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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140366
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20241003BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/302 201
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051476
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】広城 幸吉
【テーマコード(参考)】
2H197
5F004
【Fターム(参考)】
2H197AB04
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA10
5F004AA01
5F004AA16
5F004BA20
5F004BB05
5F004BB18
5F004BB24
5F004BB26
5F004BB29
5F004BC06
5F004CA04
5F004DA26
5F004DA27
5F004EA20
(57)【要約】
【課題】本開示は、プラズマを用いることなく、基板の周縁部に設けられている比較的硬度の高い膜を比較的高いエッチングレートでエッチングすることが可能な基板処理装置を説明する。
【解決手段】基板処理装置は、185nm以下の波長を有するエッチング用のエネルギー線を基板の周縁部に向けて照射するように構成された照射部と、基板の周縁部に酸素含有ガス又はオゾンガスを供給するように構成された供給部と、基板の上方に位置するように配置され、基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延び、且つ、基板の周縁部に光を照射することにより基板の周縁部を加熱するように構成された周縁加熱部と、基板と周縁加熱部との間に配置され、周縁加熱部から基板の周縁部に向けて照射された光の少なくとも一部を遮光するように構成された遮光部材と、基板と遮光部材との離隔距離を変更するように構成された駆動部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
185nm以下の波長を有するエッチング用のエネルギー線を基板の周縁部に向けて照射するように構成された照射部と、
前記基板の周縁部に酸素含有ガス又はオゾンガスを供給するように構成された供給部と、
前記基板の上方に位置するように配置され、前記基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延び、且つ、前記基板の周縁部に光を照射することにより前記基板の周縁部を加熱するように構成された周縁加熱部と、
前記基板と前記周縁加熱部との間に配置され、前記周縁加熱部から前記基板の周縁部に向けて照射された光の少なくとも一部を遮光するように構成された遮光部材と、
前記基板と前記遮光部材との離隔距離を変更するように構成された駆動部とを備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記周縁加熱部は、
前記基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延びる光源と、
前記光源の周囲を覆う筐体とを含み、
前記筐体は、前記基板の周縁部に向けて開放された開口を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開口は、斜め下方に向けて傾斜して開放されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記開口は、斜め下方で且つ前記基板の径方向外方に向けて傾斜して開放されており、
前記遮光部材は、前記基板の直径よりも小さい直径を有する円形状又は円環状を呈している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記開口は、斜め下方で且つ前記基板の径方向内方に向けて傾斜して開放されており、
前記遮光部材は、前記基板の直径よりも大きい直径を有する円形状又は円環状を呈している、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記周縁加熱部からの光が前記基板の周縁部に到達しないように前記周縁加熱部からの光を前記遮光部材が遮光する位置と、前記周縁加熱部からの光が前記基板の周縁部に到達するように前記周縁加熱部からの光を前記遮光部材が部分的に遮光する位置との間で、前記基板及び前記遮光部材の少なくとも一方を上下動させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基板を保持して回転させるように構成された回転保持部をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記基板の中央部を加熱するように構成された中央加熱部をさらに備え、
前記周縁加熱部は、前記基板の周縁部を400℃以上に加熱するように構成されており、
前記中央加熱部は、前記基板の中央部を400℃以下に加熱するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記基板の下方に位置するように配置され、前記周縁加熱部から照射された光のうち前記基板の周縁部の外側を通過した光を、前記基板の周縁部に向けて反射するように構成された反射部材をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記基板と前記反射部材との離隔距離を変更するように構成された別の駆動部をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記基板の下方に位置するように配置され、前記基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延び、且つ、前記基板の周縁部に光を照射することにより前記基板の周縁部を加熱するように構成された別の周縁加熱部をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記照射部は、前記基板の周縁部を外側から取り囲むように、前記基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延びている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記周縁加熱部及び/又は前記遮光部材を冷媒との熱交換により冷却するように構成された冷却部をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記駆動部は、前記遮光部材を単独で上下動させるように構成されているか、又は、前記周縁加熱部及び前記遮光部材を共に上下動させるように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板を収容するチャンバにプロセスガスを供給してプラズマ化することにより、基板の周縁部に堆積する層をプラズマで除去する基板処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011-514679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマを用いることなく、基板の周縁部に設けられている比較的硬度の高い膜を比較的高いエッチングレートでエッチングすることが可能な基板処理装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板処理装置の一例は、185nm以下の波長を有するエッチング用のエネルギー線を基板の周縁部に向けて照射するように構成された照射部と、基板の周縁部に酸素含有ガス又はオゾンガスを供給するように構成された供給部と、基板の上方に位置するように配置され、基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延び、且つ、基板の周縁部に光を照射することにより基板の周縁部を加熱するように構成された周縁加熱部と、基板と周縁加熱部との間に配置され、周縁加熱部から基板の周縁部に向けて照射された光の少なくとも一部を遮光するように構成された遮光部材と、基板と遮光部材との離隔距離を変更するように構成された駆動部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る基板処理装置によれば、プラズマを用いることなく、基板の周縁部に設けられている比較的硬度の高い膜を比較的高いエッチングレートでエッチングすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、基板処理システムの一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、エッチングユニットの構成の一例を概略的に示す断面図である。
図4図4は、基板処理システムの主要部の一例を示すブロック図である。
図5図5は、コントローラのハードウェア構成の一例を示す概略図である。
図6図6は、エッチングユニットの動作を説明するための概略断面図である。
図7図7は、エッチングユニットの他の例の構成を概略的に示す部分断面図である。
図8図8は、エッチングユニットの構成の他の例を概略的に示す部分断面図である。
図9図9は、エッチングユニットの構成の他の例を概略的に示す部分断面図である。
図10図10は、エッチングユニットの構成の他の例を概略的に示す部分断面図である。
図11図11(a)は実験例1の実験結果を示すグラフであり、図11(b)は実験例2の実験結果を示すグラフである。
図12図12(a)は、実験例3の実験結果を示すグラフであり、図12(b)は実験例4の実験結果を示すグラフである。
図13図13は、(a)は、実験例1~3において、基板を400℃で加熱したときの、ギャップとエッチングレートとの関係を示すグラフであり、図13(b)は、実験例1~3において、ギャップを1.2mmに設定した状態で基板を300℃で加熱したときの、紫外線の照射時間とエッチング量との関係を示すグラフである。
図14図14(a)は、実験例5の実験結果を示すグラフであり、図14(b)は実験例6,7の実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0009】
[基板処理システムの構成]
まず、図1及び図2を参照して、基板処理システム1(基板処理装置)の構成について説明する。基板処理システム1は、塗布液の塗布により基板Wの上面Wu(図3参照)に塗布膜を形成するように構成されている。基板処理システム1は、熱処理により塗布膜を硬化して基板Wの上面Wuに保護膜(図示せず)を形成するように構成されている。基板処理システム1は、エッチング処理により、基板Wの周縁部Wp(図3参照)における保護膜を除去するように構成されている。
【0010】
基板Wは、円板状を呈してもよいし、多角形など円形以外の板状を呈していてもよい。基板Wは、一部が切り欠かれた切欠部を有していてもよい。切欠部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。基板Wは、例えば、半導体基板(シリコンウエハ)、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。基板Wの直径は、例えば200mm~450mm程度であってもよい。
【0011】
保護膜は、炭素(カーボン)を含む膜であってもよい。炭素を含む膜は、例えば、ダイヤモンド膜、アモルファスカーボン膜、酸素を含んだスピンオンカーボン(SOC)膜などであってもよい。すなわち、炭素を含む膜は、炭素以外の元素として、その原子が単体で気体である元素、あるいは、酸素と結合して常圧で気体となる元素を含んでいてもよい。なお、本明細書において、「基板Wの表面」は、基板Wの最外面を意味している。例えば、基板Wに保護膜が形成されている例においては、保護膜の表面が「基板Wの表面」でありうる。
【0012】
基板処理システム1は、図1及び図2に例示されるように、搬入出ステーション2と、処理ステーション3と、コントローラCtr(制御部)とを備える。搬入出ステーション2及び処理ステーション3は、例えば水平方向に一列に並んでいてもよい。
【0013】
搬入出ステーション2は、基板処理システム1内への基板Wの搬入及び基板処理システム1内からの基板Wの搬出を行う。搬入出ステーション2は、例えば、基板W用の複数のキャリア4を支持可能である。キャリア4は、例えば、少なくとも一つの基板Wを密封状態で収容するように構成されている。搬入出ステーション2は、図2に例示されるように、搬送アームA1を内蔵している。搬送アームA1は、キャリア4から基板Wを取り出して処理ステーション3の棚ユニット5に渡し、処理ステーション3の棚ユニット5から基板Wを受け取ってキャリア4内に戻すように構成されている。
【0014】
処理ステーション3は、少なくとも一つの液処理ユニットU1と、少なくとも一つの熱処理ユニットU2と、少なくとも一つのエッチングユニットU3(基板処理装置)と、これらのユニットに基板Wを搬送する搬送アームA2とを含む。搬送アームA2は、棚ユニット5から基板Wを取り出して各ユニットに渡し、また、各ユニットから基板Wを受け取って棚ユニット5内に戻すように構成されている。
【0015】
液処理ユニットU1は、保護膜形成用の処理液を基板Wの上面Wuに供給して、基板Wの上面Wuに塗布膜を形成する処理を実行するように構成されている。熱処理ユニットU2は、液処理ユニットU1において形成された塗布膜を熱処理により硬化させ、基板Wの上面Wuに保護膜を形成する処理を実行するように構成されている。なお、液処理ユニットU1において基板Wの上面Wuに処理液を供給する際に、処理液が、基板Wの端面We(図3参照)を回り込んで、基板Wの周縁部Wpの下面Wl(図3参照)に至ることがある。この場合、保護膜は、基板Wの上面Wuから端面Weを回り込んで、周縁部Wpの下面Wlにまで形成されうる。
【0016】
エッチングユニットU3は、基板Wの周縁部Wpにおける保護膜をエッチングにより除去する処理を実行するように構成されている。エッチングユニットU3の詳細については、後述する。
【0017】
コントローラCtrは、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御するように構成されている。コントローラCtrの詳細については後述する。
【0018】
[エッチングユニットの構成]
続いて、図3を参照して、エッチングユニットU3の構成について説明する。エッチングユニットU3は、回転保持部10と、支持部20と、昇降部30と、照射部40と、周縁加熱部50と、遮光部材60と、駆動部70と、冷却部80と、ブロアBL(供給部)とを含む。
【0019】
回転保持部10は、保持部11と、回転駆動部12とを有する。保持部11は、水平に配置された基板Wを下方から保持するように構成されている。保持部11は、中央加熱部13を含む。中央加熱部13は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、保持部11に保持されている基板Wの中央部Wcを主として加熱するように構成されている。中央加熱部13は、例えば、基板Wの中央部Wcを400℃以下に加熱するように構成されていてもよいし、基板Wの中央部Wcを50℃~400℃程度に加熱するように構成されていてもよい。
【0020】
図示していないが、中央加熱部13は、基板Wの径方向に並ぶ複数の加熱領域を含んでいてもよい。複数の加熱領域は、例えば、基板Wの中心から外周側に向かって同心円状に並んでいてもよい。複数の加熱領域は、個別に熱源(例えばヒータ)を内蔵していてもよい。この場合、各加熱領域ごとに異なる温度を設定することができる。
【0021】
回転駆動部12は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、保持部11が保持している基板Wを回転させるように構成されている。回転駆動部12は、例えば、電動モータ等を動力源とし、基板Wの中心を通る鉛直な軸線回りに保持部11を回転させてもよい。
【0022】
支持部20は、保持部11の下方に配置されている。支持部20は、ベース部21と、ベース部21から上方に突出する複数の支持ピン22とを含む。支持ピン22の先端部は、保持部11に設けられている貫通孔(図示せず)を挿通可能である。
【0023】
昇降部30は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、回転保持部10を昇降させるように構成されている。回転保持部10に保持された基板Wは、昇降部30による回転保持部10の昇降に伴い上下に変位する。これにより、基板Wの上面Wuと周縁加熱部50との離隔距離や、基板Wの上面Wuと遮光部材60との離隔距離が変更される。昇降部30は、例えば、電動モータ、エアシリンダ等であってもよい。
【0024】
昇降部30は、支持部20を昇降させるように構成されていてもよい。すなわち、支持ピン22の先端部は、昇降部30によって、保持部11の上面から出没可能に構成されていてもよい。昇降部30が支持部20を上昇させると、支持ピン22の先端部が保持部11の上面よりも上方に突出し、昇降部30が支持部20を下降させると、支持ピン22の先端部が保持部11の上面よりも下方に降下する。支持ピン22の先端部が保持部11の上面よりも上方に突出している状態において、エッチングユニットU3に対する基板Wの搬入出に際して、支持ピン22の先端部に基板Wが支持される。
【0025】
照射部40は、基板Wが回転保持部10に保持されている状態において、基板Wの側方に配置されている。照射部40は、基板Wの周縁部Wpを外側から取り囲むように、基板Wの周縁部Wpに沿って略円弧状又は略環状を呈していてもよい。ここで、略円弧状の照射部40は、基板Wの周縁部Wpの大部分を外側から取り囲むが一部が途切れている優弧状の照射部40を含んでいてもよい。略円弧状の照射部40は、基板Wの周縁部Wpを部分的に外側から取り囲み、且つ、全体として略円形をなすように基板Wの周縁部Wpに沿って並ぶ、複数の弧状の照射部40を含んでいてもよい。略環状の照射部40は、基板Wの周縁部Wpの全体を外側から取り囲む無端状の照射部40を含んでいてもよい。照射部40は、光源41と、反射部材42と、窓部43とを含む。
【0026】
光源41は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、185nm以下の波長を有するエッチング用のエネルギー線を基板Wの周縁部Wpに向けて照射するように構成されている。光源41は、基板Wの周縁部Wpを外側から取り囲むように、略円弧状又は略環状を呈していてもよい。ここで、略円弧状の光源41は、基板Wの周縁部Wpの大部分を外側から取り囲むが一部が途切れている優弧状の光源41を含んでいてもよい。略円弧状の光源41は、基板Wの周縁部Wpを部分的に外側から取り囲み、且つ、全体として略円形をなすように基板Wの周縁部Wpに沿って並ぶ、複数の弧状の光源41を含んでいてもよい。略環状の光源41は、基板Wの周縁部Wpの全体を外側から取り囲む無端状の光源41を含んでいてもよい。
【0027】
エネルギー線は、例えば、紫外線であってもよい。エネルギー線の主波長は、185nm以下であってもよいし、172nm以下であってもよいし、165nm以下であってもよいし、150nm以下であってもよいし、120nm以下であってもよいし、100nm以下であってもよい。エネルギー線の主波長が172nmである場合には、光源41は、キセノンエキシマUVランプであってもよい。エネルギー線の主波長が146nmである場合には、光源41は、クリプトン放電ランプであってもよい。エネルギー線の主波長が126nmである場合には、光源41は、アルゴン放電ランプであってもよい。
【0028】
反射部材42は、光源41の周囲を覆うように、断面が略U字状を呈している。すなわち、反射部材42は、内側に向けて開放された開口42aを含んでいる。開口42aは、基板Wが回転保持部10に保持されている状態において、基板Wの周縁部Wpの端面Weに対面する。反射部材42は、光源41から反射部材42の背面側(反射部材42のうち開口42aとは反対側の壁面側)に向けて照射された光を、開口42a側に向けて反射するように構成されている。反射部材42によって反射された光は、開口42aを通じて基板Wの周縁部Wpに向けて照射される。そのため、基板Wの周縁部Wpに対してより集中的にエネルギー線が照射される。この場合、膜を構成する原子同士の結合がより容易に切断されうる。したがって、より高いエッチングレートを得ることが可能となる。
【0029】
窓部43は、光源41から照射されるエネルギー線が透過可能となるように構成されている。窓部43の材質は、光源41から照射されるエネルギー線の波長に応じて、適宜選択されうる。例えば、エネルギー線の主波長が165nm以上の場合、窓部43の材質として石英ガラスが選択されてもよい。エネルギー線の主波長が150nm以上の場合、窓部43の材質としてフッ化カルシウムが選択されてもよい。エネルギー線の主波長が120nm以上の場合、窓部43の材質としてフッ化マグネシウムが選択されてもよい。
【0030】
窓部43は、反射部材42の開口42aを封止するように開口42aに取り付けられている。そのため、反射部材42内の気密性が保たれている。反射部材42及び窓部43で構成される内部空間には、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス)が封入されていてもよい。窓部43の表面と基板Wの端面Weとの直線距離は、1mm程度に設定されていてもよい。
【0031】
周縁加熱部50は、基板Wの周縁部Wpの上方に位置するように配置されており、基板Wの周縁部Wpを上方から加熱するように構成されている。周縁加熱部50は、基板Wの周縁部Wpを400℃以上に加熱するように構成されていてもよい。周縁加熱部50は、基板Wの周縁部Wpに沿って略円弧状又は略環状を呈していてもよい。周縁加熱部50は、上方から見て基板Wの周縁部Wpと重なり合うように位置していてもよい。ここで、略円弧状の周縁加熱部50は、一部が途切れている優弧状の周縁加熱部50を含んでいてもよい。略円弧状の周縁加熱部50は、全体として略円形をなすように基板Wの周縁部Wpに沿って並ぶ、複数の弧状の周縁加熱部50を含んでいてもよい。略環状の周縁加熱部50は、無端状の周縁加熱部50を含んでいてもよい。周縁加熱部50は、光源51と、筐体52とを含む。
【0032】
光源51は、基板Wの周縁部Wpに光を照射することにより当該周縁部Wpを加熱する赤外線ランプであってもよい。光源51は、基板Wの周縁部Wpに対して、連続的に光を照射してもよいし、断続的に光を照射してもよいし、瞬間的に光を照射してもよい。光源51は、基板Wの周縁部Wpに沿って略円弧状又は略環状を呈していてもよい。ここで、略円弧状の光源51は、一部が途切れている優弧状の光源51を含んでいてもよい。略円弧状の光源51は、全体として略円形をなすように基板Wの周縁部Wpに沿って並ぶ、複数の弧状の光源51を含んでいてもよい。略環状の光源51は、無端状の周縁加熱部50を含んでいてもよい。
【0033】
筐体52は、光源51の周囲を覆うように、断面が略U字状を呈している。すなわち、筐体52は、下方に向けて開放された開口52aを含んでいる。開口52aは、図3に例示されるように、斜め下方に向けて傾斜して開放されている。図3の例では、開口52aは、斜め下方で且つ基板Wの径方向外方に向けて傾斜して開放されていてもよい。この場合、光源51からの光は、開口52aを通じて、斜め下方で且つ基板Wの径方向外方に向けて照射される。なお、鉛直方向に対する開口52aの傾斜角θは、例えば、1°~20°程度であってもよいし、2°~5°程度であってもよい。
【0034】
筐体52の内周面は、反射部材によって構成されている。筐体52に内周面は、光源51から、筐体52の内周面の背面側(筐体52の内周面のうち開口52aとは反対側)に向けて照射された光を、開口52a側に向けて反射するように構成されている。筐体52の内周面によって反射された光は、開口52aを通じて基板Wの周縁部Wpに向けて照射される。そのため、基板Wの周縁部Wpがより集中的に加熱される。
【0035】
筐体52の内部には、内部空間52bが形成されている。内部空間52bは、冷却部80から供給される冷媒(後述する)が流通するように構成されている。
【0036】
遮光部材60は、回転保持部10に保持された状態の基板Wと、周縁加熱部50との間に配置されている。遮光部材60は、周縁加熱部50から基板Wの周縁部Wpに向けて照射された光の少なくとも一部を遮光するように構成されている。すなわち、周縁加熱部50から照射された光は、遮光部材60の外周縁に沿った形状に整えられて、遮光部材60の下方に位置する基板Wに向けて照射される。遮光部材60は、図3に例示されるように円環状を呈していてもよいし、円形状を呈していてもよい。図3の例では、遮光部材60は、基板Wの直径よりも小さい直径(外径)を有している。
【0037】
遮光部材60の内部には、内部空間60aが形成されている。内部空間60aは、冷却部80から供給される冷媒(後述する)が流通するように構成されている。
【0038】
駆動部70は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、基板Wと遮光部材60との離隔距離を変更するように構成されている。駆動部70は、例えば、リニアアクチュエータなどによって構成されていてもよい。図3の例では、駆動部70は、周縁加熱部50及び遮光部材60に接続されており、これらを同時に上下動させるように構成されている。
【0039】
冷却部80は、周縁加熱部50及び遮光部材60を冷却するように構成されている。冷却部80は、配管D1~D5と、ポンプ81と、温調部82とを含む。
【0040】
配管D1は、ポンプ81と、温調部82とを接続している。配管D2は、温調部82と、周縁加熱部50の筐体52の内部空間52bとを接続している。配管D3は、配管D2の中途から分岐して延びており、配管D2の当該中途と、遮光部材60の内部空間60aとを接続している。配管D4は、周縁加熱部50の筐体52の内部空間52bと、ポンプ81とを接続している。配管D4と内部空間52bとの接続箇所は、配管D2と内部空間52bとの接続箇所と離隔していてもよく、周縁加熱部50の中心を挟んで配管D2と内部空間52bとの接続箇所と反対側に位置していてもよい。配管D5は、配管D4から分岐して延びており、遮光部材60の内部空間60aと、配管D4の当該中途とを接続している。配管D5と内部空間60aとの接続箇所は、配管D3と内部空間60aとの接続箇所と離隔していてもよく、遮光部材60の中心を挟んで配管D3と内部空間60aとの接続箇所と反対側に位置していてもよい。
【0041】
ポンプ81は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、配管D4,D5を通じて内部空間52b,60a内を流れる冷媒を吸引すると共に、配管D1を通じて吸引した冷却液を温調部82に供給するように構成されている。温調部82は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、ポンプ81から供給された冷媒の温度を調節するように構成されている。温調部82は、冷媒が所定の設定温度となるように、冷媒を冷却するように構成されていてもよい。温調部82は、温調された冷媒を、D2,D3を通じて、内部空間52b,60aに供給するように構成されている。冷媒は、例えば、空気であってもよいし、水であってもよい。
【0042】
冷媒は、ポンプ81によって、配管D1~D5及び内部空間52b,60aを循環する。そのため、光源51からの光の照射によって加熱された筐体52及び遮光部材60が冷却される。したがって、筐体52及び遮光部材60の変形が抑制されるので、周縁加熱部50から基板Wの周縁部Wpに対して、光をより高精度に照射することが可能となる。
【0043】
ブロアBLは、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、基板Wに向けたダウンブローを生成するように構成されている。光源41から照射されるエネルギー線の波長が185nm以下の紫外線である場合、ブロアBLの動作によって基板Wに向けて空気が供給されることで、窓部43と基板Wの周縁部Wpとの間の空間において、紫外線が酸素分子に吸収されてオゾンに変化する。そして、基板Wの周縁部Wpにおける保護膜と当該オゾンとが反応して、当該保護膜がエッチングされる。なお、この際、回転保持部10によって基板Wを回転させることにより、基板Wの周縁部Wpに対するエネルギー線の照射の偏りを均してもよい。
【0044】
[コントローラの詳細]
コントローラCtrは、図4に例示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラCtrの機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラCtrを構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0045】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取るように構成されている。記録媒体RMは、エッチングユニットU3を含む基板処理システム1の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMは、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。なお、以下では、基板処理システム1の各部は、回転駆動部12、中央加熱部13、昇降部30、光源41,51、駆動部70、ポンプ81、温調部82及びブロアBLを含みうる。
【0046】
記憶部M2は、種々のデータを記憶するように構成されている。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラム、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データなどを記憶していてもよい。
【0047】
処理部M3は、各種データを処理するように構成されている。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、基板処理システム1の各部を動作させるための信号を生成してもよい。
【0048】
指示部M4は、処理部M3において生成された動作信号を、基板処理システム1の各部に送信するように構成されている。
【0049】
コントローラCtrのハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成されていてもよい。コントローラCtrは、図5に示されるように、ハードウェア上の構成として回路C1を含んでいてもよい。回路C1は、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路C1は、例えば、プロセッサC2と、メモリC3と、ストレージC4と、ドライバC5と、入出力ポートC6とを含んでいてもよい。
【0050】
プロセッサC2は、メモリC3及びストレージC4の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポートC6を介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを実現するように構成されていてもよい。メモリC3及びストレージC4は、記憶部M2として機能してもよい。ドライバC5は、基板処理システム1の各部をそれぞれ駆動するように構成された回路であってもよい。入出力ポートC6は、ドライバC5と基板処理システム1の各部との間で、信号の入出力を仲介するように構成されていてもよい。
【0051】
基板処理システム1は、一つのコントローラCtrを備えていてもよいし、複数のコントローラCtrで構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラCtrによって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラCtrの組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラCtrが複数のコンピュータ(回路C1)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路C1)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路C1)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラCtrは、複数のプロセッサC2を有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサC2によって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサC2の組み合わせによって実現されていてもよい。
【0052】
[作用]
以上の例によれば、185nm以下の波長を有する比較的高エネルギーのエネルギー線が基板Wの周縁部Wpに照射されるので、基板Wの周縁部Wpに設けられている膜を構成する原子同士の結合が容易に切断されうる。また、基板Wの周縁部Wpに空気が供給されるので、エネルギー線によって切断された原子が、再結合せずに、酸素原子と結合する傾向にある。さらに、周縁加熱部50によって基板Wの周縁部Wpが加熱されているので、エネルギー線による原子同士の結合の切断や、エネルギー線によって切断された原子への酸素原子の結合が活発化する傾向にある。その結果、プラズマを用いることなく、基板Wの周縁部Wpに設けられている比較的硬度の高い膜を比較的高いエッチングレートでエッチングすることが可能となる。
【0053】
以上の例によれば、遮光部材60によって、周縁加熱部50から基板Wの周縁部Wpに向けて照射された光の少なくとも一部が遮光される。そのため、基板Wの周縁部Wpには、遮光部材60の外周縁に沿った形状にて光が照射される。したがって、遮光部材60の外周縁の形状に基づいて、基板Wの周縁部Wpに対して精度よく光が照射されるので、基板Wの周縁部Wpに設けられている比較的硬度の高い膜を高精度にエッチングすることが可能となる。
【0054】
以上の例によれば、基板Wと遮光部材60との離隔距離が駆動部70によって変更される。そのため、この離隔距離の変更に応じて、周縁加熱部50から基板Wの周縁部Wpに照射される光の範囲が変動する。したがって、基板Wの周縁部Wpに設けられている比較的硬度の高い膜をエッチングする領域を適宜調節することが可能となる。
【0055】
具体的には、図6(a)に例示されるように、基板Wと遮光部材60との離隔距離が小さくなるように、駆動部70が周縁加熱部50及び遮光部材60を降下させてもよい。この場合、遮光部材60の外周縁に沿った形状に整えられた後の周縁加熱部50からの光Lが、基板Wの周縁部Wpの所定領域に照射される。当該領域は、基板Wと遮光部材60との離隔距離、及び、開口52aの傾斜角θによって調節されうる。なお、当該領域は、基板Wの周縁部Wpの上面Wuにおいて、基板Wの外周縁から1.5mmまでの範囲であってもよいし、基板Wの外周縁から1mmまでの範囲であってもよいし、基板Wの外周縁から0.75mmまでの範囲であってもよい。
【0056】
一方、図6(b)に例示されるように、基板Wと遮光部材60との離隔距離が大きくなるように、駆動部70が周縁加熱部50及び遮光部材60を上昇させてもよい。この場合、遮光部材60の外周縁に沿った形状に整えられた後の周縁加熱部50からの光Lが、基板Wの周縁部Wpの外側の空間を通過し、基板Wの周縁部Wpに照射されない。
【0057】
このように、駆動部70は、図6(a)に例示される第1の位置と、図6(a)に例示される第2の位置との間で、周縁加熱部50及び遮光部材60を上下動させるように構成されている。当該第1の位置は、周縁加熱部50からの光が基板Wの周縁部Wpに到達するように周縁加熱部50からの光Lを遮光部材60が部分的に遮光する位置である(図6(a)参照)。当該第2の位置は、周縁加熱部50からの光が基板Wの周縁部Wpに到達しないように周縁加熱部50からの光Lを遮光部材60が遮光する位置である(図6(b)参照)。この場合、周縁加熱部50からの光Lの照射が継続されたまま、基板Wの周縁部Wpへの光の到達が遮蔽される。そのため、周縁加熱部50からの光Lの照射がオフの状態からオンの状態となり定常状態に至るまでの期間を待つことなく、基板Wを効率的に処理することが可能となる。また、周縁加熱部50の光のオン・オフの繰り返しに伴う光源51の劣化を抑制することが可能となる。
【0058】
以上の例によれば、筐体52は、光源51の周囲を覆っており、基板Wの周縁部Wpに向けて開放された開口52aを含んでいる。そのため、光源51からの光と、筐体52の内面で反射した光とが、開口52aを通じて、基板Wの周縁部Wpに照射される。したがって、光源51の光エネルギーを効率的に基板Wの周縁部Wpの加熱に用いることが可能となる。
【0059】
以上の例によれば、開口52aが、斜め下方で且つ基板Wの径方向外方に向けて傾斜して開放されている。そのため、基板Wと遮光部材60との離隔距離が駆動部70によって変動することと相俟って、周縁加熱部50から基板Wの周縁部Wpに照射される光の範囲をより精度よく変更することが可能となる。
【0060】
以上の例によれば、周縁加熱部50は、基板Wの周縁部Wpを400℃以上に加熱するように構成されており、中央加熱部13は、基板Wの中央部Wcを400℃以下に加熱するように構成されうる。この場合、基板Wの周縁部Wpが400℃以上に加熱されるため、エネルギー線による原子同士の結合の切断や、エネルギー線によって切断された原子への酸素原子の結合がより活発化する傾向にある。一方、基板Wの中央部Wcが400℃以下に加熱されるため、基板Wの周縁部Wpと中央部Wcとの温度差が小さくなり、基板Wの反りが生じ難くなる。そのため、基板Wの中央部Wcへの加熱量が比較的低いこととも相俟って、基板Wの中央部Wcに形成されている電子部品が損傷し難くなる。以上より、基板Wの中央部Wcに形成されている電子部品の損傷を抑制しつつ、基板Wの周縁部Wpの膜を、比較的高いエッチングレートでエッチングすることが可能となる。
【0061】
以上の例によれば、照射部40は、基板Wの周縁部Wpを外側から取り囲むように、基板Wの周縁部Wpに沿って略円弧状又は略環状に延びている。そのため、基板Wの周縁部Wpの全周にわたって、略均等に、照射部40からエネルギー線が照射される。したがって、基板Wの周縁部Wpの膜を、比較的高いエッチングレートで略均等にエッチングすることが可能となる。
【0062】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0063】
(1)図7に例示されるように、駆動部70は、周縁加熱部50には接続されておらず、遮光部材60に接続されており、遮光部材60を上下動させるように構成されていてもよい。具体的には、図7(a)に例示されるように、基板Wと遮光部材60との離隔距離が小さくなるように、駆動部70が遮光部材60を降下させてもよい。この場合、遮光部材60の外周縁に沿った形状に整えられた後の周縁加熱部50からの光Lが、基板Wの周縁部Wpの所定領域に照射される。一方、図7(b)に例示されるように、基板Wと遮光部材60との離隔距離が大きくなるように、駆動部70が遮光部材60を上昇させてもよい。この場合、遮光部材60の外周縁に沿った形状に整えられた後の周縁加熱部50からの光Lが、基板Wの周縁部Wpの外側の空間を通過し、基板Wの周縁部Wpに照射されない。
【0064】
(2)図示はしていないが、昇降部30が回転保持部10を昇降させることにより、基板Wと遮光部材60との離隔距離が変更されてもよい。
【0065】
(3)図8に例示されるように、開口52aは、斜め下方で且つ基板Wの径方向内方に向けて傾斜して開放されていてもよい。この場合、光源51からの光は、開口52aを通じて、斜め下方で且つ基板Wの径方向内方に向けて照射される。図8の例では、遮光部材60は、基板Wの直径よりも大きい直径(外径)を有している。なお、図8の例の場合も、鉛直方向に対する開口52aの傾斜角θは、例えば、1°~20°程度であってもよいし、2°~5°程度であってもよい。
【0066】
図8(a)に例示されるように、基板Wと遮光部材60との離隔距離が大きくなるように、駆動部70が遮光部材60を上昇させてもよい。この場合、遮光部材60の外周縁に沿った形状に整えられた後の周縁加熱部50からの光Lが、基板Wの周縁部Wpの所定領域に照射される。一方、図8(b)に例示されるように、基板Wと遮光部材60との離隔距離が小さくなるように、駆動部70が遮光部材60を降下させてもよい。この場合、遮光部材60の外周縁に沿った形状に整えられた後の周縁加熱部50からの光Lが、基板Wの周縁部Wpの外側の空間を通過し、基板Wの周縁部Wpに照射されない。
【0067】
(4)図9に例示されるように、エッチングユニットU3は、反射部材90さらに備えていてもよい。反射部材90は、基板Wの周縁部Wpの下方に位置していてもよい。反射部材90は、基板Wの周縁部Wpを外側から取り囲むように、基板Wの周縁部Wpに沿って略円弧状又は略環状に延びていてもよい。ここで、略円弧状の反射部材90は、基板Wの周縁部Wpの大部分を外側から取り囲むが一部が途切れている優弧状の反射部材90を含んでいてもよい。略円弧状の反射部材90は、基板Wの周縁部Wpを部分的に外側から取り囲み、且つ、全体として略円形をなすように基板Wの周縁部Wpに沿って並ぶ、複数の弧状の反射部材90を含んでいてもよい。略環状の反射部材90は、基板Wの周縁部Wpの全体を外側から取り囲む無端状の反射部材90を含んでいてもよい。
【0068】
反射部材90は、周縁加熱部50から照射された光のうち基板Wの周縁部Wpの外側を通過したエネルギー線を、基板Wの周縁部Wpに向けて反射するように構成されている。反射部材90は、例えば、反射した光を、主として基板Wの周縁部Wpの下面Wl及び/又は端面Weに向けて反射するように構成されていてもよい。この場合、基板Wの周縁部Wpの下面Wl及び/又は端面Weに対して、周縁加熱部50からの光が反射部材90において反射した反射光が照射される。そのため、基板Wの周縁部Wpのうち上面Wuから下面Wlにかけて設けられている膜を、略同時にエッチングすることが可能となる。なお、基板Wの周縁部Wpの下面Wlに照射される反射光の領域は、基板Wの外周縁から7mmまでの範囲であってもよいし、基板Wの外周縁から5mmまでの範囲であってもよいし、基板Wの外周縁から3mmまでの範囲であってもよい。
【0069】
図9の例において、エッチングユニットU3は、駆動部100(別の駆動部)をさらに備えていてもよい。駆動部100は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、基板Wと反射部材90との離隔距離を変更するように構成されている。駆動部100は、例えば、リニアアクチュエータなどによって構成されていてもよい。駆動部100によって、基板Wと反射部材90との離隔距離が変更されるのに応じて、基板Wの周縁部Wpに照射される反射部材90からの反射光の範囲が変動する。そのため、基板Wの周縁部Wpのうち下面Wlに設けられている比較的硬度の高い膜をエッチングする領域を適宜調節することが可能となる。
【0070】
(5)図10に例示されるように、エッチングユニットU3は、周縁加熱部110(別の周縁加熱部)をさらに備えていてもよい。周縁加熱部110は、基板Wの下方に位置するように配置されており、基板Wの周縁部Wpを下方から加熱するように構成されている。周縁加熱部110は、周縁加熱部50と同様に、基板Wの周縁部Wpに沿って略円弧状又は略環状を呈していてもよい。周縁加熱部110は、上方から見て基板Wの周縁部Wpと重なり合うように位置していてもよい。周縁加熱部110は、光源111と、筐体112とを含む。
【0071】
光源111は、光源51と同様、基板Wの周縁部Wpに光を照射することにより当該周縁部Wpを加熱する赤外線ランプであってもよい。筐体112は、筐体52と同様、光源111の周囲を覆うように、断面が略U字状を呈していてもよい。すなわち、筐体112は、上方に向けて開放された開口を含んでいてもよい。この場合、基板Wの周縁部Wpの下面Wl及び/又は端面Weに対して、周縁加熱部110からの光が照射される。そのため、基板Wの周縁部Wpのうち上面Wuから下面Wlにかけて設けられている膜を、略同時にエッチングすることが可能となる。
【0072】
周縁加熱部110は、周縁加熱部50と同様に、図示しない駆動部によって昇降されてもよい。また、周縁加熱部110は、周縁加熱部50と同様に、筐体112の内部空間に冷媒が循環するように構成されていてもよい。
【0073】
図示してはいないが、周縁加熱部110と基板Wとの間に、遮光部材60と同様の別の遮光部材が配置されていてもよい。この場合も、周縁加熱部110からの少なくとも一部の光が当該別の遮光部材によって遮光される。そのため、基板Wの周縁部Wpの下面Wlには、周縁加熱部110からの光が、当該別の遮光部材の外周縁に沿った形状にて照射される。したがって、当該別の遮光部材の外周縁の形状に基づいて、基板Wの周縁部Wpの下面Wlに対して精度よく光が照射されるので、基板Wの周縁部Wpの下面Wlに設けられている比較的硬度の高い膜を高精度にエッチングすることが可能となる。
【0074】
(6)上記の例では、ブロアBLによって、窓部43と基板Wの周縁部Wpとの間の空間に空気を供給していたが、当該空間に酸素含有ガス又はオゾンガスが供給されてもよい。酸素含有ガスは、空気であってもよいし、乾き空気(水蒸気及び二酸化炭素を含まない空気)であってもよい。ブロアBLに代えて、酸素含有ガス又はオゾンガスの供給源を含むガス供給装置を用いて、当該空間に酸素含有ガス又はオゾンガスが供給されてもよい。
【0075】
(7)上記の例では、冷却部80によって、周縁加熱部50及び遮光部材60が同時に冷却されていたが、冷却部80は、周縁加熱部50及び遮光部材60の少なくとも一方を冷却するように構成されていてもよい。独立した二つの冷却部80によって、周縁加熱部50及び遮光部材60がそれぞれ別個に冷却されてもよい。
【0076】
(8)周縁加熱部50から基板Wの周縁部Wpに照射される光は、平行光であってもよいし、基板Wの周縁部Wpにおいて焦点が合うように集光された光であってもよい。
【0077】
[実験例]
以下に、いくつかの実験結果を挙げて本技術の内容をより詳細に説明するが、特許請求の範囲及びその要旨は、以下の実験結果に限定されるものではない。
【0078】
以下の実験例では、異なる種類のアモルファスカーボンで構成された保護膜A,Bがそれぞれ表面に設けられた2種類の試験片を用意した。試験片は、基板Wを小片に切断することによって得た。なお、保護膜Aは、保護膜Bよりも硬度が小さかった(保護膜Bよりも柔らかかった)。
【0079】
また、以下の実験例では、図3に例示されるエッチングユニットU3とは異なり、基板Wの上方に配置された照射部を備えるエッチングユニットを用いた。照射部は、複数の直管状の光源と、複数の反射部材と、これらを内部に収容する筐体と、窓部とを含んでいた。複数の光源は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、紫外線を基板Wの上面Wuに向けて照射するように構成されていた。複数の光源は、基板Wの上面Wuに対して平行となる方向に沿って所定間隔で並んでいた。複数の反射部材はそれぞれ、対応する光源と、筐体の天壁との間に位置しており、光源から筐体の天壁側に向けて照射されたエネルギー線を、窓部に向けて反射するように構成されていた。窓部は、筐体の底壁に設けられた貫通孔を封止するように、貫通孔に取り付けられていた。窓部は、基板Wの上面Wuに沿う平坦な形状を呈していた。また、当該エッチングユニットは周縁加熱部50を備えておらず、保持部11に保持された試験片を中央加熱部13によって所定温度まで加熱した。
【0080】
(実験例1)
窓部と試験片の上面とのギャップ(直線距離)を1.2mmに設定した状態で、各試験片を回転保持部10に載置して、窓部と回転保持部10の間の空間に乾き空気を供給しつつ、波長が172nmの紫外線を照射部から試験片の表面に照射した。その際、試験片がそれぞれ異なる温度(150℃、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃)となるように試験片を加熱した。その結果を、図11(a)に示す。なお、図11(a)は、縦軸が対数表示された片対数グラフである。
【0081】
図11(a)に示されるように、試験片の温度が高くなるほど、エッチングレートが大きくなることが確認された。特に、試験片の温度が400℃の場合、保護膜Aについてはエッチングレートが588.6nm/min、保護膜Bについてはエッチングレートが274.5nm/minであり、極めて大きなエッチングレートが得られた。
【0082】
(実験例2)
実験例2では、窓部と試験片の上面とのギャップ(直線距離)を2.2mmに設定した以外は、実験例1と同様に試験片を処理した。その結果を、図11(b)に示す。なお、図11(b)は、縦軸が対数表示された片対数グラフである。図11(b)に示されるように、実験例2においても実施例1と同様に、試験片の温度が高くなるほど、エッチングレートが大きくなることが確認された。
【0083】
(実験例3)
実験例3では、窓部と試験片の上面とのギャップ(直線距離)を3.2mmに設定した以外は、実験例1と同様に試験片を処理した。その結果を、図12(a)に示す。なお、図12(a)は、縦軸が対数表示された片対数グラフである。図12(a)に示されるように、実験例3においても実験例1と同様に、試験片の温度が高くなるほど、エッチングレートが大きくなることが確認された。
【0084】
ここで、試験片を400℃で加熱したときの、ギャップとエッチングレートとの関係を、図13(a)に示す。図13(a)に示されるように、保護膜A,Bのどちらの場合においても、ギャップが小さいほどエッチングレートが大きくなることが確認された。また、ギャップを1.2mmに設定した状態で試験片を300℃で加熱したときの、紫外線の照射時間とエッチング量との関係を、図13(b)に示す。図13(b)に示されるように、保護膜A,Bのどちらの場合においても、エッチング量は、紫外線の照射時間にほぼ比例することが確認された。
【0085】
(実験例4)
実験例4では、照射部から試験片に紫外線を照射せずに、試験片がそれぞれ異なる温度(400℃、450℃、500℃、550℃、600℃)となるように試験片を加熱した以外は、実験例1と同様に基板Wを処理した。すなわち、乾き空気の雰囲気とした状態で試験片を加熱して、保護膜A,Bをエッチングした。その結果を、図12(b)に示す。なお、図12(b)は、縦軸が対数表示された片対数グラフである。図12(b)に示されるように、試験片の温度が高くなるほどエッチングレートが大きくなるが、実験例1~3の場合よりもエッチングレートが大きく下回ることが確認された。
【0086】
(実験例5)
実験例5では、窓部のうち試験片と対面する領域を遮光した状態で照射部から試験片に紫外線を照射し、試験片が400℃となるように試験片を加熱した以外は、実験例1と同様に試験片を処理した。すなわち、試験片に紫外線を直接照射することなく、オゾンガスの雰囲気とした状態で試験片を加熱して、保護膜A,Bをエッチングした。その結果を、図14(a)に示す。図14(a)に示されるように、実験例4において400℃で試験片を処理した結果と比較して、オゾンガスの雰囲気では大きなエッチングレートが得られることが確認された。
【0087】
(実験例6,7)
実験例6では、窓部と試験片の上面とのギャップ(直線距離)を1.4mmに設定し、試験片が250℃となるように試験片を加熱した以外は、実験例1と同様に試験片を処理した。実験例7では、窓部と回転保持部10の間の空間に窒素ガスを供給した以外は、実験例6と同様に試験片を処理した。すなわち、実験例7では、窒素ガスの雰囲気とした状態で試験片を加熱して、保護膜A,Bをエッチングした。これらの結果を、図14(b)に示す。図14(b)に示されるように、窒素ガスの雰囲気では保護膜A,Bのエッチングがほぼ進行しないことが確認された。
【0088】
[他の例]
例1.基板処理装置の一例は、185nm以下の波長を有するエッチング用のエネルギー線を基板の周縁部に向けて照射するように構成された照射部と、基板の周縁部に酸素含有ガス又はオゾンガスを供給するように構成された供給部と、基板の上方に位置するように配置され、基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延び、且つ、基板の周縁部に光を照射することにより基板の周縁部を加熱するように構成された周縁加熱部と、基板と周縁加熱部との間に配置され、周縁加熱部から基板の周縁部に向けて照射された光の少なくとも一部を遮光するように構成された遮光部材と、基板と遮光部材との離隔距離を変更するように構成された駆動部とを備える。この場合、185nm以下の波長を有する比較的高エネルギーのエネルギー線が基板の周縁部に照射されるので、基板の周縁部に設けられている膜を構成する原子同士の結合が容易に切断されうる。また、基板の周縁部に酸素含有ガス又はオゾンガスが供給されるので、エネルギー線によって切断された原子が、再結合せずに、酸素原子と結合する傾向にある。さらに、周縁加熱部によって基板の周縁部が加熱されているので、エネルギー線による原子同士の結合の切断や、エネルギー線によって切断された原子への酸素原子の結合が活発化する傾向にある。以上によれば、プラズマを用いることなく、基板の周縁部に設けられている比較的硬度の高い膜を比較的高いエッチングレートでエッチングすることが可能となる。また、例1の場合、遮光部材によって、周縁加熱部から基板の周縁部に向けて照射された光の少なくとも一部が遮光される。そのため、基板の周縁部には、遮光部材の外周縁に沿った形状にて光が照射される。したがって、遮光部材の外周縁の形状に基づいて、基板の周縁部に対して精度よく光が照射されるので、基板の周縁部に設けられている比較的硬度の高い膜を高精度にエッチングすることが可能となる。さらに、例1の場合、基板と遮光部材との離隔距離が駆動部によって変更される。そのため、この離隔距離の変更に応じて、周縁加熱部から基板の周縁部に照射される光の範囲が変動する。したがって、基板の周縁部に設けられている比較的硬度の高い膜をエッチングする領域を適宜調節することが可能となる。
【0089】
例2.例1の装置において、周縁加熱部は、基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延びる光源と、光源の周囲を覆う筐体とを含み、筐体は、基板の周縁部に向けて開放された開口を含んでいてもよい。この場合、光源からの光と、筐体の内面で反射した光とが、開口を通じて、基板の周縁部に照射される。そのため、光源の光エネルギーを効率的に基板の周縁部の加熱に用いることが可能となる。
【0090】
例3.例2の装置において、開口は、斜め下方に向けて傾斜して開放されていてもよい。この場合、基板と遮光部材との離隔距離た駆動部によって変動すること相俟って、周縁加熱部から基板の周縁部に照射される光の範囲をより精度よく変更することが可能となる。
【0091】
例4.例3の装置において、開口は、斜め下方で且つ基板の径方向外方に向けて傾斜して開放されており、遮光部材は、基板の直径よりも小さい直径を有する円形状又は円環状を呈していてもよい。この場合、例3と同様の作用効果が得られる。
【0092】
例5.例3の装置において、開口は、斜め下方で且つ基板の径方向内方に向けて傾斜して開放されており、遮光部材は、基板の直径よりも大きい直径を有する円形状又は円環状を呈していてもよい。この場合、例3と同様の作用効果が得られる。
【0093】
例6.例1~例5のいずれかの装置において、駆動部は、周縁加熱部からの光が基板の周縁部に到達しないように周縁加熱部からの光を遮光部材が遮光する位置と、周縁加熱部からの光が基板の周縁部に到達するように周縁加熱部からの光を遮光部材が部分的に遮光する位置との間で、前記基板及び遮光部材の少なくとも一方を上下動させるように構成されていてもよい。この場合、周縁加熱部からの光の照射が継続されたまま、基板の周縁部への光の到達が遮蔽される。そのため、周縁加熱部からの光の照射がオフの状態からオンの状態となり定常状態に至るまでの期間を待つことなく、基板を効率的に処理することが可能となる。また、周縁加熱部の光のオン・オフの繰り返しに伴う劣化を抑制することが可能となる。
【0094】
例7.例1~例6のいずれかの装置において、基板を保持して回転させるように構成された回転保持部をさらに備えていてもよい。この場合、基板が回転しつつ、基板の周縁部への加熱とエネルギー線の照射とが行われる。そのため、基板の周縁部の全周にわたって、略均等に、加熱及びエネルギー線の照射がなされうる。したがって、基板の周縁部の膜を、比較的高いエッチングレートで略均等にエッチングすることが可能となる。
【0095】
例8.例1~例7のいずれかの装置は、基板の中央部を加熱するように構成された中央加熱部をさらに備え、周縁加熱部は、基板の周縁部を400℃以上に加熱するように構成されており、中央加熱部は、基板の中央部を400℃以下に加熱するように構成されていてもよい。この場合、基板の周縁部が400℃以上に加熱されるため、エネルギー線による原子同士の結合の切断や、エネルギー線によって切断された原子への酸素原子の結合がより活発化する傾向にある。一方、基板の中央部が400℃以下に加熱されるため、基板の周縁部と中央部との温度差が小さくなり、基板の反りが生じ難くなる。そのため、基板の中央部への加熱量が比較的低いこととも相俟って、基板の中央部に形成されている電子部品が損傷し難くなる。以上より、基板の中央部に形成されている電子部品の損傷を抑制しつつ、基板の周縁部の膜を、比較的高いエッチングレートでエッチングすることが可能となる。
【0096】
例9.例1~例8のいずれかの装置は、基板の下方に位置するように配置され、周縁加熱部から照射された光のうち基板の周縁部の外側を通過した光を、基板の周縁部に向けて反射するように構成された反射部材をさらに備えていてもよい。この場合、基板の周縁部の下面及び/又は端面に対して、周縁加熱部からの光が反射部材において反射した反射光が照射される。そのため、基板の周縁部のうち上面から下面にかけて設けられている膜を、略同時にエッチングすることが可能となる。
【0097】
例10.例9の装置は、基板と反射部材との離隔距離を変更するように構成された別の駆動部をさらに備えていてもよい。この場合、基板と反射部材との離隔距離が別の駆動部によって変更される。そのため、この離隔距離の変更に応じて、基板の周縁部に照射される反射部材からの反射光の範囲が変動する。したがって、基板の周縁部のうち下面に設けられている比較的硬度の高い膜をエッチングする領域を適宜調節することが可能となる。
【0098】
例11.例1~例8のいずれかの装置は、基板の下方に位置するように配置され、基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延び、且つ、基板の周縁部に光を照射することにより基板の周縁部を加熱するように構成された別の周縁加熱部をさらに備えていてもよい。この場合、基板の周縁部の下面及び/又は端面に対して、別の周縁加熱部からの光が照射される。そのため、基板の周縁部のうち上面から下面にかけて設けられている膜を、略同時にエッチングすることが可能となる。
【0099】
例12.例1~例11のいずれかの装置において、照射部は、基板の周縁部を外側から取り囲むように、基板の周縁部に沿って略円弧状又は略環状に延びていてもよい。この場合、基板の周縁部の全周にわたって、略均等に、照射部からエネルギー線が照射される。そのため、基板の周縁部の膜を、比較的高いエッチングレートで略均等にエッチングすることが可能となる。
【0100】
例13.例1~例12のいずれかの装置は、周縁加熱部及び/又は遮光部材を冷媒との熱交換により冷却するように構成された冷却部をさらに備えていてもよい。この場合、光源から照射される光エネルギーによって周縁加熱部及び/又は遮光部材が加熱されても、その熱が冷媒によって冷却される。そのため、周縁加熱部及び/又は遮光部材の変形が抑制される。したがって、周縁加熱部から基板の周縁部に対して、光をより高精度に照射することが可能となる。
【0101】
例14.例1~例13のいずれかの装置において、駆動部は、遮光部材を単独で上下動させるように構成されているか、又は、周縁加熱部及び遮光部材を共に上下動させるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…基板処理システム(基板処理装置)、10…回転保持部、13…中央加熱部、40…照射部、50…周縁加熱部、51…光源、52…筐体、52a…開口、60…遮光部材、70…駆動部、80…冷却部、90…反射部材、100…駆動部(別の駆動部)、110…周縁加熱部(別の周縁加熱部)、BL…ブロア(供給部)、U3…エッチングユニット(基板処理装置)、W…基板、Wu…上面、Wp…周縁部。
図1
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