(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139763
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】バッテリパック及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20241002BHJP
【FI】
H02J7/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049760
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0040013
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0078920
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朴 成勳
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CC04
5G503GA01
5G503HA01
(57)【要約】
【課題】バッテリパック及びその動作方法を提供する。
【解決手段】バッテリパックは、第1及び第2パック端子、第1及び第2バッテリ端子の間の複数のバッテリセルを含むバッテリ、第1パック端子と第1バッテリ端子の間の第1メインスイッチ、第1バッテリ端子とグラウンドの間に直列に連結される第1抵抗と第1絶縁スイッチ、第2バッテリ端子とグラウンドの間に直列に連結される第2抵抗と第2絶縁スイッチ、及び第1絶縁スイッチが閉鎖され第2絶縁スイッチが開放される第1状態と、第1絶縁スイッチが開放され第2絶縁スイッチが閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように第1及び第2絶縁スイッチを制御し、第1パック端子とグラウンドの間の第1端子電圧を感知するコントローラを備える。コントローラは、第1メインスイッチを開放し、第1状態と第2状態の第1端子電圧の差に基づいて第1メインスイッチの融着如何を判断するように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2パック端子と、
第1及び第2バッテリ端子の間の複数のバッテリセルを含むバッテリと、
前記第1パック端子と前記第1バッテリ端子との間の第1メインスイッチと、
前記第1バッテリ端子とグラウンドとの間に直列に連結される第1抵抗と第1絶縁スイッチと、
前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間に直列に連結される第2抵抗と第2絶縁スイッチと、
前記第1絶縁スイッチが閉鎖されて前記第2絶縁スイッチが開放される第1状態と、前記第1絶縁スイッチが開放されて前記第2絶縁スイッチが閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように、前記第1及び第2絶縁スイッチを制御し、前記第1パック端子と前記グラウンドとの間の第1端子電圧を感知するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記第1メインスイッチを開放し、前記第1状態である時の前記第1端子電圧と前記第2状態である時の前記第1端子電圧との差に基づいて、前記第1メインスイッチの融着如何を判断するように構成されることを特徴とするバッテリパック。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1状態から前記第2状態に遷移する時、前記第1端子電圧の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、前記第1メインスイッチが融着されたと定めるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1端子電圧の変化量の絶対値が前記しきい値より大きければ、前記第1メインスイッチが融着されたと定めるように構成されることを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記第2パック端子と前記第2バッテリ端子との間の第2メインスイッチをさらに含み、
前記コントローラは、
前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知し、
前記第2メインスイッチを開放し、前記第1状態である時の前記第2端子電圧と前記第2状態である時の前記第2端子電圧との差に基づいて、前記第2メインスイッチの融着如何を判断するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第1メインスイッチと前記第2メインスイッチを開放し、
前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1端子電圧の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、前記第1メインスイッチが融着されたと定め、前記第2端子電圧の変化量の絶対値が前記しきい値より大きければ、前記第2メインスイッチが融着されたと定めるように構成されることを特徴とする請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第1バッテリ電圧を感知し、
前記第1メインスイッチを閉鎖し、前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1バッテリ電圧の変化量と前記第1端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第1メインスイッチの誤作動如何を判断するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第2バッテリ電圧、及び前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知し、
前記第2パック端子と前記第2バッテリ端子との間の第2メインスイッチを閉鎖し、前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第2バッテリ電圧の変化量と前記第2端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第1メインスイッチの誤作動如何を判断するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項8】
バッテリ、第1パック端子と第1バッテリ端子との間の第1メインスイッチ、第2パック端子と第2バッテリ端子との間の第2メインスイッチ、前記第1バッテリ端子とグラウンドとの間に直列に連結される第1抵抗と第1絶縁スイッチ、及び前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間に直列に連結される第2抵抗と第2絶縁スイッチを含むバッテリパックの動作方法において、
前記第1メインスイッチを開放するステップと、
前記第1絶縁スイッチが閉鎖されて前記第2絶縁スイッチが開放される第1状態と、前記第1絶縁スイッチが開放されて前記第2絶縁スイッチが閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように、前記第1及び第2絶縁スイッチを制御するステップと、
前記第1パック端子と前記グラウンドとの間の第1端子電圧を感知するステップと、
前記第1状態である時の前記第1端子電圧と前記第2状態である時の前記第1端子電圧との差に基づいて、前記第1メインスイッチの融着如何を判断するステップと、を含むバッテリパックの動作方法。
【請求項9】
前記第2メインスイッチを開放するステップと、
前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知するステップと、
前記第1状態である時の前記第2端子電圧と前記第2状態である時の前記第2端子電圧との差に基づいて、前記第2メインスイッチの融着如何を判断するステップと、をさらに含む、請求項8に記載のバッテリパックの動作方法。
【請求項10】
前記第1メインスイッチを閉鎖するステップと、
前記第1絶縁スイッチが閉鎖されて前記第2絶縁スイッチが開放される第1状態と、前記第1絶縁スイッチが開放されて前記第2絶縁スイッチが閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように、前記第1及び第2絶縁スイッチを制御するステップと、
前記第1バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第1バッテリ電圧、及び前記第1パック端子と前記グラウンドとの間の第1端子電圧を感知するステップと、
前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1バッテリ電圧の変化量と前記第1端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第1メインスイッチの誤作動如何を判断するステップと、をさらに含む、請求項8に記載のバッテリパックの動作方法。
【請求項11】
前記第2メインスイッチを閉鎖するステップと、
前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第2バッテリ電圧、及び前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知するステップと、
前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第2バッテリ電圧の変化量と前記第2端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第2メインスイッチの誤作動如何を判断するステップと、をさらに含む、請求項10に記載のバッテリパックの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパック及びその動作方法に係り、さらに詳細には、高電圧リレースイッチの融着如何を正確に判定することができるバッテリパック、及び高電圧リレースイッチの融着如何を正確に診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、バッテリパックの形態にバッテリシステム、電気車両(EV、Electric Vehicle)またはハイブリッド車両(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに多様に使われている。同一出力を仮定する時、高電圧を使えば、電流量を低減させることができ、それによって薄くて軽い配線を使うことができるというなどの長所のため、高電圧を出力するバッテリパックの使用が増加しつつある。
【0003】
高電圧を出力するバッテリパックは、充電及び放電を制御するためにリレースイッチを使う。リレースイッチは、高電圧によって融着され、バッテリパックは、リレースイッチの融着如何を確認している。しかし、パック端子間のリンクキャパシタの電圧によって、リレースイッチが融着されていないもかかわらず、融着されたと誤診断するときがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高電圧リレースイッチの融着如何を正確に判定することができるバッテリパックを提供する。
【0005】
本発明は、高電圧リレースイッチについての融着診断の判断信頼性を向上させることができる融着診断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によるバッテリパックは、第1及び第2パック端子、第1及び第2バッテリ端子の間の複数のバッテリセルを含むバッテリ、前記第1パック端子と前記第1バッテリ端子との間の第1メインスイッチ、前記第1バッテリ端子とグラウンドとの間に直列に連結される第1抵抗と第1絶縁スイッチ、前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間に直列に連結される第2抵抗と第2絶縁スイッチ、及び前記第1絶縁スイッチが閉鎖されて前記第2絶縁スイッチが開放される第1状態と、前記第1絶縁スイッチが開放されて前記第2絶縁スイッチが閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように、前記第1及び第2絶縁スイッチを制御し、前記第1パック端子と前記グラウンドとの間の第1端子電圧を感知するコントローラを備える。前記コントローラは、前記第1メインスイッチを開放し、前記第1状態である時の前記第1端子電圧と前記第2状態である時の前記第1端子電圧との差に基づいて、前記第1メインスイッチの融着如何を判断するように構成される。
【0007】
一例によれば、前記コントローラは、前記第1状態から前記第2状態に遷移する時、前記第1端子電圧の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、前記第1メインスイッチが融着されたと定めるように構成される。
【0008】
他の例によれば、前記コントローラは、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1端子電圧の変化量の絶対値が前記しきい値より大きければ、前記第1メインスイッチが融着されたと定めるように構成される。
【0009】
さらに他の例によれば、前記バッテリパックは、前記第2パック端子と前記第2バッテリ端子との間の第2メインスイッチをさらに含む。前記コントローラは、前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知し、前記第2メインスイッチを開放し、前記第1状態である時の前記第2端子電圧と前記第2状態である時の前記第2端子電圧との差に基づいて、前記第2メインスイッチの融着如何を判断するように構成される。
【0010】
さらに他の例によれば、前記コントローラは、前記第1メインスイッチと前記第2メインスイッチを開放し、前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1端子電圧の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、前記第1メインスイッチが融着されたと定め、前記第2端子電圧の変化量の絶対値が前記しきい値より大きければ、前記第2メインスイッチが融着されたと定めるように構成される。
【0011】
さらに他の例によれば、前記コントローラは、前記第1バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第1バッテリ電圧を感知し、前記第1メインスイッチを閉鎖し、前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1バッテリ電圧の変化量と前記第1端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第1メインスイッチの誤作動如何を判断するように構成される。
【0012】
さらに他の例によれば、前記コントローラは、前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第2バッテリ電圧、及び前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知し、前記第2メインスイッチを閉鎖し、前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第2バッテリ電圧の変化量と前記第2端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第1メインスイッチの誤作動如何を判断するように構成される。
【0013】
本発明の一側面によるバッテリパックの動作方法が提供される。前記バッテリパックは、バッテリ、第1パック端子と第1バッテリ端子との間の第1メインスイッチ、第2パック端子と第2バッテリ端子との間の第2メインスイッチ、前記第1バッテリ端子とグラウンドとの間に直列に連結される第1抵抗と第1絶縁スイッチ、及び前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間に直列に連結される第2抵抗と第2絶縁スイッチを含む。前記バッテリパックの動作方法は、前記第1メインスイッチを開放するステップ、前記第1絶縁スイッチが閉鎖されて前記第2絶縁スイッチが開放される第1状態と、前記第1絶縁スイッチが開放されて前記第2絶縁スイッチが閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように、前記第1及び第2絶縁スイッチを制御するステップ、前記第1パック端子と前記グラウンドとの間の第1端子電圧を感知するステップ、及び前記第1状態である時の前記第1端子電圧と前記第2状態である時の前記第1端子電圧との差に基づいて、前記第1メインスイッチの融着如何を判断するステップを含む。
【0014】
前記コントローラは、前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知し、前記第2メインスイッチを開放し、前記第1状態である時の前記第2端子電圧と前記第2状態である時の前記第2端子電圧との差に基づいて、前記第2メインスイッチの融着如何を判断するように構成される。
【0015】
他の例によれば、前記バッテリパックの動作方法は、前記第1メインスイッチを閉鎖するステップ、前記第1絶縁スイッチが閉鎖されて前記第2絶縁スイッチが開放される第1状態と、前記第1絶縁スイッチが開放されて前記第2絶縁スイッチが閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように、前記第1及び第2絶縁スイッチを制御するステップ、前記第1バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第1バッテリ電圧、及び前記第1パック端子と前記グラウンドとの間の第1端子電圧を感知するステップ、及び前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第1バッテリ電圧の変化量と前記第1端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第1メインスイッチの誤作動如何を判断するステップをさらに含む。
【0016】
さらに他の例によれば、前記バッテリパックの動作方法は、前記第2メインスイッチを閉鎖するステップ、前記第2バッテリ端子と前記グラウンドとの間の第2バッテリ電圧、及び前記第2パック端子と前記グラウンドとの間の第2端子電圧を感知するステップ、及び前記第1状態から前記第2状態に遷移するか、前記第2状態から前記第1状態に遷移する時、前記第2バッテリ電圧の変化量と前記第2端子電圧の変化量との差に基づいて、前記第2メインスイッチの誤作動如何を判断するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高電圧リレースイッチについての融着誤診断が防止される。高電圧リレースイッチの診断信頼性を向上させることによって、融着診断因子である電圧のモニタリングが不安定な状況でも、正確な融着診断が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリパックを示す図面である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリパックのメインスイッチの融着如何を診断する方法を説明するためのフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態によって、第1及び第2メインスイッチが開放されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す図面である。
【
図4】本発明の一実施形態によって、第1メインスイッチが融着されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す図面である。
【
図5】本発明の一実施形態によって、第2メインスイッチが融着されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す図面である。
【
図6】本発明の一実施形態によって、第1及び第2メインスイッチが閉鎖されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここにおいて、例示的な実施形態が以下で添付した図面を参照し、さらに詳細に説明される。しかし、本発明は、多くの形態に具体化され、本発明で説明される実施形態に限定されると見なされてはいけない。これらの実施形態は、本発明を完全にし、当業者に具体的な実施形態を完璧に伝達するために提供されるものである。
【0020】
本明細書で使う用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われるものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は文脈上明らかに表さない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」または「持つ」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するということを指定するためのものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されねばならない。第1または第2などの用語は、多様な構成要素を説明するときに使われうるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはいけない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使われる。
【0021】
以下、例示的な実施形態が図示される添付図面を参照して、さらに完璧に実施形態が説明される。全体的に同じ参照番号は同じ構成要素を示す。図面において、同一または対応する構成要素には同じ図面番号が付与され、これについては、重ねて説明しない。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリパックを示す。
【0023】
図1を参照すれば、バッテリパック100は、第1及び第2パック端子T1及びT2、第1及び第2バッテリ端子B1及びB2の間に複数のバッテリセルC
1ないしC
nを有するバッテリ110、第1バッテリ端子B1と第1パック端子T1との間に連結される第1メインスイッチMS1、及び第2バッテリ端子B2と第2パック端子T2との間に連結される第2メインスイッチMS2を含む。
【0024】
バッテリパック100は、第1バッテリ端子B1とグラウンドGNDとの間に直列に連結される第1抵抗R1と第1絶縁スイッチSW1、及び第2バッテリ端子B2とグラウンドGNDとの間に直列に連結される第2抵抗R2と第2絶縁スイッチSW2を含む。
【0025】
バッテリパック100は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2を制御し、第1バッテリ端子B1とグラウンドGNDとの間の第1バッテリ電圧VB1、第2バッテリ端子B2とグラウンドGNDとの間の第2バッテリ電圧VB2、第1パック端子T1とグラウンドGNDとの間の第1端子電圧VT1、及び第2パック端子T1とグラウンドGNDとの間の第2端子電圧VT2を感知するコントローラ120を含む。
【0026】
バッテリ110は、例えば、約400V以上の高い定格電圧を有する。第1及び第2パック端子T1及びT2には、高電圧を使う電気装置または充電装置が連結される。例えば、バッテリパック100は、電気自動車に含まれ、第1及び第2パック端子T1及びT2は、電気自動車の駆動モータのような電気負荷に連結される。他の例によれば、バッテリパック100は、エネルギー保存システムに含まれる。
【0027】
バッテリ110は、第1及び第2バッテリ端子B1及びB2の間に連結される複数のバッテリセルC
1ないしC
nを含む。
図1で、バッテリセルC
1ないしC
nは、直列に連結されると示されるが、これはただ例示的であり、バッテリセルC
1ないしC
nは、直列及び並列に連結される。
【0028】
グラウンドGNDについての第1バッテリ端子B1の電位は+HVであり、第2バッテリ端子B2の電位は-HVであると仮定する。すなわち、本発明では、便宜のため、第1バッテリ端子B1の電位(+HV)のサイズと、第2バッテリ端子B2の電位(-HV)のサイズとは、相等しいと仮定する。しかし、これは、ただ例示的なものである。通常、複数のバッテリセルC1ないしCnのセル電圧は、互いに異なるため、第1バッテリ端子B1の電位(+HV)のサイズと、第2バッテリ端子B2の電位(-HV)のサイズとは、正確に同一ではない。
【0029】
バッテリ100は、2HV(すなわち、+HV-(-HV))の電圧を出力する。グラウンドGNDの電位は、第1バッテリ端子B1の電位と第2バッテリ端子B2の電位とのほぼ中間である。グラウンドGNDは、コントローラ120のグラウンドピンに連結され、第1及び第2パック端子T1及びT2を通じて連結される電気装置のグラウンドと連結される。例えば、グラウンドGNDは、第1及び第2パック端子T1及びT2を通じて連結される電気自動車のシャーシと連結される。この場合、グラウンドGNDは、シャーシグラウンドまたはLVグラウンドと指称される。
【0030】
バッテリセルC1ないしCnは、電力を保存する部分であって、充電可能な二次電池である。例えば、バッテリセルC1ないしCnは、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池(Ni-MH:nickel metal hydride battery)、ニッケル亜鉛電池(Ni-Zn:nickel-zinc battery)などからなる群から選択される少なくとも一つを含む。バッテリセルC1ないしCnの数及び連結構成は、バッテリパック100に要求される出力電圧及び電力保存容量によって定められる。以下で、バッテリセルC1ないしCnの数は、nであると仮定する。
【0031】
バッテリパック100は、複数のバッテリモジュールを含む。例えば、バッテリ110は、複数のバッテリセルストリングで構成され、複数のバッテリセルストリングそれぞれは、複数のバッテリセルで構成される。少なくとも一つのバッテリセルストリングは、バッテリモジュールに含まれる。
【0032】
図1に、バッテリパック100の第1バッテリ端子B1が正極であり、第2バッテリ端子B2が負極であると示されるが、これは、ただ例示的なものである。第1バッテリ端子B1が負極であり、第2バッテリ端子B2が正極であってもよい。
【0033】
第1メインスイッチMS1は、バッテリ110の充電及び放電電流のフローを制御するためのスイッチであって、高電圧リレースイッチである。第2メインスイッチMS2も、バッテリ110の充電及び放電電流のフローを制御するためのスイッチであって、高電圧リレースイッチである。
図1に、バッテリパック100は、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2を含むことに図示されるが、バッテリパック100は、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2のうち一つのみを含む。
【0034】
第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2は、コントローラ120によって制御される。例えば、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2は、コントローラ120によって制御されるスイッチドライバによって開放または閉鎖される。
【0035】
図1に示されていないが、バッテリパック100は、直列に連結されるプリチャージスイッチとプリチャージ抵抗をさらに含み、プリチャージスイッチとプリチャージ抵抗は、第1メインスイッチMS1または第2メインスイッチMS2と並列に連結される。バッテリパック100は、バッテリ110の充電及び放電電流を感知するための電流センサ、及びバッテリ110の充電及び放電電流が流れる大電流経路上のヒューズをさらに含む。電流センサとヒューズのうち少なくとも一つは、第1パック端子T1と第1バッテリ端子B1との間に連結されるか、第2パック端子T2と第2バッテリ端子B2との間に連結される。
【0036】
第1抵抗R1と第1絶縁スイッチSW1とは、第1バッテリ端子B1とグラウンドGNDとの間に直列に連結され、第2抵抗R2と第2絶縁スイッチSW2とは、第2バッテリ端子B2とグラウンドGNDとの間に直列に連結される。第1抵抗R1と第2抵抗R2とは、等しい抵抗値を有する。第1抵抗R1と第2抵抗R2とは、例えば、500kΩである。他の例によれば、第1抵抗R1と第2抵抗R2とは、例えば、200kΩである。
【0037】
第1絶縁スイッチSW1と第2絶縁スイッチSW2は、コントローラ120によって制御されるMOSFETスイッチのような半導体スイッチである。他の例によれば、第1絶縁スイッチSW1と第2絶縁スイッチSW2は、リレースイッチである。
【0038】
第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されれば、第1バッテリ端子B1は、グラウンドGNDに連結され、第2バッテリ端子B2の電位は-2HVになる。第2絶縁スイッチSW2が閉鎖されれば、第2バッテリ端子B2は、グラウンドGNDに連結され、第1バッテリ端子B1の電位は+2HVになる。第1絶縁スイッチSW1と第2絶縁スイッチSW2とは、同時に閉鎖されない。すなわち、第1絶縁スイッチSW1が閉鎖される時、第2絶縁スイッチSW2は開放される。第2絶縁スイッチSW2が閉鎖される時、第1絶縁スイッチSW1は開放される。第1絶縁スイッチSW1と第2絶縁スイッチSW2がいずれも開放されてもよい。
【0039】
本発明で、第1絶縁スイッチSW1が閉鎖され、第2絶縁スイッチSW2が開放される状態を、第1状態と指称する。第1絶縁スイッチSW1が開放されて第2絶縁スイッチSW2が閉鎖される状態を、第2状態と指称する。コントローラ120は、第1状態と第2状態とが交互に繰り返されるように、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2を制御する。第1状態と第2状態との間に、そして第2状態と第1状態との間に、第1絶縁スイッチSW1と第2絶縁スイッチSW2がいずれも開放される区間が存在する。
【0040】
バッテリパック100は、第1バッテリ端子B1とグラウンドGNDとの間の第1バッテリ電圧VB1を感知するための電圧センサ、第2バッテリ端子B2とグラウンドGNDとの間の第2バッテリ電圧VB2を感知するための電圧センサ、第1パック端子T1とグラウンドGNDとの間の第1端子電圧VT1を感知するための電圧センサ、及び第2パック端子T1とグラウンドGNDとの間の第2端子電圧VT2を感知するための電圧センサを含む。コントローラ120は、電圧センサを通じて第1バッテリ電圧VB1、第2バッテリ電圧VB2、第1端子電圧VT1、及び第2端子電圧VT2を感知する。
【0041】
コントローラ120は、第1メインスイッチMS1を開放し、第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されて第2絶縁スイッチSW2が開放される第1状態である時の第1端子電圧VT1と、第1絶縁スイッチSW1が開放されて第2絶縁スイッチSW2が閉鎖される第2状態である時の第1端子電圧VT1との差に基づいて、第1メインスイッチMS1の融着如何を判断するように構成される。
【0042】
一実施形態によれば、コントローラ120は、第1状態から第2状態に遷移する時、第1端子電圧VT1の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、第1メインスイッチMS1が融着されたと定める。コントローラ120は、第2状態から第1状態に遷移する時、第1端子電圧VT1の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、第1メインスイッチMS1が融着されたと定める。
【0043】
コントローラ120は、第2メインスイッチMS2を開放し、第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されて第2絶縁スイッチSW2が開放される第1状態である時の第2端子電圧VT2と、第1絶縁スイッチSW1が開放されて第2絶縁スイッチSW2が閉鎖される第2状態である時の第2端子電圧VT2との差に基づいて、第2メインスイッチMS2の融着如何を判断するように構成される。
【0044】
一実施形態によれば、コントローラ120は、第1状態から第2状態に遷移するか、第2状態から第1状態に遷移する時、第2端子電圧VT2の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、第2メインスイッチMS2が融着されたと定める。
【0045】
コントローラ120は、第1メインスイッチMS1を閉鎖し、第1状態から第2状態に遷移するか、第2状態から第1状態に遷移する時、第1バッテリ電圧VB1の変化量と第1端子電圧VT1の変化量との差に基づいて、第1メインスイッチMS1の誤作動如何を判断するように構成される。
【0046】
コントローラ120は、第2メインスイッチMS2を閉鎖し、第1状態から第2状態に遷移するか、第2状態から第1状態に遷移する時、第2バッテリ電圧VB2の変化量と第2端子電圧VT2の変化量との差に基づいて、第2メインスイッチMS2の誤作動如何を判断するように構成される。
【0047】
図1に示されていないが、コントローラ120は、バッテリ110のバッテリセルC
1ないしC
nのセル電圧を感知する。コントローラ120は、セルバランシング回路を用いてバッテリセルC
1ないしC
nのセル電圧を均等化することができる。コントローラ120は、アナログフロントエンドを用いてバッテリセルC
1ないしC
nのセル電圧を感知し、セルバランシング動作を行う。コントローラ120は、バッテリパック100内の少なくとも一つの温度センサからバッテリ温度を感知する。コントローラ120は、パック端子T1及びT2を通じて、バッテリ110に保存された電力を供給される電気装置とデータ通信を行う。
【0048】
バッテリ110の電圧が数百ボルト(V)以上に高いため、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2の開閉時に大きい電流が瞬間的に流れる恐れがある。
図1に示されてはいないが、第1及び第2パック端子T1及びT2の間にリンクキャパシタが配置され、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2が閉鎖される時、リンクキャパシタを充電するための突入電流が瞬間的に流れる恐れがある。
【0049】
このように瞬間的に流れる大きい電流によってアーク(Arc)が発生し、アークによって第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2の接点が融着されるのである。また、瞬間的に流れる大きい電流によって、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2の接点の間に大きい熱が発生することがあり、このような熱によって接点が溶融されるのである。
【0050】
第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2の接点が融着されれば、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2は、コントローラ120によって制御されえないため、バッテリパック100の保護動作が行われない。すなわち、バッテリ110が過熱されるとしても、バッテリ110を電気負荷または充電装置から分離することができないため、バッテリ110が爆発する恐れもある。よって、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2の接点が融着されることを正確に診断せねばならない。
【0051】
従来には、コントローラが電圧に基づいて、バッテリパックの高電圧リレースイッチの融着如何を判断した。例えば、コントローラは、高電圧リレースイッチを開放した状態で、バッテリセルのセル電圧を合算したバッテリ電圧と、パック端子の間の端子電圧とを比べて、バッテリ電圧と端子電圧との差が既定のしきい値より小さな場合、高電圧リレースイッチに融着が発生したと判断した。
【0052】
しかし、融着診断に使われる電圧は、パック端子に連結される電気自動車の電気システムやバッテリシステムの状態によって、センシング値が影響を受けてしまうという脆弱性がある。特に、特定のコーナーケースが発生すれば、誤った診断結果が出る可能性がある。例えば、パック端子の間のリンクキャパシタに電荷が残っている場合、高電圧リレースイッチが開放された後にも、リンクキャパシタによってパック端子の間には所定の電圧が現われる可能性があり、パック端子の間の端子電圧がバッテリ電圧に到達するほどに高ければ、コントローラは、高電圧リレースイッチに融着が発生したと診断する。このように、高電圧リレースイッチに融着が発生していないが、融着が発生したと偽陽性(false positive)診断する場合、電気自動車を全然駆動不可にする安全モードが作動するエラーが発生する恐れがある。
【0053】
このような問題を解決するために、誤診断が懸念される状況では、融着診断を省略するか、しきい値を調整するか、リレースイッチを開放した後で診断時点を延ばす方法などが使われる。しかし、これらの方法は、実際にリレースイッチに融着が発生した場合にも、これを感知することができず、偽陽性診断するという問題が発生する。
【0054】
以下、本発明によってメインスイッチの融着如何を正確に診断する方法を説明する。
【0055】
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリパックのメインスイッチの融着如何を診断する方法を説明するためのフローチャートである。
【0056】
図3は、本発明の一実施形態によって、第1及び第2メインスイッチが開放されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す。
【0057】
図4は、本発明の一実施形態によって、第1メインスイッチが融着されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す。
【0058】
図5は、本発明の一実施形態によって、第2メインスイッチが融着されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す。
【0059】
図6は、本発明の一実施形態によって、第1及び第2メインスイッチが閉鎖されたバッテリパックの第1及び第2絶縁スイッチの状態による、第1及び第2バッテリ電圧及び第1及び第2端子電圧を例示的に示す。
【0060】
図1と共に
図2を参照すれば、コントローラ120は、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2を開放する(S110ステップ)。
【0061】
コントローラ120は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2を交互に開放及び閉鎖する(S120ステップ)。一実施形態によれば、コントローラ120は、第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されて第2絶縁スイッチSW2が開放される第1状態と、第1絶縁スイッチSW1が開放されて第2絶縁スイッチSW2が閉鎖される第2状態とが交互に繰り返されるように、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2を制御する。
【0062】
例えば、
図3ないし
図6に示されたように、コントローラ120は、第1期間の間に第1絶縁スイッチSW1を閉鎖して第2絶縁スイッチSW2を開放し、第2期間の間に第1絶縁スイッチSW1を開放して第2絶縁スイッチSW2を閉鎖する。コントローラ120は、第2期間後に、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2を第1状態に制御する。コントローラ120は、このような方式で第1状態と第2状態とを交互に繰り返すように、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2を制御する。
【0063】
コントローラ120は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2の開閉状態が遷移する時点に、第1及び第2端子電圧VT1及びVT2の変化量に基づいて、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2の融着如何を判断する(S130ステップ)。
【0064】
一実施形態によれば、コントローラ120は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2が第1状態から第2状態に遷移するか、第2状態から第1状態に遷移する時、第1端子電圧VT1の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、第1メインスイッチMS1が融着されたと定め、第2端子電圧VT2の変化量の絶対値が既定のしきい値より大きければ、第2メインスイッチMS2が融着されたと定める。
【0065】
例えば、コントローラ120は、第1状態である時の第1端子電圧VT1と第2状態である時の第1端子電圧VT1との差が、既定のしきい値より大きければ、第1メインスイッチMS1が融着されたと定める。コントローラ120は、第1状態である時の第2端子電圧VT2と第2状態である時の第2端子電圧VT2との差が、既定のしきい値より大きければ、第2メインスイッチMS2が融着されたと定める。
【0066】
図3を参照すれば、第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されて第2絶縁スイッチSW2が開放される第1状態である時、第1バッテリ端子B1は、グラウンドGNDに連結されるため、第1バッテリ電圧VB1は0であり、第2バッテリ電圧VB2は-2HVである。
【0067】
第1メインスイッチMS1と第2メインスイッチMS2が正常に開放されている場合、第1及び第2パック端子T1及びT2は、それぞれ第1及び第2バッテリ端子B1及びB2と絶縁されているため、第1端子電圧VT1と第2端子電圧VT2は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2の状態と関係ない。パック端子T1及びT2の間のリンクキャパシタに電荷がいずれも放電された場合、第1端子電圧VT1と第2端子電圧VT2はいずれも0であり、リンクキャパシタに電荷がそのまま充電されていれば、第1端子電圧VT1は+HVであり、第2端子電圧VT2は-HVである。第1端子電圧VT1は、0と+HVとの間であり、第2端子電圧VT2は0と-HVとの間である。
【0068】
第1絶縁スイッチSW1が開放されて第2絶縁スイッチSW2が閉鎖される第2状態に遷移すれば、第2バッテリ端子B2がグラウンドGNDに連結されるため、第1バッテリ電圧VB1は+2HVに増加し、第2バッテリ電圧VB2は0に増加する。しかし、第1メインスイッチMS1と第2メインスイッチMS2が正常に開放されている場合、第1及び第2パック端子T1及びT2は、それぞれ第1及び第2バッテリ端子B1及びB2と絶縁されているため、第1端子電圧VT1と第2端子電圧VT2は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2の状態と関係なく以前状態をそのまま維持する。
【0069】
再び第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されて第2絶縁スイッチSW2が開放される第1状態に遷移すれば、第1バッテリ端子B1がグラウンドGNDに連結されるため、第1バッテリ電圧VB1は0に減少し、第2バッテリ電圧VB2は-2HVに減少する。しかし、第1メインスイッチMS1と第2メインスイッチMS2が正常に開放されている場合、第1及び第2パック端子T1及びT2は、それぞれ第1及び第2バッテリ端子B1及びB2と絶縁されているため、第1端子電圧VT1と第2端子電圧VT2は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2の状態と関係なく以前状態をそのまま維持する。
【0070】
しかし、第1メインスイッチMS1が融着された場合、
図4に示されたように、第1端子電圧VT1は、第1バッテリ電圧VB1と同様に第1状態から第2状態に遷移する時、0から+2HVに増加する。コントローラ120は、第1状態から第2状態に遷移する時、第1端子電圧VT1の変化量(すなわち、+2HV)が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、第1メインスイッチMS1が融着されたと判断する。
【0071】
また、第2状態から第1状態に遷移する時、第1端子電圧VT1は、第1バッテリ電圧VB1と同様に+2HVで0に減少する。コントローラ120は、第2状態から第1状態に遷移する時、第1端子電圧VT1の変化量(すなわち、-2HV)の絶対値(すなわち、2HV)が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、第1メインスイッチMS1が融着されたと判断する。
【0072】
また、第2メインスイッチMS2が融着された場合、
図5に示されたように、第2端子電圧VT2は、第2バッテリ電圧VB2と同様に第1状態から第2状態に遷移する時、-2HVから0に増加する。コントローラ120は、第1状態から第2状態に遷移する時、第2端子電圧VT2の変化量(すなわち、+2HV)が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、第2メインスイッチMS2が融着されたと判断する。
【0073】
また、第2状態から第1状態に遷移する時、第2端子電圧VT2は、第2バッテリ電圧VB2と同様に0から-2HVに減少する。コントローラ120は、第2状態から第1状態に遷移する時、第2端子電圧VT2の変化量(すなわち、-2HV)の絶対値(すなわち、2HV)が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、第2メインスイッチMS2が融着されたと判断する。
【0074】
再び
図2を参照すれば、コントローラ120は、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2を閉鎖する(S140ステップ)。
【0075】
コントローラ120は、S120ステップと同様に、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2を交互に開放及び閉鎖する(S150ステップ)。
【0076】
コントローラ120は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2の開閉状態が遷移する時点に、第1及び第2バッテリ電圧VB1及びVB2の変化量と第1及び第2端子電圧VT1及びVT2の変化量との差に基づいて、第1及び第2メインスイッチMS1及びMS2の誤作動如何を判断する(S160ステップ)。
【0077】
一実施形態によれば、コントローラ120は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2が第1状態から第2状態に遷移するか、第2状態から第1状態に遷移する時、第1バッテリ電圧VB1の変化量と第1端子電圧VT1の変化量との差が既定のしきい値より大きければ、第1メインスイッチMS1が誤作動したと定め、第2バッテリ電圧VB2の変化量と第2端子電圧VT2の変化量との差が既定のしきい値より大きければ、第2メインスイッチMS2が誤作動したと定める。
【0078】
図6を参照すれば、第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されて第2絶縁スイッチSW2が開放される第1状態である時、第1バッテリ端子B1は、グラウンドGNDに連結されるため、第1バッテリ電圧VB1は0であり、第2バッテリ電圧VB2は-2HVである。
【0079】
第1絶縁スイッチSW1が開放されて第2絶縁スイッチSW2が閉鎖される第2状態に遷移すれば、第2バッテリ端子B2がグラウンドGNDに連結されるため、第1バッテリ電圧VB1は+2HVに増加し、第2バッテリ電圧VB2は0に増加する。
【0080】
再び第1絶縁スイッチSW1が閉鎖されて第2絶縁スイッチSW2が開放される第1状態に遷移すれば、第1バッテリ端子B1がグラウンドGNDに連結されるため、第1バッテリ電圧VB1は0に減少し、第2バッテリ電圧VB2は-2HVに減少する。
【0081】
第1メインスイッチMS1と第2メインスイッチMS2が正常に閉鎖されている場合、第1及び第2パック端子T1及びT2は、それぞれ第1及び第2バッテリ端子B1及びB2と連結されているため、第1端子電圧VT1は、第1バッテリ電圧VB1と同一であり、第2端子電圧VT2は、第2バッテリ電圧VB2と同一である。
【0082】
よって、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2が、第1状態から第2状態に遷移するか、第2状態から第1状態に遷移する時、第1バッテリ電圧VB1の変化量と第1端子電圧VT1の変化量とは相等しく、第2バッテリ電圧VB2の変化量と第2端子電圧VT2との変化量とは相等しい。第1バッテリ電圧VB1の変化量と第1端子電圧VT1の変化量との差が既定のしきい値より小さいため、コントローラ120は、第1メインスイッチMS1が正常に閉鎖作動したと定める。また、第2バッテリ電圧VB2の変化量と第2端子電圧VT2の変化量との差が、既定のしきい値より小さいため、コントローラ120は、第2メインスイッチMS2が正常に閉鎖作動したと定める。ここで、既定のしきい値は、HVである。
【0083】
しかし、第1メインスイッチMS1が誤作動して閉鎖されない場合、第1パック端子T1は、第1バッテリ端子B1と絶縁されているため、
図5に示されたように、第1端子電圧VT1は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2の状態と関係ない。すなわち、第1状態から第2状態に遷移する時、第1バッテリ電圧VB1が0から+2HVに増加するとしても、第1端子電圧VT1は、既存値を維持する。第1バッテリ電圧VB1の変化量(すなわち、+2HV)と第1端子電圧VT1の変化量(すなわち、0)との差が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、コントローラ120は、第1メインスイッチMS1が誤作動したと判断する。
【0084】
また、第2状態から第1状態に遷移する時、第1バッテリ電圧VB1が+2HVから0に減少するとしても、第1端子電圧VT1は、既存値を維持する。第1バッテリ電圧VB1の変化量(すなわち、-2HV)と第1端子電圧VT1の変化量(すなわち、0)との差が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、コントローラ120は、第1メインスイッチMS1が誤作動したと判断する。
【0085】
また、第2メインスイッチMS2が誤作動して閉鎖されない場合、第2パック端子T2は、第2バッテリ端子B2と絶縁されているため、
図4に示されたように、第2端子電圧VT2は、第1及び第2絶縁スイッチSW1及びSW2の状態と関係ない。即ち、第1状態から第2状態に遷移する時、第2バッテリ電圧VB2が-2HVから0に増加するとしても、第2端子電圧VT2は、既存値を維持する。第2バッテリ電圧VB2の変化量(すなわち、+2HV)と第2端子電圧VT2の変化量(すなわち、0)との差が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、コントローラ120は、第2メインスイッチMS2が誤作動したと判断する。
【0086】
また、第2状態から第1状態に遷移する時、第2バッテリ電圧VB2が0から-2HVに減少するとしても、第2端子電圧VT2は、既存値を維持する。第2バッテリ電圧VB2の変化量(すなわち、-2HV)と第2端子電圧VT2の変化量(すなわち、0)との差が既定のしきい値(例えば、HV)より大きいため、コントローラ120は、第2メインスイッチMS2が誤作動したと判断する。
【0087】
本明細書において図示され、説明された特定の具現例は、説明のための例であり、いかなる方式でも、実施形態の範囲を限定しようとするものではない。簡潔さのために、従来の電子的な構成、制御システム、ソフトウェア、前記システムの他の機能的な側面の記載は省略される。また、図面に図示された構成要素間の線の連結または連結部材は、機能的な連結及び/または物理的または回路的な連結を例示的に示すものであり、実際の装置では、代替可能な、または追加的な多様な機能的な連結、物理的な連結、または回路連結で具現されうる。
【0088】
実施形態(特に特許請求の範囲)を記述するに当って、“前記”の用語及びこれと類似した指示用語の使用は、単数及び複数いずれにも該当する。また、実施形態で範囲(range)を記載した場合、前記範囲に属する個別的な値を適用した発明を含むものであって(これに反する記載がなければ)、発明の詳細な説明に前記範囲を構成する夫々の個別的な値を記載したものと同じである。本発明による方法を構成する段階について明らかに順序を記載するか、またはそれに反する記載がなければ、前記段階は適当な順序で行われる。必ずしも前記段階の記載順序によって本発明が限定されるものではない。
【0089】
本発明ですべての例または例示的な用語(例えば、「などなど」)の使用は、単純に本発明を詳細に説明するためのものであって、特許請求の範囲によって限定されない以上、前記例または例示的な用語によって実施形態の範囲が限定されるものではない。また、当業者は多様な修正、組み合わせ及び変更が加えられた特許請求の範囲またはその均等物の範ちゅう内で、設計条件及びファクタによって構成されうるということが分かる。
【0090】
例示的な実施形態が本明細書に提示され、特定の用語が使われたとしても、該用語は限定の目的で使ったものではなく、一般的な説明のためのものであると解釈されねばならない。一部の例で、本出願の出願時の当業者には明らかであろうが、特定の実施形態に関して説明される特徴、及び/または構成要素は、具体的に異なって記載されていない限り、単独で使われてもよく、他の実施形態に関して説明される特徴、及び/または構成要素と共に使われてもよい。よって、本発明の思想は、前記説明された実施形態に限って定められねばならず、後述する特許請求の範囲だけではなく、該特許請求の範囲と均等なまたはこれより等価的に変更されたすべての範囲は、本発明の思想の範ちゅうに属するといえる。
【符号の説明】
【0091】
100 バッテリパック
110 バッテリ