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特開2024-140588樹脂組成物、成形品、および、ペレット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140588
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】樹脂組成物、成形品、および、ペレット
(51)【国際特許分類】
   C08L 25/12 20060101AFI20241003BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20241003BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08L25/12
C08L67/02
C08K7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051783
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】角 洋幸
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BC033
4J002BC061
4J002CF072
4J002CG003
4J002DE128
4J002DL006
4J002EU027
4J002FA046
4J002FD137
4J002FD138
(57)【要約】
【課題】 難燃性に優れ、かつ、高温下での高い機械的強度を有する成形品を提供可能な樹脂組成物、成形品、および、ペレットの提供。
【解決手段】 固有粘度(IV)が0.3~0.75dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂15~50質量部と、スチレン系樹脂50~85質量部の合計100質量部に対し、ガラス繊維を5~100質量部含み、さらに、難燃剤を含み、スチレン系樹脂の10質量%以上は、重量平均分子量(Mw)が400,000以下のアクリロニトリル-スチレン共重合体である、樹脂組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有粘度(IV)が0.3~0.75dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂15~50質量部と、スチレン系樹脂50~85質量部の合計100質量部に対し、
ガラス繊維を5~100質量部含み、
さらに、難燃剤を含み、
スチレン系樹脂の10質量%以上は、重量平均分子量(Mw)が400,000以下のアクリロニトリル-スチレン共重合体である、
樹脂組成物。
【請求項2】
前記難燃剤がハロゲン系難燃剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記難燃剤が臭素系難燃剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、ポリカーボネート樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、難燃助剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記難燃剤が臭素系難燃剤を含み、
さらに、ポリカーボネート樹脂を含み、
さらに、難燃助剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)が350,000未満である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)が200,000未満である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記難燃剤がハロゲン系難燃剤を含み、
前記難燃剤が臭素系難燃剤を含み、
さらに、ポリカーボネート樹脂を含み、
さらに、難燃助剤を含み、
前記アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)が200,000未満である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂組成物を1.6mm厚さの試験片に成形し、UL-94試験を行ったとき、V-0を満たす、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物のペレット。
【請求項13】
請求項12に記載のペレットから形成された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、成形品、および、ペレットに関する。特に、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂を主要成分として含む樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐薬品性および電気絶縁性等に優れることから、電気電子機器部品、自動車用内外装部品その他の電装部品、機械部品等に広く用いられている。
ここで、ポリブチレンテレフタレート樹脂から形成された成形品の低反り性、耐熱性および機械的強度を高めるために、スチレン系樹脂、特に、アクリロニトリル-スチレン共重合体を配合することが検討されている。具体的には、特許文献1には、(A)固有粘度(IV)が0.3~0.75dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を15~50質量部、(B)重量平均分子量(Mw)が200000以上のアクリロニトリル-スチレン共重合体を50~85質量部、(C)ガラス繊維を、前記(A)と(B)の合計100質量部に対し、5~100質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-186293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記樹脂組成物は、荷重たわみ温度が高く、反りが小さく、機械的強度にも優れているが、難燃性については検討されていない。また、用途等によっては、高温下に置かれたときの機械的強度が求められることがある。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、難燃性に優れ、かつ、高温下での高い機械的強度を有する成形品を提供可能な樹脂組成物、成形品、および、ペレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、スチレン系樹脂の少なくとも一部として、アクリロニトリル-スチレン共重合体を用い、さらに、アクリロニトリル-スチレン共重合体として、所定の分子量のものを用いることにより上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>固有粘度(IV)が0.3~0.75dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂15~50質量部と、スチレン系樹脂50~85質量部の合計100質量部に対し、ガラス繊維を5~100質量部含み、さらに、難燃剤を含み、スチレン系樹脂の10質量%以上は、重量平均分子量(Mw)が400,000以下のアクリロニトリル-スチレン共重合体である、樹脂組成物。
<2>前記難燃剤がハロゲン系難燃剤を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記難燃剤が臭素系難燃剤を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<4>さらに、ポリカーボネート樹脂を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>さらに、難燃助剤を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記難燃剤が臭素系難燃剤を含み、さらに、ポリカーボネート樹脂を含み、
さらに、難燃助剤を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)が350,000未満である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>前記アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)が200,000未満である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>前記難燃剤がハロゲン系難燃剤を含み、前記難燃剤が臭素系難燃剤を含み、さらに、ポリカーボネート樹脂を含み、さらに、難燃助剤を含み、前記アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)が200,000未満である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10>前記樹脂組成物を1.6mm厚さの試験片に成形し、UL-94試験を行ったとき、V-0を満たす、<1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<11><1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
<12><1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物のペレット。
<13><12>に記載のペレットから形成された成形品。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、難燃性に優れ、かつ、高温下での高い機械的強度を有する成形品を提供可能な樹脂組成物、成形品、および、ペレットを提供可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
【0008】
本実施形態の樹脂組成物は、固有粘度(IV)が0.3~0.75dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂15~50質量部と、スチレン系樹脂50~85質量部の合計100質量部に対し、ガラス繊維を5~100質量部含み、さらに、難燃剤を含み、
スチレン系樹脂の10質量%以上は、重量平均分子量(Mw)が400,000以下のアクリロニトリル-スチレン共重合体であることを特徴とする。このような構成とすることにより、難燃性に優れ、かつ、高温下での高い機械的強度を有する成形品を提供可能な樹脂組成物になる。さらに、反りが小さい成形品を提供可能な樹脂組成物が得られる。また、寸法安定性に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物が得られる。また、荷重たわみ温度も高いレベルを維持できる。
難燃性に優れ、かつ、高温下での高い機械的強度を有する成形品を提供可能な樹脂組成物は、所定の分子量アクリロニトリル-スチレン共重合体を用いることにより、高温での機械特性等がよくなる傾向にあると推測される。
【0009】
<ポリブチレンテレフタレート樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、固有粘度(IV)が0.3~0.75dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を含有する。固有粘度(IV)が0.3~0.75dL/gの範囲にあるものを用いることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂の特性が強く顕れ高い耐熱性と低ソリ性に優れ、また、機械的強度や耐薬品性にも優れた樹脂組成物となる。 固有粘度(IV)が0.3dL/gより低いものを用いると、ポリブチレンテレフタレートの耐熱性が発現しないことに加え、機械的強度の低いものとなりやすい。また、0.75dL/gより高いものでは、前記した海島構造は形成しにくくなり、アクリロニトリル-スチレン共重合体が海となりやすく、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化したりしやすい。固有粘度(IV)は、好ましくは0.4dL/g以上、より好ましくは0.5dL/g以上、さらには0.55dL/g以上が好ましく、特には0.6dL/g以上が好ましく、また、好ましくは0.72dL/g以下である。
【0010】
固有粘度は以下の方法で測定される。
フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒中に、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットを、濃度が1.00g/dLとなるように110℃で1時間攪拌して溶解させる。その後、30℃まで冷却する。全自動溶液粘度計にて、30℃で試料溶液の落下秒数、溶媒のみの落下秒数をそれぞれ測定し、式により固有粘度を算出する。
固有粘度=((1+4KHηsp0.5-1)/(2KHC)
ここで、ηsp=η/η0-1であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
全自動溶液粘度計は、柴山科学社製のものを用いる。
本実施形態の樹脂組成物がポリブチレンテレフタレート樹脂を2種以上含む場合は、混合物の固有粘度とする。
【0011】
本実施形態の樹脂組成物に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位および1,4-ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位および1,4-ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーとポリブチレンテレフタレート共重合体との混合物を含む。
【0012】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を1種または2種以上含んでいてもよい。
他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ビス(4,4’-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4-シクロへキサンジカルボン酸、4,4’-ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位が全ジカルボン酸単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに一層好ましく、99モル%以上であってもよい。
【0013】
ジオール単位としては、1,4-ブタンジオールの外に1種または2種以上の他のジオール単位を含んでいてもよい。
他のジオール単位の具体例としては、炭素数2~20の脂肪族または脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類等が挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’-ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、1,4-ブタンジオール単位が全ジオール単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに一層好ましく、99モル%以上であってもよい。
【0014】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、上記した通り、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましい。また、カルボン酸単位として、前記テレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/またはジオール単位として、前記1,4-ブタンジオール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。ポリブチレンテレフタレート樹脂が、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類、特にはポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いることが好ましい。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂が共重合体である場合、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂全単位中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が、好ましくは2モル%以上50モル%未満、より好ましくは3~40モル%、さらに好ましくは5~20モル%である。このような共重合割合とすることにより、成形収縮率が小さくおよび耐衝撃性が高い成形品が得られるため好ましい。
【0015】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。上記上限値以下とすることにより、耐アルカリ性および耐加水分解性が向上する傾向にある。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、5eq/ton以上が好ましい。
【0016】
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lのベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
【0017】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分またはこれらのエステル誘導体と、1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式または連続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレフタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下または減圧下固相重合させることにより、重合度(または分子量)を所望の値まで高めることもできる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式やバッチ式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
【0018】
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等を挙げることができる。
【0019】
本実施形態の樹脂組成物におけるポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、樹脂組成物中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、用途等に応じて、25質量%以下、20質量%以下であってもよい。
【0020】
<スチレン系樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、スチレン系樹脂を含み、スチレン系樹脂の10質量%以上は、重量平均分子量(Mw)が400,000以下のアクリロニトリル-スチレン共重合体である。このようなアクリロニトリル-スチレン共重合体を含むことにより、難燃性が向上し、さらに高温下でも高い機械的強度を達成できる。
【0021】
スチレン系樹脂とは、スチレン系樹脂を構成する単量体のうち、50質量%以上がスチレン系単量体であることをいう。スチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、スチレン、α-メチルスチレンがより好ましく、特にスチレンが好ましい。
また、スチレン系樹脂を構成する単量体のうち、スチレン系単量体以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β-不飽和カルボン酸およびその無水物、ブタジエン等のゴムが挙げられる。
【0022】
本実施形態の樹脂組成物は、スチレン系樹脂のうち、重量平均分子量(Mw)が400,000以下のアクリロニトリル-スチレン共重合体の占める割合が10質量%以上であり、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが一層好ましく、50質量%以上であることがより一層好ましく、60質量%以上であることがさらに一層好ましく、70質量%以上であることがよりさらに一層好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。スチレン系樹脂のうち、重量平均分子量(Mw)が400,000以下のアクリロニトリル-スチレン共重合体の占める割合の上限は100質量%以下である。
【0023】
アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、350,000未満であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましく、250,000以下であることがさらに好ましく、200,000未満であることが一層好ましく、用途等に応じて、160,000以下であってもよい。また、アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)の下限値は、10,000以上であることが好ましく、50,000以上であることがより好ましく、80,000以上であることがさらに好ましく、用途等に応じて、100,000以上であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物が、アクリロニトリル-スチレン共重合体を2種以上含む場合、混合物の重量平均分子量(Mw)とする。
なお、本発明において、アクリロニトリル-スチレン共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法を用いて、ポリスチレン換算によって算出できる。
【0024】
アクリロニトリル-スチレン共重合体は、アクリロニトリルとスチレン系単量体との共重合体であり、さらに他の共重合可能な単量体を共重合した共重合体であってもよい。
【0025】
アクリロニトリル-スチレン共重合体を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、スチレン、α-メチルスチレンがより好ましく、特にスチレンが好ましい。
【0026】
スチレン系単量体とアクリロニトリル以外の他の共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β-不飽和カルボン酸およびその無水物が挙げられる。
これらの中では(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく挙げられ、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、特にメチルメタクリレートを挙げることができる。
なお、(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記はメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれをも含むことを示す。
【0027】
アクリロニトリル-スチレン共重合体を製造する方法は、制限はなく公知の方法が採用でき、例えば、塊状重合、乳化重合、溶液重合、懸濁重合等の方法が用いられる。
【0028】
アクリロニトリル-スチレン共重合体中のアクリロニトリル単量体由来単位の比率は、10~35質量%の範囲にあることが好ましく、15~35質量%がより好ましく、15~30質量%がさらに好ましい。また、スチレン系単量体に由来する単位の比率は、65~90質量%が好ましく、より好ましくは65~85質量%、さらには70~85質量%が好ましい。
【0029】
アクリロニトリル-スチレン共重合体は、スチレン系単量体単位とアクリロニトリル単量体単位の合計が全単量体単位の90質量%以上を占めることが好ましく、特にAS樹脂とも呼ばれるアクリロニトリル-スチレン樹脂が好ましい。
【0030】
<ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂のブレンド比>
本実施形態においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部中、スチレン系樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体)が、50質量部以上であり、55質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、低そり性がより向上する傾向にある。また、前記スチレン系樹脂の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、85質量部以下であり、80質量部以下であることが好ましく、75質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0031】
本実施形態の樹脂組成物におけるポリブチレンテレフタレート樹脂およびスチレン系樹脂の合計含有量は、樹脂組成物100質量%中、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、樹脂の流動性がより向上する傾向にある。また、本実施形態の樹脂組成物におけるポリブチレンテレフタレート樹脂およびスチレン系樹脂の合計含有量は、樹脂組成物100質量%中、65質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、機械的強度がより向上する傾向にある。また、得られる成形品の軽量化も図ることができる。
【0032】
本実施形態の樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびスチレン系樹脂を、それぞれ、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0033】
<ガラス繊維>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対しガラス繊維を5~100質量部の割合で含む。ガラス繊維を含むことにより、得られる成形品の機械的強度が向上する。
ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Rガラス、Dガラス、Mガラス、Sガラスなどのガラス組成から選択され、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。
ガラス繊維は、長さ方向に直角に切断した断面形状が真円状または多角形状の繊維状の材料をいう。ガラス繊維は、単繊維の数平均繊維径が通常1~25μm、好ましくは5~17μmである。数平均繊維径を1μm以上とすることにより、樹脂組成物の成形加工性がより向上する傾向にある。数平均繊維径を25μm以下とすることにより、得られる構造体の外観が向上し、補強効果も向上する傾向にある。ガラス繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取ったガラスロービング、長さ1~10mmに切りそろえたチョップドストランド(すなわち、数平均繊維長1~10mmのガラス繊維)、長さ10~500μm程度に粉砕したミルドファイバー(すなわち、数平均繊維長10~500μmのガラス繊維)などのいずれであってもよいが、長さ1~10mmに切りそろえたチョップドストランドが好ましい。ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
また、ガラス繊維としては、異形断面形状を有するものも好ましい。この異形断面形状とは、繊維の長さ方向に直角な断面の長径/短径比で示される扁平率が、例えば、1.5~10であり、中でも2.5~10、さらには2.5~8、特に2.5~5であることが好ましい。
【0034】
ガラス繊維は、本実施形態における樹脂組成物の特性を大きく損なわない限り、樹脂成分との親和性を向上させるために、例えば、シラン系化合物、エポキシ系化合物、ウレタン系化合物などで表面処理したもの、酸化処理したものであってもよい。
【0035】
本実施形態の樹脂組成物における、ガラス繊維の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、5質量部以上であり、15質量部以上であることが好ましく、35質量部以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、剛性や耐熱性の向上および成形時収縮の低減と異方性の低減効果がより向上する傾向にある。また、前記ガラス繊維の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、100質量部以下であり、80質量部以下であることが好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形品の表面外観の良化する傾向にある。
【0036】
本実施形態の樹脂組成物における、ガラス繊維の含有量は、樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形品の表面外観の良化する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物はガラス繊維を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0037】
<難燃剤>
本実施形態の樹脂組成物は難燃剤を含む。難燃剤を含むことにより、難燃性を達成できる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤(ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン等)、窒素系難燃剤(シアヌル酸メラミン等)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム等)等があるが、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤が好ましく、ハロゲン系難燃剤がより好ましい。リン系難燃剤としては、ホスフィン酸金属塩がより好ましい。ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤がより好ましい。
【0038】
難燃剤として臭素系難燃剤を用いる場合、その種類は特に定めるものではないが、臭素化フタルイミド、臭素化ポリ(メタ)アクリレート、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ、および、臭素化ポリスチレンが好ましく、臭素化フタルイミド、臭素化ポリカーボネートおよび臭素化エポキシがより好ましく、臭素化フタルイミドおよび臭素化エポキシがさらに好ましく、臭素化フタルイミドが一層好ましい。
【0039】
臭素化フタルイミドとしては、式(1)で表されるものが好ましい。
【化1】
(式(1)中、Dは、アルキレン基、アリーレン基、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の2つ以上の組み合わせからなる基を表す。iは1~4の整数である。)
【0040】
式(1)において、Dは、アルキレン基、アリーレン基、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の2つ以上の組み合わせからなる基を表し、アルキレン基またはアリーレン基と、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の少なくとも1つとの組み合わせからなる基が好ましく、アルキレン基またはアリーレン基と、-S(=O)2-、-C(=O)-、および、-O-の1つとの組み合わせからなる基がより好ましく、アルキレン基がさらに好ましい。
アルキレン基と-O-との組み合わせからなる基としては、例えば、2つのアルキレン基と1つの-O-といった組み合わせも含む趣旨である(他の組み合わせについても同じ。)。
Dとしてのアルキレン基は、炭素数1~6のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基がより好ましい。アリーレン基は、フェニレン基が好ましい。
iは1~4の整数であり、4であることが好ましい。
【0041】
式(1)で示される臭素化フタルイミドとしては、例えば、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)エタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)プロパン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ブタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0042】
臭素化フタルイミドとしては、式(1)は、式(2)で表される臭素化フタルイミドであることが好ましい。
【化2】
(式(2)中、iは1~4の整数である。)
iは1~4の整数であり、4であることが好ましい。
【0043】
臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、あるいは、他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましく、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
【0044】
臭素原子を含有するベンジルアクリレートとしては、ペンタブロムベンジルアクリレート、テトラブロムベンジルアクリレート、トリブロムベンジルアクリレート、またはそれらの混合物等が挙げられる。また、臭素原子を含有するベンジルメタクリレートとしては、上記したアクリレートに対応するメタクリレートが挙げられる。
【0045】
臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートと共重合させるために使用される他のビニル系モノマーとしては、具体的には、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレートのようなアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類;スチレン、アクリロニトリル、フマル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸またはその無水物;酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。
【0046】
これらは通常、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートに対して等モル量以下、中でも0.5倍モル量以下が用いることが好ましい。
【0047】
また、ビニル系モノマーとしては、キシレンジアクリレート、キシレンジメタクリレート、テトラブロムキシレンジアクリレート、テトラブロムキシレンジメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン等を使用することもでき、これらは通常、臭素原子を含有するベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートに対し、0.5倍モル量以下が使用できる。
【0048】
臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、臭素原子を含有する(メタ)アクリレートモノマー、特にベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、もしくは他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましい。また、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
【0049】
臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、ペンタブロモベンジルポリ(メタ)アクリレートが、高臭素含有量であることから好ましい。
【0050】
臭素化ポリ(メタ)アクリレートの分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、重量平均分子量(Mw)で、3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、15,000以上であることがさらに好ましく、20,000以上であることが一層好ましく、25,000以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い機械的強度を有する成形品が得られる傾向にある。また、前記重量平均分子量(Mw)の上限は、100,000以下であることが好ましく、80,000以下であることがより好ましく、60,000以下であることがさらに好ましく、50,000以下であることが一層好ましく、35,000以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の流動性がより向上する傾向にある。
【0051】
臭素化ポリカーボネートは、遊離臭素含有量が0.05質量%以上であることが好ましく、また、0.20質量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、樹脂組成物の耐熱安定性がより向上する傾向にある。臭素化ポリカーボネートは、また、塩素原子含有量が0.001質量%以上であることが好ましく、また、0.20質量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、成形の際の耐金型腐食性がより向上する傾向にある。
臭素化ポリカーボネートとしては、具体的には例えば、臭素化ビスフェノールA、特にテトラブロモビスフェノールAから得られる、臭素化ポリカーボネートであることが好ましい。その末端構造は、フェニル基、4-t-ブチルフェニル基や2,4,6-トリブロモフェニル基等が挙げられ、特に、末端基構造に2,4,6-トリブロモフェニル基を有するものが好ましい。
【0052】
臭素化ポリカーボネートにおける、カーボネート構成単位数の平均は適宜選択して決定すればよいが、2~30であることが好ましく、3~15であることがより好ましく、3~10であることがさらに好ましい。
【0053】
臭素化ポリカーボネートの分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、好ましくは、粘度平均分子量で1,000~20,000、中でも2,000~10,000であることがより好ましい。
【0054】
上記臭素化ビスフェノールAから得られる臭素化ポリカーボネートは、例えば、臭素化ビスフェノールとホスゲンとを反応させる通常の方法で得ることができる。末端封鎖剤としては芳香族モノヒドロキシ化合物が挙げられ、これはハロゲンまたは有機基で置換されていてもよい。
【0055】
臭素化エポキシとしては、具体的には、テトラブロモビスフェノールAエポキシ化合物や、グリシジル臭素化ビスフェノールAエポキシ化合物に代表されるビスフェノールA型ブロモ化エポキシ化合物が好ましく挙げられる。
【0056】
臭素化エポキシ化合物の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、重量平均分子量(Mw)で、3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましく、15,000以上であることが一層好ましく、18,000以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い機械的強度を有する成形品が得られる傾向にある。また、前記重量平均分子量(Mw)の上限は、100,000以下であることが好ましく、80,000以下であることがより好ましく、78,000以下であることがさらに好ましく、75,000以下であることが一層好ましく、70,000以下であることがより一層好ましく、さらには、50,000以下、30,000以下、25,000以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の流動性がより向上する傾向にある。
臭素化エポキシ化合物は、そのエポキシ当量が3,000~40,000g/eqであることが好ましく、中でも4,000~35,000g/eqが好ましく、特に10,000~30,000g/eqであることが好ましい。
【0057】
また、臭素化エポキシとして臭素化エポキシオリゴマーを併用することもできる。この際、例えばMwが5,000以下のオリゴマーを50質量%程度以下の割合で用いることで、難燃性、離型性および流動性を適宜調整することができる。臭素化エポキシ化合物における臭素原子含有量は任意だが、十分な難燃性を付与する上で、通常10質量%以上であり、中でも20質量%以上、特に30質量%以上であることが好ましく、その上限は60質量%、中でも55質量%以下であることが好ましい。
【0058】
臭素化ポリスチレンとしては、好ましくは、式(3)で示される構成単位を含有する臭素化ポリスチレンが挙げられる。
【化3】
(式(3)中、tは1~5の整数であり、nは構成単位の数である。)
【0059】
臭素化ポリスチレンとしては、ポリスチレンを臭素化するか、または、臭素化スチレンモノマーを重合することによって製造するかのいずれであってもよいが、臭素化スチレンを重合したものは遊離の臭素(原子)の量が少ないので好ましい。なお、式(3)において、臭素化ベンゼンが結合したCH基はメチル基で置換されていてもよい。また、臭素化ポリスチレンは、他のビニル系モノマーが共重合された共重合体であってもよい。この場合のビニル系モノマーとしてはスチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、ブタジエンおよび酢酸ビニル等が挙げられる。また、臭素化ポリスチレンは単一物あるいは構造の異なる2種以上の混合物として用いてもよく、単一分子鎖中に臭素数の異なるスチレンモノマー由来の単位を含有していてもよい。
【0060】
臭素化ポリスチレンの具体例としては、例えば、ポリ(4-ブロモスチレン)、ポリ(2-ブロモスチレン)、ポリ(3-ブロモスチレン)、ポリ(2,4-ジブロモスチレン)、ポリ(2,6-ジブロモスチレン)、ポリ(2,5-ジブロモスチレン)、ポリ(3,5-ジブロモスチレン)、ポリ(2,4,6-トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5-トリブロモスチレン)、ポリ(2,3,5-トリブロモスチレン)、ポリ(4-ブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,4-ジブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,5-ジブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,4,6-トリブロモ-α-メチルスチレン)およびポリ(2,4,5-トリブロモ-α-メチルスチレン)等が挙げられ、ポリ(2,4,6-トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5-トリブロモスチレン)および平均2~3個の臭素基をベンゼン環中に含有するポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレンが特に好ましく用いられる。
【0061】
臭素化ポリスチレンは、式(3)における構成単位の数n(平均重合度)が30~1,500であることが好ましく、より好ましくは150~1,000、特に300~800のものが好適である。平均重合度が30未満ではブルーミングが発生しやすく、一方、1,500を超えると、分散不良を生じやすく、機械的性質が低下しやすい。また、臭素化ポリスチレンの重量平均分子量(Mw)としては、5,000~500,000であることが好ましく、10,000~500,000であることがより好ましく、10,000~300,000であることがさらに好ましく、10,000~100,000であることが一層好ましく、10,000~70,000であることがより一層好ましい。特に、上記したポリスチレンの臭素化物の場合は、重量平均分子量(Mw)は50,000~70,000であることが好ましく、重合法による臭素化ポリスチレンの場合は、重量平均分子量(Mw)は10,000~30,000程度であることが好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
【0062】
臭素系難燃剤における臭素濃度は45質量%以上であることが好ましく、48質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形品の難燃性が効果的に向上する傾向にある。前記臭素濃度の上限値は、75質量%以下であることが好ましく、73質量%以下であることがより好ましく、71質量%以下であることがさらに好ましく、65質量%以下であってもよい。
【0063】
難燃剤としてホスフィン酸金属塩を用いる場合、その種類は特に定めるものではないが、ホスフィン酸金属塩とは、アニオン部分が式(4)または式(5)で表され、カチオン部分の金属イオンがカルシウム、マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛のいずれかであることが好ましい。
【0064】
【化4】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、R1同士は同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数2~10のアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、またはこれらの組み合わせからなる基を表し、R3同士は同一でも異なっていてもよく、nは0~2の整数を表す。)
置換基を有していてもよいアリール基は、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。置換基を有する場合、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。また、無置換であることも好ましい。
前記置換基を有していてもよいアリーレン基は、置換基を有していてもよいフェニレン基であることが好ましい。前記置換基を有していてもよいアリーレン基は、無置換であるか、置換基として炭素数1~3のアルキル基(好ましくはメチル基)を有することが好ましい。
本実施形態では、式(5)で表されるホスフィン酸金属塩が好ましい。また、本実施形態では、ホスフィン酸アルミニウムが好ましい。
【0065】
ホスフィン酸金属塩としての具体例は、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル-n-プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル-n-プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン-1,4-ビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
ホスフィン酸金属塩の詳細は、国際公開第2010/010669号の段落0052~0058の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0066】
本実施形態の樹脂組成物における難燃剤(好ましくは臭素系難燃剤)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、下限値が1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、7質量部以上であることが一層好ましく、10質量部以上であることがより一層好ましく、14質量部以上であることがさらに一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の難燃性がより向上する傾向にある。前記難燃剤の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部以下であることが一層好ましく、22質量部以下であることがより一層好ましく、20質量部以下であることがさらに一層好ましく、19質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の機械的強度の低下をより効果的に抑制できる。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0067】
<難燃助剤>
本実施形態の樹脂組成物は、難燃助剤を含んでいてもよい。難燃助剤を含むことにより、成形品の難燃性をより向上させることができる。難燃助剤は、ハロゲン系難燃剤を含む場合に特に好ましく用いられる。本実施形態で用いる難燃助剤は、アンチモン化合物が例示され、三酸化アンチモン(Sb23)、五酸化アンチモン(Sb25)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、耐衝撃性の点から酸化アンチモン、特に、三酸化アンチモンが好ましい。
難燃助剤を配合する場合、マスターバッチとして配合してもよい。マスターバッチ中のアンチモン化合物の含有量は、好ましくは30~90質量%であり、より好ましくは40~85質量%、さらに好ましくは50~85質量%である。マスターバッチに用いる樹脂は、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリブチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。
【0068】
本実施形態の樹脂組成物が、難燃助剤(例えば、アンチモン化合物)を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましく、2.0質量部以上であることがさらに好ましく、3.0質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃性がより効果的に発揮される傾向にある。また、前記アンチモン化合物の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、20.0質量部以下であることが好ましく、15.0質量部以下であることがより好ましく、10.0質量部以下であることがさらに好ましよい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の離型性や耐衝撃性が向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃助剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0069】
<滴下防止剤>
本実施形態の樹脂組成物には、滴下防止剤を含有させることも可能である。滴下防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、フィブリル形成能を有し、樹脂組成物中に容易に分散し、かつ樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものが好ましい。
滴下防止剤の含有割合は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましい。滴下防止剤を0.1質量部以上とすることにより、難燃性がより十分な効果を奏し、20質量部以下とすることにより、得られる成形品の外観が向上する傾向にある。滴下防止剤の含有割合は、より好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、10質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以下であり、一層好ましくは3質量部以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、滴下防止剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0070】
<ポリカーボネート樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を含んでいてもよい。本実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂との相溶化剤として機能する。従って、本実施形態の樹脂組成物が他の相溶化剤を含む場合等は、必ずしも必須成分ではない。
なお、本明細書において、臭素化ポリカーボネートは、難燃剤とする。
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい単独重合体または共重合体である。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。
【0071】
原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、ビスフェノールがより好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4-ジヒドロキシジフェニル等がさらに好ましく、ビスフェノールAが一層好ましい。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
【0072】
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂)、または、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。さらには、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
【0073】
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m-およびp-メチルフェノール、m-およびp-プロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
【0074】
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましい。粘度平均分子量が5,000以上のものを用いることにより、得られる樹脂組成物の機械的強度がより向上する傾向にある。また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましい。60,000以下のものを用いることにより、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性が向上する傾向にある。
ポリカーボネート樹脂を2種以上含む場合、混合物が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0075】
なお、本実施形態において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、20℃にて、ポリカーボネート樹脂のメチレンクロライド溶液の粘度を測定し固有粘度([η])を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値を示す。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
【0076】
ポリカーボネート樹脂のJIS K7210(温度300℃、荷重1.2kgf)に準拠して測定されるメルトボリュームレート(MVR)は、通常、1cm3/10分以上であり、3cm3/10分以上であることが好ましく、10cm3/10分以上であることがより好ましく、20cm3/10分以上であることがさらに好ましく、30cm3/10分以上であることが一層好ましく、40cm3/10分以上であることがより一層好ましく、50cm3/10分以上であることがさらに一層好ましく、55cm3/10分以上であることがよりさらに一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる樹脂組成物ないし成形体の流動性がより向上する傾向にある。また、前記MFRの上限は、例えば、100cm3/10分以下であり、さらには、80cm3/10分以下であってもよい。
【0077】
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)および溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂も好ましい。
【0078】
ポリカーボネート樹脂は、リサイクル品を活用してもよい。ポリカーボネート樹脂についてもリサイクル品を用いても、バージン品のポリカーボネート樹脂を用いた場合と同等の性能を達成することができる。
【0079】
また、ポリカーボネート樹脂の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、8質量部以上であることがさらに好ましく、10質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびスチレン系樹脂との相溶性がより向上し、得られる成形体の機械的強度がより向上する傾向にある。また、前記ポリカーボネート樹脂の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形体の耐熱性が高く維持される傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0080】
<他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。なお、他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
樹脂添加剤としては、具体的には、安定剤(熱安定剤、光安定剤)、離型剤、着色剤(顔料、染料)、核剤、反応性化合物、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
これらの他の成分の総量は、樹脂組成物100質量%中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、スチレン系樹脂、難燃剤、および、ガラス繊維、ならびに、必要に応じ配合される成分の合計が100質量%となる。
【0081】
<<安定剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤(光安定剤および/または熱安定剤)を含んでいてもよい。
安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、硫黄系安定剤等が例示され、ヒンダードフェノール系化合物およびリン系化合物が好ましい。本実施形態では、また、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物および硫黄系安定剤を併用することも好ましい。このように3種の安定剤を併用することにより、熱安定性がより向上し、さらに熱安定性が長期に継続する傾向にある。
安定剤としては、具体的には、特開2021-063196号公報の段落0067~0075の記載、特開2018-070722号公報の段落0046~0057の記載、特開2019-056035号公報の段落0030~0037の記載、国際公開第2017/038949号の段落0066~0078の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0082】
本実施形態で用いる安定剤の融点は、50~140℃であることが好ましい。
【0083】
本実施形態の樹脂組成物が安定剤を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、溶融混練時や成形時、さらに成形品としての使用中での、樹脂の熱劣化や酸化劣化の抑制効果がより向上する傾向にある。また、前記安定剤の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、2.0質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、安定剤などの添加剤の凝集などによる外観や物性へ悪影響を効果的に抑制できる。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0084】
<<離型剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を含んでいてもよい。離型剤としては、モンタン酸エステルワックス、ポリオレフィンワックス、高級脂肪酸、エステル化合物、エチレンビスステアロアマイドなどが例示され、モンタン酸エステルワックス、ポリオレフィンワックス、合成ワックスおよびエチレンビスステアロアマイドから選ばれる少なくとも1種が好ましく、モンタン酸エステルワックスがより好ましい。
離型剤としては、具体的には、特開2018-070722号公報の段落0063~0077の記載、特開2019-123809号公報の段落0090~0098の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0085】
本実施形態で用いる離型剤の融点は、50~140℃であることが好ましい。
【0086】
本実施形態の樹脂組成物が離型剤を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.08質量部以上であることがより好ましい。前記下限値以上にすることにより、成形時の離型性が向上する傾向にある。また、前記離型剤の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、5.0質量部以下であることが好ましく、12.0質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下にすることにより、耐加水分解性の低下を抑制し、射出成型時の金型汚染、アウトガス量を低減することができる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0087】
<<着色剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、着色剤(染料および/または顔料)を含んでいてもよい。着色剤としては、染料であっても、顔料であってもよいが、顔料が好ましい。
着色剤としては、有機着色剤および無機着色剤のいずれでもよい。また、有彩色着色剤および無彩色着色剤のいずれであってもよい。
着色剤としては、特開2021-101020号公報の段落0121~0123の記載、特開2019-188393号公報の段落0088~0090の記載が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。中でも、ファーネスブラックが好ましい。その数平均粒子径には特に制限はないが、5~60nm程度であることが好ましい。
【0088】
カーボンブラックのDBP吸油量(単位:cm3/100g)は40~300cm3/100gであることが好ましい。上限値は、300cm3/100g以下であることが好ましく、200cm3/100g以下であることがより好ましく、150cm3/100g以下であることがさらに好ましく、100cm3/100g以下であってもよい。また、下限値は40cm3/100g以上が好ましく、50cm3/100g以上がより好ましく、60cm3/100g以上がさらに好ましい。前記上下限値以内とすることにより、成形品の外観が向上する傾向にある。なお、DBP吸油量(単位:cm3/100g)はJIS K6217に準拠して測定することができる。
カーボンブラックの数平均粒子径は、5~60nmであることが好ましい。上限値は、60nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、25nm以下であることがより一層好ましい。下限値は10nm以上であることが好ましく、13nm以上であることがより好ましく、16以上であることがさらに好ましく、19nm以上であることがより一層好ましい。前記上下限値以内とすることにより、成形品の外観が向上する傾向にある。数平均粒子径は、ASTM D3849規格(カーボンブラックの標準試験法-電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算術平均して求めることができる。
【0089】
カーボンブラックは、熱可塑性樹脂、好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂やスチレン系樹脂と予め混合したマスターバッチとして配合することにより、カーボンブラックの分散度が高まり、成形品の外観が向上する傾向にある。マスターバッチにおけるカーボンブラックの濃度は10~40質量%であることが好ましい。
【0090】
本実施形態の樹脂組成物が着色剤(好ましくはカーボンブラック)を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましく、0.5質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、着色効果がより効果的に発揮される。また、前記着色剤の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、4質量部以下であることが好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の機械的強度がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、着色剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0091】
<<核剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、結晶化速度を調整するために、核剤を含んでいてもよい。核剤の種類は、特に限定されるものではないが、無機核剤であっても、有機核剤であってもよく、無機核剤がより好ましい。
無機核剤としては、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、リン酸ナトリウム、窒化珪素および二硫化モリブデン等が挙げられ、中でもタルク、硫酸バリウム、リン酸ナトリウムおよび窒化ホウ素が好ましく、さらにはタルクが樹脂組成物の剛性を高める傾向にあるためより好ましい。
【0092】
有機核剤としては、有機アルカリ金属塩が好ましく、芳香族カルボン酸または脂肪酸のアルカリ金属塩がより好ましく、脂肪酸(好ましくは炭素数5~50の脂肪酸)のアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、より好ましくはナトリウム塩)がさらに好ましい。有機核剤の具体例としては、アイオノマー、安息香酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウムが挙げられ、中でもステアリン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウムがより好ましく、モンタン酸ナトリウムが樹脂組成物の剛性と靭性のバランスが良好な傾向にあるためさらに好ましい。
なお、本実施形態で用いる核剤の酸価は、10mg/1g-KOH以下であることが好ましく、また、0mg/1g-KOH以上であることが好ましい。
酸価は、JIS K 0070-1992に従って測定される。
【0093】
本実施形態の樹脂組成物が核剤を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましく、用途に応じて、例えば、特に離型性が求められる用途では、0.15質量部以上であることが一層好ましく、0.2質量部以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、成形品の離型性、機械的強度が向上する傾向にある。
前記含有量の上限は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とスチレン系樹脂の合計100質量部に対し、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることがさらに好ましく、4質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下にすることにより、組成物の分解が抑制されることで、機械的強度が向上する傾向にある。また、湿熱試験後の強度保持率が高くなる傾向にある。
【0094】
<樹脂組成物の物性>
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性に優れていることが好ましい。例えば、前記樹脂組成物を1.6mm厚さの試験片に成形し、UL-94試験を行ったとき、V-0を満たすことが好ましい。
難燃性は後述する実施例の記載に従って測定される。
【0095】
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物の調製の常法によって製造できる。通常は各成分および所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸または二軸押出機で溶融混練する。また、各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本実施形態の樹脂組成物を調製することもできる。着色剤等の一部の成分を熱可塑性樹脂と溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの成分を配合して溶融混練してもよい。
なお、ガラス繊維は、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することが好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220~300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
【0096】
<成形品の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、公知の方法に従って成形される。
成形品の製造方法は、特に限定されず、樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形法(超臨界流体も含む)、インサート成形法、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形法が好ましい。
射出成形法の詳細は、特許第6183822号公報の段落0113~0116の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、射出成形等、金型成形する際の金型温度は、40~150℃であることが好ましい。
【0097】
<用途>
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物から形成されたペレットないし成形品として用いられる。樹脂組成物(ペレットないし成形品)の用途としては、特に定めるものでは無く、車輌部品用または電気電子部品用であることが好ましい。
また、車輛部品としては、ランプにおけるハウジング、リフレクター、ベゼル、エクステンションや、コネクタ、ECUケース、車載カメラやミリ波レーダー用の筐体、バッテリーケース、センサー筐体などが挙げられる。
電気電子部品としては、各種ハウジング、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等のハウジング、カバー、キーボード、ボタン、スイッチ部材、電力計用筐体、バッテリーケース、電池搬送用トレイ、リレー、センサー、アクチュエーター、ターミナルスイッチ、グリル調理機器部品などが挙げられる。
【実施例0098】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
【0099】
1.原料
以下の原料を用いた。
【表1】
【0100】
2.実施例1~6、比較例1~2
<コンパウンド>
表1に示す各成分を表2または表3に示す割合(表2および表3における各成分は質量部で示している)にて、ガラス繊維以外の成分をタンブラーミキサーで均一に混合した。得られた混合物を、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30α」)にメインフィード口より供給した。第一混練部のシリンダー設定温度260℃に設定し、ガラス繊維はサイドフィーダーより供給した。ガラス繊維添加以降のシリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練した樹脂組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0101】
<引張特性>
上記で得られたペレットを、110℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、4mm厚のISO試験片を射出成形した。
上記で得られたISO試験片(4mm厚さ)について、ISO527-1およびISO527-2に従い、引張弾性率(単位:MPa)、破壊呼び歪み(単位:%)、引張強さ(単位:MPa)、破壊歪み(単位:%)を測定した。
また、90℃の条件下に1時間静置した後の試験片について、引張強さ(単位:MPa)を同様に測定した(高温引張強さ)。高温引張強さが47MPa以上、好ましくは48MPa以上、さらに好ましくは49MPa以上であると優れたものであると言える。
【0102】
<DTUL(アニール後)>
アニール後の試験片につき、ISO75-1およびISO75-2に準拠して、荷重1.80MPaの条件で、荷重たわみ温度(単位:℃)を測定した。試験片の事前アニール条件は160℃×3時間とした。
【0103】
<反り特性>
上記で得られた樹脂組成物ペレットを、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー温度260℃、金型温度(MT)80℃で、射出ピーク圧の8割の値を保圧値の条件で、直径100mm、厚み1.6mmの円板をサイドゲート金型により成形し、円板の反り量(単位:mm)を求めた。
ここでの反り量は、円板を平板の上に置いたとき、平板と円板の距離が最も離れている部分の平板と円板(平板側)の距離とした。
【0104】
<難燃性>
上記で得られた樹脂組成物ペレットを、110℃で5時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製「J-50AD」)にて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件下で、燃焼試験片(12.7mm幅×127mm長さ×1.6mm厚)を射出成形した。
得られた燃焼試験用試験片について、アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、難燃性を評価した。
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
上記結果から明らかなとおり、本発明の樹脂組成物から形成された成形品は、難燃性が高く、かつ、高温での機械的強度も高かった。