(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140460
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電気接続箱及びハーネスの配索構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20241003BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20241003BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K7/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051598
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】宇野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】東 沙織
(72)【発明者】
【氏名】今井 明子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 倫▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】小椋 嘉了
【テーマコード(参考)】
4E352
5G361
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352BB02
4E352BB10
4E352BB15
4E352CC02
4E352DD06
4E352DR02
4E352DR33
4E352DR34
4E352DR40
4E352GG17
5G361AA06
5G361AC04
5G361AC09
5G361BA06
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】外部に引き出したハーネスを電気機器類に対して容易に接続できる電気接続箱及びハーネスの配索構造を提供すること。
【解決手段】電気接続箱10は、電装部品を収容する収容空間Sを形成する筒状のケース本体20と、ケース本体20に固定され、ケース本体20の一方側の開口を塞ぐロアカバー体40と、ケース本体20を介してロアカバー体40と対向するようにケース本体20に固定され、ケース本体20の他方側の開口を塞ぐアッパーカバー体30とが備えられ、ロアカバー体40の第1主面51及び第2主面61における面内側に、電装部品と接続されたハーネス100が挿通される挿通口11が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装部品を収容する収容空間を形成する筒状のケース本体と、
前記ケース本体に固定され、前記ケース本体の一方側の開口を塞ぐ第1カバー体と、
前記ケース本体を介して前記第1カバー体と対向するように前記ケース本体に固定され、前記ケース本体の他方側の開口を塞ぐ第2カバー体とが備えられ、
前記第1カバー体の主面における面内側に、前記電装部品と接続されたハーネスが挿通される挿通口が設けられた
電気接続箱。
【請求項2】
前記挿通口は、前記主面に対して前記ケース本体から離間する方向に突出するとともに、前記主面に対して交差する向きに開口する
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記第1カバー体における前記挿通口の近傍に、被取付箇所に取り付ける取付台座部が設けられ、
前記取付台座部の前記主面からの突出量が、前記挿通口の前記主面からの突出量より大きい
請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記第1カバー体において、前記挿通口に挿通される前記ハーネスを前記主面に固定する固定部が設けられた
請求項2又は請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記第1カバー体は、
前記主面の一部を構成する第1蓋部と、
少なくとも前記主面の他の部分を構成する第2蓋部とを有し、
前記挿通口は、前記第1蓋部と前記第2蓋部との間に形成される
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記主面の他の部分を構成する前記第2蓋部には、前記第1蓋部に対して被さる部分が設けられた
請求項5に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記第1蓋部において前記第2蓋部が被さる部分と被さらない部分との境界に、
前記第2蓋部において前記第1蓋部に被さる部分の端部に設けられた嵌合部が嵌合する嵌合溝が設けられた
請求項6に記載の電気接続箱。
【請求項8】
前記ケース本体において、
前記第2蓋部が前記第1蓋部に被さる部分に対応する箇所は内外方向の二重壁を有し、
前記二重壁のうち内壁に、前記第1蓋部を固定する第1蓋固定部が設けられ、
前記二重壁のうち外壁に、前記第2蓋部を固定する第2蓋固定部が設けられた
請求項6又は請求項7に記載の電気接続箱。
【請求項9】
前記第1カバー体は、前記ケース本体における底面側の開口を塞ぐロアカバー体で構成され、
前記第2カバー体は、前記ケース本体における上面側の開口を塞ぐアッパーカバー体で構成された
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項10】
請求項1に記載された電気接続箱と、前記挿通口から前記電気接続箱の内部に挿通された前記ハーネスとが備えられ、
所定の取付箇所に取り付けられた
ハーネスの配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車に搭載される電気接続箱及びハーネスの配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、内部にヒューズやリレーなどの電装部品を収容するとともに、電装部品と電気的に接続されたワイヤーハーネス(以下、ハーネスとする。)を介して車両に搭載された電気機器類に電源を分配する電気接続箱が搭載されている。
【0003】
例えば、内部に収容された電装部品と接続可能なコネクタ接続部を上面に備えるとともに、電装部品と接続されたハーネスを束ねて外部に引き出すための切り欠き部が側面に設けられた電気接続箱が特許文献1に開示されている。
【0004】
このように構成された電気接続箱は、例えば、車両に搭載された電気機器類に接続された電線の先端に備えられたコネクタ端子をコネクタ接続部に接続するとともに、側面から引き出されたハーネスをバッテリーなどの他の電気機器類と接続することで、電気機器類に電源を分配することができる。
【0005】
ところで、電気接続箱はインストルメントパネルの運転席側や、エンジンルームの奥まった位置など、車室内外の狭隙部分に配設されることがあり、特許文献1に開示されているような電気接続箱では、接続する電気機器類と電気接続箱との間に隙間がなく、外部に引き出したハーネスを電気機器類に接続するのが困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述した問題を鑑み、外部に引き出したハーネスを電気機器類に対して容易に接続できる電気接続箱及びハーネスの配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、電装部品を収容する収容空間を形成する筒状のケース本体と、前記ケース本体に固定され、前記ケース本体の一方側の開口を塞ぐ第1カバー体と、前記ケース本体を介して前記第1カバー体と対向するように前記ケース本体に固定され、前記ケース本体の他方側の開口を塞ぐ第2カバー体とが備えられ、前記第1カバー体の主面における面内側に、前記電装部品と接続されたハーネスが挿通される挿通口が設けられた電気接続箱であることを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、上述の電気接続箱と、前記挿通口から前記電気接続箱の内部に挿通された前記ハーネスとが備えられ、所定の取付箇所に取り付けられたハーネスの配索構造であることを特徴とする。
前記挿通口は、前記第1カバー体の主面に対する法線方向に開口する場合や、前記第1カバー体の主面に対して交差する向きに開口する場合を含む。
【0010】
この発明により、ハーネスを接続する電気機器類と挿通口との間の距離を確保でき、挿通口から外部に引き出されたハーネスを曲げるための空間を確保できる。したがって、ハーネスを容易に曲げることができる。すなわち、ハーネスを急な角度で曲げる必要がないため、ハーネスを電気機器類と容易に接続しつつ、曲げによるハーネスへの負荷を軽減できる。
【0011】
この発明の態様として、前記挿通口は、前記主面に対して前記ケース本体から離間する方向に突出するとともに、前記主面に対して交差する向きに開口していてもよい。
この発明により、第1カバー体の主面に沿ってハーネスを挿通口から引き出すことができる。そのため、挿通口の位置がハーネスを接続する電気機器類に対応する位置となるように電気接続箱を配置することで、ハーネスの曲げる回数を低減でき、ハーネスにかかる負荷をより軽減できる。
【0012】
また、第1カバー体の主面に沿ってハーネスを引き出すことにより、ハーネスがケース本体から離間する方向に突出することを抑制できる。したがって、ケース本体から離間する方向に対するコンパクト化を図ることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記第1カバー体における前記挿通口の近傍に、被取付箇所に取り付ける取付台座部が設けられ、前記取付台座部の前記主面からの突出量が、前記挿通口の前記主面からの突出量より大きくてもよい。
【0014】
この発明により、取付台座部の突出方向に対してハーネスが取付台座部よりも突出することを防止できる。このため、取付台座部を取付箇所に取り付けた場合に、ハーネスが取付箇所やその近傍の他の部材などに当接して損傷すること防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記第1カバー体において、前記挿通口に挿通される前記ハーネスを前記主面に固定する固定部が設けられてもよい。
この発明により、挿通口から引き出したハーネスを第1カバー体に沿って確実に配索できるとともに、固定部に固定することによりハーネスを所望の方向に曲げ規制できる。また、ハーネスを固定することにより、ハーネスが他の部材と干渉することによる異音の発生を防止できる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記第1カバー体は、前記主面の一部を構成する第1蓋部と、少なくとも前記主面の他の部分を構成する第2蓋部とを有し、前記挿通口は、前記第1蓋部と前記第2蓋部との間に形成されてもよい。
前記第1カバー体は、前記第1蓋部と前記第2蓋部とが別体で構成されている場合や、前記第1蓋部と前記第2蓋部とが例えばヒンジなどを介して一体に構成されている場合を含む。
【0017】
この発明によると、第1蓋部及び第2蓋部の一方で開口の一部を塞ぐとともに、挿通口に対応する箇所にハーネスを配置し、第1蓋部及び第2蓋部の他方で開口の他の部分を塞ぎつつ挿通口を形成することができる。すなわち、第1蓋部及び第2蓋部の他方で塞がれていない開口からハーネスを容易に引き出すことができるため、ハーネスを挿通口から引き出す場合と比べて、ハーネスに負荷をかけることなく容易に挿通口にハーネスを配置することができる。したがって、ハーネスの配索効率を向上させることができる。
【0018】
また、第1蓋部と第2蓋部とで挟み込むことでハーネスを挿通口に保持し、ハーネスを第1カバー体における面内側の所定の位置に固定できる。これにより、第1カバー体に対するハーネスの干渉や、車両の振動により異音の発生を防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記主面の他の部分を構成する前記第2蓋部には、前記第1蓋部に対して被さる部分が設けられてもよい。
この発明により、第1カバー体の強度を向上させることができる。また、第2蓋部と収容空間との間に第1蓋部が配置されるため、仮に第2蓋部の内側に液体が侵入した場合であっても、第1蓋部により、収容空間に液体が侵入することを抑制できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記第1蓋部において前記第2蓋部が被さる部分と被さらない部分との境界に、前記第2蓋部において前記第1蓋部に被さる部分の端部に設けられた嵌合部が嵌合する嵌合溝が設けられてもよい。
【0021】
この発明により、第1蓋部に対する第2蓋部の位置を固定できるとともに、外部と収容空間との間に、嵌合部と嵌合溝部とで凹凸嵌合構造を設けることができる。このため、第1蓋部に対する第2蓋部の移動を規制しつつ、第1蓋部と第2蓋部と間から埃や液体などの異物が収容空間に侵入することを防止できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記ケース本体において、前記第2蓋部が前記第1蓋部に被さる部分に対応する箇所は内外方向の二重壁を有し、前記二重壁のうち内壁に、前記第1蓋部を固定する第1蓋固定部が設けられ、前記二重壁のうち外壁に、前記第2蓋部を固定する第2蓋固定部が設けられてもよい。
【0023】
この発明により、第1蓋部及び第2蓋部をそれぞれ個別にケース本体に固定することができるため、収容空間から延びるハーネスを、ケース本体に固定した第1蓋部における挿通口に対応した箇所に配置した状態で、第2蓋部を容易に固定することができる。
【0024】
また、ケース本体における第2蓋部が第1蓋部に被さる部分に対応する箇所を内外方向に対する二重壁とすることで、第1蓋部と第2蓋部のそれぞれを確実に固定しつつ、第1蓋部と第2蓋部の境界部分から収容空間に埃や液体などの異物が侵入することを防止できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記第1カバー体は、前記ケース本体における底面側の開口を塞ぐロアカバー体で構成され、前記第2カバー体は、前記ケース本体における上面側の開口を塞ぐアッパーカバー体で構成されてもよい。
この発明により、下方側にハーネスを挿通させることができる。また、挿通口が底面側の開口を塞ぐロアカバー体における面内側に設けられるため、挿通口を介して液体が収容空間に侵入することをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0026】
この発明により、外部に引き出したハーネスを電気機器類に対して容易に接続できる電気接続箱及びハーネスの配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図14】第1蓋部を組み付けたケース本体及び第2蓋部の概略斜視図。
【
図15】第1蓋部を組み付けたケース本体の概略断面図。
【
図16】ハーネスを引き出した電気接続箱の概略断面図。
【
図17】ハーネスを引き出した電気接続箱の概略断面図。
【
図18】ハーネスを引き出した電気接続箱の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
本実施形態のハーネス配索構造1は、電気接続箱10と、電気接続箱10の挿通口11を介して電気接続箱10の内部に挿通されるハーネス100とで構成され、例えば、車両におけるエンジンルームに取り付けられている。
【0029】
電気接続箱10は、内部にヒューズやリレーなどの電装部品(図示省略)を収容するとともに、電装部品と電気的に接続されたハーネス100を介して車両に搭載された電気機器類に電源を分配している。このようなハーネス配索構造1及び電気接続箱10について、
図1乃至
図18に基づいて説明する。
【0030】
図1はハーネス配索構造1の概略斜視図を示す。詳しくは、
図1(a)は上方前方から視たハーネス配索構造1の概略斜視図を示し、
図1(b)は下方前方から視たハーネス配索構造1の概略斜視図を示す。
図2は下方前方から視た電気接続箱10の概略分解斜視図を示す。
図3はケース本体20の底面図を示し、
図4及び
図5はケース本体20の概略断面図を示す。
【0031】
図4及び
図5について詳述する。
図4(a)は
図3におけるA-A矢視断面図を示し、
図4(b)は
図3におけるB-B矢視断面図を示す。
図5(a)は
図3におけるC-C矢視断面図を示し、
図5(b)は
図3におけるD-D矢視断面図を示す。
図6はアッパーカバー体30の概略底面図及び概略分解図を示す。詳しくは、
図6(a)はアッパーカバー体30の概略底面図を示し、
図6(b)は
図6(a)におけるE-E矢視断面図を示す。
【0032】
図7は下方前方から視たロアカバー体40の概略分解斜視図を示し、
図8は第1蓋部50の概略底面図を示し、
図9及び
図10は第1蓋部50の概略断面図を示す。
図9及び
図10について詳述する。
図9(a)は
図8におけるF-F矢視断面図を示し、
図9(b)は
図8におけるG-G矢視断面図を示す。
図10(a)は
図8におけるH-H矢視断面図を示し、
図10(b)は
図8におけるI-I矢視断面図を示す。
【0033】
【0034】
なお、
図3におけるA-A矢視断面図と
図8におけるI-I矢視断面図と
図11におけるJ-J矢視断面図はそれぞれ対応する断面図であり、
図3におけるB-B矢視断面図と
図8におけるF-F矢視断面図と
図11におけるK-K矢視断面図はそれぞれ対応する断面図であり、
図3におけるC-C矢視断面図と
図8におけるH-H矢視断面図と
図11におけるL-L矢視断面図はそれぞれ対応する断面図である。また、
図3におけるD-D矢視断面図と
図8におけるG-G矢視断面図は対応する断面図である。
【0035】
図14は第1蓋部50を組み付けたケース本体20及び第2蓋部60を上方前方から視た概略斜視図を示し、
図15は第1蓋部50を組み付けたケース本体20の概略断面図を示し、
図16乃至
図18は電気接続箱10の概略断面図を示す。
【0036】
図15は
図3におけるD-D矢視断面図に対応する概略断面図を示し、
図16は
図3におけるC-C矢視断面図に対応する概略断面図を示し、
図17は
図3におけるA-A矢視断面図に対応する概略断面図を示し、
図18は
図3におけるB-B矢視断面図に対応する概略断面図を示す。
【0037】
ここで、
図1中において、電気接続箱10の高さ方向を上下方向Zとし、短手方向を幅方向Xとする。この上下方向Zと幅方向Xとは互いに直交しており、上下方向Z及び幅方向Xと直交する方向を長手方向Yとする。また、
図1(a)において右手前側を前方Xf、左奥側を後方Xbとし、左手前側を右方Yr、右奥側を左方Ylとし、上側を上方Zu、下側を下方Zdとする。
なお、この方向は
図1(b)、
図2乃至
図18でも共通とする。
【0038】
各構成について以下に詳細に述べる。
ハーネス配索構造1は、
図1(a)に示すように、ヒューズやリレーなどの電装部品(図示省略)を内部に収容する電気接続箱10と、挿通口11を挿通して電気接続箱10の内部に挿通されたハーネス100とで構成されている。ここで、ハーネス100は、一端が電気接続箱10に収容された電装部品と接続されているとともに、他端が電気機器類と電気的に接続された複数の電線を束ねて構成されている。
【0039】
電気接続箱10は、
図1及び
図2に示すように、内部に電装部品を収容する収容空間Sを有する略直方体形状の筐体であり、長手方向Yに沿って開口するハーネス100を挿通させる挿通口11が電気接続箱10における底面に設けられている。
【0040】
この電気接続箱10は、
図1及び
図2に示すように、収容空間Sを形成する筒状のケース本体20と、ケース本体20に固定され、ケース本体20の上方Zuの開口を塞ぐアッパーカバー体30と、ケース本体20を介してアッパーカバー体30と対向するようにケース本体20に固定され、ケース本体20の下方Zdの開口を塞ぐロアカバー体40とが備えられ、ロアカバー体40における面内側に挿通口11が設けられている。
【0041】
ケース本体20は、
図2乃至
図5に示すように、上方Zu及び下方Zdが開口した筒状体であり、ケース本体20の外周面を形成する筒状の外壁21と、外壁21の内側に形成される筒状の内壁22とで側方二重壁23を形成している。
【0042】
外壁21には、電気接続箱10を車両に固定する車両固定部24と、アッパーカバー体30を係止固定する後方被係止部25及び前方被係止部26と、ロアカバー体40と係止固定するロア被係止部27とが設けられている。
【0043】
車両固定部24は、後方Xbの外壁21において、上方Zuに向けて突出する平板状のパネル板241と、パネル板241を板厚方向(幅方向X)に沿って貫通する円形状の固定孔242とで構成されている(
図1(a)及び
図4(b)参照)。
【0044】
このように構成された車両固定部24は、後方Xbの外壁21における長手方向Yの両端側にそれぞれ配置されており、エンジンルームにおける固定箇所に設けられたボルト孔に固定孔242が一致するように、車両固定部24の位置を合わせて、固定孔242とボルト孔とにボルトを挿通させて固定することで、電気接続箱10をエンジンルームに固定できる。
【0045】
後方被係止部25は、
図3及び
図4(a)に示すように、後方Xbに配置された外壁21から後方Xbに突出する平面視ロの字状の後方外枠251と、外壁21と対向する後方外枠251の内壁における上端から内壁22に向けて突出する後方係止爪252とで構成されている。なお、後方係止爪252は、下方Zdに向かうに伴い内側に向けて傾斜している。
このように構成された後方被係止部25は、車両固定部24の間に2つ設けられている。
【0046】
前方被係止部26は、
図4(b)に示すように、前方Xfの外壁21の外側において、前方Xfに配置された外壁21から前方Xfに突出する平面視ロの字状の前方外枠261と、外壁21と対向する前方外枠261における内面から内壁22に向けて突出する前方係止爪262とで構成されている。
【0047】
前方係止爪262は、後方係止爪252と同様に、下方Zdに向かうに伴い内側に向けて傾斜している。なお、前方係止爪262は後方係止爪252と比べて下方Zdに配置されている。
このように構成された前方被係止部26は、車両固定部24と対向するように、外壁21の前方Xfに2つ設けられている(
図3及び
図4(b)参照)。
【0048】
ロアカバー体40とケース本体20とを係止固定するロア被係止部27は、
図2、
図3、
図4(a)及び
図5(a)に示すように、外壁21を内側に向けて窪ませて形成された外溝部271と、外溝部271における溝底から外側に向けて突出する外側係止爪272とで構成され、外壁21の外周に複数設けられている。
【0049】
具体的には、ロア被係止部27は、長手方向Yの両端に2つずつ、前方Xfに3つ、後方Xbに3つ設けられている。後方Xbにおけるロア被係止部27のうちの2つは、後方外枠251の内側に設けられ、残りの一つは左方Ylの車両固定部24に対応する位置に設けられている(
図4(a)参照)。また、前方Xfにおけるロア被係止部27のうちの2つは、前方被係止部26の間に設けられ、残りの一つは、前方被係止部26の左方Yl、かつ、左方Ylには配置された車両固定部24と対向する位置に設けられている。
【0050】
内壁22は、外壁21の内側に沿って筒状に形成されており、ロアカバー体40と係止固定する内側被係止部28が、後方Xb及び前方Xfに2つずつ、略対向する位置に設けられている(
図3参照)。
【0051】
内側被係止部28は、
図3、
図4(b)及び
図5(b)に示すように、外壁21を内側に向けて窪ませて形成された内溝部281と、内溝部281における溝底から外側に向けて突出する内側係止爪282とで構成されている。なお、内側係止爪282は、上方Zuに向かうに伴い外側に向けて傾斜するように形成されている。
【0052】
このように構成された外壁21と内壁22とは、周方向における所定の箇所において部分的に連結されている。また、側方二重壁23を構成する外壁21と内壁22との間には、アッパーカバー体30及びロアカバー体40と嵌合する嵌合部29が形成されている。
【0053】
アッパーカバー体30は、
図2及び
図6に示すように、ケース本体20の上方Zuの開口を覆う上面部31と、上面部31の周縁から下方Zdに延出する周壁部32と、周壁部32の下端側の外周を覆うカバー部33とで構成されている。
【0054】
周壁部32の板厚は、外壁21及び内壁22の間隔と略等しくなるように構成されており、ケース本体20とアッパーカバー体30とを組み付けた場合に、周壁部32の下端が嵌合部29に嵌合させることができる。このように構成された周壁部32には、蓋側係止部34と蓋側係止枠35が設けられている。
【0055】
カバー部33は、周壁部32から外側に向けて突出する外縁部331と、外縁部331の外端から下方Zdに延出する上端カバー332とで構成されている。
周壁部32から外側に向けた外縁部331の長さは、外壁21の板厚よりも長い。また、上端カバー332の上下方向Zに沿った長さは、外縁部331の基端から周壁部32の下端までの長さよりも長い。このため、上端カバー332の下端は、周壁部32の下端よりも下方Zdとなる。
【0056】
蓋側係止部34は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、後方Xbに配置された周壁部32及びカバー部33から下方Zdに向けて延出する第1平板部341と、第1平板部341の先端において外側に向けて突出するように形成された蓋爪部342とで構成されている。なお、蓋爪部342は、先端から上方Zuに向かうに伴い外側に向けて傾斜している。
このように構成された蓋側係止部34は、アッパーカバー体30とケース本体20とを組み付ける際に、後方被係止部25,25と対向する位置に設けられている。
【0057】
蓋側係止枠35は、前方Xfに配置された周壁部32及びカバー部33の外壁から下方Zdに向けて延出する略平板の中央部分の外側を基端側から先端側にかけて窪ませて形成されている。換言すると、蓋側係止枠35は、周壁部32及びカバー部33の外壁から下方Zdに向けて延出する第2平板部351と、第2平板部351における外縁から外側に向けて突出する被係止部352とで構成されている(
図2参照)。
なお、蓋側係止枠35,35は、アッパーカバー体30とケース本体20とを組み付ける際に前方被係止部26,26と対向する位置に設けられている。
【0058】
このように構成されたアッパーカバー体30は、ケース本体20と組み付けることで、周壁部32の下端が嵌合部29に嵌合するとともに、蓋側係止部34,34と後方被係止部25,25、蓋側係止枠35,35と前方被係止部26,26とがそれぞれ係止固定される。また、カバー部33が外壁21の上端部分を周方向に沿って覆うこととなる。これにより、アッパーカバー体30とケース本体20との境界部分において、ケース本体20とアッパーカバー体30との間からの液体や埃などの異物が侵入することを防止できる。
【0059】
電気接続箱10における底面を構成するロアカバー体40は、
図7に示すように、ケース本体20の下方Zdの開口を覆う底面の一部を構成する第1蓋部50と、第1蓋部50に対して一部分が被さるとともに、底面の他の部分を構成する第2蓋部60とで構成されている。なお、挿通口11は、第1蓋部50と第2蓋部60とを組み合わせることにより、第1蓋部50と第2蓋部60との間に形成される。
【0060】
第1蓋部50は、
図7乃至
図10に示すように、電気接続箱10の底面の一部を構成する第1主面51と、第1主面51における幅方向Xの両端から上方Zuに向けて立設する下方第1側面52,52と、第1主面51における左方Ylの端部から上方Zuに向けて立設する下方第2側壁53とで構成されている。
【0061】
第1主面51は、
図8に示すように、平面視略長方形状をしている。この第1主面51の幅方向Xに沿った長さは、ケース本体20における幅方向Xに沿った長さと略等しく、第1主面51の長手方向Yに沿った長さは、ケース本体20における長手方向Yに沿った長さと比べて短い。すなわち、第1蓋部50は、ケース本体20に対して組み付けることで、ケース本体20の下方Zdの開口における長手方向Yの一部分、より詳しくはケース本体20の下方Zdの開口における左方Ylを覆うこととなる。
【0062】
この第1主面51における幅方向Xの略中央部分には、
図7乃至
図10に示すように、上方Zuに窪ませて形成された嵌合溝54が左方Ylの端部から長手方向Yに沿って設けられている。また、第1主面51における嵌合溝54の後方Xbには、第1凹部55と第1固定部56とが長手方向Yに沿って並んで設けられている。
【0063】
嵌合溝54は、第1主面51における幅方向Xの中央部分に設けられた、下方第1側面52,52の板厚と略同じ幅を有する溝であり、左方Ylの端部から第1凹部55まで長手方向Yに沿って延びている。なお、嵌合溝54の左方Ylの端部は、後述する外側側壁531に沿って幅方向Xに延出している。すなわち嵌合溝54は、長手方向Y及び上下方向Zに沿った断面において、略L字状に形成されている。
【0064】
この嵌合溝54における長手方向Yの中央部分には、
図7、
図8及び
図9(a)に示すように、嵌合溝54を構成する後方Xbの溝壁の一部を後方Xbに窪ませており、この窪みに対応する箇所に平板状の係止壁541が設けられている。この係止壁541には、幅方向Xに貫通させて形成された係止孔542が設けられている。なお、係止壁541と嵌合溝54との間には空間を設けている。
【0065】
第1凹部55は、
図7乃至
図10に示すように、長手方向Yに沿った長さがハーネス100の半径よりも長い第1主面51から下方Zdに突出する直方体形状の配置台551と、配置台551の底面部分をハーネス100の半径と略同じ径で窪ませた半円形状の第1半円凹部552とで構成されている。
【0066】
また、第1半円凹部552の前方Xf端部には、
図7乃至
図10に示すように、上方に立設する支持壁553が長手方向Yに沿って設けられ、支持壁553における左方Ylには第1係止枠554を備えている。
【0067】
より詳しくは、第1係止枠554は、
図7及び
図8、
図10(b)に示すように、支持壁553の前方Xfに所定の間隔を隔てて設けられている。この第1係止枠554は、下方Zdに向けて立設するとともに、上端側(上方Zu)には幅方向Xに貫通する貫通孔が形成された枠状体である。なお、第1係止枠554の後方Xbには、支持壁553から下方Zdに立設する防護壁555が設けられている。
【0068】
第1固定部56は、第1凹部55の左方Ylに所定の間隔を隔てて設けられており、
図7乃至
図10に示すように、第1主面51から下方Zdに突出する第1固定台561と、第1固定台561の底面部分を円弧状に窪ませた第1円弧凹部562とで構成されている。なお、第1円弧凹部562は、第1半円凹部552と同じ曲げ半径の凹部で形成されている。
【0069】
第1固定台561は、ハーネス100の半径のおよそ4分の1程度の高さを有する矩形状の台であり、長手方向Yの中央部分における前方Xfには、下方に切り欠いた第1切欠部563が設けられている。そして、第1固定台561の上端部分には、第1切欠部563から幅方向Xに向けて貫通させた第1貫通孔564が形成されている。なお、第1貫通孔564はいわゆる結束バンドを挿通可能に形成されている。
【0070】
第1主面51の幅方向Xの外縁から立設する下方第1側面52,52の間隔は、ケース本体20における後方Xbの外壁21と前方Xfの内壁22との間隔と略等しくなるように構成されている。すなわち、第1蓋部50をケース本体20に組み付けた場合に、後方Xbの下方第1側面52が外壁21の内側に、前方Xfの下方第1側面52が内壁22の内側にそれぞれ配置されることとなる。
【0071】
下方第2側壁53は、嵌合溝54よりも後方Xbに配置される外側側壁531と、嵌合溝54よりも前方Xfに配置される内側側壁532とで構成されている。なお、外側側壁531と嵌合溝54とは、長手方向Yに沿って嵌合溝54の幅長だけ隔てて配置されている。そのため、外側側壁531の前方Xfには、嵌合溝54の幅と等しい隙間gが設けられている。
【0072】
外側側壁531は、第1主面51の後方Xb端部から嵌合溝54までの間において、第1主面51の長手方向Yの縁部から立設している。この外側側壁531は、後方Xbの下方第1側面52と一体に連結されており、第1蓋部50をケース本体20に組み付けた場合に、内壁22の外側に配置される。
【0073】
内側側壁532は、嵌合溝54よりも前方Xfにおいて第1主面51の長手方向Yの縁部から立設している。この内側側壁532は、前方Xfの下方第1側面52と一体に連結されており、第1蓋部50をケース本体20に組み付けた場合に、内壁22の内側に配置される。
【0074】
下方第1側面52,52及び下方第2側壁53には、
図8に示すように、内側被係止部28と係止固定する内側係止枠57と、ロア被係止部27と係止固定する第1外側係止枠58とが設けられている。
内側係止枠57は、
図8、
図9(b)及び
図10(a)に示すように、下方Zdが開口する枠体であり、下方第1側面52から外側に向けて突出するとともに、上方Zuに向けて延出する内側支持部571,571と、内側支持部571,571の上端を連結する内側枠本体572とで一体に構成されている。
【0075】
このように構成された内側係止枠57は、後方Xbの下方第1側面52に1つ、前方Xfの下方第1側面52に2つ設けられている。なお、後方Xbの下方第1側面52に設けられた内側係止枠57は、右方Yrの端部近傍に設けられている(
図8参照)。
また、前方Xfの下方第1側面52に設けられた内側係止枠57は、一方が後方Xbに設けられた内側係止枠57と対向するように、右方Yrの端部近傍に設けられ、他方が左方Ylに設けられている(
図8参照)。
【0076】
ロア被係止部27と係止固定する第1外側係止枠58は、内側係止枠57と同様に、下方Zdが開口する枠状体であり、
図8及び
図10(a)に示すように、下方第1側面52又は下方第2側壁53から外側に向けて突出するとともに、上方Zuに向けて延出する第1支持部581,581と、第1支持部581,581の上端を連結する第1枠本体582とで一体に構成されている。このように構成された第1外側係止枠58は、後方Xbの下方第1側面52に2つ、下方第2側壁53に1つ設けられている。
なお、後方Xbの下方第1側面52に設けられた第1外側係止枠58は、左方Ylに設けられた内側係止枠57と略対向する位置を挟み込むように設けられている。
【0077】
ケース本体20における下方Zdの開口の一部を覆う第2蓋部60は、
図11に示すように、平面視において、長方形の一部分、詳しくは後方Xbかつ左方Ylを矩形状に切り欠いた形状をしている。すなわち、第2蓋部60は、第1蓋部50と組み付けることで、第1蓋部50における嵌合溝54よりも後方Xbかつ、第1凹部55よりも左方Ylを除いた箇所を覆うこととなる。
【0078】
この第2蓋部60は、
図11乃至
図13に示すように、ケース本体20の底面の一部を構成する第2主面61と、第2主面61の外縁から上方Zuに向けて延出する側面部62とを有し、第2主面61には、第2凹部63と、取付台座部64と、第2固定部65とが設けられている。なお、第2主面61は第1主面51や下方第1側面52と同じ板厚を有する。
【0079】
第2凹部63は、ハーネス100を挿通させる略円柱状の挿通空間を内部に有する筒状体であり、ハーネス100の直径よりも長い高さを有する筒本体部631と、筒本体部631の底面部分をハーネス100の半径と略同じ長さの曲げ半径で略半円状に窪ませた第2半円凹部632とで構成されている。なお、第2凹部63は左方Ylの端部のみが開口している。
【0080】
このように構成された第2凹部63は、第1蓋部50と第2蓋部60とを組み合わせた場合に、筒本体部631の左方Yl端部と第1凹部55における左方Yl端部とが一致する。これにより、第1半円凹部552と第2半円凹部632とでハーネス100の外径よりも拡径を有する挿通口11を形成するとともに、ハーネス100を電気接続箱10の内部に挿通させる略円筒状の挿通部12を形成する(
図1及び
図2参照)。
【0081】
また、第2凹部63には、第1蓋部50と第2蓋部60とを組み合わせた場合に、第1係止枠554と係止される内側係止片633が設けられている。内側係止片633は、
図12(a)に示すように、第2凹部63における内面側から上方Zuに向けて突出する平板の上方Zuに、後方Xbに向けて突出する爪状の係止片である。
【0082】
取付台座部64は、
図11乃至
図13に示すように、第2半円凹部632の左方Yl端部の前方Xfにおいて、第2主面61から下方Zdに向けて突出する台座本体641と、例えば他の部材などにおける取付箇所と固定する取付孔642とで構成されている。
【0083】
この台座本体641は、
図12及び
図13に示すように、下方Zdの高さが第2半円凹部632における下方Zdの端部、すなわち、第2半円凹部632における円弧の頂点よりも下方Zdとなるように構成されている。換言すると、第1蓋部50と第2蓋部60とを組み付けた状態において、第2主面61に対する台座本体641の突出量(下方Zdへの高さ)が、第1主面51に対する挿通口11の突出量(下方Zdへの高さ)よりも大きくなる。
【0084】
第2固定部65は、取付台座部64の左方Ylにおいて、長手方向Yに対しておよそ45度傾くように設けられている点を除き、第1固定部56と同じ構成をしている。すなわち、第2固定部65は、
図11及び
図13に示すように、第2主面61から下方Zdに突出する第2固定台651と、第2固定台651の底面部分を円弧状に窪ませた第2円弧凹部652とで構成されている。なお、第2円弧凹部652は、第2半円凹部632と同じ曲げ半径の凹部で形成されている。
【0085】
また、第2固定台651は、
図13に示すように、ハーネス100の半径のおよそ4分の1程度の高さを有する矩形状の台であり、前方Xfの中央部分には、下方に切り欠いた第2切欠部653が設けられているともに、第2切欠部653から後方Xbに向けて貫通させた第2貫通孔654が形成されている。なお、第2貫通孔654はいわゆる結束バンドを挿通可能に形成されている。
このように構成された第2固定部65は、第1蓋部50と第2蓋部60とを組み付けた状態において、第1固定部56の前方Xfに配置される。
【0086】
また、第2主面61における後方Xbの端面には、
図12(b)及び
図13に示すように、第2主面61の背面側から上方Zuに向けて突出する嵌合突部66が長手方向Yに沿って設けられている。
嵌合突部66は、第2主面61における後方Xbの側面を形成している。すなわち、嵌合突部66は、第2主面61及び側面部62と略同じ板厚を有し、第2凹部63の左方Yl端部から第2蓋部60の左方Ylまで延出している。また、嵌合突部66における長手方向Yの中央部分には、係止壁541に係止される第2係止爪661が備えられている。
【0087】
第2係止爪661は、
図12(b)及び
図13に示すように、嵌合突部66における長手方向Yの中央部分において、後方Xbに向けて突出している。なお、第2係止爪661は下方Zdに向かうに伴い後方Xbに向かうように傾斜している。
【0088】
第2蓋部60の側面に対応する側面部62には、
図12及び
図13に示すように、外壁21の板厚と同じ長さだけ外側に突出する凸部621が周方向に沿って備えられているとともに、ロア被係止部27と係止固定する複数の第2外側係止枠67が設けられている。
【0089】
第2外側係止枠67は、下方Zdが開口する枠状体であり、側面部62から外側に向けて突出するとともに、上方Zuに向けて延出する第2支持部671,671と、第2支持部671,671の上端を連結する第2枠本体672とで一体に構成されている。このように構成された第2外側係止枠67は、後方Xbの側面部62に2つ、前方Xfの側面部62に3つ、長手方向Yの側面部62に2つずつ、計9つ設けられている。
【0090】
次に、このように構成されたケース本体20、アッパーカバー体30、第1蓋部50及び第2蓋部60を組み合わせた電気接続箱10について簡単に説明する。
ケース本体20の内部に形成された収容空間Sに収容された電装部品と接続されているハーネス100は、ケース本体20における右方Yrから下方Zdに向けて導出されている。
【0091】
このようなケース本体20の後方被係止部25及び前方被係止部26に対して蓋側係止部34及び蓋側係止枠35を係止するとともに、内側被係止部28及びロア被係止部27に対して内側係止枠57及び第1外側係止枠58を係止することで、ケース本体20に対してアッパーカバー体30及び第1蓋部50を組み付けることができる。
【0092】
これにより、第1蓋部50における後方Xb及び前方Xfの下方第1側面52が、それぞれ外壁21の内側及び内壁22の内側にそれぞれ配置される。また、後方Xbの下方第1側面52と一体に連結されている外側側壁531が内壁22の内側に、前方Xfの下方第1側面52と一体に連結されている内側側壁532が内壁22の内側に配置される(
図14乃至
図16参照)。
【0093】
また、第1蓋部50はケース本体20に比べて長手方向Yの長さが短いため、ケース本体20に対して第1蓋部50が係止固定された状態において、ケース本体20の右方Yrには開口部分Dが形成される。これにより、第1蓋部50の下方Zdにハーネス100を容易に導出できるとともに、ハーネス100を第1凹部55及び第1固定部56に配置することができる。
【0094】
さらにまた、例えば、ハーネス100を第1固定部56に配置するとともに、第1貫通孔564に結束バンドなどを挿通させてハーネス100を第1固定部56に固定することで、ハーネス100の移動を防止できる。これにより、第1蓋部50が組み付けられたケース本体20に第2蓋部60を組み付ける作業をしやすくできる。
【0095】
次に、ロア被係止部27に対して第2外側係止枠67を係止させることで、第1蓋部50が組み付けられたケース本体20に対して第2蓋部60を組み付けることができる。この状態において、第1主面51と第2主面61は一部分が面一となる主面41が形成される(
図1及び
図2参照)。これにより、開口部分Dを第2蓋部60で覆うことができ、ケース本体20の下方Zdの開口を塞ぐことができる(
図1(b)参照)。
【0096】
このように、ロア被係止部27と第2外側係止枠67が係止固定された状態において、第2蓋部60における側面部62の下端が、
図16及び
図17に示すように、外壁21と内壁22の間に嵌合されるとともに、凸部621が外壁21の上端と当接する。
【0097】
また、ケース本体20に対して第2蓋部60を係止固定することで、
図17及び
図18に示すように、内側係止片633に第1係止枠554が係止されるとともに、開口部分Dを塞ぎつつ、第1凹部55と第2凹部63とで上下方向Zと直交する向きに開口する挿通口11を形成することができる。これにより、開口部分Dから導出されるハーネス100を上下方向Zと直交する方向に容易に導出することができる。
【0098】
また、第1蓋部50を組み付けたケース本体20に対して第2蓋部60を組み付けることで、
図16及び
図18に示すように、第1蓋部50に設けられた嵌合溝54に嵌合突部66が嵌合しつつ、嵌合溝54における係止壁541に第2係止爪661を係止固定できる。これにより、第1蓋部50に対する第2蓋部60の移動を規制できる。
【0099】
このように第1蓋部50が係止固定されたケース本体20と第2蓋部60を係止固定することで、側方二重壁23(外壁21及び内壁22)で第1蓋部50及び第2蓋部60を確実に係止固定できるとともに、第1蓋部50及び第2蓋部60との境界部分から収容空間Sに埃や液体などの異物が侵入することを防止できる。
【0100】
より具体的には、電気接続箱10の外周面を構成する外壁21と底面を構成する第2蓋部60との間から異物が侵入としても、外壁21の内側に第1蓋部50と係止固定されている内壁22を有するため、収容空間Sに異物が侵入することを防止できる。
【0101】
また、第1蓋部50と第2蓋部60との境界部分において、嵌合突部66が嵌合溝54に嵌合しているため、第1蓋部50と第2蓋部60との境界部分から埃や液体などの異物が侵入することを防止できる。仮に嵌合溝54に異物が侵入した場合であっても、嵌合溝54は溝状に形成されているため、前方Xfへの侵入を防止できる。
【0102】
さらにまた、嵌合溝54よりも前方Xfにおいて、第2主面61が第1主面51を覆う構成としているため、第2主面61と第1主面51とで、上下方向Zに対しても二重壁を形成している。これにより、異物が嵌合溝54を越えて侵入したとしても、異物が収容空間Sに侵入することを確実に防止できる。
【0103】
また、ハーネス100を挿通する電気接続箱10は、第2主面61に第2固定部65を設けているため、第1蓋部50が組み付けられたケース本体20に第2蓋部60を係止固定した後に、挿通口11から導出されたハーネス100を第2固定部65に固定することもできる。これにより、所望の方向にハーネス100を配索するとともに、ハーネス100がロアカバー体40と干渉して異音が発生することを防止できる。
【0104】
このように電気接続箱10は、電装部品を収容する収容空間Sを形成する筒状のケース本体20と、ケース本体20に固定され、ケース本体20の一方側の開口を塞ぐロアカバー体40と、ケース本体20を介してロアカバー体40と対向するようにケース本体20に固定され、ケース本体20の他方側の開口を塞ぐアッパーカバー体30とが備えられ、ロアカバー体40の第1主面51及び第2主面61(主面41)における面内側に、電装部品と接続されたハーネス100が挿通される挿通口11が設けられている。
【0105】
なお、ハーネス配索構造1は、電気接続箱10と、挿通口11から電気接続箱10の内部に挿通されたハーネス100とが備えられ、所定の取付箇所(エンジンルーム)に取り付けられている。
【0106】
この電気接続箱10によると、ハーネス100を接続する電気機器類と挿通口11との間の距離を確保でき、挿通口11から外部に引き出されたハーネス100を曲げるための空間を確保できる。したがって、ハーネス100を容易に曲げることができる。すなわち、ハーネス100を急な角度で曲げる必要がないため、ハーネス100を電気機器類と容易に接続しつつ、曲げによるハーネス100への負荷を軽減できる。
【0107】
また、挿通口11は、主面41(第1主面51及び第2主面61)に対してケース本体20から離間する方向(上下方向Z)に突出するとともに、第1主面51及び第2主面61に対して交差する向き(長手方向Y)に開口している。
【0108】
これにより、主面41(第1主面51及び第2主面61)に沿ってハーネス100を挿通口11から引き出すことができ、挿通口11の位置がハーネス100を接続する電気機器類に対応する位置となるように電気接続箱10を配置することで、ハーネス100の曲げる回数を低減でき、ハーネス100にかかる負荷をより軽減できる。
【0109】
また、主面41(第1主面51及び第2主面61)に沿ってハーネス100を引き出すことにより、ハーネス100がケース本体20から離間する方向(上下方向Z)に突出することを抑制できる。したがって、ケース本体20から離間する方向(上下方向Z)に対するコンパクト化を図ることができる。
【0110】
また、ロアカバー体40における挿通口11の近傍に、被取付箇所に取り付ける取付台座部64が設けられ、取付台座部64の第1主面51及び第2主面61からの突出量が、挿通口11の第1主面51及び第2主面61からの突出量より大きいことにより、取付台座部64の突出方向に対してハーネス100が取付台座部64よりも突出することを防止できる。このため、取付台座部64を取付箇所に取り付けた場合に、ハーネス100が取付箇所やその近傍の他の部材などに当接して損傷すること防止できる。
【0111】
さらにまた、ロアカバー体40において、挿通口11に挿通されるハーネス100を第1主面51及び第2主面61に固定する第1固定部56及び第2固定部65が設けられていることにより、挿通口11から引き出したハーネス100をロアカバー体40に沿って確実に配索できるとともに、第1固定部56又は第2固定部65に固定することによりハーネス100を所望の方向に曲げ規制できる。また、ハーネス100を固定することにより、ハーネス100が他の部材と干渉することによる異音の発生を防止できる。
【0112】
また、ロアカバー体40は、第1主面51及び第2主面61の一部を構成する第1蓋部50と、少なくとも第1主面51及び第2主面61の他の部分を構成する第2蓋部60とを有し、挿通口11は、第1蓋部50と第2蓋部60との間に形成されている。
【0113】
これにより、第1蓋部50で開口の一部を塞ぐとともに、挿通口11に対応する箇所にハーネス100を配置し、第2蓋部60で塞がれた開口の他の部分を塞ぎつつ挿通口11を形成することができる。すなわち、開口部分Dからハーネス100を容易に引き出すことができるため、ハーネス100を挿通口11から引き出す場合と比べて、ハーネス100に負荷をかけることなく容易に挿通口11にハーネス100を配置することができる。したがって、ハーネス100の配索効率を向上させることができる。
【0114】
また、第1蓋部50と第2蓋部60とでハーネス100を挟み込むことで挿通口11に保持することができ、ハーネス100をロアカバー体40における面内側の所定の位置に固定できる。これにより、ロアカバー体40に対するハーネス100の干渉や、車両の振動により異音の発生を防止できる。
【0115】
また、第1主面51及び第2主面61の他の部分を構成する第2蓋部60には、第1蓋部50に対して被さる部分が設けられていることにより、ロアカバー体40の強度を向上させることができる。また、第2蓋部60と収容空間Sとの間に第1蓋部50が配置されるため、仮に第2蓋部60の内側に液体が侵入した場合であっても、第1蓋部50により、収容空間Sに液体が侵入することを抑制できる。
【0116】
さらまた、第1蓋部50において第2蓋部60が被さる部分と被さらない部分との境界に、第2蓋部60において第1蓋部50に被さる部分の端部に設けられた嵌合突部66が嵌合する嵌合溝54が設けられている。
【0117】
これにより、第1蓋部50に対する第2蓋部60の位置を固定できるとともに、外部と収容空間Sとの間に、嵌合突部66と嵌合溝54部とで凹凸嵌合構造を設けることができる。このため、第1蓋部50に対する第2蓋部60の移動を規制しつつ、第1蓋部50と第2蓋部60との間から埃や液体などの異物が収容空間Sに侵入することを防止できる。
【0118】
また、ケース本体20において、第2蓋部60が第1蓋部50に被さる部分に対応する箇所は内外方向の側方二重壁23を有し、側方二重壁23のうち内壁22に、第1蓋部50を固定する内側被係止部28が設けられ、側方二重壁23のうち外壁21に、第2蓋部60を固定するロア被係止部27が設けられている。
【0119】
これにより、第1蓋部50及び第2蓋部60をそれぞれ個別にケース本体20に固定することができ、収容空間Sから延びるハーネス100をケース本体20に固定した第1蓋部50における挿通口11に対応した箇所(第1半円凹部552)に配置した状態で、第2蓋部60を容易に固定することができる。
【0120】
さらに、ケース本体20における第2蓋部60が第1蓋部50に被さる部分に対応する箇所を内外方向に対する外壁21と内壁22とで側方二重壁23とすることで、第1蓋部50と第2蓋部60のそれぞれを確実に固定しつつ、第1蓋部50と第2蓋部60の境界部分から収容空間Sに埃や液体などの異物が侵入することを防止できる。
【0121】
また、ロアカバー体40は、ケース本体20における底面側の開口を塞ぐように構成され、アッパーカバー体30は、ケース本体20における上面側の開口を塞ぐように構成されているため、下方側にハーネス100を挿通させることができる。また、挿通口11が底面側の開口を塞ぐロアカバー体40における面内側に設けられるため、挿通口11を介して液体が収容空間Sに侵入することをより確実に防止できる。
【0122】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
収容空間は、収容空間Sに対応し、以下同様に、
ケース本体は、ケース本体20に対応し、
第1カバー体は、ロアカバー体40に対応し、
第2カバー体は、アッパーカバー体30に対応し、
ハーネスは、ハーネス100に対応し、
挿通口は、挿通口11に対応し、
電気接続箱は、電気接続箱10に対応し、
取付台座部は、取付台座部64に対応し、
主面は、主面41、第1主面51及び第2主面61に対応し、
固定部は、第1固定部56及び第2固定部65に対応し、
第1蓋部は、第1蓋部50に対応し、
第2蓋部は、第2蓋部60に対応し、
嵌合部は、嵌合突部66に対応し、
嵌合溝は、嵌合溝54に対応し、
二重壁は、側方二重壁23に対応し、
内壁は、内壁22に対応し、
第1蓋固定部は、内側被係止部28に対応し、
外壁は、外壁21に対応し、
第2蓋固定部は、ロア被係止部27に対応し、
ハーネスの配索構造は、ハーネス配索構造1に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0123】
例えば、本実施形態において、挿通口11は長手方向Yに向けて開口し、長手方向Yに沿ってハーネス100を挿通させているが、この方向に限定する必要はなく、上下方向Zに向けて開口していてもよいし、上下方向Zに交差する方向に開口していてもよい。
【0124】
また、本実施形態において、第1蓋部50と第2蓋部60とは別体で構成されているが、例えばヒンジなどを介して第1蓋部50に対して第2蓋部60を枢動できる構成としてもよいし、第1蓋部50に対して第2蓋部60を平行移動させることで、第1蓋部50に第2蓋部60を被せてもよい。
【0125】
さらには、本実施形態において、挿通口11は、ケース本体20における下方Zdの開口を塞ぐロアカバー体40に設けられているが、ケース本体20における上方Zuの開口を塞ぐアッパーカバー体30に挿通口11が設けられてもよい。なお、ロアカバー体40を第1蓋部50及び第2蓋部60とで構成するように、アッパーカバー体30を複数の部材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 ハーネス配索構造
10 電気接続箱
11 挿通口
20 ケース本体
21 外壁
22 内壁
23 側方二重壁
27 ロア被係止部
28 内側被係止部
30 アッパーカバー体
40 ロアカバー体
41 主面
50 第1蓋部
51 第1主面
54 嵌合溝
56 第1固定部
60 第2蓋部
61 第2主面
64 取付台座部
65 第2固定部
66 嵌合突部
100 ハーネス
S 収容空間