(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014064
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0456 20170101AFI20240125BHJP
H04B 7/0426 20170101ALI20240125BHJP
H04J 3/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H04B7/0456 120
H04B7/0426 200
H04J3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116630
(22)【出願日】2022-07-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省、「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】牧野 仁宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史人
(72)【発明者】
【氏名】中川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】星 大樹
【テーマコード(参考)】
5K028
【Fターム(参考)】
5K028AA07
(57)【要約】
【課題】SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制する。
【解決手段】送信装置1は、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nを入力する。送信処理部10-1,・・・,10-Nは、対応する送信データSDに対し、対応する符号化率P1、時間インタリーブ長P2及び変調ビット数P3にて、それぞれ誤り訂正符号化、時間インタリーブ処理及び変調の送信処理を行う。多重部14は、送信処理後の複数の信号に対しTDM方式の多重化を行い、送信ウェイト乗算部15は、多重信号に対し送信ウェイトSWを乗算する。ULフレーム構成部16は、乗算後の多重信号を変調してULフレームを構成し、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データを入力し、前記複数の送信データを多重化して送信する前記送信装置において、
前記複数の送信データに対応する複数の送信処理部、並びに、多重部、送信ウェイト乗算部及びULフレーム構成部を備え、
前記複数の送信処理部のそれぞれは、
前記複数の送信データのうち当該送信処理部に対応する送信データを入力し、前記送信データに対し、前記送信データに対応する前記符号化率、前記時間インタリーブ長及び前記変調ビット数にて、それぞれ誤り訂正符号化、時間インタリーブ処理及び変調の送信処理を行い、送信処理後の信号を生成し、
前記多重部は、
前記複数の送信処理部により生成された複数の送信処理後の信号に対し、TDM方式の多重化を行い、多重信号を出力し、
前記送信ウェイト乗算部は、
前記多重部により出力された前記多重信号に対し、前記受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された前記送信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、
前記ULフレーム構成部は、
前記送信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号に含まれる前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを、時間方向に順番に並べることでULフレームを構成し、前記ULフレームを前記受信装置へ送信する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項2】
送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データを入力し、前記複数の送信データを多重化して送信する前記送信装置において、
多重部、誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部、誤り訂正符号化部、時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部、時間インタリーブ処理部、変調用伝送パラメータ切替部、変調部、信号切替制御部、送信ウェイト乗算部及びULフレーム構成部を備え、
前記多重部は、
前記複数の送信データを入力し、前記複数の送信データに対し、前記信号切替制御部により出力された多重用の切替信号に基づき、TDM方式の多重化を行い、多重データを出力し、
前記誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の符号化率を入力し、前記信号切替制御部により出力された誤り訂正符号化用の切替信号に基づき、前記複数の符号化率のうち1つの符号化率を選択して出力し、
前記誤り訂正符号化部は、
前記多重部により出力された前記多重データを入力すると共に、前記誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部により出力された前記符号化率を入力し、前記多重データに含まれる前記複数の送信データのうちの前記符号化率に対応する送信データに対し、前記符号化率による誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化後の多重信号を出力し、
前記時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の時間インタリーブ長を入力し、前記信号切替制御部により出力された時間インタリーブ用の切替信号に基づき、前記複数の時間インタリーブ長のうち1つの時間インタリーブ長を選択して出力し、
前記時間インタリーブ処理部は、
前記誤り訂正符号化部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部により出力された前記時間インタリーブ長を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記時間インタリーブ長に対応する信号に対し、前記時間インタリーブ長による時間インタリーブ処理を行い、時間インタリーブ処理後の多重信号を出力し、
前記変調用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の変調ビット数を入力し、前記信号切替制御部により出力された変調用の切替信号に基づき、前記複数の変調ビット数のうち1つの変調ビット数を選択して出力し、
前記変調部は、
前記時間インタリーブ処理部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記変調用伝送パラメータ切替部により出力された前記変調ビット数を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記変調ビット数に対応する信号に対し、前記変調ビット数による変調を行い、変調後の多重信号を出力し、
前記送信ウェイト乗算部は、
前記変調部により出力された前記変調後の多重信号に対し、前記受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された前記送信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、
前記ULフレーム構成部は、
前記送信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号に含まれる前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを、時間方向に順番に並べることでULフレームを構成し、前記ULフレームを前記受信装置へ送信し、
前記信号切替制御部は、
前記多重部により多重化が行われる前記複数の送信データのそれぞれのタイミングを示す前記多重用の切替信号を生成し、前記多重用の切替信号を前記多重部に出力し、
前記誤り訂正符号化部により誤り訂正符号化が行われる前記多重データに含まれる前記複数の送信データのそれぞれのタイミングを示す前記誤り訂正符号化用の切替信号を生成し、前記誤り訂正符号化用の切替信号を前記誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部に出力し、
前記時間インタリーブ処理部により時間インタリーブ処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記時間インタリーブ用の切替信号を生成し、前記時間インタリーブ用の切替信号を前記時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部に出力し、
前記変調部により変調が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記変調用の切替信号を生成し、前記変調用の切替信号を前記変調用伝送パラメータ切替部に出力する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送信装置において、
さらに、電力配分用伝送パラメータ切替部及び電力配分処理部を備え、
前記電力配分用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の電力配分を入力し、前記信号切替制御部により出力された電力配分用の切替信号に基づき、前記複数の電力配分のうち1つの電力配分を選択して出力し、
前記電力配分処理部は、
前記変調部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記電力配分用伝送パラメータ切替部により出力された前記電力配分を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記電力配分に対応する信号に対し、前記電力配分により、前記SVD-MIMO方式による固有モードの仮想伝送路毎の電力配分処理を行い、電力配分処理後の多重信号を出力し、
前記送信ウェイト乗算部は、
前記電力配分処理部により出力された前記電力配分処理後の多重信号に対し、前記送信ウェイトを乗算し、
前記信号切替制御部は、さらに、
前記電力配分処理部により電力配分処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記電力配分用の切替信号を生成し、前記電力配分用の切替信号を前記電力配分用伝送パラメータ切替部に出力する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、前記送信装置から符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データの多重信号を含むULフレームを受信し、前記多重信号を多重分離し、前記複数の送信データに対応する複数の受信データを出力する前記受信装置において、
ULフレーム解析部、受信ウェイト乗算部及び多重分離部、並びに、前記複数の受信データに対応する複数の受信処理部を備え、
前記ULフレーム解析部は、
前記ULフレームから、時間方向に順番に並んだ前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを読み出し、
前記受信ウェイト乗算部は、
前記ULフレーム解析部により読み出された前記OFDMシンボルの多重信号に対し、当該受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された受信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、
前記多重分離部は、
前記受信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号に対し、TDM方式の多重分離を行い、複数の信号を出力し、
前記複数の受信処理部のそれぞれは、
前記多重分離部により出力された前記複数の信号のうち当該受信処理部に対応する信号を入力し、当該信号に対し、当該信号の前記送信データに対応する変調ビット数、時間インタリーブ長及び符号化率にて、それぞれ復調、時間デインタリーブ処理及び誤り訂正復号処理を行い、誤り訂正復号処理後の信号を前記受信データとして出力する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、前記送信装置から符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データの多重信号を含むULフレームを受信し、前記多重信号を多重分離し、前記複数の送信データに対応する複数の受信データを出力する前記受信装置において、
ULフレーム解析部、受信ウェイト乗算部、復調用伝送パラメータ切替部、復調部、時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部、時間デインタリーブ処理部、誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部、誤り訂正復号化部、多重分離部及び信号切替制御部を備え、
前記ULフレーム解析部は、
前記ULフレームから、時間方向に順番に並んだ前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを読み出し、
前記受信ウェイト乗算部は、
前記ULフレーム解析部により読み出された前記OFDMシンボルの多重信号に対し、当該受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された受信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、
前記復調用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の変調ビット数を入力し、前記信号切替制御部により出力された復調用の切替信号に基づき、前記複数の変調ビット数のうち1つの変調ビット数を選択して出力し、
前記復調部は、
前記受信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記復調用伝送パラメータ切替部により出力された前記変調ビット数を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記変調ビット数に対応する信号に対し、前記変調ビット数による変調を行い、変調後の多重信号を出力し、
前記時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の時間インタリーブ長を入力し、前記信号切替制御部により出力された時間デインタリーブ用の切替信号に基づき、前記複数の時間インタリーブ長のうち1つの時間インタリーブ長を選択して出力し、
前記時間デインタリーブ処理部は、
前記復調部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部により出力された前記時間インタリーブ長を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記時間インタリーブ長に対応する信号に対し、前記時間インタリーブ長による時間デインタリーブ処理を行い、時間デインタリーブ処理後の多重信号を出力し、
前記誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の符号化率を入力し、前記信号切替制御部により出力された誤り訂正復号用の切替信号に基づき、前記複数の符号化率のうち1つの符号化率を選択して出力し、
前記誤り訂正復号化部は、
前記時間デインタリーブ処理部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部により出力された前記符号化率を入力し、前記多重信号に含まれる前記複数の信号のうちの前記符号化率に対応する信号に対し、前記符号化率による誤り訂正復号化を行い、誤り訂正復号化後の多重データを出力し、
前記多重分離部は、
前記誤り訂正復号化部により出力された前記多重データを入力すると共に、前記信号切替制御部により出力された多重分離用の切替信号に基づき、TDM方式の多重分離を行い、前記複数の受信データを出力し、
前記信号切替制御部は、
前記復調部により復調が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記復調用の切替信号を生成し、前記復調用の切替信号を前記復調用伝送パラメータ切替部に出力し、
前記時間デインタリーブ処理部により時間デインタリーブ処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記時間インタリーブ用の切替信号を生成し、前記時間インタリーブ用の切替信号を前記時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部に出力し、
前記誤り訂正復号化部により誤り訂正復号化が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記誤り訂正復号用の切替信号を生成し、前記誤り訂正復号用の切替信号を前記誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部に出力し、
前記多重分離部により多重分離された前記多重データに含まれる前記複数の受信データのそれぞれのタイミングを示す前記多重分離用の切替信号を生成し、前記多重分離用の切替信号を前記多重分離部に出力する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の受信装置において、
さらに、電力配分用伝送パラメータ切替部及び電力配分処理部を備え、
前記電力配分用伝送パラメータ切替部は、
前記複数の送信データに対応する複数の電力配分を入力し、前記信号切替制御部により出力された電力配分用の切替信号に基づき、前記複数の電力配分のうち1つの電力配分を選択して出力し、
前記電力配分処理部は、
前記受信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記電力配分用伝送パラメータ切替部により出力された前記電力配分を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記電力配分に対応する信号に対し、前記電力配分により、前記SVD-MIMO方式による固有モードの仮想伝送路毎の電力配分処理を行い、電力配分処理後の多重信号を出力し、
前記復調部は、
前記電力配分処理部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記変調ビット数を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記変調ビット数に対応する信号に対し、前記変調ビット数による変調を行い、前記変調後の多重信号を出力し、
前記信号切替制御部は、さらに、
前記電力配分処理部により電力配分処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記電力配分用の切替信号を生成し、前記電力配分用の切替信号を前記電力配分用伝送パラメータ切替部に出力する、ことを特徴とする受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SVD-MIMO(Singular Value Decomposition-Multiple-Input Multiple-Output:特異値分解-多入力多出力)方式の伝送システムに用いる送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、番組素材伝送用の無線伝送装置はFPU(Field Pickup Unit)と呼ばれ、中継現場または取材先から放送局へ映像を伝送する装置として重要なものになっている。特に、駅伝、マラソン等のロードレース中継では、FPUは、移動する中継車から映像及び音声を伝送するために必須のものになっている。
【0003】
FPUの伝送方式としては、TDD-SVD-MIMO(Time Division Duplex-Singular Value Decomposition-Multiple-Input Multiple-Output:時分割複信-特異値分解-多入力多出力)方式の検討が進んでいる(例えば特許文献1及び非特許文献1を参照)。
【0004】
TDD方式の通信は、移動局から基地局へのUL(Up Link:アップリンク)の伝送と、基地局から移動局へのDL(Down Link:ダウンリンク)の伝送とを交互に行う。このときの伝送単位をそれぞれULフレーム及びDLフレームという。
【0005】
図8は、ULフレームの構成例を説明する図である。横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。移動局から基地局へ伝送されるULフレームは、複数のOFDMシンボルから構成される。この例では、1ULフレームは、4個のOFDMシンボルから構成されている。
【0006】
一方で、MIMO技術は、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを用いることで、伝送容量を拡大する技術である。
【0007】
(SVD-MIMO方式)
図9は、SVD-MIMO方式によるMIMO伝送の概略を説明する図である。この伝送システムは、複数の送信アンテナ104を備えた移動局の無線伝送装置である送信装置101と、複数の受信アンテナ105を備えた基地局の無線伝送装置である受信装置102とを備えて構成される。この伝送システムにより、SVD-MIMO方式によるMIMO伝送が実現されることで、複数の独立した仮想伝送路103が形成される。
【0008】
SVD-MIMO方式は、受信装置102において、チャネル行列から特異値分解と呼ばれる方法で送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWを決定し、送信ウェイトSWを送信装置101へフィードバックし、送信装置101において、送信信号に送信ウェイトを乗算してULフレームを受信装置102へ送信し、受信装置102において、受信したULフレームに受信ウェイトを乗算するものである。
【0009】
これにより、空間上に複数の独立した仮想伝送路103が形成され、伝送容量を拡大することができる。尚、SVD-MIMO方式の詳細については、非特許文献1を参照されたい。
【0010】
図9に示した伝送システムにおいて、送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWは、伝搬環境の変化に応じて変わってしまう。このため、受信装置102は、ULフレームを受信する毎に、送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWを更新する必要がある。
【0011】
図10は、送信ウェイトSWの送受信の流れを説明する図である。移動局の送信装置101は、ULフレームを送信する(ステップS901)。そして、基地局の受信装置102は、ULフレームを受信して次回の送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWを決定し(ステップS902)、受信ウェイトRWを保持する。
【0012】
受信装置102は、送信ウェイトSWをDLフレームにてフィードバックする(ステップS903)。そして、送信装置101は、DLフレームにて送信ウェイトSWを取得する(ステップS904)。
【0013】
送信装置101は、次に送信する送信信号に送信ウェイトSWを乗算し、ステップS901の処理と同様に、ULフレームを送信する(ステップS905)。そして、受信装置102は、ULフレームを受信し、ULフレームの受信信号に、保持していた受信ウェイトRWを乗算し(ステップS906)、前述のステップS902の処理を行う。
【0014】
このように、ULフレーム毎に送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWを更新することで、安定したMIMO伝送を実現することができる。
【0015】
(従来のSVD-MIMO方式の伝送システム)
図11は、従来技術におけるSVD-MIMO方式の伝送システムの構成例を示す図である。この伝送システムは、移動局の送信装置101と基地局の受信装置102とを備えて構成される。
【0016】
送信装置101は、誤り訂正符号化部111、時間インタリーブ処理部112、変調部113、送信ウェイト乗算部114及びULフレーム構成部115を備えている。
【0017】
送信装置101は、映像信号、IP信号等の送信データSDを入力し、符号化率P1による誤り訂正符号化、時間インタリーブ長P2による時間インタリーブ処理、変調ビット数P3の所定の変調方式による変調、送信ウェイトSWによる送信ウェイト乗算、ULフレームの構成等を行い、ULフレームの送信信号Sを送信する。
【0018】
受信装置102は、ULフレーム解析部121、受信ウェイト乗算部122、復調部123、時間デインタリーブ処理部124及び誤り訂正復号化部125を備えている。
【0019】
受信装置102は、ULフレームの送信信号Sに対応するULフレームの受信信号Rを受信し、ULフレームの解析、受信ウェイトRWによる受信ウェイト乗算、変調ビット数P3の所定の変調方式による復調、時間インタリーブ長P2による時間デインタリーブ処理、符号化率P1による誤り訂正復号化等を行い、受信データRDを出力する。
【0020】
符号化率P1、時間インタリーブ長P2及び変調ビット数P3は、送信装置101及び受信装置102の運用者(ユーザ)により予め設定される。送信装置101の送信ウェイト乗算部114が用いる送信ウェイトSWは、受信装置102により決定されフィードバックされる。また、受信装置102の受信ウェイト乗算部122が用いる受信ウェイトRWは、当該受信装置102により決定される。符号化率P1、時間インタリーブ長P2、変調ビット数P3、送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWは、伝送パラメータである。
【0021】
これらの伝送パラメータを適切な値に設定することで、大容量、低遅延等の所望の通信品質を実現することができる。例えば変調ビット数P3をより大きい値に設定することにより、伝送容量をより大きくすることができる。また、時間インタリーブ長P2をより短い時間に設定することにより、伝送遅延をより短くすることができる。
【0022】
(通信品質の異なる複数の信号の同時伝送)
ここで、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、通信品質の異なる複数の信号を同時に伝送する場合を想定する。通信品質の異なる複数の信号とは、例えば送信データSD-1は大容量伝送が所望され、送信データSD-2は低遅延伝送が所望される場合のように、要求される通信品質が異なる信号を指している。
【0023】
図11に示した従来のSVD-MIMO方式の伝送システムを基本にして、通信品質の異なる2つの信号を同時に伝送する場合を想定すると、後述する
図12に示す2つのSVD-MIMO方式の伝送システムを用いる場合(第1の手法)、及び後述する
図14に示すTDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)方式を実現する1つのSVD-MIMO方式の伝送システムを用いる場合(第2の手法)が考えられる。
【0024】
図12は、従来技術において、2つの信号を2つのSVD-MIMO方式の伝送システムにて伝送する場合の構成例を示す図であり、前述の第1の手法を示している。この伝送システムは、移動局の送信装置101-1,101-2と基地局の受信装置102-1,102-2とを備えて構成され、
図11に示した送信装置101及び受信装置102を2組備えて構成される。受信装置102-1は送信装置101-1に対応しており、受信装置102-2は送信装置101-2に対応している。
【0025】
送信装置101-1は、第1の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-1を入力し、ULフレームの送信信号S-1を受信装置102-1へ送信する。送信装置101-1は、符号化率P1-1を用いる誤り訂正符号化部111-1、時間インタリーブ長P2-1を用いる時間インタリーブ処理部112-1、変調ビット数P3-1を用いる変調部113-1、送信ウェイトSW-1を用いる送信ウェイト乗算部114-1、及びULフレーム構成部115-1を備えている。
【0026】
受信装置102-1は、ULフレームの送信信号S-1に対応するULフレームの受信信号R-1を受信し、第1の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-1に対応する受信データRD-1を出力する。受信装置102-1は、ULフレーム解析部121-1、受信ウェイトRW-1を用いる受信ウェイト乗算部122-1、変調ビット数P3-1を用いる復調部123-1、時間インタリーブ長P2-1を用いる時間デインタリーブ処理部124-1、及び符号化率P1-1を用いる誤り訂正復号化部125-1を備えている。
【0027】
送信装置101-2は、第2の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-2を入力し、ULフレームの送信信号S-2を受信装置102-2へ送信する。送信装置101-2は、符号化率P1-2を用いる誤り訂正符号化部111-2、時間インタリーブ長P2-2を用いる時間インタリーブ処理部112-2、変調ビット数P3-2を用いる変調部113-2、送信ウェイトSW-2を用いる送信ウェイト乗算部114-2、及びULフレーム構成部115-2を備えている。
【0028】
受信装置102-2は、ULフレームの送信信号S-2に対応するULフレームの受信信号R-2を受信し、第2の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-2に対応する受信データRD-2を出力する。受信装置102-2は、ULフレーム解析部121-2、受信ウェイトRW-2を用いる受信ウェイト乗算部122-2、変調ビット数P3-2を用いる復調部123-2、時間インタリーブ長P2-2を用いる時間デインタリーブ処理部124-2、及び符号化率P1-2を用いる誤り訂正復号化部125-2を備えている。
【0029】
送信装置101-1,101-2及び受信装置102-1,102-2の構成部の処理、並びに符号化率P1-1,P1-2等の伝送パラメータについては、
図11に示した送信装置101及び受信装置102、並びに符号化率P1等の伝送パラメータと同様である。
【0030】
これにより、2つのSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、通信品質が異なる2つの信号、すなわち符号化率P1-1,P1-2等の伝送パラメータの組み合わせが異なる2つの信号を同時に伝送することができる。尚、伝送パラメータは、送信データSD-1,SD-2毎に個別に設定される。
【0031】
図13は、TDM方式の概略を説明する図である。TDM方式は、1つの伝送路において、複数の異なる信号を時間方向に順番に伝送することにより多重化を行う通信方式である。
【0032】
多重部116は前述の移動局の送信装置101に設けられ、多重部116は、通信品質の異なる3つの信号A、信号B及び信号Cを入力し、予め設定されたデータ量に基づいてスイッチを切り替えることで、これらの信号に対しTDM方式の多重化を行い、信号A,B,Cの順の多重信号を出力する。これにより、信号A,B,Cを時間方向に順番に並べた多重信号が出力される。
【0033】
多重分離部120は前述の基地局の受信装置102に設けられ、多重分離部120は、多重信号を入力し、予め設定されたデータ量に基づいてスイッチを切り替えることで、多重信号に対しTDM方式の多重分離を行い、信号A、信号B及び信号Cを出力する。
【0034】
図14は、従来技術において、2つの信号を、TDM方式を実現する1つのSVD-MIMO方式の伝送システムにて同時に伝送する場合の構成例を示す図であり、前述の第2の手法を示している。
【0035】
この伝送システムは、移動局の送信装置106と基地局の受信装置107とを備えて構成され、
図12に示した送信装置101-1,101-2及び受信装置102-1,102-2にTDM方式を適用したシステムである。
【0036】
送信装置106は、第1の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-1及び第2の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-2を入力し、これらをTDM方式にて多重化したULフレームの送信信号Sを受信装置107へ送信する。送信装置106は、符号化率P1-1,P1-2をそれぞれ用いる誤り訂正符号化部111-1,111-2、時間インタリーブ長P2-1,P2-2をそれぞれ用いる時間インタリーブ処理部112-1,112-2、変調ビット数P3-1,P3-2をそれぞれ用いる変調部113-1,113-2、送信ウェイトSW-1,SW-2をそれぞれ用いる送信ウェイト乗算部114-1,114-2、多重部116及びULフレーム構成部115を備えている。
【0037】
受信装置107は、ULフレームの送信信号Sに対応するULフレームの受信信号Rを受信し、第1の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-1に対応する受信データRD-1、及び第2の通信品質にて伝送が所望された送信データSD-2に対応する受信データRD-2を出力する。受信装置107は、ULフレーム解析部121、多重分離部120、受信ウェイトRW-1,RW-2をそれぞれ用いる受信ウェイト乗算部122-1,122-2、変調ビット数P3-1,P3-2をそれぞれ用いる復調部123-1,123-2、時間インタリーブ長P2-1,P2-2をそれぞれ用いる時間デインタリーブ処理部124-1,124-2、及び符号化率P1-1,P1-2をそれぞれ用いる誤り訂正復号化部125-1,125-2を備えている。
【0038】
送信装置106及び受信装置107の各構成部の処理、並びに符号化率P1-1,P1-2等の伝送パラメータについては、
図12に示した送信装置101-1,101-2及び受信装置102-1,102-2、
図13に示した多重部116及び多重分離部120、並びに
図12に示した符号化率P1-1,P1-2等の伝送パラメータと同様である。
【0039】
これにより、TDM方式による信号多重化を実現する1つの伝送システムにおいて、通信品質が異なる2つの信号、すなわち伝送パラメータの組み合わせが異なる2つの信号を同時に伝送することができる。尚、伝送パラメータは、送信データSD-1,SD-2毎に個別に設定される。
【0040】
図15は、TDM方式によるULフレームへの送信データSD-1,SD-2の格納例を説明する図であり、
図14に示した送信装置106のULフレーム構成部115による格納例を示している。このULフレームは、
図8に示したとおり、4個のOFDMシンボルから構成されている。
【0041】
多重部116により多重化された多重信号に含まれる送信データSD-1,SD-2の信号は、OFDMシンボルを単位として、時間方向に順番に並べられULフレームに格納される。この例では、送信データSD-1における2個のOFDMシンボル及び送信データSD-2における2個のOFDMシンボルが、この順番にULフレームに格納されることで、4個のOFDMシンボルからなるULフレームが構成される。
【0042】
図16は、ULフレームにおける時間軸上の送信データSD-1,SD-2の送信タイミングを示す図である。
図16に示すように、1ULフレームの送信時間において、時間方向に順番に、最初に送信データSD-1が送信され、次に送信データSD-2が送信される。
【0043】
尚、伝送システムにより同時に伝送可能な通信品質の異なる信号(伝送パラメータの組み合わせが異なる信号)の上限数は、ULフレームを構成するOFDMシンボルの個数に依存する。これは、1個のOFDMシンボルには、1つの信号のみが格納され、通信品質の異なる複数の信号を格納することができないからである。
図15の例は、1ULフレームが4個のOFDMシンボルから構成される場合を示しており、この場合の同時に伝送可能な通信品質の異なる信号の上限数は4となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【非特許文献】
【0045】
【非特許文献1】“超高精細度テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形準マイクロ波帯OFDM方式デジタル無線伝送システム”、ARIB STD-B75、一般社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0046】
前述のとおり、
図14に示した第2の手法は、通信品質が異なる複数の信号、すなわち伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号を、TDM方式を実現する1つのSVD-MIMO方式の伝送システムにて伝送する場合を示している。
【0047】
しかしながら、この手法では、伝送する信号の数(送信データSDの数)に比例して、回路規模が増加するという問題があった。
【0048】
具体的には、伝送する信号の数が増加する毎に、送信装置106の誤り訂正符号化部111、時間インタリーブ処理部112、変調部113及び送信ウェイト乗算部114が必要となる。また、受信装置107の受信ウェイト乗算部122、復調部123、時間デインタリーブ処理部124及び誤り訂正復号化部125も必要となる。
【0049】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制可能な送信装置及び受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0050】
前記課題を解決するために、請求項1の送信装置は、送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データを入力し、前記複数の送信データを多重化して送信する前記送信装置において、前記複数の送信データに対応する複数の送信処理部、並びに、多重部、送信ウェイト乗算部及びULフレーム構成部を備え、前記複数の送信処理部のそれぞれが、前記複数の送信データのうち当該送信処理部に対応する送信データを入力し、前記送信データに対し、前記送信データに対応する前記符号化率、前記時間インタリーブ長及び前記変調ビット数にて、それぞれ誤り訂正符号化、時間インタリーブ処理及び変調の送信処理を行い、送信処理後の信号を生成し、前記多重部が、前記複数の送信処理部により生成された複数の送信処理後の信号に対し、TDM方式の多重化を行い、多重信号を出力し、前記送信ウェイト乗算部が、前記多重部により出力された前記多重信号に対し、前記受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された前記送信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、前記ULフレーム構成部が、前記送信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号に含まれる前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを、時間方向に順番に並べることでULフレームを構成し、前記ULフレームを前記受信装置へ送信する、ことを特徴とする。
【0051】
また、請求項2の送信装置は、送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データを入力し、前記複数の送信データを多重化して送信する前記送信装置において、多重部、誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部、誤り訂正符号化部、時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部、時間インタリーブ処理部、変調用伝送パラメータ切替部、変調部、信号切替制御部、送信ウェイト乗算部及びULフレーム構成部を備え、前記多重部が、前記複数の送信データを入力し、前記複数の送信データに対し、前記信号切替制御部により出力された多重用の切替信号に基づき、TDM方式の多重化を行い、多重データを出力し、前記誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の符号化率を入力し、前記信号切替制御部により出力された誤り訂正符号化用の切替信号に基づき、前記複数の符号化率のうち1つの符号化率を選択して出力し、前記誤り訂正符号化部が、前記多重部により出力された前記多重データを入力すると共に、前記誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部により出力された前記符号化率を入力し、前記多重データに含まれる前記複数の送信データのうちの前記符号化率に対応する送信データに対し、前記符号化率による誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化後の多重信号を出力し、前記時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の時間インタリーブ長を入力し、前記信号切替制御部により出力された時間インタリーブ用の切替信号に基づき、前記複数の時間インタリーブ長のうち1つの時間インタリーブ長を選択して出力し、前記時間インタリーブ処理部が、前記誤り訂正符号化部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部により出力された前記時間インタリーブ長を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記時間インタリーブ長に対応する信号に対し、前記時間インタリーブ長による時間インタリーブ処理を行い、時間インタリーブ処理後の多重信号を出力し、前記変調用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の変調ビット数を入力し、前記信号切替制御部により出力された変調用の切替信号に基づき、前記複数の変調ビット数のうち1つの変調ビット数を選択して出力し、前記変調部が、前記時間インタリーブ処理部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記変調用伝送パラメータ切替部により出力された前記変調ビット数を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記変調ビット数に対応する信号に対し、前記変調ビット数による変調を行い、変調後の多重信号を出力し、前記送信ウェイト乗算部が、前記変調部により出力された前記変調後の多重信号に対し、前記受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された前記送信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、前記ULフレーム構成部が、前記送信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号に含まれる前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを、時間方向に順番に並べることでULフレームを構成し、前記ULフレームを前記受信装置へ送信し、前記信号切替制御部が、前記多重部により多重化が行われる前記複数の送信データのそれぞれのタイミングを示す前記多重用の切替信号を生成し、前記多重用の切替信号を前記多重部に出力し、前記誤り訂正符号化部により誤り訂正符号化が行われる前記多重データに含まれる前記複数の送信データのそれぞれのタイミングを示す前記誤り訂正符号化用の切替信号を生成し、前記誤り訂正符号化用の切替信号を前記誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部に出力し、前記時間インタリーブ処理部により時間インタリーブ処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記時間インタリーブ用の切替信号を生成し、前記時間インタリーブ用の切替信号を前記時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部に出力し、前記変調部により変調が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記変調用の切替信号を生成し、前記変調用の切替信号を前記変調用伝送パラメータ切替部に出力する、ことを特徴とする。
【0052】
また、請求項3の送信装置は、請求項2に記載の送信装置において、さらに、電力配分用伝送パラメータ切替部及び電力配分処理部を備え、前記電力配分用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の電力配分を入力し、前記信号切替制御部により出力された電力配分用の切替信号に基づき、前記複数の電力配分のうち1つの電力配分を選択して出力し、前記電力配分処理部が、前記変調部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記電力配分用伝送パラメータ切替部により出力された前記電力配分を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記電力配分に対応する信号に対し、前記電力配分により、前記SVD-MIMO方式による固有モードの仮想伝送路毎の電力配分処理を行い、電力配分処理後の多重信号を出力し、前記送信ウェイト乗算部が、前記電力配分処理部により出力された前記電力配分処理後の多重信号に対し、前記送信ウェイトを乗算し、前記信号切替制御部が、さらに、前記電力配分処理部により電力配分処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記電力配分用の切替信号を生成し、前記電力配分用の切替信号を前記電力配分用伝送パラメータ切替部に出力する、ことを特徴とする。
【0053】
さらに、請求項4の受信装置は、送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、前記送信装置から符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データの多重信号を含むULフレームを受信し、前記多重信号を多重分離し、前記複数の送信データに対応する複数の受信データを出力する前記受信装置において、ULフレーム解析部、受信ウェイト乗算部及び多重分離部、並びに、前記複数の受信データに対応する複数の受信処理部を備え、前記ULフレーム解析部が、前記ULフレームから、時間方向に順番に並んだ前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを読み出し、前記受信ウェイト乗算部が、前記ULフレーム解析部により読み出された前記OFDMシンボルの多重信号に対し、当該受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された受信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、前記多重分離部が、前記受信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号に対し、TDM方式の多重分離を行い、複数の信号を出力し、前記複数の受信処理部のそれぞれが、前記多重分離部により出力された前記複数の信号のうち当該受信処理部に対応する信号を入力し、当該信号に対し、当該信号の前記送信データに対応する変調ビット数、時間インタリーブ長及び符号化率にて、それぞれ復調、時間デインタリーブ処理及び誤り訂正復号処理を行い、誤り訂正復号処理後の信号を前記受信データとして出力する、ことを特徴とする。
【0054】
また、請求項5の受信装置は、送信装置から伝送路を介して受信装置へ無線伝送を行うSVD-MIMO方式の伝送システムの下で、前記送信装置から符号化率、時間インタリーブ長、変調ビット数及び送信ウェイトを含む伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データの多重信号を含むULフレームを受信し、前記多重信号を多重分離し、前記複数の送信データに対応する複数の受信データを出力する前記受信装置において、ULフレーム解析部、受信ウェイト乗算部、復調用伝送パラメータ切替部、復調部、時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部、時間デインタリーブ処理部、誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部、誤り訂正復号化部、多重分離部及び信号切替制御部を備え、前記ULフレーム解析部が、前記ULフレームから、時間方向に順番に並んだ前記複数の送信データのそれぞれに対応するOFDMシンボルを読み出し、前記受信ウェイト乗算部が、前記ULフレーム解析部により読み出された前記OFDMシンボルの多重信号に対し、当該受信装置により前記伝送路のチャネル行列の特異値分解により算出された受信ウェイトを乗算し、乗算後の多重信号を出力し、前記復調用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の変調ビット数を入力し、前記信号切替制御部により出力された復調用の切替信号に基づき、前記複数の変調ビット数のうち1つの変調ビット数を選択して出力し、前記復調部が、前記受信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記復調用伝送パラメータ切替部により出力された前記変調ビット数を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記変調ビット数に対応する信号に対し、前記変調ビット数による変調を行い、変調後の多重信号を出力し、前記時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の時間インタリーブ長を入力し、前記信号切替制御部により出力された時間デインタリーブ用の切替信号に基づき、前記複数の時間インタリーブ長のうち1つの時間インタリーブ長を選択して出力し、前記時間デインタリーブ処理部が、前記復調部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部により出力された前記時間インタリーブ長を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記時間インタリーブ長に対応する信号に対し、前記時間インタリーブ長による時間デインタリーブ処理を行い、時間デインタリーブ処理後の多重信号を出力し、前記誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の符号化率を入力し、前記信号切替制御部により出力された誤り訂正復号用の切替信号に基づき、前記複数の符号化率のうち1つの符号化率を選択して出力し、前記誤り訂正復号化部が、前記時間デインタリーブ処理部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部により出力された前記符号化率を入力し、前記多重信号に含まれる前記複数の信号のうちの前記符号化率に対応する信号に対し、前記符号化率による誤り訂正復号化を行い、誤り訂正復号化後の多重データを出力し、前記多重分離部が、前記誤り訂正復号化部により出力された前記多重データを入力すると共に、前記信号切替制御部により出力された多重分離用の切替信号に基づき、TDM方式の多重分離を行い、前記複数の受信データを出力し、前記信号切替制御部が、前記復調部により復調が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記復調用の切替信号を生成し、前記復調用の切替信号を前記復調用伝送パラメータ切替部に出力し、前記時間デインタリーブ処理部により時間デインタリーブ処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記時間インタリーブ用の切替信号を生成し、前記時間インタリーブ用の切替信号を前記時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部に出力し、前記誤り訂正復号化部により誤り訂正復号化が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記誤り訂正復号用の切替信号を生成し、前記誤り訂正復号用の切替信号を前記誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部に出力し、前記多重分離部により多重分離された前記多重データに含まれる前記複数の受信データのそれぞれのタイミングを示す前記多重分離用の切替信号を生成し、前記多重分離用の切替信号を前記多重分離部に出力する、ことを特徴とする。
【0055】
また、請求項6の受信装置は、請求項5に記載の受信装置において、さらに、電力配分用伝送パラメータ切替部及び電力配分処理部を備え、前記電力配分用伝送パラメータ切替部が、前記複数の送信データに対応する複数の電力配分を入力し、前記信号切替制御部により出力された電力配分用の切替信号に基づき、前記複数の電力配分のうち1つの電力配分を選択して出力し、前記電力配分処理部が、前記受信ウェイト乗算部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記電力配分用伝送パラメータ切替部により出力された前記電力配分を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記電力配分に対応する信号に対し、前記電力配分により、前記SVD-MIMO方式による固有モードの仮想伝送路毎の電力配分処理を行い、電力配分処理後の多重信号を出力し、前記復調部が、前記電力配分処理部により出力された前記多重信号を入力すると共に、前記変調ビット数を入力し、前記多重信号に含まれる複数の信号のうちの前記変調ビット数に対応する信号に対し、前記変調ビット数による変調を行い、前記変調後の多重信号を出力し、前記信号切替制御部が、さらに、前記電力配分処理部により電力配分処理が行われる前記多重信号に含まれる前記複数の信号のそれぞれのタイミングを示す前記電力配分用の切替信号を生成し、前記電力配分用の切替信号を前記電力配分用伝送パラメータ切替部に出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0056】
以上のように、本発明によれば、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】実施例1の送信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施例1の受信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】ULフレームにおける時間軸上の送信データSD-1,・・・,SD-Nの送信タイミングを示す図である。
【
図4】実施例2の送信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施例2の受信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施例3の送信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】実施例3の受信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】SVD-MIMO方式によるMIMO伝送の概略を説明する図である。
【
図10】送信ウェイトSWの送受信の流れを説明する図である。
【
図11】従来技術におけるSVD-MIMO方式の伝送システムの構成例を示す図である。
【
図12】従来技術において、2つの信号を2つのSVD-MIMO方式の伝送システムにて伝送する場合の構成例を示す図である。
【
図14】従来技術において、2つの信号を、TDM方式を実現する1つのSVD-MIMO方式の伝送システムにて同時に伝送する場合の構成例を示す図である。
【
図15】TDM方式によるULフレームへの送信データSD-1,SD-2の格納例を説明する図である。
【
図16】ULフレームにおける時間軸上の送信データSD-1,SD-2の送信タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。実施例1の伝送システムは、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号を伝送する際に、送信側の送信ウェイト乗算部及び受信側の受信ウェイト乗算部をそれぞれ1つに集約することを特徴とする。
【0059】
また、実施例2の伝送システムは、実施例1の伝送システムにおいて、さらに、送信側の誤り訂正符号化部、時間インタリーブ処理部及び変調部、並びに受信側の復調部、時間デインタリーブ処理部及び誤り訂正復号化部をそれぞれ1つに集約することを特徴とする。
【0060】
また、実施例3の伝送システムは、実施例2の伝送システムにおいて、さらに、送信側の電力配分処理部及び受信側の電力配分処理部をそれぞれ1つに集約することを特徴とする。
【0061】
〔実施例1〕
まず、実施例1について説明する。前述のとおり、実施例1の伝送システムは、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号を伝送する際に、送信側の送信ウェイト乗算部及び受信側の受信ウェイト乗算部をそれぞれ1つに集約するものである。
【0062】
前述の非特許文献1の規格では、ULフレームに格納される全てのOFDMシンボルにおいて、送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWは共通している。このため、非特許文献1の規格に準拠したSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号に対しTDM方式の多重化を行い、これらの信号をULフレームに格納した場合であっても、送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWは、ULフレーム内の全てのOFDMシンボルにおいて共通である。
【0063】
すなわち、
図14に示した2個の信号を伝送する伝送システムをN個の信号に拡張した場合において、送信データSD-1,SD-2,・・・,SD-Nのそれぞれの信号が同じULフレームに格納される場合、送信ウェイトSW-1=送信ウェイトSW-2=・・・=送信ウェイトSW-Nであり、受信ウェイトRW-1=受信ウェイトRW-2=・・・=受信ウェイトRW-Nである。Nは2以上の整数である。
【0064】
本発明者はこの点に着目し、送信ウェイトSWの乗算処理を複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nの信号毎に行う必要がなく、また、受信ウェイトRWの乗算処理を、受信した複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号毎に行う必要もないことを見出した。このため、実施例1では、送信側の送信ウェイト乗算部及び受信側の受信ウェイト乗算部をそれぞれ1つに集約するようにした。これにより、回路規模の増加を抑制することができる。
【0065】
(送信装置/実施例1)
実施例1の送信装置について説明する。
図1は、実施例1の送信装置の構成例を示すブロック図である。尚、説明を簡単にするために、
図1には、本発明に直接関連する構成部のみを示しており、直接関連しない構成部は省略してある。後述する
図2、
図4、
図5及び
図6についても同様である。
【0066】
この送信装置1は、移動局側の無線伝送装置であり、送信処理部10-1,・・・,10-N、多重部14、送信ウェイト乗算部15及びULフレーム構成部16を備えている。送信処理部10-1は、誤り訂正符号化部11-1、時間インタリーブ処理部12-1及び変調部13-1を備え、・・・、送信処理部10-Nは、誤り訂正符号化部11-N、時間インタリーブ処理部12-N及び変調部13-Nを備えている。
【0067】
送信装置1は、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nを送信処理部10-1,・・・,10-Nの系統毎に入力して誤り訂正符号化等の送信処理を行い、複数の送信処理後の信号に対しTDM方式の多重化を行い、多重化された多重信号に対して送信ウェイトSWの乗算を行い、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて後述する
図2の受信装置2へ送信する。
【0068】
符号化率P1-1、時間インタリーブ長P2-1及び変調ビット数P3-1は、送信処理部10-1により送信データSD-1を処理する際に用いる伝送パラメータであり、・・・、符号化率P1-N、時間インタリーブ長P2-N及び変調ビット数P3-Nは、送信処理部10-Nにより送信データSD-Nを処理する際に用いる伝送パラメータである。
【0069】
これらの伝送パラメータは、後述する
図2の受信装置2においてユーザにより予め設定され、受信装置2からDLフレームにて送信装置1へ送信される。つまり、これらの伝送パラメータは、送信装置1及び後述する受信装置2において保持されており、同じ値が用いられる。
【0070】
尚、これらの伝送パラメータのうち符号化率P1-1,・・・,P1-N及び変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nは、後述する受信装置2において算出され、受信装置2からDLフレームにて送信装置1へ送信されるようにしてもよい。
【0071】
また、送信ウェイトSWは、送信ウェイト乗算部15により後述する多重信号に乗算される伝送パラメータであり、後述する受信装置2において算出され、受信装置2からDLフレームにて送信装置1へ送信され、送信装置1において保持される。
【0072】
誤り訂正符号化部11-1は、送信データSD-1を入力すると共に、送信データSD-1に対応する符号化率P1-1を入力し、送信データSD-1に対し、符号化率P1-1による誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化後の信号を時間インタリーブ処理部12-1に出力する。
【0073】
誤り訂正符号化部11-2,・・・,11-Nについても誤り訂正符号化部11-1と同様の処理が行われる。つまり、誤り訂正符号化部11-2,・・・,11-Nは、送信データSD-2,・・・,SD-Nに対し、それぞれ符号化率P1-2,・・・,P1-Nによる誤り訂正符号化を行う。
【0074】
時間インタリーブ処理部12-1は、誤り訂正符号化部11-1から誤り訂正符号化後の信号を入力すると共に、送信データSD-1に対応する時間インタリーブ長P2-1を入力し、誤り訂正符号化後の信号に対し、時間インタリーブ長P2-1による時間インタリーブ処理を行い、時間インタリーブ処理後の信号を変調部13-1に出力する。
【0075】
時間インタリーブ処理部12-2,・・・,12-Nについても時間インタリーブ処理部12-1と同様の処理が行われる。つまり、時間インタリーブ処理部12-2,・・・,12-Nは、誤り訂正符号化後の信号に対し、それぞれ時間インタリーブ長P2-2,・・・,P2-Nによる時間インタリーブ処理を行う。
【0076】
変調部13-1は、時間インタリーブ処理部12-1から時間インタリーブ処理後の信号を入力すると共に、送信データSD-1に対応する変調ビット数P3-1を入力し、時間インタリーブ処理後の信号に対し、変調ビット数P3-1の所定の変調方式による変調を行い、変調後の信号を多重部14に出力する。
【0077】
変調部13-2,・・・,13-Nについても変調部13-1と同様の処理が行われる。つまり、変調部13-2,・・・,13-Nは、時間インタリーブ処理後の信号に対し、それぞれ変調ビット数P3-2,・・・,P3-Nの所定の変調方式による変調を行い、変調後の信号を多重部14に出力する。
【0078】
多重部14は、変調部13-1,・・・,13-Nから変調後の信号をそれぞれ入力して保持し、例えば予め設定されたデータ量(変調後の信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれのデータ量)に基づいてスイッチを切り替えることで、これらの信号に対しTDM方式の多重化を行い、多重信号を送信ウェイト乗算部15に出力する。これにより、変調部13-1から入力した変調後の信号、・・・、及び変調部13-Nから入力した変調後の信号のそれぞれを時間方向に順番に並べた多重信号が生成される。
【0079】
送信ウェイト乗算部15は、多重部14から多重信号を入力すると共に、後述する
図2に示す受信装置2により算出された送信ウェイトSWを入力し、多重信号に対し送信ウェイトSWを乗算し、乗算後の多重信号をULフレーム構成部16に出力する。これにより、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれに対応する変調後の信号に対し、同一の送信ウェイトSWが乗算される。
【0080】
ULフレーム構成部16は、送信ウェイト乗算部15から乗算後の多重信号を入力し、乗算後の多重信号に対し、無線伝送可能な信号を生成するための変調を行う。そして、ULフレーム構成部16は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応するそれぞれのOFDMシンボルを、OFDMシンボルを単位として時間方向に順番に並べてULフレームを構成する(前述の
図15を参照)。そして、ULフレーム構成部16は、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて受信装置2へ送信する。
【0081】
以上のように、実施例1の送信装置1によれば、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nを入力し、送信処理部10-1,・・・,10-Nは、対応する送信データSD-1,・・・,SD-Nに対し、対応する符号化率P1-1,・・・,P1-N、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-N及び変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nにて、それぞれ誤り訂正符号化、時間インタリーブ処理及び変調の送信処理を行う。
【0082】
多重部14は、送信処理後の複数の信号に対しTDM方式の多重化を行う。送信ウェイト乗算部15は、多重信号に対し送信ウェイトSWを乗算する。ULフレーム構成部16は、乗算後の多重信号を変調してULフレームを構成し、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて送信する。
【0083】
これにより、前述の非特許文献1の規格に準拠するSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して同時に伝送する場合、ULフレームのOFDMシンボル毎に伝送パラメータの組み合わせが異なる信号が格納されている場合であっても、送信ウェイトSWは全てのOFDMシンボルで共通であることから、送信ウェイト乗算部15を1つに集約することができる。
【0084】
したがって、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制することができる。
【0085】
(受信装置/実施例1)
次に、実施例1の受信装置について説明する。
図2は、実施例1の受信装置の構成例を示すブロック図である。
【0086】
この受信装置2は、基地局側の無線伝送装置であり、ULフレーム解析部21、受信ウェイト乗算部22、多重分離部23及び受信処理部20-1,・・・,20-Nを備えている。受信処理部20-1は、復調部24-1、時間デインタリーブ処理部25-1及び誤り訂正復号化部26-1を備え、・・・、受信処理部20-Nは、復調部24-N、時間デインタリーブ処理部25-N及び誤り訂正復号化部26-Nを備えている。
【0087】
受信装置2は、
図1に示した送信装置1により送信されたULフレームの送信信号Sに対応するULフレームの受信信号R(送信信号Sが伝送路を経由して受信信号R)をMIMO方式にて受信し、受信信号Rに対して受信ウェイトRWの乗算及びTDM方式の多重分離を行い、多重分離された複数の信号のそれぞれを、受信処理部20-1,・・・,20-Nの系統毎に入力して復調等の受信処理を行い、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する複数の受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0088】
符号化率P1-1、時間インタリーブ長P2-1及び変調ビット数P3-1は、受信処理部20-1により多重分離された信号を処理する際に用いる伝送パラメータであり、・・・、符号化率P1-N、時間インタリーブ長P2-N及び変調ビット数P3-Nは、受信処理部20-Nにより多重分離された信号を処理する際に用いる伝送パラメータである。
【0089】
これらの伝送パラメータは、当該受信装置2においてユーザにより予め設定され、受信装置2は、これらの伝送パラメータをDLフレームにて送信装置1へ送信する。つまり、これらの伝送パラメータは、当該受信装置2及び前述の送信装置1において保持されており、同じ値が用いられる。
【0090】
尚、これらの伝送パラメータのうち符号化率P1-1,・・・,P1-N及び変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nは、当該受信装置2が算出し、受信装置2からDLフレームにて送信装置1へ送信するようにしてもよい。この場合、受信装置2に備えた図示しない伝送パラメータ算出部は、伝搬環境を反映したデータを求め、当該データに応じて符号化率P1-1,・・・,P1-N及び変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nを決定する。例えば図示しない伝送パラメータ算出部は、伝搬環境が良好な場合、符号化率P1-1,・・・,P1-Nとして大きい値を求め、伝搬環境が劣悪な場合、小さい値を求める。これにより、伝搬環境が良好な場合は伝送レートを拡大することができ、伝搬環境が劣悪な場合は誤り訂正能力を高めることができる。
【0091】
また、受信ウェイトRWは、受信ウェイト乗算部22により後述する多重信号に乗算される伝送パラメータであり、当該受信装置2が算出する。この場合、図示しない特異値分解部は、受信信号Rから推定されたチャネル行列を特異値分解し、送信ウェイトSW及び受信ウェイトRWを決定し、当該受信装置2は、これらの伝送パラメータのうち受信ウェイトRWを保持し、送信ウェイトSWをDLフレームにて送信装置1へ送信する。
【0092】
ULフレーム解析部21は、ULフレームの受信信号RをMIMO方式にて受信し、受信信号Rに対して、同期処理を行うことでULフレーム及びOFDMシンボルの先頭を検出し、ULフレームから、OFDMシンボルを単位として時間方向に順番に並んでいるOFDMシンボルを読み出す。そして、ULフレーム解析部21は、OFDMシンボルの多重信号を受信ウェイト乗算部22に出力する。
【0093】
受信ウェイト乗算部22は、ULフレーム解析部21から多重信号を入力すると共に、当該受信装置2にて算出された受信ウェイトRWを入力し、多重信号に対し受信ウェイトRWを乗算し、乗算後の多重信号を多重分離部23に出力する。これにより、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応するそれぞれの信号に対し、同一の受信ウェイトRWが乗算される。
【0094】
多重分離部23は、受信ウェイト乗算部22から乗算後の多重信号を入力し、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれについて復調が行われるデータ量)に基づいてスイッチを切り替えることで、多重信号に対しTDM方式の多重分離を行う。これにより、受信ウェイト乗算部22から入力された多重信号が順番に区切られ、送信データSD-1に対応する信号、・・・、及び送信データSD-Nに対応する信号に分離される。
【0095】
多重分離部23は、多重分離された送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応するそれぞれの信号を、対応する受信処理部20-1,・・・,20-Nに出力する。
【0096】
復調部24-1は、多重分離部23から多重分離された送信データSD-1に対応する信号を入力すると共に、送信データSD-1に対応する変調ビット数P3-1を入力し、当該信号に対し、変調ビット数P3-1の所定の変調方式による復調を行い、復調後の信号を時間デインタリーブ処理部25-1に出力する。
【0097】
復調部24-2,・・・,24-Nについても復調部24-1と同様の処理が行われる。つまり、復調部24-2,・・・,24-Nは、多重分離された当該信号に対し、それぞれ変調ビット数P3-2,・・・,P3-Nの所定の変調方式による復調を行う。
【0098】
時間デインタリーブ処理部25-1は、復調部24-1から復調後の信号を入力すると共に、送信データSD-1に対応する時間インタリーブ長P2-1を入力し、復調後の信号に対し、時間インタリーブ長P2-1による時間デインタリーブ処理を行い、時間デインタリーブ処理後の信号を誤り訂正復号化部26-1に出力する。
【0099】
時間デインタリーブ処理部25-2,・・・,25-Nについても時間デインタリーブ処理部25-1と同様の処理が行われる。つまり、時間デインタリーブ処理部25-2,・・・,25-Nは、復調後の信号に対し、それぞれ時間インタリーブ長P2-2,・・・,P2-Nによる時間デインタリーブ処理を行う。
【0100】
誤り訂正復号化部26-1は、時間デインタリーブ処理部25-1から時間デインタリーブ処理後の信号を入力すると共に、送信データSD-1に対応する符号化率P1-1を入力し、時間デインタリーブ処理後の信号に対し、符号化率P1-1による誤り訂正復号化を行い、誤り訂正復号化後の信号を受信データRD-1として出力する。
【0101】
誤り訂正復号化部26-2,・・・,26-Nについても誤り訂正復号化部26-1と同様の処理が行われる。つまり、誤り訂正復号化部26-2,・・・,26-Nは、時間デインタリーブ処理後の信号に対し、それぞれ符号化率P1-2,・・・,P1-Nによる誤り訂正復号化を行い、誤り訂正復号化後の信号を受信データRD-2,・・・,受信データRD-Nとして出力する。
【0102】
以上のように、実施例1の受信装置2によれば、ULフレーム解析部21は、送信装置1からULフレームの受信信号RをMIMO方式にて受信し、ULフレームからOFDMシンボルを読み出す。
【0103】
受信ウェイト乗算部22は、OFDMシンボルの多重信号に対し受信ウェイトRWを乗算する。多重分離部23は、多重信号に対しTDM方式の多重分離を行う。
【0104】
受信処理部20-1,・・・,20-Nは、多重分離された送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する複数の信号のうち当該受信処理部の信号を入力し、当該信号に対し、対応する変調ビット数P3-1,・・・,P3-N、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-N及び符号化率P1-1,・・・,P1-Nにて、それぞれ復調、時間デインタリーブ処理及び誤り訂正復号化の受信処理を行い、受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0105】
これにより、前述の非特許文献1の規格に準拠するSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して同時に伝送する場合、ULフレームのOFDMシンボル毎に伝送パラメータの組み合わせが異なる信号が格納されている場合であっても、受信ウェイトRWは全てのOFDMシンボルで共通であることから、受信ウェイト乗算部22を1つに集約することができる。
【0106】
したがって、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制することができる。
【0107】
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。前述のとおり、実施例2の伝送システムは、実施例1の伝送システムにおいて、さらに、送信処理部10-1,・・・,10-NのN系統を1系統に集約するものである。つまり、実施例2の伝送システムは、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号を伝送する際に、送信側の誤り訂正符号化部、時間インタリーブ処理部及び変調部、並びに受信側の復調部、時間デインタリーブ処理部及び誤り訂正復号化部をそれぞれ1つに集約するものである。
【0108】
図3は、ULフレームにおける時間軸上の送信データSD-1,・・・,SD-Nの送信タイミングを示す図である。横軸は時間である。
【0109】
図3に示すように、TDM方式で多重化された信号は、1ULフレームにおいて、送信データSD-1,・・・,SD-N毎に時間方向に分割され、この順番に送信される。つまり、送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれは、送信を開始するまでに伝送のための処理(誤り訂正符号化等)が完了していればよく、送信データSD-1,・・・,SD-N間で処理を並列に実行する必要はない。例えば送信データSD-Nについては、送信を開始するタイミング(
図3のα)までに、伝送のための処理が完了していればよい。
【0110】
本発明者はこの点に着目し、送信側では、多重処理を、誤り訂正符号化等の送信処理の前段で行い、かつ、送信データSD-1,・・・,SD-Nに応じた伝送パラメータを個別に設定することで、送信処理を送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれの系統で行う必要がないことを見出した。
【0111】
このため、実施例2では、送信データSD-1,・・・,SD-Nを多重化し、多重データに対し、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する伝送パラメータを切り替えながら、誤り訂正符号化、時間インタリーブ処理及び変調の送信処理を行うこととし、送信処理部10-1,・・・,10-NのN系統を1系統に集約するようにした。これにより、回路規模の増加を抑制することができる。
【0112】
(送信装置/実施例2)
実施例2の送信装置について説明する。
図4は、実施例2の送信装置の構成例を示すブロック図である。
【0113】
この送信装置3は、移動局側の無線伝送装置であり、信号切替制御部31、伝送パラメータ切替部(誤り訂正符号化用伝送パラメータ切替部)32-1、伝送パラメータ切替部(時間インタリーブ用伝送パラメータ切替部)32-2、伝送パラメータ切替部(変調用伝送パラメータ切替部)32-3、多重部33、誤り訂正符号化部34、時間インタリーブ処理部35、変調部36、送信ウェイト乗算部37及びULフレーム構成部38を備えている。
【0114】
送信装置3は、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nを入力し、これらのデータに対しTDM方式の多重化を行い、多重データに対し、伝送パラメータを切り替えながら誤り訂正符号化等の送信処理を行い、送信処理後の多重信号に対して送信ウェイトSWの乗算を行い、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて後述する
図5の受信装置4へ送信する。
【0115】
符号化率P1-1,・・・,P1-Nは、これらのうちの1つが伝送パラメータ切替部32-1にて選択され、誤り訂正符号化部34により送信データSD-1,・・・,SD-Nを処理する際に用いられる伝送パラメータである。
【0116】
時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nは、これらのうちの1つが伝送パラメータ切替部32-2にて選択され、時間インタリーブ処理部35により送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号を処理する際に用いられる伝送パラメータである。
【0117】
変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nは、これらのうちの1つが伝送パラメータ切替部32-3にて選択され、変調部36により送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号を処理する際に用いられる伝送パラメータである。
【0118】
送信ウェイトSWは、送信ウェイト乗算部37により後述する変調後の多重信号に乗算される伝送パラメータである。これらの伝送パラメータは、前述の実施例1と同様である。
【0119】
信号切替制御部31は、多重部33、誤り訂正符号化部34、時間インタリーブ処理部35及び変調部36が、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれに対する処理を行うために、切り替えのタイミングを制御する切替信号をそれぞれ生成する。
【0120】
具体的には、信号切替制御部31は、ULフレーム構成部38が送信ウェイト乗算部37から入力する乗算後の多重信号をULフレームに格納する順番となるように、送信データSD-1,・・・,SD-Nを切り替えるタイミングを制御するための多重用の切替信号を生成する。
【0121】
例えば信号切替制御部31は、多重部33が入力する送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれについて、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれについて誤り訂正符号化が行われるデータ量)で区切るように、多重用の切替信号を生成する。具体的には、多重部33は、スイッチの位置に応じて入力しているデータが予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部31に出力し、信号切替制御部31は、多重部33からフラグ信号を入力したときに、多重用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部31は、多重用の切替信号を多重部33に出力する。
【0122】
また、信号切替制御部31は、誤り訂正符号化部34が多重部33から入力する多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nのタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nに適用するように、符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうちの1つを選択するための誤り訂正符号化用の切替信号を生成する。
【0123】
例えば信号切替制御部31は、誤り訂正符号化部34が多重部33から入力する多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれについて誤り訂正符号化が行われるデータ量)に基づき、誤り訂正符号化用の切替信号を生成する。具体的には、誤り訂正符号化部34は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部31に出力し、信号切替制御部31は、誤り訂正符号化部34からフラグ信号を入力したときに、誤り訂正符号化用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部31は、誤り訂正符号化用の切替信号を伝送パラメータ切替部32-1に出力する。つまり、信号切替制御部31は、誤り訂正符号化部34が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、誤り訂正符号化用の切替信号を生成して出力する。
【0124】
また、信号切替制御部31は、時間インタリーブ処理部35が誤り訂正符号化部34から入力する誤り訂正符号化後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号に適用するように、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうちの1つを選択するための時間インタリーブ用の切替信号を生成する。
【0125】
例えば信号切替制御部31は、時間インタリーブ処理部35が誤り訂正符号化部34から入力する誤り訂正符号化後の多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれについて時間インタリーブ処理が行われるデータ量)に基づき、時間インタリーブ用の切替信号を生成する。具体的には、時間インタリーブ処理部35は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部31に出力し、信号切替制御部31は、時間インタリーブ処理部35からフラグ信号を入力したときに、時間インタリーブ用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部31は、時間インタリーブ用の切替信号を伝送パラメータ切替部32-2に出力する。つまり、信号切替制御部31は、時間インタリーブ処理部35が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、時間インタリーブ用の切替信号を生成して出力する。
【0126】
また、信号切替制御部31は、変調部36が時間インタリーブ処理部35から入力する時間インタリーブ処理後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号に適用するように、変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうちの1つを選択するための変調用の切替信号を生成する。
【0127】
例えば信号切替制御部31は、変調部36が時間インタリーブ処理部35から入力する時間インタリーブ処理後の多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれについて変調が行われるデータ量)に基づき、変調用の切替信号を生成する。具体的には、変調部36は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部31に出力し、信号切替制御部31は、変調部36からフラグ信号を入力したときに、変調用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部31は、変調用の切替信号を伝送パラメータ切替部32-3に出力する。つまり、信号切替制御部31は、変調部36が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、変調用の切替信号を生成して出力する。
【0128】
伝送パラメータ切替部32-1は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する符号化率P1-1,・・・,P1-Nを入力すると共に、信号切替制御部31から誤り訂正符号化用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部32-1は、誤り訂正符号化用の切替信号に基づいて、符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうちの1つを選択し、選択した符号化率P1を誤り訂正符号化部34に出力する。
【0129】
伝送パラメータ切替部32-1から誤り訂正符号化部34に出力される符号化率P1は、誤り訂正符号化部34が入力する多重データに含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nのうち、当該誤り訂正符号化部34が処理を行うタイミングの送信データSDに用いられる。
【0130】
例えば、伝送パラメータ切替部32-1から誤り訂正符号化部34に出力される符号化率P1が符号化率P1-1の場合、そのときには、誤り訂正符号化部34が、多重データに含まれる送信データSD-1を処理するタイミングになっている。この場合、誤り訂正符号化部34は、多重データに含まれる送信データSD-1に対し、符号化率P1-1により誤り訂正符号化を行う。
【0131】
伝送パラメータ切替部32-2は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nを入力すると共に、信号切替制御部31から時間インタリーブ用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部32-2は、時間インタリーブ用の切替信号に基づいて、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうちの1つを選択し、選択した時間インタリーブ長P2を時間インタリーブ処理部35に出力する。
【0132】
伝送パラメータ切替部32-2から時間インタリーブ処理部35に出力される時間インタリーブ長P2は、時間インタリーブ処理部35が入力する誤り訂正符号化後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、当該時間インタリーブ処理部35が処理を行うタイミングの送信データSDに対応する信号に用いられる。
【0133】
例えば、伝送パラメータ切替部32-2から時間インタリーブ処理部35に出力される時間インタリーブ長P2が時間インタリーブ長P2-1の場合、そのときには、時間インタリーブ処理部35が、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号を処理するタイミングになっている。この場合、時間インタリーブ処理部35は、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号に対し、時間インタリーブ長P2-1により時間インタリーブ処理を行う。
【0134】
伝送パラメータ切替部32-3は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nを入力すると共に、信号切替制御部31から変調用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部32-3は、変調用の切替信号に基づいて、変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうちの1つを選択し、選択した変調ビット数P3を変調部36に出力する。
【0135】
伝送パラメータ切替部32-3から変調部36に出力される変調ビット数P3は、変調部36が入力する時間インタリーブ処理後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、当該変調部36が処理を行うタイミングの送信データSDに対応する信号に用いられる。
【0136】
例えば、伝送パラメータ切替部32-3から変調部36に出力される変調ビット数P3が変調ビット数P3-1の場合、そのときには、変調部36が、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号を処理するタイミングになっている。この場合、変調部36は、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号に対し、変調ビット数P3-1の所定の変調方式により変調を行う。
【0137】
多重部33は、送信データSD-1,・・・,SD-Nを入力すると共に、信号切替制御部31から多重用の切替信号を入力する。そして、多重部33は、入力したこれらのデータを、多重用の切替信号に基づいてスイッチにて切り替えることで、これらのデータに対しTDM方式の多重化を行い、多重データを誤り訂正符号化部34に出力する。これにより、送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれを時間方向に順番に並べた多重データが生成される。
【0138】
誤り訂正符号化部34は、多重部33から多重データを入力すると共に、伝送パラメータ切替部32-1から符号化率P1を入力する。そして、誤り訂正符号化部34は、入力している多重データに含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nのうち、現在のタイミングの送信データSDに対し、符号化率P1による誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化後の多重信号を時間インタリーブ処理部35に出力する。
【0139】
前述のとおり、符号化率P1は、信号切替制御部31から出力された誤り訂正符号化用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、誤り訂正符号化部34が現在のタイミングで処理を行う送信データSDと、伝送パラメータ切替部32-1から入力する符号化率P1とは、対応していることとなる。
【0140】
時間インタリーブ処理部35は、誤り訂正符号化部34から誤り訂正符号化後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部32-2から時間インタリーブ長P2を入力する。そして、時間インタリーブ処理部35は、入力している多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、現在のタイミングの送信データSDに対応する信号に対し、時間インタリーブ長P2による時間インタリーブ処理を行い、時間インタリーブ処理後の多重信号を変調部36に出力する。
【0141】
前述のとおり、時間インタリーブ長P2は、信号切替制御部31から出力された時間インタリーブ用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、時間インタリーブ処理部35が現在のタイミングで処理を行う送信データSDに対応する信号と、伝送パラメータ切替部32-2から入力する時間インタリーブ長P2とは、対応していることとなる。
【0142】
変調部36は、時間インタリーブ処理部35から時間インタリーブ処理後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部32-3から変調ビット数P3を入力する。そして、変調部36は、入力している多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、現在のタイミングの送信データSDに対応する信号に対し、変調ビット数P3の所定の変調方式による変調を行い、変調後の多重信号を送信ウェイト乗算部37に出力する。
【0143】
前述のとおり、変調ビット数P3は、信号切替制御部31から出力された変調用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、変調部36が現在のタイミングで処理を行う送信データSDに対応する信号と、伝送パラメータ切替部32-3から入力する変調ビット数P3とは、対応していることとなる。
【0144】
送信ウェイト乗算部37は、変調部36から変調後の多重信号を入力すると共に、後述する
図5に示す受信装置4により算出された送信ウェイトSWを入力し、多重信号に対し送信ウェイトSWを乗算し、乗算後の多重信号をULフレーム構成部38に出力する。これにより、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nのそれぞれに対応する信号に対し、同一の送信ウェイトSWが乗算される。
【0145】
ULフレーム構成部38は、送信ウェイト乗算部37から乗算後の多重信号を入力し、乗算後の多重信号に対し無線伝送可能な信号を生成するための変調を行う。そして、ULフレーム構成部38は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応するそれぞれのOFDMシンボルを、OFDMシンボルを単位として時間方向に順番に並べてULフレームを構成する。そして、ULフレーム構成部38は、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて受信装置4へ送信する。
【0146】
以上のように、実施例2の送信装置3によれば、信号切替制御部31は、多重部33等が入力するデータまたは信号のデータ量に基づいて、切り替えのタイミングを示す多重用の切替信号、誤り訂正符号化用の切替信号、時間インタリーブ用の切替信号及び変調用の切替信号を生成する。
【0147】
伝送パラメータ切替部32-1,32-2,32-3は、それぞれ誤り訂正符号化用の切替信号、時間インタリーブ用の切替信号及び変調用の切替信号に基づき、符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうち1つの符号化率P1、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうち1つの時間インタリーブ長P2、及び変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうち1つの変調ビット数P3を選択する。
【0148】
多重部33は、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nを入力し、多重用の切替信号に基づき、これらに対しTDM方式の多重化を行う。
【0149】
誤り訂正符号化部34は、多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、符号化率P1による誤り訂正符号化を行い、時間インタリーブ処理部35は、誤り訂正符号化後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、時間インタリーブ長P2による時間インタリーブ処理を行う。そして、変調部36は、時間インタリーブ処理後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、変調ビット数P3の所定の変調方式による変調を行う。
【0150】
送信ウェイト乗算部37は、変調後の多重信号に対し送信ウェイトSWを乗算する。ULフレーム構成部38は、乗算後の多重信号を変調してULフレームを構成し、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて送信する。
【0151】
これにより、前述の非特許文献1の規格に準拠するSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して同時に伝送する場合、送信データSD-1,・・・,SD-Nの送信されるタイミングが時間方向に分割されることから、
図1に示した誤り訂正符号化部11-1,・・・,11-N、時間インタリーブ処理部12-1,・・・,12-N及び変調部13-1,・・・,13-NのN系統をそれぞれ1系統に集約することができる。
【0152】
したがって、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制することができる。
【0153】
(受信装置/実施例2)
次に、実施例2の受信装置について説明する。
図5は、実施例2の受信装置の構成例を示すブロック図である。
【0154】
この受信装置4は、基地局側の無線伝送装置であり、ULフレーム解析部41、受信ウェイト乗算部42、信号切替制御部43、伝送パラメータ切替部(復調用伝送パラメータ切替部)44-1、伝送パラメータ切替部(時間デインタリーブ用伝送パラメータ切替部)44-2、伝送パラメータ切替部(誤り訂正復号用伝送パラメータ切替部)44-3、復調部45、時間デインタリーブ処理部46、誤り訂正復号化部47及び多重分離部48を備えている。
【0155】
受信装置4は、
図4に示した送信装置3により送信されたULフレームの送信信号Sに対応するULフレームの受信信号RをMIMO方式にて受信し、受信した多重信号に対して受信ウェイトRWの乗算を行い、伝送パラメータを切り替えながら復調等の受信処理を行い、受信処理後の多重信号に対しTDM方式の多重分離を行い、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する複数の受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0156】
変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nは、これらのうちの1つが伝送パラメータ切替部44-1にて選択され、復調部45により送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号を処理する際に用いられる伝送パラメータである。
【0157】
時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nは、これらのうちの1つが伝送パラメータ切替部44-2にて選択され、時間デインタリーブ処理部46により送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号を処理する際に用いられる伝送パラメータである。
【0158】
符号化率P1-1,・・・,P1-Nは、これらのうちの1つが伝送パラメータ切替部44-3にて選択され、誤り訂正復号化部47により送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号を処理する際に用いられる伝送パラメータである。
【0159】
受信ウェイトRWは、受信ウェイト乗算部42により後述する多重信号に乗算される伝送パラメータであり、当該受信装置4が算出する。これらの伝送パラメータは、前述の実施例1と同様である。
【0160】
ULフレーム解析部41は、ULフレームの受信信号RをMIMO方式にて受信し、受信信号Rに対して、同期処理を行うことでULフレーム及びOFDMシンボルの先頭を検出し、ULフレームから、OFDMシンボルを単位として時間方向に順番に並んでいるOFDMシンボルを読み出す。そして、ULフレーム解析部41は、OFDMシンボルの多重信号を受信ウェイト乗算部42に出力する。
【0161】
受信ウェイト乗算部42は、ULフレーム解析部41から多重信号を入力すると共に、当該受信装置4にて算出された受信ウェイトRWを入力し、多重信号に対し受信ウェイトRWを乗算し、乗算後の多重信号を復調部45に出力する。これにより、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応するそれぞれの信号に対し、同一の受信ウェイトRWが乗算される。
【0162】
信号切替制御部43は、復調部45、時間デインタリーブ処理部46、誤り訂正復号化部47及び多重分離部48が、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれに対する処理を行うために、切り替えのタイミングを制御する切替信号をそれぞれ生成する。
【0163】
具体的には、信号切替制御部43は、復調部45が受信ウェイト乗算部42から入力する乗算後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nの信号に適用するように、変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうちの1つを選択するための復調用の切替信号を生成する。
【0164】
例えば信号切替制御部43は、復調部45が受信ウェイト乗算部42から入力する乗算後の多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれについて復調が行われるデータ量)に基づき、復調用の切替信号を生成する。具体的には、復調部45は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部43に出力し、信号切替制御部43は、復調部45からフラグ信号を入力したときに、復調用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部43は、復調用の切替信号を伝送パラメータ切替部44-1に出力する。つまり、信号切替制御部43は、復調部45が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、復調用の切替信号を生成して出力する。
【0165】
また、信号切替制御部43は、時間デインタリーブ処理部46が復調部45から入力する復調後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nの信号に適用するように、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうちの1つを選択するための時間デインタリーブ用の切替信号を生成する。
【0166】
例えば信号切替制御部43は、時間デインタリーブ処理部46が復調部45から入力する多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれについて時間デインタリーブ処理が行われるデータ量)に基づき、時間デインタリーブ用の切替信号を生成する。具体的には、時間デインタリーブ処理部46は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部43に出力し、信号切替制御部43は、時間デインタリーブ処理部46からフラグ信号を入力したときに、時間デインタリーブ用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部43は、時間デインタリーブ用の切替信号を伝送パラメータ切替部44-2に出力する。つまり、信号切替制御部43は、時間デインタリーブ処理部46が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、時間デインタリーブ用の切替信号を生成して出力する。
【0167】
また、信号切替制御部43は、誤り訂正復号化部47が時間デインタリーブ処理部46から入力する時間デインタリーブ処理後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nの信号に適用するように、符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうちの1つを選択するための誤り訂正復号用の切替信号を生成する。
【0168】
例えば信号切替制御部43は、誤り訂正復号化部47が時間デインタリーブ処理部46から入力する多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれについて誤り訂正復号化が行われるデータ量)に基づき、誤り訂正復号用の切替信号を生成する。具体的には、誤り訂正復号化部47は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部43に出力し、信号切替制御部43は、誤り訂正復号化部47からフラグ信号を入力したときに、誤り訂正復号用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部43は、誤り訂正復号用の切替信号を伝送パラメータ切替部44-3に出力する。つまり、信号切替制御部43は、誤り訂正復号化部47が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、誤り訂正復号用の切替信号を生成して出力する。
【0169】
また、信号切替制御部43は、多重信号が適切な出力先に出力されるように、多重信号から分離される受信データRD-1,・・・,RD-Nを切り替えるタイミングを制御するための多重分離用の切替信号を生成する。
【0170】
例えば信号切替制御部43は、多重分離部48が入力する誤り訂正復号化後の多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号の量)に基づき、多重分離用の切替信号を生成する。具体的には、多重分離部48は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部43に出力し、信号切替制御部43は、多重分離部48からフラグ信号を入力したときに、多重分離用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部43は、多重分離用の切替信号を多重分離部48に出力する。つまり、信号切替制御部43は、多重分離部48が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、多重分離用の切替信号を生成して出力する。
【0171】
伝送パラメータ切替部44-1は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nを入力すると共に、信号切替制御部43から復調用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部44-1は、復調用の切替信号に基づいて、変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうちの1つを選択し、選択した変調ビット数P3を復調部45に出力する。
【0172】
伝送パラメータ切替部44-1から復調部45に出力される変調ビット数P3は、復調部45が入力する乗算後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、当該復調部45が処理を行うタイミングの送信データSDに対応する信号に用いられる。
【0173】
例えば、伝送パラメータ切替部44-1から復調部45に出力される変調ビット数P3が変調ビット数P3-1の場合、そのときには、復調部45が、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号を処理するタイミングになっている。この場合、復調部45は、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号に対し、変調ビット数P3-1の所定の変調方式により復調を行う。
【0174】
伝送パラメータ切替部44-2は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nを入力すると共に、信号切替制御部43から時間デインタリーブ用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部44-2は、時間デインタリーブ用の切替信号に基づいて、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうちの1つを選択し、選択した時間インタリーブ長P2を時間デインタリーブ処理部46に出力する。
【0175】
伝送パラメータ切替部44-2から時間デインタリーブ処理部46に出力される時間インタリーブ長P2は、時間デインタリーブ処理部46が入力する復調後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、当該時間デインタリーブ処理部46が処理を行うタイミングの送信データSDに対応する信号に用いられる。
【0176】
例えば、伝送パラメータ切替部44-2から時間デインタリーブ処理部46に出力される時間インタリーブ長P2が時間インタリーブ長P2-1の場合、そのときには、時間デインタリーブ処理部46が、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号を処理するタイミングになっている。この場合、時間デインタリーブ処理部46は、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号に対し、時間インタリーブ長P2-1により時間デインタリーブ処理を行う。
【0177】
伝送パラメータ切替部44-3は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する符号化率P1-1,・・・,P1-Nを入力すると共に、信号切替制御部43から誤り訂正復号用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部44-3は、誤り訂正復号用の切替信号に基づいて、符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうちの1つを選択し、選択した符号化率P1を誤り訂正復号化部47に出力する。
【0178】
伝送パラメータ切替部44-3から誤り訂正復号化部47に出力される符号化率P1は、誤り訂正復号化部47が入力する多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、当該誤り訂正復号化部47が処理を行うタイミングの送信データSDに対応する信号に用いられる。
【0179】
例えば、伝送パラメータ切替部44-3から誤り訂正復号化部47に出力される符号化率P1が符号化率P1-1の場合、そのときには、誤り訂正復号化部47が、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号を処理するタイミングになっている。この場合、誤り訂正復号化部47は、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号に対し、符号化率P1-1により誤り訂正復号化を行う。
【0180】
復調部45は、受信ウェイト乗算部42から乗算後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部44-1から変調ビット数P3を入力する。そして、復調部45は、入力している多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、現在のタイミングの送信データSDに対応する信号に対し、変調ビット数P3の所定の変調方式による復調を行い、復調後の多重信号を時間デインタリーブ処理部46に出力する。
【0181】
前述のとおり、変調ビット数P3は、信号切替制御部43から出力された復調用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、復調部45が現在のタイミングで処理を行う送信データSDに対応する信号と、伝送パラメータ切替部44-1から入力する変調ビット数P3とは、対応していることとなる。
【0182】
時間デインタリーブ処理部46は、復調部45から復調後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部44-2から時間インタリーブ長P2を入力する。そして、時間デインタリーブ処理部46は、入力している多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、現在のタイミングの送信データSDに対応する信号に対し、時間インタリーブ長P2による時間デインタリーブ処理を行い、時間デインタリーブ処理後の多重信号を誤り訂正復号化部47に出力する。
【0183】
前述のとおり、時間インタリーブ長P2は、信号切替制御部43から出力された時間デインタリーブ用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、時間デインタリーブ処理部46が現在のタイミングで処理を行う送信データSDに対応する信号と、伝送パラメータ切替部44-2から入力する時間インタリーブ長P2とは、対応していることとなる。
【0184】
誤り訂正復号化部47は、時間デインタリーブ処理部46から時間デインタリーブ処理後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部44-3から符号化率P1を入力する。そして、誤り訂正復号化部47は、入力している多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、現在のタイミングの送信データSDに対応する信号に対し、符号化率P1による誤り訂正復号化を行い、誤り訂正復号化後の多重信号を多重分離部48に出力する。
【0185】
前述のとおり、符号化率P1は、信号切替制御部43から出力された誤り訂正復号用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、誤り訂正復号化部47が現在のタイミングで処理を行う送信データSDに対応する信号と、伝送パラメータ切替部44-3から入力する符号化率P1とは、対応していることとなる。
【0186】
多重分離部48は、誤り訂正復号化部47から誤り訂正復号化後の多重信号を入力すると共に、信号切替制御部43から多重分離用の切替信号を入力する。そして、多重分離部48は、多重信号を、多重分離用の切替信号に基づいてスイッチにて切り替えることで、多重信号に対しTDM方式の多重分離を行う。これにより、誤り訂正復号化部47から入力された多重信号が順番に区切られ、送信データSD-1に対応する受信データRD-1、・・・、及び送信データSD-Nに対応する受信データRD-Nに分離される。そして、多重分離部48は、受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0187】
以上のように、実施例2の受信装置4によれば、ULフレーム解析部41は、送信装置3からULフレームの受信信号RをMIMO方式にて受信し、ULフレームからOFDMシンボルを読み出す。受信ウェイト乗算部42は、OFDMシンボルの多重信号に対し受信ウェイトRWを乗算する。
【0188】
信号切替制御部43は、復調部45等が入力する多重信号のデータ量に基づいて、切り替えのタイミングを示す復調用の切替信号、時間デインタリーブ用の切替信号、誤り訂正復号用の切替信号及び多重分離用の切替信号を生成する。
【0189】
伝送パラメータ切替部44-1,44-2,44-3は、それぞれ復調用の切替信号、時間デインタリーブ用の切替信号及び誤り訂正復号用の切替信号に基づき、変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうち1つの変調ビット数P3、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうち1つの時間インタリーブ長P2、及び符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうち1つの符号化率P1を選択する。
【0190】
復調部45は、乗算後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、変調ビット数P3の所定の変調方式による復調を行い、時間デインタリーブ処理部46は、復調後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、時間インタリーブ長P2による時間デインタリーブ処理を行う。そして、誤り訂正復号化部47は、時間デインタリーブ処理後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、符号化率P1による誤り訂正復号化を行う。
【0191】
多重分離部48は、誤り訂正符号化後の多重信号に対しTDM方式の多重分離を行い、受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0192】
これにより、前述の非特許文献1の規格に準拠するSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して同時に伝送する場合、送信データSD-1,・・・,SD-Nの送信されるタイミングが時間方向に分割され、この分割された順番で送信データSD-1,・・・,SD-Nを含む受信信号Rを受信することから、
図2に示した復調部24-1,・・・,24-N、時間デインタリーブ処理部25-1,・・・,25-N及び誤り訂正復号化部26-1,・・・,26-NのN系統をそれぞれ1系統に集約することができる。
【0193】
したがって、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制することができる。
【0194】
〔実施例3〕
次に、実施例3について説明する。前述のとおり、実施例3の伝送システムは、実施例2の伝送システムにおいて、さらに、送信側の電力配分処理部及び受信側の電力配分処理部をそれぞれ1つに集約するものである。
【0195】
前述の非特許文献1の規格では、SVD-MIMO方式で形成される仮想伝送路に対して、個別に電力値を設定する処理を行う。仮想伝送路に割り当てる電力値の組み合わせは送信データ毎に異なるが、誤り訂正符号化等と同様に構成部の集約が可能である。
【0196】
このため、実施例3では、実施例2において、誤り訂正符号化部34、時間インタリーブ処理部35及び変調部36の後段に電力配分処理部を設け、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する伝送パラメータを切り替えながら、誤り訂正符号化、時間インタリーブ処理及び変調の送信処理に加え、電力配分処理を行うこととし、電力配分処理部のN系統を1系統に集約するようにした。これにより、回路規模の増加を抑制することができる。
【0197】
(送信装置/実施例3)
実施例3の送信装置について説明する。
図6は、実施例3の送信装置の構成例を示すブロック図である。
【0198】
この送信装置5は、移動局側の無線伝送装置であり、信号切替制御部51、伝送パラメータ切替部32-1,32-2,32-3、伝送パラメータ切替部(電力配分用伝送パラメータ切替部)52、多重部33、誤り訂正符号化部34、時間インタリーブ処理部35、変調部36、電力配分処理部53、送信ウェイト乗算部37及びULフレーム構成部38を備えている。
【0199】
図4に示した実施例2の送信装置3とこの実施例3の送信装置5とを比較すると、両送信装置3,5は、伝送パラメータ切替部32-1,32-2,32-3、多重部33、誤り訂正符号化部34、時間インタリーブ処理部35、変調部36、送信ウェイト乗算部37及びULフレーム構成部38を備えている点で共通する。
【0200】
一方、送信装置5は、信号切替制御部31とは異なる信号切替制御部51を備え、さらに、伝送パラメータ切替部52及び電力配分処理部53を備えている点で、送信装置3と相違する。
【0201】
図6において、
図4と共通する部分には
図4と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。また、送信装置5から送信されるULフレームの送信信号Sは、MIMO方式にて後述する
図7の受信装置6へ送信される。つまり、実施例3の伝送システムは、送信装置5及び
図7に示す受信装置6を備えて構成される。
【0202】
送信装置5は、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nを入力し、これらのデータに対しTDM方式の多重化を行い、多重データに対し、伝送パラメータを切り替えながら誤り訂正符号化等の送信処理及び電力配分処理を行い、電力配分処理後の多重信号に対して送信ウェイトSWの乗算を行い、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて後述する
図7の受信装置6へ送信する。
【0203】
符号化率P1-1,・・・,P1-N、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-N、変調ビット数P3-1,・・・,P3-N及び送信ウェイトSWの伝送パラメータは、実施例2と同様である。
【0204】
電力配分P4-1,・・・,P4-Nは、電力配分処理部53により変調後の多重信号に対して電力配分処理を行うときに用いる伝送パラメータであり、後述する
図7の受信装置6において算出され、受信装置6からDLフレームにて送信装置5へ送信され、送信装置5において保持される。
【0205】
信号切替制御部51は、
図4に示した信号切替制御部31と同様の処理を行い、さらに、電力配分処理部53が、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれに対する処理を行うために、切り替えのタイミングを制御する切替信号を生成する。
【0206】
具体的には、信号切替制御部51は、前述の多重用の切替信号、誤り訂正符号化用の切替信号、時間インタリーブ用の切替信号及び変調用の切替信号を生成して出力する。さらに、信号切替制御部51は、電力配分処理部53が変調部36から入力する変調後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号に適用するように、電力配分P4-1,・・・,P4-Nのうちの1つを選択するための電力配分用の切替信号を生成する。
【0207】
例えば信号切替制御部51は、電力配分処理部53が変調部36から入力する変調後の多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれについて電力配分が行われるデータ量)に基づき、電力配分用の切替信号を生成する。具体的には、電力配分処理部53は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部51に出力し、信号切替制御部51は、電力配分処理部53からフラグ信号を入力したときに、電力配分用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部51は、電力配分用の切替信号を伝送パラメータ切替部52に出力する。つまり、信号切替制御部51は、電力配分処理部53が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、電力配分用の切替信号を生成して出力する。
【0208】
伝送パラメータ切替部52は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する電力配分P4-1,・・・,P4-Nを入力すると共に、信号切替制御部51から電力配分用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部52は、電力配分用の切替信号に基づいて、電力配分P4-1,・・・,P4-Nのうちの1つを選択し、選択した電力配分P4を電力配分処理部53に出力する。
【0209】
伝送パラメータ切替部52から電力配分処理部53に出力される電力配分P4は、電力配分処理部53が入力する多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、当該電力配分処理部53が処理を行うタイミングの送信データSDに対応する信号に用いられる。
【0210】
例えば、伝送パラメータ切替部52から電力配分処理部53に出力される電力配分P4が電力配分P4-1の場合、そのときには、電力配分処理部53が、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号を処理するタイミングになっている。この場合、電力配分処理部53は、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号に対し、電力配分P4-1により電力配分処理を行う。
【0211】
変調部36は、変調後の多重信号を電力配分処理部53に出力する。電力配分処理部53は、変調部36から変調後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部52から電力配分P4を入力する。そして、電力配分処理部53は、入力している多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、現在のタイミングの送信データSDに対応する信号に対し、電力配分P4の示す重みを乗算することで、SVD-MIMO方式による固有モードの仮想伝送路毎の電力配分処理を行い、電力配分処理後の多重信号を送信ウェイト乗算部37に出力する。
【0212】
前述のとおり、電力配分P4は、信号切替制御部51から出力された電力配分用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、電力配分処理部53が現在のタイミングで処理を行う送信データSDに対応する信号と、伝送パラメータ切替部52から入力する電力配分P4とは、対応していることとなる。
【0213】
送信ウェイト乗算部37は、電力配分処理部53から電力配分処理後の多重信号を入力すると共に、受信装置6により算出された送信ウェイトSWを入力し、前述の処理を行う。そして、ULフレーム構成部38は、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて受信装置6へ送信する。
【0214】
以上のように、実施例3の送信装置5によれば、信号切替制御部51は、多重部33等が入力するデータまたは信号のデータ量に基づいて、切り替えのタイミングを示す多重用の切替信号、誤り訂正符号化用の切替信号、時間インタリーブ用の切替信号、変調用の切替信号及び電力配分用の切替信号を生成する。
【0215】
伝送パラメータ切替部32-1,32-2,32-3,52は、それぞれ誤り訂正符号化用の切替信号、時間インタリーブ用の切替信号、変調用の切替信号及び電力配分用の切替信号に基づき、符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうち1つの符号化率P1、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうち1つの時間インタリーブ長P2、変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうち1つの変調ビット数P3、及び電力配分P4-1,・・・,P4-Nのうちの1つの電力配分P4を選択する。
【0216】
多重部33は、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nを入力し、多重用の切替信号に基づき、これらに対しTDM方式の多重化を行う。
【0217】
誤り訂正符号化部34は、多重信号に対し、符号化率P1による誤り訂正符号化を行い、時間インタリーブ処理部35は、誤り訂正符号化後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、時間インタリーブ長P2による時間インタリーブ処理を行う。そして、変調部36は、時間インタリーブ処理後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、変調ビット数P3の所定の変調方式による変調を行い、電力配分処理部53は、変調後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、電力配分P4により電力配分処理を行う。
【0218】
送信ウェイト乗算部37は、電力配分処理後の多重信号に対し送信ウェイトSWを乗算する。ULフレーム構成部38は、乗算後の多重信号を変調してULフレームを構成し、ULフレームの送信信号SをMIMO方式にて送信する。
【0219】
これにより、前述の非特許文献1の規格に準拠するSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して同時に伝送する場合、送信データSD-1,・・・,SD-Nの送信されるタイミングが時間方向に分割されることから、誤り訂正符号化部34、時間インタリーブ処理部35、変調部36及び電力配分処理部53のそれぞれを1つに集約することができる。
【0220】
したがって、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制することができる。
【0221】
(受信装置/実施例3)
次に、実施例3の受信装置について説明する。
図7は、実施例3の受信装置の構成例を示すブロック図である。
【0222】
この受信装置6は、基地局側の無線伝送装置であり、ULフレーム解析部41、受信ウェイト乗算部42、信号切替制御部61、伝送パラメータ切替部(電力配分用伝送パラメータ切替部)62、伝送パラメータ切替部44-1,44-2,44-3、電力配分処理部63、復調部45、時間デインタリーブ処理部46、誤り訂正復号化部47及び多重分離部48を備えている。
【0223】
図5に示した実施例2の受信装置4とこの実施例3の受信装置6とを比較すると、両受信装置4,6は、ULフレーム解析部41、受信ウェイト乗算部42、伝送パラメータ切替部44-1,44-2,44-3、復調部45、時間デインタリーブ処理部46、誤り訂正復号化部47及び多重分離部48を備えている点で共通する。
【0224】
一方、受信装置6は、信号切替制御部43とは異なる信号切替制御部61を備え、さらに、伝送パラメータ切替部62及び電力配分処理部63を備えている点で、受信装置4と相違する。
【0225】
図7において、
図5と共通する部分には
図5と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0226】
受信装置6は、
図6に示した送信装置5により送信されたULフレームの送信信号Sに対応するULフレームの受信信号RをMIMO方式にて受信し、受信した多重信号に対して受信ウェイトRWの乗算を行い、伝送パラメータを切り替えながら電力配分処理等の受信処理を行い、受信処理後の多重信号に対しTDM方式の多重分離を行い、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する複数の受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0227】
符号化率P1-1,・・・,P1-N、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-N、変調ビット数P3-1,・・・,P3-N及び受信ウェイトRWの伝送パラメータは、実施例2と同様である。
【0228】
電力配分P4-1,・・・,P4-Nは、電力配分処理部63により乗算後の多重信号に対して電力配分処理を行うときに用いる伝送パラメータであり、当該受信装置6が算出する。
【0229】
信号切替制御部61は、
図5に示した信号切替制御部43と同様の処理を行い、さらに、電力配分処理部63が、多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれに対する処理を行うために、切り替えのタイミングを制御する切替信号を生成する。
【0230】
具体的には、信号切替制御部61は、前述の復調用の切替信号、時間デインタリーブ用の切替信号、誤り訂正復号用の切替信号、多重用の切替信号を生成して出力する。さらに、信号切替制御部61は、電力配分処理部63が受信ウェイト乗算部42から入力する乗算後の多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のタイミングに合わせて、当該タイミングの送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号に適用するように、電力配分P4-1,・・・,P4-Nのうちの1つを選択するための電力配分用の切替信号を生成する。
【0231】
例えば信号切替制御部61は、電力配分処理部63が受信ウェイト乗算部42から入力する乗算後の多重信号について、予め設定されたデータ量(送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のそれぞれについて電力配分が行われるデータ量)に基づき、電力配分用の切替信号を生成する。具体的には、電力配分処理部63は、入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したことを検知したときに、フラグ信号を信号切替制御部61に出力し、信号切替制御部61は、電力配分処理部63からフラグ信号を入力したときに、電力配分用の切替信号を生成する。そして、信号切替制御部61は、電力配分用の切替信号を伝送パラメータ切替部62に出力する。つまり、信号切替制御部61は、電力配分処理部63が入力している多重信号が予め設定されたデータ量に到達したときに、電力配分用の切替信号を生成して出力する。
【0232】
伝送パラメータ切替部62は、送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する電力配分P4-1,・・・,P4-Nを入力すると共に、信号切替制御部61から電力配分用の切替信号を入力する。そして、伝送パラメータ切替部62は、電力配分用の切替信号に基づいて、電力配分P4-1,・・・,P4-Nのうちの1つを選択し、選択した電力配分P4を電力配分処理部63に出力する。
【0233】
伝送パラメータ切替部62から電力配分処理部63に出力される電力配分P4は、電力配分処理部63が入力する多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、当該電力配分処理部63が処理を行うタイミングの送信データSDに対応する信号に用いられる。
【0234】
例えば、伝送パラメータ切替部62から電力配分処理部63に出力される電力配分P4が電力配分P4-1の場合、そのときには、電力配分処理部63が、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号を処理するタイミングになっている。この場合、電力配分処理部63は、多重信号に含まれる送信データSD-1に対応する信号に対し、電力配分P4-1により電力配分処理を行う。
【0235】
受信ウェイト乗算部42は、乗算後の多重信号を電力配分処理部63に出力する。電力配分処理部63は、受信ウェイト乗算部42から乗算後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部62から電力配分P4を入力する。そして、電力配分処理部63は、入力している多重信号に含まれる送信データSD-1,・・・,SD-Nに対応する信号のうち、現在のタイミングの送信データSDに対応する信号に対し、電力配分P4の示す重みを乗算することで、SVD-MIMO方式による固有モードの仮想伝送路毎の電力配分処理を行い、電力配分処理後の多重信号を復調部45に出力する。
【0236】
前述のとおり、電力配分P4は、信号切替制御部61から出力された電力配分用の切替信号に従い選択されたデータである。このため、電力配分処理部63が現在のタイミングで処理を行う送信データSDに対応する信号と、伝送パラメータ切替部62から入力する電力配分P4とは、対応していることとなる。
【0237】
復調部45は、電力配分処理部63から電力配分処理後の多重信号を入力すると共に、伝送パラメータ切替部44-1から変調ビット数P3を入力し、前述の処理を行う。そして、時間デインタリーブ処理部46及び誤り訂正復号化部47の処理の後、多重分離部48は、誤り訂正復号化後の多重信号に対しTDM方式の多重分離を行い、受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0238】
以上のように、実施例3の受信装置6によれば、ULフレーム解析部41は、送信装置5からULフレームの受信信号RをMIMO方式にて受信し、ULフレームからOFDMシンボルを読み出す。受信ウェイト乗算部42は、OFDMシンボルの多重信号に対し受信ウェイトRWを乗算する。
【0239】
信号切替制御部61は、電力配分処理部63等が入力するデータまたは信号のデータ量に基づいて、切り替えのタイミングを示す電力配分用の切替信号、復調用の切替信号、時間デインタリーブ用の切替信号、誤り訂正復号用の切替信号及び多重分離用の切替信号を生成する。
【0240】
伝送パラメータ切替部62,44-1,44-2,44-3は、それぞれ電力配分用の切替信号、復調用の切替信号、時間デインタリーブ用の切替信号及び誤り訂正復号用の切替信号に基づき、電力配分P4-1,・・・,P4-Nのうちの1つの電力配分P4、変調ビット数P3-1,・・・,P3-Nのうち1つの変調ビット数P3、時間インタリーブ長P2-1,・・・,P2-Nのうち1つの時間インタリーブ長P2、及び符号化率P1-1,・・・,P1-Nのうち1つの符号化率P1を選択する。
【0241】
電力配分処理部63は、乗算後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、電力配分P4による電力配分処理を行い、復調部45は、電力配分処理後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、変調ビット数P3の所定の変調方式による復調を行い、時間デインタリーブ処理部46は、復調後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、時間インタリーブ長P2による時間デインタリーブ処理を行う。そして、誤り訂正復号化部47は、時間デインタリーブ処理後の多重信号に含まれる現在のタイミングの信号に対し、符号化率P1による誤り訂正復号化を行う。
【0242】
多重分離部48は、誤り訂正符号化後の多重信号に対しTDM方式の多重分離を行い、受信データRD-1,・・・,RD-Nを出力する。
【0243】
これにより、前述の非特許文献1の規格に準拠するSVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して同時に伝送する場合、送信データSD-1,・・・,SD-Nの送信されるタイミングが時間方向に分割されることから、電力配分処理部63、復調部45、時間デインタリーブ処理部46及び誤り訂正復号化部47のそれぞれを1系統に集約することができる。
【0244】
したがって、SVD-MIMO方式の伝送システムにおいて、伝送パラメータの組み合わせが異なる複数の信号をTDM方式にて多重化して伝送する場合に、回路規模の増加を抑制することができる。
【0245】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【符号の説明】
【0246】
1,3,5,101,106 送信装置
2,4,6,102,107 受信装置
10 送信処理部
11,34,111 誤り訂正符号化部
12,35,112 時間インタリーブ処理部
13,36,113 変調部
14,33,116 多重部
15,37,114 送信ウェイト乗算部
16,38,115 ULフレーム構成部
20 受信処理部
21,41,121 ULフレーム解析部
22,42,122 受信ウェイト乗算部
23,48,120 多重分離部
24,45,123 復調部
25,46,124 時間デインタリーブ処理部
26,47,125 誤り訂正復号化部
31,43,51,61 信号切替制御部
32,44,52,62 伝送パラメータ切替部
53,63 電力配分処理部
103 仮想伝送路
104 送信アンテナ
105 受信アンテナ
SD 送信データ
S 送信信号
RD 受信データ
R 受信信号
P1 符号化率
P2 時間インタリーブ長
P3 変調ビット数
P4 電力配分
SW 送信ウェイト
RW 受信ウェイト
A,B,C 信号