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特開2024-139943魚肉鮮度評価システム、魚肉鮮度評価装置、魚肉鮮度評価方法、魚肉鮮度評価プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139943
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】魚肉鮮度評価システム、魚肉鮮度評価装置、魚肉鮮度評価方法、魚肉鮮度評価プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/12 20060101AFI20241003BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241003BHJP
   G01N 27/12 20060101ALI20241003BHJP
   G06N 3/0464 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
G01N33/12
G06N20/00 130
G01N27/12 A
G06N3/0464
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050898
(22)【出願日】2023-03-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業(輸出促進を目指した生鮮水産物の品質制御と鮮度の“見える化”技術の開発)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000173511
【氏名又は名称】公益財団法人函館地域産業振興財団
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】崔 弼圭
(72)【発明者】
【氏名】増田 佳丈
(72)【発明者】
【氏名】申 ウソク
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 武也
(72)【発明者】
【氏名】菅原 智明
(72)【発明者】
【氏名】緒方 由美
【テーマコード(参考)】
2G046
【Fターム(参考)】
2G046AA14
2G046AA22
2G046AA23
2G046AA24
2G046AA25
2G046AA26
2G046FB02
2G046FE07
2G046FE09
2G046FE15
2G046FE18
2G046FE39
2G046FE44
2G046FE46
2G046FE48
2G046FE49
(57)【要約】
【課題】魚肉のニオイを用いて当該魚肉の鮮度を評価する非破壊試験方法を提供する。
【解決手段】魚肉鮮度評価システム200は、分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出する分析手段5と、検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約する集約手段20部と、複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する模擬鮮度指標ガス生成手段30部と、魚肉鮮度評価装置100と、を含む。魚肉鮮度評価装置100は、センサ10と、模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行う学習部40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出する分析手段と、
検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約する集約手段と、
前記複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する模擬鮮度指標ガス生成手段と、
魚肉鮮度評価装置と、
を含み、
前記魚肉鮮度評価装置は、
センサと、
前記模擬鮮度指標ガスに対して前記センサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行う学習部と、
を備えることを特徴とする魚肉鮮度評価システム。
【請求項2】
前記所定の値は70%であることを特徴とする請求項1に記載の魚肉鮮度評価システム。
【請求項3】
前記族は、アルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコール、ケトン、硫黄化合物、飽和エステル、不飽和エステル、飽和炭化水素または不飽和炭化水素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の魚肉鮮度評価システム。
【請求項4】
前記センサは、複数の半導体式ガスセンサから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の魚肉鮮度評価システム。
【請求項5】
前記半導体式ガスセンサは、n型半導体、p型半導体またはバルク応答型半導体を含むことを特徴とする請求項4に記載の魚肉鮮度評価システム。
【請求項6】
前記機械学習は、畳み込みニューラルネットワークであることを特徴とする請求項1または2に記載の魚肉鮮度評価システム。
【請求項7】
前記センサのシグナルの範囲は、ニオイを有するガスが前記センサに安定して供給されシグナルが一定である状態から、当該ニオイを有するガスの供給が停止されシグナルが復元するまでの過程であることを特徴とする請求項5に記載の魚肉鮮度評価システム。
【請求項8】
センサと、
模擬鮮度指標ガスに対して前記センサから得られるシグナルと、魚肉の鮮度と、を学習データおよびテストデータとして機械学習を行う学習部と、
を備えた魚肉鮮度評価装置であって、
前記模擬鮮度指標ガスは、
分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、
検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、
前記複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、
を含む方法により生成されることを特徴とする魚肉鮮度評価装置。
【請求項9】
模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行うステップを含む魚肉鮮度評価方法であって、
前記模擬鮮度指標ガスは、
分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、
検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、
前記複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、
を含む方法により生成されることを特徴とする方法。
【請求項10】
模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行うステップをコンピュータに実行させる魚肉鮮度評価プログラムであって、
前記模擬鮮度指標ガスは、
分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、
検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、
前記複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、
を含む方法により生成されることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行うステップをコンピュータに実行させる魚肉鮮度評価プログラムを記録した記録媒体であって、
前記模擬鮮度指標ガスは、
分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、
検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、
前記複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、
を含む方法により生成されることを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚肉鮮度評価システム、魚肉鮮度評価装置、魚肉鮮度評価方法、魚肉鮮度評価プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚肉の鮮度を評価する化学的鮮度指標として、K値が用いられてきた。K値は、ATP(アデノシン三リン酸)およびその分解生成物全量に対して、HxR(イノシン)+Hx(ヒポキサンチン)の量が占める割合である。すなわち、
K(%)=(HxR + Hx) / (ATP + ADP + AMP + IMP + HxR + Hx) × 100
ここで、ADPはアデノシン二リン酸、AMPはアデニル酸、IMPはイノシン酸である。
魚の死後、魚肉のATPは、
ATP→ADP→AMP→IMP→HxR→Hx
の経路で分解するので、HxRやHxの量が少ないほどK値は低くなる。すなわち、K値が低いほど魚の鮮度はよい。正確な鮮度評価のためにK値を求めるためには、上記6成分の含有比を求める必要がある。しかし、破壊試験(魚肉のサンプリングが必要)を用いて上記6成分を求めるためには、液相クロマトグラフィー等を用いた分析手段が必要であり、専門的な装置や知識が必要とされる。しかし、現場で簡易的に鮮度を見積もればよい場合や、その場ですぐに見積もらなければならない場合は、簡便なスクリーニング方法が望まれる。さらに、K値を直接計測することなく、間接的に鮮度を評価できる方法があれば、なお有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-164168
【特許文献2】特開2017-150944
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、魚肉鮮度の一般的な評価方法はK値を求める破壊試験である。一方、非破壊試験は、先行技術はあるものの、一部の魚肉の状態では適用できない。従って、非破壊試験であってかつ簡便な、新しい試験方法が望まれる。
【0005】
例えば特許文献1に開示された技術は、魚の目に所定の波長帯域の光を入射し、得られる複数の反射光の強度から鮮度を推定する。これは非破壊試験ではあるが、ラウンド(1匹そのままで未調理の魚肉)には適応できるが、フィレー(3枚におろした魚肉)など頭部を切除した魚肉や貝類等には適応できない。魚肉は内臓などを除くことで鮮度低下を低減できるので、フィレーで保管するケースもある。従って、このような状態の魚肉にも適応できる鮮度評価方法および装置が望まれる。
【0006】
魚肉などの食品は、鮮度低下に伴い腐敗臭を発するといったように、発するニオイが変化する。このニオイを利用してスクリーニングが可能になれば、簡便な非破壊試験が提供できると期待される。
【0007】
例えば複数のガスセンサで事前に多様な鮮度状態の魚肉のニオイを計測し、これらのデータを用いて機械学習の分類器を学習させ、ニオイから鮮度を判定する方法がある。しかし、魚肉のニオイを分類する技術は実現されていない。またガスセンサのニオイ検知評価では、一般にニオイが充満したときのシグナルが使われる。しかし、このシグナルだけでは充分な判定精度は得られない。
【0008】
例えば特許文献2に開示された技術は、複数のガスセンサと機械学習を用いたニオイ測定に関する。特許文献2には、バルク応答型半導体式センサまたはP型の半導体式センサを用いることで分類性が向上したことが示されているが、分類方法としては主成分分析しか開示されていない。また、校正ガスの生成方法についても言及がなく、この技術は魚肉の鮮度評価には応用できない。
【0009】
装置を用いて魚肉鮮度を判定するには、当該装置の性能を客観的に評価できる手段が必要である。特に魚肉など天然の食品のニオイは、同魚種間であっても、産地、獲得の経緯、輸送条件、管理状況、生物的個体差、魚肉の状態や計測方法などによって、ニオイにバラツキが生じる。このため、実際の魚肉のニオイを使って装置の評価を行うと、その都度校正結果にバラつきが生じる恐れがある。同一の条件で評価するためには、対象の魚肉に関する合理的かつ客観的な混合ガスを用いることが望ましい。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、魚肉のニオイを用いて当該魚肉の鮮度を評価する合理的かつ客観的な非破壊試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の魚肉鮮度評価システムは、分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出する分析手段と、検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約する集約手段と、複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する模擬鮮度指標ガス生成手段と、魚肉鮮度評価装置と、を含む。魚肉鮮度評価装置は、センサと、模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと、魚肉の鮮度と、を学習データおよびテストデータとして機械学習を行う学習部と、を備える。
【0012】
ある実施の形態では、所定の値は70%であってもよい。
【0013】
ある実施の形態では、族は、アルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコール、ケトン、硫黄化合物、飽和エステル、不飽和エステル、飽和炭化水素または不飽和炭化水素を含んでもよい。
【0014】
ある実施の形態では、センサは、複数の半導体式ガスセンサから構成されてもよい。
【0015】
ある実施の形態では、半導体式ガスセンサは、n型半導体、p型半導体またはバルク応答型半導体を含んでもよい。
【0016】
ある実施の形態では、機械学習は、畳み込みニューラルネットワークであってもよい。
【0017】
ある実施の形態では、センサのシグナルの範囲は、ニオイを有するガスがセンサに安定して供給されシグナルが一定である状態から、当該ニオイを有するガスの供給が停止されシグナルが復元するまでの過程であってもよい。
【0018】
本発明の別の態様は、魚肉鮮度評価装置である。この装置は、センサと、模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと、魚肉の鮮度と、を学習データおよびテストデータとして機械学習を行う学習部と、を備える。模擬鮮度指標ガスは、分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、を含む方法により生成される。
【0019】
本発明の別の態様は、魚肉鮮度評価装置方法である。この方法は、模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行うステップを含む。模擬鮮度指標ガスは、分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、を含む方法により生成される。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、魚肉鮮度評価プログラムである。このプログラムは、模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行うステップをコンピュータに実行させる。模擬鮮度指標ガスは、分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、を含む方法により生成される。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、記録媒体である。この記録媒体は、模擬鮮度指標ガスに対してセンサから得られるシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行うステップをコンピュータに実行させる魚肉鮮度評価プログラムを記録したものである。模擬鮮度指標ガスは、分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、を含む方法により生成される。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、魚肉のニオイを用いて、当該魚肉の鮮度を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施の形態に係る魚肉鮮度評価装置の機能ブロック図である。
図2】第3の実施の形態に係る魚肉鮮度評価方法の処理を示すフローチャートである。
図3】実験1におけるセンサ素子の抵抗値の変化を示す模式図である。
図4】実験1におけるセンサ素子の抵抗値の変化を示す模式図であって、模擬鮮度指標ガスに暴露させた20分の区間の1つを拡大した模式図である。
図5】CNNによる分類器を示す図である。
図6】実験2におけるセンサ素子の抵抗値の変化を示す模式図であって、模擬鮮度指標ガスに暴露させた20分の区間の1つを拡大した図である。
図7】ANNによる分類器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態及び変形例では、同一又は同等の構成要素、部材には同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示す。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要でない部材の一部は省略して表示する。また、第1、第2などの序数を含む用語が多様な構成要素を説明するために用いられるが、こうした用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0026】
[第1の実施の形態]
図1に、第1の実施の形態に係る魚肉鮮度評価システム200の機能ブロック図を示す。魚肉鮮度評価システム200は、分析手段5と、集約手段20と、模擬鮮度指標ガス生成手段30と、魚肉鮮度評価装置100と、を含む。魚肉鮮度評価装置100は、センサ10と、学習部40と、を備える。
【0027】
分析手段5は、魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出する。分析手段には、例えばガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を用いてもよいが、これに限られるものではない。
【0028】
集約手段20は、分析手段5が検出したガス成分を、共通の官能基を持つ複数の「族」に集約する。本明細書で化合物の族とは、共通の官能基を持つ複数の化合物の集合のことをいう(元素の周期表の縦の列を意味する族とは異なる)。例えば、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール等はアルデヒド族に属し、メタノール、エタノール、1-プロパノール等は飽和アルコール族に属する。一例として、魚肉のニオイを計測したGC/MSが検出したガスの各成分は、アルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコール、ケトン、硫黄化合物、飽和エステル、不飽和エステル、飽和炭化水素または不飽和炭化水素のいずれかの族に集約される。しかし、本発明で使える化合物の族は、これらに限られない。
【0029】
模擬鮮度指標ガス生成手段30は、集約手段20が集約した化合物の族を基に、以下のように模擬鮮度指標ガスを生成する。ここで模擬鮮度指標ガスとは、魚肉が鮮度に応じて発するニオイを模擬するものとして、人工的に生成した混合ガスのことをいう。模擬鮮度指標ガス生成手段30は、先ず、集約手段20が集約した複数の族の中から、濃度比の合計が所定の値以上となるような2つ以上の族を主要な族として選択する。この所定の値は、例えば70%程度である。分析手段5から得られる検出結果は、様々な鮮度状態において魚肉が発するニオイを構成する複数の成分のデータを含む。この場合、模擬鮮度指標ガス生成手段30は、これらのすべての成分のデータにおいて、濃度比の合計が所定の値以上となるようなものを主要な族として選択することが望ましい。
【0030】
模擬鮮度指標ガス生成手段30は、次に、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出する。選択された各族の中から抽出される代表的成分は、魚肉のニオイ分析から検出された成分であることが望ましい。
【0031】
以下、アルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコール、ケトン、硫黄化合物、飽和エステル、不飽和エステル、飽和炭化水素または不飽和炭化水素の各族に属する成分の例を列挙する。これらの成分は各族から抽出される代表的成分の候補となるが、必ずしもこれらに限られない。
【0032】
アルデヒド族には、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、3-メチルブタナール、2-メチルブタナールなどが属する。
【0033】
飽和アルコール族には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、イソブチルアルコール、2-ブタノール、1-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、4-ヘプタノール、2-メチル-1-プロパノール、3-メチル-1-ブタノール、アセトイン、5-メチルー3-ヘプタノール、2-エチルー1-ヘキサノール、イソアミルアルコールなどが属する。
【0034】
不飽和アルコール族には、1-ペンテン-3-オール、2-ペンテン-1-オール、3-ヘキセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-オクテン-1-オール、2,7-オクタジエン-1-オール、4-メチル-6-ヘプテン-3-オールなどが属する。
【0035】
ケトン族には、アセトン、2-ブタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘプタノン、3-オクタノン、ジアセチル、アセチルプロピオニルなどが属する。
【0036】
飽和エステル族には、酢酸エチル、プロパン酸エチルなどが属する。
【0037】
硫黄化合物族には、二硫化炭素、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、メチルチオアセテート、ジメチルスルホキシド、プロパンチオ酸S-メチルなどが属する。
【0038】
飽和エステル族には、酢酸エチル、プロパン酸エチルなどが属する。
【0039】
不飽和エステル族には、2-メチル-2-プロペノン酸メチル、2-プロペノン酸ブチルなどが属する。
【0040】
飽和炭化水素族には、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサンなどが属する。
【0041】
不飽和炭化水素族には、4-エチリデンシクロヘキセン、3,5,5-トリメチル-2-ヘキセン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、1,3-オクタジエン、2,4-オクタジエン、3,5-オクタジエン、1,3,5-オクタトリエン、2,4,6-オクタトリエン、α-ピネン、D-リモネン、o-キシレン、エチルベンゼン、スチレンなどが属する。
【0042】
模擬鮮度指標ガス生成手段30は、次に、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する。
【0043】
魚肉鮮度評価装置100は、センサ10と、学習部40と、を備える。
【0044】
センサ10は、魚肉のニオイおよび模擬鮮度指標ガスの計測に用いるガスセンサである。好ましくは、センサ10は、複数の半導体式ガスセンサから構成されたガスセンサ群ある。さらに好ましくは、複数個の半導体式ガスセンサは、n型半導体、p型半導体、バルク応答型半導体のいずれか、またはそれらの2種以上を含む。
【0045】
n型半導体のガスセンサ材料は、大気中の酸素が吸着すると、電気陰性度の高い酸素がガスセンサ材料粒子中の自由電子を捕捉する。これにより、粒子と粒子との界面の電気抵抗が上昇した状態となる。有機ガス分子が飛来して酸化反応が生じたときに、吸着した酸素を消費することで電気抵抗が低下する。これが、n型半導体のガスセンサの応答メカニズムである。n型半導体式ガスセンサの例として、感応材料の主成分が、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化チタン、およびこれらが主成分またはこれらを含む複合材料であるものなどがあるが、これらに限られない。
【0046】
p型半導体のガスセンサ材料は、n型半導体と同じく、有機ガス分子が飛来して酸化反応が生じたときに正孔が減少して電気抵抗が増大する、という応答メカニズムに基づく。p型半導体式ガスセンサの例として、感応材料の主成分が、例えば、鉄酸ランタン、酸化コバルト、およびこれらが主成分もしくはこれらを含む複合材料であるものなどがあるが、これらに限られない。
【0047】
バルク応答型の半導体式ガスセンサは、n型半導体の一種である。しかし一般的なn型半導体とは異なり、有機ガス分子が飛来して酸化反応が生じたときにバルク中の格子酸素が消費され、自由電子濃度が増大することで電気抵抗が低下する、という応答メカニズムに基づく。バルク応答型の半導体式ガスセンサの例として、酸化セリウム、ジルコニウムをドープした酸化セリウム、およびこれらが主成分またはこれらを含む複合材料であるものなどがあるが、これらに限られない。
【0048】
ニオイの分類を行うには、ガスセンサ群から得られるシグナルのバリエーションが豊富であることが望ましい。従って、応答メカニズムの異なるガスセンサを複数用いることが望ましい。
【0049】
半導体式センサは、ガス成分が持つ官能基が同じであれば類似の応答を示す傾向がある。魚肉のニオイは多種多様な成分を含む混合ガスである。従って、そのままでは、1成分当たりの濃度が非常に低くなる。多種多様な成分を含む混合ガスの製造は、一つの成分当たりの濃度が非常に低くなると困難であり、かつ成分が多すぎると非常に煩雑な作業が必要となる。これに対し、本発明者らは、半導体式センサの応答の性質を利用して、個別のガス成分をいくつかの族に集約すると有利であることに気がついた。
【0050】
学習部40は、模擬鮮度指標ガス生成手段30が生成した模擬鮮度指標ガスに対してセンサ10が出力するシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行う。
【0051】
このように機械学習を実行することにより、魚肉が発するニオイを含むガスを入力すると、当該魚肉の鮮度を出力することが可能となる。
【0052】
機械学習を行うにあたって、半導体式ガスセンサ群から得られるシグナルであるセンサ10の抵抗値は、半導体式センサの種類によって異なる。このため、各センサの寄与を一定にするために補正する必要がある。一般的には規格化、標準化などの方法があるが、好ましくは、模擬鮮度指標ガスおよび魚肉のニオイ導入前の各半導体式センサの電気抵抗値をRa、模擬鮮度指標ガスおよび魚肉のニオイ計測中の各半導体式センサの各電気抵抗値をRgとしたとき、S=Ra/Rgで表すことのできる応答値Sが用いられる。さらにこの応答値Sは、規格化または標準化されてもよい。
【0053】
好ましくは、機械学習は、畳み込みニューラルネットワークである。
【0054】
さらに好ましくは、畳み込みニューラルネットワークで用いるガスセンサ群のシグナルの範囲は、ニオイを有するガスがセンサ10に安定して供給されシグナルが一定である状態から、当該ニオイを有するガスの供給が停止されシグナルが復元するまでの過程である。通常はガスセンサのシグナルは、ニオイ成分によってシグナルが充分に安定した状態が用いられる。しかし上記のようなシグナルの範囲を用いることで、ニオイ成分によってガスセンサにおける応答速度が異なる情報も集約することができる。
【0055】
以下、実例を基に、主に分析手段5、集約手段20および模擬鮮度指標ガス生成手段30の動作を具体的に説明する。なおこの実例に関する実験の詳細については後述する。
【0056】
この例では、養殖ブリのフィレー(以下、魚肉と記述)の
0日(0days)、
0℃・5日(0℃、5days)、
0℃・11日(0℃、11days)、
30℃・1日(30℃、1day)
の4種類の鮮度状態で魚肉が発するニオイを含むガスの成分と、各成分の濃度比と、を分析手段5の分析機器であるGC/MSで検出するものとする。表1に、このときGC/MSが検出したガスの成分と各成分の濃度比とを示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示されるように、この例では分析手段5は、アセトアルデヒド、ヘプタン、二硫化炭素、ジメチルスルフィド、プロパノール、オクタン、アセトン、ブタノール、2-ブタノン、3-メチルブタノール、エタノール、ジアセチル(2、3-ブタンジオン)、2-ペンタノン、デカン、2-メチル-2-プロペノン酸メチル、α-ピネン、1-プロパノール、(E、Z)3-エチリデンシクロヘキサン、ヘキサノール、1-ブタノール、1-ペンテン-3-オール、D-リモネン、イソアミルアルコール(3-メチル-1-ブタノール)、1-ペンタノール、アセトン(3-ヒドロキシ-2-ブタノン)、(Z)-2-1-オールの25種類の成分を検出している。
【0059】
表2に、集約手段20が集約した化合物の族と各族の濃度比とを示す。表2に示されるように、この例では集約手段20は、表1に列挙した成分を、アルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコール、飽和ケトン、不飽和ケトン、硫黄化合物、飽和エステル、不飽和エステル、飽和炭化水素、不飽和炭化水素の10種類の族に集約している。
【0060】
【表2】
【0061】
この例では、表2に列挙された族のうち、0日、0℃・5日、0℃・11日、30℃・1日のいずれの場合においても、アルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコールおよび飽和ケトンの4つの濃度比の合計が70%以上となっている。従って、模擬鮮度指標ガス生成手段30は、アルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコールおよび飽和ケトンの4つを、主要な族として選択する。
【0062】
次に模擬鮮度指標ガス生成手段30は、選択した4つの主要な族、すなわちアルデヒド、飽和アルコール、不飽和アルコールおよび飽和ケトンの各族を構成する成分の中から、1つ以上の代表的成分を抽出する。表3は、模擬鮮度指標ガス生成手段30が抽出した代表的成分を示す。表3に示されるように、模擬鮮度指標ガス生成手段30は、アルデヒド族の代表的成分としてヘキサナール、飽和アルコール族の代表的成分として1-ペンタノール、不飽和アルコール族の代表的成分としてcis-2-ペンテン-1-オール、飽和ケトン族の代表的成分としてアセトンを抽出している。
【0063】
【表3】
【0064】
最後に模擬鮮度指標ガス生成手段30は、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する。この例では、模擬鮮度指標ガス生成手段30は、0日、0℃・5日、0℃・11日、30℃・1日のそれぞれ場合の模擬鮮度指標ガスを、表3に示す濃度比で混合することにより生成する。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態によれば、模擬鮮度指標ガスに対してセンサが出力するシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行うことにより、魚肉のニオイを用いて、当該魚肉の鮮度を評価することができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、図1の魚肉鮮度評価装置100である。魚肉鮮度評価装置100は、センサ10と、模擬鮮度指標ガスに対してセンサ10から得られるシグナルと、魚肉の鮮度と、を学習データおよびテストデータとして機械学習を行う学習部40と、を備える。模擬鮮度指標ガスは、分析機器を用いて魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップと、検出した成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップと、複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を主要な族として選択し、選択した各族を構成する成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成するステップと、を含む方法により生成される。
【0067】
[第3の実施の形態]
図2に、第3の実施の形態に係る魚肉鮮度評価方法の処理フローを示す。この方法は、機械学習を実行するステップS40を含む。この方法のステップS40の前段階として、ステップS10と、ステップS20と、ステップS30と、が実行される。
【0068】
ステップS10では、分析機器、好適にはGC/MSを用いて、魚肉が発するニオイを含むガスの成分と、各成分の濃度比と、を検出する。
【0069】
ステップS20では、ステップS10で検出された成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約する。
【0070】
ステップS30では、ステップS20で集約された複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を選択し、選択した各族に含まれる成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する。
【0071】
ステップS40で本方法は、ステップS30で生成された模擬鮮度指標ガスに対してセンサが出力するシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行う。
【0072】
本実施の形態によれば、魚肉のニオイを用いて、当該魚肉の鮮度を評価する方法を提供することができる。
【0073】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、魚肉鮮度評価方法をコンピュータに実行させるための魚肉鮮度評価プログラムである。このプログラムは、機械学習を実行するステップS40を含む。このプログラムのステップS40の前段階として、ステップS10と、ステップS20と、ステップS30と、が実行される。
【0074】
ステップS10では、分析機器、好適にはGC/MSを用いて、魚肉が発するニオイを含むガスの成分と、各成分の濃度比と、を検出する。
【0075】
ステップS20では、ステップS10で検出された成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約する。
【0076】
ステップS30では、ステップS20で集約された複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を選択し、選択した各族に含まれる成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する。
【0077】
ステップS40で本プログラムは、ステップS30で生成された模擬鮮度指標ガスに対してセンサが出力するシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行う。
【0078】
本実施の形態によれば、魚肉のニオイを用いて、当該魚肉の鮮度を評価する処理を実行するプログラムをソフトウェアに実装することができる。
【0079】
[第5の実施の形態]
第5実施の形態は、魚肉鮮度評価方法をコンピュータに実行させる魚肉鮮度評価プログラムを記録した記録媒体である。この記録媒体に記録されたプログラムは、機械学習を実行するステップS40を含む。このプログラムのステップS40の前段階として、ステップS10と、ステップS20と、ステップS30と、が実行される。
【0080】
ステップS10では、分析機器、好適にはGC/MSを用いて、魚肉が発するニオイを含むガスの成分と、各成分の濃度比と、を検出する。
【0081】
ステップS20では、ステップS10で検出された成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約する。
【0082】
ステップS30では、ステップS20で集約された複数の族の中から濃度比の合計が所定の値以上となる2つ以上の族を選択し、選択した各族に含まれる成分の中から1つ以上の代表的成分を抽出し、抽出した各代表的成分を元の族の濃度比で混合したガスを模擬鮮度指標ガスとして生成する。
【0083】
ステップS40で本記録媒体に記録されたプログラムは、ステップS30で生成された模擬鮮度指標ガスに対してセンサが出力するシグナルと魚肉の鮮度とを学習データおよびテストデータとして機械学習を行う。
【0084】
本実施の形態によれば、魚肉のニオイを用いて、当該魚肉の鮮度を評価する処理を実行するプログラムを実装したソフトウェアを記録媒体に記録することができる。
【0085】
[検証実験]
本技術による効果を検証するために、本発明者らは以下の8つの実験を行った。
【0086】
[実験1]
先ず、水揚げ2日目の新鮮な養殖ブリのフィレー(以下、「魚肉」という)を10Lのフレックスサンプラーフィルムによるガスバッグに入れ、空気10Lと水0.1mLを封入した。これを20℃(室温)で2時間保管してガスバッグ中の空気に魚肉のニオイを充満させた後、ガスバッグから魚肉のニオイを採取した。吸着剤が封入された吸着管(以下、TD管」という)をガスバッグのガス採取口に接続し、吸引ポンプで毎分200mLの吸引速度で5分間、計1LをTD管を通じて吸引し、ニオイ成分をTD管に捕集させた。その後、魚肉をバンジュウに入れ、乾燥しないようにラップをして0℃で保管した。以下、この試料、計測データ、計測データから作製した模擬ガス等を「0日」または「0days」と表記する。
【0087】
5日後、同じ手順で魚肉のニオイを捕集し、その後同じ手順で保管した。以下、この試料、計測データ、計測データから作製した模擬ガス等を「0℃・5日」または「0℃、5days」と表記する。
【0088】
11日後、同じ手順で魚肉のニオイを捕集した。以下、この試料、計測データ、計測データから作製した模擬ガス等を「0℃・11日」または「0℃、11days」と表記する。
【0089】
上記とは別に、魚肉をバンジュウに入れ、乾燥しないようにラップをして30℃で保管した。1日後、同じ手順で魚肉のニオイを捕集した。以下、この試料、計測データ、計測データから作製した模擬ガス等を「30℃・1日」または「30℃、1day」と表記する。
【0090】
魚肉のニオイを捕集したTD管は、GC/MSでニオイを脱離させて分析した。濃度は検出された各成分のピーク面積から算出した。すべての成分に対して、同じ成分の濃度が既知の校正ガスをあらかじめ用意し、これを計測して得られたピーク面積から魚肉のニオイに含まれる各成分の濃度を算出するのが理想的である。しかし、魚肉のニオイに含まれる数10件もの成分に対してすべて行うのは物理的に不可能である。そこで、魚肉のニオイの主要な成分であるヘキサノールおよび1-ペンテン-3-オール対して校正ガスを作製し、これを基準にした換算濃度とした。
【0091】
表1に、GC/MSによる分析結果を示す。27種類の成分が検出された。表2に、これらの成分が持つ官能基で族別に分類して集計したものを示す。これらの族のうち、「アルデヒド」「飽和アルコール」「不飽和アルコール」「飽和ケトン」が主要な族である。これらの主要な族の濃度の合計が占める割合は、「0日」「0℃・5日」「0℃・11日」「30℃・1日」のいずれに場合においても70%以上である。
【0092】
「アルデヒド」はヘキサナール、「飽和アルコール」は1-ペンタノール、「不飽和アルコール」はcis-2-ペンテン-1-オール、「飽和ケトン」はアセトンを、それぞれ代表的成分として、表3に示す混合ガスを生成しガスバッグに充填した。これらを模擬鮮度指標ガスとした。ベースガスは、60%の相対湿度を含む合成空気(以下、単に「合成空気」という)である。模擬鮮度指標ガスは、パーミエーターを用いて各成分の溶媒をガス化しすることにより生成した。上記4種の族の代表的成分の成分比、「0日」「0℃・5日」「0℃・11日」「30℃・1日」間の合計濃度比は、パーミエーターで製造可能な濃度を踏まえてGC/MSの結果に極力近づけるようにした。一般に魚肉のニオイの違いは、成分比および合計濃度比に左右される。合計濃度そのものは計測方法に左右されるため、濃度値を合わせるのではなく、成分比と合計濃度比を合わせるようにした。
【0093】
ガスセンサ群には、櫛形電極付きのアルミナ基板に半導体微粒子から成る厚膜を作製したセンサ素子を用いた。センサ素子は8個あり、半導体微粒子から成る厚膜は、ZnO、10%ZrをドープしたCeO(以下、「CeZr10」という)、CeZr10にAlを積層し更に3wt%Ptを添加したCeZr10を積層したもの(以下、「CeZr10+M」という)、Pt,Pd,Auを各1wt%添加したZnO(以下、「ZnO+M」という)、Pt,Pd,Auを各1wt%添加したSnO(以下、「SnO+M」という、2個使用)、LaFeO(以下。「LaFeO」という)、Pt,Pd,Auを各1wt%添加したLaFeO(以下、「LaFeO+M」という)である。
【0094】
図3は、「0日」「0℃・5日」「0℃・11日」「30℃・1日」の模擬鮮度指標ガスに暴露させた1回分の計測結果の一例であり、各センサ素子の抵抗値の変化を示したものである。各センサ素子の抵抗値は5秒毎に取得した。模擬鮮度指標ガスに20分暴露し、一旦合成空気に切り替えた後、次の模擬鮮度指標ガスに20分暴露、という手順で計測した。p型半導体に相当するLaFeO、LaFeO+Mは、模擬鮮度指標ガス暴露により抵抗値が上昇した。それ以外のn型半導体(バルク応答型も含む)に相当するセンサ素子は、模擬鮮度指標ガス暴露により抵抗値が減少した。
【0095】
本実験では、図3に示すデータを機械学習の訓練データとした。さらに、同様の測定を5回行い、機械学習のこれらをテストデータとした。テストデータの5回のうち、4回は表3に示される濃度の模擬鮮度指標ガス(テストデータ1~4)で行い、1回は表3の1/2の濃度に相当する模擬鮮度指標ガスで行った(テストデータ5)。
【0096】
図4に、8個のセンサのうち1個のセンサの抵抗変化のみを示し、かつ、模擬鮮度指標ガスに暴露させた20分の区間の1つを拡大した模式図を示す。本実験では、模擬鮮度指標ガスに暴露させた20分とその直後に合成空気に暴露させた30分を対象とし、前後1分を除いた48分間のデータを用いた。模擬鮮度指標ガスに暴露させた直後の合成空気暴露中の区間も対象のデータとしたのは、対象のガス成分が供給されなくなった後にセンサ抵抗値が復元する過程がガス種によって異なることが知られており、この区間の情報も判定に用いるためである。前述の通り、各センサ素子の抵抗値は5秒毎に取得しているため1分当たり12点である。センサ1個の48分間の抵抗値データ点数は48×12=576点だが、8個のセンサを用いたので、576×8の2次元データとみなすことができる。本実験では、機械学習に畳み込みニューラルネットワーク(以下、「CNN」という)を用いた。一定量の学習データ数が必要になるため、576×8の2次元データから1分おきにデータをピックアップすることを繰り返して、48×8の二次元データとして12個に分割した。この12個のデータには、いずれも、模擬鮮度指標ガスに暴露させたところから合成空気に暴露させて抵抗値が変動する区間の48分間のデータが含まれていることになる。
【0097】
図3の通り、1回分の測定で模擬鮮度指標ガスは4種類あるため、48×8の2次元データは12×4=48個となる。よって、訓練データに用いるデータは48個である。訓練データは、センサ毎に、模擬鮮度指標ガス導入前の抵抗値をRa(図4参照)、各抵抗値をRgとしたとき、S=Ra/Rgで表すことのできる応答値Sに変換する前処理を行った。
【0098】
学習データからCNNによる分類器を作成した。入力層は48×8の2次元データとし、畳み込み層とプーリング層を2回繰り返し、全結合層2層を経て出力層とした。出力層は「0日」「0℃・5日」「0℃・11日」「30℃・1日」を分類する。
【0099】
図5に、この分類器を示す。この分類器の特徴は、以下の通りである。
・入力層(Input layer)から畳み込み層(Convolutional layer)1への変換は、フィルターを3×3の32種とし、ストライド(1,1)、パディングなし、活性化関数ReLUとした。
・畳み込み層1からプーリング層(Pooling layer)1への変換は、フィルターを2×2とし、ストライド(1,1)、パディングなしとした。
・プーリング層1から畳み込み層2への変換は、フィルターを2×2の64種とし、ストライド(1,1)、パディングなし、活性化関数ReLUとした。
・畳み込み層2からプーリング層2への変換は、フィルターを2×2とし、ストライド(1,1)、パディングなしとした。
・プーリング層2から全結合層1への変換は、11×1×64のテンソルを704のノードを持つベクトルに並び替えた。
・全結合層(Fully connected layer)1から全結合層2への変換は、活性化関数ReLUとして64のノードに変換した。
・全結合層2から出力層(Output layer)への変換は、活性化関数とした4のノードに変換した。4個のノードはそれぞれ「0日」「0℃・5日」「0℃・11日」「30℃・1日」に相当する。4個のノードは、合計が1となる最も大きい値に分類される。
【0100】
テストデータも訓練データと同様に、測定1回当たり48×8の2次元データ48個に変換し、さらに同様の前処理を行った。5回測定を行ったので、テストデータは240個となる。学習させたCNNの分類器の入力層にテストデータを入力し、出力層から出力された結果が正しいかどうか評価した。
【0101】
表4に、テストデータの判定結果を混同行列で示す。混同行列では、正解ラベルと予測ラベルが一致するものが正解である。すなわち、表の左上から右下の対角線上の数値の合計が正解数である。
【0102】
【表4】
【0103】
表4はテストデータ1~5をすべてまとめて表記したものであるが、テストデータ1~4はすべて正解しており、不正解であったのは1/2の濃度に相当する模擬ガスで行ったテストデータ5のうち、「30℃、1日」のガスに対してのみであった。全テストデータの正答率は229/240=0.954で、高い正答率を示した。テストデータ1~4の模擬鮮度指標ガスは、訓練データの模擬鮮度指標ガスと同じ濃度で生成している。従って、訓練データと同一条件で計測させすれば正しく判定できることが示された。
【0104】
実験1は、以下の実験2の人工ニューラルネットワーク(以下、「ANN」という)と比べ、正答率が非常に高い。ANNでは模擬鮮度指標ガスに暴露中のセンサ抵抗値しか使っていないのに対し、本実施例では模擬鮮度指標ガスに暴露中だけでなく暴露後のセンサ抵抗値を使っている。このように、暴露後のセンサ抵抗値変化の時間軸もデータに含めることで、精度が飛躍的に向上したことが示唆される。
【0105】
[実験2]
実験2では、実験1と同じ訓練データとテストデータを用いた。ただし機械学習に、CNNではなく、ANNを用いた点が実験1と異なる。
【0106】
図6に、8個のセンサのうち1つのセンサの抵抗変化のみを示し、かつ、模擬鮮度指標ガスに暴露させた20分の区間の1つを拡大した模式図を示す。実験2では、模擬鮮度指標ガスに暴露させた20分の後半1分間のデータを用いた。前述の通り、各センサ素子の抵抗値は5秒毎に取得しているため、センサ1個の1分間の抵抗値データ点数は12点である。8個のセンサを用いたので、12×8の2次元データとなるが、これを12分割するため、擬鮮度指標ガス暴露1回当たり各センサ1点計8点のデータ12個となる。模擬鮮度指標ガスは4種類あるため、訓練データは48個となる。この訓練データは、センサ毎に、模擬鮮度指標ガス導入前の抵抗値をRa、各抵抗値をRgとしたとき、S=Ra/Rgで表すことのできる応答値Sに変換する前処理を行った。
【0107】
学習データからANNによる分類器を作成した。図7に、この分類器を示す。図7に示される通り、入力層のノードは8、中間層は2層で各層ノードは64で活性化関数はReLU、出力層はノード4とした。出力層は「0日」「0℃・5日」「0℃・11日」「30℃・1日」を分類する。
【0108】
テストデータも訓練データと同様に、測定1回当たり48個に変換し、さらに同様の前処理を行った。その後、学習させたANNの分類器の入力層にテストデータを入力し、出力層から出力された結果が正しいかどうか評価した。
【0109】
表5に、テストデータの判定結果を混同行列で示す。全テストデータの正答率は144/240=0.600であり、実施例1のCNNを用いたときより誤判定が目立つ結果となった。
【0110】
【表5】
【0111】
[実験3]
実験3では、訓練データについて、センサ毎に、模擬鮮度指標ガス導入前の抵抗値をRa、各抵抗値をRgとしたとき、S=Ra/Rgで表すことのできる応答値Sに変換した後、標準化を行う前処理を行った。また、テストデータも同様の前処理を行った。それ以外の条件は実験1と同じである。
【0112】
表6に、テストデータの判定結果を混同行列で示す。実験1と同じく、テストデータ1~4に由来するはすべて正解し、不正解であったのは、1/2の濃度に相当する模擬ガスで行ったテストデータ5のうち、「30℃、1日」のガスに対してのみであった。全テストデータの正答率は228/240=0.950で高い正答率を示した。
【0113】
【表6】
【0114】
[実験4]
実験4では、訓練データについて、センサ毎に、模擬鮮度指標ガス導入前の抵抗値をRa、各抵抗値をRgとしたとき、S=Ra/Rgで表すことのできる応答値Sに変換した後、標準化を行う前処理を行った。また、テストデータも同様の前処理を行った。それ以外の条件は実験2と同じである。
【0115】
表7に、テストデータの判定結果を混同行列で示す。全テストデータの正答率は112/240=0.467であり、実験2と同じく、実験1および3のCNNを用いたときより誤判定が目立つ結果となった。
【0116】
【表7】
【0117】
[実験5]
実験5では、実験1と同様にCNNを用いた。
【0118】
図3に示した実験1のデータと同様の測定5回を合わせて6回分のデータと、さらに、表3に示す混合ガス成分のうち1-ペンタノールを1-ブタノールに置き換えて生成した混合ガスによって、同様の測定を2回行ったデータを合わせ、合計8回分の測定データを用いた。
【0119】
実験5では、後者の測定データ2回のうち1回分をテストデータに、その他の7回分のデータを訓練データとして、テストデータの判定を行った。実施例1で示した通り、1回分の測定で48×8の2次元データ48個に相当するため、訓練データ336個、テストデータ48個になる。さらに、後者の測定データを入れ替えてもう一方をテストデータに、その他の7回分のデータを訓練データにして、同じくテストデータの判定を行った。同じく、訓練データ336個、テストデータ48個になる。よって、1-ペンタノールを1-ブタノールに置き換えて生成した混合ガスに対する計測結果からの96個のテストデータの判定を行った。
【0120】
表8に、テストデータの判定結果を混同行列で示す。これは、1-ペンタノールを1-ブタノールに置き換えて生成した混合ガスに対する計測結果をテストデータにして解析したものであるが、全て正解した。
【表8】
【0121】
[実験6]
実験6では、実験2のANNを用い、実験5と同じ測定データを用いた。
【0122】
即ち、図3に示した実験1のデータと同様の測定5回を合わせて6回分のデータと、さらに、表3に示す混合ガス成分のうち1-ペンタノールを1-ブタノールに置き換えて生成した混合ガスによって、同様の測定を2回行ったデータを合わせ、合計8回分の測定データを用いた。
【0123】
実験6では、実験5と同様に、後者の測定データ2回のうち1回分をテストデータに、その他の7回分のデータを訓練データとして、テストデータの判定を行った。実験2で示した通り、1回分の測定で8個のセンサからの8点のデータ12個に相当するため、訓練データ336個、テストデータ48個になる。さらに、後者の測定データを入れ替えてもう一方をテストデータに、その他の7回分のデータを訓練データにして、同じくテストデータの判定を行った。同じく、訓練データ336個、テストデータ48個になる。よって、1-ペンタノールを1-ブタノールに置き換えて生成した混合ガスに対する計測結果からの96個のテストデータの判定を行った。
【0124】
表9に、テストデータの判定結果を混同行列でまとめた。全テストデータの正答率は71/96=0.740であり、CNNを用いた実験5より判定精度が低い結果となった。
【0125】
【表9】
【0126】
[実験7]
実験7では、訓練データについて、センサ毎に、模擬鮮度指標ガス導入前の抵抗値をRa、各抵抗値をRgとしたとき、S=Ra/Rgで表すことのできる応答値Sに変換した後、標準化を行う前処理を行った。また、テストデータも同様の前処理を行った。それ以外の条件は実験5と同じである。
【0127】
表10に、テストデータの判定結果を混同行列で示す。実験5と同じく、1-ペンタノールを1-ブタノールに置き換えて生成した混合ガスに対する計測結果をテストデータにして解析したものであるが、全て正解した。
【0128】
【表10】
【0129】
[実験8]
実験8では、訓練データについて、センサ毎に、模擬鮮度指標ガス導入前の抵抗値をRa、各抵抗値をRgとしたとき、S=Ra/Rgで表すことのできる応答値Sに変換した後、標準化を行う前処理を行った。また、テストデータも同様の前処理を行った。それ以外の条件は実験6と同じである。
【0130】
表11に、テストデータの判定結果を混同行列で示す。全テストデータの正答率は84/96=0.875であり、CNNを用いた実験7より判定精度が低い結果となった。
【0131】
【表11】
【0132】
以上、本発明の実施例を基に説明した。これらの実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、漁業、魚肉を用いた食品製造・加工の分野の他、ニオイの識別にニーズのある分野、例えば、呼気計測による疾患スクリーニング、ニオイ計測による食品の鮮度評価、室内空気質評価、などに利用可能である。
【符号の説明】
【0134】
5・・分析手段、
10・・センサ、
20・・集約手段、
30・・模擬鮮度指標ガス生成手段、
40・・学習部、
100・・魚肉鮮度評価装置、
200・・魚肉鮮度評価システム、
S10・・魚肉が発するニオイを含むガスの成分と各成分の濃度比とを検出するステップ、
S20・・検出された成分を、共通の官能基を持つ複数の族に集約するステップ、
S30・・模擬鮮度指標ガスを生成するステップ、
S40・・機械学習を実行するステップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7