(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139761
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】バッテリSOC補正方法、バッテリSOC補正装置、及びその方法を実行させるために記録媒体に保存されているコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/44 20060101AFI20241002BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241002BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20241002BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241002BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20241002BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H02J7/00 X
H02J7/02 H
H01M10/48 P
G01R31/382
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049755
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0039963
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045444
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】奥井 芳明
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216CB18
2G216CB47
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503BB05
5G503CA01
5G503CB11
5G503EA05
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5G503HA03
5H030AA10
5H030AS01
5H030FF42
(57)【要約】
【課題】バッテリSOC補正方法、バッテリSOC補正装置及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されているコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】互いに直列に連結されている第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールのSOCを補正する方法において、第1バッテリモジュールのSOC及び第2バッテリモジュールのSOCをそれぞれ算出するステップと、第1バッテリモジュールのSOC及び第2バッテリモジュールのSOCに基づいて、第2バッテリモジュールと電気的に並列連結されているDC-DCコンバータを用いて、第2バッテリモジュール及びDC-DCコンバータと電気的に並列連結された保存部と第2バッテリモジュールとの間の充放電電流を制御して、第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールの間のSOCを補正するステップを含む、バッテリSOC補正方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直列に連結されている第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールのSOCを補正する方法において、
前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCをそれぞれ算出するステップと、
前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいて、前記第2バッテリモジュールと電気的に並列連結されているDC-DCコンバータを用いて、前記第2バッテリモジュール及び前記DC-DCコンバータと電気的に並列連結された保存部と前記第2バッテリモジュールとの間の充放電電流を制御して、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの間のSOCを補正するステップと、
を含む、バッテリSOC補正方法。
【請求項2】
前記SOCを補正するステップは、
前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいてSOC補正値を算出するステップと、
前記SOC補正値に基づいて、前記SOC補正値に対応する充放電電流指令値で前記DC-DCコンバータを制御するステップと、
を含む、請求項1に記載のバッテリSOC補正方法。
【請求項3】
前記DC-DCコンバータを制御するステップは、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記第2バッテリモジュールから前記保存部への前記保存部を充電させる前記充放電電流を制御するステップを含む、請求項2に記載のバッテリSOC補正方法。
【請求項4】
前記DC-DCコンバータを制御するステップは、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記第2バッテリモジュールから前記保存部への前記保存部を充電させる前記充放電電流を制御するステップを含む、請求項2に記載のバッテリSOC補正方法。
【請求項5】
コンピュータ装置を用いて請求項1ないし4のうちいずれか一つの方法を実行させるために、記録媒体に保存されている、コンピュータプログラム。
【請求項6】
互いに直列に連結されている第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールのSOCを補正する装置において、
前記第2バッテリモジュールと電気的に並列連結されたDC-DCコンバータを制御して、前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間のSOCを補正する制御部と、
前記第2バッテリモジュール及び前記DC-DCコンバータと電気的に並列連結された保存部と、
を含み、
前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCをそれぞれ算出し、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいて、前記DC-DCコンバータを用いて、前記保存部と前記第2バッテリモジュールとの間の充放電電流を制御して、前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間のSOCを補正する、バッテリSOC補正装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいてSOC補正値を算出し、前記SOC補正値に基づいて、前記SOC補正値に対応する充放電電流指令値で前記DC-DCコンバータを制御する、請求項6に記載のバッテリSOC補正装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記第2バッテリモジュールから前記保存部への前記保存部を充電させる前記充放電電流を制御する、請求項7に記載のバッテリSOC補正装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記保存部から前記第2バッテリモジュールへの前記保存部を放電させる前記充放電電流を制御する、請求項7に記載のバッテリSOC補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリSOC補正方法、バッテリSOC補正装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されているコンピュータプログラムに係り、さらに詳細には、互いに直列に連結されているバッテリモジュールを充放電する過程で、効果的にバッテリモジュールのSOCを補正することができるバッテリSOC補正方法、バッテリSOC補正装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されているコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリセルを大量に必要とするESS(Energy Storage System)のようなシステムでは、バッテリセルを直並列接続してシステム全体が必要とするバッテリ容量を得ている。具体的には、持ち運びが容易になるように直列に接続された電池セルを、モジュールというボックスに収納し、このモジュールは、システムが必要とする電圧までさらに直列に接続されて、ラック(Rack)を構成する。そして、このラックがシステムの要求する容量を得ることができるまで並列接続されることが、一般的なESSのバッテリ構成である。もし故障などによりバッテリを入れ替えたい場合、直列に構成されたモジュールの一部のみを入れ替えれば、同種のモジュールであっても、経時的な劣化などの特性の差によって、各モジュールのSOC(State of Charge)のバランスが合わないようになる。よって、一つのモジュールを入れ替えたい場合にも、ラック単位で入れ替るようになって、入れ替えコストが高くなるという問題点がある。またESSは、10年以上の長い間に使われる場合が多いが、同期間にバッテリセルも引き続き開発されるため、ESSの運用期間中に入れ替え用の同じバッテリモジュールの在庫を保持するのにも膨大なコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、前述した問題点を克服するためのものであって、バッテリモジュールを充放電する過程で、効果的にバッテリモジュールのSOCを補正することができるバッテリSOC補正方法、バッテリSOC補正装置、及び前記方法を実行させるために記録媒体に保存されているコンピュータプログラムを提供することである。
【0004】
しかし、このような課題は、例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した技術的課題を解決するための技術的手段として、互いに直列に連結されている第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールのSOCを補正する方法において、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCをそれぞれ算出するステップと、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいて、前記第2バッテリモジュールと電気的に並列連結されているDC-DCコンバータを用いて、前記第2バッテリモジュール及び前記DC-DCコンバータと電気的に並列連結された保存部と前記第2バッテリモジュールとの間の充放電電流を制御して、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの間のSOCを補正するステップを含む、バッテリSOC補正方法が提供される。
【0006】
一例によれば、前記SOCを補正するステップは、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいてSOC補正値を算出するステップ、及び前記SOC補正値に基づいて、前記SOC補正値に対応する充放電電流指令値で前記DC-DCコンバータを制御するステップを含む。
【0007】
他の例によれば、前記DC-DCコンバータを制御するステップは、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記第2バッテリモジュールから前記保存部への前記保存部を充電させる前記充放電電流を制御するステップを含む。
【0008】
さらに他の例によれば、前記DC-DCコンバータを制御するステップは、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記保存部から前記第2バッテリモジュールへの前記保存部を放電させる前記充放電電流を制御するステップを含む。
【0009】
前述した技術的課題を解決するための技術的手段として、コンピュータ装置を用いて前述した方法を実行させるために、記録媒体に保存されているコンピュータプログラムが提供される。
【0010】
前述した技術的課題を解決するための技術的手段として、互いに直列に連結されている第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールのSOCを補正する装置において、前記第2バッテリモジュールと電気的に並列連結されたDC-DCコンバータを制御して、前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間のSOCを補正する制御部、及び前記第2バッテリモジュール及び前記DC-DCコンバータと電気的に並列連結された保存部を含み、前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCをそれぞれ算出し、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいて、前記DC-DCコンバータを用いて、前記保存部と前記第2バッテリモジュールとの間の充放電電流を制御して、前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間のSOCを補正する、バッテリSOC補正装置が提供される。
【0011】
一例によれば、前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCに基づいてSOC補正値を算出し、前記SOC補正値に基づいて、前記SOC補正値に対応する充放電電流指令値で前記DC-DCコンバータを制御することができる。
【0012】
他の例によれば、前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記第2バッテリモジュールから前記保存部への前記保存部を充電させる前記充放電電流を制御することができる。
【0013】
さらに他の例によれば、前記制御部は、前記第1バッテリモジュールのSOC及び前記第2バッテリモジュールのSOCが同じ値を有する前記SOC補正値に基づいて、前記保存部から前記第2バッテリモジュールへの前記保存部を放電させる前記充放電電流を制御することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、互いに直列に連結されているバッテリモジュールのSOCを効果的に補正することによって、相異なるバッテリセルで構成されたバッテリモジュールを直列に構成するとしても、問題になったSOCアンバランス問題は発生しない。よって、ラック(Rack)単位ではないモジュール(Module)単位で入れ替えが可能になって、入れ替えコストが削減される。このような効果によって本発明の範囲が限定されるものではないということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来の異種バッテリモジュールの直列接続時の問題点を説明するための図面である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置を説明するための図面である。
【
図3】本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正方法を説明するための図面である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるバッテリSOC補正装置を説明するための図面である。
【
図6】本発明の他の実施形態によるバッテリSOC補正装置を説明するための図面である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるバッテリSOC補正方法を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して当業者が容易に実施することができるように多様な実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の技術的思想は、多様な形態に変形されて具現されうるために、本明細書で説明する実施形態に制限されない。本明細書に開示された実施形態を説明するに際して、関連する公知技術を具体的に説明することが、本発明の技術的思想の要旨を不明瞭にすると判断される場合、その公知技術の具体的な説明は省略する。同一または類似した構成要素には同じ参照番号を付し、これについての重なる説明を省略する。
【0017】
本明細書で、ある要素が他の要素と「連結」されていると記述される時、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その間に他の要素を介して「間接的に連結」されている場合も含む。ある要素が他の要素を「含む」という時、これは、特に反対の記載がない限り、他の要素以外にさらに他の要素を排除するものではなく、さらに他の要素をさらに備えるということを意味する。
【0018】
一部の実施形態は、機能的なブロック構成及び多様な処理ステップによって説明される。これらの機能ブロックの一部または全部は、特定機能を行う多様な数のハードウェア及び/またはソフトウェア構成で具現される。例えば、本発明の機能ブロックは、一つ以上のマイクロ制御部によって具現されるか、所定の機能のための回路構成によって具現される。本発明の機能ブロックは、多様なプログラミングまたはスクリプト言語で具現される。本発明の機能ブロックは、一つ以上の制御部で実行されるアルゴリズムで具現される。本発明の機能ブロックの行う機能は、複数の機能ブロックによって行われるか、本発明で複数の機能ブロックの行う機能は、一つの機能ブロックによって行われることもある。また、本発明は、電子的な環境設定、信号処理、及び/またはデータ処理などのために、従来技術を採用してもよい。
【0019】
図1は、従来の異種バッテリモジュール(Module)の直列接続時の問題点を説明するための図面である。
【0020】
先ず、
図1(a)を参照すれば、複数のバッテリモジュールが互いに直列に連結されている。例えば、
図1(a)に示されたように、バッテリ容量100Ahのバッテリモジュールと、バッテリ容量150Ahのバッテリモジュール1とが、互いに直列に連結される。ここで、ラック(Rack)に流れる電流は、30Aと等しいため、異種バッテリモジュール(Module)が直列に連結されている場合、バッテリモジュールの間に電圧やSOCが変わる。
【0021】
図1(b)を参照すれば、複数のバッテリモジュールが互いに直列に連結されている。例えば、
図1(b)に示されたように、元々等しいバッテリモジュールであったが、劣化したバッテリ容量90Ahのバッテリモジュールと、劣化していないバッテリ容量100Ahのバッテリモジュール3とが、互いに直列に連結される。ここで、同一バッテリモジュールであるとして、既存バッテリモジュールの劣化状態によって、異種バッテリモジュールが直列連結された場合と同様に、バッテリモジュールの間に電圧やSOCが変わる。
【0022】
ESS(energy storage system)メンテナンスにおいて、バッテリモジュールを入れ替る時、同種のバッテリモジュールであるとしても、劣化進行程度の差などによってセル(Cell)電圧のアンバランスが発生して、問題になる。また長期間運用中のESSの場合、同種の入れ替えバッテリモジュールを用意することができない場合もあった。よって、本発明では、バッテリモジュール単位でSOCを補正する方法を提案した。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置を説明するための図面である。
【0024】
図2を参照すれば、本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置の構成要素が概略的に図示されている。例えば、
図2に示されたように、本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置は、制御部300、DC-DCコンバータ100、保存部200を含む。また、本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置は、複数のバッテリモジュール11、13、15を含むのである。ここで、バッテリモジュール11、13、15は、バッテリラック10に含まれる。例えば、
図2に示されたように、複数のバッテリモジュール11、13、15には、BMS(Battery Management System)がそれぞれ備えられて、各バッテリモジュールのSOCを算出する。また、各BMSは、制御部300と互いに通信して算出したSOC値SOC1、SOC2、SOC_Xを送受信する。
【0025】
第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15は、少なくとも一つのバッテリセルを含み、バッテリセルは、充電可能な二次電池である。例えば、バッテリセルは、ニッケル-カドミウム電池、鉛蓄戦池、ニッケル-水素電池(NiMH:nickel metal hydride battery)、リチウム-イオン電池、リチウムポリマー電池などからなる群から選択される少なくとも一つを含む。
【0026】
第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15に含まれるバッテリセルの数及び連結方式は、バッテリパックに要求される電力量及び電圧などに基づいて定められる。
図2には、概念的な目的のみで、第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15に含まれているバッテリセルが直列に連結されるように図示されるが、バッテリセルは、互いに並列に連結されるか、直列及び並列に連結される。また、第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15は、ただ一つのバッテリセルを含んでもよい。また、
図2に示されていないが、バッテリSOC補正装置は、スイッチ、バッテリ保護回路、ヒューズ、電流センサ、温度センサなどをさらに含むことができる。
【0027】
本発明の一実施形態による第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15は、電気的に互いに直列に連結される。
【0028】
本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置は、DC-DCコンバータ100を含む。DC-DCコンバータ100は、直流入力電源を供給されて出力側の負荷が要求する形態の直流電源に変換させて出力する電力変換器である。例えば、
図2に示されたように、DC-DCコンバータ100は、第nバッテリモジュール15と電気的に並列連結される。また、DC-DCコンバータ100、第nバッテリモジュール15、及び保存部200は、電気的に互いに並列連結される。
【0029】
保存部200は、第nバッテリモジュール15と並列に連結されて第nバッテリモジュール15の放電電流を保存するか、第nバッテリモジュール15を充電させる充電電流を出力する。例えば、保存部200は、第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15のSOCが補正されるように、一時的な電力をバッファリングすることができる。
【0030】
また、
図2に示されたように、DC/DCなどの電力変換時の損失分は、制御電源から保存部200に供給されうる。
【0031】
制御部300は、バッテリモジュールのSOC情報を比べてSOC補正値を算出し、算出されたSOC補正値に対応する充放電電流指令値でDC-DCコンバータ100を制御して、一時的に差分余剰電力を保存部200を用いて調整することができる。例えば、本発明の一実施形態による制御部300は、第nバッテリモジュール15と電気的に並列連結されたDC-DCコンバータ100を制御して、第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15の間のSOCを補正することができる。
【0032】
制御部300は、第1バッテリモジュール11のSOC、第2バッテリモジュール13のSOC、及び第nバッテリモジュール15のSOCをそれぞれ算出する。また、制御部300は、第1バッテリモジュール11のSOC、第2バッテリモジュール13のSOC、及び第nバッテリモジュール15のSOCに基づいてDC-DCコンバータ100を用いて、保存部200と第nバッテリモジュール15との間の充放電電流を制御して、第1バッテリモジュール11、第2バッテリモジュール13、及び第nバッテリモジュール15の間のSOCを補正する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータの制御方法を説明するためのブロック図である。
【0034】
図3を参照すれば、DC-DCコンバータ100の制御ブロックが図示されている。例えば、
図2及び
図3を共に参照すれば、本発明の一実施形態による制御部300は、第1バッテリモジュール11のSOC、第2バッテリモジュール13のSOC、及び第nバッテリモジュール15のSOCに基づいてSOC補正値を算出し、算出されたSOC補正値に基づいて、SOC補正値に対応する充放電電流指令値でDC-DCコンバータ100を制御する。例えば、制御部300は、第1バッテリモジュール11のSOC及び第2バッテリモジュール13のSOCのSOC平均値と第nバッテリモジュール15のSOC値とを比べて、SOC補正値を算出する。
【0035】
本発明の一実施形態による制御部300は、第1バッテリモジュール11のSOC、第2バッテリモジュール13のSOC、及び第nバッテリモジュール15のSOCが等しい値を有するSOC補正値に基づいて、第nバッテリモジュール15から保存部200への、保存部200を充電させる充放電電流を制御する。
【0036】
本発明の一実施形態による制御部300は、第1バッテリモジュール11のSOC、第2バッテリモジュール13のSOC、及び第nバッテリモジュール15のSOCが相等しい値を有するSOC補正値に基づいて、保存部200から第nバッテリモジュール15への、保存部200を放電させる充放電電流を制御する。
【0037】
制御部300は、バッテリSOC補正装置の全般的な動作を制御するBMS(Battery Management System)である。例えば、制御部300は、当業界で周知のASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム及び/またはデータ処理装置などを選択的に含む形態に具現される。また、制御部300は、基本的な算術、ロジック及び入出力演算を行い、例えば、メモリに保存されているプログラムコードを実行する。制御部300は、データをメモリに保存するか、メモリに保存されたデータをローディングする。
【0038】
メモリは、制御部300が読み取り可能な記録媒体であって、RAM、ROM及びディスクドライブのような永久大容量記録装置(permanent mass storage device)でもある。メモリには、オペレーティング・システムと、少なくとも一つのプログラムまたはアプリケーションコードが格納される。メモリには、本発明の一実施形態によって、バッテリSOC補正方法のためのプログラムコードが保存される。メモリには、充放電中のバッテリの少なくとも一つのパラメータを測定することで生成されるデータが保存される。例えば、前記データは、バッテリの充放電電流、端子電圧及び/または温度を含む。メモリには、バッテリの少なくとも一つのパラメータを測定することで生成されるデータを用いて、バッテリのSOCを推定するためのプログラムコード、SOC-OCVデータが保存される。バッテリの少なくとも一つのパラメータは、バッテリの端子電圧、充放電電流、及び/または周辺温度のような要素または変数を意味する。
【0039】
制御部300は、通信モジュールをさらに含む。例えば、
図2に示されたように、制御部300は、通信モジュールを用いて、各バッテリモジュールのBMS及びDC-DCコンバータ100と互いにデータを送受信する。また、制御部300は、DC-DCコンバータ100に制御命令を送信する。
【0040】
通信モジュールの通信方式は、これらに制限されず、ネットワークが含むことができる通信網(一例として、移動通信網、有線インターネット、無線インターネット、放送網)を活用する通信方式だけではなく、機器間の近距離無線通信も含まれる。例えば、ネットワークは、PAN(personal area network)、LAN(local area network)、CAN(campus area network)、MAN(metropolitan area network)、WAN(wide area network)、BBN(broadband network)、インターネットなどのネットワークのうち一つ以上の任意のネットワークを含むことができる。また、ネットワークは、バスネットワーク、スターネットワーク、リングネットワーク、メッシュネットワーク、スターバスネットワーク、ツリーまたは階層的ネットワークなどを含むネットワークトポロジーのうち任意の一つ以上を含むことができるが、これらに制限されるものではない。
【0041】
また、本発明によるバッテリSOC補正装置は、入出力インターフェースを含む。入出力インターフェースは、入出力装置とのインターフェースのための手段である。例えば、入力装置は、キーボードまたはマウスなどの装置を、そして出力装置は、アプリケーションの通信セッションを表示するためのディスプレイのような装置を含む。他の例として、入出力インターフェースは、タッチスクリーンのように、入力と出力のための機能が一つに統合されている装置とのインターフェースのための手段でもある。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正方法を説明するための図面である。
【0043】
図4を参照すれば、
図1(a)及び
図1(b)のように、異種バッテリモジュールが互いに直列に連結されるか、同一バッテリモジュールであるとしても、劣化した既存バッテリモジュールと入れ替えられたバッテリモジュールが互いに直列に連結されている場合、本発明のバッテリSOC補正装置を用いてバッテリモジュール間のSOCを補正することができる。
【0044】
例えば、
図4に示されたように、制御部300は、入れ替えられたバッテリモジュール5のSOCが、互いに直列に連結されている他のバッテリモジュールのSOCと同一になるように、保存部200及びDC-DCコンバータ100を用いて、入れ替えられたバッテリモジュール5のSOCを補正することができる。
【0045】
図5及び
図6は、本発明の他の実施形態によるバッテリSOC補正装置を説明するための図面である。
【0046】
本発明の一実施形態によるDC-DCコンバータ100は、降圧型、昇降圧型、ZETA+SEPIC方式、Chopper方式、及び絶縁型昇降圧方式などの多様なタイプに適用される。例えば、
図5及び
図6を参照すれば、本発明の一実施形態による降圧型DC-DCコンバータ100が適用された実施形態が図示されている。
【0047】
例えば、
図5に示されたように、新たに入れ替えられた入れ替えバッテリモジュール15のセル容量が100Ahであり、直列連結された既存バッテリモジュールのセル容量が90Ahであって、セル容量差がある。例えば、いずれも同じバッテリモジュールであっても、既存バッテリモジュールの劣化によって容量差がありうる。この場合、本発明の一実施形態によるSOC補正装置は、入れ替えバッテリモジュール15と既存バッテリモジュールとの差分容量ほど、保存部200の容量が設定される。
【0048】
例えば、
図6に示されたように、新たに入れ替えられた、入れ替えバッテリモジュール15のセル容量が145Ahであり、直列連結された既存バッテリモジュールのセル容量が90Ahであって、セル容量差がありうる。この場合、
図5の実施形態と比べて、入れ替えバッテリモジュール15と既存バッテリモジュールとのセル容量差が大きい。本発明の一実施形態によるSOC補正装置は、入れ替えバッテリモジュール15と既存バッテリモジュールとのセル容量差が大きい場合、入れ替えバッテリモジュール15のセル直列数を低減させて、他の既存バッテリモジュールとほぼ同じ容量に合わせることで、保存部200の容量を最小化するように設定される。この場合、入れ替えバッテリモジュール15は、入れ替えバッテリモジュール15のセル直列数を低減させたため、DC-DCコンバータで他の既存バッテリモジュールと同じ電圧になるように配置される。
【0049】
図7は、本発明の他の実施形態によるバッテリSOC補正方法を説明するための図面である。
【0050】
図7を参照すれば、本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置がない場合(a)と、バッテリSOC補正装置がある場合(b)との第1バッテリモジュール、第2バッテリモジュール、及び第nバッテリモジュールの、充放電時間によるSOCのグラフが示されている。ここで、第1バッテリモジュール、第2バッテリモジュール、及び第nバッテリモジュールは、互いに直列に連結されており、
図7(b)の場合、第nバッテリモジュールと並列にDC-DCコンバータ及び保存部が連結されている。
【0051】
例えば、
図7に示されたように、第1バッテリモジュールのSOC(SOC0)、第2バッテリモジュールのSOC(SOC2)、及び第nバッテリモジュールのSOC(SOC1)のSOCグラフは、バッテリSOC補正装置がない場合(a)に、SOCが一致しないが、本発明の一実施形態によるバッテリSOC補正装置がある場合(b)に、SOCが補正されて、SOCが一致するということが分かる。
【0052】
本発明によれば、モジュール単位で入れ替えることができ、異種バッテリでもSOCアンバランスを補正することができる。また、本発明によれば、ESSメンテナンスにおいて、バッテリモジュールを入れ替える時、本来構成されたバッテリ種類とは異なるバッテリであっても、本発明のSOC補正装置を並列に接続して動作させることで共存することができ、モジュール単位で入れ替えることができる。
【0053】
また、本発明によれば、相異なるバッテリセルで構成されたバッテリモジュールを直列に構成するとしても、問題になったSOCアンバランス問題は発生しない。よって、ラック単位ではないモジュール単位で入れ替えが可能になって、入れ替えコストが削減される。また、アフターサービスの時、ESS運用期間の間に同一モジュールの在庫がないとしても、新たに開発されたセルと本発明のSOC補正装置で構成されたモジュールを必要な時に製作して対応することができるため、アフターサービスの運用方法を大きく改善することができる。
【0054】
以上、説明された多様な実施形態は例示的なものであるが、互いに区別されて独立して実施されるべきものではない。本明細書で説明された実施形態は、互いに組み合わせられた形態でも実施される。
【0055】
以上、説明された多様な実施形態は、コンピュータ上で多様な構成要素により実行されるコンピュータプログラムの形態で具現され、これらのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な媒体に記録される。この時、媒体は、コンピュータで実行可能なプログラムを保存し続けるか、実行またはダウンロードのために臨時保存するものであってもよい。また、媒体は、単一または複数のハードウェアが結合された形態の多様な記録手段または保存手段でありうるが、あるコンピュータシステムに直接接続される媒体に限定されず、ネットワーク上に分散存在するものであってもよい。媒体の例示としては、ハードディスク、フロッピィーディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM及びDVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクなどの磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどを含み、プログラム命令語が保存されるように構成されたものがある。また、他の媒体の例示として、アプリケーションを流通するアプリストアや、その他の多様なソフトウェアを供給ないし流通するサイト、サーバなどで管理する記録媒体ないし保存媒体も挙げられる。
【0056】
本明細書で、「部」、「モジュール」などは、制御部または回路などのハードウェア構成、及び/または制御部などのハードウェア構成によって実行されるソフトウェア構成でありうる。例えば、「部」、「モジュール」などは、ソフトウェア構成要素、客体志向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素及びタスク構成要素などの構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、および変数によって具現される。
【0057】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、当業者ならば、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更しなくても他の具体的な形態に容易に変形できるということを理解できるであろう。よって、以上で述べた実施例はすべて例示的なものであり、限定的なものではないと理解せねばならない。例えば、単一型に説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に、分散していると説明されている構成要素も、結合された形態に実施されてもよい。
【0058】
本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって現れ、特許請求の範囲の意味及び範囲そしてその均等な概念から導出されるすべての変更または変形された形態は、本発明の範囲に含まれると解釈されねばならない。
【符号の説明】
【0059】
11、13、15:バッテリモジュール
100:DC-DCコンバータ
200:保存部
300:制御部