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特開2024-140462ハーネス取付け具及びハーネス取付け具付ワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140462
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ハーネス取付け具及びハーネス取付け具付ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20241003BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241003BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02G3/30
B60R16/02 623H
F16B2/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051600
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】大塚 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】東田 智久
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩明
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由啓
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 文喜
(72)【発明者】
【氏名】クイニー メンドーザ
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 遼
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆平
(72)【発明者】
【氏名】吉成 里紗
(72)【発明者】
【氏名】月瀬 俊
(72)【発明者】
【氏名】岡内 貴志
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健司
【テーマコード(参考)】
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB03
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA04
3J022GB42
3J022GB45
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスの配索経路に応じた様々なバリエーションが備えられずとも、様々な配索経路に対応して配索方向を規制すること。
【解決手段】ワイヤーハーネス1を配索方向に沿って配置される第1部材20および第2部材30と、第1部材20と第2部材30とを連結する連結部40と、車体における所定の取付け箇所に取り付ける車体取付部8とが備えられ、連結部40は、第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制する構成とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスを車体における所定の取付け箇所に取り付けるハーネス取付け具であって、
ワイヤーハーネスを配索方向に沿ってガイド可能に配置される第1部材および第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結する連結部と、車体における所定の取付け箇所に取り付ける車体取付部とが備えられ、
前記連結部は、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制する構成とした
ハーネス取付け具。
【請求項2】
前記連結部には、前記第1部材に設けられ、前記第1部材と前記第2部材との配置方向に交差する交差方向において突出する嵌挿突部と、前記第2部材に設けられ、前記嵌挿突部に嵌挿される被嵌挿部と、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制する角度規制機構が備えられ、
前記角度規制機構は、
前記第1部材に設けられた第1係合部と、前記第2部材に設けられた第2係合部とが備えられ、
前記第1係合部と前記第2係合部とのうち少なくとも一方側の一方側係合部は、前記嵌挿突部と前記被嵌挿部との嵌挿方向に沿った軸回りの周方向において、所望の相対角度ごとに複数配設され、
前記第1係合部と前記第2係合部とのうち他方側の他方側係合部は、複数の前記一方側係合部のうち、いずれかの前記一方側係合部と周方向において係合可能に設けられた
請求項1に記載のハーネス取付け具。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記嵌挿突部の外面から径方向外側へ突出する、または径方向内側へ凹む外面係合部であり、
前記第2係合部は、前記外面係合部と周方向に係合可能に前記被嵌挿部の内面から径方向外側へ凹む、または径方向内側へ突出する内面係合部とする
請求項2に記載のハーネス取付け具。
【請求項4】
前記第1部材には、前記嵌挿突部を嵌挿方向の基端側から支持する基端側支持杆と、前記嵌挿突部を嵌挿方向の先端側から支持する先端側支持杆とが備えられ、
前記先端側支持杆は、前記嵌挿突部に対して着脱可能に形成された
請求項3に記載のハーネス取付け具。
【請求項5】
前記被嵌挿部に対する前記嵌挿突部の嵌挿方向における抜け出しを防ぐ抜け止め部材が備えられた
請求項3に記載のハーネス取付け具。
【請求項6】
前記第2係合部は、前記嵌挿方向に向けて撓み変形可能に突出する係合アームとし、
前記第1係合部は、前記係合アームに対して前記周方向および前記嵌挿方向に係合する被係合部とした
請求項3に記載のハーネス取付け具。
【請求項7】
前記被嵌挿部は、前記第2部材において前記交差方向に貫通形成され、
前記嵌挿突部は、前記被嵌挿部に嵌挿状態において嵌挿方向の先端部が前記被嵌挿部から突出し、
前記被嵌挿部から突出する前記嵌挿突部の前記先端部には、前記被嵌挿部よりも径方向外側に拡径する拡径部が備えられ、
前記第1係合部は、前記拡径部に設けられ、
前記第2係合部は、前記第2部材における、前記嵌挿方向の端面に設けられた
請求項3に記載のハーネス取付け具。
【請求項8】
前記嵌挿突部は、前記被嵌挿部に嵌挿状態において前記拡径部を含めた前記先端部の外径が前記被嵌挿部の内径よりも小さくなるまで径方向内側へ撓み変形可能に形成され、
前記嵌挿突部の近傍には、前記被嵌挿部に挿通された前記嵌挿突部の前記撓み変形を許容する撓み許容空間を有し、
前記被嵌挿部に嵌挿された前記嵌挿突部の前記撓み許容空間への前記撓み変形を規制する撓み規制部材が備えられた
請求項7に記載のハーネス取付け具。
【請求項9】
前記連結部において前記第1部材と前記第2部材とは、前記交差方向に延びる軸回りに回動可能に連結されるとともに、前記交差方向に互いに対向して配置され、
前記連結部において前記第1部材と前記第2部材とは、
前記第1係合部と前記第2係合部とが周方向に係合可能に近接する近接位置と、
前記第1係合部と前記第2係合部との係合が解除される離間位置との間で前記交差方向に相対移動可能に構成された
請求項2に記載のハーネス取付け具。
【請求項10】
前記連結部には、前記第1部材と前記第2部材とのうち少なくとも一方を前記近接位置へ付勢する付勢部材が備えられた
請求項9に記載のハーネス取付け具。
【請求項11】
前記第1部材と前記第2部材とのうち少なくとも一方に、該一方を近接位置から離間位置へ移動させる操作部が備えられた
請求項10に記載のハーネス取付け具。
【請求項12】
前記連結部には、前記第1部材と前記第2部材との間に介在する介在部材が備えられ、
前記介在部材は、先端部が前記第1部材に連結される前記第1延在片と、前記第1延在片に対して所望の相対角度で前記第1延在片から延在するとともに、先端部が前記第2部材に連結される前記第2延在片とが備えられた
請求項1に記載のハーネス取付け具。
【請求項13】
前記連結部は、前記第1部材と前記第1延在片の先端部とを連結する前記第1連結部と、前記第2部材と前記第2延在片の先端部とを連結する前記第2連結部とが備えられ、
前記第1連結部には、前記第1延在片の延在方向に沿って前記第1延在片の先端部が嵌挿される前記第1被嵌挿部が設けられるとともに、
前記第2連結部には、前記第2延在片の延在方向に沿って前記第2延在片の先端部が嵌挿される前記第2被嵌挿部が設けられた
請求項12に記載のハーネス取付け具。
【請求項14】
前記第1連結部には、前記第1延在片の延在方向に交差する方向において前記第1被嵌挿部の外側から内部に連通され、前記第1延在片の先端部の前記第1被嵌挿部に対する嵌合の解除操作が可能な第1窓部が備えられるともに、
前記第2連結部には、前記第2延在片の延在方向に交差する方向において前記第2被嵌挿部の外側から内部に連通され、前記第2延在片の先端部の前記第2被嵌挿部に対する嵌合の解除操作が可能な第2窓部が備えられた
請求項13に記載のハーネス取付け具。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のうちいずれかに記載のハーネス取付け具が、ワイヤーハーネスに装着された
ハーネス取付け具付ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ワイヤーハーネスを車体パネル等の車体の取付け箇所に取り付けるハーネス取付け具及びハーネス取付け具付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に装備された電装機器は、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスを介して、別の電装機器や電源装置と接続して電気回路を構成している。車両に配索されるワイヤーハーネスは、例えば、特許文献1のようなハーネス取付け具を用いて配索経路に沿って規制された状態で車体パネル等の車体に対して取り付けられる。
【0003】
特許文献1のハーネス取付け具は、ワイヤーハーネスを規制可能に直線状に延びる板状のハーネス固定部が備えられている。そして、特許文献1のハーネス取付け具は、ワイヤーハーネスをハーネス固定部に沿って固定することで直線状に規制する。
【0004】
しかし、ワイヤーハーネスは、車両において上述したように直線状に限らず、曲率が異なる曲線状など様々な配索経路に沿って配索される。このため、特許文献1のハーネス取付け具を用いた場合、様々な配索経路に対応してワイヤーハーネスを規制することが困難となる。
【0005】
すなわち、従来よりワイヤーハーネスの車体への組付け作業においては、ワイヤーハーネスの配索経路に応じた様々なバリエーションのハーネス取付け具を用意する必要があるため、部品管理が煩雑になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-140032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ワイヤーハーネスの配索経路に応じた様々なバリエーションが備えられずとも、様々な配索経路に対応して配索方向を規制することができるハーネス取付け具及びハーネス取付け具付ワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ワイヤーハーネスを車体における所定の取付け箇所に取り付けるハーネス取付け具であって、ワイヤーハーネスを配索方向に沿ってガイド可能に配置される第1部材および第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結する連結部と、車体における所定の取付け箇所に取り付ける車体取付部とが備えられ、前記連結部は、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制する構成としたことを特徴とする。
【0009】
なお、前記車体取付部は、前記第1部材と前記第2部材とのうち何れかに設けられた構成に限らず、前記連結部に設けられてもよい。すなわち、前記車体取付部は、前記第1部材と前記第2部材と前記連結部のうち少なくとも何れかに設けられてもよい。
【0010】
この発明により、前記連結部において、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制できる。従って、ワイヤーハーネスの配索経路に応じて様々なバリエーションの相対角度を有するハーネス取付け具を用意せずとも、ワイヤーハーネスの様々な配索経路にフレキシブルに対応してワイヤーハーネスを所望の配索経路で車体に対して取り付けることができる。
【0011】
この発明の態様として、前記連結部には、前記第1部材に設けられ、前記第1部材と前記第2部材との配置方向に交差する交差方向において突出する嵌挿突部と、前記第2部材に設けられ、前記嵌挿突部に嵌挿される被嵌挿部と、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制する角度規制機構が備えられ、前記角度規制機構は、前記第1部材に設けられた第1係合部と、前記第2部材に設けられた第2係合部とが備えられ、前記第1係合部と前記第2係合部とのうち少なくとも一方側の一方側係合部は、前記嵌挿突部と前記被嵌挿部との嵌挿方向に沿った軸回りの周方向において、所望の相対角度ごとに複数配設され、前記第1係合部と前記第2係合部とのうち他方側の他方側係合部は、複数の前記一方側係合部のうち、いずれかの前記一方側係合部と周方向において係合可能に設けられてもよい。
【0012】
この発明により、前記他方側係合部を、所望の相対角度ごとに複数配設された前記一方側係合部のうち、いずれの前記一方側係合部に係合させるかに応じて前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記第1係合部は、前記嵌挿突部の外面から径方向外側へ突出する、または径方向内側へ凹む外面係合部であり、前記第2係合部は、前記外面係合部と周方向に係合可能に前記被嵌挿部の内面から径方向外側へ凹む、または径方向内側へ突出する内面係合部としてもよい。
【0014】
この発明により、前記嵌挿突部の前記被嵌挿部に対する嵌挿状態において、前記外面係合部と前記内面係合部とを周方向にしっかりと係合させ、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記第1部材には、前記嵌挿突部を嵌挿方向の基端側から支持する基端側支持杆と、前記嵌挿突部を嵌挿方向の先端側から支持する先端側支持杆とが備えられ、前記先端側支持杆は、前記嵌挿突部に対して着脱可能に形成されてもよい。
【0016】
前記基端側支持杆は、前記嵌挿突部の嵌挿方向の基端部に限らず、基端部近傍を支持してもよく、また、前記基端側支持杆は、前記嵌挿突部の嵌挿方向の先端部に限らず、先端部近傍を支持してもよい。
【0017】
この発明により、前記嵌挿突部と前記被嵌挿部との嵌挿部分を前記基端側支持杆と前記先端側支持杆とでしっかりと支持して補強することができる。
さらに、前記基端側支持杆と前記先端側支持杆とによって、前記嵌挿突部の前記被嵌挿部に対する抜け出しを防止できる。
【0018】
また、前記先端側支持杆は、前記嵌挿突部に対して着脱可能であるため、前記第1係合部と前記第2係合部が異なる組み合わせで係合されるように嵌合前記嵌挿突部を嵌挿方向に沿った軸回りにおいて異なる姿勢で前記被嵌挿部に対して嵌挿し直すことで、前記第1部材と前記第2部材との相対角度を容易に変更することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記被嵌挿部に対する前記嵌挿突部の嵌挿方向における抜け出しを防ぐ抜け止め部材が備えられてもよい。
この発明により、前記嵌挿突部が前記被嵌挿部から抜け出ることを防ぐことができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記第2係合部は、前記嵌挿方向に向けて撓み変形可能に突出する係合アームとし、前記第1係合部は、前記係合アームに対して前記周方向および前記嵌挿方向に係合する被係合部としてもよい。
【0021】
この発明により、前記嵌挿突部の前記被嵌挿部に対する嵌挿状態において、前記係合アームと前記被係合部とを周方向にしっかりと係合させることができ、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制することができる。
さらに、前記係合アームと前記被係合部とは、前記周方向のみならず前記嵌挿方向にも係合するため、前記被嵌挿部に対する前記嵌挿突部の不用意な抜け出しを防ぐことができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記被嵌挿部は、前記第2部材において前記交差方向に貫通形成され、前記嵌挿突部は、前記被嵌挿部に嵌挿状態において嵌挿方向の先端部が前記被嵌挿部から突出し、前記被嵌挿部から突出する前記嵌挿突部の前記先端部には、前記被嵌挿部よりも径方向外側に拡径する拡径部が備えられ、前記第1係合部は、前記拡径部に設けられ、前記第2係合部は、前記第2部材における、前記嵌挿方向の端面に設けられてもよい。
【0023】
この発明により、前記嵌挿突部を前記被嵌挿部に対して嵌挿する際に、前記拡径部に設けられた前記第1係合部と、前記第2部材の前記端面に設けられた前記第2係合部とが周方向に係合することで、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記嵌挿突部は、前記被嵌挿部に嵌挿状態において前記拡径部を含めた前記先端部の外径が前記被嵌挿部の内径よりも小さくなるまで径方向内側へ撓み変形可能に形成され、前記嵌挿突部の近傍には、前記被嵌挿部に挿通された前記嵌挿突部の前記撓み変形を許容する撓み許容空間を有し、前記被嵌挿部に嵌挿された前記嵌挿突部の前記撓み許容空間への前記撓み変形を規制する撓み規制部材が備えられてもよい。
この発明により、前記被嵌挿部に嵌挿した前記嵌挿突部が不用意に径方向の内側へ撓み変形して前記被嵌挿部から抜け出すことを防止することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記連結部において前記第1部材と前記第2部材とは、前記交差方向に延びる軸回りに回動可能に連結されるとともに、前記交差方向に互いに対向して配置され、前記連結部において前記第1部材と前記第2部材とは、前記第1係合部と前記第2係合部とが周方向に係合可能に近接する近接位置と、前記第1係合部と前記第2係合部との係合が解除される離間位置との間で前記交差方向に相対移動可能に構成されてもよい。
【0026】
この発明により、前記第1部材と前記第2部材との相対角度を変更可能な状態と所望の相対角度に規制した状態との間で容易に切り替えることができる。
詳しくは、前記第1係合部と前記第2係合部とを離間位置とすることで、前記連結部において前記第1部材と前記第2部材とを連結した状態のまま所望の相対角度になるように回動させることができる。
【0027】
一方、前記第1係合部と前記第2係合部とを近接位置とすることで、前記第1部材と前記第2部材との相対角度を所望の相対角度となるように規制することができる。従って、前記第1部材と前記第2部材との相対角度を変更可能な状態と所望の相対角度に規制した状態との間で容易に切り替えることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記連結部には、前記第1部材と前記第2部材とのうち少なくとも一方を前記近接位置へ付勢する付勢部材が備えられてもよい。
この発明により、前記付勢部材の付勢力によって前記第1部材と前記第2部材とを近接位置へ付勢することができるため、前記第1係合部と前記第2係合部とを周方向に係合した状態に保つことができる。
従って、前記第1係合部と前記第2係合部との前記連結部に意に反する外力が作用しても前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制した状態に保つことができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記第1部材と前記第2部材とのうち少なくとも一方に、該一方を近接位置から離間位置へ移動させる操作部が備えられてもよい。
この発明により、前記離間位置へ移動させたい場合は、前記操作部を操作することによって、前記付勢部材の付勢力に抗して容易に移動させることができるため、前記第1部材と前記第2部材の相対角度を容易に変更することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記連結部には、前記第1部材と前記第2部材との間に介在する介在部材が備えられ、前記介在部材は、先端部が前記第1部材に連結される前記第1延在片と、前記第1延在片に対して所望の相対角度で前記第1延在片から延在するとともに、先端部が前記第2部材に連結される前記第2延在片とが備えられてもよい。
【0031】
この発明により、相対角度の違いに応じた様々なバリエーションごとに前記第1部材と前記第2部材も含めた全体を用意する必要がなく、相対角度の違いに応じて複数種類備えた前記介在部材のうち何れの前記介在部材を介して前記第1部材と前記第2部材とを連結するかによって様々な配索経路に対応してワイヤーハーネスを規制することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記連結部は、前記第1部材と前記第1延在片の先端部とを連結する前記第1連結部と、前記第2部材と前記第2延在片の先端部とを連結する前記第2連結部とが備えられ、前記第1連結部には、前記第1延在片の延在方向に沿って前記第1延在片の先端部が嵌挿される前記第1被嵌挿部が設けられるとともに、前記第2連結部には、前記第2延在片の延在方向に沿って前記第2延在片の先端部が嵌挿される前記第2被嵌挿部が設けられてもよい。
【0033】
この発明により、前記第1延在片の先端部を前記第1被嵌挿部に嵌挿するとともに、前記第2延在片の先端部を前記第2被嵌挿部に嵌挿することで、前記第1部材と前記第2部材とが所望の相対角度になるように連結部を介してしっかりと連結することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記第1連結部には、前記第1延在片の延在方向に交差する方向において前記第1被嵌挿部の外側から内部に連通され、前記第1延在片の先端部の前記第1被嵌挿部に対する嵌合の解除操作が可能な第1窓部が備えられるともに、前記第2連結部分には、前記第2延在片の延在方向に交差する方向において前記第2被嵌挿部の外側から内部に連通され、前記第2延在片の先端部の前記第2被嵌挿部に対する嵌合の解除操作が可能な第2窓部が備えられてもよい。
【0035】
この発明により、第1窓部を通じて前記第1延在片の先端部の前記第1被嵌挿部に対する嵌合の解除操作を容易に行うことができるとともに、第2窓部を通じて前記第2延在片の先端部の前記第2被嵌挿部に対する嵌合の解除操作を容易に行うことができる。
【0036】
またこの発明は、上述したハーネス取付け具が、ワイヤーハーネスに装着されたハーネス取付け具付ワイヤーハーネスであることを特徴とする。
この発明により、連結部において、前記第1部材と前記第2部材とを所望の相対角度に規制できる。
【発明の効果】
【0037】
この発明によれば、ワイヤーハーネスの配索経路に応じた様々なバリエーションが備えられずとも、様々な配索経路に対応して配索方向を規制することができるハーネス取付け具及びハーネス取付け具付ワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本実施形態のハーネス取付け具付ワイヤーハーネスの使用状態を示す側面図
図2】(a)は本実施形態のハーネス取付け具の平面図、(b)は同じく側面図
図3】(a)は本実施形態の連結部およびその周辺を示す側面図、(b)は同じく平面図、(c)は図3(a)のA1-A1線矢視断面図
図4】(a)は本実施形態の連結部およびその周辺を示す分解平面図、(b)は図3(b)のA2-A2線矢視断面図、(c)は図4(a)のA3-A3線矢視断面図、(d)は図4(a)のA4-A4線矢視断面図
図5】(a)は変形例1の連結部およびその周辺を示す斜視図、(b)は図5(a)のA5-A5線に沿った要部を示す矢視断面図
図6】(a)は変形例1の連結部およびその周辺をYa,XbかつZa方向から視た分解斜視図、(b)は同じくYa,XbかつZb方向から視た分解斜視図
図7】(a)は変形例2の連結部およびその周辺をXb方向の側から視た側面図、(b)は(a)のA6-A6線矢視断面図、(c)は(b)のA7-A7線矢視端面図、(d)は(b)のA8-A8線矢視端面図
図8】(a)は図7(c)に対応する分解端面図、(b)は(a)のA9-A9線矢視断面図
図9】(a)は変形例3の連結部およびその周辺を示す平面図、(b)は(a)のA10-A10線矢視断面図、(c)は(a)のA11-A11線矢視断面図
図10】(a)は第1部材のYa方向の端部の平面図、(b)は(a)のA12-A12線矢視断面図、(c)は(b)のA13-A13線矢視断面図
図11】(a)は第2部材のYb方向の端部の平面図、(b)は(a)のA14-A14線矢視断面図、(c)は(a)のA15-A15線矢視断面図、(d)は撓み規制部材の斜視図
図12】(a)は変形例4の連結部およびその周辺をXb方向の側から視た側面図、(b)は第2連結部が近接位置に位置する状態における、(a)のA16-A16線矢視断面図、(c)は第2連結部が離間位置に位置する状態における、(a)のA16-A16線矢視断面図
図13】変形例4の連結部およびその周辺を分解して示した側面図
図14】(a)は図13のA17-A17線矢視断面図、(b)は図13のA18-A18線矢視断面図、(c)は図13のA19-A19線矢視断面図
図15】(a)は変形例5の連結部およびその周辺をZ方向の中間部に沿って切断した断面図、(b)は同じく分解断面図、(c)は(a)のA20-A20線に沿った要部の矢視拡大断面図、(d)は(b)のA22-A22線矢視拡大断面図、(e)は(a)のA21-A21線に沿った要部の矢視拡大断面図、(f)は(b)のA23-A23線矢視拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施形態のハーネス取付け具付ワイヤーハーネス1Aは、ワイヤーハーネス1とハーネス取付け具10が備えられ、ハーネス取付け具10がワイヤーハーネス1に装着されている。
【0040】
以下、ハーネス取付け具10の構成について説明するが、例えば、図2(a)(b)に示すように、直線状に配置された状態に基づいて説明する。
図中、矢印Zはハーネス取付け具10の板厚方向であり、矢印Yはハーネス取付け具10の長手方向であり、矢印Xはハーネス取付け具10の幅方向、すなわち板厚方向Zおよび長手方向Yに直交する方向を夫々示すものとする。さらに、図中、矢印Zaは板厚方向一方側、矢印Zbは板厚方向他方側、矢印Yaは長手方向一方側、矢印Ybは長手方向他方側、矢印Xaは幅方向一方側、矢印Xbは幅方向他方側を夫々示すものとする。
【0041】
ワイヤーハーネス1は、図示省略するが複数の被覆電線を束ねて構成されている。被覆電線は、導電性材料から成る導体と、導体の外周全体を被覆する、絶縁材料から成る絶縁被覆とを有している。図1に示すように、ワイヤーハーネス1は、ハーネス取付け具10を介して車体パネル100における所定の取付け箇所101に取り付けられている。
【0042】
ハーネス取付け具10は、ワイヤーハーネス1を配索方向に沿ってガイド可能に配置される第1部材20および第2部材30と、第1部材20と第2部材30とを連結する連結部40と、車体パネル100における所定の取付け箇所101に取り付けるアンカー部8と、ハーネス固定部9とが備えられ、略全体が合成樹脂により一体成形されている。
【0043】
図1に示すように、第1部材20と第2部材30とは、ワイヤーハーネス1の配索方向に沿って直列に配置され、連結部40を介して互いに対向する端部が連結されている。第1部材20は、第1沿板部21と、後述する嵌挿突部41を支持する第1支持杆22とが備えられたオス側部材である。第2部材30は、第2沿板部31と、後述する被嵌挿部42が設けられた第2支持杆32aとが備えられたメス側部材である。
【0044】
図2(a)(b)に示すように、第1沿板部21と第2沿板部31は、何れもワイヤーハーネス1における直線状の配索部分に沿って配置可能に幅方向Xよりも長手方向Yが長い平板状に形成され、板厚方向一方側Zaの面がワイヤーハーネス1に当接するハーネス当接面211として形成されている。
図2(a)、図3(b)に示すように、第1支持杆22は、基端側支持杆221と先端側支持杆222とが備えられ、何れも第1沿板部21のYa方向の端部からYa方向へ直線状に突出している。
【0045】
基端側支持杆221は、後述する嵌挿突部41を突出方向の基端側から支持可能に第1部材20の第1沿板部21のYa方向の端部におけるXb方向の端部からYa方向に向けて直線状に突出している。先端側支持杆222は、後述する嵌挿突部41を突出方向の先端側から支持可能に第1沿板部21のYa方向の端部におけるXa方向の端部からYa方向に向けて直線状に突出している。
すなわち、基端側支持杆221と先端側支持杆222は、X方向に所定の間隔を隔てて互いに平行にYa方向へ延び、嵌挿突部41をX方向の両端部から支持している。
【0046】
図3(c)、図4(a)に示すように、先端側支持杆222の突出方向の先端部には、嵌挿突部41の突出方向の先端部へ向けて突出する係合突部523が突設されている。
また、先端側支持杆222の突出方向の基端部は、X方向において薄肉に形成されたヒンジ224を介して第1沿板部21に連結されている。これにより、先端側支持杆222は、先端部が嵌挿突部41の先端部に対してX方向において近接または離間可能にヒンジ224を介して曲げ変形可能に形成されている。
【0047】
図3(b)(c)に示すように、第2支持杆32は、後述する被嵌挿部42が設けられ、第2沿板部31のYb方向の端部からYb方向に向けて直線状に突出している。
【0048】
連結部40には、第1部材20のYa方向の端部側に設けられた嵌挿突部41と、第2部材30のYb方向の端部側に設けられ、嵌挿突部41に嵌挿される被嵌挿部42と、第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制する角度規制機構50が備えられている。
【0049】
嵌挿突部41は、基端側支持杆221のYa方向の先端部からXa方向へ突出して形成され、先端部441と、先端部441よりも基端側において被嵌挿部42に嵌挿する嵌挿部442とが備えられている。嵌挿突部41の先端部441には、嵌挿突部41の被嵌挿部42に対する抜け止め用の弾性突片43と、係合穴部225とが設けられている。
【0050】
係合穴部225は、嵌挿突部41の先端部441に設けられ、先端側支持杆222が嵌挿突部41の先端部に対して近接した状態において先端側支持杆222の先端部に設けられた係合突部523が係合する。
これにより、係合突部523を係合穴部225に対して係脱可能に係合することで、先端側支持杆222は、嵌挿突部41の先端部に対して着脱可能に形成されている。
【0051】
図3(c)、図4(a)(b)(c)(d)に示すように、角度規制機構50は、嵌挿突部41の外面から径方向外側へ突出する外面係合部51と、外面係合部51と周方向に係合可能に被嵌挿部42の内面から径方向外側へ凹む内面係合部52とが備えられている。
【0052】
図4(d)に示すように、外面係合部51は、嵌挿突部41の嵌挿部442に8つが備えられ、嵌挿突部41の外面の周方向において所望の角度である45度ごとに等分に配設されている。これにより、嵌挿突部41の嵌挿部442は、外面係合部51を含めて突出方向の直交断面が星形8角形の突形状で形成されている。
【0053】
図3(c)、図4(c)に示すように、内面係合部52は、被嵌挿部42に8つが備えられ、被嵌挿部42の内面の周方向に所望の角度である45度ごとに等分に配設されている。これにより、被嵌挿部42は、内面係合部52を含めてX方向の直交断面が星形8角形の孔形状で形成されている。
【0054】
図4(b)に示すように、嵌挿突部41は、周方向に配設された8つの外面係合部51の夫々が周方向に隣接する内面係合部52と噛み合うように被嵌挿部42に対して嵌挿される。すなわち、角度規制機構50は、嵌挿突部41と被嵌挿部42とを嵌挿する際に、嵌挿突部41の外面に設けられた外面係合部51を被嵌挿部42の周方向に配設された8つの内面係合部52のうち、何れの内面係合部52に係合させるかに応じて第1部材20と第2部材30とを45度刻みの所望の相対角度に規制する。
【0055】
図1に示すように、ハーネス固定部9は、第1部材20の側に設けられたバンド部911と、第2部材30の側に有する粘着テープ912とが備えられている。
バンド部911は、第1沿板部21に沿って配置されたワイヤーハーネス1を第1沿板部21に固定する公知のバンドクランプと同様の構成であって、図1図2(a)(b)に示すように、第2沿板部31のYb方向の側に備えられている。
【0056】
バンド部911は、ワイヤーハーネス1の外周に巻き付け可能に可撓性を有する帯状に形成されたバンド部分913と、このバンド部分913を固定するロック部分915とが備えられている。
【0057】
図2(b)に示すように、バンド部分913の内面には、複数の係合突起914が長手方向に沿って等ピッチで配設されている。ロック部分915は、第1沿板部21において、バンド部分913の先端部が挿通される挿通路916がX方向に貫通形成されるとともに、挿通路916の内壁から舌片状に突出するロック爪917が備えられている。ロック爪917は、挿通路916に挿通したバンド部分913に設けられた複数の係合突起914のうち、何れかの係合突起914と係合する。
【0058】
また図2(a)(b)に示すように、上述したバンド部分913は、第1沿板部21のXa方向の端面から延出されている。
図1に示すように、粘着テープ912は、第2沿板部31に沿って配置されたワイヤーハーネス1の外周に第2沿板部31ごと巻き付け可能に備えられている。
【0059】
なお、ハーネス固定部9は、第1沿板部21と第2沿板部31との夫々に備えられていれば、第1沿板部21の側にバンド部911が備えられるとともに、第2沿板部31の側に粘着テープ912が備えられるに限らず、例えば、第1沿板部21の側に粘着テープ912が備えられるとともに、第2沿板部31の側にバンド部911が備えられてもよい。また、第1沿板部21と第2沿板部31との夫々のハーネス固定部9を、バンド部911としたり粘着テープ912としてもよい。
さらには、ハーネス固定部9は、バンド部911や粘着テープ912に限らず、タイバンド等他の固定手段としてもよい。
【0060】
図1に示すように、アンカー部8は、車体パネル100に貫通形成された不図示のアンカー穴102に差し込んで取り付けられる公知の構成であり、図2(b)に示すように、第1沿板部21の下面から下方向Zbへ突出する弾性係止片811と、第1沿板部21の下面における弾性係止片811の外周側から下方ほど径方向外側へ鍔状に広がる支持板部814とが備えられている。
【0061】
弾性係止片811は、アンカー穴102に対して挿入された状態で、該弾性係止片811と支持板部814とで車体パネル100のアンカー穴102の縁部を板厚方向の両側から挟み込むように取り付けられる。
【0062】
続いて、ハーネス取付け具10を用いてワイヤーハーネス1を所望の配索方向に規制した状態で車体パネル100における取付け箇所101に取り付ける手順の一例について説明する。
作業者は、第1部材20をワイヤーハーネス1に固定する。
【0063】
詳しくは、ワイヤーハーネス1を第1沿板部21におけるハーネス当接面211に当接させ、第1沿板部21の長手方向Yに沿って配置する。そして、作業者は、ワイヤーハーネス1に対してバンド部911のバンド部分913を巻き付けるとともに、バンド部分913の先端部を挿通路916に挿通させる。
【0064】
その際、挿通路916に挿通したバンド部分913に設けられた係合突起914は、挿通路916の内部に設けられたロック爪917に係合される。これにより、バンド部911は、ワイヤーハーネス1に対して巻き付けた状態でロック爪917によって挿通路916から意に反して抜けないようにロックされる。
【0065】
作業者は、先端側支持杆222を嵌挿突部41の先端部441から取り外した状態で、嵌挿突部41と被嵌挿部42とを嵌挿可能な状態とする。そして、嵌挿突部41と被嵌挿部42とを嵌挿する際に、嵌挿方向に沿った軸回りにおいて第1部材20と第2部材30とが45度刻みの所望の相対角度となる姿勢で嵌挿する。
【0066】
これにより、嵌挿突部41は、外面の周方向に配設された8つの外面係合部51の夫々が周方向に隣接する内面係合部52と噛み合うように嵌挿され、第1部材20と第2部材30とは、所望の相対角度に規制される。すなわち、作業者は、第1部材20と第2部材30とが所望の相対角度で連結されるように45度刻みで調整することができる。
【0067】
そして、図3(c)に示すように、先端側支持杆222の先端部の係合突部523を嵌挿突部41の先端部441に設けられた係合穴部225に係合することで、嵌挿突部41が基端側支持杆221と先端側支持杆222によって支持された状態とする。
【0068】
続いて、第1部材20に対して所望の相対角度に規制された第2部材30の第2沿板部31におけるハーネス当接面211にワイヤーハーネス1を当接させ、第2沿板部31と共にワイヤーハーネス1に粘着テープ912を巻き付ける。
【0069】
さらに、アンカー部8を車体における所定のアンカー穴102に差し込むことでハーネス取付け具10を介してワイヤーハーネス1を所望の配索方向に規制した状態で車体パネル100における取付け箇所101に取り付けることができる。
【0070】
ハーネス取付け具10を用いたワイヤーハーネス1の車体に対する上述した取り付け手順は一例であり、他の手順を採用してもよい。
例えば、連結部40において、第1部材20と第2部材30との相対角度を調整した後でワイヤーハーネス1を第1沿板部21に対してバンド部911で巻き付けて固定するとともに、第2沿板部31に対して粘着テープ912で巻き付けて固定してもよい。また、ワイヤーハーネス1を第1沿板部21に対してバンド部911で巻き付けて固定するよりも先に、第2沿板部31に対して粘着テープ912で巻き付けて固定してもよい。
【0071】
上述した実施形態のハーネス取付け具10は、以下のような作用効果を奏することができる。
本実施形態のハーネス取付け具10は、第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制することができる角度規制機構50が備えられたため、ワイヤーハーネス1の配索経路に応じた相対角度を有する様々なバリエーションのハーネス取付け具10を用意せずとも、ワイヤーハーネス1の様々な配索経路にフレキシブルに対応してワイヤーハーネス1を所望の配索経路で車体に対して取り付けることができる。
【0072】
詳しくは、実施形態のハーネス取付け具10に備えられた角度規制機構50は、嵌挿突部41の外面から径方向外側へ突出する外面係合部51と、外面係合部51と周方向に係合可能に被嵌挿部42の内面から径方向外側へ凹む内面係合部52とが備えられている。
【0073】
そして、外面係合部51は、嵌挿突部41の周方向において、所望の相対角度ごとに複数配設されるとともに、内面係合部52は、被嵌挿部42の周方向において、所望の相対角度ごとに複数配設され、複数の外面係合部51の夫々は、複数の内面係合部52のうち、いずれかの内面係合部52と係合可能に設けられている。
【0074】
このため、嵌挿突部41を被嵌挿部42に対して嵌挿させる際に、外面係合部51を、所望の相対角度ごとに複数配設された内面係合部52のうち、いずれの内面係合部52に係合させるかに応じて第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制することができる。
【0075】
また、上述したように、基端側支持杆221に加えて先端側支持杆222によって、被嵌挿部42に嵌挿された嵌挿突部41を支持することで、嵌挿突部41をX方向の両端部から支持できるため、基端側支持杆221のみで嵌挿突部41を片持ち状に支持するよりもしっかりと支持することができる。
【0076】
さらに、基端側支持杆221と先端側支持杆222とによって、被嵌挿部42に嵌挿された嵌挿突部41の意に反する抜け出しを防止できる。また、先端側支持杆222は、嵌挿突部41に対して着脱可能であるため、外面係合部51と内面係合部52が異なる組み合わせで係合されるように嵌挿突部41を被嵌挿部42に対して嵌挿し直すことで、第1部材20と第2部材30との相対角度を容易に変更することができる。
【0077】
続いて、上述した実施形態のハーネス取付け具10の変形例に係るハーネス取付け具10a,10b,10c,10d,10eについて説明する。但し、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。すなわち、以下で説明する変形例に係るハーネス取付け具10a,10b,10c,10d,10eは、実施形態のハーネス取付け具10の連結部40とは異なる連結部40a,40b,40c,40d,40eが備えられているため、連結部40a,40b,40c,40d,40eの構成を中心に説明する。
【0078】
(変形例1)
変形例1のハーネス取付け具10aに備えられた第1支持杆22aは、図5(a)(b)、図6(a)(b)に示すように、基端側支持杆221と先端側支持杆222とが備えられずに、第1沿板部21のYa方向の端部からYa方向へ直線状に突出する。具体的には、第1支持杆22aは、第1沿板部21のYa方向の端部におけるZb方向の側からZ方向の厚みの半分程度の厚みとなるように突出している。
【0079】
変形例1のハーネス取付け具10aに備えられた第2支持杆32aは、第2沿板部31のYb方向の端部からYb方向へ直線状に突出する。具体的に、第2支持杆32aは、第2沿板部31のYb方向の端部におけるZa方向の側からZ方向の厚みの半分程度の厚みとなるように突出している。
【0080】
変形例1のハーネス取付け具10aに備えられた連結部40aには、嵌挿突部41aと被嵌挿部42aと、角度規制機構50aとしての外面係合部51aおよび内面係合部52aと、抜け止めピン46が備えられている。
【0081】
図5(b)、図6(a)に示すように、変形例1の嵌挿突部41aは、第1支持杆22aのZa方向の端面からZa方向へ隆起するように一体に形成されている。嵌挿突部41aは、突出方向の全体が被嵌挿部42aに対する嵌挿部として形成されている。
【0082】
図6(a)に示すように、変形例1の嵌挿突部41aは、7つの外面係合部51aが備えられ、嵌挿突部41aの外面の周方向において所望の角度である約51度ごとに等分に配設されている。これにより、嵌挿突部41aの嵌挿突部41aは、突出方向の直交断面が星形7角形の突形状で形成されている。
【0083】
また、図5(b)、図6(a)に示すように、変形例1の被嵌挿部42aは、第2支持杆32aにおいてZ方向に貫通形成されている。変形例1の被嵌挿部42aの内面に備えられた内面係合部52aは、7つが備えられ、被嵌挿部42aの内面の周方向において所望の角度である約51度ごとに等分に配設されている。これにより、被嵌挿部42aは、X方向の直交断面が星形7角形の孔形状で形成されている。
【0084】
図5(b)に示すように、抜け止めピン46は、被嵌挿部42aに対する嵌挿突部41aの嵌挿方向における抜け出しを防ぐピンであり、軸方向の基端部に鍔状の頭部461と、頭部461から軸方向の先端へ突出するピン本体部462と、ピン本体部462の先端部に設けられた係合爪463とが備えられている。
抜け止めピン46の頭部461は、嵌挿突部41aよりも大径となるように鍔状に拡径して形成されている。
【0085】
また、図5(b)、図6(a)に示すように、変形例1の第1部材20のYa方向の端部には、抜け止めピン46を差し込み可能に嵌挿突部41aと、第1支持杆22aとにわたってZ方向に貫通するピン挿通孔47が形成されている。ピン挿通孔47は、嵌挿突部41aの軸心部に沿って形成されている。
【0086】
図5(b)、図6(b)に示すように、ピン挿通孔47のZb方向の端部側の開口縁部471は、Z方向の他の部位と比較して大径に形成され、抜け止めピン46の係合爪463とZ方向に係合する段部472が形成されている。これにより、ピン挿通孔47に対してZa方向の側からZb方向へ差し込んだ抜け止めピン46は、係合爪463がピン挿通孔47の段部472に係合されることで、ピン挿通孔47から抜けないように挿着される。
【0087】
さらに、抜け止めピン46は、ピン挿通孔47に挿着された状態において頭部461によって、嵌挿突部41aに嵌挿された被嵌挿部42aが嵌挿突部41aに対して抜け出さないように押さえ込むことができる。
【0088】
続いて、第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制された状態で連結する手順について説明する。
作業者は、嵌挿突部41aと被嵌挿部42aとを嵌挿する際に、第1部材20と第2部材30とを約51度刻みの所望の相対角度となる、Z方向に沿った軸回りの姿勢で嵌挿する。これにより、嵌挿突部41aは、外面の周方向に配設された7つの外面係合部51aの夫々が周方向に隣接する内面係合部52aと噛み合うように嵌挿される。
【0089】
さらに、作業者は、抜け止めピン46をピン挿通孔47に対して挿着する。これにより、嵌挿突部41aが被嵌挿部42aに対して抜け出さないように嵌挿できる。すなわち、第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度となるように規制された状態で連結することができる。
【0090】
変形例1のハーネス取付け具10aは、上述した実施形態のハーネス取付け具10と同様に、嵌挿突部41aを被嵌挿部42aに対して嵌挿させる際に、外面係合部51aを、所望の相対角度ごとに複数配設された内面係合部52aのうち、いずれの内面係合部52aに係合させるかに応じて第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制することができる。
【0091】
(変形例2)
図7(a)に示すように、変形例2のハーネス取付け具10bにおける第1支持杆22bは、第1沿板部21のYa方向の端部からYa方向に向けて直線状に突出している。変形例2のハーネス取付け具10bにおける第2支持杆32bは、第2沿板部31のYb方向の端部からYb方向に向けて直線状に突出している。
【0092】
また、図7(c)に示すように、変形例2の連結部40bには、嵌挿突部41bと被嵌挿部42bと角度規制機構50bが備えられている。
図7(b)(c)(d)、図8(a)に示すように、変形例2の嵌挿突部41bは、第1支持杆22bからXa方向へ円筒状に突出している。変形例2の被嵌挿部42bは、円筒状の嵌挿突部41bを嵌挿可能に第2支持杆32bからXb方向へ円筒状に突出している。
【0093】
すなわち、円筒状の被嵌挿部42bは、円筒状の嵌挿突部41bとX方向に延びる軸を中心とする同軸に形成されているが、円筒状の嵌挿突部41bを嵌挿可能に該嵌挿突部41bよりも一回り大径に形成されている。
【0094】
嵌挿突部41bは円筒状であるため、被嵌挿部42bに嵌挿した状態において、該嵌挿突部41bの内部には、嵌挿突部41bの内面53と第1支持杆22bと第2支持杆32bとによって囲まれた内部空間54が形成される。この内部空間54は、X方向に延びる軸を中心とする円柱状となる。
【0095】
また、図7(b)(c)に示すように、変形例2の角度規制機構50bは、被嵌挿部42bに設けられた係合アーム51bと、嵌挿突部41bに設けられた被係合部52bとが備えられている。
【0096】
図7(b)(c)(d)、図8(b)に示すように、被係合部52bは、被係合アーム521とガイド部522が複数備えられている。これら被係合アーム521とガイド部522は、嵌挿突部41bの内部空間54の全周にわたって交互に配設されている。当例において被係合アーム521とガイド部522は、夫々8つが備えられ、所望の角度である45度ごとに等分配して配設されている。
【0097】
図8(a)に示すように、被係合アーム521は、嵌挿突部41bの内面53から径方向内側へ突出する基部511と、基部511の径方向内側の先端部からXa方向に突出する被係合アーム本体部512とが備えられ、周方向に隣接するガイド部522に対して独立して形成されている。
【0098】
すなわち、被係合アーム本体部512は、Xa方向の先端部がガイド部522と独立して径方向内側へ撓み変形可能に形成されている。被係合アーム本体部512の突出方向の基部には、径方向外側から径方向内側へ凹状に形成され、係合アーム51bと係合可能な被係合凹部513が設けられている。被係合アーム本体部512と嵌挿突部41bの内面53との間には、係合アーム51bをXa方向の側からXb方向へ差し込み可能なアーム差し込み空間514を有している。
【0099】
図7(d)に示すように、ガイド部522は、嵌挿突部41bの内面53から径方向内側へ突出するとともにZ方向に沿って嵌挿突部41bの内面53に対して一体に形成されている。
【0100】
図7(c)に示すように、係合アーム51bは、被嵌挿部42bの径方向内側に複数備えられ、アーム差し込み空間514と周方向に一致するように配設されている。図7(c)、図8(a)に示すように、係合アーム51bは、第2支持杆32bからXb方向へ立設され、Xb方向の先端部に、被係合アーム521の被係合凹部513とZ方向に係合する係合突部523が設けられている。
【0101】
係合アーム51bとアーム差し込み空間514とを周方向に一致させた状態で嵌挿突部41bと被嵌挿部42bとを嵌挿させると、複数の係合アーム51bは、夫々に対応するアーム差し込み空間514に差し込まれ、係合アーム51bの係合突部523と被係合アーム521の被係合凹部513とがZ方向に係合し、被嵌挿部42bに対する嵌挿突部41bの抜け出しが規制される。
【0102】
さらに、アーム差し込み空間514に差し込まれた係合アーム51bは、周方向の両側で隣接するガイド部522によって周方向においてもガイドされるため、第1部材20と第2部材30との相対角度についても規制される。
【0103】
すなわち、角度規制機構50bは、嵌挿突部41bと被嵌挿部42bとを嵌挿する際に、被嵌挿部42bの8つの係合アーム51bに対して、嵌挿突部41bの周方向に配設された8つの被係合アーム521のうち、何れの被係合アーム521に係合アーム51bを係合させるかに応じて第1部材20と第2部材30とを45度刻みの所望の相対角度に規制する。
【0104】
上述した変形例2のハーネス取付け具10cは、嵌挿突部41bの被嵌挿部42bに対する嵌挿状態において、係合アーム51bと被係合部52bとが周方向にしっかりと係合するため、第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制することができる。
【0105】
さらに、係合アーム51bと被係合部52bとは、周方向のみならず嵌挿方向においても係合するため、被嵌挿部42bに対する嵌挿突部41bの不用意な抜け出しを防ぐことができる。
【0106】
(変形例3)
変形例3のハーネス取付け具10cにおける連結部40cには、図9(a)(b)(c)に示すように、第1部材20のYa方向の端部側に設けられた嵌挿突部41cと、第2部材30のYb方向の端部側において嵌挿突部41cに嵌挿可能にZ方向に貫通形成された被嵌挿部42cと、角度規制機構50cと、撓み規制部材56とが備えられている。
【0107】
図10(a)(b)(c)に示すように、変形例3の嵌挿突部41cは、被嵌挿部42cに対する嵌挿突部41cの嵌挿方向の直交断面視で嵌挿中心を隔てて一方側に配置された一方側嵌挿突部41caと、他方側に配置された他方側嵌挿突部41cbとの一対が備えられている。
【0108】
一方側嵌挿突部41caと他方側嵌挿突部41cbとは、Y方向において互いに対向し、一方側嵌挿突部41caと他方側嵌挿突部41cbとの間に撓み許容空間58が備えられている。撓み許容空間58は、一方側嵌挿突部41caと他方側嵌挿突部41cbとの間部分のみならず、第1部材20においてもZ方向に貫通形成されている。
【0109】
一方側嵌挿突部41caと他方側嵌挿突部41cbとは、嵌挿中心に対して線対称に形成されているため、一方側嵌挿突部41caの構成に基づいて説明する。
一方側嵌挿突部41caは、第1部材20のYa方向の端部側からZa方向に立設された嵌挿突本体部571と、嵌挿突本体部571のZa方向の先端部から径方向外側へ拡径する拡径部572とが備えられている。
【0110】
嵌挿突本体部571は、第1部材20のZ方向の厚み、すなわち板厚よりもZa方向へ突出している。これにより、図9(c)に示すように、第2部材30のYb方向の端部に貫通形成された被嵌挿部42cに対して一方側嵌挿突部41caがZb方向の側からZa方向へ嵌挿した状態において、嵌挿突本体部571は、被嵌挿部42cに対してZa方向の側へ突出する。
【0111】
図10(c)に示すように、嵌挿突本体部571は、嵌挿方向Zの直交断面視で、径方向の外面が被嵌挿部42cの内面に沿った円弧状に形成されるとともに、径方向の内面がX方向に沿った直線状に形成されている。
【0112】
嵌挿突本体部571には、径方向の内面におけるXb方向の側から径方向の外側へ凹状の溝部573が形成されている。図10(b)に示すように、溝部573は、撓み規制部材56と係合可能に嵌挿突本体部571および第1部材20のZ方向の全長にわたって形成されている。
【0113】
拡径部572は、嵌挿突本体部571のZa方向の先端部、すなわち、被嵌挿部42cに対してZa方向の側への突出部分に備えている。図10(b)(c)に示すように、拡径部572の径方向の外側の先端部には、Zb方向に向けて突出する第1係合部51cが設けられている。
【0114】
一方側嵌挿突部41caは、被嵌挿部42cに嵌挿状態において拡径部572を含めたZa方向の先端部の径方向の外端が被嵌挿部42cの内径よりも小さくなるまで径方向内側へ撓み変形可能に形成されている。一対の嵌挿突部41ca,41cbの間に備えられた撓み許容空間58は、これら嵌挿突部41ca,41cbの上述した径方向内側への撓み変形を許容する大きさを有している。
【0115】
図11(a)(b)(c)に示すように、第2部材30のYb方向の端部における、被嵌挿部42cのZa方向の側の開口部の周縁部には、Za方向の端面に対して凹状の溝部59が被嵌挿部42cと同心円状に形成されている。
【0116】
被嵌挿部42cの外側縁部の溝部59には、拡径部572からZb方向へ突出する第1係合部51cと周方向に係合可能に該溝部59の底部からZa方向へ突出する第2係合部52cが設けられている。
【0117】
第2係合部52cは、円環状の溝部59に沿って16箇所に備えられ、夫々所望の角度である22.5度ごとに等分に配設されている。円環状の溝部59における、該溝部59に沿って設けられた16箇所の第2係合部52cの間部分の溝部59は、第1係合部51cが嵌め込まれる嵌込み空間591として形成されている。
【0118】
円環状の溝部59に沿って設けられた複数の嵌込み空間591のうち、何れかの嵌込み空間591と、被嵌挿部42cの第1係合部51cとを周方向に一致させた状態で嵌挿突部41cと被嵌挿部42cとを嵌挿させる。
【0119】
その際、一対の嵌挿突部41ca,41cbの夫々に設けられた第1係合部51cは、夫々に対応する嵌込み空間591に差し込まれ、第1係合部51cと、周方向に隣接する第2係合部52cとが周方向に係合し、第1部材20と第2部材30との相対角度が規制される。
【0120】
すなわち、角度規制機構50cは、嵌挿突部41cと被嵌挿部42cとを嵌挿する際に、被嵌挿部42cの外側縁部に配設された16箇所の第2係合部52cのうち、何れの第2係合部52cに、嵌挿突部41cの拡径部572に設けられた第1係合部51cを係合させるかに応じて第1部材20と第2部材30とを22.5度刻みの所望の相対角度に規制する。
【0121】
図11(d)に示すように、撓み規制部材56のY方向における両側の側面には、夫々に対応する溝部573に係合可能な係合突部561が互いに相反する方向へ突設されている。図9(a)(b)(c)に示すように、撓み規制部材56は、嵌挿突部41cと被嵌挿部42cとが嵌挿状態において、撓み許容空間58に嵌め込み可能に形成されている。
【0122】
そして、撓み規制部材56は、嵌挿突部41cと被嵌挿部42cとが嵌挿状態において、撓み許容空間58に嵌め込まれることで一方側嵌挿突部41caと他方側嵌挿突部41cbとが不用意に径方向の内側へ撓み変形することを規制する。
【0123】
以上のように、変形例3のハーネス取付け具10cは、嵌挿突部41cと被嵌挿部42cとを嵌挿した際に、被嵌挿部42cの第1部材20のZa方向の端面における、被嵌挿部42cの周縁部に沿って配設された16つの第2係合部52cのうち、何れの第2係合部52cに、嵌挿突部41cの拡径部572に設けられた第1係合部51cを係合させるかに応じて第1部材20と第2部材30とを22.5度刻みの所望の相対角度に規制することができる。
【0124】
さらに、一対の嵌挿突部41ca,41cbの間には、各嵌挿突部41cの上述した撓み変形を許容する撓み許容空間58を有する。このため、これら嵌挿突部41ca,41cbは、何れも被嵌挿部42cに嵌挿状態において拡径部572を含めた前記先端部の外径が被嵌挿部42cの内径よりも小さくなるまで径方向内側へ撓み変形する。よって、拡径部572を有する嵌挿突部41cを被嵌挿部42cに対して確実に嵌挿することができる。
【0125】
さらにまた、連結部40cには、被嵌挿部42cに嵌挿された嵌挿突部41cの前記撓み変形を規制する撓み規制部材56が備えられたため、被嵌挿部42cに嵌挿した嵌挿突部41cが不用意に撓み変形して被嵌挿部42cから抜け出すことを防止することができる。
【0126】
(変形例4)
図12(a)(b)、図13図14(a)(b)(c)に示すように、変形例4のハーネス取付け具10dにおける連結部40dには、第1連結部材61、第2連結部62、軸支部63およびコイルばね64が備えられている。
【0127】
連結部40dにおいて、第1部材20と第2部材30とは、X方向に延びる軸(以下、「回転軸40dx」と称する)回りに回動可能に形成されている。
第1部材20のXb方向の側の端面には、Ya方向の端部側が、該Ya方向の端部側以外の部位と比較してXa方向へ一段凹んだ段部25が形成されている。
【0128】
さらに、第1部材20のYa方向の端部における、Za方向の両側面には、Xb方向の端部からXa方向へ沿って凹状の溝部65が設けられている。なお本実施形態において、Za方向の側の側面に設けられた一方側溝部65aと、Zb方向の側の側面に設けられた他方側溝部65bとは、Y方向において互いにずらして設けられているが、一致して設けられてもよい。
【0129】
第1連結部材61は、第1部材20に装着される装着部66と、第1部材20からYa方向へ延出する第1連結部67とで一体に形成されている。
図13図14(c)に示すように、装着部66は、Za方向の端部側に、一方側溝部65aと係合可能な一方側係合突片66aがXa方向に向けて突出して形成されるとともに、Zb方向の端部側に、他方側溝部65bと係合可能な他方側係合突片66bがXa方向に向けて突出して形成されている。
【0130】
図12(b)に示すように、第1連結部材61の装着部66を第1部材20の段部25に装着する際には、一方側係合突片66aは、一方側溝部65aに差し込まれた状態で係合するとともに、他方側係合突片66bは、他方側溝部65bに差し込まれた状態で係合する。
【0131】
これにより、図12(a)に示すように、第1連結部材61の装着部66は、一方側係合突片66aと他方側係合突片66bとによって、第1部材20をZ方向の両側から挟み込むように第1部材20に対して装着される。なお、図12(b)に示すように、第1連結部材61の装着部66は、第1部材20に装着された状態において第1部材20のXb方向の側面と面一になる。
【0132】
図12(b)に示すように、第1連結部67は、第1部材20に装着部66が装着された状態において、第1部材20のYa方向の端部からYa方向へ突出する。図14(c)に示すように、第1連結部67は、X方向に延びる回転軸40dx回りに回動する連結部40dの回転中心を中心とする円板状に形成され、図12(b)に示すように、第2連結部62に対してXb方向の側から対向するように配置されている。
【0133】
図12(b)、図14(c)に示すように、第1連結部67には、第1係合部51dと窓部671とが設けられている。
窓部671は、円板状の第1連結部67の中央部において、第2連結部62の後述する操作部69が第1連結部67によって覆われずに外部に露出するようにX方向に貫通形成されている。第1係合部51dは、円板状の第1連結部67の窓部671の外周側における、Xa方向の端面において、周方向に所望の角度である45度ごとに配設されている。
【0134】
図12(b)、図14(a)に示すように、軸支部63は、第1部材20のYa方向の端部に一体に形成され、第1部材20のYa方向の端部側からYa方向へ突出する。軸支部63は、第2連結部62を回転軸40dx回りに軸支可能にXb方向の端面からXa方向に凹んだ凹部631が形成されている。
【0135】
図12(b)、図13図14(b)に示すように、第2連結部62は、第2部材30のYb方向の端部に対して一体に形成され、第2部材30のYb方向の端部側からYb方向へ延出する。第2連結部62は、連結部40dの回転軸40dxを中心軸とする円柱状に形成され、Xb方向の端部側には、X方向の他の部位よりも径方向外側へ鍔状に全周にわたって突出するフランジ部68が設けられている。
【0136】
第2連結部62は、軸支部63によって回転軸40dx回りに回動可能に軸支されるようにフランジ部68よりもXa方向の部位が軸支部63の凹部631に嵌め込まれている。
第2連結部62は、第1連結部67に対してXa方向の側から対向するとともに回転軸40dxに沿って同軸に配置されている。第2連結部62は、図12(b)および(c)に示すように、X方向において第1連結部67に対して近接する位置(近接位置Pbとする。)と、離間する位置(離間位置Paとする。)とで相対移動可能に配置されている。第2連結部62は、近接位置Pbと離間位置Paとの何れの位置においても第2連結部62の凹部631に嵌め込まれ軸支された状態となる。
【0137】
図12(b)、図13図14(b)に示すように、第2連結部62は、操作部69と第2係合部52dが設けられている。
操作部69は、第2連結部62の径方向における、フランジ部68よりも中央側に設けられ、ドライバ等の工具や指等で近接位置Pbから離間位置Paへ第1連結部67に対して第2連結部62が移動するように押圧操作が可能にフランジ部68よりもXb方向へ突出して設けられている。
【0138】
詳しくは、図14(b)に示すように、操作部69は、径方向の外周側に対して中央側が凹状に形成され、凹底部には、ドライバ等の工具を係合可能な係合溝691が設けられている。
第2係合部52dは、第2連結部62のフランジ部68において第1係合部51dと周方向に係合可能に8つが備えられ、夫々がフランジ部68のXb方向の端面において周方向に所望の角度である45度ごとに配設されている。なお、第1係合部51dと第2係合部52dとによって、変形例4の角度規制機構50dが構成されている。
【0139】
図12(b)に示すように、第2連結部62が第1連結部67に対して近接位置Pbの状態において、第1連結部67の側に設けられた8つの第1係合部51dと、第2連結部62の側に設けられた8つの第2係合部52dとは、夫々が噛み合うように周方向に係合される。
【0140】
すなわち、変形例4の角度規制機構50dは、第2連結部62が第1連結部67に対して近接位置Pbの状態において、第1連結部67の8つの第1係合部51dの夫々に対して、第2連結部62の周方向に配設された8つの第2係合部52dのうち、何れの第2係合部52dを係合させるかに応じて第1部材20と第2部材30とを45度刻みの所望の相対角度に規制する。
【0141】
コイルばね64は、軸支部63と第2連結部62との間において回転軸40dxに沿って自然長に対して圧縮状態で配置され、Xa方向の端部が軸支部63の凹部631の底面に当接するとともに、Xb方向の端部が第2連結部62のXa方向の端面に当接する。
【0142】
コイルばね64は、第2連結部62が近接位置Pb、離間位置Paのいずれの状態においても軸支部63と第2連結部62との間において圧縮状態で配置されるため、弾性力、すなわち復元力を利用して第2連結部62を第1連結部67の側へ常時付勢している。
【0143】
すなわち、コイルばね64の付勢力を利用して、第2連結部62は、常時近接位置Pbの側へ付勢されるとともに、第2連結部62が近接位置Pbの状態において、意に反した外力が作用しても第1係合部51dと第2係合部52dとが係合した状態に保たれる。
【0144】
以上のように、変形例4のハーネス取付け具10dは、上述した連結部40dが備えられることにより、第1部材20と第2部材30との相対角度を変更可能な状態と、所望の相対角度に規制した状態との間で容易に切り替えることができる。
【0145】
詳しくは、連結部40dにおいて、第2連結部62に設けられた操作部69をXa方向へ押圧することで、コイルばね64の付勢力に抗して第1係合部51dと第2係合部52dとの係合が解除される離間位置Paとすることができる。
【0146】
これにより、第2連結部62と第1連結部67とを連結した状態のまま第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度になるように回動させることができる。
【0147】
一方、連結部40dにおいて、第2連結部62に設けられた操作部69のXa方向への押圧を解除することで、コイルばね64の付勢力により、第2連結部62を近接位置Pbとすることができる。
【0148】
これにより、第1係合部51dと第2係合部52dとが周方向に係合し、第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制することができる。
従って、連結部40dは、第1部材20と第2部材30との相対角度を変更可能な状態と所望の相対角度に規制した状態との間で容易に切り替えることができる。
【0149】
また、コイルばね64を、第2連結部62を近接位置Pbの側へ付勢させることによって、第1係合部51dと第2係合部52dとを周方向に係合した状態に保つことができる。従って、第1係合部51dと第2係合部52dとの連結部40dに意に反する外力が作用しても第1部材20と第2部材30とを所望の相対角度に規制することができる。
【0150】
(変形例5)
図15(a)(b)(c)(d)(e)(f)に示すように、変形例5のハーネス取付け具10eにおける連結部40eには、第1部材20と第2部材30との間に介在する介在部材71と、第1部材20側に設けられた第1被嵌挿部74と、第2部材30側に設けられた第2被嵌挿部75とが備えられている。
【0151】
介在部材71は、第1部材20と第2部材30との互いの対向する端部同士を連結する部材であって、先端部が第1部材20に連結可能に直線状に延在する第1延在片72と、第1延在片72に対して所望の相対角度で第1延在片72の基端部から延在するとともに、先端部が第2部材30に連結可能に直線状に延在する第2延在片73とで一体に形成されている。すなわち、介在部材71は、第1延在片72と第2延在片73との結合部分において、所望の角度で屈曲している。
【0152】
第1延在片72の先端部は、第1被嵌挿部74に嵌挿可能に矢先形状に突出した第1嵌挿突部76が設けられている。第1嵌挿突部76は、第1延在片72の先端部から折返し状に形成された一対の折返し片761が備えられている。
【0153】
第2延在片73の先端部は、第2被嵌挿部75に嵌挿可能に矢先形状に突出した第2嵌挿突部77が設けられている。第2嵌挿突部77は、第2延在片73の先端部から折返し状に形成された一対の折返し片771が備えられている。
【0154】
当例では図示省略するが、第1延在片72と第2延在片73との相対角度の違いに応じた複数種類の介在部材71が備えられている。なお、これら複数種類の介在部材71は、何れも同一形状の第1嵌挿突部76および第2嵌挿突部77が備えられている。
【0155】
第1被嵌挿部74は、第1部材20のYa方向の端面において第1嵌挿突部76を嵌挿可能な穴形状に形成されている。第1被嵌挿部74の開口部741の縁部を通じて内部空間742まで嵌挿された第1嵌挿突部76は、一対の折返し片771が第1被嵌挿部74の開口部741の縁部に対して内部空間742の側から係合される。これにより、第1嵌挿突部76は、第1被嵌挿部74に対して嵌挿することができる。
【0156】
同様に、第2被嵌挿部75は、第2部材30のYb方向の端面において第2嵌挿突部77を嵌挿可能な穴形状に形成されている。第2被嵌挿部75の開口部751を通じて内部空間752まで嵌挿された第2嵌挿突部77は、一対の折返し片771が第2被嵌挿部75の開口部751の縁部に対して内部空間752の側から係合される。これにより、第2嵌挿突部77は、第2被嵌挿部75に対して嵌挿することができる。
【0157】
図15(c)(d)に示すように、第1部材20のYa方向の端部には、第1被嵌挿部74に対して外側から連通する第1窓部78が設けられるとともに、図15(e)(f)に示すように、第2部材30のYb方向の端部には、第2被嵌挿部75に対して外側から連通する第2窓部79が設けられている。
【0158】
すなわち、第1被嵌挿部74は、開口部741以外にも第1窓部78を通じて内部空間742に対して外側から連通する。
【0159】
作業者は、第1窓部78を通じて第1被嵌挿部74の内部空間742に対して外側からアクセスが可能となるため、第1窓部78を通じて第1嵌挿突部76の第1被嵌挿部74に対する嵌挿状態を容易に解除することができる。
【0160】
同様に、第2窓部79は、第2部材30のYb方向の端部におけるZa方向の端面から第2被嵌挿部75の内部空間752に向けて貫通形成させた孔形状である。すなわち、第2被嵌挿部75は、開口部751以外にも第2窓部79を通じて内部空間752に対して外側から連通する。
【0161】
作業者は、第2窓部79を通じて第2被嵌挿部75の内部空間752に対して外側からアクセスが可能となるため、第2窓部79を通じて第2嵌挿突部77の第2被嵌挿部75に対する嵌挿状態を容易に解除することができる。
【0162】
上述した変形例5のハーネス取付け具10eは、相対角度の違いに応じた様々なバリエーションごとに第1部材20と第2部材30も含めて用意する必要がなく、第1延在片72と第2延在片73との相対角度の違いに応じて複数種類備えた介在部材71のうち何れの介在部材71を介して第1部材20と第2部材30とを連結するかによって様々な配索経路に対応してワイヤーハーネス1を規制することができる。
【0163】
さらに、変形例5のハーネス取付け具10eは、介在部材71における第1延在片72の先端部に有する第1嵌挿突部76を第1部材20における第1被嵌挿部74に嵌挿するとともに、第2延在片73の先端部に有する第2嵌挿突部77を第2被嵌挿部75に嵌挿することで、第1部材20と第2部材30とが所望の相対角度になるように互いにしっかりと連結することができる。
【0164】
さらにまた、第1部材20のYa方向の端部には、第1被嵌挿部74に対して外側から連通する第1窓部78が設けられたため、作業者は、第1窓部78を通じて第1被嵌挿部74の内部空間742に対して外側からアクセスが可能となり、第1窓部78を通じて第1嵌挿突部76の第1被嵌挿部74に対する嵌挿状態を容易に解除することができる。
【0165】
同様に、第2部材30のYb方向の端部には、第2被嵌挿部75に対して外側から連通する第2窓部79が設けられため、作業者は、第2窓部79を通じて第2被嵌挿部75の内部空間752に対して外側からアクセスが可能となり、第2窓部79を通じて第2嵌挿突部77の第2被嵌挿部75に対する嵌挿状態を容易に解除することができる。
【0166】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、車体取付部は、アンカー部8に対応し、同様に
抜け止め部材は、抜け止めピン46に対応し、
付勢部材は、コイルばね64に対応し、
第1延在片の先端部は、第1嵌挿突部76に対応し、
第2延在片の先端部は、第2嵌挿突部77に対応し、
交差方向は、X方向又はZ方向に対応し、
配置方向は、Y方向に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0167】
例えば、本発明の第1係合部と第2係合部は、嵌挿突部と前記被嵌挿部との嵌挿方向に沿った軸回りの周方向において、所望の相対角度ごとに複数配設することができるが、上述した実施形態および各変形例の数に限定されず、任意の数を配設してもよい。
【符号の説明】
【0168】
1…ワイヤーハーネス
1A…ハーネス取付け具付ワイヤーハーネス
8…アンカー部
1010a,10b,10c,10d,10e…ハーネス取付け具
20…第1部材
30…第2部材
40,40a,40b,40c,40d,40e…連結部
41…嵌挿突部
42…被嵌挿部
46…抜け止めピン
50,50a,50b,50c,50d…角度規制機構
51…外面係合部
51b…係合アーム
51c…第1係合部
52…内面係合部
52b…被係合部
52c…第2係合部
56…撓み規制部材
58…撓み許容空間
64…コイルばね
69…操作部
71…介在部材
72…第1延在片
73…第2延在片
74…第1被嵌挿部
75…第2被嵌挿部
76…第1嵌挿突部
77…第2嵌挿突部
78…第1窓部
79…第2窓部
221…基端側支持杆
222…先端側支持杆
572…拡径部
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