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特開2024-139783基板容器のためのパージフロー分配システム、およびパージフロー分配システムを実施するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139783
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】基板容器のためのパージフロー分配システム、およびパージフロー分配システムを実施するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024102691
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2024525305の分割
【原出願日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】63/272,282
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スミス, マーク ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキー, トーマス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ハー, コルトン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】フラー, マシュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】エグム, ショーン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャブカ, マイケル シー.
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA17
5F131CA12
5F131DD43
5F131DD67
5F131GA12
5F131GA14
5F131GA63
5F131GA73
5F131GA83
5F131GA88
5F131GA92
5F131JA04
5F131JA12
5F131JA14
5F131JA15
5F131JA16
5F131JA20
5F131JA24
5F131JA35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パージガスを基板容器の内部に分配するためのパージガス分配システムおよびパージガス分配システムを実施するための方法を提供する。
【解決手段】パージフロー分配システム340を有する基板容器であって、パージフロー分配システムは、パージガスの流れを受け取る入口ポート305に接続され、かつ、パージガスの流れを内部空間に分配する個別ガス分配デバイス350のネットワークと、入口ポートに接続され、かつ、個別ガス分配デバイスのネットワークへのパージガスの供給を分割する供給ライン360と、を含む。開放状態の基板容器をパージする方法は、パージガスの流れをパージフロー分配システムの入口ポートに供給することと、パージガスの流れを内部空間に分配するために個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために、パージガスを分割することと、を含む。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定する殻であって、前方開口、第1の側壁、第2の側壁、後部壁、および前記殻の前記前方開口に沿って前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に延在する前方縁を含む底部壁を含む殻と、
パージガスの流れを受け取るように構成されたパージフロー分配システムであって、
前記パージガスの流れを受け取るように構成された入口、および
前記パージガスの流れを前記内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワーク
を備え、前記入口に接続された供給ラインであって、前記パージガスの流れを前記個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成される供給ラインをさらに備える、パージフロー分配システムと
を備える基板容器。
【請求項2】
前記供給ラインが、前記個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、および前記個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を備える、請求項1に記載の基板容器。
【請求項3】
前記ガス分配デバイスのネットワークのうちの前記1つのガス分配デバイスが、前記後部壁のより近くに設けられた第1のガス分配デバイスであり、前記ガス分配デバイスのネットワークのうちの前記別のガス分配デバイスが前記基板容器の前記内部空間に設けられた第2のガス分配デバイスであり、前記第1の流路が、前記パージガスの流れの一部を前記第1のガス分配デバイスに供給するように構成され、前記第2の流路が、前記パージガスの流れの別の部分を前記第2のガス分配デバイスに供給するように構成されている、請求項2に記載の基板容器。
【請求項4】
前記第1のガス分配デバイスへの前記供給ラインの前記第1の流路が、前記第2のガス分配デバイスへの前記供給ラインの前記第2の流路より小さい断面積または大きい断面積を有しているか、または前方ガス分配デバイスへの前記供給ラインの前記第2の流路にフローを誘導するためのオリフィス、ばね荷重ダイバータまたは弁を備える、請求項3に記載の基板容器。
【請求項5】
前記第2の流路が、前記入口とは反対側の前記第1のガス分配デバイスの端部で、前記第1の流路の後に設けられている、請求項3に記載の基板容器。
【請求項6】
前記第2の流路が、前記パージガスを前記第2のガス分配デバイスに供給するために前記基板容器の頂部部分に設けられている、請求項5に記載の基板容器。
【請求項7】
前記第2のガス分配デバイスが、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間の前記ガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるガス分配表面を備えるか、あるいは前方ガス分配デバイスが、前記第1の側壁の前方縁または前記第2の側壁の前方縁のうちの一方に沿って垂直方向に延在するガス分配表面を備える、請求項6に記載の基板容器。
【請求項8】
前記パージフロー分配システムが、前記底部壁に設けられた、前記パージガスの流れを前記入口から受け取って前記パージガスの流れを前記ガス分配デバイスのネットワークに分割するマニホルドベースをさらに備える、請求項3に記載の基板容器。
【請求項9】
前記マニホルドベースが、前記第2の流路を少なくとも左側の第2の流路および右側の第2の流路に分割して、前記パージガスの流れの前記一部を前記第2のガス分配デバイスに供給するように構成されている、請求項8に記載の基板容器。
【請求項10】
前記マニホルドベースが、前記第1のガス分配デバイスへの前記第1の流路への前記パージガスの流れの前記一部、および前記第2のガス分配デバイスへの前記第2の流路への前記パージガスの流れの前記一部のうちの少なくとも一方を設定するための複数の調整可能弁を備える、請求項9に記載の基板容器。
【請求項11】
前記ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスが、多孔性材料を含むガス分配表面を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項12】
前記パージフロー分配システムが、前記殻の前記底部壁の入口パージポートに取り付けられている、請求項1から11のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項13】
前記ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスが、前記殻の前記第1の側壁と前記第2の側壁との間の前記ガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるガス分配表面を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項14】
前記内部空間からガスを放出するための出口ポートをさらに備え、前記出口ポートが前記入口と前記第2の側壁との間の前記底部壁に配置されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項15】
前記底部壁が、パージガスの第2の流れを前記パージフロー分配システムを介して前記内部空間に導入するための後部入口ポートを含み、前記後部入口ポートが前記前方開口よりも前記後部壁の近くに配置されている、
請求項1から14のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項16】
前記底部壁が、パージガスの第2の流れを前記パージフロー分配システムを介して前記内部空間に導入するための第2の入口ポートを含み、前記第2の入口ポートが前記後部壁よりも前記前方開口の近くに配置されている、
請求項1から14のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項17】
前記殻によって画定された前記前方開口内に受け取られるように構成された、前記内部空間を密閉するための扉
をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項18】
前記パージフロー分配システムの前記入口が第1の入口および第2の入口を備え、前記供給ラインが、前記第1の入口および前記第2の入口からの前記パージガスの流れを結合し、次に、前記パージガスの流れを前記個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の基板容器。
【請求項19】
開く基板容器をパージする方法であって、
前記基板容器の壁に配置された入口ポートを介して、パージガスの流れを前記基板容器内に少なくとも部分的に配置されたパージフロー分配システムの入口に供給することと、
前記パージガスの流れを前記基板容器の内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために、前記パージフロー分配システムの供給ラインを介して前記パージガスを分割することと
を含み、前記供給ラインは、前記ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、および前記個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を備える、開く基板容器をパージする方法。
【請求項20】
前記パージガスの流れの第1の部分を前記第1の流路を介して第1のガス分配デバイスに設定することと、前記パージガスの流れの第2の部分を前記第2の流路を介して第2のガス分配デバイスに設定することとをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年10月27日に出願した米国仮特許出願第63/272,282号の優先権を主張するものである。この優先権文書は、参照により本明細書に援用されている。
【0002】
本開示は、一般に、半導体デバイスを処理するための前方開口を有する基板容器に関する。より詳細には、本開示は、パージガスを基板容器の内部に分配するためのパージガス分配システム、およびパージガス分配システムを実施するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ウエハの形態の基板を処理して半導体デバイスを形成することができる。ウエハ基板、または単純に基板は、一連の処理ステップが施される。例示的処理ステップは、それらに限定されないが、基板の材料の材料層堆積、ドーピング、エッチングまたは化学的もしくは物理的反応を含むことができる。基板容器を使用して、製造設備内における処理ステップ同士の間で、処理中のウエハが貯蔵され、かつ、輸送される。いくつかの処理ステップの間、クリーン環境(例えばクリーンルーム)内の処理機器によって基板が処理される。処理中、例えばパージ処理の間、前方開口統一ポッド(FOUP:front opening unified pod)などの基板容器からガスを導入し、かつ、除去しなければならず、したがってFOUPは、ガスをFOUPに入れることができ、あるいは排出させることができる1つまたは複数の場所を有していなければならない。基板は、基板容器から処理ツールへ、機器フロントエンドモジュール(EFEM:equipment front end module)を介して移送することができる。EFEMは、通常、基板容器を受け取るためのロードポート、移送ユニット、フレームすなわち「ミニ環境」、およびEFEM内にガスフローを生成するために使用されるファンフィルタユニットを含む。
【0004】
使用中、基板容器はロードポート上にドックされ、EFEMの扉が開けられる。次に基板容器から扉の係合が解除され、それによりEFEM内に収納されている移送ユニットは、処理のために、基板容器内に包含されている基板にアクセスすることができる。ファンフィルタユニットによって導入されたガスのフローは、EFEMを通って、EFEMの頂部からEFEMの底部に向かう方向に流れる。基板容器の前方開口がEFEMのロードポート開口とインタフェースすると、EFEMを通って、ロードポート開口を横切って流れるガスの一部が不注意に容器の内部に向けられ、基板容器のマイクロ環境内の相対湿度および/または酸素レベルが一時的に高くなって潜在的に基板容器のパージ能力を妨害する場合があり、望ましくない可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、例えば半導体製造で使用されるFOUPすなわちポッド(例えばレチクルポッド)などのウエハまたはレチクル運搬容器のためのパージガスを分配するためのシステムを対象としている。より詳細には、本開示は、個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために共通投入ポートからのパージガスの流れを複数の離散投入パージポートに分割することによって、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するための、FOUPすなわちレチクルポッド内のパージフロー分配システムを対象としている。
【0006】
少なくとも1つの例示的実施形態では、基板容器は内部空間を画定する殻を含み、殻は、前方開口、第1の側壁、第2の側壁、後部壁、および殻の前方開口に沿って第1の側壁と第2の側壁との間に延在する前方縁を含む底部壁を含む。基板容器は、パージガスの流れを受け取るように構成されたパージフロー分配システムを同じく含み、パージフロー分配システムは、パージガスの流れを受け取るように構成された入口、およびパージガスの流れを内部空間に分配するように構成された個別ガス分配デバイスのネットワークを含む。パージフロー分配システムは、入口に接続された供給ラインであって、パージガスの流れを個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成される供給ラインをさらに含む。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、供給ラインは、個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、および個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を含む。実施形態では、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、後部壁のより近くに設けられた第1のガス分配デバイスであり、ガス分配デバイスネットワークのうちの別のガス分配デバイスは第2のガス分配デバイスであり、第2のガス分配デバイスは前方開口のより近くに設けることができ、第1の流路は、パージガスの流れの一部を第1のガス分配デバイスに供給するように構成され、第2の流路は、パージガスの流れの別の部分を第2のガス分配デバイスに供給するように構成される。第2のガス分配デバイスは、基板容器の内部の他の場所に設けることも可能であり、例えば後部または隣接する別のガス分配デバイスに設けることも可能であり、上記実施形態に限定されないことが認識される。少なくとも1つの他の例示的実施形態によれば、パージフロー分配システムは、底部壁に設けられた、パージガスの流れを入口から受け取ってパージガスの流れをガス分配デバイスのネットワークに分割するマニホルドベースをさらに含み、マニホルドベースは、第2の流路を少なくとも左側の第2の流路および右側の第2の流路に分割して、パージガスの流れの一部を第2のガス分配デバイスに供給するように構成することができる。
【0007】
少なくとも1つの例示的実施形態では、開く前方開口を有している場合の基板容器をパージする方法は、基板容器の壁に配置された入口ポートを介して、パージガスの流れを基板容器内に少なくとも部分的に配置されたパージフロー分配システムの入口に供給することと、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために、パージフロー分配システムの供給ラインを介してパージガスを分割することとを含み、供給ラインは、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの少なくとも第1の流路、および個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの少なくとも第2の流路を備える。実施形態では、方法は、パージガスの流れの第1の部分を第1の流路を介して第1のガス分配デバイスに設定することと、パージガスの流れの第2の部分を第2の流路を介して第2のガス分配デバイスに設定することとをさらに含む。
【0008】
基板容器および基板容器をパージする方法の両方の説明した、および他の特徴、態様および利点は、以下の図面によってより良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】少なくとも1つの例示的実施形態による基板容器の正面斜視図である。
図2】少なくとも1つの例示的実施形態による基板容器の分解図である。
図3A】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の略図である。
図3B】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の略図である。
図3C】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の略図である。
図4A】少なくとも1つの例示的実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の背面斜視図である。
図4B】少なくとも1つの例示的実施形態による、図4Aの基板容器の頂部側断面図である。
図5A】少なくとも1つの例示的実施形態による、マニホルドベースを使用してパージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の背面斜視図である。
図5B】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成される図5Aのマニホルドベースの略図である。
図5C】少なくとも1つの例示的実施形態による、図5Aの基板容器の底部側面図である。
図6】少なくとも1つの例示的実施形態による、個別ガス分配デバイスのネットワークへのパージガスの供給を分割することを含む、基板容器をパージする方法のための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示には、様々な修正および代替形態の余地があるが、本開示の詳細が一例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら本開示の意図は、本開示の態様を説明されている特定の例証実施形態に限定することではないことを理解されたい。それとは対照的に、本開示の意図は、本開示の精神および範囲の範疇であるあらゆる修正、等価物および代替を包含することである。
【0011】
本明細書において使用される場合、「ガス分配デバイスのネットワーク」という用語は、少なくとも1つの供給ラインによって一体に接続される複数の個別のまったく異なるガス分配デバイスを含むネットワークを意味している。「ガス分配デバイス」という用語は、少なくとも1つのガス分配表面を含み、基板容器中の特定の規定場所に設けられる任意の複数のガス分配表面の組合せであるデバイスを意味しており、例えば前方ガス分配デバイスは、基板容器の前方に設けられたすべてのガス分配表面を含む。「ガス分配表面」という用語は、ガス分配デバイスからのパージガスの一部を内部空間に分配するガス分配デバイスの構造部分を意味しており、ガス分配デバイスは複数のガス分配表面を含むことができる。「供給ライン」という用語は、パージガスを受け取り、かつ、ガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面のための投入パージポートへのパージガスを分割し、かつ、供給するために使用される入口ポートに接続される、パイプ配管、管配管、給排水設備を意味している。すなわち供給ラインを使用して、ガス分配デバイス/ガス分配表面のためにパージガスを単一の投入パージポートに供給することができ、あるいは供給ラインを使用して、ガス分配デバイス/ガス分配表面のために複数の投入パージポートに沿ってパージガスを供給することができる。「パイプ」または「パイプ配管」という用語は、ガス分配デバイスのネットワークを通るパージガスのフローを分配するために使用される構造を意味しており、ガス分配デバイスのネットワークを通るガスのフローを設定し/調整するために使用することができるパイプ、パイプ配管、管配管、通路、コネクタ、弁、コントローラおよび同様の構造を含む。
【0012】
同じく本明細書において使用される場合、「前方」および「後部」ならびに「右」および「左」という用語は様々な要素を説明するために使用されているが、これらの要素はこれらの用語によって制限されない。そうではなく、これらの用語は、単に1つの要素を別の要素から区別するために使用されているにすぎない。その代わりに、これらの用語を広義に解釈して、本開示の範囲を逸脱することなく、前方、後方、側面、頂部、底部またはそれらの任意の組合せを含む、要素同士の間の任意の位置関係を含むことも可能である。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容がそうではないことを明確に示していない限り、複数の参照を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、「または」という用語は、通常、内容がそうではないことを明確に示していない限り、「および/または」を含むその意味で使用されている。
【0014】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素には同じ番号が振られている図面を参照しながら読むべきである。詳細な説明および必ずしもスケール通りではない図面は例証実施形態を描写したものであり、本発明の範囲を制限することは意図されていない。描写されている例証実施形態は、例示的なものであることが意図されているにすぎない。任意の例証実施形態の選択された特徴は、そうではないことが明確に言及されていない限り、追加実施形態に組み込むことができる。
【0015】
本開示は、一般に、基板容器の内部空間にアクセスするための前方開口を有する基板容器のためのパージフロー分配システムに関している。より詳細には、本開示は、個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために共通源からのパージガスの流れを複数の離散投入パージポートに分割することによって、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するように構成されるパージフロー分配システムに関している。いくつかの実施形態では、パージフロー分配システムは、開いている間、基板容器の前方開口中へのガスの侵入を防止するように構成することができ、あるいは基板容器が閉じている場合の基板容器からのパージガスの排気を容易にするための出口として構成することができる。
【0016】
ウエハの形態の基板を処理して半導体デバイスを形成することができる。基板容器は、処理中に基板を運ぶための容器である。基板は、異なる処理ステップの前、および異なる処理ステップの間、基板容器内に貯蔵することができる。基板容器は、基板容器の前方開口を介してアクセスされる。基板容器は、例えば前方開口統一ポッド(FOUP)であってもよい。実施形態では、基板容器は、レチクルポッドなどのレチクルのための容器であってもよい。このような実施形態では、容器本体は、内部ポッドを包含するように構成された外部ポッドの少なくとも部分として含むことができ、フロー分配システムベースを含むパージフロー分配システムは、パージガスを外部ポッドの内部空間に提供するように構成される。
【0017】
図1図2は、本開示の実施形態による基板容器1を示したものである。図1は基板容器1の正面斜視図であり、一方、図2は、扉が除去された(例えば扉が開いた)基板容器を例証している。図1に示されているように、基板容器1は前方扉4および殻6を含む。前方扉4は殻6の前方開口12内に受け取られ、前方開口12を遮断している。
【0018】
図2は、前方扉4が除去された(例えば前方扉4が開いた)基板容器1を例証している。図2に示されているように、殻6は基板容器の内部空間8を画定し、基板は基板容器1の内部空間8に貯蔵される。基板容器1は、扉4を移動させる(例えば開く、除去する)ことによってアクセスすることができる。例えば図1の扉4は、扉4を殻6の中に挿入することによって殻6の中に受け取られている。実施形態では、扉4および殻6のうちの1つまたは複数は、扉4の不慮の除去を防止するためのロック機構(図示せず)を含むことができる。
【0019】
図2にさらに示されているように、殻6は、第1の側壁14、第2の側壁16、後部壁18および頂部壁20ならびに底部壁22を含む。第1の側壁14は第2の側壁16の反対側であり、頂部壁20は底部壁22の反対側である。第1の側壁14は左側と呼ぶことができ、一方、第2の側壁16は右側と呼ぶことができる。頂部壁20および底部壁22は、それぞれ第1の側壁14と第2の側壁16との間に延在している。殻6は、対向する壁の間に延在している前方縁を含む。底部壁22は、前方開口12に沿って延在している前方縁24Aを含む。前方縁24Aは、殻6の第1の側壁14と第2の側壁16との間に同じく延在している。第1の側壁14は、前方開口12に沿って延在している前方縁24Bを含む。第1の側壁14の前方縁24Bは、殻6の頂部壁20と底部壁22との間に同じく延在している。図2に示されているように、実施形態の前方縁24A、24Bは、それぞれ前方開口12に隣接している。
【0020】
基板容器1は、殻6の頂部壁20に機器フックアップ26を含むことができる。実施形態では、この機器フックアップ26によって、それには限定されないが自動アームなどの基板容器1を移動させるための標準自動アタッチメント(図示せず)を基板容器1に接続することができる。例えば自動アームを使用して、異なる処理機器同士の間で基板容器1を移動させることができる。実施形態では、基板容器1は、ユーザ(例えば技術者,等々)による基板容器1の手動移動を許容するための1つまたは複数のハンドル(図示せず)を含むことができる。
【0021】
基板容器1は、内部空間8の中で基板(図示せず)を保持するための複数の棚28を含むことができる。第2の側壁16の棚28の部分は、図2では不明瞭であるが、第1の側壁14の棚28上の部分と同様の構成を有している(例えば基板容器中のスロット)。棚28は、それぞれ内部空間8内で基板(図示せず)を保持するようにサイズ化されている。例えば実施形態の棚28は、特定のサイズの基板(例えば150mmウエハ、200mmウエハ、等々)を保持するようにサイズ化されている。
【0022】
基板容器1は、底部壁22に、基板容器1の入口および/または出口に対応する複数の入口パージポートおよび/または出口パージポート(例えば図2の30A、30B、30C、等々)を含むことができる。これらの複数の入口パージポート(および出口パージポート)は、以下でさらに考察されるようにパージフロー分配システムに接続することができる。内部空間8のガスを基板容器1から放出するための少なくとも1つの出口ポートを提供することができ、入口と第2の側壁との間の底部壁に配置することができる。入口パージポートおよび/または出口パージポートは、殻6に沿った異なる位置、例えば後部壁18に設けることも可能であり、このような実施形態では、入口パージポートおよび/または出口パージポートは、基板容器の入口および出口に対応することが認識される。
【0023】
また、基板容器1は、パージガス供給システムからパージガスの流れを受け取るための少なくとも1つの入口、例えば入口ポートを同じく含む。パージガス供給システムは、一般的には不活性ガスであってもよいパージガスを引き渡す。パージガスは、例えば、それらに限定されないが、窒素、クリーンドライエアー(CDA:clean dry air)およびエキストラクリーンドライエアー(xCDA:extra clean dry air)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0024】
実施形態では、入口ポートは、パージガスを入口パージポートに供給してパージガスを内部空間8に分配するために、パージフロー分配システムに接続されている。基板容器1が開くと、パージフロー分配システムを使用してパージガスを内部空間8に分配し、それにより前方開口12を介した基板容器1への外部環境(例えばガス、粒子、湿気、等々)の侵入を少なくすることができる。例えば供給されるパージガスは、内部空間8から前方開口12を通って流出するように構成され、これは、前方開口12を介した内部空間8への内側に向かうあらゆるフローの最少化を促進する。
【0025】
一方、パージガスは、扉4が前方開口12内に受け取られ、基板容器1が閉ざされると、基板容器1の内部空間8への供給を継続することができる。パージガスは、様々な実施形態によって本明細書において説明されているように、パージフロー分配システムを介して基板容器1の外部へ排気することも可能であり、これは、構成および所望の用途に応じて、入口および出口の両方として、あるいは出口のみとして働くことができる。内部空間8内の正の圧力のパージガスは、内部空間から1つまたは複数の出口を通って基板容器から流出するパージガスのフローを容易にする拡散勾配をもたらす。
【0026】
図3Aは、パージフロー分配システム340の実施形態を概略的に示したものである。パージフロー分配システム340は、パージ供給システムからパージガスを受け取るために入口ポート305に接続されている。パージフロー分配システム340は、パージガスの流れを内部空間8に分配するための個別ガス分配デバイス350のネットワークをさらに含む。入口に接続された供給ライン360を使用して、個別ガス分配デバイス350のネットワークへのパージガスの流れが分割される。例えば実施形態では、供給ラインは、第1のガス分配デバイス350Aに接続される少なくとも第1の流路360A、および第2のガス分配デバイス350Bに接続される少なくとも第2の流路360Bを含む。しかしながら供給ライン360は、基板容器のパージ操作のために、必要に応じて任意の数の異なる流路に分離することができ、例えばパージガスを基板容器1の中の個別の、および/または同じガス分配デバイスに供給するための追加の第3、第4、等々の流路に分離することができることが認識される。すなわち供給ライン360は、共通投入ポート、例えばパージガス源からパージガスの供給を受け取り、かつ、複数のガス分配デバイス350に供給するために、パージガスの供給を複数の離散投入パージポートに分割するように構成されている。
【0027】
個別ガス分配デバイスのネットワークは、少なくとも1つの供給ライン360によって一体に接続される複数の個別のまったく異なるガス分配デバイス350を含む。したがって個別ガス分配デバイスのネットワークは、個別ガス分配デバイス350およびパージガスフローを基板容器1の内部に分配するために個別分配デバイスを接続する関連するパイプ配管を含む。
【0028】
ガス分配デバイス350は、ネットワークの他のガス分配デバイスとは個別のまったく異なるデバイスであるデバイスであり、個々のガス分配デバイスは少なくとも1つのガス分配表面を含み、個々のガス分配デバイスは、基板容器中の特定の規定場所に設けられる任意の複数のガス分配表面351A、351B、351Cの組合せであり、例えば前方ガス分配デバイスは、基板容器の前方に設けられた任意の、およびすべてのガス分配表面351A、351Bを含む。すなわちガス分配デバイスは、基板容器の特定の場所に設けられた任意の、またはすべての複数のガス分配表面の組合せであり、ガス分配表面は、ガス分配デバイスからのパージガスの一部を内部空間に分配するガス分配デバイスの構造部分である。ガス分配表面351A、351B、351Cは少なくとも1つの投入パージポートに接続され、パージガスを内部空間に分配するための構造、例えばディフューザ、マニホルド、膜、スリットまたはノズルを有しているか、または多孔性材料でできている部分、あるいはパージガスを基板容器の内部に導くことができる同様の構造、およびそれらの組合せを含むことが認識される。
【0029】
例えば実施形態では、第1のガス分配デバイス350Aは後部セクションに配置され、例えばFOUPの後部壁18のより近くに配置され、少なくとも1つのガス分配表面351A、351Bを含むことができ、例えば少なくとも1つの投入パージポートに接続される第1および/または第2のディフューザを含むことができる。第2のガス分配デバイス350Bは前方セクションに配置することができ、例えばFOUPの前方開口12のより近くに配置することができ、第1の側壁と第2の側壁との間のガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるか、あるいは第1の側壁の前方縁または第2の側壁の前方縁のうちの一方に沿って垂直方向に延在する少なくとも1つのガス分配表面351Cを含むことができ、例えば少なくとも1つの他の投入パージポートに接続される頂部/底部マニホルド、および/または右側/左側マニホルドを含むことができる。供給ライン360は、第1のガス分配デバイス350Aのためにパージガスの流れの少なくとも一部を投入パージポートに供給するために第1の流路360Aに分割され、第2のガス分配デバイス350Bのためにパージガスの流れの少なくとも別の部分を投入パージポートに供給するために第2の流路360Bに分割されている。第1および第2のガス分配デバイスは、必ずしも後部セクションおよび前方セクションに配置する必要はなく、一例として提供されており、基板容器の内部空間の中の様々な(または同じ)場所に設けることができることが認識される。
【0030】
個別ガス分配デバイス350A、350Bに供給するために第1および第2の流路360A、360Bに供給されるパージガスの量は、多くの方法で設定することができる。例えば実施形態では、供給ラインに弁を提供して設定することができ、例えば弁を所定の開口サイズに設定して、第1および第2の流路360A、360Bへのパージガスの供給を分割し、それにより所定の量のパージガスを個別ガス分配デバイス350A、350Bに供給することができる。これらの弁は、ニードル弁、ボール弁、蝶形弁、逆止め弁、または異なる個別ガス分配デバイスへのパージガスのフローの量を設定するために使用される同様に構造化された弁を含むことができる。ガス分配デバイスに供給するためにパージガスの供給を適切な/所定の量に分割するために、パージガスの量は、オリフィス、ばね荷重ダイバータを使用して設定することも、あるいは第1または第2の流路のうちの一方に、必要に応じてより小さい断面積またはより大きい断面積を有するパイプ配管/パイプをもたせることによって設定することも可能であり、例えばパージガスの分割/供給はネットワークの差動圧力に基づくことが認識される。また、パージガスの量は、個々の個別ガス分配表面351A、351B、351Cに対して設定することができることが同じく認識される。言い換えると、それぞれガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面に供給するために、所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給されるよう、単一の入口ポートからのパージガスの供給が分割され、かつ、設定される。
【0031】
図3Bは、パージフロー分配システム340の別の実施形態を例証したものであり、入口は少なくとも2つの入口ポート305Aおよび305Bを含む。図3Bの実施形態では、パージフロー分配システム340は、パージガス供給システムからパージガスを受け取るために入口ポート305A、305Bの両方に接続されている。パージフロー分配システムは、パージガスを内部空間8の内部に分配するために、個別ガス分配デバイス350のネットワークをさらに含む。しかしながらこの実施形態では供給ライン360は、パージガスの供給が結合され、次に、第1のガス分配デバイス350Aに接続される第1の流路360A、および第2のガス分配デバイス350Bに接続される第2の流路360Bに少なくとも分割されるよう、入口ポート305Aおよび305Bの両方に接続されている。パージガスの供給は、入口ポート305A、305Bからの供給ラインのパイプ配管をつなぐことによって混合し/結合することができ、あるいは例えばインライン混合器を使用して混合することができ、次に、異なる流路360A、360Bに分割/分離することができることが認識される。第1および第2のガス分配デバイス350A、350Bは、それぞれ、上で考察したようにパージガスを基板容器の内部に分配するための少なくとも1つのガス分配表面を含む。
【0032】
個別ガス分配デバイス350A、350Bに供給するために第1および第2の流路360A、360Bに供給されるパージガスの量は、多くの方法で設定することができる。例えば実施形態では、入口ポート305A、305Bからのパージガスの供給の混合/結合の上流側および/または下流側に弁を提供して設定し、それにより個別ガス分配デバイス350A、350Bおよび/または個別ガス分配表面351A、351B、351Cのために、パージガスの供給を所定の量のパージガスに分割することができる。言い換えると、それぞれ個別ガス分配デバイスおよび/または個別ガス分配表面に供給するために、所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給されるよう、入口ポート305A、305Bの両方からのパージガスの供給が分割され、かつ、設定される。
【0033】
図3Cは、パージフロー分配システム340のさらに別の実施形態を例証したものであり、入口は少なくとも2つの入口ポート305Aおよび305Bを含み、これらの入口ポートは、個別に使用して個別ガス分配デバイスの異なるネットワークに供給される。すなわちパージフロー分配システム340は、パージガスの流れを内部空間8に分配するために、個別ガス分配デバイス350の少なくとも2つのネットワークを含む。この実施形態では、パージフロー分配システム340は、それぞれ入口ポート305Aおよび305Bに個別に接続される少なくとも2つの個別供給ライン360、370を含む。入口ポート305Aに接続された第1の供給ライン360を使用して、入口ポート305Aからのパージガスの供給が、ガス分配表面351A、351Bを有する第1のガス分配デバイス350Aに接続された第1の流路360A、および少なくとも1つのガス分配表面351Cを有する第2のガス分配デバイス350Bに接続される第2の流路360Bに少なくとも分割される。入口ポート305Bに接続された第2の供給ライン370を使用して、入口ポート305Bからのパージガスの供給が、少なくとも2つのガス分配表面351D、351Eを有する第3のガス分配デバイス350Cに接続された少なくとも第1の流路370A、および少なくとも1つのガス分配表面351Fを有する第4のガス分配デバイス350Dに接続された第2の流路370Bに少なくとも分割される。
【0034】
個別ガス分配デバイス350A、350B、350C、350Dに供給するために個別ガス分配デバイスの少なくとも2つのネットワークの第1および第2の流路に供給されるパージガスの量は、多くの方法で設定することができる。例えば実施形態では、供給ライン360、370に弁を提供して設定し、それにより個別ガス分配デバイス350A、350B、350C、350Dおよび/または個別ガス分配表面351A、351B、351C、351D、351E、351Fのために、パージガスの供給を所定の量のパージガスに分割することができる。言い換えると、それぞれの供給ラインに供給するために、入口ポート305A、305Bからのパージガスの供給がそれぞれ個々に使用され、個別ガス分配デバイスに供給するために、個々のそれぞれの供給ラインを使用して分割され、かつ、設定され、それにより所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給される。
【0035】
図3A図3Cは、個別ガス分配デバイスへの供給に先だって供給ライン360(または370)が分割されることを示しているが、それぞれのガス分配デバイスに分割され、および/または分配される所定の量のパージガスフローを設定することができ、例えばネットワーク中のすべてのガス分配デバイスに対して等しい量のパージガスのフローを設定し、あるいは必要に応じてガス分配デバイスのうちの1つに対してより多くのパージガスのフローを設定することができる限り、供給ラインは、パージガスを任意のガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面に個別に供給するために使用することができる任意の数の異なる流路に分離することができることが認識される。また、入口ポートは、基板容器に沿った異なる場所に設けることができることが同じく認識される。例えば基板容器の底部壁は、パージガスの第2の流れを導入するための後部入口ポートを含むことができ、後部入口ポートは前方開口よりも後部壁の近くに配置され、あるいは底部壁は、パージガスの第2の流れを導入するための第2の入口ポートを含むことができ、第2の入口ポートは後部壁よりも前方開口の近くに配置され、あるいは基板容器に沿った他の場所に配置される。他の実施形態では、入口ポート(および/または出口ポート)は基板容器の底部壁に設けることができ、複数の入口ポートが提供される場合、パージガスがパージフロー分配システムに供給される前にパージガスを結合することができる。
【0036】
以上の説明はFOUPに関して説明されているが、本明細書において考察されている任意の実施形態を同じく使用して、パージガスをレチクルポッド内の内部空間、例えばレチクルポッドの外部ポッド内の内部空間に分配することができることが認識される。
【0037】
例えば図4Aおよび図4Bは別の実施形態を例証したものであり、供給ラインは、パージガスの供給を個別ガス分配デバイスおよび/または個別ガス分配表面に分割するために提供することができる。実施形態では、供給ラインの第2の流路は第1の流路の後に設けられている。
【0038】
図4Aは、基板容器400の後ろ側を示している。殻406は基板容器の内部空間408を画定しており、基板容器400の内部空間408に基板(図示せず)が貯蔵される。殻406は、第1の側壁414、第2の側壁416、後部壁418および頂部壁420ならびに底部壁422を含む。第1の側壁414は第2の側壁416の反対側であり、頂部壁420は底部壁422の反対側である。第1の側壁414は左側と呼ぶことができ、一方、第2の側壁416は右側と呼ぶことができる。頂部壁420および底部壁422は、それぞれ第1の側壁414と第2の側壁416との間に延在している。基板容器400は、殻406を取り付けることができるベースを提供することができるキャリアプレート423を同じく含むことができる。
【0039】
パージフロー分配システムは、基板容器400の殻406の中に含めることができ、または例えば殻406とキャリアプレート423との間で殻406に接続することができ、あるいは殻406とキャリアプレート423との間に少なくとも部分的に配置することができる。パージフロー分配システムは、パージガスを個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するためにパージガス供給システムに接続される少なくとも1つの入口ポートに接続されている。パージフロー分配システムは、底部壁422の少なくとも1つの入口パージポート430A、430Bに接続される少なくとも1つの供給ラインを含む。供給ラインは、パージガスを後部ガス分配デバイス450A、450Bに供給するために入口パージポート430A、430Bに接続された第1の流路460Aを含み、後部ガス分配デバイスは少なくとも2つのディフューザを含むことができる。これらの少なくとも2つのディフューザ450A、450Bは、基板容器400の後方でパージガスを分配するための複数の開口を含む。後部ガス分配デバイスのこれらの少なくとも2つのディフューザ450A、450Bのうちの少なくとも1つは、基板容器400の頂部壁420により近いその頂部端に開口を同じく含み、パージガスを別のガス分配デバイス、例えば第2のガス分配デバイスに供給するために第2の流路460Bに接続される投入パージポートを形成している。この実施形態では、第2の流路460Bは、少なくとも1つのガス分配表面を含む前方ガス分配デバイス、例えば基板容器400の頂部壁420の近くに設けられた頂部マニホルド450Cに接続されている。
【0040】
図4Bから分かるように、第2の流路460Bは、基板容器400の頂部壁420のより近くの頂部部分に沿って設けられた、第1の流路460Aに供給されたパージガスの少なくとも一部を供給して前方ガス分配デバイスに分配するための管配管、通路または経路を含む。例えば前方ガス分配デバイスへのパージガスの量は、例えば所定の量のパージガスフローを有するように第2の流路460Bの断面積をサイズ化することによって設定することができ、フローは断面積に比例し、および/または供給圧力、例えば圧力差に依存して所定の量のパージガスが第2の流路460Bを介して供給されるよう、少なくとも2つのディフューザ450A、450Bの複数の開口のサイズ、例えば直径を設定することによって設定することができる。すなわち第1のガス分配デバイスには、所定の量のパージガスをディフューザ450A、450Bの開口を介して分配するためのパージガスが供給され、一方、残りの量のパージガスは、第2の(前方)ガス分配デバイスのガス分配表面を介してパージガスを分配するために、第2の流路460Bを介して第2のガス分配デバイスに供給される。本明細書においては頂部マニホルドおよびディフューザに関連して説明されているが、任意のガス分配表面は、それらに限定されないが、頂部/底部/側部マニホルド、頂部/底部/側部ディフューザ、頂部/底部/側部膜、スリットまたはノズルを有する頂部/底部/側部部分、または多孔性材料でできた頂部/底部/側部部分を含む、パージガスを基板容器400の内部に分配するための任意の構造であってもよいことが認識される。また、供給ラインは、第1のガス分配デバイスおよび/または第2のガス分配デバイスに供給されるパージガスの量を設定するための弁または他の構造を同じく含むことができることが同じく認識される。
【0041】
図5Aは別の実施形態を例証したものであり、基板容器500の後ろ側を示している。殻506は基板容器の内部空間を画定しており、基板容器500の内部空間に基板(図示せず)が貯蔵される。殻506は、第1の側壁514、第2の側壁516、後部壁518および頂部壁520ならびに底部壁522を含む。第1の側壁514は第2の側壁516の反対側であり、頂部壁520は底部壁522の反対側である。第1の側壁514は左側と呼ぶことができ、一方、第2の側壁516は右側と呼ぶことができる。頂部壁520および底部壁522は、それぞれ第1の側壁514と第2の側壁516との間に延在している。基板容器500は、殻506を取り付けることができるベースを提供することができるキャリアプレート523を同じく含むことができる。
【0042】
パージフロー分配システムは、基板容器500の殻506の中に含めることができ、または例えば殻506とキャリアプレート523との間で殻506に接続することができ、あるいは殻506とキャリアプレート523との間に少なくとも部分的に配置することができる。パージフロー分配システム540は、パージガスを個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するためにパージガス供給システムに接続される少なくとも1つの入口ポート505に接続されている。パージフロー分配システム540は、底部壁522の少なくとも1つのパージポートに接続される少なくとも1つの供給ラインを含む。この実施形態では、パージフロー分配システム540は、底部壁522に設けられた、パージガスの流れをガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成されるマニホルドベース560を含む。
【0043】
図5Bから分かるように、マニホルドベース560は個別ガス分配デバイス550のネットワークに接続されている。マニホルドベース560は、パージガスを第1のガス分配デバイスに供給するために入口パージポートに接続された第1の流路560A、およびパージガスを第2のガス分配デバイスに供給するために入口パージポートに接続された第2の流路560Bを含む。第1のガス分配デバイスは、後部左側および右側ディフューザ550Aおよび550Bを含むことができる後部ガス分配デバイス550Aであってもよく、第2のガス分配デバイスは、基板容器の前側でパージガスを基板容器の内部に分配するための前方マニホルド550Cならびに左側および右側マニホルド550Dおよび550Eを含むことができる前方ガス分配デバイスであってもよい。パージフロー分配システム540は、供給ラインを調整して、前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスのうちの少なくとも1つを流れるパージガスの量を設定することができ、および/または前方ガス分配デバイスおよび/または後部ガス分配デバイスの個別ガス分配表面へのパージガスの量を調整するために同じく設定することができる方法で構成されている。第1および第2のガス分配デバイスは、必ずしも後部セクションおよび前方セクションに配置する必要はなく、一例として提供されており、基板容器の内部空間の中の様々な(または同じ)場所に設けることができることが認識される。
【0044】
例えばこの実施形態では、入口供給ライン弁580を調整して、前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスに供給されるパージガスの量を設定することができる。すなわち供給ライン弁580を調整することにより、前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスに供給される、基板容器をパージするために必要なパージガスの量を設定するために、第1の流路560Aおよび第2の流路560Bへのパージガスの供給を分割するための圧力差をもたらすことができる。
【0045】
供給ライン弁580を設定することによる前方ガス分配デバイスへのパージガスの量の制御に加えて、複数の調整可能弁585A、585B、585C、585Dを使用して、前方ガス分配デバイスの個別ガス分配表面550C、550D、550Eへのパージガスの量を調整することができる。例えば調整可能弁585Aを設定して、前方右側、例えば右側マニホルド550Eへのパージガスの量を制御することができ、調整可能弁585Bおよび585Cを設定して、前方マニホルド550Cへのパージガスの量を制御することができ、調整可能弁585Dを設定して、前方左側、例えば左側マニホルド550Dへのパージガスの量を制御することができる。したがって調整可能弁580、585A、585B、585C、585Dを設定することにより、マニホルドベース560を使用して、供給ラインからのパージガスを個別ガス分配デバイスのネットワークおよび/または個別ガス分配表面に分割することができる。言い換えると、それぞれ個別ガス分配デバイス550に供給するために、所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給されるよう、単一の入口ポートからのパージガスの供給が分割され、かつ、設定される。
【0046】
図5Cから分かるように、パージフロー分配システム540に接続された入口ポートは様々な場所に設けることができる。例えば図5Aは、概ね、入口ポート505は、パージガス分配システムからのパージガスを供給するためにマニホルドベース560の下方に設けられていることを示しているが、パージガスを、基板容器のための用途/ドッキング構造の性質に応じて、キャリアプレート523を介して提供された多くの入口ポート(または出口ポート)505A、505B、505C、505Dに供給することができることが認識される。入口ポート505A、505B、505C、505Dからのパージガスは、マニホルドベース560に供給される前に結合することができ、あるいは必要に応じて基板容器の中の異なるパージフロー分配システムに供給するために提供/結合することができることが認識される。
【0047】
パージガスの量は、エネルギーの保存に基づいて圧力降下または流量を設定することができる異なる構造の任意の組合せを使用して同じく制御し、または設定することができることが認識される。例えば第1の流路および/または第2の流路のいずれかにオリフィスを置いて、前方ガス分配デバイスおよび/または後部ガス分配デバイスおよび/または任意の個別ガス分配表面に供給されるパージガスの量を設定するための圧力差をもたらすことができる。別法として、あるいはこのような構造に加えて、第1の流路および/または第2の流路の様々なパイプ配管の断面積をサイズ化して、前方ガス分配デバイスと後部ガス分配デバイスの間、および/または前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスのガス分配表面同士の間で分割されるパージガスの量を設定することも可能である。したがってパージフロー分配システム540は、パージフロー分配システム540の異なる構成要素を適切な方法で調整し、および/または設定することによって、パージガスを異なるガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面に分割し、かつ、供給することができるように構成されている。
【0048】
図6は、少なくとも1つの例示的実施形態による、基板容器にパージフローを供給するための操作フロー600を示したものである。
【0049】
操作フロー600は、1つまたは複数のブロック610、620、630および640によって描写されている1つまたは複数の操作、アクションまたは機能を含むことができる。離散ブロックとして例証されているが、様々なブロックは、所望の実施態様に応じて追加ブロックに分割し、より少ないブロックに結合し、あるいは除去することができる。非制限の例として、図6におけるその説明に対応し、本明細書において説明されている1つまたは複数の例示的実施形態による上記実施形態の中で説明されている装置または構成要素のうちの1つまたは複数によって実施される方法600の説明は、パージフローを基板容器の中に供給することに関している。処理フロー600はブロック610で開始することができる。
【0050】
ブロック610は、ウエハまたはレチクル容器(例えばFOUPまたはレチクルポッド)であってもよい基板容器の中に少なくとも部分的に配置されたパージフロー分配システムに接続された入口パージポートを介して、パージガスの流れを容器の内部に供給することと呼ぶことができる。パージガスの流れは、容器環境を条件付けるための窒素ガス、クリーンドライエアー(CDA)ガス、エキストラクリーンドライエアー(xCDA)ガスのうちの1つまたは複数を含むことができ、あるいは任意の他の適切な流体を含むことができる。ブロック610にはブロック620が後続することができる。
【0051】
ブロック620は、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するために個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するためにパージフロー分配システムの供給ラインを介してパージガスを分割することと呼ぶことができる。実施形態では、ブロック630で、パージガスを分割することは、パージガスをガス分配デバイスのネットワークのうちの少なくとも1つに供給するための第1の流路、およびパージガスをガス分配デバイスのネットワークのうちの別に供給するための第2の流路に供給ラインを分けることを含む。第1の流路および第2の流路に供給されるパージガスの量は、多くの所定の動作条件に基づくことができる。例えば一実施形態では、1つまたは複数のセンサを使用して、所定の時間期間の間、基板容器の内部の少なくとも1つの環境条件を検出することができる。少なくとも1つの環境条件は、相対湿度(%RH)、圧力(例えば絶対圧力)、酸素レベル、温度、空気伝達分子汚染物質の測定された存在、1つまたは複数の揮発性有機化合物の測定された存在、等々のうちの1つまたは複数を含むことができる。ブロック620/630にはブロック640が後続することができる。
【0052】
ブロック640は、所定の時間期間の間、少なくとも1つの検出された環境条件に基づいて、第1の流路を介した第1の分配デバイスへのパージガスの流れの第1の部分すなわち量を設定すること、および第2の流路を介した第2のガス分配デバイスへのパージガスの第2の部分すなわち量を設定することと呼ぶことができる。
【0053】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前方ガス分配デバイスおよび/または後部ガス分配デバイスへのパージガスの量は、例えば所望の(所定の、または最適)環境応答(例えば容器の内側)を達成することによって得ることができ、あるいは決定することができる。所望の環境応答は、それぞれの所定の閾値レベルに対する容器の内部の相対湿度(%RH)、酸素レベル、温度、空気伝達分子汚染物質の測定された存在、および/または1つまたは複数の揮発性有機化合物の測定された存在のうちの1つまたは複数を調整することを含むことができる。所望の環境応答は、容器の内部における所望の圧力(例えば絶対圧力)を生成することを同じく含むことができる。環境応答を、容器の内側のセンサによって検出することができ、あるいは測定することができ、検出されたデータは、容器の外側、例えばコントローラに通信することができる。
【0054】
コントローラは環境応答を解析し、前方ガス分配デバイス(および/または前方ガス分配表面)および後部ガス分配デバイスに供給される、適用可能な操作シナリオに到達するために必要なパージガスの量を決定する。実施形態では、環境応答を解析し、かつ、適用可能な操作シナリオに到達するためのパージガスの量を決定するコントローラは、実験計画法(DOE:design of experiments)、訓練されたニューラルネットワーク、モデル化、等々によって達成することができる。
【0055】
少なくとも1つの前方分配デバイスおよび/または後部分配デバイスに供給されるパージガスの量は、パージフロー分配システムの供給ラインに設けられた設定弁によって設定することができる。これらの弁は、ニードル弁、ボール弁、蝶形弁、逆止め弁、または異なる個別ガス分配デバイスへのガスのフローを制御するために使用することができる同様に構造化された弁を含むことができる。パージガスのフローは、オリフィス、ばね荷重ダイバータを使用して設定することも可能であり、あるいは第1または第2の流路のうちの一方のパイプ配管/パイプをサイズ化して、必要に応じてパージガスの供給を分割するための供給圧が与えられると、所定の量のパージガスを供給する断面積をもたせることによって設定することも可能であることが認識される。実施形態では、ガス分配デバイスのネットワークに供給されるパージガスの量が設定されると、供給されるパージガスの量、例えば弁は、必要になるまではさらに調整されず、例えば受動制御である。
【0056】
態様
態様1~18のうちのいずれの態様も、態様19および20のいずれかと組み合わせることができる。
【0057】
態様1.内部空間を画定する殻であって、前方開口、第1の側壁、第2の側壁、後部壁、および殻の前方開口に沿って第1の側壁と第2の側壁との間に延在する前方縁を含む底部壁を含む殻と、パージガスの流れを受け取るように構成されたパージフロー分配システムであって、パージガスの流れを受け取るように構成された入口、およびパージガスの流れを内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワークを備え、入口に接続された供給ラインであって、パージガスの流れを個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成される供給ラインをさらに備える、パージフロー分配システムとを備える基板容器。
【0058】
態様2.態様1の基板容器であって、供給ラインは、個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、および個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を備える、基板容器。
【0059】
態様3.態様2の基板容器であって、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、後部壁のより近くに設けられた第1のガス分配デバイスであり、ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスは基板容器の内部空間に設けられた第2のガス分配デバイスであり、第1の流路は、パージガスの流れの一部を第1のガス分配デバイスに供給するように構成され、第2の流路は、パージガスの流れの別の部分を第2のガス分配デバイスに供給するように構成されている、基板容器。
【0060】
態様4.態様3の基板容器であって、第1のガス分配デバイスへの供給ラインの第1の流路は、第2のガス分配デバイスへの供給ラインの第2の流路より小さい断面積または大きい断面積を有しているか、または第2のガス分配デバイスへの供給ラインの第2の流路にフローを誘導するためのオリフィス、ばね荷重ダイバータまたは弁を備える、基板容器。
【0061】
態様5.態様3の基板容器であって、第2の流路は、入口とは反対側の第1のガス分配デバイスの端部で、第1の流路の後に設けられている、基板容器。
【0062】
態様6.態様3の基板容器であって、第2の流路は、パージガスを第2のガス分配デバイスに供給するために基板容器の頂部部分に設けられている、基板容器。
【0063】
態様7.態様6の基板容器であって、第2のガス分配デバイスは、第1の側壁と第2の側壁との間のガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるガス分配表面を備えるか、あるいは前方ガス分配デバイスは、第1の側壁の前方縁または第2の側壁の前方縁のうちの一方に沿って垂直方向に延在するガス分配表面を備える、基板容器。
【0064】
態様8.態様1~3のいずれかの基板容器であって、パージフロー分配システムは、底部壁に設けられた、パージガスの流れを入口から受け取ってパージガスの流れをガス分配デバイスのネットワークに分割するマニホルドベースをさらに備える、基板容器。
【0065】
態様9.態様8の基板容器であって、マニホルドベースは、第2の流路を少なくとも左側の第2の流路および右側の第2の流路に分割して、パージガスの流れの一部を第2のガス分配デバイスに供給するように構成されている、基板容器。
【0066】
態様10.態様9の基板容器であって、マニホルドベースは、第1のガス分配デバイスへの第1の流路へのパージガスの流れの一部、および第2のガス分配デバイスへの第2の流路へのパージガスの流れの一部のうちの少なくとも一方を設定するための複数の調整可能弁を備える、基板容器。
【0067】
態様11.態様1~9のいずれかの基板容器であって、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、多孔性材料を含むガス分配表面を備える、基板容器。
【0068】
態様12.態様1~11のいずれかの基板容器であって、パージフロー分配システムは、殻の底部壁の入口パージポートに取り付けられている、基板容器。
【0069】
態様13.態様1~12のいずれかの基板容器であって、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、殻の第1の側壁と第2の側壁との間のガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるガス分配表面を含む、基板容器。
【0070】
態様14.態様1~13のいずれかの基板容器であって、内部空間からガスを放出するための出口ポートをさらに備え、出口ポートは入口と第2の側壁との間の底部壁に配置されている、基板容器。
【0071】
態様15.態様1~14のいずれかの基板容器であって、底部壁は、パージガスの第2の流れをパージフロー分配システムを介して内部空間に導入するための後部入口ポートを含み、後部入口ポートは前方開口よりも後部壁の近くに配置されている、基板容器。
【0072】
態様16.態様1~14のいずれかの基板容器であって、底部壁は、パージガスの第2の流れをパージフロー分配システムを介して内部空間に導入するための第2の入口ポートを含み、第2の入口ポートは後部壁よりも前方開口の近くに配置されている、基板容器。
【0073】
態様17.態様1~16のいずれかの基板容器であって、殻によって画定された前方開口内に受け取られるように構成された、内部空間を密閉するための扉をさらに備える、基板容器。
【0074】
態様18.態様1~17のいずれかの基板容器であって、パージフロー分配システムの入口は第1の入口および第2の入口を備え、供給ラインは、第1の入口および第2の入口からのパージガスの流れを結合し、次に、パージガスの流れを個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成されている、基板容器。
【0075】
態様19.開く基板容器をパージする方法であって、基板容器の壁に配置された入口ポートを介して、パージガスの流れを基板容器内に少なくとも部分的に配置されたパージフロー分配システムの入口に供給することと、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために、パージフロー分配システムの供給ラインを介してパージガスを分割することとを含み、供給ラインは、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、およびガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を備える、方法。
【0076】
態様20.態様19の方法であって、パージガスの流れの第1の部分を第1の流路を介して第1のガス分配デバイスに設定することと、パージガスの流れの第2の部分を第2の流路を介して第2のガス分配デバイスに設定することとをさらに含む方法。
【0077】
したがって、本開示のいくつかの例証実施形態について説明したが、本明細書に添えられている特許請求の範囲の範囲内でさらに他の実施形態を構築し、かつ、使用することができることは当業者には容易に認識されよう。本文書によって包含されている本開示の多くの利点は、上記の説明の中で示されている。しかしながら本開示は、多くの点で単なる例証的なものにすぎないことは理解されよう。本開示の範囲を超えることなく細部に変更を加えることができ、とりわけ部品の形状、サイズおよび配置に関して変更を加えることができる。本開示の範囲は、当然、添付の特許請求の範囲が表現されている言語で定義されている。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定するシェルであって、前方開口、第1の側壁、第2の側壁、後部壁、および前記シェルの前記前方開口に沿って前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に延在する前方縁を含む底部壁を含むシェルと、
前記シェルにおいて位置付けられ、パージガスの流れを受け取るように構成されたパージフロー分配システムであって、パージガスの流れを受け取るように構成された入口を含むパージフロー分配システムと、
前記パージガスの流れを前記内部空間に分配するための少なくとも1つのガス分配デバイスと
を備える基板容器。
【請求項2】
前記内部空間からガスを放出するための出口ポートをさらに備え、前記出口ポートが前記入口と前記第2の側壁との間の前記底部壁に配置されている、請求項1に記載の基板容器。
【請求項3】
前記シェルによって画定された前記前方開口内に受け取られるように構成された、前記内部空間を密閉するための扉をさらに備える、請求項1に記載の基板容器。
【請求項4】
内部空間を画定するシェルであって、前方開口、第1の側壁、第2の側壁、後部壁、および前記シェルの前記前方開口に沿って前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に延在する前方縁を含む底部壁を含むシェルと、
前記シェルにおいて位置付けられたマニホルドベースであって、パージガスの流れを受け取るように構成された入口を有するマニホルドベースと、
前記マニホルドベースと連通し、前記パージガスの流れを前記シェルの内部空間に分配するための少なくとも1つのディフューザと
を備える基板容器。
【請求項5】
前記少なくとも1つのディフューザが、前記シェルの前記後部壁の近くに位置付けられている、請求項4に記載の基板容器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年10月27日に出願した米国仮特許出願第63/272,282号の優先権を主張するものである。この優先権文書は、参照により本明細書に援用されている。
【0002】
本開示は、一般に、半導体デバイスを処理するための前方開口を有する基板容器に関する。より詳細には、本開示は、パージガスを基板容器の内部に分配するためのパージガス分配システム、およびパージガス分配システムを実施するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ウエハの形態の基板を処理して半導体デバイスを形成することができる。ウエハ基板、または単純に基板は、一連の処理ステップが施される。例示的処理ステップは、それらに限定されないが、基板の材料の材料層堆積、ドーピング、エッチングまたは化学的もしくは物理的反応を含むことができる。基板容器を使用して、製造設備内における処理ステップ同士の間で、処理中のウエハが貯蔵され、かつ、輸送される。いくつかの処理ステップの間、クリーン環境(例えばクリーンルーム)内の処理機器によって基板が処理される。処理中、例えばパージ処理の間、前方開口統一ポッド(FOUP:front opening unified pod)などの基板容器からガスを導入し、かつ、除去しなければならず、したがってFOUPは、ガスをFOUPに入れることができ、あるいは排出させることができる1つまたは複数の場所を有していなければならない。基板は、基板容器から処理ツールへ、機器フロントエンドモジュール(EFEM:equipment front end module)を介して移送することができる。EFEMは、通常、基板容器を受け取るためのロードポート、移送ユニット、フレームすなわち「ミニ環境」、およびEFEM内にガスフローを生成するために使用されるファンフィルタユニットを含む。
【0004】
使用中、基板容器はロードポート上にドックされ、EFEMの扉が開けられる。次に基板容器から扉の係合が解除され、それによりEFEM内に収納されている移送ユニットは、処理のために、基板容器内に包含されている基板にアクセスすることができる。ファンフィルタユニットによって導入されたガスのフローは、EFEMを通って、EFEMの頂部からEFEMの底部に向かう方向に流れる。基板容器の前方開口がEFEMのロードポート開口とインタフェースすると、EFEMを通って、ロードポート開口を横切って流れるガスの一部が不注意に容器の内部に向けられ、基板容器のマイクロ環境内の相対湿度および/または酸素レベルが一時的に高くなって潜在的に基板容器のパージ能力を妨害する場合があり、望ましくない可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、例えば半導体製造で使用されるFOUPすなわちポッド(例えばレチクルポッド)などのウエハまたはレチクル運搬容器のためのパージガスを分配するためのシステムを対象としている。より詳細には、本開示は、個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために共通投入ポートからのパージガスの流れを複数の離散投入パージポートに分割することによって、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するための、FOUPすなわちレチクルポッド内のパージフロー分配システムを対象としている。
【0006】
少なくとも1つの例示的実施形態では、基板容器は内部空間を画定するシェルを含み、シェルは、前方開口、第1の側壁、第2の側壁、後部壁、およびシェルの前方開口に沿って第1の側壁と第2の側壁との間に延在する前方縁を含む底部壁を含む。基板容器は、パージガスの流れを受け取るように構成されたパージフロー分配システムを同じく含み、パージフロー分配システムは、パージガスの流れを受け取るように構成された入口、およびパージガスの流れを内部空間に分配するように構成された個別ガス分配デバイスのネットワークを含む。パージフロー分配システムは、入口に接続された供給ラインであって、パージガスの流れを個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成される供給ラインをさらに含む。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、供給ラインは、個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、および個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を含む。実施形態では、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、後部壁のより近くに設けられた第1のガス分配デバイスであり、ガス分配デバイスネットワークのうちの別のガス分配デバイスは第2のガス分配デバイスであり、第2のガス分配デバイスは前方開口のより近くに設けることができ、第1の流路は、パージガスの流れの一部を第1のガス分配デバイスに供給するように構成され、第2の流路は、パージガスの流れの別の部分を第2のガス分配デバイスに供給するように構成される。第2のガス分配デバイスは、基板容器の内部の他の場所に設けることも可能であり、例えば後部または隣接する別のガス分配デバイスに設けることも可能であり、上記実施形態に限定されないことが認識される。少なくとも1つの他の例示的実施形態によれば、パージフロー分配システムは、底部壁に設けられた、パージガスの流れを入口から受け取ってパージガスの流れをガス分配デバイスのネットワークに分割するマニホルドベースをさらに含み、マニホルドベースは、第2の流路を少なくとも左側の第2の流路および右側の第2の流路に分割して、パージガスの流れの一部を第2のガス分配デバイスに供給するように構成することができる。
【0007】
少なくとも1つの例示的実施形態では、開放状態の前方開口を有している場合の基板容器をパージする方法は、基板容器の壁に配置された入口ポートを介して、パージガスの流れを基板容器内に少なくとも部分的に配置されたパージフロー分配システムの入口に供給することと、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために、パージフロー分配システムの供給ラインを介してパージガスを分割することとを含み、供給ラインは、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの少なくとも第1の流路、および個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの少なくとも第2の流路を備える。実施形態では、方法は、パージガスの流れの第1の部分を第1の流路を介して第1のガス分配デバイスに設定することと、パージガスの流れの第2の部分を第2の流路を介して第2のガス分配デバイスに設定することとをさらに含む。
【0008】
基板容器および基板容器をパージする方法の両方の説明した、および他の特徴、態様および利点は、以下の図面によってより良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】少なくとも1つの例示的実施形態による基板容器の正面斜視図である。
図2】少なくとも1つの例示的実施形態による基板容器の分解図である。
図3A】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の略図である。
図3B】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の略図である。
図3C】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の略図である。
図4A】少なくとも1つの例示的実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の背面斜視図である。
図4B】少なくとも1つの例示的実施形態による、図4Aの基板容器の頂部側断面図である。
図5A】少なくとも1つの例示的実施形態による、マニホルドベースを使用してパージガスの供給を分割するように構成されるパージフロー分配システムを有する基板容器の背面斜視図である。
図5B】異なる実施形態による、パージガスの供給を分割するように構成される図5Aのマニホルドベースの略図である。
図5C】少なくとも1つの例示的実施形態による、図5Aの基板容器の底部側面図である。
図6】少なくとも1つの例示的実施形態による、個別ガス分配デバイスのネットワークへのパージガスの供給を分割することを含む、基板容器をパージする方法のための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示には、様々な修正および代替形態の余地があるが、本開示の詳細が一例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら本開示の意図は、本開示の態様を説明されている特定の例証実施形態に限定することではないことを理解されたい。それとは対照的に、本開示の意図は、本開示の精神および範囲の範疇であるあらゆる修正、等価物および代替を包含することである。
【0011】
本明細書において使用される場合、「ガス分配デバイスのネットワーク」という用語は、少なくとも1つの供給ラインによって一体に接続される複数の個別のまったく異なるガス分配デバイスを含むネットワークを意味している。「ガス分配デバイス」という用語は、少なくとも1つのガス分配表面を含み、基板容器中の特定の規定場所に設けられる任意の複数のガス分配表面の組合せであるデバイスを意味しており、例えば前方ガス分配デバイスは、基板容器の前方に設けられたすべてのガス分配表面を含む。「ガス分配表面」という用語は、ガス分配デバイスからのパージガスの一部を内部空間に分配するガス分配デバイスの構造部分を意味しており、ガス分配デバイスは複数のガス分配表面を含むことができる。「供給ライン」という用語は、パージガスを受け取り、かつ、ガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面のための投入パージポートへのパージガスを分割し、かつ、供給するために使用される入口ポートに接続される、パイプ配管、管配管、給排水設備を意味している。すなわち供給ラインを使用して、ガス分配デバイス/ガス分配表面のためにパージガスを単一の投入パージポートに供給することができ、あるいは供給ラインを使用して、ガス分配デバイス/ガス分配表面のために複数の投入パージポートに沿ってパージガスを供給することができる。「パイプ」または「パイプ配管」という用語は、ガス分配デバイスのネットワークを通るパージガスのフローを分配するために使用される構造を意味しており、ガス分配デバイスのネットワークを通るガスのフローを設定し/調整するために使用することができるパイプ、パイプ配管、管配管、通路、コネクタ、弁、コントローラおよび同様の構造を含む。
【0012】
同じく本明細書において使用される場合、「前方」および「後部」ならびに「右」および「左」という用語は様々な要素を説明するために使用されているが、これらの要素はこれらの用語によって制限されない。そうではなく、これらの用語は、単に1つの要素を別の要素から区別するために使用されているにすぎない。その代わりに、これらの用語を広義に解釈して、本開示の範囲を逸脱することなく、前方、後方、側面、頂部、底部またはそれらの任意の組合せを含む、要素同士の間の任意の位置関係を含むことも可能である。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容がそうではないことを明確に示していない限り、複数の参照を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、「または」という用語は、通常、内容がそうではないことを明確に示していない限り、「および/または」を含むその意味で使用されている。
【0014】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素には同じ番号が振られている図面を参照しながら読むべきである。詳細な説明および必ずしもスケール通りではない図面は例証実施形態を描写したものであり、本発明の範囲を制限することは意図されていない。描写されている例証実施形態は、例示的なものであることが意図されているにすぎない。任意の例証実施形態の選択された特徴は、そうではないことが明確に言及されていない限り、追加実施形態に組み込むことができる。
【0015】
本開示は、一般に、基板容器の内部空間にアクセスするための前方開口を有する基板容器のためのパージフロー分配システムに関している。より詳細には、本開示は、個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために共通源からのパージガスの流れを複数の離散投入パージポートに分割することによって、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するように構成されるパージフロー分配システムに関している。いくつかの実施形態では、パージフロー分配システムは、開いている間、基板容器の前方開口中へのガスの侵入を防止するように構成することができ、あるいは基板容器が閉じている場合の基板容器からのパージガスの排気を容易にするための出口として構成することができる。
【0016】
ウエハの形態の基板を処理して半導体デバイスを形成することができる。基板容器は、処理中に基板を運ぶための容器である。基板は、異なる処理ステップの前、および異なる処理ステップの間、基板容器内に貯蔵することができる。基板容器は、基板容器の前方開口を介してアクセスされる。基板容器は、例えば前方開口統一ポッド(FOUP)であってもよい。実施形態では、基板容器は、レチクルポッドなどのレチクルのための容器であってもよい。このような実施形態では、容器本体は、内部ポッドを包含するように構成された外部ポッドの少なくとも部分として含むことができ、フロー分配システムベースを含むパージフロー分配システムは、パージガスを外部ポッドの内部空間に提供するように構成される。
【0017】
図1図2は、本開示の実施形態による基板容器1を示したものである。図1は基板容器1の正面斜視図であり、一方、図2は、扉が除去された(例えば扉が開いた)基板容器を例証している。図1に示されているように、基板容器1は前方扉4およびシェル6を含む。前方扉4はシェル6の前方開口12内に受け取られ、前方開口12を遮断している。
【0018】
図2は、前方扉4が除去された(例えば前方扉4が開いた)基板容器1を例証している。図2に示されているように、シェル6は基板容器の内部空間8を画定し、基板は基板容器1の内部空間8に貯蔵される。基板容器1は、扉4を移動させる(例えば開く、除去する)ことによってアクセスすることができる。例えば図1の扉4は、扉4をシェル6の中に挿入することによってシェル6の中に受け取られている。実施形態では、扉4およびシェル6のうちの1つまたは複数は、扉4の不慮の除去を防止するためのロック機構(図示せず)を含むことができる。
【0019】
図2にさらに示されているように、シェル6は、第1の側壁14、第2の側壁16、後部壁18および頂部壁20ならびに底部壁22を含む。第1の側壁14は第2の側壁16の反対側であり、頂部壁20は底部壁22の反対側である。第1の側壁14は左側と呼ぶことができ、一方、第2の側壁16は右側と呼ぶことができる。頂部壁20および底部壁22は、それぞれ第1の側壁14と第2の側壁16との間に延在している。シェル6は、対向する壁の間に延在している前方縁を含む。底部壁22は、前方開口12に沿って延在している前方縁24Aを含む。前方縁24Aは、シェル6の第1の側壁14と第2の側壁16との間に同じく延在している。第1の側壁14は、前方開口12に沿って延在している前方縁24Bを含む。第1の側壁14の前方縁24Bは、シェル6の頂部壁20と底部壁22との間に同じく延在している。図2に示されているように、実施形態の前方縁24A、24Bは、それぞれ前方開口12に隣接している。
【0020】
基板容器1は、シェル6の頂部壁20に機器フックアップ26を含むことができる。実施形態では、この機器フックアップ26によって、それには限定されないが自動アームなどの基板容器1を移動させるための標準自動アタッチメント(図示せず)を基板容器1に接続することができる。例えば自動アームを使用して、異なる処理機器同士の間で基板容器1を移動させることができる。実施形態では、基板容器1は、ユーザ(例えば技術者,等々)による基板容器1の手動移動を許容するための1つまたは複数のハンドル(図示せず)を含むことができる。
【0021】
基板容器1は、内部空間8の中で基板(図示せず)を保持するための複数の棚28を含むことができる。第2の側壁16の棚28の部分は、図2では不明瞭であるが、第1の側壁14の棚28上の部分と同様の構成を有している(例えば基板容器中のスロット)。棚28は、それぞれ内部空間8内で基板(図示せず)を保持するようにサイズ化されている。例えば実施形態の棚28は、特定のサイズの基板(例えば150mmウエハ、200mmウエハ、等々)を保持するようにサイズ化されている。
【0022】
基板容器1は、底部壁22に、基板容器1の入口および/または出口に対応する複数の入口パージポートおよび/または出口パージポート(例えば図2の30A、30B、30C、等々)を含むことができる。これらの複数の入口パージポート(および出口パージポート)は、以下でさらに考察されるようにパージフロー分配システムに接続することができる。内部空間8のガスを基板容器1から放出するための少なくとも1つの出口ポートを提供することができ、入口と第2の側壁との間の底部壁に配置することができる。入口パージポートおよび/または出口パージポートは、シェル6に沿った異なる位置、例えば後部壁18に設けることも可能であり、このような実施形態では、入口パージポートおよび/または出口パージポートは、基板容器の入口および出口に対応することが認識される。
【0023】
また、基板容器1は、パージガス供給システムからパージガスの流れを受け取るための少なくとも1つの入口、例えば入口ポートを同じく含む。パージガス供給システムは、一般的には不活性ガスであってもよいパージガスを引き渡す。パージガスは、例えば、それらに限定されないが、窒素、クリーンドライエアー(CDA:clean dry air)およびエキストラクリーンドライエアー(xCDA:extra clean dry air)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0024】
実施形態では、入口ポートは、パージガスを入口パージポートに供給してパージガスを内部空間8に分配するために、パージフロー分配システムに接続されている。基板容器1が開いているとき、パージフロー分配システムを使用してパージガスを内部空間8に分配し、それにより前方開口12を介した基板容器1への外部環境(例えばガス、粒子、湿気、等々)の侵入を少なくすることができる。例えば供給されるパージガスは、内部空間8から前方開口12を通って流出するように構成され、これは、前方開口12を介した内部空間8への内側に向かうあらゆるフローの最少化を促進する。
【0025】
一方、パージガスは、扉4が前方開口12内に受け取られ、基板容器1が閉ざされると、基板容器1の内部空間8への供給を継続することができる。パージガスは、様々な実施形態によって本明細書において説明されているように、パージフロー分配システムを介して基板容器1の外部へ排気することも可能であり、これは、構成および所望の用途に応じて、入口および出口の両方として、あるいは出口のみとして働くことができる。内部空間8内の正の圧力のパージガスは、内部空間から1つまたは複数の出口を通って基板容器から流出するパージガスのフローを容易にする拡散勾配をもたらす。
【0026】
図3Aは、パージフロー分配システム340の実施形態を概略的に示したものである。パージフロー分配システム340は、パージ供給システムからパージガスを受け取るために入口ポート305に接続されている。パージフロー分配システム340は、パージガスの流れを内部空間8に分配するための個別ガス分配デバイス350のネットワークをさらに含む。入口に接続された供給ライン360を使用して、個別ガス分配デバイス350のネットワークへのパージガスの流れが分割される。例えば実施形態では、供給ラインは、第1のガス分配デバイス350Aに接続される少なくとも第1の流路360A、および第2のガス分配デバイス350Bに接続される少なくとも第2の流路360Bを含む。しかしながら供給ライン360は、基板容器のパージ操作のために、必要に応じて任意の数の異なる流路に分離することができ、例えばパージガスを基板容器1の中の個別の、および/または同じガス分配デバイスに供給するための追加の第3、第4、等々の流路に分離することができることが認識される。すなわち供給ライン360は、共通投入ポート、例えばパージガス源からパージガスの供給を受け取り、かつ、複数のガス分配デバイス350に供給するために、パージガスの供給を複数の離散投入パージポートに分割するように構成されている。
【0027】
個別ガス分配デバイスのネットワークは、少なくとも1つの供給ライン360によって一体に接続される複数の個別のまったく異なるガス分配デバイス350を含む。したがって個別ガス分配デバイスのネットワークは、個別ガス分配デバイス350およびパージガスフローを基板容器1の内部に分配するために個別分配デバイスを接続する関連するパイプ配管を含む。
【0028】
ガス分配デバイス350は、ネットワークの他のガス分配デバイスとは個別のまったく異なるデバイスであり、個々のガス分配デバイスは少なくとも1つのガス分配表面を含み、個々のガス分配デバイスは、基板容器中の特定の規定場所に設けられる任意の複数のガス分配表面351A、351B、351Cの組合せであり、例えば前方ガス分配デバイスは、基板容器の前方に設けられた任意の、およびすべてのガス分配表面351A、351Bを含む。すなわちガス分配デバイスは、基板容器の特定の場所に設けられた任意の、またはすべての複数のガス分配表面の組合せであり、ガス分配表面は、ガス分配デバイスからのパージガスの一部を内部空間に分配するガス分配デバイスの構造部分である。ガス分配表面351A、351B、351Cは少なくとも1つの投入パージポートに接続され、パージガスを内部空間に分配するための構造、例えばディフューザ、マニホルド、膜、スリットまたはノズルを有しているか、または多孔性材料でできている部分、あるいはパージガスを基板容器の内部に導くことができる同様の構造、およびそれらの組合せを含むことが認識される。
【0029】
例えば実施形態では、第1のガス分配デバイス350Aは後部セクションに配置され、例えばFOUPの後部壁18のより近くに配置され、少なくとも1つのガス分配表面351A、351Bを含むことができ、例えば少なくとも1つの投入パージポートに接続される第1および/または第2のディフューザを含むことができる。第2のガス分配デバイス350Bは前方セクションに配置することができ、例えばFOUPの前方開口12のより近くに配置することができ、第1の側壁と第2の側壁との間のガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるか、あるいは第1の側壁の前方縁または第2の側壁の前方縁のうちの一方に沿って垂直方向に延在する少なくとも1つのガス分配表面351Cを含むことができ、例えば少なくとも1つの他の投入パージポートに接続される頂部/底部マニホルド、および/または右側/左側マニホルドを含むことができる。供給ライン360は、第1のガス分配デバイス350Aのためにパージガスの流れの少なくとも一部を投入パージポートに供給するために第1の流路360Aに分割され、第2のガス分配デバイス350Bのためにパージガスの流れの少なくとも別の部分を投入パージポートに供給するために第2の流路360Bに分割されている。第1および第2のガス分配デバイスは、必ずしも後部セクションおよび前方セクションに配置する必要はなく、一例として提供されており、基板容器の内部空間の中の様々な(または同じ)場所に設けることができることが認識される。
【0030】
個別ガス分配デバイス350A、350Bに供給するために第1および第2の流路360A、360Bに供給されるパージガスの量は、多くの方法で設定することができる。例えば実施形態では、供給ラインに弁を提供して設定することができ、例えば弁を所定の開口サイズに設定して、第1および第2の流路360A、360Bへのパージガスの供給を分割し、それにより所定の量のパージガスを個別ガス分配デバイス350A、350Bに供給することができる。これらの弁は、ニードル弁、ボール弁、蝶形弁、逆止め弁、または異なる個別ガス分配デバイスへのパージガスのフローの量を設定するために使用される同様に構造化された弁を含むことができる。ガス分配デバイスに供給するためにパージガスの供給を適切な/所定の量に分割するために、パージガスの量は、オリフィス、ばね荷重ダイバータを使用して設定することも、あるいは第1または第2の流路のうちの一方に、必要に応じてより小さい断面積またはより大きい断面積を有するパイプ配管/パイプをもたせることによって設定することも可能であり、例えばパージガスの分割/供給はネットワークの差動圧力に基づくことが認識される。また、パージガスの量は、個々の個別ガス分配表面351A、351B、351Cに対して設定することができることが同じく認識される。言い換えると、それぞれガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面に供給するために、所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給されるよう、単一の入口ポートからのパージガスの供給が分割され、かつ、設定される。
【0031】
図3Bは、パージフロー分配システム340の別の実施形態を例証したものであり、入口は少なくとも2つの入口ポート305Aおよび305Bを含む。図3Bの実施形態では、パージフロー分配システム340は、パージガス供給システムからパージガスを受け取るために入口ポート305A、305Bの両方に接続されている。パージフロー分配システムは、パージガスを内部空間8の内部に分配するために、個別ガス分配デバイス350のネットワークをさらに含む。しかしながらこの実施形態では供給ライン360は、パージガスの供給が結合され、次に、第1のガス分配デバイス350Aに接続される第1の流路360A、および第2のガス分配デバイス350Bに接続される第2の流路360Bに少なくとも分割されるよう、入口ポート305Aおよび305Bの両方に接続されている。パージガスの供給は、入口ポート305A、305Bからの供給ラインのパイプ配管をつなぐことによって混合し/結合することができ、あるいは例えばインライン混合器を使用して混合することができ、次に、異なる流路360A、360Bに分割/分離することができることが認識される。第1および第2のガス分配デバイス350A、350Bは、それぞれ、上で考察したようにパージガスを基板容器の内部に分配するための少なくとも1つのガス分配表面を含む。
【0032】
個別ガス分配デバイス350A、350Bに供給するために第1および第2の流路360A、360Bに供給されるパージガスの量は、多くの方法で設定することができる。例えば実施形態では、入口ポート305A、305Bからのパージガスの供給の混合/結合の上流側および/または下流側に弁を提供して設定し、それにより個別ガス分配デバイス350A、350Bおよび/または個別ガス分配表面351A、351B、351Cのために、パージガスの供給を所定の量のパージガスに分割することができる。言い換えると、それぞれ個別ガス分配デバイスおよび/または個別ガス分配表面に供給するために、所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給されるよう、入口ポート305A、305Bの両方からのパージガスの供給が分割され、かつ、設定される。
【0033】
図3Cは、パージフロー分配システム340のさらに別の実施形態を例証したものであり、入口は少なくとも2つの入口ポート305Aおよび305Bを含み、これらの入口ポートは、個別に使用して個別ガス分配デバイスの異なるネットワークに供給される。すなわちパージフロー分配システム340は、パージガスの流れを内部空間8に分配するために、個別ガス分配デバイス350の少なくとも2つのネットワークを含む。この実施形態では、パージフロー分配システム340は、それぞれ入口ポート305Aおよび305Bに個別に接続される少なくとも2つの個別供給ライン360、370を含む。入口ポート305Aに接続された第1の供給ライン360を使用して、入口ポート305Aからのパージガスの供給が、ガス分配表面351A、351Bを有する第1のガス分配デバイス350Aに接続された第1の流路360A、および少なくとも1つのガス分配表面351Cを有する第2のガス分配デバイス350Bに接続される第2の流路360Bに少なくとも分割される。入口ポート305Bに接続された第2の供給ライン370を使用して、入口ポート305Bからのパージガスの供給が、少なくとも2つのガス分配表面351D、351Eを有する第3のガス分配デバイス350Cに接続された少なくとも第1の流路370A、および少なくとも1つのガス分配表面351Fを有する第4のガス分配デバイス350Dに接続された第2の流路370Bに少なくとも分割される。
【0034】
個別ガス分配デバイス350A、350B、350C、350Dに供給するために個別ガス分配デバイスの少なくとも2つのネットワークの第1および第2の流路に供給されるパージガスの量は、多くの方法で設定することができる。例えば実施形態では、供給ライン360、370に弁を提供して設定し、それにより個別ガス分配デバイス350A、350B、350C、350Dおよび/または個別ガス分配表面351A、351B、351C、351D、351E、351Fのために、パージガスの供給を所定の量のパージガスに分割することができる。言い換えると、それぞれの供給ラインに供給するために、入口ポート305A、305Bからのパージガスの供給がそれぞれ個々に使用され、個別ガス分配デバイスに供給するために、個々のそれぞれの供給ラインを使用して分割され、かつ、設定され、それにより所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給される。
【0035】
図3A図3Cは、個別ガス分配デバイスへの供給に先だって供給ライン360(または370)が分割されることを示しているが、それぞれのガス分配デバイスに分割され、および/または分配される所定の量のパージガスフローを設定することができ、例えばネットワーク中のすべてのガス分配デバイスに対して等しい量のパージガスのフローを設定し、あるいは必要に応じてガス分配デバイスのうちの1つに対してより多くのパージガスのフローを設定することができる限り、供給ラインは、パージガスを任意のガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面に個別に供給するために使用することができる任意の数の異なる流路に分離することができることが認識される。また、入口ポートは、基板容器に沿った異なる場所に設けることができることが同じく認識される。例えば基板容器の底部壁は、パージガスの第2の流れを導入するための後部入口ポートを含むことができ、後部入口ポートは前方開口よりも後部壁の近くに配置され、あるいは底部壁は、パージガスの第2の流れを導入するための第2の入口ポートを含むことができ、第2の入口ポートは後部壁よりも前方開口の近くに配置され、あるいは基板容器に沿った他の場所に配置される。他の実施形態では、入口ポート(および/または出口ポート)は基板容器の底部壁に設けることができ、複数の入口ポートが提供される場合、パージガスがパージフロー分配システムに供給される前にパージガスを結合することができる。
【0036】
以上の説明はFOUPに関して説明されているが、本明細書において考察されている任意の実施形態を同じく使用して、パージガスをレチクルポッド内の内部空間、例えばレチクルポッドの外部ポッド内の内部空間に分配することができることが認識される。
【0037】
例えば図4Aおよび図4Bは別の実施形態を例証したものであり、供給ラインは、パージガスの供給を個別ガス分配デバイスおよび/または個別ガス分配表面に分割するために提供することができる。実施形態では、供給ラインの第2の流路は第1の流路の後に設けられている。
【0038】
図4Aは、基板容器400の後ろ側を示している。シェル406は基板容器の内部空間408を画定しており、基板容器400の内部空間408に基板(図示せず)が貯蔵される。シェル406は、第1の側壁414、第2の側壁416、後部壁418および頂部壁420ならびに底部壁422を含む。第1の側壁414は第2の側壁416の反対側であり、頂部壁420は底部壁422の反対側である。第1の側壁414は左側と呼ぶことができ、一方、第2の側壁416は右側と呼ぶことができる。頂部壁420および底部壁422は、それぞれ第1の側壁414と第2の側壁416との間に延在している。基板容器400は、シェル406を取り付けることができるベースを提供することができるキャリアプレート423を同じく含むことができる。
【0039】
パージフロー分配システムは、基板容器400のシェル406の中に含めることができ、または例えばシェル406とキャリアプレート423との間でシェル406に接続することができ、あるいはシェル406とキャリアプレート423との間に少なくとも部分的に配置することができる。パージフロー分配システムは、パージガスを個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するためにパージガス供給システムに接続される少なくとも1つの入口ポートに接続されている。パージフロー分配システムは、底部壁422の少なくとも1つの入口パージポート430A、430Bに接続される少なくとも1つの供給ラインを含む。供給ラインは、パージガスを後部ガス分配デバイス450A、450Bに供給するために入口パージポート430A、430Bに接続された第1の流路460Aを含み、後部ガス分配デバイスは少なくとも2つのディフューザを含むことができる。これらの少なくとも2つのディフューザ450A、450Bは、基板容器400の後方でパージガスを分配するための複数の開口を含む。後部ガス分配デバイスのこれらの少なくとも2つのディフューザ450A、450Bのうちの少なくとも1つは、基板容器400の頂部壁420により近いその頂部端に開口を同じく含み、パージガスを別のガス分配デバイス、例えば第2のガス分配デバイスに供給するために第2の流路460Bに接続される投入パージポートを形成している。この実施形態では、第2の流路460Bは、少なくとも1つのガス分配表面を含む前方ガス分配デバイス、例えば基板容器400の頂部壁420の近くに設けられた頂部マニホルド450Cに接続されている。
【0040】
図4Bから分かるように、第2の流路460Bは、基板容器400の頂部壁420のより近くの頂部部分に沿って設けられた、第1の流路460Aに供給されたパージガスの少なくとも一部を供給して前方ガス分配デバイスに分配するための管配管、通路または経路を含む。例えば前方ガス分配デバイスへのパージガスの量は、例えば所定の量のパージガスフローを有するように第2の流路460Bの断面積をサイズ化することによって設定することができ、フローは断面積に比例し、および/または供給圧力、例えば圧力差に依存して所定の量のパージガスが第2の流路460Bを介して供給されるよう、少なくとも2つのディフューザ450A、450Bの複数の開口のサイズ、例えば直径を設定することによって設定することができる。すなわち第1のガス分配デバイスには、所定の量のパージガスをディフューザ450A、450Bの開口を介して分配するためのパージガスが供給され、一方、残りの量のパージガスは、第2の(前方)ガス分配デバイスのガス分配表面を介してパージガスを分配するために、第2の流路460Bを介して第2のガス分配デバイスに供給される。本明細書においては頂部マニホルドおよびディフューザに関連して説明されているが、任意のガス分配表面は、それらに限定されないが、頂部/底部/側部マニホルド、頂部/底部/側部ディフューザ、頂部/底部/側部膜、スリットまたはノズルを有する頂部/底部/側部部分、または多孔性材料でできた頂部/底部/側部部分を含む、パージガスを基板容器400の内部に分配するための任意の構造であってもよいことが認識される。また、供給ラインは、第1のガス分配デバイスおよび/または第2のガス分配デバイスに供給されるパージガスの量を設定するための弁または他の構造を同じく含むことができることが同じく認識される。
【0041】
図5Aは別の実施形態を例証したものであり、基板容器500の後ろ側を示している。シェル506は基板容器の内部空間を画定しており、基板容器500の内部空間に基板(図示せず)が貯蔵される。シェル506は、第1の側壁514、第2の側壁516、後部壁518および頂部壁520ならびに底部壁522を含む。第1の側壁514は第2の側壁516の反対側であり、頂部壁520は底部壁522の反対側である。第1の側壁514は左側と呼ぶことができ、一方、第2の側壁516は右側と呼ぶことができる。頂部壁520および底部壁522は、それぞれ第1の側壁514と第2の側壁516との間に延在している。基板容器500は、シェル506を取り付けることができるベースを提供することができるキャリアプレート523を同じく含むことができる。
【0042】
パージフロー分配システムは、基板容器500のシェル506の中に含めることができ、または例えばシェル506とキャリアプレート523との間でシェル506に接続することができ、あるいはシェル506とキャリアプレート523との間に少なくとも部分的に配置することができる。パージフロー分配システム540は、パージガスを個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するためにパージガス供給システムに接続される少なくとも1つの入口ポート505に接続されている。パージフロー分配システム540は、底部壁522の少なくとも1つのパージポートに接続される少なくとも1つの供給ラインを含む。この実施形態では、パージフロー分配システム540は、底部壁522に設けられた、パージガスの流れをガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成されるマニホルドベース560を含む。
【0043】
図5Bから分かるように、マニホルドベース560は個別ガス分配デバイス550のネットワークに接続されている。マニホルドベース560は、パージガスを第1のガス分配デバイスに供給するために入口パージポートに接続された第1の流路560A、およびパージガスを第2のガス分配デバイスに供給するために入口パージポートに接続された第2の流路560Bを含む。第1のガス分配デバイスは、後部左側および右側ディフューザ550Aおよび550Bを含むことができる後部ガス分配デバイス550Aであってもよく、第2のガス分配デバイスは、基板容器の前側でパージガスを基板容器の内部に分配するための前方マニホルド550Cならびに左側および右側マニホルド550Dおよび550Eを含むことができる前方ガス分配デバイスであってもよい。パージフロー分配システム540は、供給ラインを調整して、前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスのうちの少なくとも1つを流れるパージガスの量を設定することができ、および/または前方ガス分配デバイスおよび/または後部ガス分配デバイスの個別ガス分配表面へのパージガスの量を調整するために同じく設定することができる方法で構成されている。第1および第2のガス分配デバイスは、必ずしも後部セクションおよび前方セクションに配置する必要はなく、一例として提供されており、基板容器の内部空間の中の様々な(または同じ)場所に設けることができることが認識される。
【0044】
例えばこの実施形態では、入口供給ライン弁580を調整して、前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスに供給されるパージガスの量を設定することができる。すなわち供給ライン弁580を調整することにより、前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスに供給される、基板容器をパージするために必要なパージガスの量を設定するために、第1の流路560Aおよび第2の流路560Bへのパージガスの供給を分割するための圧力差をもたらすことができる。
【0045】
供給ライン弁580を設定することによる前方ガス分配デバイスへのパージガスの量の制御に加えて、複数の調整可能弁585A、585B、585C、585Dを使用して、前方ガス分配デバイスの個別ガス分配表面550C、550D、550Eへのパージガスの量を調整することができる。例えば調整可能弁585Aを設定して、前方右側、例えば右側マニホルド550Eへのパージガスの量を制御することができ、調整可能弁585Bおよび585Cを設定して、前方マニホルド550Cへのパージガスの量を制御することができ、調整可能弁585Dを設定して、前方左側、例えば左側マニホルド550Dへのパージガスの量を制御することができる。したがって調整可能弁580、585A、585B、585C、585Dを設定することにより、マニホルドベース560を使用して、供給ラインからのパージガスを個別ガス分配デバイスのネットワークおよび/または個別ガス分配表面に分割することができる。言い換えると、それぞれ個別ガス分配デバイス550に供給するために、所定の量のパージガスが複数の離散投入パージポートに供給されるよう、単一の入口ポートからのパージガスの供給が分割され、かつ、設定される。
【0046】
図5Cから分かるように、パージフロー分配システム540に接続された入口ポートは様々な場所に設けることができる。例えば図5Aは、概ね、入口ポート505は、パージガス分配システムからのパージガスを供給するためにマニホルドベース560の下方に設けられていることを示しているが、パージガスを、基板容器のための用途/ドッキング構造の性質に応じて、キャリアプレート523を介して提供された多くの入口ポート(または出口ポート)505A、505B、505C、505Dに供給することができることが認識される。入口ポート505A、505B、505C、505Dからのパージガスは、マニホルドベース560に供給される前に結合することができ、あるいは必要に応じて基板容器の中の異なるパージフロー分配システムに供給するために提供/結合することができることが認識される。
【0047】
パージガスの量は、エネルギーの保存に基づいて圧力降下または流量を設定することができる異なる構造の任意の組合せを使用して同じく制御し、または設定することができることが認識される。例えば第1の流路および/または第2の流路のいずれかにオリフィスを置いて、前方ガス分配デバイスおよび/または後部ガス分配デバイスおよび/または任意の個別ガス分配表面に供給されるパージガスの量を設定するための圧力差をもたらすことができる。別法として、あるいはこのような構造に加えて、第1の流路および/または第2の流路の様々なパイプ配管の断面積をサイズ化して、前方ガス分配デバイスと後部ガス分配デバイスの間、および/または前方ガス分配デバイスおよび後部ガス分配デバイスのガス分配表面同士の間で分割されるパージガスの量を設定することも可能である。したがってパージフロー分配システム540は、パージフロー分配システム540の異なる構成要素を適切な方法で調整し、および/または設定することによって、パージガスを異なるガス分配デバイスおよび/またはガス分配表面に分割し、かつ、供給することができるように構成されている。
【0048】
図6は、少なくとも1つの例示的実施形態による、基板容器にパージフローを供給するための操作フロー600を示したものである。
【0049】
操作フロー600は、1つまたは複数のブロック610、620、630および640によって描写されている1つまたは複数の操作、アクションまたは機能を含むことができる。離散ブロックとして例証されているが、様々なブロックは、所望の実施態様に応じて追加ブロックに分割し、より少ないブロックに結合し、あるいは除去することができる。非制限の例として、図6におけるその説明に対応し、本明細書において説明されている1つまたは複数の例示的実施形態による上記実施形態の中で説明されている装置または構成要素のうちの1つまたは複数によって実施される方法600の説明は、パージフローを基板容器の中に供給することに関している。処理フロー600はブロック610で開始することができる。
【0050】
ブロック610は、ウエハまたはレチクル容器(例えばFOUPまたはレチクルポッド)であってもよい基板容器の中に少なくとも部分的に配置されたパージフロー分配システムに接続された入口パージポートを介して、パージガスの流れを容器の内部に供給することと呼ぶことができる。パージガスの流れは、容器環境を条件付けるための窒素ガス、クリーンドライエアー(CDA)ガス、エキストラクリーンドライエアー(xCDA)ガスのうちの1つまたは複数を含むことができ、あるいは任意の他の適切な流体を含むことができる。ブロック610にはブロック620が後続することができる。
【0051】
ブロック620は、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するために個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するためにパージフロー分配システムの供給ラインを介してパージガスを分割することと呼ぶことができる。実施形態では、ブロック630で、パージガスを分割することは、パージガスをガス分配デバイスのネットワークのうちの少なくとも1つに供給するための第1の流路、およびパージガスをガス分配デバイスのネットワークのうちの別に供給するための第2の流路に供給ラインを分けることを含む。第1の流路および第2の流路に供給されるパージガスの量は、多くの所定の動作条件に基づくことができる。例えば一実施形態では、1つまたは複数のセンサを使用して、所定の時間期間の間、基板容器の内部の少なくとも1つの環境条件を検出することができる。少なくとも1つの環境条件は、相対湿度(%RH)、圧力(例えば絶対圧力)、酸素レベル、温度、空気伝達分子汚染物質の測定された存在、1つまたは複数の揮発性有機化合物の測定された存在、等々のうちの1つまたは複数を含むことができる。ブロック620/630にはブロック640が後続することができる。
【0052】
ブロック640は、所定の時間期間の間、少なくとも1つの検出された環境条件に基づいて、第1の流路を介した第1の分配デバイスへのパージガスの流れの第1の部分すなわち量を設定すること、および第2の流路を介した第2のガス分配デバイスへのパージガスの第2の部分すなわち量を設定することと呼ぶことができる。
【0053】
少なくとも1つの例示的実施形態では、前方ガス分配デバイスおよび/または後部ガス分配デバイスへのパージガスの量は、例えば所望の(所定の、または最適)環境応答(例えば容器の内側)を達成することによって得ることができ、あるいは決定することができる。所望の環境応答は、それぞれの所定の閾値レベルに対する容器の内部の相対湿度(%RH)、酸素レベル、温度、空気伝達分子汚染物質の測定された存在、および/または1つまたは複数の揮発性有機化合物の測定された存在のうちの1つまたは複数を調整することを含むことができる。所望の環境応答は、容器の内部における所望の圧力(例えば絶対圧力)を生成することを同じく含むことができる。環境応答を、容器の内側のセンサによって検出することができ、あるいは測定することができ、検出されたデータは、容器の外側、例えばコントローラに通信することができる。
【0054】
コントローラは環境応答を解析し、前方ガス分配デバイス(および/または前方ガス分配表面)および後部ガス分配デバイスに供給される、適用可能な操作シナリオに到達するために必要なパージガスの量を決定する。実施形態では、環境応答を解析し、かつ、適用可能な操作シナリオに到達するためのパージガスの量を決定するコントローラは、実験計画法(DOE:design of experiments)、訓練されたニューラルネットワーク、モデル化、等々によって達成することができる。
【0055】
少なくとも1つの前方分配デバイスおよび/または後部分配デバイスに供給されるパージガスの量は、パージフロー分配システムの供給ラインに設けられた設定弁によって設定することができる。これらの弁は、ニードル弁、ボール弁、蝶形弁、逆止め弁、または異なる個別ガス分配デバイスへのガスのフローを制御するために使用することができる同様に構造化された弁を含むことができる。パージガスのフローは、オリフィス、ばね荷重ダイバータを使用して設定することも可能であり、あるいは第1または第2の流路のうちの一方のパイプ配管/パイプをサイズ化して、必要に応じてパージガスの供給を分割するための供給圧が与えられると、所定の量のパージガスを供給する断面積をもたせることによって設定することも可能であることが認識される。実施形態では、ガス分配デバイスのネットワークに供給されるパージガスの量が設定されると、供給されるパージガスの量、例えば弁は、必要になるまではさらに調整されず、例えば受動制御である。
【0056】
態様
態様1~18のうちのいずれの態様も、態様19および20のいずれかと組み合わせることができる。
【0057】
態様1.内部空間を画定するシェルであって、前方開口、第1の側壁、第2の側壁、後部壁、およびシェルの前方開口に沿って第1の側壁と第2の側壁との間に延在する前方縁を含む底部壁を含むシェルと、パージガスの流れを受け取るように構成されたパージフロー分配システムであって、パージガスの流れを受け取るように構成された入口、およびパージガスの流れを内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワークを備え、入口に接続された供給ラインであって、パージガスの流れを個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成される供給ラインをさらに備える、パージフロー分配システムとを備える基板容器。
【0058】
態様2.態様1の基板容器であって、供給ラインは、個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、および個別ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を備える、基板容器。
【0059】
態様3.態様2の基板容器であって、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、後部壁のより近くに設けられた第1のガス分配デバイスであり、ガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスは基板容器の内部空間に設けられた第2のガス分配デバイスであり、第1の流路は、パージガスの流れの一部を第1のガス分配デバイスに供給するように構成され、第2の流路は、パージガスの流れの別の部分を第2のガス分配デバイスに供給するように構成されている、基板容器。
【0060】
態様4.態様3の基板容器であって、第1のガス分配デバイスへの供給ラインの第1の流路は、第2のガス分配デバイスへの供給ラインの第2の流路より小さい断面積または大きい断面積を有しているか、または第2のガス分配デバイスへの供給ラインの第2の流路にフローを誘導するためのオリフィス、ばね荷重ダイバータまたは弁を備える、基板容器。
【0061】
態様5.態様3の基板容器であって、第2の流路は、入口とは反対側の第1のガス分配デバイスの端部で、第1の流路の後に設けられている、基板容器。
【0062】
態様6.態様3の基板容器であって、第2の流路は、パージガスを第2のガス分配デバイスに供給するために基板容器の頂部部分に設けられている、基板容器。
【0063】
態様7.態様6の基板容器であって、第2のガス分配デバイスは、第1の側壁と第2の側壁との間のガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるガス分配表面を備えるか、あるいは前方ガス分配デバイスは、第1の側壁の前方縁または第2の側壁の前方縁のうちの一方に沿って垂直方向に延在するガス分配表面を備える、基板容器。
【0064】
態様8.態様1~3のいずれかの基板容器であって、パージフロー分配システムは、底部壁に設けられた、パージガスの流れを入口から受け取ってパージガスの流れをガス分配デバイスのネットワークに分割するマニホルドベースをさらに備える、基板容器。
【0065】
態様9.態様8の基板容器であって、マニホルドベースは、第2の流路を少なくとも左側の第2の流路および右側の第2の流路に分割して、パージガスの流れの一部を第2のガス分配デバイスに供給するように構成されている、基板容器。
【0066】
態様10.態様9の基板容器であって、マニホルドベースは、第1のガス分配デバイスへの第1の流路へのパージガスの流れの一部、および第2のガス分配デバイスへの第2の流路へのパージガスの流れの一部のうちの少なくとも一方を設定するための複数の調整可能弁を備える、基板容器。
【0067】
態様11.態様1~9のいずれかの基板容器であって、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、多孔性材料を含むガス分配表面を備える、基板容器。
【0068】
態様12.態様1~11のいずれかの基板容器であって、パージフロー分配システムは、シェルの底部壁の入口パージポートに取り付けられている、基板容器。
【0069】
態様13.態様1~12のいずれかの基板容器であって、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスは、シェルの第1の側壁と第2の側壁との間のガス分配表面の長さに沿って配置された複数の開口を備えるガス分配表面を含む、基板容器。
【0070】
態様14.態様1~13のいずれかの基板容器であって、内部空間からガスを放出するための出口ポートをさらに備え、出口ポートは入口と第2の側壁との間の底部壁に配置されている、基板容器。
【0071】
態様15.態様1~14のいずれかの基板容器であって、底部壁は、パージガスの第2の流れをパージフロー分配システムを介して内部空間に導入するための後部入口ポートを含み、後部入口ポートは前方開口よりも後部壁の近くに配置されている、基板容器。
【0072】
態様16.態様1~14のいずれかの基板容器であって、底部壁は、パージガスの第2の流れをパージフロー分配システムを介して内部空間に導入するための第2の入口ポートを含み、第2の入口ポートは後部壁よりも前方開口の近くに配置されている、基板容器。
【0073】
態様17.態様1~16のいずれかの基板容器であって、シェルによって画定された前方開口内に受け取られるように構成された、内部空間を密閉するための扉をさらに備える、基板容器。
【0074】
態様18.態様1~17のいずれかの基板容器であって、パージフロー分配システムの入口は第1の入口および第2の入口を備え、供給ラインは、第1の入口および第2の入口からのパージガスの流れを結合し、次に、パージガスの流れを個別ガス分配デバイスのネットワークに分割するように構成されている、基板容器。
【0075】
態様19.開放状態の基板容器をパージする方法であって、基板容器の壁に配置された入口ポートを介して、パージガスの流れを基板容器内に少なくとも部分的に配置されたパージフロー分配システムの入口に供給することと、パージガスの流れを基板容器の内部空間に分配するための個別ガス分配デバイスのネットワークに供給するために、パージフロー分配システムの供給ラインを介してパージガスを分割することとを含み、供給ラインは、ガス分配デバイスのネットワークのうちの1つのガス分配デバイスへの第1の流路、およびガス分配デバイスのネットワークのうちの別のガス分配デバイスへの第2の流路を備える、方法。
【0076】
態様20.態様19の方法であって、パージガスの流れの第1の部分を第1の流路を介して第1のガス分配デバイスに設定することと、パージガスの流れの第2の部分を第2の流路を介して第2のガス分配デバイスに設定することとをさらに含む方法。
【0077】
したがって、本開示のいくつかの例証実施形態について説明したが、本明細書に添えられている特許請求の範囲の範囲内でさらに他の実施形態を構築し、かつ、使用することができることは当業者には容易に認識されよう。本文書によって包含されている本開示の多くの利点は、上記の説明の中で示されている。しかしながら本開示は、多くの点で単なる例証的なものにすぎないことは理解されよう。本開示の範囲を超えることなく細部に変更を加えることができ、とりわけ部品の形状、サイズおよび配置に関して変更を加えることができる。本開示の範囲は、当然、添付の特許請求の範囲が表現されている言語で定義されている。
【外国語明細書】