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特開2024-140564状態検知システムおよび状態検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140564
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】状態検知システムおよび状態検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/389 20190101AFI20241003BHJP
   G01R 31/3842 20190101ALI20241003BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241003BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20241003BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241003BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241003BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R31/389
G01R31/3842
H01M10/48 P
H01M10/44 P
H02J7/00 Q
B60L1/00 L
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051751
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 勇一
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA53
2G216BA59
2G216CA04
2G216CB22
2G216CB27
5G503BA01
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503CB13
5G503EA09
5G503FA06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB21
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC05
5H125CC01
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE24
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑え、小型化を図るとともに、二次電池の状態を正確に検出することができる状態検知システムおよび状態検知方法を提供する。
【解決手段】状態検知システム、外部から通知される所定の信号を受信した場合、所定のタイミングで状態検知センサ8をアクティブ状態に動作させ、バッテリ2を放電させる動作制御部151と、バッテリ2が放電している際に、状態検知センサ8が検知したバッテリ2の電圧値および電流値それぞれを取得する取得部152と、電圧値および電流値に基づいて、バッテリ2の内部抵抗値を検知する検知部153と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能なバッテリの状態を検知する状態検知センサを備える状態検知システムであって、
外部から通知される所定の信号を受信した場合、所定のタイミングで前記状態検知センサをアクティブ状態に動作させ、前記バッテリを放電させる動作制御部と、
前記バッテリが放電している際に、前記状態検知センサが検知した前記バッテリの電圧値および電流値それぞれを取得する取得部と、
前記電圧値および前記電流値に基づいて、前記バッテリの内部抵抗値を検知する検知部と、
を備える、
状態検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の状態検知システムであって、
前記動作制御部は、
前記状態検知センサをアクティブ状態に遷移後に、所定の負荷を動作させる、
状態検知システム。
【請求項3】
請求項2に記載の状態検知システムであって、
前記所定の負荷は、
前記動作制御部によって予め設定された車両の電装品を動作させることによって生じる負荷または前記状態検知センサがアクティブ状態になった後に、車両の制御装置から予め設定された車両の電装品を動作させることによって生じる負荷である、
状態検知システム。
【請求項4】
請求項3に記載の状態検知システムであって、
前記取得部は、
前記状態検知センサがアクティブ状態となった後に前記所定の負荷が動作するまで前記電圧値および前記電流値を連続的に取得して記憶する、
状態検知システム。
【請求項5】
請求項4に記載の状態検知システムであって、
前記検知部は、
前記所定の負荷の動作による電流値の変化が閾値以上となった前後の前記電流値および前記電圧値に基づいて、前記内部抵抗値を検知する、
状態検知システム。
【請求項6】
請求項5に記載の状態検知システムであって、
前記検知部が検知した前記内部抵抗値を前記車両の制御装置へ出力する出力制御部をさらに備える、
状態検知システム。
【請求項7】
充電可能なバッテリの状態を検知する状態検知センサを備える状態検知システムが実行する状態検知方法であって、
外部から通知される所定の信号を受信した場合、所定のタイミングで前記状態検知センサをアクティブ状態に動作させ、前記バッテリを放電させる動作制御ステップと、
前記バッテリが放電している際に、前記状態検知センサが検知した前記バッテリの電圧値および電流値それぞれを取得する取得ステップと、
前記電圧値および前記電流値に基づいて、前記バッテリの内部抵抗値を検知する検知ステップと、
を含む状態検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、状態検知システムおよび状態検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置として、車両に装備された所定の電装品を所定のタイミングで動作させ、二次電池が放電している際に、二次電池の電圧および電流を測定することによって二次電池の状態を検出する技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
また、二次電池状態検出装置として、一定周期の充電電流パルスまたは放電電流パルスを二次電池に印加可能な充放電回路を設けることによって二次電池の状態を検出する技術が知られている(例えば特許文献2を参照)。この技術では、充電電流パルスまたは放電電流パルスの印加開始タイミングから所定の周波数が経過したタイミング以降の二次電池の入力電圧と応答電圧を用いて二次電池の内部インピーダンスを算出することによって二次電池の状態を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-96726号公報
【特許文献2】特開2005-100969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1では、二次電池状態検出装置の状態を考慮しておらず、二次電池状態検出装置の状態によっては二次電池から負荷へ供給する電力が変動するうえ、二次電池の電圧も一定でなく変動することで、正確な状態を検出することが難しかった。
【0006】
さらに、特許文献2では、別途、充電電流パルスまたは放電電流パルスを二次電池に印加可能な充放電回路を設けなければならないため、装置の製造コストが高くなるうえ、装置の小型化を図ることが困難だった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、製造コストを抑え、小型化を図るとともに、二次電池の状態を正確に検出することができる状態検知システムおよび状態検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る状態検知システムは、充電可能なバッテリの状態を検知する状態検知センサを備える状態検知システムであって、
外部から通知される所定の信号を受信した場合、所定のタイミングで前記状態検知センサをアクティブ状態に動作させ、前記バッテリを放電させる動作制御部と、前記バッテリが放電している際に、前記状態検知センサが検知した前記バッテリの電圧値および電流値それぞれを取得する取得部と、前記電圧値および前記電流値に基づいて、前記バッテリの内部抵抗値を検知する検知部と、を備える。
【0009】
また、本開示に係る状態検知システムは、上記開示において、前記動作制御部は、前記状態検知センサをアクティブ状態に遷移後に、所定の負荷を動作させる。
【0010】
また、本開示に係る状態検知システムは、上記開示において、前記所定の負荷は、前記動作制御部によって予め設定された車両の電装品を動作させることによって生じる負荷または前記状態検知センサがアクティブ状態になった後に、車両の制御装置から予め設定された車両の電装品を動作させることによって生じる負荷である。
【0011】
また、本開示に係る状態検知システムは、上記開示において、前記取得部は、前記状態検知センサがアクティブ状態となった後に前記所定の負荷が動作するまで前記電圧値および前記電流値を連続的に取得して記憶する。
【0012】
また、本開示に係る状態検知システムは、上記開示において、前記検知部は、前記所定の負荷の動作による電流値の変化が閾値以上となった前後の前記電流値および前記電圧値に基づいて、前記内部抵抗値を検知する。
【0013】
また、本開示に係る状態検知システムは、上記開示において、前記検知部が検知した前記内部抵抗値を前記車両の制御装置へ出力する出力制御部をさらに備える。
【0014】
また、本開示に係る状態検知方法は、上記開示において、充電可能なバッテリの状態を検知する状態検知センサを備える状態検知システムが実行する状態検知方法であって、外部から通知される所定の信号を受信した場合、所定のタイミングで前記状態検知センサをアクティブ状態に動作させ、前記バッテリを放電させる動作制御ステップと、前記バッテリが放電している際に、前記状態検知センサが検知した前記バッテリの電圧値および電流値それぞれを取得する取得ステップと、前記電圧値および前記電流値に基づいて、前記バッテリの内部抵抗値を検知する検知ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、製造コストを抑え、小型化を図るとともに、二次電池の状態を正確に検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の実施の形態1に係る車両の電源系統を含む模式図である。
図2図2は、本開示の実施の形態1に係るECUと状態検知センサとの処理のシーケンス図を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態1に係る電流センサおよび電圧センサそれぞれが検出した電流値および電圧値の時間変化を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態2に係る状態検知システムの機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、状態検知システムが実行する処理の概要を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態に係る状態検知システムを備える車両について説明する。なお、以下に説明する実施の形態により、この発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には、適宜同一の符号を付し、重複説明を適宜省略する。また、図面は、模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
〔車両の機能構成〕
図1は、本開示の実施の形態1に係る車両の電源系統を含む模式図である。図1に示す車両1は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)および電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)等である。車両1は、バッテリ2と、オルタネータ3と、エンジン4と、スタータモータ5と、負荷6と、ECU(Electronic Control Unit)7と、状態検知センサ8と、を備える。
【0019】
バッテリ2は、電解液を有する充電可能な電池を用いて構成される。例えば、バッテリ2は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池またはニッケル水素電池等の二次電池を用いて構成される。バッテリ2は、オルタネータ3によって充電され、スタータモータ5を駆動するとともに、負荷6へ電力を供給する。
【0020】
オルタネータ3は、エンジン4によって駆動されて交流電力を発生し、この発生した交流電力を整流回路によって直流電力に変換してバッテリ2を充電する。
【0021】
エンジン4は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等のレシプロエンジン、又はロータリーエンジン等によって構成される。エンジン4は、スタータモータ5によって始動され、トランスミッションを介して駆動輪を駆動し、車両1に推進力を与えるとともに、オルタネータ3を駆動する。
【0022】
スタータモータ5は、直流電動機によって構成される。スタータモータ5は、バッテリ2から供給される電力によって回転力を発生し、エンジン4を始動する。
【0023】
負荷6は、電動ステアリングモータ、デフォッガ、シートヒータ、イグニッションコイル、カーオーディオ、及びカーナビゲーション等によって構成される。負荷6は、バッテリ2から供給される電力によって動作する。
【0024】
ECU7は、車両1の駆動系の主要な制御を司る上位の制御装置であり、車両1を構成する各部を制御する。ECU7は、メモリとプロセッサを用いて構成される。そのプロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアからなる。また、メモリは、主記憶装置であって、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)からなる。ECU7は、プログラムをメモリ(主記憶装置)の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部などを制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。具体的には、ECU7は、イグニッションスイッチからのオン信号に従って、車両1を構成する各部を駆動する。
【0025】
状態検知センサ8は、バッテリ2の状態を検出し、この検知結果をECU7へ出力する。状態検知センサ8は、電圧センサ11と、電流センサ12と、温度センサ13と、状態検知装置14と、を備える。なお、実施の形態1では、状態検知センサ8が状態検知システムとして機能する。
【0026】
電圧センサ11は、バッテリ2の端子電圧を測定し、この測定した電圧を示す信号を状態検知装置14へ出力する。
【0027】
電流センサ12は、バッテリ2の充電電流および放電電流それぞれを測定し、この測定した電流を示す信号を状態検知装置14へ出力する。
【0028】
温度センサ13は、バッテリ2の電解液またはバッテリ2の周囲の温度を測定し、この測定した温度を示す信号を状態検知装置14へ出力する。
【0029】
状態検知装置14は、バッテリ2が放電時に、電圧センサ11、電流センサ12および温度センサ13それぞれから出力される信号を取得し、これらの取得した信号に基づいてバッテリ2の状態を検知する。状態検知装置14は、バッテリ2の状態を検知した検知結果をECU7へ出力する。なお、実施の形態1では、状態検知装置14、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13を別々の構成としているが、これに限定されることなく、これらの一部または全てをまとめた構成を状態検知装置として構成してもよい。また、状態検知装置14は、制御部15と、通信インターフェース16と、を備える。
【0030】
制御部15は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはDSP(Digital Signal Processor)等のハードウェアからなる。制御部15は、動作制御部151と、取得部152と、検知部153と、出力制御部154と、を有する。
【0031】
動作制御部151は、外部から通知される所定の信号を受信した場合、所定のタイミングで状態検知センサ8をアクティブ状態に動作させる。動作制御部151は、状態検知センサ8をアクティブ状態に動作後、予め設定された所定の負荷6を動作させ、バッテリ2に放電させる。具体的には、動作制御部151は、ECU7からのWake UP信号を受信した場合、このWake UP信号に従って、状態検知センサ8をアクティブ状態に動作させる。状態検知センサ8をアクティブ状態とは、状態検知センサ8の電圧センサ11、電流センサ12および温度センサ13それぞれが測定可能な状態である。さらに、予め設定された所定の負荷6とは、車両1の高圧システム、エンジン4、ハザードランプおよびアクチュエータ等のいずれかである。
【0032】
取得部152は、電圧センサ11が検出する電圧値および電流センサ12が検出する電流値を所定時間間隔、例えば1ms間隔で取得する。
【0033】
検知部153は、取得部152が電圧センサ11および電流センサ12それぞれから取得した電圧値および電流値に基づいて、バッテリ2の内部抵抗値を検知する。
【0034】
出力制御部154は、検知部153が検知したバッテリ2の内部抵抗値を含むバッテリ2の状態をECU7へ通知する。
【0035】
通信インターフェース16は、ECU7から入力される信号を制御部15へ出力するとともに、制御部15から出力された信号をECU7へ出力する。通信インターフェース16は、例えばLIN(Local Interconnect Network)通信可能な通信モジュールを用いて構成される。
【0036】
〔ECU7と状態検知センサ8との処理〕
次に、ECU7と状態検知センサ8との処理について説明する。図2は、ECU7と状態検知センサ8との処理のシーケンス図を示す図である。
【0037】
図2に示すように、まず、ECU7は、通信インターフェース16を介して、状態検知センサ8を駆動するためのWake UP信号を状態検知装置14へ通知する(ステップS1)。ここで、ECU7がWake UP信号が通知するタイミングは、エンジン4が停止し、イグニッションがオフ状態となったタイミングである。なお、ECU7は、車両1がハイブリッド車の場合、エンジン4およびモータが停止し、イグニッションがオフ状態となったタイミングにWake UP信号を状態検知装置14へ通知する。もちろん、ECU7は、車両1が電気自動車の場合、モータが停止し、イグニッションがオフ状態となったタイミングにWake UP信号を状態検知装置14へ通知する。なお、ECU7がWake UP信号を通知するタイミングは、イグニッションオフからオンに変わったタイミングで通知してもよい。
【0038】
動作制御部151は、ECU7からのWake UP信号に従って、状態検知センサ8をアクティブ状態に動作させる(ステップS2)。具体的には、動作制御部151は、電圧センサ11、電流センサ12および温度センサ13それぞれの検出結果に基づいて、バッテリ2の状態を検知可能な状態に動作させる。
【0039】
続いて、動作制御部151は、予め設定された所定の負荷6を動作させ(ステップS3)、バッテリ2に放電させる(ステップS4)。ここで、所定の負荷6とは、車両1の高圧システム、エンジン4、ハザードランプおよびアクチュエータ等のいずれか1つ以上である。なお、動作制御部151は、負荷6を一種類だけでなく、複数の負荷6を動作させてもよい。また、動作制御部151は、負荷6の動作を一定の放電負荷としてもよいし、連続的な変動負荷であってもよく、負荷6の種類や特性に応じて適宜組み合わせて行ってもよい。
【0040】
その後、取得部152は、電圧センサ11が検出する電圧値および電流センサ12が検出する電流値を所定時間間隔、例えば1ms間隔で取得する(ステップS5)。この場合、取得部152は、電圧センサ11および電流センサ12それぞれから取得した電圧値および電流値を連続的に状態検知装置14のメモリに記憶する。
【0041】
続いて、動作制御部151は、取得部152が電圧センサ11から取得した電圧値および電流センサ12から電流値の取得回数が所定回数となったか否かを判断する(ステップS6)。ここで、所定回数とは、5~50回である。もちろん、動作制御部151は、動作させる負荷6の種類や組合せに応じて回数を変更してもよいし、回数以外にも計測時間であってもよい。動作制御部151は、取得部152が電圧センサ11から取得した電圧値および電流センサ12から電流値の取得回数が所定回数となったと判断した場合(ステップS6:Yes)、状態検知装置14は、ステップS7へ移行する。これに対して、取得部152が電圧センサ11から取得した電圧値および電流センサ12から電流値の取得回数が所定回数となっていないと判断した場合(ステップS6:No)、状態検知装置14は、上述したステップS5へ戻る。
【0042】
その後、検知部153は、取得部152が電圧センサ11および電流センサ12それぞれから取得した電圧値および電流値に基づいて、バッテリ2の内部抵抗値を検知する(ステップS7)。
【0043】
図3は、電流センサ12および電圧センサ11それぞれが検出した電流値および電圧値の時間変化を示す図である。図3において、上段(a)が電流値の時間変化を示し、下段(b)が電圧値の時間変化を示す。
【0044】
図3に示すように、検知部153は、メモリに記憶された負荷6の動作による電流変化が所定値以上、例えば1A以上発生した際の前後の検出結果を、バッテリ2の内部抵抗値を検知するための計算に用いる。具体的には、検知部153は、電流値から負荷6の負荷変動が-100A以上の発生を検知した場合、この検知したタイミングの前後の電流値(電流値P1,P2)および電圧値(電圧値P3,P4)から-100A前後のΔVおよびΔIを決定し、内部抵抗値Rを、ΔV/ΔIより計算することによって検知する。なお、図3では、一例として負荷6の電流変化をエンジン4始動時の電流変化とし、閾値を-100Aとしているが、これに限定されることなく、例えば車両1の他の負荷6、例えばライド、ハザードおよびモータ等の動作であってもよく、この場合、閾値を負荷6の種類、組合せ、数および動作時間に応じて変更してもよい。
【0045】
続いて、出力制御部154は、検知部153が検知したバッテリ2の内部抵抗値を含むバッテリ2の状態をECU7へ通知する(ステップS8)。ステップS8の後、ECU7および状態検知センサ8は、本処理を終了する。
【0046】
以上説明した実施の形態1によれば、外部から通知される所定の信号を受信した場合、動作制御部151が所定のタイミングで状態検知センサ8をアクティブ状態に動作させ、状態検知センサ8をアクティブ状態に動作後、予め設定された所定の負荷6を動作させ、バッテリ2に放電させることで、バッテリ2にパルスを放電させるパルス放電回路を省略することができるため、製造コストを抑え、小型化を図るとともに、バッテリ2の状態を正確に検出することができる。
【0047】
また、実施の形態1によれば、動作制御部151が複数の負荷6それぞれの動作を切り替えながら検知部153によってバッテリ2の内部抵抗値を検知することができるので、負荷6毎のバッテリ2の内部抵抗値を検知することができる。
【0048】
なお、実施の形態1では、動作制御部151が負荷6を動作させていたが、これに限定されることなく、ECU7がWake UP信号が通知後に、負荷6を順次動作させ、状態検知センサ8にバッテリ2の内部抵抗値を検知させてもよい。
【0049】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、車両1内のみで行っていたが、実施の形態2では、外部のサーバを経由してバッテリの状態を検知させる。以下においては、実施の形態2に係る状態検知システムの構成を説明後、実施の形態2に係る状態検知システムが実行する処理について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る車両1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
図4は、状態検知システムの機能構成を示すブロック図である。図4に示す状態検知システム100は、車両1Aと、ネットワーク1000を介して車両1Aと通信可能なサーバ9と、を備える。ここで、ネットワーク1000は、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等が想定される。
【0051】
〔車両の構成〕
まず、車両1Aの構成について説明する。車両1Aは、上述した実施の形態1に係る車両1の構成に加えて、通信部17をさらに備える。
【0052】
通信部17は、ECU7の制御のもと、ネットワーク1000を経由してサーバ9と通信を行い、所定の情報をサーバ9へ通知するとともに、サーバ9からの情報をECU7へ通知する。通信部17は、各種情報を送受信可能な通信モジュール等を用いて構成される。
【0053】
〔サーバの構成〕
次に、サーバ9の構成について説明する。サーバ9は、サーバ制御部91と、通信部92と、を備える。
【0054】
サーバ制御部91は、メモリと、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアとを用いて構成される。サーバ制御部91は、プログラムをメモリ(主記憶装置)の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部などを制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。
【0055】
通信部92は、サーバ制御部91の制御のもと、ネットワーク1000を経由して車両1Aと通信を行い、所定の情報を車両1Aへ通知するとともに、車両1Aからの情報をサーバ制御部91へ通知する。通信部92は、各種情報を送受信可能な通信モジュール等を用いて構成される。
【0056】
〔状態検知システムの処理〕
次に、状態検知システム100が実行する処理について説明する。図5は、状態検知システム100が実行する処理の概要を示すシーケンス図である。図5では、上述した図2のステップS1およびステップS8に代えて、ステップS1AおよびステップS8Aが異なり、ステップS2~ステップS7それぞれは、同様の処理のため、詳細な説明を省略する。以下においては、ステップS1AおよびステップS8Aについて説明する。
【0057】
図5に示すように、サーバ制御部91は、通信部92およびネットワーク1000を介して、状態検知センサ8を駆動するためのWake UP信号を車両1の状態検知装置14へ通知する(ステップS1A)。
【0058】
ステップS8Aにおいて、出力制御部154は、検知部153が検知したバッテリ2の内部抵抗値を含むバッテリ2の状態をサーバ制御部91へ通知する。ステップS8Aの後、ECU7、状態検知センサ8およびサーバ9は、本処理を終了する。
【0059】
以上説明した実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様に、製造コストを抑え、小型化を図るとともに、二次電池であるバッテリ2の状態を正確に検出することができる。
【0060】
(その他の実施の形態)
実施の形態1,2に係る状態検知システムでは、上記してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段または制御回路に読み替えることができる。
【0061】
また、実施の形態1,2に係る状態検知システムに実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0062】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本実施の形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0063】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0064】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1,1A 車両
2 バッテリ
3 オルタネータ
4 エンジン
5 スタータモータ
6 負荷
7 ECU
8 状態検知センサ
9 サーバ
11 電圧センサ
12 電流センサ
13 温度センサ
14 状態検知装置
15 制御部
16 通信インターフェース
17 通信部
91 サーバ制御部
92 通信部
100 状態検知システム
151 動作制御部
152 取得部
153 検知部
154 出力制御部
1000 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5