(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140404
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】結合材、セメント組成物、及びコンクリート組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 7/19 20060101AFI20241003BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20241003BHJP
C04B 22/12 20060101ALI20241003BHJP
C04B 28/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C04B7/19 ZAB
C04B22/08 B
C04B22/12
C04B28/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051533
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】桐山 宏和
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼原 幸之助
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智章
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB04
4G112MB08
4G112PA02
4G112PB07
4G112PB09
4G112PC03
4G112PC04
(57)【要約】
【課題】水和熱による温度上昇量を低減することが可能なコンクリート組成物、並びに、このようなコンクリート組成物の製造に有用な結合材及びセメント組成物を提供すること。
【解決手段】セメントと、高炉スラグ微粉末とを含む、結合材が提供される。セメント中の、C3Sの含有量は、25.0質量%以上45.0質量%以下であり、C3Aの含有量は、2.5質量%以上6.5質量%以下であり、かつSO3の含有量は、1.5質量%以上3.0質量%以下である。結合材100質量部中のセメントの含有量は、20.0質量部以上40.0質量部以下である。結合材100質量部中の高炉スラグ微粉末の含有量は、60.0質量部以上80.0質量部以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと、高炉スラグ微粉末とを含む、結合材であって、
前記セメント中の、C3Sの含有量が、25.0質量%以上45.0質量%以下であり、C3Aの含有量が、2.5質量%以上6.5質量%以下であり、かつSO3の含有量が、1.5質量%以上3.0質量%以下であり、
前記結合材100質量部中の前記セメントの含有量が、20.0質量部以上40.0質量部以下であり、
前記結合材100質量部中の前記高炉スラグ微粉末の含有量が、60.0質量部以上80.0質量部以下である、結合材。
【請求項2】
石膏をさらに含み、
前記結合材100質量部中の前記石膏の含有量が、0質量部より大きく3.5質量部以下である、請求項1に記載の結合材。
【請求項3】
前記石膏が、二水石膏、半水石膏、及び無水石膏からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項2に記載の結合材。
【請求項4】
前記高炉スラグ微粉末中の酸化アルミニウムの含有量が、14.5質量%以下である、請求項1に記載の結合材。
【請求項5】
請求項1に記載の結合材と、硬化促進剤とを含む、セメント組成物。
【請求項6】
前記硬化促進剤の含有量が、前記結合材100質量部に対して、前記硬化促進剤を固形分量で0.23質量部以上3.60質量部以下である、請求項5に記載のセメント組成物。
【請求項7】
前記硬化促進剤が、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項5又は6に記載のセメント組成物。
【請求項8】
前記硬化促進剤が、カルシウム塩を含む、請求項5又は6に記載のセメント組成物。
【請求項9】
前記硬化促進剤が、一価の陰イオンを有する塩を含む、請求項5又は6に記載のセメント組成物。
【請求項10】
前記硬化促進剤が、亜硝酸塩、硝酸塩、及び塩化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項5又は6に記載のセメント組成物。
【請求項11】
請求項5に記載のセメント組成物と、水と、細骨材と、粗骨材と、減水剤とを含み、
前記結合材の含有量が、コンクリート組成物1m3を基準として、250kg/m3以上600kg/m3以下であり、
前記水の含有量が、前記結合材100質量部に対して、25質量部以上60質量部以下である、コンクリート組成物。
【請求項12】
前記減水剤が、高性能AE減水剤を含む、請求項11に記載のコンクリート組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、結合材、セメント組成物、及びコンクリート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策の要求が高まり、コンクリート製造におけるCO2発生量の低減が求められている。CO2発生量を低減する方法として、調製時におけるCO2発生量の大きなセメントクリンカの一部を、混合材に置き換えてコンクリートを製造する方法が広く検討されている。混合材の中でも、高炉スラグ微粉末等の鉄鋼スラグは、コンクリートの長期強度増進及び塩分遮蔽効果の向上を期待できる。そのため、混合材として鉄鋼スラグを用い、その混合比率を高めたコンクリートの研究が進められている。例えば、特許文献1には、結合材として高炉スラグ組成物を用いたコンクリート組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高炉スラグ微粉末をセメントに対して60質量%以上置換したコンクリート組成物は、結合材と水との水和反応で発生する水和熱によるコンクリートの温度上昇量を抑制でき、温度ひび割れ抵抗性に優れることで知られる。しかし、高炉スラグ微粉末を含むコンクリートの自己収縮は温度依存性が高く、温度が上昇するほど大きくなる傾向がある。コンクリートの自己収縮が大きいほど、温度ひび割れ抵抗性には不利に働く。そのため、可能な限りでコンクリートの温度上昇量を抑えることで、自己収縮の増大を抑え、かつ、部材温度のさらなる低減を図ることができるため、温度ひび割れ抵抗性の向上につながる。
【0005】
そこで、本開示は、水和熱による温度上昇量を低減することが可能なコンクリート組成物を提供することを目的とする。また、本開示は、このようなコンクリート組成物の製造に有用な結合材及びセメント組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、高炉スラグ微粉末を高含有率で含むコンクリート組成物におけるベースセメントを、一般的に用いられている普通ポルトランドセメントから中庸熱ポルトランドセメント等の所定のセメントに変更することを検討した。その際に、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリート組成物と所定のセメントを用いたコンクリート組成物とを圧縮強度が同一強度になるように調整して検討したところ、所定のセメントを用いたコンクリート組成物は、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリート組成物に比べて、単位結合材量(又は単位セメント量)が大きくなることが判明した。通常、単位結合材量が大きくなるにつれて、水和熱による温度上昇量は大きくなる傾向がある。そのため、所定のセメントを用いたコンクリート組成物の方が、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリート組成物よりも水和熱による温度上昇量が大きくなることが予想されるところ、所定のセメントを用いたコンクリート組成物の方が、水和熱による温度上昇量が小さくなることを見出し、本開示の発明を完成するに至った。
【0007】
本開示は、[1]~[12]を含む。
[1]セメントと、高炉スラグ微粉末とを含む、結合材であって、
前記セメント中の、C3Sの含有量が、25.0質量%以上45.0質量%以下であり、C3Aの含有量が、2.5質量%以上6.5質量%以下であり、かつSO3の含有量が、1.5質量%以上3.0質量%以下であり、
前記結合材100質量部中の前記セメントの含有量が、20.0質量部以上40.0質量部以下であり、
前記結合材100質量部中の前記高炉スラグ微粉末の含有量が、60.0質量部以上80.0質量部以下である、結合材。
[2]石膏をさらに含み、
前記結合材100質量部中の前記石膏の含有量が、0質量部より大きく3.5質量部以下である、[1]に記載の結合材。
[3]前記石膏が、二水石膏、半水石膏、及び無水石膏からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、[2]に記載の結合材。
[4]前記高炉スラグ微粉末中の酸化アルミニウムの含有量が、14.5質量%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の結合材。
[5][1]に記載の結合材と、硬化促進剤とを含む、セメント組成物。
[6]前記硬化促進剤の含有量が、前記結合材100質量部に対して、前記硬化促進剤を固形分量で0.23質量部以上3.60質量部以下である、[5]に記載のセメント組成物。
[7]前記硬化促進剤が、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、[5]又は[6]に記載のセメント組成物。
[8]前記硬化促進剤が、カルシウム塩を含む、[5]~[7]のいずれかに記載のセメント組成物。
[9]前記硬化促進剤が、一価の陰イオンを有する塩を含む、[5]~[8]のいずれかに記載のセメント組成物。
[10]前記硬化促進剤が、亜硝酸塩、硝酸塩、及び塩化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、[5]~[9]のいずれかに記載のセメント組成物。
[11][5]~[10]のいずれかに記載のセメント組成物と、水と、細骨材と、粗骨材と、減水剤とを含み、
前記結合材の含有量が、コンクリート組成物1m3を基準として、250kg/m3以上600kg/m3以下であり、
前記水の含有量が、前記結合材100質量部に対して、25質量部以上60質量部以下である、コンクリート組成物。
[12]前記減水剤が、高性能AE減水剤を含む、[11]に記載のコンクリート組成物。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、水和熱による温度上昇量を低減することが可能なコンクリート組成物が提供される。このようなコンクリート組成物は、温度ひび割れ抵抗性の点においても優れる。また、本開示は、このようなコンクリート組成物の製造に有用な結合材及びセメント組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本明細書中、以下で例示する材料は、特に断らない限り、条件に該当する範囲で、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。各成分の含有量は、各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
【0012】
[結合材]
結合材は、セメントと、高炉スラグ微粉末とを含む。
【0013】
<セメント>
セメントは、セメントクリンカと石膏(以下、「石膏A」という場合がある。)とを含む。セメントクリンカは、例えば、JIS R 5210:2009「ポルトランドセメント」に規定される、中庸熱ポルトランドセメントクリンカであってよい。セメントは、コンクリート組成物を硬化させた際の水和熱による温度上昇量を低減できることから、中庸熱ポルトランドセメントクリンカと石膏Aとを含む中庸熱ポルトランドセメントであってよい。
【0014】
石膏Aとしては、二水石膏(CaSO4・2H2O)、半水石膏(CaSO4・1/2H2O)、無水石膏(CaSO4)等が挙げられる。
【0015】
セメント中の、C3Sの含有量は、25.0質量%以上45.0質量%以下であり、C3Aの含有量は、2.5質量%以上6.5質量%以下であり、かつSO3の含有量は、1.5質量%以上3.0質量%以下である。中庸熱ポルトランドセメントは、これらの含有量の条件を満たし得る。
【0016】
セメント中の鉱物組成は、Bogue式によって算出することができる。ここで、Bogue式とは、セメント中の化学成分の含有量からセメント中の主要鉱物の含有量を算定する式として広く用いられているものである。下記に示すBogue式を用いることによって、セメント中の、C3S(ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2))、C2S(ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2))、C3A(アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al2O3))、及びC4AF(鉄アルミン酸四カルシウム(4CaO・Al2O3・Fe2O3))の含有量を算出することができる。なお、下記式中のCaO(酸化アルミニウム)、SiO2(二酸化ケイ素)、Al2O3(酸化アルミニウム)、Fe2O3(酸化鉄)、及びSO3(三酸化硫黄)で示される化学式は、JIS R 5202:2015「セメントの化学分析方法」又はJIS R 5204:2019「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠して測定される、セメント中の各化学成分の含有量(質量%)を意味する。また、下記式中の「%」は、「質量%」を意味する。
【0017】
・Bogue式
C3S[%]=(4.07×CaO[%])-(7.60×SiO2[%])-(6.72×Al2O3[%])-(1.43×Fe2O3[%])-(2.85×SO3[%])
C2S[%]=(2.87×SiO2[%])-(0.754×C3S[%])
C3A[%]=(2.65×Al2O3[%])-(1.69×Fe2O3[%])
C4AF[%]=3.04×Fe2O3[%]
【0018】
セメント中のC3Sの含有量は、25.0質量%以上であり、28.0質量%以上又は30.0質量%以上であってもよい。セメント中のC3Sの含有量が25.0質量%以上であることにより、初期材齢(材齢7日以下)の圧縮強度の発現を確保することができる。セメント中のC3Sの含有量は、45.0質量%以下であり、42.0質量%以下又は40.0質量%以下であってもよい。セメント中のC3Sの含有量が45.0質量%以下であることにより、材齢28日の圧縮強度の発現を確保しつつ、水和熱による温度上昇量を低減することができる。
【0019】
セメント中のC3Aの含有量は、2.5質量%以上であり、3.0質量%以上又は3.5質量%以上であってもよい。セメント中のC3Aの含有量が2.5質量%以上であることにより、コンクリート組成物を硬化させた際の初期の強度発現性の低下をより抑制できる。セメント中のC3Aの含有量は、6.5質量%以下であり、6.0質量%以下又は5.5質量%以下であってもよい。セメント中のC3Aの含有量が6.5質量%以下であることにより、エトリンガイトの生成を抑制し、水和熱による温度上昇量を低減することができる。
【0020】
セメント中のSO3の含有量は、1.5質量%以上であり、1.8質量%以上又は2.0質量%以上であってもよい。セメント中のSO3の含有量が1.5質量%以上であることにより、自己収縮をある程度低減することができる。セメント中のSO3の含有量は、3.0質量%以下であり、2.9質量%以下又は2.8質量%以下であってもよい。セメント中のSO3の含有量が3.0質量%以下であることにより、コンクリート組成物を硬化させた際の長期の強度発現性が低下することをより抑制できる。
【0021】
セメントのブレーン比表面積は、例えば、2800cm2/g以上又は3000cm2/g以上であってよい。セメントのブレーン比表面積が2800cm2/g以上であることにより、高炉スラグ微粉末との水和反応をより増進させることができる。セメントのブレーン比表面積は、例えば、10000cm2/g以下、5000cm2/g以下、4000cm2/g以下、又は3500cm2/g以下であってよい。セメントのブレーン比表面積が10000cm2/g以下であることにより、製造コストを低減することができ、セメントの製造におけるCO2排出量をより低減することができる。
【0022】
本明細書において、ブレーン比表面積は、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠して測定した値を意味する。
【0023】
結合材100質量部中のセメントの含有量は、20.0質量部以上40.0質量部以下である。結合材100質量部中のセメントの含有量は、22.0質量部以上又は25.0質量部以上であってもよく、38.0質量部以下又は36.0質量部以下であってもよい。結合材100質量部中のセメントの含有量がこのような範囲であることにより、結合材におけるCO2発生量が大きいセメントの割合が減ることから、コンクリート組成物の製造におけるCO2発生量を抑制することができる。
【0024】
<高炉スラグ微粉末>
高炉スラグ微粉末は、例えば、市販のものを使用してもよく、高炉スラグ微粉末に相当するスラグを自ら調製して使用してもよい。
【0025】
高炉スラグ微粉末中のAl2O3(酸化アルミニウム)の含有量は、例えば、14.5質量%以下、14.0質量%以下、13.5質量%以下、又は13.0質量%以下であってよい。高炉スラグ微粉末中のAl2O3の含有量が14.5質量%以下であることにより、得られるコンクリート組成物を硬化させた際の長期の強度発現性が低下することをより抑制できる。高炉スラグ微粉末中のAl2O3の含有量は、例えば、8質量%以上、10質量%以上、又は12質量%以上であってよい。高炉スラグ微粉末中のAl2O3の含有量が8質量%以上であることにより、高炉スラグ微粉末の有する潜在水硬性をより充分に発揮できる。
【0026】
高炉スラグ微粉末中のSiO2(二酸化ケイ素)の含有量は、例えば、30.0質量%以上、31.0質量%以上、又は32.0質量%以上であってよい。高炉スラグ微粉末中のSiO2の含有量が30.0質量%以上であることにより、初期及び長期の強度発現性の低下をより抑制できる。高炉スラグ微粉末中のSiO2の含有量は、例えば、40.0質量%以下、38.0質量%以下、36.0質量%以下、又は35.0質量%以下であってよい。高炉スラグ微粉末中のSiO2の含有量が40.0質量%以下であることにより、初期の強度発現性の低下をより抑制できる。
【0027】
高炉スラグ微粉末中のCaO(酸化カルシウム)の含有量は、例えば、38.0質量%以上、40.0質量%以上、又は42.0質量%以上であってよい。高炉スラグ微粉末中のCaOの含有量が38.0質量%以上であることにより、初期の強度発現性をより向上させることができる。高炉スラグ微粉末中のCaOの含有量は、例えば、50.0質量%以下、48.0質量%以下、又は46.0質量%以下であってよい。高炉スラグ微粉末中のCaOの含有量が50.0質量%以下であることにより、長期の強度発現性の低下をより抑制できる。
【0028】
高炉スラグ微粉末中のMgO(酸化マグネシウム)の含有量は、例えば、3.0質量%以上、4.0質量%以上、又は4.5質量%以上であってよい。高炉スラグ微粉末中のMgOの含有量が3.0質量%以上であることにより、コンクリート組成物を硬化させた際の初期及び長期の強度発現性の低下をより抑制できる。高炉スラグ微粉末中のMgOの含有量は、例えば、10.0質量%以下、8.0質量%以下、又は6.0質量%以下であってよい。高炉スラグ微粉末中のMgOの含有量が10.0質量%以下であることにより、コンクリート組成物を硬化させた際の初期の強度発現性の低下をより抑制できる。
【0029】
高炉スラグ微粉末は、その他の成分として、例えば、SO3(三酸化硫黄)、NaO2(酸化ナトリウム、K2O(酸化カリウム)、TiO2(酸化チタン)等を含んでいてもよい。
【0030】
本明細書において、高炉スラグ微粉末の化学組成は、JIS R 5202:2015「セメントの化学分析方法」の記載に準拠して測定した値を意味する。
【0031】
高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は、例えば、2500cm2/g以上10000cm2/g、2500cm2/g以上8000cm2/g、2500cm2/g以上6000cm2/g、2500cm2/g以上5000cm2/g、3000cm2/g以上5000cm2/g、又は4000cm2/g以上5000cm2/gであってよい。
【0032】
結合材100質量部中の高炉スラグ微粉末の含有量は、60.0質量部以上80.0質量部以下である。結合材100質量部中の高炉スラグ微粉末の含有量は、62.0質量部以上又は64.0質量部以上であってもよく、75.0質量部以下又は70.0質量部以下であってもよい。結合材100質量部中の高炉スラグ微粉末の含有量がこのような範囲であることにより、結合材におけるCO2発生量が大きいセメントの割合が減ることから、コンクリート組成物の製造におけるCO2発生量を抑制することができる。
【0033】
<石膏>
結合材は、石膏(以下、「石膏B」という場合がある。)をさらに含んでいてもよい。なお、石膏Bに、上記のセメントに含まれる石膏Aは包含されない。すなわち、ここでいう石膏Bは、セメントに含まれる石膏Aとは別の成分として添加される石膏を意味し、例えば、高炉スラグ微粉末に添加された石膏は、石膏Bに包含される。また、石膏Bの含有量は、セメントに含まれる石膏Aとは別の成分として添加される石膏の含有量を意味する。
【0034】
石膏Bは、二水石膏(CaSO4・2H2O)、半水石膏(CaSO4・1/2H2O)、及び無水石膏(CaSO4)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。二水石膏としては、例えば、排脱二水石膏、リン酸二水石膏、フッ酸二水石膏、天然二水石膏等が挙げられる。半水石膏としては、例えば、α型の半水石膏、β型の半水石膏等が挙げられる。無水石膏としては、例えば、天然無水石膏、フッ酸無水石膏等が挙げられる。無水石膏中のSO3の含有量は、例えば、54質量%以上60質量%以下であってよい。
【0035】
結合材が石膏Bをさらに含む場合、結合材100質量部中の石膏Bの含有量は、0質量部より大きく3.5質量部以下であってよい。結合材100質量部中の石膏Bの含有量は、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1.0質量部以上、又は1.5質量部以上であってもよく、3.3質量部以下又は3.1質量部以下であってもよい。石膏Bの含有量がこのような範囲であることにより、石膏によるコンクリート組成物の硬化に伴う圧縮強度の向上効果を発揮しつつ、硬化促進剤によるコンクリート組成物の硬化に伴う圧縮強度の向上効果を阻害する作用を低減することができる。
【0036】
結合材の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により上記の成分を配合し、混合・混練することで調製することができる。
【0037】
[セメント組成物]
セメント組成物は、上記の結合材と、硬化促進剤とを含む。
【0038】
<結合材>
結合材は、セメント組成物の主成分である。セメント組成物中の結合材の含有量は、例えば、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は99質量%以上であってよい。
【0039】
<硬化促進剤>
硬化促進剤は、高炉スラグ微粉末の反応を促進し、初期強度を向上させる化合物である。硬化促進剤は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。硬化促進剤がアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含むことにより、高炉スラグ微粉末の反応性をより向上させることができる。アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。水和物の生成促進及び圧縮強度の向上の観点から、アルカリ土類金属は、カルシウムを含むことが好ましく、カルシウムであることがより好ましい。硬化促進剤は、カルシウム塩を含んでいてもよい。
【0040】
硬化促進剤は、一価の陰イオンを有する塩を含んでいてもよい。硬化促進剤は、亜硝酸塩、硝酸塩、及び塩化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよく、亜硝酸塩を含むことが好ましい。硬化促進剤が亜硝酸塩を含むことにより、コンクリート組成物を硬化させた際の初期強度をより向上させることができ、コンクリート組成物を硬化させた際の水和に伴う発熱量を低減することもできる。
【0041】
硬化促進剤の具体例としては、例えば、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの中でも、硬化促進剤は、アルカリ土類金属の亜硝酸塩を含むことが好ましく、亜硝酸カルシウムを含むことがより好ましく、亜硝酸カルシウムであることがさらに好ましい。
【0042】
硬化促進剤の含有量は、結合材100質量部に対して、硬化促進剤を固形分量で0.23質量部以上3.60質量部以下であってよい。硬化促進剤の含有量は、0.23質量部以上、0.30質量部以上、0.35質量部以上、又は0.40質量部以上であってもよい。硬化促進剤の含有量が0.23質量部以上であることにより、高炉スラグ微粉末の反応をより促進することができる。硬化促進剤の含有量は、3.30質量部以下、3.00質量部以下、2.80質量部以下、又は2.50質量部以下であってもよい。硬化促進剤の含有量が3.60質量部以下であることにより、高炉スラグ微粉末の反応をより促進しつつ、高炉スラグ微粉末等の反応が過度に促進された場合の異常凝結の発生をより確実に抑制できる。
【0043】
セメント組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により上記の成分を配合し、混合・混練することで調製することができる。
【0044】
[コンクリート組成物]
コンクリート組成物は、一実施形態において、上記のセメント組成物と、水と、細骨材と、粗骨材と、減水剤とを含む。コンクリート組成物は、高炉セメントC種相当の組成物であり得る。
【0045】
<セメント組成物(結合材)>
コンクリート組成物中の結合材(上記のセメント組成物に含まれる結合材)の含有量は、コンクリート組成物1m3を基準として、250kg/m3以上600kg/m3以下である。コンクリート組成物中の結合材(セメント組成物に含まれる結合材)の含有量は、コンクリート組成物1m3を基準として、300kg/m3以上又は350kg/m3以上であってもよく、550kg/m3以下、500kg/m3以下、又は450kg/m3以下であってもよい。
【0046】
<水>
水としては、例えば、水道水、蒸留水、脱イオン水等が挙げられる。水の含有量は、結合材(上記のセメント組成物に含まれる結合材)100質量部に対して、25質量部以上60質量部以下である。水の含有量は、30質量部以上、35質量部以上、又は40質量部以上であってもよい。水の含有量が25質量部以上であることにより、フレッシュコンクリートにおける流動性をより向上させることができ、コンクリート施工における作業性をより向上させることができる。水の含有量は、55質量部以下、52質量部以下、又は50質量部以下であってもよい。水の含有量が60質量部以下であることにより、コンクリート組成物を硬化させた際の圧縮強度をより向上させることができる。
【0047】
水/結合材比(100×水質量/結合材の質量、以下、「W/B」という場合がある。)は、例えば、60質量%以下、55質量%以下、52質量%以下、又は50質量%以下であってよく、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってよい。
【0048】
<細骨材及び粗骨材>
細骨材は、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の細骨材等を用いることができる。細骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材等が挙げられる。細骨材の含有量は、コンクリート組成物1m3を基準として、例えば、650kg/m3以上1000kg/m3以下、725kg/m3以上950kg/m3以下、又は800kg/m3以上900kg/m3以下であってよい。
【0049】
粗骨材は、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の粗骨材等を用いることができる。粗骨材としては、例えば、砂利、砕石等が挙げられる。粗骨材の含有量は、コンクリート組成物1m3を基準として、例えば、750kg/m3以上1025kg/m3以下、800kg/m3以上975kg/m3以下、又は850kg/m3以上900kg/m3以下であってよい。
【0050】
細骨材及び粗骨材は、併用することもできる。この場合、細骨材及び粗骨材の合計の含有量は、結合材(上記のセメント組成物に含まれる結合材)100質量部に対して、100質量部以上300質量部以下又は200質量部以上250質量部以下であってよい。
【0051】
粗骨材かさ容積は、コンクリート組成物1m3を基準として、例えば、0.500m3/m3以上、0.520m3/m3以上、又は0.540m3/m3以上であってよい。粗骨材かさ容積が0.500m3/m3以上であることにより、フレッシュコンクリートにおける流動性をより向上させることができ、コンクリート施工における作業性をより向上させることができる。粗骨材かさ容積は、例えば、0.620m3/m3以下、0.600m3/m3以下、、又は0.580m3/m3以下であってよい。粗骨材かさ容積値が0.620m3/m3以下であることにより、フレッシュコンクリートにおける材料分離抵抗性を向上できる。
【0052】
<減水剤>
減水剤としては、例えば、減水剤、AE(Air Entraining)減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等が挙げられる。AE減水剤及び高性能AE減水剤としては、標準形、遅延形、及び促進形のいずれも用いることができるが、遅延形を用いること好ましい。AE減水剤及び高性能AE減水剤としてはまた、I種、II種、及びIII種のいずれも用いることができるが、I種を用いることが好ましい。減水剤は、高性能AE減水剤を含んでよく、高性能AE減水剤であってよい。
【0053】
減水剤の含有量は、結合材(上記のセメント組成物に含まれる結合材)100質量部に対して、0.5質量部以上3.0質量部以下である。減水剤の含有量は、例えば、0.6質量部以上、0.7質量部以上、又は0.8質量部以上であってよい。減水剤の含有量の0.5質量部以上であることにより、フレッシュコンクリートにおける流動性をより向上させることができる。減水剤の含有量は、2.5質量部以下、2.0質量部以下、1.5質量部以下、又は1.0質量部以下であってよい。減水剤の含有量が3.0質量部以下であることにより、フレッシュコンクリートにおける流動性を損なうことなく、材料分離抵抗性を付与できる。
【0054】
<その他の混和剤>
コンクリート組成物は、その他の混和剤をさらに含んでいてもよい。その他の混和剤としては、例えば、AE剤、流動化剤、消泡剤、収縮低減剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤、硅石粉、の他カルシウムを含む無機粉末、フライアッシュ、Si又はAlを含む無機鉱物等が挙げられる。その他の混和剤の含有量は、結合材(上記のセメント組成物に含まれる結合材)100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上2質量部以下であってよい。
【0055】
コンクリート組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により上記の成分を配合し、混合・混練することで調製することができる。
【0056】
コンクリート組成物は、他の実施形態において、上記の結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、減水剤とを含む。各成分は、上記実施形態のセメント組成物の各成分と同様であり、好ましい態様、含有量等も同様である。したがって、ここでは、重複する説明を省略する。
【実施例0057】
以下、本開示について、実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
【0058】
1.使用材料
使用した材料を表1に、セメント及び高炉スラグ微粉末の化学組成、並びに、セメントの鉱物組成を表2に示す。セメント及び高炉スラグ微粉末の化学組成は、JIS R 5202:2015「セメントの化学分析方法」又はJIS R 5204:2019「セメントの蛍光X線分析方法」の記載に準拠して測定した。セメントの鉱物組成は、Bogue式によって算出した。なお、表2中の「ig.lоss」は、強熱減量を意味する。強熱減量は、JIS R 5202:2010の「5.強熱減量の定量方法」における「5.2 高炉セメント及び高炉スラグ以外の場合」に記載の方法に準拠し、加熱温度700℃にて測定した値である。
【0059】
【0060】
【0061】
2.結合材及びセメント組成物の構成
結合材及びセメント組成物の配合を表3に示す。なお、表3中、結合材の各成分の数値及び硬化促進剤の数値は、結合材全量を基準としたときの含有量(単位:質量%)を意味する。結合材の各成分を混練することによって、実施例1~4及び比較例1~9の結合材を調製した。また、実施例1、2及び比較例3~9の結合材と硬化促進剤とをさらに混練することによって、実施例1、2及び比較例3~9のセメント組成物を調製した。
【0062】
【0063】
3.コンクリート組成物の調合
実施例3、4及び比較例1、2の結合材、並びに、実施例1、2及び比較例3~9のセメント組成物を用いて、コンクリート組成物の調合を行った。コンクリート組成物の調合を表4に示す。高炉スラグ微粉末を含むコンクリート組成物は、結合材中の高炉スラグ微粉末の含有量が、60質量%以上70質量%以下であることから、高炉セメントC種相当の組成物といえる。
【0064】
【表4】
4.試験結果
(4-1)各種フレッシュ性状及び圧縮強度試験結果
各種フレッシュ性状及び圧縮強度の試験結果を表5に示す。スランプ、空気量、コンクリート温度、凝結時間、及び圧縮強度は、それぞれJIS A 1101:2020、JIS A 1128:2019、JIS A 1156:2014、JIS A 1147:2019、及びJIS A 1108:2018に準拠して測定した。また、環境温度は20℃とし、圧縮強度用供試体は、材齢1日で脱型し、その後は試験まで20℃水中養生した。結果を表5に示す。
【0065】
【0066】
(4-2)断熱温度上昇試験結果
断熱温度上昇試験においては、まず、各コンクリート組成物の材齢28日の圧縮強度が同一となる条件を求め、次いで、その条件下でコンクリート組成物を調合し、断熱温度上昇試験を実施した。
【0067】
表5のNo.0及び13、No.1及び14、並びにNo.12及び15は、それぞれ配合が同一で、調合(単位水量に対する結合材量の質量比(B/W))が異なるものである。これらの材齢28日の圧縮強度に基づき、単位水量に対する結合材量の質量比(B/W)と材齢28日の圧縮強度との関係式を求めた。M(2.69)、BC(2.04)、及びMBC(2.66)-GA3の単位水量に対する結合材量の質量比(B/W)と材齢28日の圧縮強度との関係式をそれぞれ式(1)、(2)、及び(3)に示す。
【0068】
【0069】
単位水量に対する結合材量の質量比(B/W)と材齢28日の圧縮強度との関係式の傾きが、普通ポルトランドセメント(N)をベースとしたBCの場合は式(2)の傾きに、中庸熱ポルトランドセメント(M)をベースとしたMBCの場合は式(3)の傾きになると仮定して、材齢28日の圧縮強度が42.0N/mm2になる場合のW/B(質量%)を算出した。また、M(2.69)の配合の場合は、式(1)を用いて、材齢28日の圧縮強度が42.0N/mm2になる場合のW/B(質量%)を算出した。W/B(質量%)を表6に示す。
【0070】
次に、算出したそれぞれの配合のW/B(質量%)において、表4と同様の条件で、コンクリート組成物を調合し、断熱温度上昇試験を行った。断熱温度上昇試験は、JCI-SQA3「コンクリートの断熱温度上昇試験方法(案)」に準拠し、空気循環式の試験装置を用いて行った。試料容器は、内径400mm×内高400mmの円筒形であり、試料の量は約50Lとした。また、環境温度及びコンクリートの練上り温度は20℃とした。
【0071】
断熱温度上昇試験により得られた断熱温度上昇曲線の実測値について、最小二乗法により、以下の式(4)で近似し、K、α、及びβを求めた。結果を表6に示す。
【0072】
【0073】
【0074】
5.温度応力解析
温度応力解析ソフト((株)計算力学研究センター製、「ASTEA MACS」)を用いて、表6に示すNo.17~23及び28の水準において、同表に示すK、α、及びβを代入した断熱温度上昇曲線(式(4))をインプット値とし、各水準の温度応力解析を行い、部材最高温度及び最小ひび割れ指数を求めた。結果を表7に示す。なお、部材最高温度とは、モデルのコンクリート部材に発現する最高の温度を示しており、最小ひび割れ指数とは、部材最高温度の発現点における、コンクリートに発生する引張応力に対するコンクリートの引張強度の比の最小値を示しており、その値が小さいほどひび割れの発生確率が高いことを意味する。
【0075】
【0076】
6.評価
同一W/Bにおける材齢28日の圧縮強度は、硬化促進剤の有無に関わらず、中庸熱ポルトランドセメントをベースとしたMBC配合は、普通ポルトランドセメントをベースとしたBC配合よりも小さくなった。そのため、材齢28日の圧縮強度を42.0N/mm2と同一強度にした場合のW/B(質量%)は、MBC配合の方が小さくなり、単位結合材量は大きくなった。通常、単位結合材量が大きくなるにつれて、水和熱による温度上昇量は大きくなる傾向がある。しかし、その場合でもMBC配合の最終断熱温度上昇量Kは、BC配合に比べ小さくなり、また、中庸熱ポルトランドセメント単味のM配合よりも小さくなった。すなわち、同一の材齢28日の圧縮強度で比較した場合、MBC配合は、温度上昇量が小さく、温度ひび割れ抵抗性の面で有利であることが判明した。
【0077】
また、表7に示した一部の水準で温度応力解析を行った結果、MBC配合であるNo.28は、BC配合であるNo.17~23よりも部材最高温度が低く、結果として最小ひび割れ指数が大きくなり、温度ひび割れ抵抗性の点でも優れることが判明した。