(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140578
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】目的タンパク質の単離方法、及び目的タンパク質の単離キット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20241003BHJP
C40B 40/10 20060101ALI20241003BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241003BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241003BHJP
C07K 1/14 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01N33/68
C40B40/10
C12N1/19
C12N5/10
C07K1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051769
(22)【出願日】2023-03-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「動的なオルガネラコンタクトネットワーク制御機構の解明」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(72)【発明者】
【氏名】西村 多喜
【テーマコード(参考)】
2G045
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
2G045CB01
2G045DA36
2G045DA60
4B065AA72X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD21
4B065CA24
4H045AA20
4H045EA34
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA01
(57)【要約】
【課題】簡便に標的脂質に親和性を有する目的タンパク質を単離する技術を提供する。
【解決手段】標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、を有する単離方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、
前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、
前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、
前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、
前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、
を有する単離方法。
【請求項2】
前記工程4の後、更に、工程3及び工程4を繰り返して、前記複合体が濃縮された画分を得る工程5を有する、請求項1に記載の単離方法。
【請求項3】
前記細胞は、酵母細胞である、請求項1に記載の単離方法。
【請求項4】
前記目的タンパク質は、ナノボディである、請求項1に記載の単離方法。
【請求項5】
標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離キットであって、
前記目的タンパク質を含むディスプレイライブラリーと、リポソームを構成する脂質成分と、前記リポソームを標識する標識物と、
を有する単離キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的タンパク質の単離方法、及び目的タンパク質の単離キットに関する。
【背景技術】
【0002】
真核生物の細胞内には細胞小器官(オルガネラ)が存在する(
図1(A)参照。)。各オルガネラ膜は特有の膜脂質組成から構成されているが(
図1(B)参照。)、ある特定の生理的、病的条件下ではオルガネラ膜脂質環境が劇的に変化する(
図1(C)参照。)。オルガネラ膜脂質の変化は基本的な細胞機能だけでなく、恒常性維持に必須の生理的応答や細胞老化、神経変性疾患などの病態とも関連する可能性が報告されている。以上の理由から、オルガネラ膜脂質可視化ツールの拡充、さらにそれを簡便に開発するための方法論が求められている。
【0003】
図2(A)に示されるように、1000種類以上とも言われるオルガネラ膜脂質を解析する既存の方法としては、質量分析イメージング、ラマン分光法、脂質アナログなどのケミカルプローブ、脂質結合ドメインなどの脂質プローブ等が挙げられる。
これらはいずれも一長一短あり、特定のオルガネラ膜脂質を「高分解能で検出可能」、「簡便で培養細胞から個体レベルまで使用可能」、「エクソソーム単離などにも用いられる高い汎用性」という条件を満たすのは脂質結合ドメインなどの脂質プローブのみである(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Phosphatidylserine dynamics in cellular membranes. Kay JG, Koivusalo M, Ma X, Wohland T, Grinstein S. Mol Biol Cell. 2012 Jun;23(11):2198-212. doi: 10.1091/mbc.E11-11-0936. Epub 2012 Apr 11.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の脂質プローブは偶然に単離された脂質結合ドメインを転用しているだけであり(
図2(B)参照。)、目的に応じて脂質プローブを開発するという確立された方法はこれまで存在しない。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、簡便に標的脂質に親和性を有する目的タンパク質を単離する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、を有する単離方法。
[2]前記工程4の後、更に、工程3及び工程4を繰り返して、前記複合体が濃縮された画分を得る工程5を有する、[1]に記載の単離方法。
[3]前記細胞は、酵母細胞である、[1]に記載の単離方法。
[4]前記目的タンパク質は、ナノボディである、[1]に記載の単離方法。
[5]標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離キットであって、前記目的タンパク質を含むディスプレイライブラリーと、リポソームを構成する脂質成分と、前記リポソームを標識する標識物と、を有する単離キット。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡便に標的脂質に親和性を有する目的タンパク質を単離する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)各オルガネラ膜を有する真核生物細胞の図である。(B)各オルガネラ膜の構成図である。(C)各オルガネラ膜の説明図である。
【
図2】(A)オルガネラ膜脂質を解析する既存の方法の説明図である。(B)従来の脂質プローブの開発方法の説明図である。(C)本実施形態における脂質プローブの開発方法の説明図である。
【
図3】(A)本実施形態の目的タンパク質の単離方法の説明図である。(B)本実施形態において用いられる酵母細胞の説明図である。
【
図4】(A)実施例1におけるFACS解析の結果を示す図である。(B)実施例1と同様の実験(リポソームは一種類のみを使用し、蛍光色素はATTO647を使用した。)でリポソームの量をふって、解離定数を求めた解析結果である。
【
図5】実施例2におけるFACS解析の結果を示す図である。
【
図6】(A、B)実施例2において単離されたナノボディの標的脂質含有リポソームとの結合をFACS解析した結果を示す図である。(C)実施例2において単離されたナノボディを用いた脂質プローブの概略図である。(D、E)脂質プローブを導入した酵母細胞の蛍光観察像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪目的タンパク質の単離方法≫
一実施形態において、本発明は、標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、を有する単離方法を提供する。
【0011】
[工程1]
図3を参照しながら、本実施形態を説明する。工程1は、目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程である。
目的タンパク質を含むライブラリーとしては特に限定されず、標的脂質に対する抗体ライブラリーが好ましい。標的脂質に対する抗体としては、Fab断片、一本鎖可変断片(scFv)、ナノボディ、モノボディ等が挙げられ、単鎖抗体が好ましく、ラクダ科動物由来ナノボディ又はヒトフィブロネクチン由来モノボディライブラリーがより好ましい。
目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示する方法としては、特に限定されず、膜タンパク質や細胞壁の少なくとも一部を融合したタンパク質ライブラリーを構築する方法が挙げられる。
【0012】
目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示させるための細胞としては、酵母細胞又は動物細胞が好ましい。
図3(B)に示す様に、例えば細胞として酵母細胞を用いる場合、酵母細胞表面に露出した領域は、人工タンパク質の領域とそのC末端に付加されたリンカー領域から構成されることが好ましい。ここでの人工タンパク質とは、上述したように、ナノボディや脂質結合ドメイン、ペプチドなど、膜脂質と結合する可能性がある可溶性タンパク質を指す。係る構成を有する酵母細胞を用いることで、標的脂質を含むリポソームと結合する人工タンパク質の単離を実現する。
標的脂質としては、脂質であれば特に限定されず、リポソームも含まれる。
【0013】
リポソームは、脂質を構成成分とする粒子である。本実施形態において、脂質としては、リポソームに用いられる脂質であれば、任意に用いることができる。脂質としては、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ホスホイノシタイド、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、ケファリン、セレブロシド、コレステロール等が挙げられる。
リポソームの標識方法としては特に限定されず、例えば蛍光色素含有リン脂質をリポソームに含ませる方法が挙げられる。
【0014】
[工程2]
工程2は、第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程である。
分画方法としては、フローサイトメトリーを用いて蛍光標識を指標に分画する方法が挙げられる。また、蛍光色素含有リン脂質の代わりにNi-NTA含有脂質を含ませたリポソームとヒスチジンタグが結合したマイクロ磁気ビーズを前記混合物に混ぜた後、磁気により分画する方法も挙げられる。
【0015】
[工程3及び工程4]
工程3は、工程2で得られた画分に標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る複合体を形成させる工程である。
工程4は、前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程である。
本実施形態において、第1の標識物と第2の標識物は、互いに異なることが好ましい。例えば、第1の標識物としてローダミンを用い、フローサイトメトリーを用いてローダミン検出波長において、所定の蛍光強度以上の領域にある細胞を分画する。次いで、第2の標識物としてATTO 488-DOPEを用い、フローサイトメトリーを用いてATTO 488検出波長において、所定の蛍光強度以上の領域にある細胞を分画する。ATTO 488標識により更に分画することで、ローダミン標識により分画された偽陽性を除去しつつ、目的の複合体を含む混合物を濃縮することができる。
【0016】
[工程5]
工程5は、工程4の後、更に、工程3及び工程4を繰り返して、前記複合体が濃縮された画分を得る工程である。工程3において用いる第2の標識物は、繰り返すたびに異なる標識物を用いることが好ましい。また、特異性を高める観点から、工程3において用いるリポソームは、繰り返すたびに異なるものを用いることが好ましい。本実施形態において、工程3及び工程4を繰り返すことにより、目的の複合体を含む混合物が濃縮されることから、工程5を有することが好ましい。
【0017】
≪目的タンパク質の単離キット≫
一実施形態において、本発明は、標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離キットであって、前記目的タンパク質を含むディスプレイライブラリーと、リポソームを構成する脂質成分と、前記リポソームを標識する標識物と、を有する単離キットを提供する。
【0018】
本実施形態の単離キットは、上述した≪目的タンパク質の単離方法≫に好適に用いられ、≪目的タンパク質の単離方法≫に記載された構成を含む。
本実施形態において、リポソームを標識する標識物は、複数種類有することが好ましい。
【実施例0019】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
[実施例1]
[リポソームの調製]
ホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンからなるリポソームに1%ATTO 647-DOPE (AD647-161)を含むリポソーム組成物1、2%ホスファチジルセリン(PS)と1%ATTO 390-DOPE (AD390-161)を含むリポソーム組成物2、2%ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PI4,5P2)と1%ATTO 488-DOPE (AD488-161)を含むリポソーム組成物3、2%ホスファチジン酸(PA)と1%ローダミン(18:1 Liss Rhod PE (810150C, Avanti))を含むリポソーム組成物4をそれぞれ調製した。
【0021】
[酵母細胞の調製]
PSに親和性を有することが知られているLactC2タンパク質をリンカーを介して膜表面に発現させた酵母細胞と、リンカーのみを膜表面に発現させた酵母細胞とをそれぞれ用意した。
【0022】
[FACS解析]
リポソーム組成物1~4と、LactC2タンパク質をリンカーを介して膜表面に発現させた酵母細胞又はリンカーのみを膜表面に発現させた酵母細胞とを混和した後、フローサイトメトリーを用いて各蛍光でのピーク強度を確認した。結果を
図4(A)に示す。LactC2タンパク質をリンカーを介して膜表面に発現させた酵母細胞のATTO 647検出波長において、新たなピーク強度が確認された。本実施形態の目的タンパク質の単離方法において、ホスファチジルセリンと結合するプローブLactC2がホスファチジルセリン特異的な結合を示すことを確認した(
図4(A)参照。)。
【0023】
[実施例2]
[リポソームの調製]
2%ホスファチジルイノシトール3,5-ビスリン酸(PI3,5P2)と1%ローダミン(18:1 Liss Rhod PE(810150C, Avanti))を含むリポソーム組成物5、2%ホスファチジルイノシトール3,5-ビスリン酸(PI3,5P2)と1%ATTO488-DOPE(AD488-161)を含むリポソーム組成物6、2%ホスファチジルイノシトール3,5-ビスリン酸(PI3,5P2)と1%ATTO 647-DOPE(AD647-161)を含むリポソーム組成物7、2%ホスファチジルセリン(PS)と1%ATTO 488-DOPE(AD488-161)を含むリポソーム組成物8、2%ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PI4,5P2)と1%ATTO 488-DOPE(AD488-161)を含むリポソーム組成物9をそれぞれ調製した。
【0024】
[酵母細胞の調製]
ナノボディライブラリーを膜表面に発現させた酵母細胞(Yeast-Display Nanobody Library(Kerafast, EF0014-FP))を用意した。
【0025】
[FACS解析]
リポソーム組成物5と、ナノボディライブラリーを膜表面に発現させた酵母細胞とを混和した後、フローサイトメトリーを用いてローダミン検出波長において、所定の蛍光強度以上の領域にある細胞を分画した(1st sorting)。次いで、リポソーム組成物6と、分画した細胞とを混和した後、フローサイトメトリーを用いてATTO 488検出波長において、所定の蛍光強度以上の領域にある細胞を分画した(2nd sorting)。次いで、リポソーム組成物7とリポソーム組成物8、分画した細胞とを混和した後、フローサイトメトリーを用いてATTO 647検出波長において、所定の蛍光強度以上の領域にあり、かつATTO 488蛍光強度が所定の蛍光強度以下の領域にある細胞を分画した(3rd sorting)。次いで、再度リポソーム組成物7とリポソーム組成物9、分画した細胞とを混和した後、フローサイトメトリーを用いてATTO 647検出波長において、所定の蛍光強度以上の領域にあり、かつATTO 488蛍光強度が所定の蛍光強度以下の領域にある細胞を分画した(4th sorting)。
CLiB assayを用いて、ホスファチジルイノシトール3,5-ビスリン酸と特異的に結合するクローンの単離を行なうことが出来た(
図6(A)参照。)。同様の手法でホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸と結合するクローンも単離することが出来た(
図6(B)参照。)。
【0026】
[実施例3]
実施例2において単離されたホスファチジルイノシトール3,5-ビスリン酸やホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸と優先的に結合するクローンから、ナノボディをコードするDNAを単離し、このDNAに蛍光タンパク質GFPをコードするDNAを付加した脂質プローブDNAを構築した。
図6(C)に示す様に、脂質プローブにおいて、ナノボディのC末にコイルドコイルドメインと蛍光蛋白質EGFPが付加されている。脂質プローブを導入した酵母細胞の蛍光観察像を
図6(D、E)に示す。PI3,5P
2と結合するクローン♯1-50はPI3,5P
2が豊富に存在する酵母細胞の液胞膜に膜局在を示した(
図6(D)参照。)。PI4,5P
2と結合するクローンはPI4,5P
2が豊富に存在する酵母細胞の形質膜上に分布した(
図6(E)参照。)。