(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140058
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】リードフレーム及びその製造方法、半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01L23/50 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051045
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】曽根原 袈裟幸
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067AA03
5F067AA09
5F067AB03
5F067BA02
5F067BE02
5F067CA07
5F067DA11
5F067DA16
(57)【要約】
【課題】ダイパッドの外縁に接続する屈曲部を有するリードフレームにおいて、ダイパッドの平坦性を向上する。
【解決手段】本リードフレームは、上面及び下面を備えたダイパッドと、下面視で、前記ダイパッドの外側に配置され、一端が前記ダイパッドの外縁に接続する屈曲部と、を有し、前記屈曲部には、前記ダイパッドの下面側に開口する溝が設けられ、前記屈曲部は、前記溝で前記ダイパッドの上面側に向かって屈曲している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面を備えたダイパッドと、
下面視で、前記ダイパッドの外側に配置され、一端が前記ダイパッドの外縁に接続する屈曲部と、を有し、
前記屈曲部には、前記ダイパッドの下面側に開口する溝が設けられ、
前記屈曲部は、前記溝で前記ダイパッドの上面側に向かって屈曲している、リードフレーム。
【請求項2】
前記屈曲部は、前記溝の前記ダイパッド側の端部で前記ダイパッドの上面側に向かって屈曲している、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項3】
下面視で、前記溝の前記ダイパッド側の端部は、前記屈曲部が接続する前記ダイパッドの辺上に位置する、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項4】
下面視で、前記溝の前記ダイパッド側の端部は、前記屈曲部が接続する前記ダイパッドの辺とは離隔した位置にある、請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項5】
前記屈曲部の下面において前記溝よりも前記ダイパッド側に位置する領域は、前記ダイパッドの下面と面一である、請求項4に記載のリードフレーム。
【請求項6】
下面視で、前記ダイパッドの辺において、前記屈曲部と接続する領域の両側に、前記ダイパッドの中央側に向かって窪む凹部が設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリードフレーム。
【請求項7】
複数の前記屈曲部を有し、
すべての前記屈曲部に前記溝が設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリードフレーム。
【請求項8】
上面及び下面を備えたダイパッドと、
下面視で、前記ダイパッドの外側に配置され、一端が前記ダイパッドの外縁に接続する屈曲部と、
前記ダイパッドの前記上面に実装された半導体チップと、
前記半導体チップを封止する樹脂部と、を有し、
前記屈曲部には、前記ダイパッドの下面側に開口する溝が設けられ、前記屈曲部は、前記溝で前記ダイパッドの上面側に向かって屈曲し、
前記ダイパッドの下面は、前記樹脂部から露出する、半導体装置。
【請求項9】
前記溝は、前記樹脂部に被覆される、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
金属板を加工して、枠部と、上面及び下面を備え、前記枠部の内側に配置されたダイパッドと、下面視で、前記ダイパッドの外側に配置され、一端が前記ダイパッドの外縁に接続する屈曲部と、を有するパターン状金属板を形成する工程と、
前記屈曲部に、前記ダイパッドの下面側に開口する溝を形成する工程と、
前記パターン状金属板を曲げ加工する工程と、を有し、
前記曲げ加工する工程では、前記屈曲部は、前記溝で前記ダイパッドの上面側に向かって屈曲するように曲げられる、リードフレームの製造方法。
【請求項11】
前記溝は、前記パターン状金属板を形成する工程で形成される、請求項10に記載のリードフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレーム及びその製造方法、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームに半導体チップを搭載し、樹脂で封止した半導体装置が知られている。このような半導体装置には、半導体チップを搭載するダイパッドの下面を樹脂から露出させて、半導体チップの動作時に生じる熱の放熱性を高める構造を備えたものがある。この半導体装置の組み立てに用いられるリードフレームは、樹脂で封止されたときにダイパッドの下面が樹脂から露出するように、ダイパッドが最下部に配置されるように曲げ加工される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ダイパッドとダイパッドの外縁に接続される部分とを曲げる際に、曲げに伴う応力によりダイパッドの平坦性が低下する場合がある。ダイパッドの平坦性が低下すると、例えば、リードフレームを樹脂で封止して半導体装置を作製する際に、樹脂がダイパッドの下面側に漏れ出すおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ダイパッドの外縁に接続する屈曲部を有するリードフレームにおいて、ダイパッドの平坦性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本リードフレームは、上面及び下面を備えたダイパッドと、下面視で、前記ダイパッドの外側に配置され、一端が前記ダイパッドの外縁に接続する屈曲部と、を有し、前記屈曲部には、前記ダイパッドの下面側に開口する溝が設けられ、前記屈曲部は、前記溝で前記ダイパッドの上面側に向かって屈曲している。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、ダイパッドの外縁に接続する屈曲部を有するリードフレームにおいて、ダイパッドの平坦性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るリードフレームの全体を例示する上面図である。
【
図2】第1実施形態に係るリードフレームの1つの個片化領域近傍を例示する上面図である。
【
図3】第1実施形態に係るリードフレームの1つの個片化領域近傍を例示する下面図である。
【
図4】
図2に示す個片化領域近傍を例示する断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るリードフレームの製造工程を例示する図である。
【
図7】
図6に示す個片化領域近傍を例示する断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置を例示する下面図である。
【
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。
【
図11】第1実施形態の変形例1に係るリードフレームを例示する部分下面図である。
【
図12】第1実施形態の変形例1に係る半導体装置を例示する下面図である。
【
図13】第1実施形態の変形例2に係る半導体装置を例示する図である。
【
図14】第1実施形態の変形例3に係る半導体装置を例示する下面図である。
【
図15】第1実施形態の変形例4に係る半導体装置を例示する下面図である。
【
図16】第1実施形態の変形例5に係る半導体装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
本開示に係るリードフレームは、枠部と、上面及び下面を備え、前枠部の内側に配置されたダイパッドと、下面視で、ダイパッドの外側に配置され、一端がダイパッドの外縁の一部に接続する屈曲部と、を有している。なお、屈曲部とは、下面視でダイパッドの外縁の一部に接続し、ダイパッドの上面側に向かって屈曲する部分を指す。例えば、後述の
図3の連結部12、
図13のサポートバー13、
図16の曲げ部17等は、屈曲部の一例である。以下、本開示に係るリードフレームの一例であるリードフレーム1について説明する。
【0011】
[リードフレームの構造]
図1は、第1実施形態に係るリードフレームの全体を例示する上面図である。
図1を参照すると、リードフレーム1は、個片化領域7と、枠部8とを有している。リードフレーム1の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金、42アロイ等を用いることができる。リードフレーム1の厚さは、例えば、124μm以上250μm以下とすることができる。
【0012】
個片化領域7は、破線で示す領域であり、最終的に切断されて枠部8と分離され、半導体装置の一部となる。なお、
図1では、個片化領域7を簡略化して矩形状に図示しているが、個片化領域7は矩形状である必要はなく、半導体装置の形状に合わせたより複雑な形状であってもよい。
【0013】
枠部8は、リードフレーム1の外縁部に額縁状に設けられた領域と、額縁状の領域の内側に直交して連結し、各個片化領域7の間に格子状に配置された領域とを含む。なお、
図1において、個片化領域7は2次元に配置されているが、1次元に配置されてもよい。
【0014】
図2は、第1実施形態に係るリードフレームの1つの個片化領域近傍を例示する上面図である。
図3は、第1実施形態に係るリードフレームの1つの個片化領域近傍を例示する下面図である。
【0015】
図2及び
図3に示すように、個片化領域7の中央部には矩形状のダイパッド10が配置されている。ダイパッド10は、上面10a及び下面10bを備えている。ダイパッド10の周囲には、所定間隔を空けて略矩形枠状のグラウンドリング11が配置されている。ダイパッド10とグラウンドリング11とは、所定間隔で配置された複数の連結部12により繋がっている。上面視及び下面視で、連結部12の一端はダイパッド10の外縁を構成する辺の一部に接続し、他端は、グラウンドリング11のダイパッド10側の辺と接続する。なお、上面視とは、ダイパッド10の上面10aの法線方向に沿ってダイパッド10側を視ることを指し、下面視とは、ダイパッド10の下面10bの法線方向に沿ってダイパッド10側を視ることを指す。
【0016】
グラウンドリング11の四隅には外側に向かってサポートバー13が延在している。サポートバー13は枠部8に繋がっている。このようにして、ダイパッド10及びグラウンドリング11は、連結部12及びサポートバー13によって枠部8に繋がって支持されている。
【0017】
グラウンドリング11の外側には、グラウンドリング11から分離した状態で、複数のインナーリード14が外側に延在して設けられている。複数のインナーリード14は、上面視で、例えば、グラウンドリング11の外側の辺と直交する方向に延びる。
【0018】
各インナーリード14はダムバー15に連結されている。ダムバー15にはインナーリード14に対応して繋がる複数のアウターリード16が外側に延在して設けられている。ダムバー15は、上面視で、例えば、グラウンドリング11の外側の辺と平行な方向に延びる。
【0019】
複数のインナーリード14及び複数のアウターリード16は、上面視で、例えば、グラウンドリング11の外側の辺と直交する方向に延びる。ダムバー15及びアウターリード16は、枠部8に繋がって支持されている。インナーリード14は、ダムバー15及びアウターリード16を介して、枠部8に支持されている。
【0020】
なお、グラウンドリング11とインナーリード14の上面及び側面は、ワイヤボンディング用の領域として用いられる場合がある。そのため、グラウンドリング11とインナーリード14の上面及び側面に、銀(Ag)、又はニッケル(Ni)/パラジウム(Pd)などのワイヤボンディング用の金属めっき層が部分的に形成されていてもよい。
【0021】
図4は、
図2に示す個片化領域近傍を例示する断面図であり、
図4(a)は
図2のA-A線に沿う断面を示し、
図4(b)は
図2のB-B線に沿う断面を示している。
【0022】
図4に示すように、ダイパッド10とグラウンドリング11とを連結する連結部12は、ダイパッド10及びグラウンドリング11との接続部で屈曲されて傾斜している。グラウンドリング11はダイパッド10より上側の位置に配置されている。また、グラウンドリング11と枠部8を連結するサポートバー13も屈曲されて傾斜している。インナーリード14、ダムバー15、及びアウターリード16は、グラウンドリング11よりも上側の位置に配置されている。
【0023】
図5は、
図3のR部の拡大図である。
図3~
図5に示すように、各々の連結部12には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝12xが設けられている。溝12xは、連結部12のダイパッド10と接続される側の端部に、下面視でダイパッド10の外縁を構成する各辺に沿って伸びるように設けられている。すなわち、下面視で、溝12xのダイパッド10側の端部は、連結部12が接続するダイパッド10の外縁を構成する辺上に位置する。溝12xは、下面視でダイパッド10の各辺に平行な方向において、連結部12の幅方向の全体に設けることが好ましい。なお、
図5では、便宜上、溝12xをドットパターンで示している。
【0024】
連結部12の下面の法線方向から視て、溝12xの短手方向の幅は、10μm以上リードフレーム1の厚さ以下とすることができる。溝12xの短手方向の幅は、例えば、20μmである。連結部12の下面を基準とする溝12xの最深部の深さは、5μm以上リードフレーム1の厚さの半分以下とすることができる。溝12xの最深部の深さは、例えば、10μmである。溝12xの断面形状は任意であるが、例えば、プレス加工により形成する場合はV字に近い形状となり、エッチングにより形成する場合はU字に近い形状となる。
【0025】
各々の連結部12は、例えば、溝12xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面10a側に向かって屈曲している。ダイパッド10の下面10bを基準とする連結部12の屈曲角度は、例えば、30度から60度程度とすることができる。連結部12に溝12xを設けることにより、ダイパッド10に対する連結部12の屈曲性を向上できる。これについて、以下に説明する。なお、屈曲性を向上する観点から、リードフレーム1が複数の連結部12を有する場合には、すべての連結部12に溝12xが設けられていることが好ましい。
【0026】
一般に、曲げ加工の際に、内曲げ側は圧縮され、外曲げ側は引張り応力が生じる。そのため、曲げ加工部の外曲げ側は、引張り応力によってR形状となり、かつダレ込み(へこみ)易い。例えば、ダイパッドにダレ込みが生じると、リードフレームを樹脂で封止して半導体装置を作製する際に、樹脂がダイパッドの下面側に漏れ出し、半導体装置は外観不良等となる。また、ダイパッドの下面の樹脂から露出する面積が減るため、半導体装置の放熱性が低下する。
【0027】
例えば、リードフレーム1のダイパッド10と連結部12との屈曲部分において、何の対策もしない場合、このような問題が発生しやすい。そこで、リードフレーム1では、連結部12に溝12xを設けることにより、このような問題が生じるおそれを低減している。
【0028】
すなわち、リードフレーム1では、曲げ加工時に連結部12の外曲げ側となる部分に、予め溝12xを設けている。これにより、曲げ加工時に連結部12に生じる引張り応力に対して、溝12xが起点となり、連結部12は、溝12xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の下面10bに対して鋭く屈曲する。その結果、連結部12の外曲げ側は、R形状になり難い。また、ダレ込みも生じ難い。よって、ダイパッド10の下面10bは、連結部12側の端部を含めた全体の平坦性を維持できる。ダイパッド10の下面10bの平坦性が向上したことにより、リードフレーム1を樹脂で封止して半導体装置を作製する際に、樹脂がダイパッド10の下面10b側に漏れ出すおそれを低減できる。
【0029】
図5に示すように、下面視で、ダイパッド10の外縁を構成する辺において、連結部12と接続する領域の両側に、ダイパッド10の中央側に向かって窪む凹部10xが設けられてもよい。凹部10xが設けられることにより、曲げ加工を容易に行うことができる。凹部10xは、例えば、曲げ加工に使用する金型の逃げとして使用することができる。
【0030】
なお、連結部12とグラウンドリング11との間も曲げられるため、連結部12のグラウンドリング11側の端部にも、ダイパッド10の下面側に開口する溝が設けられてよい。その際に、グラウンドリング11に凹部10xに相当する窪みが設けられてもよい。
【0031】
[リードフレームの製造方法]
次に、第1実施形態に係るリードフレームの製造方法について説明する。
図6は、第1実施形態に係るリードフレームの製造工程を例示する図であり、リードフレームの1つの個片化領域近傍を例示する上面図である。
図7は、
図6に示す個片化領域近傍を例示する断面図であり、
図7(a)は
図6のA-A線に沿う断面を示し、
図7(b)は
図6のB-B線に沿う断面を示している。なお、
図6のA-A線及びB-B線の位置は、
図4のA-A線及びB-B線の位置に対応している。
【0032】
図6及び
図7に示す工程では、金属板を加工してパターン状金属板1Pを形成する。
図6及び
図7では、加工された後のパターン状金属板1Pを示している。具体的には、まず、所定形状の金属板を準備する。金属板の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金、42アロイ等を用いることができる。金属板の厚さは、例えば、124μm以上250μm以下とすることができる。そして、金属板にプレス加工を施すことにより、パターン状金属板1Pを形成する。あるいは、金属板をエッチングすることにより、パターン状金属板1Pを形成してもよい。
【0033】
図6及び
図7に示すパターン状金属板1Pは、枠部8、上面10a及び下面10bを備え枠部8の内側に配置されたダイパッド10、下面視でダイパッド10の外側に配置され一端がダイパッド10の外縁の一部に接続する連結部12、等を有する。詳細には、パターン状金属板1Pにおいて、中央部には矩形状のダイパッド10が配置され、ダイパッド10の周囲に所定間隔を空けて略矩形枠状のグラウンドリング11が配置されている。ダイパッド10とグラウンドリング11とは、所定間隔で配置された複数の連結部12により繋がっている。グラウンドリング11の四隅には外側に向かってサポートバー13が延在しており、サポートバー13は枠部8に繋がっている。さらに、グラウンドリング11の外側には、グラウンドリング11から分離した状態で複数のインナーリード14が外側に延在して設けられている。各インナーリード14はダムバー15に連結されており、ダムバー15にはインナーリード14に対応して繋がる複数のアウターリード16が外側に延在して設けられている。ダムバー15は枠部8に繋がって支持されており、アウターリード16は枠部8に繋がって支持されている。
【0034】
各々の連結部12には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝12xが設けられている。溝12xは、パターン状金属板1Pを形成するプレス加工やエッチングにより、他の部分と同時に形成することができる。なお、溝12xを有していないパターン状金属板1Pを形成した後、曲げ加工する前までに、別の工程でプレス加工やエッチング加工を施し、パターン状金属板1Pに溝12xを形成してもよい。
【0035】
図6及び
図7に示す工程の後、パターン状金属板1Pを曲げ加工する。すなわち、パターン状金属板1Pが
図4に示す段形状になるように、ダイパッド10とグラウンドリング11とを連結する連結部12を屈曲させ、さらにグラウンドリング11と枠部8とを連結するサポートバー13を屈曲させる。なお、連結部12とサポートバー13を一回の曲げ加工で同時に屈曲させることも可能である。この工程では、連結部12は、例えば、溝12xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面側に向かって屈曲するように曲げられる。
【0036】
[半導体装置]
図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図8(a)は
図4(a)に対応する断面を示し、
図8(b)は
図4(b)に対応する断面を示している。
図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する下面図である。
【0037】
図8及び
図9に示すように、半導体装置3は、ダイパッド10と、グラウンドリング11と、連結部12と、インナーリード14と、アウターリード16と、半導体チップ31と、金属線32と、樹脂部33とを有している。なお、
図9では、便宜上、樹脂部33をドットパターンで示している。
【0038】
金属線32は、例えば、ワイヤボンディングに用いる金線や銅線等である。樹脂部33は、例えば、モールド樹脂である。モールド樹脂とは、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法等に使用可能な非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂である。モールド樹脂は、例えば、非感光性で熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂であり、フィラーを含有する。
【0039】
半導体装置3は、第1実施形態に係るリードフレームを用いて作製されている。すなわち、半導体装置3において、ダイパッド10、グラウンドリング11、連結部12、インナーリード14、及びアウターリード16は、リードフレーム1の1つの個片化領域7から作製されたものである。
【0040】
半導体チップ31は、ダイパッド10の上面10aに実装されている。樹脂部33は、半導体チップ31、金属線32、グラウンドリング11及びインナーリード14を封止している。アウターリード16は、樹脂部33から露出している。また、ダイパッド10の下面10bは、樹脂部33から露出している。溝12xは、樹脂部33に被覆されている。
【0041】
半導体装置3を製造するには、
図10(a)に示すように、まず、リードフレーム1を用意する。次いで、接続電極を上側にして、半導体チップ31を接着剤によってダイパッド10の上面10aに固着する。その後に、
図10(b)に示すように、半導体チップ31の接続電極とグラウンドリング11及びインナーリード14とを金属線32によってそれぞれ接続する。
【0042】
次に、
図10(c)に示すように、半導体チップ31、金属線32、グラウンドリング11及びインナーリード14を封止する樹脂部33を形成する。このとき、ダイパッド10の下面10b及びアウターリード16が露出するように樹脂部33が形成される。
【0043】
さらに、リードフレーム1から枠部8を切り離すと共に、ダムバー15を切断することにより、複数の分離されたインナーリード14及びアウターリード16を得る。その後に、
図10(d)に示すように、樹脂部33から露出するアウターリード16を下側に曲げ加工することにより、アウターリード16の先端部を外部接続端子とする。
【0044】
半導体装置3では、ダイパッド10の下面10bが樹脂部33から露出しているため、放熱性を向上することができる。
【0045】
また、半導体装置3のダイパッド10は、リードフレーム1の1つの個片化領域7から形成されたものであるから、前述のようにダイパッド10の下面10bの平坦性が良好である。これにより、半導体チップ31等を樹脂部33で封止する際に、樹脂部33がダイパッド10の下面10b側に漏れ出すおそれが低い。
【0046】
〈第1実施形態の変形例〉
第1実施形態の変形例では、リードフレームの形状が異なる半導体装置の例を示す。なお、第1実施形態の変形例において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0047】
図11は、第1実施形態の変形例1に係るリードフレームを例示する部分下面図であり、
図5に対応する部分を示している。
図11に示すリードフレーム1Aでは、溝12xの位置が
図5に示すリードフレーム1と異なる。なお、
図11では、便宜上、溝12xをドットパターンで示している。
【0048】
リードフレーム1Aでは、下面視で、溝12xのダイパッド10側の端部は、連結部12が接続するダイパッド10の外縁を構成する辺とは離隔した位置にある。すなわち、溝12xのダイパッド10側の端部は、ダイパッド10の外縁を構成する辺とは接していなく、
図5に示す溝12xの位置よりもグラウンドリング11に近い側にある。
【0049】
このように、溝12xは、曲げ加工を行う位置に合わせて配置することができる。リードフレーム1Aの場合も、連結部12は、例えば、溝12xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面側に向かって屈曲している。そのため、連結部12の下面において溝12xよりもダイパッド10側に位置する領域12bは、ダイパッド10の下面10bと面一である。
【0050】
図12は、第1実施形態の変形例1に係る半導体装置を例示する下面図である。半導体装置3Aは、第1実施形態の変形例1に係るリードフレーム1Aを用いて作製されている。半導体装置3Aでは、ダイパッド10の下面10bに加え、連結部12の下面の領域12bも樹脂部33から露出している。そのため、放熱性をより向上することができる。なお、
図12では、便宜上、樹脂部33をドットパターンで示している。
【0051】
図13は、第1実施形態の変形例2に係る半導体装置を例示する図であり、
図13(a)は下面図、
図13(b)は
図13(a)のC-C線に沿う断面図である。なお、
図13(a)では、便宜上、樹脂部33を透視してリードフレームの形状が視認できるように図示しているが、半導体装置3Bの下面において、樹脂部33から露出するのはダイパッド10の下面10bのみである。
【0052】
図13に示す半導体装置3Bでは、ダイパッド10の四隅にサポートバー13が接続されている。各々のサポートバー13には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝13xが設けられている。サポートバー13は、例えば、溝13xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面10a側に向かって屈曲している。溝13xは、樹脂部33に被覆されている。
【0053】
図13のような構造の場合も、ダイパッド10の下面10b側の平坦性が向上したことにより、樹脂部33がダイパッド10の下面10b側に漏れ出すおそれを低減できる。
【0054】
図14は、第1実施形態の変形例3に係る半導体装置を例示する下面図である。なお、
図14では、便宜上、樹脂部33を透視してリードフレームの形状が視認できるように図示しているが、半導体装置3Cの下面において、樹脂部33から露出するのはダイパッド10の下面10bのみである。また、
図14のD-D線に沿う断面は、
図8(b)と同様の構造になるため、図示を省略する。
【0055】
図14に示す半導体装置3Cでは、下面視で、ダイパッド10は長方形状である。下面視で、ダイパッド10の各長辺の外側には、所定間隔を空けて略矩形状のグラウンドバー11pが配置されている。ダイパッド10とグラウンドバー11pとは、所定間隔で配置された複数の連結部12により繋がっている。下面視で、連結部12の一端はダイパッド10の外縁を構成する長辺の一部に接続し、他端は、グラウンドバー11pのダイパッド10側の辺と接続する。グラウンドバー11pの両端の角部近傍には外側に向かってサポートバー13が延在している。
【0056】
各々の連結部12には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝12xが設けられている。連結部12は、例えば、溝12xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面10a側に向かって屈曲している。溝12xは、樹脂部33に被覆されている。
【0057】
図14のような構造の場合も、ダイパッド10の下面10b側の平坦性が向上したことにより、樹脂部33がダイパッド10の下面10b側に漏れ出すおそれを低減できる。
【0058】
図15は、第1実施形態の変形例4に係る半導体装置を例示する下面図である。なお、
図15では、便宜上、樹脂部33を透視してリードフレームの形状が視認できるように図示しているが、半導体装置3Dの下面において、樹脂部33から露出するのはダイパッド10の下面10bのみである。また、
図15のE-E線に沿う断面は、
図8(b)と同様の構造になるため、図示を省略する。また、
図15のF-F線に沿う断面は、
図13(b)と同様の構造になるため、図示を省略する。
【0059】
図15に示す半導体装置3Dでは、下面視で、ダイパッド10の外縁を構成する各辺の外側には、所定間隔を空けて略矩形状のグラウンドバー11pが配置されている。ダイパッド10とグラウンドバー11pとは、所定間隔で配置された複数の連結部12により繋がっている。下面視で、連結部12の一端はダイパッド10の外縁を構成する各辺の一部に接続し、他端は、グラウンドバー11pのダイパッド10側の辺と接続する。
【0060】
各々の連結部12には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝12xが設けられている。連結部12は、例えば、溝12xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面10a側に向かって屈曲している。溝12xは、樹脂部33に被覆されている。
【0061】
ダイパッド10の四隅にサポートバー13が接続されている。各々のサポートバー13には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝13xが設けられている。サポートバー13は、例えば、溝13xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面10a側に向かって屈曲している。溝13xは、樹脂部33に被覆されている。
【0062】
図15のような構造の場合も、ダイパッド10の下面10b側の平坦性が向上したことにより、樹脂部33がダイパッド10の下面10b側に漏れ出すおそれを低減できる。
【0063】
図16は、第1実施形態の変形例5に係る半導体装置を例示する図であり、
図16(a)は下面図、
図16(b)は
図16(a)のG-G線に沿う断面図である。なお、
図16では、便宜上、樹脂部33を透視してリードフレームの形状が視認できるように図示しているが、半導体装置3Eの下面において、樹脂部33から露出するのはダイパッド10の下面10bのみである。また、
図16のH-H線に沿う断面は、
図13(b)と同様の構造になるため、図示を省略する。
【0064】
図16に示す半導体装置3Eでは、下面視で、ダイパッド10の外縁を構成する各辺に曲げ部17が繋がっている。下面視で、曲げ部17の一端はダイパッド10の外縁を構成する各辺の一部に接続する。曲げ部17を設けることにより、樹脂部33とダイパッド10との密着性を向上することができる。
【0065】
各々の曲げ部17には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝17xが設けられている。曲げ部17は、例えば、溝17xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面10a側に向かって屈曲している。溝17xは、樹脂部33に被覆されている。
【0066】
ダイパッド10の四隅にサポートバー13が接続されている。各々のサポートバー13には、ダイパッド10の下面10b側に開口する溝13xが設けられている。サポートバー13は、例えば、溝13xのダイパッド10側の端部でダイパッド10の上面10a側に向かって屈曲している。溝13xは、樹脂部33に被覆されている。
【0067】
図16のような構造の場合も、ダイパッド10の下面10b側の平坦性が向上したことにより、樹脂部33がダイパッド10の下面10b側に漏れ出すおそれを低減できる。
【0068】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A リードフレーム
3,3A,3B,3C,3D,3E 半導体装置
7 個片化領域
8 枠部
10 ダイパッド
10a 上面
10b 下面
10x 凹部
11 グラウンドリング
11p グラウンドバー
12 連結部
12b 領域
12x,13x,17x 溝
13 サポートバー
14 インナーリード
15 ダムバー
16 アウターリード
17 曲げ部
31 半導体チップ
32 金属線
33 樹脂部