(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140530
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】配管の断熱構造体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241003BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/66 H
H01L21/66 B
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051705
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】水垣 達也
【テーマコード(参考)】
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA01
4M106BA14
4M106DD10
4M106DD22
4M106DH45
4M106DJ02
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA02
5F131CA47
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EB78
5F131EB82
5F131EB87
(57)【要約】
【課題】施工性がよく安定した断熱性能を得ることができる配管の断熱構造体を提供する。
【解決手段】アルミフレーム72によって冷却管24の外周部を、断熱空間76を介して覆い、且つ、断熱性を有する保持具74によって冷却管24をアルミフレーム72に保持させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローバ用ウェーハチャックに流体を流す配管と、
前記配管の外周部を、空気層による断熱空間を介して覆う筒状のカバー部材と、
前記カバー部材の内部に配置され、前記配管を前記カバー部材に保持させる断熱性を有する保持具と、
を備える配管の断熱構造体。
【請求項2】
前記保持具は、前記配管の軸方向に間隔を空けて複数配置される、
請求項1に記載の配管の断熱構造体。
【請求項3】
前記カバー部材の端部は、前記配管を前記カバー部材の外部に延出させる開口部を有し、前記開口部と前記配管との間の隙間が断熱性を有するキャップによって封止される、
請求項1又は2に記載の配管の断熱構造体。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記カバー部材の内部にドライエアを供給及び放出することが可能である、
請求項3に記載の配管の断熱構造体。
【請求項5】
前記カバー部材は、アルミフレームである、
請求項4に記載の配管の断熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の断熱構造体に係り、特にプローバのウェーハチャックに流体を供給する配管の断熱構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体ウェーハに各種の処理を施して、デバイスを有する複数のチップを形成する。各チップは電気的特性が検査され、その後ダイサーで分断された後、リードフレーム等に固定されて組み立てられる。
【0003】
チップの電気的特性の検査は、テスタを備えたプローバによって実施される。プローバは、ウェーハをウェーハチャックに保持させて、各チップの電極パッドにプローブを接触させる。テスタは、プローブに接続される端子から電源及び各種の試験信号をチップに供給し、チップの電極に出力される信号を解析することにより正常に動作するかを確認する。
【0004】
製品化されたデバイスは広い用途に使用され、例えば-55℃以下の低温環境下で使用される場合がある。このため、プローバにはこのような低温環境下での検査が行えることが要求される。そこで、チラー機構等の冷却システムをプローバに搭載し、これらの冷却システムによってウェーハチャックを設定温度に冷却することにより、上記の低温環境下での検査を可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記の冷却システムにおいて、低温の流体(以下、冷却液とも言う。)を流す配管(以下、冷却管とも言う。)は、一般的に冷却管の外表面にスポンジ状の発泡樹脂(断熱材)を取り付けることにより冷却管を外部の熱から断熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の配管の断熱構造体は、断熱材を冷却管に取り付ける施工作業が作業者の手作業によるものなので、作業者の熟練度の差によって断熱性能が左右される。このため、この断熱構造体をプローバの冷却システムに適用しても断熱性能を得るには限界がある。また、施工性についても以下のような問題がある。
【0008】
例えば、断熱材の施工時に有機溶剤(接着剤)を使用する場合には、換気設備等が必要になる。また、断熱材を潰さないように冷却管を他の部材に固定する場合、断熱材から冷却管の一部を露出させ、この露出部を、固定部品を利用して他の部材に固定する方法があるが、この方法では冷却管の熱が固定部品に伝わるため断熱施工箇所が増えてしまうデメリットがある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、施工性がよく安定した断熱性能を得ることができる配管の断熱構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の配管の断熱構造体は、プローバ用ウェーハチャッ
クに流体を流す配管と、配管の外周部を、空気層による断熱空間を介して覆う筒状のカバー部材と、カバー部材の内部に配置され、配管をカバー部材に保持させる断熱性を有する保持具と、を備える。
【0011】
本発明の一形態は、保持具は、配管の軸方向に間隔を空けて複数配置されることが好ましい。
【0012】
本発明の一形態は、カバー部材の端部は、配管をカバー部材の外部に延出させる開口部を有し、開口部と配管との間の隙間が断熱性を有するキャップによって封止されることが好ましい。
【0013】
本発明の一形態は、カバー部材は、カバー部材の内部にドライエアを供給及び放出することが可能であることが好ましい。
【0014】
本発明の一形態は、カバー部材は、アルミフレームであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工性がよく安定した断熱性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の配管の断熱構造体が適用されたプローバの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した冷却液供給部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3に示した断熱構造体のIV-IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明に係る配管の断熱構造体の好ましい実施形態について詳説する。
【0018】
[プローバ]
図1は、実施形態の配管の断熱構造体が適用されたプローバ10の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、プローバ10は、検査するチップの電極に接触されるプローブ12を有するプローブカード14と、テスタ16と、ウェーハチャック22と、を備えている。テスタ16は、テストヘッド18と、テストヘッド18の端子とプローブカード14の端子とを電気的に接続するインターフェイス20と、を有する。テスタ16は、プローブ12に接続される端子から電源及び各種の試験信号をチップに供給し、チップの電極に出力される信号を解析することによりチップが正常に動作するかを確認する。
【0020】
プローブカード14は、ヘッドステージ(不図示)に形成された開口部(プローブカード取付部)に着脱自在に保持される。プローブカード14の下面(ウェーハチャック22側の面)には複数のプローブ12が形成されている。
【0021】
ウェーハチャック22は、プローブカード14の下方位置であって、プローブカード14に対向する位置に配置される。ウェーハチャック22は、ウェーハチャック22の上面にウェーハWを保持する保持面23を有し、保持面23には複数の吸着孔又は吸着溝(不図示)が形成される。また、ウェーハチャック22は、XYZθステージ(不図示)に搭載されており、XYZθステージはウェーハチャック22を各方向(X、Y、Z、θ方向
)に移動可能である。
【0022】
このように構成されたプローバ10を用いて行われるウェーハWの電気的特性の検査(ウェーハレベル検査)では、まず、検査前のウェーハWがウェーハチャック22の保持面23に載置されると、ウェーハWはウェーハチャック22の保持面23に真空吸着により保持される。その後、不図示のアライメントカメラ及び針位置検出カメラを用いて、ウェーハWの電極とプローブカード14のプローブ12との相対的な位置合わせ(アライメント)が行われる。その後、XYZθステージによりウェーハチャック22をプローブカード14に向けて上昇移動させて、プローブカード14のプローブ12にウェーハWのチップの電極を接触させる。この状態で、テスタ16からプローブ12に電源及び各種の試験信号を供給し、チップから出力される信号検出して電気的特性の検査を行う。
【0023】
[冷却システム]
プローバ10は、ウェーハチャック22を所望の温度(設定温度)に冷却するための冷却システムを備えている。この冷却システムは、ウェーハチャック22と、ウェーハチャック22に接続される冷却管24と、ウェーハチャック22に冷却管24を介して冷却液を供給する冷却液供給部26と、冷却液供給部26の動作を制御する冷却制御部28と、を備えて構成される。
【0024】
ウェーハチャック22は、例えばアルミニウム、銅等の金属、又は熱伝導性の良好なセラミック等の材料によって製作される。ウェーハチャック22の内部には、冷媒流路30が設けられる。冷媒流路30には、冷却液供給部26からの冷却液が冷却管24を介して供給される。これにより、ウェーハチャック22の表面が冷却液により低温域(例えば、-55℃以上40℃未満)で冷却される。なお、冷却液及び冷却管24は、本発明の流体及び配管の一例である。また、冷却管24は、一例としてステンレス鋼製である。
【0025】
図2は、冷却液供給部26の構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、冷却液供給部26は、ポンプ32と、タンク34と、冷却器36と、を有している。ポンプ32は、タンク34に溜められた低温の冷却液38を、冷却管24、ウェーハチャック22の冷媒流路30、配管40、及びタンク34の順に循環させることにより、ウェーハチャック22を前述の低温域で冷却する。なお、冷却管24には逆止弁42が取り付けられている。
【0027】
一方、タンク34の冷却液38は、ポンプ44によって配管46、冷却器36、配管48及びタンク34の順に循環され、冷却器36にて冷却されてタンク34に戻る。また、配管48には流量調整弁50が取り付けられており、流量調整弁50によって循環する冷却液38の量が調整される。これにより、タンク34に溜められる冷却液38の温度が調整される。
【0028】
冷却器36には、代替フロン(例えば、ハイドロフルオロカーボン)の循環ライン52が設けられている。代替フロンは、循環ライン52において、コンプレッサ(圧縮機)54、配管56、凝縮機58、配管60及び冷却器36の順に循環される。また、配管60には膨張弁62が取り付けられている。
【0029】
冷却器36に供給された代替フロンは、冷却器36に供給された冷却液38に加熱されて気化する。このとき、冷却液38は代替フロンによって冷却される。冷却器36にて気化した代替フロンは、コンプレッサ54によって圧縮された後、凝縮機58によって冷却されて液化し、その後、膨張弁62を経て冷却器36に戻される。なお、
図2に示した凝縮機58は、ファン64による空冷式であるが水冷式であってもよい。
【0030】
冷却制御部28は、ウェーハチャック22に供給される冷却液38が所望の温度となるように、冷却システムを構成する各部(ポンプ32、44、流量調整弁50など)の動作を制御する。なお、冷却制御部28は、CPUやメモリを含むコンピュータなどで構成され、メモリに格納されたプログラムに従って各部の制御などを行う。
【0031】
[断熱構造体]
次に、実施形態の断熱構造体について説明する。
【0032】
図3は、実施形態の断熱構造体70の組立斜視図である。また、
図4は、
図3に示した断熱構造体70のIV-IV線に沿う断面である。
図3及び
図4に示す断熱構造体70は、冷却管24を外部の熱から断熱することにより冷却管24に流れる冷却液38の温度変化(昇温)を抑制するものである。
【0033】
図3及び
図4に示すように、断熱構造体70は、冷却管24と、筒状のアルミフレーム72と、複数の保持具74と、を備える。
【0034】
アルミフレーム72は、外表面に複数の溝72Aが形成されたフレーム部材である。複数の溝72Aは、アルミフレーム72の長手方向(冷却管24の軸A方向に平行な方向)に沿って形成されている。本例では、アルミフレーム72の外表面を構成する各面(4つの面)のそれぞれに2つずつの溝72Aが形成されている。各溝72Aは、アルミフレーム72の長手方向の一端部72Cから他端部72Dの全体にわたって延在している。各溝72Aは、例えばナット挿入用の溝等として機能する。
【0035】
アルミフレーム72は筒状に構成されており、その内部には冷却管24を収容するための収容空間が設けられている。この収容空間は、アルミフレーム72の長手方向の一端部72C及び他端部72Dにそれぞれ開口されている。アルミフレーム72は、このように構成される収容空間に冷却管24を収容することで、冷却管24の外周部(外周面24A)を、空気層による断熱空間76を介して覆うものである。なお、アルミフレーム72は、本発明のカバー部材の一例である。
【0036】
保持具74は、アルミフレーム72の内部に配置され、冷却管24をアルミフレーム72に保持させるものである。保持具74は、冷却管24の軸A方向に間隔を空けて複数配置されている。本例では、2つの保持具74がアルミフレーム72の内部に配置される場合を示したが、アルミフレーム72の内部に配置される保持具74の数は3つ以上であってもよい。
【0037】
本例の保持具74は、冷却管24の外周面24Aを冷却管24の径方向から挟み込む二つ割り構成の2つの保持部材78、78を有している。保持部材78、78は、冷却管24の外周面24Aを挟み込んだ状態でアルミフレーム72の内部に配置される。これにより、保持具74の外周面74Aがアルミフレーム72の内壁面72Bに係合される。
【0038】
すなわち、アルミフレーム72の内壁面72Bは、保持具74に対して4方向(
図4において上下左右方向)からそれぞれ保持具74の外周面74Aに当接される当接面を含んで構成される。この当接面は保持具74の外周面74Aの角部にそれぞれ対応する位置に設けられており、保持具74の外周面74Aの角部にそれぞれ当接面が当接することで、アルミフレーム72の内壁面72Bに対して保持具74の外周面74Aが係合され、アルミフレーム72の内部において保持具74が固定された状態となる。その結果、保持具74に保持された冷却管24が、アルミフレーム72の内部において所定の位置(具体的には、冷却管24の軸A方向から見た場合にアルミフレーム72の中央部分)に位置決めさ
れた状態で固定される。なお、
図4に示すように、アルミフレーム72の内壁面72Bのうち当接面を除く部分は、保持具74の外周面74Aに当接しない非当接面となっている。保持具74の外周面74Aと非当接面との間には、断熱空間76の一部を構成する空間76Aが設けられている。
【0039】
保持具74は、断熱素材の材料によって構成される。断熱素材の材料とは、一例としてピーク樹脂、発泡ポリスチレン及び発泡ポリエチレン等を挙げることができる。保持具74を上記のような材料(断熱材)によって構成することにより、冷却管24の熱が保持具74を介してアルミフレーム72に伝わることを抑制することができる。なお、保持具74は、本発明の保持具の一例である。
【0040】
断熱空間76は、断熱機能を有する空間である。断熱空間76は、アルミフレーム72の外部の熱がアルミフレーム72から冷却管24に伝わること、及び冷却管24の熱が冷却管24の外周面24Aからアルミフレーム72に伝わることを抑制可能な十分な大きさ(空間)を有している。
【0041】
断熱空間76は、アルミフレーム72の内部(上記収容空間)において冷却管24の周囲全体を包み込むように、冷却管24の軸A方向の全体にわたって設けられている。なお、既述のとおり、アルミフレーム72の内部において冷却管24が保持具74により保持される位置においては、
図4に示すように、アルミフレーム72の内壁面72Bと保持具74の外周面74A(非当接面)との間に形成される空間76Aが、断熱空間76の一部として機能する。すなわち、断熱空間76は、アルミフレーム72の内部において、保持具74が配置される位置に形成された空間76Aを通して、アルミフレーム72の長手方向の全体にわたって1つに繋がった空間となっている。
【0042】
アルミフレーム72は、一方側の一端部72C及び他方側の他端部72Dがそれぞれ開口部として形成されている。冷却管24は、アルミフレーム72の各開口部から外部に延出されており、各開口部と冷却管24との間の隙間がそれぞれキャップ80、80によって封止される。
【0043】
キャップ80は、アルミフレーム72の一端部72C及び他端部72Dの輪郭形状に対応した矩形状の板状体である。キャップ80は、中央に冷却管24を通す貫通孔82を有している。キャップ80は、貫通孔82に冷却管24を通した状態でアルミフレーム72の一端部72C及び他端部72Dに一例として接着剤等によって固定される。
【0044】
キャップ80も保持具74と同様に断熱素材の材料によって構成される。これにより、冷却管24の熱がキャップ80を介してアルミフレーム72に伝わることを抑制することができる。なお、キャップ80は、本発明のキャップの一例である。
【0045】
アルミフレーム72は、アルミフレーム72の内部にドライエアを供給する供給口84と、アルミフレーム72の内部からドライエアをアルミフレーム72の外部に放出する放出口86と、を有する。供給口84には、コネクタ管88が接続され、コネクタ管88にドライエアの供給側配管(不図示)が接続される。また、放出口86には、コネクタ管90が接続され、コネクタ管90にドライエアの放出側配管(不図示)が接続される。なお、放出口86を設けずに断熱構造体の微細な隙間からドライエアを放出するようにしても良い。更に放出口86に絞り弁を取り付けるなどして、ドライエアの放出量を調整できるようにしても良い。これにより、アルミフレーム72は、アルミフレーム72の内部にドライエアを供給及び放出することが可能である。
【0046】
供給口84からアルミフレーム72の内部にドライエアを供給することにより、断熱空
間76をドライエアで満たすことができる。これにより、冷却管24の外周面24Aやアルミフレーム72の内壁面72Bに生じる結露や凍結を防止することができる。
【0047】
本例では、ドライエアとして、低露点の窒素ガス、又は水分を含まない空気が適用される。なお、ドライエアは、断熱空間76による断熱性能に影響を与えないように、上記の結露や凍結を防止するためだけの風量に調整されてアルミフレーム72の内部に供給される。
【0048】
上記の如く実施形態の断熱構造体70は、アルミフレーム72によって冷却管24の外周部を、断熱空間76を介して覆い、且つ、断熱性を有する保持具74によって冷却管24をアルミフレーム72に保持させる構成となっている。そのため、実施形態の断熱構造体70は、作業者の熟練度の差によって断熱性能に差が生じる従来の断熱構造体と比較して、安定した断熱性能を得ることができる。また、有機溶剤(接着剤)を使用しないため換気設備等が不要になる。また、断熱構造体70を他の部材に固定する場合には、アルミフレーム72を固定すればよい。よって、施工性を大幅に改善することができる。
【0049】
したがって、実施形態の断熱構造体70によれば、施工性がよく安定した断熱性能を得ることができる。
【0050】
また、保持具74は、冷却管24の軸A方向に間隔を空けて複数配置したので、冷却管24の周囲全体を包み込むように断熱空間76を配置しつつ、アルミフレーム72に対し冷却管24を安定して配置することができる。
【0051】
次に、本発明の断熱構造体の変形例について説明する。
【0052】
本例では、筒状のカバー部材として、アルミフレーム72を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、外周の輪郭形状が単なる四角形又は円形の筒状のカバー部材であっても適用できる。但し、カバー部材としてアルミフレーム72を適用することにより、例えば、溝72Aに挿入したナットを使用して他の部材(例えばフランジ、ブラッケット及び既存のアルミフレーム)に連結し易くなるので、取り付け方法、取り付け部品に拡張性を持たせることができる。また、ドライエアの供給口84及び放出口86の加工もし易くなるというメリットがある。
【0053】
また、本例では、タンク34からウェーハチャック22に冷却液を供給する冷却管24の断熱構造体70を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、冷却液供給部26に設けられた冷却液38の配管46、48、及び代替フロンの配管56、60に本発明の断熱構造体を適用してもよい。また、冷却系に限定されず、高温の流体(液体又は気体)を流す配管の断熱構造体にも本発明の断熱構造体を適用することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、本発明に係る配管の断熱構造体がプローバに適用される場合について説明したが、本発明に係る配管の断熱構造体は、冷却対象の温度調整を行うシステムであれば、プローバ以外にも適用することができる。
【0055】
以上、本発明に係る配管の断熱構造体の一例について説明したが、本発明の技術は実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…プローバ、12…プローブ、14…プローブカード、16…テスタ、18…テス
トヘッド、20…インターフェイス、22…ウェーハチャック、23…保持面、24…冷却管、24A…外周面、26…冷却液供給部、28…冷却制御部、30…冷媒流路、32…ポンプ、34…タンク、36…冷却器、38…冷却液、40…配管、42…逆止弁、44…ポンプ、46…配管、48…配管、50…流量調整弁、52…循環ライン、54…コンプレッサ、56…配管、58…凝縮機、60…配管、62…膨張弁、64…ファン、70…断熱構造体、72…アルミフレーム、72A…溝、72B…内壁面、72C…一端部、72D…他端部、74…保持具、74A…外周面、76…断熱空間、76A…空間、78…保持部材、80…キャップ、82…貫通孔、84…供給口、86…放出口、88…コネクタ管、90…コネクタ管