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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140580
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20241003BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/31 E
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051771
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 嘉隆
(72)【発明者】
【氏名】永田 朋幸
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA09
4K030EA03
4K030EA11
4K030FA10
4K030GA02
4K030KA23
4K030KA26
4K030KA45
4K030LA15
5F045AA06
5F045AC15
5F045BB08
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB03
5F045EB10
5F045EC02
5F045EE04
5F045EE14
5F045EF03
5F045EF11
5F045EF20
5F045EG08
5F045EG10
5F045EJ01
5F045EJ02
5F045EK06
5F045EK07
5F045EK24
5F045EM09
5F045EM10
5F045EN05
(57)【要約】
【課題】断熱ユニットの昇降温時間を短縮できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、複数の基板を保持する基板保持具を収容すると共に下端に開口を有する処理容器と、前記開口を開閉する蓋体と、前記蓋体の上に設けられ、前記基板保持具の下方の第1空間を断熱する断熱ユニットと、を備え、前記断熱ユニットは、前記第1空間に対して区画された第2空間を形成する区画部材を有し、前記蓋体は、前記第2空間に温調流体を供給するための供給口と、前記第2空間から前記温調流体を排気するための排気口と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を保持する基板保持具を収容すると共に下端に開口を有する処理容器と、
前記開口を開閉する蓋体と、
前記蓋体の上に設けられ、前記基板保持具の下方の第1空間を断熱する断熱ユニットと、
を備え、
前記断熱ユニットは、前記第1空間に対して区画された第2空間を形成する区画部材を有し、
前記蓋体は、前記第2空間に温調流体を供給するための供給口と、前記第2空間から前記温調流体を排気するための排気口と、を有する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記断熱ユニットは、前記第2空間に供給される前記温調流体を前記第2空間の上方に導くガイド部材を有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
一端が前記排気口に接続され、他端が前記処理容器の外部の排気箇所に接続される配管を備える、
請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記排気箇所は、ローディング室を排気する排気ダクトである、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記排気箇所は、前記開口の周囲にあるスカベンジャーである、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記排気箇所は、前記処理容器と、前記処理容器を周囲から加熱するヒータとの間のヒータ室である、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記排気箇所は、前記処理容器内を排気する排気配管である、
請求項3に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下端に開口を有する反応容器内に、多段に配列した複数の基板を保持する基板保持具を収容し、開口を蓋体で閉塞した状態で、複数の基板に熱処理を施す基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、蓋体を覆うカバー部を設け、カバー部で覆われた空間に断熱材を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6736755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、断熱ユニットの昇降温時間を短縮できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、複数の基板を保持する基板保持具を収容すると共に下端に開口を有する処理容器と、前記開口を開閉する蓋体と、前記蓋体の上に設けられ、前記基板保持具の下方の第1空間を断熱する断熱ユニットと、を備え、前記断熱ユニットは、前記第1空間に対して区画された第2空間を形成する区画部材を有し、前記蓋体は、前記第2空間に温調流体を供給するための供給口と、前記第2空間から前記温調流体を排気するための排気口と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、断熱ユニットの昇降温時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
図2図1のII-II矢視断面図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4】プレートを斜め上方から見た斜視図である。
図5】第2実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
図6】第3実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
図7】第4実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
図8】第5実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔第1実施形態〕
図1から図4を参照し、第1実施形態に係る基板処理装置1について説明する。図1は、第1実施形態に係る基板処理装置1を示す断面図である。図2は、図1のII-II矢視断面図である。図3は、図1のIII-III矢視断面図である。図4は、プレート66を斜め上方から見た斜視図である。
【0010】
基板処理装置1は、複数の基板Wに対して一度に熱処理を行うバッチ式の熱処理装置である。基板Wは、例えば半導体ウエハである。基板処理装置1は、処理容器10と、ガス供給部30と、加熱部50と、断熱ユニット60と、制御部90とを備える。
【0011】
処理容器10は、内部を減圧可能である。処理容器10は、内部に基板Wを収容する。処理容器10は、内管11と、外管12とを有する。
【0012】
内管11は、下端が開放された有天井の円筒形状を有する。外管12は、下端が開放されて内管11の外側を覆う有天井の円筒形状を有する。内管11及び外管12は、同軸状に配置されて2重管構造を有する。内管11及び外管12は、例えば石英により形成される。
【0013】
内管11は、第1円筒部11aと、拡径部11bと、第2円筒部11cと、天板11dとを有する。第1円筒部11a、拡径部11b及び第2円筒部11cは、上側から下側に向かってこの順に設けられる。第1円筒部11aは、後述する基板保持具18の上端よりも上方から基板保持具18の下端までの高さ領域を含んで設けられる。第1円筒部11aは、第1内径を有する。拡径部11bは、第1円筒部11aの下に位置する。拡径部11bは、上方から下方に向けて第1内径から第2内径まで拡径する。第2内径は、第1内径よりも大きい。第2円筒部11cは、拡径部11bの下に位置する。第2円筒部11cは、第2内径を有する。天板11dは、第1円筒部11aの上端の開口を塞ぐ。
【0014】
内管11には、側壁の一部を外側へ向けて突出させた凸部11eが形成される。凸部11eは、内管11の長手方向(上下方向)に沿って形成される。凸部11eは、後述するガスインジェクタ31を収容する収容部を内部に形成する。凸部11eに対向させて内管11の反対側の側壁には、上下方向に沿って延びる矩形状の排気口11fが形成される。具体的には、排気口11fは、内管11の第1円筒部11aから第2円筒部11cの上端近傍まで延びるように形成されている。処理容器10内の処理ガスは、排気口11fを通って排気される。
【0015】
外管12の下端は、例えばステンレス鋼により形成される円環状のフランジ部材13によって支持され、Oリング等のシール部材15を介して気密に取り付けられる。外管12の下方の内壁には、円環板状の支持部12aが設けられる。支持部12aは、内管11の下端を支持する。外管12の側壁であって、支持部12aの上方には、ガス出口12bが設けられる。ガス出口12bには、排気配管EPが接続される。排気配管EPには、圧力調整弁(図示せず)及び真空ポンプVPが順次介設される。円環状のフランジ部材13の下端には、蓋体14がOリング等のシール部材(図示せず)を介して気密に取り付けられる。蓋体14は、処理容器10の下端の開口、すなわち外管12の開口を気密に塞ぐ。蓋体14は、例えばステンレス鋼等の金属により形成される。
【0016】
蓋体14の中央部には、回転機構16が設けられる。回転機構16は、例えば磁性流体シールを含む。回転機構16の下部には、ボートエレベータよりなる昇降機構のアーム(図示せず)が接続される。回転機構16は、アームの昇降により上下動する。回転機構16の上部には、支持部17が接続される。支持部17は、蓋体14に対して回転自在である。支持部17は、例えば石英により形成される。支持部17は、軸部17aと、載置部17bとを有する。軸部17aの下部は、回転機構16に接続される。載置部17bは、軸部17aの上部に位置する。載置部17bは、上方からの平面視において軸部17aよりも直径が大きい円板形状を有する。載置部17bは、基板保持具18を支持する。基板保持具18は、複数(例えば25枚~200枚)の基板Wを水平姿勢で上下方向に多段に配列して保持する。基板保持具18は、例えば石英、炭化珪素により形成される。基板保持具18は、アームの昇降により、蓋体14、回転機構16及び支持部17と一体として上下動する。これにより、基板保持具18が処理容器10に対して挿脱される。
【0017】
ガス供給部30は、ガスインジェクタ31を有する。ガスインジェクタ31は、内管11の内面の近傍を複数の基板Wの配列方向(上下方向)に沿って直線状に延在すると共に、内管11の下部においてL字状に屈曲し、外管12を貫通して内管11の外部まで延びる。ガスインジェクタ31は、例えば石英により形成される。ガスインジェクタ31において内管11の外部の端部には、ガス供給経路(図示せず)を介して処理ガスのガス源(図示せず)が接続される。ガスインジェクタ31において内管11の内部に位置する部位には、複数のガス吐出孔31hが設けられる。各ガス吐出孔31hは、ガスインジェクタ31の延在方向に沿って所定の間隔ごとに設けられる。ガス源の処理ガスは、ガス供給経路からガスインジェクタ31に流入し、各ガス吐出孔31hから内管11内に吐出される。内管11は、基板保持具18が位置する高さ領域において内径が絞られており、かつガスインジェクタ31と対向させて排気口11fが設けられる。この場合、各ガス吐出孔31hから吐出される処理ガスが基板W側へ流れることを促進できる。各ガス吐出孔31h同士の間隔は、例えば基板保持具18に保持される基板Wの間隔と同じに設定される。各ガス吐出孔31hの高さ方向の位置は、例えば上下方向に隣り合う基板W間の中間位置に設定される。この場合、各ガス吐出孔31hは隣り合う基板W間の対向面に処理ガスを効率的に供給できる。
【0018】
ガス供給部30は、複数種類の処理ガスを混合して1つのガスインジェクタから混合した処理ガスを吐出してもよい。ガス供給部30は、ガスインジェクタ31の他に、別の処理ガスを吐出するガスインジェクタを更に有してもよい。
【0019】
加熱部50は、チャンバヒータ51を含む。チャンバヒータ51は、処理容器10の径方向外側において処理容器10を囲み、かつ処理容器10の天井を覆う有天井の円筒形状を有する。チャンバヒータ51は、ベースプレート52の上に固定される。チャンバヒータ51は、処理容器10の側周囲及び天井を加熱することにより、処理容器10内に収容された各基板Wを加熱する。
【0020】
断熱ユニット60は、区画部材61と、断熱材62と、ヒータ63と、放射板64と、反射板65と、プレート66とを有する。
【0021】
区画部材61は、蓋体14の上に設置される。区画部材61は、処理容器10の下端の開口が蓋体14により気密に塞がれた状態において、処理容器10の内部に位置する。区画部材61は、例えば石英により形成される。区画部材61は、内壁部61aと、外壁部61bと、天壁部61cと、フランジ部61dとを含む。
【0022】
内壁部61aは、軸部17aの周囲に設けられる。内壁部61aは、円筒形状を有する。内壁部61aの下端は、Oリング等のシール部材67を介して蓋体14の上に設置される。内壁部61aの内面と軸部17aの外面との間には、狭空間B1が設けられる。狭空間B1には、パージガス源PGからパージガスが供給される。パージガスは、処理容器10の下側から上側に向けて供給される。パージガスは、内管11内に吐出された処理ガスが回転機構16に流入することを抑制する。パージガスは、例えば窒素ガスである。
【0023】
外壁部61bは、内壁部61aの周囲に設けられる。外壁部61bは、円筒形状を有する。外壁部61bは、内壁部61aと同軸状に設けられる。外壁部61bの下端は、蓋体14の上に設置される。
【0024】
天壁部61cは、内壁部61aの上端と外壁部61bの上端とを接続し、内壁部61aと外壁部61bとの間の空間の上部を塞ぐ。天壁部61cは、円環板状を有する。天壁部61cは、蓋体14、内壁部61a及び外壁部61bと共に、処理容器10の内部の第1空間A1に対して区画された第2空間A2を形成する。第1空間A1は、大気雰囲気と真空雰囲気との間で切り替えられる。第2空間A2は、処理容器10の外部の環境である。第2空間A2は、例えば大気雰囲気又は不活性ガス雰囲気に維持される。不活性ガスは、例えば窒素ガスである。天壁部61cは、載置部17bに対して隙間をあけて対向する。
【0025】
フランジ部61dは、外壁部61bの下部から外側に向けて延びる。フランジ部61dの外縁の上面と外管12の下端との間には、Oリング等のシール部材68が設けられる。この場合、フランジ部61dの外縁の上面と外管12の下端との間の隙間が気密にシールされる。
【0026】
断熱材62は、第2空間A2に設けられる。断熱材62は、例えば蓋体14の上に設置される。断熱材62は、処理容器10の下端の開口からの放熱を抑制する。断熱材62は、繊維系断熱材を円筒状に成型した構造を有する。断熱材62は、石英、炭化珪素等からなる断熱プレートを水平姿勢で上下方向に間隔をあけて積層した構造を有してもよい。
【0027】
ヒータ63は、天板ヒータ63aと、外側円筒ヒータ63bと、インジェクタヒータ63cとを含む。ヒータ63は、更に別のヒータを含んでもよい。
【0028】
天板ヒータ63aは、天壁部61cと断熱材62との間に設けられる。天板ヒータ63aを設けることで、処理容器10内において上下方向の均熱長が向上する。天板ヒータ63aは、例えば円環板状を有する。天板ヒータ63aは、例えばカーボン系ヒータであってよい。この場合、昇降温特性を良くし温度リカバリ時間を短縮できる。天板ヒータ63aはカーボン系ヒータ以外であってもよい。第2空間A2は第1空間A1に対して区画された空間であるため、シースヒータやカンタル線ヒータなど、安価なヒータを用いることができる。この場合、カーボン系ヒータに比べて大幅にコストを削減できる。
【0029】
外側円筒ヒータ63bは、外壁部61bと断熱材62との間に設けられる。外側円筒ヒータ63bは、外壁部61bを加熱する。これにより、外壁部61bの表面に副生成物が付着することを抑制できる。外側円筒ヒータ63bは、例えば円筒形状を有し、蓋体14の上に設置される。外側円筒ヒータ63bは、例えばシースヒータであってよい。この場合、遠赤外線が発せられるため、石英により形成される外壁部61bが加熱されやすい。
【0030】
インジェクタヒータ63cは、外壁部61bと断熱材62との間に設けられる。インジェクタヒータ63cは、上下方向に沿って延びる棒状を有する。インジェクタヒータ63cは、例えば処理容器10の周方向におけるガスインジェクタ31と同じ角度位置に設けられる。この場合、各ガス吐出孔31hから吐出される前に処理ガスを加熱できるので、基板保持具18の下部に保持される基板Wに向けて吐出される処理ガスの温度が低くなることを抑制できる。
【0031】
放射板64は、天壁部61cと天板ヒータ63aとの間に設けられる。放射板64は、基板W側からの輻射を下側に放熱する前に吸収し、基板W側に放射する。これにより、基板Wを効率よく加熱できる。放射板64は、例えばアルミナ、炭化珪素により形成される。この場合、放射板64の放射率が高くなるため、基板Wの加熱効率が向上する。
【0032】
反射板65は、断熱材62と天板ヒータ63aとの間に設けられる。反射板65は、天板ヒータ63aの下側への余計な輻射を反射して天板ヒータ63aの加熱性能を向上させる。反射板65は、例えば金メッキ板により形成される。金メッキ板は、高反射率であるため、天板ヒータ63aの下側への余計な輻射を効率よく反射できる。金メッキ板は、化学的に安定であることから、劣化を抑制しやすい。
【0033】
プレート66は、天壁部61cの上に設置される。プレート66は、例えば石英により形成される。プレート66は、処理容器10の軸方向からの平面視において、排気口11f側に開口するC字形状を有する。これにより、支持部17の下面と区画部材61の上面との間に、処理容器10の周方向において、少なくとも排気口11fが設けられる角度位置を含む第1隙間G1と、第1隙間G1を除く角度位置に設けられる第2隙間G2とが形成される。
【0034】
第1隙間G1は、第2隙間G2よりも広い。この場合、狭空間B1に供給されるパージガスが第1隙間G1を通って排気口11fに誘導される。このため、狭空間B1に供給されるパージガスが基板保持具18まで流れ込むことを抑制でき、基板保持具18に保持された基板Wに対する熱処理への影響を低減できる。その結果、熱処理の均一性を高めることができる。
【0035】
排気口11fは、少なくとも第1隙間G1と同じ高さ位置を含んで設けられることが好ましい。この場合、第1隙間G1を通過したパージガスが排気口11fに誘導されやすい。また、排気口11fは、内管11の第1円筒部11aから第2円筒部11cの上端近傍まで延びるように形成されている。内管11の下方は拡径部11bにより第2内径が第1内径よりも大きく形成されているため、第1隙間G1および第2隙間G2を通過したパージガスは基板保持具18まで流れ込みにくい。すなわち、内管11の内面と載置部17bの外周面との距離は内管11の内面と区画部材61の外壁部61bとの距離より十分に小さい。このため、パージガスは内管11と区画部材61の外壁部61bとの間の空間に流れ、拡径部11bおよび第2円筒部11cに形成された排気口11fに誘導される。その結果、パージガスが基板保持具18まで流れ込むことを抑制でき、基板保持具18に保持された基板Wに対する熱処理への影響を低減できる。
【0036】
なお、第1実施形態では、排気口11fが内管11の第1円筒部11aから第2円筒部11cの上端近傍まで延びる例を説明したが、これに限定されない。排気口11fは内管11の第1円筒部11aから拡径部11bの途中まで延びる構成であってもよい。少なくとも拡径部11bの途中まで排気口11fが形成されていれば、同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
蓋体14は、供給口14aと、排気口14bとを有する。供給口14aは、第2空間A2に温調流体を供給するための開口である。排気口14bは、第2空間A2から温調流体を排気するための開口である。
【0038】
供給口14aには、供給配管71が接続される。供給配管71には、上流側から順に供給源72、バルブ73、流量制御器74、温調器75、バルブ76が設けられる。供給源72は、温調流体の供給源である。温調流体は、例えばエア、窒素等の冷媒である。温調流体は、熱媒であってもよい。バルブ73は、供給配管71内の流路を開閉する。流量制御器74は、供給配管71内を流れる温調流体の流量を制御する。流量制御器74は、例えばマスフローコントローラ(MFC)である。温調器75は、供給配管71内を流れる温調流体の温度を調整する。温調器75は、例えばエアクーラを含む。温調器75は、冷凍機を含んでもよい。バルブ76は、供給配管71内の流路を開閉する。
【0039】
排気口14bには、排気配管81が接続される。排気配管81は、一端が排気口14bに接続され、他端がローディング室における排気ダクト83の近傍に位置する。排気配管81は、他端が排気ダクト83に直接接続されてもよい。
【0040】
ローディング室は、処理容器10の下方に位置する。ローディング室には、ファンフィルタユニット(FFU)82と、排気ダクト83とが設けられる。ファンフィルタユニット82は、ローディング室に清浄気体を供給する。排気ダクト83は、ファンフィルタユニット82と対向して配置される。排気ダクト83は、ローディング室に供給された清浄気体を吸引する。これにより、ローディング室が清浄雰囲気に維持される。ローディング室では、処理対象の基板Wが基板保持具18に搬入される。ローディング室では、処理済みの基板Wが基板保持具18から搬出される。
【0041】
排気配管81の途中には、フィルタ84が設けられる。フィルタ84は、温調流体に含まれる不純物を取り除く。これにより、第2空間A2からローディング室内に不純物が持ち込まれることを防止できる。不純物は、例えば第2空間A2に設けられる部品が加熱されて熱膨張することで発生するパーティクルを含む。
【0042】
排気ダクト83の下流側は、例えばファンフィルタユニット82に接続される。この場合、清浄気体を循環利用できる。排気ダクト83とファンフィルタユニット82との間には、熱交換器85及びフィルタ86が設けられる。熱交換器85は、例えばラジエータであり、排気ダクト83から排気される清浄気体及び温調流体を冷却する。フィルタ86は、清浄気体及び温調流体に含まれる不純物を取り除く。
【0043】
制御部90は、例えば基板処理装置1の各部の動作を制御する。制御部90は、例えばコンピュータであってよい。また、基板処理装置1の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0044】
以上に説明したように、基板処理装置1によれば、蓋体14が、第2空間A2に温調流体を供給するための供給口14aと、第2空間A2から温調流体を排気するための排気口14bとを有する。この場合、供給口14aから第2空間A2に継続して冷媒を供給しながら、第2空間A2において高温となった冷媒を排気口14bから排気できる。このため、断熱ユニット60の降温時間を短縮できる。その結果、処理済みの基板Wを搬出可能な温度に降温させるまでの待機時間が短くなる。また、供給口14aから第2空間A2に継続して熱媒を供給しながら、第2空間A2において低温となった熱媒を排気口14bから排気できる。このため、断熱ユニット60の昇温時間を短縮できる。その結果、処理対象の基板Wが処理可能な温度に昇温するまでの待機時間が短くなる。このように、基板処理装置1によれば、断熱ユニット60の昇降温時間を短縮できるので、生産性が向上する。
【0045】
また、基板処理装置1によれば、第2空間A2が断熱ユニット60によって第1空間A1に対して区画される。この場合、第1空間A1を処理圧力から大気圧に復帰させるステップや基板保持具18を処理容器10内から搬出するステップの実行中に、第2空間A2に冷媒を供給して第2空間A2を降温できる。このため、ダウンタイムを削減できる。
【0046】
また、基板処理装置1によれば、排気配管81の一端が排気口14bに接続され、排気配管81の他端がローディング室における排気ダクト83の近傍に位置する。この場合、第2空間A2の温調流体が排気ダクト83の近傍に排出される。このため、第2空間A2においてチャンバヒータ51、天板ヒータ63a、外側円筒ヒータ63b、インジェクタヒータ63c等により加熱されて高温になった冷媒を、排気ダクト83によって迅速に回収できる。これにより、ローディング室内が高温になることを抑制できる。その結果、ローディング室内の温度が、ローディング室内に設けられる樹脂部品や電気部品の耐熱温度を超えることを防止できる。
【0047】
〔第2実施形態〕
図5を参照し、第2実施形態に係る基板処理装置2について説明する。図5は、第2実施形態に係る基板処理装置2を示す断面図である。
【0048】
基板処理装置2は、主に排気配管81の他端がスカベンジャーSB内に位置する構成において、基板処理装置1と異なる。他の構成については、基板処理装置1と同様である。以下、基板処理装置1と異なる構成を中心に説明する。
【0049】
排気配管81は、一端が排気口14bに接続され、他端がスカベンジャーSB内に位置する。スカベンジャーSBは、ベースプレート52に取り付けられる。ベースプレート52は、ローディング室の天井を構成する。スカベンジャーSBは、処理容器10の下端の開口の周囲に設けられる。ベースプレート52には、スカベンジャーSBの内部雰囲気を排気する排気通路(図示せず)が接続され、処理容器10内の排気熱がローディング室内へ流れ込むことを防止する。排気通路は、例えば工場排気に接続される。排気通路は、スカベンジャーSBに接続されてもよい。
【0050】
以上に説明したように、基板処理装置2によれば、基板処理装置1と同様に、蓋体14が、第2空間A2に温調流体を供給するための供給口14aと、第2空間A2から温調流体を排気するための排気口14bとを有する。これにより、第1実施形態と同様に、断熱ユニット60の昇降温時間を短縮できるので、生産性が向上する。
【0051】
また、基板処理装置2によれば、基板処理装置1と同様に、第2空間A2が断熱ユニット60によって第1空間A1に対して区画される。これにより、第1実施形態と同様に、ダウンタイムを削減できる。
【0052】
また、基板処理装置2によれば、排気配管81の一端が排気口14bに接続され、排気配管81の他端がスカベンジャーSB内に位置する。この場合、第2空間A2の温調流体がスカベンジャーSBに接続される排気通路を介して工場排気に排出される。このため、第2空間A2においてチャンバヒータ51、天板ヒータ63a、外側円筒ヒータ63b、インジェクタヒータ63c等により加熱されて高温になった冷媒がローディング室内に流れ込むことを抑制できる。これにより、ローディング室内が高温になることを抑制できる。その結果、ローディング室内の温度が、ローディング室内に設けられる樹脂部品や電気部品の耐熱温度を超えることを防止できる。
【0053】
〔第3実施形態〕
図6を参照し、第3実施形態に係る基板処理装置3について説明する。図6は、第3実施形態に係る基板処理装置3を示す断面図である。
【0054】
基板処理装置3は、主に排気配管81の他端がヒータ室HRに位置する構成において、基板処理装置1と異なる。他の構成については、基板処理装置1と同様である。以下、基板処理装置1と異なる構成を中心に説明する。
【0055】
排気配管81は、一端が排気口14bに接続され、他端がヒータ室HR内に位置する。ヒータ室HRは、外管12、チャンバヒータ51及びベースプレート52によって規定される空間である。ヒータ室HRは、ローディング室の上方であって、外管12とチャンバヒータ51との間に位置する。ヒータ室HRには、内部雰囲気を排気する排気通路(図示せず)が接続される。排気通路は、例えば工場排気に接続される。
【0056】
以上に説明したように、基板処理装置3によれば、基板処理装置1と同様に、蓋体14が、第2空間A2に温調流体を供給するための供給口14aと、第2空間A2から温調流体を排気するための排気口14bとを有する。これにより、第1実施形態と同様に、断熱ユニット60の昇降温時間を短縮できるので、生産性が向上する。
【0057】
また、基板処理装置3によれば、基板処理装置1と同様に、第2空間A2が断熱ユニット60によって第1空間A1に対して区画される。これにより、第1実施形態と同様に、ダウンタイムを削減できる。
【0058】
また、基板処理装置3によれば、排気配管81の一端が排気口14bに接続され、排気配管81の他端がヒータ室HR内に位置する。この場合、第2空間A2の温調流体がヒータ室HRに接続される排気通路を介して工場排気に排出される。このため、第2空間A2においてチャンバヒータ51、天板ヒータ63a、外側円筒ヒータ63b、インジェクタヒータ63c等により加熱されて高温になった冷媒がローディング室内に流れ込むことを抑制できる。その結果、ローディング室内の温度が、ローディング室内に設けられる樹脂部品や電気部品の耐熱温度を超えることを防止できる。
【0059】
〔第4実施形態〕
図7を参照し、第4実施形態に係る基板処理装置4について説明する。図7は、第4実施形態に係る基板処理装置4を示す断面図である。
【0060】
基板処理装置4は、主に排気配管81の他端が排気配管EPに接続される構成において、基板処理装置1と異なる。他の構成については、基板処理装置1と同様である。以下、基板処理装置1と異なる構成を中心に説明する。
【0061】
排気配管81は、一端が排気口14bに接続され、他端が排気配管EPに接続される。この場合、第2空間A2は、排気配管EPに接続される真空ポンプVPによって真空状態に減圧可能である。
【0062】
以上に説明したように、基板処理装置4によれば、基板処理装置1と同様に、蓋体14が、第2空間A2に温調流体を供給するための供給口14aと、第2空間A2から温調流体を排気するための排気口14bとを有する。これにより、第1実施形態と同様に、断熱ユニット60の昇降温時間を短縮できるので、生産性が向上する。
【0063】
また、基板処理装置4によれば、基板処理装置1と同様に、第2空間A2が断熱ユニット60によって第1空間A1に対して区画される。これにより、第1実施形態と同様に、ダウンタイムを削減できる。
【0064】
また、基板処理装置4によれば、排気配管81の一端が排気口14bに接続され、排気配管81の他端が排気配管EPに接続される。この場合、排気配管EPに接続される真空ポンプVPによって第2空間A2内を減圧できるので、第2空間A2内における対流が抑制されて断熱性能が向上する。また、第1空間A1と第2空間A2との間の圧力差が小さくなるので、区画部材61に求められる強度が低くなる。このため、区画部材61の厚みを薄くできる。その結果、区画部材61の熱容量が小さくなり、断熱ユニット60の昇降温時間を短縮できる。
【0065】
なお、排気配管81は、他端が排気配管EPとは別の排気配管に接続され、該排気配管に接続される真空ポンプによって減圧可能であってもよい。
【0066】
〔第5実施形態〕
図8を参照し、第5実施形態に係る基板処理装置5について説明する。図8は、第5実施形態に係る基板処理装置5を示す断面図である。
【0067】
基板処理装置5は、主に断熱ユニット60が、供給口14aから第2空間A2に供給される温調流体を第2空間A2の上方に導くガイド部材69を有する構成において、基板処理装置1と異なる。他の構成については、基板処理装置1と同様である。以下、基板処理装置1と異なる構成を中心に説明する。
【0068】
ガイド部材69は、第2空間A2に設けられる。ガイド部材69は、供給口14aから第2空間A2に供給される温調流体を第2空間A2の上方に導く。ガイド部材69は、例えば断熱材62と外側円筒ヒータ63bとの間で鉛直に延びる管状を有する。ガイド部材69の下端は、供給口14aの近傍に位置する。ガイド部材69の下端は、供給口14aに接続されてもよい。ガイド部材69の上端は、第2空間A2の上部に位置する。ガイド部材69の上端は、例えば断熱材62の上面と反射板65の下面との間の高さに位置する。
【0069】
以上に説明したように、基板処理装置5によれば、基板処理装置1と同様に、蓋体14が、第2空間A2に温調流体を供給するための供給口14aと、第2空間A2から温調流体を排気するための排気口14bとを有する。これにより、第1実施形態と同様に、断熱ユニット60の昇降温時間を短縮できるので、生産性が向上する。
【0070】
また、基板処理装置5によれば、基板処理装置1と同様に、第2空間A2が断熱ユニット60によって第1空間A1に対して区画される。これにより、第1実施形態と同様に、ダウンタイムを削減できる。
【0071】
また、基板処理装置5によれば、基板処理装置1と同様に、排気配管81の一端が排気口14bに接続され、排気配管81の他端がローディング室における排気ダクト83の近傍に位置する。これにより、ローディング室内の温度が、ローディング室内に設けられる樹脂部品や電気部品の耐熱温度を超えることを防止できる。
【0072】
また、基板処理装置5によれば、断熱ユニット60が、供給口14aから第2空間A2に供給される温調流体を第2空間A2の上方に導くガイド部材69を有する。この場合、供給口14aから第2空間A2に冷媒を供給することで、第2空間A2に供給された冷媒がガイド部材69を通って第2空間A2の上方に導かれる。これにより、断熱ユニット60の上方に設けられる基板保持具18に保持された基板Wを迅速に冷却できる。このため、処理済みの基板Wを搬出可能な温度に降温させるまでの待機時間が短くなる。
【0073】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、2、3、4、5 基板処理装置
10 処理容器
14 蓋体
14a 供給口
14b 排気口
18 基板保持具
60 断熱ユニット
61 区画部材
A1 第1空間
A2 第2空間
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8