(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140617
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】船体部の姿勢制御方法および飛行船
(51)【国際特許分類】
B64B 1/62 20060101AFI20241003BHJP
B64C 17/02 20060101ALI20241003BHJP
B64C 17/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B64B1/62
B64C17/02
B64C17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051834
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】能見 基彦
(57)【要約】
【課題】水素の運搬効率を向上させることができる、船体部の姿勢制御方法が提供される。
【解決手段】船体部3の姿勢制御方法は、船体部3の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を充填するためのガスバッグが収容された船体部の姿勢を制御する姿勢制御方法によって、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する、船体部の姿勢制御方法。
【請求項2】
前記船体部の周囲の風速および/または風向に基づいて、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項3】
前記船体部を備える飛行船の着陸時において、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項4】
前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、
前記姿勢制御装置は、
前記船体部の前方側に配置された前方気体タンクと、
前記船体部の後方側に配置された後方気体タンクと、
前記前方気体タンクおよび/または前記後方気体タンクを加圧または減圧する気体移送装置と、
前記気体移送装置の動作を制御する動作制御部と、を備えている、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項5】
前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、
前記姿勢制御装置は、
液体を貯留する貯留タンクと、
前記船体部の前方側に配置された前方補助タンクと、
前記船体部の後方側に配置された後方補助タンクと、
前記貯留タンク内の液体を前記前方補助タンクに搬送する前方搬送装置と、
前記貯留タンク内の液体を前記後方補助タンクに搬送する後方搬送装置と、
前記前方搬送装置の動作および前記後方搬送装置の動作を制御する動作制御部と、を備える、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項6】
前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、
前記姿勢制御装置は、
前記船体部の前方側と、前記船体部の後方側に掛け渡された走行路と、
前記走行路に取り付けられ、かつ前記前方側と前記後方側との間で移動する錘と、を備えている、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項7】
前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、
前記姿勢制御装置は、
前記船体部に回転力を付与するフライホイールと、
前記フライホイールを回転させる駆動装置と、を備えている、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項8】
前記姿勢制御方法は、前記船体部に接続され、かつ前記船体部の進行をガイドする曳航ドローンを使用する方法を含む、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項9】
前記姿勢制御方法は、前記船体部の姿勢変更を補助する姿勢補助装置を使用する方法を含む、請求項1に記載の姿勢制御方法。
【請求項10】
水素を充填するためのガスバッグが収容された船体部と、
前記船体部の姿勢を制御する姿勢制御装置と、を備え、
前記姿勢制御装置は、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する、飛行船。
【請求項11】
前記飛行船は、前記船体部の周囲の風速および/または風向を測定するアネモメーターを備えており、
前記姿勢制御装置は、前記アネモメーターによって測定された風速および/または風向に基づいて、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する、請求項10に記載の飛行船。
【請求項12】
前記姿勢制御装置は、前記飛行船の着陸時において、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する、請求項10に記載の飛行船。
【請求項13】
前記姿勢制御装置は、
前記船体部の前方側に配置された前方気体タンクと、
前記船体部の後方側に配置された後方気体タンクと、
前記前方気体タンクおよび/または前記後方気体タンクを加圧または減圧する気体移送装置と、
前記気体移送装置の動作を制御する動作制御部と、を備えている、請求項10に記載の飛行船。
【請求項14】
前記姿勢制御装置は、
液体を貯留する貯留タンクと、
前記船体部の前方側に配置された前方補助タンクと、
前記船体部の後方側に配置された後方補助タンクと、
前記貯留タンク内の液体を前記前方補助タンクに搬送する前方搬送装置と、
前記貯留タンク内の液体を前記後方補助タンクに搬送する後方搬送装置と、
前記前方搬送装置の動作および前記後方搬送装置の動作を制御する動作制御部と、を備える、請求項10に記載の飛行船。
【請求項15】
前記姿勢制御装置は、
前記船体部の前方側と、前記船体部の後方側に掛け渡された走行路と、
前記走行路に取り付けられ、かつ前記前方側と前記後方側との間で移動する錘と、を備えている、請求項10に記載の飛行船。
【請求項16】
前記姿勢制御装置は、
前記船体部に回転力を付与するフライホイールと、
前記フライホイールを回転させる駆動装置と、を備えている、請求項10に記載の飛行船。
【請求項17】
前記姿勢制御装置は、前記船体部に接続され、かつ前記船体部の進行をガイドする曳航ドローンを備えている、請求項10に記載の飛行船。
【請求項18】
前記飛行船は、前記船体部の姿勢変更を補助する姿勢補助装置を備えている、請求項10に記載の飛行船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体部の姿勢制御方法および飛行船に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行船は、浮揚力を発生させるための船体部に浮揚ガスを充填することにより、空中に浮かぶ構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
来るべき水素社会には、水素を運ぶ技術の構築が重要である。水素を運ぶ方法の一つとして、大型の無人飛行船による水素運搬が有望である。例えば、飛行船のガスバッグに水素を充填して、水素を運搬する方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、飛行船は、到着するための大型(大面積)の飛行場を必要とする。したがって、飛行船をあらゆる飛行場で発着陸させることが困難となり、水素の運搬効率が低下してしまうおそれがある。
【0006】
一般的に、飛行船は風の影響を受けやすく、強風時には、風に対抗するために、飛行船の動力消費が大きくなってしまう。したがって、水素を運搬するために必要な動力が大きくなり、水素の運搬効率が低下してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、水素の運搬効率を向上させることができる、船体部の姿勢制御方法および飛行船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、水素を充填するためのガスバッグが収容された船体部の姿勢を制御する姿勢制御方法によって、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する、船体部の姿勢制御方法が提供される。
【0009】
一態様では、前記船体部の周囲の風速および/または風向に基づいて、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
一態様では、前記船体部を備える飛行船の着陸時において、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
一態様では、前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、前記姿勢制御装置は、前記船体部の前方側に配置された前方気体タンクと、前記船体部の後方側に配置された後方気体タンクと、前記前方気体タンクおよび/または前記後方気体タンクを加圧または減圧する気体移送装置と、前記気体移送装置の動作を制御する動作制御部と、を備えている。
【0010】
一態様では、前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、前記姿勢制御装置は、液体を貯留する貯留タンクと、前記船体部の前方側に配置された前方補助タンクと、前記船体部の後方側に配置された後方補助タンクと、前記貯留タンク内の液体を前記前方補助タンクに搬送する前方搬送装置と、前記貯留タンク内の液体を前記後方補助タンクに搬送する後方搬送装置と、前記前方搬送装置の動作および前記後方搬送装置の動作を制御する動作制御部と、を備える。
一態様では、前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、前記姿勢制御装置は、前記船体部の前方側と、前記船体部の後方側に掛け渡された走行路と、前記走行路に取り付けられ、かつ前記前方側と前記後方側との間で移動する錘と、を備えている。
一態様では、前記姿勢制御方法は、姿勢制御装置を動作させることにより、前記船体部の姿勢を制御する方法であり、前記姿勢制御装置は、前記船体部に回転力を付与するフライホイールと、前記フライホイールを回転させる駆動装置と、を備えている。
【0011】
一態様では、前記姿勢制御方法は、前記船体部に接続され、かつ前記船体部の進行をガイドする曳航ドローンを使用する方法を含む。
一態様では、前記姿勢制御方法は、前記船体部の姿勢変更を補助する姿勢補助装置を使用する方法を含む。
【0012】
一態様では、水素を充填するためのガスバッグが収容された船体部と、前記船体部の姿勢を制御する姿勢制御装置と、を備える飛行船が提供される。前記姿勢制御装置は、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
【0013】
一態様では、前記飛行船は、前記船体部の周囲の風速および/または風向を測定するアネモメーターを備えており、前記姿勢制御装置は、前記アネモメーターによって測定された風速および/または風向に基づいて、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
一態様では、前記姿勢制御装置は、前記飛行船の着陸時において、前記船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
一態様では、前記姿勢制御装置は、前記船体部の前方側に配置された前方気体タンクと、前記船体部の後方側に配置された後方気体タンクと、前記前方気体タンクおよび/または前記後方気体タンクを加圧または減圧する気体移送装置と、前記気体移送装置の動作を制御する動作制御部と、を備えている。
一態様では、前記姿勢制御装置は、液体を貯留する貯留タンクと、前記船体部の前方側に配置された前方補助タンクと、前記船体部の後方側に配置された後方補助タンクと、前記貯留タンク内の液体を前記前方補助タンクに搬送する前方搬送装置と、前記貯留タンク内の液体を前記後方補助タンクに搬送する後方搬送装置と、前記前方搬送装置の動作および前記後方搬送装置の動作を制御する動作制御部と、を備える。
【0014】
一態様では、前記姿勢制御装置は、前記船体部の前方側と、前記船体部の後方側に掛け渡された走行路と、前記走行路に取り付けられ、かつ前記前方側と前記後方側との間で移動する錘と、を備えている。
一態様では、前記姿勢制御装置は、前記船体部に回転力を付与するフライホイールと、前記フライホイールを回転させる駆動装置と、を備えている。
一態様では、前記姿勢制御装置は、前記船体部に接続され、かつ前記船体部の進行をガイドする曳航ドローンを備えている。
一態様では、前記飛行船は、前記船体部の姿勢変更を補助する姿勢補助装置を備えている。
【発明の効果】
【0015】
姿勢制御方法は、船体部の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。したがって、飛行船をあらゆる飛行場に発着陸させることができ、飛行船を飛行させるために必要な動力を削減することができる。結果として、水素の運搬効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(a)および
図1(b)は、飛行船の一実施形態を示す図である。
【
図3】飛行場に着陸する飛行船の一例を示す図である。
【
図4】飛行場に着陸する飛行船の一例を示す図である。
【
図5】姿勢制御装置の他の実施形態を示す図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)は、姿勢制御装置の他の実施形態を示す図である。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)、および
図7(c)は、姿勢制御装置の他の実施形態を示す図である。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)、および
図8(c)は、船体部を進行させることにより、船体部の回転モーメントをバランスさせる曳航ドローンを示す図である。
【
図9】
図9(a)および
図9(b)は、姿勢補助装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0018】
図1(a)および
図1(b)は、飛行船の一実施形態を示す図である。
図1(a)では、飛行船1は水平姿勢で飛行しており、
図1(b)では、飛行船1は垂直姿勢で飛行している。飛行船1は、浮揚ガス(本実施形態では、水素)が充填されたガスバッグ2を収容する船体部3と、船体部3に取り付けられた尾翼4と、船体部3に推進力を発生させる推進装置(例えば、ファン)5と、を備えている。
【0019】
飛行船1は、そのガスバッグ2に水素を充填させる構造を有しており、水素を運搬する運搬船である。
図1(a)および
図1(b)に示すように、飛行船1は、長尺状の船体部3を備えている。船体部3は、紡錘形状(または涙滴形状)を有している。
【0020】
船体部3の姿勢を垂直姿勢に維持した状態で飛行船1を発着陸させることができれば、飛行船1をあらゆる飛行場で発着陸させることができる。結果として、水素を目的の場所に最短距離で運搬することができるため、水素の運搬効率を向上させることができる。
【0021】
飛行船1の進行方向と風向きがほぼ一致し、かつ飛行船1の速度(対地速度)が周囲の風速より低速である場合、船体部3の姿勢を垂直姿勢に維持した状態で飛行船1を飛行させることができれば、垂直姿勢は水平姿勢より水平方向の空気抵抗が大きいため、飛行船1を加速させるために吹く風の力を利用することができ、飛行船1の飛行に必要な動力を削減することができる。結果として、水素の運搬効率を向上させることができる。
【0022】
飛行船1の船速が飛行船1の周囲の風速とほぼ一致するまで、飛行船1を加速させたら、船体部3の姿勢を水平姿勢に移行して、空気抵抗を減らしてもよい。その後、飛行船1に設置した推進装置5を用いて、飛行船の船速を風速以上まで増速してもよい。
【0023】
以下に示す実施形態では、飛行船1は、船体部3の姿勢を制御する姿勢制御装置を備えている。以下、図面を参照して、姿勢制御装置について説明する。
【0024】
図2は、姿勢制御装置の一実施形態を示す図である。
図2に示すように、飛行船1は、船体部3の姿勢を制御する姿勢制御装置60を備えている。姿勢制御装置60は、船体部3の姿勢を水平姿勢(
図1(a)参照)から垂直姿勢(
図1(b)参照)に変更するように構成されている。
図2に示す実施形態では、姿勢制御装置60は、船体部3から吊り下げられているが、一実施形態では、姿勢制御装置60は、船体部3の内部に配置されてもよい。
【0025】
図2では、船体部3は、水平姿勢に維持されている。船体部3の前方側(前方方向)は、飛行船1の進行方向であり、船体部3の後方側(後方方向)は、飛行船1の進行方向とは反対側の方向である。前方方向および後方方向に対して垂直な鉛直方向は、上空方向および地上方向である。
【0026】
姿勢制御装置60は、船体部3の前方側に配置された前方気体タンク63Aと、船体部3の後方側に配置された後方気体タンク63Bと、前方気体タンク63Aおよび/または後方気体タンク63Bを加圧または減圧する気体移送装置61と、気体移送装置61の動作を制御する動作制御部25と、を備えている。
【0027】
姿勢制御装置60は、気体移送装置61および前方気体タンク63Aを接続する前方接続ライン62Aと、前方接続ライン62Aに取り付けられた前方開閉弁64Aと、を備えている。姿勢制御装置60は、気体移送装置61および後方気体タンク63Bを接続する後方接続ライン62Bと、後方接続ライン62Bに取り付けられた後方開閉弁64Bと、を備えている。
【0028】
気体移送装置61は、気体圧縮機または真空ポンプ装置である。
図2に示す実施形態では、飛行船1は、気体移送装置61に接続された気体移送弁65を備えている。動作制御部25は、気体移送装置61に電気的に接続されており、気体移送装置61の動作を制御するように構成されている。同様に、動作制御部25は、前方開閉弁64Aおよび後方開閉弁64Bに電気的に接続されており、前方開閉弁64Aおよび後方開閉弁64Bの動作を制御するように構成されている。
【0029】
図2に示す実施形態では、姿勢制御装置60は、単一の気体移送装置61を備えているが、一実施形態では、姿勢制御装置60は、気体タンクの数に対応する数の気体移送装置61を備えてもよい。
図2に示す実施形態では、姿勢制御装置60は、2つの気体タンク(すなわち、前方気体タンク63Aおよび後方気体タンク63B)を備えている。したがって、姿勢制御装置60は、2つの気体移送装置61を備えてもよい。加圧あるいは排気する空気の一部あるいは全てに関して、気体移送弁65を介して、飛行船1の周囲の空気(外気)を利用してもよい。
【0030】
本実施形態では、気体移送装置61は、飛行船1の重心位置に配置されている。気体移送装置61が気体圧縮機である場合について説明する。後方開閉弁64Bが閉じられた状態で、動作制御部25が前方開閉弁64Aを開き、かつ気体移送装置61を動作させると、圧縮気体は、前方接続ライン62Aを通じて、前方気体タンク63Aに導入される。
【0031】
圧縮気体が前方気体タンク63Aに導入されると、飛行船1の重心位置が飛行船1の前方側に移動する。結果として、船体部3の前方側が下方に移動し、すなわち、船体部3が矢印A方向に傾き、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢(言い換えれば、直立姿勢)に変更される。
【0032】
前方開閉弁64Aが閉じられた状態で、動作制御部25が後方開閉弁64Bを開き、かつ気体移送装置61を動作させると、圧縮気体は、後方接続ライン62Bを通じて、後方気体タンク63Bに導入される。
【0033】
圧縮気体が後方接続ライン62Bに導入されると、飛行船1の重心位置が飛行船1の後方側に移動し、船体部3の後方側が下方に移動し、すなわち、船体部3が矢印B方向に傾く。結果として、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢に変更される。
【0034】
気体移送装置61が真空ポンプ装置である場合について説明する。後方開閉弁64Bが閉じられた状態で、動作制御部25が前方開閉弁64Aを開き、かつ気体移送装置61を動作させると、前方気体タンク63A内の気体が吸引され、前方気体タンク63Aに真空が形成される。すると、船体部3の重心位置が飛行船1の後方側に移動し、船体部3が矢印B方向に傾く。結果として、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢に変更される。
【0035】
前方開閉弁64Aが閉じられた状態で、動作制御部25が後方開閉弁64Bを開き、かつ気体移送装置61を動作させると、後方気体タンク63B内の気体が吸引され、後方気体タンク63Bに真空が形成される。すると、飛行船1の重心位置が飛行船1の前方側に移動し、船体部3が矢印A方向に傾く。結果として、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢に変更される。
【0036】
図1(a)および
図1(b)に示すように、飛行船1は、船体部3の周囲の風速および/または風向を測定するアネモメーター6を備えてもよい。動作制御部25は、アネモメーター6に電気的に接続されている。アネモメーター6は、風速および/または風向を示す数値を測定し、数値を動作制御部25に送る。
【0037】
動作制御部25は、アネモメーター6によって測定された数値(すなわち、風速および/または風向)と所定のしきい値とを比較し、数値がしきい値に達した場合には、動作制御部25は、船体部3の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
【0038】
風速および風向の測定に関しては、飛行船1に搭載されたアネモメーター6には限定されず、地上局や気象観測航空機、気象観測衛星、あるいは気象観測用に飛行船1の周囲を飛行する別の航空機などから受信した気象情報を利用してもよい。
【0039】
このように、動作制御部25は、アネモメーター6によって測定された数値(すなわち、風速および/または風向)に基づいて、船体部3の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。垂直姿勢は、空気抵抗の大きな姿勢であり、かつ安定的な姿勢である。したがって、飛行船1は、飛行船1に吹く風の力を最大限、利用することができ、飛行船1の動力を削減することができる。
【0040】
結果として、飛行船1は、水素の運搬効率を向上させることができる。一実施形態では、飛行船1は、水平姿勢における動力飛行と、垂直姿勢における風力を利用した飛行と、適宜、を組み合わせて、飛行してもよい。
【0041】
図3および
図4は、飛行場に着陸する飛行船の一例を示す図である。
図3に示すように、動作制御部25は、飛行船1の着陸時において、船体部3の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
図3に示す実施形態では、飛行船1は、船体部3の前方端に接続され、かつ船体部3の進行をガイドする曳航ドローン10を備えている。動作制御部25は、曳航ドローン10に電気的に接続されており、曳航ドローン10の動作を制御するように構成されている。
【0042】
図3に示すように、飛行船1が飛行場の上方に配置されたとき、動作制御部25は、姿勢制御装置60を動作させて、船体部3の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。動作制御部25は、曳航ドローン10を駆動して、飛行船1を地上方向に向けて、牽引する。一実施形態では、船体部3の姿勢を垂直姿勢に変更した後、動作制御部25は、曳航ドローン10の動力を停止して、曳航ドローン10の重力により、飛行船1を牽引してもよい。
【0043】
図3に示す実施形態では、動作制御部25は、曳航ドローン10を船体部3に接続した状態で、船体部3の姿勢を変更しているが、一実施形態では、動作制御部25は、船体部3の姿勢を変更した後、曳航ドローン10を船体部3に接続してもよい。この場合、曳航ドローン10は、タグボートに相当する機能を有している。
【0044】
図4に示すように、動作制御部25は、曳航ドローン10を用いることなく、推進装置5を逆回転することによって、飛行船1を地上方向に向けて進行させてもよい。動作制御部25は、推進装置5に電気的に接続されており、推進装置5の動作(より具体的には、推進装置5の回転方向および回転速度)を制御するように構成されている。
【0045】
動作制御部25は、船体部3の姿勢を垂直姿勢に変更した後、推進装置5の回転方向を飛行船1が地上方向に進行する方向に変更する。言い換えれば、動作制御部25は、飛行船1が後退する方向に推進装置5を回転させる。したがって、飛行船1は、船体部3の姿勢を垂直姿勢に維持した状態で飛行場に着陸する。
【0046】
図3および
図4に示すように、飛行場は、水素をガスバッグ2に供給し、またはガスバッグ2内の水素を回収するための構造物(より具体的には、作業タワー20Aまたはダイレクトソケット20B)を有している。作業タワー20Aは、飛行船1を地上に固定するための構造物である。ダイレクトソケット20Bは、飛行船1を地上に固定した状態で、水素をガスバッグ2に供給し、またはガスバッグ2内の水素を回収するための構造物である。
【0047】
図5は、姿勢制御装置の他の実施形態を示す図である。
図5に示すように、飛行船1は、姿勢制御装置70を備えてもよい。姿勢制御装置70は、液体を貯留する貯留タンク71と、船体部3の前方側に配置された前方補助タンク72と、船体部3の後方側に配置された後方補助タンク73と、貯留タンク71内の液体を前方補助タンク72に搬送する前方搬送装置74と、貯留タンク71内の液体を後方補助タンク73に搬送する後方搬送装置75と、を備えている。
【0048】
貯留タンク71は、飛行船1の重心位置に配置されたゴンドラ部76に配置されている。言い換えれば、貯留タンク71は、飛行船1の重心位置に配置されている。前方補助タンク72は、船体部3の前方端から吊り下げられており、後方補助タンク73は船体部3の後方端から吊り下げられている。一実施形態では、前方補助タンク72および後方補助タンク73は、船体部3の内部に配置されてもよい。同様に、貯留タンク71も船体部3の内部に配置されてもよい。
【0049】
前方搬送装置74は、貯留タンク71および前方補助タンク72を接続する前方接続ライン77と、前方接続ライン77に接続された前方搬送ポンプ78と、を備えている。同様に、後方搬送装置75は、貯留タンク71および後方補助タンク73を接続する後方接続ライン79と、後方接続ライン79に接続された後方搬送ポンプ80と、を備えている。
【0050】
動作制御部25は、前方搬送ポンプ78および後方搬送ポンプ80のそれぞれに電気的に接続されており、前方搬送ポンプ78の動作および後方搬送ポンプ80の動作を制御するように構成されている。
【0051】
動作制御部25が前方搬送ポンプ78を動作させると、貯留タンク71内の液体は、前方接続ライン77を通じて前方補助タンク72に搬送される。すると、前方補助タンク72の水位が上昇し、前方補助タンク72の重量は、前方補助タンク72内に貯留された液体によって、増加する。したがって、飛行船1の重心位置が飛行船1の前方側に移動する。結果として、船体部3が矢印A方向に傾き、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢に変更される。
【0052】
動作制御部25が後方搬送ポンプ80を動作させると、貯留タンク71内の液体は、後方接続ライン79を通じて後方補助タンク73に搬送される。すると、後方補助タンク73の水位が上昇し、後方補助タンク73の重量は、後方補助タンク73内に貯留された液体によって、増加する。したがって、飛行船1の重心位置が飛行船1の後方側に移動する。結果として、船体部3が矢印B方向に傾き、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢に変更される。
【0053】
図6(a)および
図6(b)は、姿勢制御装置の他の実施形態を示す図である。
図6(a)および
図6(b)に示すように、飛行船1は、姿勢制御装置50を備えてもよい。
図6(a)に示す実施形態では、姿勢制御装置50は、船体部3(より具体的には、ガスバッグ2)の内部に配置されている。姿勢制御装置50は、船体部3の前方側および後方側に掛け渡された走行路52Aと、走行路52Aに取り付けられ、船体部3の前方側と後方側との間で移動する錘51と、を備えている。
【0054】
走行路52Aの一例として、ワイヤーを挙げることができる。走行路52Aは、船体部3に取り付けられたサポーター52Bに固定されている。サポーター52Bの一例として、スポーク状に配置された柱またはワイヤーを挙げることができる。
【0055】
錘51は、動力(例えば、電池)によって回転可能な動輪(図示しない)を有する自走式ウエイトである。錘51は、動輪が走行路52Aに装着された状態で、走行路52A上を移動可能に構成されている。動作制御部25は、錘51に電気的に接続されている。したがって、動作制御部25は、錘51を船体部3の前方側および後方側に移動させる。
【0056】
動作制御部25が錘51を船体部3の前方側に移動させると、船体部3の重心位置が飛行船1の前方側に移動する。結果として、船体部3が矢印A方向に傾き、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢に変更される。動作制御部25が錘51を船体部3の後方側に移動させると、船体部3の重心位置が飛行船1の後方側に移動する。結果として、船体部3が矢印B方向に傾き、船体部3の姿勢が水平姿勢から垂直姿勢に変更される。
【0057】
図6(b)に示すように、姿勢制御装置50は、船体部3の前方側および後方側に掛け渡された走行路56と、走行路56に取り付けられた錘55と、を備えてもよい。
図6(b)に示す実施形態では、姿勢制御装置50は、船体部3の外部に配置されている。姿勢制御装置50は、船体部3から吊り下げられた支持体58A,58Bと、支持体58A,58Bに取り付けられたプーリー57A,57Bと、プーリー57A,57Bに掛け渡された走行路56と、を備えている。
【0058】
支持体58Aは船体部3の後方側に配置されており、支持体58Bは船体部3の前方側に配置されている。走行路56の一例として、ワイヤーを挙げることができる。錘55を船体部3の前方側に移動させることにより、船体部3が矢印A方向に傾く。錘55を船体部3の後方側に移動させることにより、船体部3が矢印B方向に傾く。このようにして、姿勢制御装置50は、船体部3の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
【0059】
例えば、姿勢制御装置50は、プーリー57A,57Bに掛け渡された走行路56を回転させる回転装置(図示しない)を備えてもよい。このような構成により、動作制御部25は、回転装置の動作を通じて走行路56を回転させることにより、錘55を移動させてもよい。
【0060】
図7(a)、
図7(b)、および
図7(c)は、姿勢制御装置の他の実施形態を示す図である。
図7(a)乃至
図7(c)に示すように、飛行船1は、姿勢制御装置40を備えてもよい。姿勢制御装置40は、船体部3に回転力を付与するフライホイール45と、フライホイール45を回転させる駆動装置46と、を備えている。
【0061】
姿勢制御装置40は、飛行船1の重心に配置されたゴンドラ部41に配置されている。本実施形態では、駆動装置46は、モーターであるが、内燃機関(例えば、エンジン)であってもよい。ゴンドラ部41は、必ずしも、重心に配置されていなくてもよいが、ゴンドラ部41を重心に配置することにより、船体部3の回転運動に関して、動力の効率がよい。
【0062】
動作制御部25は、駆動装置46に電気的に接続されており、駆動装置46の動作を制御するように構成されている。動作制御部25が駆動装置46の動作を通じてフライホイール45を時計回り方向に回転させると、船体部3は、フライホイール45に作用する回転力の反作用により、反時計回り方向(矢印A方向)に回転する(
図7(b)参照)。逆に、動作制御部25が駆動装置46の動作を通じてフライホイール45を反時計回り方向に回転させると、船体部3は時計回り方向(矢印B方向)に回転する(
図7(b)参照)。
【0063】
本実施形態では、姿勢制御装置40は、船体部3の重心位置に配置されており、かつ船体部3の浮力中心位置に配置されている。このような配置により、姿勢制御装置40は、船体部3の回転角度(ピッチ角度)を任意に変更することができる。この場合、駆動装置46の動作の停止によっても、船体部3は、その回転角度を維持することができる。
【0064】
この機構について、説明する。駆動装置46への動力供給を停止すると、駆動装置46は、能動的には回転しなくなる。この時、フライホール45と駆動装置46との力学的結合が持続する場合、駆動装置46およびフライホイール45は、どちらも回転を止める。そして、船体部3も回転を止め、船体部3の回転角度を維持することができる。
【0065】
この時、船体部3に取り付けられた機械式ブレーキ(図示しない)によって、フライホイール45の回転を止めれば、さらに早く船体部3の回転を止めることができる。その一方で、力学的な結合を遮断すれば、フライホイール45は回転慣性によって回り続けようとし、同時に駆動装置46も角運動量の保存則から逆方向に回転を持続しようとする。
【0066】
フライホイール45が摩擦の少ない軸受で支持され、船体部3と接続している場合、フライホイール45から船体部3に伝わるトルクは少ない。その一方で、駆動装置46は船体部3と接続されているため、動力がなくても船体部3は、その回転を継続することができる。すなわち、少ないエネルギー消費量で姿勢制御することが可能となる。
【0067】
駆動装置46が誘導電動機の場合、固定子への電力供給を停止することにより、固定子と回転子の磁気的な結合が解除されるので、この解除が力学的な結合の遮断となる。駆動装置46が内燃機関の場合、駆動装置46とフライホイール45の間に機械式クラッチ(図示しない)を設置し、そのクラッチを切ることが、力学的な結合の遮断になる。なお、フライホイール45と駆動装置46の力学的な結合を遮断しても、船体部3には周囲の大気の空気抵抗が作用するため、いずれ船体部3の回転は止まる。
【0068】
その一方で、姿勢制御装置40が船体部3の重心位置(および浮力中心位置)からずれて配置されている場合、姿勢制御装置40が船体部3の回転角度を変更しても、やがて、船体部3の回転角度は、船体部3の重心位置(および浮力中心位置)に戻る。
【0069】
図8(a)、
図8(b)、および
図8(c)は、船体部を進行させることにより、船体部の回転モーメントをバランスさせる曳航ドローンを示す図である。
図8(a)に示すように、飛行船1は、その進行により地上方向への力(すなわち、鉛直下向きの力)を発生させる尾翼4を備えている。したがって、曳航ドローン10が船体部3を牽引することにより、尾翼4は、船体部3に地上方向への力を発生させる。
【0070】
飛行船1が進行方向に移動しているとき、船体部3に作用する浮力と、船体部3に作用する重力と、船体部3に作用する鉛直方向下向きの力と、がバランスし、これらの釣り合う力によって船体部3に作用する回転モーメントが打ち消される。
【0071】
したがって、曳航ドローン10が船体部3を牽引すると、飛行船1は、水平姿勢を維持した状態で、進行する。その一方で、曳航ドローン10の駆動が停止すると、鉛直方向下向きの力は、船体部3には作用しない。したがって、船体部3に作用する浮力と、船体部3に作用する重力と、に起因して、回転モーメントが船体部3に作用する。結果として、船体部3の姿勢は、水平姿勢から垂直姿勢に変更される。
【0072】
図8(b)に示すように、飛行船1は、その進行により、上空方向への力(すなわち、揚力)を発生させる尾翼4を備えてもよい。このような構成により、曳航ドローン10が船体部3を牽引することにより、尾翼4は、船体部3に揚力を発生させる。
【0073】
飛行船1が進行方向に移動しているとき、船体部3に作用する浮力と、船体部3に作用する重力と、船体部3に作用する揚力と、がバランスし、これらの釣り合う力によって船体部3に作用する回転モーメントが打ち消される。
【0074】
したがって、曳航ドローン10が船体部3を牽引すると、飛行船1は、水平姿勢を維持した状態で、進行する。その一方で、曳航ドローン10の駆動が停止すると、揚力は、船体部3には作用しない。したがって、回転モーメントが船体部3に作用し、結果として、船体部3の姿勢は、水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
【0075】
図8(c)に示すように、飛行船1は、尾翼4を有しておらず、その代わりに、曳航ドローン10が尾翼4の役割を果たすように動作してもよい。より具体的には、動作制御部25は、曳航ドローン10を動作させて、曳航ドローン10に前方方向(すなわち、飛行船1の進行方向)への力と、地上方向への力(または上空方向への力)と、を発生させてもよい。
【0076】
このような構成によっても、曳航ドローン10が船体部3を牽引すると、飛行船1は、進行方向に向かって移動する一方で、曳航ドローン10の駆動が停止すると、回転モーメントが船体部3に作用し、船体部3の姿勢は水平姿勢から垂直姿勢に変更する。
【0077】
図9(a)および
図9(b)は、姿勢補助装置の一実施形態を示す図である。
図9(a)および
図9(b)に示すように、飛行船1は、船体部3の姿勢変更を補助する姿勢補助装置30を備えている。
【0078】
図9(a)および
図9(b)に示す実施形態では、姿勢補助装置30は、尾翼4に取り付けられたダクテッドファンである。一実施形態では、姿勢補助装置30は曳航ドローン10(
図3参照)に相当してもよい。このような構成によっても、曳航ドローン10は、船体部3の姿勢変更を補助することができる。
【0079】
本実施形態では、尾翼4は、垂直尾翼4Aと、水平尾翼4Bと、を備えている。ダクテッドファンとしての姿勢補助装置30は、水平尾翼4Bに取り付けられている。姿勢補助装置30は、動作制御部25に電気的に接続されており、動作制御部25は、姿勢補助装置30の動作を制御するように構成されている。
【0080】
動作制御部25が姿勢補助装置30を動作させることにより、姿勢補助装置30としてのダクテッドファンが回転し、ダクテッドファンは、船体部3の姿勢変更に伴う推進力を付与する。このような構成により、姿勢補助装置30は、船体部3の姿勢変更を補助する。
【0081】
図10(a)および
図10(b)は、姿勢補助装置の他の実施形態を示す図である。
図10(a)および
図10(b)に示す実施形態では、姿勢補助装置30としてのダクテッドファンは、水平尾翼4Bには取り付けられておらず、船体部3の後方端に接続されたファン保持具31に、回転自在に取り付けられている。
【0082】
姿勢補助装置30は、プロペラ30aと、プロペラ30aを取り囲むカバー30bと、を有している。カバー30bは、ファン保持具31に取り付けられており、ファン保持具31を支点として傾斜可能である。
【0083】
プロペラ30aは、カバー30bとともにファン保持具31を支点として傾斜する。したがって、プロペラ30aは、カバー30bを通じて水平方向(すなわち、後方方向、前方方向)と、鉛直方向(すなわち、上空方向、地上方向)と、の間で傾斜可能である(
図10(b)参照)。
【0084】
動作制御部25は、カバー30bを通じてプロペラ30aの傾斜方向を制御可能である。船体部3の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に変更するとき、動作制御部25は、姿勢補助装置30を動作させて、プロペラ30aの傾斜方向を水平方向から垂直方向に変更する。このような変更により、姿勢補助装置30は、船体部3の姿勢変更を補助する。
【0085】
上述した実施形態では、姿勢制御装置40,50,60,70のうちのいずれかを備える飛行船1について説明したが、飛行船1は、適宜、姿勢制御装置40,50,60,70のうちの少なくとも1つを備えてもよい。したがって、飛行船1は、必要に応じて、姿勢制御装置40,50,60,70のうちのいずれかを備えてもよく、姿勢制御装置40,50,60,70のすべてを備えてもよい。
【0086】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0087】
1 飛行船
2 ガスバッグ
3 船体部
4 尾翼
4A 垂直尾翼
4B 水平尾翼
5 推進装置
6 アネモメーター
10 曳航ドローン
20A 作業タワー
20B ダイレクトソケット
25 動作制御部
30 姿勢補助装置
30a プロペラ
30b カバー
31 ファン保持具
40 姿勢制御装置
41 ゴンドラ部
45 フライホイール
46 駆動装置
50 姿勢制御装置
51 錘
52A 走行路
52B サポーター
55 錘
56 走行路
57A,57B プーリー
58A,58B 支持体
60 姿勢制御装置
61 気体移送装置
62A 前方接続ライン
62B 後方接続ライン
63A 前方気体タンク
63B 後方気体タンク
64A 前方開閉弁
64B 後方開閉弁
65 気体移送弁
70 姿勢制御装置
71 貯留タンク
72 前方補助タンク
73 後方補助タンク
74 前方搬送装置
75 後方搬送装置
76 ゴンドラ部
77 前方接続ライン
78 前方搬送ポンプ
79 後方接続ライン
80 後方搬送ポンプ