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特開2024-140461ワイヤハーネスの端末保護カバー、ワイヤハーネスの端末保護構造およびワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140461
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの端末保護カバー、ワイヤハーネスの端末保護構造およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241003BHJP
   H01R 13/56 20060101ALI20241003BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H01R13/56
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051599
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祐造
(72)【発明者】
【氏名】池本 浩平
(72)【発明者】
【氏名】八尾 誠也
【テーマコード(参考)】
5E021
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5E021FB09
5E021FC02
5G309AA09
5G357DA06
5G357DB03
5G357DE01
5G357DG04
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】横出し処理された電線束の端末の保護がコネクタの長さに関わりなく行えるようにする。
【解決手段】コネクタが接続される電線束13の端末に電線が曲がる曲げ部13aを有したワイヤハーネス11における端末を保護するワイヤハーネスの端末保護カバー15において、曲げ部13aを覆う本体部51と、本体部51を片持ち支持して電線束13に固定されるアーム部52を備える。本体部51は、曲げ部13aにおける電線の長手方向に沿った両側部をカバーする側面部53と、曲げ部13aの背部をカバーする頂部54を有する半筒状である。アーム部52は本体部51の長手方向の一端に突設される。そして、本体部51同士を互いに接触させた状態で長手方向に並べたときに一の端末保護カバー15における本体部51と、隣接する他の端末保護カバー15におけるアーム部52とを互いに結合する結合構造57を、本体部51とアーム部52に形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタが接続される電線束の端末に電線が曲がる曲げ部を有したワイヤハーネスにおける端末を保護するワイヤハーネスの端末保護カバーであって、
曲げ部を覆う本体部と、前記本体部を片持ち支持して電線束に固定されるアーム部が備えられ、
前記本体部が、曲げ部における電線の長手方向に沿った両側部をカバーする側面部と、曲げ部の背部をカバーする頂部を有し、一定長さに形成され、
前記アーム部が前記本体部の長手方向の一端に形成され、
前記本体部同士を長手方向に並べたときに一の当該端末保護カバーにおける前記本体部と、隣接する他の当該端末保護カバーにおける前記アーム部とを互いに結合する結合構造が、前記本体部と前記アーム部に形成された
ワイヤハーネスの端末保護カバー。
【請求項2】
前記本体部の長さが、使用されるコネクタのうちあらかじめ定められた小型のコネクタを基準にして設定される単位長さに形成された
請求項1に記載のワイヤハーネスの端末保護カバー。
【請求項3】
前記結合構造が前記アーム部を前記本体部の外面に重ねる構造である
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの端末保護カバー。
【請求項4】
前記結合構造が前記アーム部を前記本体部の内面に重ねる構造である
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの端末保護カバー。
【請求項5】
前記アーム部の先端に、幅または厚さを増す方向に張り出す張り出し部が形成された
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの端末保護カバー。
【請求項6】
前記アーム部の下面に、電線束を構成する電線間に嵌まる凸条が形成された
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの端末保護カバー。
【請求項7】
前記アーム部が複数本形成された
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの端末保護カバー。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの端末保護カバーを用いた
ワイヤハーネスの端末保護構造。
【請求項9】
請求項8に記載のワイヤハーネスの端末保護構造を備えた
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタが接続されたワイヤハーネスの端末の保護に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線束の端末に接続されたコネクタの背後に他の部品がある場合に、この部品と電線が干渉することを防止するために、電線束をコネクタの接続面からまっすぐに引き出さずに接続面の近傍で電線束を曲げて接続面に沿った方向などに引き出すことがある。これは、いわゆる「横出し処理」と称され、電線束は、電線が曲がった曲げ部を端末に有することになる。そしてこの場合には、電線がばらけるのを防止するために、コネクタカバーを装着することがある。
【0003】
コネクタカバーは、コネクタに対して固定されて電線束の端末を覆う構造である。しかし、コネクタカバーは、コネクタに対して固定される構成であるため、コネクタごとに専用の形状に形成されていた。このため、ワイヤハーネスの端末保護には、コネクタに対応した多種類のコネクタカバーが必要であった。
【0004】
このような不都合を解消し得る端末保護材がある。これは特許文献1に開示されているように、折り曲げ可能なシート材で構成された端末保護材である。端末保護材は、二つ折りされて電線束の曲げ部を覆う覆い部と、覆い部の折り曲げがなされる折り曲げ線上で一方に延設された固定部を有している。覆い部には、曲げ部を覆ったときにコネクタの接続面に対向する対向辺が形成されている。
【0005】
このような構成の端末保護材は次のように使用される。すなわち、覆い部で電線束の曲げ部を覆い、この状態を保ったまま固定部を電線束の曲げ部の隣接部位に粘着テープで巻き付けて固定する。固定部が電線束にしっかりと固定されることで、覆い部が曲げ部を覆った状態が維持される。
【0006】
つまり、端末保護材は電線束に固定されて、コネクタに対しては覆い部の対向辺を接続面に対向させる構成であるので、コネクタごとに対応して設計された保護材でなくとも電線束の端末を保護できる。
【0007】
しかし、端末保護材の覆い部は一定の大きさに形成されているので、特許文献1の端末保護材では、コネクタの接続面の長さが短いコネクタには対応できても、接続面の長いコネクタには対応しきれない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第7203589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、接続面の長さが長いコネクタに対しても対応し得るようにして、汎用性をより高めることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、コネクタが接続される電線束の端末に電線が曲がる曲げ部を有したワイヤハーネスにおける端末を保護するワイヤハーネスの端末保護カバーであって、曲げ部を覆う本体部と、前記本体部を片持ち支持して電線束に固定されるアーム部が備えられ、前記本体部が、曲げ部における電線の長手方向に沿った両側部をカバーする側面部と、曲げ部の背部をカバーする頂部を有し、一定長さに形成され、前記アーム部が前記本体部の長手方向の一端に形成され、前記本体部同士を長手方向に並べたときに一の当該端末保護カバーにおける前記本体部と、隣接する他の当該端末保護カバーにおける前記アーム部とを互いに結合する結合構造が、前記本体部と前記アーム部に形成されたワイヤハーネスの端末保護カバーである。
【0011】
この構成では、本体部が電線束の曲げ部を覆い、本体部による被覆状態を電線束に固定されたアーム部が保持する。本体部とアーム部はそれぞれの機能を果たすうえに、それらに形成された結合構造が、必要に応じて、複数個を一体にした端末保護カバーを形成する。すなわち、一つの端末保護カバーでは、本体部の長手方向の長さが曲げ部を覆うのに足りない場合に、結合構造で複数の端末保護カバー同士を結合して、曲げ部を覆う部分の長さを長くする。複数個を一体にした端末保護カバーにおける一端のアーム部は、ひとつの端末保護カバーの場合と同様に、並んだ複数の本体部による曲げ部の被覆状態を維持する。
【0012】
この発明の態様として、前記本体部の長さが、使用されるコネクタのうちあらかじめ定められた小型のコネクタを基準にして設定される単位長さに形成されたワイヤハーネスの端末保護カバーとすることができる。
【0013】
「単位長さ」は、横出し処理がなされるワイヤハーネスの端末に接続されるコネクタを長さに応じて、たとえば「大」「中」「小」と区分した場合に「小」となるような最小単位とし得る長さである。最大公約数のように求めることもできるが、厳格に求める必要はなく、ある程度の余裕をもって設定される。また、この「単位長さ」は、ワイヤハーネスの用途に応じておおよそ定まる。
【0014】
この構成では、単位長さが適切に設定されることによって、複数個を一体に結合した端末保護カバーの簡素化(用いる端末保護カバーの少数化)と、保護構造の強化と、固定作業の簡単化がはかれる。
【0015】
この発明の態様として、前記結合構造が前記アーム部を前記本体部の外面に重ねる構造であるワイヤハーネスの端末保護カバーとすることができる。
【0016】
この構成では、結合構造がたとえばアーム部を長手方向に差し込む構成であっても、またアーム部の面を押し付けて嵌める構成であっても、アーム部が本体部の外面に位置するので、結合状態の良否判断がしやすい。このため、万が一、結合の不良などがあれば、即座に適切な対応をとることができる。このため、良好な端末保護が確実にできる。
【0017】
この発明の態様として、前記結合構造が前記アーム部を前記本体部の内面に重ねる構造であるワイヤハーネスの端末保護カバーとすることができる。
【0018】
この構成では、結合構造が本体部の内面に位置することになるので、端末保護カバー同士の結合状態において本体部の外面を凹凸のない形状、また嵩張らない形状にすることができ、背後にある他の部品との接触を抑制できる。また、電線束に固定されたアーム部を有する端末保護カバー以外の端末保護カバーは、アーム部が隣接する端末保護カバーの本体部に押さえつけられた態様で結合される。このため、結合箇所を増やして本体部同士の位置規制を積極的に行わなくとも、高い一体性をもって保護でき、適切な端末保護に貢献する。
【0019】
この発明の態様として、前記アーム部の先端に、幅または厚さを増す方向に張り出す張り出し部が形成されたワイヤハーネスの端末保護カバーとすることができる。
【0020】
この構成では、アーム部を電線束に固定するときに巻き付ける粘着テープを張り出し部に引っかけて両者を関係づけることによって、アーム部と粘着テープとの一体性を高められる。このため、振動等でずれたり外れたりすることのない、強固な固定状態を維持でき、適切な端末保護に貢献する。
【0021】
この発明の態様として、前記アーム部の下面に、電線束を構成する電線間に嵌まる凸条が形成されたワイヤハーネスの端末保護カバーとすることができる。
【0022】
この構成では、アーム部を電線束に固定したときに凸条が電線束の電線間に嵌まって、電線束との間で周方向での位置規制をする。このため、本体部の向きを積極的に維持することができ、適切な端末保護に貢献する。
【0023】
この発明の態様として、前記アーム部が複数本形成されたワイヤハーネスの端末保護カバーとすることができる。
【0024】
この構成では、アーム部を電線束に固定したときに複数本のアーム部がそれぞれ電線束に接し、アーム部の角を電線間に嵌める。電線束の周方向における複数箇所に当たったアーム部は、アーム部が1本である場合とは異なり、協働して電線束との間で周方向での位置規制をする。このため、本体部の向きを積極的に維持することができ、適切な端末保護に貢献する。
【0025】
この発明の態様として、前記ワイヤハーネスの端末保護カバーを用いた、ワイヤハーネスの端末保護構造とすることができる。
【0026】
この発明の態様として、前記ワイヤハーネスの端末保護構造を備えた、ワイヤハーネスとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、電線束に固定されたアーム部が本体部による曲げ部に対する被覆状態を維持する構成であるうえに、本体部とアーム部に形成した結合構造が必要に応じて結合されて、曲げ部を覆う部分を長くする構成である。このため、接続面の長さが短いコネクタに接続された端末はもちろん、接続面の長さが長いコネクタに接続された端末に対しても、1種類の端末保護カバーで保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ワイヤハーネスの端末保護構造の側面図。
図2】端末保護カバーの斜視図。
図3】端末保護カバーの長手方向に沿った縦断面図。
図4】ワイヤハーネスの端末保護構造の断面図。
図5】1個の端末保護カバーで保護したワイヤハーネスの端末保護構造の側面図。
図6】3個の端末保護カバーで保護したワイヤハーネスの端末保護構造の一例に係る側面図。
図7】他の例に係る端末保護カバーの側面図と、これを用いたワイヤハーネスの端末保護構造の断面図。
図8】他の例に係る端末保護カバーの斜視図と断面図。
図9図8の端末保護カバーを用いたカバー結合体の斜視図と断面図。
図10】他の例に係る端末保護カバーの斜視図と断面図。
図11図10の端末保護カバーを用いたカバー結合体の斜視図と断面図。
図12】他の例に係る端末保護カバーの斜視図。
図13図12の端末保護カバーを用いたカバー結合体の斜視図と断面図。
図14】他の例に係る端末保護カバーをアーム部の先端側から見た正面図
図15】他の例に係る端末保護カバーの斜視図と断面図。
図16図15の端末保護カバーを用いたカバー結合体の斜視図と断面図。
図17】他の例に係る端末保護カバーの斜視図と、アーム部で切断した断面図。
図18】他の例に係る端末保護カバーの正面側から見た斜視図と、下面側から見た斜視図。
図19図18の端末保護カバーを用いたカバー結合体の斜視図と断面図。
図20】他の例に係る端末保護カバーの下面側から見た斜視図と、アーム部で切断した断面図。
図21】他の例に係る端末保護カバーとカバー結合体の斜視図。
図22図21の端末保護カバーのアーム部で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0030】
図1にワイヤハーネス11の端末保護構造を側面から見た状態を示す。この端末保護構造は、コネクタ12が接続される電線束13の端末に電線が曲がる曲げ部13aを有したワイヤハーネス11、つまり横出し処理されたワイヤハーネス11における端末を保護するものである。
【0031】
端末保護構造は、端末保護カバー15で電線束13の端末(以下、「被保護部13b」ともいう)を覆って、電線束13がばらけるのを防止する。図1に例示の端末保護構造では、ひとつの被保護部13bを複数の端末保護カバー15を用いて保護している。使用される端末保護カバー15は互いに同一形状である。つまり、1種類の端末保護カバー15が用いられる。端末保護カバー15は電線束13に対して粘着テープ16で巻き付けて固定され、コネクタ12に対しては固定されない。
【0032】
図2に端末保護カバー15の斜視図を示す。端末保護カバー15は、合成樹脂成形品からなり、互いに一体の本体部51とアーム部52を有している。本体部51は曲げ部13aを覆う部分であり、アーム部52は、本体部51を片持ち支持して電線束13に固定される部分である。
【0033】
本体部51は、電線束13の端末におけるコネクタ12の接続面12aから出ている曲げ部13aを含む部分の全体、つまり被保護部13bを覆えるように、側面部53と頂部54を有する一定長さのトンネル状に形成されている。言い換えれば、同一の断面形状が一方向に連続した半筒形状であり、下面に開口51aを有している。側面部53は、曲げ部13aにおける電線の長手方向に沿った両側部をカバーする部分であり、頂部54は、曲げ部13aの背部をカバーする部分である。
【0034】
側面部53と頂部54は、被保護部13bとの間に隙間ができるように形成される。つまり、相対向する2枚の側面部53は、コネクタ12の接続面12aにおける電線束13の幅よりも広い間隔をあけて形成されている。また、頂部54は側面部53の下端53aをコネクタ12の接続面12aに当接したときに電線束13との間に隙間ができる高さに形成されている。
【0035】
側面部53と頂部54を有する断面形状は、図示例のように上下反転略「U」字状である。具体的には、側面部53が上下方向にのびる垂直面を有し、頂部54が水平方向にのびる水平面を有しており、垂直面と水平面は、角を面取りする態様の傾斜面部51bを介して連続している。
【0036】
本体部51の長さは、使用されるコネクタ12のうちあらかじめ定められた小型のコネクタ12を基準にして設定される「単位長さ」である。つまり、小さめのコネクタ12が接続された電線束13の端末を被覆可能な長さであり、それよりも長いコネクタ12が接続された電線束13の端末に対しては、本体部51を2個、3個と長手方向に並べると、被覆する部分の長さを2倍、3倍にできる長さである。「単位長さ」は、余裕をもって長めに設定される。
【0037】
アーム部52は、本体部51の長手方向の一端に形成されて、本体部51から突出している。具体的には、本体部51における頂部54の一端に短冊形状に形成されており、アーム部52は本体部51の長手方向と同一方向にのびている。
【0038】
断面図である図3に示したように、アーム部52は頂部54とは段違いに形成されている。具体的には、本体部51同士を長手方向に並べたときに互いに隣接する本体部51の外面が面一になるように、アーム部52の下面と本体部51における頂部54の上面が同じ高さ(補助線L1参照)に形成されている。
【0039】
アーム部52の長さは、本体部51の長さよりも若干短く設定されている。これは、図1図4に示したように、本体部51同士を長手方向に互いに接触させて並べたときに本体部51の上に重なるアーム部52を本体部51から飛び出させないためである。また、本体部51同士を長手方向に互いに接触させて並べたときに、長手方向に並ぶアーム部52同士の干渉を防止するためである。
【0040】
なお、アーム部52は電線束13に対して粘着テープ16を巻き付けて固定する部分であるので、アーム部52の長さの決定には、使用する粘着テープ16の幅も考慮するとよい。つまり、アーム部52の長さは粘着テープ16の幅と同程度かそれ以上の長さに設定されるのが好ましい。
【0041】
また、アーム部52の幅は、本体部51の頂部54の幅よりも若干小さく設定されている。
【0042】
このような本体部51とアーム部52には、端末保護カバー15同士を結合するための結合構造57が形成されている。結合構造57は、本体部51同士を長手方向に互いに接触させて並べたときに一の端末保護カバー15における本体部51と、隣接する他の端末保護カバー15におけるアーム部52とを互いに結合するためのものである。
【0043】
この例の結合構造57は、図2に矢印で示したように、一の端末保護カバー15のアーム部52を他の端末保護カバー15の本体部51に差し込むと結合できる構成であり、またアーム部52を本体部51の上面に重ねる構造である。具体的には、アーム部52の係止突起71と、本体部51の保持枠72を有している。
【0044】
係止突起71は、アーム部52の厚さを増す方向に張り出す張り出し部58であり、アーム部52の先端における上面に断面三角形状に形成されており、後方へ傾く傾斜面71aと、この傾斜面71aの後方の係止段部71bを有している。
【0045】
保持枠72は、本体部51の頂部54の上面に形成されており、頂部54の左右両側で相対向する起立壁部72aと、起立壁部72aの上端同士を連結する連結部72bを有している。起立壁部72aと連結部72bで囲まれた空間は、アーム部52における係止突起71のない部分が嵌合対応する大きさである。保持枠72は、頂部54のうちアーム部52が形成された一端側の部位に形成されており、連結部72bは、アーム部52の係止突起71を係止できるように、アーム部52が形成された方向とは反対側に寄せて形成されている。
【0046】
なお、結合構造57のうち、抜け止め機能を有する係止突起71は、アーム部52の厚み方向に突出する構成ではなく、幅方向に突出する構成であってもよい。また、係止突起71は省略することができる。結合状態を維持するのに、必要であれば、ウェルダー(高周波溶着)等を併用してもよい。
【0047】
以上のように構成された端末保護カバー15は、被保護部13bの長さに応じて、形態を変えて使用される。
【0048】
まず、コネクタ12の長さが単位長さよりも長い場合について説明する。図1に示したワイヤハーネスの端末保護構造は、保護する被保護部13bがコネクタ12の長さが単位長さよりも長く、端末保護カバー15の本体部51を2個並べると保護できる長さである。このような場合に、端末保護カバー15同士を必要数、結合する。
【0049】
端末保護カバー15同士の結合は、図2に示したように一方の端末保護カバー15のアーム部52を他方の端末保護カバー15の保持枠72に差し込んで、係止突起71を保持枠72の連結部72bに係止して行う。係止状態において、図4に示したように、アーム部52は保持枠72で位置規制されるとともに、連結部72bで押さえられ、係止突起71が連結部72bに係止して抜け止めされる。
【0050】
結合構造57によって複数個の端末保護カバー15を一体にした端末保護カバー(以下、「カバー結合体15a」ともいう)は、本体部51を被保護部13bに被せて、本体部51の下端をコネクタ12の接続面12aに向ける。そして、長手方向に並ぶ本体部51がコネクタ12の接続面12aから出ている電線を覆うように位置調整したうえで、長手方向の一端に突出しているアーム部52を電線束13に沿わせて、粘着テープ16を巻き付けて電線束13に固定する。すると、アーム部52は、本体部51による被保護部13bに対する被覆状態を維持する。
【0051】
つぎに、コネクタ12の長さが短く、単位長さ程度である場合には、図5に示したように、1個の端末保護カバー15を用いて被保護部13bを保護する。すなわち、本体部51を被保護部13bに被せて、アーム部52を電線束13に粘着テープ16で固定する。
【0052】
コネクタ12の長さが、単位長さの2倍よりもある場合には、図示を省略するが、3個以上の端末保護カバー15を互いに結合したカバー結合体15aを得て、被保護部13bを保護する。
【0053】
図6に示したように、コネクタ12から電線束13の引き出し方向が相反する2方向に分かれている場合には、被保護部13bが2個あると考えて、それぞれの被保護部13bを被覆するように端末保護カバー15またはカバー結合体15aを固定するとよい。それぞれの電線束13に対して端末保護カバー15またはカバー結合体15aを固定して保護するほうが、一方の電線束13に1つのカバー結合体15aを固定して複数の被保護部13bを保護するよりも確実に保護できるからである。
【0054】
以上のように、本体部51が被保護部13bを覆って電線束13がばらけるのを防止して他の部材との接触を阻止し、この保護状態を電線束13に固定されたアーム部52が維持する。本体部51は被保護部13bを覆う半筒形状であり、コネクタ12に対して固定されることはないので、本体部51で覆える範囲であれば長さが異なるコネクタ12に対しても適用できる。また、本体部51はアーム部52で片持ち支持されるが、アーム部52が電線束13に固定され、本体部51の下端がコネクタ12の接続面12aに当接することによって、保護状態は良好に維持できる。
【0055】
また、本体部51は断面形状が角張った形ではなく、傾斜面部51bを有する形であるので、狭い配策空間への収まりがよい。
【0056】
そして、本体部51とアーム部52は、それぞれの機能を果たすうえに、コネクタ12の長さが長く、被保護部13bが単位長さよりも長い場合、つまり1つの端末保護カバー15では保護できない場合には、カバー結合体15aを得るという機能も果たす。つまり、本体部51とアーム部52に形成された結合構造57によって、端末保護カバー15同士が結合したカバー結合体15aが得られる。これによって、長さの長いコネクタ12が接続されたワイヤハーネス11の端末でも保護できる。
【0057】
使用する端末保護カバー15は1種類であって、結合するか否か、何個の端末保護カバー15を結合するかをコネクタ12に応じて決めるだけでよく、保護についての部品管理の負担を軽減できる。また、端末保護カバー15同士の結合の有無にかかわらず、固定作業は同じであるので、作業負担も軽減できる。
【0058】
また、本体部51の長さは単位長さに設定しているので、用途に応じて単位長さが適切に設定されることによって、カバー結合体15aを得る場合に用いる端末保護カバー15の数の少数化をはかれる。これによって、結合箇所を少なくできるので、より一体性の高いカバー結合体15aが得られ、保護構造を強くできるとともに、片持ち状でありながらも固定作業を簡単にできる。
【0059】
結合構造57については、アーム部52を本体部51の外面に重ねる構造であるので、アーム部52と本体部51の結合状態が正しく結合されているか否かを、電線束13に対する固定に際して瞬時に判断できる。このため、万が一、電線束13への固定前に結合の緩みなどがあれば、即座に適切な対応ができ、作業の確実性を高められる。
【0060】
端末保護カバー15またはカバー結合体15aの電線束13に対する固定は粘着テープ16の巻き付けで行うが、粘着テープ16が巻かれるアーム部52には、張り出し部58としての係止突起71が形成されているので、強固な固定が行える。すなわち、粘着テープ16を巻き付けるときに、図1等に示したように粘着テープ16を張り出し部58としての係止突起71に引っかけると、粘着テープ16のずれを防止できる。このため、アーム部52と粘着テープ16との一体性を高め、被保護部13bの保護状態を維持できる。
【0061】
さらに、端末保護カバー15は、被保護部13bの保護のためにそれぞれ機能する本体部51とアーム部52に結合構造57が形成している。このため、別途に結合のための構造を設ける必要がなく、構成を簡素にできる。しかも、結合構造57のうちの係止突起71が張り出し部58を兼ねることによって、多機能でありながらも全体の構成がきわめて簡素となっている。このため、製造コストの低減等もはかれる。
【0062】
以下、その他の例を説明する。この説明において、先の構成と同一の部位については同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。また、先に述べた作用等の重複した説明も省く。
〈他の例1〉
図7の(a)は端末保護カバー15の側面図である。この端末保護カバー15は、アーム部52における本体部51に近い基部に、屈曲を容易にする屈曲容易化部52aを有している。屈曲容易化部52aは、幅方向全体にのびてアーム部52の厚みを薄くする複数本の凹溝で構成されている。凹溝はアーム部52の下面に形成される。
【0063】
このような構成の端末保護カバー15は、図7の(b)に示したように、固定に際して電線束13の傾きに応じて屈曲させる。固定時に本体部51には、コネクタ12の接続面12aに向けた付勢力が作用するので、良好な保護状態が得られる。このような固定が可能であるので、端末保護カバー15は電線束13の傾きの相違にも対応できる。
〈他の例2〉
図8の(a)は端末保護カバー15の斜視図である。この端末保護カバー15は、結合構造57として、前述例の係止突起71と保持枠72のほかに、本体部51の端面に嵌合片73を有している。
【0064】
具体的には、本体部51におけるアーム部52を形成したのとは反対側の端面の全体に、端面から突出する嵌合片73を形成している。嵌合片73は、本体部51の断面形状よりも一回り小さい大きさであり、断面図である図8の(b)に示したように、嵌合片73の外面が本体部51の内面と同じ高さ(補助線L2参照)となるようにしている。
【0065】
また、保持枠72は、図2に示した前述例の場合よりも長手方向に長く、嵌合片73を有する端に近い位置まで形成されている。保持枠72の幅方向における中間部の連結部72bよりも後方には、起立壁部72a間の間隔よりも短い幅の切欠き72cが形成されている。切欠き72cの両側部分はアーム部52を規制する部分であり、このような構成の保持枠72では、アーム部52を規制する部分が長手方向に長く形成されていることになる。
【0066】
このような構成の端末保護カバー15は、端末保護カバー15同士を互いに結合すると、斜視図である図9の(a)に示したようになる。すなわち、アーム部52が差し込まれるほうの端末保護カバー15の嵌合片73が他方の端末保護カバー15の一端における本体部51の内側に嵌まり、断面図である図9の(b)に示したように相対向する本体部51の端面同士が当接し合う。このとき、保持枠72に差し込まれているアーム部52は、長手方向の略全体が保持枠72で位置規制されて、本体部51同士の当接状態が保持される。
【0067】
このため、端末保護カバー15同士の間でがたつきのない結合状態が得られ、良好な保護が可能となる。
〈他の例3〉
図10の(a)は端末保護カバー15の斜視図である。この端末保護カバー15は、図8に示した端末保護カバー15とは異なり、結合構造57のひとつである嵌合片73を、本体部51に対して内嵌合ではなく外嵌合するように形成している。すなわち、嵌合片73は、本体部51の断面形状よりも一回り大きい大きさであり、断面図である図10の(b)に示したように、嵌合片73の内面が本体部51の外面と同じ高さ(補助線L3参照)とになるようにしている。なお、嵌合片73における頂部54に対応する部位の一部には、アーム部52を挿入可能とするため切欠き73aが形成されている。
【0068】
このような構成の端末保護カバー15でも、図11の(a)、(b)に示したように、広範囲にわたって結合がなされるので、端末保護カバー15同士の間でがたつきのない結合状態が得られ、良好な保護が可能となる。また、特にこの構成では、電線束13に固定されるアーム部52を有した端末保護カバー15が他の端末保護カバー15に外嵌合することになる。つまり、固定時には、結合に供されるアーム部52を有している他の端末保護カバー15が、コネクタ12に向けて押さえ込まれることになる。このため、より強固な保護状態が得られる。
〈他の例4〉
図12は端末保護カバー15の斜視図である。この端末保護カバー15は、結合構造57として、前述例の係止突起71と保持枠72のほかに、本体部51の端面の近傍に、長手方向での差し込みで互いに係合する係合片74と被係合部75を有している。
【0069】
具体的には、本体部51におけるアーム部52を形成したのとは反対側に係合片74を、アーム部52を形成した側に被係合部75を形成している。係合片74は、長手方向に突出した長方形の板状であり、本体部51の下端部における外面に形成され、係合片74の内面が本体部51の外面と同じ高さになるようにしている。一方、被係合部75は、外面における長手方向において係合片74と対応する位置に形成されており、係合片74を受け入れ可能な角張った「C」字状である。
【0070】
このような構成の端末保護カバー15は、端末保護カバー15同士を互いに結合すると、斜視図である図13の(a)に示したようになる。すなわち、アーム部52が差し込まれるほうの端末保護カバー15の係合片74が他方の端末保護カバー15の被係合部75に嵌まり、断面図である図13の(b)に示したように相対向する本体部51の端面同士が当接し合う。このとき、保持枠72に差し込まれているアーム部52は、長手方向の略全体が保持枠72で位置規制されて、本体部51同士の当接状態が保持される。
【0071】
このため、結合が行われる範囲は図8図10の例に比べると狭いものの、本体部51における幅方向両端の下端部で結合がなされるので、広範囲にわたって結合したのと同様に、端末保護カバー15同士の間でがたつきのない結合状態が得られる。また、特にこの構成では、係合片74と被係合部75が本体部51の幅方向はもとより上下方向での変位にも強固に対抗し得る構成である。このため、固定時には、結合に供されるアーム部52を有している他の端末保護カバー15をコネクタ12に向けて押し付ける力が作用するので、より強固な保護状態を得られる。
〈他の例5〉
図14は端末保護カバー15をアーム部52の先端側から見た正面図である。この端末保護カバー15は、図2に示した例の端末保護カバー15とは異なり、本体部51の断面形状を半長円形にした例である。垂直面を有する側面部53と、円弧面からなる頂部54は、角張る部分なしに連続している。本体部51の断面形状に合わせて、アーム部52と保持枠72も断面円弧状に形成されている。
【0072】
このような構成の端末保護カバー15では、アーム部52の断面形状も円弧状であるので、仮想線で示したように、電線束13の形状に対応して接触面積を広くとりやすく、固定のための粘着テープ16の巻付けが行いやすい。
〈他の例6〉
図15の(a)は端末保護カバー15の斜視図である。この端末保護カバー15は、アーム部52を差し込むのではなく、嵌めることで結合する結合構造57を採用した例を示している。すなわち、結合構造57は、図15の(a)に矢印で示したように、アーム部52を本体部51に対して上から嵌めて結合する構造である。またアーム部52を本体部51の上面に重ねる構造である。
【0073】
このため、本体部51における頂部54の上面には、凹所76が形成されている。凹所76は、幅方向の両側に立設した平行な2本の起立壁77で構成される。起立壁77は、頂部54におけるアーム部52を形成した側の部分を除くほぼ全体に形成されている。起立壁77のアーム部52側の端は、アーム部52の基端に接するのではなく、アーム部52の基端との間に間隔をあけている。
【0074】
また、凹所76には、上方へ突出する凸部78が形成されている。この凸部78は嵌合状態を保持するための構成である。
【0075】
一方、アーム部52の突出長さx1は、図15の(b)に示したように、起立壁77の長さに、起立壁77の端とアーム部52の基端との間の長さを足した長さx2と同じであり、アーム部52の先端には、幅を増す方向に張り出す張り出し部58を有している。この張り出し部58は、起立壁77の端とアーム部52の基端との間に嵌まる部分でもあり、結合構造57の一部を構成する。また、アーム部52には凸部78が嵌合する貫通孔79が形成されている。
【0076】
このような構成の端末保護カバー15は、端末保護カバー15同士を互いに結合すると、斜視図である図16の(a)と断面図である図16の(b)に示したようになる。すなわち、アーム部52が本体部51の上面の凹所76に嵌合し、貫通孔79と凸部78、また張り出し部58と起立壁77の端でも位置規制がなされ、端末保護カバー15の本体部51における対向する端面同士が当接し合う。
【0077】
このため、端末保護カバー15同士の間でがたつきのない結合状態が得られ、良好な保護が可能となる。
【0078】
そのうえ、図16の(a)に仮想線で示したように結合構造57の一部でもあるアーム部52の張り出し部58が固定時に粘着テープ16と引っかかることによって、両者の位置関係は規制される。このため、粘着テープ16のずれなどが防止され、固定状態を維持できる。
〈他の例7〉
図17の(a)は端末保護カバー15の斜視図である。この端末保護カバー15は、アーム部52と電線束13との相対回転を防止するための構造を有する例を示している。すなわち、アーム部52の幅方向中間位置の下面に、電線束13を構成する電線間に嵌まる凸条59が形成されている。凸条59の断面形状は三角形であり、先端ほど細い。凸条59の長さ(形成範囲)は、アーム部52の全体であっても、部分的であってもよい。
【0079】
また、凸条59の高さを大きくしても結合構造57による結合ができるように、凹所76の幅方向の中間位置に、凸条59の先端側の一部が嵌る溝部76aが形成されている。
【0080】
このような構成の端末保護カバー15は、電線束13に対して固定すると、アーム部52における断面図である図17の(b)に示したように、凸条59が電線間に嵌まって電線束13の周方向での位置規制がなされる。このため、張り出し部58の存在と相まって、より良好な固定状態を維持できる。
〈他の例8〉
図18の(a)は端末保護カバー15を上面側から見た斜視図、図18の(b)は端末保護カバー15を下面側から見た斜視図である。この端末保護カバー15の結合構造57は、アーム部52を本体部51の内面に重ねる構造である。また、その結合構造57は、図15に示した結合構造57と同様に、アーム部52を凹所76に対して厚み方向で嵌めて結合する構造である。
【0081】
すなわち、本体部51の長手方向の一端に形成されるアーム部52は、本体部51の内面に形成されている。つまり、アーム部52の上面と本体部51の内面が同じ高さになる構造である。アーム部52の形状は、図15に示したアーム部52と同じである。
【0082】
アーム部52が嵌る凹所76は、本体部51の天井面、つまり内面における頂部54に対応する部分に形成されている。この場合の凹所76も、図15に示した結合構造57の凹所76と同じであり、図18の(b)に見られるように、起立壁77で構成されている。また、凹所76には凸部78が形成されている。
【0083】
このような構成の端末保護カバー15では、一方の端末保護カバー15のアーム部52を他方の端末保護カバー15の本体部51に差し入れてから、アーム部52を本体部51の凹所76に押し付ける。そして、アーム部52を凹所76に嵌め込むと、斜視図である図19の(a)に示したように、結合が完了する。
【0084】
結合状態においては、断面図である図19の(b)に示したように、アーム部52が本体部51の内面の凹所76に嵌合し、貫通孔79と凸部78、また張り出し部58と起立壁77の端でも位置規制がなされ、本体部51における対向する端面同士が当接し合う。
【0085】
このため、端末保護カバー15同士の間でがたつきのない結合状態が得られ、良好な保護が可能となる。また、アーム部52の張り出し部58によって、固定のための粘着テープ16のずれなどを防止することもできる。
【0086】
そのうえ、結合構造57は本体部51の外面に現れないので、本体部51の外面が凹凸のない形状、また嵩張らない形状となる。このため、ワイヤハーネス11を配策する空間が狭くてもワイヤハーネス11の端末保護が行える。また、背後にある他の部品との不要な接触も抑制できる。
【0087】
さらには、固定時には、電線束13に固定されたアーム部52を有する端末保護カバー15以外の端末保護カバー、つまり、結合に供されるアーム部52を有している他の端末保護カバー15が、コネクタ12に向けて押さえ込まれることになる。このため、結合箇所を増やしてまで本体部同士の位置規制を積極的に行わなくとも、高い一体性をもって保護できる。このため、端末保護カバー15の形状の簡素化と、適切な端末保護に貢献する。
〈他の例9〉
図20の(a)は端末保護カバー15を下面側から見た斜視図である。この端末保護カバー15は、図18に例示した端末保護カバー15に、電線束13との間での周方向での位置規制のための凸条59を形成した例を示している。つまり、アーム部52の下面における幅方向の中間位置に凸条59が形成されている。凸条59はアーム部52の長手方向の全体にわたって形成されている。
【0088】
このような構成の端末保護カバー15では、アーム部52の下面は、結合構造57で結合したときに互いに接することのない面であるので、凸条59の高さに制限はない。このため、図20の(b)に示したように、よりしっかりと電線間に嵌まるように十分な高さの凸条59を形成することができる。
〈他の例10〉
図21の(a)は端末保護カバー15の斜視図、図21の(b)はカバー結合体15aの斜視図である。この端末保護カバー15は、アーム部52を複数本備えた例を示している。図示例では、2本のアーム部52を、間隔をあけて平行に並べている。
【0089】
アーム部52は、本体部51の外面における一端に形成されている。形成位置は傾斜面部51bであり、アーム部52の幅は、図16に例示した端末保護カバー15のアーム部52よりも細い。アーム部52の先端には、幅方向に張り出す張り出し部58が図16の例と同様に形成されている。
【0090】
アーム部52が嵌合する凹所76は、本体部1における傾斜面部51bに形成されている。凹所76の形成は、図16に示した結合構造57の凹所76と同じであり、凹所76は起立壁77で形成されている。
【0091】
ただし、アーム部52が細いので、図16の例とは異なり、起立壁77の内側面に、結合構造の一部を構成する係止突起77aを形成して、凹所76に嵌めたアーム部52を保持するようにしている。
【0092】
このような構成の端末保護カバー15では、アーム部52における断面図である図22に示したように、アーム部52を電線束13に固定したときに2本のアーム部52が別々に電線束13に接し、固定される。電線束13に接した状態で粘着テープ16が巻き付けられると、2本のアーム部52はそれぞれの角が電線間に嵌まるなどして、協働して周方向での位置規制をする。このため、回転規制用の凸条59を設けずとも、本体部51の向きを積極的に維持することができ、適切な端末保護に貢献する。
【0093】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成に限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0094】
たとえば、カバー結合体15aの本体部51同士の間は、互いの端面の全体が接合し合っているのではなく、隙間があってもよい。これに対応して、アーム部52の長さは本体部51の長さよりも長くすることもできる。
【0095】
また、凸条は先端が細い形状ではなく、断面形状が矩形のものであってもよい。
【符号の説明】
【0096】
11…ワイヤハーネス
12…コネクタ
13…電線束
13a…曲げ部
13b…被保護部
15…端末保護カバー
51…本体部
52…アーム部
53…側面部
54…頂部
57…結合構造
58…張り出し部
59…凸条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22