加された負荷3が弱い容量性であると判別する。なお、このように強い容量性、弱い容量性、強い誘導性、弱い誘導性を判別する場合、前述の特性テーブルTBにおいては、誘導性と容量性について強い容量性、弱い容量性、強い誘導性、弱い誘導性に細分化してもよい。
【0117】
図26に示す、装備Aと装備Bとではオン後の過渡状態の電流特性が相違しているが、例えば装備Aと装備Bとで電力供給時のスイッチ制御や電力遮断時のスイッチ制御の方法が同じである場合、図30に示すように特性テーブルTBにおいて装備Aと装備Bとを同じ装備として扱ってもよい。例えば、装備Aと装備Bとでスイッチ制御の方法がPWM制御であって同じである場合、装備Aと装備Bとを同じ装備として扱ってもよい。
【0118】
本発明においては、追加された負荷3の特性(負荷の種類)について、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性及び/又はスイッチオン後の過渡状態の電流特性を用いずに、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性及び/又はスイッチオフ後の過渡状態の電流特性で判別してもよい。
【0119】
本発明においては、車両に搭載されたECU(Electronic Control Unit)が特性テーブルTBを記憶してもよい。この場合、制御部10は、例えば、判別したスイッチオン後の過渡状態の電圧特性、スイッチオン後の過渡状態の電流特性、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性をECUへ送信する。ECUは、追加された装備について、送信された特性と記憶している特性テーブルTBを用いて推定し、推定した結果を制御部10へ送信してもよい。また、本発明においては、特性テーブルTBを車両の外部のサーバ装置へ記憶させてもよい。この場合、判別したスイッチオン後の過渡状態の電圧特性、スイッチオン後の過渡状態の電流特性、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を制御部10又はECUからサーバ装置へ送信する。サーバ装置は、追加された装備について、送信された特性と記憶している特性テーブルTBを用いて推定し、推定した結果を制御部10又はECUへ送信してもよい。
【0120】
本発明においては、制御部10は、特性テーブルTBに格納される複数装備について、例えばスイッチオン後の過渡状態の電圧特性が全て同じである場合、スイッチオン後の過渡状態の電圧特性を判別するステップS21の処理を行わないようにしてもよく、スイッチオン後の過渡状態の電流特性が全て同じである場合、スイッチオン後の過渡状態の電流特性を判別するステップS22の処理を行わないようにしてもよい。また、特性テーブルTBに格納される複数装備について、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性が全て同じである場合、スイッチオフ後の過渡状態の電圧特性を判別するステップS23の処理を行わないようにしてもよく、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性が全て同じである場合、スイッチオフ後の過渡状態の電流特性を判別するステップS24の処理を行わないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1A、1B 電力分配システム
2 電源
~3 負荷
10 制御部
20~20 分配部
21 駆動回路
22a 第1電圧測定部
22b 第2電圧測定部
23 スイッチ
24 抵抗器
31~31 コネクタ
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ストレージ
104 入出力I/F
105 通信I/F
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30