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特開2024-140205画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140205
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/46 20240101AFI20241003BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20241003BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20241003BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B6/03 360Z
A61B6/00 360Z
A61B6/03 360T
G16H30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051230
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 彩
【テーマコード(参考)】
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA18
4C093FF17
4C093FF28
4C093FF31
4C093FG16
4C093FG18
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】病変が早期の段階の医用画像を精度良く生成することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを得る。
【解決手段】画像処理装置は、医用画像における病変の位置を含む入力情報に基づいて、病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、病変が未発生の正常医用画像又は病変が発生済みの異常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備える画像処理装置であって、
前記プロセッサは、
医用画像における病変の位置を含む入力情報に基づいて、前記病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、
前記病変が未発生の正常医用画像又は前記病変が発生済みの異常医用画像における決定した位置に前記間接所見を生成した医用画像を生成する
画像処理装置。
【請求項2】
前記病変の位置を含む入力情報は、前記異常医用画像における病変の位置である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記病変の位置を含む入力情報は、医用画像における位置毎に前記病変が発生する確率が定義された確率マップである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記病変の位置を含む入力情報は、医用画像における前記病変が存在する領域に前記病変が存在することを表す値が定義されたデータである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
医用画像における病変の位置を含む入力情報に基づいて、前記病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、
前記病変が未発生の正常医用画像又は前記病変が発生済みの異常医用画像における決定した位置に前記間接所見を生成した医用画像を生成する
処理を画像処理装置が備えるプロセッサが実行する画像処理方法。
【請求項6】
医用画像における病変の位置を含む入力情報に基づいて、前記病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、
前記病変が未発生の正常医用画像又は前記病変が発生済みの異常医用画像における決定した位置に前記間接所見を生成した医用画像を生成する
処理を画像処理装置が備えるプロセッサに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1疾患により気腔を生じた肺の断面を撮像した第1画像上の気腔領域を検出し、第1画像と、第1疾患と合併症を形成し得る第2疾患による腫瘍の陰影を示す第2画像とに基づいて、第1画像に第2画像を合成した第3画像を生成する技術が開示されている。この技術では、第1画像上に第2画像を配置した際に、腫瘍の陰影のうち、検出した気腔領域と重複する部分を非表示として、第1画像に第2画像を合成した第3画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-019677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医用画像から病変を検出するための学習済みモデルを機械学習により生成する際に、病変の検出精度を向上させるためには、多数の学習用データを収集することが好ましい。病変によっては、進行してから発見されることが多く、病変が早期の段階の医用画像を収集することが困難な場合がある。この場合、病変が早期の段階の医用画像を精度良く生成することができると、生成した医用画像を機械学習に用いることができるため、好ましい。
【0005】
本開示は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、病変が早期の段階の医用画像を精度良く生成することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の画像処理装置は、少なくとも一つのプロセッサを備える画像処理装置であって、プロセッサは、医用画像における病変の位置を含む入力情報に基づいて、病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、病変が未発生の正常医用画像又は病変が発生済みの異常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する。
【0007】
第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、病変の位置を含む入力情報は、異常医用画像における病変の位置である。
【0008】
第3の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、病変の位置を含む入力情報は、医用画像における位置毎に病変が発生する確率が定義された確率マップである。
【0009】
第4の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、病変の位置を含む入力情報は、医用画像における病変が存在する領域に病変が存在することを表す値が定義されたデータである。
【0010】
第5の態様の画像処理方法は、医用画像における病変の位置を含む入力情報に基づいて、病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、病変が未発生の正常医用画像又は病変が発生済みの異常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する処理を画像処理装置が備えるプロセッサが実行するものである。
【0011】
第6の態様の画像処理プログラムは、医用画像における病変の位置を含む入力情報に基づいて、病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、病変が未発生の正常医用画像又は病変が発生済みの異常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する処理を画像処理装置が備えるプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、病変が早期の段階の医用画像を精度良く生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】医療情報システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】画像処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4】学習済みモデルを説明するための図である。
図5】学習済みモデルを用いた医用画像の生成処理を説明するための図である。
図6】医用画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
図7】変形例に係る学習済みモデルを用いた医用画像の生成処理を説明するための図である。
図8】変形例に係る学習済みモデルを用いた医用画像の生成処理を説明するための図である。
図9】変形例に係る学習済みモデルを用いた医用画像の生成処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0015】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る医療情報システム1の構成を説明する。図1に示すように、医療情報システム1は、画像処理装置10、撮影装置12、及び画像保管サーバ14を含む。画像処理装置10、撮影装置12、及び画像保管サーバ14は、有線又は無線のネットワーク18を介して互いに通信可能な状態で接続される。画像処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ等のコンピュータである。
【0016】
撮影装置12は、被検体の診断対象とする部位を撮影することにより、その部位を表す医用画像を生成する装置である。撮影装置12の例としては、単純X線撮影装置、内視鏡装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、及びPET(Positron Emission Tomography)装置等が挙げられる。本実施形態では、撮影装置12がCT装置であり、診断対象とする部位が腹部である例を説明する。すなわち、本実施形態に係る撮影装置12は、被検体の腹部のCT画像を、複数の断層画像からなる3次元の医用画像として生成する。撮影装置12により生成された医用画像は、ネットワーク18を介して画像保管サーバ14に送信され、画像保管サーバ14により保存される。
【0017】
画像保管サーバ14は、各種データを保存して管理するコンピュータであり、大容量の外部記憶装置及びデータベース管理用ソフトウェアを備える。画像保管サーバ14は、撮影装置12により生成された医用画像を、ネットワーク18を介して受信し、受信した医用画像を保存して管理する。画像保管サーバ14による画像データの格納形式及びネットワーク18を介した他の装置との通信は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等のプロトコルに基づいている。
【0018】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成を説明する。図2に示すように、画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、画像処理装置10は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ23、キーボードとマウス等の入力装置24、及びネットワーク18に接続されるネットワークI/F(InterFace)25を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、ディスプレイ23、入力装置24、及びネットワークI/F25は、バス27に接続される。CPU20は、開示の技術に係るプロセッサの一例である。
【0019】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、画像処理プログラム30が記憶される。CPU20は、記憶部22から画像処理プログラム30を読み出してからメモリ21に展開し、展開した画像処理プログラム30を実行する。
【0020】
また、記憶部22には、学習済みモデル32が記憶される。学習済みモデル32の詳細については後述する。
【0021】
ところで、病変を早期に発見するために、病変が早期の段階の医用画像を収集することが好ましい。これは、例えば、機械学習等に利用できるためである。しかしながら、病変によっては、早期で発見されることが少なく、進行してから発見されることが多い場合がある。この場合、病変が早期の段階の医用画像が希少であるため、病変が早期の段階の医用画像を生成することができると好ましい。
【0022】
具体的には、例えば、膵がんの場合、早期の段階では、間接所見として限局性の膵萎縮が注目される。限局性の膵萎縮とは、くびれのことを意味する。膵がんが進行すると、そのくびれ部分において、がんが視認できる程度の大きさになり、その後、更に進行するに従ってがんが大きくなる。
【0023】
本実施形態に係る画像処理装置10は、病変を含む医用画像等に基づいて、病変が早期の段階の医用画像を生成する機能を有する。以下では、病変を生成する対象の臓器として膵臓を適用し、病変として膵がんを適用し、間接所見としてくびれを適用した例を説明する。
【0024】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の機能的な構成について説明する。図3に示すように、画像処理装置10は、取得部40、生成部42、及び記憶制御部44を含む。CPU20が画像処理プログラム30を実行することにより、取得部40、生成部42、及び記憶制御部44として機能する。
【0025】
取得部40は、病変が未発生の医用画像(以下、「正常医用画像」という)、及び病変が発生済みの医用画像(以下、「異常医用画像」という)をネットワークI/F25を介して、画像保管サーバ14から取得する。
【0026】
生成部42は、医用画像における病変の位置を含む入力情報と学習済みモデル32とに基づいて、病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、取得部40により取得された正常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する。
【0027】
図4を参照して、学習済みモデル32の詳細について説明する。本実施形態に係る学習済みモデル32は、GAN(Generative Adversarial Network)と称される生成モデルである。図4に示すように、学習済みモデル32は、生成器32A及び識別器32Bを含む。生成器はGeneratorとも称され、識別器はDiscriminatorとも称される。生成器32A及び識別器32Bの各々は、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)によって構成される。
【0028】
学習フェーズにおいて、生成器32Aには、正常医用画像及び異常医用画像の組が学習用データとして入力される。正常医用画像及び異常医用画像は、同一の患者のものでもよいし、異なる患者のものでもよい。生成器32Aは、入力の異常医用画像における病変の位置に基づいて、病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、入力の正常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成し、かつ出力する。以下では、生成器32Aにより生成される医用画像を「生成医用画像」という。本実施形態では、生成器32Aは、正常医用画像における、異常医用画像における膵がんの位置に対応する位置に、くびれを発生させた医用画像を生成する。
【0029】
識別器32Bは、予め用意された症例データと、生成器32Aから出力された生成医用画像とを比較することによって生成医用画像が本物の医用画像であるか又は偽物の医用画像であるかを識別する。そして、識別器32Bは、識別結果として、生成医用画像が本物の医用画像であるか又は偽物の医用画像であるかを表す情報を出力する。識別結果の例としては、生成医用画像が本物の医用画像である確率が挙げられる。また、識別結果の例としては、生成医用画像が本物の医用画像であることを表す「1」及び偽物の医用画像であることを表す「0」のような2値が挙げられる。本実施形態に係る症例データは、膵がんが早期の段階の間接所見であるくびれが発生している患者を撮影装置12により撮影して得られた実際の医用画像である。
【0030】
生成器32Aは、より本物の医用画像(すなわち、症例データ)に近い生成医用画像を生成できるように学習される。識別器32Bは、より高精度に生成医用画像が偽物の医用画像であると識別できるように学習される。例えば、生成器32Aのロスが小さくなると識別器32Bのロスが大きくなるロス関数を用いて、生成器32Aの学習の際には生成器32Aのロスが最小化されるように学習される。一方、そのロス関数を用いて、識別器32Bの学習の際には識別器32Bのロスが最小化されるように学習される。学習済みモデル32は、生成器32A及び識別器32Bが多数の学習用データを用いて交互に学習されることによって得られるモデルである。
【0031】
図5に示すように、生成部42は、取得部40により取得された正常医用画像及び異常医用画像を学習済みモデル32に入力する。学習済みモデル32は、正常医用画像における、異常医用画像における病変の位置に対応する位置に、間接所見を発生させた生成医用画像を出力する。これにより、生成部42は、生成医用画像を生成する。すなわち、取得部40により取得された異常医用画像における病変の位置が、医用画像における病変の位置を含む入力情報の一例である。図5の例では、膵がんの間接所見の一例であるくびれ部分が破線の矩形で示されている。
【0032】
記憶制御部44は、生成部42により生成された生成医用画像を記憶部22に記憶する制御を行う。
【0033】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の作用を説明する。CPU20が画像処理プログラム30を実行することによって、図6に示す医用画像生成処理が実行される。図6に示す医用画像生成処理は、例えば、ユーザにより実行開始の指示が入力された場合に実行される。
【0034】
図6のステップS10で、取得部40は、正常医用画像及び異常医用画像をネットワークI/F25を介して、画像保管サーバ14から取得する。ステップS12で、生成部42は、前述したように、ステップS10で取得された正常医用画像及び異常医用画像と学習済みモデル32とに基づいて、病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、正常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する。
【0035】
ステップS14で、記憶制御部44は、ステップS12で生成された医用画像を記憶部22に記憶する制御を行う。ステップS14の処理が終了すると、医用画像生成処理が終了する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、病変が早期の段階の医用画像を精度良く生成することができる。また、複数組の正常医用画像及び異常医用画像それぞれについて、上記の医用画像生成処理が実行されることによって、複数の生成医用画像を得ることができる。このように得られた複数の生成医用画像は、医用画像から早期の段階の病変を検出するための学習済みモデルの学習に使用される。
【0037】
なお、上記実施形態では、生成部42は、正常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する場合について説明したが、これに限定されない。生成部42は、異常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する形態としてもよい。
【0038】
具体的には、図7に示すように、生成部42は、取得部40により取得された異常医用画像を学習済みモデル32に入力する。学習済みモデル32は、異常医用画像における病変の位置に、間接所見を発生させた生成医用画像を出力する。この形態例における学習済みモデル32も、上記実施形態と同様に、異常医用画像及び症例データに基づいて生成器32A及び識別器32Bが学習されることにより得られる。
【0039】
また、上記実施形態では、病変の位置を含む入力情報として、異常医用画像における病変の位置を適用した場合について説明したが、これに限定されない。病変の位置を含む入力情報として、医用画像における位置毎に病変が発生する確率が定義された確率マップを適用する形態としてもよい。この確率マップは、例えば、過去に撮影された病変が発生済みの複数の医用画像に基づいて、医用画像のボクセル毎に病変が発生する確率を算出することによって得ることができる。
【0040】
この場合、図8に示すように、生成部42は、異常医用画像に代えて確率マップを学習済みモデル32に入力する。学習済みモデル32は、確率マップに基づいて医用画像における病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、正常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する。この形態例における学習済みモデル32も、上記実施形態と同様に、正常医用画像、確率マップ、及び症例データに基づいて生成器32A及び識別器32Bが学習されることにより得られる。
【0041】
また、例えば、病変の位置を含む入力情報として、医用画像における病変が存在する領域に病変が存在することを表す値が定義されたデータを適用する形態としてもよい。このデータの例としては、異常医用画像における病変が存在する領域のボクセルに「1」が格納され、その領域以外のボクセルに「0」が格納された画像(以下、「マスク画像」という)が挙げられる。
【0042】
この場合、図9に示すように、生成部42は、異常医用画像に代えてマスク画像を学習済みモデル32に入力する。学習済みモデル32は、マスク画像に基づいて医用画像における病変の発生に伴う間接所見の位置を決定し、正常医用画像における決定した位置に間接所見を生成した医用画像を生成する。この形態例における学習済みモデル32も、上記実施形態と同様に、正常医用画像、マスク画像、及び症例データに基づいて生成器32A及び識別器32Bが学習されることにより得られる。また、この形態例において、学習済みモデル32への入力は、マスク画像のみでもよい。この場合、病変が存在する領域に病変が存在することを表す値が定義されたマスク画像に加えて、例えば、その病変が存在する臓器領域に、その臓器であることを表す値が格納されたマスク画像も学習済みモデル32に入力される。
【0043】
また、上記実施形態では、病変として膵がんを適用し、間接所見としてくびれを適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、病変として膵がんを適用し、間接所見として膵実質の腫大を適用する形態としてもよい。また、例えば、病変として膵がんを適用し、間接所見として膵がんの発生位置よりも膵臓の尾部側で発生する膵実質の萎縮を適用する形態としてもよい。また、例えば、病変として膵がんを適用し、間接所見として膵がんの発生位置よりも膵臓の尾部側で発生する膵管の拡張を適用する形態としてもよい。また、例えば、病変として膵がんを適用し、間接所見として膵がんの発生位置で発生する膵管の狭窄を適用する形態としてもよい。
【0044】
また、対象の臓器も膵臓に限定されない。病変の発生位置と、その病変が早期の段階において発生する間接所見の発生位置とに関連性がある医用画像であれば、開示の技術を適用することが可能である。
【0045】
また、上記実施形態では、生成器32A及び識別器32BがCNNによって構成される場合について説明したが、これに限定されない。生成器32A及び識別器32Bは、CNN以外の機械学習の手法によって構成されてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、医用画像として、CT画像を適用した場合について説明したが、これに限定されない。医用画像として、単純X線撮影装置により撮影された放射線画像、及びMRI装置により撮影されたMRI画像等のCT画像以外の医用画像を適用してもよい。
【0047】
また、上記実施形態において、例えば、取得部40、生成部42、及び記憶制御部44といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0048】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0049】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0050】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、画像処理プログラム30が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム30は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、画像処理プログラム30は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 医療情報システム
10 画像処理装置
12 撮影装置
14 画像保管サーバ
18 ネットワーク
20 CPU
21 メモリ
22 記憶部
23 ディスプレイ
24 入力装置
25 ネットワークI/F
27 バス
30 画像処理プログラム
32 学習済みモデル
32A 生成器
32B 識別器
40 取得部
42 生成部
44 記憶制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9